説明

発光素子、表示装置、照明装置、及びこれらの作製方法

【課題】発光素子の素子特性を向上させる。
【解決手段】第1の電極層と、光を透過する第2の電極層と、第1の電極層及び第2の電極層に重畳し、第1の電極層及び第2の電極層の間に印加される電圧に応じて発光する発光層と、を含み、第1の電極層は、光を反射する第1の導電層と、第1の導電層の一平面に設けられ、チタンを含む第2の導電層と、第2の導電層と発光層の間に設けられ、光を透過し、第1の導電層の材料より仕事関数が高い金属酸化物を含む第3の導電層と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子に関する。また、上記発光素子を画素部に用いた表示装置に関する。また、上記発光素子を発光部に用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気光学素子の一つであり、電圧又は電流により発光する機能を有する有機化合物又は無機化合物を用いた発光素子(エレクトロルミネセンス素子又はEL素子ともいう)の開発が進められている。
【0003】
上記発光素子は、第1の電極、第2の電極、並びに第1の電極及び第2の電極に重畳する発光層を少なくとも含み、第1の電極及び第2の電極の間に印加される電圧に応じて発光する。
【0004】
例えば、第1の電極を形成し、該第1の電極の上に発光層を形成し、該発光層の上に第2の電極を形成することにより上記発光素子を作製することができる。第1の電極又は第2のうち、光を取り出さない方の電極は、反射率の高い材料を用いることが好ましい。反射率の高い材料としては、例えばアルミニウムなどが挙げられる(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−192413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の発光素子において、素子特性は十分ではなく、さらなる素子特性の向上が必要である。
【0007】
素子特性を向上させるためには、例えば駆動電圧を小さくする必要がある。駆動電圧を小さくするためには、例えば電極による電圧損失を低減させること、又は電極の電荷の注入特性を改善することなどが挙げられる。
【0008】
本発明の一態様では、発光素子の素子特性を向上させることを目的とし、発光素子の駆動電圧を低減することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様では、光を反射する第1の導電層、チタンを含む第2の導電層、及び光を透過し、第1の導電層の材料よりも仕事関数の高い金属酸化物を含む第3の導電層の積層により発光素子の電極を構成することにより、電極による電圧損失を低減し、また、電極における電荷の注入特性を改善することにより、発光素子の駆動電圧の低減を図る。
【0010】
さらに、本発明の一態様では、発光素子の構造を、発光層から射出する光が干渉により強められる構造にする。例えば、上記第3の導電層を、の厚さを調整することにより、上記構造を形成し、発光素子の光の強度を高める。これにより、発光素子の駆動電圧の低減に加えて、発光素子の光の強度を高くし、発光素子の素子特性の向上を図る。
【0011】
また、本発明の一態様では、上記発光素子を、表示装置又は照明装置に適用することにより、表示装置又は照明装置の消費電力の低減を図る。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様では、電極による電圧損失を低減させること、又は電極の電荷の注入特性を改善することができるため、駆動電圧を低減することができ、また、発光素子の素子特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態1における発光素子の例を説明するための図。
【図2】実施の形態1における発光素子の作製方法例を説明するための図。
【図3】実施の形態2における発光層の構造例を示す断面模式図。
【図4】実施の形態3における表示装置の構成例を示すブロック図。
【図5】表示回路の例ならびにその駆動タイミングチャートを説明するための図。
【図6】アクティブマトリクス基板の構造例を示す図。
【図7】実施の形態3における表示装置の構造例を示す断面模式図。
【図8】実施の形態4における電子機器の例を示す模式図。
【図9】実施の形態5における照明装置の構成例を説明するための図。
【図10】実施例1における発光素子の電流−電圧特性を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態の一例について、図面を用いて以下に説明する。なお、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなく実施の形態の内容を変更することは、当業者であれば容易である。よって、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定されない。
【0015】
なお、各実施の形態の内容を互いに適宜組み合わせることができる。また、各実施の形態の内容を互いに置き換えることができる。
【0016】
また、第1、第2などの序数は、構成要素の混同を避けるために付しており、各構成要素の数は、序数の数に限定されない。
【0017】
(実施の形態1)
本実施の形態では、発光素子の例について説明する。
【0018】
本実施の形態における発光素子の構造例について図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態における発光素子の構造例を説明するための図である。
【0019】
発光素子は、図1(A)に示すように電極層(EDともいう)101と、発光層(LEともいう)102と、電極層103と、を含む。
【0020】
なお、電極層とは、電極としての機能を有する層のことをいう。
【0021】
電極層101は、発光素子の電極としての機能を有する。
【0022】
発光層102は、電圧が印加されることにより特定の色を呈する光を射出する層である。発光層102は、M個の発光ユニット(Mは自然数)を含む。
【0023】
また、一般的に電圧とは、ある二点間における電位の差(電位差ともいう)のことをいう。しかし、電圧及び電位の値は、回路図などにおいていずれもボルト(V)で表されることがあるため、区別が困難である。そこで、本明細書では、特に指定する場合を除き、ある一点の電位と基準となる電位(基準電位ともいう)との電位差を、該一点の電圧として用いる場合がある。
【0024】
電極層103は、発光素子の電極としての機能を有する。
【0025】
図1(A)に示す発光素子は、一対の電極(電極層101及び電極層103)、及び上記一対の電極に重畳する発光層(発光層102)を有し、上記一対の電極の間に印加される電圧に応じて発光層102が発光することにより光を射出する。
【0026】
さらに、発光素子の各構成要素について以下に説明する。
【0027】
電極層101及び電極層103のうち、一方の電極層(第1の電極層ともいう)は、図1(B)に示すように、導電層111(RFLともいう)と、導電層112(TiLともいう)と、導電層113(MOLともいう)と、を有する。
【0028】
導電層111としては、光を反射する材料を有する金属層を用いることができる。光を反射する材料の層としては、例えばアルミニウム、又はアルミニウムと他の金属(チタン、ネオジム、ニッケル、及びランタンの一つ又は複数)との合金材料の層を用いることができる。アルミニウムは、抵抗値が低く、光の反射率が高い。また、アルミニウムは、地殻における存在量が多く、安価であるため、アルミニウムを用いることにより発光素子の作製コストを低減することができる。また、銀を用いてもよい。
【0029】
導電層112としては、チタンを含む導電層を用いることができ、例えばチタン層又は酸化チタン層を用いることができる。なお、チタン酸化物と導電性を有するチタン化合物の混在層により導電層112を構成してもよい。導電層111の上に導電層112を設けることにより、導電層111の酸化又は電食を抑制することができる。
【0030】
また、導電層112には、熱処理が行われていることが好ましい。上記熱処理により、導電層112と導電層113の密着性をさらに良くすることができる。
【0031】
導電層113は、導電層112と発光層102の間に設けられる。導電層113としては、導電性が高く、導電層111の材料より仕事関数の高い金属酸化物の層を用いることができる。さらに、導電層113は、光を透過する機能を有する。導電層113としては、例えば酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム−酸化スズ(In−SnO、ITOともいう)、酸化珪素を含む酸化インジウム−酸化スズ(ITO−SiOxともいう)、酸化インジウム−酸化亜鉛(In―ZnO)などの金属酸化物、シリコン、酸化シリコン、あるいは窒素を含む前記金属酸化物などを用いることができる。また、上記材料の積層により導電層113を構成することもできる。上記材料は、導電層112及び発光層102と接しても素子特性の低下を抑制することができるため、好ましい。
【0032】
また、発光層102は、蛍光材料又は燐光材料などの発光材料を含む層を用いることができる。
【0033】
電極層101及び電極層103のうち、他方の電極層(第2の電極層ともいう)は、光を透過する。第2の電極層としては、例えば酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム−酸化スズ、酸化珪素を含む酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化亜鉛などの金属酸化物、シリコン、酸化シリコン、あるいは窒素を含む前記金属酸化物を用いることができる。また、第2の電極層としては、銀、マグネシウム、並びに銀及びマグネシウムの合金の層を用いることができる。また、上記材料の積層により、第2の電極層を構成することもできる。
【0034】
発光素子の構造が電極層103を介して光を射出する構造の場合には、電極層101が導電層111、導電層112、及び導電層113の積層であり、電極層103が光を透過する導電層である。また、発光素子の構造が電極層101を介して光を射出する構造の場合には、電極層103が導電層111、導電層112、及び導電層113の積層であり、電極層101が光を透過する導電層である。
【0035】
さらに、発光層102が射出する光が、第1の電極層及び第2の電極層の間において、干渉して強められるように発光素子を構成してもよい。すなわち、光学距離を最適化することにより、発光層102が射出する光を第1の電極層及び第2の電極層の間において干渉させて強めるようにしてもよい。例えば、電極層101から電極層103までの長さ、すなわち発光層102の膜厚と発光層102の屈折率との積が、所望の光の波長のN/2倍(Nは自然数)になるように、電極層101から電極層103までの長さを調整してもよい。また、導電層113が光を透過する場合、導電層111から電極層103までの長さと発光層102の屈折率との積が、所望の光の波長のN/2倍(Nは自然数)になるように、導電層111から電極層103までの長さを調整してもよい。これにより、発光素子の光の強度をさらに高くすることができる。上記調整された構造を光共振構造ともいう。また、上記調整された構造をマイクロキャビティ構造ともいうことができる。
【0036】
なお、導電層113が光を透過する場合、導電層113の厚さを調整することにより光路長を調整することが好ましい。なぜならば、導電層113は、光を透過し、フォトリソグラフィ技術により導電層113を形成することができるため、製造工程が容易であり、厚さの調整も容易であるからである。
【0037】
以上が図1に示す発光素子の構造例の説明である。
【0038】
