発光物質
【課題】分子内での金属間の距離を制御できる配位子を有する希土類錯体を含む発光効率の高い発光物質を提供する。
【解決手段】希土類イオンであるEu(III)に配位子としてフェナントロリン(phen)及びテトラゾールのアルキル誘導体であるω-(1H-tetrazolyl)valeric-acid(tzv)が配位結合しているEu(III)錯体である[Eu2(tzv)6(phen)2]および、フェナントロリンにステアリン酸が結合した配位子(phen-C18)及び硝酸イオン(NO3−)が配位結合したEu(III)錯体である[Eu(phen-C18)2(NO3)3]で表される発光物質。(該錯体において、Euは、Tb、DyまたはSmで置き換えることが可能。)
【解決手段】希土類イオンであるEu(III)に配位子としてフェナントロリン(phen)及びテトラゾールのアルキル誘導体であるω-(1H-tetrazolyl)valeric-acid(tzv)が配位結合しているEu(III)錯体である[Eu2(tzv)6(phen)2]および、フェナントロリンにステアリン酸が結合した配位子(phen-C18)及び硝酸イオン(NO3−)が配位結合したEu(III)錯体である[Eu(phen-C18)2(NO3)3]で表される発光物質。(該錯体において、Euは、Tb、DyまたはSmで置き換えることが可能。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、希土類錯体を含む発光物質に関するものである。
【背景技術】
【0002】
希土類に属する金属イオンに対して光アンテナとして機能する有機配位子を配位させて金属錯体を形成した場合、配位子が光励起によるエネルギーを金属イオンに移動させることで金属イオンそのものからのエネルギー放出による発光が生じることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】山下正廣、小島憲道編著、「金属錯体の現代物性化学」、三共出版株式会社、2008年10月p.39−54
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配位子に対して磁性等の機能を有する異なる金属をそれぞれ配位させることにより、発光性の他に磁性または導電性を有するヘテロな金属錯体の形成が期待される。また、ヘテロな金属錯体の分子内での金属間距離を制御すること、金属からの発光効率を上げることも求められる。
【0005】
本発明の目的は、分子内での金属間の距離を制御できる配位子を有する希土類錯体を含む発光効率の高い発光物質を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発光物質は、
一般式(1)
【化1】
で表される。(上記一般式(1)中、Lnは、Eu、Tb、DyまたはSmを示す。)
また、本発明に係る発光物質は、
化学式(2)
【化2】
で表される。(上記化学式(2)は、原子省略法によって記載され、省略された末端はすべてメチル基を示す。)
【発明の効果】
【0007】
本発明の発光物質によれば、金属間の距離を制御できる配位子を有する発光効率の高い希土類錯体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施例に係る発光物質[Eu2(tzv)6(phen)2]の300 Kにおける放射光X線回折スペクトルを示す図である。
【図2】本発明の一実施例に係る発光物質[Eu2(tzv)6(phen)2]の250 Kにおける放射光X線回折スペクトルを示す図である。
【図3】本発明の一実施例に係る発光物質[Eu2(tzv)6(phen)2]の200 Kにおける放射光X線回折スペクトルを示す図である。
【図4】本発明の一実施例に係る発光物質[Eu2(tzv)6(phen)2]の放射光X線回折スペクトルの拡大図である。
【図5】本発明の一実施例に係る発光物質[Eu2(tzv)6(phen)2]の発光スペクトルを示す図である。
【図6】本発明の一実施例に係る発光物質の放射光X線回折スペクトルを示す図である。
【図7】本発明の一実施例に係る発光物質[Eu2(tzv)6(phen)2]の結晶構造を示す図である。
【図8】本発明の一実施例に係る発光物質[Eu2(tzv)6(phen)2]の金属周りの構造を示す図である。
【図9】本発明の一実施例に係る発光物質[Eu2(tzv)6(phen)2]の結晶構造内でのπ−πスタッキングを示す図である。
【図10】本発明の一実施例に係る発光物質[Sm2(tzv)6(phen)2]の発光スペクトルを示す図である。
【図11】本発明の一実施例に係る発光物質[Dy2(tzv)6(phen)2]の発光スペクトルを示す図である。
