説明

癌疾患の治療用キナゾリン誘導体

【課題】幾つかの特定の癌サブインディケーションの治療において利点を有する癌療法の提供。
【解決手段】本発明は、一般式(I)のキナゾリン類(式中、Ra〜Rdは、特許請求の範囲及び明細書に示す意味を有する)の、癌療法における使用に関する。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌療法における一般式(I)のキナゾリンの使用に関する:
【0002】
【化1】

【0003】
(式中、Ra〜Rd基は、特許請求の範囲及び明細書に示す意味を有する)。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
一般式(I)の化合物は、erbb1レセプター(EGFR)及びerbB2(Her2/neu)レセプターチロシンキナーゼの二重インヒビターとして、WO 02/50043、WO 2004/074263及びWO 2005/037824に開示されており、それらは、例えば、良性又は悪性の腫瘍、具体的には上皮性及び神経上皮性起源の腫瘍、血管内皮細胞の転移及び異常増殖(血管新生)の治療、チロシンキナーゼの刺激により生じる粘液産生の増加又は変化に伴う気管及び肺の疾患の治療、並びに、チロシンキナーゼの崩壊作用(disrupted activity)に伴う消化管及び胆管及び胆嚢の疾患の治療に好適である。WO 02/50043、WO 2004/074263及びWO 2005/037824の開示内容には、その化合物の製造及び医薬配合物が含まれ、これらの態様に関して参考文献として含まれるものとする。さらに、その化合物を単独治療で又は他の抗腫瘍治療剤、例えば、トポイソメラーゼインヒビター(例えば、エトポシド)、有糸分裂インヒビター(例えば、ビンブラスチン)、核酸と相互作用する化合物(例えばシスプラチン、シクロホスファミド、アドリアマイシン)、ホルモンアンタゴニスト(例えば、タモキシフェン)、代謝過程のインヒビター(例えば、5-FU等)、サイトカイン(例えば、インターフェロン)又は抗体との組み合わせにおいて一緒に使用してもよいことは、腫瘍疾患の治療に公知である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
一般式(I)の化合物は、癌の治療において予期せぬ利点、例えば、より優れた有効性、及び/又は副作用の低減を、具体的には、幾つかの特定の癌サブインディケーションの治療において提供することが見い出された。
【0006】
従って、本発明の第一の態様は、癌、好ましくは、以下に言及する特定の癌サブインディケーションの治療方法であって、治療有効量の一般式(I)の化合物を、それらを必要とする患者に、所望により、放射線療法、放射線-免疫療法及び/又は手術による癌切除との組み合わせにおいて、投与することを含む、前記方法に関する。
本発明に関する一般式(I)の化合物に言及する場合、たとえそれらの混合物であったとしても、それらの互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー及びジアステレオマー、並びに薬理学的に許容され得るその酸付加塩、溶媒和化合物、水和物、多形体、生理学的に官能性の誘導体又はそれらのプロドラッグを含むと理解されるべきである。
【0007】
表現「患者」は、癌を患い、そのような治療を必要とするヒト又は非ヒトの哺乳類の患者に関し、好ましくは患者は人間である。さらに、表現「患者」は、野生型EGFレセプターを有する腫瘍を保持するそのような癌患者並びに活性型EGFR変異体を含む腫瘍を有する事前選択された(pre-selected)癌患者を含むと理解されるべきである。これらは、EGFレセプターのチロシンキナーゼドメイン、例えば、活性ループ(エクソン21)内のL858R又はL861ポイント変異体、又はELREA配列(エクソン19)内のフレーム内(in-frame)欠失/挿入変異体、又はヌクレオチド結合ループ(エクソン18)内に位置するG719中の置換体に位置し得る。さらなる活性化変異体は、様々な症状においてEGFレセプターの細胞外ドメインにおいて報告されている(例えば、エクソン2〜7欠失を示すEGFR vIII)。他の変異体、例えばエクソン20中のT790M点変異体並びに一定のエクソン20挿入物(例えば、D770_N771insNPG)であって、特定の薬物に耐性を与えるもの、並びに二重変異体、例えば、複合(combined)L858R/T790M変異体又はエクソン-19-del/T790Mが含まれると考えられる。
表現「患者」は、野生型HER2レセプターを有する腫瘍を保持するそのような癌患者、並びに、活性化HER2変異体、例えばM774_A775insAYVMを含む腫瘍を有する事前選択された癌患者を含むと理解されるべきである。
【0008】
本発明の文脈で使用する場合の症状「癌」は、最も一般的な意味において、不適切な細胞増殖、移入、アポトーシス、又は脈管形成、好ましくは不適切な細胞増殖により特徴付けられる疾患として理解されるべきである。不適切な細胞増殖は、不適切な細胞成長、過剰な細胞分化、加速した細胞分化及び/又は不適切な細胞の生存から生じる細胞増殖を意味する。
「放射線療法」は、癌療法に従来使用されるように、患者に電離放射線を投与することを意味する。放射線療法は、活性物質及びの投与による共治療の前、平行して、又は後に適用してもよい。
「手術による腫瘍切除」は、癌療法における一つの標準的な選択肢であり、活性物質の投与による共治療の前又は後に適用してもよい。
本発明の第二の態様は、癌の治療、好ましくは後記の特定の癌サブインディケーションの治療用医薬の製造のための一般式(I)の化合物の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】BIBW 2992によるNCI-N87胃癌細胞のアポトーシスの誘導を示す。
【図2】既存のHNSCC FaDu異種移植片の成長におけるBIBW 2992の効果を示す。
【図3】MDA-MB-453及びSKOV-3異種移植片の成長におけるBIBW 2992の効果を示す。
【図4】大きなNCI-N87異種移植片の成長におけるBIBW 2992の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の詳細な説明
第一の実施態様(1)において、本発明の第一及び第二の両方の態様に関して、一般式(I)は以下に定義の化合物を、所望により、それらの互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー及びそれらの混合物の形態において、並びに、所望により薬理学的に許容され得るその酸付加塩、溶媒和化合物、水和物、多形体、生理学的に官能性の誘導体又は代謝物又はそれらのプロドラッグを含むと定義される:
【0011】
【化2】

【0012】
{式中、Raは、ベンジル、1-フェニルエチル基又は3-クロロ-4-フルオロフェニル基を示し、
Rbは、水素原子又はC1-4-アルキル基を示し、
Rcは、シクロプロピルメトキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、テトラヒドロフラン-3-イル-オキシ基、テトラヒドロフラン-2-イル-メトキシ基、テトラヒドロフラン-3-イル-メトキシ基、テトラヒドロ-ピラン-4-イル-オキシ基又はテトラヒドロピラン-4-イル-メトキシ基を示し、
Rdは、ジメチルアミノ基、N-シクロプロピル-N-メチル-アミノ基、N-シクロプロピルメチル-N-メチル-アミノ基、N-エチル-N-メチル-アミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N-イソプロピル-N-メチル-アミノ基、N-(2-メトキシエチル)-N-メチル-アミノ基、N-(1-メトキシ-2-プロピル)-N-メチル-アミノ基、N-(3-メトキシプロピル)-N-メチル-アミノ基、ピロリジノ基、2-メチルピロリジノ基、2-(メトキシメチル)-ピロリジノ基、モルホリノ基、(1S,4S)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-イル基、(1R,4R)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-イル基、N-シクロプロピル-N-メチル-アミノ基、N-メチル-N-(テトラヒドロフラン-3-イル)-アミノ基、N-メチル-N-(テトラヒドロフラン-2-イル-メチル)-アミノ基、N-メチル-N-(テトラヒドロフラン-3-イル-メチル)-アミノ基、N-メチル-N-(テトラヒドロピラン-4-イル)-アミノ基又はN-メチル-N-(テトラヒドロピラン-4-イル-メチル)-アミノ基又は一般式(II)の基を示す;
【0013】
【化3】

【0014】
(式中、Re及びRfは同一でも異なっていてもよく、各場合において、水素原子又はC1-3-アルキル基を示す)。}
【0015】
第二の実施態様(2)において、本発明の第一及び第二の両方の態様に関して、一般式(I)は以下に定義の化合物を含むものと定義される;
【0016】
【化4】

【0017】
{式中、Raは、3-クロロ-4-フルオロフェニル基を示し、
Rbは、水素原子を示し、
Rcは、シクロプロピルメトキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、テトラヒドロフラン-3-イル-オキシ基、テトラヒドロフラン-2-イル-メトキシ基、テトラヒドロフラン-3-イル-メトキシ基、テトラヒドロピラン-4-イル-オキシ基又はテトラヒドロピラン-4-イル-メトキシ基を示し、
Rdは、ジメチルアミノ基、N-シクロプロピル-N-メチル-アミノ基、N-シクロプロピルメチル-N-メチル-アミノ基、N-エチル-N-メチル-アミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N-イソプロピル-N-メチル-アミノ基、N-(2-メトキシエチル)-N-メチル-アミノ基、N-(1-メトキシ-2-プロピル)-N-メチル-アミノ基、N-(3-メトキシプロピル)-N-メチル-アミノ基、ピロリジノ基、2-メチルピロリジノ基、2-(メトキシメチル)-ピロリジノ基、モルホリノ基、(1S,4S)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-イル基、(1R,4R)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-イル基、N-メチル-N-(テトラヒドロフラン-3-イル)-アミノ基、N-メチル-N-(テトラヒドロフラン-2-イル-メチル)-アミノ基、N-メチル-N-(テトラヒドロフラン-3-イル-メチル)-アミノ基、N-メチル-N-(テトラヒドロピラン-4-イル)-アミノ基又はN-メチル-N-(テトラヒドロピラン-4-イル-メチル)-アミノ基又は一般式(II)の基を示す;
【0018】
【化5】

【0019】
(式中、Re及びRfは水素原子を示す)}。
【0020】
第三の実施態様(3)において、本発明の第一及び第二の両方の態様に関して、一般式(I)は、以下に定義の化合物を含むものと定義される;
【0021】
【化6】

【0022】
{式中、Raは、3-クロロ-4-フルオロフェニル基を示し、
Rbは、水素原子を示し、
Rcは、テトラヒドロフラン-3-イル-オキシ基、テトラヒドロフラン-2-イル-メトキシ基、テトラヒドロフラン-3-イル-メトキシ基、テトラヒドロピラン-4-イル-オキシ基又はテトラヒドロピラン-4-イル-メトキシ基を示し、
Rdは、ジメチルアミノ基、N-シクロプロピル-N-メチル基、N-エチル-N-メチル-アミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N-イソプロピル-N-メチル-アミノ基、モルホリノ基、(1S,4S)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-イル基又は(1R,4R)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-イル基又は一般式(II)の基を示す;
【0023】
【化7】

【0024】
(式中、Re及びRfは水素原子を示す)}。
【0025】
第四の実施態様(4)において、本発明の第一及び第二の両方の態様に関して、一般式(I)は、以下に定義の化合物を含むものと定義される;
【0026】
【化8】

【0027】
{式中、Raは、3-クロロ-4-フルオロフェニル基を示し、
Rbは、水素原子を示し、
Rcは、テトラヒドロフラン-3-イル-オキシ基、テトラヒドロフラン-2-イル-メトキシ基又はテトラヒドロフラン-3-イル-メトキシ基を示し、
Rdは、ジメチルアミノ基又は一般式(II)の基を示す;
【0028】
【化9】