図1を用いて説明したように、本実施の形態における発光素子の一例では、第1の電極層を、光を反射する第1の導電層と、チタンを含む第2の導電層と、光を透過し、第1の導電層の材料より仕事関数の大きい金属酸化物を含む第3の導電層の積層にすることにより、発光素子の電極による電圧損失を低減させ、電極における電荷の注入特性を改善することができるため、発光素子の駆動電圧を低減することができる。
【0039】
さらに、本発明の一態様では、光共振構造を、光を透過する機能を有し、かつフォトリソグラフィ技術を用いて形成することが可能な金属酸化物を含む導電層の厚さを変えるだけで調整でき、上記調整を行うことにより、発光素子の光の強度を高くすることができる。
【0040】
よって、発光素子の素子特性を向上させることができる。
【0041】
本実施の形態における発光素子の作製方法例について図2を用いて説明する。なお、図2では、一例として電極層103側から光を取り出す構造の発光素子の例について示す。
【0042】
まず、図2(A)に示すように、被素子形成層100の上に導電層111を形成する。
【0043】
例えば、スパッタリング法などを用いて導電層111に適用可能な導電膜を形成することにより導電層111を形成することができる。
【0044】
次に、図2(B)に示すように、導電層111の上に導電層112を形成する。
【0045】
例えば、スパッタリング法などを用いて導電層112に適用可能な導電膜を形成することにより導電層112を形成することができる。
【0046】
さらに、熱処理を行う。例えば、200℃以上300℃以下の範囲の温度で熱処理を行う。上記熱処理により、導電層112の一部を酸化させることができる。
【0047】
次に、図2(C)に示すように、導電層112の上に導電層113を形成する。
【0048】
例えば、スパッタリング法などを用いて導電層113に適用可能な導電膜を形成することにより導電層113を形成することができる。
【0049】
次に、図2(D)に示すように、導電層113の上に発光層102を形成する。
【0050】
例えば、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、又は塗布法などの方法を用いて発光層102に適用可能な材料の膜を形成することにより発光層102を形成することができる。
【0051】
次に、図2(E)に示すように、発光層102の上に電極層103を形成する。
【0052】
例えば、スパッタリング法などを用いて電極層103に適用可能な導電膜を形成することにより電極層103を形成することができる。
【0053】
以上が発光素子の作製方法例の説明である。
【0054】
図2を用いて説明したように、本実施の形態における発光素子の作製方法の一例では、光を反射する第1の導電層、チタンを含む第2の導電層を順に形成した後に熱処理を行い、その後第2の導電層の上に、第1の導電層の材料より仕事関数の大きい金属酸化物を含む第3の導電層を形成して電極層を作製することにより、第3の導電層の酸素欠損による応力の発生を抑制することができるため、第2の導電層と第3の導電層の密着性を高めることができる。
【0055】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態に示す発光素子における発光層(LE)の構造例について説明する。
【0056】
発光層は、M個の発光ユニット(LEUともいう)を含む。
【0057】
さらに、本実施の形態における発光ユニットの構造例について図3を用いて説明する。図3は、本実施の形態における発光ユニットの構造例を示す断面模式図である。
【0058】
図3(A)に示す発光ユニットは、エレクトロルミネセンス層(ELLともいう)121aを有する。
【0059】
エレクトロルミネセンス層121aは、発光材料を含む層である。
【0060】
また、図3(B)に示す発光ユニットは、エレクトロルミネセンス層121bと、正孔注入層(HILともいう)122と、正孔輸送層(HTLともいう)123と、電子輸送層(ETLともいう)124と、電子注入層(EILともいう)125と、を含む。
【0061】
エレクトロルミネセンス層121bは、発光材料を含む層である。
【0062】
また、エレクトロルミネセンス層121bは、正孔輸送層123上に設けられる。なお、正孔輸送層123を設けない場合、エレクトロルミネセンス層121bは、正孔注入層122上に設けられる。
【0063】
正孔注入層122は、正孔を注入するための層である。なお、必ずしも正孔注入層122を設けなくてもよい。
【0064】
正孔注入層122を設ける場合、正孔輸送層123は、正孔注入層122上に設けられる。
【0065】
正孔輸送層123は、エレクトロルミネセンス層121bに正孔を輸送するための層である。なお、必ずしも正孔輸送層123を設けなくてもよい。
【0066】
電子輸送層124は、エレクトロルミネセンス層121b上に設けられる。
【0067】
電子輸送層124は、エレクトロルミネセンス層121bに電子を輸送するための層である。なお、必ずしも電子輸送層124を設けなくてもよい。
【0068】
電子輸送層124を設ける場合、電子注入層125は、電子輸送層124上に設けられる。なお、電子輸送層124を設けない場合、電子注入層125は、エレクトロルミネセンス層121b上に設けられる。
【0069】
電子注入層125は、電子を注入するための層である。
【0070】
さらに、図3(A)及び図3(B)に示す発光ユニットの各構成要素について説明する。
【0071】
エレクトロルミネセンス層121a及びエレクトロルミネセンス層121bとしては、例えば蛍光を発する化合物又は燐光を発する化合物、及びホスト材料を含む層を用いることができる。
【0072】
蛍光を発する化合物としては、例えば青色を呈する光を発する蛍光材料(青色蛍光材料ともいう)、緑色を呈する光を発する蛍光材料(緑色蛍光材料ともいう)、黄色を呈する光を発する蛍光材料(黄色蛍光材料ともいう)、又は赤色を呈する光を発する蛍光材料(赤色蛍光材料ともいう)などを用いることができる。
【0073】
青色蛍光材料としては、例えばN,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(YGA2S(略称)ともいう)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(YGAPA(略称)ともいう)、4−(10−フェニル−9−アントリル)−4’−(9−フェニル−9H−カルバゾール−3−イル)トリフェニルアミン(PCBAPA(略称)ともいう)などを用いることができる。
【0074】
緑色蛍光材料としては、例えばN−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(2PCAPA(略称)ともいう)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(2PCABPhA(略称)ともいう)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(2DPAPA(略称)ともいう)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン(2DPABPhA(略称)ともいう)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)]−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N−フェニルアントラセン−2−アミン(2YGABPhA(略称)ともいう)、N,N,9−トリフェニルアントラセン−9−アミン(DPhAPhA(略称)ともいう)などが挙げられる。
【0075】
また、黄色蛍光材料としては、例えばルブレン、又は5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)−6,11−ジフェニルテトラセン(BPT(略称)ともいう)などを用いることができる。
【0076】
また、赤色蛍光材料としては、例えばN,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセン−5,11−ジアミン(p−mPhTD(略称)ともいう)、又は7,14−ジフェニル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン−3,10−ジアミン(p−mPhAFD(略称)ともいう)などを用いることができる。
【0077】
また、燐光を発する化合物としては、例えば青色を呈する光を発する燐光材料(青色燐光材料ともいう)、緑色を呈する光を発する燐光材料(緑色燐光材料ともいう)、黄色を呈する光を発する燐光材料(黄色燐光材料ともいう)、橙色を呈する光を発する燐光材料(橙色燐光材料ともいう)、又は赤色を呈する光を発する燐光材料(赤色燐光材料ともいう)などを用いることができる。
【0078】
青色燐光材料としては、例えばビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(FIr6(略称)ともいう)、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(FIrpic(略称)ともいう)、ビス{2−[3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(III)ピコリナート(Ir(CFppy)(pic)(略称)ともいう)、又はビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(FIr(acac)(略称)ともいう)などを用いることができる。
【0079】
緑色燐光材料としては、例えばトリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(Ir(ppy)(略称)ともいう)、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(Ir(ppy)(acac)(略称)ともいう)、ビス(1,2−ジフェニル−1H−ベンゾイミダゾラト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(Ir(pbi)(acac)(略称)ともいう)、ビス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(Ir(bzq)(acac)(略称)ともいう)、又はトリス(ベンゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)(Ir(bzq)(略称)ともいう)などを用いることができる。
【0080】
黄色燐光材料としては、例えばビス(2,4−ジフェニル−1,3−オキサゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(Ir(dpo)(acac)(略称)ともいう)、ビス[2−(4’−パーフルオロフェニルフェニル)ピリジナト]イリジウム(III)アセチルアセトナート(Ir(p−PF−ph)(acac)(略称)ともいう)、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(Ir(bt)(acac)(略称)ともいう)、(アセチルアセトナート)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)−5−メチルピラジナト]イリジウム(III)(Ir(Fdppr−Me)(acac)(略称)ともいう)、又は(アセチルアセトナート)ビス{2−(4−メトキシフェニル)−3,5−ジメチルピラジナト}イリジウム(III)(Ir(dmmoppr)(acac)(略称)ともいう)などを用いることができる。
【0081】
