説明

発光ダイオード用駆動回路及びLED光源

【課題】所定値よりも低い入力電圧が供給された場合であっても、LEDを確実に消灯することができる発光ダイオード用駆動回路及びLED光源を提供する。
【解決手段】LED2を点灯するための発光ダイオード用駆動回路1であって、LED2を駆動するための電力を出力するインバータ20と、インバータ20の動作を制御するためのインバータ制御回路30と、を備え、インバータ制御回路30は、当該インバータ制御回路30に入力される直流電圧が所定値よりも小さい場合に、インバータ20の動作を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード用駆動回路及びこれを備えたLED光源に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)は、高効率及び長寿命であることから、従来から知られる、蛍光灯や白熱電球のような照明装置等の各種装置における新しい光源として期待されており、LEDを用いたLED光源の研究開発が進められている。また、これに伴い、LEDを駆動するための発光ダイオード用駆動回路の開発も進められている。
【0003】
従来、この種の発光ダイオード用駆動回路として、図4に示すような発光ダイオード駆動装置が提案されている(特許文献1)。図4は、特許文献1に開示された従来に係る発光ダイオード駆動装置の回路構成を示す図である。
【0004】
図4に示すように、従来に係る発光ダイオード駆動装置100は、LED200を点灯させるためのLED用駆動回路であって、整流回路110と、発光ダイオード駆動用半導体回路120とを備え、さらに、平滑コンデンサ111と、チョークコイル112と、ダイオード113とを備える。
【0005】
整流回路110は、4つのダイオードで構成されるブリッジ型全波整流回路であって、一方の両端がAC電源に接続され、他方の両端が平滑コンデンサに接続されている。AC電源から出力された交流の電源電圧は、整流回路110によって全波整流されるとともに平滑コンデンサ111によって平滑されて直流の入力電圧Vinとなる。
【0006】
チョークコイル112は、一端が平滑コンデンサ111の高電位側に接続され、他端がLED200のアノード側に接続されている。また、ダイオード113のカソード端子は、平滑コンデンサ111の高電位側に接続されている。ダイオード113は、チョークコイル112とLED200とに並列に接続され、チョークコイル112に生じる逆起電力をLED200に供給する。
【0007】
発光ダイオード駆動用半導体回路120は、LED200のカソード端子と接続されており、チョークコイル112、ダイオード113及びLED200で構成されるLEDブロック回路を制御する。
【0008】
発光ダイオード駆動用半導体回路120は、LED200の出力電圧を入力するドレイン端子120Dと、グランド電位と接続されるグランド/ソース端子120GSと、基準電圧Vccを出力するVCC端子(基準電圧端子)120Vccとを有し、さらに、回路構成として、LED200に流れる電流を制御するためのスイッチング素子ブロック121と、スイッチング素子ブロック121の電圧VJに基づいてスイッチング素子ブロック121を制御するための制御回路122と、スイッチング素子ブロック121に流れる電流を検出するためのドレイン電流検出回路123と、スイッチング素子ブロック121の動作の起動及び停止を制御するための起動停止回路124とを有する。なお、発光ダイオード駆動用半導体回路120のVCC端子120Vccとグランド/ソース端子120GSとの間には、コンデンサ114が接続されている。
【0009】
スイッチング素子ブロック121は、接合型FET121aと、N型MOSFETからなるスイッチング素子121bとの直列接続によって構成される。
【0010】
制御回路122は、基準電圧Vccを一定の値に制御するためのレギュレータ122a、MAXDUTY信号とCLOCKとを出力する発振器122b、及び、電流を検出しない時間を設けるためのパルスをAND回路に出力するオン時ブランキングパルス発生器122c等を有する。制御回路122は、起動停止回路124の出力信号とドレイン電流検出回路123の出力信号とに基づいて、スイッチング素子121bを所定の発振周波数で断続的にオンオフ制御する。制御回路122のレギュレータ122aは、一端が接合型FET121aとスイッチング素子121bとの間に接続され、他端がVCC端子120Vccに接続されている。レギュレータ122aは、基電圧VJが入力され、基準電圧Vccが一定となるように制御して、VCC端子120Vccに基準電圧Vccを出力する。
【0011】
ドレイン電流検出回路123は、比較器で構成されており、電圧VJが検出基準電圧Vsnよりも大きければHighを出力し、電圧VJが検出基準電圧Vsnよりも小さければLowを出力する。スイッチング素子121bに流れる電流は、スイッチング素子121bのオン電圧をドレイン電流検出回路123の検出基準電圧Vsnと比較することにより検出される。
【0012】
起動停止回路124は、基準電圧Vccが入力され、基準電圧Vccが所定値以上であれば起動信号(Highの出力信号)を出力し、基準電圧Vccが所定値よりも小さければ停止信号(Lowの出力信号)を出力する。
【0013】
このように構成される従来に係る発光ダイオード駆動装置100では、発光ダイオード駆動用半導体回路120の制御回路122によって、上記のようにしてスイッチング素子121bのオンオフが制御される。
【0014】
そして、スイッチング素子121bがオン状態のときは、入力電圧Vinによって、チョークコイル112→LED200→発光ダイオード駆動用半導体回路120の向きに電流が流れて、LED200が点灯する。このとき、チョークコイル112に流れる電流によってチョークコイル112に磁気エネルギーが蓄積される。
【0015】
また、スイッチング素子121bがオフ状態のときは、チョークコイル112に蓄積された磁気エネルギーによる逆起電力によって、チョークコイル112とLED200とダイオード113とで構成されるLEDブロック回路の閉ループに、チョークコイル112→LED200→ダイオード113の向きに電流が流れて、LED200が点灯する。
【0016】
このように、従来に係る発光ダイオード駆動装置100は、入力電圧が変動したとしてもLED200に流れる電流を定電流で制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2006−108260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、従来に係る発光ダイオード駆動装置100は、入力電圧Vinの供給が停止中であっても、発光ダイオード駆動用半導体回路120(IC)を動作させておく必要があるので、レギュレータ122a(IC電源)等に電流を流す必要がある。
【0019】
このため、LED200を消灯させようと入力電圧Vinの供給を停止したとしても、従来に係る発光ダイオード駆動装置100においては、接合型FET121aを介してLED200に微小な電流が流れてしまい、LED200が完全に消灯しないという問題がある。つまり、LED200を消灯させたつもりであっても、LED200が完全に消灯せずに点灯し続けてしまうという問題がある。この問題は、特にLED200の数が少ない場合に、より顕著に発生する。
