説明

発光素子、発光素子パッケージおよびこれを含む照明システム

【課題】電気的/光学的信頼性を改善できる発光素子、発光素子の製造方法、発光素子パッケージおよび照明システムを提供すること。
【解決手段】本発明は、発光素子、発光素子パッケージおよび照明システムに関する。本発明の一態様による発光素c子は、第1導電型の第1半導体層と、前記第1導電型の第1半導体層上の活性層と、前記活性層上の第2導電型の第2半導体層と、前記第2導電型の第2半導体層上の信頼性強化層と、前記信頼性強化層上の、光抽出パターンを有する第2導電型の第3半導体層とを備え、前記信頼性強化層と前記活性層との間の距離は0.3μm〜5μmにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子、発光素子の製造方法、発光素子パッケージおよび照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子(Light Emitting Device)は、電気エネルギーを光エネルギーに変換する素子である。例えば、LEDは化合物半導体の組成比を調節することによって多様な色を具現することが可能である。
【0003】
従来技術による発光素子は、窒化物半導体を利用して形成する。例えば、従来技術による発光素子は、p-GaN層、活性層およびn-GaN層を含む。
【0004】
一方、従来技術によれば、n-GaN層に光抽出効率を改善するために化学的エッチング方法によって表面粗さを持たせることがある。
【0005】
ところで、このような化学的エッチング方法は、n-GaNエピ層内でエッチング深さのバラツキを引き起こす問題がある。
【0006】
例えば、n-GaNエピ層内で一部分が過度にエッチングされ、このような部位は素子作動時、注入電流の漏洩および電気的/光学的信頼性を低下させる要因となる。特に、n-GaNエピ層内の結晶欠陥の周囲における過度なエッチングは、素子の信頼性を深刻に低下させる。
【0007】
特に、大面積/高出力照明用の発光素子の場合、小面積/低出力発光素子に比べて注入電流量が相対的に多く、発光面積が広いことから、素子の信頼性問題はより重要となる。
【0008】
また、窒化物半導体発光素子は、本質的に数多い拡散転位(threading dislocations)などの結晶欠陥が存在する。このような結晶欠陥は、特に垂直型発光素子の場合、負電極と正電極の間に直接的な電流の漏洩経路を形成し、またn-GaN層表面に対する化学的エッチング工程時、結晶欠陥の周囲に優先的なエッチングが行われるので、発光素子の電気的信頼性を深刻に低下させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の問題点を解消すべく、電気的/光学的信頼性を改善できる発光素子、発光素子の製造方法、発光素子パッケージおよび照明システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様による発光素子は、第1導電型の第1半導体層と、前記第1導電型の第1半導体層上の活性層と、前記活性層上の第2導電型の第2半導体層と、前記第2導電型の第2半導体層上の信頼性強化層と、前記信頼性強化層上の、光抽出パターンを有する第2導電型の第3半導体層とを備え、前記信頼性強化層と前記活性層との間の距離は0.3μm〜5μmにすることができる。
【0011】
また、本発明の一態様による発光素子は、第1導電型の第1半導体層と、前記第1導電型の第1半導体層上の活性層と、前記活性層上の第2導電型の第2半導体層と、前記第2導電型の第2半導体層上の、突出部を有する信頼性強化層と、前記信頼性強化層上の第2導電型の第3半導体層とを備える。
【0012】
本発明の一態様による発光素子パッケージは、パッケージ本体部と、前記パッケージ本体部上の少なくとも1つ以上の電極層と、前記電極層と電気的に連結された前記発光素子と、前記発光素子上のモールディング部材とを備える。
【0013】
本発明の一態様による照明システムは、基板と、前記基板上に配置された前記発光素子パッケージを有する発光モジュール部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施例に係る発光素子の断面図。
【図2A】電子注入層の厚さ変化(t)による有効屈折率(modal index)の変化図。
【図2B】発光素子における信頼性強化層と活性層の間の距離による素子の逆方向降伏電圧(reverse breakdown voltage、Vr)の特性図の例示図。
【図3】第1の実施例に係る発光素子の製造方法の工程断面図。
【図4】第1の実施例に係る発光素子の製造方法の工程断面図。
【図5】第1の実施例に係る発光素子の製造方法の工程断面図。
【図6】第1の実施例に係る発光素子の製造方法の工程断面図。
【図7】第1の実施例に係る発光素子の製造方法の工程断面図。
【図8】第1の実施例に係る発光素子の製造方法の工程断面図。
【図9】第1の実施例に係る発光素子の製造方法の工程断面図。
【図10】第2の実施例に係る発光素子の断面図。
【図11】第2の実施例に係る発光素子の部分拡大図。
【図12】本発明の一実施例に係る発光素子の製造方法の工程断面図。
【図13】本発明の一実施例に係る発光素子の製造方法の工程断面図。
【図14】本発明の一実施例に係る発光素子の製造方法の工程断面図。
【図15】本発明の一実施例に係る発光素子の製造方法の工程断面図。
【図16】本発明の一実施例に係る発光素子の製造方法の工程断面図。
【図17】本発明の一実施例に係る発光素子の製造方法の工程断面図。
【図18】本発明の一実施例に係る発光素子の製造方法の工程断面図。
【図19】本発明の一実施例に係る発光素子パッケージの断面図。
【図20】本発明の一実施例に係る照明ユニットの斜視図。
【図21】本発明の一実施例に係るバックライトユニットの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の発光素子、発光素子パッケージおよび照明システムを添付された図面を参照して説明する。
【0016】
本発明の実施例の説明において、各層(膜)、領域、パターンまたは構造物が基板、各層(膜)、領域、パッドまたはパターンの「上(on/over)」にまたは「下(under)」に形成されると記載される場合、「上(on/over)」と「下(under)」は「直接(directly)」または「他の層を介在して(indirectly)」形成されるものも全部含む。また、各層の上または下に対する基準は、図面を基準として説明する。
なお、図面において、各層の厚さや大きさは説明の便宜性および明確性を図り、誇張または省略的に、或いは概略的に図示されており、各構成要素の大きさは実際の大きさを全面的に反映するものではない。
【0017】
(第1の実施例)
図1は、第1実施例に係る発光素子100の断面図である。
第1の実施例に係る発光素子100は、第1導電型の第1半導体層111と、前記第1導電型の第1半導体層111上に形成された活性層115と、前記活性層115上に形成された第2導電型の第2半導体層112aと、前記第2導電型の第2半導体層112a上に信頼性強化層135と、前記信頼性強化層135上に形成された第2導電型の第3半導体層112bとを備えることができる。
【0018】
第1の実施例で、信頼性強化層はエッチングに対する信頼性強化層、漏洩電流の防止による信頼性強化層などの機能をすることができるが、これに限定されない。
【0019】
前記第2導電型の第2半導体層112aおよび前記第2導電型の第3半導体層112bは、電子注入層の機能をする第2導電型の半導体層112を構成することができる。
【0020】
前記第1導電型の第1半導体層111、前記活性層115および前記第2導電型の半導体層112は発光構造物110を構成することができ、前記第2導電型の半導体層112上にはパッド電極140を形成することができる。
【0021】
第1の実施例は、前記第2導電型の第3半導体層112bに光抽出パターン(P)を有することで、外部光抽出効率を増大させ、高出力の発光素子を提供することができる。
【0022】
本実施例によれば、光抽出パターン(P)を形成するための化学的エッチング工程時に発生する薄膜の過度なエッチング問題を、信頼性強化層によって解決することができる。例えば、前記第2導電型の第3半導体層112bに光抽出パターン(P)を形成するために、第2導電型の第3半導体層112bに対するエッチングを行う場合、前記信頼性強化層135がエッチング防止膜の機能をして前記第2導電型の第2半導体層112aがエッチングされないことで、信頼性を向上させることができる。
【0023】
具体的に、サファイア基板などの薄膜成長用基板からLEDエピ薄膜を分離した後、露出される第2導電型の半導体層は平坦な表面を有し、露出される第2導電型の半導体層は光抽出効率を改善するために、ウェットエッチングまたはドライエッチングによって、ランダムな形状または規則的な形状の表面粗さが持たされる。
【0024】
このとき、信頼性強化層135は、第2導電型の半導体層に比べて化学的または物理的にエッチングされる速度が遅いので、化学的エッチングの進行は信頼性強化層で実質的に停止することになる。従って、薄膜内で不均一に一定の部位で発生する過度な化学的エッチングの進行は、信頼性強化層によって効果的に遮断される。よって、第2導電型の半導体層は、層全体的に均一なエッチング深さを持つようになる。
【0025】
また、本実施例で信頼性強化層は光抽出パターンを形成するためのドライエッチングダメージを防止することができ、信頼性強化層にAlの組成が高い場合、ドライエッチングのエッチング遮断層の機能をすることができる。