橙色燐光材料としては、例えばトリス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)(Ir(pq)(略称)ともいう)、ビス(2−フェニルキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(Ir(pq)(acac)(略称)ともいう)、(アセチルアセトナート)ビス(3,5−ジメチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(Ir(mppr−Me)(acac)(略称)ともいう)、(アセチルアセトナート)ビス(5−イソプロピル−3−メチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(Ir(mppr−iPr)(acac)(略称)ともいう)などを用いることができる。
【0082】
赤色燐光材料としては、例えばビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(Ir(btp)(acac))、ビス(1−フェニルイソキノリナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(Ir(piq)(acac)(略称)ともいう)、(アセチルアセトナート)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト]イリジウム(III)(Ir(Fdpq)(acac)(略称)ともいう)、(アセチルアセトナート)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(Ir(tppr)(acac)(略称)ともいう)、(ジピバロイルメタナト)ビス(2,3,5−トリフェニルピラジナト)イリジウム(III)(Ir(tppr)(dpm)(略称)ともいう)、又は2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン白金(II)(PtOEP(略称)ともいう)などを用いることができる。
【0083】
また、燐光を発する化合物としては、希土類金属錯体を用いることができる。希土類金属錯体の発光は、希土類金属イオンからの発光(異なる多重度間の電子遷移)であるため、燐光を発する化合物として用いることができる。燐光を発する化合物としては、例えばトリス(アセチルアセトナート)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(Tb(acac)(Phen)(略称)ともいう)、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(Eu(DBM)(Phen)(略称)ともいう)、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(Eu(TTA)(Phen)(略称)ともいう)などを用いることができる。
【0084】
なお、エレクトロルミネセンス層121a及びエレクトロルミネセンス層121bにおいて、蛍光を発する化合物又は燐光を発する化合物は上記ホスト材料中にゲスト材料として分散されている。ホスト材料としては、例えばゲスト材料よりも最低空軌道準位(LUMO準位)が高く、最高被占有軌道準位(HOMO準位)が低い物質を用いることが好ましい。
【0085】
ホスト材料としては、例えば金属錯体、複素環化合物、縮合芳香族化合物、又は芳香族アミン化合物などを用いることができる。
【0086】
例えば、ホスト材料としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(Alq(略称)ともいう)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(Almq(略称)ともいう)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(BeBq(略称)ともいう)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(BAlq(略称)ともいう)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(Znq(略称)ともいう)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(ZnPBO(略称)ともいう)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(ZnBTZ(略称)ともいう)、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD(略称)ともいう)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(OXD−7(略称)ともいう)、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ(略称)ともいう)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(TPBI(略称)ともいう)、バソフェナントロリン(BPhen(略称)ともいう)、バソキュプロイン(BCP(略称)ともいう)、CzPA、3,6−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(DPCzPA(略称)ともいう)、DNA、t−BuDNA、9,9’−ビアントリル(BANT(略称)ともいう)、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイル)ジフェナントレン(DPNS(略称)ともいう)、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル)ジフェナントレン(DPNS2(略称)ともいう)、3,3’,3’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリピレン(TPB3(略称)ともいう)、DPAnth、6,12−ジメトキシ−5,11−ジフェニルクリセン、N,N−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(CzA1PA(略称)ともいう)、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(DPhPA(略称)ともいう)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(PCAPA(略称)ともいう)、N,9−ジフェニル−N−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]フェニル}−9H−カルバゾール−3−アミン(PCAPBA(略称)ともいう)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(2PCAPA(略称)ともいう)、NPB、TPD、DFLDPBi、又はBSPBなどを用いることができる。
【0087】
また、上記ホスト材料を複数用いてエレクトロルミネセンス層121a及びエレクトロルミネセンス層121bを構成することもできる。
【0088】
ゲスト材料をホスト材料に分散させた層によりエレクトロルミネセンス層121a及びエレクトロルミネセンス層121bを構成することにより、エレクトロルミネセンス層121a及びエレクトロルミネセンス層121bの結晶化を抑制することができ、また、ゲスト材料の濃度消光を抑制することができる。
【0089】
また、エレクトロルミネセンス層121a及びエレクトロルミネセンス層121bとしては、高分子化合物の発光物質を含む層を用いることができる。
【0090】
高分子化合物の発光物質としては、例えばポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)(PFO(略称)ともいう)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジイル)](PF−DMOP(略称)ともいう)、ポリ{(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−[N,N’−ジ−(p−ブチルフェニル)−1,4−ジアミノベンゼン]}(TAB−PFH(略称)ともいう)、ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV(略称)ともいう)、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−alt−co−(ベンゾ[2,1,3]チアジアゾール−4,7−ジイル)](PFBT(略称)ともいう)、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニレン)−alt−co−(2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−フェニレン)]、ポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキソキシ)−1,4−フェニレンビニレン](MEH−PPV(略称)ともいう)、ポリ(3−ブチルチオフェン−2,5−ジイル)(R4−PAT(略称)ともいう)、ポリ{[9,9−ジヘキシル−2,7−ビス(1−シアノビニレン)フルオレニレン]−alt−co−[2,5−ビス(N,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン]}、又はポリ{[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシロキシ)−1,4−ビス(1−シアノビニレンフェニレン)]−alt−co−[2,5−ビス(N,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン]}(CN−PPV−DPD(略称)ともいう)などを用いることができる。
【0091】
正孔注入層122としては、正孔注入性を有する物質を含む層を用いることができる。
【0092】
正孔注入性を有する物質としては、例えばモリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、又はマンガン酸化物などを用いることができる。
【0093】
また、正孔注入性を有する物質としては、フタロシアニン(HPc(略称)ともいう)又は銅フタロシアニン(CuPc(略称)ともいう)などの金属フタロシアニンを用いることもできる。
【0094】
また、正孔注入性を有する物質としては、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(TDATA(略称)ともいう)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(MTDATA(略称)ともいう、)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(DPAB(略称)ともいう)、4,4’−ビス(N−{4−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニルアミノ)ビフェニル(DNTPD(略称)ともいう)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(DPA3B(略称)ともいう)、3−[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(PCzPCA1(略称)ともいう)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(PCzPCA2(略称)ともいう)、又は3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−9−フェニルカルバゾール(PCzPCN1(略称)ともいう)などの芳香族アミンを用いることができる。
