発光素子の外囲器
【課題】複数の発光素子を配置したときの放熱性が良好かつ光量取出し率が高い発光素子の外囲器を提供する。
【解決手段】 発光素子5Bは発光の際に発熱するが、拡散反射面221の途中に棚23を形成したことで、発光素子同士が離れるので、放熱性が良好であり、発光素子の温度上昇を低く抑えることができる。また、棚23を形成したことで、棚23より上側(外側)の拡散反射面221だけでなく、棚23より下側(内側)の拡散反射面221においても光が反射するので光量取出し率を高くできる。
【解決手段】 発光素子5Bは発光の際に発熱するが、拡散反射面221の途中に棚23を形成したことで、発光素子同士が離れるので、放熱性が良好であり、発光素子の温度上昇を低く抑えることができる。また、棚23を形成したことで、棚23より上側(外側)の拡散反射面221だけでなく、棚23より下側(内側)の拡散反射面221においても光が反射するので光量取出し率を高くできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子を配置したときの放熱性が良好かつ光量取出し率が高い発光素子の外囲器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来において、発光素子の外囲器としては、例えば特許文献1に記載のものがある。この外囲器は、同文献の図8に示されるように、内壁が傾斜した凹部の底面にリードフレーム72の上面電極72aとリードフレーム73の上面電極73aが配置される。発光素子54の一方の電極が上面電極72aに接続され、発光素子54の他方の電極がワイヤ55を通じて上面電極73aに接続される。この凹部は透光性の封止樹脂56により封止される。
【0003】
このような構成により、同文献の外囲器は、発光素子54が発光した光を封止樹脂56の上面を介して外部へ放射することで、面発光による光源を実現している。
【0004】
また、多色の発光素子の外囲器としては、例えば、図11に示すのものがある。この外囲器200では、凹部の底面21を4分割し、その1つに赤の発光素子5、他の1つに緑の発光素子5、他の1つに青の発光素子5をそれぞれ配置し、しかもそれらを互いに近づけることで、混色光を生成する。
【特許文献1】特開2003−163378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図11の外囲器では、発光素子5同士が近いので、混色光の生成に適している反面、放熱性が悪い。また、4分割された底面21の残りの1つには、発光素子5が配置されないので、混色光に偏りが生じてしまう。
【0006】
また、図11の外囲器は、単色用の外囲器として用いた場合であっても、放熱性が悪く、しかも、凹部は単純なすり鉢状なので、高い光量取出し率が得られない。
【0007】
本発明は、上記に鑑みなされたもので、その目的とするところは、複数の発光素子を配置したときの放熱性が良好かつ光量取出し率が高い発光素子の外囲器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発光素子の外囲器は、内壁面が傾き、かつ透明材料が充填される凹部を備え、前記内壁面の途中に、複数の発光素子が分散して配置される棚を形成したことを特徴とする。
【0009】
請求項1の外囲器によれば、内壁面の途中に棚を形成したことで、発光素子同士が離れるので、放熱性が良好であり、棚より上の内壁面だけでなく、棚より下の内壁面においても光が反射し、当該内壁面に光が集まる傾向にあるので光量取出し率を高くできる。
【0010】
請求項2記載の発光素子の外囲器は、内壁面が傾き、かつ透明材料が充填される凹部を備え、前記凹部の底面に、複数の発光素子が分散して配置される領域を残して窪みを形成したことを特徴とする。
【0011】
請求項2の外囲器によれば、凹部の底面に、複数の発光素子が分散して配置される領域を残して窪みを形成したことで、発光素子同士が離れるので、放熱性が良好であり、内壁面だけでなく、窪みにおいても光が反射し、内壁面により窪みに光が集まる傾向にあるので光量取出し率を高くできる。
【0012】
請求項3記載の発光素子の外囲器は、請求項1または2記載の外囲器において、前記複数の発光素子に電力を供給するリードフレームが外へ突出していることを特徴とする。
【0013】
請求項3の外囲器によれば、リードフレームを外へ突出させたことで、放熱性を一層良好にすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の発光素子の外囲器によれば、内壁面の途中に棚を形成したことで、発光素子同士が離れるので、放熱性が良好であり、棚より上の内壁面だけでなく、棚より下の内壁面においても光が反射し、当該内壁面に光が集まる傾向にあるので光量取出し率を高くできる。
【0015】
また、本発明の発光素子の外囲器によれば、凹部の底面に、複数の発光素子が分散して配置される領域を残して窪みを形成したことで、発光素子同士が離れるので、放熱性が良好であり、内壁面だけでなく、窪みにおいても光が反射し、内壁面により窪みに光が集まる傾向にあるので光量取出し率を高くできる。
【0016】
また、本発明の発光素子の外囲器によれば、リードフレームを外へ突出させたことで、放熱性を一層良好にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0018】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態における発光素子の外囲器100Aの斜視図である。
【0019】
外囲器100Aは、一般にSMD(surface mount device)型と呼ばれるものであり、受けた光を完全拡散反射に近い条件で反射する白色のPPA(ポリフタルアミド)樹脂製の枠構造のパッケージ1を備える。パッケージ1には、上から見て円形状の凹部2が形成されている。凹部2の内壁22の表面には拡散反射面221が形成されている。拡散反射面221は、円形の底面21に対して傾いており、凹部2は、いわゆるすり鉢状となっている。そして、拡散反射面221の途中には、上から見て円環状の棚23が、底面21に対し平行に形成されている。
