説明

発がんプロモーション活性の検出方法

【課題】任意の化学物質の発がんプロモーション活性を迅速に調べることができる新規な手段を提供すること。
【解決手段】Bhas42細胞を5種類の既知発がんプロモーターで24時間処理した時点での遺伝子発現をマイクロアレイ分析し、コントロールの溶媒処理群における遺伝子発現と対比して発現量の相対変化を調べることで、発がんプロモーション活性のマーカーとなる199の遺伝子を特定した。被検物質で処理したBhas42細胞におけるマーカー遺伝子の発現量の相対変化を指標とすれば、従来よりも短時間の被検物質処理で発がんプロモーション活性を検出できる。また、既知発がんプロモーターによって発現変化する遺伝子群との一致性を調べることで、プロモーターの系統分類も可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検物質の発がんプロモーション活性を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、発がんの過程は、変異原性物質によるDNAの損傷で引き起こされる正常細胞の潜在性細胞への変化を含む段階(イニシエーション)と、潜在性細胞をがん細胞に発展させる段階(プロモーション)の異なる2過程からなるとされている。イニシエートされた細胞は、発がんプロモーターに繰り返し曝露されてがんに発展する。
【0003】
発がんプロモーターの検出手段を提供することはがん予防に大いに貢献するが、発がんプロモーターの多くは遺伝毒性がなく、そのため短時間で検出できる方法の確立は困難である。
【0004】
例えば、特許文献1、2に記載される方法は、動物を使用し、Ames試験(発がんイニシエーション試験)陽性化合物及び陰性化合物のmRNA発現パターンとの一致度により被検化学物質の発がん性を予測する方法であるが、これは発がんプロモーション活性の予測ではない。動物を使用するため、動物愛護の点でも培養細胞を用いた代替法開発が必要である。
【0005】
特許文献3には、マウス胎児由来のBalb/c 3T3細胞を用いて同定した発がんプロモーター検出マーカー遺伝子が記載されている。しかしながら、細胞を発がんイニシエーターで処理後に発がんプロモーター処理を行なってマーカーを同定しているため、イニシエーター処理による遺伝子発現への影響も含んでいる可能性がある。さらに、被検物質処理時間は48時間を要する。
【0006】
Bhas42細胞はBalb/c 3T3細胞にv−Ha−ras遺伝子を導入した細胞株であり(非特許文献1)、Bhas42細胞の形態変化(フォーカス形成)を指標として発がんプロモーション活性を評価する形質転換試験が知られている(非特許文献2)。この試験では発がんイニシエーション処理は不要であるが、被検物質処理に10日間を要する上、フォーカス形成の観察は被検物質処理からさらに7日後であり、長期間を要する。形態変化が指標のため自動化も困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−252277号公報
【特許文献2】特開2007−54022号公報
【特許文献3】国際公開第2009/001939号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Jpn.J.Cancer Res.(Gann),1988,79,921−930
【非特許文献2】Mutation Research,2004,557(2):191−202
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、任意の化学物質の発がんプロモーション活性を迅速に調べることができる新規な手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明者らは、Bhas42細胞を5種類の既知発がんプロモーターで24時間処理した時点での遺伝子発現をマイクロアレイ分析し、コントロールの溶媒処理群における遺伝子発現と対比して発現量の相対変化を調べた。その結果、Bhas42形質転換試験が陽性であるプロモーターの場合には、各プロモーターごとにそれぞれ有意な発現変化を示す遺伝子群が存在することを見出し、これら遺伝子を特定した。これら遺伝子を発がんプロモーションマーカー遺伝子とし、被検物質で処理したBhas42細胞におけるマーカー遺伝子の発現量の相対変化を指標とすれば、従来よりも短時間の被検物質処理で発がんプロモーション活性を検出できること、さらに、既知発がんプロモーターによって発現変化する遺伝子群との一致性を調べることで、被検物質がいずれの発がんプロモーターに似ているか、すなわちプロモーターの系統分類ができることを見出し、本願発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、被検物質で処理されたBhas42細胞における下記(1)〜(199)の遺伝子の少なくとも1つの発現量の変化を指標として、前記被検物質の発がんプロモーション活性を検出する方法であって、(1)〜(126)の遺伝子は、発現増大した場合に発がんプロモーション活性が検出される遺伝子であり、(127)〜(199)の遺伝子は、発現減少した場合に発がんプロモーション活性が検出される遺伝子である方法を提供する。