【0095】
また、正孔注入性を有する物質としては、例えばオリゴマー、デンドリマー、又はポリマーなどを用いることもでき、例えばポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVKともいう)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(PVTPAともいう)、ポリ[N−(4−{N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フェニル)メタクリルアミド](PTPDMAともいう)、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](Poly−TPDともいう)などを用いることができる。
【0096】
また、正孔注入性を有する物質としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSSともいう)、又はポリアニリン/ポリ(スチレンスルホン酸)(PAni/PSSともいう)などのドープされた高分子を用いることができる。
【0097】
また、正孔注入層122としては、正孔輸送性を有する有機化合物と、アクセプター性物質と、を含有する複合材料の層を用いることもできる。このとき、上記複合材料に含有される有機化合物の正孔移動度は、10−6cm/Vs以上であることが好ましい。正孔注入層122として、正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有させた複合材料の層を用いることにより、発光素子の電極から正孔が注入されやすくなり、発光素子の駆動電圧を低減することができる。例えば、正孔輸送性の高い物質及びアクセプター物質を共蒸着することにより、上記複合材料の層を形成することができる。
【0098】
上記複合材料に含有される有機化合物としては、例えば芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、又は高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマーなど)などを用いることができる。
【0099】
例えば、上記複合材料に含有される有機化合物としては、TDATA、MTDATA、DPAB、DNTPD、DPA3B、PCzPCA1、PCzPCA2、PCzPCN1、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(NPB(略称)又はα−NPD(略称)ともいう)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD(略称)ともいう)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(BPAFLP(略称)ともいう)、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(CBP(略称)ともいう)、1,3,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(TCPB(略称)ともいう)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(CzPA(略称)ともいう)、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(PCzPA(略称)ともいう)、又は1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェニルベンゼンなどを用いることができる。
【0100】
また、上記複合材料に含有される有機化合物としては、例えば2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(t−BuDNA(略称)ともいう)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(DPPA(略称)ともいう)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェニル)アントラセン(t−BuDBA(略称)ともいう)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(DNA(略称)ともいう)、9,10−ジフェニルアントラセン(DPAnth(略称)ともいう)、2−tert−ブチルアントラセン(t−BuAnth(略称)ともいう)、9,10−ビス(4−メチル−1−ナフチル)アントラセン(DMNA(略称)ともいう)、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]−2−tert−ブチルアントラセン、9,10−ビス[2−(1−ナフチル)フェニル]アントラセン、又は2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(1−ナフチル)アントラセンなどを用いることができる。
【0101】
さらに、上記複合材料に含有される有機化合物としては、例えば2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン、ペンタセン、コロネン、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi(略称)ともいう)、又は9,10−ビス[4−(2,2−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(DPVPA(略称)ともいう)などを用いることができる。
【0102】
また、電子受容体であるアクセプター性物質としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(F−TCNQ(略称)ともいう)、クロラニルなどの有機化合物や、遷移金属酸化物を用いることができる。
【0103】
また、電子受容体であるアクセプター性物質としては、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を用いることができる。例えば、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン(MoOx)、酸化タングステン、酸化マンガン、又は酸化レニウムは、電子受容性が高いため、電子受容体であるアクセプター性物質として好ましい。さらに、酸化モリブデンは、大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすいため、電子受容体であるアクセプター性物質としてより好ましい。
【0104】
なお、正孔注入層122としては、例えばPVK、PVTPA、PTPDMA、又はPoly−TPDなどの高分子化合物と、上記電子受容体を用いて複合材料の層を用いることができる。
【0105】
正孔輸送層123としては、正孔輸送性を有する物質を含む層を用いることができる。
【0106】
正孔輸送性を有する物質としては、芳香族アミン化合物を用いることができる。
【0107】
例えば、正孔輸送性を有する物質としては、NPBやTPD、4,4’,4’’−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン(TCTA(略称)ともいう)、TDATA、MTDATA、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(BSPB(略称)ともいう)、PCzPCA1、PCzPCA2、PCzPCN1などを用いることができる。
【0108】
また、正孔輸送層123としては、例えばCBP、TCPB、CzPAなどのカルバゾール誘導体を含む層を用いることができる。
【0109】
また、正孔輸送層123としては、例えばPVK、PVTPA、PTPDMA、又はPoly−TPDなどの高分子を含む層を用いることもできる。
【0110】
なお、上記材料の積層により、正孔輸送層123を構成することもできる。
【0111】
電子輸送層124としては、電子輸送性を有する物質を含む層を用いることができる。
【0112】
電子輸送性を有する物質としては、例えばAlq、Almq、BeBq、BAlq、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(Zn(BOX))、ZnBTZ、PBD、OXD−7、9−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル]−9H−カルバゾール(CO11)、TAZ、BPhen、BCP、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−3,5−ジイル)](PF−Py)、又はポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル)](PF−BPy)などを用いることができる。
【0113】
なお、上記材料の積層により電子輸送層124を構成することもできる。
【0114】
電子注入層125としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はこれらの化合物を含む層を用いることができる。また、電子注入層125としては、例えば電子輸送層に適用可能な材料の層にアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はこれらの化合物を含む層を用いることもできる。
【0115】
例えば、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、又は塗布法などの方法を用いることにより、正孔注入層122、正孔輸送層123、エレクトロルミネセンス層121a及びエレクトロルミネセンス層121b、電子輸送層124、並びに電子注入層125を形成することができる。
【0116】
以上が発光ユニットの構造例である。
【0117】
さらに、複数の発光ユニットを有する場合の発光層の構造例として、2つの発光ユニットを有する発光層、及び3つの発光ユニットを有する発光層の構造例について、図3(C)及び図3(D)を用いて説明する。
【0118】
図3(C)に示す発光層は、発光ユニット(LEU)221と、電荷発生層(BUFともいう)222と、発光ユニット223と、を有する。
【0119】
また、図3(D)に示す発光層は、発光ユニット231と、電荷発生層232と、発光ユニット233と、電荷発生層234と、発光ユニット235と、を有する。
【0120】
発光ユニット221、発光ユニット223、発光ユニット231、発光ユニット233、及び発光ユニット235のそれぞれとしては、例えば図3(A)又は図3(B)を用いて説明した構造の発光ユニットを適宜用いることができる。
【0121】
電荷発生層222、電荷発生層232、及び電荷発生層234としては、例えば電子供与性及び電子輸送性が高い電子注入バッファ層と、正孔輸送性が高い複合材料層との積層などを用いることができる。
【0122】
電子注入バッファ層は、発光層への電子の注入障壁を緩和する層である。
【0123】
電子注入バッファ層としては、電子注入性又は電子ドナー性を有する材料、及び電子輸送性を有する物質を含む層を用いることができる。
【0124】
電子注入性又は電子ドナー性を有する材料としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、及び希土類金属などの金属材料、並びに該金属材料の化合物を用いることができる。
【0125】
