説明

発光玩具

【課題】機械的な動作を必要とせず顔の表情を変化させることができ、しかも作動しないときには卓上のアクセサリーとして飾ることができる癒しの心を備えた発光玩具を提供すること。
【解決手段】玩具体1の内部に複数の発光体Lを設けるとともに、玩具体1の外壁面に開口部13を設け、上記発光体Lの光を上記開口部13まで導く導光部材12を該発光体Lに夫々対応して配置するとともに、上記外壁面を透光性を有するカバー部材14で覆い、上記発光体Lの点灯状態を制御部6で制御して、上記発光体Lの発光時にのみ上記開口部13の形状が外部から視認できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光玩具、詳しくは発光体の点灯状態により表情の変化をもたらすことができる発光玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、玩具の表情を変化させる手段として目を動かすことが表情の変化を表現するのに最適であると考えられ、目玉を動かして表情を変える玩具が提案され実用化されている。目玉の動作をモータを動力として動かすものが一般的であるが、モータを用いることにより騒音が発生しやすいため、この目玉の動作をモータを用いずに制御する作動装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2000−296276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする問題点は、上述の作動装置はモータに代えて電磁石を用いたもので、電磁石の磁極を変えて励磁することにより、磁石の吸引、反発を利用したものである。しかしながら、目玉を動かして顔の表情を変化させることはできるが、顔の他の部分を作動させることができず、その表情の表現は限定されてしまう問題点があった。
【0004】
本発明は、上記問題点を解決し、機械的な動作を必要とせず顔の表情を変化させることができるとともに多様な表情の表現をすることができる。しかも、作動しないときには卓上のアクセサリーとして飾ることができる癒しの心を備えた発光玩具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために本発明に係る発光玩具は、以下の要件を備えることを特徴とする。
(イ)上記発光玩具は、玩具体の内部に複数の発光体を設けるとともに、玩具体の外壁面に開口部を設け、上記発光体の光を上記開口部まで導く導光部材を該発光体に対応して配置したこと
(ロ)上記外壁面は透光性を有するカバー部材で覆われ、該開口部は上記発光体の発光時にのみ外部から視認できること
(ハ)上記発光体は制御部により点灯状態が制御されること
なお、前記開口部は目部、口部等顔の各部位の形象を模して形成され、発光体の点灯状態によりカバー部材を透して見える開口部により、表情の変化が表現できるようにすればよい。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、玩具体の内部に配置した発光体の光を玩具体の外壁面に形成した開口部に導光部材で導くので、他の発光体の光が混合しないので所定の開口部に確実に光を導くことができ、開口部から投光される光がカバー部材を透して見ることができ、見せたい開口部を鮮明に見せることができる。
【0007】
請求項2の発明によれば、発光体の発光を制御することにより、目や口の表情を容易に変えることができるとともに、発光させる発光体を選択することにより、表情を自由に表現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
発光玩具は、玩具体の内部に複数の発光体を設けるとともに、玩具体の外壁面に開口部を設け、上記発光体の光を上記開口部まで導く導光部材を該発光体に夫々対応して配置するとともに、上記外壁面を透光性を有するカバー部材で覆い、上記発光体の点灯状態を制御部で制御して、上記発光体の発光時にのみ上記開口部の形状が外部から視認できるようにした。
【実施例1】
【0009】
図1は、本発明に係る発光玩具の一例を示し、この発光玩具はリンゴを模して形成された玩具体1と、植木鉢を模して形成された基台2とから構成され、玩具体1は基台2の上面に立設する木を模して形成された支柱部材3に吊り下げるように取り付けられているものである。
【0010】
玩具体1は、上記支柱部材3に懸垂軸4を介して前後又は左右に揺動するように取り付けられているもので、中空の前ケース5aと後ケース5bとで構成されたケース体5の内部には、玩具体1の表情を変化させる表情変化機構Aと、懸垂軸4に対して玩具体1を前後、左右に揺動させる揺動機構Bとが収容されている(図2参照)。
