説明

発光演出装置

【課題】光による自由度の高い演出を演出者の動作に確実に連動させて実行できる発光演出装置を提案し、利用者の満足度を向上させる。
【解決手段】位置を異ならせて配置された複数の発光体と、前記各発光体の発光を制御する制御部と、注がれる媒体を収容する媒体収容部2と、該媒体を検知する媒体検知部13とを備えた発光演出装置1であり、前記媒体検知部13は、注がれた前記媒体の量に応じて出力を異ならせる構成であり、前記制御部は、前記媒体検知部13が媒体を検知しない初期状態で前記発光体を消灯させておき、前記媒体検知部13が媒体を検知すると前記発光体の一部の発光を始め、前記媒体検知部13が検知する媒体の量に応じて発光させる前記発光体の数を増加させる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば結婚披露宴などのパーティーで光の演出を行うような発光演出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、結婚披露宴で行われる演出として、キャンドルサービスが行われている。近年では、キャンドルサービス以外にも様々な演出が行われており、発光液を用いた光の演出も行われている。この光の演出を行う用具としては、例えばグラスタワー用具が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1のグラスタワー用具は、シャンパンタワーを容易に実施するためのものである。これにより、グラス溢流が順次下段グラスに流下するグラスタワー使用のアトラクションを容易に実現できるとされている。
【0004】
このような発光液を用いた演出は、新郎新婦等の演出者が発光液を注ぐ動作に連動した演出ができるため、結婚披露宴の演出に適するものである。
【0005】
しかし、光の色や強度が発光液に依存するため、発光液の特性を超える光の演出はできないという課題があった。
【0006】
一方、光の演出を行うものとして、発光ダイオード内蔵テーブルが提案されている(特許文献2参照)。この発光ダイオード内蔵テーブルは、発光ダイオードを利用するものであるため、発光液に比べて光の演出に対する自由度が高いものと考えられる。
【0007】
しかし、ワイヤレスによる遠隔制御を行うものであるため、新郎新婦等の演出者の動作に連動するものではないという課題、およびワイヤレスによる遠隔制御のタイミングや操作に誤りがあると状況にそぐわない演出になるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−342436号公報
【特許文献2】特開2007−209648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、上述した問題点に鑑み、光による自由度の高い演出を演出者の動作に確実に連動させて実行できる発光演出装置を提案し、利用者の満足度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、位置を異ならせて配置された複数の発光体と、前記各発光体の発光を制御する制御部と、注がれる媒体を収容する媒体収容部と、該媒体を検知する媒体検知部とを備え、前記媒体検知部は、注がれた前記媒体の量に応じて出力を異ならせる構成であり、前記制御部は、前記媒体検知部が媒体を検知しない初期状態で前記発光体を消灯させておき、前記媒体検知部が媒体を検知すると前記発光体の一部の発光を始め、前記媒体検知部が検知する媒体の量に応じて発光させる前記発光体の数を増加させる構成である発光演出装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明により、光による自由度の高い演出を演出者の動作に確実に連動させて実行でき、利用者の満足度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】発光演出装置の外観を示す斜視図。
【図2】発光演出装置の一部拡大縦断面図。
【図3】電気系統部の構成を示すブロック図。
【図4】発光制御設定データのデータ構成図。
【図5】発光演出装置の制御部の動作を示すフローチャート。
【図6】他の外観形状を説明する説明図。
【図7】実施例2の発光演出装置の上部と注ぎ口カバーを示す縦断拡大正面図。