電子輸送性を有する物質としては、正孔輸送性よりも電子輸送性の高い物質、例えばAlq、Almq、BeBq、BAlq、Zn(BOX)、Zn(BTZ)などの金属錯体、PBD、OXD−7、CO11などのオキサジアゾール誘導体、TAZなどのトリアゾール誘導体、BPhen、BCPなどのフェナントロリン誘導体、PF−Py、又はPF−BPyなどの高分子材料を用いることができる。
【0126】
複合材料層としては、上記正孔輸送性を有する物質にアクセプター性物質を含有させた複合材料の層を用いることができる。
【0127】
電荷発生層を設けることにより、電流密度を低く保ったまま、発光素子の輝度を高めつつ、寿命を長くすることができる。
【0128】
また、異なる色を呈する光を発する複数の発光ユニットの積層により、様々な発光色を得ることができ、また、発光輝度を向上させることができる。
【0129】
例えば、図3(C)に示す発光層において、発光ユニット221を、青色を呈する光を発する発光ユニットにし、発光ユニット223を、黄色を呈する光を発する発光ユニットにすることにより、白色を呈する光を発する発光層を構成することができる。また、発光ユニット221を、青緑色を呈する光を発する発光ユニットにし、発光ユニット223を、赤色を呈する光を発する発光ユニットにすることにより、白色を呈する光を発する発光層を構成することができる。ただし、これに限定されず、白以外の色を呈する光を発する発光層になるような複数の発光ユニットを選択してもよい。
【0130】
また、例えば、図3(D)に示す発光層において、発光ユニット231を、エレクトロルミネセンス層に蛍光材料を用いた青色を呈する光を射出する発光ユニットにし、発光ユニット233を、エレクトロルミネセンス層に燐光材料を用いた橙色を呈する光を射出する発光ユニットにし、発光ユニット235を、エレクトロルミネセンス層に燐光材料を用いた橙色を呈する光を射出する発光ユニットにすることにより、白色を呈する光を射出する発光層を構成することができる。ただし、これに限定されず、白以外の色を呈する光を射出する発光層になるような複数の発光ユニットを選択してもよい。
【0131】
なお、これに限定されず、例えば白色を呈する光を射出する発光ユニットを複数用いて発光層を構成してもよい。
【0132】
図3を用いて説明したように、本実施の形態における発光層の一例では、M個の発光ユニットを含む構造である。
【0133】
また、本実施の形態における発光層の一例では、複数の発光ユニットを積層させることにより、発光効率を向上させることができ、発光素子の素子特性を向上させることができる。
【0134】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態における発光素子を画素部に備えた表示装置の例について説明する。
【0135】
まず、本実施の形態における表示装置の例について図4を用いて説明する。図4は、本実施の形態における表示装置を説明するための図である。
【0136】
図4に示す表示装置は、表示駆動部DDRVと、画素部PIXと、を含む。
【0137】
表示駆動部DDRVは、表示装置における表示動作を制御する領域である。
【0138】
画素部PIXは、表示動作を行う領域である。
【0139】
また、図4に示す表示装置は、駆動回路(DRVともいう)301と、駆動回路302と、複数の表示回路(DISPともいう)305と、を具備する。
【0140】
駆動回路301は、表示駆動部DDRVに設けられる。駆動回路301は、表示回路305を選択する機能を有する。
【0141】
駆動回路301は、例えばシフトレジスタを備える。このとき、駆動回路301は、シフトレジスタから複数のパルス信号を出力させることにより、表示回路305を選択するための信号を出力することができる。また、駆動回路301を複数のシフトレジスタを備える構成にすることもできる。このとき、駆動回路301は、上記複数のシフトレジスタのそれぞれから複数のパルス信号を出力させ、表示回路305を制御するための複数の信号を出力することもできる。
【0142】
駆動回路302は、表示駆動部DDRVに設けられる。駆動回路302には、画像信号が入力される。駆動回路302は、入力された画像信号を元に電圧信号である表示データ信号を複数生成し、生成した複数の表示データ信号を出力する機能を有する。
【0143】
駆動回路302は、例えば複数のトランジスタを備える。
【0144】
なお、表示装置において、トランジスタは、2つの端子と、印加される電圧により該2つの端子の間に流れる電流を制御する電流制御端子と、を有する。なお、トランジスタに限らず、素子において、互いの間に流れる電流が制御される端子を電流端子ともいい、2つの電流端子のそれぞれを第1の電流端子及び第2の電流端子ともいう。
【0145】
また、表示装置において、トランジスタとしては、例えば電界効果トランジスタを用いることができる。電界効果トランジスタの場合、第1の電流端子は、ソース及びドレインの一方であり、第2の電流端子は、ソース及びドレインの他方であり、電流制御端子は、ゲートである。
【0146】
駆動回路302は、上記複数のトランジスタを選択的にオン状態又はオフ状態にすることにより、画像信号のデータを複数の表示データ信号として出力することができる。上記複数のトランジスタは、ゲートにパルス信号である制御信号を入力することにより制御することができる。
【0147】
複数の表示回路305は、画素部PIXに行列方向に設けられる。複数の表示回路305のそれぞれには、複数の表示データ信号のいずれか一つが入力される。なお、一つ以上の表示回路305を用いて一つの画素が構成される。
【0148】
なお、赤色を呈する光を射出する表示回路、緑色を呈する光を射出する表示回路、及び青色を呈する光を射出する表示回路を設け、それぞれの表示回路により光を射出し、フルカラーの画像を画素部において表示することもできる。また、上記表示回路に加え、シアン、マゼンタ、及びイエローの一つ又は複数の色を呈する光を射出する表示回路を設けてもよい。シアン、マゼンタ、及びイエローの一つ又は複数の色を呈する光を射出する表示回路を設けることにより、表示画像において再現可能な色の種類を増やすことができるため、表示画像の品質を向上させることができる。例えば、発光素子からの光のうち、特定の波長の光を透過する着色層を設けることにより、特定の色を呈する光を射出することができる。上記構成にすることにより、互いに異なる色を呈する光を射出する複数の発光素子を形成せずにフルカラー画像を表示することができるため、作製工程を容易にし、歩留まりを向上させることができ、また発光素子の品質を向上させ、発光素子の信頼性を向上させることができる。
【0149】
さらに、本実施の形態における表示回路の例について、図5を用いて説明する。
【0150】
まず、本実施の形態における表示回路の構成例について、図5(A)を用いて説明する。図5(A)は、本実施の形態における表示回路の構成例を示す回路図である。
【0151】
図5(A)に示す表示回路は、トランジスタ331と、トランジスタ332と、発光素子(LEEともいう)333と、容量素子335と、を備える。
【0152】
なお、図5(A)に示す表示回路において、トランジスタ331及びトランジスタ332は、電界効果トランジスタである。
【0153】
なお、表示回路において、容量素子は、第1の容量電極と、第2の容量電極と、第1の容量電極及び第2の容量電極に重畳する誘電体層と、を含む。容量素子は、第1の容量電極及び第2の容量電極の間に印加される電圧に応じて電荷が蓄積される。
【0154】
トランジスタ331のソース及びドレインの一方には、表示データ信号(信号DDともいう)が入力され、トランジスタ331のゲートには、表示選択信号(信号DSELともいう)が入力される。
【0155】
トランジスタ332のソース及びドレインの一方には、電圧Vbが入力され、トランジスタ332のゲートは、トランジスタ331のソース及びドレインの他方に電気的に接続される。
【0156】
発光素子333の第1の電極は、トランジスタ332のソース及びドレインの他方に電気的に接続され、発光素子333の第2の電極には、電圧Vaが入力される。
【0157】
容量素子335の第1の容量電極には、電圧Vcが入力され、容量素子335の第2の容量電極は、トランジスタ332のゲートに電気的に接続される。
【0158】
なお、電圧Va及び電圧Vbの一方は、高電源電圧Vddであり、電圧Va及び電圧Vbの他方は、低電源電圧Vssである。電圧Va及び電圧Vbの差の絶対値は、少なくともトランジスタ332の閾値電圧の絶対値より大きいことが好ましい。また、電圧Va及び電圧Vbは、例えばトランジスタの極性などにより互いに入れ替わる場合がある。また、電圧Vcの値は適宜設定される。
【0159】
図5(A)に示す表示回路の各構成要素について説明する。
【0160】
トランジスタ331は、信号入力選択トランジスタである。なお、信号入力選択信号は、図4に示す駆動回路301から入力される。
【0161】
トランジスタ332は、発光素子333に流れる電流量を制御する駆動トランジスタである。
【0162】
容量素子335は、表示データ信号による電荷を保持する保持容量である。なお、必ずしも容量素子335を設けなくてもよい。
【0163】
なお、トランジスタ331及びトランジスタ332としては、例えばチャネルが形成され、元素周期表における第14族の半導体(例えばシリコンなど)を含有する半導体層又は酸化物半導体層を含むトランジスタを用いることができる。上記酸化物半導体層を含むトランジスタは、従来のシリコンなどの半導体層を用いたトランジスタよりオフ電流の低い酸化物半導体層を用いたトランジスタである。上記酸化物半導体層は、シリコンよりバンドギャップが高く、真性(I型ともいう)、又は実質的に真性である半導体層であり、上記酸化物半導体層を含むトランジスタのオフ電流は、チャネル幅1μmあたり10aA(1×10−17A)以下、好ましくはチャネル幅1μmあたり1aA(1×10−18A)以下、さらには好ましくはチャネル幅1μmあたり10zA(1×10−20A)以下、さらに好ましくはチャネル幅1μmあたり1zA(1×10−21A)以下、さらに好ましくはチャネル幅1μmあたり100yA(1×10−22A)以下である。
【0164】
次に、図5(A)に示す表示回路の駆動方法例について、図5(B)を用いて説明する。図5(B)は、図5(A)に示す表示回路の駆動方法例を説明するためのタイミングチャートであり、信号DD、信号DSEL、トランジスタ331のそれぞれの状態を示す。
【0165】
図5(A)に示す表示回路の駆動方法例では、期間T11において、信号DSELのパルス(plsともいう)を入力し、トランジスタ331をオン状態(状態ONともいう)にする。
【0166】
トランジスタ331がオン状態のとき、表示回路に信号DDが入力され、トランジスタ332のゲートの電圧及び容量素子335の第2の容量電極の電圧が信号DDの電圧(ここでは一例として電圧D11)と同等の値になる。
【0167】
このとき、トランジスタ332のゲートの電圧に応じてトランジスタ332のソース及びドレインの間に電流が流れ、さらに、発光素子333の第1の電極及び第2の電極の間に電流が流れ、発光素子333が発光する。このとき、発光素子333の第1の電極の電圧は、信号DDに応じた値になり、発光素子333の発光輝度は、信号DDに応じて設定された第1の電極の電圧、及び電圧Vaに応じた値になる。
【0168】
さらに、信号DSELのパルスの入力が終わるとトランジスタ331がオフ状態(状態OFFともいう)になる。
【0169】
以上が図5(A)に示す表示回路の駆動方法例の説明である。
【0170】
さらに、本実施の形態における表示装置の構造例について説明する。なお、ここでは一例として表示回路の構成が図5(A)に示す回路構成であるとする。
【0171】
