説明

発光性シリコンポリマー、その製造方法、その発光性シリコンポリマーを用いた発光素子、及びその製造方法

【課題】容易且つ安価に製造可能で、発光色の制御が容易な発光性シリコンポリマーを提供する。
【解決手段】発光性シリコンポリマーは、組成式Sixyz(ここで、Rは、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、n−エイコシル、i−プロピル、i−ブチル、i−ヘキシル、sec−ブチル、2−エチルヘキシル、ベンジル、β−フェネチル、γ−フェニルプロピル、又はδ−フェニルブチルを表し、x≧y+z、0.0001≦y、0.0001≦zであり、各H及びRは、それぞれ異なるSiに直接結合している)で表される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光性シリコンポリマー、その製造方法、その発光性シリコンポリマーを用いた発光素子、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、シリコンは間接遷移型三次元半導体であるため、従来、シリコン系の材料は発光材料としてはあまり着目されていなかった。しかしながら、近年、シリコンに関する種々の研究が盛んになされた結果、シリコン系の発光材料が見出され、シリコン系発光材料に関する種々の報告がなされている(例えば、非特許文献1等)。また、それと同時に、シリコン系の発光体の製造方法としても、種々の方法が提案されており、例えば、非特許文献1には、スパッタ法を用いたシリコン系発光体の製造方法が開示されている。
【非特許文献1】Shoji Furukawa and Tatsuro Miyasato, The American Physical Society, Vol.38, No.8, P5726−5729
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、スパッタ法によるシリコン系発光体の製造方法では、シランガスが必要となる、大型な設備が必要である、製造に高コストを要するといった種々の問題がある。また、例えば、シリコンネットワーク中に有機官能基を導入すること等が困難で、発光色が相互に異なる複数種類の発光体を形成すること、言い換えれば、発光色の制御が困難であるという問題がある。
【0004】
本発明は係る点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、容易且つ安価に製造可能で、発光色の制御が容易な発光性シリコンポリマーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る発光性シリコンポリマーは、組成式Sixyz(ここで、Rは、炭素数が1以上20以下の直鎖飽和炭化水素基、炭素数が1以上20以下の分岐鎖飽和炭化水素基、水酸基、又はアラルキル基を表し、x≧y+z、0.0001≦y、0.0001≦zであり、各H及びRは、それぞれ異なるSiに直接結合している)で表されることを特徴とする。
【0006】
上記組成式SixyzにおけるRは、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基等の直鎖アルキル基、i−プロピル基、i−ブチル基、i−ヘキシル基、sec−ブチル基、2−エチルヘキシル基等の分岐鎖アルキル基、ベンジル基、β−フェネチル基、γ−フェニルプロピル基、又はδ−フェニルブチル基等のフェニルアルキル基等であることが好ましい。
【0007】
本発明に係る発光性シリコンポリマーは、下記組成式(1)で表される組成物を熱分解してなるものであることが好ましい。ここで、組成式(1)で表される組成物の分子量(詳細には、ポリスチレン換算の分子量)は1000以上であることが好ましい。
【0008】
【化1】

