発光ダイオード駆動装置
【課題】正弦波に近似した入力電流波形を乱すことなく、消灯期間を低減して波高率を改善する。
【課題手段】LED集合体10と、LED集合体10への通電を制御するLED駆動手段3と、LED集合体10と並列に接続された充放電コンデンサ111と、充放電コンデンサと接続された、該充放電コンデンサを充電するためのコンデンサ充電経路と、充放電コンデンサと接続された、該充放電コンデンサを放電するためのコンデンサ放電経路と、コンデンサ充電経路上に配置され、充放電コンデンサを充電する充電電流を定電流に制御するためのコンデンサ充電用定電流部110とを備え、LED集合体に印加される整流電圧が高くなると、充電経路を通じて充放電コンデンサに充電電流を充電し、LED集合体に印加される整流電圧が低くなると、放電経路を通じて充放電コンデンサから放電電流を放電し、LED集合体に通電する。
【課題手段】LED集合体10と、LED集合体10への通電を制御するLED駆動手段3と、LED集合体10と並列に接続された充放電コンデンサ111と、充放電コンデンサと接続された、該充放電コンデンサを充電するためのコンデンサ充電経路と、充放電コンデンサと接続された、該充放電コンデンサを放電するためのコンデンサ放電経路と、コンデンサ充電経路上に配置され、充放電コンデンサを充電する充電電流を定電流に制御するためのコンデンサ充電用定電流部110とを備え、LED集合体に印加される整流電圧が高くなると、充電経路を通じて充放電コンデンサに充電電流を充電し、LED集合体に印加される整流電圧が低くなると、放電経路を通じて充放電コンデンサから放電電流を放電し、LED集合体に通電する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードを点灯駆動させる駆動回路に関し、特に交流電源を用いて駆動させる発光ダイオード駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、照明用の光源として、白熱電球や蛍光灯に比べ低消費電力で駆動可能な発光ダイオード(以下「LED」ともいう。)が注目されている。LEDは小型で耐衝撃性にも強く、球切れの心配がないといった利点がある。
【0003】
このような照明機器用の電源としては、家庭用電源等交流を電源として用いることが望まれる。一方、LEDは直流駆動素子であり、順方向の電流でのみ発光する。また、照明用途として現在多用されているLEDの順方向電圧Vfは3.5V程度である。LEDはVfに達しなければ発光せず、逆にVfを超えると過度の電流が流れてしまう特性を有する。したがってLEDに対しては直流による駆動が適しているといえる。
【0004】
この相反する条件に応えるため、交流電源を用いたLEDの駆動回路が、種々提案されている。例えば、変化する電圧値に応じてVfの合計値を変化させるようにLEDを切り替える方法が提案されている(特許文献1)。この方法では、図6の回路図に示すように、多段に直列接続されたLEDをブロック161、162、163、164、165、166に分け、整流波形の入力電圧の電圧値に応じてLEDブロック161〜166の接続を、マイクロコンピュータで構成されたスイッチ制御部167で切り替えることで、段階的にVfの合計値を変化させる。この結果、図7のタイミングチャートに示す電圧波形のように、整流波形に対して複数の方形波でLEDを点灯できるため、単一の方形波のみでのONデューティに比べ、LEDの利用効率を改善できる。
【0005】
一方で本出願人は、複数のLED素子を直列接続してブロック化したLEDブロックを複数段、直列に接続した多段回路を、交流の全波整流で駆動するAC多段回路を開発した(特許文献2)。このAC多段回路は、図8に示すように、交流電源APをブリッジ回路2で全波整流し、LEDブロックの多段回路に対して印加する。LEDブロックの多段回路は、第一LEDブロック11と、第二LEDブロック12と、第三LEDブロック13とを直列に接続している。第一LEDブロック11の通電量に基づいて、第二LEDブロック12をバイパスする第一バイパス経路BP1のON/OFFを第一LED電流制御トランジスタ21Aで切り替え、また第一LEDブロック11及び第二LEDブロック12の通電量に基づいて、第三LEDブロック13をバイパスする第二バイパス経路BP2のON/OFFを第二LED電流制御トランジスタ22Aで切り替える。このAC多段回路は、電源効率を維持しつつ、LED利用効率及び力率を改善することができる。
【0006】
また本願出願人は、図9に示すようにLEDを多段に接続しつつ、高調波成分を抑制した発光ダイオード駆動装置を開発した。この発光ダイオード駆動装置で得られる電流波形のグラフを図10に示す。このように、高調波歪の発生が抑制され、正弦波に近い電流波形でLEDを駆動できる。
【0007】
一方、発光素子にLEDでなく従来の白熱電球を用いた場合の電流波形も、同様にほぼ正弦波となる。ただ白熱電球の場合は、フィラメントの白熱による発光のため、電源周波数(50Hz又は60Hz)に応答せず明滅が生じない。これに対して、発光素子にLEDを用いる場合は、LEDの高い応答性によって電源周波数に対応した明滅を繰り返すという問題がある。この様子を、図11の正弦波多段駆動回路の光出力波形に示す。これらの客観的評価の指標としては、波高率(=最大値/実効値)が用いられており、1に近いほど優れている。図11の光出力の波高率を計算すると、波高率=1.5以上となり、他の発光素子の波高率と比べると、白熱電球の1.05、蛍光灯の1.36、インバーター蛍光灯の1.1程度と比較して劣る。このことは、人によっては光の明滅によってちらつきを感じたり、また回転体の照明において回転速度と同期した場合、回転しているのに停止しているように見えるなど、照明品質を落とすことになる。したがって、図9の発光ダイオード駆動装置をさらに高品質な照明に用いるには、消灯期間をなくし、波高率を改善する必要がある。
【0008】
点滅期間を無くすには、コンデンサを用いた平滑化が考えられる。すなわち、電源電圧の高い期間にコンデンサに充電し、電圧の低い期間に放電させることが考えられる。しかしながら、コンデンサを用いると短い充電期間中に急速充電されることとなるため、充電電流が大きくなる。充電電流は、一般にコンデンサの容量が大きくなるほど大きくなる傾向にあるため、このような平滑化の用途に適う大容量のコンデンサの場合は、充電電流が一層大きくなって力率の悪化を招くと共に、高調波歪の規格に不適合となる。また、力率改善のためのアクティブフィルタICなどを使用する場合もあるが、このような素子は高価であり、また高周波スイッチングによるノイズが発生するなど弊害もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−147933号公報
【特許文献2】特開2011−40701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来のこのような問題点に鑑みてなされたものである。本発明の主な目的は、正弦波に近似した入力電流波形を乱すことなく、消灯期間を低減して波高率を改善した発光ダイオード駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0011】
以上の目的を達成するために、第1の側面に係る発光ダイオード駆動装置によれば、交流電源APに接続可能で、該交流電源APの交流電圧を整流した整流電圧を得るための整流回路2と、前記整流回路2の出力側と直列に接続される、少なくとも一のLED素子を有する第一LED部11、及び少なくとも一のLED素子を有する第二LED部12を直列に接続したLED集合体10と、前記LED集合体10への通電を制御するLED駆動手段3と、を備える発光ダイオード駆動装置であって、さらに、前記LED集合体10と並列に接続された充放電コンデンサ111と、前記充放電コンデンサと接続された、該充放電コンデンサを充電するためのコンデンサ充電経路と、前記充放電コンデンサと接続された、該充放電コンデンサを放電するためのコンデンサ放電経路と、前記コンデンサ充電経路上に配置され、前記充放電コンデンサを充電する充電電流を定電流に制御するためのコンデンサ充電用定電流部110と、を備え、前記LED集合体に印加される整流電圧が高くなると、前記充電経路を通じて前記充放電コンデンサに充電電流を充電し、前記LED集合体に印加される整流電圧が低くなると、前記放電経路を通じて前記充放電コンデンサから放電電流を放電し、前記LED集合体に通電することができる。これにより、充放電コンデンサを用いて、LED集合体に印加される整流電圧が高いときに充電した電荷を、整流電圧が低いときに放電してLED集合体に通電することで、LED集合体への電流量の高低差を抑制して、波高率を改善できる利点が得られる。また、充電経路にコンデンサ充電用定電流部を設けることで、充放電コンデンサへの突入電流を抑制して、力率の低下を回避できる。
【0012】
また、第2の側面に係る発光ダイオード駆動装置によれば、さらに前記コンデンサ充電経路上に配置され、前記充放電コンデンサを充電するための充電電流を通電させる充電用ダイオード116と、前記コンデンサ放電経路上に配置され、前記充放電コンデンサを放電するための放電電流を通電させる放電用ダイオード117とを備えることができる。これにより、充電経路及び放電経路にそれぞれ充電電流、放電電流が正しい向きに通電されて充放電コンデンサを充放電でき、動作の安定化が図られる。
【0013】
さらに、第3の側面に係る発光ダイオード駆動装置によれば、前記コンデンサ充電用定電流部110を、複数のトランジスタで構成することができる。
【0014】
さらにまた、第4の側面に係る発光ダイオード駆動装置によれば、さらに前記第二LED部12と直列に接続される少なくとも一のLED素子を有する第三LED部13を備えることができる。
【0015】
さらにまた、第5の側面に係る発光ダイオード駆動装置によれば、さらに前記第二LED部12と並列に接続され、前記第一LED部11への通電量を制御するための第一手段21と、前記第三LED部13と並列に接続され、前記第一LED部11及び前記第二LED部12への通電量を制御するための第二手段22と、前記第三LED部13と直列に接続され、前記第一LED部11、第二LED部12及び第三LED部13への通電量を制御するための第四手段24と、前記第一手段21を制御するための第一電流制御手段31と、前記第二手段22を制御するための第二電流制御手段32と、前記第四手段24を制御するための第四電流制御手段34と、前記第一LED部11から第三LED部13が直列接続される出力ラインOL上を流れる電流量に基づく電流検出信号を検出するための電流検出手段4とを備えることができる。
【0016】
さらにまた、第6の側面に係る発光ダイオード駆動装置によれば、さらに前記整流回路2から出力される整流電圧に基づいて、高調波抑制信号電圧を生成するための高調波抑制信号生成手段6を備え、前記第一電流制御手段31、第二電流制御手段32及び第四電流制御手段34が、前記電流検出手段4で検出された電流検出信号と、前記高調波抑制信号生成手段6で生成された高調波抑制信号電圧とを比較して、高調波成分を抑制するように前記第一手段21、第二手段22及び第四手段24をそれぞれ制御することができる。これにより、入力側の高調波成分と、得られたLED駆動電流との対比によって、出力波形を調整する制御が可能となり、効果的な高調波成分の抑制が実現できる。
【0017】
さらにまた、第7の側面に係る発光ダイオード駆動装置によれば、さらに前記第三LED部13と直列に接続される少なくとも一のLED素子を有する第四LED部14と、前記第四LED部14と直列に接続され、前記第一LED部11、第二LED部12、第三LED部13への通電量を制御するための第三手段23と、前記第三手段23を制御するための第三電流制御手段33とを備え、前記第四手段24が、前記第一LED部11、第二LED部12、第三LED部13及び第四LED部14への通電量を制御するよう構成できる。これにより、整流電圧の高い期間にコンデンサを充電し、整流電圧の低い期間に放電してLED集合体を発光させて、LED集合体の消灯期間をなくすと共に、波高率を改善することができる。また、発光ダイオード駆動装置の高調波歪の抑制や高力率の維持に影響を与えることなく動作できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態1に係る発光ダイオード駆動装置を示すブロック図である。
【図2】図1の発光ダイオード駆動装置の一回路例を示す回路図である。
【図3】実施の形態1に係る発光ダイオード駆動装置のコンデンサ充放電電流及び電圧波形を示すグラフである。
【図4】実施例1に係る発光ダイオード駆動装置における第一LED部の電流波形を示すグラフである。
【図5】実施例1で得られた光出力の波形を示すグラフである。