【0029】
(式中、Re及びRfは水素原子を示す)}。
【0030】
第五の実施態様(5)において、本発明のいずれかの態様に関して、一般式(I)は、以下からなる群より選ばれる化合物を含むものと定義される;
(a)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロブチルオキシ-キナゾリン、
(b)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロペンチルオキシ-キナゾリン、
(c)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン、
(d)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン、
(e)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-(テトラヒドロピラン-4-イルオキシ)-キナゾリン、
(f)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(g)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-3-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(h)4-[(R)-(1-フェニル-エチル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロプロピルメトキシ-キナゾリン、
(i)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(モルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(j)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(k)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(ホモモルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン、
(l)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(N-エチル-N-メチル-アミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン、
(m)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(N-イソプロピル-N-メチル-アミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン、
(n)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(N-シクロプロピル-N-メチル-アミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロペンチルオキシ-キナゾリン、
(o)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジエチル-アミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロプロピルメトキシ-キナゾリン、
(p)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-((1S,4S)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン、
(q)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン及び
(r)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロプロピルメトキシ-キナゾリン。
【0031】
第六の実施態様(6)において、本発明の第一及び第二の両方の態様に関して、一般式(I)の化合物は、以下からなる群より選ばれ:
(d)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン、
【0032】
【化10】