【0026】
このため、本実施例によれば、信頼性強化層により層全体的に均一なエッチング深さを提供することで、素子の光学的および電気的特性/信頼性を改善し、素子の生産収率を大きく改善することができる。
【0027】
前記信頼性強化層135は前記第2導電型の半導体層112と同一系列の物質で形成することができ、前記第2導電型の半導体層112と同一導電型にドーピングすることができるが、これに限定されない。
【0028】
例えば、前記信頼性強化層135は、窒化物系の半導体層、例えばInxAlyGa(1-x-y)N(但し、0≦x≦1、0≦y≦1)を含むことができ、第2導電型にドーピングすることができる。例えば、第2導電型の半導体層112がN型窒化物半導体層である場合、前記信頼性強化層はN型InxAlyGa(1-x-y)N(但し、0≦x≦1、0≦y≦1)を含むことができる。
【0029】
第1の実施例で前記信頼性強化層135と前記活性層115の間の距離(D)は約0.3μm〜約5μmにすることができる。
【0030】
電子注入層である第2導電型の半導体層112内に挿入された信頼性強化層135と活性層(発光層)115の間の距離が大きすぎると、エッチングによって形成される表面粗さなどの光抽出パターン(P)の厚さが小さく、光抽出パターン(P)の間の間隔が大きくなり、光抽出パターン(P)の間に平坦な面が形成されて光抽出効率を低下させる。
【0031】
図2Aは、電子注入層の厚さ変化(t)による有効屈折率(modal index)の変化図である。
【0032】
例えば、活性層から発光された光子(photon)のほとんどは基本モード(fundamental mode)を有し、基本モードは有効屈折率が大きいので光抽出が悪い。一方、電子注入層である第2導電型の半導体層112の厚さが薄いほど有効屈折率が減少して光抽出効率が増大し、電子注入層である第2導電型の半導体層112の厚さが増加するほど有効屈折率が増加して光抽出効率が減少する。
【0033】
このため、第1の実施例によれば、信頼性強化層135と活性層115の間の距離(D)が5μmを超えて厚くなると、電子注入層である第2導電型の半導体層112の厚さが増加する効果があって有効屈折率が増加し、光抽出パターン(P)の平坦化によって光抽出効率が減少する。よって、信頼性強化層135と活性層115の間の距離(D)が5μm以下である場合、エッチング遮断機能と共に光抽出効率に寄与することができる。
【0034】
一方、信頼性強化層と活性層の間の距離が近くなると、エッチングによって表面粗さなどの光抽出パターンを備える第2導電型の第3半導体層112bが過度にエッチングされ、過度にエッチングされた局部的領域で電流集中が発生し、信頼性強化層が素子の電流漏洩を遮断できなくなることもある。
【0035】
図2Bは、発光素子における信頼性強化層と活性層の間の距離による素子の逆方向降伏電圧の特性図の例示図である。
【0036】
信頼性強化層と活性層の間の距離が0.3μm未満に近くなると、図2Bように素子の逆方向降伏電圧が減少する。
【0037】
また、信頼性強化層と活性層の間の距離が過度に近くなると、信頼性強化層を通過して第2導電型の第2半導体層112aに注入される電子は、効果的に横方向に分散できない問題点ある。
【0038】
このように、第2導電型の第2半導体層112aにおいて電子が効果的に横方向に分散されていない状態で活性層に電子が注入される場合、活性層では発光効率が低下し、不均一な発光分布を有することになる問題点がある。窒化物半導体で注入される電子は約0.2μm程度の有効拡散距離特性がある。
【0039】
このため、第1の実施例によれば、信頼性強化層が効果的に作動して素子の漏洩電流を効果的に遮断すると共に、注入される電子が均一に横方向に分散して活性層に注入されるようにするために、信頼性強化層と活性層の間の距離(D)は約0.3μm以上にすることができる。
【0040】
また、第1の実施例では、前記信頼性強化層135は5nm〜200nmの厚さにすることができる。
【0041】
信頼性強化層135の厚さが5nm未満であると、エッチング遮断層としての機能をすることが難しいことら、エッチングを遮断できない場合がある。例えば、ドライエッチング工程の場合、エッチングダメージによってエッチング遮断層の表面部位が物理化学的に結晶性が低下する。従って、本実施例では、信頼性強化層135の厚さは少なくとも5nm以上とすることが好ましい。
【0042】
一方、信頼性強化層135の厚さが200nmを超えると、パッド電極140から活性層に注入される電流の注入効率が低下し、素子の抵抗が増加する問題がある。信頼性強化層135は第2導電型の半導体層112の電子注入層に比べて、相対的にAlを多く含有しており、エネルギーバンドギャップが大きいので電子伝導度が相対的に低い。従って、信頼性強化層135の厚さは5nm〜200nmにすることが好ましい。
【0043】
また、第1実施例では、前記信頼性強化層135はInxAlyGa(1-x-y)N(但し、0≦x≦1、0<y≦1)を含むことができ、前記信頼性強化層135のAlの組成(y)は0.05≦y≦0.5にすることができる。
【0044】
例えば、n-電子注入層である第2導電型の半導体層112の母材(matrix)が窒化ガリウム(GaN)或いはこれと等しいエネルギーバンドギャップを有する窒化物半導体から構成される場合、母材中に配置する窒化物半導体信頼性強化層135のAlの組成(y)は0.05≦y≦0.5にすることができる。
【0045】
Al組成が増加するほど信頼性強化層のエネルギーバンドギャップは増加し、第2導電型の半導体層112のn-型電気伝導特性は低下する。第1実施例によれば、信頼性強化層135のAl組成が5%以下であれば、n-型電子注入層の窒化ガリウムに対する信頼性強化層のエネルギーバンドギャップの差が小さく、エッチング工程に対するエッチング選択度が下がることから、効果的なエッチング遮断層の機能をすることができない。
【0046】
また、第1の実施例では、前記信頼性強化層135は前記第2導電型の第3半導体層112bよりエネルギーバンドギャップが大きい。このため、前記信頼性強化層135は前記第2導電型の第3半導体層112bよりエネルギーバンド準位が高いので、エッチング防止膜の機能をすることができる。
【0047】
例えば、n-電子注入層である第2導電型の半導体層112の母材(matrix)が窒化ガリウムアルミニウム、例えばInpAlqGa1-p-qN(0≦p≦1、0≦q≦1、0≦p+q≦1)を含む場合、母材中に配置される窒化物半導体信頼性強化層135のAl組成が母材のAl組成より大きい時、効果的にエッチング遮断層として作動する。
【0048】
例えば、前記第2導電型の第3半導体層112bがInpAlqGa1-p-qN(0≦p≦1、0≦q≦1、0≦p+q≦1)の組成式を有する半導体物質を含み、前記信頼性強化層135がInxAlyGa(1-x-y)N(但し、0≦x≦1、0<y≦1)を含む場合、第2導電型の第3半導体層112bのAl組成より多くする、または第2導電型の第3半導体層112bのIn組成より少なくして、エネルギーバンドギャップを大きくすることができるが、これに限定されない。
【0049】
例えば、前記信頼性強化層のAlの組成(y)はq+0.05≦y≦q+0.5(但し、0≦q≦0.5)にすることで、効果的にエッチング遮断層として作動することができる。
【0050】
また、第1の実施例では、前記信頼性強化層135はエネルギーバンドギャップが異なる第1信頼性強化層135aと第2信頼性強化層135bを含むことができ(図4参照)、多重層はAl組成或いはエネルギーバンドギャップの大きさが成長方向或いは活性層の方向に漸進的に減少する特性を有する。また、前記信頼性強化層135のIn組成が前記活性層115の方向に漸進的に増加する。
【0051】
また、第1の実施例の信頼性強化層135は、エネルギーバンドギャップが異なる第1信頼性強化層135aと第2信頼性強化層135bが交互に積層されてなる超格子構造を有することができる。
【0052】
第1の実施例において、信頼性強化層135が多重層に構成される場合、単一層に比べて発光素子の電流注入効率を相対的に良くする長所を有する。
【0053】
第1の実施例では、前記第2導電型の第2半導体層112aの下側に第2電極層120を含むことで、効率的にキャリアを供給して高出力の発光素子を具現することができ、前記第2電極層120はオーミック層122、反射層124、結合層126、および第2基板128を含むことができるが、これに限定されない。
【0054】
また、第1の実施例では、前記第2導電型の第2半導体層112aと前記活性層115との間に電流拡散層131、ストレーン制御層132等を備え、前記活性層115と前記第1導電型の第1半導体層111との間に電子遮断層133を備えることで、高出力の発光素子を具現することができる。
【0055】
本実施例によれば、電気的/光学的信頼性を画期的に改善できる発光素子、発光素子の製造方法、発光素子パッケージおよび照明システムを提供することができる。
【0056】
本実施例によれば、信頼性強化層によって、化学的エッチング工程時に発生する薄膜の過度なエッチング問題を解決できる発光素子、発光素子の製造方法、発光素子パッケージおよび照明システムを提供することができる。例えば、光抽出パターンを形成するためのエッチング工程が行われる場合、信頼性強化層は層全体的に均一なエッチング深さを提供することで、素子の光学的および電気的特性信頼性が改善され、素子の生産性収率を大きく改善することができる。
【0057】
