説明

癌治療法および癌診断のための標的遺伝子としてのC2orf18

癌、特に膵臓癌を発症する素因を検出または診断するための客観的な方法を本明細書において説明する。1つの態様において、診断法は、抗C2orf18抗体を用いてC2orf18の発現レベルを測定する段階を含む。本発明はさらに、癌、例えば膵臓癌などのC2orf18関連疾患の治療において有用な治療物質をスクリーニングする方法、細胞増殖を阻害する方法、およびそれらの症状を治療または軽減する方法も提供する。本発明はまた、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、およびベクター、二本鎖分子、抗体、ベクター、ならびにそれらから構成される組成物等の産物も特徴とする。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象由来の生物学的試料におけるC2orf18の試験発現レベルを決定する段階を含む、対象において癌を検出または診断する方法であって、
該レベルがC2orf18の正常対照レベルと比べて上昇していることによって、該対象が癌に罹患しているかまたは発症リスクを有することが示され、
C2orf18の試験発現レベルが
(a)C2orf18のmRNAの検出、
(b)C2orf18にコードされるタンパク質の検出、および
(c)C2orf18にコードされるタンパク質の生物学的活性の検出
からなる群より選択されるいずれか1つの方法によって決定される、方法。
【請求項2】
上記上昇が、上記正常対照レベルを少なくとも10%上回る試験C2orf18発現レベルに相当する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
上記癌が膵臓癌である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
上記C2orf18発現レベルが、上記対象由来の生物学的試料の遺伝子転写物に対するC2orf18プローブのハイブリダイゼーションを検出することによって決定される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
上記C2orf18発現レベルが、上記C2orf18遺伝子にコードされるタンパク質に対する抗体の結合を検出することによって決定される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
上記抗体が、アミノ酸配列CRAAGQSDSSVDPQQPF(SEQ ID NO: 5)および/またはAEESEQERLLGGTRTPINDAS(SEQ ID NO: 6)からなるC2orf18エピトープを認識する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
上記対象由来の生物学的試料が生検材料である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
癌を治療もしくは予防するための候補薬剤、または、癌細胞増殖を阻害できるC2orf18ポリペプチドのアゴニスト候補もしくはアンタゴニスト候補をスクリーニングする方法であって、以下の段階を含む方法:
(a)試験薬剤を、C2orf18にコードされるポリペプチドと接触させる段階;
(b)該ポリペプチドと該試験薬剤との結合活性を検出する段階;および
(c)該ポリペプチドに結合する試験薬剤を選択する段階。
【請求項9】
癌を治療もしくは予防するため、または癌細胞増殖を阻害するための候補薬剤をスクリーニングする方法であって、以下の段階を含む方法:
(a)試験薬剤を、C2orf18を発現する細胞と接触させる段階;
(b)段階(a)の細胞におけるC2orf18の発現レベルを検出する段階;および
(c)試験薬剤の非存在下で検出されるC2orf18の発現レベルと比べて、段階(a)の細胞におけるC2orf18の発現レベルを低下させる該試験薬剤を選択する段階。
【請求項10】
上記細胞が膵臓癌細胞を含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
癌を治療もしくは予防するため、または癌細胞増殖を阻害するための候補化合物をスクリーニングする方法であって、以下の段階を含む方法:
(a)試験薬剤を、C2orf18にコードされるポリペプチドと接触させる段階;
(b)段階(a)のポリペプチドの生物学的活性を検出する段階;および
(c)試験薬剤の非存在下で検出される生物学的活性と比べて、段階(a)のポリペプチドの生物学的活性を抑制する該試験薬剤を選択する段階。
【請求項12】
上記生物学的活性が細胞増殖活性である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
癌を治療もしくは予防するため、または癌細胞増殖を阻害するための候補薬剤をスクリーニングする方法であって、以下の段階を含む方法:
(a)試験薬剤を、C2orf18遺伝子の転写調節領域および該転写調節領域の制御下で発現するレポーター遺伝子を含むベクターが導入された細胞と接触させる段階、
(b)段階(a)の細胞における該レポーター遺伝子の発現レベルまたは活性レベルを検出する段階;および
(c)試験薬剤の非存在下でのレベルと比べて、段階(a)の細胞における該レポーター遺伝子の発現レベルまたは活性レベルを低下させる該試験薬剤を選択する段階。
【請求項14】
上記癌が膵臓癌である、請求項8、9、10、または13のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
C2orf18とANT2の間の結合を阻害する薬剤を同定する方法であって、以下の段階を含む方法:
(a)(i)SEQ ID NO: 12のアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(ii)SEQ ID NO: 12のアミノ酸配列からなるポリペプチドの結合活性と同等の結合活性をANT2に対して有するという条件で、1つまたは複数のアミノ酸が付加、置換、欠失、または挿入されたSEQ ID NO: 12のアミノ酸配列を含む、ポリペプチド;
(iii)SEQ ID NO: 12のアミノ酸配列からなるポリペプチドの結合活性と同等の結合活性をANT2に対して有するという条件で、SEQ ID NO: 12のアミノ酸配列からなるポリペプチドに対して少なくとも約80%相同であるアミノ酸配列を含む、ポリペプチド;および
(vi)SEQ ID NO: 12のアミノ酸配列からなるポリペプチドの結合活性と同等の結合活性をANT2に対して有するという条件で、SEQ ID NO: 11のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドにコードされる、ポリペプチド
からなる群より選択される第1のポリペプチドと、
(i)SEQ ID NO: 26のアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(ii)SEQ ID NO: 26のアミノ酸配列からなるポリペプチドの結合活性と同等の結合活性をC2orf18に対して有するという条件で、1つまたは複数のアミノ酸が付加、置換、欠失、または挿入されたSEQ ID NO: 26のアミノ酸配列を含む、ポリペプチド;
(iii)SEQ ID NO: 26のアミノ酸配列からなるポリペプチドの結合活性と同等の結合活性をC2orf18に対して有するという条件で、SEQ ID NO: 26のアミノ酸配列からなるポリペプチドに対して少なくとも約80%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、ポリペプチド;および
(vi)SEQ ID NO: 26のアミノ酸配列からなるポリペプチドの結合活性と同等の結合活性をC2orf18に対して有するという条件で、SEQ ID NO: 25のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドにコードされる、ポリペプチド
からなる群より選択される第2のポリペプチドとを、薬剤の存在下で接触させる段階;
(b)該第1のポリペプチドと該第2のポリペプチドとの間の結合レベルを検出する段階;
(c)該第1のポリペプチドと該第2のポリペプチドとの結合レベルを、該薬剤の非存在下で検出される結合レベルと比較する段階;ならびに
(d)該第1のポリペプチドと該第2のポリペプチドとの間の結合レベルを低下させる薬剤を選択する段階。
【請求項16】
二本鎖分子を対象に投与する段階を含む、対象において癌細胞増殖を阻害する方法であって、該二本鎖分子がC2orf18の発現レベルを低下させる、方法。
【請求項17】
上記二本鎖分子が、C2orf18のセンス核酸およびアンチセンス核酸を含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
上記二本鎖分子が、標的配列としてのSEQ ID NO: 7または8からなる配列に対応するヌクレオチド配列を含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
上記二本鎖分子が一般式
5’−[A]−[B]−[A’]−3’
を有する、請求項18記載の方法:
式中、[A]はSEQ ID NO: 7または8のヌクレオチドからなる配列に対応するヌクレオチド配列であり、[B]は約3個〜約23個のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列であり、[A’]は[A]の相補的配列からなるヌクレオチド配列である。
【請求項20】
上記二本鎖分子が、トランスフェクション促進物質と共に対象に投与される、請求項16記載の方法。
【請求項21】
上記癌が膵臓癌である、請求項16記載の方法。
【請求項22】