【図12】本発明の一実施例に係る発光物質[Eu(phen-C18)2(NO3)3]の発光スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る発光物質について説明するが、本発明は、以下に述べる実施の形態に限定されるものではない。本発明の第1の実施の形態に係る配位子としてテトラゾールのアルキル誘導体を有するユウロピウム錯体[Eu2(tzv)6(phen)2]を例に説明する。下記式(3)に[Eu2(tzv)6(phen)2]の構造式を示す。
【化3】
【0010】
[Eu2(tzv)6(phen)2]は、希土類イオンであるEu(III)に配位子としてフェナントロリン(phen)及びテトラゾールのアルキル誘導体であるω-(1H-tetrazole-ly) varieric acid (Htvz)が配位結合しているEu(III)錯体である。
【0011】
希土類に属する代表的な元素群であるランタニド群に属する元素を含む錯体であるランタニド錯体のf電子軌道間のエネルギー遷移(ff遷移)に関わるスペクトル形状はシャープで強い吸収帯あるいは発光帯を有し、常温、常圧でも観測されるため発光素子等への応用が期待される。
【0012】
そこで、光アンテナとして機能する配位子をエネルギードナーとし、ff発光を促すための励起エネルギーを得る。例えば、有機分子を配位子に用いた場合にはf電子の遷移よりも吸光係数が高いπ電子系がドナーとなる。また、アクセプターとなるf軌道の準位は配位子場の影響を直接受けないため、配位子の種類によらず略同じ波長位置でのff遷移が現れる。
【0013】
本実施の形態においては、光アンテナとして機能する配位子として、下記式(4)に示すフェナントロリン分子を用いる。
【化4】
【0014】
フェナントロリン(1,10−phenanthroline)は、380 nm付近に強い蛍光を示す発光性色素であり、ビピリジンをエチレンで分子内架橋した平面構造を有し、上記構造式(4)に示されるように長軸と短軸を明確に有する構造を有している。フェナントロリン分子は、その環窒素の非結合電子対によって希土類金属との間に配位結合を形成する。フェナントロリン分子は、励起状態において励起一重項状態または励起三重項状態を有し、配位結合した希土類金属に対してこれらのパスを経由してエネルギーを供給することができる好適な光アンテナとして機能する。
【0015】
また、テトラゾールのアルキル誘導体であるHtvzは、アルキル基の一方の末端にテトラゾール、他方の末端にカルボン酸を有するため、これらのルイス酸性度の違いによりヘテロな金属錯体を形成する。
【0016】
また、本実施の形態において発光性金属である希土類金属は、フェナントロリン分子が光エネルギーのアクセプターおよびドナーとして機能し、ff遷移によって可視領域に高輝度単色性が高い光を発光する。本実施の形態においては、希土類金属としてEu(ユーロピウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)及びSm(サマリウム)を用いることができる。Euを用いた場合には612 nm付近に極めて高輝度の赤色光を発し、Tbを用いた場合には547 nm付近に極めて高輝度の緑色光を発する。このとき、Eu錯体及びTb錯体の両方からなる発光物質を用いて黄色の発光を得ることも可能である。また、Dyを用いた場合には570 nm付近に発光を示し、Smを用いた場合には640 nm付近に発光を示す。
【0017】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る飽和脂肪酸を含む配位子を有する発光物質について説明する。下記式(2)に、本実施の形態に係る[Eu(phen-C18)2(NO3)3]の構造式を示す。
【化5】
【0018】
[Eu(phen-C18)2(NO3)3]は、フェナントロリンにステアリン酸が結合した配位子(phen-C18)及び硝酸イオン(NO3−)が配位結合したEu(III)錯体である。Phen-C18のフェナントロリン側がEu3+に結合しているため、ステアリン酸側の末端に置換基を導入した場合にはに他の金属が結合することによりヘテロな金属錯体の形成も見込まれる。また、フェナントロリンは上述の実施の形態と同様に光アンテナとして機能する。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の発光物質について、実施例を用いてより具体的に説明する。
【0020】
(実施例1)
配位子にテトラゾールのアルキル誘導体tzv及びフェナントロリンphenを有する三元ランタニド錯体[Ln2(tzv)6(phen)2](Lnは、Eu、Dy、Tb、Smを示す)は、以下の手順によって得られる。
【0021】
(1)テトラゾール誘導体Htzvの合成
5−アミノ吉草酸2.0 g、アジ化ナトリウム1.3 g、オルトギ酸トリエチル3.1 gを熱酢酸中で2時間攪拌した。反応終了後、濃塩酸を用いてpHを2に調整した。混合溶液を酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル層を減圧乾固し、得られた粉末を再結晶することにより目的物を得た。収率は20 %であった。
