説明

発光ダイオード点灯装置及び照明器具

【課題】発光ダイオードを安定に調光可能な発光ダイオード点灯装置及び照明器具を提供する。
【解決手段】発光ダイオードと電源回路部と調光制御部とを備えた発光ダイオード点灯装置が提供される。前記電源回路部は、電源から供給される電力を直流電力に変換して前記発光ダイオードに供給する。前記調光制御部は、前記電源回路部から出力される出力電圧が調光信号に応じた第1の電圧よりも低いときは、前記電源回路部から出力される出力電流を前記調光信号に応じた定電流値に制御し、前記出力電圧が前記第1の電圧よりも高いときは、前記出力電圧が増加すると前記出力電流を減少させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発光ダイオード点灯装置及び照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、照明装置において、照明光源は白熱電球や蛍光灯から省エネルギー・長寿命の光源、例えば発光ダイオード(Light-emitting diode:LED)への置き換えが進んでいる。また、例えば、EL(Electro-Luminescence)や有機発光ダイオード(Organic light-emitting diode:OLED)など新たな照明光源も開発されている。これらの照明光源の光出力は流れる電流値に依存するため、照明光源を点灯・調光するためには供給する電流値の制御が可能な点灯装置が必要になる。例えば、発光ダイオード点灯装置は、発光ダイオードを全点灯させる最大電流から消光時の最小値である電流値ゼロまで広範囲にわたって制御する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−232623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、消光に近い深調光時においては電流値が微小になり、検出誤差が増大する。また、発光ダイオードは、製造ばらつきや温度依存性などにより特性が変動するため、全光から深調光を経て消灯するまで、なめらかに調光できない場合がある。
本発明の実施形態は、発光ダイオードを安定に調光可能な発光ダイオード点灯装置及び照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の発光ダイオード点灯装置は、発光ダイオードと電源回路部と調光制御部とを備える。前記電源回路部は、電源から供給される電力を直流電力に変換して前記発光ダイオードに供給する。前記調光制御部は、前記電源回路部から出力される出力電圧が調光信号に応じた第1の電圧よりも低いときは、前記電源回路部から出力される出力電流を前記調光信号に応じた定電流値に制御し、前記出力電圧が前記第1の電圧よりも高いときは、前記出力電圧が増加すると前記出力電流を減少させる。前記調光信号の調光度が相対的に高いときの前記第1の電圧は、前記調光信号に応じた定電流値を供給した場合の前記発光ダイオードの電圧降下よりも高く、前記調光信号の調光度が相対的に低いときの前記第1の電圧は、前記調光信号に応じた定電流値を供給した場合の前記発光ダイオードの電圧降下よりも低い。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、発光ダイオードを安定に調光可能な発光ダイオード点灯装置及び照明器具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態に係る発光ダイオード点灯装置を例示するブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る発光ダイオード点灯装置の出力特性を例示する特性図である。
【図3】発光ダイオード点灯装置の調光特性を例示する特性図である。
【図4】第2の実施形態に係る発光ダイオード点灯装置を例示する回路図である。
【図5】第3の実施形態に係る発光ダイオード点灯装置を例示する回路図である。
【図6】整流回路の回路図である。
