説明

発光素子及びその製造方法

【課題】発光輝度の高いエレクトロルミネッセンス発光素子を提供する。
【解決手段】EL発光素子1は、電圧が印加されることにより発光するEL発光層13を有し、EL発光層13は、ホスト材料として、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及び希土類イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の陽イオンと、フッ素イオンとを含有し、陽イオンに対するフッ素イオンの組成比が0.5より大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代フルカラー発光素子として、エレクトロルミネッセンス発光素子(以下、「EL発光素子」とすることがある。)を用いたフォトルミネッセンス(PL)発光素子(以下、「EL発光素子を用いたPL発光素子を「EL−PL発光素子」とすることがある。)が盛んに研究されている(例えば、特許文献1、2等)。
【0003】
EL−PL発光素子は、詳細には、紫外光を出射させるエレクトロルミネッセンス発光層(以下、「EL発光層」とすることがある。)と、EL発光層から出射された紫外光を受光して蛍光を出射させるフォトルミネセンス発光層(以下、「PL発光層」とすることがある。)とを有する。従来、紫外光を出射するエレクトロルミネッセンス発光材料(以下、「EL発光材料」とすることがある。)として、ホスト材料としてのフッ化亜鉛と、発光中心としてのガドリニウムを含む、化学式ZnF2:Gdで表される材料が提案されている。また、特許文献1、2には、化学式ZnF2:Gdで表される材料を含む発光層(以下、「ZnF2:Gd発光層」とすることがある。)の製造方法として、電子ビーム蒸着法が紹介されている。
【特許文献1】特開平11−195488号公報
【特許文献2】特開平11−195489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電子ビーム蒸着法により形成されたZnF2:Gd発光層を有する無機EL素子は発光輝度が低いという問題がある。このため、発光輝度が十分に高いEL−PL発光素子を実現することが困難であるという問題もある。
【0005】
本発明は、係る点に鑑みてなされたものであり、発光輝度の高いエレクトロルミネッセンス発光素子を実現することを第1の目的とする。また、高い発光輝度を有するフォトルミネッセンス発光素子を実現することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、誠意研究した結果、陽イオンとフッ素イオンとを含有する印加発光層を電子ビーム蒸着法により形成した場合、フッ素イオンの組成比が化学量論比(ストイキオメトリー)よりも非常に小さくなることを見出した。また、陽イオンとフッ素イオンとを含む印加発光層の発光輝度はフッ素イオン組成比と相関すること、具体的にはフッ素イオン組成比が増加するに従って印加発光層の発光輝度が高くなることを見出した。その結果、本発明を成すに至った。尚、電子ビーム蒸着法により印加発光層を形成した場合にフッ素イオンの組成比が低くなる原因としては、フッ素イオンが大きなイオン化傾向を有することが考えられる。
【0007】
本発明に係る第1の発光素子は、電圧が印加されることにより発光する印加発光層(EL発光層)を有するEL(エレクトロルミネッセンス)発光素子である。印加発光層は、ホスト材料として、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及び希土類イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の陽イオンと、フッ素イオンとを含有し、陽イオンに対するフッ素イオンの組成比は0.5より大きい。
【0008】
言い換えれば、本発明に係る第1の発光素子に含まれる印加発光層のホスト材料の組成は下記組成式1により表される。
【0009】
【化1】

【0010】
但し、上記組成式1中、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及び希土類イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の陽イオンである。
【0011】
本発明に係る第1の発光素子では、印加発光層はフッ素を含有する。このため、印加発光層のバンドギャップエネルギーが大きく、波長の短い光を好適に出射することができる。印加発光層のバンドギャップエネルギーは3.8eV以上であることが好ましい。バンドギャップエネルギーを3.8eV以上にすることによって、高輝度な400nm以下の光が得られる。また、印加発光層はフッ素イオンを含有するため、例えば酸化物からなる印加発光層と比較して抵抗が低い。このため、本発明の第1の発光素子は駆動電圧が低い。
【0012】
本発明に係る第1の発光素子では、印加発光層における陽イオンに対するフッ素イオンの組成比は0.5より大きい。陽イオンに対するフッ素イオンの組成比を0.5より大きくすることによって、フッ素イオンの結晶位置のうち、フッ素イオンが存在する結晶位置の割合を大きくすることができる。従って、本発明に係る第1の発光素子によれば高い発光輝度を実現することができる。また、高い発光輝度を有する、本発明に係る第1の発光素子を用いることによって、発光輝度の高いEL−PL発光素子を実現することができる。
【0013】
本発明に係る第2の発光素子は、電圧が印加されることにより発光する印加発光層(EL発光層)を有するEL発光素子である。印加発光層は、ホスト材料として、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及び希土類イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の陽イオンと、フッ素イオンとを含む組成物を含有し、陽イオンに対するフッ素イオンの組成比が化学量論比の25%より大きい。
【0014】
言い換えれば、本発明に係る第2の発光素子の印加発光層に含まれる陽イオンとフッ素イオンとを含む組成物が下記化学式2により表される場合に、組成物の組成が下記組成式3により表される。
【0015】
【化2】

【0016】
【化3】

【0017】
但し、上記化学式2、組成式3中、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及び希土類イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の陽イオンである。
【0018】
本発明に係る第2の発光素子では、印加発光層はフッ素を含有する。このため、印加発光層のバンドギャップエネルギーが大きく、波長の短い光を好適に出射することができる。印加発光層のバンドギャップエネルギーは3.8eV以上であることが好ましい。バンドギャップエネルギーを3.8eV以上にすることによって、高輝度な400nm以下の光が得られる。また、印加発光層はフッ素イオンを含有するため、例えば酸化物からなる印加発光層と比較して抵抗が低い。このため、本発明の第2の発光素子は駆動電圧が低い。
【0019】
また、本発明に係る第1の発光素子では、印加発光層における陽イオンに対するフッ素イオンの組成比が化学量論比の25%より大きい。陽イオンに対するフッ素イオンの組成比を化学量論比の25%より大きくすることによって、フッ素イオンの結晶位置のうち、フッ素イオンが存在する結晶位置の割合を大きくすることができる。従って、本発明に係る第2の発光素子によれば高い発光輝度を実現することができる。また、高い発光輝度を有する、本発明に係る第2の発光素子を用いることによって、発光輝度の高いEL−PL発光素子を実現することができる。
