説明

癌治療用組成物及び癌治療方法

本発明は式I:
【化1】


(式中、Xはニトロ基、イミダゾール基、ハライド基、スルホネート基、カルボキシレート基、アルコキシド基及びアミンオキシド基からなる群から選択され、RはOR’、N(R’’)、C(O)R’’’、C1〜C6アルキル基、C6〜C12アリール基、C1〜C6ヘテロアルキル基、C6〜C12ヘテロアリール基、H及びアルカリ金属からなる群から選択され、ここにおいてR’はH、アルカリ金属、C1〜C6アルキル基、C6〜C12アリール基又はC(O)R’’’を表わし、R’’はH、C1〜C6アルキル基又はC6〜C12アリール基を表わし、R’’’は H、C1〜C20アルキル基又はC6〜C12アリール基を表わす)で表わされる構造を有する細胞エネルギー阻害剤を含む抗癌組成物、及び関連する方法を開示する。本抗癌組成物は少なくとも一種の糖類であって、細胞エネルギー阻害剤の加水分解を実質的に防ぐことにより該阻害剤を安定化する糖類を含むことができる。また、本抗癌組成物は解糖阻害剤を含むことができる。更に本抗癌組成物は、生物学的バッファーであって、細胞エネルギー阻害剤を少なくとも部分的に脱酸し且つ細胞エネルギー阻害剤の代謝副生成物を中和するのに十分な量存在する生物学的バッファーを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照及び優先権の主張
本願は2007年2月14日出願の米国出願第11/706,868号の一部継続出願であり、且つ2009年1月29日出願の米国特許仮出願第61/148,385号の優先権を主張するものである。両明細書の全体を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【背景技術】
【0002】
米国では毎年何十万人もの成人男女や子供が何らかの癌に罹っている。世界的には何百万人もが癌で死亡し、その癌としては骨や膀胱、血液(白血病)、脳、乳、結腸、子宮頚部、食道、腸、腎臓、肝臓、肺、口内、鼻、神経、卵巣、膵臓、前立腺、皮膚、胃、睾丸、咽頭、甲状腺、子宮、膣の各癌が挙げられる。
【0003】
放射線療法と化学療法を含む数多くの癌の治療方法が長年に亘り行われている。これらの治療法が目指すところは主に癌細胞全てを死滅させることである。しかしながら、癌細胞の死滅と同時に多くの健全細胞も必ず死滅してしまい、治療を行った結果、患者が死に至ることになる。今日においても、より慎重且つ定量的な放射線療法と化学療法を行っても、患者によっては状態が悪化したり、更には死に至ることもある。また、癌の種類によっては悪性細胞の治療が未だに難しいものもある。
【0004】
従って、医学分野では現在も種々の癌対する治療を含む研究開発が精力的に続けられている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】ジェナーロ A.レミントン: 製薬の化学と実際(19版、1995)
【非特許文献2】カーティス L.マイナート&スーザントナシカ、クリニカルトライアルズ:設計、実践、分析、疫学と生物統計学モノグラフ、8号(1986)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、抗癌組成物であって、種々の癌に対して有効であり、ヒトへの使用に安全であり、従来の癌治療に伴う薬物有害事象を回避するか、少なくともそれを最小とする抗癌組成物を開発することが有益であろうことを認識するに至った。
【0007】
即ち、本発明は一般に、式I:
【0008】
【化1】