また、本実施例によれば、信頼性強化層を第2導電型の半導体層内に設けることで、転位結晶欠陥を通じて進行される電流漏洩による素子の信頼性低下問題を効果的に克服し、信頼性が高い高出力の発光素子、発光素子の製造方法、発光素子パッケージおよび照明システムを提供することができる。
【0058】
また、本実施例によれば、信頼性強化層で電流の流れが遮断されることで、電流拡散(Current Spreading)効果によって発光効率が増大し、高出力の発光素子、発光素子の製造方法、発光素子パッケージおよび照明システムを提供することができる。
【0059】
以下、図3〜図9を参照しながら、第1の実施例に係る発光素子の製造方法および技術的な特徴をもう少し詳しく説明する。
【0060】
まず、図3のように第1基板105を準備する。前記第1基板105は伝導性基板または絶縁性基板を含み、例えば前記第1基板105は、サファイア(AlO)、SiC、Si、GaAs、GaN、ZnO、GaP、InP、Ge、and GaO中の少なくとも一つを用いることができる。前記第1基板105の上には凹凸構造が形成されるが、これに限定されない。前記第1基板105に対して湿式洗浄を行い表面の不純物を除去することができる。
【0061】
以後、前記第1基板105上に第2導電型の半導体層112、活性層115および第1導電型の第1半導体層111を含む発光構造物110を形成することができる。
【0062】
前記第1基板105の上にはバッファ層(図示しない)を形成することができる。前記バッファ層は、前記発光構造物110の材料と第1基板105の格子不整合を緩和させることができ、バッファ層の材料は第3族-5族化合物半導体、例えばGaN、InN、AlN、InGaN、AlGaN、InAlGaN、AlInN中の少なくとも一つから形成することができる。以後、前記第1基板105上に第2導電型の第3半導体層112bを形成する。
【0063】
前記第2導電型の第3半導体層112bは、第2導電型ドーパントがドーピングされた第3族-5族化合物半導体から具現することができ、前記第2導電型の第3半導体層112bがN型半導体層である場合、前記第2導電型ドーパントは、N型ドーパントとしてSi、Ge、Sn、Se、Teを含むことができるが、これに限定されない。
【0064】
前記第2導電型の第3半導体層112bはInpAlqGa1-p-qN(0≦p≦1、0≦q≦1、0≦p+q≦1)の組成式を有する半導体物質を含むことができる。例えば、前記第2導電型の第3半導体層112bは、GaN、InN、AlN、InGaN、AlGaN、InAlGaN、AlInN、AlGaAs、InGaAs、AlInGaAs、GaP、AlGaP、InGaP、AlInGaP、InP中の一つ以上から形成することができる。
【0065】
前記第2導電型の第3半導体層112bは、化学蒸着法(CVD)、分子線エピタキシー法(MBE)、スパッタ法、ハイドライド気相エピタキシー(HVPE)等の方法によりN型GaN層を形成することができる。また、前記第2導電型の第3半導体層112bは、チャンバーにトリメチルガリウムガス(TMGa)、アンモニアガス(NH)、窒素ガス(N)、およびシリコンのようなn型不純物を含むシランガス(SiH)を注入して形成することができる。
【0066】
次に、図4のように第1の実施例は、前記第2導電型の第3半導体層112b上に信頼性強化層135を形成する。
前記信頼性強化層135は第2導電型InxAlyGa(1-x-y)N(但し、0≦x≦1、0<y≦1)を含むことができ、単一層或いは多重層に構成することができる。例えば、前記信頼性強化層135は、エネルギーバンドギャップが異なる第1信頼性強化層135aと第2信頼性強化層135bを含むことができ、多重層はAl組成或いはエネルギーバンドギャップの大きさが成長方向或いは活性層の方向に漸進的に減少する特性を有する。また、前記信頼性強化層135のIn組成が前記活性層の方向に漸進的に増加する。
【0067】
また、第1の実施例の信頼性強化層135は、エネルギーバンドギャップが異なる第1信頼性強化層135aと第2信頼性強化層135bが交互に積層されてなる超格子構造を有することができる。
【0068】
第1の実施例で、信頼性強化層135が多重層に構成される場合、単一層に比べて発光素子の電流注入効率を相対的に良くできる長所がある。
【0069】
第1の実施例によれば、前記信頼性強化層135は前記第2導電型の第3半導体層112bよりエッチング比率が低い。例えば、第1実施例では、前記信頼性強化層135は、前記第2導電型の第3半導体層112bよりAlの組成比を高くし、Inの組成比を低くすることで、前記第2導電型の第3半導体層112bよりエッチング比率を低くすることができる。
【0070】
例えば、第1の実施例によれば、Al組成が多いほど化学的にエッチングされる速度が遅くなり、In成分が多いほど化学的にエッチングされる速度が速くなる。これは、Al原子とN原子の化学的結合力がGa原子とN原子の化学的結合力より大きく、Ga原子とN原子の結合力がIn原子とN原子間の化学的結合力より大きいためである。
【0071】
第1の実施例で、前記信頼性強化層135は第2導電型の第3半導体層112bより化学的にエッチングされる速度が遅いので、化学的エッチングの進行は前記信頼性強化層135で実質的に止まることになる。従って、発光構造物110の薄膜内で、不均一に一定の部位で発生する過度な化学的エッチングの進行は、信頼性強化層135によって効果的に遮断される。
【0072】
本実施例によれば、信頼性強化層によって化学的エッチング工程時に発生する薄膜の過度なエッチング問題を解決できる発光素子および発光素子の製造方法を提供することができる。
【0073】
第1の実施例によれば、信頼性強化層135の電気抵抗(Resistance)が第2導電型の第3半導体層112bの電気抵抗より大きい。例えば、前記信頼性強化層135は前記第2導電型の第3半導体層112bよりエネルギーバンドギャップが相対的に大きく、化学的に安定したInxAlyGa(1-x-y)N(但し、0≦x≦1、0≦y≦1)を含むことで、第2導電型の第3半導体層112bより電気抵抗を大きくすることができる。
【0074】
第1の実施例に係る発光素子は、信頼性強化層135を第2導電型の半導体層112内に備えることで、転位結晶欠陥を通じて進行される電流漏洩による素子の信頼性低下問題を効果的に克服し、信頼性が高い高出力大面積照明用の発光素子を提供することができる。
【0075】
また、本実施例は、信頼性強化層で電流の流れが遮断されることで、電流拡散効果により発光効率が増大し、高出力の発光素子を提供することができる。
【0076】
第1の実施例では、前記信頼性強化層135は5nm〜200nmの厚さにすることができる。信頼性強化層135の厚さが5nm未満であれば、エッチング遮断層として機能することができず、エッチングを遮断できなくなることもある。例えば、ドライエッチング工程の場合、エッチングダメージにより信頼性強化層の表面部位が物理化学的に結晶性が低下する。従って、第1実施例によれば、信頼性強化層135の厚さは少なくとも5nm以上にすることが好ましい。
【0077】
一方、信頼性強化層135の厚さが200nmを超えると、n-型電極パッドから活性層に注入される電流の注入効率が低下し、素子の抵抗が増加する問題がある。信頼性強化層は第2導電型の半導体層112の電子注入層より、相対的にAlを多く含有しており、エネルギーバンドギャップが大きいので、電子伝導度が相対的に低い。従って、信頼性強化層の厚さは5nm〜200nmの厚さにすることが好ましい。
【0078】
また、前記信頼性強化層135は前記第2導電型の半導体層112と同じ系列の物質から形成され、前記第2導電型の半導体層112と同一導電型にドーピングされるが、これに限定されない。
【0079】
例えば、前記信頼性強化層135は窒化物系の半導体層、例えばInxAlyGa(1-x-y)N(但し、0≦x≦1、0<y≦1)を含むことができ、第2導電型にドーピングすることができる。例えば、第2導電型の半導体層112がN型窒化物半導体層である場合、前記信頼性強化層はN型InxAlyGa(1-x-y)N(但し、0≦x≦1、0<y≦1)を含むことができる。
【0080】
また、第1の実施例で、前記信頼性強化層135はInxAlyGa(1-x-y)N(但し、0≦x≦1、0<y≦1)を含むことができ、前記信頼性強化層135のAlの組成(y)は0.05≦y≦0.5にすることができる。
【0081】
例えば、n-電子注入層である第2導電型の半導体層112の母材(matrix)が窒化ガリウム(GaN)或いはこれと等しいエネルギーバンドギャップを有する窒化物半導体から構成される場合、母材中に配置する窒化物半導体信頼性強化層135のAlの組成(y)は0.05≦y≦0.5にすることができる。
【0082】
Al組成が増加するほど信頼性強化層のエネルギーバンドギャップは増加し、第2導電型の半導体層112のn-型電気伝導特性は低下する。第1実施例によれば、信頼性強化層135のAl組成が5%以下であれば、n-型電子注入層の窒化ガリウムに対する信頼性強化層のエネルギーバンドギャップの差が小さく、エッチング工程に対するエッチング選択度が下がることから、効果的なエッチング遮断層の機能をすることができない。
【0083】
また、第1実施例では、前記信頼性強化層135は前記第2導電型の第3半導体層112bよりエネルギーバンドギャップが大きい。このため、前記信頼性強化層135は前記第2導電型の第3半導体層112bよりエネルギーバンド準位が高いので、エッチング防止膜の機能をすることができる。
