説明

発光玩具

【課題】着用感及び使用感が良好であり、発光状態の調節も可能な発光玩具を提供する。
【解決手段】外部から加えられた圧力を検知し、その圧力の大きさに応じた電気信号を出力する圧力検出モジュール12と、圧力検出モジュール12の電気信号に制御されて発光するLED16aが表面に取り付けられた発光体ユニット16を備える。圧力検出モジュール12と発光体ユニット16とを、掌に一体に装着するためのベルト20a,20bを備える。圧力検出モジュール12は、外部から加えられた圧力によって自身の回路インピーダンスが変化する感圧導電ゴム32を有する圧力/インピーダンス変換回路40と、感圧導電ゴム32のインピーダンスの変化に応じた電気信号を生成するインピーダンス/電流変換回路42と、各変換部及びLED16aを構成する電子回路に電源供給する電源部であるボタン電池30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、掌に装着され、外部圧力が加わると所定の部分が発光する玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者の掌に装着され、所定の動作をすると、特定の部分が発光する玩具がある。この種の玩具としては、例えば特許文献1に開示されているように、手袋体の甲部分に、電池、発光等する装置及び開閉部からなる回路を内装し、開閉部に接離自在かつ自動復帰可能な電気接点を設け、開閉部を折り曲げ・押圧することにより上記電気接点がオンし、発光体が点灯するものがあった。
【特許文献1】実開昭57−185714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1の手袋にあっては、手袋体の甲部分に電気接点が設けられ、掌の曲げ等の動きによりオン/オフすることによって、点灯/消灯の何れかの状態に切り替わるものであり、拍手等の動作により発光するものではない。また、点灯は接点のオン/オフ動作だけによるものなので、使用者の感情の抑揚等が発光状態の変化として現れにくいものである。
【0004】
また、音楽に合わせて発光させようとする場合に、比較的ゆったりしたリズムの曲に合わせて掌を曲げ伸ばし等すると、通常は、両手を動かす動作も緩慢になるので、電気接点がオン・オフするタイミングにばらつきが生じ、発光体の点灯/消灯が曲のリズムからずれてしまい、使用者自身に不快感を与える場合がある。
【0005】
この発明は、上記背景技術に鑑みて成されたもので、着用感及び使用感が良好であり、発光状態の調節も可能な発光玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、掌部分に装着され、手の動作に応答して発光する発光体が表面に取り付けられた発光玩具であって、外部から加えられた圧力を検知し、その圧力の大きさに応じた電気信号を出力する圧力検出モジュールと、前記圧力検出モジュールの電気信号に制御されて発光する発光体が表面に取り付けられた発光体ユニットと、前記圧力検出モジュールと前記発光体ユニットとを掌に一体に装着するためのベルト部分とを備え、前記圧力検出モジュールは、外部から加えられた圧力によって自身の回路インピーダンスが変化する感圧素子を有する圧力/インピーダンス変換部と、前記感圧素子のインピーダンスの変化に応じた電気信号を生成するインピーダンス/電気信号変換部と、前記各変換部及び発光体を構成する電子回路に電源供給する電源部とを備えた発光玩具である。
【0007】
また、前記発光体ユニットに取り付けられた前記発光体は、発光ダイオードであって、前記圧力検出モジュールは、前記圧力検出モジュールに加わった外部圧力が大きいときほど、前記発光ダイオードに流す電流が大きくなるよう制御する電気信号を出力するものであってもよい。
【0008】
また、前記インピーダンス/電気信号変換部は、前記圧力検出モジュールが加わった圧力が低下した後、圧力が加わったときの電気信号出力を所定時間保持する出力保持回路を備えたものであってもよい。