本実施の形態における表示装置は、トランジスタなどの半導体素子が設けられた第1の基板(アクティブマトリクス基板ともいう)と、第2の基板と、第1の基板及び第2の基板の間に設けられた発光素子と、を含む。
【0172】
まず、本実施の形態の表示装置におけるアクティブマトリクス基板の構造例について、図6を用いて説明する。図6は、本実施の形態の表示装置におけるアクティブマトリクス基板の構造例を示す図であり、図6(A)は、平面模式図であり、図6(B)は、図6(A)における線分A−Bの断面模式図である。なお、図6では、実際の寸法と異なる構成要素を含む。また、便宜のため、図6(B)では、図6(A)における線分A−Bの断面の一部を省略している。
【0173】
図6に示すアクティブマトリクス基板は、基板500と、絶縁層501と、半導体層511a及び半導体層511bと、絶縁層513と、導電層514a乃至導電層514cと、絶縁層515と、導電層516a乃至導電層516dと、を含む。
【0174】
半導体層511a及び半導体層511bのそれぞれは、絶縁層501を介して基板500上に設けられる。
【0175】
半導体層511aは、P型又はN型の導電型を付与する不純物元素を含有する不純物領域512a乃至不純物領域512dを有する。半導体層511aは、表示回路における信号入力選択トランジスタのチャネルが形成される層(チャネル形成層ともいう)及び表示回路における保持容量の第2の容量電極としての機能を有する。
【0176】
なお、半導体層511aにおいて、不純物領域512aと不純物領域512bとの間、及び不純物領域512bと不純物領域512cとの間には表示回路における信号入力選択トランジスタのチャネル形成領域が存在する。
【0177】
半導体層511bは、P型又はN型の導電型を付与する不純物元素を含有する不純物領域512e及び不純物領域512fを有する。半導体層511bは、表示回路における駆動トランジスタのチャネル形成層としての機能を有する。
【0178】
なお、半導体層511bにおいて、不純物領域512eと、不純物領域512fとの間には表示回路における駆動トランジスタのチャネル形成領域が存在する。
【0179】
絶縁層513は、半導体層511a及び半導体層511bの上に設けられる。絶縁層513は、表示回路における信号入力選択トランジスタ及び駆動トランジスタのゲート絶縁層、表示回路における保持容量の誘電体層としての機能を有する。
【0180】
導電層514aは、絶縁層513を介して半導体層511aの一部に重畳する。なお、導電層514aと重畳する半導体層511aの領域が表示回路における信号入力選択トランジスタのチャネル形成領域になる。導電層514aは、表示回路における信号入力選択トランジスタのゲートとしての機能を有する。なお、図6において、導電層514aは、複数の箇所で半導体層511aの一部に重畳している。必ずしも導電層514aが複数の箇所で半導体層511aの一部に重畳していなくてもよいが、導電層514aが複数の箇所で半導体層511aの一部に重畳することにより、表示回路における信号入力選択トランジスタのスイッチング特性を向上させることができる。なお、導電層514aと重畳する半導体層511aの領域が半導体層511aに設けられた不純物領域512a乃至不純物領域512dの不純物元素の濃度より低い濃度でP型又はN型の導電型を付与する不純物元素を含有していてもよい。
【0181】
導電層514bは、絶縁層513を介して半導体層511aの一部の上に重畳する。導電層514bは、表示回路における保持容量の第1の容量電極としての機能を有する。なお、導電層514bと重畳する半導体層511aの領域が不純物領域512a乃至不純物領域512dの不純物元素の濃度より低い濃度でP型又はN型の導電型を付与する不純物元素を含有していてもよい。導電層514bは、表示回路における保持容量の第1の容量電極及び容量線としての機能を有する。
【0182】
導電層514cは、絶縁層513を介して半導体層511bの一部の上に設けられる。導電層514cは、表示回路における駆動トランジスタのゲートとしての機能を有する。
【0183】
絶縁層515は、導電層514a乃至導電層514cを介して絶縁層513の上に設けられる。
【0184】
導電層516aは、絶縁層513及び絶縁層515を貫通する第1の開口部を介して、不純物領域512aに電気的に接続される。導電層516aは、表示回路における信号入力選択トランジスタのソース及びドレインの一方、並びに表示データ信号が入力される配線としての機能を有する。
【0185】
導電層516bは、絶縁層513及び絶縁層515を貫通する第2の開口部を介して、不純物領域512dに電気的に接続され、絶縁層515を貫通する第3の開口部を介して導電層514cに電気的に接続される。導電層516bは、表示回路における信号入力選択トランジスタのソース及びドレインの他方としての機能を有する。
【0186】
導電層516cは、絶縁層513及び絶縁層515を貫通する第4の開口部を介して不純物領域512eに電気的に接続される。導電層516cは、表示回路における駆動トランジスタのソース及びドレインの一方、及び電圧Vbが入力される電源線としての機能を有する。
【0187】
導電層516dは、絶縁層513及び絶縁層515を貫通する第5の開口部を介して不純物領域512fに電気的に接続される。導電層516dは、表示回路における駆動トランジスタのソース及びドレインの他方としての機能を有する。
【0188】
さらに、本実施の形態における表示装置の構造例について、図7を用いて説明する。図7は、本実施の形態における表示装置の構造例を示す断面模式図である。なお、本実施の形態では、表示装置における発光素子が上面方向に光を射出される構造であるが、これに限定されず、本実施の形態における表示装置の構造は、下面方向に光を射出する構造でもよい。
【0189】
図7に示す表示装置は、図6に示すアクティブマトリクス基板に加え、絶縁層517と、導電層518と、導電層519と、導電層520と、絶縁層521と、発光層522と、導電層523と、基板524と、着色層525と、絶縁層526と、絶縁層527と、を含む。
【0190】
絶縁層517は、導電層516a乃至導電層516dを介して絶縁層515の上に設けられる。
【0191】
導電層518は、表示回路における絶縁層517の上に設けられ、絶縁層517を貫通して設けられた第6の開口部を介して導電層516dに電気的に接続される。
【0192】
導電層519は、導電層518の上に設けられる。導電層519は、導電層518に電気的に接続される。
【0193】
導電層520は、導電層519の上に設けられる。導電層520は、導電層519に電気的に接続される。
【0194】
導電層518乃至導電層520は、上記実施の形態に示す発光素子の電極層に相当する。なお、導電層518乃至導電層520は、表示回路における発光素子の第1の電極としての機能を有する。
【0195】
絶縁層521は、導電層518の上に設けられる。
【0196】
発光層522は、絶縁層521の上に設けられ、絶縁層521を貫通して設けられた第7の開口部を介して導電層518に電気的に接続される。発光層522は、表示回路における発光素子の発光層としての機能を有する。
【0197】
導電層523は、発光層522の上に設けられ、発光層522に電気的に接続される。導電層523は、上記実施の形態における発光素子の電極層に相当する。導電層523は、表示回路における発光素子の第2の電極としての機能を有する。
【0198】
着色層525は、基板524の一平面に設けられ、発光層522からの光のうち、特定の波長の光を透過する。
【0199】
絶縁層526は、着色層525を介して基板524の一平面に設けられる。
【0200】
絶縁層527は、絶縁層526と、導電層523の間に設けられる。
【0201】
さらに、図6乃至図7を用いて説明した表示装置の各構成要素について説明する。
【0202】
基板500及び基板524としては、例えばガラス基板又はプラスチック基板を用いることができる。
【0203】
絶縁層501としては、例えば酸化シリコン層、窒化シリコン層、酸化窒化シリコン層、窒化酸化シリコン層、酸化アルミニウム層、窒化アルミニウム層、酸化窒化アルミニウム層、窒化酸化アルミニウム層、又は酸化ハフニウム層を用いることができる。絶縁層501として、酸化シリコン層又は酸化窒化シリコン層などの酸化絶縁層を用いることが好ましい。また、上記酸化絶縁層がハロゲンを含んでいてもよい。また、絶縁層501に適用可能な上述した材料の積層により絶縁層501を構成することもできる。また、必ずしも絶縁層501を設けなくてもよい。
【0204】
半導体層511a及び半導体層511bとしては、例えば非晶質半導体、微結晶半導体、多結晶半導体、又は単結晶半導体を含む層を用いることができる。また、半導体層511a及び半導体層511bとしては、例えば元素周期表における第14族の半導体(例えばシリコンなど)を含有する半導体層を用いることができる。
【0205】
絶縁層513としては、例えば絶縁層501に適用可能な材料の層を用いることができる。また、絶縁層513に適用可能な材料の積層により絶縁層513を構成してもよい。
【0206】
導電層514a乃至導電層514cとしては、例えばモリブデン、チタン、クロム、タンタル、マグネシウム、銀、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、若しくはスカンジウムなどの金属を含む材料の層を用いることができる。また、導電層514a乃至導電層514cとしては、導体である金属酸化物を含む層を用いることもできる。導体である金属酸化物としては、例えば酸化インジウム(In)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム酸化スズ(In―SnO)、酸化インジウム酸化亜鉛(In―ZnO)などの金属酸化物、又はシリコン、酸化シリコン、窒素を含む前記金属酸化物を用いることができる。また、導電層514a乃至導電層514cに適用可能な前記材料の積層により、導電層514a乃至導電層514cを構成することもできる。例えば、窒化タンタル層及びタングステン層の積層により導電層514a乃至導電層514cを構成することもできる。
【0207】
絶縁層515としては、例えば絶縁層501や絶縁層513に適用可能な材料の層を用いることができる。また、絶縁層501に適用可能な前記材料の積層により絶縁層515を構成してもよい。例えば、窒化酸化シリコン層及び酸化窒化シリコン層の積層により絶縁層515を構成することもできる。
【0208】
導電層516a乃至導電層516dとしては、例えば導電層514a乃至導電層514cに適用可能な材料の層を用いることができる。また、導電層516a乃至導電層516dに適用可能な材料の積層により導電層516a乃至導電層516dを構成することもできる。例えば、チタン層、アルミニウム層、及びチタン層の積層により導電層516a乃至導電層516dを構成することもできる。なお、導電層516a乃至導電層516dの側面は、テーパ状でもよい。
【0209】
絶縁層517としては、例えば絶縁層513や絶縁層513に適用可能な材料の層を用いることができる。また、絶縁層517に適用可能な材料の積層により絶縁層517を構成してもよい。
【0210】
導電層518としては、例えば図1(B)に示す導電層111に適用可能な材料の層を用いることができる。
【0211】
導電層519としては、例えば図1(B)に示す導電層112に適用可能な材料の層を用いることができる。
【0212】
導電層520としては、例えば図1(B)に示す導電層113に適用可能な材料の層を用いることができる。
【0213】
絶縁層521としては、例えば有機絶縁層又は無機絶縁層を用いることができる。なお、絶縁層521は、隔壁ともいう。
【0214】
発光層522としては、例えば上記実施の形態に示す発光層に適用可能な材料の層(例えば白色を呈する光を射出する発光層)を用いることができる。