【0009】
(ここで、Rは、炭素数が1以上20以下の直鎖飽和炭化水素基、炭素数が1以上20以下の分岐鎖飽和炭化水素基、水酸基、又はアラルキル基を表し、nは10以上の自然数である)尚、組成式(1)におけるRは、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基等の直鎖アルキル基、i−プロピル基、i−ブチル基、i−ヘキシル基、sec−ブチル基、2−エチルヘキシル基等の分岐鎖アルキル基、ベンジル基、β−フェネチル基、γ−フェニルプロピル基、又はδ−フェニルブチル基等のフェニルアルキル基等であることが好ましい。
【0010】
本発明に係る発光性シリコンポリマーは、発光中心波長が380nm以上1000nm以下であるエレクトロルミネッセンス光を生ずるものであることが好ましい。
【0011】
本発明に係る発光素子は、発光層と、発光層に正孔を注入する陽極と、発光層に電子を注入する陰極とを備えている。発光層は、組成式Sixyz(ここで、Rは、炭素数が1以上20以下の直鎖飽和炭化水素基、炭素数が1以上20以下の分岐鎖飽和炭化水素基、水酸基、又はアラルキル基を表し、x≧y+z、0.0001≦y、0.0001≦zであり、各H及びRは、それぞれ異なるSiに直接結合している)で表される発光性シリコンポリマーにより実質的に形成されている。尚、上記組成式SixyzにおけるRは、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基等の直鎖アルキル基、i−プロピル基、i−ブチル基、i−ヘキシル基、sec−ブチル基、2−エチルヘキシル基等の分岐鎖アルキル基、ベンジル基、β−フェネチル基、γ−フェニルプロピル基、又はδ−フェニルブチル基等のフェニルアルキル基等であることが好ましい。
【0012】
本発明に係る発光性シリコンポリマーの第1の製造方法は、組成式Sixyz(ここで、Rは、炭素数が1以上20以下の直鎖飽和炭化水素基、炭素数が1以上20以下の分岐鎖飽和炭化水素基、水酸基、又はアラルキル基を表し、x≧y+z、0.0001≦y、0.0001≦zであり、各H及びRは、それぞれ異なるSiに直接結合している)で表される発光性シリコンポリマーを製造するための方法である。本発明に係る発光性シリコンポリマーの第1の製造方法は、下記組成式(1)で表される組成物を熱分解することにより発光性シリコンポリマーを得ることを特徴とする。尚、組成式(1)で表される組成物の分子量(詳細には、ポリスチレン換算の分子量)は1000以上であることが好ましい。
【0013】
【化1】

【0014】
(ここで、Rは、炭素数が1以上20以下の直鎖飽和炭化水素基、炭素数が1以上20以下の分岐鎖飽和炭化水素基、水酸基、又はアラルキル基を表し、nは10以上の自然数である)
本発明に係る発光性シリコンポリマーの第2の製造方法は、組成式Sixyz(ここで、Rは、炭素数が1以上20以下の直鎖飽和炭化水素基、炭素数が1以上20以下の分岐鎖飽和炭化水素基、水酸基、又はアラルキル基を表し、x≧y+z、0.0001≦y、0.0001≦zであり、各H及びRは、それぞれ異なるSiに直接結合している)で表され、相互に発光色の異なる複数種類の発光性シリコンポリマーを製造するための方法である。本発明に係る発光性シリコンポリマーの第2の製造方法は、下記組成式(1)で表される組成物を、相互に異なる温度で熱分解することによって、相互に発光色の異なる発光性シリコンポリマーを得ることを特徴とする。ここで、組成式(1)で表される組成物の分子量(詳細には、ポリスチレン換算の分子量)は1000以上であることが好ましい。
【0015】
【化1】

【0016】
(ここで、Rは、炭素数が1以上20以下の直鎖飽和炭化水素基、炭素数が1以上20以下の分岐鎖飽和炭化水素基、水酸基、又はアラルキル基を表し、nは10以上の自然数である)
本発明に係る発光性シリコンポリマーの第1及び第2の製造方法において、組成式Sixyz及び組成式(1)におけるRは、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基等の直鎖アルキル基、i−プロピル基、i−ブチル基、i−ヘキシル基、sec−ブチル基、2−エチルヘキシル基等の分岐鎖アルキル基、ベンジル基、β−フェネチル基、γ−フェニルプロピル基、又はδ−フェニルブチル基等のフェニルアルキル基等であることが好ましい。
【0017】
本発明に係る発光素子の製造方法は、実質的に組成式Sixyz(ここで、Rは、炭素数が1以上20以下の直鎖飽和炭化水素基、炭素数が1以上20以下の分岐鎖飽和炭化水素基、水酸基、又はアラルキル基を表し、x≧y+z、0.0001≦y、0.0001≦zであり、各H及びRは、それぞれ異なるSiに直接結合している)で表される発光性シリコンポリマーからなる発光層と、発光層を狭持する一対の電極とを備えた発光素子を製造するための方法である。
【0018】
本発明に係る発光素子の製造方法は、一対の電極の一方が形成された基板上に、実質的に下記組成式(1)で表される組成物からなる層を形成する層形成工程と、層形成工程において形成された層を加熱して化学式(1)で表される組成物を熱分解させることにより発光層を形成する工程とを備えている。
【0019】
層形成工程は、化学式(1)を溶媒に溶解させてなるインクを塗布し、その後乾燥させることにより行うものであることが好ましい。
【0020】
【化1】