【図6】マイクロコンピュータを使用したLED点灯回路例を示す回路図である。
【図7】図6のLED点灯回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図8】従来の発光ダイオード駆動装置を示す回路図である。
【図9】本出願人が先に開発した発光ダイオード駆動装置を示す回路図である。
【図10】図9の発光ダイオード駆動装置の入力電流波形を示すグラフである。
【図11】図9の発光ダイオード駆動装置の光出力波形を示すグラフである。
【図12】図9の発光ダイオード駆動装置における第一LED部の電流波形を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光ダイオード駆動装置を例示するものであって、本発明は発光ダイオード駆動装置を以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
【0020】
発光ダイオード駆動装置を高調波電流規格に適合させるためには、白熱電球と同様に正弦波の電流波形になるよう設計することが望まれる。そこで本実施の形態に係る発光ダイオード駆動装置では、LED電流制御手段の基準電圧に正弦波を重畳させることで、LED駆動電流波形を正弦波に近似した波形とし、25W以上の高調波電流規格に適合させた安価でコンパクトな発光ダイオード駆動装置を提供するものである。
【実施例1】
【0021】
図1に実施例1に係る発光ダイオード駆動装置100のブロック図を示す。この発光ダイオード駆動装置100は、整流回路2と、LED集合体10と、第一手段21〜第四手段24と、第一電流制御手段31〜第三電流制御手段33と、電流検出手段4とを備える。この発光ダイオード駆動装置100は、交流電源APに接続されて、交流電圧を整流した整流電圧(脈流電圧)を得るための整流回路2と、複数のLED部で構成されたLED集合体10とを、出力ラインOL上で各々直列に接続している。ここではLED部を4つ使用しており、第一LED部11、第二LED部12、第三LED部13、第四LED部14を直列に接続して、LED集合体10を構成している。さらに出力ラインOLには、LED集合体10と、LED駆動手段3と、電流検出手段4とを直列に接続している。
【0022】
また第二LED部12、第三LED部13、第四LED部14には、各々両端に通電量を制御するための第一手段21、第二手段22、第三手段23が接続される。第一手段21、第二手段22、第三手段23は、それぞれLED部に対して並列に設けられているため、通電量を調整するバイパス経路を構成する。すなわち、第一手段21、第二手段22、第三手段23によってバイパスされる電流量を調整できるので、結果的に各LED部の通電量を制御できる。図1の例では、第二LED部12と並列に第一手段21が接続され、第一バイパス経路BP1を形成する。また第三LED部13と並列に第二手段22が接続され、第二バイパス経路BP2を形成する。さらに第四LED部14と並列に第三手段23が接続され、第三バイパス経路BP3を形成する。なお本明細書においては、出力ライン上に接続されたLED部等をバイパスするバイパス経路にも、出力電流が流れることがあるため、この意味で出力ラインに含めて使用する。
(電流制御手段)
【0023】
また定電流駆動を行うため、定電流回路の制御用に電流制御手段が設けられる。この回路例では第一手段21、第二手段22、第三手段23、第四手段24と第一電流制御手段31、第二電流制御手段32、第三電流制御手段33、第四電流制御手段34とで、一種の定電流回路が構成される。
【0024】
各電流制御手段は第一手段21、第二手段22、第三手段23、第四手段24と接続されており、第一手段21、第二手段22、第三手段23、第四手段24のON/OFFや電流量連続可変といった動作を制御する。具体的には、第一手段21の動作を制御する第一電流制御手段31と、第二手段22の動作を制御する第二電流制御手段32と、第三手段23の動作を制御する第三電流制御手段33と、第四手段24の動作を制御する第四電流制御手段34が設けられる。第一電流制御手段31、第二電流制御手段32、第三電流制御手段33、第四電流制御手段34は、電流検出手段4に接続されてLEDの電流量をモニタし、その値に基づいて第一手段21、第二手段22、第三手段23、第四手段24の制御量を切り替える。
【0025】
各LED部は、一又は複数のLED素子を直列及び/又は並列に接続したブロックである。LED素子は、表面実装型(SMD)や砲弾型のLEDが適宜利用できる。またSMDタイプのLED素子のパッケージは、用途に応じて外形を選択でき、平面視が矩形状のタイプ等が利用できる。さらに、複数のLED素子をパッケージ内で直列及び/又は並列に接続したLEDをLED部として使用することも可能であることは言うまでもない。
【0026】
各LED部に含まれるLED素子の順方向電圧の加算値である小計順方向電圧は、直列接続されたLED素子の個数によって決まる。例えば順方向電圧3.6VのLED素子を6個使用する場合の小計順方向電圧は、3.6×6=21.6Vとなる。
【0027】
この発光ダイオード駆動装置100は、電流検出手段4で検出した電流値に基づいて各LED部に対する通電のON/定電流制御/OFFを切り替える。いいかえると、整流電圧の電圧値でなく、現実に通電される電流量に基づいた電流制御であるため、LED素子の順方向電圧のばらつきに左右されず、適切なタイミングで正確なLED部の切り替えが実現され、信頼性の高い安定した動作が見込まれる。なお電流値の検出には、電流検出手段4等が利用できる。
【0028】
図1の例では、第一電流制御手段31が第一LED部11の通電量に基づいて、第一手段21による第一LED部11への通電制限量を制御する。具体的には、第一手段21及び第二手段22、第三手段23がONの状態で、通電量が予め設定された第一基準電流値に達したとき、第一手段21は第一LED部11を定電流駆動する。その後入力電圧が上昇して、第一LED部11と第二LED部12を共に駆動できる電圧に達すると、第二LED部12に電流が流れ始め、さらにその電流値が第一基準電流値を超えると、第一手段21はOFFとなる。さらに第二電流制御手段32が第一LED部11及び第二LED部12の通電量に基づいて、第二手段22による第一LED部11及び第二LED部12への通電制限量を制御する。具体的には、通電量が予め設定された第二基準電流値に達すると、第二手段22は第一LED部11と第二LED部12を定電流駆動する。その後入力電圧が上昇して、第一LED部11と第二LED部12と第三LED部13とを共に駆動できる電圧に達すると、第三LED部13に電流が流れ始め、さらにその電流値が第二基準電流値を超えると、第二手段22はOFFとなる。
【0029】
さらに第三電流制御手段33が第一LED部11、第二LED部12、第三LED部13の通電量に基づいて、第三手段23による第一LED部11、第二LED部12、第三LED部13への通電制限量を制御する。具体的には、通電量が予め設定された第三基準電流値に達すると、第三手段23は第一LED部11と第二LED部12と第三LED部13とを定電流駆動する。その後入力電圧が上昇して、第一LED部11と第二LED部12と第三LED部13と第四LED部14を共に駆動できる電圧に達すると、第四LED部14に電流が流れ始め、さらにその電流値が第三基準電流値を超えると、第三手段23はOFFとなる。最後に第四手段24及び第四電流制御手段34は、第一LED部11、第二LED部12、第三LED部13、第四LED部14を定電流駆動させる。
【0030】
ここで、第一基準電流値<第二基準電流値<第三基準電流値となるよう設定することで、第一LED部11から第二LED部12、第三LED部13、第四LED部14への順で、ON/定電流制御/OFFを順次切り替えることができる。
【0031】
以上のように発光ダイオード駆動装置100は、家庭用電源等の交流電源APを用いて、その交流を全波整流した後に得られる周期的に変化する脈流電圧に合わせて、直列に配置されたLED素子を適切な個数だけ点灯させるように構成した複数の定電流回路を備えており、各定電流回路を各々適切に動作させるように複数のLED電流検出回路を動作させることができる。
【0032】
この発光ダイオード駆動装置100は、第1の電流値で第一LED部11を通電させ、第1の電流値よりも大きい第2の電流値で第一LED部11及び第二LED部12を通電させ、さらに第2の電流値よりも大きい第3の電流値で第一LED部11、第二LED部12、第三LED部13を通電させ、さらにまた第3の電流値よりも大きい第4の電流値で第一LED部11、第二LED部12、第三LED部13、第四LED部14を通電させる。特に各LED部への通電量を定電流制御によって制限することで、電流量に応じてLED部のON/定電流制御/OFFを切り替えることができ、脈流電圧に対して効率よくLEDを点灯駆動できる。
【0033】
さらに図1の例では、第四手段24と並列にLED駆動手段3が接続されており、第四手段24に流れる電流の一部をLED駆動手段3で分岐させることによってLED駆動手段3が第四手段24の負荷を低減している。
(高調波抑制信号生成手段6)
【0034】
さらに第一電流制御手段31〜第四電流制御手段34は、高調波抑制信号生成手段6と接続される。高調波抑制信号生成手段6は、整流回路2から出力される整流電圧に基づいて、高調波抑制信号電圧を生成する。ここでは、高調波抑制信号生成手段6は、整流回路2で整流された整流電圧を適当な大きさに圧縮し、第一電流制御手段31〜第四電流制御手段34に送出して参照信号とし、LED電流検出信号と比較する。各電流制御手段はこの比較結果を基に、それぞれの第一手段21〜第四手段24を介して適切なタイミングと電流で、それぞれのLED部を駆動する。
(平滑化回路)
【0035】
さらに図1に示す発光ダイオード駆動装置は、LEDの消灯期間を低減するための平滑化回路を備える。平滑化回路は、コンデンサ111、コンデンサ充電用定電流回路110、充電用ダイオード116、放電用ダイオード111を備える。
(コンデンサ充電回路)
【0036】
コンデンサ充電用定電流回路110は第一電流制御手段31〜第三電流制御手段33で生成されるLED駆動の正弦波電流よりも小さな定電流に設定される。このコンデンサ充電電流とLED駆動電流が合成されて、第一電流制御手段31〜第三電流制御手段33で正弦波電流に制御される。これにより、元来正弦波に近似した電流波形で制御されている発光ダイオード駆動装置全体の電流に影響することなくコンデンサ充電が行える。
(コンデンサ放電回路)
【0037】
一方で、コンデンサ111の放電回路は、放電用ダイオード117を介して第一LED部11から第四LED部14まで直列に接続されたLED集合体10に接続される。このコンデンサ放電回路は、コンデンサ充電用定電流回路110や充電用ダイオード116など介せずに、コンデンサ111に溜まった電荷を放電する。コンデンサ111の充電電圧は、LED集合体10を構成する直列接続された第一LED部〜第四LED部のVfを足し合わせた値となるので、コンデンサ充電時にLED集合体10に流れる電流以上の電流でコンデンサ111が放電されることはない。
(実施例1の回路例)
【0038】
次に、図1の発光ダイオード駆動装置100を半導体素子を用いて実現した具体的な回路の構成例を、図2に示す。この発光ダイオード駆動装置100’は、交流電源APに接続された整流回路2としてダイオードブリッジを用いている。また交流電源APと整流回路2との間には、保護抵抗81が設けられる。さらに整流回路2の出力側には、バイパスコンデンサ82が接続される。なお交流電源APと整流回路2との間には、図示しないが過電流阻止のためのヒューズとサージ防護回路を設けてもよい。
(交流電源AP)
【0039】
交流電源APは、100Vや200Vの商用電源が好適に利用できる。この商用電源の100V又は200Vは実効値であり、全波整流された整流波形の最大電圧は約141V又は282Vとなる。
(LED集合体10)
【0040】
LED集合体10を構成する各LED部は、相互に直列に接続すると共に、複数のブロックに分け、ブロック同士の境界からは端子を引き出して、第一手段21、第二手段22、第三手段23、第四手段24と接続している。図2の例では、第一LED部11、第二LED部12、第三LED部13、第四LED部14の4つのグループでLED集合体10を構成している。
【0041】
図2に示す各LED部11〜14は、一のLEDシンボルが複数のLEDチップを実装したLEDパッケージ1を表している。この例では、各LEDパッケージ1は、10個のLEDチップを実装している。各LED部の発光ダイオード接続数、あるいはLED部の接続数は、順方向電圧の加算値、すなわち直列接続されたLED素子の総数と、使用する電源電圧とで決定される。例えば商用電源を使用する場合は、各LED部のVfの合計である合計順方向電圧Vfallが、141V程度、又はそれ以下となるように設定される。