【0084】
例えば、n-電子注入層である第2導電型の半導体層112の母材(matrix)が窒化ガリウムアルミニウム、例えばInpAlqGa1-p-qN(0≦p≦1、0≦q≦1、0≦p+q≦1)を含む場合、母材中に配置される窒化物半導体信頼性強化層135のAl組成が母材のAl組成より大きい時、効果的にエッチング遮断層として作動する。
【0085】
例えば、前記第2導電型の第3半導体層112bがInpAlqGa1-p-qN(0≦p≦1、0≦q≦1、0≦p+q≦1)の組成式を有する半導体物質を含み、前記信頼性強化層135がInxAlyGa(1-x-y)N(但し、0≦x≦1、0<y≦1)を含む場合、第2導電型の第3半導体層112bのAl組成より多くする、または第2導電型の第3半導体層112bのIn組成より少なくして、エネルギーバンドギャップを大きくすることができるが、これに限定されない。
【0086】
例えば、前記信頼性強化層のAlの組成(y)はq+0.05≦y≦q+0.5(但し、0≦q≦0.5)にすることで、効果的にエッチング遮断層として作動することができる。
【0087】
次に、図5のように信頼性強化層135上に第2導電型の第2半導体層112aを形成する。前記第2導電型の第2半導体層112aは前記第2導電型の第3半導体層112bと同一系列の物質から形成することができる。
【0088】
例えば、前記第2導電型の第2半導体層112aはn型InpAlqGa1-p-qN(0≦p≦1、0≦q≦1、0≦p+q≦1)の組成式を有する半導体物質を含むことができるが、これに限定されない。
【0089】
次に、前記第2導電型の第2半導体層112a上に電流拡散層131を形成する。前記電流拡散層131はノンドープGaN層(undoped GaN layer)からなることができるが、これに限定されない。
【0090】
以後、第1の実施例は、前記電流拡散層上に電子注入層(図示しない)を形成することができる。前記電子注入層は第2導電型窒化ガリウム層からなることができる。例えば、前記電子注入層は、n型ドーピング元素が6.0×1018atoms/cm3〜8.0×1018atoms/cm3の濃度でドーピングされることで、効率的に電子を注入することができる。
【0091】
また、第1の実施例は、電子注入層上にストレーン制御層132を形成することができる。例えば、電子注入層上にInyAlxGa(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1)/GaNなどで形成されたストレーン制御層132を形成することができる。
【0092】
前記ストレーン制御層132は、第2導電型の半導体層112と活性層115の間の格子不整合に起因する応力を効果的に緩和させることができる。
【0093】
また、前記ストレーン制御層132は、第1Inx1GaNおよび第2Inx2GaNなどの組成を有する少なくとも6周期で繰返し積層されることで、より多い電子が活性層115の低いエネルギー準位に集まることになり、結果的に電子と正孔の再結合確率が増加し、発光効率が向上される。
【0094】
以後、前記ストレーン制御層132上に活性層115を形成する。
前記活性層115は、単一量子井戸構造、多重量子井戸構造(MQW: Multi Quantum Well)、量子線(Quantum-Wire)構造、または量子点(Quantum Dot)構造中の少なくとも一つからなることができる。例えば、前記活性層115は、トリメチルガリウムガス(TMGa)、アンモニアガス(NH)、窒素ガス(N)、およびトリメチルインジウムガス(TMIn)が注入されて多重量子井戸構造が形成されるが、これに限定されない。
【0095】
前記活性層115の井戸層/障壁層は、InGaN/GaN、InGaN/InGaN、GaN/AlGaN、InAlGaN/GaN、GaAs(InGaAs)/AlGaAs、GaP(InGaP)/AlGaP中のいずれか一つ以上のペア構造からなることができるが、これに限定されない。前記井戸層は前記障壁層のバンドギャップより低いバンドギャップを有する物質からなることができる。
このとき、第1の実施例で、前記活性層と前記信頼性強化層135の間の距離は約0.3μm〜約5μmになるように形成することができる。
【0096】
このため、第1の実施例によれば、信頼性強化層135と活性層115の間の距離(D)が5μmを超えて厚くなれば、電子注入層である第2導電型の半導体層112の厚さが増加して有効屈折率が増加することになり、光抽出パターン(P)の平坦化により光抽出効率が減少する。よって、信頼性強化層135と活性層115の間の距離(D)は5μm以下である場合に、エッチング遮断機能と共に光抽出効率に寄与することができる。
【0097】
また、第1の実施例によれば、信頼性強化層が効果的に作動して素子の漏洩電流を効果的に遮断すると共に、注入される電子が均一に横方向に分散して活性層に注入されるようにするために、信頼性強化層と活性層の間の距離(D)は約0.3μm以上にすることが好ましい。
【0098】
次に、第1の実施例では、前記活性層115上には電子遮断層133が形成され、電子遮断および活性層のクラッディング(MQW cladding)の役割をすることで、発光効率を改善することができる。例えば、前記電子遮断層133はAlxInyGa(1-x-y)N(0≦x≦1、0≦y≦1)系の半導体からなり、前記活性層115のより高いエネルギーバンドギャップを有し、約100Å〜 約600Åの厚さに形成されるが、これに限定されない。
また、前記電子遮断層133はAlzGa(1-z)N/GaN(0≦z≦1)超格子に形成されるが、これに限定されない。
【0099】
前記電子遮断層133は、p型にイオン注入されてオーバーフローされる電子を効率的に遮断し、ホールの注入効率を増大させることができる。例えば、前記電子遮断層133は、Mgが約1018〜1020/cm3の濃度範囲にイオン注入されてオーバーフローされる電子を効率的に遮断し、ホールの注入効率を増大させることができる。
【0100】
次に、前記電子遮断層133上に第1導電型の第1半導体層111を形成する。前記第1導電型の第1半導体層111は、第1導電型ドーパントがドーピングされた第3族-5族の化合物半導体、例えばInxAlyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)の組成式を有する半導体物質を含むことができる。前記第1導電型の第1半導体層111がP型半導体層である場合、前記第1導電型ドーパントはP型ドーパントとしてMg、Zn、Ca、Sr、Baなどを含むことができる。
【0101】
前記第1導電型の第1半導体層111は、チャンバーにトリメチルガリウムガス(TMGa)、アンモニアガス(NH)、窒素ガス(N)、およびマグネシウム(Mg)のようなp型不純物を含むビスエチルシクロペンタジエニルマグネシウム(EtCp2Mg){Mg(C2H5C5H4)2}が注入されてp型GaN層が形成されるが、これに限定されない。
【0102】
第1の実施例で、前記第2導電型の半導体層112はN型半導体層、前記第1導電型の第1半導体層111はP型半導体層で具現することができるが、これに限定されない。また前記第1導電型の第1半導体層111の上には前記第1導電型と反対の極性を有する半導体、例えばN型半導体層(図示しない)を形成することができる。このため、発光構造物110はN-P接合構造、P-N接合構造、N-P-N接合構造、P-N-P接合構造中のいずれか一つの構造で具現することができる。
【0103】
次に、図6のように前記第1導電型の第1半導体層111上に第2電極層120を形成する。前記第2電極層120はオーミック層122、反射層124、結合層126、第2基板128等を含むことができる。前記第2電極層120はチタン(Ti)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、白金(Pt)、金(Au)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、または不純物が注入された半導体基板中の少なくとも一つから形成することができる。
【0104】
例えば、前記第2電極層120はオーミック層122を含むことができ、正孔注入を効率的にできるように単一金属或いは金属合金、金属酸化物などを多重に積層して形成することができる。例えば、前記オーミック層122はITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、IZTO(indium zinc tin oxide)、IAZO(indium Aluminum zinc oxide)、IGZO(indium gallium zinc oxide)、IGTO(indium gallium tin oxide)、AZO(Aluminum zinc oxide)、ATO(antimony tin oxide)、GZO(gallium zinc oxide)、IZON(IZO Nitride)、AGZO(Al-Ga ZnO)、IGZO(In-Ga ZnO)、ZnO、IrOx、RuOx、NiO、RuOx/ITO、Ni/IrOx/Au、およびNi/IrOx/Au/ITO、Ag、Ni、Cr、Ti、Al、Rh、Pd、Ir、Ru、Mg、Zn、Pt、Au、Hf中の少なくとも一つを含んで形成されるが、このような材料に限定されない。
【0105】
また、前記第2電極層120が反射層124を含む場合、Al、Ag、或いはAlやAgを含む合金を含む金属層からなることができる。アルミニウムや銀などは活性層から発生した光を効果的に反射し、発光素子の光抽出効率を大きく改善することができる。