【0009】
また、前記圧力検出モジュールは、底板部分及びそれを囲む側壁部分を有する絶縁ケースと、前記絶縁ケースの開口部上方に配置された絶縁板と、前記絶縁板を下方から支持する弾性部材と、前記絶縁ケースの底板表面に回路配線パターンを形成し、その表面に前記各変換部を構成する電子回路部品が実装された第一の導電部と、前記第一の導体部上に載置された前記電源部である円盤状のボタン電池と、前記ボタン電池の上面電極上に載置され、前記感圧素子である板状の感圧導電ゴムと、前記絶縁板の下面側の、少なくとも前記感圧導電ゴムと対向する位置に設けられた第二の導体部と、前記第二の導電部表面の前記ボタン電池の前記電極部と対向する位置に取り付けられた導電ブッシュとを備え、
前記絶縁板の上面側から下向きに圧力が加わると、前記弾性部材の弾性変形により、前記絶縁板、前記第二の導電部及び前記導電ブッシュが一体に下降し、前記導電ブッシュによる押圧によって前記感圧導電ゴムが変形する構造を備えた発光玩具である。
【0010】
さらに、前記圧力検出モジュールは、底板部分及びそれを囲む側壁部分を有する絶縁ケースと、前記絶縁ケースの開口部上方に配置された可撓性絶縁板と、前記絶縁板を下方から支持する固定部材と、前記絶縁ケースの底板表面に回路配線パターンを形成し、その表面に前記各変換部を構成する電子回路部品が実装された第一の導電部と、前記第一の導体部上に載置された前記電源部である円盤状のボタン電池と、前記ボタン電池の上面電極上に載置され、前記感圧素子である板状の感圧導電ゴムと、前記可撓性絶縁板の下面側の、少なくとも前記感圧導電ゴムと対向する位置に設けられた第二の導体部と、前記第二の導電部上の前記ボタン電池の前記電極部と対向する位置に取り付けられた導電ブッシュとを備え、
前記可撓性絶縁板の上面側から下向きに圧力が加わると、前記絶縁板が下向きに撓むことにより、前記第二の導電部及び前記導電ブッシュが一体に下降し、前記導電ブッシュによる押圧によって前記感圧導電ゴムが変形する構造を備えた発光玩具である。
【発明の効果】
【0011】
この発明の発光玩具は、自身の回路インピーダンスが変化する感圧素子を用いて圧力の変化を検出し、それに対応した連続的な値(アナログ値)の電気信号によって発光体の輝度を変化させることができ、使用者の拍手による圧力の強弱を容易且つ正確に発光輝度に反映させることができる。
【0012】
また、インピーダンス/電気信号変換部に出力保持回路を設けることによって、例えば、両手で手拍子をしているときに、両手が合ったときの点灯状態が、両手が離れた後にも一定の期間継続するので、使用者はその期間に余韻を楽しむことができる。また、ベルト部分で手に装着する構造のため、掌が覆われる面積が手袋に比べて格段に小さくなり、使い心地がよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の一実施形態の発光玩具10について、図1〜図4に基づいて説明する。発光玩具10は、低背の円筒形の圧力検出モジュール12が取り付けられたモジュール保持部14と、複数の発光ダイオード16a(以下、LED16aと称す)が表面に露出して取り付けられた略三日月形の発光体ユニット16とを備えている。そして、圧力検出モジュール10は使用者の左手18の掌側に、発光体ユニット16は手の甲側に各々密着させて配置し、図1(a)(b)に示すように、親指の左右の付け根を通る2本のベルト20aと、薬指の左右の付け根を通るベルト20bにより互いに接続され、左手18に装着可能に設けられている。
【0014】
モジュール保持部14は、図2に示すように、中央に凹状の開口部14aが形成され、後述する絶縁板24が開口部14aから露出させて、圧力検出モジュール12が収納されている。従って、使用者が拍手や手拍子を行うと、右手によって加えられる圧力が、絶縁板24を垂直に押し下げ可能に構成されている。詳細な動作については後述する。