【図7】照明器具を例示する部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。また、本願明細書においては、「調光度」とは、調光時の光出力の全点灯時の光出力に対する比をいい、調光度100%は全点灯に、調光度0%は消灯時の光出力に対応する。
【0009】
まず、第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る発光ダイオード点灯装置を例示するブロック図である。
図1に表したように、発光ダイオード点灯装置1は、照明負荷として発光ダイオード2と、発光ダイオード2に出力電流IF、出力電圧VFの電力OUTを供給する電源装置3と、を備えている。発光ダイオード2は、電力OUTを供給されて点灯する。また発光ダイオード2の光出力は、調光信号CTLに応じて供給される電力OUTを制御して、調光される。
【0010】
電源装置3は、電源回路部4と、調光信号CTLを生成する調光信号生成部5と、調光信号CTL及び電源回路部4の出力電流IFと出力電圧VFに基づいて電源回路部4を制御する帰還信号FBを生成する調光制御部6と、を有する。
【0011】
電源回路部4は、電源と発光ダイオード2との間に接続される出力素子7と、帰還信号FBを入力して制御信号VGを生成して出力素子7を駆動する駆動回路8と、を有する。電源回路部4は、電源から供給される電力INを変換して出力電圧VF、出力電流IFの直流電力OUTを出力する。なお、電源回路部4は、帰還信号FBのレベルを小さくする極性で出力電圧VF、出力電流IFを制御できればよく、構成は任意である。電源回路部4は、例えばDC−DCコンバータで構成される。また、電源回路部4は、リニアレギュレータで構成されてもよい。
【0012】
調光信号生成部5は、発光ダイオード2を全点灯と消灯との間で調光する調光信号CTLを出力する。調光信号CTLは、例えば調光度に応じて電圧値が変化する直流電圧である。また、調光信号CTLは、例えば調光度に応じて平均電圧が変化するPWM信号である。なお、調光信号生成部5は、例えば発光ダイオード点灯装置1と別体で設けられてもよい。また、例えば別体で設けられた図示しない送信部から無線信号または光信号として送信される調光信号を受信して、調光信号CTLを生成してもよい。
【0013】
調光制御部6は、第1の検出回路9と、第2の検出回路10と、調光信号CTLに応じて第1の基準電圧REF1を生成する第1の基準電圧生成回路11と、調光信号CTLに応じて第2の基準電圧REF2を生成する第2の基準電圧生成回路12と、第1の誤差検出回路13と、第2の誤差検出回路14と、入力された信号のうちの小さい信号を選択して出力する最小値回路(マグニチュードコンパレータ)15と、を有する。
【0014】
第2の検出回路10は、電源回路部4の出力に接続され、電源回路部4の出力電流IFを検出して出力電流IFに比例する第2の検出電圧DET2を出力する。なお、第2の検出回路10は、例えば発光ダイオード2と電源回路部4との間に接続された抵抗により構成される。
【0015】
第1の検出回路9は、電源回路部4の出力に接続され、出力電圧VFを検出して、第2の検出回路10から出力される第2の検出電圧DET2とを合成した合成電圧を第1の検出電圧DET1として出力する。なお、第2の検出回路10は、例えば分割抵抗により構成される。
【0016】
第1の基準電圧生成回路11は、調光信号CTLから第1の基準電圧REF1を生成する。第2の基準電圧生成回路12は、調光信号CTLから第2の基準電圧REF2を生成する。第1の基準電圧REF1は、第2の基準電圧REF2よりも高く設定されている。また、第1の基準電圧REF1と第2の基準電圧REF2との差電圧は、調光信号CTLの値に応じて変化する。なお、第1及び第2の基準電圧生成回路11、12は、例えば調光信号CTLをそれぞれ分割する分割抵抗により構成される。
【0017】
第1の誤差検出回路13は、第1の基準電圧生成回路11から出力される第1の基準電圧REF1と、第1の検出回路9から出力される第1の検出電圧DET1と、の誤差電圧を第1の誤差電圧として出力する。