【0020】
詳述すると、停止状態において、IC内部の回路を正常に動作させて、スイッチング停止の信号状態を維持する必要があり、そのためにはIC内部の電源回路に電流を供給する必要がある。そのIC駆動電流は、LED200を介し、IC内部のスイッチング素子121aへ流れなければならない。従って、ICを駆動する微小電流によって、LED200は微弱ながら点灯してしまう。
【0021】
また、図4に示す発光ダイオード駆動装置100とは異なるが、発光ダイオード駆動用半導体回路120のない発光ダイオード駆動装置の場合においても、上記と同様の問題が生じる場合がある。
【0022】
例えば、シーリングライトのようなLED照明装置において、LEDの点灯を遠隔操作したりLEDを調光したりするためのリモコンスイッチが備えられているような場合、あるいは、照明装置を消灯して明かりの消えた真っ暗な部屋でも壁スイッチの位置が特定できるように照明装置の消灯時に壁スイッチに小さな緑のLEDランプが点灯するように構成された常夜灯スイッチ(ほたるスイッチ)等を備えているような場合である。
【0023】
これらのリモコンスイッチや常夜灯スイッチ等の電子スイッチを備えているような場合には、AC電源に接続されたトライアック(サイリスタ)及び当該トライアックを制御するためのコントローラ(IC)等で構成される回路が用いられている。トライアックは、状態を保持させるために電流を流しておく必要があるので、LEDを消灯させたつもりであっても、本来LEDを点灯させるための入力電圧Vdよりも低い値の入力電圧が供給されてしまい、上記と同様にLEDが完全に消灯せずに点灯し続けてしまったり、電子スイッチが誤作動したりするという問題がある。
【0024】
本発明は、上記課題を解決するものであり、予定外に低い入力電圧が供給された場合であっても、LEDを確実に消灯することができる発光ダイオード用駆動回路及びLED光源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
この課題を解決するために、本発明に係る発光ダイオード用駆動回路の一態様は、発光ダイオードを点灯するための発光ダイオード用駆動回路であって、前記発光ダイオードを駆動するための電力を出力するインバータと、前記インバータの動作を制御するためのインバータ制御回路と、を備え、前記インバータ制御回路は、当該インバータ制御回路に入力される直流電圧が所定値よりも小さい場合に、前記インバータの動作を停止させるものである。
【0026】
この構成により、発光ダイオードの点灯及び消灯をインバータの起動又は停止によって制御することができ、入力電圧が所定値よりも小さい場合には、インバータ制御回路によってインバータの動作を完全に停止させる。これにより、発光ダイオードに流れる電流のパスを完全に遮断することができるので、発光ダイオードを完全に消灯させることができる。
【0027】
さらに、本発明に係る発光ダイオード用駆動回路の一態様において、前記インバータ制御回路は、前記インバータの動作を開始して前記インバータの動作を維持するための起動トリガ回路と、前記起動トリガ回路の動作を停止させるための停止回路と、を有し、前記直流電圧は、前記停止回路に入力され、前記停止回路は、入力される前記直流電圧が前記所定値よりも小さい場合に、前記起動トリガ回路の動作を停止させ、前記インバータの動作を停止させることが好ましい。
【0028】
さらに、本発明に係る発光ダイオード用駆動回路の一態様において、前記インバータは、第1のスイッチング素子と、当該第1のスイッチング素子に直列に接続された第2のスイッチング素子と、駆動トランスとを有し、前記第1のスイッチング素子と前記第2のスイッチング素子とは、前記駆動トランスの誘起発振によって交互にオンオフすることが好ましい。
【0029】
さらに、本発明に係る発光ダイオード用駆動回路の一態様において、前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子は、バイポーラ形トランジスタであることが好ましい。
【0030】
さらに、本発明に係る発光ダイオード用駆動回路の一態様において、前記インバータは、直列に接続されたスイッチング素子及びダイオードによって構成されることが好ましい。
【0031】
さらに、本発明に係る発光ダイオード用駆動回路の一態様において、前記起動トリガ回路は、第1の抵抗と、当該第1の抵抗に直列に接続されたコンデンサと、前記第1の抵抗と前記コンデンサとの接続点に接続されたトリガダイオードとを有し、前記コンデンサが保持する所定の電圧値によって前記トリガダイオードが導通することにより、前記起動トリガ回路は前記インバータの動作を開始させることが好ましい。
【0032】
さらに、本発明に係る発光ダイオード用駆動回路の一態様において、前記停止回路は、第2の抵抗と、当該第2の抵抗に接続されるとともに前記起動トリガ回路の前記コンデンサと並列に接続された第3のスイッチング素子を有し、前記第3のスイッチング素子がオンすることにより、前記停止回路は前記起動トリガ回路の動作を停止させることが好ましい。
【0033】
さらに、本発明に係る発光ダイオード用駆動回路の一態様において、前記停止回路は、前記インバータ制御回路に入力される前記直流電圧が所定値よりも小さい場合において、当該停止回路を構成する回路素子によって消費される電力が、0.08W以上0.11W以下となるように構成されることが好ましい。
【0034】
さらに、本発明に係る発光ダイオード用駆動回路の一態様において、前記第1の抵抗と前記第2の抵抗とは、前記起動トリガ回路と前記停止回路とで共通して用いられる1つの抵抗であることが好ましい。
【0035】
さらに、本発明に係る発光ダイオード用駆動回路の一態様において、前記発光ダイオード用駆動回路は、交流の入力電圧を受けて前記発光ダイオードを点灯し、さらに、前記交流の入力電圧を整流して前記インバータ制御回路及び前記インバータに前記直流電圧を供給するための第1の整流回路と、前記インバータから供給される交流電圧を整流して前記発光ダイオードに直流電圧を供給するための第2の整流回路と、を備えることが好ましい。
【0036】
また、本発明に係るLED光源の一態様は、上記の発光ダイオード用駆動回路と、前記発光ダイオード用駆動回路によって点灯される発光ダイオードと、を備えるものである。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、所定値よりも低い入力電圧が供給された場合であっても、LEDを確実に消灯することができる。
【0038】
また、ほたる常夜灯スイッチ等の半導体スイッチの誤動作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路の回路構成を示す図である。
【図2】図2は、本発明の第2の実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路の回路構成を示す図である。
【図3】図3は、本発明の第3の実施形態に係る照明装置の一部切り欠き断面図である。