【0106】
また、前記第2電極層120が結合層126を含む場合、前記反射層124が結合層の機能をすることができ、またニッケル(Ni)、金(Au)等を利用して結合層を形成することができる。
【0107】
また、第2電極層120は第2基板128を含むことができる。前記第2基板128は、効率的に正孔を注入することができるように、電気伝導性が優秀な金属、金属合金、或いは伝導性半導体物質からなることができる。例えば、前記第2基板128は、銅(Cu)、金(Au)、銅合金(Cu Alloy)、ニッケル(Ni-nickel)、銅-タングステン(Cu-W)、キャリアウェハ(例えば、GaN、Si、Ge、GaAs、ZnO、SiGe、SiCなど)等を選択的に含むことができる。
【0108】
前記第2基板128を形成する方法としては、電気化学的な金属蒸着方法や共晶金属(eutectic metal)を利用したボンディング方法などを用いることができる。
【0109】
次に、図7のように、前記第2導電型の第3半導体層112bが露出するように前記第1基板105を除去する。前記第1基板105を除去する方法としては、高出力のレーザを利用して第1基板を分離させることができ、または化学的エッチング方法を用いることができる。また、前記第1基板105は物理的に研磨することで除去することもできる。
【0110】
例えば、レーザリフトオフ法は、常温で所定のエネルギーを加えると、前記第1基板105と発光構造物の界面でエネルギーが吸収され、発光構造物の接合表面が熱分解されることで、第1基板105と発光構造物を分離される。
【0111】
次に、図8のように第1実施例は、露出する第2導電型の第3半導体層112b上に光抽出パターン(P)を形成することができる。
前記第2導電型の第3半導体層112bに光抽出パターン(P)を形成するために、第2導電型の第3半導体層112bに対するエッチングを行う場合、前記信頼性強化層135がエッチング防止膜の機能をすることで、前記第2導電型の第2半導体層112aがエッチングされず、その信頼性を向上させることができる。
【0112】
例えば、第1の実施例によれば、サファイア基板などの薄膜成長用第1基板105から発光構造物110のエピ薄膜を分離した後に露出する第2導電型の第3半導体層112bは平坦な表面を有し、露出する第2導電型の第3半導体層112bに光抽出効率改善のために、化学的エッチング方法によって表面粗さ、例えば光抽出パターン(P)を形成することができる。
【0113】
第1の実施例によれば、前記信頼性強化層135は前記第2導電型の第3半導体層112bよりエッチング比率が低い。
【0114】
例えば、第1の実施例によれば、Al組成が多いほど化学的にエッチングされる速度が遅くなり、In成分が多いほど化学的にエッチングされる速度が速くなる。これは、Al原子とN原子の化学的結合力がGa原子とN原子の化学的結合力より大きく、Ga原子とN原子の結合力がIn原子とN原子間の化学的結合力より大きいためである。
【0115】
第1の実施例で、前記信頼性強化層135は第2導電型の第3半導体層112bより化学的にエッチングされる速度が遅いので、化学的エッチングの進行は前記信頼性強化層135で実質的に止まることになる。従って、発光構造物110の薄膜内で、不均一に一定の部位で発生する過度な化学的エッチングの進行は、信頼性強化層135によって効果的に遮断される。
【0116】
例えば、前記信頼性強化層135がInxAlyGa(1-x-y)N(但し、0≦x≦1、0≦y≦1)を含む場合、第2導電型の第3半導体層112bのAl組成より多くし、第2導電型の第3半導体層112bのIn組成より少なくして、エネルギーバンドギャップを大きくすることができるが、これに限定されない。
【0117】
第1の実施例によれば、信頼性強化層135は第2導電型の半導体層より化学的、または物理的にエッチングされる速度が遅いから、化学的エッチングの進行は信頼性強化層で実質的に止まることになる。従って、薄膜内で不均一に一定の部位で発生する過度な化学的エッチングの進行は、信頼性強化層によって効果的に遮断される。よって、第2導電型の半導体層は、層全体的に均一なエッチング深さを持つようになる。
【0118】
また、第1の実施例で、信頼性強化層は、光抽出パターンを形成するためのドライエッチングダメージを防止することができ、信頼性強化層にAlの組成が高い場合、ドライエッチングのエッチング遮断層の機能をすることができる。
【0119】
このため、第1の実施例によれば、信頼性強化層によって層全体的に均一なエッチング深さを提供することで、素子の光学的および電気的特性信頼性が改善され、素子の生産収率を大きく改善することができる。
【0120】
次に、図9のように、前記光抽出パターン(P)が形成された第2導電型の第3半導体層112b上にパッド電極140を形成し、第1実施例による発光素子100を形成することができる。
【0121】
本実施例は、電気的/光学的信頼性を画期的に改善できる発光素子、発光素子の製造方法、発光素子パッケージおよび照明システムを提供することができる。
【0122】
本実施例によれば、信頼性強化層によって、化学的エッチング工程時に発生する薄膜の過度なエッチング問題を解決できる発光素子、発光素子の製造方法、発光素子パッケージおよび照明システムを提供することができる。例えば、光抽出パターンを形成するためのエッチング工程が行われる場合、信頼性強化層は層全体的に均一なエッチング深さを提供することで、素子の光学的および電気的特性信頼性が改善され、素子の生産性収率を大きく改善することができる。
【0123】
また、本実施例によれば、信頼性強化層を第2導電型の半導体層内に設けることで、転位結晶欠陥を通じて進行される電流漏洩による素子の信頼性低下問題を効果的に克服し、信頼性が高い高出力の発光素子、発光素子の製造方法、発光素子パッケージおよび照明システムを提供することができる。
【0124】
また、本実施例は、信頼性強化層で電流の流れが遮断されることで、電流拡散効果によって発光効率が増大し、高出力の発光素子、発光素子の製造方法、発光素子パッケージおよび照明システムを提供することができる。
【0125】
(第2の実施例)
図10は、第2の実施例に係る発光素子102の断面図である。
第2の実施例に係る発光素子102は、第1の実施例に係る発光素子100の技術的な特徴を採用することができる。
【0126】
第2の実施例に係る発光素子102は、第1導電型の第1半導体層111と、前記第1導電型の第1半導体層111上に形成された活性層115と、前記活性層115上に形成された第2導電型の第2半導体層112aと、前記第2導電型の第2半導体層112a上に突出部を有して形成された信頼性強化層135と、前記信頼性強化層135上に形成された第2導電型の第3半導体層112bとを備えることができる。
【0127】
第2の実施例で、信頼性強化層はエッチングに対する信頼性強化層、漏洩電流の防止による信頼性強化層などの機能をすることができるが、これに限定されない。
【0128】
前記第2導電型の第2半導体層112aおよび前記第2導電型の第3半導体層112bは、電子注入層の機能をする第2導電型の半導体層112を構成することができる。
【0129】
前記第1導電型の第1半導体層111、前記活性層115および前記第2導電型の半導体層112は発光構造物110を構成することができ、前記第2導電型の半導体層112上にはパッド電極140を形成することができる。
【0130】
前記信頼性強化層135は前記第2導電型の半導体層112と同一系列の物質で形成することができ、前記第2導電型の半導体層112と同一導電型にドーピングすることができる。
【0131】
前記信頼性強化層135は前記第2導電型の第3半導体層112bよりエネルギーバンドギャップが大きい。このため、前記信頼性強化層135は前記第2導電型の第3半導体層112bよりエネルギーバンド準位が高いので、エッチング防止膜の機能をすることができる。
【0132】
本実施例は、前記第2導電型の第3半導体層112bに光抽出パターン(P)を含むことで、外部光抽出効率を増大させ、高出力の発光素子を提供することができる。
【0133】
このとき、前記第2導電型の第3半導体層112bに光抽出パターン(P)を形成するために、第2導電型の第3半導体層112bに対するエッチングを行う場合、前記信頼性強化層135がエッチング防止膜の機能をするため、前記第2導電型の第2半導体層112aがエッチングされず、信頼性を向上させることができる。
【0134】
第2の実施例に係る発光素子で、信頼性強化層135のエネルギーバンドギャップが第2導電型の第3半導体層112bのエネルギーバンドギャップより大きく、結晶欠陥の周囲でその厚さが相対的に厚い特性から、転位などの結晶欠陥(D)を通じて生じる逆方向と純方向の低電流漏洩による素子の電気的信頼性低下問題を画期的に改善することができる。
【0135】
図11は、第2の実施例に係る発光素子の部分(A)拡大図である。例えば、図11は、第2の実施例に係る発光素子の信頼性強化層135部分に対する拡大図である。
【0136】
窒化物半導体発光素子は本質的に多数の転位結晶欠陥を薄膜内に持っており、このような転位結晶欠陥は、主要な電流漏洩経路として作動し、発光素子の電気的信頼性を大きく低下させる。
【0137】
第2の実施例で、前記信頼性強化層135は結晶欠陥(D)周囲で厚さが厚く形成される。例えば、前記信頼性強化層135の突出部(A)は結晶欠陥(D)領域に配置され、これにより、結晶欠陥(D)がある信頼性強化層135の突出部(A)領域では突出部がない平坦部(b)より抵抗が高いことから、キャリアである電子(e)が突出部(A)ではなく平坦部(b)を介して移動するので、キャリアが結晶欠陥(D)と会う確率を減らすことで、漏洩を遮断し高出力の発光素子を提供することができる。