【0042】
なおLED部は、一以上の任意の数のLED素子を備えている。LED素子は、一個のLEDチップや、複数個のLEDチップを一パッケージに纏めたものを利用できる。この例では、図示する一のLED素子として、それぞれ10個のLEDチップを含むLEDパッケージ1を使用している。
【0043】
また図2の例では、4つのLED部のVfを同一となるように設計している。ただこの例に限られず、上述の通りLED部数を3以下、あるいは5以上としてもよい。LED部数を増やすことで、定電流制御の数を増やしてより細かなLED部間の点灯切り替え制御が可能となる。さらに各LED部のVfは同一としなくとも良い。
(第一手段21〜第四手段24)
【0044】
第一手段21、第二手段22、第三手段23、第四手段24は、各LED部に対応して、定電流駆動するための部材である。このような第一手段21〜第四手段24としては、トランジスタ等のスイッチング素子で構成される。特にFETは、ソース−ドレイン間飽和電圧がほぼゼロであるため、LED部への通電量を阻害することがなく好ましい。ただ、第一手段21〜第四手段24はFETに限定されるものでなく、バイポーラトランジスタ等でも構成できることはいうまでもない。
【0045】
図2の例では、第一手段21〜第四手段24としてLED電流制御トランジスタを利用している。具体的には、第二LED部12、第三LED部13、第四LED部14、LED駆動手段3には、それぞれ第一手段21〜第四手段24である第一LED電流制御トランジスタ21B、第二LED電流制御トランジスタ22B、第三LED電流制御トランジスタ23Bが接続される。各LED電流制御トランジスタは、その前段のLED部の電流量に応じて、ON状態や定電流制御が切り替わる。LED電流制御トランジスタがOFFになると、バイパス経路に電流が流れなくなって、LED部に通電される。すなわち、各第一手段21〜第四手段24によってバイパスされる電流量を調整できるので、結果的に各LED部の通電量を制御できることになる。図2の例では、第二LED部12と並列に第一手段21が接続され、第一バイパス経路BP1を形成する。また第三LED部13と並列に第二手段22が接続され、第二バイパス経路BP2を形成する。さらに第四LED部14と並列に第三手段23が接続され、第三バイパス経路BP3を形成する。さらにまた第四LED電流制御トランジスタ24Bが接続され、第一LED部11、第二LED部12、第三LED部13及び第四LED部14への通電量を制御する。
【0046】
ここで第一LED部11は、並列に接続されたバイパス経路や第一手段〜第四手段を設けていない。第二LED部12と並列に接続された第一手段21が、第一LED部11の電流量を制御するからである。また第四LED部14については、第四LED電流制御トランジスタ24Bが電流制御を行う。
【0047】
また図2の例では、抵抗3をLED駆動手段3としている。この例では、LED駆動手段3に並列に第四手段であるトランジスタを接続することで、電流量が大きくなる際に電流をバイパスして、第四手段への負荷を軽減するよう構成している。ただ、LED駆動手段3を省略してもよい。
【0048】
図2の例では、LED電流制御トランジスタとして、FETを使用している。なお、第一LED電流制御トランジスタ21Bや第二LED電流制御トランジスタ22B、第三LED電流制御トランジスタ23B、第四LED電流制御トランジスタ24Bを用いて、LED部単位でON/OFFの切り替えを制御する構成では、各段のLED電流制御トランジスタを構成するFET等の制御用半導体素子が各々LED部の両端に接続されているため、制御用半導体素子の耐圧はLED部の小計順方向電圧にて保護されることとなる。このため、耐圧の低い小型の半導体素子を使用できる利点が得られる。
(第一電流制御手段31、第二電流制御手段32、第三電流制御手段33、第四電流制御手段34)
【0049】
第一電流制御手段31、第二電流制御手段32、第三電流制御手段33、第四電流制御手段34は、各LED部と対応する第一手段21〜第四手段24が、適切なタイミングで定電流駆動を行うよう制御する部材である。第一電流制御手段32〜第四電流制御手段34も、トランジスタ等のスイッチング素子が利用できる。特にバイポーラトランジスタは、電流量の検出に好適に利用できる。この例では第一電流制御手段31、第二電流制御手段32、第三電流制御手段33、第四電流制御手段34は、オペアンプで構成される。なお電流制御手段も、オペアンプに限定されるものでなく、コンパレータ、バイポーラトランジスタ、MOSFET等でも構成可能であるのはいうまでもない。
【0050】
図2の例では、電流制御手段は、各々LED電流制御トランジスタの動作を制御する。すなわち、各電流検出オペアンプがON/定電流制御/OFFすることで、LED電流制御トランジスタをOFF/定電流制御/ONに切り替える。
(電流検出手段4)
【0051】
電流検出手段4は、LED部を直列接続したLED集合体10に通電される電流を電圧降下等により検出することによって、LED部を構成するLED素子の定電流駆動を行う。この電流検出手段4は、LEDの保護抵抗としても機能する。また定電流駆動を行うため、定電流回路の制御用に電流制御手段が設けられる。この回路例では第一手段21、第二手段22、第三手段23、第四手段24と第一電流制御手段31、第二電流制御手段32、第三電流制御手段33、第四電流制御手段34で、一種の定電流回路が構成される。
【0052】
各LED電流検出抵抗の抵抗値は、各電流制御手段のON/OFFをどの電流のタイミングで行うかを規定する。ここでは、第一〜第四電流検出手段31〜34であるオペアンプの順でONされるよう、各LED電流検出抵抗の抵抗値が設定されている。
(基準電流値)
【0053】
ここでは、第一電流検出手段31が第一LED電流制御トランジスタ21をONからOFFに切り替える第一基準電流値を、第二電流検出手段32が第二LED電流制御トランジスタ22をONからOFFに切り替える第二基準電流値よりも低く設定する。また第三電流検出手段33が第三LED電流制御トランジスタ23をONからOFFに切り替える第三基準電流値を、第二基準電流値よりも高く設定する。さらに第四電流検出手段34が第四LED電流制御トランジスタ24をONからOFFに切り替える第四基準電流値を、第三基準電流値よりも高く設定する。このように第一基準電流値<第二基準電流値<第三基準電流値<第四基準電流値となるよう設定することで、整流回路2で整流された入力電圧の上昇に伴い、第一LED部11から第二LED部12、第三LED部13、第四LED部14への順で、ON/定電流制御/OFFを順次切り替えることができる。また入力電圧の下降時には、逆の順序でLEDが消灯される。
(高調波抑制信号生成手段6の動作説明)
【0054】
以下、図2を参照しながら、発光ダイオード駆動装置100’における高調波抑制信号生成手段6の動作を説明する。図2の回路例では、電流制御手段は、オペアンプ31B〜34Bで構成される。これらオペアンプ31B〜34Bは、高調波抑制信号生成手段6により制御される。
【0055】
具体的にオペアンプ31B〜34Bは、定電圧電源7により駆動される。定電圧電源7は、オペアンプ電源用トランジスタ70、ツェナーダイオード71、ツェナー電圧設定抵抗72で構成される。この定電圧電源7は、交流電源APを整流回路2で整流した後の整流電圧が、ツェナーダイオード71のツェナー電圧を超えている期間だけ、オペアンプ31B〜34Bに電源を供給する。この期間は、LEDの点灯期間を包含するよう設定される。すなわち、LED点灯中にオペアンプを動作させて、点灯を制御する。
【0056】
高調波抑制信号生成手段6は、高調波抑制信号生成抵抗60、61で構成される。高調波抑制信号生成抵抗60、61は、整流回路2で整流された整流電圧を分圧する。いいかえると、整流電圧を適当な大きさに圧縮する。各オペアンプの+側入力端子には、高調波抑制信号生成抵抗60、61から出力される、圧縮された正弦波である高調波抑制信号が入力される。
【0057】
一方、各オペアンプの負入力端子には、電流検出抵抗で検出された電圧が入力される。電流検出分圧抵抗4の電圧は、それぞれのオペアンプが制御を担当する期間に、すなわち各オペアンプの+側入力端子に印加される正弦波に沿って電流制御されるよう設定される。これにより、整流回路2で整流された脈流の正弦波をオペアンプの+側入力端子に入力することができる。このため、正弦波に沿って電流制御動作を行うため、LED駆動電流が正弦波に近似された波形となる。
【0058】
なおLED部はそれぞれ、複数の発光ダイオード素子を相互に直列に接続して構成できる。これにより、整流電圧を複数の発光ダイオード素子で効果的に分圧できる上、発光ダイオード素子毎の順方向電圧Vfや温度特性のばらつきをある程度吸収してブロック単位での制御を均一化できる。ただ、LED部の数や各LED部を構成する発光ダイオード素子数等は、要求される明るさや入力電圧等によって任意に設定でき、例えばLED部を一の発光ダイオード素子で構成したり、LED部の数を多くしてより細かな制御を行うこと、あるいは逆にLED部を2つのみとして制御をシンプルにすることも可能であることは言うまでもない。
【0059】
また、上記構成ではLED部の構成数を4としたが、LED部の数を2又は3としたり、又は5以上とすることもできることはいうまでもない。特に、LED部の数を増やすことで、階段状の電流波形をより細かくした制御が可能となり、一層の高調波成分の抑制が可能となる。また図1の例では、各LED部がON/OFFされる切り替え動作を、入力電流に対してほぼ均等に分割しているが、均等にする必要は必ずしも無く、異なる電流でLED部を切り替えてもよい。
【0060】
さらに上記の例では、LEDを4つのLED部に分け、各LED部がそれぞれ同一のVfとなるよう構成しているが、同一のVfでなくても良い。例えばLED部1のVfをできるだけ低く、すなわちLED一個分の3.6V程度に設定できれば、電流の立ち上がりタイミングを早く、立下りタイミングを遅くできる。このことは、高調波を減少させるのにさらに有利となる。またこの方法を使用すれば、LED部の数とVf設定を自由に選択でき、さらに電流波形を正弦波に近似できるため、より柔軟性を高めて高調波抑制を実現することが容易となる。
【0061】
さらにまた、隣り合うオペアンプの負入力端子同士の最小電圧差は、オペアンプのオフセット電圧以上であれば良く、例えば数mV程度の差で設定できる。このことは、回路設計上有利となる。例えば図8で示したAC多段回路のように、電流制御手段をトランジスタで構成する場合には、半導体部品を実装した回路基板上の、場所による温度変化に起因する設定電流の変動を考慮して、数十mV以上の差を必要としていた。これに対して、実施例1の回路例では、トランジスタで電流制御手段を構成する場合に比べ、十分の一程度の電位差で設定できることになる。このため、実施例1の構成によれば、LED部の電流設定を細かく設定でき、LED部の増加等にも自由に対応可能であることを意味し、部品費等のトレードオフがあるとしても正弦波への近似がさらに精密にできるメリットを享受できる。
(電流検出信号付与手段5)
【0062】
電流検出信号付与手段5は、図1に示すように電流検出手段4で検出される電流検出信号を、第一電流制御手段31、第二電流制御手段32、第三電流制御手段33、第四電流制御手段34に送出する。図2の回路例では、電流検出信号付与手段5は電流検出信号付与抵抗5A〜5Dに相当する。
(電圧変動抑制信号送出手段8)
【0063】
さらに発光ダイオード駆動装置は、電圧変動抑制信号を生成して電流検出信号付与手段5へ送出する電圧変動抑制信号送出手段8を付加することもできる。図2において、電圧変動抑制信号生成手段8は破線で囲んだ領域で構成され、電圧変動抑制信号を積分した上で、電流検出信号に加算している。これにより、脈流電圧が変動しても平均電流が一定になるように制御される。
(コンデンサ充電用定電流回路110)
【0064】
図2に示す発光ダイオード駆動装置において、コンデンサ充電用定電流回路110は、充電電流制御トランジスタ112、充電用電流検出制御トランジスタ113、充電電流検出抵抗115、コレクタ抵抗114で構成される。このコンデンサ充電用定電流回路110は、充電電流制御トランジスタ112によって定電流制御される。
(コンデンサ111への充電)
【0065】