第2の誤差検出回路14は、第2の基準電圧生成回路12から出力される第2の基準電圧REF2と、第2の検出回路10から出力される第2の検出電圧DET2と、の誤差電圧を第2の誤差電圧として出力する。なお、第1の誤差検出回路13及び第2の誤差検出回路14は、例えば演算増幅回路を用いた減算回路により構成される。
【0018】
最小値回路15は、第1の誤差検出回路13から出力される第1の誤差電圧と第2の誤差検出回路14から出力される第2の誤差電圧とのうちの最小電圧を出力する。なお、最小値回路15は、例えばアノードが互いに接続されたダイオードにより構成される。
【0019】
第1の基準電圧REF1と第2の基準電圧REF2との電圧差REF1−REF2が、出力電圧VFの検出値、すなわち第1の検出回路9の第1の検出電圧DET1と第2の検出回路の第2の検出電圧DET2との電圧差DET1−DET2に等しいときは、第1の誤差検出回路13の出力電圧は、第2の誤差検出回路14の出力電圧とほぼ等しくなる。
【0020】
また、電圧差REF1−REF2が、電圧差DET1−DET2よりも大きいとき、すなわち出力電圧VFの検出値よりも大きいときは、第1の誤差検出回路13の出力電圧は、第2の誤差検出回路14の出力電圧よりも大きくなる。したがって、最小値回路15は、第1の誤差検出回路13の出力電圧を選択して帰還信号FBとして出力する。その結果、電源回路部4は、出力電流IFが第2の検出電圧DET2を第2の基準電圧REF2に等しくなるように制御される。すなわち調光制御部6は、電源回路部4の出力電流IFを、調光信号CTLに応じた定電流値に制御する。
【0021】
また、電圧差REF1−REF2が、電圧差DET1−DET2よりも小さいとき、すなわち出力電圧VFの検出値よりも小さいときは、第1の誤差検出回路13の出力電圧は、第2の誤差検出回路14の出力電圧よりも小さくなる。したがって、最小値回路15は、第2の誤差検出回路14の出力電圧を選択して帰還信号FBとして出力する。その結果、電源回路部4は、第1の検出電圧DET2が第1の基準電圧REF1に等しくなるように制御される。すなわち調光制御部6は、電源回路部4の出力電圧VFが増加すると、出力電流IFを減少させる。
【0022】
このように、第1及び第2の基準電圧REF1、REF2の電圧差REF1−REF2が、出力電圧VFの検出値(=DET1−DET2)に等しいときが境界条件になる。このときの出力電圧VFを第1の電圧V1とする。
【0023】
図2は、第1の実施形態に係る発光ダイオード点灯装置の出力特性を例示する特性図である。
図2に表したように、発光ダイオード点灯装置1の電源装置3の出力特性は、出力電圧VFが第1の電圧V1よりも低いときは定電流モード(cuurent mode)、出力電圧VFが第1の電圧V1よりも高いときは出力電圧VFが増加すると出力電流IFが減少する電流・電圧モード(current voltage mode)になる。なお、図2においては、調光信号CTLがC1、C2、・・・、C8の順に調光度が低下する場合、すなわち光出力が小さくなる場合における出力特性を実線で例示している。
【0024】
また、調光信号CTLに応じて定電流値が増加すると、第1の電圧V1が線形に増加する場合の特性、すなわち第1の電圧V1が定電流値の一次式で表される特性を一点鎖線で例示している。またさらに、発光ダイオード(LED)2の電流・電圧特性を、破線で例示している。
【0025】
発光ダイオード2は、電源装置3の負荷回路として接続されるため、発光ダイオード2の動作点は、調光信号CTLに応じた電源装置3の出力特性と、発光ダイオード2の電流・電圧特性との交点になる。例えば、調光信号CTLがC5のときの動作点Pは、電源装置3が、電流モードまたは電流・電圧モードになる境界点になり、このときの出力電圧VFは、調光信号CTL=C5に応じた第1の電圧V1になる。なお、発光ダイオード2は、一般に電圧・電流特性が指数関数になり、発光ダイオード2の電流・電圧特性のグラフは、線形の第1の電圧V1のグラフと交差する。