【0020】
より高い発光輝度を実現する観点から、フッ素イオンの結晶位置の数量に対するフッ素イオンが存在する結晶位置の数量の比が25%以上であることがより好ましい。
【0021】
本発明に係る第3の発光素子は、電圧が印加されることにより発光する印加発光層(EL発光層)と、印加発光層(EL発光層)からの光を受光することにより発光する受光発光層(PL発光層)とを有するPL(フォトルミネッセンス)発光素子である。印加発光層は、ホスト材料として、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及び希土類イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の陽イオンと、フッ素イオンとを含有し、陽イオンに対するフッ素イオンの組成比が0.5より大きい。言い換えれば、本発明に係る第3の発光素子は、本発明に係る第1の発光素子を用いたPL発光素子である。
【0022】
ところで、PL発光素子では、出射される光の強度は受光発光層に入射する光(詳細には、入射光のうち受光発光層に含有された発光材料を発光させる光)の強度と相関する。具体的には、受光発光層に入射する光の強度が増加するに従って、印加発光層から出射される光の強度が増加する。上述の通り、本発明に係る第1の発光素子は高輝度な光を出射させることができる。このため、本発明に係る第3の発光素子は、高輝度な光を出射することができる。
【0023】
また、印加発光層はフッ素イオンを含有するため、例えば酸化物からなる印加発光層と比較して抵抗が低い。このため、本発明の第3の発光素子は駆動電圧が低い。
【0024】
本発明に係る第4の発光素子は、電圧が印加されることにより発光する印加発光層と、印加発光層からの光を受光することにより発光する受光発光層とを有する発光素子である。印加発光層は、ホスト材料として、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及び希土類イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の陽イオンと、フッ素イオンとを含む組成物を含有し、陽イオンに対するフッ素イオンの組成比が化学量論比の25%より大きい。
【0025】
言い換えれば、本発明に係る第4の発光素子は、本発明に係る第2の発光素子を用いたPL発光素子である。上述の通り、本発明に係る第2の発光素子は高輝度な光を出射させることができる。このため、本発明に係る第4の発光素子は、高輝度な光を出射することができる。
【0026】
また、印加発光層はフッ素イオンを含有するため、例えば酸化物からなる印加発光層と比較して電気抵抗が低い。このため、フッ素イオンを含有する印加発光層を有する本発明の第4の発光素子は低い駆動電圧を有する。
【0027】
上記本発明に係る第1乃至第4のそれぞれの発光素子では、印加発光層が、陽イオンとして、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンと、亜鉛イオンとを含み、亜鉛イオンに対するカルシウムイオン及びマグネシウムイオンの組成比の総和が0.00001以上0.1以下であってもよい。言い換えれば、印加発光層はフッ化亜鉛を主成分とする組成物にカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを添加したものであってもよい。尚、この構成における印加発光層のホスト材料の組成は下記組成式4により表される。
【0028】
【化4】

【0029】
上記組成式4中、M’はカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンである。
【0030】
フッ化亜鉛を主成分とする印加発光層にカルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを添加することにより、印加発光層の結晶状態を安定化することができる。また、印加発光層の結晶状態が安定であるほど印加発光層から出射される光の強度が大きくなる。このため、この構成によれば、印加発光層から出射される光の輝度を高くすることができる。
【0031】
上記本発明に係る第1乃至第4のそれぞれの発光素子では、印加発光層がさらに酸素イオンを含有していてもよい。この構成によれば、印加発光層の結晶状態を安定にすることができる。よって、印加発光層から出射される光の輝度を高くすることができる。
【0032】
フッ素イオンに対する酸素イオンの組成比は0.1以上1以下であることが好ましい。この構成における印加発光層のホスト材料の組成は下記組成式5により表される。
【0033】
【化5】

【0034】
上記組成式5中、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及び希土類イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の陽イオンである。
【0035】
上記本発明に係る第1乃至第4のそれぞれの発光素子では、印加発光層が、発光中心として、ガドリニウム及び/又はユウロピウムを含んでいてもよい。
【0036】
本発明に係る第1の製造方法は、電圧が印加されることにより発光する印加発光層(EL発光層)を有し、印加発光層が、ホスト材料として、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及び希土類イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の陽イオンと、フッ素イオンとを含有するEL(エレクトロルミネッセンス)発光素子を製造する方法に関する。本発明に係る第1の製造方法は、印加発光層をスパッタ法によって形成することを特徴とする。
【0037】
フッ素を含有する印加発光層をスパッタ法によって形成した場合、例えば従来の蒸着法によってフッ素イオン含有印加発光層を形成した場合よりもフッ素イオン組成比が大きくなる。このため、陽イオンに対するフッ素イオンの組成比が比較的大きな印加発光層を形成することができる。従って、フッ素イオンが存在する結晶位置の割合が多い印加発光層を形成することができる。その結果、本発明に係る第1の製造方法によれば、発光輝度の高いEL発光素子を製造することができる。
【0038】
本発明に係る第2の製造方法は、電圧が印加されることにより発光する印加発光層(EL発光層)と、印加発光層からの光を受光することにより発光する受光発光層(PL発光層)とを有し、印加発光層は、ホスト材料として、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及び希土類イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の陽イオンと、フッ素イオンとを含有するPL(フォトルミネッセンス)発光素子を製造する方法に関する。本発明に係る第2の製造方法は、印加発光層をスパッタ法によって形成することを特徴とする。
【0039】
本発明に係る第2の製造方法では、フッ素を含有する印加発光層をスパッタ法によって形成する。このため、陽イオンに対するフッ素イオンの組成比が比較的大きく(フッ素イオンが存在する結晶位置の割合が多く)、発光輝度の高い印加発光層を形成することができる。従って、本発明に係る第2の製造方法によれば、発光輝度の高いPL発光素子を製造することができる。
【0040】