【0009】
(式中、Xはニトロ基、イミダゾール基、ハライド基、スルホネート基、カルボキシレート基、アルコキシド基及びアミンオキシド基からなる群から選択され、RはOR’、N(R’’)、C(O)R’’’、C1〜C6アルキル基、C6〜C12アリール基、C1〜C6ヘテロアルキル基、C6〜C12ヘテロアリール基、H及びアルカリ金属からなる群から選択され、ここにおいてR’はH、アルカリ金属、C1〜C6アルキル基、C6〜C12アリール基又はC(O)R’’’を表わし、R’’はH、C1〜C6アルキル基又はC6〜C12アリール基を表わし、R’’’は H、C1〜C20アルキル基又はC6〜C12アリール基を表わす)で表わされる構造を有する細胞エネルギー阻害剤を含む抗癌組成物に関する。更に、本抗癌組成物は少なくとも一種の糖類であって、細胞エネルギー阻害剤の加水分解を実質的に防ぐことにより該阻害剤を安定化する糖類を含むことができる。本抗癌組成物は解糖阻害剤を更に含むことができる。また、本抗癌組成物は、生物学的バッファーであって、細胞エネルギー阻害剤を少なくとも部分的に脱酸し且つ細胞エネルギー阻害剤の代謝副生成物を中和するのに十分な量存在する生物学的バッファーを含むことができる。
【0010】
一実施形態において、癌の治療方法は、本明細書に記載の抗癌組成物のいずれかを治療有効量被験者に投与することを含むことができる。
【0011】
他の実施形態において、式(I)で表わされる細胞エネルギー阻害剤を投与される被験者に対する該細胞エネルギー阻害剤の毒性を最小とするための方法は、前記被験者において細胞エネルギー阻害剤と、細胞エネルギー阻害剤を少なくとも部分的に脱酸し、且つ前記細胞エネルギー阻害剤の化学反応及び/又は細胞代謝の結果生成する細胞エネルギー阻害剤の代謝副生成物を中和するのに十分な量存在する生物学的バッファーとを組み合わせることを含むことができる。
【0012】
更に他の実施形態において、本明細書に記載の抗癌組成物のいずれかを被験者に投与することに伴う薬物有害事象を最小とするための方法は、被験者の血中インスリン/グルカゴン比が約1〜約10の範囲にあるときに前記抗癌組成物を前記被験者に投与することを含むことができる。
【0013】
更に他の実施形態において、被験者における本明細書に記載の抗癌組成物のいずれかの殺傷効力を評価するための方法は、
前記抗癌組成物の投与に先立ち、被験者の乳酸レベルを測定することと、
前記抗癌組成物を被験者に投与することと、
前記抗癌組成物の投与後に、記被験者の乳酸レベルを測定することと、
乳酸レベルの差を治療時間の関数として測定及び/又は関連付けすることにより殺傷効力を決定することと、を含むことができる。
本発明の更なる特徴と利点は、本発明の特徴を実施例により説明する添付の図面と関連する、次の詳細な説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に従う癌細胞エネルギー産生スキーム。
【図2】本発明の一実施形態に従う、3−ブロモピルベートで治療された癌細胞の一連の写真。
【図3】本発明の一実施形態に従う、マイクロモルオーダーの各種抗癌剤に対する肝細胞癌の細胞生存率のプロット。
【図4】本発明の一実施形態に従う、転移腫瘍を有する肺の一連の写真で、3−ブロモピルベート治療無し(図4(a))の様子と、治療有り(図4(b))の様子。
【発明を実施するための形態】
【0015】
例示的な実施形態と、その中で説明のために使用される特定用語について解説する。これら実施形態は本発明の範囲を限定するものとは解釈されない。
【0016】
本発明を開示説明するにあたり、本開示は、本明細書に開示される特定プロセスの段階及び材料に限定されないと解釈されたい。これはこの種のプロセスの段階及び材料は幾分変更され得るからである。更に、本明細書で用いる用語は特定の実施形態を説明するためのみに使用されると解釈されたい。本開示の範囲は添付の請求項とその均等物によってのみ限定されるものであり、これら用語によって本開示の範囲を限定することを意図するものでない。
【0017】
本明細書及び添付の請求項において、単数形の冠詞(a、an、the)は、文脈上明らかに単数を意味しない限り複数概念を含むことに注意されたい。
【0018】
本発明の組成物は、医薬的に許容される担体及び特定の投与製剤に特に必要とされる他の成分を含むことができる。このような成分は当業界でよく知られている。例えば、ジェナーロ A.レミントン: 製薬の化学と実際(19版、1995)を参照されたい。この文献の全体を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0019】
本明細書において「投与」及び「投与する」とは、薬剤を被験者に存在させる方法を意味する。投与は、経口、栄養摂取、非経口、経皮、吸入、インプランテーション等、当業界で公知の経路で行うことができる。経口投与は、薬剤を含む経口製剤を飲む、嚥下する、噛む、吸うことにより行うことができる。非経口投与は、薬剤組成物を経静脈注射、経動脈注射、筋内注射、髄腔内注射、皮下注射等により行うことができる。経皮投与は、経皮用製剤を皮膚に塗布、ペースト、ローリング、アタッチ、流延、プレス、軽擦等をすることにより行うことができる。これらの方法及び追加的な方法は当業界においてよく知られている。
【0020】
本明細書において「非経口投与」とは、薬剤組成物を固体・液体の経口製剤としては提供しない投与方法のいずれかを表わす。このような固体・液体の経口製剤は従来から、実質的に薬剤を口及び/又は口腔を越えて消化管に放出又は送達することが意図されたものである。このような固体剤形としては錠剤、カプセル剤、カプレット剤等があり、口又は口腔においては実質的に薬剤を放出しないものである。
【0021】
液剤、懸濁剤、乳化剤等、多くの液体経口製剤、更には固体経口製剤の一部は、嚥下の際に口又は口腔において薬剤の一部を放出することもあることが理解される。しかしながら、これらの口又は口腔通過時間は非常に短いため、口又は口腔におけるこれら製剤からの薬剤放出は、顕在化しない限り最小限か実質的にないと考えられる。従って、薬剤を口内で放出するよう設計されている口腔パッチ、粘着フィルム、舌下錠、ロゼンジは、本発明の目的の非経口投与組成物である。
【0022】
更に、「非経口」とは非経口、経皮、吸入、インプランテーション、経膣、経直腸の製剤・投与を含むと理解される。また、インプラント製剤は、インプランテーションの部位にかかわらず「非経口」に含まれる。特に、インプラントされ消化管に留まるよう特別に設計されたインプラント製剤が知られている。このようなインプラントも非経口送達製剤と考えれれるため、用語「非経口」に含まれる。
【0023】
本明細書において「被験者」とは、本発明に係る薬剤組成物の投与又は方法による利益を得ることができる哺乳類を意味する。被験者の例としては、ヒト及びウマやブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、ウサギ、げっ歯類、霊長類、水性動物等、他の動物が挙げられる。ある実施形態において、被験者とはヒトを意味する。
【0024】
本明細書において「有効量」、「治療有効量」又はこれらの類似表現は、ある状態の治療において治療効果を達成するための薬剤の非毒性であり十分な量を意味し、「ある状態」とは前記薬剤が有効であることが知られているか、或いは本明細書に開示するように前記薬剤が有効であることが既に見出されている状態である。意図した作用を遂行するために送達された物質の能力や、治療結果を達成するために必要な薬剤量に、種々の生物学的因子が影響を及ぼす可能性がある。従って、「有効量」又は「治療有効量」はこのような生物学的因子に依存し得る。「有効量」又は「治療有効量」は、当業界で知られている技術及び本開示を基に、医薬業界ではよく知られている。例えば、カーティス L.マイナート&スーザントナシカ、クリニカルトライアルズ:設計、実践、分析、疫学と生物統計学モノグラフ、8号(1986)を参照されたい。
【0025】
本明細書において「薬剤」、「有効剤」、「バイオアクティブ剤」、「医薬的有効剤」、「治療的有効剤」及び「医薬」とは、相互に交換可能に、有意量又は有効量を被験者に投与した際に測定可能な特定の選択された生理活性を示す剤又は物質を意味する。多くの薬剤やプロドラッグは特定の生理活性を示すことが知られているので、「薬剤」という用語は明確にこの定義に包含されると理解される。これら用語は医薬分野でよく知られている。また、これら用語が使用される場合、又は特定の有効剤の名称とカテゴリーが特定化される場合、このような表現は、有効剤それ自身及び医薬的に許容される塩、又はこれらに関連の深い化合物を含むように意図されると理解される。関連の深い化合物にはプロドラッグ、活性代謝物質、異性体等があるが、これらに限定されない。
【0026】
本明細書において「細胞エネルギー阻害剤」とは、癌細胞の解糖及びミトコンドリア機能を阻害する化合物を意味する。
【0027】
本明細書において「解糖阻害剤」とは、癌細胞における解糖を阻害、低減又は停止する化合物を意味する。
【0028】
本明細書において「ミトコンドリア阻害剤」とは、癌細胞におけるミトコンドリア機能を阻害、低減又は停止する化合物を意味する。
【0029】
本明細書において「剤形」、「製剤」及び「組成物」は相互に交換可能に使用され、二種以上の化合物、元素又は分子の混合物を意味する。幾つかの様相においては、「剤形」、「製剤」及び「組成物」は、一種以上の有効剤と担体又は他の賦形剤との混合物を意味することができる。
【0030】
本明細書において「担体」又は「医薬的に許容される担体」は、薬剤がそれと結合することによって被験者への送達用の特定な剤形を形成する物質を意味する。本発明の幾つかの様相において、使用される担体はドラッグデリバリーを向上させてもよいが、させなくてもよい。一般原理として、薬剤が担体から遊離されるまでに治療効果が発揮されることを防ぐために担体が薬剤と反応し得る場合を除き、薬剤を実質的に分解するような挙動、或いは薬剤に悪影響を及ぼすような挙動では、担体は薬剤と反応しない。更に、担体又は少なくともその一部は、薬剤と共に被験者に投与するのに適切でなければならない。
【0031】
本明細書において「放出」、「放出速度」、「溶解」、「溶解速度」は相互に交換可能に使用されて、物質の放出又は遊離を意味する。これには、インビトロ又はインビボのいずれかにおいて剤形から水性媒体等の周囲環境に薬剤が放出されることが含まれるが、これに限定されない。
【0032】
本明細書において「制御放出」、「徐放出」、「調整放出」、「遅延放出」、「延長放出」及び「非即時放出」は相互に交換可能に使用されて、即時放出(IR)製剤を含む等価な剤に比べ少なくとも5%遅い時間をかけて有効剤が剤形から目的環境又は媒体に放出されることを意味する。一実施形態においては、「制御放出」、「徐放出」、「調整放出」、「遅延放出」、「延長放出」及び「非即時放出」の各システム又は組成物は、即時放出(IR)製剤を含む等価な剤に比べ少なくとも10wt%遅い時間をかけて有効剤が剤形から目的環境又は媒体に放出される。
【0033】
本明細書において「放出調整剤」、「放出調節剤」及び「放出モディファイヤー」は相互に交換可能に使用されて、水性の使用環境に曝された場合の組成物又は剤形の少なくとも一種の内容物の放出速度を変更、増加、減少、更にはカスタマイズすることができる医薬的に許容される剤又はデバイスを意味する。
【0034】
本明細書において「混和される」とは、組成物の二種以上の成分が互いに部分的に或いは完全に、混合、分散、懸濁、溶解、乳化されることを意味する。幾つかの場合、薬剤の少なくとも一部が一種以上の担体物質と混和されることができる。
【0035】
本明細書において「薬物有害事象」とは、被験者において薬剤の使用に伴う有害なイベントのいずれかを意味し、これには、医療行為における医薬品の使用中に起こる有害イベント、事故又は故意による薬剤の過量使用から起こる有害イベント、薬剤の乱用から起こる有害イベント、投薬中止により起こる有害イベント及び期待される薬理学的作用の不足が含まれる。薬物有害事象は、ヒトの正常な生活機能を行う能力を実質的に破壊してしまうこともある。幾つかの場合、薬物有害事象は重大であるか、又は生命を脅かすことにもなろう。
【0036】
予期できる薬物有害事象がある反面、場合によってはこのような薬物有害事象が予期されないこともある。「予期されない」とは、これまでに権威ある政府機関(米国のFDA等)のリストに登載されていないか、及び/又は薬品のラベルに現在書かれていない薬物有害事象を意味する。
【0037】
予期されない有害事象は、症状的且つ病理生理学的には公知のイベントと関連し得るイベントではあるが、重度と特異性が高いため公知イベントとは異なるイベントを含むことができる。例えば、この定義によれば、公知のイベントが肝臓酵素上昇又は肝炎である場合、肝臓壊死は予期されないであろう(重度が高いことにより)。同様に、公知のイベントが脳血管障害である場合、脳血栓塞栓症及び脳血管炎は予期されないであろう(高特異性により)。薬物有害事象についての更に包括的な定義と説明については、その全体を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する21C.F.R.§314.80を参照されたい。
【0038】
本明細書において「実質的に」又は「実質的」とは、作用、特性、性質、状態、構造、項目又は結果の程度が完全又はほぼ完全であることを意味する。例えば「実質的に」封入された物体とは、その物体が完全封入されているか、又はほぼ完全封入されていることを意味する。絶対的な完全さからの乖離の正確な許容度は、場合によっては特定のコンテキストに依存するであろう。しかしながら、一般に、完全に近いということは、あたかも絶対的・全体的な完全さが得られたかのごとく、総合的にこれと同様の結果を得ることであるといえよう。「実質的に」はネガティブな意味の場合にも同様に使用され、作用、特性、性質、状態、構造、項目又は結果の完全な欠除又はほぼ完全な欠除を意味する。例えば、「実質的に粒子を含まない」とは、完全に粒子がない状態か、殆ど完全といえる程粒子がない状態であるために、完全に粒子がないのと同様の効果が得られることを意味するであろう。言い換えれば、「実質的に成分又は要素を含まない組成物」は、測定しうる影響がない限りこの種の物を含むことができる。特に断らない限り、「実質的に」加水分解を防ぐという記載は、糖類が細胞エネルギー阻害剤を少なくとも1時間安定化する能力、即ちその間50%以上の細胞エネルギー阻害剤が加水分解しないような能力を意味する。
【0039】
本明細書における用語「約」は、ある値が端点より「やや上」又は「やや下」であってもよいように、数値範囲の端点に幅を持たせる目的で使用される。本明細書において、複数のアイテム、構造要素、組成要素及び/又は材料は便宜上単一の共通概念リストとして呈示される場合がある。しかしながら、これらリストは、リスト中の各要素が個々に識別されるものと解釈されなければならない。従って、このようなリストの各要素は、特段の記載のない限り、同一の群に存在するからという理由で同リスト中の他のいずれかの要素と事実上均等物であると解釈されるべきではない。
【0040】
本明細書において、複数のアイテム、構造要素、組成要素及び/又は材料は便宜上単一の共通概念リストとして呈示される場合がある。しかしながら、これらリストは、リスト中の各要素が個々に識別されるものと解釈されなければならない。従って、このようなリストの各要素は、特段の記載のない限り、同一の群に存在するからという理由で同リスト中の他のいずれかの要素と事実上均等物であると解釈されるべきではない。
【0041】
本明細書において、濃度、量、レベル及び他の数値データを範囲(レンジ)形式で表わすことができる。このような数値範囲形式は簡便さと簡略さのためにのみ使用される。従って、数値範囲の上限下限として明確に記載された数値だけでなく、この範囲に入る全ての個々の数値又はサブレンジが、あたかもそれぞれの数値やサブレンジが明確に記載されているがごとく、含まれるようにフレキシブルに解釈すべきである。一例を挙げると、数値範囲「約1〜約5」は、明示された約1〜約5の数値だけでなく、この範囲に入る個々の数値及びサブレンジも含むと解釈されるべきである。このように、2、3.5、4等の個々の数値、1〜3、2〜4、3〜5等のサブレンジ、更に1、2、3、4、5のそれぞれがこの範囲に含まれる。これと同様の原理は最小値か最大値だけを記載する範囲にも適用される。更に、この解釈は範囲の幅又は記載される特性に係わらず適用すべきである。
【0042】
例えば、濃度範囲0.5〜15mMは、明示された濃度の上限下限の0.5mMと15mMだけでなく、この範囲に入る0.5mM、0.7mM、1.0mM、5.2mM、11.6mM、14.2mM等の個々の濃度及び0.5〜2.5mM、4.8〜7.2mM、6〜14.9mM等のサブレンジも含むと解釈されるべきである。更に、この解釈は範囲の幅又は記載される特性に係わらず適用すべきである。
【0043】
本発明者は、従来の抗癌組成物及び治療に代わるものを、癌細胞のエネルギー産生を標的とすることにより達成できることを認識した。いかなる特定の理論に縛られることを望むものではないが、本発明者はある細胞エネルギー阻害剤が癌治療に使用できることを見出した。一般に、細胞には二種のエネルギー(ATP)産生工場が存在する。即ち、解糖とミトコンドリアによる酸化的リン酸化である。正常細胞においては全細胞エネルギー(ATP)産生の約5%が解糖に由来し、約95%がミトコンドリアに由来する。癌細胞においては解糖によるエネルギー産生が顕著に増加(60%まで)する。癌細胞における劇的な解糖の亢進により、乳酸の生産が著しく増加する。
【0044】
多くの癌(>90%)は共通の代謝表現形を示す。これは「ワールブルグ効果」と呼ばれ、酸素の存在下であっても癌細胞は顕著な解糖の亢進を示す。臨床的に最も利用される癌検出方法、即ち陽電子放射断層撮影(PET)はこの代謝表現形に基づいている。「ワールブルグ効果」を示す癌細胞は、生産された乳酸をトランスポーター(即ち、モノカルボキシレート輸送アイソフォーム)を経由して排出する。癌細胞におけるこれらトランスポーター(ドア又はゲートと考えられる)は正常細胞よりもはるかに多い。
【0045】
本明細書に開示される細胞エネルギー阻害剤は、図1に3−ブロモピルベート(3BP)(乳酸類似体)として表わされ、低分子化学物質であり、乳酸の化学構造を模倣することができる(図1において小菱形で示す)。従って、乳酸を模倣する細胞エネルギー阻害剤は癌細胞を騙し、トロイの木馬のように細胞に侵入する(図1)。正常細胞には乳酸トランスポーターが非常に少ないため、この阻害剤は正常細胞には僅かな影響しか及ぼさない。本発明の細胞エネルギー阻害剤の反応性は非常に高いので、二種のエネルギー産生工場を破壊することができる(図1;ヘキソキナーゼ(HK)上の一菱形(3BPで表わされる)は一エネルギー産生工場(即ち、解糖)を破壊し、ミトコンドリア内の他の赤菱形は、3BPがこのエネルギー産生工場も破壊することを示す)。この結果、細胞エネルギー阻害剤によって細胞エネルギー(ATP)は急速に欠乏し(図1の3BP)、二工場を同時に攻撃して迅速に癌細胞を破壊させる(細胞膜破壊)。図2にこの例を示す。図2は3BPで処置した肝臓癌細胞を示す。健常癌細胞は丸く玉虫色を呈する(写真左)。しかし3BPで処置すると、細胞膜が破壊され(写真中)、死に至る(写真右、細胞の残骸参照)。
【0046】
従って、本開示により本発明の抗癌組成物の安全な投与と使用が可能となる。本組成物は式I:
【0047】
【化2】