【0020】
この棚23には、金属製の図示しないリードフレーム3の上面電極3a、3a、3a、リードフレーム4の上面電極4a、4a、4aがそれぞれ配置されている。
【0021】
各上面電極3aの上には、その上面電極3aに対応する発光素子、例えばLED(Light Emitting Diode)等により構成された、青の発光素子5Bの一方の電極が導電材料(銀ペーストや共晶半田など)を用いて接続され、当該発光素子5Bの他方の電極は金製などのワイヤ6を介して、当該上面電極3aの隣に配置された上面電極4aに接続される。この状態で、凹部2には透光性のあるエポキシ樹脂等の透明材料7が、例えば液体の状態で充填され、熱硬化される。透明材料7と空気との境界面71は、底面21と棚23に対して平行である。なお、透明材料7には蛍光体を含ませてもよい。
【0022】
各発光素子5Bは、大きくて熱抵抗の低いもの、例えば1mm角以上のものでなく、例えば、300μm角のものであり、棚23の外径は約1cmである。また、各発光素子5は最適に、つまり均等配置されており、その間隔は、例えば約3.9mmである。
【0023】
この外囲器100Aでは、リードフレーム3,4から電力を供給すると、これらに接続された各発光素子5Bが青に発光する。その際、青色光の一部は、境界面71を通過して、直接外部へ出射する。また、残りの青色光は境界面71と拡散反射面221で反射してから外部へ出射する。また、透明材料7には蛍光体を含ませた場合は、蛍光体が青色光に励起され、外囲器100Aから白色光あるいはペールカラーの光が出射する。
【0024】
発光素子5Bは発光の際に発熱するが、拡散反射面221の途中に棚23を形成したことで、発光素子同士が離れるので、放熱性が良好であり、発光素子の温度上昇を低く抑えることができる。
【0025】
また、拡散反射面221の途中に棚23を形成したことで、棚23より上側(外側)の拡散反射面221だけでなく、棚23より下側(内側)の拡散反射面221においても光が反射するので光量取出し率を高くできる。
【0026】
また、棚23より上側(外側)の拡散反射面221があることで、光は棚23より下に集まる傾向があるが、そこにも拡散反射面221があるので光量取出し率をより高くできる。
【0027】
なお、各発光素子5Rに代えて、赤の発光素子5R、緑の発光素子5Gを用い、赤色光、緑色光を得るようにしてもよい。
【0028】
また、底面21は必ず必要ではなく、つまり、棚23より下側(内側)の部分を逆円錐形状とし、これにより、外囲器100Aの設置面積を狭くしてもよい。これは、後述する外囲器100B、100C、100Dにおいても同様である。
【0029】
[第2の実施の形態]
図2は、第2の実施の形態における発光素子の外囲器100Bの斜視図である。
【0030】
図2に示すように、外囲器100Bは、外囲器100Aのリードフレーム3がパッケージ1から外へ突出していることを除いては、外囲器100Aあるいは後述する他の実施の形態の外囲器と同様に構成される。つまり、該構成によって得られる作用効果は外囲器100Bでも得られる。
【0031】
図3は、棚23から上の部分を取り除いた外囲器100Bの斜視図である。
【0032】
図3に示すように、リードフレーム3は、放熱のためのフィン9、9と一体に形成され、各フィン9は、パッケージ1においてリードフレーム3,4が露出している側面とは別の側面から突出し、その後、上方へと曲げられている。
【0033】
このように、リードフレーム3をフィン9と一体にしてパッケージ1から外へ突出したことで、発光素子5Bからの熱を、例えば、自然対流により外囲器100Bの外部へ放出することができる。また、図示しない電動ファンなどからの風をフィン9に当てる、つまり空冷することで、放熱性がより良好となる。
【0034】
また、フィン9を曲げることで、外囲器100Bの設置面積を少なくしかつフィン9の表面積を広くできるので、外囲器100Bの設置面積を少なくしかつ放熱性を高めることができる。また、フィン9を上方に曲げることで、外囲器100Bが搭載されるプリント基板と外囲器100Bとの接触がなく、外囲器100Bの搭載が容易となる。
【0035】
[第3の実施の形態]
図4は、第3の実施の形態における発光素子の外囲器100Cの斜視図である。
【0036】
図4に示すように、外囲器100Cは、外囲器100Aの2つの発光素子5Bを赤の発光素子5R、5Rとし、他の2つの発光素子5Bを緑の発光素子5G、5Gとしたものである。また、発光素子5R、発光素子5Gおよび発光素子5Bからなる一方の組および他方の組においては、発光素子が最適に、つまり均等に配置されている。
【0037】
外囲器100Cの他の部分については、外囲器100Aと同様に構成することで、該構成によって得られる作用効果が外囲器100Cでも得られる。また、他の部分を、後述する他の実施の形態と同様に構成することで、該構成によって得られる作用効果が外囲器100Cでも得られる。
【0038】
さて、外囲器100Cでは、発光素子5R、発光素子5Gおよび発光素子5Bから、赤色光、緑色光および青色光がそれぞれ発光する。光の一部は、境界面71を通過して、外部へ出射してから混色される。また、残りの光は、境界面71と拡散反射面221で反射しているときに混色されてから外部へ出射する。
【0039】
外囲器100Cでは、拡散反射面221の途中に棚23を形成したことで、棚23より上側(外側)の拡散反射面221だけでなく、棚23より下側(内側)の拡散反射面221においても光が反射するので混色の効率を高くできる。
【0040】
また、棚23より上側(外側)の拡散反射面221があることで、光は棚23より下に集まる傾向があるが、そこにも拡散反射面221があるので混色の効率をより高くできる。[第4の実施の形態]
図5は、第4の実施の形態における発光素子の外囲器100Dの斜視図である。
【0041】
図5に示すように、外囲器100Dでは、外囲器100Cの各発光素子5R、5G、5Bが1つづつに減らされている。また、リードフレーム4の代わりに、発光素子5Rに電力を供給するリードフレーム4R、発光素子5Gに電力を供給する図示しないリードフレーム4G、発光素子5Bに電力を供給する図示しないリードフレーム4Bを備える。また、棚23には、リードフレーム3の上面電極3a、3a、3aと、リードフレーム4Rの上面電極4Raと、リードフレーム4Gの上面電極4Gaと、リードフレーム4Bの上面電極4Baとが配置されている。