本発明に係る第3の製造方法は、電圧が印加されることにより発光する印加発光層(EL発光層)を有し、印加発光層は、ホスト材料として、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及び希土類イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の陽イオンと、フッ素イオンとを含有するEL発光素子を製造する方法に関する。本発明に係る第3の製造方法は、フッ素イオン雰囲気中において、印加発光層を蒸着法によって形成することを特徴とする。具体的に、本発明に係る第3の製造方法は、ハウジング内において、印加発光層を蒸着法によって形成する発光層形成工程と、発光層形成工程に先立って、又は発光層形成工程と同時にハウジング内にフッ素イオンを供給するイオン供給工程とを含んでいてもよい。
【0041】
一般的に、フッ素イオンを含有する印加発光層を蒸着法によって形成する場合、形成された印加発光層のフッ素イオン組成比が所望のフッ素イオン組成比よりも低くなる。このため、十分な発光輝度が得られない。しかしながら、フッ素イオン雰囲気において蒸着法を用いて印加発光層を形成することによって、陽イオンに対するフッ素イオンの組成比が比較的大きな印加発光層を形成することができる。換言すれば、フッ素イオンが存在する結晶位置の割合が多い印加発光層を形成することができる。従って、本発明に係る第3の製造方法によれば、発光輝度の高いEL発光素子を製造することができる。尚、印加発光層を形成する雰囲気におけるフッ素イオン濃度は1.33〜13.3×10-3Pa(1〜10×10-5Torr)であることが好ましい。
【0042】
本発明に係る第4の製造方法は、電圧が印加されることにより発光する印加発光層(EL発光層)と、印加発光層からの光を受光することにより発光する受光発光層(PL発光層)とを有し、印加発光層は、ホスト材料として、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及び希土類イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の陽イオンと、フッ素イオンとを含有するPL(フォトルミネッセンス)発光素子を製造する方法に関する。本発明に係る第4の製造方法は、フッ素イオン雰囲気中において、印加発光層を蒸着法によって形成することを特徴とする。具体的に、本発明に係る第4の製造方法は、ハウジング内において、印加発光層を蒸着法によって形成する発光層形成工程と、発光層形成工程に先立って、又は発光層形成工程と同時にハウジング内にフッ素イオンを供給するイオン供給工程とを含んでいてもよい。
【0043】
フッ素イオン雰囲気において蒸着法によって印加発光層を形成することによって、陽イオンに対するフッ素イオンの組成比が比較的大きな印加発光層を形成することができる。換言すれば、フッ素イオンが存在する結晶位置の割合が多い印加発光層を形成することができる。従って、本発明に係る第4の製造方法によれば、印加発光層の発光輝度を高くすることができるため、発光輝度の高いPL発光素子を製造することができる。尚、印加発光層を形成する雰囲気におけるフッ素イオン濃度は1.33〜13.3×10-3Pa(1〜10×10-5Torr)であることが好ましい。
【発明の効果】
【0044】
以上説明したように、本発明によれば、発光輝度の高いエレクトロルミネッセンス発光素子及びフォトルミネッセンス発光素子を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0046】
(実施形態1)図1は本実施形態1に係るエレクトロルミネッセンス(EL)発光素子1の概略断面図である。
【0047】
EL発光素子1は、基板10と、基板10の上に設けられた第1電極11と、第1電極11の上に設けられた第1絶縁層12と、第1絶縁層12の上に形成された印加発光層としてのEL発光層13と、EL発光層13の上に設けられた第2絶縁層14と、第2絶縁層14の上に設けられた第2電極15とを有する。基板10は、例えばガラス(具体的にはホウ珪酸ガラス等)等により構成されており、EL発光素子1の機械的強度を担保する機能を有する。EL発光層13の光を基板10側から取り出す場合、基板10は光透過性材料により形成されていることが好ましい。
【0048】
第1電極11及び第2電極15はEL発光層13に電圧を印加する。第1電極11及び第2電極15はインジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウム(Al),銀(Ag)等により形成することができる。その中でも、光を透過する透明電極とする場合は、非晶質であるインジウム亜鉛酸化物(IZO)が好ましい。また、光を反射させる反射電極とする場合は、光反射率が高く、電気抵抗の低いアルミニウム(Al)が好ましい。
【0049】
第1絶縁層12及び第2絶縁層14はEL発光層13への電荷供給量を増大させる機能を有する。第1絶縁層12及び第2絶縁層14は、例えば酸化シリコン(SiO2)やチッ化シリコン(Si34)等の薄膜、又は酸化シリコン(SiO2)の薄膜(例えば、層厚30nm〜60nm)とチッ化シリコン(SiN4)の薄膜(例えば、層厚150nm〜300nm)との積層体等によりそれぞれ形成することができる。
【0050】
EL発光層13は紫外光(波長が400nm以下の光)を出射する。EL発光層13は、ホスト材料として、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及び希土類イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の陽イオンと、フッ素イオンとを含有する。具体的に、陽イオンとしては、亜鉛(Zn)、ストロンチウム(Sr),カルシウム(Ca),マグネシウム(Mg)、イットリウム(Y)等が挙げられる。波長の短い紫外光を得る観点から、特にそれらの中でも亜鉛(Zn)が好ましい。
【0051】
EL発光層13に含まれるホスト材料は、下記組成式1により表される。但し、下記組成式1中、Mは陽イオンを示す。下記組成式1に示すように、ホスト材料陽イオン(M)に対するフッ素イオンの組成比が0.5以上である。このため、本実施形態1に係るEL発光素子1では、フッ素イオンの結晶位置のうち、フッ素イオンが存在する結晶位置の割合が比較的大きい。よって、EL発光層13は高い結晶性を有する。従って、本実施形態1に係るEL発光素子1は高い発光輝度を有する。
【0052】
尚、ホスト材料は、陽イオン(M)に対するフッ素イオンの組成比が50以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、5以下であることがさらに好ましい。
【0053】
【化1】

【0054】
EL発光層13のホスト材料は、例えば、フッ化亜鉛(ZnF2)を主成分とし、フッ化カルシウム(CaF2)及び/又はフッ化マグネシウム(MgF2)を添加したものであってもよい。フッ化カルシウムやフッ化マグネシウムはそれぞれホタル石構造の比較的安定な結晶を形成する。このようなフッ化カルシウム及び/又はマグネシウムをフッ化亜鉛に添加することによってEL発光層13中に、安定した結晶を容易に生成させることができる。このため、製造容易なEL発光素子1を実現することができる。また、EL発光層13の結晶性を向上させることにより、EL発光素子1の発光輝度を向上させることができる。
【0055】
