発光素子及び表示装置
【課題】発光素子において、対向電極やその上に設けられるSiN等の防湿層(パッシベーション膜)と、空気との屈折率の差は依然として大きい状態のままであり、光の外部取り出し効率が低いという問題があった。また、防湿層の応力に起因するピーリングやクラックが起きやすく、発光素子の信頼性や寿命の低下を招くという問題があった。
【解決手段】本発明に係る発光素子は、画素電極、電界発光層、透明電極、パッシベーション膜、応力緩和層及び低屈折率層が積層されてなることを特徴とする。ここで、応力緩和層は、パッシベーション膜の膜剥がれを防止する機能を有し、低屈折率層は、電界発光層から出射される光が、空気中に入射する際の反射率を低減する機能を有する。これによって、高信頼性、高寿命の発光素子及びそれを用いた表示装置を提供することができる。
【解決手段】本発明に係る発光素子は、画素電極、電界発光層、透明電極、パッシベーション膜、応力緩和層及び低屈折率層が積層されてなることを特徴とする。ここで、応力緩和層は、パッシベーション膜の膜剥がれを防止する機能を有し、低屈折率層は、電界発光層から出射される光が、空気中に入射する際の反射率を低減する機能を有する。これによって、高信頼性、高寿命の発光素子及びそれを用いた表示装置を提供することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL素子に代表される発光素子及び該発光素子を有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機EL(Electro Luminescence)素子に代表される発光素子を有する表示装置の開発が進められ、自発光型ゆえの高画質、広視野角、薄型、軽量等の利点を活かして、幅広い利用が期待されている。EL素子とは、陰極と陽極との間に流れる電流によって、両電極間に挟持された電界発光層が発光するという原理を用いた発光素子である。発光素子としては、例えば、対向基板側の電極を透明にし、発光層からの光を対向基板側へ放射させる、所謂トップエミッション型発光素子が知られている。その断面構造を図17に示す。図17中、1は基板、2は電極、3は正孔輸送層、4は発光層、5は電子注入層、6は透明電極、7は防湿層、8は反射防止層をそれぞれ表している。この発光素子は、透明電極6から電子注入層5を通して発光層4に注入された電子と、電極2から正孔輸送層3を通して発光層4へ注入された正孔との再結合によって生成された励起子が、基底状態にもどる際に放射される光を利用する素子である。
【0003】
このトップエミッション型発光素子のような上面側(対向基板側)から光を取り出す発光素子では、対向電極として透明電極6を用いる必要があり、例えば、酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)等が用いられている。この場合において、透明電極6とその周囲に存在する空気の屈折率の差が大きいため、光の取り出し効率が低下するという問題があった(特許文献1、2参照)。
【0004】
また、特に有機化合物を主体とする発光素子は、主に水分や酸素が原因で劣化しやすく、この原因に起因する不良状態として、部分的な輝度の低下が生じたり、非発光領域が生じたりすることがある。これを防止するために、透明電極6の上に耐湿用のSiN膜等のパッシベーション膜(防湿層7)を形成する技術が知られている(特許文献2参照)。しかし、透明電極6の上に耐湿用のSiN膜等のパッシベーション膜(防湿層7)を形成した場合においても、SiN膜の屈折率と空気との屈折率差が大きい為、光の取り出し効率が低下するという問題があった(特許文献2参照)。
【0005】
これらの問題点に対し、透明電極6上又は防湿層7上に、反射防止層8として、透明電極6よりも屈折率が低い材料を単層又は多層により形成する技術が知られている(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2003−303679号公報