【図8】実施例3の発光演出装置の電気系統部の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、発光演出装置1の外観を示す斜視図であり、図2は発光演出装置1の一部拡大縦断面図を示す。
発光演出装置1は、図1に示すように媒体収容部2と、土台7と、電気系統部10とで主に構成されている。
【0015】
媒体収容部2は、プラスチック、アクリル、あるいはガラス等の透明素材または半透明素材により形成されている。この媒体収容部2は、上面が開放され底部5が設けられている円筒形の外筒3と、前記底部5の上面中心に基部が設けられた円筒形で上面密閉された内筒4とで構成されている。媒体収容部2の外筒3の下部には、底部5より下方へ突出する取付足部2aが設けられている
外筒3の底部5には、穴6が設けられている。内筒4は、内部中空で底面が開放されている。この内筒4の中空部に、電気系統部10のLED配設基盤25が底面から上端付近に渡って配置されている。この構成により、外筒3の内側に媒体としての水Wが注ぎ込まれると、発光体としてのLED29の前方を含む水平方向全周囲が水Wで覆われる。
【0016】
内筒4の上端は、外筒3の上端より低く構成されている。これにより、外筒3の開口3a内にジョーロJ(図2参照)で水W(図2参照)を注いだ際に、水Wが内筒4の上面にかかって跳ねこぼれたりすることを防止している。また、内筒4の上端が外筒3の上端より低いことにより、外筒3と内筒4の隙間を狙って注ぐようなことをせずとも、外筒3内に容易に水Wを注げるようにしている。
【0017】
土台7は、3つの立方体を積み重ねた形状に形成されており、上面に媒体収容部2の取付足部2aを取り付ける取付穴8が設けられている。この取付穴8は平面視円形で所定高さに形成され、その内周面が、円筒形の取付足部2aの外周面に当接するよう構成されている。これにより、取付穴8に取り付けた媒体収容部2がぐらつくことなく鉛直に安定して固定されるようにしている。
【0018】
取付穴8の底部には、図2に示すように接続部9が設けられている。この接続部9は、上面がコネクタであり、下方が電源に接続されている。
【0019】
電気系統部10は、媒体収容部2の内筒4の内側から底部5の下方に渡って配置され、主基盤10aにLED配設基盤25、媒体検知部13、接続部14等が設けられている。LED配設基盤25は、フレキシブル基盤を折り曲げて縦長の略四角柱形状に形成されており、前後左右の各面に上下方向へ13個のLED29を整列配置させている。この複数のLED29は、最下段の1段目から最上段の13段目まで、全ての面で同じ高さに配置されており、各段が横並びに位置するよう構成されている。なお、この実施例では4面で各面13段にLEDを配置しているが、三角柱形状として3面とする、各面を10段とするなど、適宜の面数および段数に構成することができる。
【0020】
媒体検知部13は、水圧を検知する水圧センサで構成されており、媒体収容部2の底部5に設けられた穴6の下方位置に対応して配置されている。これにより、媒体収容部2に水が注がれると、注がれた量に応じて上昇する水圧を随時検出し、水位及び水圧に応じた出力信号を出力できるようにしている。また、穴6に対して媒体検知部13が密着されており、水が漏れ出ないように構成されている。
【0021】
また、媒体検知部13は、最下段のLED29の上端よりも距離Lだけ下方に配置されている。これにより、媒体収容部2内に注がれた水Wが媒体検知部13に接触してから最下段のLED29を隠す高さに到達するまで一定量の水Wが必要となり、この一定量の水Wの水圧によって最下段のLED29を発光させる設定にできる。こうすることで、水Wを注いだ瞬間に誤発光するようなことを防止でき、安定した演出を実現できる。
【0022】
図3(A)は電気系統部10の構成を示すブロック図であり、図3(B)はLED配設基盤25に設けられたLED29の構成を示すブロック図である。
図3(A)に示すように、電気系統部10は、制御部11、操作入力部12、媒体検知部13、接続部14、及び発光部15により構成されている。
【0023】
制御部11は、入力手段としての操作入力部12および媒体検知部13の入力を受け付け、内蔵する記憶部に記憶されているデータやプログラムに基づいて、発光部15の発光制御を実行する。
【0024】