フッ化カルシウムやフッ化マグネシウムは、カルシウムイオン及びマグネシウムイオンの、亜鉛イオンに対する組成比が0.00001以上0.1以下となるように添加することが好ましい。亜鉛イオンに対する組成比が0.00001未満である場合はEL発光層13の安定性が低下する傾向にある。一方、亜鉛イオンに対する組成比が0.1より大きくなると、EL発光層13から出射される光の波長が長くなる傾向にある。
【0056】
同様に、EL発光層13中の結晶を安定化する観点から、ホスト材料に、陰イオンとして、フッ素イオンに加えて酸素イオンを含有させることが好ましい。ホスト材料に酸素イオンを含有させることによって、EL発光層13中の結晶を安定化することができるので、EL発光素子1の発光輝度を向上させることができる。
【0057】
ホスト材料はフッ素イオンに対する組成比が0.1以上1以下となる範囲で酸素イオンを含有することが好ましい。フッ素イオンに対する組成比が0.1未満であると、EL発光層13の安定性が低下する傾向にある。一方、フッ素イオンに対する組成比が1より大きいと、EL発光層13から出射される光の波長が長くなる傾向にある。
【0058】
上述のように、EL発光層13はフッ素イオンを含む。このため、EL発光層13は大きなバンドギャップエネルギーを有する。従って、EL発光層13は紫外光を好適に出射させることができる。尚、本明細書において、紫外光とは波長が400nm以下の光をいうものとする。特に、紫外光を得るためには、EL発光層13のバンドギャップエネルギーは3.8eV以上であることが好ましい。
【0059】
また、EL発光層13はフッ素イオンを含むため、例えば酸化物からなるEL発光層と比較して電気抵抗が低い。このため、本実施形態1に係るEL発光素子1は駆動電圧が低い。
【0060】
EL発光層13は発光中心を含む。発光中心としては、例えばガドリニウム(Gd)やユウロピウム(Eu)等が挙げられる。特に、フッ化亜鉛(ZnF2)をホスト成分とし、ガドリニウム(Gd)を発光中心とする(EL発光層13をZnF2:Gdとする)ことが好ましく、この場合に強い紫外光(中心波長:310nm〜320nm)が得られる。
【0061】
上述のように本実施形態1に係るEL発光素子1は高い発光輝度を有する。このため、本実施形態1に係るEL発光素子1を用いることによって、発光輝度の高いEL−PL発光素子を実現することができる。
【0062】
次に、本実施形態1に係るEL発光素子1の製造方法について詳細に説明する。
【0063】
まず、蒸着法やスパッタ法等を用いて、基板10上に第1電極11を形成する。第1電極11をパターニングする場合は、フォトリソグラフィー法等のパターニング方法を用いて所望の形状にパターニングすることができる。第1電極11の上に第1絶縁層12を形成する。第1絶縁層12はCVD法、スパッタ法(RFスパッタ法)、蒸着法等により形成することができる。
【0064】
次に、第1絶縁層12上にEL発光層13を形成する。EL発光層13は例えばスパッタ法により形成することができる。以下、スパッタ法によりEL発光層13を形成する工程について詳細に説明する。
【0065】
図2はスパッタ法によりEL発光層13を形成する工程を表す模式図である。
【0066】
まず、EL発光層13の成分(ホスト材料及び発光中心)を含有するターゲット16を作製する。例えば、ホスト材料をフッ化亜鉛(ZnF2)とし、発光中心をガドリニウム(Gd)とする場合、フッ化亜鉛にガドリニウム又は塩化ガドリニウム(GdCl3)を1mol%以上5mol%以下(好ましくは、1mol%以上3mol%以下)添加したターゲット16を作製する。図2に示すように、減圧雰囲気中(好ましくは1Pa以上30Pa以下、より好ましくは6Pa以上20Pa以下)において、作製したターゲット16と第1絶縁層12を形成した基板10との間に電圧を印加することによってターゲット16に含まれるホスト材料及び発光中心を第1絶縁層12上に積層することによってEL発光層13を形成する。EL発光層13の形成室は、不活性ガス(例えば、アルゴンガス、窒素ガス等)雰囲気であることが好ましい。
【0067】
EL発光層13を成膜する際、基板10は常温以上300℃程度であることが好ましい。より好ましくは、100℃以上300℃以下である。成膜レート(EL発光層13を成膜する速度)は1nm/s以上20nm/s以下であることが好ましい。より好ましくは1nm/s以上10nm/s以下である。
【0068】
EL発光層13を形成した後、加熱処理を行うことが好ましい。具体的には、減圧雰囲気中(好ましくは1Pa以上30Pa以下、より好ましくは6Pa以上20Pa以下)、300℃以上600℃以下で、30分以上120分以下アニールすることが好ましい。これによって、EL発光層13の結晶化を促進することができる。また、急速加熱処理(RTA:Rapid Thermal Annealing)やエキシマレーザーを用いたレーザーアニールを行ってもよい。急速加熱処理やレーザーアニールによれば、EL発光層13の結晶化をより効果的に促進することができる。
【0069】
次に、EL発光層13の上に、第2絶縁層14を形成する。第2絶縁層14は第1絶縁層12と同様に、CVD法、スパッタ法(RFスパッタ法)、蒸着法等により形成することができる。第2絶縁層14の上に第2電極15を形成することによってEL発光素子1を製造することができる。第2電極15は、第1電極11と同様に、蒸着法やスパッタ法等を用いて形成することができる。
【0070】
さらに、EL発光素子1の上から、EL発光層13を外気から遮断するように、凹部が形成された封止基板等を用いてEL発光素子1を封止してもよい。さらに、封止基板とEL発光素子1との間に絶縁性オイル(例えば、シリコンオイル等)を充填してもよい。これによりEL発光層13や第1電極11及び第2電極15が酸素や水分と接触することを効果的に抑制することができ、長寿命なEL発光素子1を実現することができる。
【0071】
実施形態1では、スパッタ法を用いてEL発光層13を形成する場合を説明したが、本発明は何らこれに限定されるものではない。フッ素雰囲気中において、蒸着法を用いてEL発光層13を形成しても構わない。
【0072】
(実施形態2)一般的に、蒸着法は、空気又はアルゴンガス、窒素ガス等の不活性ガスを充填した後に減圧した反応室(ハウジング)内で行われる(以下、空気又は窒素等の不活性ガスを充填した後に減圧した反応室(ハウジング)内で行われる蒸着法を「通常の蒸着法」とすることがある。)。通常の蒸着法によりEL発光層を形成した場合、蒸着法に用いるターゲットの組成と形成されたEL発光層の組成とは大きく異なる。特に、フッ素イオンを含むEL発光層を形成する場合、EL発光層のフッ素イオン組成比はターゲットのフッ素イオン組成比よりも小さくなる。
【0073】
例えば、組成比ZnF2のターゲットを用いて、通常の蒸着法によりEL発光層を形成した場合でも、EL発光層のフッ素イオン組成比は2未満(一般的には0.5以下)となる。このため、陽イオンとフッ素イオンとを含む組成物(結晶)を含有するEL発光層を通常の蒸着法により形成した場合、フッ素イオンの結晶位置のうち、フッ素イオンが存在する結晶位置が比較的少なくなり、高い結晶性を有するEL発光層を形成することが困難である。結晶性が低いEL発光層を有するEL発光素子では十分な発光輝度が得られない。
【0074】
本発明者らは、誠意研究した結果、フッ素イオン雰囲気において蒸着法を行うことにより、フッ素イオンを含有するEL発光層を好適に形成することができることを見出した。本実施形態2では、実施形態1で説明したEL発光素子1をフッ素雰囲気中における蒸着法(例えば電子ビーム蒸着法)を用いて製造する方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0075】