【0138】
第2の実施例によれば、信頼性強化層135の電気抵抗が第2導電型の第3半導体層112bの電気抵抗より大きい。例えば、前記信頼性強化層135は前記第2導電型の第3半導体層112bよりエネルギーバンドギャップが相対的に大きく、化学的に安定したInxAlyGa(1-x-y)N(但し、0≦x≦1、0≦y≦1)を含むことで、第2導電型の第3半導体層112bより電気抵抗が大きくなる。
【0139】
このため、電子は抵抗が大きい信頼性強化層135の突出部(A)を通ることなく、抵抗が相対的に小さい突出部の周辺を通じて流れることになる。
【0140】
本実施例による発光素子は、信頼性強化層135を第2導電型の半導体層112内に備えることで、転位結晶欠陥を通じて進行される電流漏洩による素子の信頼性低下問題を効果的に克服し、信頼性が高い高出力大面積照明用の発光素子を提供することができる。
【0141】
また、本実施例は、信頼性強化層で電流の流れが遮断されることで、電流拡散効果によって発光効率が増大し、高出力の発光素子を提供することができる。
【0142】
本実施例は、前記第2導電型の第2半導体層112aの下側に第2電極層120を含むことで、効率的なキャリア供給をして高出力の発光素子を具現することができ、前記第2電極層120はオーミック層122、反射層124、結合層126、および第2基板128を含むことができるが、これに限定されない。
【0143】
また、本実施例は、前記第2導電型の第2半導体層112aと前記活性層115の間に電流拡散層131、ストレーン制御層132等を含み、前記活性層115と前記第1導電型の第1半導体層111の間に電子遮断層133を備えることで、高出力の発光素子を具現することができる。
【0144】
本実施例は、電気的/光学的信頼性を画期的に改善できる発光素子、発光素子の製造方法、発光素子パッケージおよび照明システムを提供することができる。
【0145】
また、本実施例は、信頼性強化層を第2導電型の半導体層内に備えることで、転位結晶欠陥を通じて進行される電流漏洩による素子の信頼性低下問題を効果的に克服し、信頼性が高い高出力の発光素子、発光素子の製造方法、発光素子パッケージおよび照明システムを提供することができる。
【0146】
また、本実施例は、信頼性強化層で電流の流れが遮断されることで、電流拡散効果によって発光効率が増大し、高出力の発光素子、発光素子の製造方法、発光素子パッケージおよび照明システムを提供することができる。
【0147】
以下、図12〜図18を参照しながら、第2の実施例による発光素子の製造方法および技術的な特徴をもう少し詳しく説明する。
【0148】
まず、図12のように第1基板105を準備する。前記第1基板105は伝導性基板または絶縁性基板を含み、例えば前記第1基板105は、サファイア(AlO)、SiC、Si、GaAs、GaN、ZnO、GaP、InP、Ge、and GaO中の少なくとも一つを用いることができる。
【0149】
以後、前記第1基板105上に第2導電型の半導体層112、活性層115および第1導電型の第1半導体層111を含む発光構造物110を形成することができる。前記第1基板105の上にはバッファ層(図示しない)を形成することができる。以後、前記第1基板105上に第2導電型の第3半導体層112bを形成する。
【0150】
前記第2導電型の第3半導体層112bは第2導電型ドーパントがドーピングされた第3族-5族化合物半導体で具現することができ、前記第2導電型の第3半導体層112bがN型半導体層である場合、前記第2導電型ドーパントは、N型ドーパントとしてSi、Ge、Sn、Se、Teを含むことができるが、これに限定されない。
【0151】
前記第2導電型の第3半導体層112bはInpAlqGa1-p-qN(0≦p≦1、0≦q≦1、0≦p+q≦1)の組成式を有する半導体物質を含むことができる。
【0152】
前記第2導電型の第3半導体層112bは、化学蒸着法(CVD)、分子線エピタキシー法(MBE)、スパッタ法、ハイドライド気相エピタキシー(HVPE)等の方法によりN型GaN層を形成することができる。また、前記第2導電型の第3半導体層112bは、チャンバーにトリメチルガリウムガス(TMGa)、アンモニアガス(NH)、窒素ガス(N)、およびシリコンのようなn型不純物を含むシランガス(SiH)を注入して形成することができる。
【0153】
一方、サファイア或いはシリコンなどの異種基板の上にGaN系の第2導電型の第3半導体層112bを形成する場合、異種基板とGaN物質は面方向の結晶格子定数が相互異なる。
【0154】
従って、成長初期に多数のGaN結晶質粒子が形成され、このような結晶質粒子は成長が進行されながら相互会うようになり、相互会う箇所で図12のように、第2導電型の第3半導体層112bの表面に溝(pit)(V)を形成する。
【0155】
このような溝(pit)は、薄膜成長条件、例えば成長温度、圧力、速度、時間、注入ガスの比率などを調節することで、その大きさ、密度および深さなどえを制御することができ、このような溝(V)はその下部に拡散転位等の結晶欠陥(D)を有する。
【0156】
次に、図13のように、本実施例は、前記第2導電型の第3半導体層112b上に信頼性強化層135を形成する。
【0157】
前記信頼性強化層135は第2導電型InxAlyGa(1-x-y)N(但し、0≦x≦1、0≦y≦1)を含むことができ、単一層或いは多重層に構成することができる。例えば、前記信頼性強化層135は、エネルギーバンドギャップが異なる第1信頼性強化層135aと第2信頼性強化層135bを含むことができ、多重層はAl組成或いはエネルギーバンドギャップの大きさが成長方向或いは活性層の方向に漸進的に減少する特性を有する。
【0158】
また、本実施例の信頼性強化層135は、エネルギーバンドギャップが異なる第1信頼性強化層135aと第2信頼性強化層135bが交互に積層されてなる超格子構造を有することができる。
【0159】
本実施例で、信頼性強化層135が多重層に構成される場合、単一層に比べて発光素子の電流注入効率を相対的に良くできる長所がある。
【0160】
本実施例によれば、信頼性強化層135の成長条件を調節することで、図13とのように薄膜表面の溝を埋め、薄膜表面を平坦化することができる。
【0161】
前記信頼性強化層135は、前記第2導電型の半導体層112と同一系列の物質で形成することができ、前記第2導電型の半導体層112と同一導電型にドーピングすることができる。
【0162】
例えば、前記信頼性強化層135は窒化物系の半導体層、例えばInxAlyGa(1-x-y)N(但し、0≦x≦1、0≦y≦1)を含むことができ、第2導電型にドーピングすることができる。例えば、第2導電型の半導体層112がN型窒化物半導体層である場合、前記信頼性強化層はN型InxAlyGa(1-x-y)N(但し、0≦x≦1、0≦y≦1)を含むことができる。
【0163】
本実施例による発光素子で、信頼性強化層135のエネルギーバンドギャップが第2導電型の第3半導体層112bのエネルギーバンドギャップより大きく、結晶欠陥の周囲でその厚さが相対的に厚い特性から、転位などの結晶欠陥(D)を通じて生じる逆方向と純方向の低電流漏洩による素子の電気的信頼性低下問題を画期的に改善することができる。
【0164】
本実施例によれば、前記信頼性強化層135は前記第2導電型の第3半導体層112bよりエッチング比率が低い。例えば、実施例で前記信頼性強化層135は、前記第2導電型の第3半導体層112bよりAlの組成比を高くし、前記第2導電型の第3半導体層112bよりInの組成比を低くすることで、前記第2導電型の第3半導体層112bよりエッチング比率を低くすることができる。
【0165】
例えば、本実施例によれば、Al組成が多いほど化学的にエッチングされる速度が遅くなり、In成分が多いほど化学的にエッチングされる速度が速くなる。これは、Al原子とN原子の化学的結合力がGa原子とN原子の化学的結合力より大きく、Ga原子とN原子の結合力がIn原子とN原子間の化学的結合力より大きいためである。
【0166】
本実施例で、前記信頼性強化層135は第2導電型の第3半導体層112bより化学的にエッチングされる速度が遅いので、化学的エッチングの進行は前記信頼性強化層135で実質的に止まることになる。従って、発光構造物110の薄膜内で、不均一に一定の部位で発生する過度な化学的エッチングの進行は、信頼性強化層135によって効果的に遮断される。
【0167】
本実施例によれば、信頼性強化層によって化学的エッチング工程時に発生する薄膜の過度なエッチング問題解を決できる発光素子および発光素子の製造方法を提供することができる。
【0168】
前記信頼性強化層135は結晶欠陥(D)周囲で厚さが厚く形成される。例えば、前記信頼性強化層135の突出部(A)は結晶欠陥(D)領域に配置され、これにより、結晶欠陥(D)がある信頼性強化層135の突出部(A)領域では突出部がない平坦部(b)より抵抗が高いことから、キャリアである電子(e)が突出部(A)ではなく平坦部(b)を介して移動するので、キャリアが結晶欠陥(D)と会う確率を減らすことで、漏洩を遮断し高出力の発光素子を提供することができる。
【0169】
本実施例によれば、前記信頼性強化層135は、転位などの結晶欠陥(D)の周囲でその厚さが相対的に厚いので、転位などの結晶欠陥を通じて発生する電流漏洩による素子の電気的信頼性の低下問題を効果的に改善することができる。