操作入力部12は、押しボタンスイッチ12a(図1参照)で構成されており、押下されると押下信号を制御部11に伝達する。なお、押しボタンスイッチに限らず、タッチパネルとするなど適宜の操作入力手段とすることができる。また、図1に図示するように土台7に押しボタンスイッチ12aを設けた場合、操作入力部12は、接続部9,14を介して押しボタンスイッチ12aのON/OFF信号を受信するON/OFF信号受信部とすることもできる。
【0025】
媒体検知部13は、水圧を検知する水圧センサで構成され、検知した水圧に応じた出力信号を制御部11に伝達する。なお、水を使うために水圧センサとしたが、これに限らず圧力センサとするなど、適宜の構成とすることができる。
【0026】
接続部14は、図2に示した発光演出装置1の土台7に設けられた接続部9に接続されるコネクタであり、接続部9から供給される電力を制御部11を含む各素子に供給する。この接続部14は、取付足部2aを取付穴8にしっかり挿入して取り付けると、接続部9にしっかりと接続されて通電する位置に設けられている。これにより、ワンタッチでの着脱を可能にしている。
【0027】
発光部15は、複数のLED29と該LED29を配置したLED配設基盤25により構成されている。この発光部15は、制御部11の制御信号に従って、指定された発光色および発光強度での各LED29の発光と消灯を実行する。
【0028】
図3(B)に示すように、LED配設基盤25上のLED29は、A列、B列、C列、D列の4列で、1〜13の13段に配置されている。LED配設基盤25上の各段で4列が直列接続され、各段が個別接続されているため、1段から13段の段単位で発光制御できる構成となっている。すなわち、同じ段の4つのLED29は同期して同時に発光制御され、それぞれの段単位で独立して個別に発光制御される。
【0029】
図4は、制御部11内の記憶部に記憶されている発光制御設定データ31のデータ構成図を示す。
発光制御設定データ31は、水位、水圧、出力電圧、及び発光LEDの4項目で構成されており、No.1からNo.13までの13レコードに各データが記憶されている。水位はw1〜w13まで、水圧はwp1〜wp13まで、出力電圧はv1〜v13まで、および発光LEDは1段目〜13段目まで、それぞれデータが記憶されている。
【0030】
記憶されているデータについて詳述すると、図2に示した複数のLED29のうち下から1段目のLED29が水Wで隠れる高さの水位がw1に記憶されており、このときの水圧がwp1に記憶されており、このときの媒体検知部13の出力電圧がv1に記憶されている。同様にして、各段のLED29が水Wで隠れる高さの水位、水圧、出力電圧が各段に対応して記憶されている。
なお、出力電圧vがわかればどの段のLED29を発光すれば良いかわかるため、発光制御設定データ31は、水位や水圧を記憶しない構成としてもよい。
【0031】
図5は、発光演出装置1の制御部11が制御プログラムに従って実行する動作を示すフローチャートである。
制御部11は、操作入力部12の押下入力がされたか否かによりテストモードか否か判断し(ステップS1)、テストモードでなければ(ステップS1:No)ステップS4へ処理を進める。
【0032】
操作入力部12が押下されてテストモードとなると(ステップS1:YES)、制御部11は、全てのLED29を発光させるテスト発光を実行する(ステップS2)。このテスト発光を行う制御部11は、全てのLED29を同時に同じ色で発光させ、全ての色で発光させてこの発光を繰り返す。なお、テスト発光の発光パターンは、全ての色の発光が終わると一旦消灯して同じ発光を繰り返す、あるいは消灯することなく繰り返すなど、あらかじめ定めた適宜のパターンとすることができる。
【0033】
テスト発光が終了するまでステップS2を繰り返し(ステップS3:NO)、操作入力部12の再押下がされてテスト終了と判断すると(ステップS3:YES)、制御部11は、変数iに1を格納して初期化するとともに定数MAXに13を格納して、ステップS5〜S9の順次発光モードの準備を行う(ステップS4)。なお、定数MAXとする数値は、LED29の段数と同一、すなわちLED29を高さ方向に配置した数と同一に設定されている。
【0034】
制御部11は、媒体検知部13の出力電圧を取得し(ステップS5)、この出力電圧が発光制御設定データ31に記憶されているNo(i)の出力電圧v(i)以上か否か比較する。これにより、i段目を発光させるべき高さ、すなわち注がれた水でi段目のLED29が覆われる高さにまで水Wが注がれているか否かを判定する。
【0035】