【特許文献2】特開2003−303685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、透明電極6の屈折率が、例えばITOの場合、1.9〜2.0程度であるのに対し、その上に設けられる防湿層7の屈折率は、例えばSiN膜の場合、2.1〜2.3程度と、透明電極6の屈折率よりも高い。そのため、透明電極6上にSiN膜等の防湿層7を設けた場合には、さらに透明電極6よりも屈折率が低い反射防止層8を防湿層7上に設けたとしても、防湿層7と反射防止層8との間の屈折率の差は依然として大きい状態のままであった。したがって、防湿層7と反射防止層8との界面における反射率は、防湿層7を設けない場合に比べてさらに高くなる、すなわち、該界面における光の反射損失がより大きくなることにより、発光層からの光の外部取り出し効率が低くなってしまうという問題があった。
【0007】
また、防湿層7を設けた場合には、応力に起因する膜剥がれ(ピーリング)やひび割れ(クラック)等が起きやすく、発光素子作製の歩留まりの低下や、作製された発光素子の信頼性や寿命の低下をもたらしてしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題点の少なくとも一を解決することを目的とする。すなわち、透明電極上に、パッシベーション膜を設けた場合であっても、ピーリングやクラック等が起きにくく、信頼性が高い発光素子及びそれを用いた表示装置を提供することを目的とする。あるいは、発光層からの光の外部取り出し効率が高い発光素子及びそれを用いた表示装置を提供することを目的とする。あるいは、上記問題点のすべてを同時に解決することが可能な発光素子及びそれを用いた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る発光素子は、画素電極、電界発光層、透明電極、パッシベーション膜、応力緩和層及び低屈折率層が順次積層されてなることを特徴とする。ここで、応力緩和層は、パッシベーション膜の膜剥がれを防止する機能を有する。低屈折率層は、電界発光層から出射される光が、空気中に入射する際の反射率を低減し、光の取り出し効率を向上させる機能を有する。画素電極及び透明電極は、電界発光層に電子又は正孔(ホール)を供給するための陽極又は陰極として機能する。パッシベーション膜は、透明電極や電界発光層に、水分等の不純物の混入を防止する機能を有する。パッシベーション膜、応力緩和層又は前記低屈折率層は、積層構造を有していてもよい。なお、上記応力緩和層は、透明電極とパッシベーション膜の間にも設けられていても良い。また、電界発光層は、単層構造又は積層構造であっても良い。
【0010】
また、本発明に係る発光素子は、画素電極、電界発光層、透明電極、パッシベーション膜、応力緩和層及び低屈折率層が順次積層されてなり、前記低屈折率層の屈折率は、前記応力緩和層の屈折率よりも小さいことを特徴とする。低屈折率層は、応力緩和層と空間(空気又は窒素等の充填ガスによって満たされた空間。以下同じ。)との屈折率の差を低減させる機能を有する。
【0011】
また、本発明に係る発光素子は、画素電極、電界発光層、透明電極、応力緩和層、パッシベーション膜及び低屈折率層が順次積層されてなることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る発光素子は、画素電極、電界発光層、透明電極、第1の応力緩和層、パッシベーション膜、第2の応力緩和層及び低屈折率層が順次積層されてなることを特徴とする。ここで、前記低屈折率層の屈折率は、前記第2の応力緩和層の屈折率よりも小さいものであってもよい。
【0013】
また、本発明に係る表示装置は、基板上に設けられたトランジスタと、層間絶縁膜を介して前記トランジスタと接続された発光素子とを有し、前記発光素子は、画素電極、電界発光層、透明電極、パッシベーション膜、応力緩和層及び低屈折率層が積層されてなることを特徴とする。ここで、トランジスタは、発光素子の点灯と非点灯を制御する機能を有するが、他の機能を有するトランジスタが含まれていても良い。このトランジスタは、通常、薄膜トランジスタ(TFT)を用いるが、これに限定されるものではない。また、層間絶縁膜は、トランジスタと発光素子とを隔てる絶縁膜であり、単層でも積層でも良い。応力緩和層は、パッシベーション膜の膜剥がれを防止する機能を有する。低屈折率層は、電界発光層から出射される光が、空気中に入射する際の反射率を低減し、光の取り出し効率を向上させる機能を有するものであるが、前記応力緩和層の屈折率よりも小さいことが望ましい。画素電極及び透明電極は、電界発光層に電子又は正孔(ホール)を供給するための陽極又は陰極として機能する。パッシベーション膜は、透明電極や電界発光層に、水分等の不純物の混入を防止する機能を有する。パッシベーション膜、応力緩和層又は前記低屈折率層は、積層構造を有していてもよい。