【0170】
本実施例によれば、信頼性強化層135の電気抵抗が第2導電型の第3半導体層112bの電気抵抗より大きい。例えば、前記信頼性強化層135は前記第2導電型の第3半導体層112bよりエネルギーバンドギャップが相対的に大きく、化学的に安定したInxAlyGa(1-x-y)N(但し、0≦x≦1、0≦y≦1)を含むことで、第2導電型の第3半導体層112bより電気抵抗を大きくなる。
【0171】
このため、電子は抵抗が大きい信頼性強化層135の突出部(A)を通ることなく、抵抗が相対的に小さい突出部の周辺を通じて流れることになる。
【0172】
本実施例による発光素子は、信頼性強化層135を第2導電型の半導体層112内に備えることで、転位結晶欠陥を通じて進行される電流漏洩による素子の信頼性低下問題を効果的に克服し、信頼性が高い高出力大面積照明用の発光素子を提供することができる。
【0173】
また、本実施例は、信頼性強化層で電流の流れが遮断されることで、電流拡散効果によって発光効率が増大し、高出力の発光素子を提供することができる。
【0174】
次に、図14のように、信頼性強化層135上に第2導電型の第2半導体層112aを形成する。前記第2導電型の第2半導体層112aは、前記第2導電型の第3半導体層112bと同一系列の物質から形成される。
【0175】
例えば、前記第2導電型の第2半導体層112aは、n型InpAlqGa1-p-qN(0≦p≦1、0≦q≦1、0≦p+q≦1)の組成式を有する半導体物質を含むことができるが、これに限定されない。
【0176】
次に、前記第2導電型の第2半導体層112a上に電流拡散層131を形成する。前記電流拡散層131はノンドープGaN層(undoped GaN layer)からなることができるが、これに限定されない。
以後、本実施例は、前記電流拡散層上に電子注入層(図示しない)を形成することができる。前記電子注入層は第2導電型窒化ガリウム層からなることができる。また、実施例は、電子注入層上にストレーン制御層132を形成することができる。以後、前記ストレーン制御層132上に活性層115を形成する。
【0177】
前記活性層115は、単一量子井戸構造、多重量子井戸構造(MQW: Multi Quantum Well)、量子線(Quantum-Wire)構造、または量子点(Quantum Dot)構造中の少なくとも一つからなることができる。
【0178】
本実施例で、前記活性層115上には電子遮断層133が形成され、電子遮断および活性層のクラッディング(MQW cladding)の役割をすることで、発光効率を改善することができる。
【0179】
次に、前記電子遮断層133上に第1導電型の第1半導体層111を形成する。前記第1導電型の第1半導体層111は、第1導電型ドーパントがドーピングされた第3-族-5族の化合物半導体、例えばInxAlyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)の組成式を有する半導体物質を含むことができる。
【0180】
次に、図15のように、前記第1導電型の第1半導体層111上に第2電極層120を形成する。前記第2電極層120は、オーミック層122、反射層124、結合層126、第2基板128等を含むことができる。
次に図16のように、前記第2導電型の第3半導体層112bが露出するように前記第1基板105を除去する。
次に、図17のように、本実施例は、露出される第2導電型の第3半導体層112b上に光抽出パターン(P)を形成することができる。
【0181】
前記第2導電型の第3半導体層112bに光抽出パターン(P)を形成するために、第2導電型の第3半導体層112bに対するエッチングを行う場合、前記信頼性強化層135がエッチング防止膜の機能をすることで、前記第2導電型の第2半導体層112aがエッチングされず、信頼性を向上させることができる。
【0182】
例えば、本実施例によれば、サファイア基板などの薄膜成長用第1基板105から発光構造物110のエピ薄膜を分離した後に露出する第2導電型の第3半導体層112bは平坦な表面を有し、露出する第2導電型の第3半導体層112bに光抽出効率改善のために、化学的エッチング方法によって表面粗さ、例えば光抽出パターン(P)を形成することができる。
【0183】
本実施例によれば、前記信頼性強化層135が前記第2導電型の第3半導体層112bよりエッチング比率が低い。
【0184】
本実施例で、前記信頼性強化層135は第2導電型の第3半導体層112bより化学的にエッチングされる速度が遅いので、化学的エッチングの進行は前記信頼性強化層135で実質的に止まることになる。従って、発光構造物110の薄膜内で、不均一に一定の部位で発生する過度な化学的エッチングの進行は信頼性強化層135によって効果的に遮断される。
【0185】
本実施例による発光素子で、信頼性強化層135のエネルギーバンドギャップが第2導電型の第3半導体層112bのエネルギーバンドギャップより大きく、結晶欠陥の周囲でその厚さが相対的に厚い特性から、転位などの結晶欠陥(D)を通じて生じる逆方向と純方向の低電流漏洩による素子の電気的信頼性低下問題を画期的に改善することができる。
【0186】
次に、図18のように、前記光抽出パターン(P)が形成された第2導電型の第3半導体層112b上にパッド電極140を形成し、実施例による発光素子102を形成することができる。
【0187】
本実施例は、電気的/光学的信頼性を画期的に改善できる発光素子、発光素子の製造方法、発光素子パッケージおよび照明システムを提供することができる。
【0188】
また、本実施例は、信頼性強化層を第2導電型の半導体層内に備えることで、転位結晶欠陥を通じて進行される電流漏洩による素子の信頼性低下問題を効果的に克服し、信頼性が高い高出力の発光素子、発光素子の製造方法、発光素子パッケージおよび照明システムを提供することができる。
【0189】
また、本実施例は、信頼性強化層で電流の流れが遮断されることで、電流拡散効果によって発光効率が増大し、高出力の発光素子、発光素子の製造方法、発光素子パッケージおよび照明システムを提供することができる。
【0190】
図19は、本実施例による発光素子が設置された発光素子パッケージ200を説明する図面である。
【0191】
本発明の一実施例による発光素子パッケージ200は、パッケージ本体部205と、前記パッケージ本体部205に設置された第3電極層213および第4電極層214と、前記パッケージ本体部205に設置され、前記第3電極層213および第4電極層214と電気的に連結される発光素子100と、前記発光素子100を包囲するモールディング部材240とを含む。
【0192】
前記パッケージ本体部205は、シリコン材質、合成樹脂材質、または金属材質を含んでなることができ、前記発光素子100の周囲に傾斜面を形成することができる。
【0193】
前記第3電極層213および第4電極層214は相互電気的に分離され、前記発光素子100に電源を提供する役割をする。また、前記第3電極層213および第4電極層214は、前記発光素子100から発生した光を反射して光効率を増加させる役割をすることができ、前記発光素子100から発生した熱を外部に排出する役割をすることもできる。
【0194】
前記発光素子100は、図1に例示された垂直型タイプの第1の実施例の発光素子100が適用されるが、これに限定されるものではなく、第2の実施例の発光素子102、および水平型発光素子も適用することができる。
【0195】
前記発光素子100は、前記パッケージ本体部205の上、或いは前記第3電極層213または第4電極層214の上に設置することができる。
【0196】
前記発光素子100は、前記第3電極層213および/または第4電極層214とワイヤ方式、フリップチップ方式、またはダイボンディング方式のいずれか一つによって電気的に連結される。実施例では、前記発光素子100が前記第3電極層213とワイヤ230を介して電気的に連結され、前記第4電極層214と直接接触して電気的に連結されたものが例示されている。
【0197】
前記モールディング部材240は、前記発光素子100を包囲して前記発光素子100を保護することができる。また、前記モールディング部材240には蛍光体が含まれ、前記発光素子100から放出された光の波長を変化させることができる。
【0198】
本発明の一実施例による発光素子パッケージは、複数個が基板上にアレイされ、前記発光素子パッケージから放出される光の経路上に、光学部材である導光板、プリズムシート、拡散シート、蛍光シートなどが配置される。このような発光素子パッケージ、基板、光学部材は、バックライトユニットや照明ユニットとして機能することができ、例えば、照明システムは、バックライトユニット、照明ユニット、指示装置、ランプ、街灯を含むことができる。
【0199】
図20は、本発明の一実施例による照明ユニットの斜視図1100である。なお、図20の照明ユニット1100は照明システムの一例であり、これに限定されるものではない。
【0200】
本実施例で、前記照明ユニット1100はケース本体1110と、前記ケース本体1110に設置された発光モジュール部1130と、前記ケース本体1110に設置され、外部電源から電源が提供される連結端子1120とを含むことができる。
【0201】
前記ケース本体1110は、放熱特性が良好な材質から形成されることが好ましく、例えば金属材質または樹脂材質から形成することができる。
【0202】
前記発光モジュール部1130は、基板1132と、前記基板1132に載置される少なくとも一つの発光素子パッケージ200を含むことができる。