【図4】図4は、従来に係る発光ダイオード駆動装置の回路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路及びLED光源について、図面を参照しながら説明する。
【0041】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路の回路構成について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路の回路構成を示す図である。
【0042】
(回路構成)
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路1は、LED2を点灯させるためのLED用駆動回路であって、第1の整流回路10と、インバータ20と、インバータ制御回路30と、第2の整流回路40とを備える。
【0043】
発光ダイオード用駆動回路1は、交流電圧の入力を受けるための入力端子P1及びP2を有しており、入力端子P1及びP2は、AC電源に接続されるとともに、第1の整流回路10の入力端に接続されている。例えば、発光ダイオード用駆動回路1の入力端子P1及びP2には、壁スイッチを通じて商用の交流電源が接続される。なお、商用の交流電源とは、商用100Vの交流電源、つまり家庭用のAC電源である。また、入力端子P1及びP2は、例えば、交流電源が供給されるソケットに取り付けられる電球型LEDランプの口金等である。
【0044】
また、発光ダイオード用駆動回路1は、直流電圧を出力するための出力端子P3及びP4を有しており、出力端子P3及びP4は、LED2に接続されるとともに、第2の整流回路40の出力端に接続されている。高電位側の出力端子P3は、LED2のアノード側に接続されており、低電位側の出力端子P4は、LED2のカソード側に接続されている。LED2は、発光ダイオード用駆動回路1から供給される直流電圧によって点灯する。なお、本実施形態において、LED2を静電保護するために、LED2と並列にツェナーダイオードZDが接続されている。
【0045】
以下、本実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路1の各構成要素について、詳細に説明する。
【0046】
まず、第1の整流回路10について説明する。第1の整流回路10(DB1)は、4つのダイオードで構成されるブリッジ型全波整流回路であって、入力側の2端子は入力端子P1及びP2を介してAC電源に接続され、出力側の2端子は平滑コンデンサC1等に接続されている。なお、平滑コンデンサC1は、第1の整流回路10の出力電圧を安定化させるために設けられており、例えば、電解コンデンサが用いられる。
【0047】
第1の整流回路10は、例えば壁スイッチを通じて、商用の交流電源から交流電圧を受けて、当該交流電圧を全波整流して直流電圧を出力する。第1の整流回路10から出力される直流電圧は、平滑コンデンサC1によって平滑化されて直流の入力電圧Vinとなる。入力電圧Vinは、インバータ20及びインバータ制御回路30に供給される。
【0048】
次に、インバータ20について説明する。インバータ20(INV)は、LED2を駆動するための電力を出力するように構成されており、直流電圧を交流電圧に変換するためのインバータであって、第1のスイッチング素子Q1と、第1のスイッチング素子Q1に直列に接続された第2のスイッチング素子Q2と、駆動トランスCTと、インダクタL1と、共振コンデンサC5とを有する。
【0049】
本実施形態において、インバータ20は、ハーフブリッジ形の自励インバータであって、交互にスイッチング動作を行う第1のスイッチング素子Q1と第2のスイッチング素子Q2とからなる直列回路が直流電源に接続されて構成されている。また、本実施形態において、第1のスイッチング素子Q1及び第2のスイッチング素子Q2は、バイポーラ形トランジスタである。
【0050】
第1のスイッチング素子Q1のコレクタは、第1の整流回路10の直流電圧出力端の正極に接続されるとともに、共振コンデンサC5に接続されている。第1のスイッチング素子Q1のエミッタは、第2のスイッチング素子Q2のコレクタに接続されるとともに、駆動トランスCTのコイルに接続されている。また、第1のスイッチング素子Q1のベースは、抵抗器R7を介して駆動トランスCTのコイルに接続されている。
【0051】
第2のスイッチング素子Q2のコレクタは、第1のスイッチング素子Q1のエミッタに接続されるとともに、駆動トランスCTのコイルに接続されている。第2のスイッチング素子Q2のエミッタは、第1の整流回路10の直流電圧出力端の負極に接続されるとともに、駆動トランスCTのコイルに接続されている。また、第2のスイッチング素子Q2のベースは、駆動トランスCTのコイルに接続されている。
【0052】
駆動トランスCTは、一次巻線(入力巻線)及びニ次巻線(出力巻線)からなる巻線コイルによって構成されている。
【0053】
なお、インダクタL1は、チョークインダクタであって、一端が駆動トランスCTの出力側に接続されており、他端が第2の整流回路40の入力側に接続されている。また、共振コンデンサC5は、一端が第1の整流回路10の直流電圧出力端の正極に接続され、他端が第2の整流回路40の入力側に接続されている。
【0054】
このように構成されるインバータ20は、第1のスイッチング素子Q1及び第2のスイッチング素子Q2の直列回路の両端間に(インバータ20の入力端に)所定の入力電圧Vinが印加されるとともに、インバータ制御回路30から起動制御信号(トリガ信号)が供給されることによって動作し、駆動トランスCTの誘起に基づく自励発振によって第1のスイッチング素子Q1と第2のスイッチング素子Q2とが交互にオンオフ動作を行うことにより、インダクタL1と共振コンデンサC5との直列共振による交流の2次電圧が誘起され、第2の整流回路40に供給される。
【0055】
次に、インバータ制御回路30について説明する。インバータ制御回路30は、インバータ20の動作を制御するように構成されており、インバータ制御回路30に入力される直流の入力電圧Vinの値が所定値(Vth)よりも小さい場合、例えば、本来LED2を点灯及び消灯させるための基準入力電圧(Vd)の値よりも小さく、かつ、LED2を点灯させうる範囲の微小な値の電圧(Vmin)の場合に、インバータ20の動作を停止させるように構成されている。
【0056】
本実施形態において、インバータ制御回路30は、インバータ20の動作を開始するとともにインバータ20の動作を維持するための起動トリガ回路31(TRG)と、起動トリガ回路31の動作を停止させるための停止回路32(STP)とを有する。そして、直流の入力電圧Vinが上記所定値よりも小さい場合には、停止回路32が起動トリガ回路31の動作を停止させるように動作する。これにより、インバータ20の動作が停止して、LED2への電力供給が完全に停止する。ここで、インバータ制御回路30における起動トリガ回路31及び停止回路32の具体的な構成について、以下詳細に説明する。
【0057】
起動トリガ回路31は、第1の抵抗である抵抗器R1と、当該抵抗器R1に直列に接続されたコンデンサC3と、抵抗器R1とコンデンサC3との接続点に接続されたトリガダイオードTDとを有する。