【0022】
(2)ランタニド錯体[Ln2(tzv)6(phen)2]の合成
ユーロピウム錯体[Eu2(tzv)6(phen)2]の合成においては、ユーロピウムトリフレート57 mgをメタノールに溶解させ、フェナントロリン33.5 mgを加え攪拌した。さらに、Htzv 43.9 mg、水酸化テトラエチルアンモニウム150 mgをゆっくり加え、2時間攪拌させ錯体を得た。収率は45 %であった。
【0023】
また、得られた錯体について評価を行った。得られた錯体の元素分析結果(obs.: C, 43.34 %; H, 4.29 %; N, 23.32 %. calc.: C, 42.91 %; H, 4.20 %; N, 23.35 %.)より、[Eu2(tzv)6(phen)2]には溶媒が配位していないことが示唆された。
【0024】
テルビニウム錯体[Tb2(tzv)6(phen)2]、ジスプロシウム錯体[Dy2(tzv)6(phen)2]、サマリウム錯体[Sm2(tzv)6(phen)2]及びガドリニウム錯体[Gd2(tzv)6(phen)2]の合成においては、上述のユウロピウム錯体[Eu2(tzv)6(phen)2]の合成において用いたユーロピウムトリフレートに代えてそれぞれテルビニウムトリフレート、ジスプロシウムトリフレート、サマリウムトリフレート、及びガドリニウムトリフレートを用いた。
【0025】
(3)ランタニド錯体[Ln2(tzv)6(phen)2]の構造及び発光特性
図1〜3にユーロピウム錯体[Eu2(tzv)6(phen)2]の粉末X線回折スペクトル(Spring-8 BL02B2)を示す。図1は300 Kにおいて測定したスペクトル、図2は250 Kにおいて測定したスペクトル、図3は200 Kにおいて測定したスペクトルである。このスペクトルにより、得られた錯体は単一相であることが確認された。また、図4は2θ = 4°付近におけるXRDスペクトルの拡大図である。
【0026】
図4より300 Kと200 Kにおいては異なるスペクトルの形状を示し、250 Kにおいては300 Kと200 Kにおけるピークが混在していることが分かった。これらから300 K以上の場合と200 K以下の場合で構造が異なることが示唆され、その転移温度は250 K付近であることが分かった。
【0027】
図5は、ユーロピウム錯体[Eu2(tzv)6(phen)2]の発光スペクトル(励起波長, 280 nm)である。ユーロピウム錯体は594 nm及び618 nmにEu(III)由来のff発光を示した。これらはそれぞれ5D0→7F1及び5D0→7F2遷移に帰属される。なお、300 Kでの発光スペクトルにおいて340 nm付近にフェナントロリン由来の蛍光が観測され、77 Kでの発光スペクトルにおいて450 nm付近にフェナントロリン由来のりん光が観測された。
【0028】
ここで、5D0→7F1遷移はMDT(磁気双極子遷移)、5D0→7F2遷移はEDT(電気双極子遷移)である。図5に示す発光スペクトルにおける面積比(MDT:EDT)は300 Kにおいて1:2.4、77 Kにおいて1:1.7であった。このピーク面積の比はユーロピウム周りの対称性と関係しており、EDT比率が低いほど対称性が高いこととなるが、300 Kと77 Kにおいてこの比率に有意な差は見られなかった。そのため、上述のXRDスペクトルから示唆される低温側と高温側における構造の違いは、250 K付近においてEu周りの配位構造の変化ではなくアルキル鎖の配向の変化によるものと考えられる。
【0029】
また、発光寿命が1.53 msと他のユーロピウム錯体と比較しても非常に長い値となった。発光量子収率は65 %を示し、機能性を有する錯体では非常に高い値となった。これはアルキル鎖により分子振動が抑えられた結果であると考えられる。
【0030】
図6は、ユーロピウム錯体[Eu2(tzv)6(phen)2]、ジスプロシウム錯体[Dy2(tzv)6(phen)2]、サマリウム錯体[Sm2(tzv)6(phen)2]及びガドリニウム錯体[Gd2(tzv)6(phen)2]の300 KにおけるXRDスペクトルである。また、図6における右上に示す挿入図は、100 Kにおけるユーロピウム錯体[Eu2(tzv)6(phen)2]のXRDスペクトルである。これらのスペクトルより、得られたジスプロシウム錯体、サマリウム錯体、ガドリウム錯体はユーロピウム錯体と同様に単一相であることが確認された。
【0031】
また、図6に示すスペクトルからユーロピウム錯体[Eu2(tzv)6(phen)2]の構造的知見を得るために指数付け等の解析を行った。表1には、[Eu2(tzv)6(phen)2]の結晶学的パラメータを、表2には、ユーロピウム錯体の原子間距離、結合長及び結合角を示す。また、図7には[Eu2(tzv)6(phen)2]の結晶構造を、図8には[Eu2(tzv)6(phen)2]の金属周りの構造を、図9には結晶構造内でのπ−πスタッキングを示す