【0042】
つまり、外囲器100Dは、PLCC(Plastic Leadless Chip Carrier)−4タイプの4端子パッケージである。
【0043】
外囲器100Dの他の部分については、外囲器100Cや他の実施の形態の外囲器と同様に構成することで、該構成によって得られる作用効果が外囲器100Dでも得られる。 さて、外囲器100Dでは、リードフレーム3,4Rから発光素子5Rに電力PRを供給し、リードフレーム3,4Gから発光素子5Gに電力PGを供給し、リードフレーム3,4Bから発光素子5Bに電力PGを供給すると、これらの各発光素子が発光する。ここで、電力PR、PGおよびPBを個別に定めることで、所望の色の光または白色光を取り出すことができる。
【0044】
[第5の実施の形態]
図6は、第5の実施の形態における発光素子の外囲器100Eの斜視図である。
【0045】
外囲器100EはSMD型であり、白色のPPA樹脂製の枠構造のパッケージ1Aを備える。パッケージ1Aには、上から見て四角形の凹部2Aが形成されている。凹部2Aの内壁22Aa、22Ab、22Ac、22Acの表面には、四角形の底面21Aに対して傾いた拡散反射面221Aが形成されている。
【0046】
外囲器100Eの底面21Aでは、発光素子が配置される領域を残して窪みが形成されている。例えば、底面21Aでは、好適な形状の窪み、つまり逆円錐形状の窪み30が複数形成され、窪み30の内壁31の表面には拡散反射面31Aが形成されている。
【0047】
内壁22Aaと各窪み30との間の底面21Aには、リードフレーム4Rの1つの上面電極4Ra、リードフレーム3の1つの上面電極3Ra、リードフレーム3の他の1つの上面電極3Ga、図示しないリードフレーム4Gの1つの上面電極4Ga、リードフレーム3の他の1つの上面電極3Ba、図示しないリードフレーム4Bの1つの上面電極4Baが、並んで配置されている。
【0048】
また、当該内壁22Aaに対向する内壁22Acと各窪み30との間の底面21Aにおいても、上面電極4Ra、3Ra、3Ga、4Ga、3Ba、4Baが並んで配置されている。
【0049】
また、上面電極3Ra同士は各窪み30を挟んで対向している。各上面電極4Ra、各上面電極3Ga、各上面電極4Ga、各上面電極3Ba、各上面電極4Baについても同様である。
【0050】
各上面電極3Raの上には、その上面電極3Raに対応する赤の発光素子5Rの一方の電極が導電材料を用いて接続され、当該発光素子5Rの他方の電極はワイヤ6を介して、隣の上面電極4Raに接続される。
【0051】
各上面電極3Gaの上には、その上面電極3Gaに対応する緑の発光素子5Gの一方の電極が導電材料を用いて接続され、当該発光素子5Rの他方の電極はワイヤ6を介して、隣の上面電極4Gaに接続される。
【0052】
各上面電極3Baの上には、その上面電極3Baに対応する緑の発光素子5Bの一方の電極が導電材料を用いて接続され、当該発光素子5Bの他方の電極はワイヤ6を介して、隣の上面電極4Baに接続される。
【0053】
この状態で、凹部2Aには透明材料7が充填される。透明材料7と空気との境界面71は、底面21に対して平行である。
【0054】
さて、外囲器100Eでは、リードフレーム3,4Rから発光素子5Rに電力PRを供給し、リードフレーム3,4Gから発光素子5Gに電力PGを供給し、リードフレーム3,4Bから発光素子5Bに電力PGを供給すると、発光素子5R、発光素子5Gおよび発光素子5Bが、赤色光、緑色光および青色光を発光する。その際、光の一部は、境界面71を通過して、外部へ出射してから混色される。また、残りの光は、境界面71と拡散反射面221で反射しているときに混色されてから外部へ出射する。
【0055】
ここで、電力PR、PGおよびPBを独自に定めることで、所望の色の光または白色光を取り出すことができる。
【0056】
発光素子5R、5G、5Bは発光の際に発熱するが、これらの発光素子5R、5G、5Bが分散して配置される領域を残して窪み30を形成したことで、窪み30によって発光素子同士が離れるので、放熱性が良好であり、発光素子の温度上昇を低く抑えられる。
【0057】
また、発光素子が分散して配置される領域を残して窪みを形成したことで、拡散反射面221だけでなく、窪みの拡散反射面31Aにおいても光が反射するので光量取出し率を高くできる。また、拡散反射面221があることで、光は発光素子が配置される領域を除く領域に集まる傾向があるが、そこにも拡散反射面31Aがあるので光量取出し率をより高くできる。
【0058】
また、底面の窪みは、それ自体が浅くてもそれを複数設けることで、深い窪みを設けた場合と同様な量の光を取り出せるので、底面の窪みを複数設けることで、光量取出し率を高くでき、しかも、発光素子の外囲器を薄型にできる。その結果、この外囲器を単位モジュールとして用いた面光源を実現でき、これを薄型液晶表示装置のバックライトに使用できる。
【0059】
なお、外囲器100Eでは、各発光素子を青の発光素子5Gとし、青色光を取りだしてもよい。また、このときの透明材料に蛍光体を含ませて白色光などを取りだしてもよい。また、外囲器100Bのフィン9を設けることで、放熱性を高めてもよい。また、リードフレーム4R、4G、4Bに代えて、単一のリードフレーム4を設けてもよい。
【0060】
さて、上記実施の形態の拡散反射面221や拡散反射面31A(以下、「拡散反射面221」に統一する)が、棚23や底面21(以下、「底面21」に統一する)となす角度は、上記実施の形態の発光素子(以下、「発光素子5」に統一する)から放射された直接光が境界面71に対して全反射を起こす入射臨界角と一致させることで、光量取出し率を向上させることができる。また、拡散反射面221が底面21となす角度を入射臨界角の±15°の範囲とするか、あるいは入射臨界角よりも小さくすることによっても光量取出し率を向上させることができる。
【0061】