【0026】
調光信号CTLの調光度が調光信号CTL=C5における調光度よりも高くなると、出力電力OUTが増加し、動作点における出力電圧VFは第1の電圧V1よりも低くなる。その結果、電源装置3は、電流モードで動作する。
また、調光信号CTLの調光度が調光信号CTL=C5における調光度よりも低くなると、出力電力OUTが減少し、動作点における出力電圧VFは第1の電圧V1よりも高くなる。その結果、電源装置3は、電流・電圧モードで動作する。
【0027】
図3は、発光ダイオード点灯装置の調光特性を例示する特性図である。
図3においては、発光ダイオード2に供給される出力電流IFの調光信号CTLの電圧依存性を模式的に表している。
動作点Pにおける調光信号CTLの調光度よりも調光度が高くなると、出力電流IFは調光信号CTLに応じた定電流値に制御される。その結果、出力電流IFは、調光信号CTLに応じて制御され、発光ダイオード2を安定に調光することができる。
【0028】
また、動作点Pにおける調光信号CTLの調光度よりも調光度が低くなると、出力電流IFは、調光信号CTLに応じた電流値と電圧値に制御される。調光度が相対的に低くなると、出力電流IFが全灯時と比較して小さくなるため、出力電流IFを検出する第2の検出回路10の誤差が増大する。そのため、例えば調光度が相対的に低いときに第2の検出電圧DET2だけを用いて出力電流IFを定電流値に制御すると、出力電流IFの誤差が増大して、発光ダイオード2を安定に調光することが困難である。
【0029】
また、例えば調光度が相対的に高いときに第1の検出電圧DET1を用いて出力電流IFと出力電圧VFを所定値に制御すると、温度特性や製造ばらつきによる出力電圧VFの変動の影響で、出力電流IFの軽時変化やばらつきが生じる可能性がある。
【0030】
これに対して、本実施形態においては、調光度が相対的に低いときは、出力電流IFと出力電圧VFを検出して、出力電流IFが増加すると出力電圧VFが低下するように制御する。発光ダイオード2の出力電圧VFは、調光度が相対的に低く出力電流IFが小さいときでも相対的に高く、例えばGaN系ダイオードがオンする電圧は2.5V程度である。したがって、本実施形態においては、調光度が相対的に低いときでも、発光ダイオード2を安定に調光することができる。
【0031】
なお、発光ダイオード2の順方向電圧が相対的に高いため、調光度が相対的に低いときに、出力電圧VFだけを検出して出力電圧VFを定電圧に制御する定電圧モードとすることも可能ではある。しかし、上記のとおり、出力電圧VFを所定値に制御すると、温度特性や製造ばらつきによる出力電圧VFの変動の影響で、出力電流IFの経時変化やばらつきが生じる可能性がある。また、調光度に応じて定電流モードと定電圧モードとを切替えると、モードが切り替わる遷移点において発光ダイオードの電流の変化の傾きが変わるため、滑らかな調光が困難になる。
【0032】
またさらに、調光度に応じて、定電流モードと定電圧モードとを電流・電圧モードを介して切替える構成とした場合、出力電流IFが小さい領域において2つの遷移点を正確に設定することが困難であり、温度特性や製造ばらつきにより遷移点が設計値からずれてしまう可能性がある。
これに対して、本実施形態においては、定電圧モードがなく、遷移点は1つのみであり、温度特性や製造ばらつきなどに対しても発光ダイオード2を安定に調光することができる。
【0033】
図4は、第2の実施形態に係る発光ダイオード点灯装置を例示する回路図である。
図4に表したように、第2の実施形態は、第1の実施形態と比較して、電源装置3の電源回路部4及び調光制御部6の構成が異なっている。すなわち、第2の実施形態に係る発光ダイオード点灯装置1aの電源装置3aは、電源回路部4aと調光制御部6aとを有している。第2の発光ダイオード点灯装置1aの電源回路部4a及び調光制御部6a以外の構成については、第1の実施形態と同様である。
【0034】