【0015】
圧力検出モジュール12は、図3に示すように、合成樹脂等の絶縁物で形成され、底板22aとそれを囲む側壁22b及び開口部22cを有する絶縁ケース22を備えている。開口部22cの上方には、同じく合成樹脂等で形成された絶縁板24が配置され、底板22a上に配置された弾性部材26によって、下方から支持されている。弾性部材26は、例えば軽量の海綿状のスポンジや発泡ゴム等が好ましく、絶縁板24の上方から圧力Fが加わっていない状態で、絶縁板24を側壁22bの先端よりも高い位置に支持可能な形状を有している。また、圧力Fが加わると、絶縁板24は弾性部材26の収縮によって下方に移動し、圧力Fが一定の値を越えると、絶縁板24の両端は側壁部22bの上端部状に係止され移動が止まる。この構造によって、一定以上の強い圧力が加えられたときでも、後述する絶縁ケース22内部の構造物が破損しないように保護することができる。
【0016】
絶縁ケース22の底板22a表面には、所定の電子部品が実装された図示しない回路配線パターンを備えた第一の導電部28が設けられている。第一の導電部28上には、上記増幅回路に電源を供給する円盤状のボタン電池30がプラス電極30aを下方に向けて載置され、回路配線パターン上の所定の位置に、はんだ付け等により機械的及び電気的に接続されている。
【0017】
ボタン電池30の上方のマイナス電極30b上には、感圧素子の一種であって、薄板状に形成された感圧導電ゴム32が取り付けられている。感圧導電ゴム32は、圧力が加えられて収縮すると自己の抵抗値が低下する特性を備え、その圧力と抵抗値との関係は、比較的緩やかで連続的な関係であることが好ましい。
【0018】
絶縁板24の下面側の、少なくとも感圧導電ゴム32と対向する所定の領域に、第二の導電部34が一体に設けられている。そして、第二の導電部34表面の、ボタン電池30のマイナス電極30bと対向する位置には、感圧導電ゴム32の表面とほぼ平行に当接可能な当接面36aが形成された導電ブッシュ36が取り付けられている。導電ブッシュ36は、例えば、導電特性を有し、金属よりも柔らかなウレタン樹脂等の材質を用いることが好ましく、導電性接着剤等を用いて第二の導電部34上に機械的及び電気的に接続されている。感圧導電ゴム32と導電ブッシュ36によりスイッチSW1を構成している。
【0019】
また、第一の導電部28に設けられた回路配線パターン上の所定位置には、図示しない電子回路部品が実装されており、さらに導電部間接続線38で2つの導電部28,34を接続することによって、後述する圧力/インピーダンス変換部である圧力/インピーダンス変換回路40(以下、F/Z変換回路40と称す)と、インピーダンス/電気信号変換部であるインピーダンス/電流変換回路42(以下、Z/I変換回路42と称す)とで成る圧力/電気信号変換部である圧力/電流変換回路44(以下、F/I変換回路44と称す)が構成されている。そして、Z/I変換回路42の出力から2本のLED接続線46が引き出され、ベルト20aの内部を通じて発光体ユニット16に取り付けられたLED16aに電流を供給し発光動作を行うことができる。
【0020】
次に、F/I変換回路44の回路構成について、図4、図5に基づいて説明する。F/I変換回路44は、図4(a)に示すように、電源部であるボタン電池30からの電源供給によって動作し、外部から加えられた圧力Fを検知し、出力端に接続されたLED16に対して、圧力Fの大きさに応じた電流I(F)を供給する機能を備えている。
【0021】