このような角度設定により光量取出し率が向上する理由を説明する。なお、理解しやすいように、外囲器100Aから棚23を取り除き、発光素子5を底面21に設けた外囲器101を用いて説明する。
【0062】
図7は、外囲器101の斜視図であり、図8は、外囲器101の断面図である。
【0063】
図7に示すように、外囲器101は、外囲器100Aから棚23を取り除き、リードフレーム3の上面電極3aとリードフレーム4の上面電極4aと発光素子5を1つづつ底面21に配置したものである。なお、電気的な接続は、外囲器100Aと同様になされている。
【0064】
図8に示すように、凹部2の内壁22の表面に構成された拡散反射面221が底面21となす角度θ1は、発光素子5から放射された直接光が境界面71に対して全反射を起こす入射臨界角θ2と一致している。
【0065】
例えば、透明材料7にエポキシ樹脂を用いた場合、その屈折率はおおよそn=1.5であり、空気の屈折率n=1よりも大きい。この場合、エポキシ樹脂と空気との境界面における入射臨界角はθ2=49°であり、発光素子5から境界面71に49°よりも大きな入射角で入射する光は屈折しながらも外部へ放射されるが、49°よりも小さな入射角で入射する光は、全反射して凹部2の内部に戻る。
【0066】
つまり、発光素子5からの直接光としては、発光素子5の位置を頂点、境界面71を底面とし、側面と境界面71とのなす角度が49°の取出円錐80の内部にある光だけを外部に取り出せることになる。取出円錐80の内部にある直接光は、拡散反射面221や境界面71での反射によって減衰することなく空気層側へ放射される。
【0067】
一方で、外部に取り出せる光としては、発光素子5からの直接光の他に、拡散反射面221で反射した光がある。拡散反射面221で反射した光をいかにして外部へ取り出すかということは、発光素子5からの光を効率的に外部へ放射する上で重要である。
【0068】
外囲器101では、拡散反射面221に当った光は拡散反射をするので全方位へ反射される。このとき、拡散反射面221が凹部の底面に対して仮に垂直であったとすると、拡散反射面221における光の反射位置を頂点、境界面を底面とし、側面と境界面とのなす角度が49°の取出円錐(取出円錐81という)の内部にある光のうち、半分は拡散反射面221にかかってしまうため、外部に取り出せないことになる。
【0069】
そこで、図9に示すように、拡散反射面221が底面21となす角度θ1を入射臨界角θ2と一致させることで、取出円錐81を透明材料7中に完全に確保し、取出円錐81の中にある光を全て外部へ取り出せるようにする。
【0070】
あるいは、角度θ1を入射臨界角θ2よりも小さくする。この場合にも、取出円錐81は透明材料7中に完全に確保されるので、取出円錐81の中にある光を全て外部へ取り出すことができる。
【0071】
一方で、角度θ1が入射臨界角θ2よりも極端に大きい場合や極端に小さい場合には、拡散反射面221で反射した光が境界面71を透過できないことが多くなり、その光が再度、透明材料7内に反射して戻ることになる。このような光は、透明材料7内で拡散反射面221や底面21での反射を繰り返し、光路距離が長くなって減衰するため、外部へ取り出せる光量が減少することになる。このため、角度θ1については、適切な範囲内とすることが望ましい。
【0072】
図10は、透明材料にエポキシ樹脂を用いたときの光量の取出し率の推移を示すグラフである。横軸は角度θ1(°)、縦軸は光量取出し率(%)である。縦軸は、角度θ1を70°とした場合の取出し光量を100%とし、この光量に対する相対値で示してある。同グラフから、角度θ1を入射臨界角の49°に一致させた場合には、光量取出し率は最大となり、その値は角度θ1が70°の場合に対して20%も向上することが確認された。また、角度θ1を入射臨界角の49°±15°の範囲内とした場合には、光量取出し率は10%以上向上することが確認された。
【0073】
なお、上記のような角度設定は、外囲器100Aにおいて十分な光量や所望の色が得られるならば、棚23の上側(外側)と下側(内側)の拡散反射面221の少なくとも一方において採用すればよい。また、この角度設定は、外囲器100Eにおいて十分な光量や所望の色が得られるならば、内壁22Aa、22Ab、22Ac、22Acの各拡散反射面221と各窪み30の拡散反射面31Aのいずれか1以上において採用すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】第1の実施の形態における発光素子の外囲器100Aの斜視図である。
【図2】第2の実施の形態における発光素子の外囲器100Bの斜視図である。
【図3】棚23から上の部分を取り除いた外囲器100Bの斜視図である。
【図4】第3の実施の形態における発光素子の外囲器100Cの斜視図である。
【図5】第4の実施の形態における発光素子の外囲器100Dの斜視図である。
【図6】第5の実施の形態における発光素子の外囲器100Eの斜視図である。
【図7】各実施の形態での角度設定の説明に用いた外囲器101の斜視図である。
【図8】外囲器101の断面図である。
【図9】角度θ1を入射臨界角θ2に一致させたときに外部へ取り出せる反射光を説明するための図である。
【図10】各実施の形態で光量取出し率が向上する理由を説明するための図である。
【図11】従来の発光素子の外囲器の斜視図である。
【符号の説明】
【0075】
1,1A…パッケージ
2,2A…凹部
3,4,4R,4G,4B…リードフレーム
3a,3Ra,3Ga,3Ba,4a,4Ra,4Ga,4Ba…上面電極
5,5R,5G,5B…発光素子
6…ワイヤ
7…透明材料
9…フィン
21,21A…底面
22,22Aa,22Ab,22Ac,22Ad,31…内壁
23…棚
31A,221,221A…拡散反射面
71…境界面
80,81…取出円錐
100A,100B,100C,100D,100E,101…外囲器