図2に示す発光ダイオード駆動装置の電流波形は、図10で示した電流波形と同じである。コンデンサ111への充電は、電源ラインからコンデンサ111、充電電流制御トランジスタ112、充電電流検出抵抗115、充電用ダイオード116、第4逆流防止ダイオード124、第4電流制御FET24を通じて行われる。そして充電電流は、上述の通りコンデンサ充電用定電流回路110の充電電流制御トランジスタ112で定電流制御される。この充電電流は、第4電流制御FET24によって制御される電流よりも小さく設定される。また充電電流は、LED集合体10を流れるLED電流と合成され、この合成電流が第4電流制御FET24により正弦波となるよう電流制御される。これによって、図9の回路例で実現される高調波歪抑制機能を阻害することなく、コンデンサ111への充電を行うことができる。
【0066】
一方で、コンデンサ充電中のLED電流は、コンデンサ充電電流が差し引かれる分、減少する。第4電流制御FET24が正弦波電流制御する期間は、図9の回路例では、第一LED部11から第四LED部14までのすべてのLEDが点灯される期間、すなわち電源電圧のピーク近傍の期間となる。また、この期間において光出力もピークとなる。この期間のLED電流を削減できれば、光出力のピークを抑えることができ、波高率を低減できる。したがって、この期間にコンデンサ111に充電することで、光出力のピークを抑え、且つコンデンサに蓄えた電力を電源電圧の低い時に放電し光出力を得ることで、波高率の改善効果が二重に得られる。
【0067】
コンデンサ充電時間は、第4電流制御FET24の動作期間が最大となる。この期間中充電を継続することで、充電の定電流設定を増減して自由に調整できる。
(コンデンサ111からの放電)
【0068】
次にコンデンサ111からの放電について説明する。図2の発光ダイオード駆動装置において、コンデンサ111の放電回路は、第一LED部11〜第四LED部14で構成されるLED集合体10と、放電用ダイオード117で構成される。このようにすべてのLED部が放電対象となるが、放電電流は正弦波多段駆動回路に流れず、その動作には影響を与えない。
【0069】
コンデンサ充放電電流及び電圧波形を図3に示す。この図において、コンデンサ充放電電流をI、コンデンサ充放電電圧波形をVで、それぞれ示している。コンデンサの端子電圧は、上述のようにすべてのLED部が点灯された状態でのLED電流、すなわち第4電流制御FET24による制御電流からコンデンサ充電電流を差し引いた電流IfaによるLED端子電圧Vfaにほぼ等しく充電される。したがって、コンデンサの放電を定電流制御しなくても、LED端子電圧Vfaによって制限され、Ifaより大きな放電電流は流れないことになる。
【0070】
コンデンサ充電終了直後は、充電電流がなくなりLED駆動電流が上がり、LED端子電圧も上昇するため放電は起こらない。電源電圧がさらに下がり、正弦波多段駆動回路による第一LED部11、第二LED部12の2グループのLED群を正弦波電流駆動(正弦波多段駆動回路では第三LED部13、第四LED部14は消灯)に移る付近からLED端子電圧をコンデンサ端子電圧が上回り、放電を開始する。この放電電流は、図9の正弦波電流駆動に重畳されLEDに流れるため、LED端子電圧は上昇し、放電電流を抑える方向に働き、過度な電流がLEDには流れることはない。電源電圧が下降するのに伴い、正弦波多段駆動回路により駆動されるLED部は減少し、駆動電流によるLED端子電圧変動分も減少する。
【0071】
このように、LED端子電圧は駆動電流の増減に伴って増減する。すなわち、多段駆動回路により駆動されているLED部の端子電圧は、駆動されていないときよりも上昇する。したがって、より多くのLED部が多段駆動回路により駆動されている期間は、LED端子電圧が高くなり、この結果コンデンサ端子電圧を上回る期間は、コンデンサ111は放電されない。その一方、コンデンサ111は多段駆動回路と分け合った電流で充電されるため、そのときのLED駆動電流はコンデンサ充電用定電流回路110がない場合よりも低いIfaとなる。すなわち、充電完了したコンデンサ端子電圧は、すべてのLED部に対して最大Ifaで放電できる電圧Vfaでしか充電されていない。電源電圧が下降し、多段駆動回路で駆動されるLED部が減ると、LED端子電圧は減少しコンデンサ111の放電が開始される。なお多段駆動回路で駆動されるLED部の数が少ないほどLED端子電圧は下がり、コンデンサ111からの放電電流は上がるが、上記のように充電期間のLED駆動電流Ifaを超えることはない。
【0072】
このようにLED部の駆動状況に応じてコンデンサ111は逐次放電され、図9のような正弦波多段駆動回路のみでは消灯している期間でも、LED部を点灯することができる。また、コンデンサの放電は正弦波多段駆動回路と無関係に、すなわち高調波歪抑制効果や高力率を毀損することなく行われる。このため、高調波抑制と高力率を維持しつつも、正弦波多段駆動回路の追加によって消灯期間を低減して、光出力の波高率を大幅に改善することが可能となる。
【0073】
ここで、実施例1に係る発光ダイオード駆動装置における第一LED部の電流波形を、図4に示すと共に、対比のため本出願人が先に開発した図9の発光ダイオード駆動装置における第一LED部の電流波形を、図12に示す。図9の構成では電流が低い領域、図12において矢印で示す区間では、第一LED部が消灯していた。また第一LED部の駆動波形は、ほぼ正弦波に近い波形を示している。これに対し、図12に示す実施例1では電源電圧ピーク時(図12において水平方向の矢印で示す区間)に、コンデンサ充電を行うことでLED電流を削減させる一方、正弦波多段駆動回路により駆動されるLED部の電流が減少するのに応じてコンデンサ放電電流を増加させることで(図12において縦方向の矢印)、従来は消灯されていた区間でも第一LED部を点灯させて光出力を得ることができ、この結果LED部が完全に消灯される期間を無くしていることが確認できた。このように、ピークカットした分の電流を本来の消灯期間に回すことで、点灯量を平滑化してちらつきを抑えた高品質なLED部の発光が可能となる。
【0074】
さらに実施例1で得られた光出力の波形を図5のグラフに示す。この図に示すように、光出力のピーク時に対する暗い時の割合は約60%に抑えることができ、波高率が1.2となって蛍光灯を上回り、照明品質が大きく向上したことが確認できる。
【0075】
またこの構成によれば、大容量のコンデンサ111を搭載しているにもかかわらず、コンデンサ111に定電流充電回路を付加したことで大きな突入電流の発生を回避できる。さらにコンデンサ両端がLED集合体の両端に接続されているため、図3に示したように充放電による端子電圧差を数Vに抑えて、充電用定電流回路の損失を極減できる。加えて、コンデンサ充電電流が定電流回路で制御されるので、急速充電と比較してコンデンサリップル電流が非常に小さい。このため、LED素子の寿命に比較して短寿命とされるアルミ電解コンデンサを使用しても長寿命を確保でき、発光ダイオード駆動装置の品質と信頼性を向上できる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上の発光ダイオード駆動装置は、LED素子を備えているため、LED素子とその駆動回路を同一の配線基板に配置することで、家庭用交流電源を投入して点灯可能な照明装置や照明器具として利用できる。
【符号の説明】
【0077】
100、100’…発光ダイオード駆動装置
2…整流回路
3…LED駆動手段
4…電流検出手段
5…電流検出信号付与手段;5A、5B、5C、5D…電流検出信号付与抵抗
6…高調波抑制信号生成手段
7…定電圧電源
8…電圧変動抑制信号送出手段
10…LED集合体
11…第一LED部
12…第二LED部
13…第三LED部
14…第四LED部
21…第一手段;21A、21B…第一LED電流制御トランジスタ
22…第二手段;22A、22B…第二LED電流制御トランジスタ
23…第三手段;23B…第三LED電流制御トランジスタ
24…第四手段;24B…第四LED電流制御トランジスタ
31…第一電流制御手段;31B…オペアンプ
32…第二電流制御手段;32B…オペアンプ
33…第三電流制御手段;33B…オペアンプ
34…第四電流制御手段;34B…オペアンプ
60…高調波抑制信号生成抵抗
61…高調波抑制信号生成抵抗
70…オペアンプ電源用トランジスタ
71…ツェナーダイオード
72…ツェナー電圧設定抵抗
81…保護抵抗;82…バイパスコンデンサ
110…コンデンサ充電用定電流回路
111…コンデンサ
112…充電電流制御トランジスタ
113…充電用電流検出制御トランジスタ
114…コレクタ抵抗
115…充電電流検出抵抗
116…充電用ダイオード
117…放電用ダイオード
124…第4逆流防止ダイオード
161、162、163、164、165、166…LEDブロック
167…スイッチ制御部
AP…交流電源;BP1…第一バイパス経路;BP2…第二バイパス経路;BP3…第三バイパス経路;OL…出力ライン
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードを点灯駆動させる駆動回路に関し、特に交流電源を用いて駆動させる発光ダイオード駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、照明用の光源として、白熱電球や蛍光灯に比べ低消費電力で駆動可能な発光ダイオード(以下「LED」ともいう。)が注目されている。LEDは小型で耐衝撃性にも強く、球切れの心配がないといった利点がある。
【0003】
このような照明機器用の電源としては、家庭用電源等交流を電源として用いることが望まれる。一方、LEDは直流駆動素子であり、順方向の電流でのみ発光する。また、照明用途として現在多用されているLEDの順方向電圧Vfは3.5V程度である。LEDはVfに達しなければ発光せず、逆にVfを超えると過度の電流が流れてしまう特性を有する。したがってLEDに対しては直流による駆動が適しているといえる。
【0004】
この相反する条件に応えるため、交流電源を用いたLEDの駆動回路が、種々提案されている。例えば、変化する電圧値に応じてVfの合計値を変化させるようにLEDを切り替える方法が提案されている(特許文献1)。この方法では、図6の回路図に示すように、多段に直列接続されたLEDをブロック161、162、163、164、165、166に分け、整流波形の入力電圧の電圧値に応じてLEDブロック161〜166の接続を、マイクロコンピュータで構成されたスイッチ制御部167で切り替えることで、段階的にVfの合計値を変化させる。この結果、図7のタイミングチャートに示す電圧波形のように、整流波形に対して複数の方形波でLEDを点灯できるため、単一の方形波のみでのONデューティに比べ、LEDの利用効率を改善できる。
【0005】
一方で本出願人は、複数のLED素子を直列接続してブロック化したLEDブロックを複数段、直列に接続した多段回路を、交流の全波整流で駆動するAC多段回路を開発した(特許文献2)。このAC多段回路は、図8に示すように、交流電源APをブリッジ回路2で全波整流し、LEDブロックの多段回路に対して印加する。LEDブロックの多段回路は、第一LEDブロック11と、第二LEDブロック12と、第三LEDブロック13とを直列に接続している。第一LEDブロック11の通電量に基づいて、第二LEDブロック12をバイパスする第一バイパス経路BP1のON/OFFを第一LED電流制御トランジスタ21Aで切り替え、また第一LEDブロック11及び第二LEDブロック12の通電量に基づいて、第三LEDブロック13をバイパスする第二バイパス経路BP2のON/OFFを第二LED電流制御トランジスタ22Aで切り替える。このAC多段回路は、電源効率を維持しつつ、LED利用効率及び力率を改善することができる。
【0006】
また本願出願人は、図9に示すようにLEDを多段に接続しつつ、高調波成分を抑制した発光ダイオード駆動装置を開発した。この発光ダイオード駆動装置で得られる電流波形のグラフを図10に示す。このように、高調波歪の発生が抑制され、正弦波に近い電流波形でLEDを駆動できる。
【0007】
一方、発光素子にLEDでなく従来の白熱電球を用いた場合の電流波形も、同様にほぼ正弦波となる。ただ白熱電球の場合は、フィラメントの白熱による発光のため、電源周波数(50Hz又は60Hz)に応答せず明滅が生じない。これに対して、発光素子にLEDを用いる場合は、LEDの高い応答性によって電源周波数に対応した明滅を繰り返すという問題がある。この様子を、図11の正弦波多段駆動回路の光出力波形に示す。これらの客観的評価の指標としては、波高率(=最大値/実効値)が用いられており、1に近いほど優れている。図11の光出力の波高率を計算すると、波高率=1.5以上となり、他の発光素子の波高率と比べると、白熱電球の1.05、蛍光灯の1.36、インバーター蛍光灯の1.1程度と比較して劣る。このことは、人によっては光の明滅によってちらつきを感じたり、また回転体の照明において回転速度と同期した場合、回転しているのに停止しているように見えるなど、照明品質を落とすことになる。したがって、図9の発光ダイオード駆動装置をさらに高品質な照明に用いるには、消灯期間をなくし、波高率を改善する必要がある。