【表1】
【表2】
【0032】
これらの結果より、ヘテロな金属錯体を形成する場合に金属間の距離を制御できることが分かる。
【0033】
図10は、サマリウム錯体[Sm2(tzv)6(phen)2] の発光スペクトル(励起波長, 280 nm; 300 K)である。サマリウム錯体は563 nm、596 nm、602 nm及び643 nmにSm(III)由来のff発光を示した。563 nmの発光は4G5/2→6H5/2遷移に、596 nm及び602 nmの発光は4G5/2→6H7/2遷移に、643 nmの発光は4G5/2→6H9/2遷移にそれぞれ帰属される。なお、350-400 nmにフェナントロリン由来の蛍光が観測された。
【0034】
図11は、ジスプロシウム錯体[Dy2(tzv)6(phen)2] の発光スペクトル(励起波長,280 nm; 300 K)である。ジスプロシウム錯体は481 nm、573 nm及び657 nmにDy(III)由来のff発光を示した。481 nmの発光は4G9/2→6H11/2遷移に、573 nmの発光は4G9/2→6H13/2遷移に、657 nmの発光は4G9/2→6H15/2遷移にそれぞれ帰属される。なお、350-400 nmにフェナントロリン由来の蛍光が観測された。
【0035】
また、テルビニウム錯体[Tb2(tzv)6(phen)2]においてもTb(III)由来の発光が観測された。
【0036】
(実施例2)
飽和脂肪酸(ステアリン酸)を含む配位子phen-C18を有するユーロピウム錯体[Eu(phen-C18)2(NO3)3]は、以下の手順によって得られる。
【0037】
(1)phen-C18の合成
5−アミノ−1,10−フェナントロリン100 mg (0.53 mmol)、ステアロイルクロリド241 mg (0.53 mmol)、トリエチルアミン0.1 mL (0.70 mmol)をテトラヒドロフラン(THF)100 mLに溶解し、室温で3時間攪拌した。反応終了後、純水50 mLを加えTHFを減圧留去した。析出した粉末をろ過し、ジエチルエーテルで洗浄することで白色粉末を得た。収率は90 %であった。
【0038】
(2)ユーロピウム錯体[Eu(phen-C18)2(NO3)3]の合成
硝酸ユーロピウム6水和物28 mg(62 μmol)、phen-C18 57 mg(124 μmol)をエタノール20 mLに溶解し、室温で1時間攪拌した。析出した沈澱をろ過することで白色粉末を得た。収率は71 %であった。
【0039】
また、得られた錯体について評価を行った。得られた錯体は元素分析の結果(obs.: C, 57.13 %; H, 6.87 %; N, 9.99 %. Calc.: C, 56.76 %; H, 6.79 %; N, 9.92 %.)より、[Eu(phen-C18)2(NO3)3]には溶媒が配位していないことが示唆された。
【0040】
(3)ユーロピウム錯体[Eu(phen-C18)2(NO3)3]の構造及び発光特性
図12は、ユーロピウム錯体[Eu(phen-C18)2(NO3)3]の発光スペクトル(励起波長, 295 nm)である。ユーロピウム錯体は594 nm及び618 nmにそれぞれ5D0→7F1及び5D0→7F2遷移に帰属されるEu(III)由来のff発光を示した。また、650 nm付近及び680 nm付近にそれぞれ5D0→7F3、5D0→7F4遷移に帰属されるEu(III)由来のff発光を示した。なお、400 nm付近にフェナントロリン由来のブロードなピークが観測された。
【0041】
また、発光量子収率は74 %を示し、機能性を有する錯体では非常に高い値となり、光アンテナから希土類イオンへのエネルギー移動効率を低下させないアルキル鎖の位置設計を行うことができた。
【0042】
本実施の形態に係る発光物質によれば、金属間の距離を制御できる配位子を有する発光効率の高い希土類錯体が提供される。
【0043】
また、他の希土類錯体と比較して長い発光寿命を有し、機能性を有する錯体としては高い発光効率を有する。
【0044】
また、錯体を形成する配位子に磁性等の機能を有する金属を配位させることにより発光性の他に磁性また導電性を有するヘテロな金属錯体の形成が期待される。
【0045】
なお、上述の各実施の形態においては、[Ln2(tzv)6(phen)2](Lnは、Eu、Tb、Sm及びDyを示す)、[Eu(phen-C18)2(NO3)3]等を粉体として説明したが、[Ln2(tzv)6(phen)2]、[Eu(phen-C18)2(NO3)3]等を薄膜としてもよい。この場合には、例えば、Langmuir-Blodgett膜として基板上に成膜させ、偏光発光膜を作製することが期待できる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、希土類錯体を含む発光物質に関するものである。