ボタン電池30には、図4(b)に示すように、マイナス電極30b側に、感圧導電ゴム32とスイッチSW1の直列回路で成るF/Z変換回路40が接続されている。スイッチSW1は、一方の接点が導電ブッシュ36、他方の接点が感圧導電ゴム32であって、図3に示すように、絶縁板24の上方から加えられた圧力Fによって弾性部材26が下方に収縮し、下降した導電ブッシュ36の当接面36aが感圧導電ゴム32上面に接触すると、スイッチSW1がオン状態となる。さらに絶縁板24が下降すると、絶縁板24及び導電ブッシュ36は、弾性部材26と共に感圧導電ゴム32をも収縮させ、やがて絶縁板24は絶縁ケース22の側壁22bの上端部に達して係止され、それ以上下降することができなくなる。反対に、その状態から圧力Fが小さくなると、絶縁板24は、弾性部材26の反発力に押されて上昇し、やがて導電ブッシュ36が感圧導電ゴム32から離れるとスイッチSW1がオフ状態となる。
【0022】
上記の動作の中で、感圧導電ゴム30の抵抗値Rは、図5(a)のように変化する。すなわち、圧力Fが小さく、スイッチSW1がオフ状態の間は、感圧導電ゴム36が変形しないので、抵抗値Rは一定の大きな値を示す。徐々に圧力Fが大きくなると、導電ブッシュ36が感圧導電ゴム32と接触し、SW1がオン状態となり、感圧導電ゴム36が収縮し始める。すると、圧力Fの増大に応じて抵抗値Rが緩やかに低下する。そして、絶縁板22が絶縁ケース22の側壁22bの上端部に係止されると、感圧導電ゴム36の収縮は止まり、抵抗値Rは一定の値を維持する。一方、その状態から圧力Fを小さくすると、上記の履歴を反対に辿って、抵抗値Rが上昇する。
【0023】
Z/I変換回路42は、図4(b)に示すように、ボタン電池30のプラス電極30a側の一端と、F/Z変換回路40のスイッチSW1側の一端との間に接続されている。この端子間に、抵抗R1,R2で成る直列回路とコンデンサC1との並列回路が設けられ、抵抗R1,R2の中点にPNP型のトランジスタTR1のベース端子が接続され、エミッタ端子とプラス電極30aの間には抵抗R3が接続され、Z/I変換回路42が構成されている。そして、トランジスタTR1のコレクタ端子と、抵抗R2のF/Z変換回路40に接続された側の一端との間がZ/I変換回路42の出力となり、LED接続線46を介してLED16に電流I(F)を供給可能に接続されている。
【0024】
ここで、図3の構造図と図4(b)の回路図との対応について説明すると、ボタン電池30のプラス側電極30a側の電位、および、抵抗R1,R2,R3、トランジスタTR1、コンデンサC1の各端子の電位は、第一の導電部28にもうけられた回路配線パターン上に形成されている。そして、F/Z変換回路40のスイッチSW1側の一端と、Z/I変換回路42のコンデンサC1と抵抗R2の接続点は、第二の導電部34と導電部間接続線38との直列回路を介して接続されている。
【0025】
次に、F/I変換回路44の回路動作について、図5(a)(b)に基づいて説明する。圧力Fが小さく、スイッチSW1がオフ状態のときは、Z/I変換回路42に電源供給されず、回路電流I(F)はゼロとなり、LED16が消灯する。圧力が徐々に大きくなるとスイッチSW1がオン状態となり、コンデンサC1の両端に、ボタン電池30の電源電圧を感圧導電ゴム32の抵抗値Rと抵抗R1,R2の合成直列抵抗とで分圧した電圧が発生する。すると、抵抗R3には、コンデンサC1の両端電圧を抵抗R1,R2で分圧した電圧からトランジスタTR1のベース・エミッタ間順電圧を減算して求まる電圧が印加される。そして、トランジスタTR1のコレクタ端子から、抵抗R3に印加された電圧を抵抗R3の抵抗値で除算して求まる電流I(F)が流出する。
【0026】
圧力Fが大きくなると感圧導電ゴム32の抵抗値Rがそれに伴って低下するとともに、電流I(F)が増大し、LED16の輝度が高くなる。この電流I(F)の変化は、例えば、抵抗R1,R2,R3の各抵抗値を、電流I(F)が感圧導電ゴム32に流れる電流よりも十分小さな値になるように設定すれば、電流I(F)は感圧導電ゴム32の抵抗値Rとほぼ反比例の関係をもって変化するよう設定することができる。
【0027】
この状態から圧力Fが小さくなると、感圧導電ゴム32の抵抗値Rが上昇し、電流I(F)は上記履歴を反対に辿って減少する。やがて、導電ブッシュ32が感圧導電ゴム32から離れるとスイッチSW1がオフ状態となり、電流I(F)が遮断されてLED16が消灯する。