【0033】
(k)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(ホモモルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン;
化合物(d)のジマレエート塩が特に好ましい:
(d')4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンジマレエート。
【0034】
好ましい態様において、本発明は、疾患がカルシノーマ、肉腫、黒色腫、骨髄腫、血液学的新形成(hematological neoplasias)、リンパ腫及び小児癌からなる群より選ばれる、本発明による一般式(I)の化合物の使用に関する。
【0035】
本発明の範囲内のカルシノーマの例としては、アデノカルシノーマ(AC)、扁平上皮細胞カルシノーマ(SCC)及び混合又は未分化カルシノーマが挙げられるが、それらに限定されない。本発明の範囲内のカルシノーマの例としては、以下の組織像が挙げられるがそれらに制限されない:
・頭部及び首の腫瘍:SCC、AC、移行細胞癌、粘膜表皮癌、未分化カルシノーマ;
・中枢神経系腫瘍:星状細胞腫、グリア芽細胞腫、髄膜腫、神経鞘腫、シュワン細胞腫、上衣細胞腫、下垂体腫(hypophysoma)、乏突起細胞腫、髄芽腫;
・気管支及び縦隔の腫瘍:
- 気管支腫瘍:
* 小細胞肺癌(SCLC):燕麦細胞肺癌、中間細胞癌(intermediate cell cancer)、複合燕麦細胞肺癌;
* 非小細胞肺癌(NSCLC):SCC、紡錘細胞カルシノーマ、AC、細気管支肺胞性カルシノーマ、大細胞NSCLC、明細胞NSCLC;
- 中皮腫;
- 胸腺腫;
- 甲状腺カルシノーマ:乳頭状、濾胞性、未分化、髄様;
・消化管の腫瘍:
- 食道癌:SCC、AC、未分化、カルチノイド、肉腫;
- 胃癌:AC、腺扁平上皮、未分化;
- 結腸直腸癌:AC、例えばAC、カルチノイド、肉腫の遺伝型;
- 肛門癌:SCC、移行上皮癌、AC、基底細胞カルシノーマ;
- 膵癌:AC、例えば腺管及び腺房の癌、乳頭状、腺扁平上皮、未分化、内分泌膵臓の腫瘍;
- 肝臓カルシノーマ、胆管癌、血管肉腫、肝芽腫;
- 胆道カルシノーマ:AC、SCC、小細胞、未分化;
- 胃腸ストローマ腫瘍(GIST);
・婦人科の癌:
- 乳癌:AC、例えば、浸潤性管(invasive ductal)、小葉及び延髄の癌、管状、粘液性癌、パジェットカルシノーマ、炎症性カルシノーマ、原位置での腺管及び小葉カルシノーマ;
- 卵巣癌:上皮細胞腫、間質腫瘍、胚細胞腫、未分化腫瘍;
- 子宮頚癌:SCC、AC、混合及び未分化腫瘍;
- 子宮体癌:AC、SCC、混合、未分化腫瘍;
- 陰門癌:SCC、AC;
- 膣癌:SCC、AC;
・尿路及び睾丸癌:
- 睾丸癌:精上皮腫;
- 非セミノーム性胚細胞腫:奇形腫、胎児細胞カルシノーマ、絨毛癌、卵黄嚢腫瘍、混合、セルトリ及びライディッヒ細胞腫瘍;
- 性腺外胚細胞腫瘍;
- 前立腺癌:AC、小細胞、SCC;
- 腎細胞癌:AC、例えば、明細胞、乳頭状及び嫌色素細胞カルシノーマ、遺伝型(hereditary forms)(例えば、フォンヒッペル・リンドウ症候群)、腎芽腫;
- 膀胱癌:移行細胞(尿路上皮性)癌、SCC、AC;
- 尿道癌:SCC、移行細胞癌、AC;
- 陰茎癌:SCC;
・内分泌組織の腫瘍:
- 甲状腺癌:乳頭状、濾胞性、未分化、髄様カルシノーマ、例えば、MEN症候群;
- 内分泌膵臓の腫瘍;
- カルチノイド;
- 褐色細胞腫。
【0036】
本発明の範囲内の肉腫の例としては、以下のものが挙げられるがそれらに限定されない:ユーイング肉腫、骨肉腫又は骨原性肉腫、軟骨肉腫、滑膜肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、中皮肉腫又は中皮腫、線維肉腫、血管肉腫又は血管内皮腫、脂肪肉腫、神経膠腫又は星細胞腫、粘液肉腫、悪性線維性組織球腫、間葉細胞腫又は混合性中胚葉腫瘍、神経芽細胞腫及び明細胞肉腫。
【0037】
本発明の範囲内の黒色腫の例としては、以下のものが挙げられるがそれらに限定されない:表在拡大型黒色腫、結節性及び悪性黒子型。
本発明の範囲内の骨髄腫の例としては、以下のものが挙げられるがそれらに限定されない:イムノサイトーマ(immunocytoma)、形質細胞腫及び多発(性)骨髄腫。
【0038】
他の好ましい実施態様において、本発明は、血液異常増殖が白血病である、本発明による使用に関する。
本発明の範囲内の血液異常増殖のさらなる例としては、以下のものが挙げられるがそれらに限定されない:骨髄、赤血球系又はリンパ起源の急性又は慢性白血病、骨髄異形成症候群(MDS)及び骨髄増殖性症候群(MPS、例えば慢性骨髄性白血病、骨髄線維症、赤血球増加症(vera)又は本質的血小板血症)。
【0039】
本発明の範囲内のリンパ腫の例としては、以下のものが挙げられるがそれらに限定されない:
・ホジキンリンパ腫;
・非ホジキンリンパ腫:T-及びB-細胞リンパ腫
- B-細胞リンパ腫:
* 低及び中悪性度:慢性リンパ球性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、小リンパ球性リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、プラズマ細胞リンパ腫、外套細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺緑帯リンパ腫、例えばMALT-リンパ腫;
* 高悪性度:びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL、例えば免疫芽細胞及び中心芽細胞変異体(centroblastic variants))、リンパ芽球、バーキットリンパ腫;
- T-細胞リンパ腫:
* 低悪性度:T-CLL、T-PLL、菌状息肉腫、セザリー(Sezary)症候群;
* 高悪性度:未分化大細胞、T-免疫芽細胞及びリンパ芽球性。
【0040】
他の好ましい実施態様において、本発明は、疾患が混合腫瘍、未分化腫瘍及びそれらの転移からなる群より選ばれる癌である、本発明による使用に関する。
本発明の範囲内の混合腫瘍の例としては、以下のものが挙げられるがそれらに限定されない:腺扁平上皮カルシノーマ、混合中胚葉性腫瘍、癌肉腫及び奇形癌腫。
本発明の範囲内の未分化、他の腫瘍又はそれらの転移の例としては、以下のものが挙げられるがそれらに限定されない:未分化腫瘍、原発不明カルシノーマ(CUP)、原発不明の転移(MUP)及び褐色細胞腫、カルチノイド。
【0041】
さらに、本発明による一般式(I)の化合物で処理され得る以下の腫瘍疾患をまとめた:末端性黒子性黒色腫、光線性角化症、腺様嚢胞カルシノーマ、アデノーマ、腺肉腫、副腎皮質カルシノーマ(adrenocortical carcinoma)、AIDS関連リンパ腫、バルトリン腺カルシノーマ、脳幹グリオーマ、毛管カルシノーマ(capillary carcinoma)、中枢神経系リンパ腫、コンド肉腫(chondosarcoma)、脈絡膜神経叢乳頭腫(choriod plexus papilloma)/カルシノーマ、嚢胞腺腫、内胚葉洞腫瘍、子宮内膜増殖症、子宮内膜間質部肉腫、子宮内膜様腺癌、類上皮細胞(epitheloid)、限局性結節性過形成、ガストリン産生腫瘍、妊娠性栄養膜腫瘍(gestational trophoblastic tumor)、グルカゴン産生腫瘍、肝細胞腺腫、肝細胞腺腫症、下咽頭癌、視床下部及び視路グリオーマ、膵島細胞腺腫、上皮内腫瘍、上皮内扁平細胞異常増殖、眼内浸潤扁平上皮細胞カルシノーマ、大細胞カルシノーマ、島細胞カルシノーマ、カポジ肉腫、喉頭癌、白血病関連疾患、唇及び口腔癌、悪性中皮腫瘍(malignant mesothelial tumors)、悪性胸腺腫、髄様上皮腫、メルケル細胞カルシノーマ、粘膜表皮カルシノーマ、多発性骨髄腫/プラズマ細胞新生物、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖疾患、鼻腔及び副鼻腔癌、鼻咽頭癌、神経上皮腺癌、結節型黒色腫、燕麦細胞カルシノーマ、乏突起膠細胞、口腔癌、口咽頭癌、松果体細胞、下垂体部腫瘍、偽肉腫、肺芽細胞腫、上皮小体癌、松果体及びテント上未分化神経外胚葉性腫瘍、下垂体腫瘍、プラズマ細胞新生物、胸膜肺芽腫、網膜芽細胞腫、漿液カルシノーマ、小腸癌、軟部組織カルシノーマ、ソマトスタチン-分泌腫瘍(somatostatin-secreting tumor)、テント上未分化神経外胚葉性腫瘍、ブドウ膜黒色腫、疣状癌、ビポーマ、ワルデンシュトレーム型マクログロブリン血症、高分化カルシノーマ及びウィルムス腫瘍。
【0042】
さらに好ましい実施態様(7)において、本発明の第一及び第二の両方の態様に関して、一般式(I)の化合物は以下からなる群より選ばれ:
(a)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロブチルオキシ-キナゾリン、
(b)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロペンチルオキシ-キナゾリン、
(c)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン、
(d)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン(BIBW 2992)、
(e)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-(テトラヒドロピラン-4-イルオキシ)-キナゾリン、
(f)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(g)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-3-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(h)4-[(R)-(1-フェニル-エチル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロプロピルメトキシ-キナゾリン、
(i)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(モルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(j)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(k)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(ホモモルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン、及び
(r)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロプロピルメトキシ-キナゾリン;
かつ、一般式(I)の化合物の投与により治療されるべき癌症状は、以下からなる群より選ばれる;
・頭部及び首の腫瘍:SCC、AC、移行細胞癌、粘膜表皮癌、未分化カルシノーマ;
・中枢神経系腫瘍:星状細胞腫、グリア芽細胞腫、髄膜腫、神経鞘腫、シュワン細胞腫、上衣細胞腫、下垂体腫(hypophysoma)、乏突起細胞腫、髄芽腫;
・気管支及び縦隔の腫瘍:
- 気管支腫瘍:
* 非小細胞肺癌(NSCLC):SCC、紡錘細胞カルシノーマ、AC、細気管支肺胞性カルシノーマ、大細胞NSCLC、明細胞NSCLC;
- 甲状腺カルシノーマ:乳頭状、濾胞性、未分化、髄様;
・消化管の腫瘍:
- 食道癌:SCC、AC、未分化;
- 胃癌:AC、腺扁平上皮、未分化;
- 結腸直腸癌:AC、例えばAC、カルチノイド、肉腫の遺伝型;
- 膵癌:AC、例えば腺管及び腺房の癌、乳頭状、腺扁平上皮、未分化、内分泌膵臓の腫瘍;
- 肝臓癌、胆管癌
・婦人科の癌:
- 乳癌:AC、例えば、浸潤性管(invasive ductal)、小葉及び延髄の癌、管状、粘液性癌、パジェットカルシノーマ、炎症性カルシノーマ、原位置での腺管及び小葉カルシノーマ;
- 卵巣癌:上皮細胞腫、間質腫瘍、胚細胞腫、未分化腫瘍;
・尿路及び睾丸癌:
- 前立腺癌:AC、小細胞、SCC;
- 腎細胞癌:AC、例えば、明細胞、乳頭状及び嫌色素細胞カルシノーマ、遺伝型(hereditary forms)(例えば、フォンヒッペル-リンドウ症候群)、ウィルムス腫瘍、腎芽腫;
- 膀胱癌:移行細胞(尿路上皮性)癌、SCC、AC。
【0043】
本発明の範囲内の肉腫の例としては、以下のものが挙げられるがそれらに限定されない:ユーイング肉腫、骨肉腫又は骨原性肉腫、軟骨肉腫、滑膜肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、中皮肉腫又は中皮腫、線維肉腫、血管肉腫又は血管内皮腫、脂肪肉腫、神経膠腫又は星細胞腫、粘液肉腫、悪性線維性組織球腫、間葉細胞腫又は混合性中胚葉腫瘍、神経芽細胞腫及び明細胞肉腫。
【0044】
非常に好ましい実施態様(8)において、本発明の第一及び第二の両方の態様に関して、一般式(I)の化合物は以下からなる群より選ばれ;
(d)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン(BIBW 2992)、
(k)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(ホモモルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン;
化合物(d)のジマレエート塩が特に好ましく:
(d')4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンジマレエート(BIBW 2992 MA2)、
かつ、一般式(I)の化合物の投与により治療されるべき癌症状は、以下からなる群より選ばれる:
- 頭部及び首の腫瘍:SCC、AC、移行細胞癌、粘膜表皮癌、未分化カルシノーマ;
- 結腸直腸癌、転移又は非転移:AC、例えばAC、カルチノイド、肉腫の遺伝型;
- 膵癌:AC、例えば腺管及び腺房の癌、乳頭状、腺扁平上皮、未分化、内分泌膵臓の腫瘍;
- 乳癌、転移又は非転移:AC、例えば、浸潤性管、小葉及び延髄の癌、管状、粘液性癌、パジェットカルシノーマ、炎症性カルシノーマ、原位置での腺管及び小葉カルシノーマ;
- 前立腺癌:AC、小細胞、SCC;
- 胃癌:AC、腺扁平上皮、未分化;
- 卵巣癌:
- 非小細胞肺癌(NSCLC):SCC、紡錘細胞カルシノーマ、AC、細気管支肺胞性カルシノーマ、大細胞NSCLC、明細胞NSCLC。
【0045】
腫瘍中、即ち、EGFレセプターのチロシンキナーゼドメイン内に活性EGFR変異体を保持する癌患者は、EGFRインヒビターでの治療に対して、感受性の増加を示す可能性があることが知られている。同様に、活性HER2変異体、例えば、M774_A775insAYVMを、腫瘍中に保持する癌患者は、HER2インヒビターでの治療に対して、感受性の増加を示す可能性がある。患者のグループ並びに活性EGFR及びHER2変異体の両方を保持するサブグループの両方は、erbb1レセプター(EGFR)及びerbB2(Her2/neu)の二つのインヒビターでの治療に感受性の増加を示すかも知れない。
【0046】
NSCLC患者のサブグループにおけるEGFレセプターのチロシンキナーゼドメイン内の特定の機能獲得変異体の存在は、ゲフィチニブとエルロチニブでの治療に対する感受性の増加に関連している(リンチ、New England Journal Medicine 350、2129(2004年); パエス、サイエンス304、1497 (2004年); パオ、Proceedings of the National Academy of Science of the United States 101、13306 (2004年))。特に、L858R点突然変異(エクソン21)並びにELREA配列中の欠失/挿入突然変異(エクソン19)は、大多数のゲフィチニブ応答者に関連する。エクソン20、T790Mにおける第二の点突然変異は、ゲフィチニブ又はエルロチニブの獲得耐性に関連する。この突然変異は、CML患者に同定されるT315I突然変異と類似しており、その患者は、イマチニブ処理で再発する(イマチニブ耐性患者)。
非可逆的なインヒビター(例えば、HKI-272又はCL 387,785)は、可逆的インヒビター(例えば、ゲフィチニブ)とは対照的に、二重突然変異EGFレセプターを発現する細胞系における増殖及びEGF-誘導EGFRリン酸化を阻害することができる(クワク(Kwak)、Proceedings of the National Academy of Science of the United States 102、7665(2005年)及びコバヤシ、New England Journal Medicine 352、786 (2005年))。
【0047】
従って、本発明のいずれかの態様には、下位の態様として、EGFレセプターのチロシンキナーゼドメインにおけるEGFR突然変異に関する癌患者の任意の事前選択、並びにHER2突然変異に関する癌患者の事前選択が含まれる。本文脈に好ましく関連するEGFR突然変異は、活性ループ(エクソン21)中のL858R及びL861点突然変異、ELREA配列(エクソン19)中のインフレーム欠失/挿入突然変異、ヌクレオチド結合ループ(エクソン18)に位置するG719における置換、エクソン2-7欠失を示すEGFR vIIIのようなEGFレセプターの細胞外ドメインにおける活性突然変異、エクソン20におけるT790点突然変異、エクソン20挿入、例えば、D770_N771insNPG、及び二重突然変異、例えば、複合L858R/T790M 突然変異及びエクソン-19-del/T790Mからなる群より選ばれる。本文脈中に好ましく関連するHER2突然変異は、M774_A775insAYVM突然変異である。
【0048】
EGFレセプターのチロシンキナーゼドメインにおける突然変異の検出方法は、当技術分野に知られており、幾つかの対応する診断ツールは、FDAにより認められ、また市販されている。例えば、非小細胞肺癌の患者における上皮成長因子レセプター突然変異の検出に関するアッセイが挙げられる(Genzyme Corp.;また、Journal of Clinical Oncology、2006 ASCO Annual Meeting Proceedings (ポストミーティング版)。第24巻、No 18S(6月20日 追補)、2006年: アブストラクト10060を参照されたい)。
【0049】
従って、一般式(I)の化合物及び癌症状を定義する前記の本発明のいずれかの実施態様は、EGFレセプターのチロシンキナーゼドメイン中の活性EGFR突然変異に関する癌患者の事前選択の任意の下位態様に、及び/又は活性HER2突然変異に関する癌患者の事前選択に適用される。一般式(I)の化合物でのEGFR突然変異癌患者の治療は、ゲフィチニブとエルロチニブ治療に対する獲得性又は持続的な抵抗を示す癌患者における応答を可能にしてもよい。一般式(I)の化合物での、腫瘍中の活性HER2突然変異を保持する癌患者の治療は、一定の化学療法、例えば、ラパチニブ又はヘルセプチンに対する獲得性又は持続的な耐性を有する癌患者における応答を可能にしてもよい。
【0050】
突然変異に関する患者の事前選択の下位態様に関して、EGFR又はHER2突然変異の最も好ましい癌症状は、以下のものよりなる群から選ばれ;
- 頭部及び首の腫瘍:SCC、AC、移行細胞癌、粘膜表皮癌、未分化カルシノーマ;
- 結腸直腸癌、転移又は非転移:AC、例えばAC、カルチノイド、肉腫の遺伝型;
- 膵癌:AC、例えば腺管及び腺房の癌、乳頭状、腺扁平上皮、未分化、内分泌膵臓の腫瘍;
- 乳癌、転移又は非転移:AC、例えば、浸潤性管(invasive ductal)、小葉及び延髄の癌、管状、粘液性癌、パジェットカルシノーマ、炎症性カルシノーマ、原位置での腺管及び小葉カルシノーマ;
- 前立腺癌:AC、小細胞、SCC;
- 胃癌:AC、腺扁平上皮、未分化;
- 卵巣癌:
- 非小細胞肺癌(NSCLC):SCC、紡錘細胞カルシノーマ、AC、細気管支肺胞性カルシノーマ、大細胞NSCLC、明細胞NSCLC;
特に、
- 非小細胞肺癌(NSCLC):SCC、紡錘細胞カルシノーマ、AC、細気管支肺胞性カルシノーマ、大細胞NSCLC、明細胞NSCLC、特に、少なくとも一つの前の化学療法措置に失敗した2ndライン患者、又は少なくとも12週間のタルセバ又はイレッサを受けてその後失敗した3rd/4thライン患者であり、
好ましくは、以下からなる群より選ばれる一般式(I)の化合物の投与により治療されるべきものである:
(a)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロブチルオキシ-キナゾリン、
(b)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロペンチルオキシ-キナゾリン、
(c)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン、
(d)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン(BIBW 2992)、
(e)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-(テトラヒドロピラン-4-イルオキシ)-キナゾリン、
(f)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(g)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-3-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(h)4-[(R)-(1-フェニル-エチル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロプロピルメトキシ-キナゾリン、
(i)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(モルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(j)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(k)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(ホモモルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン及び、
(r)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロプロピルメトキシ-キナゾリン、
又は、医薬的に許容され得るそれらの塩。
【0051】
従って、本発明の第一の態様は、下位態様(A)として、EGFR及び/又はHER2突然変異の癌患者の事前選択を含み、またEGFレセプターのチロシンキナーゼドメインにおけるEGFR突然変異を保持することを示す、及び/又は活性HER2突然変異を含む腫瘍を有する事前選択された癌患者に、治療有効量の一般式(I)の化合物を、所望により、放射線療法、放射線-免疫療法及び/又は手術による腫瘍切除との組み合わせにおいて、投与することを含む、癌の治療方法を含む。
従って、本発明の第二の態様は、下位態様(B)として、EGFレセプターのチロシンキナーゼドメインにおけるEGFR突然変異を保持することを示す、及び/又は活性HER2突然変異を含む腫瘍を有する事前選択された癌患者における、癌の治療用医薬の製造のための、一般式(I)の化合物の使用を含む。
【0052】
治療方法:
本発明による治療方法は、治療有効量の一般式(I)の化合物を、所望により、それらの互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー及びそれらの混合物の形態において、及び所望により、薬理学的に許容され得るその酸付加塩、溶媒和化合物、水和物、多形体、生理学的に官能性の誘導体の形態において、それらを必要とする患者に投与することを含み、その活性成分は、経口、腸内、経皮、静脈内、腹膜内又は注入により、好ましくは経口で投与される。患者は好ましくはヒト患者である。
【0053】
一般式(I)の化合物を、1日量0.01〜4mg/kg体重(bw)、好ましくは0.1〜2mg/kg、特に好ましくは0.2〜1.3mg/kg bwで、ヒト患者に投与してもよい。経口治療に関しては、一般式(I)の化合物を、1日の全量10、20、30、40、50、60、70、100、200又は300mgで、所望により複数回、例えば1日1〜3回に分けて投与してもよい。好ましくは、経口の1日投与はわずか1回である。これらの投与は、一般式(I)のいずれかの化合物、例えばBIBW2992又はそれぞれの量の活性塩基成分を含む相当量のBIBW2992MA2で応用することができる。特に、高用量での治療期間は、一般式(I)の活性物質の投与のない回復期間と交互にすべきである。例えば、治療は、「7日投薬-7日休薬」、「14日投薬-14日休薬」「21日投薬-7日休薬」又は連続的な投与スケジュールに従うことができる。「投薬-休薬」期間は、高用量で投与するならば、より短めに選択するか又は患者の必要に応じて個々に適合させることができる。ボーラスとして投与、又は特に、数時間、例えば約1、2、4、6、10、12又は24時間かけたゆっくりとした静脈内注入として高用量で適用されるならば、一般式(I)の化合物、例えばBIBW2992MA2の静脈内投与量は、1〜1000mg、好ましくは5〜300mg、特に好ましくは、10〜100mg(投与量は塩基型BIBW2992を参考にしている)であってもよい。
【0054】
ある態様において、本発明は、前記治療方法であって、一般式(I)の化合物、又はその多形体、代謝物、水和物、溶媒和化合物、個々の光学異性体、個々のエナンチオマーの混合物又はそれらのラセミ体又は医薬的に許容され得るそれらの塩を断続的に、又は活性物質の血漿レベルが好ましくは少なくとも12時間の投与間隔で10〜5000nMであるような一日投与量において投与することを特徴とする前記治療方法に関する。
【0055】
しかし、所望により体重又は投与方法、薬剤に対する個々の応答、使用される配合物の性質及び投与の時間又は間隔によっては、所望により、所定量から逸脱する必要があるかも知れない。従って、場合によっては、前記最少所定量未満での使用で十分かも知れず、一方、他の場合、所定の上限を超えなければならないことも考えられる。多量で投与される場合、1日に単回投与を数回行ってそれらを拡散させることが望ましいかも知れない。
【0056】
一般式(I)の化合物、その互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー及びそれらの混合物、及び所望により薬理学的に許容され得るその酸付加塩、溶媒和化合物、水和物、多形体、生理学的に官能性の誘導体又はそれらのプロドラッグは、単独治療において、又は本発明による活性物質と組み合わせて、所望により、他の薬理学的活性物質と併せて、使用してもよい。
【0057】
医薬配合物:
本発明による使用のための好適な医薬製剤としては、錠剤、カプセル、坐剤、溶液及び具体的には注射(s.c.、i.v.、i.m.)及び注入用溶液、シロップ、エマルジョン又は分散用粉末が挙げられる。各場合における医薬活性化合物の量は、全組成物の0.1〜90質量%、好ましくは0.5〜50質量%、即ち、下記投与量を達成するのに十分な量であるべきである。必要に応じて、所定量を1日数回与えてもよい。
【0058】
好適な錠剤は、例えば、活性物質を公知の賦形剤、例えば不活性希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はラクトース、崩壊剤、例えば、コーンスターチ又はアルギン酸、結合剤、例えばデンプン又はゼラチン、滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム又はタルク及び/又は遅延放出剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート又はポリビニルアセテートと混合することにより得てもよい。また、錠剤は幾つかの層を含んでいてもよい。
被覆錠は、錠剤と同様に製造したコアを、錠剤被覆用に通常使用される物質、例えば、コリドン又はセラック、アラビアゴム、タルク、二酸化チタン又は糖で被覆することにより製造してもよい。遅延放出を達成するか又は不適合性を防ぐために、コアは多層からなっていてもよい。同様に、錠剤コーティングは多層からなり、可能ならば、錠剤用の前記賦形剤を使用して、遅延放出を達成してもよい。
【0059】
本発明による活性物質又はそれらの組み合わせを含むシロップ及びエリキシルは、甘味剤、例えば、サッカリン、シクラメート、グリセロール又は糖及びフレーバー増強剤、例えば、矯味矯臭剤、例えばバニリン又はオレンジ抽出物をさらに含んでいてもよい。また、それらは、サスペンジョンアジュバント又は増粘剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、湿潤剤、例えば、脂肪アルコールと酸化エチレンの縮合物、又は保存剤、例えばp-ヒドロキシ安息香酸を含んでいてもよい。
【0060】
注入(injection)及び輸液(infusion)用の溶液は、通常の方法において、例えば、保存剤、例えば、p-ヒドロキシ安息香酸、又は安定化剤、例えばエチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩を添加し、所望により、乳化剤及び/又は分散剤を使用して製造され、一方、水が使用される場合、希釈有機溶剤は、可溶化剤又は補助溶剤として所望により使用されてもよく、注入バイアル又はアンプル又は輸液ボトルに移される。
一つ以上の活性物質又は活性物質の組み合わせを含むカプセルは、活性物質を、例えば、不活性キャリヤー、例えばラクトース又はソルビトールと混合し、それらをゼラチンカプセルに包むことにより製造してもよい。
【0061】
好適な坐剤は、このために提供されるキャリヤー、例えば中性脂肪又はポリエチレングリコール又はそれらの誘導体と混合することにより製造してもよい。
好適な賦形剤は、例えば、水、医薬的に許容され得る有機溶剤、例えば、パラフィン(石油留分)、植物起源の油(例えば、ラッカセイ油又はゴマ油)、単官能性又は多官能性アルコール(例えば、エタノール又はグリセロール)、キャリヤー、例えば天然ミネラル粉末(例えば、カオリン、クレー、タルク、チョーク)、合成ミネラル粉末(例えば、高分散シリカ及びシリケート)、糖(例えば、グルコース、ラクトース及びデキストロース)、乳化剤(例えば、リグニン、使用済亜硫酸液、メチルセルロース、デンプン及びポリビニルピロリドン)及び滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸及びラウリル硫酸ナトリウム)であってもよい。
【0062】
製剤は、通常の方法、好ましくは、経口又は経皮経路、特に好ましくは、経口経路で投与される。経口的に投与される場合、錠剤は、当然、添加剤、例えば、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム及びリン酸二カルシウムを、様々な添加剤、例えば、デンプン、好ましくはジャガイモデンプン、ゼラチン等と、さらには前記キャリヤーと共に含んでいてもよい。滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクを使用して錠剤を形成してもよい。水性サスペンジョンの場合、活性物質を、様々なフレーバー増強剤又は着色剤、さらには前記賦形剤と合わせてもよい。非経口用には、活性物質の溶液は、好適な液体キャリヤー材料を使用して製造してもよい。
【実施例】
【0063】
以下の実施例は、本発明を制限するものではなく、説明するものである:
例1:従来技術化合物と比較したBIBW 2992の分子力及び選択性
表1にまとめたデータは、ポリ(GluTyr)へのホスフェートの導入を測定する飽和ATP濃度で行った標準的な溶解状態(in-solution)キナーゼアッセイを使用して得た。直接比較用に、いずれかのキナーゼアッセイにおいて異なる化合物について、同じ状態を使用した。IC50値を、三通りで行った12点用量応答曲線から算出した。
【0064】