【0048】
(式中、Xはニトロ基、イミダゾール基、ハライド基、スルホネート基、カルボキシレート基、アルコキシド基及びアミンオキシド基からなる群から選択され、RはOR’、N(R’’)、C(O)R’’’、C1〜C6アルキル基、C6〜C12アリール基、C1〜C6ヘテロアルキル基、C6〜C12ヘテロアリール基、H及びアルカリ金属からなる群から選択され、ここにおいてR’はH、アルカリ金属、C1〜C6アルキル基、C6〜C12アリール基又はC(O)R’’’を表わし、R’’はH、C1〜C6アルキル基又はC6〜C12アリール基を表わし、R’’’は H、C1〜C20アルキル基又はC6〜C12アリール基を表わす)で表わされる構造を有する細胞エネルギー阻害剤を含む。更に、本抗癌組成物は少なくとも一種の糖類であって、細胞エネルギー阻害剤の加水分解を実質的に防ぐことにより該阻害剤を安定化する糖類を含むことができる。本抗癌組成物は解糖阻害剤を更に含むことができる。また、本抗癌組成物は、生物学的バッファーであって、細胞エネルギー阻害剤を少なくとも部分的に脱酸し且つ細胞エネルギー阻害剤の代謝副生成物を中和するのに十分な量存在する生物学的バッファーを含むことができる。
【0049】
本発明者は癌治療を可能とする安全且つ効果的な組成物を提供する必要性を認識した。既に述べたように、本細胞エネルギー阻害剤は少なくとも一種の糖類を使用することにより安定化でき、この糖類は実質的に細胞エネルギー阻害剤の加水分解を防ぐように使用される。このように、本糖類は細胞エネルギー阻害剤を1時間以上、少なくとも50%の阻害剤が加水分解しないように安定化することができる。他の実施形態においては、一種以上の糖類は細胞エネルギー阻害剤を1時間以上、少なくとも95%の阻害剤が加水分解しないように安定化することができる。更に他の実施形態においては、一種以上の糖類は細胞エネルギー阻害剤を2時間以上、少なくとも95%の阻害剤が加水分解しないように安定化することができる。
【0050】
本明細書に開示される抗癌組成物は一般に式(I)で表わされる化合物を含む。一実施形態においては、式(I)のRはOHであることができ、式(I)のXはニトロ基、イミダゾール基、ハライド基、スルホネート基、カルボキシレート基、アルコキシド基及びアミンオキシド基からなる群から選択することができる。更に、Xはフルオライド基、ブロマイド基、クロライド基、アイオダイド基からなる群から選択するハライド基であることができる。一実施形態においては、Xはトリフレート基、メシレート基、トシレート基からなる群から選択されるスルホネート基であることができる。他の実施形態においては、Xはアミンオキシド基であることができる。更に他の実施形態においては、アミンオキシド基はジメチルアミンオキシド基であることができる。
【0051】
一実施形態においては、細胞エネルギー阻害剤は3−ハロピルベートであることができ、3−フルオロピルベート、3−クロロピルベート、3−ブロモピルベート、3−ヨードピルベート及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。本抗癌組成物は細胞エネルギー阻害剤を濃度約0.1mM〜約25.0mMで含むことができる。一実施形態においては、本抗癌組成物は細胞エネルギー阻害剤を濃度約1.0mM〜約10.0mMで含むことができる。
【0052】
本抗癌組成物は一般に少なくとも一種の糖類を含む。一実施形態においては、本抗癌組成物は第二の糖類等他の糖類を含むことができる。他の実施形態においては、本抗癌組成物は第三の糖類を含むことができる。少なくとも一種の糖類は五炭糖であることができる。一実施形態おいて、少なくとも二種の糖類は五炭糖であることができる。五炭糖は、マンニトール、エリスリトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、ズルシトール、リビトール、イノシトール、ソルビトール及びこれらの組み合わせからなる群からそれぞれ選択することができる。一実施形態においては、少なくとも一種の糖類はグリセロールであることができる。他の実施形態においては、糖類はグリセロール、イノシトール及びソルビトールであることができる。本抗癌組成物はグリセロールを約0.1wt%〜約3wt%、イノシトールを約1wt%〜約5wt%、ソルビトールを約30wt%〜約50wt%の各範囲で含むことができる。更に、各糖類は、製剤又は組成物におけるその糖の最大溶解度となるまでの体積で添加することができる。
【0053】
一実施形態においては、本抗癌組成物は少なくとも一種の糖類を濃度約0.1mM〜約250mMで含むことができる。他の実施形態においては、本抗癌組成物は少なくとも一種の糖類を濃度約0.5mM〜約25mMで含むことができる。
【0054】
本抗癌組成物は一般に解糖阻害剤を含むことができる。一実施形態において解糖阻害剤は2−デオキシグルコースであることができる。本抗癌組成物は解糖阻害剤を濃度約0.1mM〜約25.0mMで含むことができる。一実施形態においては、本抗癌組成物は解糖阻害剤を濃度約0.1mM〜約5mMで含むことができる。
【0055】
本抗癌組成物は一般に生物学的バッファーであって、細胞エネルギー阻害剤を少なくとも部分的に脱酸し且つ細胞エネルギー阻害剤の代謝副生成物を中和するのに十分な量存在する生物学的バッファーを含むことができる。一実施形態においては、生物学的バッファーはシトレートバッファー、ホスフェートバッファー及びアセテートバッファーからなる群から選択することができる。他の実施形態においては、生物学的バッファーはシトレートバッファーであることができる。更に他の実施形態においては、生物学的バッファーはクエン酸ナトリウムであることができる。
【0056】
前述のように、本細胞エネルギー阻害剤は癌細胞に送達され、癌細胞に吸収される。代謝の後、細胞エネルギー阻害剤は副生成物を生じ得る。一実施形態においては、この副生成物はハロゲン化水素である。更に、ハロゲン化水素は臭化水素又はヨウ化水素であることができる。一実施形態においては、ハロゲン化水素は臭化水素である。
【0057】
本抗癌組成物は生物学的バッファーを濃度約0.1mM〜約200mMで含むことができる。一実施形態においては、本抗癌組成物は生物学的バッファーを濃度約1mM〜約20mMで含むことができる。更に、本生物学的バッファーは生理的pHを4.0〜8.5に維持することができる。一実施形態においては、本生物学的バッファーは生理的pHを5.5〜8.0に維持することができる。他の実施形態においては、本生物学的バッファーは生理的pHを6.8〜7.8に維持することができる。更に他の実施形態においては、本生物学的バッファーは生理的pHを7.3〜7.6に維持することができる。
【0058】
上述の成分に加え、本明細書に記載の抗癌組成物は、細胞エネルギー阻害剤から分離されるハロモノカルボキシレート化合物を更に含むことができる。ハロモノカルボキシレート化合物が解糖及びミトコンドリア機能を阻害する機能を有する場合、このハロモノカルボキシレートは第二の細胞エネルギー阻害剤と考えられる。一実施形態においては、ハロモノカルボキシレート化合物は、C2ハロモノカルボキシレート化合物であることができる。このC2ハロモノカルボキシレート化合物は、2−フルオロアセテート、2−クロロアセテート、2−ブロモアセテート、2−ヨードアセテート及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。一実施形態においては、このC2ハロモノカルボキシレート化合物は2−ブロモアセテートであることができる。本抗癌組成物はC2ハロモノカルボキシレート化合物を濃度約0.01mM〜約5.0mMで含むことができる。一実施形態においては、本抗癌組成物C2ハロモノカルボキシレート化合物を濃度約0.1mM〜約0.5mMで含むことができる。
【0059】
更に、ハロモノカルボキシレート化合物はC3ハロモノカルボキシレート化合物であることができる。一実施形態においては、このC3ハロモノカルボキシレート化合物は3−フルオロラクテート、3−クロロラクテート、3−ブロモラクテート、3−ヨードラクテート及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。本抗癌組成物はC3ハロモノカルボキシレート化合物を濃度約0.5mM〜約250mMで含むことができる。一実施形態においては、本抗癌組成物C3ハロモノカルボキシレート化合物を濃度約10mM〜約50mMで含むことができる。
【0060】
本明細書に記載の抗癌組成物は、抗真菌剤及び/又は抗菌剤を更に含むことができる。一実施形態においては、本抗癌組成物は抗真菌剤及び/又は抗菌剤をそれぞれ濃度約0.01mM〜約5.0mMで含むことができる。他の実施形態においては、本抗癌組成物は抗真菌剤及び/又は抗菌剤をそれぞれ濃度約0.05mM〜約0.5mMで含むことができる。
【0061】
本明細書に記載の抗癌組成物は、細胞エネルギー阻害剤に加えミトコンドリア阻害剤を更に含むことができる。ミトコンドリア阻害剤はオリゴマイシン、エフラペプチン、アウロベルチン及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。一実施形態においては、本抗癌組成物はミトコンドリア阻害剤を濃度約0.001mM〜約5.0mMで含むことができる。他の実施形態においては、本抗癌組成物はミトコンドリア阻害剤を濃度約0.01mM〜約0.5mMで含むことができる。
【0062】
上述の諸濃度以外にも、本抗癌組成物の上述の各成分の濃度は種々変化させることができる。一実施形態においては、本細胞エネルギー阻害剤と生物学的バッファーを比1:1〜1:5(mM)の範囲で存在させることができる。他の実施形態においては、本細胞エネルギー阻害剤と解糖阻害剤を比5:1〜1:1(mM)の範囲で存在させることができる。更に他の実施形態においては、本細胞エネルギー阻害剤と少なくとも一種の糖類を比1:1〜1:5(mM)の範囲で存在させることができる。更に他の実施形態においては、本細胞エネルギー阻害剤とC2ハロモノカルボキシレート化合物を比20:1〜4:1(mM)の範囲で存在させることができる。更に他の実施形態においては、本細胞エネルギー阻害剤とミトコンドリア阻害剤を比20:1〜40:1(mM)の範囲で存在させることができる。
【0063】
上述のように、本抗癌組成物は抗真菌剤、抗菌剤、解糖阻害剤、ミトコンドリア阻害剤、糖類及び生物学的バッファーを含むことができる。このような剤の例としてはアンフォテリシンB、エフラペプチン、ドキソルビシン、2−デオキシグルコース(2DOG)、2DOG類似体、ジクロロ酢酸(又はジクロロアセテート塩)、オリゴマイシン、オリゴマイシン類似体、グリセロール、イノシトール、ソルビトール、グリコール、エリスリトール、スレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、マンニトール、ズルシトール、イディトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトール、ポリグリシトール、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ピルビン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、オキザロアセテート、イソシトレート、アコニテート、スクシネート、フマレート、マレート、種々のNaCl濃度の食塩水及び水が挙げられるが、これらに限定されない。ナトリウムイオン以外にも、生物学的バッファーはカルシウムイオン及びカリウムイオンを含むことができる。本抗癌組成物の有効剤は細胞エネルギー阻害剤、解糖阻害剤、ミトコンドリア阻害剤、ハロモノカルボキシレート化合物、抗真菌剤及び抗菌剤を含むことができる。
【0064】
上述の有効剤に加え、本組成物は医薬的に許容される担体も含むことができる。この担体は単一組成であってもよく、混合組成であってもよい。更に、この担体はカプセルコーティング、吸収剤、コーティング剤、制御放出装置、放出調整剤、界面活性剤又はこれらの組み合わせの形態をとることができる。幾つかの様相においては、担体は組成物全体に対して約1wt%〜約99wt%含まれることができる。一実施形態においては、担体は組成物全体に対して約5wt%〜約95wt%含まれることができる。他の実施形態においては、担体は組成物全体に対して約20wt%〜約80wt%含まれることができる。更に他の実施形態においては、担体は組成物全体に対して約30wt%〜約60wt%含まれることができる。一実施形態においては、担体は有効剤と混和させることができる。他の実施形態においては、担体は少なくとも有効剤の一部を吸収、捕捉又はカプセル化することができる。
【0065】
少なくとも担体の一部として使用できる化合物の例としては、セチルアルコール及びそのエステル;ステアリン酸及びそのグリセロールエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリエチレングリコール;ポリグリコール化グリセリド;ポリオキシエチレンアルキルフェノール;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;ポリグリセロール脂肪酸エステル;タンパク質;ポリオキシエチレングリセリド;ポリオキシエチレンステロール、誘導体及びこれらの類似体;ポリオキシエチレン水添植物油;ポリオールと脂肪酸、グリセリド、植物油、水添植物油及びステロールからなる群から選択される少なくとも一種との反応混合物;トコフェロール誘導体;糖類エステル;糖類エーテル;スクログリセリド;ワックス、シェラック;及び医薬的に許容されるこれらの塩及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
放出調整剤の例としては、重量平均分子量約1000以上のポリエチレングリコール、カルボマー、メチルメタクリレートコポリマー、メタクリレートコポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテートフタレート、エチルセルロース、メチルセルロース及びこれらの誘導体;イオン交換樹脂;脂肪酸のグリセリンモノエステル、ジエステル、トリエステル;トコフェロール及びそのエステル;脂肪酸スクロースエステル;ポリビニルピロリドン;キサンタンガム;セチルアルコール;ワックス;油脂、タンパク質、アルギネート、ポリビニルポリマー、ゼラチン、有機酸及びこれらの誘導体及び組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
一実施形態においては、担体は少なくとも一種のセルロース;カルボマー;メタクリレート;デキストリン;ガム;無機カーボネート又はカルシウム塩及び/又はマグネシウム塩;脂肪酸エステル;ゼラチン;ラクトース;マルトース;モノグリセライド、ジグリセライド、又は、トリグリセライド;油類;ポリエチレングリコール;ポリエチレンオキシドコポリマー;タンパク質;レジン;シェラック;シリケート;デンプン;糖類ステアレート;部分又は完全水添植物油;ワックス;及びこれらの組み合わせを含むことができる。
【0068】
更に他の実施形態においては、担体は少なくとも一種のセルロース;カルボマー;メタクリレート;無機カーボネート又はカルシウム塩;無機カーボネート又はマグネシウム塩;脂肪酸;脂肪酸エステル;ゼラチン;ラクトース;ポリエチレングリコール;ポリエチレンオキシドコポリマー;シリケート;部分又は完全水添植物油;及びこれらの組み合わせを含むことができる。
【0069】
更に他の実施形態においては、担体は少なくとも一種のマイクロクリスタリンセルロース; ヒドロキシプロピルメチルセルロース;エチルセルロース;二酸化シリコン;マグネシウムアルミノシリケート;ラクトース;キサンタンガム;ステアリン酸;グリセリルジステアレート;水添植物油;及びこれらの組み合わせを含むことができる。
【0070】
任意の剤形を含む製剤は他の成分又は添加剤を含むことができる。このような追加的成分及び添加剤は使用してもしなくてもよい。一様相においては、この添加剤は室温で固体であり、約40℃より高い融点を有する固体であることができる。本発明のシステムにおける添加剤の例としては、ラクトース、デンプン、糖類、セルロース、カルシウム塩、酸化シリコン、メタロシリケート等のフィラー;デンプングリコレート、ラウリルサリフェート、アルファ化デンプン、クロスカルメロース、クロスポビドン等の崩壊剤;ピロリドン、メタクリレート、ビニルアセテート、ガム、アラビアゴム等のバインダー;トラガガント;カオリン;カラギーナン、アルギネート、ゼラチン及び同様物質;アルコール、平均分子量1000未満のポリエチレングリコール、プロピレングリコール等の共溶媒;水性又は両性界面活性剤等の表面張力調整剤;味覚マスク剤;甘味料;マイクロカプセル化剤;潤滑剤、滑剤、タルク、ステアレート、レシチン等のプロセス助剤;ポリマーコーティング剤;可塑剤;バッファー;有機酸;酸化防止剤;フレーバー;着色剤;アルカリ化剤;保湿剤;ソルビトール;マンニトール;等張塩;タンパク質;レジン;撥水剤;吸湿剤;乾燥剤;及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
本発明の製剤は種々の経口剤形に調製することができる。剤形の例としては、ツーピースハードゼラチンカプセル剤、ソフトゼラチンカプセル剤、ビーズ剤、小ビーズ剤、顆粒剤、球剤、ペレット剤、マイクロカプセル剤、マイクロ球剤、ナノ球剤、ナノカプセル剤、錠剤及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。その他当業界において知られている剤形も使用できる。一様相においては、経口剤形はカプセル化剤又は錠剤とすることができる。他の実施形態においては、経口剤形はビーズインカプセル、カプセル中に単数又は複数のカプセル、カプセル中に単数又は複数の錠剤及び多層錠剤等の多成分剤形を含むことができる。製剤がマルチ剤形を含む場合、それらは同じ剤形なくてもよいことを付記する。更に、これら剤形は物理的に一緒に存在していなくてもよい。
【0072】
錠剤等の剤形は、当業界で知られている親水性又は疎水性コーティング材でコーティングされることができる。一実施形態おいては、コーティングはフィルムコーティング、シュガーコーティング、腸溶性コーティング、半透過性コーティング、徐放性コーティング、遅延放出性コーティング、等張性コーティング等とすることができる。更なる実施形態おいては、コーティング材はセルロース、ゼラチン、メタクリレート、ポリビニルアセテート、ポビドン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポロキサマー、カルボマー、シェラック、フタレート等及びこれらの誘導体及び組み合わせとすることができる。他の実施形態においては、コーティングはドライパウダーコーティングである。一実施形態においては、錠剤はマトリックス錠剤とすることができる。コーティング存在する場合、コーティングは製剤の担体成分の一部又は全部と考えられることを付記する。
【0073】
上述の組成物だけでなく、本発明の癌の治療方法は、治療有効量の上述の抗癌組成物を被験者に投与することを含むことができる。本抗癌組成物は、被験者の血液インスリン/グルカゴン比が約1〜約10である場合に被験者に投与することができる。更に、本抗癌組成物は、少なくとも4時間の絶食後に被験者に投与することができる。一実施形態においては、本抗癌組成物は6時間の絶食後に被験者に投与することができ、他の実施形態においては8時間の絶食後である。更に、本抗癌組成物は2時間の絶食後に被験者に投与することができる。このような時間を限定することは意図されず、一実施形態において絶食時間は被験者の血液インスリン/グルカゴン比が約2〜約5となるような時間とすることができる。
【0074】
更に、本発明の投与方法は、動脈内、静脈内、腹腔内、吸入、腫瘍内、経口、全身及び皮下の各投与方法からなる群から選択することができる。一実施形態においては、動脈内投与とすることができる。本抗癌組成物は栄養管を用いてデリバーすることができる。腫瘍内デリバー法は気管支鏡、内視鏡、及び/又は直腸鏡、各開口への座薬、点眼剤、点鼻剤及び点耳剤を含む技術を含むことができる。更に、腫瘍内注射を直接腫瘍に対して行う場合には、超音波イメージング(又は他のイメージング方法)を利用して注射を補助することができる。また更に、静脈デリバリーと血液透析機器(即ち人工透析機)を組み合わせて血管外に循環する転移癌細胞を破壊することができる。また、静脈内投与及び腹腔内投与はポートシステムによって支援することができる。更に、本発明の抗癌組成物は即時放出、制御放出又は時間制御放出されることができる。制御放出に関しては、本組成物はウエハー、ダイヤモンドチップ及びその他のインプラント可能なデバイスを腫瘍部位にインプラントしてデリバーすることができる。
【0075】
一般に、本抗癌組成物を動脈内投与又は静脈内投与する場合、投与時間は約30分〜約8時間とすることができる。一実施形態においては、本抗癌組成物は約3時間〜約5時間かけて動脈内投与又は静脈内投与することができる。更に、本抗癌組成物は投薬計画の一部となり得る。一実施形態においては、投与は約1週間〜24週間継続する投薬計画を含むことができる。他の実施形態においては、投薬計画は約4週間〜8週間継続されることができる。
【0076】
一般に、本抗癌組成物は上に定義した治療有効量を投与される。一実施形態において、この治療有効量は用量(又は等価)として約1mM〜約10mMの本抗癌組成物25mL〜1000mLとすることができる。
【0077】
上述の本抗癌組成物は、上述のように解糖亢進、即ち「ワールブルグ効果」と呼ばれる代謝表現形を有する全ての癌の治療に使用することができる。他の実施形態においては、本抗癌組成物は、この代謝表現形を検出できる陽電子放射断層撮影(PET)で検出される全ての癌の治療に使用することができる。本抗癌組成物が有効であることが示されているヒト癌細胞系としては、肝臓癌、子宮頸癌、卵巣癌、肺癌、乳癌、大腸癌、神経芽細胞腫、髄芽細胞腫、前立腺癌、皮膚癌、膵臓癌、小児繊維層板型肝細胞癌(FHCC)、肝細胞癌(HCC)及び非小細胞肺癌が挙げられる。従って、本抗癌組成物で治療することができる癌は、肝臓癌、子宮頸癌、卵巣癌、肺癌、乳癌、大腸癌、神経芽細胞腫、髄芽細胞腫、前立腺癌、皮膚癌、膵臓癌、小児繊維層板型肝細胞癌(FHCC)、肝細胞癌(HCC)及び非小細胞肺癌からなる群から選択することができる。本発明の抗癌組成物は、小児繊維層板型肝細胞癌(FHCC)、肝細胞癌(HCC)、非小細胞肺癌、大腸癌、乳癌及び膵臓癌の各癌患者の治療に使用されてきた。従って、本抗癌組成物で治療することができる癌は、小児繊維層板型肝細胞癌(FHCC)、肝細胞癌(HCC)、非小細胞肺癌、大腸癌、乳癌、膵臓癌及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0078】
一実施形態において、本抗癌組成物は肝臓癌の治療に使用することができる。他の実施形態において、本抗癌組成物は子宮頸癌の治療に使用することができる。更に他の実施形態おいて、本抗癌組成物は卵巣癌の治療に使用することができる。更に他の実施形態おいて、本抗癌組成物は肺癌の治療に使用することができる。更に他の実施形態おいて、本抗癌組成物は乳癌の治療に使用することができる。更に他の実施形態おいて、本抗癌組成物は大腸癌の治療に使用することができる。更に他の実施形態おいて、本抗癌組成物は神経芽細胞腫の治療に使用することができる。更に他の実施形態おいて、本抗癌組成物は髄芽細胞腫の治療に使用することができる。更に他の実施形態おいて、本抗癌組成物は前立腺癌の治療に使用することができる。更に他の実施形態おいて、本抗癌組成物は皮膚癌の治療に使用することができる。更に他の実施形態おいて、本抗癌組成物は乳癌の治療に使用することができる。更に他の実施形態おいて、本抗癌組成物は膵臓癌の治療に使用することができる。更に他の実施形態おいて、本抗癌組成物は小児繊維層板型肝細胞癌(FHCC)の治療に使用することができる。更に他の実施形態おいて、本抗癌組成物は肝細胞癌(HCC)の治療に使用することができる。更に他の実施形態おいて、本抗癌組成物は小細胞肺癌及び非小細胞肺癌の治療に使用することができる。更に他の諸実施形態おいて、本抗癌組成物は膣癌、肛門癌、睾丸癌、鼻癌、喉頭・咽頭癌、口腔癌、食道癌及び脳腫瘍の治療に使用することができる。
【0079】
上述の癌治療以外にも、本発明は式(I):
【0080】
【化3】