【0021】
(ここで、Rは、炭素数が1以上20以下の直鎖飽和炭化水素基、炭素数が1以上20以下の分岐鎖飽和炭化水素基、水酸基、又はアラルキル基を表し、nは10以上の自然数である)
本発明に係る発光素子の製造方法において、組成式Sixyz及び組成式(1)におけるRは、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基等の直鎖アルキル基、i−プロピル基、i−ブチル基、i−ヘキシル基、sec−ブチル基、2−エチルヘキシル基等の分岐鎖アルキル基、ベンジル基、β−フェネチル基、γ−フェニルプロピル基、又はδ−フェニルブチル基等のフェニルアルキル基等であることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、容易且つ安価に製造可能で、発光色の制御が容易な発光性シリコンポリマーを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
(実施形態1)
本実施形態1では、組成式Sixyz(ここで、Rは、炭素数が1以上20以下の直鎖飽和炭化水素基、炭素数が1以上20以下の分岐鎖飽和炭化水素基、水酸基、又はアラルキル基を表し、x≧y+z、0.0001≦y、0.0001≦zであり、各H及びRは、それぞれ異なるSiに直接結合している。以下、この組成式を「組成式A」とすることがある。)で表される発光性シリコンポリマー(以下、「発光性シリコンポリマー1」とする。)、及びその製造方法について説明する。
【0025】
発光性シリコンポリマー1は、以下に示すような製造方法により、比較的容易に且つ低コストに製造することができる。また、大型装置を要さず、環境に悪影響を及ぼすシランガスを用いずに製造可能である。すなわち、発光性シリコンポリマー1は、環境に優しい製造方法により製造することができる。
【0026】
上述の通り、発光性シリコンポリマー1は、置換基Rを備えているため、置換基Rを変化させることにより発光色を種々に変化させることができる。また、x及びyの値も製造工程において容易に制御することができ、x及び/又はyの値を変化させることによっても発光色を種々に変化させることもできる。すなわち、本実施形態1に係る発光性シリコンポリマー1は、比較的容易にその発光色を変化させることができるものである。
【0027】
尚、発光性シリコンポリマー1を組成式Sixyz表すにおいて、Rは、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基等の直鎖アルキル基、i−プロピル基、i−ブチル基、i−ヘキシル基、sec−ブチル基、2−エチルヘキシル基等の分岐鎖アルキル基、ベンジル基、β−フェネチル基、γ−フェニルプロピル基、又はδ−フェニルブチル基等のフェニルアルキル基等であることが好ましい。
【0028】
次に、発光性シリコンポリマー1の製造方法について詳細に説明する。
【0029】
発光性シリコンポリマー1は、下記組成式(1)で表されるシリコンポリマー(以下、「シリコンポリマー2」とする)を用いて、下記化学式(2)に基づいて製造される。尚、ここで用いられるシリコンポリマー2の分子量(詳細には、ポリスチレン換算の分子量)は特に限定されるものではないが、例えば、1000以上であることが好ましい。
【0030】
【化1】

【0031】
(ここで、Rは、炭素数が1以上20以下の直鎖飽和炭化水素基、炭素数が1以上20以下の分岐鎖飽和炭化水素基、水酸基、又はアラルキル基を表し、nは10以上の自然数である。Rは、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基等の直鎖アルキル基、i−プロピル基、i−ブチル基、i−ヘキシル基、sec−ブチル基、2−エチルヘキシル基等の分岐鎖アルキル基、ベンジル基、β−フェネチル基、γ−フェニルプロピル基、又はδ−フェニルブチル基等のフェニルアルキル基等であることが好ましい。)
【0032】
【化2】