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光素子を配置したときの放熱性が良好かつ光量取出し率が高い発光素子の外囲器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来において、発光素子の外囲器としては、例えば特許文献1に記載のものがある。この外囲器は、同文献の図8に示されるように、内壁が傾斜した凹部の底面にリードフレーム72の上面電極72aとリードフレーム73の上面電極73aが配置される。発光素子54の一方の電極が上面電極72aに接続され、発光素子54の他方の電極がワイヤ55を通じて上面電極73aに接続される。この凹部は透光性の封止樹脂56により封止される。
【0003】
このような構成により、同文献の外囲器は、発光素子54が発光した光を封止樹脂56の上面を介して外部へ放射することで、面発光による光源を実現している。
【0004】
また、多色の発光素子の外囲器としては、例えば、図11に示すのものがある。この外囲器200では、凹部の底面21を4分割し、その1つに赤の発光素子5、他の1つに緑の発光素子5、他の1つに青の発光素子5をそれぞれ配置し、しかもそれらを互いに近づけることで、混色光を生成する。
【特許文献1】特開2003−163378号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図11の外囲器では、発光素子5同士が近いので、混色光の生成に適している反面、放熱性が悪い。また、4分割された底面21の残りの1つには、発光素子5が配置されないので、混色光に偏りが生じてしまう。
【0006】
また、図11の外囲器は、単色用の外囲器として用いた場合であっても、放熱性が悪く、しかも、凹部は単純なすり鉢状なので、高い光量取出し率が得られない。
【0007】
本発明は、上記に鑑みなされたもので、その目的とするところは、複数の発光素子を配置したときの放熱性が良好かつ光量取出し率が高い発光素子の外囲器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発光素子の外囲器は、内壁面が傾き、かつ透明材料が充填される凹部を備え、前記内壁面の途中に、複数の発光素子が分散して配置される棚を形成したことを特徴とする。
【0009】
請求項1の外囲器によれば、内壁面の途中に棚を形成したことで、発光素子同士が離れるので、放熱性が良好であり、棚より上の内壁面だけでなく、棚より下の内壁面においても光が反射し、当該内壁面に光が集まる傾向にあるので光量取出し率を高くできる。
【0010】
請求項2記載の発光素子の外囲器は、内壁面が傾き、かつ透明材料が充填される凹部を備え、前記凹部の底面に、複数の発光素子が分散して配置される領域を残して窪みを形成したことを特徴とする。
【0011】
請求項2の外囲器によれば、凹部の底面に、複数の発光素子が分散して配置される領域を残して窪みを形成したことで、発光素子同士が離れるので、放熱性が良好であり、内壁面だけでなく、窪みにおいても光が反射し、内壁面により窪みに光が集まる傾向にあるので光量取出し率を高くできる。
【0012】
請求項3記載の発光素子の外囲器は、請求項1または2記載の外囲器において、前記複数の発光素子に電力を供給するリードフレームが外へ突出していることを特徴とする。
【0013】
請求項3の外囲器によれば、リードフレームを外へ突出させたことで、放熱性を一層良好にすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の発光素子の外囲器によれば、内壁面の途中に棚を形成したことで、発光素子同士が離れるので、放熱性が良好であり、棚より上の内壁面だけでなく、棚より下の内壁面においても光が反射し、当該内壁面に光が集まる傾向にあるので光量取出し率を高くできる。
【0015】
また、本発明の発光素子の外囲器によれば、凹部の底面に、複数の発光素子が分散して配置される領域を残して窪みを形成したことで、発光素子同士が離れるので、放熱性が良好であり、内壁面だけでなく、窪みにおいても光が反射し、内壁面により窪みに光が集まる傾向にあるので光量取出し率を高くできる。
【0016】
また、本発明の発光素子の外囲器によれば、リードフレームを外へ突出させたことで、放熱性を一層良好にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0018】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態における発光素子の外囲器100Aの斜視図である。
【0019】
外囲器100Aは、一般にSMD(surface mount device)型と呼ばれるものであり、受けた光を完全拡散反射に近い条件で反射する白色のPPA(ポリフタルアミド)樹脂製の枠構造のパッケージ1を備える。パッケージ1には、上から見て円形状の凹部2が形成されている。凹部2の内壁22の表面には拡散反射面221が形成されている。拡散反射面221は、円形の底面21に対して傾いており、凹部2は、いわゆるすり鉢状となっている。そして、拡散反射面221の途中には、上から見て円環状の棚23が、底面21に対し平行に形成されている。
【0020】
この棚23には、金属製の図示しないリードフレーム3の上面電極3a、3a、3a、リードフレーム4の上面電極4a、4a、4aがそれぞれ配置されている。
【0021】
各上面電極3aの上には、その上面電極3aに対応する発光素子、例えばLED(Light Emitting Diode)等により構成された、青の発光素子5Bの一方の電極が導電材料(銀ペーストや共晶半田など)を用いて接続され、当該発光素子5Bの他方の電極は金製などのワイヤ6を介して、当該上面電極3aの隣に配置された上面電極4aに接続される。この状態で、凹部2には透光性のあるエポキシ樹脂等の透明材料7が、例えば液体の状態で充填され、熱硬化される。透明材料7と空気との境界面71は、底面21と棚23に対して平行である。なお、透明材料7には蛍光体を含ませてもよい。
【0022】
各発光素子5Bは、大きくて熱抵抗の低いもの、例えば1mm角以上のものでなく、例えば、300μm角のものであり、棚23の外径は約1cmである。また、各発光素子5は最適に、つまり均等配置されており、その間隔は、例えば約3.9mmである。
【0023】