【0028】
なお、コンデンサC1は、外部から入力されたノイズ等の外乱を吸収する働きをするほか、所定の大きな容量値に設定すれば、圧力検出モジュール12に加えられた圧力Fが低下した後も、圧力が加わった状態の電流I(F)を流し続ける、いわゆる出力保持回路として動作する。すなわち、圧力Fが低下して感圧導電ゴム32の抵抗値が上昇し、あるいは、スイッチSW1が開放した後でも、コンデンサC1に蓄積された電荷によって、その電荷が放電するまでの時間、電流I(F)をLED16aに供給し続けることができる。この放電時間は、コンデンサC1と各部の抵抗との時定数を鑑みて任意に設定することができる。
【0029】
以上の構成を備えた発光玩具10は、例えば、舞台が明るく照らされ、客席の照明が暗くされた会場で行われるコンサートに参加した観客等が使用する。演奏された楽曲のリズムに合わせて観客が手拍子をすると、左右の掌が合ったとき、観客の左手18に装着された発光玩具10に、右手によって圧力Fが加わる。このとき、圧力Fは、掌側に配置された圧力検出モジュール12の絶縁板24上に加わり、F/I変換回路44によって電流I(F)に変換され、LED16に供給される。そして、手の甲側に配置された発光体ユニット16の表面に露出したLED16aが点灯する。一方、左右の掌が離れたときは、圧力Fが解除され発光部分16aが消灯する。すると、暗い客席が楽曲のリズムに合わせて点灯/消灯を繰り返し、コンサートを盛り上げることができる。
【0030】
また、観客が演奏者に拍手を送るとき、大きな拍手をすると、必然的に左右の掌を強く合わせる動作が行われ、圧力Fが大きくなる。すると、図5に示すF/I変換回路44の特性に従って、左右の掌を合わせたときの電流I(F)が増大し、LED16aが高い輝度で発光する。一方、拍手を小さくすると、左右の掌を合わせたときの電流I(F)が減少し、LED16aの輝度が低くなる。従って、観客の「演奏者を強く称えたい」という感情や「普通の演奏に感じた」という感情が、LED16aの輝度の差として現れる。このように、拍手の強弱として現れる使用者の感情が、LED16aの発光輝度に反映され、拍手をする使用者は面白いと感じる。
【0031】
また、ゆっくりとしたリズムに合わせて手拍子をしたときに生じやすい点灯/消灯のタイミングのばらつきについても、上述した図5に示すF/I変換回路44の特性によって生じるLED16の発光輝度の連続的変化の中に吸収され、使用者には不快感を生じさせない。
【0032】
さらに、コンデンサC1の出力保持回路としての動作によって、手拍子をする中でLED16aが点灯から消灯に切り替わるときに遅れ時間が生じ、観客には、それが手拍子の余韻として感じられて心地よい。
【0033】
なお、本発明の発光玩具は上記実施形態に限定されるものではなく、ベルト部分は、モジュール本体14と発光体ユニット16を、左手または右手の所定の位置に固定することができる形態であれば、例えば図6に示す上記実施形態の変形例の発光玩具50のように、薬指の左右の付け根を通るベルト20bの代わりに、掌から手の甲にかけて手の側方に巻きつく1本のベルト20cを設けた形態であってもよい。また、例えば、身体障害者等のリハビリ用に使用され、発光玩具を一方の手に装着し、両手で手拍子をする以外の方法で圧力検出モジュール12に圧力を加える場合は、圧力検出モジュール12を圧力を加えやすい別の位置に、発光体ユニット16を発光体16aを被介護者が視認しやすい別の位置に各々配置してもよく、用途に合わせ、自由に配置変更しても構わない。
【0034】