【0008】
点滅期間を無くすには、コンデンサを用いた平滑化が考えられる。すなわち、電源電圧の高い期間にコンデンサに充電し、電圧の低い期間に放電させることが考えられる。しかしながら、コンデンサを用いると短い充電期間中に急速充電されることとなるため、充電電流が大きくなる。充電電流は、一般にコンデンサの容量が大きくなるほど大きくなる傾向にあるため、このような平滑化の用途に適う大容量のコンデンサの場合は、充電電流が一層大きくなって力率の悪化を招くと共に、高調波歪の規格に不適合となる。また、力率改善のためのアクティブフィルタICなどを使用する場合もあるが、このような素子は高価であり、また高周波スイッチングによるノイズが発生するなど弊害もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−147933号公報
【特許文献2】特開2011−40701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来のこのような問題点に鑑みてなされたものである。本発明の主な目的は、正弦波に近似した入力電流波形を乱すことなく、消灯期間を低減して波高率を改善した発光ダイオード駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0011】
以上の目的を達成するために、第1の側面に係る発光ダイオード駆動装置によれば、交流電源APに接続可能で、該交流電源APの交流電圧を整流した整流電圧を得るための整流回路2と、前記整流回路2の出力側と直列に接続される、少なくとも一のLED素子を有する第一LED部11、及び少なくとも一のLED素子を有する第二LED部12を直列に接続したLED集合体10と、前記LED集合体10への通電を制御するLED駆動手段3と、を備える発光ダイオード駆動装置であって、さらに、前記LED集合体10と並列に接続された充放電コンデンサ111と、前記充放電コンデンサと接続された、該充放電コンデンサを充電するためのコンデンサ充電経路と、前記充放電コンデンサと接続された、該充放電コンデンサを放電するためのコンデンサ放電経路と、前記コンデンサ充電経路上に配置され、前記充放電コンデンサを充電する充電電流を定電流に制御するためのコンデンサ充電用定電流部110と、を備え、前記LED集合体に印加される整流電圧が高くなると、前記充電経路を通じて前記充放電コンデンサに充電電流を充電し、前記LED集合体に印加される整流電圧が低くなると、前記放電経路を通じて前記充放電コンデンサから放電電流を放電し、前記LED集合体に通電することができる。これにより、充放電コンデンサを用いて、LED集合体に印加される整流電圧が高いときに充電した電荷を、整流電圧が低いときに放電してLED集合体に通電することで、LED集合体への電流量の高低差を抑制して、波高率を改善できる利点が得られる。また、充電経路にコンデンサ充電用定電流部を設けることで、充放電コンデンサへの突入電流を抑制して、力率の低下を回避できる。
【0012】
また、第2の側面に係る発光ダイオード駆動装置によれば、さらに前記コンデンサ充電経路上に配置され、前記充放電コンデンサを充電するための充電電流を通電させる充電用ダイオード116と、前記コンデンサ放電経路上に配置され、前記充放電コンデンサを放電するための放電電流を通電させる放電用ダイオード117とを備えることができる。これにより、充電経路及び放電経路にそれぞれ充電電流、放電電流が正しい向きに通電されて充放電コンデンサを充放電でき、動作の安定化が図られる。
【0013】
さらに、第3の側面に係る発光ダイオード駆動装置によれば、前記コンデンサ充電用定電流部110を、複数のトランジスタで構成することができる。
【0014】
さらにまた、第4の側面に係る発光ダイオード駆動装置によれば、さらに前記第二LED部12と直列に接続される少なくとも一のLED素子を有する第三LED部13を備えることができる。
【0015】
さらにまた、第5の側面に係る発光ダイオード駆動装置によれば、さらに前記第二LED部12と並列に接続され、前記第一LED部11への通電量を制御するための第一手段21と、前記第三LED部13と並列に接続され、前記第一LED部11及び前記第二LED部12への通電量を制御するための第二手段22と、前記第三LED部13と直列に接続され、前記第一LED部11、第二LED部12及び第三LED部13への通電量を制御するための第四手段24と、前記第一手段21を制御するための第一電流制御手段31と、前記第二手段22を制御するための第二電流制御手段32と、前記第四手段24を制御するための第四電流制御手段34と、前記第一LED部11から第三LED部13が直列接続される出力ラインOL上を流れる電流量に基づく電流検出信号を検出するための電流検出手段4とを備えることができる。
【0016】
さらにまた、第6の側面に係る発光ダイオード駆動装置によれば、さらに前記整流回路2から出力される整流電圧に基づいて、高調波抑制信号電圧を生成するための高調波抑制信号生成手段6を備え、前記第一電流制御手段31、第二電流制御手段32及び第四電流制御手段34が、前記電流検出手段4で検出された電流検出信号と、前記高調波抑制信号生成手段6で生成された高調波抑制信号電圧とを比較して、高調波成分を抑制するように前記第一手段21、第二手段22及び第四手段24をそれぞれ制御することができる。これにより、入力側の高調波成分と、得られたLED駆動電流との対比によって、出力波形を調整する制御が可能となり、効果的な高調波成分の抑制が実現できる。
【0017】
さらにまた、第7の側面に係る発光ダイオード駆動装置によれば、さらに前記第三LED部13と直列に接続される少なくとも一のLED素子を有する第四LED部14と、前記第四LED部14と直列に接続され、前記第一LED部11、第二LED部12、第三LED部13への通電量を制御するための第三手段23と、前記第三手段23を制御するための第三電流制御手段33とを備え、前記第四手段24が、前記第一LED部11、第二LED部12、第三LED部13及び第四LED部14への通電量を制御するよう構成できる。これにより、整流電圧の高い期間にコンデンサを充電し、整流電圧の低い期間に放電してLED集合体を発光させて、LED集合体の消灯期間をなくすと共に、波高率を改善することができる。また、発光ダイオード駆動装置の高調波歪の抑制や高力率の維持に影響を与えることなく動作できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態1に係る発光ダイオード駆動装置を示すブロック図である。
【図2】図1の発光ダイオード駆動装置の一回路例を示す回路図である。
【図3】実施の形態1に係る発光ダイオード駆動装置のコンデンサ充放電電流及び電圧波形を示すグラフである。
【図4】実施例1に係る発光ダイオード駆動装置における第一LED部の電流波形を示すグラフである。
【図5】実施例1で得られた光出力の波形を示すグラフである。
【図6】マイクロコンピュータを使用したLED点灯回路例を示す回路図である。
【図7】図6のLED点灯回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図8】従来の発光ダイオード駆動装置を示す回路図である。
【図9】本出願人が先に開発した発光ダイオード駆動装置を示す回路図である。
【図10】図9の発光ダイオード駆動装置の入力電流波形を示すグラフである。
【図11】図9の発光ダイオード駆動装置の光出力波形を示すグラフである。
【図12】図9の発光ダイオード駆動装置における第一LED部の電流波形を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光ダイオード駆動装置を例示するものであって、本発明は発光ダイオード駆動装置を以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
【0020】
発光ダイオード駆動装置を高調波電流規格に適合させるためには、白熱電球と同様に正弦波の電流波形になるよう設計することが望まれる。そこで本実施の形態に係る発光ダイオード駆動装置では、LED電流制御手段の基準電圧に正弦波を重畳させることで、LED駆動電流波形を正弦波に近似した波形とし、25W以上の高調波電流規格に適合させた安価でコンパクトな発光ダイオード駆動装置を提供するものである。
【実施例1】
【0021】
図1に実施例1に係る発光ダイオード駆動装置100のブロック図を示す。この発光ダイオード駆動装置100は、整流回路2と、LED集合体10と、第一手段21〜第四手段24と、第一電流制御手段31〜第三電流制御手段33と、電流検出手段4とを備える。この発光ダイオード駆動装置100は、交流電源APに接続されて、交流電圧を整流した整流電圧(脈流電圧)を得るための整流回路2と、複数のLED部で構成されたLED集合体10とを、出力ラインOL上で各々直列に接続している。ここではLED部を4つ使用しており、第一LED部11、第二LED部12、第三LED部13、第四LED部14を直列に接続して、LED集合体10を構成している。さらに出力ラインOLには、LED集合体10と、LED駆動手段3と、電流検出手段4とを直列に接続している。
【0022】
また第二LED部12、第三LED部13、第四LED部14には、各々両端に通電量を制御するための第一手段21、第二手段22、第三手段23が接続される。第一手段21、第二手段22、第三手段23は、それぞれLED部に対して並列に設けられているため、通電量を調整するバイパス経路を構成する。すなわち、第一手段21、第二手段22、第三手段23によってバイパスされる電流量を調整できるので、結果的に各LED部の通電量を制御できる。図1の例では、第二LED部12と並列に第一手段21が接続され、第一バイパス経路BP1を形成する。また第三LED部13と並列に第二手段22が接続され、第二バイパス経路BP2を形成する。さらに第四LED部14と並列に第三手段23が接続され、第三バイパス経路BP3を形成する。なお本明細書においては、出力ライン上に接続されたLED部等をバイパスするバイパス経路にも、出力電流が流れることがあるため、この意味で出力ラインに含めて使用する。
(電流制御手段)
【0023】
また定電流駆動を行うため、定電流回路の制御用に電流制御手段が設けられる。この回路例では第一手段21、第二手段22、第三手段23、第四手段24と第一電流制御手段31、第二電流制御手段32、第三電流制御手段33、第四電流制御手段34とで、一種の定電流回路が構成される。
【0024】
各電流制御手段は第一手段21、第二手段22、第三手段23、第四手段24と接続されており、第一手段21、第二手段22、第三手段23、第四手段24のON/OFFや電流量連続可変といった動作を制御する。具体的には、第一手段21の動作を制御する第一電流制御手段31と、第二手段22の動作を制御する第二電流制御手段32と、第三手段23の動作を制御する第三電流制御手段33と、第四手段24の動作を制御する第四電流制御手段34が設けられる。第一電流制御手段31、第二電流制御手段32、第三電流制御手段33、第四電流制御手段34は、電流検出手段4に接続されてLEDの電流量をモニタし、その値に基づいて第一手段21、第二手段22、第三手段23、第四手段24の制御量を切り替える。
【0025】
各LED部は、一又は複数のLED素子を直列及び/又は並列に接続したブロックである。LED素子は、表面実装型(SMD)や砲弾型のLEDが適宜利用できる。またSMDタイプのLED素子のパッケージは、用途に応じて外形を選択でき、平面視が矩形状のタイプ等が利用できる。さらに、複数のLED素子をパッケージ内で直列及び/又は並列に接続したLEDをLED部として使用することも可能であることは言うまでもない。
【0026】
各LED部に含まれるLED素子の順方向電圧の加算値である小計順方向電圧は、直列接続されたLED素子の個数によって決まる。例えば順方向電圧3.6VのLED素子を6個使用する場合の小計順方向電圧は、3.6×6=21.6Vとなる。
【0027】
この発光ダイオード駆動装置100は、電流検出手段4で検出した電流値に基づいて各LED部に対する通電のON/定電流制御/OFFを切り替える。いいかえると、整流電圧の電圧値でなく、現実に通電される電流量に基づいた電流制御であるため、LED素子の順方向電圧のばらつきに左右されず、適切なタイミングで正確なLED部の切り替えが実現され、信頼性の高い安定した動作が見込まれる。なお電流値の検出には、電流検出手段4等が利用できる。
【0028】