【0014】
また、本発明に係る表示装置は、基板上に設けられたトランジスタと、層間絶縁膜を介して前記トランジスタと接続された発光素子とを有し、前記発光素子は、画素電極、電界発光層、透明電極、応力緩和層、パッシベーション膜及び低屈折率層が順次積層されてなることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る表示装置は、基板上に設けられたトランジスタと、層間絶縁膜を介して前記トランジスタと接続された発光素子とを有し、前記発光素子は、画素電極、電界発光層、透明電極、第1の応力緩和層、パッシベーション膜、第2の応力緩和層及び低屈折率層が順次積層されてなることを特徴とする。ここで、前記低屈折率層の屈折率は、前記第2の応力緩和層の屈折率よりも小さいものであってもよい。
【0016】
また、本発明に係る上記表示装置において、前記発光素子は、充填層を介して対向基板によって封止されていてもよい。ここで、充填層の屈折率は、低屈折率層若しくは対向基板の屈折率とほぼ同等の値、又は低屈折率層及び対向基板の中間の値を有していることが望ましいが、少なくとも空気(又は窒素等の充填ガス)の屈折率よりも大きい液層又は固層であればよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る発光素子は、パッシベーション膜の上面又は下面に接して応力緩和層が形成されていることにより、パッシベーション膜のピーリングやクラック等の悪影響を受けることなくパッシベーション膜の膜厚を厚くすることができ、結果的に、極めて高いブロッキング効果を得ることができる。したがって、信頼性が高く高寿命の発光素子を、高歩留まりで提供することができる。
【0018】
また、パッシベーション膜の上面に応力緩和層を設けた場合(両面に設けた場合を含む。)には、低屈折率層の屈折率を応力緩和層の屈折率よりも小さくすることにより、応力緩和層と空間の間の屈折率の差を低減させることができ、外部の空間への光の取り出し効率を向上させることができる。
【0019】
本発明に係る表示装置は、その発光素子におけるパッシベーション膜上に応力緩和層を有していることにより、パッシベーション膜のピーリングやクラック等の悪影響を受けることなくパッシベーション膜の膜厚を厚くすることができ、結果的に、極めて高いブロッキング効果を得ることができる。したがって、信頼性が高い表示装置を、高歩留まりで提供することができる。
【0020】
また、低屈折率層の屈折率を応力緩和層の屈折率よりも小さくする場合には、応力緩和層と空間の間の屈折率の差を低減させることができ、外部の空間への光の取り出し効率を向上させることができる。さらに、低屈折率層と対向基板の間に、充填層を設けた場合には、外部の空間への光の取り出し効率をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更することができる。従って、本発明は以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。例えば、以下に述べる各実施の形態及び各実施例の特徴的部分を組み合わせて実施することが可能である。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる。
【0022】
なお、本明細書において、発光素子と言う場合には、(1)陽極、陰極、その間に設けられる電界発光層(有機化合物を含む層、EL層とも呼ぶ。)からなる素子、という一般的な定義に加え、(2)前記陽極又は陰極上に、本発明の特徴的部分であるパッシベーション膜、応力緩和層、低屈折率層等が形成されている素子、という定義も含むものとする。換言すれば、光の透過部分における屈折率の差を低減する、又はパッシベーション膜の応力を緩和するという本発明に特有の機能を発揮する箇所を含めて発光素子と言う場合がある。また、本明細書において、各種化合物材料を化学式を用いて説明する場合には、特に示さない限り、任意の組成比の材料を適宜選択することができるものとする(例えば、「SiN」と表記した場合、SixNy(x、y>0)を意味するものとする。)。また、屈折率をnで略記することがある。
【0023】