(1)1100001G20Rik(配列番号1)、(2)2310002L13Rik(配列番号2)、(3)2410066E13Rik(配列番号3)、(4)5430417L22Rik(配列番号4)、(5)6430527G18Rik(配列番号5)、(6)Aen(配列番号6)、(7)Aldh1a7(配列番号7)、(8)Apcdd1(配列番号8)、(9)Aspm(配列番号9)、(10)Atp2a2(配列番号10)、(11)AW112010(配列番号11)、(12)Bcat1(配列番号12)、(13)C3(配列番号13)、(14)Car5b(配列番号14)、(15)Cbs(配列番号15)、(16)Ccl11(配列番号16)、(17)Ccl9(配列番号17)、(18)Ccne2(配列番号18)、(19)Ccrn4l///LOC100047134(配列番号19)、(20)Cdc6(配列番号20)、(21)Cebpd(配列番号21)、(22)Ces1(配列番号22)、(23)Cib2(配列番号23)、(24)Cp(配列番号24)、(25)Ctps(配列番号25)、(26)Cyr61(配列番号26)、(27)Dkc1(配列番号27)、(28)Dtl(配列番号28)、(29)Emilin1(配列番号29)、(30)Enpp3(配列番号30)、(31)Ephb2(配列番号31)、(32)Eps8///LOC632638(配列番号32)、(33)Errfi1(配列番号33)、(34)Exo1(配列番号34)、(35)Fam171a2(配列番号35)、(36)Fam43a(配列番号36)、(37)Fbn1(配列番号37)、(38)Fkbp5(配列番号38)、(39)Fosl1(配列番号39)、(40)Foxf1a(配列番号40)、(41)Foxm1(配列番号41)、(42)Galntl2(配列番号42)、(43)Gdpd2(配列番号43)、(44)Gdpd5(配列番号44)、(45)Gfod1(配列番号45)、(46)Gla(配列番号46)、(47)Glb1(配列番号47)、(48)Gm10638(配列番号48)、(49)Gm11428(配列番号49)、(50)Gm14446(配列番号50)、(51)Gm22(配列番号51)、(52)Gpr133(配列番号52)、(53)Grk5(配列番号53)、(54)Gsta1///Gsta2(配列番号54)、(55)Herc5(配列番号55)、(56)Hirip3(配列番号56)、(57)Hmga2(配列番号57)、(58)Ifi205///Mnda(配列番号58)、(59)Ifrd2(配列番号59)、(60)Il13ra1(配列番号60)、(61)Il1rl1(配列番号61)、(62)Ivns1abp(配列番号62)、(63)Kif20b(配列番号63)、(64)Lgals2(配列番号64)、(65)LOC100045677///Mcm3(配列番号65)、(66)Ltbp1(配列番号66)、(67)Lum(配列番号67)、(68)Ly6e(配列番号68)、(69)Masp1(配列番号69)、(70)Matr3(配列番号70)、(71)Mmp13(配列番号71)、(72)Mpeg1(配列番号72)、(73)Mthfd1(配列番号73)、(74)Mtm1(配列番号74)、(75)Myc(配列番号75)、(76)Nolc1(配列番号76)、(77)Nop16(配列番号77)、(78)Nop56(配列番号78)、(79)Nr2f2(配列番号79)、(80)Nsl1(配列番号80)、(81)Orm1(配列番号81)、(82)Pdss1(配列番号82)、(83)Peg3(配列番号83)、(84)Per1(配列番号84)、(85)Plekhg4(配列番号85)、(86)Pnn(配列番号86)、(87)Polr1b(配列番号87)、(88)Prelp(配列番号88)、(89)Prkg2(配列番号89)、(90)Prl2c2///Prl2c3///Prl2c4(配列番号90)、(91)Ptgfr(配列番号91)、(92)Ptprf(配列番号92)、(93)Rrm2(配列番号93)、(94)Rrp12(配列番号94)、(95)Rsad2(配列番号95)、(96)S100b(配列番号96)、(97)S1pr3(配列番号97)、(98)Sema3g(配列番号98)、(99)Shmt2(配列番号99)、(
【0012】
100)Slc7a3(配列番号100)、(101)Slfn2(配列番号101)、(102)Slfn4(配列番号102)、(103)Smc2(配列番号103)、(104)Spon2(配列番号104)、(105)Srm(配列番号105)、(106)St3gal5(配列番号106)、(107)Steap1(配列番号107)、(108)Tbc1d4(配列番号108)、(109)Timp4(配列番号109)、(110)Tjp2(配列番号110)、(111)Tk1(配列番号111)、(112)Tmem41a(配列番号112)、(113)Tmem97(配列番号113)、(114)Tnfrsf12a(配列番号114)、(115)Tnfsf10(配列番号115)、(116)Trim25(配列番号116)、(117)Trp53(配列番号117)、(118)Tsc22d3(配列番号118)、(119)Tspan2(配列番号119)、(120)Ttc7b(配列番号120)、(121)Ttll1(配列番号121)、(122)Ttyh2(配列番号122)、(123)Ung(配列番号123)、(124)Vdr(配列番号124)、(125)Wwp2(配列番号125)、(126)Zc3h8(配列番号126)、(127)Adamts4(配列番号127)、(128)Agt(配列番号128)、(129)Ankrd1(配列番号129)、(130)Apod(配列番号130)、(131)Aspn(配列番号131)、(132)Atrx(配列番号132)、(133)AU015680(配列番号133)、(134)Bdh2(配列番号134)、(135)Boc(配列番号135)、(136)Btg2(配列番号136)、(137)Calml4(配列番号137)、(138)Cbr2(配列番号138)、(139)Cd1d1(配列番号139)、(140)Clu///LOC100046120(配列番号140)、(141)Col27a1(配列番号141)、(142)Col3a1(配列番号142)、(143)Crlf1(配列番号143)、(144)Cxc15(配列番号144)、(145)Cyr61(配列番号145)、(146)D0H4S114(配列番号146)、(147)D530037H12Rik(配列番号147)、(148)Dbp(配列番号148)、(149)Dcn(配列番号149)、(150)Dhrs3(配列番号150)、(151)Dleu2(配列番号151)、(152)Dusp1(配列番号152)、(153)Dusp5(配列番号153)、(154)Ebf1(配列番号154)、(155)Egr1(配列番号155)、(156)Egr2(配列番号156