【0081】
(式中、Xはニトロ基、イミダゾール基、ハライド基、スルホネート基、カルボキシレート基、アルコキシド基及びアミンオキシド基からなる群から選択され、RはOR’、N(R’’)、C(O)R’’’、C1〜C6アルキル基、C6〜C12アリール基、C1〜C6ヘテロアルキル基、C6〜C12ヘテロアリール基、H及びアルカリ金属からなる群から選択され、ここにおいてR’はH、アルカリ金属、C1〜C6アルキル基、C6〜C12アリール基又はC(O)R’’’を表わし、R’’はH、C1〜C6アルキル基又はC6〜C12アリール基を表わし、R’’’は H、C1〜C20アルキル基又はC6〜C12アリール基を表わす)で表わされる細胞エネルギー阻害剤を投与される被験者に対する該細胞エネルギー阻害剤の毒性を最小とするための方法であって、前記被験者において細胞エネルギー阻害剤と、細胞エネルギー阻害剤を少なくとも部分的に脱酸し、且つ前記細胞エネルギー阻害剤の化学反応及び/又は細胞代謝の結果生成する細胞エネルギー阻害剤の代謝副生成物を中和するのに十分な量存在する生物学的バッファーとを組み合わせることを含む方法を提供する。一実施形態においては、本細胞エネルギー阻害剤及び生物学的バッファーは、被験者に投与する前に組み合わせることができる。
【0082】
更に、抗癌組成物を被験者に投与することに伴う薬物有害事象を最小とするための方法は、被験者の血中インスリン/グルカゴン比が約1〜約10(ピコモル(pM)単位)の範囲にあるときに前記抗癌組成物を前記被験者に投与することを含むことができる。抗癌組成物は本明細書に記載のいずれかであることができる。一実施形態においては、インスリン/グルカゴン比を約2〜約5の範囲とすることができる。いかなる特定の理論に縛られることを望むものではないが、被験者の血糖値又は血中インスリン/グルカゴン比が低い場合に本抗癌組成物を投与することにより、正常細胞が誤って抗癌有効剤を吸収することを防ぐことができる。具体的には、このような投与で正常細胞中に少量存在するヘキソキナーゼ2(HK−2)を保護することができる。低血糖状態においては、HK−2酵素はサイトゾル室よりも正常細胞の核に進入しやすい。HK−2が核に存在することで、3−ブロモピルベートや2−ブロモアセテート、2−ヨードアセテート等の化学剤から更に保護されることになる。本明細書において、本投与は治療有効量の本抗癌組成物を含む。一実施形態においては、薬物有害事象はカヘキシアであることができる。他の実施形態は、薬物有害事象は疼痛であることができる。
【0083】
更に、被験者における抗癌組成物の殺傷効力評価するための方法は、前記抗癌組成物の投与に先立ち、被験者の乳酸レベルを測定することと、前記抗癌組成物を被験者に投与することと、前記抗癌組成物の投与後に、前記被験者の乳酸レベルを測定することと、乳酸レベルの差を治療時間の関数として測定及び/又は関連付けすることにより殺傷効力を決定することと、を含むことができる。本抗癌組成物は前述のいずれかであることができる。
【0084】
乳酸レベルは被験者の生体液から測定することができる。一実施形態においては、生体液は血液及び血液分画、涙、汗、尿、腹水、唾液及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。更に、測定方法は乳酸結合酵素を用いる比色分析法であることができる。一実施形態においては、測定方法はディップステック法又はストリップ法であることができる。他の実施形態においては、測定方法は核磁気共鳴画像法(MRI)であることができる。
【0085】
ある実施形態においては、上述の抗癌組成物は細胞エネルギー阻害剤、解糖阻害剤、ミトコンドリア阻害剤、ハロモノカルボキシレート化合物及び第二の化学療法剤の一種以上を含むことができる。
【0086】
化学療法剤には、カルボプラチン、シスプラチン等の白金系剤;ナイトロジェンマスタードアルキル化剤;カルムスチン(BCNU)他アルキル化剤等のニトロウレアアルキル化剤;メトトレキサート等の抗代謝剤;プリン類似体抗代謝剤;フルオロウラシル(5−FU)及びゲムシタビン等のピリミジン類似体抗代謝剤;ゴセレリン、ロイプロリド、タモキシフェン等のホルモン系抗新生物剤;タキサン(ドセタキセル、パクリタキセル等)、アルデスロイキン、インターロイキン−2、エトポシド(VP−16)、インターフェロンα、トレチノイン(ATRA)等の天然抗新生物剤;ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、ミトマイシン等の抗生天然抗新生物剤;及びビンブラスチン、ビンクリスチン等のビンカアルカロイド天然抗新生物剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0087】
更に、抗新生物剤とは認識されないが、抗新生物剤と共に次の薬剤も使用することができる、即ちダクチノマイシン、ダウノルビシンHCl、ドセタキセル、ドキソルビシンHCl、エポエチンα、エトポシド(VP−16)、ガンシクロビールナトリウム、硫酸ゲンタマイシン、インターフェロンα、酢酸ロイプロリド、メペリジンHCl、メタドンHCl、ラニチジンHCl、硫酸ビンブラスチン及びジドブジン(AZT)である。例えばフルオロウラシルは最近エピネフリン及びウシコラーゲンと共に処方されて特に有効な組み合わせとなっている。
【0088】
更にまた、次に挙げるアミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、多糖類及び他の大分子も使用することができる。即ちインターロイキン1〜18(突然変異体、類似体を含む;インターフェロンα、β、γ等のインターフェロン又はサイトカイン;黄体化ホルモン放出ホルモン(LHRH)及び類似体、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)等のホルモン;トランスフォーミング成長因子−β(TGF−β)、フィブロブラスト成長因子(FGF)、神経成長因子(NGF)、成長ホルモン放出因子(GHRF)、表皮成長因子(EGF)、フィブロブラスト成長因子同族体因子(FGFHF)、肝細胞成長因子(HGF)、インスリン成長因子(IGF)等の成長因子;腫瘍壊死因子−α及びβ(TNF−α及びβ);進入阻害剤因子−2(HF−2);骨形成タンパク質1〜7(BMP1〜7);ソマトスタチン;リモシン−α−1;γ−グロブリン;スーパオキシドディスムターゼ(SOD);補体因子;抗血管新生因子;抗原性材料;及びプロドラッグである。
【0089】
本明細書に記載の組成物及び方法と共に使用される好ましい化学療法剤としては、オルトレタミン、アスパラギナーゼ、BCG、硫酸ブレオマイシン、ブスルファン、カルボプラチン、カルムシン、クロラムブシル、シスプラチン、クララドリビン、2−クロロデオキシアデノシン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、イミダゾールカルボキサミド、ダクチノマイシン、ダウノルビシン−ドゥノマイシン、デキサメタゾン、ドキスルビシン、エトポシド、フロクスウリジン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、フルダラビン、ゴセレリン、ヒドロキシウレア、イダルビシンHCl、イフォスファミド、インターフェロンα、インターフェロンα2a、インターフェロンα2b、インターフェロンαn3、イリノテカン、ロイコボリンカルシウム、ロイプロリド、レバミゾール、ロムスチン、メゲストロール、メルファラン、L−サルコシリン、塩酸メルファラン、MESNA、メクロレタミン、メトトレキサート、ミトマイシン、ミトキサントロン、メルカプトプリン、パクリタキセル、プリカマイシン、プレドニゾン、プロカルバジン、ストレプトゾシン、タモキシフェン、6−チオグアニン、チオテパ、ビンブラスチン、ビンクリスチン及び酒石酸ビノレルビンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
上述の全薬剤及び添加剤は、これら薬剤間に悪い相互作用がない限り、個別にも、組み合わせても使用することができる。
【0091】
更に、本発明は癌治療のためのキットを提供することができる。本キットは、当業者が各成分をまとめて、被験者へのデリバリーに適切な剤形を形成できる、必要な成分と説明書を提供する。最小限、キットは細胞エネルギー阻害剤成分、少なくとも一種の糖類成分、解糖阻害剤成分、生物学的バッファー成分、容器及び説明書一式を含む。典型的には、これら成分は、剤形が癌治療を受ける被験者に投与可能なように混和されることができる。上述のように、このような投薬は種々の癌治療の投薬の一部とすることができる。
【0092】
一実施形態において、癌治療のためのキットはa)式I:
【0093】
【化4】