有効成分としての、C2orf18に対する二本鎖分子の薬学的有効量、および薬学的に許容される担体を含む、癌を治療または予防するための組成物。
【請求項23】
上記二本鎖分子が、標的配列としてのSEQ ID NO: 7または8からなるヌクレオチド配列を含む、請求項22記載の組成物。
【請求項24】
上記二本鎖分子が一般式
5’−[A]−[B]−[A’]−3’
を有する、請求項22記載の組成物:
式中、[A]はSEQ ID NO: 7または8のヌクレオチド配列に対応するヌクレオチド配列であり、[B]は3〜23個のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列であり、[A’]は[A]に相補的なヌクレオチド配列である。
【請求項25】
有効成分としての、C2orf18に対する二本鎖分子をコードするベクターの薬学的有効量、および薬学的に許容される担体を含む、癌を治療または予防するための組成物。
【請求項26】
上記癌が膵臓癌である、請求項22または25記載の組成物。
【請求項27】
センス鎖およびアンチセンス鎖を含む二本鎖分子であって、該センス鎖が、SEQ ID NO: 7または8からなる標的配列に対応するヌクレオチド配列を含み、かつ該アンチセンス鎖が、該センス鎖に相補的であるヌクレオチド配列を含み、該センス鎖および該アンチセンス鎖が互いにハイブリダイズして二本鎖分子を形成し、かつ該二本鎖分子が、C2orf18遺伝子を発現する細胞中に導入された場合に該遺伝子の発現を阻害する、二本鎖分子。
【請求項28】
上記センス鎖が約19〜約25ヌクレオチド長である、請求項27記載の二本鎖分子。
【請求項29】
一本鎖ヌクレオチド配列を介して連結された上記センス鎖および上記アンチセンス鎖を含む単一のヌクレオチド転写物である、請求項28記載の二本鎖分子。
【請求項30】
一般式
5’−[A]−[B]−[A’]−3’
を有する、請求項29記載の二本鎖分子:
式中、[A]はSEQ ID NO: 7または8からなるヌクレオチド配列であり、[B]は約3〜約23個のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列であり、[A’]は[A]に相補的なヌクレオチド配列である。
【請求項31】
センス鎖核酸およびアンチセンス鎖核酸を含むポリヌクレオチドの組合せの一方または両方を含むベクターであって、該センス鎖核酸はSEQ ID NO: 7または8のヌクレオチド配列を含み、該アンチセンス鎖核酸は該センス鎖に相補的な配列を含み、該センス鎖および該アンチセンス鎖の転写物が互いにハイブリダイズして二本鎖分子を形成し、かつ該ベクターが、C2orf18遺伝子を発現する細胞中に導入された場合に細胞増殖を阻害する、ベクター。
【請求項32】
センス鎖核酸およびアンチセンス鎖核酸を含むポリヌクレオチドの組合せのそれぞれを含むベクターであって、該センス鎖核酸がSEQ ID NO: 7または8のヌクレオチド配列を含み、該アンチセンス鎖核酸が該センス鎖に相補的な配列を含み、該センス鎖および該アンチセンス鎖の転写物が互いにハイブリダイズして二本鎖分子を形成し、かつ該ベクターが、C2orf18遺伝子を発現する細胞中に導入された場合に細胞増殖を阻害する、ベクター。
【請求項33】
上記転写物がさらに該センス鎖と該アンチセンス鎖を連結する一本鎖ヌクレオチド配列を含む、請求項31記載のベクター。
【請求項34】
上記ポリヌクレオチドが一般式
5’−[A]−[B]−[A’]−3’
を有する、請求項33記載のベクター:
式中、[A]はSEQ ID NO: 7または8からなるヌクレオチド配列であり、[B]は約3〜約23個のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列であり、[A’]は[A]に相補的なヌクレオチド配列である。
【請求項35】
C2orf18タンパク質に結合する、抗体。
【請求項36】
アミノ酸配列CRAAGQSDSSVDPQQPF(SEQ ID NO: 5)および/またはAEESEQERLLGGTRTPINDAS(SEQ ID NO: 6)からなるC2orf18エピトープを認識する、請求項35記載の抗体。
【請求項37】
請求項35記載の抗体を含む、対象において癌を検出するための薬剤。

【公表番号】特表2011−518541(P2011−518541A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536258(P2010−536258)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【国際出願番号】PCT/JP2009/001057
【国際公開番号】WO2009/113295
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(502240113)オンコセラピー・サイエンス株式会社 (142)
【Fターム(参考)】