【0065】
例2:従来技術化合物と比較した、BIBW 2992によるEGF誘導EGFR及び構成HER2レセプターホスホリル化の阻害
EC50値を、12点用量応答曲線から算出した。レセプターホスホリル化アッセイ用に、細胞を試験化合物で1時間プレインキュベートした。その後、細胞を、EGF(100ng/mlで20分間)刺激するか、又は直接収集し、ELISAによりpEGFR又はpHERについて試験した。ヨウ化プロピジウムベースアッセイを使用し、インビトロにおけるBT-474細胞の増殖を評価した。その化合物を直接、直接比較を可能にする条件下で試験した。
二重EGFR/HER2阻害は、細胞増殖をより強力に阻害した。
【0066】

【0067】
例3:BIBW 2992によるアポトーシスの誘導
NCI胃癌細胞を、250nM BIBW 2992によりインビトロにおいて処理した。表示時間のポイントにおいて、細胞を収集し、Roche Diagnosticsの細胞死ELISAキット#1774425を使用して遊離ヌクレオソーム(アポトーシスホールマーク)について、サンプルを分析した。結果を図1に示した(添付資料)。
以下の実施例は、BIBW 2992の1日1回投与が、用量依存法において、ヌードマウスにおける様々なヒト腫瘍異種移植の成長を明らかに阻害することを示している。
【0068】
例4:既存のHNSCC FaDu異種移植片の成長におけるBIBW 2992の効果
確立された腫瘍(50〜100mm3)を保持するマウスを、表示量で1日1回経口的に処理した。処理の最終日、血漿のサンプルを収集し、化合物量について分析した。結果を図2に示した(添付資料)。
【0069】
例5:MDA-MB-453及びSKOV-3異種移植片の成長におけるBIBW 2992の効果
確立された腫瘍(50〜100mm3)を保持するマウスを、比較化合物の表示量で1日1回経口的に処理した。処理の最終日、血漿のサンプルを収集し、化合物量について分析した。結果を図3に示した(添付資料)。
【0070】
例6:大きなNCI-N87異種移植片の成長におけるBIBW 2992の効果
確立された腫瘍(パネルA:50〜100mm3;パネルB:450mm3)を保持するマウスを、1日1回BIBW 2992の経口投与又は週に一度、表示量のヘルセプチンの静脈注射により処理した。BIBW 2992での1日1回経口投与により、NCI-N87の異種移植片の回帰が導かれた。
結果を図4に示した(添付資料)。
【0071】
例7:幾つかの異種移植片モデルにおけるBIBW 2992の薬力学的評価
確立された腫瘍(50〜100mm3)を保持するマウスを、比較化合物の表示量で1日1回経口的に処理した。処理の最終日、血漿のサンプルを収集し、化合物量について分析した。
BIBW 2992 20mg/kgでの1日1回経口処理により、様々な異種移植片モデルにおいて十分な抗腫瘍活性が生じた。結果を表3にまとめた。
【0072】