【背景技術】
【0002】
希土類に属する金属イオンに対して光アンテナとして機能する有機配位子を配位させて金属錯体を形成した場合、配位子が光励起によるエネルギーを金属イオンに移動させることで金属イオンそのものからのエネルギー放出による発光が生じることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】山下正廣、小島憲道編著、「金属錯体の現代物性化学」、三共出版株式会社、2008年10月p.39−54
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配位子に対して磁性等の機能を有する異なる金属をそれぞれ配位させることにより、発光性の他に磁性または導電性を有するヘテロな金属錯体の形成が期待される。また、ヘテロな金属錯体の分子内での金属間距離を制御すること、金属からの発光効率を上げることも求められる。
【0005】
本発明の目的は、分子内での金属間の距離を制御できる配位子を有する希土類錯体を含む発光効率の高い発光物質を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発光物質は、
一般式(1)
【化1】
で表される。(上記一般式(1)中、Lnは、Eu、Tb、DyまたはSmを示す。)
また、本発明に係る発光物質は、
化学式(2)
【化2】
で表される。(上記化学式(2)は、原子省略法によって記載され、省略された末端はすべてメチル基を示す。)
【発明の効果】
【0007】
本発明の発光物質によれば、金属間の距離を制御できる配位子を有する発光効率の高い希土類錯体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施例に係る発光物質[Eu2(tzv)6(phen)2]の300 Kにおける放射光X線回折スペクトルを示す図である。
【図2】本発明の一実施例に係る発光物質[Eu2(tzv)6(phen)2]の250 Kにおける放射光X線回折スペクトルを示す図である。
【図3】本発明の一実施例に係る発光物質[Eu2(tzv)6(phen)2]の200 Kにおける放射光X線回折スペクトルを示す図である。
【図4】本発明の一実施例に係る発光物質[Eu2(tzv)6(phen)2]の放射光X線回折スペクトルの拡大図である。
【図5】本発明の一実施例に係る発光物質[Eu2(tzv)6(phen)2]の発光スペクトルを示す図である。
【図6】本発明の一実施例に係る発光物質の放射光X線回折スペクトルを示す図である。
【図7】本発明の一実施例に係る発光物質[Eu2(tzv)6(phen)2]の結晶構造を示す図である。
【図8】本発明の一実施例に係る発光物質[Eu2(tzv)6(phen)2]の金属周りの構造を示す図である。
【図9】本発明の一実施例に係る発光物質[Eu2(tzv)6(phen)2]の結晶構造内でのπ−πスタッキングを示す図である。
【図10】本発明の一実施例に係る発光物質[Sm2(tzv)6(phen)2]の発光スペクトルを示す図である。
【図11】本発明の一実施例に係る発光物質[Dy2(tzv)6(phen)2]の発光スペクトルを示す図である。
【図12】本発明の一実施例に係る発光物質[Eu(phen-C18)2(NO3)3]の発光スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る発光物質について説明するが、本発明は、以下に述べる実施の形態に限定されるものではない。本発明の第1の実施の形態に係る配位子としてテトラゾールのアルキル誘導体を有するユウロピウム錯体[Eu2(tzv)6(phen)2]を例に説明する。下記式(3)に[Eu2(tzv)6(phen)2]の構造式を示す。
【化3】
【0010】
[Eu2(tzv)6(phen)2]は、希土類イオンであるEu(III)に配位子としてフェナントロリン(phen)及びテトラゾールのアルキル誘導体であるω-(1H-tetrazole-ly) varieric acid (Htvz)が配位結合しているEu(III)錯体である。
【0011】
希土類に属する代表的な元素群であるランタニド群に属する元素を含む錯体であるランタニド錯体のf電子軌道間のエネルギー遷移(ff遷移)に関わるスペクトル形状はシャープで強い吸収帯あるいは発光帯を有し、常温、常圧でも観測されるため発光素子等への応用が期待される。
【0012】
そこで、光アンテナとして機能する配位子をエネルギードナーとし、ff発光を促すための励起エネルギーを得る。例えば、有機分子を配位子に用いた場合にはf電子の遷移よりも吸光係数が高いπ電子系がドナーとなる。また、アクセプターとなるf軌道の準位は配位子場の影響を直接受けないため、配位子の種類によらず略同じ波長位置でのff遷移が現れる。