【0058】
抵抗器R1は、抵抗器R2を介して第1の整流回路10の直流電圧出力端の正極に接続されるとともに、コンデンサC3を介して第1の整流回路10の直流電圧出力端の負極に接続されている。コンデンサC3は、トリガダイオードTDの導通を制御するためのコンデンサであって、高電位側が抵抗器R1に接続され、低電位側が第1の整流回路10の直流電圧出力端の負極に接続されている。なお、起動トリガ回路31において、抵抗器R1とコンデンサC3は、時定数回路を構成している。
【0059】
また、トリガダイオードTDは、ダイオードで構成されるトリガ素子であって、規定の電圧(ブレークオーバー電圧)を超える電圧がかかった場合に導通状態となる。本実施形態では、トリガダイオードTDは、コンデンサC3に保持される電圧値によってブレークオーバーして導通状態となる。そして、トリガダイオードTDは、インバータ20の制御端子である第2のスイッチング素子Q2のベースに接続されており、トリガダイオードTDが導通状態となることによってインバータ20の動作が開始する。
【0060】
すなわち、第2のスイッチング素子Q2が起動トリガ回路31によってオンすることにより初めてインバータ回路20に電流が流れ始め、インダクタL1、共振コンデンサC5、第2の整流回路40、駆動トランスCT、LED2、第2のスイッチング素子Q2の順に電流が流れる。すると、インダクタL1、共振コンデンサC5および駆動トランスCTの共振によって、第1のスイッチング素子Q1および第2のスイッチング素子Q2の各ベースに発生する電圧が共振周波数において反転し、交互にオンオフする定常動作を開始する。
【0061】
なお、トリガダイオードTDとしては、例えば、電圧ブレークオーバーが30〜34Vのダイアックを用いることができる。
【0062】
このように、起動トリガ回路31は、インバータ20を起動するための回路であって、抵抗器R1とコンデンサC3を含む時定数回路と、コンデンサC3の電圧値によってブレークオーバーするトリガダイオードTDとを有する。そして、起動トリガ回路31からインバータ20に対してトリガ信号が入力されることによって、インバータ20の自励発振が開始する。
【0063】
さらに、本実施形態において、起動トリガ回路31は、抵抗器R1に直列接続された抵抗器R2と、抵抗器R1と並列接続されたダイオードD1とを有する。ダイオードD1は、整流用ダイオードであって、ダイオードD1のアノード側は、抵抗器R1とコンデンサC3との接続点、及び、トリガダイオードTDに接続されている。また、ダイオードD1のカソード側は、抵抗器R1と抵抗器R2との接続点、インバータ20における第1のスイッチング素子Q1(エミッタ)と第2のスイッチング素子Q2(コレクタ)との接続点、及び、コンデンサC4に接続されている。なお、コンデンサC4は、高電位側が第1の整流回路10の直流電圧出力端の正極及び第1のスイッチング素子Q1のコレクタに接続されており、低電位側がダイオードD1のカソードに接続されている。コンデンサC4は、ソフトスイッチング用のコンデンサであって、スイッチングに伴うノイズの発生を抑制するために適宜用いられる。
【0064】
停止回路32は、例えばホタルスイッチ等の半導体スイッチによってLED2をオフする場合に、インバータ回路20の動作を停止することによってLED2を完全に消灯するための回路である。本実施形態における停止回路32は、第2の抵抗として抵抗器R1と、抵抗器R1に接続される第3のスイッチング素子Q3と、第3のスイッチング素子Q3に接続される第4のスイッチング素子Q4とを有する。抵抗器R1は、起動トリガ回路31と停止回路32とで共通して用いられる。また、第3のスイッチング素子Q3と第4のスイッチング素子Q4とは、スイッチ回路SWを構成しており、当該スイッチ回路SWがオンすることにより、起動トリガ回路の動作が停止する。本実施形態において、停止回路32は、さらに、抵抗器R2、抵抗器R3、抵抗器R4、抵抗器R5及び抵抗器R6を有する。
【0065】
スイッチ回路SWにおいて、第3のスイッチング素子Q3及び第4のスイッチング素子Q4は、バイポーラ形トランジスタで構成されている。
【0066】
第3のスイッチング素子Q3は、起動トリガ回路31のコンデンサC3と並列に接続されており、第3のスイッチング素子Q3のコレクタは、コンデンサC3の高電位側に接続されるとともに、抵抗器R1及び抵抗器R2を介して第1の整流回路10の直流電圧出力端の正極に接続されている。第3のスイッチング素子Q3のエミッタは、コンデンサC3の低電位側に接続されるとともに、第1の整流回路10の直流電圧出力端の負極に接続されている。なお、第3のスイッチング素子Q3のベースは、第4のスイッチング素子Q4のコレクタに接続されている。
【0067】
第4のスイッチング素子Q4のコレクタは、抵抗器R6に接続されるとともに、第3のスイッチング素子Q3のベースに接続されている。第4のスイッチング素子Q4のエミッタは、抵抗器R5に接続されるとともに、第1の整流回路10の直流電圧出力端の負極に接続されている。また、第4のスイッチング素子Q4のベースは、抵抗器R4と抵抗器R5との接続点に接続されている。
【0068】
抵抗器R3は、一端が、第1の整流回路10の直流電圧出力端の正極に接続され、他端が、抵抗器R4と抵抗器R6との接続点に接続されている。抵抗器R4は、一端が、抵抗器R3と抵抗器R6との接続点に接続されるとともに、他端が、抵抗器R5と第4のスイッチング素子Q4のベースとの接続点に接続されている。抵抗器R5は、一端が、抵抗器R4と第4のスイッチング素子Q4のベースとの接続点に接続されており、他端が、第1の整流回路10の直流電圧出力端の負極に接続されている。抵抗器R6は、一端が、抵抗器R3と抵抗器R4との接続点に接続されるとともに、他端が、第3のスイッチング素子Q3のベースと第4のスイッチング素子Q4のコレクタとの接続点に接続されている。なお、抵抗器R1と抵抗器R2については、起動トリガ回路31で説明したとおりである。
【0069】
このように構成される停止回路32において、抵抗器R1〜R6の抵抗値は、入力電圧Vinが上記所定値(Vth)よりも小さい場合に、第4のスイッチング素子Q4がオフするとともに第3のスイッチング素子Q3がオンするように、また、入力電圧Vinが上記所定値以上の場合には、第4のスイッチング素子Q4がオンするとともに第3のスイッチング素子Q3がオフするように設定されている。すなわち、所定値(Vth)は、スイッチ回路SWの閾値電圧として任意に設定することができ、例えば、本来LED2を点灯及び消灯させるための基準入力電圧(Vd)の値よりも小さく、かつ、LED2を点灯させうる範囲の微小な値の電圧(Vmin)となるような電圧値として設定することができる。
【0070】
このように、入力電圧Vinが上記所定値(Vth)よりも小さい場合は、停止回路32におけるスイッチ回路SWはオン状態となる。すなわち、この場合、第4のスイッチング素子Q4のベースにはオン電流が流れず第4のスイッチング素子Q4はオフとなり、第3のスイッチング素子Q3のベースに対して所定のオン電流が流れて第3のスイッチング素子Q3がオンとなる。これにより、コンデンサC3にチャージされている電荷が放電されるので、トリガダイオードTDが非導通状態となる。このように、停止回路32は、入力電圧Vinが上記所定値(Vth)よりも小さい場合は、起動トリガ回路31の動作を停止させる。