【0094】
(式中、Xはニトロ基、イミダゾール基、ハライド基、スルホネート基、カルボキシレート基、アルコキシド基及びアミンオキシド基からなる群から選択され、RはOR’、N(R’’)、C(O)R’’’、C1〜C6アルキル基、C6〜C12アリール基、C1〜C6ヘテロアルキル基、C6〜C12ヘテロアリール基、H及びアルカリ金属からなる群から選択され、ここにおいてR’はH、アルカリ金属、C1〜C6アルキル基、C6〜C12アリール基又はC(O)R’’’を表わし、R’’はH、C1〜C6アルキル基又はC6〜C12アリール基を表わし、R’’’は H、C1〜C20アルキル基又はC6〜C12アリール基を表わす)で表わされる細胞エネルギー阻害剤成分、b)少なくとも一種の糖類成分であって、細胞エネルギー阻害剤の加水分解を実質的に防ぐことにより該阻害剤を安定化する成分;c)解糖阻害剤成分;d)生物学的バッファー成分であって、細胞エネルギー阻害剤を少なくとも部分的に脱酸し且つ細胞エネルギー阻害剤の代謝副生成物を中和するのに十分な量存在する成分;e)前記成分を含むための容器;及びf)一式の説明書であって、前記成分を用いて剤形を調製するための、且つその剤形を被験者に投与するための説明書を含むことができる。
【0095】
一実施形態においては、これら成分は更に容器内の個々の容器に含まれることができる。
【0096】
一実施形態においては、前記キットは少なくとも一種の成分を安定化させるためのシリンジフィルターと無菌グローブを更に有することができる。
【0097】
一実施形態においては、前記キットは粉末状の細胞エネルギー阻害剤を、溶液に添加した際に濃度約2.5mM〜約5.0mMとなるような量で含むことができる。
【0098】
上述のことに加え、前記キットの成分は前述のように変更することができる。
【0099】
更に本発明は、癌治療のための抗癌薬の製造のための細胞エネルギー阻害剤の使用であって、前記抗癌薬はa)式I:
【0100】
【化5】