この外囲器100Aでは、リードフレーム3,4から電力を供給すると、これらに接続された各発光素子5Bが青に発光する。その際、青色光の一部は、境界面71を通過して、直接外部へ出射する。また、残りの青色光は境界面71と拡散反射面221で反射してから外部へ出射する。また、透明材料7には蛍光体を含ませた場合は、蛍光体が青色光に励起され、外囲器100Aから白色光あるいはペールカラーの光が出射する。
【0024】
発光素子5Bは発光の際に発熱するが、拡散反射面221の途中に棚23を形成したことで、発光素子同士が離れるので、放熱性が良好であり、発光素子の温度上昇を低く抑えることができる。
【0025】
また、拡散反射面221の途中に棚23を形成したことで、棚23より上側(外側)の拡散反射面221だけでなく、棚23より下側(内側)の拡散反射面221においても光が反射するので光量取出し率を高くできる。
【0026】
また、棚23より上側(外側)の拡散反射面221があることで、光は棚23より下に集まる傾向があるが、そこにも拡散反射面221があるので光量取出し率をより高くできる。
【0027】
なお、各発光素子5Rに代えて、赤の発光素子5R、緑の発光素子5Gを用い、赤色光、緑色光を得るようにしてもよい。
【0028】
また、底面21は必ず必要ではなく、つまり、棚23より下側(内側)の部分を逆円錐形状とし、これにより、外囲器100Aの設置面積を狭くしてもよい。これは、後述する外囲器100B、100C、100Dにおいても同様である。
【0029】
[第2の実施の形態]
図2は、第2の実施の形態における発光素子の外囲器100Bの斜視図である。
【0030】
図2に示すように、外囲器100Bは、外囲器100Aのリードフレーム3がパッケージ1から外へ突出していることを除いては、外囲器100Aあるいは後述する他の実施の形態の外囲器と同様に構成される。つまり、該構成によって得られる作用効果は外囲器100Bでも得られる。
【0031】
図3は、棚23から上の部分を取り除いた外囲器100Bの斜視図である。
【0032】
図3に示すように、リードフレーム3は、放熱のためのフィン9、9と一体に形成され、各フィン9は、パッケージ1においてリードフレーム3,4が露出している側面とは別の側面から突出し、その後、上方へと曲げられている。
【0033】
このように、リードフレーム3をフィン9と一体にしてパッケージ1から外へ突出したことで、発光素子5Bからの熱を、例えば、自然対流により外囲器100Bの外部へ放出することができる。また、図示しない電動ファンなどからの風をフィン9に当てる、つまり空冷することで、放熱性がより良好となる。
【0034】
また、フィン9を曲げることで、外囲器100Bの設置面積を少なくしかつフィン9の表面積を広くできるので、外囲器100Bの設置面積を少なくしかつ放熱性を高めることができる。また、フィン9を上方に曲げることで、外囲器100Bが搭載されるプリント基板と外囲器100Bとの接触がなく、外囲器100Bの搭載が容易となる。
【0035】
[第3の実施の形態]
図4は、第3の実施の形態における発光素子の外囲器100Cの斜視図である。
【0036】
図4に示すように、外囲器100Cは、外囲器100Aの2つの発光素子5Bを赤の発光素子5R、5Rとし、他の2つの発光素子5Bを緑の発光素子5G、5Gとしたものである。また、発光素子5R、発光素子5Gおよび発光素子5Bからなる一方の組および他方の組においては、発光素子が最適に、つまり均等に配置されている。
【0037】
外囲器100Cの他の部分については、外囲器100Aと同様に構成することで、該構成によって得られる作用効果が外囲器100Cでも得られる。また、他の部分を、後述する他の実施の形態と同様に構成することで、該構成によって得られる作用効果が外囲器100Cでも得られる。
【0038】
さて、外囲器100Cでは、発光素子5R、発光素子5Gおよび発光素子5Bから、赤色光、緑色光および青色光がそれぞれ発光する。光の一部は、境界面71を通過して、外部へ出射してから混色される。また、残りの光は、境界面71と拡散反射面221で反射しているときに混色されてから外部へ出射する。
【0039】
外囲器100Cでは、拡散反射面221の途中に棚23を形成したことで、棚23より上側(外側)の拡散反射面221だけでなく、棚23より下側(内側)の拡散反射面221においても光が反射するので混色の効率を高くできる。
【0040】
また、棚23より上側(外側)の拡散反射面221があることで、光は棚23より下に集まる傾向があるが、そこにも拡散反射面221があるので混色の効率をより高くできる。[第4の実施の形態]
図5は、第4の実施の形態における発光素子の外囲器100Dの斜視図である。
【0041】
図5に示すように、外囲器100Dでは、外囲器100Cの各発光素子5R、5G、5Bが1つづつに減らされている。また、リードフレーム4の代わりに、発光素子5Rに電力を供給するリードフレーム4R、発光素子5Gに電力を供給する図示しないリードフレーム4G、発光素子5Bに電力を供給する図示しないリードフレーム4Bを備える。また、棚23には、リードフレーム3の上面電極3a、3a、3aと、リードフレーム4Rの上面電極4Raと、リードフレーム4Gの上面電極4Gaと、リードフレーム4Bの上面電極4Baとが配置されている。
【0042】
つまり、外囲器100Dは、PLCC(Plastic Leadless Chip Carrier)−4タイプの4端子パッケージである。
【0043】
外囲器100Dの他の部分については、外囲器100Cや他の実施の形態の外囲器と同様に構成することで、該構成によって得られる作用効果が外囲器100Dでも得られる。 さて、外囲器100Dでは、リードフレーム3,4Rから発光素子5Rに電力PRを供給し、リードフレーム3,4Gから発光素子5Gに電力PGを供給し、リードフレーム3,4Bから発光素子5Bに電力PGを供給すると、これらの各発光素子が発光する。ここで、電力PR、PGおよびPBを個別に定めることで、所望の色の光または白色光を取り出すことができる。
【0044】
[第5の実施の形態]
図6は、第5の実施の形態における発光素子の外囲器100Eの斜視図である。
【0045】
外囲器100EはSMD型であり、白色のPPA樹脂製の枠構造のパッケージ1Aを備える。パッケージ1Aには、上から見て四角形の凹部2Aが形成されている。凹部2Aの内壁22Aa、22Ab、22Ac、22Acの表面には、四角形の底面21Aに対して傾いた拡散反射面221Aが形成されている。