図3は、フッ素雰囲気中において、蒸着法を用いてEL発光層13を形成する工程を表す模式図である。
【0076】
まず、実施形態1で説明した方法と同様の方法を用いて、第1電極11及び第1絶縁層12を形成した基板10をハウジングとしての発光層形成室26内に設置する。また、発光層形成室26内には、設置した基板10と対向するように、タブレット21を設置する。タブレット21はEL発光層13の含有成分が含む。例えば、EL発光層13をZnF2:Gdとする場合(ホスト材料としてフッ化亜鉛(ZnF2)を含有し、発光中心としてガドリニウム(Gd)を含有する場合)は、フッ化亜鉛(ZnF2)及びガドリニウム(Gd)又は塩化ガドリニウム(GdCl3)を含むタブレット21を用いることができる。
【0077】
基板10のうち、EL発光層13を形成しない領域を覆うようにマスク20を配置する。発光層形成室26を減圧ポンプ(図示せず)等を用いて減圧し、発光層形成室26内に配置された電子銃22を用いてタブレット21に電子ビームを照射する。電子ビームが照射されることにより、タブレット21の一部が蒸発する。蒸発したタブレット21の成分が基板10の第1絶縁層12上に積層することによりEL発光層(印加発光層)13が形成される(発光層形成工程)。発光層形成工程において、基板10の温度は常温以上300℃以下であることが好ましい。100℃以上300℃以下であることがより好ましい。EL発光層13の成膜レートは1nm/s以上50nm/s以下であることが好ましい。1nm/s以上50nm/s以下であることがより好ましい。
【0078】
本実施形態2では、蒸着法を用いた上記発光層形成工程がフッ素雰囲気中で行われる。具体的には、発光層形成工程に先立って、又は発光層形成工程と同時に発光層形成室26内にフッ素イオンが供給される。このため、形成されたEL発光層13におけるフッ素イオンの結晶位置のうち、フッ素イオンが存在する結晶位置の割合を大きくすることができる。すなわち、フッ素イオンを含むEL発光層13を高い結晶性で形成することができる。このため、本実施形態2に係る蒸着法を用いることによって、発光輝度の高いEL発光素子1を好適に製造することができる。
【0079】
発光層形成室26内にフッ素イオンを導入する方法(フッ素イオン導入手段)は何ら限定されるものではないが、例えば、以下の方法によりフッ素イオンを導入することができる。
【0080】
加熱手段(例えば電熱線等)25が設けられた坩堝(例えばKセル等)23を発光層形成室26内に設置する。坩堝23内にはフッ素イオン含有材料(例えばフッ化亜鉛等)24を入れる。発光層形成工程に先立って、又は発光層形成工程と同時に加熱手段25により坩堝23を加熱することにより、フッ素イオン含有材料24から発光層形成室26内にフッ素イオンが供給することができる。
【0081】
尚、フッ素イオン含有材料24は粉末状、顆粒状、又はタブレット状等であってもよい。また、一般的に、通常の蒸着法によりEL発光層13を形成する場合、発光層形成室26内のフッ素イオンの分圧は2.66〜6.65×10-4Pa(2〜5×10-6Torr)程度である。本実施形態2では、発光層形成室26内におけるフッ素イオンの分圧は1.33〜13.3×10-3Pa(1〜10×10-5Torr)(通常の蒸着法におけるフッ素イオンの分圧の約10倍)であることが好ましい。
【0082】
本実施形態2では、フッ素イオン導入手段が発光層形成室26内に設置されている例を説明したが、必ずしも発光層形成室26内に設置されている必要はない。フッ素イオン導入手段は発光層形成室26の外に配置されていてもよい。
【0083】
EL発光層13形成後、実施形態1と同様に、加熱処理を行ってもよい。具体的には、減圧雰囲気中、300℃以上600℃以下で、30分以上120分以下アニールすることが好ましい。これによって、EL発光層13の結晶化を促進することができる。また、急速加熱処理(RTA:Rapid Thermal Annealing)やエキシマレーザーを用いたレーザーアニールを行ってもよい。急速加熱処理やレーザーアニールによれば、EL発光層13の結晶化をより効果的に促進することができる。
【0084】
(実施形態3)図4は実施形態3に係るEL発光素子3の構成を表す断面図である。
【0085】
本実施形態3に係るEL発光素子3はEL発光層(印加発光層)の構成を除いて実施形態1に係るEL発光素子1と同様の構成を有する。以下、図4を同様に参照しながら、実施形態1に係るEL発光素子1と異なるEL発光層33について詳細に説明する。尚、本実施形態3において、実質的に同じ機能を有する構成要素を、実施形態1と共通の参照符号で説明し、説明を省略する。
【0086】
EL発光層33は紫外光(波長が400nm以下の光)を出射する。EL発光層33は、ホスト材料として、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及び希土類イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の陽イオンと、フッ素イオンとを含有する。具体的に、陽イオンとしては、亜鉛(Zn)、ストロンチウム(Sr),カルシウム(Ca),マグネシウム(Mg)、イットリウム(Y)等が挙げられる。波長の短い紫外光を得る観点から、特にそれらの中でも亜鉛(Zn)が好ましい。
【0087】
EL発光層33では、陽イオンに対するフッ素イオンの組成比が化学量論比の25%より大きい。言い換えれば、EL発光層33に含まれる陽イオンとフッ素イオンとを含む組成物が下記化学式2により表される場合に、組成物の組成が下記組成式3により表される。
【0088】
【化2】

【0089】
【化3】

【0090】
但し、上記化学式2、組成式3中、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及び希土類イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の陽イオンである。このため、本実施形態3に係るEL発光素子3では、フッ素イオンの結晶位置のうち、フッ素イオンが存在する結晶位置の割合が比較的大きい。よって、EL発光層33は高い結晶性を有する。従って、本実施形態3に係るEL発光素子3は高い発光輝度を有する。
【0091】
尚、陽イオンに対するフッ素イオンの化学量論比が100%を超えてもよく、例えば500%以下であることが好ましい。
【0092】
EL発光層33のホスト材料は、例えば、フッ化亜鉛(ZnF2)を主成分とし、フッ化カルシウム(CaF2)及び/又はフッ化マグネシウム(MgF2)を添加してもよい。フッ化カルシウムやフッ化マグネシウムはそれぞれホタル石構造の比較的安定な結晶を形成する。このようなフッ化カルシウム及び/又はマグネシウムをフッ化亜鉛に添加することによってEL発光層33中に、安定した結晶を容易に生成させることができる。このため、製造容易なEL発光素子3を実現することができる。また、EL発光層33の結晶性を向上させることにより、EL発光素子3の発光輝度を向上させることができる。
【0093】
フッ化カルシウムやフッ化マグネシウムは、亜鉛イオンに対する組成比が0.00001以上0.1以下となるように添加することが好ましい。亜鉛イオンに対する組成比が0.00001未満である場合はEL発光層33の安定性が低下する傾向にある。一方、亜鉛イオンに対する組成比が0.1より大きくなると、EL発光層33から出射される光の波長が長くなる傾向にある。
【0094】