【0101】
(式中、Xはニトロ基、イミダゾール基、ハライド基、スルホネート基、カルボキシレート基、アルコキシド基及びアミンオキシド基からなる群から選択され、RはOR’、N(R’’)、C(O)R’’’、C1〜C6アルキル基、C6〜C12アリール基、C1〜C6ヘテロアルキル基、C6〜C12ヘテロアリール基、H及びアルカリ金属からなる群から選択され、ここにおいてR’はH、アルカリ金属、C1〜C6アルキル基、C6〜C12アリール基又はC(O)R’’’を表わし、R’’はH、C1〜C6アルキル基又はC6〜C12アリール基を表わし、R’’’は H、C1〜C20アルキル基又はC6〜C12アリール基を表わす)で表わされる細胞エネルギー阻害剤、b)少なくとも一種の糖類であって、細胞エネルギー阻害剤の加水分解を実質的に防ぐことにより該阻害剤を安定化する糖類;c)解糖阻害剤;及びd)生物学的バッファーであって、細胞エネルギー阻害剤を少なくとも部分的に脱酸し且つ細胞エネルギー阻害剤の代謝副生成物を中和するのに十分な量存在するバッファーを含む使用を提供する。
【0102】
一実施形態においては、前記抗癌薬は被験者に治療有効量投与するのに適することができる。
【0103】
一実施形態においては、前記抗癌薬は、被験者の血中インスリン/グルカゴン比が約1〜約10の範囲にあるときに前記被験者に投与することができる。
【0104】
一実施形態においては、前記抗癌薬は少なくとも4時間の絶食後に被験者に投与することができる。
【0105】
一実施形態においては、前記抗癌薬は動脈内、静脈内、腹腔内、吸入、腫瘍内、経口、全身及び皮下の各投与方法からなる群から選択される方法による投与に適することができる。
【0106】
一実施形態においては、投与は動脈内投与とすることができる。
【0107】
一実施形態においては、前記抗癌薬は、約30分〜約8時間をかける動脈内又は静脈内投与に適することができる。
【0108】
一実施形態においては、前記抗癌薬は、約3時間〜約5時間をかける動脈内又は静脈内投与に適することができる。
【0109】
一実施形態においては、前記投与は約1週間〜24週間継続する投薬計画を含むことができる。
【0110】
一実施形態においては、前記治療有効量は約1mM〜約10mMの本抗癌組成物25mL〜1000mLと等価な用量を含むことができる。
【0111】
一実施形態においては、前記癌は小児繊維層板型肝細胞癌(FHCC)、肝細胞癌(HCC)、非小細胞肺癌、大腸癌、乳癌、膵臓癌、肝臓癌及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる
【0112】
以下、実施例を用いて本発明の組成物、システム及び方法の各種形態を説明するが、これら実施例は本発明の組成物、システム及び方法の原理の応用について例示又は説明するものにすぎないと解釈されたい。当業者であれば、本発明のシステム及び方法の精神と範囲を逸脱せずに、これら組成物、方法及びシステムの多くの変形例や他の例を考案できるであろう。添付の請求項はこのような変形例等を含むこと意図している。従って、本発明の組成物、システム及び方法を上に詳細に記載してきたが、次の各実施例は、現時点で許容されると現在考えられる具現例についての更なる詳細を提供する。
【実施例1】
【0113】
ラット肝細胞癌の検討
肝細胞癌を、3−ブロモアセテートを含む種々の抗癌剤で処理した。図3に、23時間に亘る抗癌剤のμM量に対する細胞生存率の関数をグラフで示す。図3に示すように、3−ブロモピルベートは20μMの少量を用いたところ低い細胞生存率(約5%)を示した。実際、3−ブロモピルベートは、これに最も近い抗癌剤であるメトトレキサートと比較して10倍もの効力を示した。細胞生存率の測定値としては、5%対55%であった。
【実施例2】
【0114】
3−ブロモピルベートによる肺癌治療
表1に、種々の公知の抗癌剤で処理したヒト肺癌細胞の増殖率と3−ブロモピルベートの比較を示す。
【0115】
【表1】

【0116】
表1に示すように、肺癌細胞に対して3−ブロモピルベートは最も近い公知の抗癌剤に比べ2倍超の効果を示した。従って、本発明の抗癌組成物は癌細胞増殖の90%以上の阻害を提供することができる。
【実施例3】
【0117】
転移肺癌の検討
図4(a)は本発明の治療をしなかった転移腫瘍を有するウサギの肺の切除試料の写真であり、図4(b)は3−ブロモアセテートをIPポートデリバリーで用いて治療した後にウサギ肺癌転移がない様子を示す。図4(a)、4(b)からわかるように、本発明の抗癌組成物は転移肺腫瘍を防止できた。
【0118】
以上、明細書の記載と実施例によって本発明の原理を一以上の特定な応用例において説明したが、当業者であれば発明的才能を駆使することなく、また本発明に原理と思想から逸脱することなく、形式、使用、発明実施の詳細に関して種々の改変を行えることは明らかであろう。従って、本発明はこれらに限定されることなく、請求項の範囲にのみ限定されることを意図している。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)式I:
【化1】

(式中、Xはニトロ基、イミダゾール基、ハライド基、スルホネート基、カルボキシレート基、アルコキシド基及びアミンオキシド基からなる群から選択され、RはOR’、N(R’’)、C(O)R’’’、C1〜C6アルキル基、C6〜C12アリール基、C1〜C6ヘテロアルキル基、C6〜C12ヘテロアリール基、H及びアルカリ金属からなる群から選択され、ここにおいてR’はH、アルカリ金属、C1〜C6アルキル基、C6〜C12アリール基又はC(O)R’’’を表わし、R’’はH、C1〜C6アルキル基又はC6〜C12アリール基を表わし、R’’’は H、C1〜C20アルキル基又はC6〜C12アリール基を表わす)で表わされる細胞エネルギー阻害剤と、
b)少なくとも一種の糖類であって、細胞エネルギー阻害剤の加水分解を実質的に防ぐことにより該阻害剤を安定化する糖類と、
c)解糖阻害剤と、
d)生物学的バッファーであって、細胞エネルギー阻害剤を少なくとも部分的に脱酸し且つ細胞エネルギー阻害剤の代謝副生成物を中和するのに十分な量存在する生物学的バッファーと、を含む抗癌組成物。
【請求項2】
式(I)のRはOHであり、式(I)のXはハライド基、スルホネート基、カルボキシレート基、アルコキシド基及びアミンオキシド基からなる群から選択される、請求項1に記載の抗癌組成物。
【請求項3】
Xはフルオライド基、ブロマイド基、クロライド基及びアイオダイド基からなる群から選択されるハライド基である、請求項1に記載の抗癌組成物。
【請求項4】
前記細胞エネルギー阻害剤は3−フルオロピルベート、3−クロロピルベート、3−ブロモピルベート、3−ヨードピルベート及びこれらの組み合わせからなる群から選択される3−ハロピルベートである、請求項1に記載の抗癌組成物。
【請求項5】
前記細胞エネルギー阻害剤を濃度約0.1mM〜約25.0mMで含む、請求項4に記載の抗癌組成物。
【請求項6】
前記細胞エネルギー阻害剤を濃度約1.0mM〜約10.0mMで含む、請求項4に記載の抗癌組成物。
【請求項7】
Xはトリフレート基、メシレート基及びトシレート基からなる群から選択されるスルホネート基である、請求項1に記載の抗癌組成物。
【請求項8】
Xはアミンオキシド基である、請求項1に記載の抗癌組成物。
【請求項9】
前記アミンオキシド基はジメチルアミンオキシド基である、請求項1に記載の抗癌組成物。
【請求項10】
第二の糖類を含む、請求項1に記載の抗癌組成物。
【請求項11】
第三の糖類を含む、請求項1に記載の抗癌組成物。
【請求項12】
少なくとも一種の糖類は五炭糖である、請求項11に記載の抗癌組成物。
【請求項13】
少なくとも二種の糖類は五炭糖である、請求項11に記載の抗癌組成物。
【請求項14】
前記五炭糖は、マンニトール、エリスリトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、ズルシトール、リビトール、イノシトール、ソルビトール及びこれらの組み合わせからなる群からそれぞれ選択される、請求項13に記載の抗癌組成物。
【請求項15】
少なくとも一種の糖類はグリセロールである、請求項11に記載の抗癌組成物。
【請求項16】
各糖類は、その糖類の最大溶解度となるまでの体積で添加することができる、請求項11に記載の抗癌組成物。
【請求項17】
前記糖類はグリセロール、イノシトール及びソルビトールである、請求項11に記載の抗癌組成物。
【請求項18】
グリセロールを約0.1wt%〜約3wt%、イノシトールを約1wt%〜約5wt%、ソルビトールを約30wt%〜約50wt%の各範囲で含む、請求項17に記載の抗癌組成物。
【請求項19】
前記少なくとも一種の糖類を約0.1mM〜約250mMの濃度で含む、請求項1に記載の抗癌組成物。
【請求項20】
前記少なくとも一種の糖類を約0.5mM〜約25mMの濃度で含む、請求項1に記載の抗癌組成物。
【請求項21】
前記解糖阻害剤は2−デオキシグルコースである、請求項1に記載の抗癌組成物。
【請求項22】
前記解糖阻害剤を約0.1mM〜約25.0mMの濃度で含む、請求項1に記載の抗癌組成物。
【請求項23】
前記解糖阻害剤を約1mM〜約5mMの濃度で含む、請求項1に記載の抗癌組成物。
【請求項24】
前記生物学的バッファーはシトレートバッファー、ホスフェートバッファー及びアセテートバッファーからなる群から選択される、請求項1に記載の抗癌組成物。
【請求項25】
前記生物学的バッファーはシトレートバッファーである、請求項1に記載の抗癌組成物。
【請求項26】
前記副生成物はハロゲン化水素であり、生物学的バッファーはクエン酸ナトリウムである、請求項1に記載の抗癌組成物。
【請求項27】
ハロゲン化水素は臭化水素である、請求項26に記載の抗癌組成物。
【請求項28】
前記生物学的バッファーを約0.1mM〜約200mMの濃度で含む、請求項1に記載の抗癌組成物。
【請求項29】
前記生物学的バッファーを約1mM〜約20mMの濃度で含む、請求項1に記載の抗癌組成物。
【請求項30】
前記生物学的バッファーは生理的pHを4.0〜8.5に維持する、請求項1に記載の抗癌組成物。
【請求項31】
前記生物学的バッファーは生理的pHを5.5〜8.0に維持する、請求項1に記載の抗癌組成物。
【請求項32】
ハロモノカルボキシレート化合物を更に含む、請求項1に記載の抗癌組成物。
【請求項33】
前記ハロモノカルボキシレート化合物はC2ハロモノカルボキシレート化合物である、請求項32に記載の抗癌組成物。
【請求項34】
前記C2ハロモノカルボキシレート化合物は、2−フルオロアセテート、2−クロロアセテート、2−ブロモアセテート、2−ヨードアセテート及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項33に記載の抗癌組成物。
【請求項35】
前記C2ハロモノカルボキシレート化合物は2−ブロモアセテートである、請求項34に記載の抗癌組成物。
【請求項36】
前記C2ハロモノカルボキシレート化合物を濃度約0.01mM〜約5.0mMで含む、請求項33に記載の抗癌組成物。
【請求項37】
前記C2ハロモノカルボキシレート化合物を濃度約0.1mM〜約0.5mMで含む、請求項33に記載の抗癌組成物。
【請求項38】
前記ハロモノカルボキシレート化合物はC3ハロモノカルボキシレート化合物である、請求項32に記載の抗癌組成物。
【請求項39】
前記C3ハロモノカルボキシレート化合物は、3−フルオロラクテート、3−クロロラクテート、3−ブロモラクテート、3−ヨードラクテート及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項38に記載の抗癌組成物。
【請求項40】
前記C3ハロモノカルボキシレート化合物を濃度約0.5mM〜約250mMで含む、請求項38に記載の抗癌組成物。
【請求項41】
前記C3ハロモノカルボキシレート化合物を濃度約10mM〜約50mMで含む、請求項38に記載の抗癌組成物。
【請求項42】
抗真菌剤及び/又は抗菌剤を更に含む、請求項1に記載の抗癌組成物。
【請求項43】
前記抗真菌剤及び/又は抗菌剤をそれぞれ濃度約0.01mM〜約5.0mMで含む、請求項42に記載の抗癌組成物。
【請求項44】
前記抗真菌剤及び/又は抗菌剤をそれぞれ濃度約0.05mM〜約0.5mMで含む、請求項42に記載の抗癌組成物。
【請求項45】
ミトコンドリア阻害剤を更に含む、請求項1に記載の抗癌組成物。
【請求項46】
前記ミトコンドリア阻害剤はオリゴマイシン、エフラペプチン、アウロベルチン及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項45に記載の抗癌組成物。
【請求項47】
前記ミトコンドリア阻害剤を濃度約0.001mM〜約5.0mMで含む、請求項45に記載の抗癌組成物。
【請求項48】
前記ミトコンドリア阻害剤を濃度約0.01mM〜約0.5mMで含む、請求項45に記載の抗癌組成物。
【請求項49】
前記細胞エネルギー阻害剤と生物学的バッファーはmM基準の比1:1〜1:5の範囲で存在する、請求項1に記載の抗癌組成物。
【請求項50】
前記細胞エネルギー阻害剤と解糖阻害剤はmM基準の比5:1〜1:1の範囲で存在する、請求項1に記載の抗癌組成物。
【請求項51】
前記細胞エネルギー阻害剤と少なくとも一種の糖類はmM基準の比1:1〜1:5の範囲で存在する、請求項1に記載の抗癌組成物。
【請求項52】
前記細胞エネルギー阻害剤とC2ハロモノカルボキシレート化合物はmM基準の比20:1〜4:1の範囲で存在する、請求項33に記載の抗癌組成物。
【請求項53】
前記細胞エネルギー阻害剤とミトコンドリア阻害剤はmM基準の比20:1〜40:1の範囲で存在する、請求項45に記載の抗癌組成物。
【請求項54】
治療有効量の請求項1に記載の抗癌組成物を被験者に投与することを含む、癌の治療方法。
【請求項55】
前記抗癌組成物は被験者の血液インスリン/グルカゴン比が約1〜約10である場合に被験者に投与する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記抗癌組成物は少なくとも4時間の絶食後に被験者に投与する、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記投与は動脈内、静脈内、腹腔内、吸入、腫瘍内、経口、全身及び皮下の各投与方法からなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
前記投与は動脈内投与である、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記抗癌組成物は約30分〜約8時間かけて動脈内投与又は静脈内投与する、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記抗癌組成物は約3時間〜約5時間かけて動脈内投与又は静脈内投与する、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
前記投与は約1週間〜24週間継続する投薬計画を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項62】
前記治療有効量は用量として約1mM〜約10mMの前記抗癌組成物を25mL〜1000mL含む、請求項54に記載の方法。
【請求項63】
前記癌は小児繊維層板型肝細胞癌(FHCC)、肝細胞癌(HCC)、非小細胞肺癌、大腸癌、膵臓癌、肝臓癌及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項64】
式(I):
【化2】