【0013】
本実施の形態においては、光アンテナとして機能する配位子として、下記式(4)に示すフェナントロリン分子を用いる。
【化4】
【0014】
フェナントロリン(1,10−phenanthroline)は、380 nm付近に強い蛍光を示す発光性色素であり、ビピリジンをエチレンで分子内架橋した平面構造を有し、上記構造式(4)に示されるように長軸と短軸を明確に有する構造を有している。フェナントロリン分子は、その環窒素の非結合電子対によって希土類金属との間に配位結合を形成する。フェナントロリン分子は、励起状態において励起一重項状態または励起三重項状態を有し、配位結合した希土類金属に対してこれらのパスを経由してエネルギーを供給することができる好適な光アンテナとして機能する。
【0015】
また、テトラゾールのアルキル誘導体であるHtvzは、アルキル基の一方の末端にテトラゾール、他方の末端にカルボン酸を有するため、これらのルイス酸性度の違いによりヘテロな金属錯体を形成する。
【0016】
また、本実施の形態において発光性金属である希土類金属は、フェナントロリン分子が光エネルギーのアクセプターおよびドナーとして機能し、ff遷移によって可視領域に高輝度単色性が高い光を発光する。本実施の形態においては、希土類金属としてEu(ユーロピウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)及びSm(サマリウム)を用いることができる。Euを用いた場合には612 nm付近に極めて高輝度の赤色光を発し、Tbを用いた場合には547 nm付近に極めて高輝度の緑色光を発する。このとき、Eu錯体及びTb錯体の両方からなる発光物質を用いて黄色の発光を得ることも可能である。また、Dyを用いた場合には570 nm付近に発光を示し、Smを用いた場合には640 nm付近に発光を示す。
【0017】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る飽和脂肪酸を含む配位子を有する発光物質について説明する。下記式(2)に、本実施の形態に係る[Eu(phen-C18)2(NO3)3]の構造式を示す。
【化5】
【0018】
[Eu(phen-C18)2(NO3)3]は、フェナントロリンにステアリン酸が結合した配位子(phen-C18)及び硝酸イオン(NO3−)が配位結合したEu(III)錯体である。Phen-C18のフェナントロリン側がEu3+に結合しているため、ステアリン酸側の末端に置換基を導入した場合にはに他の金属が結合することによりヘテロな金属錯体の形成も見込まれる。また、フェナントロリンは上述の実施の形態と同様に光アンテナとして機能する。
【実施例】
【0019】
以下、本発明の発光物質について、実施例を用いてより具体的に説明する。
【0020】
(実施例1)
配位子にテトラゾールのアルキル誘導体tzv及びフェナントロリンphenを有する三元ランタニド錯体[Ln2(tzv)6(phen)2](Lnは、Eu、Dy、Tb、Smを示す)は、以下の手順によって得られる。
【0021】
(1)テトラゾール誘導体Htzvの合成
5−アミノ吉草酸2.0 g、アジ化ナトリウム1.3 g、オルトギ酸トリエチル3.1 gを熱酢酸中で2時間攪拌した。反応終了後、濃塩酸を用いてpHを2に調整した。混合溶液を酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル層を減圧乾固し、得られた粉末を再結晶することにより目的物を得た。収率は20 %であった。
【0022】
(2)ランタニド錯体[Ln2(tzv)6(phen)2]の合成
ユーロピウム錯体[Eu2(tzv)6(phen)2]の合成においては、ユーロピウムトリフレート57 mgをメタノールに溶解させ、フェナントロリン33.5 mgを加え攪拌した。さらに、Htzv 43.9 mg、水酸化テトラエチルアンモニウム150 mgをゆっくり加え、2時間攪拌させ錯体を得た。収率は45 %であった。
【0023】
また、得られた錯体について評価を行った。得られた錯体の元素分析結果(obs.: C, 43.34 %; H, 4.29 %; N, 23.32 %. calc.: C, 42.91 %; H, 4.20 %; N, 23.35 %.)より、[Eu2(tzv)6(phen)2]には溶媒が配位していないことが示唆された。
【0024】
テルビニウム錯体[Tb2(tzv)6(phen)2]、ジスプロシウム錯体[Dy2(tzv)6(phen)2]、サマリウム錯体[Sm2(tzv)6(phen)2]及びガドリニウム錯体[Gd2(tzv)6(phen)2]の合成においては、上述のユウロピウム錯体[Eu2(tzv)6(phen)2]の合成において用いたユーロピウムトリフレートに代えてそれぞれテルビニウムトリフレート、ジスプロシウムトリフレート、サマリウムトリフレート、及びガドリニウムトリフレートを用いた。