(実施の形態1) 図1(A)を参照して、本実施の形態に係る発光素子の構成について説明する。図1(A)は本実施の形態に係る発光素子の模式的断面図である。本発明に係る発光素子は、図1(A)に示すように、画素電極11、電界発光層12、透明電極13、パッシベーション膜14、応力緩和層15、低屈折率層16からなり、通常、基板10上に設けられている。また、本発明に係る発光素子は、いわゆるトップエミッション(上面発光)が可能な発光素子であり、発光取り出し電極となる透明電極13上に設けられたパッシベーション膜14と、パッシベーション膜14上に設けられた応力緩和層15と、応力緩和層15上に設けられた低屈折率層16を有することを特徴とする。本発明は、トップエミッション型発光素子にも、発光層の上下両面から光を取り出すデュアルエミッション(両面発光)型発光素子にも適用することができる。図1(A)では、便宜的に、上面発光のみの光を示した。以下、具体的に説明する。
【0024】
基板10は、ガラスや石英、プラスチック等からなる絶縁表面を有する基板であるが、これらに限定されるものではない。なお、プラスチック基板を用いる場合、可撓性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミドから選ばれた1種からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0025】
基板10上には、画素電極11が設けられる。トップエミッション型の場合には、画素電極11が陽極として機能するか陰極として機能するかにかかわらず、画素電極11として反射性のある金属材料を用いる。例えば、陰極の場合には、Al、AlLi、MgAg、MgIn、Ca、又は周期表の1族もしくは2族に属する元素とアルミニウムとを共蒸着法により形成した透光性導電膜を用いることができる。これらの材料は仕事関数が小さく、電子を取り出しやすいため、陰極材料として好適である。この場合、発光素子の構造は、基板側から陰極の上に電界発光層、陽極の順に積層される。この積層構造を逆積み構造という。
【0026】
一方、画素電極11を陽極として機能させる場合には、Cr、Ti、TiN、TiSixNy、Ni、W、WSix、WNx、WSixNy、NbN、Pt、Zn、Sn、In又はMoから選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料を主成分とする膜またはそれらの積層膜を用いればよい。この場合、発光素子の構造は、基板側から陽極の上に電界発光層、陰極の順に積層される。この積層構造を順積み構造という。
【0027】
一方、デュアルエミッション型の場合には、下面発光も行う必要があるため、画素電極11として、光透過性のある金属材料を用いる。代表的にはITOを用いる。ITOは一般的には、陽極として用いられる。この場合、発光素子の構造は、順積み構造となる。なお、画素電極11を陰極として機能させる場合には、ITOを用い透明性を確保しつつ、ITOと電界発光層12の間に陰極用材料であるLi等の薄膜を形成すればよい。なお、ITOに代えて、ITOに酸化珪素を含有させたITSO、酸化亜鉛(ZnO:Zinc Oxide)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムに1〜20%程度の酸化亜鉛を混合した酸化インジウム亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)等の透明導電膜を用いることもできる。
【0028】
なお、ITO等の透明導電膜と電界発光層12との間に、珪素、酸化珪素、窒化珪素等を含むバリア層を挟持させてもよい。これにより、発光効率が上昇することが実験的に判っている。また、画素電極11は、ITO等の上下面又はその一方をCr膜等で覆った反射防止機能を有する電極としてもよい。これにより、外光又は発光光が画素電極11で反射し、外部に取り出される光と干渉することを防止することができる。
【0029】