(式中、Xはニトロ基、イミダゾール基、ハライド基、スルホネート基、カルボキシレート基、アルコキシド基及びアミンオキシド基からなる群から選択され、RはOR’、N(R’’)、C(O)R’’’、C1〜C6アルキル基、C6〜C12アリール基、C1〜C6ヘテロアルキル基、C6〜C12ヘテロアリール基、H及びアルカリ金属からなる群から選択され、ここにおいてR’はH、アルカリ金属、C1〜C6アルキル基、C6〜C12アリール基又はC(O)R’’’を表わし、R’’はH、C1〜C6アルキル基又はC6〜C12アリール基を表わし、R’’’は H、C1〜C20アルキル基又はC6〜C12アリール基を表わす)で表わされる細胞エネルギー阻害剤を投与される被験者に対する該細胞エネルギー阻害剤の毒性を最小とするための方法であって、前記被験者において細胞エネルギー阻害剤と、細胞エネルギー阻害剤を少なくとも部分的に脱酸し、且つ前記細胞エネルギー阻害剤の化学反応及び/又は細胞代謝の結果生成する細胞エネルギー阻害剤の代謝副生成物を中和するのに十分な量存在する生物学的バッファーとを組み合わせることを含む方法。
【請求項65】
前記細胞エネルギー阻害剤及び生物学的バッファーは被験者に投与する前に組み合わせられる、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記細胞エネルギー阻害剤は3−フルオロピルベート、3−クロロピルベート、3−ブロモピルベート、3−ヨードピルベート及びこれらの組み合わせからなる群から選択される3−ハロピルベートである、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記細胞エネルギー阻害剤は3−ブロモピルベートである、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
前記生物学的バッファーはシトレートバッファー、ホスフェートバッファー及びアセテートバッファーからなる群から選択される、請求項64に記載の方法。
【請求項69】
前記生物学的バッファーはシトレートバッファーである、請求項64に記載の方法。
【請求項70】
前記生物学的バッファーは被験者において生理的pHを4.0〜8.5に維持する、請求項64に記載の方法。
【請求項71】
前記生物学的バッファーは生理的pHを5.5〜8.0に維持する、請求項64に記載の方法。
【請求項72】
前記細胞エネルギー阻害剤と生物学的バッファーはmM基準の比1:1〜1:5の範囲で存在する、請求項64に記載の方法。
【請求項73】
抗癌組成物を被験者に投与することに伴う薬物有害事象を最小とするための方法であって、該方法は被験者の血中インスリン/グルカゴン比が約1〜約10の範囲にあるときに前記抗癌組成物を前記被験者に投与することを含み、前記抗癌組成物は式I:
【化3】

(式中、Xはニトロ基、イミダゾール基、ハライド基、スルホネート基、カルボキシレート基、アルコキシド基及びアミンオキシド基からなる群から選択され、RはOR’、N(R’’)、C(O)R’’’、C1〜C6アルキル基、C6〜C12アリール基、C1〜C6ヘテロアルキル基、C6〜C12ヘテロアリール基、H及びアルカリ金属からなる群から選択され、ここにおいてR’はH、アルカリ金属、C1〜C6アルキル基、C6〜C12アリール基又はC(O)R’’’を表わし、R’’はH、C1〜C6アルキル基又はC6〜C12アリール基を表わし、R’’’は H、C1〜C20アルキル基又はC6〜C12アリール基を表わす)で表わされる阻害剤を含む、方法。
【請求項74】
前記血液インスリン/グルカゴン比は約2〜約5である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記抗癌組成物は少なくとも4時間の絶食後に被験者に投与する、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
前記投与は動脈内、静脈内、腹腔内、吸入、腫瘍内、経口、全身及び皮下の各投与方法からなる群から選択される、請求項73に記載の方法。
【請求項77】
前記投与は動脈内投与である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記抗癌組成物は約30分〜約8時間かけて動脈内投与又は静脈内投与する、請求項73に記載の方法。
【請求項79】
前記抗癌組成物は約3時間〜約5時間かけて動脈内投与又は静脈内投与する、請求項73に記載の方法。
【請求項80】
前記投与は約1週間〜24週間継続する投薬計画を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項81】
前記投与は治療有効量の前記抗癌組成物を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項82】
前記治療有効量は用量として約1mM〜約10mMの前記抗癌組成物を25mL〜1000mL含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記薬物有害事象はカヘキシアである、請求項73に記載の方法。
【請求項84】
前記薬物有害事象は疼痛である、請求項73に記載の方法。
【請求項85】
被験者における抗癌組成物の殺傷効力を評価するための方法であって、該方法は
a)前記抗癌組成物の投与に先立ち、被験者の乳酸レベルを測定することと、
b)前記抗癌組成物を被験者に投与することと、
c)前記抗癌組成物の投与後に、記被験者の乳酸レベルを測定することと、
d)乳酸レベルの差を治療時間の関数として測定及び/又は関連付けすることにより殺傷効力を決定することと、を含み、ここにおいて、前記抗癌組成物は
i)式I:
【化4】

(式中、Xはニトロ基、イミダゾール基、ハライド基、スルホネート基、カルボキシレート基、アルコキシド基及びアミンオキシド基からなる群から選択され、RはOR’、N(R’’)、C(O)R’’’、C1〜C6アルキル基、C6〜C12アリール基、C1〜C6ヘテロアルキル基、C6〜C12ヘテロアリール基、H及びアルカリ金属からなる群から選択され、ここにおいてR’はH、アルカリ金属、C1〜C6アルキル基、C6〜C12アリール基又はC(O)R’’’を表わし、R’’はH、C1〜C6アルキル基又はC6〜C12アリール基を表わし、R’’’は H、C1〜C20アルキル基又はC6〜C12アリール基を表わす)で表わされる構造を有する細胞エネルギー阻害剤と、
ii)少なくとも一種の糖類であって、細胞エネルギー阻害剤の加水分解を実質的に防ぐことにより該阻害剤を安定化する糖類と、
iii)解糖阻害剤と、
iv)生物学的バッファーであって、細胞エネルギー阻害剤を少なくとも部分的に脱酸し且つ細胞エネルギー阻害剤の代謝副生成物を中和するのに十分な量存在する生物学的バッファーと、を含む,方法。
【請求項86】
前記乳酸レベルは被験者の生体液から測定する、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記生体液は血液及び血液分画、涙、汗、尿、腹水、唾液及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
測定方法は乳酸結合酵素を用いる比色分析法である、請求項85に記載の方法。
【請求項89】
測定方法はディップステック法又はストリップ法である、請求項85に記載の方法。
【請求項90】
測定方法は核磁気共鳴画像法である、請求項85に記載の方法。
【請求項91】
癌治療のためのキットであって、
a)式I:
【化5】