電源回路部4aは、リニアレギュレータであり、出力素子7aと駆動回路8aとを有している。また、出力素子7aは、電源と発光ダイオード2との間に接続される出力トランジスタ24を有している。出力トランジスタ24は、例えばFETであり、例えばBJTである。駆動回路8aは、出力トランジスタ24の制御端子(ゲートまたはベース)に制御信号VGを出力して、出力トランジスタ24の電流を制御する。
【0035】
調光制御部6aは、第1の検出回路9aと、第2の検出回路10aと、調光信号CTLに応じて第1の基準電圧REF1を生成する第1の基準電圧生成回路11a、調光信号CTLに応じて第2の基準電圧REF2を生成する第2の基準電圧生成回路12aと、第1の誤差検出回路13aと、第2の誤差検出回路14aと、入力された信号のうちの小さい信号を選択して出力する最小値回路15aと、を有する。
【0036】
第2の検出回路10aは、抵抗であり、電源回路部4の出力に接続され、電源回路部4の出力電流IFを検出して出力電流IFに比例する第2の検出電圧DET2を出力する。
【0037】
第1の検出回路9aは、電源回路部4の出力に接続された分割抵抗16、17を有する。第1の検出回路9aは、出力電圧VFを検出して、第2の検出回路10aから出力される第2の検出電圧DET2とを合成した合成電圧を第1の検出電圧DET1として出力する。
【0038】
第1の基準電圧生成回路11aは、調光信号CTLを分割する分割抵抗20、21を有し、第1の基準電圧REF1を生成する。第2の基準電圧生成回路12aは、調光信号CTLを分割する分割抵抗22、23を有し、第2の基準電圧REF2を生成する。第1の基準電圧REF1は、第2の基準電圧REF2よりも高く設定されている。すなわち、分割抵抗20、21の分割比は、分割抵抗22、23の分割比よりも大きく設定されている。また、第1の基準電圧REF1と第2の基準電圧REF2との差電圧は、調光信号CTLの値に対して線形に変化する。なお、調光信号CTLと接地との間に3つの分割抵抗を直列に接続して、分割抵抗の接続点から第1及び第2の基準電圧REF1、REF2を生成してもよい。
【0039】
第1の誤差検出回路13aは、演算増幅回路の減算回路を有し、第1の基準電圧生成回路11aから出力される第1の基準電圧REF1と、第1の検出回路9から出力される第1の検出電圧DET1と、の誤差電圧を出力する。
第2の誤差検出回路14aは、演算増幅回路の減算回路を有し、第2の基準電圧生成回路12aから出力される第2の基準電圧REF2と、第2の検出回路10aから出力される第2の検出電圧DET2と、の誤差電圧を出力する。
【0040】
最小値回路15aは、アノードが互いに接続されたダイオードを有し、第1の誤差検出回路13aから出力される第1の誤差電圧と第2の誤差検出回路14aから出力される第2の誤差電圧とのうちの最小電圧を出力する。
第2の実施形態の動作及び効果は、第1の実施形態の動作及び効果と同様である。
【0041】
図5は、第3の実施形態に係る発光ダイオード点灯装置を例示する回路図である。
図5に表したように、第3の実施形態は、第2の実施形態と比較して、電源装置3aの電源回路部4a及び調光制御部6aの構成が異なっている。すなわち、第3の実施形態に係る発光ダイオード点灯装置1bの電源装置3bは、電源回路部4bと調光制御部6bとを有している。第2の発光ダイオード点灯装置1bの電源回路部4b及び調光制御部6b以外の構成については、第2の実施形態と同様である。
【0042】
電源回路部4bは、DC−DCコンバータであり、出力素子7bと駆動回路8bとを有している。また、出力素子7bは、電源と発光ダイオード2との間に直列に接続されたスイッチング素子25とインダクタ26とを有している。スイッチング素子25は、例えばFETであり、例えばBJTである。駆動回路8bは、スイッチング素子25の制御端子(ゲートまたはベース)に制御信号VGを出力して、スイッチング素子25をオンまたはオフする。ここで、制御信号VGは、例えばスイッチング素子25をオンまたはオフする信号であり、帰還信号FBのレベルを小さくする極性で出力されてスイッチング素子25を制御する。なお、出力素子7bは、さらにダイオードを有してもよく、また、インダクタ26の替わりにトランスを介して発光ダイオード2と接続されてもよい。