【0011】
表情変化機構Aは、図3に示すように、基板10上に取り付けられた8個の発光体L(L1〜L8)と、後述する導光部材12を保持する保持部材11と、保持部材11に保持され発光体Lの光を前方に導く導光部材12(12a〜12h)と、前ケース5aに形成された目や口を模して形成された開口部13(13a〜13h)とで構成されている。この開口部13は表情を表現するものなので以下、表情表現部と呼ぶ。
【0012】
なお、前ケース5aの前面は透光性を有する樹脂製のカバー部材14で覆われ、表情表現部13(13a〜13h)が外側から直接視認できないようにしている。
【0013】
保持部材11には5つの筒部15(15a〜15e)が形成され、筒部15の後端側は遮蔽され、発光ダイオードからなる発光体Lの先端部を挿入させるための挿入孔16a〜16hが夫々発光ダイオードL(L1〜L8)に対応して形成され、保持部材11に基板10をネジ止めしたときには、発光ダイオードLの先端が筒部15内に突出するようになっている。
【0014】
そして、筒部15aには前面側から導光部材12a、12bが収容され、筒部15bには前面側から導光部材12c、12dが収容され、筒部15cには前面側から導光部材12e、12fが収容され、筒部15dには前面側から導光部材12gが収容され、筒部15eには前面側から導光部材12hが夫々収容されている。
【0015】
各導光部材12には発光ダイオードLの先端が挿入される凹部17が形成され、発光した発光ダイオードLの光は、導光部材12に案内されて前方に導かれ、前ケース5aを内側から照射し、目や口を模して形成された表情表現部13を通過して前方を投光し、透光性を有するカバー部材14を内側から照射するので、表情表現部13の形状に応じてカバー部材14が明るく発光するようになっている。
【0016】
揺動機構Bは、図4に示すように、モータ20を駆動力として玩具体1を左右方向又は前後方向に揺動させるもので、モータ20の回転を正逆切り替えることにより玩具体1の前後、左右の揺動を切り替えることができるようになっている。
【0017】
モータ20の回転はネジ歯車21、22を介して駆動歯車23に伝達され、駆動歯車23の回転は、中間歯車24に伝達される。この中間歯車24には遊星歯車25が噛合しているので、中間歯車24が右回転すれば、遊星歯車25は右歯車26に噛み合い、中間歯車24が左回転すれば、遊星歯車25は左歯車27に噛み合うようになっており、中間歯車24が右回転し、右歯車26を回転させると、歯車28を介してカム30が回転し、レバー32が支軸34を中心に左右に回動する。レバー32の先端には懸垂軸4の下端に形成された係合軸36が係合し、懸垂軸4を支軸39で支持するフレーム40は前後に突出した支軸41が保持部材11に支持されているので、懸垂軸4は支軸39を中心に前後に回動することになるが、懸垂軸4は支柱部材に3に固定されているので、揺動機構B自体が前後に揺動することになる。
【0018】
一方、中間歯車24が左回転し、左歯車27を回転させると、歯車29を介してカム31が回転し、レバー33が支軸35を中心に左右に回動する。支軸35はフレーム40に形成されているので、フレーム40は支軸41を中心に上下に回動することになり、揺動機構B自体は左右に揺動するようになっている。
【0019】
図5は、発光玩具の電気的構成を説明するブロック図で、符号6は発光玩具全体を制御する制御部を示し、この制御部6はプログラマブル音声合成ICで構成すればよい。この制御部6は内蔵したメモリに記憶された制御プログラムと、センサ45の検出信号に従って発光ダイオードLの点灯状態を制御するとともに、モータ20の正逆回転制御、メモリに記憶された音声データを音声信号Vに変換してスピーカ46から音声を出力させるものである。
【0020】
なお、符号47はモータ20のドライブ回路、符号48はアンプ回路を示し、制御部6から駆動信号M1が出力されれば、モータ20を正回転、駆動信号M2が出力されれば、モータ20を逆回転するように回路が構成されている。また、アンプ回路48は制御部6から出力される音声信号Vを増幅してスピーカ46から音声を出力させるためのものである。
【0021】
また、符号49は電源スイッチ、符号50は電源の電池を示し、上述の制御部6、スピーカ46等とともに、基台2の内部に配置されていればよい。
【0022】