出力電圧がv(i)未満であれば、制御部11はステップS5へ処理を戻して出力電圧の確認を繰り返し(ステップS6:NO)、出力電圧がv(i)以上であれば発光制御設定データ31に記憶されているNo(i)のLED29、すなわち下からi段目のLED29を発光させる(ステップS7)。このとき、i段目におけるA列からD列までの全てのLED29を発光させる。また、発光させたi段目のLED29は、ステップS10に進むまでそのまま発光を継続する。
【0036】
なお、1段目のLED29が発光した後、制御部11は、仮に操作入力部12が押下されてもLED29を消灯したりテスト発光をさせたりしない。従って、水が注ぎこまれて1段目のLED29の発光が開始された後は、終了するまでテスト発光を実施しない本番モードとなる。これにより、演出中に誤って操作入力部12が押下されても演出が崩れることを防止している。
【0037】
制御部11は、変数iの数値に1加算し(ステップS8)、変数iがMAX以下であれば(ステップS9:NO)、ステップS5に処理を戻して繰り返す。このステップS5からS9の繰り返しにより、媒体収容部2に水が注ぎこまれる量に応じて、1段目から順番にLED29が発光し始め、最上段である13段目まで下から上へLED29が順番にLED29が発光していく。従って、新郎新婦等の演出者がジョーロJで水を注いでいくと、注いだ水がLED29の発光によって光っているような演出となる。
【0038】
変数iがMAXより大きくなれば(ステップS9:YES)、最上段のLED29まで全て発光した状態であるから、制御部11は、全発光演出モードに以降して全てのLED29を用いた発光演出を実行する(ステップS10)。この発光演出は、緩やかに発光色を変化させる、発光強度を変化させるなど、様々な光の演出を行う。例えば、最下段のLED29から上段のLED29へ向かって発光色を変化させる、この逆の順で発光色を変化させる、全てのLED29の発光色を同時に順次変化させる、あるいはこれらを組み合わせるなど、適宜設定しておくとよい。
【0039】
制御部11は、終了条件に該当するまでステップS10を継続し、終了条件になると(ステップS11:YES)、全てのLED29を消灯し(ステップS12)、処理を終了する。終了条件は、例えば操作入力部12を二度押しする、操作入力部12を一定時間以上押下する、媒体検知部13からの出力電圧がv1(図4参照)未満などの所定電圧以下になるなど、適宜の条件とすることができる。
【0040】
以上の構成および動作により、光による自由度の高い演出を演出者の動作に確実に連動させて実行でき、利用者の満足度を向上させることができる。
LED29の発光は、媒体収容部2に注がれた水の量に応じた媒体検知部13の出力電圧に対応して順次行われるため、演出者による水を注ぐスピードが異なっていたり、途中で少し中断して再度注ぎ始めるようなことがあっても、その演出者の動作に確実に連動してLED29を発光させることができる。従って、演出者が途中でバランスを崩して水を注ぐ動作が中断されたような場合、水を注いでいないにもかかわらずLED29が順次発光していくようなことはなく、改めて水が注がれるまで発光するLED29が増加せずに現状維持することができる。そして、水が注がれるとそれに応じてまた残りのLED29が上段へ順次発光していく演出ができる。
【0041】
また、全てのLED29が発光した後は、全LED29を用いた発光演出を実行するため、変化があって美しい光の演出を行うことができる。
【0042】
また、操作入力部12が押下されるとテストモードとしてテスト発光を行うため、全てのLED29が問題なく発光しているか迅速に確認することができる。これにより、一生に一度の結婚披露宴で一部のLED29が発光しないというような不具合が生じないよう、確実な発光演出を提供して利用者の満足度を向上させることができる。
【0043】
また、媒体検知部13が水の量を検知できる水圧センサなど、媒体の量を検知できるセンサであるため、媒体を媒体収容部2に最下段のLED29の高さ以上に注いで最下段のLED29が発光するか否かによるセンサの点検を実施でき、点検後は媒体を媒体収容部2から取り出して演出待ちの状態とすることができる。
【0044】
また、終了条件を検知すると全LED29を消灯して終了するため、接続部9と接続部14の接続を外す前に発光終了させることができる。
【0045】