【0033】
化学式(2)に示すとおり、本実施形態1に係る発光性シリコンポリマー1は、シリコンポリマー2を熱分解することにより得られる。具体的には、シリコンポリマー2を加熱して、シリコンポリマー2においてシリコン(Si)に結合している置換基Rの一部を脱離させて水素原子に置換することにより発光性シリコンポリマー1は得られる。尚、置換基Rが脱離した部分すべてが水素原子に置き換わる必要は必ずしもなく、脱離した置換基Rに結合していたSiの結合手のうちの一部は他のSiと結合してもよい。すなわち、組成式A中の、x、y、zで表される式(x−z)/xが置換基Rが脱離した割合を示し、y/xが置換基Rが水素原子に置き換わった割合を示す。そして、(x−z−y)/xが置換基Rが脱離してシリコンネットワークを形成する結合手となった割合を示す。
【0034】
シリコンポリマー2の熱分解反応を行う際の雰囲気温度(以下、「熱分解反応温度」ともいう。)は、置換基Rの種類やnの値等によって適宜調節することができるものであるが、一般的に、摂氏100度以上摂氏1000度以下であることが好ましい。シリコンポリマー2の熱分解反応を行う際の雰囲気圧力も同様に、置換基Rの種類やnの値等によって適宜調節することができるものであるが、一般的に、1.33×10-9bar(10-6mmHg)以上1.01bar(1atm)以下であることが好ましい。また、熱分解反応を行う際の雰囲気は、酸素を含むものであってもよいが、酸素を含まないものであることが特に好ましい。酸素非存在雰囲気において熱分解反応を行うことにより、発光性シリコンポリマー1の収率を向上することができる。
【0035】
このシリコンポリマー2の熱分解反応において、熱分解反応を行う雰囲気の温度を変化させることにより得られる発光性シリコンポリマー1の発光色を制御することができる。具体的には、反応雰囲気の温度を高くすることにより得られる発光性シリコンポリマー1の発光色が長波長化する。逆に、反応雰囲気の温度を低くすることにより得られる発光性シリコンポリマー1の発光色を短波長化することができる。
【0036】
このように、この熱分解反応という製造方法によれば、従来のスパッタ法等と比較して非常に容易且つ安価に行える製造方法によって、発光性シリコンポリマー1を得ることができる。また、反応雰囲気の温度を変化させることにより、容易に得られる発光性シリコンポリマー1の発光色を制御変更することができる。この製造方法によれば、例えば、(中心)発光波長が380nmといった近紫外光を発光する発光性シリコンポリマー1から(中心)発光波長が1000nmといった赤外光を発光する発光性シリコンポリマー1まで、種々の発光色の発光性シリコンポリマー1を容易に製造することができる。
【0037】
また、熱分解反応の雰囲気温度と得られる発光波長とは非常によい相関関係にあるため、ひとたび、熱分解反応の雰囲気温度と得られる発光波長との相関関係を見出した後は、たとえまだ製造したことないような発光色の発光性シリコンポリマー1であっても、その相関関係より容易に製造条件を確定することが可能である。
【0038】
一般的に、熱分解反応の生成物として得られる発光性シリコンポリマー1は溶媒に対する溶解度が比較的低いものの、前駆体たるシリコンポリマー2は、溶媒(例えば、メチルシクロヘキサンやトルエン等といった有機溶媒など)に対して高い溶解度を示す。このため、まず、シリコンポリマー2を上述のような溶媒にとかし、インク状とした後、そのインクを塗布等することによって薄膜化し、その後に熱分解反応を行うことにより薄膜状の発光性シリコンポリマー1を形成することも可能となる。このように、前駆体たるシリコンポリマー2が溶媒に対して比較的高い溶解度を有するものであるため、種々の形状、形態の発光性シリコンポリマー1を比較的容易に製造することができる。
【0039】
尚、本実施形態1において、シリコンポリマー2の製造方法は、特に限定されるものではないが、シリコンポリマー2は、例えば、下記化学式(3)のようなWurtz型の縮合重合反応を用いて製造することができる。
【0040】
【化3】