同様に、EL発光層33中の結晶を安定化する観点から、ホスト材料に、陰イオンとして、フッ素イオンに加えて酸素イオンを含有させてもよい。ホスト材料に酸素イオンを含有させることによって、EL発光層33中の結晶を安定化することができるので、EL発光素子3の発光輝度を向上させることができる。ホスト材料はフッ素イオンに対する組成比が0.1以上1以下となる範囲で酸素イオンを含有することが好ましい。フッ素イオンに対する組成比が0.1未満であると、EL発光層33の安定性が低下する傾向にある。一方、フッ素イオンに対する組成比が1より大きいと、EL発光層33から出射される光の波長が長くなる傾向にある。
【0095】
上述のように、EL発光層33はフッ素イオンを含む。このため、EL発光層33は大きなバンドギャップエネルギーを有する。従って、EL発光層33は紫外光を好適に出射させることができる。尚、本明細書において、紫外光とは波長が400nm以下の光をいうものとする。特に、紫外光を得るためには、EL発光層33のバンドギャップエネルギーは3.8eV以上であることが好ましい。
【0096】
また、EL発光層33はフッ素イオンを含むため、例えば酸化物からなるEL発光層と比較して電気抵抗が低い。このため、本実施形態3に係るEL発光素子3は駆動電圧が低い。
【0097】
EL発光層33は発光中心を含む。発光中心としては、例えばガドリニウム(Gd)やユウロピウム(Eu)等が挙げられる。特に、フッ化亜鉛(ZnF2)をホスト成分とし、ガドリニウム(Gd)を発光中心とする(EL発光層33をZnF2:Gdとする)ことが好ましく、この場合に強い紫外光(中心波長:310nm〜320nm)が得られる。
【0098】
上述のように本実施形態3に係るEL発光素子3は高い発光輝度を有する。このため、本実施形態3に係るEL発光素子3を用いることによって、発光輝度の高いEL−PL発光素子を実現することができる。
【0099】
(実施形態4)図5は本実施形態4に係るフォトルミネッセンス(PL)発光素子4の構成を表す断面図である。
【0100】
本実施形態4に係るPL発光素子4は実施形態1に係るEL発光素子1の第2電極15の上にPL発光層46が形成された構成を有する。本実施形態4において、実質的に同じ機能を有する構成要素を、実施形態1と共通の参照符号で説明し、説明を省略する。
【0101】
PL発光素子4では、第1電極11及び第2電極15により電圧が印加されることによりEL発光層13が光(具体的には紫外光)を出射する。PL発光層46はEL発光層13から出射された光を受光し、蛍光を発する。その蛍光がPL発光素子4から取り出される仕組みとなっている。
【0102】
ところで、PL発光素子4では、出射される光の強度はEL発光層13に入射する光(詳細には、入射光のうちEL発光層13に含有された発光材料を発光させる光)の強度と相関する。具体的には、EL発光層13に入射する光の強度が増加するに従って、PL発光層46から出射される光の強度も増加する。実施形態1の欄で述べたように、EL発光層13は高輝度な紫外光を出射させる。このため、PL発光層46は高輝度な蛍光を出射させることができる。従って、本実施形態4に係るPL発光素子4は高輝度である。また、実施形態1の欄で述べたように、EL発光層13は低い電気抵抗を有するため、PL発光素子4もまた低駆動電圧である。
【0103】
本実施形態4では、PL発光層46は第2電極15の上に設けられており、PL発光層46の発光の出射方向(図5で上方向)には層が設けられていない。このため、PL発光素子4では、PL発光層46の発光を直接取り出すことができるので、PL発光層46の光の高い取り出し効率を実現することができる。
【0104】
PL発光層46に含有させる蛍光材料は何ら限定されるものではない。例えば、PL発光層46から青色の光を取り出す場合は、PL発光層46に、例えば、BaMgAl1423:Eu、Sr10(PO46Cl2:Eu、(Ca,Sr,Ba)10(PO46Cl2:Eu、(Sr,Mg)227:Eu、Y2SiO5:Ce、ZnS:(Ag,Cl)等が挙げられる。EL発光層13をZnF2:Gdとする場合は、これらのうち、BaMgAl1423:Euが特に好ましい。BaMgAl1423:EuはZnF2:Gdが発する波長の紫外光に対して高い変換効率があるからである。
【0105】
例えば、PL発光層46から緑色の光を取り出す場合は、例えば、ZnS:(Cu,Al)、Zn2SiO4:Mn、MnAl1119:(Ce,Tb)、Y2SiO5:(Ce,Tb)、LaPO4:(Ce,Tb)、Y22S:Tb、BaO・6Al23:Mn等が挙げられる。EL発光層13をZnF2:Gdとする場合は、これらのうち、ZnS:(Cu,Al)が特に好ましい。ZnS:(Cu,Al)はZnF2:Gdが発する波長の紫外光に対して高い変換効率があるからである。
【0106】
例えば、PL発光層46から赤色の光を取り出す場合は、例えば、YVO4:Eu、 Y23:Eu、Y22S:Eu、(Y,Gd)BO3:Eu等が挙げられる。EL発光層13をZnF2:Gdとする場合は、これらのうち、YVO4:Euが特に好ましい。YVO4:EuはZnF2:Gdが発する波長の紫外光に対して高い変換効率があるからである。
【0107】
尚、青色の光を出射させるPL発光層、緑色の光を出射させるPL発光層、及び赤色の光を出射させるPL発光層を所定配列で(例えば、マトリクス状に)配列することによりPL発光層46を形成してもよい。この構成によれば、高輝度で、駆動電圧が低いフルカラーのPL発光素子4を実現することができる。
【0108】
次にPL発光素子4の製造方法について説明する。第1電極11及び第2電極15と、第1絶縁層12及び第2絶縁層14とは実施形態1において説明した方法と同様の方法により形成することができる。EL発光層13は、実施形態1において説明したスパッタ法、又は実施形態2において説明した、フッ素イオン雰囲気中における蒸着法により形成することができる。これらの方法によってEL発光層13を形成することによって、発光輝度の高いEL発光層13を実現することができる。
【0109】
PL発光層46は、例えば、粒径1〜10μmの粉体サスペンションを用いたフローコート法や沈降法、又はペーストを用いたスクリーン印刷法等によって形成することができる。
【0110】
(実施形態5)図6は本実施形態5に係るフォトルミネッセンス(PL)発光素子5の構成を表す断面図である。
【0111】
本実施形態5に係るPL発光素子5はPL発光層46が第2絶縁層14と第2電極15との間に形成されている点を除いて実施形態4に係るPL発光素子4と同様の構成を有する。本実施形態5において、実質的に同じ機能を有する構成要素を、実施形態4と共通の参照符号で説明し、説明を省略する。
【0112】
本実施形態5に係るPL発光素子5では、PL発光層46が第2絶縁層14と第2電極15との間に形成されているため、EL発光層13から出射された光は第2電極15を経由することなくPL発光層46に入射する。EL発光層13から出射される光は比較的波長が短い紫外光である。このため、PL発光層46から出射される可視光と比較して第2電極15による光吸収率が高い。従って、EL発光層13とPL発光層46との間に第2電極15を介在させないことによって、本実施形態5ではEL発光層13の光のPL発光層46への高い入射光率を実現することができる。
【0113】
また、PL発光層46の出射する可視光は第2電極15による光吸収率が比較的低いため、PL発光層46の光出射方向側に第2電極15を設けても、PL発光層46からの光の取り出し効率は大きく低下しない。その結果、本実施形態5に係るPL発光素子5はより高い発光輝度を有する。
【実施例】
【0114】