画素電極11上には、電界発光層12が設けられる。なお、電界発光層12は、順積みの場合、従来例に示すように、正孔輸送層3、発光層4、電子注入層5の積層構造としてもよいし(図17参照)、発光層のみの単層構造としても良い。複数の層で構成する場合、基板1側から見て、(1)陽極の上にホール(正孔)注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、陰極、(2)陽極の上にホール注入層、発光層、電子輸送層、陰極、(3)陽極の上にホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極、(4)陽極の上にホール注入層、ホール輸送層、発光層、ホールブロッキング層、電子輸送層、陰極、(5)陽極の上にホール注入層、ホール輸送層、発光層、ホールブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、陰極、等の順に積層される素子構造とすることもできる。以上は、順積みの場合であるから、逆積みの場合には、積層順を逆にすればよい。
【0030】
発光素子の中心とも言える電界発光層12は、一般に有機化合物層からなり、上述したホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層等は、全て電界発光層12に含まれる。電界発光層12を構成する層としては、低分子の有機化合物材料、中分子の有機化合物材料、高分子(ポリマー)の有機化合物材料若しくは無機材料、又はこれらを適宣組み合わせた材料を用いることが可能であるが、一般に、低分子の材料よりも高分子の材料の方が、取り扱いが容易で高耐熱性を有している。また、電子輸送性材料と正孔輸送性材料を適宜混合させた混合層、又はそれぞれの接合界面に混合領域を形成した混合接合を形成しても良い。また、発光層に対して蛍光性色素等をドーピングしても良い。これらの有機化合物の成膜方法には、蒸着法、スピンコーティング法、インクジェット法といった方法が知られている。特に、高分子の材料を用いてフルカラー化を実現させるには、スピンコーティング法やインクジェット法が好適である。
【0031】
なお、信頼性を向上させるため、電界発光層12の形成直前に真空加熱(100℃〜250℃)を行って脱気を行うことが好ましい。例えば、蒸着法を用いる場合、真空度が0.665Pa(5×10−3Torr)以下、好ましくは1.33×10−2Pa〜1.33×10−4Pa(10−4〜10−6Torr)まで真空排気された成膜室で蒸着を行う。蒸着工程の際、予め、抵抗加熱により有機化合物は気化されており、シャッターが開くことにより基板の方向へ飛散し、蒸着が行われる。気化された有機化合物は、上方に飛散し、メタルマスクに設けられた開口部を通って基板に蒸着される。例えば、Alq3(以下、Alqと表記する場合がある。)、赤色発光色素であるナイルレッドを部分的にドープしたAlq3、p−EtTAZ、TPD(芳香族ジアミン)を蒸着法により順次積層することで白色を得ることができる。
【0032】
また、スピンコートを用いた塗布法により電界発光層12を形成する場合、塗布した後、真空加熱で焼成することが好ましい。例えば、正孔注入層として作用するポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)水溶液(PEDOT/PSS)を全面に塗布、焼成し、その後、発光層として作用する発光中心色素(1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン(TPB)、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノ−スチリル)−4H−ピラン(DCM1)、ナイルレッド、クマリン6など)ドープしたポリビニルカルバゾール(PVK)溶液を全面に塗布、焼成すればよい。なお、PEDOT/PSSは溶媒に水を用いており、有機溶剤には溶けない。従って、PVKをその上から塗布する場合にも、再溶解する心配はない。また、PEDOT/PSSとPVKは溶媒が異なるため、成膜室は同一のものを使用しないことが好ましい。また、電界発光層12を単層とすることもでき、ホール輸送性のポリビニルカルバゾール(PVK)に電子輸送性の1,3,4−オキサジアゾール誘導体(PBD)を分散させてもよい。また、30wt%のPBDを電子輸送剤として分散し、4種類の色素(TPB、クマリン6、DCM1、ナイルレッド)を適当量分散することで白色発光が得られる。
【0033】