図1の例では、第一電流制御手段31が第一LED部11の通電量に基づいて、第一手段21による第一LED部11への通電制限量を制御する。具体的には、第一手段21及び第二手段22、第三手段23がONの状態で、通電量が予め設定された第一基準電流値に達したとき、第一手段21は第一LED部11を定電流駆動する。その後入力電圧が上昇して、第一LED部11と第二LED部12を共に駆動できる電圧に達すると、第二LED部12に電流が流れ始め、さらにその電流値が第一基準電流値を超えると、第一手段21はOFFとなる。さらに第二電流制御手段32が第一LED部11及び第二LED部12の通電量に基づいて、第二手段22による第一LED部11及び第二LED部12への通電制限量を制御する。具体的には、通電量が予め設定された第二基準電流値に達すると、第二手段22は第一LED部11と第二LED部12を定電流駆動する。その後入力電圧が上昇して、第一LED部11と第二LED部12と第三LED部13とを共に駆動できる電圧に達すると、第三LED部13に電流が流れ始め、さらにその電流値が第二基準電流値を超えると、第二手段22はOFFとなる。
【0029】
さらに第三電流制御手段33が第一LED部11、第二LED部12、第三LED部13の通電量に基づいて、第三手段23による第一LED部11、第二LED部12、第三LED部13への通電制限量を制御する。具体的には、通電量が予め設定された第三基準電流値に達すると、第三手段23は第一LED部11と第二LED部12と第三LED部13とを定電流駆動する。その後入力電圧が上昇して、第一LED部11と第二LED部12と第三LED部13と第四LED部14を共に駆動できる電圧に達すると、第四LED部14に電流が流れ始め、さらにその電流値が第三基準電流値を超えると、第三手段23はOFFとなる。最後に第四手段24及び第四電流制御手段34は、第一LED部11、第二LED部12、第三LED部13、第四LED部14を定電流駆動させる。
【0030】
ここで、第一基準電流値<第二基準電流値<第三基準電流値となるよう設定することで、第一LED部11から第二LED部12、第三LED部13、第四LED部14への順で、ON/定電流制御/OFFを順次切り替えることができる。
【0031】
以上のように発光ダイオード駆動装置100は、家庭用電源等の交流電源APを用いて、その交流を全波整流した後に得られる周期的に変化する脈流電圧に合わせて、直列に配置されたLED素子を適切な個数だけ点灯させるように構成した複数の定電流回路を備えており、各定電流回路を各々適切に動作させるように複数のLED電流検出回路を動作させることができる。
【0032】
この発光ダイオード駆動装置100は、第1の電流値で第一LED部11を通電させ、第1の電流値よりも大きい第2の電流値で第一LED部11及び第二LED部12を通電させ、さらに第2の電流値よりも大きい第3の電流値で第一LED部11、第二LED部12、第三LED部13を通電させ、さらにまた第3の電流値よりも大きい第4の電流値で第一LED部11、第二LED部12、第三LED部13、第四LED部14を通電させる。特に各LED部への通電量を定電流制御によって制限することで、電流量に応じてLED部のON/定電流制御/OFFを切り替えることができ、脈流電圧に対して効率よくLEDを点灯駆動できる。
【0033】
さらに図1の例では、第四手段24と並列にLED駆動手段3が接続されており、第四手段24に流れる電流の一部をLED駆動手段3で分岐させることによってLED駆動手段3が第四手段24の負荷を低減している。
(高調波抑制信号生成手段6)
【0034】
さらに第一電流制御手段31〜第四電流制御手段34は、高調波抑制信号生成手段6と接続される。高調波抑制信号生成手段6は、整流回路2から出力される整流電圧に基づいて、高調波抑制信号電圧を生成する。ここでは、高調波抑制信号生成手段6は、整流回路2で整流された整流電圧を適当な大きさに圧縮し、第一電流制御手段31〜第四電流制御手段34に送出して参照信号とし、LED電流検出信号と比較する。各電流制御手段はこの比較結果を基に、それぞれの第一手段21〜第四手段24を介して適切なタイミングと電流で、それぞれのLED部を駆動する。
(平滑化回路)
【0035】
さらに図1に示す発光ダイオード駆動装置は、LEDの消灯期間を低減するための平滑化回路を備える。平滑化回路は、コンデンサ111、コンデンサ充電用定電流回路110、充電用ダイオード116、放電用ダイオード111を備える。
(コンデンサ充電回路)
【0036】
コンデンサ充電用定電流回路110は第一電流制御手段31〜第三電流制御手段33で生成されるLED駆動の正弦波電流よりも小さな定電流に設定される。このコンデンサ充電電流とLED駆動電流が合成されて、第一電流制御手段31〜第三電流制御手段33で正弦波電流に制御される。これにより、元来正弦波に近似した電流波形で制御されている発光ダイオード駆動装置全体の電流に影響することなくコンデンサ充電が行える。
(コンデンサ放電回路)
【0037】
一方で、コンデンサ111の放電回路は、放電用ダイオード117を介して第一LED部11から第四LED部14まで直列に接続されたLED集合体10に接続される。このコンデンサ放電回路は、コンデンサ充電用定電流回路110や充電用ダイオード116など介せずに、コンデンサ111に溜まった電荷を放電する。コンデンサ111の充電電圧は、LED集合体10を構成する直列接続された第一LED部〜第四LED部のVfを足し合わせた値となるので、コンデンサ充電時にLED集合体10に流れる電流以上の電流でコンデンサ111が放電されることはない。
(実施例1の回路例)
【0038】
次に、図1の発光ダイオード駆動装置100を半導体素子を用いて実現した具体的な回路の構成例を、図2に示す。この発光ダイオード駆動装置100’は、交流電源APに接続された整流回路2としてダイオードブリッジを用いている。また交流電源APと整流回路2との間には、保護抵抗81が設けられる。さらに整流回路2の出力側には、バイパスコンデンサ82が接続される。なお交流電源APと整流回路2との間には、図示しないが過電流阻止のためのヒューズとサージ防護回路を設けてもよい。
(交流電源AP)
【0039】
交流電源APは、100Vや200Vの商用電源が好適に利用できる。この商用電源の100V又は200Vは実効値であり、全波整流された整流波形の最大電圧は約141V又は282Vとなる。
(LED集合体10)
【0040】
LED集合体10を構成する各LED部は、相互に直列に接続すると共に、複数のブロックに分け、ブロック同士の境界からは端子を引き出して、第一手段21、第二手段22、第三手段23、第四手段24と接続している。図2の例では、第一LED部11、第二LED部12、第三LED部13、第四LED部14の4つのグループでLED集合体10を構成している。
【0041】
図2に示す各LED部11〜14は、一のLEDシンボルが複数のLEDチップを実装したLEDパッケージ1を表している。この例では、各LEDパッケージ1は、10個のLEDチップを実装している。各LED部の発光ダイオード接続数、あるいはLED部の接続数は、順方向電圧の加算値、すなわち直列接続されたLED素子の総数と、使用する電源電圧とで決定される。例えば商用電源を使用する場合は、各LED部のVfの合計である合計順方向電圧Vfallが、141V程度、又はそれ以下となるように設定される。
【0042】
なおLED部は、一以上の任意の数のLED素子を備えている。LED素子は、一個のLEDチップや、複数個のLEDチップを一パッケージに纏めたものを利用できる。この例では、図示する一のLED素子として、それぞれ10個のLEDチップを含むLEDパッケージ1を使用している。
【0043】
また図2の例では、4つのLED部のVfを同一となるように設計している。ただこの例に限られず、上述の通りLED部数を3以下、あるいは5以上としてもよい。LED部数を増やすことで、定電流制御の数を増やしてより細かなLED部間の点灯切り替え制御が可能となる。さらに各LED部のVfは同一としなくとも良い。
(第一手段21〜第四手段24)
【0044】
第一手段21、第二手段22、第三手段23、第四手段24は、各LED部に対応して、定電流駆動するための部材である。このような第一手段21〜第四手段24としては、トランジスタ等のスイッチング素子で構成される。特にFETは、ソース−ドレイン間飽和電圧がほぼゼロであるため、LED部への通電量を阻害することがなく好ましい。ただ、第一手段21〜第四手段24はFETに限定されるものでなく、バイポーラトランジスタ等でも構成できることはいうまでもない。
【0045】
図2の例では、第一手段21〜第四手段24としてLED電流制御トランジスタを利用している。具体的には、第二LED部12、第三LED部13、第四LED部14、LED駆動手段3には、それぞれ第一手段21〜第四手段24である第一LED電流制御トランジスタ21B、第二LED電流制御トランジスタ22B、第三LED電流制御トランジスタ23Bが接続される。各LED電流制御トランジスタは、その前段のLED部の電流量に応じて、ON状態や定電流制御が切り替わる。LED電流制御トランジスタがOFFになると、バイパス経路に電流が流れなくなって、LED部に通電される。すなわち、各第一手段21〜第四手段24によってバイパスされる電流量を調整できるので、結果的に各LED部の通電量を制御できることになる。図2の例では、第二LED部12と並列に第一手段21が接続され、第一バイパス経路BP1を形成する。また第三LED部13と並列に第二手段22が接続され、第二バイパス経路BP2を形成する。さらに第四LED部14と並列に第三手段23が接続され、第三バイパス経路BP3を形成する。さらにまた第四LED電流制御トランジスタ24Bが接続され、第一LED部11、第二LED部12、第三LED部13及び第四LED部14への通電量を制御する。
【0046】
ここで第一LED部11は、並列に接続されたバイパス経路や第一手段〜第四手段を設けていない。第二LED部12と並列に接続された第一手段21が、第一LED部11の電流量を制御するからである。また第四LED部14については、第四LED電流制御トランジスタ24Bが電流制御を行う。
【0047】
また図2の例では、抵抗3をLED駆動手段3としている。この例では、LED駆動手段3に並列に第四手段であるトランジスタを接続することで、電流量が大きくなる際に電流をバイパスして、第四手段への負荷を軽減するよう構成している。ただ、LED駆動手段3を省略してもよい。
【0048】
図2の例では、LED電流制御トランジスタとして、FETを使用している。なお、第一LED電流制御トランジスタ21Bや第二LED電流制御トランジスタ22B、第三LED電流制御トランジスタ23B、第四LED電流制御トランジスタ24Bを用いて、LED部単位でON/OFFの切り替えを制御する構成では、各段のLED電流制御トランジスタを構成するFET等の制御用半導体素子が各々LED部の両端に接続されているため、制御用半導体素子の耐圧はLED部の小計順方向電圧にて保護されることとなる。このため、耐圧の低い小型の半導体素子を使用できる利点が得られる。
(第一電流制御手段31、第二電流制御手段32、第三電流制御手段33、第四電流制御手段34)
【0049】
第一電流制御手段31、第二電流制御手段32、第三電流制御手段33、第四電流制御手段34は、各LED部と対応する第一手段21〜第四手段24が、適切なタイミングで定電流駆動を行うよう制御する部材である。第一電流制御手段32〜第四電流制御手段34も、トランジスタ等のスイッチング素子が利用できる。特にバイポーラトランジスタは、電流量の検出に好適に利用できる。この例では第一電流制御手段31、第二電流制御手段32、第三電流制御手段33、第四電流制御手段34は、オペアンプで構成される。なお電流制御手段も、オペアンプに限定されるものでなく、コンパレータ、バイポーラトランジスタ、MOSFET等でも構成可能であるのはいうまでもない。
【0050】
図2の例では、電流制御手段は、各々LED電流制御トランジスタの動作を制御する。すなわち、各電流検出オペアンプがON/定電流制御/OFFすることで、LED電流制御トランジスタをOFF/定電流制御/ONに切り替える。
(電流検出手段4)
【0051】
電流検出手段4は、LED部を直列接続したLED集合体10に通電される電流を電圧降下等により検出することによって、LED部を構成するLED素子の定電流駆動を行う。この電流検出手段4は、LEDの保護抵抗としても機能する。また定電流駆動を行うため、定電流回路の制御用に電流制御手段が設けられる。この回路例では第一手段21、第二手段22、第三手段23、第四手段24と第一電流制御手段31、第二電流制御手段32、第三電流制御手段33、第四電流制御手段34で、一種の定電流回路が構成される。
【0052】
各LED電流検出抵抗の抵抗値は、各電流制御手段のON/OFFをどの電流のタイミングで行うかを規定する。ここでは、第一〜第四電流検出手段31〜34であるオペアンプの順でONされるよう、各LED電流検出抵抗の抵抗値が設定されている。
(基準電流値)
【0053】