なお、メモリに記憶された音声データは、親密台詞(例えば、「あなたのこと大好き」、「今日も遊んでくれるの?」、「いつも有難う」)、リンク台詞(例えば、「突っつかないで」、「突っつかないでって」、「突っつかないでって言ってるでしょ!」)や、分岐台詞(例えば、「占ってあげようか」、「大吉!」〜「凶!」)等の音声データで構成され、玩具体1を指で突っつくと、その刺激をセンサ45が感知すると制御部6は、メモリからランダムに台詞を選択して出力するとともに、その台詞に対応した表情を表現するために、発光ダイオードLの点灯状態を制御するようになっている。
【0023】
例えば、図6に示すように、玩具体1を指で突っつきセンサ45をONさせると、制御部6はランダムに台詞を選択する。選択された台詞が分岐台詞で、「占ってあげようか」が出力されたときは、発光ダイオードL1、L4、L5、L6、L7、L8が点灯し、導光部材12a、12d、12e、12f、12g、12hを通過した光は表情表現部13a、13d、13e、13f、13g、13hからカバー部材14の裏面を照射するので、図7(b)に示すように、玩具体1の表情がウインクした顔になり、玩具体1を指で突っついて占いを催促すると、しばらく考えた後に「大吉!」や「凶!」などの占いの結果を音声で出力する。例えば、「大吉!」と音声を出力した場合は、制御部6は発光ダイオードL2、L4、L5、L6、L7、L8を点灯させるので、導光部材12b、12d、12e、12f、12g、12hを通過した光は表情表現部13b、13d、13e、13f、13g、13hからカバー部材14の裏面を照射するので、図7(a)に示すように、玩具体1の表情が笑顔になり、「凶!」と音声を出力した場合は、制御部は発光ダイオードL1、L3、L5、L7、L8を点灯させるので、導光部材12a、12c、12e、12g、12hを通過した光は表情表現部13a、13c、13e、13g、13hからカバー部材14の裏面を照射するので、図7(c)に示すように、玩具体1の表情が泣いたような顔になり、出力する音声にあわせて点灯させる発光ダイオードLを選択すれば、図7(a)〜(d)に示すような、様々な顔の表情を表現することができる。そのとき、モータ20を駆動する駆動信号M1、M2を選択的に出力すれば音声に合わせて玩具体が前後、左右に揺動して顔の表情とともに頭の動きでさらに変化に富んだ表情を表現することができる。
【0024】
なお、玩具体1の表情は、発光ダイオードLをどのように点灯させるかにより、その玩具体の表現する表情は図7に限定されるものではない。
【0025】
上述のように、出力する音声に合わせて、顔の表情を自由に設定できるので、単に目の表情だけではなく顔全体で感情を表現できるので、見るものの心を癒すことができる発光玩具を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る、発光玩具の一例を示す正面図
【図2】玩具体の内部構造を説明する分解斜視図
【図3】表情変化機構を説明する分解斜視図
【図4】揺動機構を説明する分解斜視図
【図5】上記発光玩具の電気的構成を説明するブロック図
【図6】上記発光玩具の使用状態を説明する正面図
【図7】(a)〜(d)は玩具体の表情の一例を示す説明図
【符号の説明】
【0027】
1 玩具体
2 基台
3 支持部材
6 制御部
12 導光部材
13 開口部(表情表現部)
14 カバー部材
A 表情変化機構
B 揺動機構
L 発光体(発光ダイオード)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の要件を備えることを特徴とする発光玩具。
(イ)上記発光玩具は、玩具体の内部に複数の発光体を設けるとともに、玩具体の外壁面に所定の形状を有する開口部を設け、上記発光体の光を上記開口部まで導く導光部材を該発光体に対応して夫々配置したこと
(ロ)上記外壁面は透光性を有するカバー部材で覆われ、該開口部の形状は上記発光体の発光時にのみ外部から視認できること
(ハ)上記発光体は制御部により点灯状態が制御されること
【請求項2】
前記開口部は目部、口部等顔の各部位の形象を模して形成されている、請求項1記載の発光玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−247240(P2006−247240A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−70618(P2005−70618)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【出願人】(594177472)有限会社イング二十一 (5)
【Fターム(参考)】