【0073】
T/C(処理/コントロール)値は、コントロール値の%に対応する:
実験終了時のコントロール群(通常N=10)の平均腫瘍サイズに対する処理群の平均値を100%にセットした(例えば、コントロール群1000mm3における平均値に対して処理群の平均値200mm3は、T/C値20%である)。
【0074】
例8:BIBW 2992で処理した患者の応答
(a)BIBW 2992 MA2 10mgで毎日治療した(用量はベースフォームを参照:連続投与スケジュール)転移性腺癌の1女性患者は、治療の2ヶ月後に部分的応答を確認した。肺の病変は明らかに>35%減少し、4週間毎に繰り返しCTスキャンで確認した。定期的な間隔で行ったCTスキャンにより、部分的応答の継続が確認された。毎日40mgまでBIBW 2992を増量して治療した進行性脳転移を治療した患者では、彼女の大脳疾患における応答が導かれた。この患者は、BIBW 2992を開始した後23ヶ月治療状態にある。この患者の腫瘍細胞は、複合へテロ接合性EGFR突然変異、例えばキナーゼドメイン(野生型HER2ドメインを除く)の4-アミノ酸の欠失及びミスセンス突然変異を有する。
(b)BIBW 2992 MA2で処理した非小細胞肺癌、胸膜腫瘍及び縦隔リンパ節の他の女性患者を、また、毎日40mgの連続投与スケジュールにおいて治療し、治療の2ヵ月後CTスキャンにより進行した部分応答を測定した。5つの標的病変を確認した;それらの合計は、7.3から2.6cmに、65%減少した。BIBW 2992での治療を開始した後、14ヶ月、部分応答は持続した。そのキナーゼドメインの同じ領域の5-アミノ酸のインフレーム欠失は、この患者において検出された。
(c)14日間投薬14日間休薬を行い、耳下腺腫瘍の2患者、食道癌1患者、結腸直腸癌1患者、乳癌1患者、甲状腺癌1患者、及び他の内分泌癌1患者は、少なくとも6ヶ月間安定した疾患状態であり、6ヶ月より長い期間治療した。
(d)連続投与スケジュールにおいて、また、部分的に寛解した前記非小細胞肺癌患者の他に、胸腺癌患者(1日40mg)及び卵巣癌患者(1日20mg)は、少なくとも6ヶ月安定した疾患状態であった。
(e)ドセタキセル(3週間)及びドセタキセルの投与3日後に与えたBIBW 2992の組み合わせ治療スケジュールにおいて、1患者は完全な応答を示し(乳癌)、1患者は部分的応答を示した(食道)。
(f)ドセタキセル(3週間毎)及びドセタキセルの投与20日又は13日後に与えたBIBW 2992の組み合わせ治療スケジュールにおいて、2患者が部分的応答を示した(卵巣癌及び非小細胞肺癌)。
【0075】
例9:乾燥造粒法による活性物質75mgを含有する被覆即放錠剤
組成:
1錠中に以下のものを含む:
活性物質 75.0 mg
無水リン酸カルシウム 108.0 mg
コーンスターチ 35.5 mg
ポリビニルピロリドン 10.0 mg
ステアリン酸マグネシウム 1.5 mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 7.5 mg
ポリエチレングリコール 1.0 mg
ポリデキストロース 5.0 mg
タルク 1.0 mg
色素 0.5 mg
水 (揮発性) ***
245.0 mg
【0076】
調製:
活性物質を、リン酸カルシウム、コーンスターチ、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びステアリン酸マグネシウムの半量と混合した。リボンをローラーコンパクター中に製造し、その後、これらを好適な機械を使用して、1.5 mmメッシュサイズの篩にかけてこすり落とし、残りのステアリン酸マグネシウムと混合した。この顆粒を打錠機中で圧縮し、所望の形状の錠剤を形成した。
コア質量:230 mg
錠剤の形状:9mm丸、両面凸形。
錠剤のコアを、その後、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリデキストロース、タルク及び色素から本質的になる水性フィルムコートで被覆した。
被覆錠の質量:245mg。
【0077】
例10:有機造粒法による活性物質100mgを含む徐放錠
1錠中に以下のものを含む:
活性物質 100.0 m
ラクトース 34.0 mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 80 mg
ポリビニルピロリドン 4.0 mg
ステアリン酸マグネシウム 2.0 mg
エタノール(揮発性) ***
220.0 mg
【0078】
調製:
活性物質、ラクトース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースを一緒に混ぜ、ポリビニルピロリドンのエタノール溶液で均一に湿らせた。湿潤組成物を篩い(2.0nmメッシュサイズ)、ラック型ドライヤーで50℃で乾燥した後、それを再び篩い(1.5nmメッシュサイズ)、滑沢剤を加えた。最終混合物を圧縮し、錠剤を形成した。
錠剤の質量:220mg
錠剤の形状:10mm、平面、斜傾縁
【0079】
例11:水性造粒法による活性物質150mgを含む錠剤
1錠中に以下のものを含む:
活性物質 150.0 mg
粉末ラクトース 98.0 mg
コーンスターチ 40.0 mg
コロイド状シリカ 1.0 mg
ポリビニルピロリドン 10.0 mg
ステアリン酸マグネシウム 1.0 mg
300.0 mg
【0080】
調製:
ラクトース、コーンスターチと混ぜた活性物質を、20%ポリビニルピロリドン水溶液で湿らせ、メッシュサイズ1.5mmの篩にかけた。45℃で乾燥した顆粒を再び同じ篩にかけ、所定量のステアリン酸マグネシウム及びコロイド状シリカと混合した。錠剤は、その最終混合物から圧縮した。
錠剤の質量:300mg
錠剤の形状:14mm×6.8mm、長方形両面凸、エンボス加工
【0081】
例12:顆粒において活性物質150mgを含む硬カプセル
組成:
1カプセル中に以下のものを含む:
活性物質 150.0 mg
微結晶性セルロース 80.0 mg
ラクトース(スプレードライ) 87.0 mg
コロイド状シリカ 10.0 mg
320.0 mg
【0082】
調製:
活性物質を、高剪断ミキサー中、賦形剤と混合し、メッシュサイズ0.75mmの篩いにかけ、好適な装置を使用して均一に混合した。最終混合物をサイズ1の硬ゼラチンカプセルに充填した。
カプセル充填物:320mg
カプセル形状:サイズ1、不透明な硬カプセル
【0083】
例13:液体充填物として活性物質150mgを含む硬カプセル
組成:
1カプセル中に以下のものを含む:
活性物質 150.0 mg
ラッカセイ油 300.0 mg
コロイド状シリカ 10.0 mg
460.0 mg
【0084】
調製:
活性物質をホモジナイザー内部で賦形剤に溶解し、コロイド状シリカを、粘度調整のために加えた。最終混合物をサイズ1の硬ゼラチンカプセルに充填した。
カプセル充填物:460mg
カプセル形状:サイズ0、不透明な硬カプセル
【0085】
例14:活性物質150mgを含む坐剤
組成:
1坐剤中に以下のものを含む:
活性物質 150.0 mg
ポリエチレングリコール1500 550.0 mg
ポリエチレングリコール6000 460.0 mg
ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート 840.0 mg
2,000.0 mg
【0086】
調製:
坐剤基質を溶融した後、活性物質をそこに均一に懸濁し、その溶融物を冷却した型に注いだ。
【0087】
例15:活性物質50mgを含む坐剤
組成:
サスペンジョン100mlに以下のものを含む:
活性物質 1.00 g
カルボキシメチルセルロース-Na-塩 0.10 g
p-ヒドロキシ安息香酸メチル 0.05 g
p-ヒドロキシ安息香酸プロピル 0.01 g
グルコース 10.00 g
グリセロール 5.00 g
70%ソルビトール溶液 20.00 g
矯味矯臭剤 0.30 g
蒸留水を加えて全量を100.0mlにする
【0088】
調製:
蒸留水を70℃に加熱した。グリセロール及びカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩と合わせたp-ヒドロキシ安息香酸メチル及びp-ヒドロキシ安息香酸プロピルを、攪拌しながらそこに溶解した。溶液を周囲温度に冷まし、活性物質を加え、攪拌しながらそこに均一に分散した。糖、ソルビトール溶液及び矯味矯臭剤を加え、溶解した後、サスペンジョンを攪拌しながら脱気した。
サスペンジョン5mlは活性物質50mgを含んでいた。
【0089】
例16:活性物質10mgを含むアンプル
組成:
1アンプルは以下のものを含む:
活性物質 10.0mg
0.01N 塩酸 十分量
塩化ナトリウム 十分量
二重(double)蒸留水を加えて全量を2.0mlにする
【0090】
調製:
活性物質を、要求量の0.01N HClに溶解し、塩化ナトリウムで等張化し、滅菌ろ過し、その後のスチーム滅菌により2mlアンプルに移した。
【0091】
例17:活性物質50mgを含むアンプル
組成:
1アンプル中に以下のものを含む:
活性物質 50.0mg
0.01N塩酸 十分量
塩化ナトリウム 十分量
二重蒸留水を加えて全量を10.0mlにする
【0092】
調製:
活性物質を必要量の0.01N HClに溶解し、塩化ナトリウムで等張化し、滅菌ろ過し、その後のスチーム滅菌により10mlアンプルに移した。
【0093】
例18:活性物質5mgを含む吸入パウダー用カプセル
組成:
1カプセル中以下のものを含む:
活性物質 5.0mg
吸入用ラクトース 15.0mg
20.0mg
【0094】
調製:
活性物質を吸入用ラクトースと混合した。混合物を、カプセル製造機においてカプセルに充填した(空のカプセル質量約50mg)。
カプセル質量:70.0mg
カプセルサイズ 3
【0095】
例19:
活性物質2.5mgを含む手持ち式ネブライザー用吸入用溶液
組成物:
1スプレー中以下のものを含む:
活性物質 2.500mg
塩化ベンザルコニウム 0.001mg
1N 塩酸十分量 2.500mg
エタノール/水(50/50 m/m)を加えて全量を15.000mgにする
【0096】
調製:
活性物質及び塩化ベンザルコニウムを、エタノール/水(50/50)に溶解した。溶液のpHを1N 塩酸で調整した。得られた溶液を滅菌ろ過し、手持ち式ネブライザー(カートリッジ)における使用のための好適な容器に移した。
容器の内容量:4.5g
【0097】
次に、本発明の態様を示す。
1. 癌の治療方法であって、治療有効量の一般式(I)の化合物を、所望により、その互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー及びそれらの混合物の形態、及び所望により薬理学的に許容され得るその酸付加塩、溶媒和化合物、水和物、多形体、生理学的に官能性の誘導体又はそれらのプロドラッグの形態において、それらを必要とする患者に、所望により放射線療法、放射線-免疫療法及び/又は手術による癌切除との組み合わせにおいて、投与することを含む、前記方法:
【化11】

{式中、Raは、ベンジル基、1-フェニルエチル基又は3-クロロ-4-フルオロフェニル基を示し、
Rbは、水素原子又はC1-4-アルキル基を示し、
Rcは、シクロプロピルメトキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、テトラヒドロフラン-3-イル-オキシ基、テトラヒドロフラン-2-イル-メトキシ基、テトラヒドロフラン-3-イル-メトキシ基、テトラヒドロピラン-4-イル-オキシ基又はテトラヒドロピラン-4-イル-メトキシ基を示し、
Rdは、ジメチルアミノ基、N-シクロプロピル-N-メチル-アミノ基、N-シクロプロピルメチル-N-メチル-アミノ基、N-エチル-N-メチル-アミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N-イソプロピル-N-メチル-アミノ基、N-(2-メトキシエチル)-N-メチル-アミノ基、N-(1-メトキシ-2-プロピル)-N-メチル-アミノ基、N-(3-メトキシプロピル)-N-メチル-アミノ基、ピロリジノ基、2-メチルピロリジノ基、2-(メトキシメチル)-ピロリジノ基、モルホリノ基、(1S,4S)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-イル基、(1R,4R)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-イル基、N-シクロプロピル-N-メチル-アミノ基、N-メチル-N-(テトラヒドロフラン-3-イル)-アミノ基、N-メチル-N-(テトラヒドロフラン-2-イル-メチル)-アミノ基、N-メチル-N-(テトラヒドロフラン-3-イル-メチル)-アミノ基、N-メチル-N-(テトラヒドロピラン-4-イル)-アミノ基又はN-メチル-N-(テトラヒドロピラン-4-イル-メチル)-アミノ基又は一般式(II)の基を示す;
【化12】