ここでは、第一電流検出手段31が第一LED電流制御トランジスタ21をONからOFFに切り替える第一基準電流値を、第二電流検出手段32が第二LED電流制御トランジスタ22をONからOFFに切り替える第二基準電流値よりも低く設定する。また第三電流検出手段33が第三LED電流制御トランジスタ23をONからOFFに切り替える第三基準電流値を、第二基準電流値よりも高く設定する。さらに第四電流検出手段34が第四LED電流制御トランジスタ24をONからOFFに切り替える第四基準電流値を、第三基準電流値よりも高く設定する。このように第一基準電流値<第二基準電流値<第三基準電流値<第四基準電流値となるよう設定することで、整流回路2で整流された入力電圧の上昇に伴い、第一LED部11から第二LED部12、第三LED部13、第四LED部14への順で、ON/定電流制御/OFFを順次切り替えることができる。また入力電圧の下降時には、逆の順序でLEDが消灯される。
(高調波抑制信号生成手段6の動作説明)
【0054】
以下、図2を参照しながら、発光ダイオード駆動装置100’における高調波抑制信号生成手段6の動作を説明する。図2の回路例では、電流制御手段は、オペアンプ31B〜34Bで構成される。これらオペアンプ31B〜34Bは、高調波抑制信号生成手段6により制御される。
【0055】
具体的にオペアンプ31B〜34Bは、定電圧電源7により駆動される。定電圧電源7は、オペアンプ電源用トランジスタ70、ツェナーダイオード71、ツェナー電圧設定抵抗72で構成される。この定電圧電源7は、交流電源APを整流回路2で整流した後の整流電圧が、ツェナーダイオード71のツェナー電圧を超えている期間だけ、オペアンプ31B〜34Bに電源を供給する。この期間は、LEDの点灯期間を包含するよう設定される。すなわち、LED点灯中にオペアンプを動作させて、点灯を制御する。
【0056】
高調波抑制信号生成手段6は、高調波抑制信号生成抵抗60、61で構成される。高調波抑制信号生成抵抗60、61は、整流回路2で整流された整流電圧を分圧する。いいかえると、整流電圧を適当な大きさに圧縮する。各オペアンプの+側入力端子には、高調波抑制信号生成抵抗60、61から出力される、圧縮された正弦波である高調波抑制信号が入力される。
【0057】
一方、各オペアンプの負入力端子には、電流検出抵抗で検出された電圧が入力される。電流検出分圧抵抗4の電圧は、それぞれのオペアンプが制御を担当する期間に、すなわち各オペアンプの+側入力端子に印加される正弦波に沿って電流制御されるよう設定される。これにより、整流回路2で整流された脈流の正弦波をオペアンプの+側入力端子に入力することができる。このため、正弦波に沿って電流制御動作を行うため、LED駆動電流が正弦波に近似された波形となる。
【0058】
なおLED部はそれぞれ、複数の発光ダイオード素子を相互に直列に接続して構成できる。これにより、整流電圧を複数の発光ダイオード素子で効果的に分圧できる上、発光ダイオード素子毎の順方向電圧Vfや温度特性のばらつきをある程度吸収してブロック単位での制御を均一化できる。ただ、LED部の数や各LED部を構成する発光ダイオード素子数等は、要求される明るさや入力電圧等によって任意に設定でき、例えばLED部を一の発光ダイオード素子で構成したり、LED部の数を多くしてより細かな制御を行うこと、あるいは逆にLED部を2つのみとして制御をシンプルにすることも可能であることは言うまでもない。
【0059】
また、上記構成ではLED部の構成数を4としたが、LED部の数を2又は3としたり、又は5以上とすることもできることはいうまでもない。特に、LED部の数を増やすことで、階段状の電流波形をより細かくした制御が可能となり、一層の高調波成分の抑制が可能となる。また図1の例では、各LED部がON/OFFされる切り替え動作を、入力電流に対してほぼ均等に分割しているが、均等にする必要は必ずしも無く、異なる電流でLED部を切り替えてもよい。
【0060】
さらに上記の例では、LEDを4つのLED部に分け、各LED部がそれぞれ同一のVfとなるよう構成しているが、同一のVfでなくても良い。例えばLED部1のVfをできるだけ低く、すなわちLED一個分の3.6V程度に設定できれば、電流の立ち上がりタイミングを早く、立下りタイミングを遅くできる。このことは、高調波を減少させるのにさらに有利となる。またこの方法を使用すれば、LED部の数とVf設定を自由に選択でき、さらに電流波形を正弦波に近似できるため、より柔軟性を高めて高調波抑制を実現することが容易となる。
【0061】
さらにまた、隣り合うオペアンプの負入力端子同士の最小電圧差は、オペアンプのオフセット電圧以上であれば良く、例えば数mV程度の差で設定できる。このことは、回路設計上有利となる。例えば図8で示したAC多段回路のように、電流制御手段をトランジスタで構成する場合には、半導体部品を実装した回路基板上の、場所による温度変化に起因する設定電流の変動を考慮して、数十mV以上の差を必要としていた。これに対して、実施例1の回路例では、トランジスタで電流制御手段を構成する場合に比べ、十分の一程度の電位差で設定できることになる。このため、実施例1の構成によれば、LED部の電流設定を細かく設定でき、LED部の増加等にも自由に対応可能であることを意味し、部品費等のトレードオフがあるとしても正弦波への近似がさらに精密にできるメリットを享受できる。
(電流検出信号付与手段5)
【0062】
電流検出信号付与手段5は、図1に示すように電流検出手段4で検出される電流検出信号を、第一電流制御手段31、第二電流制御手段32、第三電流制御手段33、第四電流制御手段34に送出する。図2の回路例では、電流検出信号付与手段5は電流検出信号付与抵抗5A〜5Dに相当する。
(電圧変動抑制信号送出手段8)
【0063】
さらに発光ダイオード駆動装置は、電圧変動抑制信号を生成して電流検出信号付与手段5へ送出する電圧変動抑制信号送出手段8を付加することもできる。図2において、電圧変動抑制信号生成手段8は破線で囲んだ領域で構成され、電圧変動抑制信号を積分した上で、電流検出信号に加算している。これにより、脈流電圧が変動しても平均電流が一定になるように制御される。
(コンデンサ充電用定電流回路110)
【0064】
図2に示す発光ダイオード駆動装置において、コンデンサ充電用定電流回路110は、充電電流制御トランジスタ112、充電用電流検出制御トランジスタ113、充電電流検出抵抗115、コレクタ抵抗114で構成される。このコンデンサ充電用定電流回路110は、充電電流制御トランジスタ112によって定電流制御される。
(コンデンサ111への充電)
【0065】
図2に示す発光ダイオード駆動装置の電流波形は、図10で示した電流波形と同じである。コンデンサ111への充電は、電源ラインからコンデンサ111、充電電流制御トランジスタ112、充電電流検出抵抗115、充電用ダイオード116、第4逆流防止ダイオード124、第4電流制御FET24を通じて行われる。そして充電電流は、上述の通りコンデンサ充電用定電流回路110の充電電流制御トランジスタ112で定電流制御される。この充電電流は、第4電流制御FET24によって制御される電流よりも小さく設定される。また充電電流は、LED集合体10を流れるLED電流と合成され、この合成電流が第4電流制御FET24により正弦波となるよう電流制御される。これによって、図9の回路例で実現される高調波歪抑制機能を阻害することなく、コンデンサ111への充電を行うことができる。
【0066】
一方で、コンデンサ充電中のLED電流は、コンデンサ充電電流が差し引かれる分、減少する。第4電流制御FET24が正弦波電流制御する期間は、図9の回路例では、第一LED部11から第四LED部14までのすべてのLEDが点灯される期間、すなわち電源電圧のピーク近傍の期間となる。また、この期間において光出力もピークとなる。この期間のLED電流を削減できれば、光出力のピークを抑えることができ、波高率を低減できる。したがって、この期間にコンデンサ111に充電することで、光出力のピークを抑え、且つコンデンサに蓄えた電力を電源電圧の低い時に放電し光出力を得ることで、波高率の改善効果が二重に得られる。
【0067】
コンデンサ充電時間は、第4電流制御FET24の動作期間が最大となる。この期間中充電を継続することで、充電の定電流設定を増減して自由に調整できる。
(コンデンサ111からの放電)
【0068】
次にコンデンサ111からの放電について説明する。図2の発光ダイオード駆動装置において、コンデンサ111の放電回路は、第一LED部11〜第四LED部14で構成されるLED集合体10と、放電用ダイオード117で構成される。このようにすべてのLED部が放電対象となるが、放電電流は正弦波多段駆動回路に流れず、その動作には影響を与えない。
【0069】
コンデンサ充放電電流及び電圧波形を図3に示す。この図において、コンデンサ充放電電流をI、コンデンサ充放電電圧波形をVで、それぞれ示している。コンデンサの端子電圧は、上述のようにすべてのLED部が点灯された状態でのLED電流、すなわち第4電流制御FET24による制御電流からコンデンサ充電電流を差し引いた電流IfaによるLED端子電圧Vfaにほぼ等しく充電される。したがって、コンデンサの放電を定電流制御しなくても、LED端子電圧Vfaによって制限され、Ifaより大きな放電電流は流れないことになる。
【0070】
コンデンサ充電終了直後は、充電電流がなくなりLED駆動電流が上がり、LED端子電圧も上昇するため放電は起こらない。電源電圧がさらに下がり、正弦波多段駆動回路による第一LED部11、第二LED部12の2グループのLED群を正弦波電流駆動(正弦波多段駆動回路では第三LED部13、第四LED部14は消灯)に移る付近からLED端子電圧をコンデンサ端子電圧が上回り、放電を開始する。この放電電流は、図9の正弦波電流駆動に重畳されLEDに流れるため、LED端子電圧は上昇し、放電電流を抑える方向に働き、過度な電流がLEDには流れることはない。電源電圧が下降するのに伴い、正弦波多段駆動回路により駆動されるLED部は減少し、駆動電流によるLED端子電圧変動分も減少する。
【0071】
このように、LED端子電圧は駆動電流の増減に伴って増減する。すなわち、多段駆動回路により駆動されているLED部の端子電圧は、駆動されていないときよりも上昇する。したがって、より多くのLED部が多段駆動回路により駆動されている期間は、LED端子電圧が高くなり、この結果コンデンサ端子電圧を上回る期間は、コンデンサ111は放電されない。その一方、コンデンサ111は多段駆動回路と分け合った電流で充電されるため、そのときのLED駆動電流はコンデンサ充電用定電流回路110がない場合よりも低いIfaとなる。すなわち、充電完了したコンデンサ端子電圧は、すべてのLED部に対して最大Ifaで放電できる電圧Vfaでしか充電されていない。電源電圧が下降し、多段駆動回路で駆動されるLED部が減ると、LED端子電圧は減少しコンデンサ111の放電が開始される。なお多段駆動回路で駆動されるLED部の数が少ないほどLED端子電圧は下がり、コンデンサ111からの放電電流は上がるが、上記のように充電期間のLED駆動電流Ifaを超えることはない。
【0072】
このようにLED部の駆動状況に応じてコンデンサ111は逐次放電され、図9のような正弦波多段駆動回路のみでは消灯している期間でも、LED部を点灯することができる。また、コンデンサの放電は正弦波多段駆動回路と無関係に、すなわち高調波歪抑制効果や高力率を毀損することなく行われる。このため、高調波抑制と高力率を維持しつつも、正弦波多段駆動回路の追加によって消灯期間を低減して、光出力の波高率を大幅に改善することが可能となる。
【0073】
ここで、実施例1に係る発光ダイオード駆動装置における第一LED部の電流波形を、図4に示すと共に、対比のため本出願人が先に開発した図9の発光ダイオード駆動装置における第一LED部の電流波形を、図12に示す。図9の構成では電流が低い領域、図12において矢印で示す区間では、第一LED部が消灯していた。また第一LED部の駆動波形は、ほぼ正弦波に近い波形を示している。これに対し、図12に示す実施例1では電源電圧ピーク時(図12において水平方向の矢印で示す区間)に、コンデンサ充電を行うことでLED電流を削減させる一方、正弦波多段駆動回路により駆動されるLED部の電流が減少するのに応じてコンデンサ放電電流を増加させることで(図12において縦方向の矢印)、従来は消灯されていた区間でも第一LED部を点灯させて光出力を得ることができ、この結果LED部が完全に消灯される期間を無くしていることが確認できた。このように、ピークカットした分の電流を本来の消灯期間に回すことで、点灯量を平滑化してちらつきを抑えた高品質なLED部の発光が可能となる。
【0074】
さらに実施例1で得られた光出力の波形を図5のグラフに示す。この図に示すように、光出力のピーク時に対する暗い時の割合は約60%に抑えることができ、波高率が1.2となって蛍光灯を上回り、照明品質が大きく向上したことが確認できる。