また、ステップS5〜S9における制御は、一端発光を開始したLED29について、仮に途中で水Wによる水圧(媒体による圧力)が下がっても消灯しない構成としているため、水Wの注ぎ方が不安定で水圧が変動するような場合でも、LED29が発光/消灯を繰り返すような不自然な動作をすることなく、安定した美しい演出を行うことができる。
【0046】
なお、媒体収容部2の内側には水Wを注ぐ構成としたが、これに限らず、他の液体とする、あるいは砂等の個体とするなど、注ぎ込むことができる適宜の媒体で構成とすることができる。水以外の液体とした場合には、その液体による圧力(水圧)に応じて発光制御設定データ31を設定すればよい。また、砂等の個体とした場合には、例えば媒体収容部2の底面に媒体検知部13としての圧力センサを備えて該圧力センサ上に媒体収容部2を載置する構成とし、媒体収容部2への個体の注ぎ込み量に応じて変化する重量を圧力センサで検知し、その検知に応じて発光制御設定データ31を設定すればよい。
【0047】
また、LED配設基盤25に対して全てのLED29を個別に接続し、個別に制御する構成としてもよい。この場合、段単位で発光色や発光強度や消灯を制御するだけでなく、列単位で発光色や発光強度や消灯を制御する、あるいは全てのLED29を総合して発光色や発光強度や消灯を制御するなど、さらに自由度の高い光の演出を実現できる。
【0048】
また、ステップS7ではLED29を発光させるだけとしたが、これに限らず、ステップS5〜S9の段階でもLED29の発光を変化させてもよい。この場合、どのLED29を発光開始するかのタイミングをステップS5〜S9の動作で制御し、発光開始したLED29の発光色や発光強度の制御は制御部11があらかじめ定められた内容に沿って実施すればよい。またこの場合、LED29の点灯開始がどのタイミングであっても、その発光開始の発光状態(発光色および発光強度)を制御部11が発光制御している内容に合わせて発光開始する構成にするとよい。これにより、水を注ぐスピードに関わらず安定して美しい発光演出ができる。
【0049】
また、ステップS10における発光演出は、各LED29がどの色で発光していても、その時に発光している色から最大輝度である白色発光へなだらかに変化させて全てのLED29を白色発光させるモード切替用発光制御を行い、全て白色発光した後に全てのLED29を用いた発光演出を行う構成としてもよい。これにより、ステップS10になった瞬間にそれまでの発光と断絶した形で発光演出が行われることがなく、それまでのLED29の発光状態に関わらずなだらかに発光演出に移行することができ、自然な美しい光の演出を実現できる。
【0050】
また、発光演出装置1の外形形状は、上述した形状に限らず、様々な形状とすることができる。例えば、図6(A)の縦断正面図に示すように、媒体収容部2の外側を逆円錐台形状の透明または半透明の筒2Aで囲み、土台7Aを横断面円形で高さ方向に半径が変化する装飾脚部とすることができる。他にも、図6(B)の平面図および図6(C)の正面図に示すように、円筒形で外周面に多面突起を上下左右へ整列させた形状に表面をカッティングした透明または半透明のクリスタル筒2Bを利用し、このクリスタル筒2Bで媒体収容部2の外側を覆う構成にしてもよい。これにより様々なデザインでの演出を提供することができる。
【0051】
また、外筒3の外形は円筒形に限らず、三角柱や四角柱や六角柱などの多角柱形状、円錐台形状、逆円錐台形状、中央が半径小で上下が半径大となるくびれ形状など、適宜の形状に形成することができる。これにより様々な形状での演出を提供することができる。
【0052】
また、LED29は電気により発光する発光体であればよく、豆電球や白熱球など、適宜の発光体により形成することができる。
【0053】
また、ステップS6〜S7は、媒体検知部13の出力電圧が発光制御設定データ31のv(i)以上になればi段目のLED29を発光させる構成としたが、v(i)以上の出力電圧が所定時間継続すればi段目のLED29を発光させる構成としてもよい。これにより、媒体検知部13の上に水Wが直接落下して一時的に水圧が高く検知されて本来の水位に到達する前にLED29を発光させることを防止できる。
【0054】
また、穴6の上方位置に遮水板(媒体を遮蔽する遮蔽部)を設け、落下してくる水W(媒体)が媒体検知部13に直接当たらないように構成してもよい。この場合、水W(媒体)が媒体検知部13に直接当たって一時的に水圧(媒体による圧力)が増加したように誤検知してLED29を誤発光することを防止できる。