【0025】
(3)ランタニド錯体[Ln2(tzv)6(phen)2]の構造及び発光特性
図1〜3にユーロピウム錯体[Eu2(tzv)6(phen)2]の粉末X線回折スペクトル(Spring-8 BL02B2)を示す。図1は300 Kにおいて測定したスペクトル、図2は250 Kにおいて測定したスペクトル、図3は200 Kにおいて測定したスペクトルである。このスペクトルにより、得られた錯体は単一相であることが確認された。また、図4は2θ = 4°付近におけるXRDスペクトルの拡大図である。
【0026】
図4より300 Kと200 Kにおいては異なるスペクトルの形状を示し、250 Kにおいては300 Kと200 Kにおけるピークが混在していることが分かった。これらから300 K以上の場合と200 K以下の場合で構造が異なることが示唆され、その転移温度は250 K付近であることが分かった。
【0027】
図5は、ユーロピウム錯体[Eu2(tzv)6(phen)2]の発光スペクトル(励起波長, 280 nm)である。ユーロピウム錯体は594 nm及び618 nmにEu(III)由来のff発光を示した。これらはそれぞれ5D0→7F1及び5D0→7F2遷移に帰属される。なお、300 Kでの発光スペクトルにおいて340 nm付近にフェナントロリン由来の蛍光が観測され、77 Kでの発光スペクトルにおいて450 nm付近にフェナントロリン由来のりん光が観測された。
【0028】
ここで、5D0→7F1遷移はMDT(磁気双極子遷移)、5D0→7F2遷移はEDT(電気双極子遷移)である。図5に示す発光スペクトルにおける面積比(MDT:EDT)は300 Kにおいて1:2.4、77 Kにおいて1:1.7であった。このピーク面積の比はユーロピウム周りの対称性と関係しており、EDT比率が低いほど対称性が高いこととなるが、300 Kと77 Kにおいてこの比率に有意な差は見られなかった。そのため、上述のXRDスペクトルから示唆される低温側と高温側における構造の違いは、250 K付近においてEu周りの配位構造の変化ではなくアルキル鎖の配向の変化によるものと考えられる。
【0029】
また、発光寿命が1.53 msと他のユーロピウム錯体と比較しても非常に長い値となった。発光量子収率は65 %を示し、機能性を有する錯体では非常に高い値となった。これはアルキル鎖により分子振動が抑えられた結果であると考えられる。
【0030】
図6は、ユーロピウム錯体[Eu2(tzv)6(phen)2]、ジスプロシウム錯体[Dy2(tzv)6(phen)2]、サマリウム錯体[Sm2(tzv)6(phen)2]及びガドリニウム錯体[Gd2(tzv)6(phen)2]の300 KにおけるXRDスペクトルである。また、図6における右上に示す挿入図は、100 Kにおけるユーロピウム錯体[Eu2(tzv)6(phen)2]のXRDスペクトルである。これらのスペクトルより、得られたジスプロシウム錯体、サマリウム錯体、ガドリウム錯体はユーロピウム錯体と同様に単一相であることが確認された。
【0031】
また、図6に示すスペクトルからユーロピウム錯体[Eu2(tzv)6(phen)2]の構造的知見を得るために指数付け等の解析を行った。表1には、[Eu2(tzv)6(phen)2]の結晶学的パラメータを、表2には、ユーロピウム錯体の原子間距離、結合長及び結合角を示す。また、図7には[Eu2(tzv)6(phen)2]の結晶構造を、図8には[Eu2(tzv)6(phen)2]の金属周りの構造を、図9には結晶構造内でのπ−πスタッキングを示す
【表1】
【表2】
【0032】
これらの結果より、ヘテロな金属錯体を形成する場合に金属間の距離を制御できることが分かる。
【0033】
図10は、サマリウム錯体[Sm2(tzv)6(phen)2] の発光スペクトル(励起波長, 280 nm; 300 K)である。サマリウム錯体は563 nm、596 nm、602 nm及び643 nmにSm(III)由来のff発光を示した。563 nmの発光は4G5/2→6H5/2遷移に、596 nm及び602 nmの発光は4G5/2→6H7/2遷移に、643 nmの発光は4G5/2→6H9/2遷移にそれぞれ帰属される。なお、350-400 nmにフェナントロリン由来の蛍光が観測された。
【0034】
図11は、ジスプロシウム錯体[Dy2(tzv)6(phen)2] の発光スペクトル(励起波長,280 nm; 300 K)である。ジスプロシウム錯体は481 nm、573 nm及び657 nmにDy(III)由来のff発光を示した。481 nmの発光は4G9/2→6H11/2遷移に、573 nmの発光は4G9/2→6H13/2遷移に、657 nmの発光は4G9/2→6H15/2遷移にそれぞれ帰属される。なお、350-400 nmにフェナントロリン由来の蛍光が観測された。
【0035】