【0071】
一方、入力電圧Vinが上記所定値(Vth)以上の場合は、停止回路32におけるスイッチ回路SWはオフ状態となる。すなわち、この場合、抵抗器R3〜R5の分圧比で決定されるオン電流が第4のスイッチング素子Q4のベースに流れて第4のスイッチング素子Q4がオンとなり、第3のスイッチング素子Q3のベース及びエミッタがGND電位となって第3のスイッチング素子Q3がオフとなる。これにより、コンデンサC3に電荷がチャージされる状態となる。従って、コンデンサC3が充電され、やがてトリガダイオードTDが導通する電圧に達して、前述のようにインバータ回路20が発振動作を開始する。このように、停止回路32は、入力電圧Vinが上記所定値(Vth)以上の場合、起動トリガ回路31に対しての停止制御は行わない。
【0072】
次に、第2の整流回路40について説明する。第2の整流回路40(DB2)は、第1の整流回路10と同様に、4つのダイオードで構成されるブリッジ型全波整流回路であって、入力側の2つの端子はインバータ20の出力側の2つの端子に接続され、出力側の2つの端子については高電位側が出力端子P3を介してLED2のアノード側に接続され、低電位側が出力端子P4を介してLED2のカソード側に接続されている。
【0073】
第2の整流回路40は、インバータ20からの交流電圧を受けて、この交流電圧を全波整流した電圧を出力し、当該電圧をLED2に供給する。
【0074】
なお、第2の整流回路40としては、例えば、2つのショットキーダイオードが直列接続された半導体部品を2つ組み合わせることによって構成することができる。
【0075】
以上のようにして、本実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路1が構成されている。なお、本実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路1における上記回路素子の一例として、抵抗器R1〜R8としては、それぞれの抵抗が、R1=120kΩ、R2=150kΩ、R3=390kΩ、R4=82kΩ、R5=9.3kΩ、R6=100kΩ、R7=R8=12Ωであるチップ抵抗が用いられ、コンデンサC1、C3〜C5としては、それぞれの容量が、C1=2.2μF、C3=6800pF、C4=1500pF、C5=0.047μFのコンデンサが用いられる。また、本実施形態において、LED2は1つであるが、LED2は複数個設けても構わない。この場合、複数のLED2を直列接続しても構わないし、並列接続しても構わないし、あるいは、直列接続と並列接続とを組み合わせても構わない。
【0076】
(回路動作)
次に、本実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路1の動作について説明する。
【0077】
例えば、LED2を点灯させるためにユーザが壁スイッチをオン操作すると、入力端子P1及びP2に交流電源が供給され、第1の整流回路10により平滑化された直流の入力電圧Vinが生成される。入力電圧Vinは、インバータ20の入力端間、起動トリガ回路31の入力端間、及び、停止回路32の入力端間に供給される。このとき、入力電圧Vinとして、本来LED2を点灯させるための基準入力電圧(Vd)が供給される。
【0078】
これにより、起動トリガ回路31とインバータ20が動作する。すなわち、入力電圧Vinとして基準入力電圧(Vd)が起動トリガ回路31に供給されることにより、起動トリガ回路31のコンデンサC3が充電されて、トリガダイオードTDがブレークオーバーする。この結果、トリガダイオードTDが導通状態となり、トリガ信号(トリガパルス)がインバータ20の第2のスイッチング素子Q2のベースに供給され、当該第2のスイッチング素子Q2がオンする。
【0079】
トリガ信号によって第2のスイッチング素子Q2がオンすると、インバータ20が起動し、駆動トランスCTの誘起に基づく自励発振により第1のスイッチング素子Q1及び第2のスイッチング素子Q2が交互にオンオフ動作を行い、交流の2次電圧が誘起される。これにより、当該2次電圧がインダクタL1と共振コンデンサC5との直列共振により高められた交流電圧が第2の整流回路40に供給される。そして、第2の整流回路40によって交流電圧が全波整流され、出力端子P3及びP4を介して所定の直流電圧(順方向電圧V)がLED2に供給される。これにより、LED2が所望の明るさで点灯する。
【0080】
なお、このとき、停止回路32は、基準入力電圧(Vd)の供給によってスイッチ回路SWはオフ状態となる。すなわち、第4のスイッチング素子Q4はオンとなり、第3のスイッチング素子Q3がオフとなり、停止回路32は、起動トリガ回路31に対しては機能しない。
【0081】
次に、LED2を消灯させるためにユーザが壁スイッチをオフ操作すると、入力端子P1及びP2への交流電源の供給が停止するので、基本的にはLED2は消灯する。
【0082】
しかしながら、従来の発光ダイオード駆動装置では、他のIC回路(不図示)、又は、リモコンスイッチや常夜灯スイッチ等の電子スイッチ(不図示)によって、入力電圧Vinとして基準入力電圧(Vd)よりも小さく、かつ、LEDを点灯させうる範囲の微小な値の電圧(Vmin)が回路内に供給される場合があった。
【0083】
このように回路内に微小電圧(Vmin)が供給されると、従来ではLED2が点灯してしまうという問題があったが、本実施形態では、微小電圧(Vmin)が供給されても、LED2は点灯しない。以下、詳細に説明する。
【0084】
本実施形態では、入力電圧Vinとして微小電圧(Vmin)が供給されたとしても、微小電圧(Vmin)以上の動作開始電圧(Vth)として設定された停止回路32が起動して、インバータ20の動作が停止する。
【0085】
すなわち、入力電圧Vinとして微小電圧(Vmin)が供給されると、停止回路32において、第3のスイッチング素子Q3がオフして第4のスイッチング素子Q4がオンとなる。これにより、起動トリガ回路31のコンデンサC3に保持されていた電荷が放電され、トリガダイオードTDが非導通状態となる。この結果、起動トリガ回路31は、インバータ20における第2のスイッチング素子Q2のベースへのトリガパルスの供給を停止するのでインバータ20が停止する。よって、第2の整流回路40への電力供給が完全に停止するので、LED2は確実に消灯する。
【0086】
(実験例)
次に、本実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路1における停止回路32について実験を行ったので、以下、この実験結果について説明する。下の表1及び表2は、本実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路1を備えるLEDランプにおいて、停止回路32の消費電力(待機電力)と、LEDランプのオンオフ動作状態及び試験スイッチのLEDインジケータの点灯状態との関係を示したものである。なお、実験用のLEDランプとしては、電球型LEDランプを用いて行った。
【0087】