(式中、Re及びRfは同一でも異なっていてもよく、各場合において、水素原子又はC1-3-アルキル基を示す。)}
2. 式中、Raが、3-クロロ-4-フルオロフェニル基を示し、
Rbが、水素原子を示し、
Rcが、シクロプロピルメトキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、テトラヒドロフラン-3-イル-オキシ基、テトラヒドロフラン-2-イル-メトキシ基、テトラヒドロフラン-3-イル-メトキシ基、テトラヒドロピラン-4-イル-オキシ基又はテトラヒドロピラン-4-イル-メトキシ基を示し、
Rdが、ジメチルアミノ基、N-シクロプロピル-N-メチル-アミノ基、N-シクロプロピルメチル-N-メチル-アミノ基、N-エチル-N-メチル-アミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N-イソプロピル-N-メチル-アミノ基、N-(2-メトキシエチル)-N-メチル-アミノ基、N-(1-メトキシ-2-プロピル)-N-メチル-アミノ基、N-(3-メトキシプロピル)-N-メチル-アミノ基、ピロリジノ基、2-メチルピロリジノ基、2-(メトキシメチル)-ピロリジノ基、モルホリノ基、(1S,4S)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-イル基、(1R,4R)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-イル基、N-メチル-N-(テトラヒドロフラン-3-イル)-アミノ基、N-メチル-N-(テトラヒドロフラン-2-イル-メチル)-アミノ基、N-メチル-N-(テトラヒドロフラン-3-イル-メチル)-アミノ基、N-メチル-N-(テトラヒドロピラン-4-イル)-アミノ基又はN-メチル-N-(テトラヒドロピラン-4-イル-メチル)-アミノ基又は一般式(II)の基を示す、上記1に記載の方法;
【化13】

(式中、Re及びRfは水素原子を示す)。
3. 式中、Raが、3-クロロ-4-フルオロフェニル基を示し、
Rbが、水素原子を示し、
Rcが、テトラヒドロフラン-3-イル-オキシ基、テトラヒドロフラン-2-イル-メトキシ基、テトラヒドロフラン-3-イル-メトキシ基、テトラヒドロピラン-4-イル-オキシ基又はテトラヒドロピラン-4-イル-メトキシ基を示し、
Rdが、ジメチルアミノ基、N-シクロプロピル-N-メチル基、N-エチル-N-メチル-アミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N-イソプロピル-N-メチル-アミノ基、モルホリノ基、(1S,4S)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-イル基又は(1R,4R)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-イル基又は一般式(II)の基を示す、上記1に記載の方法;
【化14】

(式中、Re及びRfは水素原子を示す)。
4. 式中、Raが、3-クロロ-4-フルオロフェニル基を示し、
Rbが、水素原子を示し、
Rcが、テトラヒドロフラン-3-イル-オキシ基、テトラヒドロフラン-2-イル-メトキシ基又はテトラヒドロフラン-3-イル-メトキシ基を示し、
Rdが、ジメチルアミノ基又は一般式(II)の基を示す、上記1に記載の方法;
【化15】

(式中、Re及びRfは水素原子を示す)。
5. 一般式(I)の化合物が、所望によりその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー及びそれらの混合物の形態、及び所望により薬理学的に許容され得るその酸付加塩、溶媒和化合物、水和物、多形体、生理学的に官能性の誘導体又はそれらのプロドラッグの形態にある、以下からなる群より選ばれる、上記1に記載の方法;
(a)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロブチルオキシ-キナゾリン、
(b)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロペンチルオキシ-キナゾリン、
(c)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン、
(d)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン、
(e)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-(テトラヒドロピラン-4-イルオキシ)-キナゾリン、
(f)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(g)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-3-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(h)4-[(R)-(1-フェニル-エチル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロプロピルメトキシ-キナゾリン、
(i)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(モルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(j)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(k)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(ホモモルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン、
(l)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(N-エチル-N-メチル-アミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン、
(m)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(N-イソプロピル-N-メチル-アミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン、
(n)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(N-シクロプロピル-N-メチル-アミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロペンチルオキシ-キナゾリン、
(o)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジエチル-アミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロプロピルメトキシ-キナゾリン、
(p)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-((1S,4S)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン、
(q)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン及び
(r)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロプロピルメトキシ-キナゾリン。
6. 一般式(I)の化合物が、所望によりその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー及びそれらの混合物の形態、及び所望により薬理学的に許容され得るその酸付加塩、溶媒和化合物、水和物、多形体、生理学的に官能性の誘導体又はそれらのプロドラッグの形態にある、以下からなる群より選ばれる、上記1に記載の方法;
(d)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン、及び
【化16】

(k)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(ホモモルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン;
7. 一般式(I)の化合物が
(d')4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンジマレエートである、上記1に記載の方法。
8. 癌が、カルシノーマ、肉腫、黒色腫、骨髄腫、血液学的新形成、リンパ腫及び小児癌からなる群より選ばれる、上記1〜7のいずれか1項に記載の方法。
9. 癌が以下からなる群より選ばれる、上記1〜7のいずれか1項に記載の方法:
・頭部及び首の腫瘍:SCC、AC、移行細胞癌、粘膜表皮癌、未分化カルシノーマ;
・中枢神経系腫瘍:星状細胞腫、グリア芽細胞腫、髄膜腫、神経鞘腫、シュワン細胞腫、上衣細胞腫、下垂体腫、乏突起細胞腫、髄芽腫;
・気管支及び縦隔の腫瘍:
- 気管支腫瘍:
* 小細胞肺癌(SCLC):燕麦細胞肺癌、中間細胞癌、複合燕麦細胞肺癌;
* 非小細胞肺癌(NSCLC):SCC、紡錘細胞カルシノーマ、AC、細気管支肺胞性カルシノーマ、大細胞NSCLC、明細胞NSCLC;
- 中皮腫;
- 胸腺腫;
- 甲状腺カルシノーマ:乳頭状、濾胞性、未分化、髄様;
・消化管の腫瘍:
- 食道癌:SCC、AC、未分化、カルチノイド、肉腫;
- 胃癌:AC、腺扁平上皮、未分化;
- 結腸直腸癌:AC、例えばAC、カルチノイド、肉腫の遺伝型;
- 肛門癌:SCC、移行上皮癌、AC、基底細胞カルシノーマ;
- 膵癌:AC、例えば腺管及び腺房の癌、乳頭状、腺扁平上皮、未分化、内分泌膵臓の腫瘍;
- 肝臓カルシノーマ、胆管癌、血管肉腫、肝芽腫;
- 胆道カルシノーマ:AC、SCC、小細胞、未分化;
- 胃腸ストローマ腫瘍(GIST);
・婦人科の癌:
- 乳癌:AC、例えば、浸潤性管、小葉及び延髄の癌、管状、粘液性癌、パジェットカルシノーマ、炎症性カルシノーマ、原位置での腺管及び小葉カルシノーマ;
- 卵巣癌:上皮細胞腫、間質腫瘍、胚細胞腫、未分化腫瘍;
- 子宮頚癌:SCC、AC、混合及び未分化腫瘍;
- 子宮体癌:AC、SCC、混合、未分化腫瘍;
- 陰門癌:SCC、AC;
- 膣癌:SCC、AC;
・尿路及び睾丸癌:
- 睾丸癌:精上皮腫;
- 非セミノーム性胚細胞腫:奇形腫、胎児細胞カルシノーマ、絨毛癌、卵黄嚢腫瘍、混合、セルトリ及びライディッヒ細胞腫瘍;
- 性腺外胚細胞腫瘍;
- 前立腺癌:AC、小細胞、SCC;
- 腎細胞癌:AC、例えば、明細胞、乳頭状及び嫌色素細胞カルシノーマ、遺伝型(例えば、フォンヒッペル・リンドウ症候群)、腎芽腫;
- 膀胱癌:移行細胞(尿路上皮性)癌、SCC、AC;
- 尿道癌:SCC、移行細胞癌、AC;
- 陰茎癌:SCC;
・内分泌組織の腫瘍:
- 甲状腺癌:乳頭状、濾胞性、未分化、髄様カルシノーマ、例えば、MEN症候群;
- 内分泌膵臓の腫瘍;
- カルチノイド;
- 褐色細胞腫;
ユーイング肉腫、骨肉腫又は骨原性肉腫、軟骨肉腫、滑膜肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、中皮肉腫又は中皮腫、線維肉腫、血管肉腫又は血管内皮腫、脂肪肉腫、神経膠腫又は星細胞腫、粘液肉腫、悪性線維性組織球腫、間葉細胞腫又は混合性中胚葉腫瘍、神経芽細胞腫及び明細胞肉腫;
表在拡大型黒色腫、結節性及び悪性黒子型;
イムノサイトーマ、形質細胞腫及び多発(性)骨髄腫;白血病;
・ホジキンリンパ腫;
・非ホジキンリンパ腫:T-及びB-細胞リンパ腫
- B-細胞リンパ腫:
* 低及び中悪性度:慢性リンパ球性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、小リンパ球性リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、プラズマ細胞リンパ腫、外套細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺緑帯リンパ腫、例えばMALT-リンパ腫;
* 高悪性度:びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL、例えば免疫芽細胞及び中心芽細胞変異体)、リンパ芽球、バーキットリンパ腫;
- T-細胞リンパ腫:
* 低悪性度:T-CLL、T-PLL、菌状息肉腫、セザリー症候群;
* 高悪性度:未分化大細胞、T-免疫芽細胞及びリンパ芽球性;
混合腫瘍、未分化腫瘍及びそれらの転移。
10. 一般式(I)の化合物が、所望によりその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー及びそれらの混合物の形態、及び所望により薬理学的に許容され得るその酸付加塩、溶媒和化合物、水和物、多形体、生理学的に官能性の誘導体又はそれらのプロドラッグの形態にある、以下からなる群より選ばれ:
(a)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロブチルオキシ-キナゾリン、
(b)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロペンチルオキシ-キナゾリン、
(c)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン、
(d)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン(BIBW 2992)、
(e)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-(テトラヒドロピラン-4-イルオキシ)-キナゾリン、
(f)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(g)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-3-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(h)4-[(R)-(1-フェニル-エチル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロプロピルメトキシ-キナゾリン、
(i)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(モルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(j)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(k)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(ホモモルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン、及び
(r)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロプロピルメトキシ-キナゾリン;
かつ、癌症状が、以下からなる群より選ばれる、上記1に記載の方法;
・頭部及び首の腫瘍:SCC、AC、移行細胞癌、粘膜表皮癌、未分化カルシノーマ;
・中枢神経系腫瘍:星状細胞腫、グリア芽細胞腫、髄膜腫、神経鞘腫、シュワン細胞腫、上衣細胞腫、下垂体腫、乏突起細胞腫、髄芽腫;
・気管支及び縦隔の腫瘍:
- 気管支腫瘍:
* 非小細胞肺癌(NSCLC):SCC、紡錘細胞カルシノーマ、AC、細気管支肺胞性カルシノーマ、大細胞NSCLC、明細胞NSCLC;
- 甲状腺カルシノーマ:乳頭状、濾胞性、未分化、髄様;
・消化管の腫瘍:
- 食道癌:SCC、AC、未分化;
- 胃癌:AC、腺扁平上皮、未分化;
- 結腸直腸癌:AC、例えばAC、カルチノイド、肉腫の遺伝型;
- 膵癌:AC、例えば腺管及び腺房の癌、乳頭状、腺扁平上皮、未分化、内分泌膵臓の腫瘍;
- 肝臓癌、胆管癌
・婦人科の癌:
- 乳癌:AC、例えば、浸潤性管、小葉及び延髄の癌、管状、粘液性癌、パジェットカルシノーマ、炎症性カルシノーマ、原位置での腺管及び小葉カルシノーマ;
- 卵巣癌:上皮細胞腫、間質腫瘍、胚細胞腫、未分化腫瘍;
・尿路及び睾丸癌:
- 前立腺癌:AC、小細胞、SCC;
- 腎細胞癌:AC、例えば、明細胞、乳頭状及び嫌色素細胞カルシノーマ、遺伝型(例えば、フォンヒッペル-リンドウ症候群)、ウィルムス腫瘍、腎芽腫;
- 膀胱癌:移行細胞(尿路上皮性)癌、SCC、AC;
ユーイング肉腫、骨肉腫又は骨原性肉腫、軟骨肉腫、滑膜肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、中皮肉腫又は中皮腫、線維肉腫、血管肉腫又は血管内皮腫、脂肪肉腫、神経膠腫又は星細胞腫、粘液肉腫、悪性線維性組織球腫、間葉細胞腫又は混合性中胚葉腫瘍、神経芽細胞腫及び明細胞肉腫。
11. 一般式(I)の化合物が、所望によりその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー及びそれらの混合物の形態、及び所望により薬理学的に許容され得るその酸付加塩、溶媒和化合物、水和物、多形体、生理学的に官能性の誘導体又はそれらのプロドラッグの形態にある、以下からなる群より選ばれ;
(d)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン(BIBW 2992)、
(k)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(ホモモルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン;
かつ、癌症状が、以下からなる群より選ばれる、上記1に記載の方法:
- 頭部及び首の腫瘍:SCC、AC、移行細胞癌、粘膜表皮癌、未分化カルシノーマ;
- 結腸直腸癌、転移又は非転移:AC、例えばAC、カルチノイド、肉腫の遺伝型;
- 膵癌:AC、例えば腺管及び腺房の癌、乳頭状、腺扁平上皮、未分化、内分泌膵臓の腫瘍;
- 乳癌、転移又は非転移:AC、例えば、浸潤性管、小葉及び延髄の癌、管状、粘液性癌、パジェットカルシノーマ、炎症性カルシノーマ、原位置での腺管及び小葉カルシノーマ;
- 前立腺癌:AC、小細胞、SCC;
- 胃癌:AC、腺扁平上皮、未分化;
- 卵巣癌:
- 非小細胞肺癌(NSCLC):SCC、紡錘細胞カルシノーマ、AC、細気管支肺胞性カルシノーマ、大細胞NSCLC、明細胞NSCLC。
12. 一般式(I)の化合物が、
(d')4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンジマレエート(BIBW 2992 MA2)
である、上記11に記載の方法。
13. 患者が、活性EGFR突然変異を含む腫瘍を保持することが示された事前選択された癌患者である、上記1〜12のいずれか1項に記載の方法。
14. EGFR突然変異が、L858R点突然変異、ELREA配列中の欠失/挿入突然変異、エクソン20におけるT790点突然変異及び二重突然変異、例えば、複合L858R/T790M 突然変異からなる群より選ばれる、上記13に記載の方法。
15. 患者が、活性HER2突然変異を含む腫瘍を保持することが示された事前選択された癌患者である、上記1〜12のいずれか1項に記載の方法。
16. HER2突然変異が、M774_A775insAYVM突然変異である、上記15に記載の方法。
17. 所望によりその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー及びそれらの混合物の形態、及び所望により薬理学的に許容され得るその酸付加塩、溶媒和化合物、水和物、多形体、生理学的に官能性の誘導体又はそれらのプロドラッグの形態にある、一般式(I)の化合物の、癌を患う患者の治療用医薬の製造のための使用:
【化17】