実施例として、実施形態1に係るEL発光素子1と同様の形態を有するEL発光素子を作製した(図1参照)。基板10はホウ珪酸ガラス(コーニング社製#1737)を用いて形成した。基板10の上にインジウムスズ酸化物(ITO)の薄膜を、DCスパッタ法を用いて成膜することにより第1電極11を形成した。第1電極11の上に、RFスパッタ法を用いて酸化シリコン(SiO2)膜(層厚40nm)及びチッ化シリコン(Si34)膜(層厚210nm)からなる積層を成膜することにより第1絶縁層12を形成した。
【0115】
減圧雰囲気中において、蒸着法を用いて、第1絶縁層12の上にEL発光層13を形成した。EL発光層13を形成する工程と同時にフッ素イオンを供給する工程を行った(図3参照)。抵抗加熱ボート上にフッ化亜鉛などのフッ化物粉末を配置し、それを加熱することによって、フッ化物粉末よりフッ素イオンの供給を行った。
【0116】
EL発光層13はZnF2:Gdにより形成した。蒸着法に用いる蒸着源としては、フッ化亜鉛(ZnF2)にガドリニウム(Gd)を3mol%添加したものを使用した。EL発光層13の成膜時における基板10の温度は300℃とした。成膜レートは1nm/sとした。EL発光層13形成後、減圧雰囲気中において300℃で60分保持した。
【0117】
EL発光層13の上に、RFスパッタ法を用いて、チッ化シリコン(Si34)膜(層厚110nm)及び酸化シリコン(SiO2)膜(層厚40nm)の積層を成膜することにより第2絶縁層14を形成した。第2絶縁層14の上に、アルミニウム(Al)の薄膜を、電子ビーム蒸着装置を用いて、成膜することにより第2電極15を形成した。
【0118】
以上のように作製した実施例に係るEL発光素子のEL発光層13のX線回折(XRD)分析を行った。X線回折分析には、ブルッカー社製MXP18を使用した。また、EL発光層13の組成を電子線マイクロプローブ(EPMA:Electoron Probe Micro−Analysis、日本電子製JXA−8800R)を用いて分析した。さらに、作製した実施例に係るEL発光素子の輝度を測定した。輝度測定には、大塚電子(株)製フォトダイオードアレイ分光器(MCPD−1000)を使用した。
【0119】
図7は実施例に係るEL発光素子のEL発光層13のX線回折結果を示すグラフである。
【0120】
図8は実施例に係るEL発光素子の輝度測定結果である。
【0121】
電子線マイクロプローブ分析の結果、EL発光層13における亜鉛イオン(Zn2+)に対するフッ素イオン(F-)の組成比(F-/Zn2+)は6.5であった。
【0122】
X線解析の結果(図7)、実施例に係るEL発光素子のEL発光層13では、フッ化亜鉛(ZnF2)の(101)面に係るピークのみが観察された。(101)面に係るピークは非常に強度が強く、約3000〔a.u.〕であった。
【0123】
また、図8に示すように、実施例に係るEL発光素子からは波長約315nmを中心とする紫外光が観察された。
【0124】
(比較例)実施例に係るEL発光素子と同様の構成を有するEL発光素子を比較例とした。比較例に係るEL発光素子の製造方法は、EL発光層の形成方法を除いて実施例に係るEL発光素子の製造方法と同一とした。
【0125】
比較例では、減圧雰囲気中において、蒸着法を用いてEL発光層を形成した。EL発光層を形成する工程では、フッ素イオンの供給は行わなかった。EL発光層はZnF2:Gdにより形成した。蒸着法に用いる蒸着源としては、フッ化亜鉛(ZnF2)にガドリニウム(Gd)を3mol%添加したものを使用した。EL発光層の成膜時における基板温度は150℃とした。成膜レートは1nm/sとした。EL発光層形成後、減圧雰囲気中において300℃で60分保持した。
【0126】
以上のように作製した比較例に係るEL発光素子のEL発光層のX線回折(XRD)分析を行った。X線回折分析には、ブルッカー製MXP18を使用した。また、EL発光層の組成を電子線マイクロプローブ(EPMA:Electoron Probe Micro−Analysis、日本電子製JXA−8800R)を用いて分析した。さらに、作製した比較例に係るEL発光素子の輝度を測定した。輝度測定には、大塚電子(株)製フォトダイオードアレイ分光器(MCPD−1000)を使用した。輝度測定結果は図8に併記した。
【0127】
図9は比較例に係るEL発光素子のEL発光層のX線回折結果を示すグラフである。
【0128】
電子線マイクロプローブ分析の結果、EL発光層における亜鉛イオン(Zn2+)に対するフッ素イオン(F-)の比(F-/Zn2+)は0.5であった。
【0129】
X線解析の結果(図9)、比較例に係るEL発光素子のEL発光層では、フッ化亜鉛(ZnF2)の(101)面に係るピークに加えて、フッ化亜鉛(ZnF2)の(110)面に係るピーク、及びフッ化亜鉛(ZnF2)の(211)面に係るピークが観察された。比較例において観察されたそれぞれのピークの強度は弱く、約700〜1000〔a.u.〕であった。
【0130】
また、図8に示すように、比較例に係るEL発光素子からも、実施例に係るEL発光素子と同様に、波長約315nmを中心とする紫外光が観察された。
【0131】
このように、フッ素を供給しながらの蒸着法を用いてEL発光層を形成した実施例では(F-/Zn2+)比が6.5と大きい値であったのに対して、フッ素イオンを供給しない通常の蒸着法でEL発光層を形成した比較例では(F-/Zn2+)比が0.5と非常に小さい値であった。この結果から、フッ素を供給しながらの蒸着法を用いてEL発光層を形成することによって、フッ素イオン組成比が大きなEL発光層を好適に形成することがわかる。
【0132】
また、フッ素を供給しながらの蒸着法を用いてEL発光層を形成した実施例ではフッ化亜鉛(ZnF2)の(101)面に係る強いピークのみが観察されたのに対して、フッ素イオンを供給しない通常の蒸着法でEL発光層を形成した比較例では複数種類の弱いピークが観察された。この結果から、フッ素を供給しながら蒸着法によりEL発光層を形成することによって結晶性の高いEL発光層を形成することができることがわかる。
【0133】
また、フッ素を供給しながらの蒸着法を用いてEL発光層を形成した実施例に係るEL発光素子では、フッ素イオンを供給しない通常の蒸着法でEL発光層を形成した比較例に係るEL発光素子の発光輝度の約1.3倍の発光輝度が得られた。この結果から、フッ素を供給しながら蒸着法によりEL発光層を形成することによって発光輝度の高いEL発光素子が得られることがわかる。また、陽イオン(亜鉛イオン)に対するフッ素イオンの組成比が0.5より大きくすることによってEL発光素子の発光輝度を向上させることができることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本実施形態1に係るエレクトロルミネッセンス(EL)発光素子1の概略断面図である。
【図2】スパッタ法によりEL発光層13を形成する工程を表す模式図である。
【図3】フッ素雰囲気中において、蒸着法を用いてEL発光層13を形成する工程を表す模式図である。
【図4】実施形態3に係るEL発光素子3の構成を表す断面図である。
【図5】本実施形態4に係るフォトルミネッセンス(PL)発光素子4の構成を表す断面図である。
【図6】本実施形態5に係るフォトルミネッセンス(PL)発光素子5の構成を表す断面図である。
【図7】実施例に係るEL発光素子のEL発光層13のX線回折結果を示すグラフである。
【図8】実施例に係るEL発光素子の輝度測定結果である。
【図9】比較例に係るEL発光素子のEL発光層のX線回折結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0135】