(式中、Xはニトロ基、イミダゾール基、ハライド基、スルホネート基、カルボキシレート基、アルコキシド基及びアミンオキシド基からなる群から選択され、RはOR’、N(R’’)、C(O)R’’’、C1〜C6アルキル基、C6〜C12アリール基、C1〜C6ヘテロアルキル基、C6〜C12ヘテロアリール基、H及びアルカリ金属からなる群から選択され、ここにおいてR’はH、アルカリ金属、C1〜C6アルキル基、C6〜C12アリール基又はC(O)R’’’を表わし、R’’はH、C1〜C6アルキル基又はC6〜C12アリール基を表わし、R’’’は H、C1〜C20アルキル基又はC6〜C12アリール基を表わす)で表わされる構造を有する細胞エネルギー阻害剤成分、
b)少なくとも一種の糖類成分であって、細胞エネルギー阻害剤の加水分解を実質的に防ぐことにより該阻害剤を安定化する成分;
c)解糖阻害剤成分;
d)生物学的バッファー成分であって、細胞エネルギー阻害剤を少なくとも部分的に脱酸し且つ細胞エネルギー阻害剤の代謝副生成物を中和するのに十分な量存在する成分;
e)前記成分を含むための容器;及び
f)一式の説明書であって、前記成分を用いて剤形を調製するための、且つその剤形を被験者に投与するための説明書を含む、キット。
【請求項92】
前記成分は更に容器内の個々の容器に含まれる、請求項91に記載のキット。
【請求項93】
前記キットは少なくとも一種の成分を安定化させるためのシリンジフィルターと無菌グローブを更に有する、請求項91に記載のキット。
【請求項94】
前記キットは前記少なくとも一種の糖類の溶液を約7mM〜約14mMの範囲で、前記生物学的バッファーを約7.5mM〜約15mMの範囲で、前記解糖阻害剤を約1mM〜約2mMの範囲で含み、細胞エネルギー阻害剤添加後の溶液は健常なヒトの生理に見合う生物学的pH、イオン強度及びモル浸透圧濃度を有するような、請求項91に記載のキット。
【請求項95】
前記キットは粉末状の細胞エネルギー阻害剤を、溶液に添加した際に濃度約2.5mM〜約5.0mMとなるような量で含む、請求項94に記載のキット。
【請求項96】
式(I)のRはOHであり、式(I)のXはハライド基、スルホネート基、カルボキシレート基、アルコキシド基及びアミンオキシド基からなる群から選択される、請求項91に記載のキット。
【請求項97】
Xはフルオライド基、ブロマイド基、クロライド基及びアイオダイド基からなる群から選択されるハライド基である、請求項91に記載のキット。
【請求項98】
前記細胞エネルギー阻害剤は3−フルオロピルベート、3−クロロピルベート、3−ブロモピルベート、3−ヨードピルベート及びこれらの組み合わせからなる群から選択される3−ハロピルベートである、請求項91に記載のキット。
【請求項99】
前記組成物は前記細胞エネルギー阻害剤を濃度約0.1mM〜約25.0mMで含む、請求項98に記載のキット。
【請求項100】
前記組成物は前記細胞エネルギー阻害剤を濃度約1.0mM〜約10.0mMで含む、請求項98に記載のキット。
【請求項101】
Xはトリフレート基、メシレート基及びトシレート基からなる群から選択されるスルホネート基である、請求項91に記載のキット。
【請求項102】
Xはアミンオキシド基である、請求項91に記載のキット。
【請求項103】
前記アミンオキシド基はジメチルアミンオキシド基である、請求項91に記載のキット。
【請求項104】
前記組成物は第二の糖類を含む、請求項91に記載のキット。
【請求項105】
前記組成物は第三の糖類を含む、請求項91に記載のキット。
【請求項106】
少なくとも一種の糖類は五炭糖である、請求項105に記載のキット。
【請求項107】
少なくとも二種の糖類は五炭糖である、請求項105に記載のキット。
【請求項108】
前記五炭糖は、マンニトール、エリスリトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、ズルシトール、リビトール、イノシトール、ソルビトール及びこれらの組み合わせからなる群からそれぞれ選択される、請求項106に記載のキット。
【請求項109】
少なくとも一種の糖類はグリセロールである、請求項105に記載のキット。
【請求項110】
各糖類は、その糖類の最大溶解度となるまでの体積で添加することができる、請求項105に記載のキット。
【請求項111】
前記糖類はグリセロール、イノシトール及びソルビトールである、請求項105に記載のキット。
【請求項112】
前記組成物はグリセロールを約0.1wt%〜約3wt%、イノシトールを約1wt%〜約5wt%、ソルビトールを約30wt%〜約50wt%の各範囲で含む、請求項111に記載のキット。
【請求項113】
前記組成物は前記少なくとも一種の糖類を約0.1mM〜約250mMの濃度で含む、請求項105に記載のキット。
【請求項114】
前記組成物は前記少なくとも一種の糖類を約0.5mM〜約25mMの濃度で含む、請求項91に記載のキット。
【請求項115】
前記解糖阻害剤は2−デオキシグルコースである、請求項91に記載のキット。
【請求項116】
前記組成物は前記解糖阻害剤を約0.1mM〜約25.0mMの濃度で含む、請求項91に記載のキット。
【請求項117】
前記組成物は前記解糖阻害剤を約1mM〜約5mMの濃度で含む、請求項91に記載のキット。
【請求項118】
前記生物学的バッファーはシトレートバッファー、ホスフェートバッファー及びアセテートバッファーからなる群から選択される、請求項91に記載のキット。
【請求項119】
前記生物学的バッファーはシトレートバッファーである、請求項91に記載のキット。
【請求項120】
前記副生成物はハロゲン化水素であり、生物学的バッファーはクエン酸ナトリウムである、請求項91に記載のキット。
【請求項121】
ハロゲン化水素は臭化水素である、請求項120に記載のキット。
【請求項122】
前記組成物は前記生物学的バッファーを約0.1mM〜約200mMの濃度で含む、請求項91に記載のキット。
【請求項123】
前記組成物は前記生物学的バッファーを約1mM〜約20mMの濃度で含む、請求項91に記載のキット。
【請求項124】
前記生物学的バッファーは生理的pHを4.0〜8.5に維持する、請求項91に記載のキット。
【請求項125】
前記生物学的バッファーは生理的pHを5.5〜8.0に維持する、請求項91に記載のキット。
【請求項126】
ハロモノカルボキシレート化合物を更に含む、請求項91に記載のキット。
【請求項127】
前記ハロモノカルボキシレート化合物はC2ハロモノカルボキシレート化合物である、請求項126に記載のキット。
【請求項128】
前記C2ハロモノカルボキシレート化合物は、2−フルオロアセテート、2−クロロアセテート、2−ブロモアセテート、2−ヨードアセテート及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項127に記載のキット。
【請求項129】
前記C2ハロモノカルボキシレート化合物は2−ブロモアセテートである、請求項128に記載のキット。
【請求項130】
前記組成物は前記C2ハロモノカルボキシレート化合物を濃度約0.01mM〜約5.0mMで含む、請求項127に記載のキット。
【請求項131】
前記組成物は前記C2ハロモノカルボキシレート化合物を濃度約0.1mM〜約0.5mMで含む、請求項127に記載のキット。
【請求項132】
前記ハロモノカルボキシレート化合物はC3ハロモノカルボキシレート化合物である、請求項126に記載のキット。
【請求項133】
前記C3ハロモノカルボキシレート化合物は、3−フルオロアセテート、3−クロロアセテート、3−ブロモアセテート、3−ヨードアセテート及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項132に記載のキット。
【請求項134】
前記組成物は前記C3ハロモノカルボキシレート化合物を濃度約0.5mM〜約250mMで含む、請求項132に記載のキット。
【請求項135】
前記組成物は前記C3ハロモノカルボキシレート化合物を濃度約10mM〜約50mMで含む、請求項132に記載のキット。
【請求項136】
抗真菌剤及び/又は抗菌剤を更に含む、請求項91に記載のキット。
【請求項137】
前記組成物は前記抗真菌剤及び/又は抗菌剤をそれぞれ濃度約0.01mM〜約5.0mMで含む、請求項136に記載のキット。
【請求項138】
前記組成物は前記抗真菌剤及び/又は抗菌剤をそれぞれ濃度約0.05mM〜約0.5mMで含む、請求項136に記載のキット。
【請求項139】
ミトコンドリア阻害剤を更に含む、請求項91に記載のキット。
【請求項140】
前記ミトコンドリア阻害剤はオリゴマイシン、エフラペプチン、アウロベルチン及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項139に記載のキット。
【請求項141】
前記組成物は前記ミトコンドリア阻害剤を濃度約0.001mM〜約5.0mMで含む、請求項139に記載のキット。
【請求項142】
前記組成物は前記ミトコンドリア阻害剤を濃度約0.01mM〜約0.5mMで含む、請求項139に記載のキット。
【請求項143】
前記細胞エネルギー阻害剤と生物学的バッファーはmM基準の比1:1〜1:5の範囲で存在する、請求項91に記載のキット。
【請求項144】
前記細胞エネルギー阻害剤と解糖阻害剤はmM基準の比5:1〜1:1の範囲で存在する、請求項91に記載のキット。
【請求項145】
細胞エネルギー阻害剤と少なくとも一種の糖類はmM基準の比1:1〜1:5の範囲で存在する、請求項91に記載のキット。
【請求項146】
前記細胞エネルギー阻害剤とC2ハロモノカルボキシレート化合物はmM基準の比20:1〜4:1の範囲で存在する、請求項127に記載のキット。
【請求項147】
細胞エネルギー阻害剤とミトコンドリア阻害剤はmM基準の比20:1〜40:1の範囲で存在する、請求項139に記載のキット。
【請求項148】
癌治療のための抗癌薬の製造のための細胞エネルギー阻害剤の使用であって、前記抗癌薬剤は、
a)式I:
【化6】

(式中、Xはニトロ基、イミダゾール基、ハライド基、スルホネート基、カルボキシレート基、アルコキシド基及びアミンオキシド基からなる群から選択され、RはOR’、N(R’’)、C(O)R’’’、C1〜C6アルキル基、C6〜C12アリール基、C1〜C6ヘテロアルキル基、C6〜C12ヘテロアリール基、H及びアルカリ金属からなる群から選択され、ここにおいてR’はH、アルカリ金属、C1〜C6アルキル基、C6〜C12アリール基又はC(O)R’’’を表わし、R’’はH、C1〜C6アルキル基又はC6〜C12アリール基を表わし、R’’’は H、C1〜C20アルキル基又はC6〜C12アリール基を表わす)で表わされる細胞エネルギー阻害剤、
b)少なくとも一種の糖類であって、細胞エネルギー阻害剤の加水分解を実質的に防ぐことにより該阻害剤を安定化する糖類;
c)解糖阻害剤;及び
d)生物学的バッファーであって、細胞エネルギー阻害剤を少なくとも部分的に脱酸し且つ細胞エネルギー阻害剤の代謝副生成物を中和するのに十分な量存在するバッファーを含む、使用。
【請求項149】
前記抗癌薬は被験者に治療有効量投与するのに適する、請求項148に記載の使用。
【請求項150】
前記抗癌薬は、被験者の血中インスリン/グルカゴン比が約1〜約10の範囲にあるときに前記被験者に投与される、請求項148に記載の使用。
【請求項151】
前記抗癌薬は少なくとも4時間の絶食後に被験者に投与される、請求項148に記載の使用。
【請求項152】
前記抗癌薬は動脈内、静脈内、腹腔内、吸入、腫瘍内、経口、全身及び皮下の各投与方法からなる群から選択される方法による投与に適する、請求項148に記載の使用。
【請求項153】
前記投与は動脈内投与である、請求項152に記載の使用。
【請求項154】
前記抗癌薬は、約30分〜約8時間をかける動脈内又は静脈内投与に適する、請求項152に記載の使用。
【請求項155】
前記抗癌薬は、約3時間〜約5時間をかける動脈内又は静脈内投与に適する、請求項152に記載の使用。
【請求項156】
前記投与は約1週間〜24週間継続する投薬計画を含む、請求項149に記載の使用。
【請求項157】
前記治療有効量は約1mM〜約10mMの前記抗癌薬25mL〜1000mLと等価な用量を含む、請求項149に記載の使用。
【請求項158】
前記癌は小児繊維層板型肝細胞癌(FHCC)、肝細胞癌(HCC)、非小細胞肺癌、大腸癌、乳癌、膵臓癌及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項148に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【公表番号】特表2012−516358(P2012−516358A)
【公表日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548359(P2011−548359)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/022664
【国際公開番号】WO2010/088564
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(511183478)
【Fターム(参考)】