)、(157)Egr3(配列番号157)、(158)Enpp2(配列番号158)、(159)Fbxo32(配列番号159)、(160)Fmod(配列番号160)、(161)Fos(配列番号161)、(162)Gpc6(配列番号162)、(163)Hist1h1c(配列番号163)、(164)Ier2(配列番号164)、(165)Jhdm1d(配列番号165)、(166)Kdm6b(配列番号166)、(167)Lgals7(配列番号167)、(168)Lipa(配列番号168)、(169)LOC100047324///Sesn1(配列番号169)、(170)LOC640441///Thbs1(配列番号170)、(171)Matn2(配列番号171)、(172)Mmp14(配列番号172)、(173)Nr4a1(配列番号173)、(174)Per3(配列番号174)、(175)Pik3ip1(配列番号175)、(176)Plac8(配列番号176)、(177)Postn(配列番号177)、(178)Ppargc1a(配列番号178)、(179)Prelp(配列番号179)、(180)Prokr1(配列番号180)、(181)Ptgfr(配列番号181)、(182)Ptn(配列番号182)、(183)Ptplb(配列番号183)、(184)Rbms3(配列番号184)、(185)Rhobtb3(配列番号185)、(186)Scn2a1(配列番号186)、(187)Sesn3(配列番号187)、(188)Slc9a3r2(配列番号188)、(189)Sned1(配列番号189)、(190)Sorbs2(配列番号190)、(191)Sox4(配列番号191)、(192)Tpm1(配列番号192)、(193)Trp53inp2(配列番号193)、(194)Tsc22d2(配列番号194)、(195)Wbscr27(配列番号195)、(196)Ypel1(配列番号196)、(197)Ypel2(配列番号197)、(198)Zbed6(配列番号198)、(199)Zfp36(配列番号199)
【発明の効果】
【0013】
本発明により、従来よりも短時間で遺伝子発現の変化を指標に発がんプロモーション活性を検出できる新規な方法が提供された。Bhas42細胞を用いれば、被検物質処理は24時間と短時間でよく、また発がんイニシエーション処理は不要なため、イニシエーターの影響を排除できる。199の遺伝子の一部又は全てを含むマイクロアレイチップを設計すれば、簡便な発がんプロモーター検出用のチップを提供できる。また、新規DNAマイクロアレイ以外にも、発がんプロモーター検出に特化したトランスクリプトミクス(リアルタイムPCR測定用遺伝子リストおよびプライマーセットなど)、プロテオミクス(プロテインチップなど)、メタボロミクス(代謝産物リストなど)へと展開し、発がんプロモーターの検出に広く応用することも可能である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の方法で使用する細胞は、マウス胎児由来のBalb/c 3T3細胞にv−Ha−ras遺伝子を導入したBhas42細胞である。Bhas42細胞は、非特許文献1及び2に記載されるように公知であり、当業者であれば容易に入手ないしは調製できる。培養条件も公知であり、通常、37℃、5% COインキュベーター内で培養する。
【0015】
本発明の方法では、Bhas42細胞は、例えば5%牛胎児血清(FBS)を添加したDMEM/F12培地(DF5F)で前培養を行なった後、同培地で7x10cells/mL程度の細胞密度の細胞浮遊液を調製して培養を開始する。6wellプレートを用いる場合には細胞浮遊液を2mL/well程度ずつ播種すればよい。播種から4日程度後に被検物質処理又はコントロールの溶媒処理を行なう。通常、被検物質を含む新鮮な培地に交換することで、被検物質処理が行なわれる。プロモーター活性未知の被検物質を調べる場合、ng/ml〜mg/mlのオーダーで数段階の濃度で処理を行ない、サンプルを得てよい。被検物質処理から24時間後、細胞をサンプリングし、常法によりトータルRNAを抽出、このRNA試料について発現解析を行なえばよい。
【0016】
マイクロアレイを用いて発現解析を行なう場合、使用するマイクロアレイで推奨される品質のRNA試料を調製する必要があるが、当業者であれば適宜調製できる。特に限定されないが、通常、Agilent社のBio AnalyzerにてRIN9.0以上を保証される程度の品質であれば、マイクロアレイ解析に好ましく供することができる。例えば、Affymetrix社の3’IVT Express kitにてaRNAを調製した場合、Agilent社のBio AnalyzerにてSmear Analysisを実行し、1000ntにピーク中心があること、1000−4000ntのAUCが全体の35%以上を占めることがRNA試料の条件となり得るが、他社製品使用の場合はこの限りではない。
【0017】
本発明でマーカー遺伝子として使用され得る遺伝子を表1及び表2に示す。配列表に記載されるこれら遺伝子の塩基配列は、GenBankに登録されている塩基配列であり、各RefSeq Transcript IDなどで検索可能な配列である。これらの遺伝子は、下記実施例において、5種類の既知発がんプロモーターのうちの少なくともいずれか1つで有意に(False Discovery Rate(FDR)<0.01)発現量が変化した遺伝子である。表1の126遺伝子((1)〜(126)の遺伝子)が、溶媒処理の対照群に対し2倍以上に発現量が増大した遺伝子であり、表2の73遺伝子((127)〜(199)の遺伝子)が、溶媒処理の対照群に対し0.5倍以下に発現量が減少した遺伝子である。表中、「mRNAを増大(減少)させるプロモーター」の欄には、Bhas42細胞を24時間処理した場合に発現増大(減少)が確認された発がんプロモーターを示す(12−O−テトラデカノイルホルボール13−アセテート(TPA)、オカダ酸(OA)、リトコール酸(LCA)、プロゲステロン(PROG)及び17β−エストラジオール(ED))。
【0018】
【表1−1】