ここでは白色発光を得る発光素子の例を示したが、電界発光層12の材料を適宜選択することによって、赤色発光、緑色発光、または青色発光を得ることのできる発光素子を作製することができることは言うまでもない。この場合には、図6に示すようなカラーフィルタを省略することができる。また、発光素子の発光機構は、一対の電極間に有機化合物層を挟んで電圧を印加することにより、陰極から注入された電子および陽極から注入された正孔が有機化合物層中の発光中心で再結合して分子励起子を形成し、その分子励起子が基底状態に戻る際にエネルギーを放出して発光するものと一般的に考えられている。そして、励起状態には一重項励起と三重項励起が知られるが、本発明に係る発光素子にはいずれも適用することができる。
【0034】
例えば、三重項励起状態からの発光(燐光)を用いる場合、燐光を得ることができる有機化合物(トリプレット化合物とも呼ぶ)として、カルバゾールからなるCBP+Ir(ppy)3を用いることができる。燐光は、一重項励起状態からの発光(蛍光)よりも発光効率が高く、同じ発光輝度を得るにも動作電圧(有機発光素子を発光させるに要する電圧)を低くすることが可能であるという利点を有する。
【0035】
次いで、電界発光層12上には、透明電極13が設けられる。透明電極13を陽極として機能させる場合には、ITO等の透明導電膜を用いればよい。一方、透明電極13を陰極として機能させる場合には、透明電極13と電界発光層12の間に陰極用材料であるLi等の薄膜を形成すればよい。
【0036】
透明電極13上には、パッシベーション膜14が設けられる。パッシベーション膜14は、窒化珪素(代表的には、Si3N4)、酸化珪素(代表的には、SiO2)、窒化酸化珪素(SiNO(組成比N>O))、酸化窒化珪素(SiON(組成比N<O)、又は炭素を主成分とする薄膜(DLC(Diamond like Carbon)膜、CN膜等)等を用い、単層又は積層により形成するのがよい。特に窒化物からなるパッシベーション膜14は膜質が緻密であるため、透明電極13を保護するとともに、電界発光層12に悪影響を及ぼす水分、酸素、その他不純物に対して極めて高いブロッキング効果を有する。
【0037】
このようにパッシベーション膜14は、高いブロッキング効果を有しているが、膜厚が厚くなると膜応力が増大してピーリングやクラック(ひび割れ)が生じやすくなる。しかし、パッシベーション膜14上に、応力緩和層15を設けることにより、パッシベーション膜14のピーリング等を防止することができる。応力緩和層15としては、応力の小さい有機材料や無機材料を適宜選択して用いることができるが、さらに、透明電極13又はパッシベーション膜14よりも、低屈折率の材料を用いるのが望ましい。例えば、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂を用いることができる。他にも、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト若しくはベンゾシクロブテン、塗布法により得られるSOG膜(例えば、シロキサンは、シリコン(Si)と酸素と(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。塗布膜を用いたアルキル基を含むSiOx膜、ポリシラザン塗布膜を用いたSiOx膜)、又は電界発光層に用いられる有機材料と同一又は類似の材料を用いることができる。
【0038】
このように、応力緩和層15を設けることにより、パッシベーション膜14のピーリングやクラック等の悪影響を受けることなくパッシベーション膜14の膜厚を厚くすることができ、結果的に、極めて高いブロッキング効果を得ることができる。なお、応力緩和層として用いられる材料には、パッシベーション膜としての機能を有するものも含まれる。このような場合にも、応力緩和層としての機能(すなわち、膜応力が比較的大きい材料に接して形成されることにより、結果的に膜のピーリング又はクラック等を防止しうる機能、又は現実に膜のピーリング又はクラックを防止している状態を実現している機能)を有している限り、応力緩和層に含まれるものとする。例えば、パッシベーション膜としてSiN(屈折率n=2.1〜2.3)を形成した場合に、さらにSiO2(n=1.5程度)又はSiNO(n=1.8程度)等を応力緩和層として(かつパッシベーション膜として)形成する場合等が挙げられる。
【0039】
次いで、応力緩和層15上には、低屈折率層16が設けられる。ここで低屈折率層16とは、応力緩和層15よりも低い屈折率を有し、発光素子の外部の雰囲気(通常、n=1)よりも高い屈折率を有する層をいう。外部の雰囲気は空気でもよいし、窒素ガス等を充填させたものであってもよい。