【0041】
(ここで、Rは、炭素数が1以上20以下の直鎖飽和炭化水素基、炭素数が1以上20以下の分岐鎖飽和炭化水素基、水酸基、又はアラルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。Rは、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基等の直鎖アルキル基、i−プロピル基、i−ブチル基、i−ヘキシル基、sec−ブチル基、2−エチルヘキシル基等の分岐鎖アルキル基、ベンジル基、β−フェネチル基、γ−フェニルプロピル基、又はδ−フェニルブチル基等のフェニルアルキル基等であることが好ましい。)
上記化学式(3)で表される縮合重合反応に用いる触媒としては、例えば、クラウンエーテル等が挙げられる。また、縮合重合反応に用いる溶媒としては、例えば、メチルシクロヘキサンやトルエン等が挙げられる。
【0042】
(実施形態2)
本実施形態2では、上記実施形態1で説明した発光性シリコンポリマー1を用いた発光素子(例えば、エレクトロルミネッセンス発光素子)10について、図1を参照しながら詳細に説明する。
【0043】
図1は本実施形態2に係る発光素子10の断面図である。
【0044】
発光素子10は、基板11と、陽極12と、発光層13と、陰極14とを備えている。陽極12は基板11の上に設けられている。陽極12は発光層13に正孔(ホール)を注入する機能を有する。陽極12の上には発光層13が設けられており、さらにその発光層13の上に陰極14が設けられている。すなわち、発光層13は陽極12と陰極14とにより挟持されている。陰極14は発光層13に電子を注入する機能を有する。発光層13において、陽極12及び陰極14のそれぞれから注入された正孔及び電子が再結合することにより励起子が形成される。この励起子(又は、この励起子により遷移させられた物質)が基底状態へと失活する際にエレクトロルミネッセンス光が生じ、そのエレクトロルミネッセンス光が発光層13から取り出される仕組みとなっている。
【0045】
本実施形態2に係る発光素子10において、発光層13は、上記実施形態1で説明した発光性シリコンポリマー1から実質的になるものである。上述のように発光性シリコンポリマー1は、その製造に大型の装置を要さず、比較的容易に且つ低コストに製造することができる。また、環境に悪影響を及ぼすシランガスを用いずに製造可能である。さらに、発光性シリコンポリマー1は、比較的容易にその発光色を変化させることができるものである。従って、本実施形態2に係る発光素子10は、比較的容易且つ安価に製造可能で、且つ、その発光色を容易に変化させることが可能なものである。
【0046】
尚、本実施形態2では、発光層13が陽極12及び陰極14のそれぞれと直接接触した構成の発光素子10を例に挙げて説明したが、陽極12と発光層13との間に正孔注入層や正孔輸送層をさらに設けてもよい。また、陰極14と発光層13との間に電子注入層や電子輸送層をさらに設けてもよい。
【0047】
次に、発光素子10の製造方法について説明する。
【0048】
まず、ガラス等からなる基板11の上に陽極12を形成する。次に、陽極12が形成された基板11の上に発光層13を形成する。最後に、発光層13の上に、陰極14を形成する。発光層13の形成は、具体的には、以下の工程により行うことができる。
【0049】
上記組成式(1)で表されるシリコンポリマー2をメチルシクロヘキサンやトルエン等の溶媒に溶解させてインクを調製する。そのインクを基板11上に塗布し、その後乾燥させることにより、実質的にシリコンポリマー2からなるシリコン膜を形成する。次に、シリコン膜を加熱して、シリコン膜に含まれるシリコンポリマー2を熱分解させる。この熱分解反応を行うことによって、実質的に発光性シリコンポリマー1からなる発光層13を形成することができる。上述のように発光性シリコンポリマー1は溶媒に対する溶解性が比較的低いため、一旦、発光性シリコンポリマー1を合成した後に薄膜状に加工することは困難である。それに対して、シリコンポリマー2は比較的メチルシクロヘキサンやトルエン等の有機溶媒に対する溶解度が高い。このため、シリコンポリマー2の段階で成膜し、その後熱処理することにより、比較的容易に、実質的に発光性シリコンポリマー1からなる発光層13を形成することができる。
【実施例】
【0050】
実施例として、種々のSixy(i−Bu)z(x≧y+z、0.0001≦y、0.0001≦zであり、各H及びRは、それぞれ異なるSiに直接結合している)で表される発光性シリコンポリマー及び、種々のSixy(n−Bu)z(x≧y+z、0.0001≦y、0.0001≦zであり、各H及びRは、それぞれ異なるSiに直接結合している)で表される種々の発光性シリコンポリマーを合成した。
【0051】
まず、下記化学式(4)に示す縮合重合反応を用いてシリコンポリマー2を合成した。
【0052】
【化4】