【0043】
調光制御部6bは、第2の実施形態における調光制御部6aと比較して、第1の検出回路9aを第1の検出回路9bに替えた点以外は同様である。
第1の検出回路9bは、第1の検出回路9aにコンデンサと抵抗で構成された微分回路27が追加されている。そのため、出力電圧VFに重畳する低周波リプル電圧が検出され、出力電圧VFの検出値に重畳される。
【0044】
第1の検出回路9bは、出力電圧VFと、出力電圧VFに重畳する低周波リプル電圧とを検出して、第1の検出電圧DET1として出力する。その結果、出力電圧VFに重畳する低周波リプル電圧を低減することができ、発光ダイオード2のちらつきを低減することができる。
【0045】
図6は、整流回路の回路図である。
図6に表したように、整流回路28は、交流電力ACINを整流するダイオードブリッジ29と、整流された電力を平滑化する平滑コンデンサ30とを有する。
交流電力ACINは、例えば商用電源から供給され、平滑化された電力INは、発光ダイオード点灯装置1bに出力される。
【0046】
このように交流電力ACINを整流して生成した電力が入力として供給される場合は、電力INに低周波リプル成分が重畳している。例えば、力率を改善するためにダイオードブリッジの流通角を大きくすると、低周波リプル成分が大きくなる。上記のとおり、本実施形態においては、出力電圧VFに重畳する低周波リプル電圧が低減されるため、交流電力ACINに由来する発光ダイオード2のちらつきを低減することができる。
第3の実施形態の上記以外の動作及び効果については、第1の実施形態と同様である。
【0047】
図7は、照明器具を例示する部分断面図である。
図7に表したように、照明器具100は、発光ダイオード点灯装置1と、ベース101aと、筐体102aと、透光シールド103aと、実装基板108とを備えている。ベース101aと筐体102aと透光シールド103aとは、円筒形状に形成されている。
【0048】
発光ダイオード点灯装置1は、第1の実施形態と同様であり、発光ダイオード2と電源装置3とを有している。電源装置3は、円環状の実装基板108上に設けられている。なお、図6においては、図を見やすくするために、電源装置3をブロックとして簡略化している。
電源装置3は、実装基板108の主面108aが、筐体102aの仮想的な中心軸に垂直に設けられる。
【0049】
ベース101aは、例えばアルミニウム(Al)を含む金属で円板形状に形成された口金部106と、導電体107とを有する。口金部106は、筐体102aの上部に設けられ、照明器具本体(図示せず)に設けられた放熱体と熱接続する。導電体107は、筐体102aの上部に複数設けられ、電源装置3に電力を供給し、また必要により調光信号CTLを供給する。なお、調光信号CTLは、例えば電源装置3の調光信号生成部5を介して、無線信号や光信号などにより供給してもよい。
【0050】
筐体102aは、例えばアルミニウム(Al)を含む金属で形成され、周辺部に電源装置3を収納し、中央部に発光ダイオード2を収納する。発光ダイオード2は、口金部106と熱接続している。発光ダイオード2は、電源装置3の照明負荷として、電源装置3から電力を供給されて点灯する。
【0051】
透光シールド103aは、円板形状に形成され、筐体102aの下部、すなわち筐体102aのベース101aと反対側に発光ダイオード2を覆って設けられる。透光シールド103aは、発光ダイオード2から放射される光を透過するとともに、発光ダイオード2を保護する。
【0052】
本実施形態においても、調光信号CTLに応じて発光ダイオード2を調光度0〜100%まで安定に調光することができる。
【0053】
以上、具体例を参照しつつ実施形態について説明したが、それらに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、発光ダイオード2は、OLEDなどでもよく、発光ダイオード2は、複数個の発光ダイオードが直列又は並列に接続されていてもよい。