また、表1は、試験スイッチとして、リモコンスイッチ(パナソニック電工株式会社製の「とったらリモコン」:WTC53215K)を用いた場合であり、表2は、試験スイッチとして、常夜灯スイッチ(パナソニック電工株式会社製の「ほたるスイッチ」:WN5052)を用いた場合である。また、各表における判断基準については、ランプのオンオフ動作状態については、ランプのオンオフ動作が効く場合を「○」とし、効かない場合を「×」としており、LEDインジケータの点灯状態については、LEDインジケータが正常に点灯している場合を「○」とし、点灯していない場合を「×」としている。なお、LEDインジケータの点灯状態において、製品レベルでは問題ないものの、若干暗くなっている状態で点灯している場合を「△」とした。
【0088】
【表1】

【0089】
【表2】

【0090】
表1及び表2に示すように、停止回路32における消費電力(待機電力)が0.08W以上であれば、発光ダイオード用駆動回路1及び電子スイッチは正しく動作することが分かった。なお、停止回路32は、LEDランプ点灯時においても電力を消費するので、待機電力が大きすぎるLEDランプの効率が低下する。このため、実用範囲としては、常夜灯の定格の20%とばらつき分を考慮すると、停止回路32の待機電力の上限としては、0.11Wとすることが好ましい。
【0091】
以上、本発明の第1の実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路1によれば、LED2の点灯及び消灯をインバータ20の起動又は停止によって制御することができ、入力電圧Vinが所定値よりも小さい場合には、インバータ制御回路30によってインバータ20の動作を完全に停止させる。これにより、LED2を消灯させたい場合には、LED2に流れる電流のパスを完全に遮断することができるので、LED2を完全に消灯させることができる。
【0092】
さらに、本実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路1によれば、抵抗器から停止回路32のトランジスタ(第3のトランジスタQ3及び第4のトランジスタQ4)を介して電流をバイパスする構成となっているので、リモコンスイッチや常夜灯スイッチ等の電子スイッチを備えている場合であっても、電子スイッチは誤作動しない。
【0093】
さらに、本実施形態によれば、インバータ20を用いてLED2に電力を供給しているので、商用の低周波交流電源からの交流電圧はインバータ20によって高周波化されるので、点灯時におけるLED2のちらつきを抑制することができる。なお、15kHz以上まで高周波化することにより、LED2のちらつきを防止することができる。さらに、インバータ20を用いてLED2に電力を供給することにより、明るさを2値化することもできる。
【0094】
なお、本実施形態において、停止回路32は、上記の微小電圧(Vmin)が供給されている場合、停止回路32を構成する抵抗器及びスイッチング素子によって消費される電力は、上述のとおり、0.08W以上0.11W以下となるように構成されることが好ましい。
【0095】
また、本実施形態において、駆動トランスCTは図1に開示されたものに限らない。例えば、本実施形態では、抵抗器R8、第2のスイッチング素子Q2のベース、同エミッタ及び駆動トランスのコイルが接続された回路を備えているが、この回路構成がないような構成であっても構わない。
【0096】
また、本実施形態では、インバータ20としてハーフブリッジ形の自励インバータを用いたが、これに限らない。例えば、インバータ20として他励インバータを用いて構成しても構わないし、ハーフブリッジ形以外の構成を用いても構わない。
【0097】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路1Aについて、図2を用いて説明する。図2は、本発明の第2の実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路の回路構成を示す図である。
【0098】
本発明の第2の実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路1Aは、本発明の第1の実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路1と基本的な構成は同じであり、図2において、図1に示す構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付しており、その詳しい説明は省略する。
【0099】
図2に示す本発明の第2の実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路1Aが、図1に示す本発明の第1の実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路1と異なる点は、インバータの構成である。
【0100】
すなわち、本実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路1Aにおいて、インバータ20Aは、1つの第5のスイッチング素子Q5と、1つのダイオードD2と、インダクタL2とを有する。
【0101】
第5のスイッチング素子Q5は、バイポーラ形トランジスタで構成されている。第5のスイッチング素子Q5おエミッタは、インダクタL2の一端に接続されているとともに、ダイオードD2のアノード側に接続されている。さらに、第5のスイッチング素子Q5のエミッタは、起動トリガ回路31のダイオードD1のカソード側に接続されている。また、第5のスイッチング素子Q5のコレクタは、第1の整流回路10の直流電圧出力端の負極に接続されている。また、第5のトランジスタQ5のベースは、起動トリガ回路31のトリガダイオードTDに接続されている。
【0102】
ダイオードD2のカソード側は、第1の整流回路10の直流電圧出力端の正極に接続されている。また、ダイオードD2のアノード側はインダクタL2と第5のスイッチング素子Q5との接続点に接続されている。
【0103】
なお、インダクタL2は、一端が第5のスイッチング素子Q5とダイオードD2との接続点に接続されており、他端が第2の整流回路40の入力側に接続されている。
【0104】
このように構成されるインバータ20Aは、第1の整流回路10から出力される入力電圧Vinが印加されると、インバータ制御回路30からの起動制御信号に基づいて動作する。これにより、インバータ20Aから第2の整流回路40に直流電圧が供給される。
【0105】
なお、本実施形態において、その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0106】
次に、本実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路1Aの動作について説明する。
【0107】
例えば、LED2を点灯させるためにユーザが壁スイッチをオン操作すると、第1の実施形態と同様に、入力電圧Vinとして本来LED2を点灯させるための基準入力電圧(Vd)が供給され、起動トリガ回路31とインバータ20Aが動作する。
【0108】