【0019】
【表1−2】

【0020】
【表1−3】

【0021】
【表1−4】

【0022】
【表1−5】

【0023】
【表1−6】

【0024】
【表1−7】

【0025】
【表1−8】

【0026】
【表1−9】

【0027】
【表1−10】

【0028】
【表1−11】

【0029】
【表1−12】

【0030】
【表1−13】

【0031】
【表1−14】

【0032】
【表1−15】

【0033】
【表1−16】

【0034】
【表1−17】

【0035】
【表1−18】

【0036】
【表1−19】

【0037】
【表1−20】

【0038】
【表1−21】

【0039】
【表1−22】

【0040】
【表1−23】

【0041】
【表1−24】

【0042】
【表1−25】

【0043】
【表2−1】

【0044】
【表2−2】

【0045】
【表2−3】

【0046】
【表2−4】

【0047】
【表2−5】

【0048】
【表2−6】

【0049】
【表2−7】

【0050】
【表2−8】

【0051】
【表2−9】

【0052】
【表2−10】

【0053】
【表2−11】

【0054】
【表2−12】

【0055】
【表2−13】

【0056】
【表2−14】

【0057】
(1)〜(199)の遺伝子について、発がんプロモーターごとにグループ分けすると以下の通りである。なお、ED処理で発現量の変化が認められた遺伝子は(161)のみであり、該遺伝子は遺伝子群Aの減少遺伝子にも属する。
【0058】
遺伝子群A:TPA処理で発現量が変化する遺伝子(106遺伝子)
A−1)発現増大する遺伝子(48遺伝子)
(2)(6)(9)(12)(18)(19)(20)(22)(25)(27)(28)(32)(34)(39)(41)(56)(57)(59)(60)(61)(62)(63)(65)(66)(70)(73)(74)(75)(76)(77)(78)(80)(82)(86)(87)(89)(90)(93)(94)(99)(103)(105)(107)(111)(113)(114)(117)(123)
A−2)発現減少する遺伝子(58遺伝子)
(127)(128)(130)(131)(133)(134)(135)(136)(137)(138)(139)(140)(141)(142)(143)(146)(147)(149)(150)(151)(152)(154)(155)(156)(157)(158)(159)(160)(161)(164)(165)(166)(167)(168)(169)(171)(172)(173)(175)(176)(177)(178)(179)(180)(181)(182)(183)(184)(186)(187)(188)(189)(191)(193)(195)(196)(197)(199)
【0059】
遺伝子群B:オカダ酸処理で発現量が変化する遺伝子(43遺伝子)
B−1)発現増大する遺伝子(31遺伝子)
(11)(16)(29)(37)(46)(47)(50)(54)(55)(58)(64)(67)(68)(69)(71)(72)(81)(83)(85)(91)(95)(96)(101)(102)(104)(109)(110)(115)(116)(122)(125)
B−2)発現減少する遺伝子(12遺伝子)
(129)(132)(145)(151)(162)(163)(170)(184)(185)(192)(194)(198)
【0060】
遺伝子群C:リトコール酸処理で発現量が変化する遺伝子(46遺伝子)
C−1)発現増大する遺伝子(44遺伝子)
(1)(3)(4)(5)(8)(10)(13)(14)(15)(17)(21)(23)(26)(30)(31)(33)(35)(36)(40)(42)(44)(45)(48)(49)(51)(52)(53)(64)(71)(79)(81)(88)(92)(97)(100)(106)(107)(108)(112)(119)(120)(121)(124)(126)
C−2)発現減少する遺伝子(2遺伝子)
(190)(192)
【0061】
遺伝子群D:プロゲステロン処理で発現量が変化する遺伝子(19遺伝子)
D−1)発現増大する遺伝子(10遺伝子)
(7)(21)(24)(33)(38)(43)(81)(84)(98)(118)
D−2)発現減少する遺伝子(9遺伝子)
(133)(144)(145)(148)(153)(156)(157)(174)(192)
【0062】
遺伝子群E:17β−エストラジオール処理で発現量が変化する遺伝子(1遺伝子)
発現減少する遺伝子(1遺伝子)
(161)
【0063】
本発明の方法では、(1)〜(199)のマーカー遺伝子のうちの少なくともいずれか1つの遺伝子の発現量を測定し、コントロール処理群に対する相対変化を調べる。測定する遺伝子数は特に限定されず、例えば199遺伝子中の10種以上、30種以上、50種以上、70種以上、100種以上、又は150種以上としても良く、199遺伝子の全てを測定しても良い。複数の遺伝子を測定対象とする場合、遺伝子群A〜Dのいずれか1つから測定対象の遺伝子を選択しても良いが、遺伝子群A〜Dの各群から少なくとも1つずつを選択しても良い。例えば、遺伝子群A〜Dから5以上又は10以上の遺伝子を測定対象としても良いし、あるいは、各群から1割以上(具体的には、遺伝子群Dであれば19遺伝子なので1遺伝子以上)、3割以上(遺伝子群Dであれば5遺伝子以上)、5割以上、又は7割以上の遺伝子を測定対象としても良い。網羅的に解析する観点では、できる限り多数のマーカー遺伝子の発現量を調べることが望ましく、また、対象とするマーカー遺伝子には、遺伝子群A〜Dの少なくとも1遺伝子ずつが含まれることが望ましい。なお、上記の遺伝子に加えて、発がんプロモーションマーカー遺伝子として有用であり得る他の遺伝子(例えば後掲の表4、表5に記載される遺伝子など)の発現量をさらに調べることは差し支えない。
【0064】
多数の遺伝子について発現量を調べる場合にはマイクロアレイを好ましく用いることができる。(1)〜(199)の遺伝子の全てが搭載されたマイクロアレイとしては、例えば下記実施例でも用いた市販のMouse Genome430 2.0アレイ(アフィメトリクス(株))が挙げられるが、これに限定されず、他の市販品を用いることができる。あるいは、上記の199遺伝子を含むアレイを適宜設計して用いても良い。なお、Mouse Genome430 2.0アレイに固定化されている上記(1)〜(199)の遺伝子に対するプローブの配列情報は、アフィメトリクス社のホームページから入手可能であり、当業者であれば下記表3に示すID番号(Probeset name)で容易に特定し入手できる。配列表の配列番号200〜440には、各ID番号で識別されているプローブ配列の具体例を示すが、これら具体例以外の各プローブ配列も当業者であれば容易に入手可能である。アレイ測定データの正規化(summerization,normalization)の手法は、用いるアレイに応じて適宜検討し、解析に最適な手法を選択して用いることができる。群間比較解析には、採用した正規化手法に適した手法を選択して用いることができる。例えば、Mouse Genome430 2.0アレイを用いて被検物質処理したBhas42細胞の遺伝子発現量を調べる場合には、下記実施例で用いた正規化手法等をそのまま用いることができる。
【0065】
【表3−1】