【0053】
具体的には、内部を窒素雰囲気に置換したフラスコ中にメチルシクロヘキサン(10ml)、12ークラウン−4−エーテル(0.092g:0.52mmol)、及び金属ナトリウム(2.4g:104mmol)を入れて、120℃に加熱しながら攪拌した。攪拌はナトリウムの表面に金属光沢が観察されるまで続けた。ナトリウムの表面に金属光沢が観察された後、メチルシクロヘキサン(10ml)に溶解させたi−ブチルトリクロロシラン(5.0g:26mmol)をゆっくりと滴下した。滴下が完了した際、金属ナトリウムは紫色に、反応溶液は黄橙色に視認された。滴下完了後、さらに1時間、120℃にて加熱攪拌を続けた。その後、反応液を常温まで徐冷した。
【0054】
反応液がほぼ室温になったことを確認した後、窒素を充填したグローブボックス中において、反応溶液をメンブレンフィルター(0.5μm)を用いて濾過することによって、金属ナトリウムを除去し、i−ブチルシリコンポリマー2の溶液を得た。
【0055】
得られたi−ブチルシリコンポリマー2の溶液を適量サンプル管に入れ、溶媒乾燥後、窒素雰囲気中において減圧した状態で封管した。以上の要領で、i−ブチルシリコンポリマーが減圧封入されたサンプル管を用意した。
【0056】
上記要領と同様の要領でn−ブチルシリコンポリマーが減圧封入されたサンプル管を用意した。
【0057】
次に、i−ブチルシリコンポリマー、n−ブチルシリコンポリマーそれぞれの熱重量(TG)分析を行った。尚、熱重量分析は、ブチルシリコンポリマー10mgを白金容器に入れ、窒素雰囲気中にて、エスエスアイ・ナノテクノロジー社製EXSTAR6200を用いて行った。測定条件は、設定温度:20−900℃、昇温速度:20℃/min、保持時間:180分とした。
【0058】
その結果を、図2〜図4に示す。
【0059】
図2は、i−ブチルシリコンポリマー、n−ブチルシリコンポリマーそれぞれの熱重量(TG)分析結果を表すグラフである。
【0060】
i−ブチルシリコンポリマーの熱分解温度は、218℃〜388℃であった。一方、n−ブチルシリコンポリマーの熱分解温度は、278℃〜445℃であった。
【0061】
i−ブチルシリコンポリマーの重量減少率は、56.9%であった。一方、n−ブチルシリコンポリマーの重量減少率は、43.3%であった。この結果より、i−ブチルシリコンポリマーの方が低温で置換基の脱離がおこることがわかった。
【0062】
図3は、i−ブチルシリコンポリマーの熱重量(TG)と反応温度との相関を表すグラフである。
【0063】
図4は、n−ブチルシリコンポリマーの熱重量(TG)と反応温度との相関を表すグラフである。
【0064】
図3及び図4に示す結果より、共に、反応温度が上昇すると共に重量減少率が大きくなることがわかった。すなわち、反応温度を上げることによって、置換基の脱離を促進させることができることがわかった。
【0065】
次に、ブチルシリコンポリマーが減圧封入されたサンプル管を、下記式(5)の如く、種々の温度条件下において熱分解して発光性i−ブチルシリコンポリマー〔Sixy(i−Bu)z〕及び発光性n−ブチルシリコンポリマー〔Sixy(n−Bu)z〕を合成した。
【0066】
【化5】