【0215】
導電層523としては、導電層514a乃至導電層514cに適用可能な材料の層のうち、光を透過する材料の層を用いることができる。また、導電層523に適用可能な材料の積層により導電層523を構成することもできる。
【0216】
着色層525としては、例えば染料又は顔料を含み、赤色を呈する波長の光、緑色を呈する波長の光、又は青色を呈する波長の光を透過する層を用いることができる。また、着色層525として、染料又は顔料を含み、シアン、マゼンタ、又はイエローの色を呈する光を透過する層を用いてもよい。着色層525は、例えばフォトリソグラフィ法、印刷法、又はインクジェット法、電着法、又は電子写真法などを用いて形成される。インクジェット法を用いることにより、室温で製造、低真空度で製造、又は大型基板上に製造することができる。また、レジストマスクを用いなくても製造することができるため、製造コスト及び製造工程数を低減することができる。
【0217】
絶縁層526としては、例えば絶縁層501や絶縁層513に適用可能な材料の層を用いることができる。また、絶縁層526に適用可能な材料の積層により絶縁層526を構成してもよい。なお、絶縁層526を必ずしも設けなくてもよいが、絶縁層526を設けることにより、着色層525からの発光素子への不純物の侵入を抑制することができる。
【0218】
絶縁層527としては、例えば絶縁層501に適用可能な材料の層又は樹脂材料の層を用いることができる。また、絶縁層527に適用可能な材料の積層により絶縁層527を構成してもよい。
【0219】
図4乃至図7を用いて説明したように、本実施の形態の表示装置の一例は、ソース及びドレインの一方に表示データ信号が入力される信号入力選択トランジスタ(第1の電界効果トランジスタ)と、ゲートが第1の電界効果トランジスタのソース及びドレインの他方に電気的に接続される駆動トランジスタ(第2の電界効果トランジスタ)と、第1の電極が第2の電界効果トランジスタのソース又はドレインに電気的に接続され、上記実施の形態に示す構造の発光素子を備える構造である。
【0220】
また、本実施の形態における表示装置では、発光素子として白色の光を射出する発光素子と、発光素子が射出する光のうち、特定の波長を有する光を透過する着色層を含む構造である。上記構造にすることにより、異なる色の光を射出する複数の発光素子を形成せずにフルカラー画像を表示することができるため、作製工程を容易にし、歩留まりを向上させることができる。例えば、メタルマスクを用いなくても表示素子を作製することができるため、作製工程が容易になる。また、画像のコントラストを向上させることができる。また、発光素子の品質を向上させ、発光素子の信頼性を向上させることができる。
【0221】
また、本実施の形態における表示装置では、発光素子の構造を、トランジスタなどの素子が設けられていない基板を介して光が取り出される構造にすることにより、該素子が設けられた領域の上も発光領域として用いることができ、開口率を向上させることができる。
【0222】
また、本実施の形態の表示装置において、表示回路と同一基板上に駆動回路を設けてもよい。このとき、駆動回路などの回路のトランジスタの構造を、表示回路におけるトランジスタの構造と同じにしてもよい。表示回路と同一基板上に駆動回路などの回路を設けることにより、表示回路及び駆動回路の接続配線の数を低減することができる。
【0223】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態における表示装置を備えた電子機器の例について説明する。
【0224】
本実施の形態の電子機器の構成例について、図8(A)乃至図8(D)を用いて説明する。図8(A)乃至図8(D)は、本実施の形態の電子機器の構成例を説明するための模式図である。
【0225】
図8(A)に示す電子機器は、携帯型情報端末の例である。図8(A)に示す情報端末は、筐体1001aと、筐体1001aに設けられた表示部1002aと、を具備する。
【0226】
なお、筐体1001aの側面1003aに外部機器に接続させるための接続端子、及び図8(A)に示す携帯型情報端末を操作するためのボタンの一つ又は複数を設けてもよい。
【0227】
図8(A)に示す携帯型情報端末は、筐体1001aの中に、CPUと、メインメモリと、外部機器とCPU及びメインメモリとの信号の送受信を行うインターフェースと、外部機器との信号の送受信を行うアンテナと、を備える。なお、筐体1001aの中に、特定の機能を有する集積回路を一つ又は複数設けてもよい。
【0228】
図8(A)に示す携帯型情報端末は、例えば電話機、電子書籍、パーソナルコンピュータ、及び遊技機の一つ又は複数としての機能を有する。
【0229】
図8(B)に示す電子機器は、折り畳み式の携帯型情報端末の例である。図8(B)に示す携帯型情報端末は、筐体1001bと、筐体1001bに設けられた表示部1002bと、筐体1004と、筐体1004に設けられた表示部1005と、筐体1001b及び筐体1004を接続する軸部1006と、を具備する。
【0230】
また、図8(B)に示す携帯型情報端末では、軸部1006により筐体1001b又は筐体1004を動かすことにより、筐体1001bを筐体1004に重畳させることができる。
【0231】
なお、筐体1001bの側面1003b又は筐体1004の側面1007に外部機器に接続させるための接続端子、及び図8(B)に示す携帯型情報端末を操作するためのボタンの一つ又は複数を設けてもよい。
【0232】
また、表示部1002b及び表示部1005に、互いに異なる画像又は一続きの画像を表示させてもよい。なお、表示部1005を必ずしも設ける必要はなく、表示部1005の代わりに、入力装置であるキーボードを設けてもよい。
【0233】
図8(B)に示す携帯型情報端末は、筐体1001b又は筐体1004の中に、CPUと、メインメモリと、外部機器とCPU及びメインメモリとの信号の送受信を行うインターフェースと、を備える。また、筐体1001b又は筐体1004の中に、特定の機能を有する集積回路を1つ又は複数設けてもよい。また、図8(B)に示す携帯型情報端末に、外部との信号の送受信を行うアンテナを設けてもよい。
【0234】
図8(B)に示す携帯型情報端末は、例えば電話機、電子書籍、パーソナルコンピュータ、及び遊技機の一つ又は複数としての機能を有する。
【0235】
図8(C)に示す電子機器は、設置型情報端末の例である。図8(C)に示す設置型情報端末は、筐体1001cと、筐体1001cに設けられた表示部1002cと、を具備する。
【0236】
なお、表示部1002cを、筐体1001cにおける甲板部1008に設けることもできる。
【0237】
また、図8(C)に示す設置型情報端末は、筐体1001cの中に、CPUと、メインメモリと、外部機器とCPU及びメインメモリとの信号の送受信を行うインターフェースと、を備える。なお、筐体1001cの中に、特定の機能を有する集積回路を一つ又は複数設けてもよい。また、図8(C)に示す設置型情報端末に、外部との信号の送受信を行うアンテナを設けてもよい。
【0238】
さらに、図8(C)に示す設置型情報端末における筐体1001cの側面1003cに券などを出力する券出力部、硬貨投入部、及び紙幣挿入部の一つ又は複数を設けてもよい。
【0239】
図8(C)に示す設置型情報端末は、例えば現金自動預け払い機、券などの注文をするための情報通信端末(マルチメディアステーションともいう)、又は遊技機としての機能を有する。
【0240】
図8(D)は、設置型情報端末の例である。図8(D)に示す設置型情報端末は、筐体1001dと、筐体1001dに設けられた表示部1002dと、を具備する。なお、筐体1001dを支持する支持台を設けてもよい。
【0241】
なお、筐体1001dの側面1003dに外部機器に接続させるための接続端子、及び図8(D)に示す設置型情報端末を操作するためのボタンの一つ又は複数を設けてもよい。
【0242】
また、図8(D)に示す設置型情報端末は、筐体1001dの中に、CPUと、メインメモリと、外部機器とCPU及びメインメモリとの信号の送受信を行うインターフェースと、を備えてもよい。また、筐体1001dの中に、特定の機能を有する集積回路を一つ又は複数設けてもよい。また、図8(D)に示す設置型情報端末に、外部との信号の送受信を行うアンテナを設けてもよい。
【0243】
図8(D)に示す設置型情報端末は、例えばデジタルフォトフレーム、表示モニタ、又はテレビジョン装置としての機能を有する。
【0244】
上記実施の形態の表示装置は、例えば電子機器の表示部として用いられ、例えば図8(A)乃至図8(D)に示す表示部1002a乃至表示部1002dとして用いられる。また、図8(B)に示す表示部1005として上記実施の形態の表示装置を用いてもよい。また、上記実施の形態の表示装置の代わりに電子機器の光源部を設け、該光源部に上記実施の形態の発光素子を用いた照明装置を設けてもよい。
【0245】
図8を用いて説明したように、本実施の形態の電子機器の一例では、上記実施の形態における表示装置を表示部に用いることにより、消費電力を低減し、また、信頼性を向上させることができる。
【0246】
また、本実施の形態の電子機器の一例では、筐体に、入射する照度に応じて電流を生成する光電変換部、及び表示装置を操作する操作部のいずれか一つ又は複数を設けてもよい。例えば光電変換部を設けることにより、外部電源が不要となるため、外部電源が無い場所であっても、上記電子機器を長時間使用することができる。
【0247】
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記実施の形態における発光素子を用いた照明装置の例について説明する。
【0248】
本実施の形態における照明装置の例について図9を用いて説明する。図9は、本実施の形態における照明装置の例を示す模式図である。
【0249】
図9(A)に示す照明装置1201aは、室内の天井に取付け可能な照明装置の例である。
【0250】
さらに、図9(A)に示す照明装置の構造例について図9(B)に示す。図9(B)に示す照明装置は、天井1210に取り付けられた基体1211と、基体1211の上に設けられた電極層1212、発光層1213、及び電極層1214の積層と、電極層1214の上に設けられたレンズ1215と、シール材1216と、シール材1216を介して基体1211と貼り合わされた基体1217と、を含む。
【0251】
基体1211としては、例えば酸化アルミニウム、ジュラルミン、又は酸化マグネシウムなどの基板を用いることができる。上記基板を用いることにより、基体1211を介して熱を逃がしやすくすることができる。
【0252】
電極層1212としては、例えば上記実施の形態に示す発光素子の第1の電極層に適用可能な材料の層を用いることができる。
【0253】
発光層1213としては、例えば上記実施の形態に示す発光素子の発光層に適用可能な材料の層を用いることができる。
【0254】
電極層1214としては、例えば上記実施の形態に示す発光素子の第2の電極層に適用可能な材料の層を用いることができる。
【0255】
レンズ1215は、例えば樹脂などの材料を用いて構成される。レンズ1215には、凹凸が設けられている。凸部は、例えば半球状などであることが好ましい。レンズ1215を設けることにより光の取り出し効率を向上させることができる。
【0256】
基体1217としては、例えばガラス基板などを用いることができる。
【0257】
図9(B)を用いて説明したように、図9(A)に示す照明装置1201aは、上記実施の形態における発光素子を発光部に備える。また、発光部に乾燥剤を設けてもよい。また、照明装置1201aに発光素子の発光を制御する制御回路を設けてもよい。
【0258】
図9(A)に示すように、上記実施の形態の発光素子を用いて照明装置を構成することにより、容易に面積を大きくすることができる。