また、絶縁板24の上方から圧力Fが加えられると、圧力Fにほぼ比例する距離だけ導電ブッシュ36を下方に移動させることができる構造であれば、本実施形態が有する導電ブッシュ36を上下移動させる絶縁板24、弾性部材26及び側壁22bの構造を自由に変更しても良い。例えば、弾性部材26を設けず、絶縁板24を可撓性を備えた板材に置き換え、その周縁部分を側壁22bの上端部に載置する構成とする方法でもよい。すなわち、絶縁板24の上方中央部に圧力F加わると絶縁板24が下向きに撓み、絶縁板24の下方中央部に配置された導電ブッシュ36が圧力Fの大きさに応じて所定の距離だけ下方に移動するので、上記実施形態と同様の動作を行うことができる。
【0035】
また、圧力/インピーダンス変換回路を備える感圧素子は、必ずしも抵抗値が変化する感圧導電ゴム32等に限定されるものではなく、例えば、圧力が加わると静電容量が変化する特性を備えた感圧素子等であってもよい。
【0036】
また、圧力/インピーダンス変換部は、必ずしも本実施形態のようなスイッチSW1を有する構造である必要はない。例えば、感圧素子に圧力が加わったときと加わっていないときで、発光体の輝度の差が顕著に現れるようにインピーダンス/電気信号変換部が設定されていれば、使用者の感情が視覚的に十分認識できるので、本発明の目的は十分に果たすことができる。
【0037】
また、インピーダンス/電気信号変換部は、圧力検出モジュールに加わった外部圧力に応じた電気信号を生成して発光体の輝度を変化させるものであれば、本実施形態の回路構成に限定するものではない。例えば、感圧素子のインピーダンス変化を周知のブリッジ回路やオペアンプ等を用いたアナログ増幅回路等を用いて高精度に検出したり、また、発光体の形態に合わせ、その発光体の駆動に適した電気信号を生成する任意の構成の回路を用いてもよい。
【0038】
また、インピーダンス/電気信号変換部の構成の一部を圧力検出モジュールから独立させ、それを発光体の発光体ユニットと一体に取り付けても良い。これによって、例えば、発光体ユニットと圧力検出モジュールの重量バランスを調整したり、発光体に直接入力するノイズを除去するための最適な部品実装レイアウトを構成することができ、様々な構造設計上の制約に対して、整合をとることができる。
【0039】
さらに、電気信号出力を所定時間だけ保持する出力保持回路は、使用者が手拍子等を行うと、発光体が点灯から消灯に切り替わるときに遅れ時間を生じさせ、それを余韻として感じさせる機能を有するものであればよく、Z/I変換回路42のようにコンデンサC1に蓄えた電荷を利用して出力信号を出力し続ける回路構成に代えて、例えば、抵抗R1,R2の直列回路両端の電圧を検出し、両端電圧の上昇・下降に応じてその検出電圧にヒステリシスを生じさせる信号を重畳する周知のヒステリシス発生技術を用いた出力保持回路としてもよく、特に限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】この発明の発光玩具を手に装着した様子を示す掌側から見た斜視図(a)と、手の甲側から見た斜視図(b)である。
【図2】この実施形態の発光玩具のモジュール本体から圧力検出モジュールを取り外した様子を示す斜視図である。
【図3】この実施形態の圧力検出モジュールの内部構造を示す部分断面図である。
【図4】この実施形態のF/I変換回路を示すブロック図(a)と、F/I変換回路の具体例を示す回路図(b)である。
【図5】この実施形態の感圧導電ゴムの圧力F−抵抗値R特性の一例を説明するグラフ(a)と、F/I変換回路の圧力F−電流I(F)特性の一例を示すグラフ(b)である。
【図6】この実施形態のベルト部分の変形例の手のひら装身具を手に装着した様子を示す掌側から見た斜視図(a)と、手の甲側から見た斜視図(b)である。
【符号の説明】
【0041】
10 発光玩具
12 圧力検出モジュール
14 モジュール保持部
16 発光体ユニット
16a LED
20a,20b ベルト
26 弾性部材
30 ボタン電池
32 感圧導電ゴム
40 F/Z変換回路
42 Z/I変換回路
44 F/I変換回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掌部分に装着され、手の動作に応答して発光する発光体が表面に取り付けられた発光玩具において、