すなわち、起動トリガ回路31のコンデンサC3が充電されて、トリガダイオードTDが導通状態となり、トリガ信号(トリガパルス)がインバータ20Aの第5のスイッチング素子Q5のベースに供給され、第5のスイッチング素子Q5がオンする。
【0109】
トリガ信号によって第5のスイッチング素子Q5がオンすると、入力電圧Vinによって、第2の整流回路40→LED2→第2の整流回路40→インダクタL2→第5のスイッチング素子Q5と電流が流れて、LED2が点灯する。
【0110】
すると、ダイオードD1およびスイッチング素子Q5のベースを介してコンデンサC3の電荷が放出され、やがてスイッチング素子Q5およびトリガダイオードTDがオフし、インダクタL2に蓄えられたエネルギーがダイオードD2を介して平滑コンデンサC1へ帰還すると同時にコンデンサC3を充電し始める。そして上記の帰還電流が流れきったときに再びトリガダイオードTDがオンしてスイッチング素子Q5がオンする。また、スイッチング素子Q5のオン時間を変えるために、コンデンサC3とダイオードD1の間に抵抗を付加してもよい。
【0111】
なお、停止回路32は、基準入力電圧(Vd)の供給によってスイッチ回路SWはオフ状態となる。
【0112】
次に、LED2を消灯させるためにユーザが壁スイッチをオフ操作すると、LED2は消灯する。
【0113】
この場合、入力電圧Vinとして微小電圧(Vmin)が供給されたとしても、第1の実施形態と同様に、微小電圧(Vmin)以上の動作開始電圧(Vth)として設定された停止回路32が起動して、インバータ20Aの動作が停止する。これにより、第2の整流回路40への電力供給が完全に停止するので、LED2は確実に消灯する。
【0114】
以上、本発明の第2の実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路1Aにおいても、LED2の点灯及び消灯をインバータ20Aの起動又は停止によって制御することができ、入力電圧Vinが所定値よりも小さい場合には、インバータ制御回路30によってインバータ20Aの動作を完全に停止させる。これにより、LED2を消灯させたい場合には、LED2に流れる電流のパスを完全に遮断することができるので、LED2を完全に消灯させることができる。
【0115】
さらに、第1の実施形態と同様に、本実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路1Aも、抵抗器から停止回路32のトランジスタ(第3のトランジスタQ3及び第4のトランジスタQ4)を介して電流をバイパスする構成となっているので、リモコンスイッチや常夜灯スイッチ等の電子スイッチを備えている場合であっても、電子スイッチは誤作動しない。
【0116】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第1及び第2の実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路の適用例について、第3の実施形態に基づいて説明する。図3は、本発明の第3の実施形態に係る照明装置の一部切り欠き断面図である。
【0117】
本発明の第1及び第2の実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路1、1Aは、当該発光ダイオード用駆動回路1、1Aによって点灯されるLED2とともに、LED光源として利用することができる。なお、本発明におけるLED光源とは、任意の発光ダイオード用駆動回路によって点灯されるLEDを搭載した装置をいう。LED光源の例には、従来の電球形蛍光灯などに代替する照明装置、あるいは、下記に示すハロゲン電球代替型の照明装置などの各種照明装置を含む。
【0118】
本発明の第3の実施形態に係る照明装置50は、上記LED光源の一例であって、図3に示すように、発光ダイオード用駆動回路1、ケース51、放熱器52及び発光部53を備えるハロゲン電球代替型の照明装置である。
【0119】
発光ダイオード用駆動回路1は、第1の実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路1と同様の構成である。
【0120】
ケース51は、セラミクス等の絶縁材料からなり、円筒部51aと当該円筒部51aの一端から延設された突出部51bとで構成されている。円筒部51aの内部に、LED2を点灯するための点灯回路として発光ダイオード用駆動回路1が収容されている。突出部51bの外周面には金属製のシェル54が設けられ、突出部51bの先端部には金属製のアイレット55が設けられている。シェル54及びアイレット55は、それぞれリード線等によって発光ダイオード用駆動回路1に接続されており、外部電源(商用の交流電源)から電力の供給を受ける給電端子である。なお、シェル54及びアイレット55によって口金が構成されており、当該口金が照明器具(不図示)のソケットに差し込まれることによって給電を受ける。
【0121】
放熱器52は、アルミニウム等の金属材料からなり、底部52aと当該底部52aの周縁から延設された側面部52bとによってカップ状に構成されている。なお、放熱器52の材料としては、金属材料の他に、非透光性のセラミクス材料又は非透光性の樹脂材料等を用いることもできる。放熱器52内の底部52aには、発光部53が接着剤等によって固着されている。
【0122】
また、放熱器52の開口部には前面カバー56が取り付けられており、前面カバー56は金具57によって放熱器52に固定されている。前面カバー56は、樹脂、ガラス、セラミクス等の透光性材料で構成されており、発光部53からの光を外部に放出させる。なお、前面カバー56は、上記透光性材料のうち透明材料で構成することが好ましい。放熱器52の側面部52bの内周面は、光を反射するための反射面となっており、放熱器52は反射鏡として兼用される。なお、放熱器52の寸法は、既存の反射鏡付きハロゲン電球と同程度あるいはそれよりも小さい。例えば、反射鏡の開口径が50[mm]から70[mm]程度のハロゲン電球に代替させる場合は、放熱器52の開口径を、50[mm]から70[mm]程度あるいはそれよりも小さくすればよい。
【0123】
発光部53は、LED2と、基板53a、波長変換部材53b及びレンズ53cとからなる。LED2は、ベアチップであって、基板53a上に1つ又は複数個実装されている。LED2としては、例えば、青色光を発光する青色発光LEDチップを用いることができる。基板53aは、LED2を実装するための基板であり、セラミクス基板、絶縁樹脂被膜した金属基板等を用いることができる。波長変換部材53bとしては、光波長変換体である蛍光体を樹脂に含有させて構成される蛍光体含有樹脂を用いることができる。例えば、LED2が青色発光LEDチップの場合は、白色光を得るために、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系の黄色蛍光体粒子をシリコーン樹脂に分散させた蛍光体含有樹脂を用いることができる。これにより、黄色蛍光体粒子は青色発光LEDチップの青色光によって励起されて黄色光を放出するので、波長変換部材53bからは、励起された黄色光と青色発光LEDチップの青色光とによって白色光が放出される。レンズ53cは、樹脂等の透光性材料からなり、波長変換部材53bを内包するように形成される。発光部53におけるLED2は、基板53aにパターン形成された配線と電気的に接続されており、発光ダイオード用駆動回路1と当該配線とが電気的に接続されることにより、LED2が発光ダイオード用駆動回路1から電力が供給される。なお、発光部53は、発光部53の光軸と放熱器52のカップの中心軸とが一致するように配置されている。