【0046】
外囲器100Eの底面21Aでは、発光素子が配置される領域を残して窪みが形成されている。例えば、底面21Aでは、好適な形状の窪み、つまり逆円錐形状の窪み30が複数形成され、窪み30の内壁31の表面には拡散反射面31Aが形成されている。
【0047】
内壁22Aaと各窪み30との間の底面21Aには、リードフレーム4Rの1つの上面電極4Ra、リードフレーム3の1つの上面電極3Ra、リードフレーム3の他の1つの上面電極3Ga、図示しないリードフレーム4Gの1つの上面電極4Ga、リードフレーム3の他の1つの上面電極3Ba、図示しないリードフレーム4Bの1つの上面電極4Baが、並んで配置されている。
【0048】
また、当該内壁22Aaに対向する内壁22Acと各窪み30との間の底面21Aにおいても、上面電極4Ra、3Ra、3Ga、4Ga、3Ba、4Baが並んで配置されている。
【0049】
また、上面電極3Ra同士は各窪み30を挟んで対向している。各上面電極4Ra、各上面電極3Ga、各上面電極4Ga、各上面電極3Ba、各上面電極4Baについても同様である。
【0050】
各上面電極3Raの上には、その上面電極3Raに対応する赤の発光素子5Rの一方の電極が導電材料を用いて接続され、当該発光素子5Rの他方の電極はワイヤ6を介して、隣の上面電極4Raに接続される。
【0051】
各上面電極3Gaの上には、その上面電極3Gaに対応する緑の発光素子5Gの一方の電極が導電材料を用いて接続され、当該発光素子5Rの他方の電極はワイヤ6を介して、隣の上面電極4Gaに接続される。
【0052】
各上面電極3Baの上には、その上面電極3Baに対応する緑の発光素子5Bの一方の電極が導電材料を用いて接続され、当該発光素子5Bの他方の電極はワイヤ6を介して、隣の上面電極4Baに接続される。
【0053】
この状態で、凹部2Aには透明材料7が充填される。透明材料7と空気との境界面71は、底面21に対して平行である。
【0054】
さて、外囲器100Eでは、リードフレーム3,4Rから発光素子5Rに電力PRを供給し、リードフレーム3,4Gから発光素子5Gに電力PGを供給し、リードフレーム3,4Bから発光素子5Bに電力PGを供給すると、発光素子5R、発光素子5Gおよび発光素子5Bが、赤色光、緑色光および青色光を発光する。その際、光の一部は、境界面71を通過して、外部へ出射してから混色される。また、残りの光は、境界面71と拡散反射面221で反射しているときに混色されてから外部へ出射する。
【0055】
ここで、電力PR、PGおよびPBを独自に定めることで、所望の色の光または白色光を取り出すことができる。
【0056】
発光素子5R、5G、5Bは発光の際に発熱するが、これらの発光素子5R、5G、5Bが分散して配置される領域を残して窪み30を形成したことで、窪み30によって発光素子同士が離れるので、放熱性が良好であり、発光素子の温度上昇を低く抑えられる。
【0057】
また、発光素子が分散して配置される領域を残して窪みを形成したことで、拡散反射面221だけでなく、窪みの拡散反射面31Aにおいても光が反射するので光量取出し率を高くできる。また、拡散反射面221があることで、光は発光素子が配置される領域を除く領域に集まる傾向があるが、そこにも拡散反射面31Aがあるので光量取出し率をより高くできる。
【0058】
また、底面の窪みは、それ自体が浅くてもそれを複数設けることで、深い窪みを設けた場合と同様な量の光を取り出せるので、底面の窪みを複数設けることで、光量取出し率を高くでき、しかも、発光素子の外囲器を薄型にできる。その結果、この外囲器を単位モジュールとして用いた面光源を実現でき、これを薄型液晶表示装置のバックライトに使用できる。
【0059】
なお、外囲器100Eでは、各発光素子を青の発光素子5Gとし、青色光を取りだしてもよい。また、このときの透明材料に蛍光体を含ませて白色光などを取りだしてもよい。また、外囲器100Bのフィン9を設けることで、放熱性を高めてもよい。また、リードフレーム4R、4G、4Bに代えて、単一のリードフレーム4を設けてもよい。
【0060】
さて、上記実施の形態の拡散反射面221や拡散反射面31A(以下、「拡散反射面221」に統一する)が、棚23や底面21(以下、「底面21」に統一する)となす角度は、上記実施の形態の発光素子(以下、「発光素子5」に統一する)から放射された直接光が境界面71に対して全反射を起こす入射臨界角と一致させることで、光量取出し率を向上させることができる。また、拡散反射面221が底面21となす角度を入射臨界角の±15°の範囲とするか、あるいは入射臨界角よりも小さくすることによっても光量取出し率を向上させることができる。
【0061】
このような角度設定により光量取出し率が向上する理由を説明する。なお、理解しやすいように、外囲器100Aから棚23を取り除き、発光素子5を底面21に設けた外囲器101を用いて説明する。
【0062】
図7は、外囲器101の斜視図であり、図8は、外囲器101の断面図である。
【0063】
図7に示すように、外囲器101は、外囲器100Aから棚23を取り除き、リードフレーム3の上面電極3aとリードフレーム4の上面電極4aと発光素子5を1つづつ底面21に配置したものである。なお、電気的な接続は、外囲器100Aと同様になされている。
【0064】
図8に示すように、凹部2の内壁22の表面に構成された拡散反射面221が底面21となす角度θ1は、発光素子5から放射された直接光が境界面71に対して全反射を起こす入射臨界角θ2と一致している。
【0065】
例えば、透明材料7にエポキシ樹脂を用いた場合、その屈折率はおおよそn=1.5であり、空気の屈折率n=1よりも大きい。この場合、エポキシ樹脂と空気との境界面における入射臨界角はθ2=49°であり、発光素子5から境界面71に49°よりも大きな入射角で入射する光は屈折しながらも外部へ放射されるが、49°よりも小さな入射角で入射する光は、全反射して凹部2の内部に戻る。
【0066】