【0067】
次に、各温度条件下において熱分解させて得られた発光性ブチルシリコンポリマーの蛍光スペクトルを測定した。測定には、JASCO FP−6600を用いて、77ケルビンの温度条件下において測定した。
【0068】
図5は、発光性ブチルシリコンポリマーの蛍光スペクトルの測定結果を表すグラフである。
【0069】
図5中、250℃〜450℃のデータは発光性n−ブチルシリコンポリマー〔Sixy(n−Bu)z〕のデータであり、500℃のデータが発光性i−ブチルシリコンポリマー〔Sixy(i−Bu)z〕のデータである。また、図5には、熱分解反応前のn−ブチルシリコンポリマーの蛍光スペクトルを併記している。
【0070】
図5に示すように、熱分解反応温度を変化させることにより得られる発光性ブチルシリコンポリマーの発光波長を変化させることができることがわかった。具体的には、熱分解反応温度を高くすることにより、比較的発光波長が長い発光性ブチルシリコンポリマーを得ることができることがわかった。逆に、熱分解反応温度を低くすることにより、比較的発光波長が短い発光性ブチルシリコンポリマーを得ることができることがわかった。
【0071】
以上、図2〜図5に示す結果より、熱分解反応温度を変化させることにより、置換基Rの脱離率を変化させることができ、その結果、種々の発光色の発光性ブチルシリコンポリマーを合成できることがわかった。
【0072】
図5に示すように、熱分解反応前のn−ブチルシリコンポリマーも蛍光を発するものである。しかしながら、n−ブチルシリコンポリマーのような、上記組成式(1)で表されるようなシリコンポリマーの場合は、得られる蛍光の波長は、置換基Rの種類を変化させることによってのみ変化させることができる。従って、発光色が相互に異なる複数種類のシリコンポリマーを製造しようとすると、複数種類の組成式(1)によって表されるシリコンポリマーを合成しなければならず、非常に手間とコストがかかる。また、置換基Rを変化させた場合に得られる蛍光の波長は、その合成前には予見することが困難である。すなわち、実際の合成をする前段階において、所望の波長の蛍光を発するシリコンポリマーの組成を確定することは困難である。
【0073】
それに引き替え、本実施例で合成した発光性i−ブチルシリコンポリマー〔Sixy(i−Bu)z〕や発光性n−ブチルシリコンポリマー〔Sixy(n−Bu)z〕といった、置換基Rの一部が水素原子に置換されたシリコンポリマーの場合は、ひとたび前駆体たる組成式(1)で表されるシリコンポリマーを1種類合成した後は、熱分解反応の条件を操作することによって容易に相互に発光色の異なる複数種類のシリコンポリマーを合成することができる。また、熱分解反応の条件(温度条件)と得られる蛍光の波長とは、非常に高い相関関係を示すため、相関関係を基に、熱分解反応条件を容易に確定することができる。
【0074】
このように、本実施例で合成したような組成式Sixyzで表されるシリコンポリマーは、組成式(1)で表されるシリコンポリマーと置換基Rに結合したSiが存在する点で共通するものの、上述のように、高い設計容易性及び合成容易性を有するものであり、組成式(1)で表されるシリコンポリマーとは、分子設計上の観点から、技術的思想を全く異にするものである。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上説明したように、本発明に係る発光性シリコンポリマーは、容易且つ安価に製造可能で、発光色の制御が容易であるため、携帯電話、PDA、テレビ、電子ブック、モニター、電子ポスター、時計、電子棚札、非常案内等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施形態2に係る発光素子10の断面図である。
【図2】i−ブチルシリコンポリマー、n−ブチルシリコンポリマーそれぞれの熱重量(TG)分析結果を表すグラフである。
【図3】i−ブチルシリコンポリマーの熱重量(TG)と反応温度との相関を表すグラフである。
【図4】n−ブチルシリコンポリマーの熱重量(TG)と反応温度との相関を表すグラフである。
【図5】発光性ブチルシリコンポリマーの蛍光スペクトルの測定結果を表すグラフである。
【符号の説明】
【0077】
10 発光素子
11 基板
12 陽極
13 発光層
14 陰極


【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成式Sixyz(ここで、Rは、炭素数が1以上20以下の直鎖飽和炭化水素基、炭素数が1以上20以下の分岐鎖飽和炭化水素基、水酸基、又はアラルキル基を表し、x≧y+z、0.0001≦y、0.0001≦zであり、各H及びRは、それぞれ異なるSiに直接結合している)で表される発光性シリコンポリマー。
【請求項2】
請求項1に記載された発光性シリコンポリマーにおいて、
上記Rは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、i−プロピル基、i−ブチル基、i−ヘキシル基、sec−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ベンジル基、β−フェネチル基、γ−フェニルプロピル基、又はδ−フェニルブチル基である発光性シリコンポリマー。
【請求項3】
請求項1に記載された発光性シリコンポリマーにおいて、
下記組成式(1)で表される組成物を熱分解してなる発光性シリコンポリマー。
【化1】