【0066】
【表3−2】

【0067】
【表3−3】

【0068】
【表3−4】

【0069】
【表3−5】

【0070】
被検物質処理群におけるマーカー遺伝子の発現量の相対変化を調べ、コントロール処理群に対し有意な変化(FDR<0.01で、増大遺伝子の場合は2倍以上、減少遺伝子の場合は0.5倍以下)が確認できれば、発がんプロモーション活性が検出されたと判断される。複数のマーカー遺伝子を調べた場合、そのうちの1遺伝子だけでも有意な変化が確認できれば、その被検物質は発がんプロモーション活性を有すると判断でき、2以上の遺伝子で有意な変化が確認できればより確実性が増す。199遺伝子について発現量の相対変化を調べた場合であれば、199遺伝子全体との発現変化の一致率又は遺伝子群A〜Dのうちのいずれか1群との一致率が例えば10%程度以上、20%程度以上、又は30%程度以上であれば、検出結果の確実性がより高まる。例えば、下記実施例に記載されるTBHQの例では、増大126遺伝子のうちの21遺伝子、減少73遺伝子のうちの19遺伝子で有意な変化が確認されており(後掲の表6及び表7参照)、199遺伝子全体との一致率が20%(40/199)、遺伝子群Aとの一致率が37%(39/106)である。もっとも、本発明の範囲はこの具体例に限定されるものではない。
【0071】
本発明の方法で発がんプロモーション活性が検出された場合、該物質は発がんプロモーション活性を有すると判断できる。ただし、本発明の方法で該活性が検出されない場合には、該物質は発がんプロモーション活性を有しないとは判断されず、該活性は不明と判断される。本発明の方法で発がんプロモーション活性が検出されなかった被検物質は、発がんプロモーション活性を有しない物質と、発がんプロモーション活性を有するがBhas42細胞形質転換試験が陰性である物質とのいずれかであり得る。本発明の方法で活性が検出されなかった被検物質については、別途異なる方法で発がんプロモーション活性を調べても良い。
【0072】
被検物質の発がんプロモーション活性が検出された場合には、さらに、該被検物質が発がんプロモーターとしてTPA、オカダ酸、リトコール酸、プロゲステロンのいずれに近いかを調べることもできる。被検物質で発現量が増大又は減少した遺伝子を、上記の遺伝子群A〜Dと対比し、遺伝子の一致性を調べる。その一致性の度合いに基づいて、被検物質をTPA型(A群)、オカダ酸型(B群)、リトコール酸型(C群)、プロゲステロン型(D群)のいずれかに分類することが可能である。A〜Dの各群で遺伝子数は異なるので、一致性は、例えば各群の遺伝子の何%と一致したかによって評価することができる。特に限定されないが、いずれかの群との一致率が10%程度以上、例えば20%程度以上、又は30%程度以上であれば、その群が表す型に分類できる。複数の群との一致率が高い場合には、その被検物質は複数の型に分類され得る。例えば、A群及びB群との一致率が高い場合、その被検物質をTPA/オカダ酸型と分類してよい。下記実施例のTBHQの例では、A群との一致率が37%と非常に高く、TBHQをTPA型に分類することができる。
【実施例】
【0073】
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0074】
1.DNAマイクロアレイによるmRNA発現量測定
1)細胞試料液の調製
Bhas42細胞は、実験ごとに新たに保存細胞株を解凍し、5%牛胎児血清(FBS)を添加したDMEM/F12培地(DF5F)で前培養を行ったものを用いた。同培地を用いてBhas42細胞の7x10cells/mL細胞浮遊液を調製し、6wellプレートに2mL/wellずつ播種した。細胞播種4日後に発がんプロモーター処理又はコントロールの溶媒処理を行なった。発がんプロモーターとして、既知の発がんプロモーターである12−O−テトラデカノイルホルボール13−アセテート(TPA)、オカダ酸(OA)、リトコール酸(LCA)、プロゲステロン(PROG)及び17β−エストラジオール(ED)を用いた。各プロモーターについてDMSO溶液を調製し(TPAは5μg/mL、OAは6μg/mL、LCAは10mg/mL、PROG及びEDは3μmol/mL)、各DMSO溶液をDF5Fに0.1%添加した培地で培地交換を行ない、発がんプロモーター処理群とした(培地中の終濃度は、TPA;5ng/mL、OA;6ng/mL、LCA;10μg/mL、PROG及びED;3nmol/mL)。溶媒対照群については、DMSO(0.1%)を添加したDF5Fで培地交換を行った。24時間後に細胞観察とRNA抽出用細胞試料液の調製を行ない、試料液を−80℃で保存した。各群の細胞試料液は、細胞解凍から完全繰り返し実験3回分(n=3)で調製した。
【0075】
また、各プロモーター物質について、公知のBhas42細胞形質転換試験(非特許文献2:Mutation Research2004 557(2):191−202)および結果判定(Alternatives to Laboratory Animals2005 33:619−639)を行なった。上記の通りにBhas42細胞を準備し、各プロモーター処理は播種後4日から14日まで10日間行なった。播種後7日、11日に培地交換を行なった。播種後14日でプロモーター物質を含まない新鮮な培地に交換し、播種後21日まで培養後、細胞をメタノールで固定、ギムザ染色して形質転換細胞(フォーカス)をカウントした。その結果、TPA、OA、LCA、PROGはフォーカス形成頻度(foci/well)が溶媒対照群に対して有意(Dunnett検定を行い、片側 p<0.05)かつ2倍以上に増大する濃度群が存在し、Bhas42形質転換活性が陽性であった。EDはフォーカス形成頻度(foci/well)が溶媒対照群に対して有意に増大する濃度群も、2倍以上に増大する濃度群も存在しないため、Bhas42形質転換活性は陰性であった。
【0076】
2)RNA試料の抽出精製
凍結保存した細胞試料液を解凍し、クロロホルム分配およびイソプロパノール沈殿によりトータルRNAを抽出し、RNeasy(登録商標)Mini kit(QIAGEN社)を用いて、キアゲン社のプロトコールに従いトータルRNAを精製した。得られたトータルRNA試料について、RNA濃度測定およびAgilent 2100バイオアナライザによりクオリティー評価を行った。
【0077】
3)DNAマイクロアレイ分析用RNA試料の調製および分析
精製後のトータルRNAについて、3’IVT Express Kit(アフィメトリクス(株))を用いて、cDNAに逆転写後、ラベル化aRNAを調製し、精製した後、フラグメンテーションを行った。GeneChip Hybridization,Wash,and stain Kit(アフィメトリクス(株))の試薬と混合し、Mouse Genome 430 2.0アレイ(アフィメトリクス(株))に注入後、45℃で16時間、ハイブリダイゼーションを行った。
【0078】
ハイブリダイゼーションの終了後、アレイの中の溶液を除去し、同キットを用いてFluidics Station 450(アフィメトリクス(株))で洗浄および染色後、Gene Chip Scanner 3000(アフィメトリクス(株))を用いてマイクロアレイ分析を行った。
【0079】
2.マイクロアレイ測定結果の解析およびマーカー遺伝の選出
DNAマイクロアレイ分析により得られたデータ(CELデータ)に対し、はじめに採用する正規化(summarization,normalization)手法の検討を行った。DFW、MAS5、RMAおよびqFARMSによる正規化を、「R」(http://www.r−project.org/)により実行し、階層的クラスター解析を行った。その結果、既知発がんプロモーター処理群と溶媒対照群との間で異なるクラスターを形成する正規化手法としてqFARMSを選択した。
【0080】
続いて、qFARMSにより正規化したデータに対し、統計法としてRank productsを実行し、解析結果をExcelファイルに変換した。
【0081】
5種の各既知発がんプロモーター処理により有意に発現変動したGene(遺伝子)を抽出するために、Rank products実行により得られたデータのFalse Discovery Rate(FDR)をオートフィルターにより昇順に並べなおし、0.05未満のprobe sets(プローブセット)を抽出した。一部の遺伝子については一つの遺伝子が複数のプローブセットによりコードされる場合があることから、抽出されたプローブセットについて、Gene Title(遺伝子名)または、Gene Symbol(遺伝子略名)の重複を削除し、溶媒対照群に対して既知発がんプロモーター処理群で有意にmRNA量が増大または減少した遺伝子名を抽出した(増大:1668遺伝子、減少:1238遺伝子)。これらの遺伝子を下記表4及び表5に示す。
【0082】
【表4−1】