つまり、発光素子5からの直接光としては、発光素子5の位置を頂点、境界面71を底面とし、側面と境界面71とのなす角度が49°の取出円錐80の内部にある光だけを外部に取り出せることになる。取出円錐80の内部にある直接光は、拡散反射面221や境界面71での反射によって減衰することなく空気層側へ放射される。
【0067】
一方で、外部に取り出せる光としては、発光素子5からの直接光の他に、拡散反射面221で反射した光がある。拡散反射面221で反射した光をいかにして外部へ取り出すかということは、発光素子5からの光を効率的に外部へ放射する上で重要である。
【0068】
外囲器101では、拡散反射面221に当った光は拡散反射をするので全方位へ反射される。このとき、拡散反射面221が凹部の底面に対して仮に垂直であったとすると、拡散反射面221における光の反射位置を頂点、境界面を底面とし、側面と境界面とのなす角度が49°の取出円錐(取出円錐81という)の内部にある光のうち、半分は拡散反射面221にかかってしまうため、外部に取り出せないことになる。
【0069】
そこで、図9に示すように、拡散反射面221が底面21となす角度θ1を入射臨界角θ2と一致させることで、取出円錐81を透明材料7中に完全に確保し、取出円錐81の中にある光を全て外部へ取り出せるようにする。
【0070】
あるいは、角度θ1を入射臨界角θ2よりも小さくする。この場合にも、取出円錐81は透明材料7中に完全に確保されるので、取出円錐81の中にある光を全て外部へ取り出すことができる。
【0071】
一方で、角度θ1が入射臨界角θ2よりも極端に大きい場合や極端に小さい場合には、拡散反射面221で反射した光が境界面71を透過できないことが多くなり、その光が再度、透明材料7内に反射して戻ることになる。このような光は、透明材料7内で拡散反射面221や底面21での反射を繰り返し、光路距離が長くなって減衰するため、外部へ取り出せる光量が減少することになる。このため、角度θ1については、適切な範囲内とすることが望ましい。
【0072】
図10は、透明材料にエポキシ樹脂を用いたときの光量の取出し率の推移を示すグラフである。横軸は角度θ1(°)、縦軸は光量取出し率(%)である。縦軸は、角度θ1を70°とした場合の取出し光量を100%とし、この光量に対する相対値で示してある。同グラフから、角度θ1を入射臨界角の49°に一致させた場合には、光量取出し率は最大となり、その値は角度θ1が70°の場合に対して20%も向上することが確認された。また、角度θ1を入射臨界角の49°±15°の範囲内とした場合には、光量取出し率は10%以上向上することが確認された。
【0073】
なお、上記のような角度設定は、外囲器100Aにおいて十分な光量や所望の色が得られるならば、棚23の上側(外側)と下側(内側)の拡散反射面221の少なくとも一方において採用すればよい。また、この角度設定は、外囲器100Eにおいて十分な光量や所望の色が得られるならば、内壁22Aa、22Ab、22Ac、22Acの各拡散反射面221と各窪み30の拡散反射面31Aのいずれか1以上において採用すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】第1の実施の形態における発光素子の外囲器100Aの斜視図である。
【図2】第2の実施の形態における発光素子の外囲器100Bの斜視図である。
【図3】棚23から上の部分を取り除いた外囲器100Bの斜視図である。
【図4】第3の実施の形態における発光素子の外囲器100Cの斜視図である。
【図5】第4の実施の形態における発光素子の外囲器100Dの斜視図である。
【図6】第5の実施の形態における発光素子の外囲器100Eの斜視図である。
【図7】各実施の形態での角度設定の説明に用いた外囲器101の斜視図である。
【図8】外囲器101の断面図である。
【図9】角度θ1を入射臨界角θ2に一致させたときに外部へ取り出せる反射光を説明するための図である。
【図10】各実施の形態で光量取出し率が向上する理由を説明するための図である。
【図11】従来の発光素子の外囲器の斜視図である。
【符号の説明】
【0075】
1,1A…パッケージ
2,2A…凹部
3,4,4R,4G,4B…リードフレーム
3a,3Ra,3Ga,3Ba,4a,4Ra,4Ga,4Ba…上面電極
5,5R,5G,5B…発光素子
6…ワイヤ
7…透明材料
9…フィン
21,21A…底面
22,22Aa,22Ab,22Ac,22Ad,31…内壁
23…棚
31A,221,221A…拡散反射面
71…境界面
80,81…取出円錐
100A,100B,100C,100D,100E,101…外囲器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内壁面が傾き、かつ透明材料が充填される凹部を備え、前記内壁面の途中に、複数の発光素子が分散して配置される棚を形成したことを特徴とする発光素子の外囲器。
【請求項2】
内壁面が傾き、かつ透明材料が充填される凹部を備え、前記凹部の底面に、複数の発光素子が分散して配置される領域を残して窪みを形成したことを特徴とする発光素子の外囲器。
【請求項3】
前記複数の発光素子に電力を供給するリードフレームが外へ突出していることを特徴とする請求項1または2記載の発光素子の外囲器。
【請求項1】
内壁面が傾き、かつ透明材料が充填される凹部を備え、前記内壁面の途中に、複数の発光素子が分散して配置される棚を形成したことを特徴とする発光素子の外囲器。
【請求項2】
内壁面が傾き、かつ透明材料が充填される凹部を備え、前記凹部の底面に、複数の発光素子が分散して配置される領域を残して窪みを形成したことを特徴とする発光素子の外囲器。
【請求項3】
前記複数の発光素子に電力を供給するリードフレームが外へ突出していることを特徴とする請求項1または2記載の発光素子の外囲器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−165101(P2006−165101A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−351196(P2004−351196)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]