【0259】
図9(C)に示す照明装置1201bは、室内の側壁に取付け可能な照明装置の例である。
【0260】
照明装置1201bは、上記実施の形態における発光素子又は発光装置と、発光素子の発光を制御する制御回路と、を備える。
【0261】
図9(C)に示すように、上記実施の形態の発光素子を発光部に用いて照明装置を構成することにより、容易に面積を大きくすることができる。また、照明装置1201bの基板として光を透過するガラス基板を用いることにより、照明装置1201bを窓ガラスとして用いることもできる。
【0262】
図9(D)に示す照明装置は、発光部の位置を変えることが可能な照明装置の例である。
【0263】
図9(D)に示す照明装置は、筐体1221と、発光部1222と、を備える。
【0264】
発光部1222には、上記実施の形態における発光素子を用いることができる。
【0265】
なお、筐体1221を曲げられるようにしてもよい。例えば、プラスチック基板上に設けられた発光素子を発光部に用いることで筐体を前後に曲げて発光部1222の位置を調整することができる。
【0266】
図9を用いて説明したように、上記実施の形態の発光素子を発光部に備えることにより、照明装置を構成することができる。上記実施の形態の発光素子を発光部に用いて照明装置を構成することにより、照明装置の消費電力を低減することができる。また、上記実施の形態の発光素子を用いて照明装置を構成することにより、照明装置の発光面積を容易に大きくすることができる。
【実施例1】
【0267】
本実施例では、発光素子の一例について説明する。
【0268】
本実施例の発光素子としてサンプル1(S1)、サンプル2(S2)、サンプル3(S3)の発光素子を作製した。
【0269】
サンプル1乃至サンプル3の発光素子のそれぞれは、下部電極(ED(DOWN)ともいう)、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、エレクトロルミネセンス層(ELL)、電子輸送層(ETL)、電子注入層(EIL)、及び上部電極(ED(UP)ともいう)を有する。各発光素子の構造の詳細(材料(MT)及び厚さ(TN)など)について表1に示す。
【0270】
【表1】

【0271】
さらに、サンプル1乃至サンプル3の発光素子の作製方法について以下に説明する。
【0272】
まず、ガラス基板上に下部電極(ED(DOWN))を形成した。
【0273】
ここでは、まずアルミニウムの含有量が99重量%、チタンの含有量が1重量%であるターゲットを用いて、スパッタリング法によりガラス基板の上にアルミニウム及びチタンの合金層(Al−Ti)を形成した。さらに、アルミニウム及びチタンの合金層の上にチタンのターゲットを用いて、スパッタリング法によりチタン層を形成した。さらに、250℃、1時間の熱処理を行い、その後Inの含有量が85重量%、SnOの含有量が10重量%、SiOの含有量が5重量%であるターゲットを用いて、スパッタリング法によりチタン層の上に酸化珪素を含む酸化インジウム酸化スズ層を形成した。以上により下部電極を形成した。
【0274】
次に、共蒸着法によりNPB:MoOx=2:0.222(重量比)でNPB及び酸化モリブデンの複合層を形成することにより正孔注入層を形成した。
【0275】
次に、蒸着法によりNPBの層を形成することにより正孔輸送層を形成した。
【0276】
次に、共蒸着法によりCzPA:2DPAPA=1:0.1(重量比)でCzPA及び2DPAPAの層を形成することによりエレクトロルミネセンス層を形成した。
【0277】
次に、蒸着法によりAlqの層を形成し、さらに蒸着法によりBphenの層を形成することにより電子輸送層を形成した。
【0278】
次に、蒸着法によりフッ化リチウムの層を形成することにより電子注入層を形成した。
【0279】
次に、共蒸着法によりAg:Mg=10:1(体積比)でマグネシウム及び銀の合金層を形成し、さらにInの含有量が90重量%、SnOの含有量が10重量%であるターゲットを用いて、スパッタリング法によりITOの層を形成することにより、上部電極を形成した。
【0280】
以上がサンプル1乃至サンプル3の発光素子の作製方法である。
【0281】
さらに、上記サンプル1(S1)乃至サンプル3(S3)のそれぞれの上部電極に電圧を印加し、発光素子に流れる電流を測定した。上記サンプル1(S1)乃至サンプル3(S3)の電流(ILE)−電圧(VDRV)特性結果について図10に示す。
【0282】
図10に示すように、金属酸化物を含む導電層(MOL)を設けていないサンプル1より、金属酸化物を含む導電層(MOL)を設けたサンプル2及び3の方が電流量が多い。このことから、金属酸化物を含む導電層を用いることにより、所望の電流量に対する電圧、即ち駆動電圧を小さくできることがわかる。
【符号の説明】
【0283】
100 被素子形成層
101 電極層
102 発光層
103 電極層
111 導電層
112 導電層
113 導電層
121a エレクトロルミネセンス層
121b エレクトロルミネセンス層
122 正孔注入層
123 正孔輸送層
124 電子輸送層
125 電子注入層
221 発光ユニット
222 電荷発生層
223 発光ユニット
231 発光ユニット
232 電荷発生層
233 発光ユニット
234 電荷発生層
235 発光ユニット
301 駆動回路
302 駆動回路
305 表示回路
331 トランジスタ
332 トランジスタ
333 発光素子
335 容量素子
500 基板
501 絶縁層
511a 半導体層
511b 半導体層
512a 不純物領域
512b 不純物領域
512c 不純物領域
512d 不純物領域
512e 不純物領域
512f 不純物領域
513 絶縁層
514a 導電層
514b 導電層
514c 導電層
515 絶縁層
516a 導電層
516b 導電層
516c 導電層
516d 導電層
517 絶縁層
518 導電層
519 導電層
520 導電層
521 絶縁層
522 発光層
523 導電層
524 基板
525 着色層
526 絶縁層
527 絶縁層
1001a 筐体
1001b 筐体
1001c 筐体
1001d 筐体
1002a 表示部
1002b 表示部
1002c 表示部
1002d 表示部
1003a 側面
1003b 側面
1003c 側面
1003d 側面
1004 筐体
1005 表示部
1006 軸部
1007 側面
1008 甲板部
1210 天井
1211 基体
1212 電極層
1213 発光層
1214 電極層
1215 レンズ
1216 シール材
1217 基体
1221 筐体
1222 発光部
1201a 照明装置
1201b 照明装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極層と、
光を透過する第2の電極層と、
前記第1の電極層及び前記第2の電極層に重畳し、前記第1の電極層及び前記第2の電極層の間に印加される電圧に応じて発光する発光層と、を含み、
前記第1の電極層は、
光を反射する第1の導電層と、
前記第1の導電層の一平面に設けられ、チタンを含む第2の導電層と、
前記第2の導電層と前記発光層の間に設けられ、光を透過し、前記第1の導電層の材料より仕事関数が高い金属酸化物を含む第3の導電層と、を有することを特徴とする発光素子。
【請求項2】
請求項1において、
第1の電極層及び前記第2の電極層の間において、前記発光層が射出する光は、干渉により強められることを特徴とする発光素子。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記発光層は、前記第1の電極層の上に設けられ、
前記第2の電極層は、前記発光層の上に設けられ、
前記発光層は、電荷発生層及び前記電荷発生層を介して積層された複数の発光ユニットを有し、白色を呈する光を射出することを特徴とする発光素子。
【請求項4】
ソース及びドレインの一方に表示データ信号が入力される第1の電界効果トランジスタと、
ゲートが前記第1の電界効果トランジスタソース及びドレインの他方に電気的に接続された第2の電界効果トランジスタと、
第1の電極及び第2の電極を有し、前記第1の電極が前記第2の電界効果トランジスタのソース又はドレインに電気的に接続され、前記第1の電極及び前記第2の電極に印加される電圧に応じて発光する発光素子と、を具備し、
前記発光素子は、
前記第1の電極としての機能を有する第1の電極層と、
前記第2の電極としての機能を有し、光を透過する第2の電極層と、
前記第1の電極層及び前記第2の電極層に重畳し、前記第1の電極層と前記第2の電極層の間に印加される電圧に応じて発光する発光層と、を含み、
前記第1の電極層は、
光を反射する第1の導電層と、
前記第1の導電層の一平面に設けられ、チタンを含む第2の導電層と、
前記第2の導電層と前記発光層の間に設けられ、光を透過し、前記第1の導電層の材料より仕事関数が高い金属酸化物を含む第3の導電層と、を有することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項4において、
第1の電極層及び前記第2の電極層の間において、前記発光層が射出する光は、干渉により強められることを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5において、
前記発光層は、前記第1の電極層の上に設けられ、
前記第2の電極層は、前記発光層の上に設けられ、
前記発光層は、電荷発生層及び前記電荷発生層を介して積層された複数の発光ユニットを有し、白色を呈する光を射出し、
前記発光素子から射出される光のうち、特定の波長の光を透過する着色層をさらに有することを特徴とする表示装置。
【請求項7】
発光部に設けられた発光素子を具備し、
前記発光素子は、
第1の電極層と、
光を透過する第2の電極層と、
前記第1の電極層及び前記第2の電極層に重畳し、前記第1の電極層及び前記第2の電極層の間に印加される電圧に応じて発光する発光層と、を含み、
前記第1の電極層は、
光を反射する第1の導電層と、
前記第1の導電層の一平面に設けられ、チタンを含む第2の導電層と、
前記第2の導電層と前記発光層の間に設けられ、光を透過し、前記第1の導電層の材料より仕事関数が高い金属酸化物を含む第3の導電層と、を有することを特徴とする照明装置。
【請求項8】
請求項7において、
第1の電極層及び前記第2の電極層の間において、前記発光層が射出する光は、干渉により強められることを特徴とする照明装置。
【請求項9】
請求項7又は請求項8において、
前記発光層は、前記第1の電極層の上に設けられ、
前記第2の電極層は、前記発光層の上に設けられ、
前記発光層は、電荷発生層及び前記電荷発生層を介して積層された複数の発光ユニットを有し、白色を呈する光を射出することを特徴とする照明装置。
【請求項10】
第1の電極層と、
光を透過する第2の電極層と、
前記第1の電極層及び前記第2の電極層に重畳し、前記第1の電極層及び前記第2の電極層の間に印加される電圧に応じて発光する発光層と、を含む発光素子の作製方法であって、
第1の導電層を形成し、前記第1の導電層の上に第2の導電層を形成し、前記第2の導電層を形成した後に熱処理を行い、前記熱処理後に前記第2の導電層の上に、前記第1の導電層の材料より仕事関数が高い金属酸化物を含む第3の導電層を形成することにより前記第1の電極層を形成することを特徴とする発光素子の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−182119(P2012−182119A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−23596(P2012−23596)
【出願日】平成24年2月7日(2012.2.7)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】