【0083】
【表4−2】

【0084】
【表4−3】

【0085】
【表4−4】

【0086】
【表4−5】

【0087】
【表4−6】

【0088】
【表4−7】

【0089】
【表4−8】

【0090】
【表4−9】

【0091】
【表4−10】

【0092】
【表4−11】

【0093】
【表4−12】

【0094】
【表4−13】

【0095】
【表4−14】

【0096】
【表4−15】

【0097】
【表4−16】

【0098】
【表4−17】

【0099】
【表4−18】

【0100】
【表4−19】

【0101】
【表4−20】

【0102】
【表4−21】

【0103】
【表4−22】

【0104】
【表4−23】

【0105】
【表4−24】

【0106】
【表4−25】

【0107】
【表4−26】

【0108】
【表4−27】

【0109】
【表4−28】

【0110】
【表4−29】

【0111】
【表4−30】

【0112】
【表4−31】

【0113】
【表4−32】

【0114】
【表4−33】

【0115】
【表4−34】

【0116】
【表4−35】

【0117】
【表4−36】

【0118】
【表4−37】

【0119】
【表4−38】

【0120】
【表4−39】

【0121】
【表4−40】

【0122】
【表4−41】

【0123】
【表4−42】

【0124】
【表4−43】

【0125】
【表4−44】

【0126】
【表4−45】

【0127】
【表4−46】

【0128】
【表4−47】

【0129】
【表4−48】

【0130】
【表4−49】

【0131】
【表4−50】

【0132】
【表4−51】

【0133】
【表4−52】

【0134】
【表4−53】

【0135】
【表4−54】

【0136】
【表4−55】

【0137】
【表4−56】

【0138】
【表4−57】

【0139】
【表4−58】

【0140】
【表4−59】

【0141】
【表4−60】

【0142】
【表4−61】

【0143】
【表4−62】

【0144】
【表4−63】

【0145】
【表4−64】

【0146】
【表4−65】

【0147】
【表4−66】

【0148】
【表4−67】

【0149】
【表4−68】

【0150】
【表4−69】

【0151】
【表4−70】

【0152】
【表4−71】

【0153】
【表4−72】

【0154】
【表5−1】

【0155】
【表5−2】

【0156】
【表5−3】

【0157】
【表5−4】

【0158】
【表5−5】

【0159】
【表5−6】

【0160】
【表5−7】

【0161】
【表5−8】

【0162】
【表5−9】

【0163】
【表5−10】

【0164】
【表5−11】

【0165】
【表5−12】

【0166】
【表5−13】

【0167】
【表5−14】

【0168】
【表5−15】

【0169】
【表5−16】

【0170】
【表5−17】

【0171】
【表5−18】

【0172】
【表5−19】

【0173】
【表5−20】

【0174】
【表5−21】

【0175】
【表5−22】

【0176】
【表5−23】

【0177】
【表5−24】

【0178】
【表5−25】

【0179】
【表5−26】

【0180】
【表5−27】

【0181】
【表5−28】

【0182】
【表5−29】

【0183】
【表5−30】

【0184】
【表5−31】

【0185】
【表5−32】

【0186】
【表5−33】

【0187】
【表5−34】

【0188】
【表5−35】

【0189】
【表5−36】

【0190】
【表5−37】

【0191】
【表5−38】

【0192】
【表5−39】

【0193】
【表5−40】

【0194】
【表5−41】

【0195】
【表5−42】

【0196】
【表5−43】

【0197】
【表5−44】

【0198】
【表5−45】

【0199】
【表5−46】

【0200】
【表5−47】

【0201】
【表5−48】

【0202】
【表5−49】

【0203】
【表5−50】

【0204】
【表5−51】

【0205】
【表5−52】

【0206】
【表5−53】

【0207】
【表5−54】

【0208】
それらの有意に増大または減少した遺伝子から、さらに、有意性の高い遺伝子を選出する目的で、増大または減少のそれぞれについて、FDR0.01未満のプローブセットを抽出した。それらのプローブセットについて、MAS5の正規化データにおいて、発がんプロモーター処理群でシグナル強度比が2倍以上に増大し、シグナル強度が300以上のプローブセットを抽出した。続いて、遺伝子名または遺伝子略名の重複を削除することにより、増大遺伝子(126遺伝子)を選出した(上掲の表1)。同様に有意(FDR0.01未満)に減少したプローブセットについて、シグナル強度比が発がんプロモーター処理群において0.5倍
【0209】
以下に減少し、溶媒対照群のシグナル強度が300以上のプローブセットを抽出した。遺伝子名または遺伝子略名の重複を削除することにより、減少遺伝子(73遺伝子)を選出した(上掲の表2)。
【0210】
3.選出したマーカー遺伝子による被検物質の発がんプロモーション活性の判定と分類
tert−ブチルヒドロキノン(TBHQ)は、上記したBhas42細胞形質転換試験により強い陽性反応が得られた化学物質である。上記と同様の手順で、TBHQ処理後24時間のBhas42細胞からmRNA試料を調製し、マイクロアレイ解析を行ない、FDR0.01未満で且つシグナル強度が2倍以上又は0.5倍以下に変化した遺伝子を調べた。変化が認められた遺伝子について、上記で選出した199遺伝子(増大126遺伝子、減少73遺伝子)との一致性を調べた。その結果を下記表6及び表7に示す。
【0211】
【表6】