外部から加えられた圧力を検知し、その圧力の大きさに応じた電気信号を出力する圧力検出モジュールと、前記圧力検出モジュールの電気信号に制御されて発光する発光体が表面に取り付けられた発光体ユニットと、前記圧力検出モジュールと前記発光体ユニットとを掌に一体に装着するためのベルト部分とを備え
前記圧力検出モジュールは、外部から加えられた圧力によって自身の回路インピーダンスが変化する感圧素子を有する圧力/インピーダンス変換部と、前記感圧素子のインピーダンスの変化に応じた電気信号を生成するインピーダンス/電気信号変換部と、前記各変換部及び発光体を構成する電子回路に電源供給する電源部とを備えたことを特徴とする発光玩具。
【請求項2】
前記発光体ユニットに取り付けられた前記発光体は、発光ダイオードであり、前記圧力検出モジュールは、前記圧力検出モジュールに加わった外部圧力が大きいときほど、前記発光ダイオードに流す電流が大きくなるよう制御する電気信号を出力することを特徴とする請求項1記載の発光玩具。
【請求項3】
前記インピーダンス/電気信号変換部は、前記圧力検出モジュールが加わった圧力が低下した後、圧力が加わったときの電気信号出力を所定時間保持する出力保持回路を備えたことを特徴とする請求項2記載の発光玩具。
【請求項4】
前記圧力検出モジュールは、
底板部分及びそれを囲む側壁部分を有する絶縁ケースと、前記絶縁ケースの開口部上方に配置された絶縁板と、前記絶縁板を下方から支持する弾性部材と、前記絶縁ケースの底板表面に回路配線パターンを形成し、その表面に前記各変換部を構成する電子回路部品が実装された第一の導電部と、前記第一の導体部上に載置された前記電源部である円盤状のボタン電池と、前記ボタン電池の上面電極上に載置され、前記感圧素子である板状の感圧導電ゴムと、前記絶縁板の下面側の、少なくとも前記感圧導電ゴムと対向する位置に設けられた第二の導体部と、前記第二の導電部表面の前記ボタン電池の前記電極部と対向する位置に取り付けられた導電ブッシュとを備え、
前記絶縁板の上面側から下向きに圧力が加わると、前記弾性部材の弾性変形により、前記絶縁板、前記第二の導電部及び前記導電ブッシュが一体に下降し、前記導電ブッシュによる押圧によって前記感圧導電ゴムが変形すること特徴とする請求項1,2または3記載の発光玩具。
【請求項5】
前記圧力検出モジュールは、
底板部分及びそれを囲む側壁部分を有する絶縁ケースと、前記絶縁ケースの開口部上方に配置された可撓性絶縁板と、前記絶縁板を下方から支持する固定部材と、前記絶縁ケースの底板表面に回路配線パターンを形成し、その表面に前記各変換部を構成する電子回路部品が実装された第一の導電部と、前記第一の導体部上に載置された前記電源部である円盤状のボタン電池と、前記ボタン電池の上面電極上に載置され、前記感圧素子である板状の感圧導電ゴムと、前記可撓性絶縁板の下面側の、少なくとも前記感圧導電ゴムと対向する位置に設けられた第二の導体部と、前記第二の導電部上の前記ボタン電池の前記電極部と対向する位置に取り付けられた導電ブッシュとを備え、
前記可撓性絶縁板の上面側から下向きに圧力が加わると、前記絶縁板が下向きに撓むことにより、前記第二の導電部及び前記導電ブッシュが一体に下降し、前記導電ブッシュによる押圧によって前記感圧導電ゴムが変形することを特徴とする請求項1,2または3記載の発光玩具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−104414(P2010−104414A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276607(P2008−276607)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(503007151)有限会社アイキャプス (2)
【出願人】(508363373)株式会社イナホ (1)
【Fターム(参考)】