また、テルビニウム錯体[Tb2(tzv)6(phen)2]においてもTb(III)由来の発光が観測された。
【0036】
(実施例2)
飽和脂肪酸(ステアリン酸)を含む配位子phen-C18を有するユーロピウム錯体[Eu(phen-C18)2(NO3)3]は、以下の手順によって得られる。
【0037】
(1)phen-C18の合成
5−アミノ−1,10−フェナントロリン100 mg (0.53 mmol)、ステアロイルクロリド241 mg (0.53 mmol)、トリエチルアミン0.1 mL (0.70 mmol)をテトラヒドロフラン(THF)100 mLに溶解し、室温で3時間攪拌した。反応終了後、純水50 mLを加えTHFを減圧留去した。析出した粉末をろ過し、ジエチルエーテルで洗浄することで白色粉末を得た。収率は90 %であった。
【0038】
(2)ユーロピウム錯体[Eu(phen-C18)2(NO3)3]の合成
硝酸ユーロピウム6水和物28 mg(62 μmol)、phen-C18 57 mg(124 μmol)をエタノール20 mLに溶解し、室温で1時間攪拌した。析出した沈澱をろ過することで白色粉末を得た。収率は71 %であった。
【0039】
また、得られた錯体について評価を行った。得られた錯体は元素分析の結果(obs.: C, 57.13 %; H, 6.87 %; N, 9.99 %. Calc.: C, 56.76 %; H, 6.79 %; N, 9.92 %.)より、[Eu(phen-C18)2(NO3)3]には溶媒が配位していないことが示唆された。
【0040】
(3)ユーロピウム錯体[Eu(phen-C18)2(NO3)3]の構造及び発光特性
図12は、ユーロピウム錯体[Eu(phen-C18)2(NO3)3]の発光スペクトル(励起波長, 295 nm)である。ユーロピウム錯体は594 nm及び618 nmにそれぞれ5D0→7F1及び5D0→7F2遷移に帰属されるEu(III)由来のff発光を示した。また、650 nm付近及び680 nm付近にそれぞれ5D0→7F3、5D0→7F4遷移に帰属されるEu(III)由来のff発光を示した。なお、400 nm付近にフェナントロリン由来のブロードなピークが観測された。
【0041】
また、発光量子収率は74 %を示し、機能性を有する錯体では非常に高い値となり、光アンテナから希土類イオンへのエネルギー移動効率を低下させないアルキル鎖の位置設計を行うことができた。
【0042】
本実施の形態に係る発光物質によれば、金属間の距離を制御できる配位子を有する発光効率の高い希土類錯体が提供される。
【0043】
また、他の希土類錯体と比較して長い発光寿命を有し、機能性を有する錯体としては高い発光効率を有する。
【0044】
また、錯体を形成する配位子に磁性等の機能を有する金属を配位させることにより発光性の他に磁性また導電性を有するヘテロな金属錯体の形成が期待される。
【0045】
なお、上述の各実施の形態においては、[Ln2(tzv)6(phen)2](Lnは、Eu、Tb、Sm及びDyを示す)、[Eu(phen-C18)2(NO3)3]等を粉体として説明したが、[Ln2(tzv)6(phen)2]、[Eu(phen-C18)2(NO3)3]等を薄膜としてもよい。この場合には、例えば、Langmuir-Blodgett膜として基板上に成膜させ、偏光発光膜を作製することが期待できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化6】
で表される発光物質。(上記一般式(1)中、Lnは、Eu、Tb、DyまたはSmを示す。)
【請求項2】
化学式(2)
【化7】
で表される発光物質。
【請求項1】
一般式(1)
【化6】
で表される発光物質。(上記一般式(1)中、Lnは、Eu、Tb、DyまたはSmを示す。)
【請求項2】
化学式(2)
【化7】
で表される発光物質。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−68580(P2011−68580A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219400(P2009−219400)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年5月21日 日本希土類学会発行の「希土類(No.54)」に発表
【出願人】(399109333)学校法人青山学院 (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年5月21日 日本希土類学会発行の「希土類(No.54)」に発表
【出願人】(399109333)学校法人青山学院 (12)
【Fターム(参考)】
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