【0054】
また、照明器具100として、フラット形の照明器具を例示したが、照明器具は、例えば電球形、ベースライト、ダウンライト、スポットライトでもよい。また、第1の実施形態に係る電源装置3を用いた照明器具を例示したが、第2または第3の実施形態に係る電源装置をもちいてもよい。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1、1a、1b…発光ダイオード点灯装置、 2…発光ダイオード、 3、3a、3b…電源装置、 4、4a、4b…電源回路部、 5…調光信号生成部、 6、6a、6b…調光制御部、 7、7a、7b…出力素子、 8、8a、8b…駆動回路、 9、9a、9b…第1の検出回路、 10、10a…第2の検出回路、 11、11a…第1の基準電圧生成回路、 12、12a…第2の基準電圧生成回路、 13、13a…第1の誤差検出回路、 14、14a…第2の誤差検出回路、 15、15a…最小値回路、 16〜23…分割抵抗、 24…出力トランジスタ、 25…スイッチング素子、 26…インダクタ、 27…微分回路、 28…整流回路、 29…ダイオードブリッジ、 30…平滑コンデンサ、 100…照明器具、 101a…ベース、 102a…筐体、 103a…透光シールド、 106…口金部、 107…導電体、 108…実装基板、 108a…主面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードと、
電源から供給される電力を直流電力に変換して前記発光ダイオードに供給する電源回路部と、
前記電源回路部から出力される出力電圧が調光信号に応じた第1の電圧よりも低いときは、前記電源回路部から出力される出力電流を前記調光信号に応じた定電流値に制御し、前記出力電圧が前記第1の電圧よりも高いときは、前記出力電圧が増加すると前記出力電流を減少させる調光制御部と、
を備え、
前記調光信号の調光度が相対的に高いときの前記第1の電圧は、前記調光信号に応じた定電流値を供給した場合の前記発光ダイオードの電圧降下よりも高く、前記調光信号の調光度が相対的に低いときの前記第1の電圧は、前記調光信号に応じた定電流値を供給した場合の前記発光ダイオードの電圧降下よりも低い発光ダイオード点灯装置。
【請求項2】
前記第1の電圧は、前記調光信号に応じた定電流値が増加すると前記第1の電圧は線形に増加する請求項1記載の発光ダイオード点灯装置。
【請求項3】
前記調光制御部は、
前記出力電圧を検出する第1の検出回路と、
前記出力電流を検出する第2の検出回路と、
前記調光信号に応じた第1の基準電圧を生成する第1の基準電圧生成回路と、
前記調光信号に応じた前記第1の基準電圧よりも低い第2の基準電圧を生成する第2の基準電圧生成回路と、
前記第1の検出回路により検出された第1の検出電圧と、前記第2の検出回路により検出された前記出力電流に比例する第2の検出電圧と、を合成した合成電圧を、前記第1の基準電圧と比較する第1の誤差検出回路と、
前記第2の検出電圧を前記第2の基準電圧と比較する第2の誤差検出回路と、
前記第1の誤差検出回路の出力と前記第2の誤差検出回路の出力との最小値を帰還信号として前記電源回路部に帰還する最小値回路と、
を有し、
前記第1の基準電圧から前記第2の基準電圧を減算した電圧は、前記出力電圧が前記第1の電圧のときの前記第1の検出電圧に等しい請求項1または2に記載の発光ダイオード点灯装置。
【請求項4】
前記第1の検出回路は、前記出力電圧を微分した値を含む請求項3記載の発光ダイオード点灯装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の発光ダイオード点灯装置と、
前記発光ダイオード点灯装置を収容する筐体と、
を備えた照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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