【0055】
また、操作入力部12は、土台7の側面に備えられた押しボタンスイッチ12aに加えて、電源51からの電力供給を物理的にON/OFFするON/OFFスイッチを土台7の側面に備えても良い。これにより、側面操作で容易にON/OFFを切り替えることができ、電源51の電池から回路への放電によって電池の電圧が徐々に降下することを、OFFにすることで防止できる。従って、披露宴会場で前日等にセットしてON/OFFスイッチをOFFにしておき、披露宴の1時間前や4時間前など適宜のタイミングでONとすることで、電源51の十分な電力を用いた安定動作を実現できる。
【実施例2】
【0056】
次に、実施例2として、実施例1で説明した発光演出装置1の上部に注ぎ口カバー40を設けた例について説明する。発光演出装置1の構成と動作は、実施例1と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
図7は、注ぎ口カバー40と発光演出装置1の上部を示す縦断拡大正面図である。
【0057】
注ぎ口カバー40は、平面視がコンパクトディスクのような平リング状のカバーリング43と、カバーリング43の上面に設けられた円筒形の注ぎ口41と、カバーリング43の下面に設けられた円筒形の流下口45とが同心円上に配置され一体に形成されている。
【0058】
注ぎ口41は、カバーリング43の外周半径よりも少し小さい外周半径の円筒形であり、内周面が飛び跳ね防止壁42として機能する。すなわち、注ぎ口41がある程度の高さに形成されており、ジョーロJから注がれた水Wが飛び跳ねることや、溢れて漏れ出ることを防止している。
【0059】
カバーリング43は、外周半径が媒体収容部2の筒2Aの内周半径よりも大きくなるように形成されており、好ましくは筒2Aの外周半径と同じ程度の大きさに形成されている。これにより、カバーリング43を媒体収容部2の筒2Aの上面に安定して載置でき、筒2Aの内側にカバーリング43が落ち込むことの無いようにしている。
【0060】
また、カバーリング43は、中央に穴44を有している。穴44の大きさは、注ぎ口41の内周面の半径よりも十分に小さい半径に形成され、さらに媒体収容部2の外筒3の内周面の半径よりも少し小さく、媒体収容部2の内筒4の外周面の半径よりも十分に大きく形成されている。この穴44は、流下口45の内面と連通している。
【0061】
流下口45は、内周半径が注ぎ口41の内周半径よりも小さくなるように構成されており、外周面が媒体収容部2の外筒3の内周面に近接する大きさに形成されている。これにより、注ぎ口カバー40全体が、注ぎ口41の外周面が媒体収容部2の外筒3の内周面に接触する範囲に位置決めされ、安定した位置に容易に設置できるようになっている。
【0062】
また、注ぎ口41の内周半径よりも流下口45の内周半径を小さくしていることで、流下口45の内側へ水Wを注ぎやすくするとともに、水Wがこぼれたり溢れたりすることを注ぎ口41で防止できるようにしている。また、水Wが注がれる領域が流下口45下方の外筒3内にせばめられて少ない水Wで済み、かつ、それより大きく周囲にカッティングを施した筒2Aにより、発光演出装置1全体が大きく見え、広い面積で光の演出を行えるようにしている。
【0063】
このように構成することで、水Wの注ぎやすさを向上させることができ、利用者の満足度を向上させることができる。
カバーリング43の外周面は、発光演出装置1の筒2Aの内周面よりも大きいため、筒2A内に意図しない水Wが侵入して障害が発生することを防止できる。また、内筒4内は上面4aにより水Wが侵入せず、この内筒4と外筒3の間に水Wが収納されるように流下口45でガイドされるため、水Wの流れを意図した範囲内に制限して安定して利用することができる。
【実施例3】
【0064】
次に、実施例3として、他の電気系統部の例を示す。なお、電気系統部以外の構成および動作は、実施例1の発光演出装置1と同一であるので、その詳細な説明を省略する。
【0065】
図8は、電気系統部50の構成を示すブロック図である。電気系統部50は、電源51、電圧安定部52、切替処理部53、媒体検知部54、制御部55、記憶部59、発光部60、および動作確認リセット部61を備えている。
【0066】
電源51は、乾電池あるいは充電池などの電源である。なお、電圧降下の影響を防止するためには、新品の乾電池を用いることが好ましい。