【0212】
【表7】

【0213】
TBHQ処理したBhas42細胞で発現量が変化した遺伝子の一致性は、TPAとの間で非常に高かった。Bhas42形質転換活性陰性であるEDとの間では、一致する遺伝子は見出されなかった。TBHQは発がんプロモーション活性を有し、その活性はTPA型と判定することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検物質で処理されたBhas42細胞における下記(1)〜(199)の遺伝子の少なくとも1つの発現量の変化を指標として、前記被検物質の発がんプロモーション活性を検出する方法であって、(1)〜(126)の遺伝子は、発現増大した場合に発がんプロモーション活性が検出される遺伝子であり、(127)〜(199)の遺伝子は、発現減少した場合に発がんプロモーション活性が検出される遺伝子である、方法。
(1)1100001G20Rik(配列番号1)
(2)2310002L13Rik(配列番号2)
(3)2410066E13Rik(配列番号3)
(4)5430417L22Rik(配列番号4)
(5)6430527G18Rik(配列番号5)
(6)Aen(配列番号6)
(7)Aldh1a7(配列番号7)
(8)Apcdd1(配列番号8)
(9)Aspm(配列番号9)
(10)Atp2a2(配列番号10)
(11)AW112010(配列番号11)
(12)Bcat1(配列番号12)
(13)C3(配列番号13)
(14)Car5b(配列番号14)
(15)Cbs(配列番号15)
(16)Ccl11(配列番号16)
(17)Ccl9(配列番号17)
(18)Ccne2(配列番号18)
(19)Ccrn4l///LOC100047134(配列番号19)
(20)Cdc6(配列番号20)
(21)Cebpd(配列番号21)
(22)Ces1(配列番号22)
(23)Cib2(配列番号23)
(24)Cp(配列番号24)
(25)Ctps(配列番号25)
(26)Cyr61(配列番号26)
(27)Dkc1(配列番号27)
(28)Dtl(配列番号28)
(29)Emilin1(配列番号29)
(30)Enpp3(配列番号30)
(31)Ephb2(配列番号31)
(32)Eps8///LOC632638(配列番号32)
(33)Errfi1(配列番号33)
(34)Exo1(配列番号34)
(35)Fam171a2(配列番号35)
(36)Fam43a(配列番号36)
(37)Fbn1(配列番号37)
(38)Fkbp5(配列番号38)
(39)Fosl1(配列番号39)
(40)Foxf1a(配列番号40)
(41)Foxm1(配列番号41)
(42)Galntl2(配列番号42)
(43)Gdpd2(配列番号43)
(44)Gdpd5(配列番号44)
(45)Gfod1(配列番号45)
(46)Gla(配列番号46)
(47)Glb1(配列番号47)
(48)Gm10638(配列番号48)
(49)Gm11428(配列番号49)
(50)Gm14446(配列番号50)
(51)Gm22(配列番号51)
(52)Gpr133(配列番号52)
(53)Grk5(配列番号53)
(54)Gsta1///Gsta2(配列番号54)
(55)Herc5(配列番号55)
(56)Hirip3(配列番号56)
(57)Hmga2(配列番号57)
(58)Ifi205///Mnda(配列番号58)
(59)Ifrd2(配列番号59)
(60)Il13ra1(配列番号60)
(61)Il1rl1(配列番号61)
(62)Ivns1abp(配列番号62)
(63)Kif20b(配列番号63)
(64)Lgals2(配列番号64)
(65)LOC100045677///Mcm3(配列番号65)
(66)Ltbp1(配列番号66)
(67)Lum(配列番号67)
(68)Ly6e(配列番号68)
(69)Masp1(配列番号69)
(70)Matr3(配列番号70)
(71)Mmp13(配列番号71)
(72)Mpeg1(配列番号72)
(73)Mthfd1(配列番号73)
(74)Mtm1(配列番号74)
(75)Myc(配列番号75)
(76)Nolc1(配列番号76)
(77)Nop16(配列番号77)
(78)Nop56(配列番号78)
(79)Nr2f2(配列番号79)
(80)Nsl1(配列番号80)
(81)Orm1(配列番号81)
(82)Pdss1(配列番号82)
(83)Peg3(配列番号83)
(84)Per1(配列番号84)
(85)Plekhg4(配列番号85)
(86)Pnn(配列番号86)
(87)Polr1b(配列番号87)
(88)Prelp(配列番号88)
(89)Prkg2(配列番号89)
(90)Prl2c2///Prl2c3///Prl2c4(配列番号90)
(91)Ptgfr(配列番号91)
(92)Ptprf(配列番号92)
(93)Rrm2(配列番号93)
(94)Rrp12(配列番号94)
(95)Rsad2(配列番号95)
(96)S100b(配列番号96)
(97)S1pr3(配列番号97)
(98)Sema3g(配列番号98)
(99)Shmt2(配列番号99)
(100)Slc7a3(配列番号100)
(101)Slfn2(配列番号101)
(102)Slfn4(配列番号102)
(103)Smc2(配列番号103)
(104)Spon2(配列番号104)
(105)Srm(配列番号105)
(106)St3gal5(配列番号106)
(107)Steap1(配列番号107)
(108)Tbc1d4(配列番号108)
(109)Timp4(配列番号109)
(110)Tjp2(配列番号110)
(111)Tk1(配列番号111)
(112)Tmem41a(配列番号112)
(113)Tmem97(配列番号113)
(114)Tnfrsf12a(配列番号114)
(115)Tnfsf10(配列番号115)
(116)Trim25(配列番号116)
(117)Trp53(配列番号117)
(118)Tsc22d3(配列番号118)
(119)Tspan2(配列番号119)
(120)Ttc7b(配列番号120)
(121)Ttll1(配列番号121)
(122)Ttyh2(配列番号122)
(123)Ung(配列番号123)
(124)Vdr(配列番号124)
(125)Wwp2(配列番号125)
(126)Zc3h8(配列番号126)
(127)Adamts4(配列番号127)
(128)Agt(配列番号128)
(129)Ankrd1(配列番号129)
(130)Apod(配列番号130)
(131)Aspn(配列番号131)
(132)Atrx(配列番号132)
(133)AU015680(配列番号133)
(134)Bdh2(配列番号134)
(135)Boc(配列番号135)
(136)Btg2(配列番号136)
(137)Calml4(配列番号137)
(138)Cbr2(配列番号138)
(139)Cd1d1(配列番号139)
(140)Clu///LOC100046120(配列番号140)
(141)Col27a1(配列番号141)
(142)Col3a1(配列番号142)
(143)Crlf1(配列番号143)
(144)Cxcl5(配列番号144)
(145)Cyr61(配列番号145)
(146)D0H4S114(配列番号146)
(147)D530037H12Rik(配列番号147)
(148)Dbp(配列番号148)
(149)Dcn(配列番号149)
(150)Dhrs3(配列番号150)
(151)Dleu2(配列番号151)
(152)Dusp1(配列番号152)
(153)Dusp5(配列番号153)
(154)Ebf1(配列番号154)
(155)Egr1(配列番号155)
(156)Egr2(配列番号156)
(157)Egr3(配列番号157)
(158)Enpp2(配列番号158)
(159)Fbxo32(配列番号159)
(160)Fmod(配列番号160)
(161)Fos(配列番号161)
(162)Gpc6(配列番号162)
(163)Hist1h1c(配列番号163)
(164)Ier2(配列番号164)
(165)Jhdm1d(配列番号165)
(166)Kdm6b(配列番号166)
(167)Lgals7(配列番号167)
(168)Lipa(配列番号168)
(169)LOC100047324///Sesn1(配列番号169)
(170)LOC640441///Thbs1(配列番号170)
(171)Matn2(配列番号171)
(172)Mmp14(配列番号172)
(173)Nr4a1(配列番号173)
(174)Per3(配列番号174)