{式中、Raは、ベンジル基、1-フェニルエチル基又は3-クロロ-4-フルオロフェニル基を示し、
Rbは、水素原子又はC1-4-アルキル基を示し、
Rcは、シクロプロピルメトキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、テトラヒドロフラン-3-イル-オキシ基、テトラヒドロフラン-2-イル-メトキシ基、テトラヒドロフラン-3-イル-メトキシ基、テトラヒドロピラン-4-イル-オキシ基又はテトラヒドロピラン-4-イル-メトキシ基を示し、
Rdは、ジメチルアミノ基、N-シクロプロピル-N-メチル-アミノ基、N-シクロプロピルメチル-N-メチル-アミノ基、N-エチル-N-メチル-アミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N-イソプロピル-N-メチル-アミノ基、N-(2-メトキシエチル)-N-メチル-アミノ基、N-(1-メトキシ-2-プロピル)-N-メチル-アミノ基、N-(3-メトキシプロピル)-N-メチル-アミノ基、ピロリジノ基、2-メチルピロリジノ基、2-(メトキシメチル)-ピロリジノ基、モルホリノ基、(1S,4S)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-イル基、(1R,4R)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-イル基、N-シクロプロピル-N-メチル-アミノ基、N-メチル-N-(テトラヒドロフラン-3-イル)-アミノ基、N-メチル-N-(テトラヒドロフラン-2-イルメチル)-アミノ基、N-メチル-N-(テトラヒドロフラン-3-イル-メチル)-アミノ基、N-メチル-N-(テトラヒドロピラン-4-イル)-アミノ基又はN-メチル-N-(テトラヒドロピラン-4-イル-メチル)-アミノ基又は一般式(II)の基を示す;
【化18】

(式中、Re及びRfは同一でも異なっていてもよく、各場合において、水素原子又はC1-3-アルキル基を示す)}。
18. 式中、Raが、3-クロロ-4-フルオロフェニル基を示し、
Rbが、水素原子を示し、
Rcが、シクロプロピルメトキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、テトラヒドロフラン-3-イル-オキシ基、テトラヒドロフラン-2-イル-メトキシ基、テトラヒドロフラン-3-イル-メトキシ基、テトラヒドロピラン-4-イル-オキシ基又はテトラヒドロピラン-4-イル-メトキシ基を示し、
Rdは、ジメチルアミノ基、N-シクロプロピル-N-メチル-アミノ基、N-シクロプロピルメチル-N-メチル-アミノ基、N-エチル-N-メチル-アミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N-イソプロピル-N-メチル-アミノ基、N-(2-メトキシエチル)-N-メチル-アミノ基、N-(1-メトキシ-2-プロピル)-N-メチル-アミノ基、N-(3-メトキシプロピル)-N-メチル-アミノ基、ピロリジノ基、2-メチルピロリジノ基、2-(メトキシメチル)-ピロリジノ基、モルホリノ基、(1S,4S)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-イル基、(1R,4R)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-イル基、N-メチル-N-(テトラヒドロフラン-3-イル)-アミノ基、N-メチル-N-(テトラヒドロフラン-2-イル-メチル)-アミノ基、N-メチル-N-(テトラヒドロフラン-3-イル-メチル)-アミノ基、N-メチル-N-(テトラヒドロピラン-4-イル)-アミノ基又はN-メチル-N-(テトラヒドロピラン-4-イル-メチル)-アミノ基又は一般式(II)の基を示す、上記17に記載の一般式(I)の化合物の使用;
【化19】

(式中、Re及びRfは水素原子を示す)。
19. 式中、Raが、3-クロロ-4-フルオロフェニル基を示し、
Rbが、水素原子を示し、
Rcが、テトラヒドロフラン-3-イル-オキシ基、テトラヒドロフラン-2-イル-メトキシ基、テトラヒドロフラン-3-イル-メトキシ基、テトラヒドロピラン-4-イル-オキシ基又はテトラヒドロピラン-4-イル-メトキシ基を示し、
Rdが、ジメチルアミノ基、N-シクロプロピル-N-メチル基、N-エチル-N-メチル-アミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N-イソプロピル-N-メチル-アミノ基、モルホリノ基、(1S,4S)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-イル基又は(1R,4R)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-イル基又は一般式(II)の基を示す、上記17に記載の一般式(I)の化合物の使用;
【化20】

(式中、Re及びRfは水素原子を示す)。
20. 式中、Raが、3-クロロ-4-フルオロフェニル基を示し、
Rbが、水素原子を示し、
Rcが、テトラヒドロフラン-3-イル-オキシ基、テトラヒドロフラン-2-イル-メトキシ基又はテトラヒドロフラン-3-イル-メトキシ基を示し、
Rdが、ジメチルアミノ基又は一般式(II)の基を示す、上記17に記載の一般式(I)の化合物の使用;
【化21】

(式中、Re及びRfは水素原子を示す)。
21. 一般式(I)の化合物が、所望によりその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー及びそれらの混合物の形態、及び所望により薬理学的に許容され得るその酸付加塩、溶媒和化合物、水和物、多形体、生理学的に官能性の誘導体又はそれらのプロドラッグの形態にある、以下からなる群より選ばれる、上記17に記載の使用;
(a)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロブチルオキシ-キナゾリン、
(b)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロペンチルオキシ-キナゾリン、
(c)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン、
(d)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン、
(e)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-(テトラヒドロピラン-4-イルオキシ)-キナゾリン、
(f)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(g)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-3-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(h)4-[(R)-(1-フェニル-エチル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロプロピルメトキシ-キナゾリン、
(i)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(モルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(j)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(k)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(ホモモルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン、
(l)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(N-エチル-N-メチル-アミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン、
(m)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(N-イソプロピル-N-メチル-アミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン、
(n)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(N-シクロプロピル-N-メチル-アミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロペンチルオキシ-キナゾリン、
(o)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジエチル-アミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロプロピルメトキシ-キナゾリン、
(p)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-((1S,4S)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン、
(q)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン及び
(r)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロプロピルメトキシ-キナゾリン。
22. 一般式(I)の化合物が、所望によりその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー及びそれらの混合物の形態、及び所望により薬理学的に許容され得るその酸付加塩、溶媒和化合物、水和物、多形体、生理学的に官能性の誘導体又は代謝物又はそれらのプロドラッグの形態にある、以下からなる群より選ばれる、上記17に記載の使用;
(d)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン、及び
【化22】