電圧安定部52は、電源51から供給される電圧を安定させるICである。これにより、電源51の電圧降下や静電気等による電圧変動によって媒体検知部54の出力値が不適切な値となって誤作動することを防止している。
【0067】
切替処理部53は、手動操作によって切り替えるスイッチである。手動操作により、テストモードと本番モードに切り替えられる。
【0068】
媒体検知部54は、水圧を検知する水圧センサで構成されている。この水圧センサは、電圧検知によりセンシングしている。従って、電圧安定部52により電圧が安定化されることで、安定した動作を実行できる。切替処理部53が本番モードとなっていれば、水圧によって変動する電圧を常時検知し、検知信号を制御部55の基準更新部56へ伝達する。
【0069】
制御部55は、各種制御動作を実行するICであり、基準更新部56、比較判定部57、および発光制御部58を有している。
【0070】
基準更新部56は、受け取った検知信号について、基準電圧の更新が必要か否かを判定し、必要であれば記憶部59に記憶している基準電圧を更新する。この基準更新部56は、電源51による電源投入時は、所定時間待機した後の検知信号を基準電圧として記憶部59に記憶する。これにより、電源投入直後の不安定動作時に検知した電圧を基準電圧としないようにして、安定した後の電圧を基準電圧にできる。
【0071】
また、基準更新部56は、一定時間(例えば1分、3分、または5分など)経過毎に、基準電圧を更新する。これにより、電源51の電圧が消耗によって低下してきても、その低下した電圧を基準電圧にすることができる。こうすることで、消耗による電圧降下を水圧による電圧降下と誤検知してしまうことを防止できる。なお、基準更新部56は、媒体検知部54から受け取った検知信号をそのまま比較判定部57に伝達する。
【0072】
比較判定部57は、常時受け取る検知信号の電圧を、記憶部59の基準電圧と比較し、あらかじめ定められた所定値以上の差がないかを確認する。この所定値は、実施例1にて説明した外筒3内の水Wの量に基づいて定められている。すなわち、高さ方向に配置されたLED29について、あるLED29の高さまで水Wが注がれた際の水圧による電圧(媒体検知部54が出力する電圧)と、その1つ上のLED29の高さまで水“が注がれた際の水圧による電圧との差を、前記所定値とする。従って、この所定値の電圧変化があるごとに、LED29が下から1つずつ点灯することになる。
【0073】
また、比較判定部57は、記憶部59の基準電圧と比較する処理を、受信した所定回数(例えば5回、10回、15回など)の検知信号に基づいて実行し、LED29を点灯させる段階にまで水Wが注がれたか否かを判定する。この判定は、所定回数の検知信号の電圧の平均値をとって基準電圧と比較して判定する、あるいは、所定回数の検知信号の電圧水位が徐々に降下しているのか特異な電圧がないかを確認した上で平均値により判定するなど、適宜の基準で実行することができる。
【0074】
発光制御部58は、比較判定部57から受け取った信号に基づいて発光部60に設けられたLED29の発光制御を実行する。比較判定部57からの信号の受け取りは、LED29の点灯段階を次の段階に進める、すなわち現在点灯しているLED29より1つ上のLED29を点灯させるための信号となる。この信号を受けて、発光制御部58は、次に発光させるLED29を徐々に明るく発光させる、発光する色を変化させる等、設定されたパラメータに応じた適宜の制御処理で実行する。従って、比較判定部57からの信号はLED29の演出(点灯)の開始タイミングのトリガとなり、以降の発光制御を発光制御部58が実行する。
【0075】
記憶部59は、基準更新部56から受信した基準電圧を記憶し、比較判定部57が必要に応じて実行する読み出し指示に応じてその時点の基準電圧を比較判定部57に伝達する。記憶部59による基準電圧の記憶は、常に上書き記憶することとする。これにより、最新の基準電圧のみを記憶している。
【0076】
発光部60は、複数のLED29で構成されており、発光制御部58により点灯、消灯、点灯する輝度、点灯する色合いが制御される。
【0077】
動作確認リセット部61は、制御部55が異常動作していないかを常に監視しており、異常動作を確認するとリセット処理をし、電源51による電源投入から開始する再起動を行う。この監視は、制御部55に信号を送信して正常な応答信号があるか等を検知することで実行すればよい。