(175)Pik3ip1(配列番号175)
(176)Plac8(配列番号176)
(177)Postn(配列番号177)
(178)Ppargc1a(配列番号178)
(179)Prelp(配列番号179)
(180)Prokr1(配列番号180)
(181)Ptgfr(配列番号181)
(182)Ptn(配列番号182)
(183)Ptplb(配列番号183)
(184)Rbms3(配列番号184)
(185)Rhobtb3(配列番号185)
(186)Scn2a1(配列番号186)
(187)Sesn3(配列番号187)
(188)Slc9a3r2(配列番号188)
(189)Sned1(配列番号189)
(190)Sorbs2(配列番号190)
(191)Sox4(配列番号191)
(192)Tpm1(配列番号192)
(193)Trp53inp2(配列番号193)
(194)Tsc22d2(配列番号194)
(195)Wbscr27(配列番号195)
(196)Ypel1(配列番号196)
(197)Ypel2(配列番号197)
(198)Zbed6(配列番号198)
(199)Zfp36(配列番号199)
【請求項2】
下記遺伝子群Aから選択される少なくとも1つの遺伝子の発現量の変化を指標とする請求項1記載の方法。
遺伝子群A:
(2)(6)(9)(12)(18)(19)(20)(22)(25)(27)(28)(32)(34)(39)(41)(56)(57)(59)(60)(61)(62)(63)(65)(66)(70)(73)(74)(75)(76)(77)(78)(80)(82)(86)(87)(89)(90)(93)(94)(99)(103)(105)(107)(111)(113)(114)(117)(123)(127)(128)(130)(131)(133)(134)(135)(136)(137)(138)(139)(140)(141)(142)(143)(146)(147)(149)(150)(151)(152)(154)(155)(156)(157)(158)(159)(160)(161)(164)(165)(166)(167)(168)(169)(171)(172)(173)(175)(176)(177)(178)(179)(180)(181)(182)(183)(184)(186)(187)(188)(189)(191)(193)(195)(196)(197)(199)
【請求項3】
下記遺伝子群Bから選択される少なくとも1つの遺伝子の発現量の変化を指標とする請求項1記載の方法。
遺伝子群B:
(11)(16)(29)(37)(46)(47)(50)(54)(55)(58)(64)(67)(68)(69)(71)(72)(81)(83)(85)(91)(95)(96)(101)(102)(104)(109)(110)(115)(116)(122)(125)(129)(132)(145)(151)(162)(163)(170)(184)(185)(192)(194)(198)
【請求項4】
下記遺伝子群Cから選択される少なくとも1つの遺伝子の発現量の変化を指標とする請求項1記載の方法。
遺伝子群C:
(1)(3)(4)(5)(8)(10)(13)(14)(15)(17)(21)(23)(26)(30)(31)(33)(35)(36)(40)(42)(44)(45)(48)(49)(51)(52)(53)(64)(71)(79)(81)(88)(92)(97)(100)(106)(107)(108)(112)(119)(120)(121)(124)(126)(190)(192)
【請求項5】
下記遺伝子群Dから選択される少なくとも1つの遺伝子の発現量の変化を指標とする請求項1記載の方法。
遺伝子群D:
(7)(21)(24)(33)(38)(43)(81)(84)(98)(118)(133)(144)(145)(148)(153)(156)(157)(174)(192)
【請求項6】
前記遺伝子群A〜Dから少なくとも1つずつ選択される遺伝子の発現量の変化を指標とする請求項2ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記(1)〜(199)から選択される10種以上の遺伝子の発現量の変化を指標とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記(1)〜(199)から選択される50種以上の遺伝子の発現量の変化を指標とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記(1)〜(199)から選択される100種以上の遺伝子の発現量の変化を指標とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記(1)〜(199)の遺伝子の発現量の変化を指標とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
指標とする発現量の変化は、被検物質と接触させたBhas42細胞における遺伝子の発現量と、被検物質と接触させないコントロールのBhas42細胞における遺伝子の発現量とを対比した相対変化である、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
被検物質処理により発現量が変化した遺伝子の種類を下記A〜Dの基準と対比し、一致の度合いに基づいて被検物質がTPA型、オカダ酸型、リトコール酸型及びプロゲステロン型のいずれに分類されるかを判定することをさらに含む、請求項1ないし11のいずれか1項に記載の方法。
A)TPA型
A−1)TPA型で増大する遺伝子
(2)(6)(9)(12)(18)(19)(20)(22)(25)(27)(28)(32)(34)(39)(41)(56)(57)(59)(60)(61)(62)(63)(65)(66)(70)(73)(74)(75)(76)(77)(78)(80)(82)(86)(87)(89)(90)(93)(94)(99)(103)(105)(107)(111)(113)(114)(117)(123)
A−2)TPA型で減少する遺伝子
(127)(128)(130)(131)(133)(134)(135)(136)(137)(138)(139)(140)(141)(142)(143)(146)(147)(149)(150)(151)(152)(154)(155)(156)(157)(158)(159)(160)(161)(164)(165)(166)(167)(168)(169)(171)(172)(173)(175)(176)(177)(178)(179)(180)(181)(182)(183)(184)(186)(187)(188)(189)(191)(193)(195)(196)(197)(199)
B)オカダ酸型
B−1)オカダ酸型で増大する遺伝子
(11)(16)(29)(37)(46)(47)(50)(54)(55)(58)(64)(67)(68)(69)(71)(72)(81)(83)(85)(91)(95)(96)(101)(102)(104)(109)(110)(115)(116)(122)(125)
B−2)オカダ酸型で減少する遺伝子
(129)(132)(145)(151)(162)(163)(170)(184)(185)(192)(194)(198)
C)リトコール酸型
C−1)リトコール酸型で増大する遺伝子
(1)(3)(4)(5)(8)(10)(13)(14)(15)(17)(21)(23)(26)(30)(31)(33)(35)(36)(40)(42)(44)(45)(48)(49)(51)(52)(53)(64)(71)(79)(81)(88)(92)(97)(100)(106)(107)(108)(112)(119)(120)(121)(124)(126)
C−2)リトコール酸型で減少する遺伝子
(190)(192)
D)プロゲステロン型
D−1)プロゲステロン型で増大する遺伝子
(7)(21)(24)(33)(38)(43)(81)(84)(98)(118)
D−2)プロゲステロン型で減少する遺伝子
(133)(144)(145)(148)(153)(156)(157)(174)(192)

【公開番号】特開2012−170461(P2012−170461A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57211(P2011−57211)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(591243103)財団法人神奈川科学技術アカデミー (271)
【出願人】(000192903)神奈川県 (65)
【Fターム(参考)】