(k)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(ホモモルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン。
23. 一般式(I)の化合物が
(d')4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンジマレエートである、上記17に記載の使用。
24. 癌が、カルシノーマ、肉腫、黒色腫、骨髄腫、血液学的新形成、リンパ腫及び小児癌からなる群より選ばれる、上記17〜23のいずれか1項に記載の使用。
25. 癌が以下からなる群より選ばれる、上記17〜23のいずれか1項に記載の使用:
・頭部及び首の腫瘍:SCC、AC、移行細胞癌、粘膜表皮癌、未分化カルシノーマ;
・中枢神経系腫瘍:星状細胞腫、グリア芽細胞腫、髄膜腫、神経鞘腫、シュワン細胞腫、上衣細胞腫、下垂体腫、乏突起細胞腫、髄芽腫;
・気管支及び縦隔の腫瘍:
- 気管支腫瘍:
* 小細胞肺癌(SCLC):燕麦細胞肺癌、中間細胞癌、複合燕麦細胞肺癌;
* 非小細胞肺癌(NSCLC):SCC、紡錘細胞カルシノーマ、AC、細気管支肺胞性カルシノーマ、大細胞NSCLC、明細胞NSCLC;
- 中皮腫;
- 胸腺腫;
- 甲状腺カルシノーマ:乳頭状、濾胞性、未分化、髄様;
・消化管の腫瘍:
- 食道癌:SCC、AC、未分化、カルチノイド、肉腫;
- 胃癌:AC、腺扁平上皮、未分化;
- 結腸直腸癌:AC、例えばAC、カルチノイド、肉腫の遺伝型;
- 肛門癌:SCC、移行上皮癌、AC、基底細胞カルシノーマ;
- 膵癌:AC、例えば腺管及び腺房の癌、乳頭状、腺扁平上皮、未分化、内分泌膵臓の腫瘍;
- 肝臓カルシノーマ、胆管癌、血管肉腫、肝芽腫;
- 胆道カルシノーマ:AC、SCC、小細胞、未分化;
- 胃腸ストローマ腫瘍(GIST);
・婦人科の癌:
- 乳癌:AC、例えば、浸潤性管、小葉及び延髄の癌、管状、粘液性癌、パジェットカルシノーマ、炎症性カルシノーマ、原位置での腺管及び小葉カルシノーマ;
- 卵巣癌:上皮細胞腫、間質腫瘍、胚細胞腫、未分化腫瘍;
- 子宮頚癌:SCC、AC、混合及び未分化腫瘍;
- 子宮体癌:AC、SCC、混合、未分化腫瘍;
- 陰門癌:SCC、AC;
- 膣癌:SCC、AC;
・尿路及び睾丸癌:
- 睾丸癌:精上皮腫;
- 非セミノーム性胚細胞腫:奇形腫、胎児細胞カルシノーマ、絨毛癌、卵黄嚢腫瘍、混合、セルトリ及びライディッヒ細胞腫瘍;
- 性腺外胚細胞腫瘍;
- 前立腺癌:AC、小細胞、SCC;
- 腎細胞癌:AC、例えば、明細胞、乳頭状及び嫌色素細胞カルシノーマ、遺伝型(例えば、フォンヒッペル・リンドウ症候群)、腎芽腫;
- 膀胱癌:移行細胞(尿路上皮性)癌、SCC、AC;
- 尿道癌:SCC、移行細胞癌、AC;
- 陰茎癌:SCC;
・内分泌組織の腫瘍:
- 甲状腺癌:乳頭状、濾胞性、未分化、髄様カルシノーマ、例えば、MEN症候群;
- 内分泌膵臓の腫瘍;
- カルチノイド;
- 褐色細胞腫;
ユーイング肉腫、骨肉腫又は骨原性肉腫、軟骨肉腫、滑膜肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、中皮肉腫又は中皮腫、線維肉腫、血管肉腫又は血管内皮腫、脂肪肉腫、神経膠腫又は星細胞腫、粘液肉腫、悪性線維性組織球腫、間葉細胞腫又は混合性中胚葉腫瘍、神経芽細胞腫、明細胞肉腫;
表在拡大型黒色腫、結節性及び悪性黒子型;
イムノサイトーマ、形質細胞腫及び多発(性)骨髄腫;白血病;
・ホジキンリンパ腫;
・非ホジキンリンパ腫:T-及びB-細胞リンパ腫
- B-細胞リンパ腫:
* 低及び中悪性度:慢性リンパ球性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、小リンパ球性リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、プラズマ細胞リンパ腫、外套細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、辺緑帯リンパ腫、例えばMALT-リンパ腫;
* 高悪性度:びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL、例えば免疫芽細胞及び中心芽細胞変異体)、リンパ芽球、バーキットリンパ腫;
- T-細胞リンパ腫:
* 低悪性度:T-CLL、T-PLL、菌状息肉腫、セザリー症候群;
* 高悪性度:未分化大細胞、T-免疫芽細胞及びリンパ芽球性;
混合腫瘍、未分化腫瘍及びそれらの転移。
26. 一般式(I)の化合物が、所望によりその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー及びそれらの混合物の形態、並びに、所望により薬理学的に許容され得るその酸付加塩、溶媒和化合物、水和物、多形体、生理学的に官能性の誘導体又は代謝物又はそれらのプロドラッグの形態にある、以下からなる群より選ばれ:
(a)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロブチルオキシ-キナゾリン、
(b)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロペンチルオキシ-キナゾリン、
(c)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン、
(d)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン(BIBW 2992)、
(e)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-(テトラヒドロピラン-4-イルオキシ)-キナゾリン、
(f)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(g)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-3-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(h)4-[(R)-(1-フェニル-エチル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロプロピルメトキシ-キナゾリン、
(i)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(モルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(j)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ]-キナゾリン、
(k)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(ホモモルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン、及び
(r)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-シクロプロピルメトキシ-キナゾリン;
かつ、癌症状が、以下からなる群より選ばれる、上記17に記載の使用;
・頭部及び首の腫瘍:SCC、AC、移行細胞癌、粘膜表皮癌、未分化カルシノーマ;
・中枢神経系腫瘍:星状細胞腫、グリア芽細胞腫、髄膜腫、神経鞘腫、シュワン細胞腫、上衣細胞腫、下垂体腫、乏突起細胞腫、髄芽腫;
・気管支及び縦隔の腫瘍:
- 気管支腫瘍:
* 非小細胞肺癌(NSCLC):SCC、紡錘細胞カルシノーマ、AC、細気管支肺胞性カルシノーマ、大細胞NSCLC、明細胞NSCLC;
- 甲状腺カルシノーマ:乳頭状、濾胞性、未分化、髄様;
・消化管の腫瘍:
- 食道癌:SCC、AC、未分化;
- 胃癌:AC、腺扁平上皮、未分化;
- 結腸直腸癌:AC、例えばAC、カルチノイド、肉腫の遺伝型;
- 膵癌:AC、例えば腺管及び腺房の癌、乳頭状、腺扁平上皮、未分化、内分泌膵臓の腫瘍;
- 肝臓癌、胆管癌
・婦人科の癌:
- 乳癌:AC、例えば、浸潤性管、小葉及び延髄の癌、管状、粘液性癌、パジェットカルシノーマ、炎症性カルシノーマ、原位置での腺管及び小葉カルシノーマ;
- 卵巣癌:上皮細胞腫、間質腫瘍、胚細胞腫、未分化腫瘍;
・尿路及び睾丸癌:
- 前立腺癌:AC、小細胞、SCC;
- 腎細胞癌:AC、例えば、明細胞、乳頭状及び嫌色素細胞カルシノーマ、遺伝型(例えば、フォンヒッペル-リンドウ症候群)、ウィルムス腫瘍、腎芽腫;
- 膀胱癌:移行細胞(尿路上皮性)癌、SCC、AC;
ユーイング肉腫、骨肉腫又は骨原性肉腫、軟骨肉腫、滑膜肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、中皮肉腫又は中皮腫、線維肉腫、血管肉腫又は血管内皮腫、脂肪肉腫、神経膠腫又は星細胞腫、粘液肉腫、悪性線維性組織球腫、間葉細胞腫又は混合性中胚葉腫瘍、神経芽細胞腫及び明細胞肉腫。
27. 一般式(I)の化合物が、所望によりその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー及びそれらの混合物の形態、及び所望により薬理学的に許容され得るその酸付加塩、溶媒和化合物、水和物、多形体、生理学的に官能性の誘導体又はそれらのプロドラッグの形態にある、以下からなる群より選ばれ;
(d)4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリン(BIBW 2992)、
(k)4-[(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)アミノ]-6-{[4-(ホモモルホリン-4-イル)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-[(S)-(テトラヒドロフラン-3-イル)オキシ]-キナゾリン;
かつ、癌症状が、以下からなる群より選ばれる、上記17に記載の使用:
- 頭部及び首の腫瘍:SCC、AC、移行細胞癌、粘膜表皮癌、未分化カルシノーマ;
- 結腸直腸癌、転移又は非転移:AC、例えばAC、カルチノイド、肉腫の遺伝型;
- 膵癌:AC、例えば腺管及び腺房の癌、乳頭状、腺扁平上皮、未分化、内分泌膵臓の腫瘍;
- 乳癌、転移又は非転移:AC、例えば、浸潤性管、小葉及び延髄の癌、管状、粘液性癌、パジェットカルシノーマ、炎症性カルシノーマ、原位置での腺管及び小葉カルシノーマ;
- 前立腺癌:AC、小細胞、SCC;
- 胃癌:AC、腺扁平上皮、未分化;
- 卵巣癌:
- 非小細胞肺癌(NSCLC):SCC、紡錘細胞カルシノーマ、AC、細気管支肺胞性カルシノーマ、大細胞NSCLC、明細胞NSCLC。
28. 一般式(I)の化合物が、
(d')4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-6-{[4-(N,N-ジメチルアミノ)-1-オキソ-2-ブテン-1-イル]アミノ}-7-((S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ)-キナゾリンジマレエート(BIBW 2992 MA2)
である、上記27に記載の使用。
29. 患者が、活性EGFR突然変異を含む腫瘍を保持することが示された事前選択された癌患者である、上記17〜28のいずれか1項に記載の使用。
30. EGFR突然変異が、L858R点突然変異、ELREA配列中の欠失/挿入突然変異、エクソン20におけるT790点突然変異及び二重突然変異、例えば、複合L858R/T790M 突然変異からなる群より選ばれる、上記29に記載の使用。
31. 患者が、活性HER2突然変異を含む腫瘍を保持することが示された事前選択された癌患者である、上記17〜28のいずれか1項に記載の使用。
32. HER2突然変異が、M774_A775insAYVM突然変異である、上記31に記載の使用。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望によりその互変異性体、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー及びそれらの混合物の形態、及び所望により薬理学的に許容され得るその酸付加塩、溶媒和化合物、水和物、多形体、生理学的に官能性の誘導体又はそれらのプロドラッグの形態にある、一般式(I)の化合物の、癌を患う患者の治療用医薬の製造のための使用:
【化1】

{式中、Raは、ベンジル基、1-フェニルエチル基又は3-クロロ-4-フルオロフェニル基を示し、
Rbは、水素原子又はC1-4-アルキル基を示し、
Rcは、シクロプロピルメトキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、テトラヒドロフラン-3-イル-オキシ基、テトラヒドロフラン-2-イル-メトキシ基、テトラヒドロフラン-3-イル-メトキシ基、テトラヒドロピラン-4-イル-オキシ基又はテトラヒドロピラン-4-イル-メトキシ基を示し、
Rdは、ジメチルアミノ基、N-シクロプロピル-N-メチル-アミノ基、N-シクロプロピルメチル-N-メチル-アミノ基、N-エチル-N-メチル-アミノ基、N,N-ジエチルアミノ基、N-イソプロピル-N-メチル-アミノ基、N-(2-メトキシエチル)-N-メチル-アミノ基、N-(1-メトキシ-2-プロピル)-N-メチル-アミノ基、N-(3-メトキシプロピル)-N-メチル-アミノ基、ピロリジノ基、2-メチルピロリジノ基、2-(メトキシメチル)-ピロリジノ基、モルホリノ基、(1S,4S)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-イル基、(1R,4R)-2-オキサ-5-アザ-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-イル基、N-シクロプロピル-N-メチル-アミノ基、N-メチル-N-(テトラヒドロフラン-3-イル)-アミノ基、N-メチル-N-(テトラヒドロフラン-2-イルメチル)-アミノ基、N-メチル-N-(テトラヒドロフラン-3-イル-メチル)-アミノ基、N-メチル-N-(テトラヒドロピラン-4-イル)-アミノ基又はN-メチル-N-(テトラヒドロピラン-4-イル-メチル)-アミノ基又は一般式(II)の基を示す;
【化2】

(式中、Re及びRfは同一でも異なっていてもよく、各場合において、水素原子又はC1-3-アルキル基を示す)}。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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【公開番号】特開2013−64024(P2013−64024A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−6405(P2013−6405)
【出願日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【分割の表示】特願2008−539440(P2008−539440)の分割
【原出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】