【0124】
このように構成される照明装置3は、照明器具等のソケットに装着されて利用される。そして、LED2を点灯する場合は、LED2は発光ダイオード用駆動回路1から電力供給を受けて発光し、これにより、発光部53の出射光は、放熱器52の開口部から前面カバー56を通じてスポットライトとして出射される。また、LED2を消灯する場合は、LED2は発光ダイオード用駆動回路1から電力供給が完全に停止し、LED2は完全に消灯する。
【0125】
以上、本発明の実施形態に係る発光ダイオード用駆動回路及びLED光源について、実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したもの、又は異なる実施の形態あるいは変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明に係る発光ダイオード用駆動回路は、LEDを用いた装置又は機器等に利用可能であり、LEDを用いた照明装置等のLED光源として、特に、ハロゲン電球代替型のLED照明装置のような、少数のLEDで構成されるLED照明装置として有用である。
【符号の説明】
【0127】
1、1A 発光ダイオード用駆動回路
2、200 LED
3 照明装置
10 第1の整流回路(DB1)
20、20A インバータ(INV)
30 インバータ制御回路
31 起動トリガ回路(TRG)
32 停止回路(STP)
40 第2の整流回路(DB2)
50 照明装置
51 ケース
51a 円筒部
51b 突出部
52 放熱器
52a 底部
52b 側面部
53 発光部
53a 基板
53b 波長変換部材
53c レンズ
54 シェル
55 アイレット
56 前面カバー
57 金具
100 発光ダイオード駆動装置
110 整流回路
111、C1 平滑コンデンサ
112 チョークコイル
113、D1、D2 ダイオード
114、C3、C4 コンデンサ
120 発光ダイオード駆動用半導体回路
121 スイッチング素子ブロック
121a 接合型FET
121b スイッチング素子
122 制御回路
122a レギュレータ
122b 発振器
122c オン時ブランキングパルス発生器
123 ドレイン電流検出回路
124 起動停止回路
C5 共振コンデンサ
TD トリガダイオード
ZD ツェナーダイオード
Q1 第1のスイッチング素子
Q2 第2のスイッチング素子
Q3 第3のスイッチング素子
Q4 第4のスイッチング素子
Q5 第5のスイッチング素子
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8 抵抗器
L1、L2 インダクタ
AC AC電源
CT 駆動トランス
SW スイッチ回路
P1、P2 入力端子
P3、P4 出力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードを点灯するための発光ダイオード用駆動回路であって、
前記発光ダイオードを駆動するための電力を出力するインバータと、
前記インバータの動作を制御するためのインバータ制御回路と、を備え、
前記インバータ制御回路は、当該インバータ制御回路に入力される直流電圧が所定値よりも小さい場合に、前記インバータの動作を停止させる
発光ダイオード用駆動回路。
【請求項2】
前記インバータ制御回路は、前記インバータの動作を開始して前記インバータの動作を維持するための起動トリガ回路と、前記起動トリガ回路の動作を停止させるための停止回路と、を有し、
前記直流電圧は、前記停止回路に入力され、
前記停止回路は、入力される前記直流電圧が前記所定値よりも小さい場合に、前記起動トリガ回路の動作を停止させ、前記インバータの動作を停止させる
請求項1に記載の発光ダイオード用駆動回路。
【請求項3】
前記インバータは、直列に接続されたスイッチング素子及びダイオードによって構成される
請求項1に記載の発光ダイオード用駆動回路。
【請求項4】
前記起動トリガ回路は、第1の抵抗と、当該第1の抵抗に直列に接続されたコンデンサと、前記第1の抵抗と前記コンデンサとの接続点に接続されたトリガダイオードとを有し、
前記コンデンサが保持する所定の電圧値によって前記トリガダイオードが導通することにより、前記起動トリガ回路は前記インバータの動作を開始させる
請求項2に記載の発光ダイオード用駆動回路。
【請求項5】
前記停止回路は、第2の抵抗と、当該第2の抵抗に接続されるとともに前記起動トリガ回路の前記コンデンサと並列に接続された第3のスイッチング素子を有し、
前記第3のスイッチング素子がオンすることにより、前記停止回路は前記起動トリガ回路の動作を停止させる
請求項4に記載の発光ダイオード用駆動回路。
【請求項6】
前記停止回路は、前記インバータ制御回路に入力される前記直流電圧が所定値よりも小さい場合において、当該停止回路を構成する回路素子によって消費される電力が、0.08W以上0.11W以下となるように構成される
請求項4に記載の発光ダイオード用駆動回路。
【請求項7】
前記第1の抵抗と前記第2の抵抗とは、前記起動トリガ回路と前記停止回路とで共通して用いられる1つの抵抗である
請求項5又は6に記載の発光ダイオード用駆動回路。
【請求項8】
前記発光ダイオード用駆動回路は、交流の入力電圧を受けて前記発光ダイオードを点灯し、
さらに、前記交流の入力電圧を整流して前記インバータ制御回路及び前記インバータに前記直流電圧を供給するための第1の整流回路と、前記インバータから供給される交流電圧を整流して前記発光ダイオードに直流電圧を供給するための第2の整流回路と、を備える
請求項1〜7のいずれか1項に記載の発光ダイオード用駆動回路。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の発光ダイオード用駆動回路と、
前記発光ダイオード用駆動回路によって点灯される発光ダイオードと、を備える
LED光源。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−138580(P2012−138580A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−281978(P2011−281978)
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【分割の表示】特願2010−291328(P2010−291328)の分割
【原出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【特許番号】特許第4975883号(P4975883)
【特許公報発行日】平成24年7月11日(2012.7.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】