【0078】
以上の構成および動作により、実施例1と同じ作用効果に加えて、より安定した光の演出を実行できる。
電源投入時は基準電圧の記憶まで所定時間を空けることで安定した基準電圧を記憶でき、誤作動を防止できる。
【0079】
また、媒体検知部54から出力される検知信号を複数回取得して状態を判定するため、静電気やノイズ等によって出力される検知信号に不適切なものがあっても、これによって誤作動を起こすことを防止できる。
【0080】
また、電圧安定部52、基準更新部56、比較判定部57、動作確認リセット部61、これらの複数、またはこれらの全部は、誤作動を防止する誤作動防止手段として機能するため、新郎新婦にとって二度とない特別な瞬間である結婚披露宴で誤作動することを防止できる。
【0081】
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
この発明は、結婚披露宴に代表されるパーティーでの演出など、光による演出に利用することができる。
【符号の説明】
【0083】
1…発光演出装置
2…媒体収容部
11…制御部
12…操作入力部
13…媒体検知部
29…LED
52…電圧安定部
56…基準更新部
57…比較判定部
61…動作確認リセット部
W…水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置を異ならせて配置された複数の発光体と、
前記各発光体の発光を制御する制御部と、
注がれる媒体を収容する媒体収容部と、
該媒体を検知する媒体検知部とを備え、
前記媒体検知部は、注がれた前記媒体の量に応じて出力を異ならせる構成であり、
前記制御部は、前記媒体検知部が媒体を検知しない初期状態で前記発光体を消灯させておき、前記媒体検知部が媒体を検知すると前記発光体の一部の発光を始め、前記媒体検知部が検知する媒体の量に応じて発光させる前記発光体の数を増加させる構成である
発光演出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記媒体検知部による検知する媒体の量が増加して全ての発光体を発光させると、全ての発光体を用いて発光の変化による演出を実行する構成である
請求項1記載の発光演出装置。
【請求項3】
操作入力を検知する入力手段を備え、
前記制御部は、前記入力手段による入力を受け付けると、前記媒体収容部に前記媒体が注がれていなくとも全ての前記発光体を発光させて動作確認を実行する構成である
請求項1または2記載の発光演出装置。
【請求項4】
前記発光体の少なくとも前方を覆う位置大きさに前記媒体収容部が配置され、
前記複数の発光体は、前記媒体収容部の下方位置付近から上方位置付近までの複数の高さ位置に配置され、
前記制御部は、媒体収容部に前記媒体が注がれて前記媒体の上面高さが上昇すると、該上面高さより下方位置となった前記発光体を発光させるよう、前記媒体検知部の出力と発光させる各発光体とを対応させた構成である
請求項1、2、または3記載の発光演出装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記媒体検知部が媒体を検知すると前記発光体の一部の発光を始め、前記媒体検知部が検知する媒体の量に応じて発光させる前記発光体の数を増加させる順次発光モードを実行している間、前記媒体検知部が検知する媒体の量が減少しても一度発光させた発光体を消灯しない構成である
請求項1から4のいずれか1つに記載の発光演出装置。
【請求項6】
誤作動を防止する誤作動防止手段を備えた
請求項1から5のいずれか1つに記載の発光演出装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1つに記載の発光演出装置を用い、
前記媒体収容部内に前記媒体を注ぎ込み、
前記発光体の発光による演出を行う
発光演出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−48885(P2013−48885A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−102164(P2012−102164)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【出願人】(501173184)株式会社明来エンタープライズ (8)