【0203】
前記基板1132は絶縁体に回路パターンが印刷されたものからなることができ、例えば、一般のプリント基板(PCB)、メタルコアPCB、フレキシブルプリント基板、セラミックPCBなどを含むことができる。
【0204】
また、前記基板1132は、光を効率的に反射する材質や、表面が光を効率的に反射するカラー、例えば白色、銀色などからなることができる。
【0205】
前記基板1132上には前記少なくとも一つの発光素子パッケージ200が載置される。前記発光素子パッケージ200のそれぞれは、少なくとも一つの発光ダイオード100を含むことができる。前記発光ダイオード100は、赤色、緑色、青色、または白色の有色光をそれぞれ発光する有色発光ダイオードおよび紫外線を発光する紫外線発光ダイオードを含むことができる。
【0206】
前記発光モジュール部1130は色相および輝度を得るために、多様な発光素子パッケージ200の組合を有して配置されることができる。例えば、高演色性(CRI)を確保するために、白色発光ダイオード、赤色発光ダイオードおよび緑色発光ダイオードを組合せて配置することができる。
【0207】
前記連結端子1120は、前記発光モジュール部1130と電気的に連結されて電源を供給することができる。実施例で、前記連結端子1120はソケット方式により外部電源と連結されるが、これに限定されない。例えば、前記連結端子1120はピン形態に形成されて外部電源に挿入、または配線によって外部電源に連結されることもできる。
【0208】
図21は、本発明の一実施例によるバックライトユニットの分解斜視図である。なお、図21のバックライトユニット1200は照明システムの一例であり、これに限定されるものではない。
【0209】
本実施例によるバックライトユニット1200は、導光板1210と、前記導光板1210に光を提供する発光モジュール部1240と、前記導光板1210の下に反射部材1220と、前記導光板1210、発光モジュール部1240および反射部材1220を収納するボトムカバー1230を含むことができるが、これに限定されない。
【0210】
前記導光板1210は、光を拡散させて面光源化する役割をする。前記導光板1210は透明材質からなることができ、例えば、PMMA(polymethyl metaacrylate)のようなアクリル系樹脂、PET(polyethylene terephthlate)、PC(poly carbonate)、COC(cycloolefin copolymer)、およびPEN(polyethylene naphthalate)樹脂中の一つを含むことができる。
【0211】
前記発光モジュール部1240は、前記導光板1210の少なくとも一側面に光を提供し、究極的には前記バックライトユニットが設置されるディスプレイ装置の光源として作用することになる。
【0212】
前記発光モジュール部1240は前記導光板1210と接するようにすることができるが、これに限定されない。具体的には、前記発光モジュール部1240は基板1242と、前記基板1242に載置された多数の発光素子パッケージ200を含み、前記基板1242が前記導光板1210と接するようにすることができるが、これに限定されない。
【0213】
前記基板1242は、回路パターン(図示しない)を含むプリント基板(PCB)からなることができる。なお、前記基板1242は一般のプリント基板だけでなく、メタルコアPCB、フレキシブルプリント基板等を含むこともでき、これに限定されない。
【0214】
そして、前記多数の発光素子パッケージ200は、前記基板1242上に、光が放出される発光面が前記導光板1210と所定距離離隔するように載置することができる。
【0215】
前記導光板1210の下には、前記反射部材1220を形成することができる。前記反射部材1220は、前記導光板1210の下面に入射された光を上方に反射させることで、前記バックライトユニットの輝度を向上させることができる。前記反射部材1220は、例えばPET、PC、PVCレジンなどからなることができるが、これに限定されない。
【0216】
前記ボトムカバー1230は、前記導光板1210、発光モジュール部1240および反射部材1220等を収納することができる。このために、前記ボトムカバー1230は上面が開口されたボックス形状に形成されるが、これに限定されない。
【0217】
前記ボトムカバー1230は、金属材質、または樹脂材質からなることができ、プレス成形または押出成形などの工程により製造することができる。
【0218】
本実施例は、電気的/光学的信頼性を画期的に改善できる発光素子、発光素子の製造方法、発光素子パッケージおよび照明システムを提供することができる。
【0219】
以上、本発明を実施例を中心に説明したが、これは例示であり、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。本発明が属する分野の通常の知識を持った者であれば、本発明の本質的な特性を逸脱しない範囲内で、以上で例示されていない多様な変形と応用が可能なことは勿論である。例えば、実施例に具体的に示された各構成要素は変形して実施することができる。そして、このような変形と応用に係る差異点は、添付される請求の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の第1半導体層と、
前記第1導電型の第1半導体層上の活性層と、
前記活性層上に第2導電型の第2半導体層と、
前記第2導電型の第2半導体層上の信頼性強化層と、
前記信頼性強化層上の、光抽出パターンを有する第2導電型の第3半導体層と、
を備え、
前記信頼性強化層と前記活性層との間の距離は0.3μm〜5μmである、発光素子。
【請求項2】
前記信頼性強化層は、前記第2導電型の半導体層と同一系列の物質で形成されている、請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記信頼性強化層は、InxAlyGa(1-x-y)N(但し、0≦x≦1、0<y≦1)を含む、請求項1または請求項2に記載の発光素子。
【請求項4】
前記第2導電型の第3半導体層は、InpAlqGa1-p-qN(0≦p≦1、0≦q≦1、0≦p+q≦1)の組成式を有する半導体物質を含む、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発光素子。
【請求項5】
前記信頼性強化層のAlの組成(y)は、前記第2導電型の第3半導体層のAlの組成(q)より高い、請求項4に記載の発光素子。
【請求項6】
前記信頼性強化層のAlの組成(y)は、q+0.05≦y≦q+0.5(但し、0≦q≦0.5)であることを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれかに記載の発光素子。
【請求項7】
前記第2導電型の第3半導体層は、InpAlqGa1-p-qN(0≦p≦1、0≦q≦1、0≦p+q≦1)の組成式を有する半導体物質を含む場合、前記信頼性強化層は前記第2導電型の第3半導体層よりInの組成比が低い、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発光素子。
【請求項8】
前記信頼性強化層は、前記第2導電型の半導体層と同一導電型にドーピングされている、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の発光素子。
【請求項9】
前記信頼性強化層は、5nm〜200nmの厚さを有する、請求項1〜請求項8のいずれかに記載の発光素子。
【請求項10】
前記信頼性強化層は、前記第2導電型の第3半導体層よりエネルギーバンドギャップが大きい請求項1〜請求項9のいずれかに記載の発光素子。
【請求項11】
前記信頼性強化層は、エネルギーバンドギャップが異なる第1信頼性強化層と第2信頼性強化層とを有する、請求項1〜請求項10のいずれかに記載の発光素子。
【請求項12】
前記信頼性強化層のAl組成或いはエネルギーバンドギャップの大きさが、前記活性層の方向に漸進的に減少する、請求項1〜請求項11のいずれかに記載の発光素子。
【請求項13】
前記信頼性強化層のIn組成が前記活性層の方向に漸進的に増加する、請求項1〜請求項12のいずれかに記載の発光素子。
【請求項14】
前記信頼性強化層は、エネルギーバンドギャップが異なる第1信頼性強化層と第2信頼性強化層とが交互に積層されてなる超格子構造を有する、請求項1〜請求項13のいずれかに記載の発光素子。
【請求項15】
前記信頼性強化層は、前記第2導電型の第2半導体層上に突出部を有する請求項1〜請求項14のいずれかに記載の発光素子。
【請求項16】
前記信頼性強化層は、結晶欠陥の周囲においてその厚さがより厚い、請求項1〜請求項15のいずれかに記載の発光素子。
【請求項17】
前記信頼性強化層は、前記結晶欠陥の周囲に前記突出部が位置する、請求項15に記載の発光素子。
【請求項18】
前記信頼性強化層の電気抵抗は、前記第2導電型の第3半導体層の電気抵抗より大きい、請求項1〜請求項17のいずれかに記載の発光素子。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−21296(P2013−21296A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−28750(P2012−28750)
【出願日】平成24年2月13日(2012.2.13)
【出願人】(510039426)エルジー イノテック カンパニー リミテッド (279)
【Fターム(参考)】