【0075】
またこの構成によれば、大容量のコンデンサ111を搭載しているにもかかわらず、コンデンサ111に定電流充電回路を付加したことで大きな突入電流の発生を回避できる。さらにコンデンサ両端がLED集合体の両端に接続されているため、図3に示したように充放電による端子電圧差を数Vに抑えて、充電用定電流回路の損失を極減できる。加えて、コンデンサ充電電流が定電流回路で制御されるので、急速充電と比較してコンデンサリップル電流が非常に小さい。このため、LED素子の寿命に比較して短寿命とされるアルミ電解コンデンサを使用しても長寿命を確保でき、発光ダイオード駆動装置の品質と信頼性を向上できる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上の発光ダイオード駆動装置は、LED素子を備えているため、LED素子とその駆動回路を同一の配線基板に配置することで、家庭用交流電源を投入して点灯可能な照明装置や照明器具として利用できる。
【符号の説明】
【0077】
100、100’…発光ダイオード駆動装置
2…整流回路
3…LED駆動手段
4…電流検出手段
5…電流検出信号付与手段;5A、5B、5C、5D…電流検出信号付与抵抗
6…高調波抑制信号生成手段
7…定電圧電源
8…電圧変動抑制信号送出手段
10…LED集合体
11…第一LED部
12…第二LED部
13…第三LED部
14…第四LED部
21…第一手段;21A、21B…第一LED電流制御トランジスタ
22…第二手段;22A、22B…第二LED電流制御トランジスタ
23…第三手段;23B…第三LED電流制御トランジスタ
24…第四手段;24B…第四LED電流制御トランジスタ
31…第一電流制御手段;31B…オペアンプ
32…第二電流制御手段;32B…オペアンプ
33…第三電流制御手段;33B…オペアンプ
34…第四電流制御手段;34B…オペアンプ
60…高調波抑制信号生成抵抗
61…高調波抑制信号生成抵抗
70…オペアンプ電源用トランジスタ
71…ツェナーダイオード
72…ツェナー電圧設定抵抗
81…保護抵抗;82…バイパスコンデンサ
110…コンデンサ充電用定電流回路
111…コンデンサ
112…充電電流制御トランジスタ
113…充電用電流検出制御トランジスタ
114…コレクタ抵抗
115…充電電流検出抵抗
116…充電用ダイオード
117…放電用ダイオード
124…第4逆流防止ダイオード
161、162、163、164、165、166…LEDブロック
167…スイッチ制御部
AP…交流電源;BP1…第一バイパス経路;BP2…第二バイパス経路;BP3…第三バイパス経路;OL…出力ライン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源(AP)に接続可能で、該交流電源(AP)の交流電圧を整流した整流電圧を得るための整流回路(2)と、
前記整流回路(2)の出力側と直列に接続される、
少なくとも一のLED素子を有する第一LED部(11)、及び
少なくとも一のLED素子を有する第二LED部(12)
を直列に接続したLED集合体(10)と、
前記LED集合体(10)への通電を制御するLED駆動手段(3)と、
を備える発光ダイオード駆動装置であって、さらに、
前記LED集合体(10)と並列に接続された充放電コンデンサ(111)と、
前記充放電コンデンサと接続された、該充放電コンデンサを充電するためのコンデンサ充電経路と、
前記充放電コンデンサと接続された、該充放電コンデンサを放電するためのコンデンサ放電経路と、
前記コンデンサ充電経路上に配置され、前記充放電コンデンサを充電する充電電流を定電流に制御するためのコンデンサ充電用定電流部(110)と、
を備え、
前記LED集合体に印加される整流電圧が高くなると、前記充電経路を通じて前記充放電コンデンサに充電電流を充電し、
前記LED集合体に印加される整流電圧が低くなると、前記放電経路を通じて前記充放電コンデンサから放電電流を放電し、前記LED集合体に通電してなることを特徴とする発光ダイオード駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光ダイオード駆動装置であって、さらに、
前記コンデンサ充電経路上に配置され、前記充放電コンデンサを充電するための充電電流を通電させる充電用ダイオード(116)と、
前記コンデンサ放電経路上に配置され、前記充放電コンデンサを放電するための放電電流を通電させる放電用ダイオード(117)と、
を備えることを特徴とする発光ダイオード駆動装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の発光ダイオード駆動装置であって、
前記コンデンサ充電用定電流部(110)が、複数のトランジスタで構成されてなることを特徴とする発光ダイオード駆動装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一に記載の発光ダイオード駆動装置であって、さらに、
前記第二LED部(12)と直列に接続される少なくとも一のLED素子を有する第三LED部(13)を備えることを特徴とする発光ダイオード駆動装置。
【請求項5】
請求項4に記載の発光ダイオード駆動装置であって、さらに、
前記第二LED部(12)と並列に接続され、前記第一LED部(11)への通電量を制御するための第一手段(21)と、
前記第三LED部(13)と並列に接続され、前記第一LED部(11)及び前記第二LED部(12)への通電量を制御するための第二手段(22)と、
前記第三LED部(13)と直列に接続され、前記第一LED部(11)、第二LED部(12)及び第三LED部(13)への通電量を制御するための第四手段(24)と、
前記第一手段(21)を制御するための第一電流制御手段(31)と、
前記第二手段(22)を制御するための第二電流制御手段(32)と、
前記第四手段(24)を制御するための第四電流制御手段(34)と、
前記第一LED部(11)から第三LED部(13)が直列接続される出力ライン(OL)上を流れる電流量に基づく電流検出信号を検出するための電流検出手段(4)と、
を備えることを特徴とする発光ダイオード駆動装置。
【請求項6】
請求項5に記載の発光ダイオード駆動装置であって、さらに、
前記整流回路(2)から出力される整流電圧に基づいて、高調波抑制信号電圧を生成するための高調波抑制信号生成手段(6)を備え、
前記第一電流制御手段(31)、第二電流制御手段(32)及び第四電流制御手段(34)が、前記電流検出手段(4)で検出された電流検出信号と、前記高調波抑制信号生成手段(6)で生成された高調波抑制信号電圧とを比較して、高調波成分を抑制するように前記第一手段(21)、第二手段(22)及び第四手段(24)をそれぞれ制御することを特徴とする発光ダイオード駆動装置。
【請求項7】
請求項6に記載の発光ダイオード駆動装置であって、さらに、
前記第三LED部(13)と直列に接続される少なくとも一のLED素子を有する第四LED部(14)と、
前記第四LED部(14)と直列に接続され、前記第一LED部(11)、第二LED部(12)、第三LED部(13)への通電量を制御するための第三手段(23)と、
前記第三手段(23)を制御するための第三電流制御手段(33)と、
を備え、
前記第四手段(24)が、前記第一LED部(11)、第二LED部(12)、第三LED部(13)及び第四LED部(14)への通電量を制御するよう構成されてなることを特徴とする発光ダイオード駆動装置。
【請求項1】
交流電源(AP)に接続可能で、該交流電源(AP)の交流電圧を整流した整流電圧を得るための整流回路(2)と、
前記整流回路(2)の出力側と直列に接続される、
少なくとも一のLED素子を有する第一LED部(11)、及び
少なくとも一のLED素子を有する第二LED部(12)
を直列に接続したLED集合体(10)と、
前記LED集合体(10)への通電を制御するLED駆動手段(3)と、
を備える発光ダイオード駆動装置であって、さらに、
前記LED集合体(10)と並列に接続された充放電コンデンサ(111)と、
前記充放電コンデンサと接続された、該充放電コンデンサを充電するためのコンデンサ充電経路と、
前記充放電コンデンサと接続された、該充放電コンデンサを放電するためのコンデンサ放電経路と、
前記コンデンサ充電経路上に配置され、前記充放電コンデンサを充電する充電電流を定電流に制御するためのコンデンサ充電用定電流部(110)と、
を備え、
前記LED集合体に印加される整流電圧が高くなると、前記充電経路を通じて前記充放電コンデンサに充電電流を充電し、
前記LED集合体に印加される整流電圧が低くなると、前記放電経路を通じて前記充放電コンデンサから放電電流を放電し、前記LED集合体に通電してなることを特徴とする発光ダイオード駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光ダイオード駆動装置であって、さらに、
前記コンデンサ充電経路上に配置され、前記充放電コンデンサを充電するための充電電流を通電させる充電用ダイオード(116)と、
前記コンデンサ放電経路上に配置され、前記充放電コンデンサを放電するための放電電流を通電させる放電用ダイオード(117)と、
を備えることを特徴とする発光ダイオード駆動装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の発光ダイオード駆動装置であって、
前記コンデンサ充電用定電流部(110)が、複数のトランジスタで構成されてなることを特徴とする発光ダイオード駆動装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一に記載の発光ダイオード駆動装置であって、さらに、
前記第二LED部(12)と直列に接続される少なくとも一のLED素子を有する第三LED部(13)を備えることを特徴とする発光ダイオード駆動装置。
【請求項5】
請求項4に記載の発光ダイオード駆動装置であって、さらに、
前記第二LED部(12)と並列に接続され、前記第一LED部(11)への通電量を制御するための第一手段(21)と、
前記第三LED部(13)と並列に接続され、前記第一LED部(11)及び前記第二LED部(12)への通電量を制御するための第二手段(22)と、
前記第三LED部(13)と直列に接続され、前記第一LED部(11)、第二LED部(12)及び第三LED部(13)への通電量を制御するための第四手段(24)と、
前記第一手段(21)を制御するための第一電流制御手段(31)と、
前記第二手段(22)を制御するための第二電流制御手段(32)と、
前記第四手段(24)を制御するための第四電流制御手段(34)と、
前記第一LED部(11)から第三LED部(13)が直列接続される出力ライン(OL)上を流れる電流量に基づく電流検出信号を検出するための電流検出手段(4)と、
を備えることを特徴とする発光ダイオード駆動装置。
【請求項6】
請求項5に記載の発光ダイオード駆動装置であって、さらに、
前記整流回路(2)から出力される整流電圧に基づいて、高調波抑制信号電圧を生成するための高調波抑制信号生成手段(6)を備え、
前記第一電流制御手段(31)、第二電流制御手段(32)及び第四電流制御手段(34)が、前記電流検出手段(4)で検出された電流検出信号と、前記高調波抑制信号生成手段(6)で生成された高調波抑制信号電圧とを比較して、高調波成分を抑制するように前記第一手段(21)、第二手段(22)及び第四手段(24)をそれぞれ制御することを特徴とする発光ダイオード駆動装置。
【請求項7】
請求項6に記載の発光ダイオード駆動装置であって、さらに、
前記第三LED部(13)と直列に接続される少なくとも一のLED素子を有する第四LED部(14)と、
前記第四LED部(14)と直列に接続され、前記第一LED部(11)、第二LED部(12)、第三LED部(13)への通電量を制御するための第三手段(23)と、
前記第三手段(23)を制御するための第三電流制御手段(33)と、
を備え、
前記第四手段(24)が、前記第一LED部(11)、第二LED部(12)、第三LED部(13)及び第四LED部(14)への通電量を制御するよう構成されてなることを特徴とする発光ダイオード駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−243745(P2012−243745A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116390(P2011−116390)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】
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