1、3 EL発光素子
4、5 PL発光素子
10 基板
11 第1電極
12 第1絶縁層
13、33 EL発光層
14 第2絶縁層
15 第2電極
16 ターゲット
20 マスク
21 タブレット
22 電子銃
23 坩堝
24 フッ素イオン含有材料
25 加熱手段
26 発光層形成室
46 PL発光層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧が印加されることにより発光する印加発光層を有し、
上記印加発光層は、ホスト材料として、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及び希土類イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の陽イオンと、フッ素イオンとを含有し、
上記陽イオンに対する上記フッ素イオンの組成比が0.5より大きい発光素子。
【請求項2】
電圧が印加されることにより発光する印加発光層を有し、
上記印加発光層は、ホスト材料として、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及び希土類イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の陽イオンと、フッ素イオンとを含む組成物を含有し、
上記陽イオンに対する上記フッ素イオンの組成比が化学量論比の25%より大きい発光素子。
【請求項3】
電圧が印加されることにより発光する印加発光層と、
上記印加発光層からの光を受光することにより発光する受光発光層とを有する発光素子であって、
上記印加発光層は、ホスト材料として、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及び希土類イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の陽イオンと、フッ素イオンとを含有し、
上記陽イオンに対する上記フッ素イオンの組成比が0.5より大きい発光素子。
【請求項4】
電圧が印加されることにより発光する印加発光層と、
上記印加発光層からの光を受光することにより発光する受光発光層とを有する発光素子であって、
上記印加発光層は、ホスト材料として、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及び希土類イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の陽イオンと、フッ素イオンとを含む組成物を含有し、
上記陽イオンに対する上記フッ素イオンの組成比が化学量論比の25%より大きい発光素子。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載された発光素子において、
上記印加発光層は、上記陽イオンとして、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンと、亜鉛イオンとを含み、
上記亜鉛イオンに対する上記カルシウムイオン及び上記マグネシウムイオンの組成比の総和が0.00001以上0.1以下である発光素子。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載された発光素子において、
上記印加発光層はさらに酸素イオンを含有する発光素子。
【請求項7】
請求項6に記載された発光素子において、
上記フッ素イオンに対する上記酸素イオンの組成比が0.1以上1以下である発光素子。
【請求項8】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載された発光素子において、
上記印加発光層は、発光中心として、ガドリニウム及び/又はユウロピウムを含む発光素子。
【請求項9】
電圧が印加されることにより発光する印加発光層を有し、
上記印加発光層は、ホスト材料として、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及び希土類イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の陽イオンと、フッ素イオンとを含有する発光素子の製造方法であって、
上記印加発光層をスパッタ法によって形成する発光素子の製造方法。
【請求項10】
電圧が印加されることにより発光する印加発光層と、
上記印加発光層からの光を受光することにより発光する受光発光層とを有し、
上記印加発光層は、ホスト材料として、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及び希土類イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の陽イオンと、フッ素イオンとを含有する発光素子の製造方法であって、
上記印加発光層をスパッタ法によって形成する発光素子の製造方法。
【請求項11】
電圧が印加されることにより発光する印加発光層を有し、
上記印加発光層は、ホスト材料として、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及び希土類イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の陽イオンと、フッ素イオンとを含有する発光素子の製造方法であって、
フッ素イオン雰囲気中において、上記印加発光層を蒸着法によって形成する発光素子の製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載された発光素子の製造方法において、
ハウジング内において、上記印加発光層を蒸着法によって形成する発光層形成工程と、
上記発光層形成工程に先立って、又は該発光層形成工程と同時に上記ハウジング内にフッ素イオンを供給するイオン供給工程と、
を含む発光素子の製造方法。
【請求項13】
電圧が印加されることにより発光する印加発光層と、
上記印加発光層からの光を受光することにより発光する受光発光層とを有し、
上記印加発光層は、ホスト材料として、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、及び希土類イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の陽イオンと、フッ素イオンとを含有する発光素子の製造方法であって、
フッ素イオン雰囲気中において、上記印加発光層を蒸着法によって形成する発光素子の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載された発光素子の製造方法において、
ハウジング内において、上記印加発光層を蒸着法によって形成する発光層形成工程と、
上記発光層形成工程に先立って、又は該発光層形成工程と同時に上記ハウジング内にフッ素イオンを供給するイオン供給工程と、
を含む発光素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−269116(P2006−269116A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−82012(P2005−82012)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(593165487)学校法人金沢工業大学 (202)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】