(ここで、Rは、炭素数が1以上20以下の直鎖飽和炭化水素基、炭素数が1以上20以下の分岐鎖飽和炭化水素基、水酸基、又はアラルキル基を表し、nは10以上の自然数である)
【請求項4】
請求項3に記載された発光性シリコンポリマーにおいて、
上記組成式(1)で表される組成物は、その分子量が1000以上である発光性シリコンポリマー。
【請求項5】
請求項1に記載された発光性シリコンポリマーにおいて、
発光中心波長が380nm以上1000nm以下であるエレクトロルミネッセンス光を生ずる発光性シリコンポリマー。
【請求項6】
組成式Sixyz(ここで、Rは、炭素数が1以上20以下の直鎖飽和炭化水素基、炭素数が1以上20以下の分岐鎖飽和炭化水素基、水酸基、又はアラルキル基を表し、x≧y+z、0.0001≦y、0.0001≦zであり、各H及びRは、それぞれ異なるSiに直接結合している)で表される発光性シリコンポリマーにより実質的に形成された発光層と、
上記発光層に正孔を注入する陽極と、
上記発光層に電子を注入する陰極と、
を備えた発光素子。
【請求項7】
組成式Sixyz(ここで、Rは、炭素数が1以上20以下の直鎖飽和炭化水素基、炭素数が1以上20以下の分岐鎖飽和炭化水素基、水酸基、又はアラルキル基を表し、x≧y+z、0.0001≦y、0.0001≦zであり、各H及びRは、それぞれ異なるSiに直接結合している)で表される発光性シリコンポリマーを製造するための方法であって、
下記組成式(1)で表される組成物を熱分解することにより上記発光性シリコンポリマーを得ることを特徴とする発光性シリコンポリマーの製造方法。
【化1】

(ここで、Rは、炭素数が1以上20以下の直鎖飽和炭化水素基、炭素数が1以上20以下の分岐鎖飽和炭化水素基、水酸基、又はアラルキル基を表し、nは10以上の自然数である)
【請求項8】
組成式Sixyz(ここで、Rは、炭素数が1以上20以下の直鎖飽和炭化水素基、炭素数が1以上20以下の分岐鎖飽和炭化水素基、水酸基、又はアラルキル基を表し、x≧y+z、0.0001≦y、0.0001≦zであり、各H及びRは、それぞれ異なるSiに直接結合している)で表され、相互に発光色の異なる複数種類の発光性シリコンポリマーを製造するための方法であって、
下記組成式(1)で表される組成物を、相互に異なる温度で熱分解することによって、相互に発光色の異なる発光性シリコンポリマーを得ることを特徴とする発光性シリコンポリマーの製造方法。
【化1】

(ここで、Rは、炭素数が1以上20以下の直鎖飽和炭化水素基、炭素数が1以上20以下の分岐鎖飽和炭化水素基、水酸基、又はアラルキル基を表し、nは10以上の自然数である)
【請求項9】
請求項7又は8に記載された発光性シリコンポリマーの製造方法において、
上記Rは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、i−プロピル基、i−ブチル基、i−ヘキシル基、sec−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ベンジル基、β−フェネチル基、γ−フェニルプロピル基、又はδ−フェニルブチル基である発光性シリコンポリマー。
【請求項10】
請求項7又は8に記載された発光性シリコンポリマーの製造方法において、
上記組成式(1)で表される組成物は、その分子量が1000以上である発光性シリコンポリマーの製造方法。
【請求項11】
実質的に組成式Sixyz(ここで、Rは、炭素数が1以上20以下の直鎖飽和炭化水素基、炭素数が1以上20以下の分岐鎖飽和炭化水素基、水酸基、又はアラルキル基を表し、x≧y+z、0.0001≦y、0.0001≦zであり、各H及びRは、それぞれ異なるSiに直接結合している)で表される発光性シリコンポリマーからなる発光層と、該発光層を狭持する一対の電極とを備えた発光素子を製造する方法であって、
上記一対の電極の一方が形成された基板上に、実質的に下記組成式(1)で表される組成物からなる層を形成する層形成工程と、
上記層形成工程において形成された層を加熱して上記化学式(1)で表される組成物を熱分解させることにより上記発光層を形成する工程と、
を備えた発光素子の製造方法。
【化1】

(ここで、Rは、炭素数が1以上20以下の直鎖飽和炭化水素基、炭素数が1以上20以下の分岐鎖飽和炭化水素基、水酸基、又はアラルキル基を表し、nは10以上の自然数である)
【請求項12】
請求項11に記載された発光素子の製造方法において、
上記層形成工程は、上記化学式(1)を溶媒に溶解させてなるインクを塗布し、その後乾燥させることにより行うことを特徴とする発光素子の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−217610(P2007−217610A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−41513(P2006−41513)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(504242870)
【Fターム(参考)】