【0040】
ここで、パッシベーション膜14上に応力緩和層15を設けた場合においては、透明電極13、パッシベーション膜14、応力緩和層15、低屈折率層16の屈折率をそれぞれ、nT、nP、nB、nLとすると、これらの関係は以下のようになっていることが望ましい。
【0041】
(1)nT<nPの場合、nP>nB>nLの関係を満たす。
(2)nT>nPの場合、nT>nB>nLの関係を満たす。より好ましくは、nP>nB>nL又はnP≒nB>nLの関係を満たす(すなわち、透明電極13から低屈折率層16にかけて、屈折率が徐々に低下していく関係を満たす。)。
【0042】
例えば、透明電極13としてITOを用いた場合、その屈折率は1.9〜2.0である。また、例えば、パッシベーション膜14として、SiNを用いた場合には、その屈折率は2.1〜2.3、SiNOを用いた場合には、その屈折率は、1,8程度、SiO2を用いた場合には、その屈折率は1.5程度である。したがって、応力緩和層15として用いられる材料の屈折率は、上述したように、ポリイミド樹脂(n=1.50〜1.55)、アクリル樹脂(n=1.45〜1.50)、スチレン樹脂(n=1.55〜1.60)、フッ化マグネシウム(MgF2、n=1.38〜1.40)、フッ化バリウム(BaF2、n=1.47)、電界発光層に用いられる有機材料(n=1.6程度)等を用いるとよい。また、MgO(n=1.64〜1.74)、SrO2、SrOは吸湿性及び透光性を有し、蒸着法で薄膜を得ることができるため、応力緩和層15として好適である。
【0043】
また、応力緩和層15として有機材料を用いる場合には、α―NPD(4,4’−ビス−[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル)、BCP(バソキュプロイン)、MTDATA(4,4’,4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニル−アミノ)トリフェニルアミン)、Alq3(トリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体)などを用いることができる。これらの有機材料は、吸湿性を有し、膜厚が薄ければほぼ透明である。
【0044】
また、低屈折率層16としては、応力緩和層15よりも屈折率の低いフッ化リチウム(LiF、n=1.30〜1.39)、フッ化マグネシウム(MgF2、n=1.38〜1.40)、フッ化カルシウム(CaF2、n=1.23〜1.45)、フッ化バリウム(BaF2、n=1.47)等を用いるとよい。
【0045】
なお、上記(1)、(2)のいずれかの関係を満たすものであれば、透明電極13、パッシベーション膜14、応力緩和層15、低屈折率層16の材質は、上述したものに限定されない。透明電極13、パッシベーション膜14、応力緩和層15、低屈折率層16の屈折率に関し、上記(1)、(2)のいずれかの関係を有せしめることにより、各層の界面における屈折率の差を低減させることができ、外部の空間への光の取り出し効率を向上させることができる。
【0046】
なお、透明電極13、パッシベーション膜14、応力緩和層15、低屈折率層16は、スパッタ法、CVD法、蒸着法等を用いて形成することができる。例えば、透明電極13をスパッタ法で形成し、パッシベーション膜14をCVD法で形成し、応力緩和層15及び低屈折率層16を蒸着法で形成するとよい。この場合、スパッタ成膜室、CVD成膜室、蒸着室及び乾燥処理を行うベーク室等を一体化させたマルチチャンバー方式を採用することにより、各チャンバーに基板を搬送して効率的に成膜を行うことができる。
【0047】
上述したように、本発明に係る発光素子は、パッシベーション膜14上に応力緩和層15を有していることにより、パッシベーション膜14のピーリングやクラック等の悪影響を受けることなくパッシベーション膜14の膜厚を厚くすることができ、結果的に、極めて高いブロッキング効果を得ることができる。
【0048】
また、応力緩和層15は、パッシベーション膜14又は透明電極13と、低屈折率層16の中間の屈折率を有することにより、透明電極13、パッシベーション膜14、応力緩和層15、低屈折率層16各層の界面における屈折率の差を低減させることができ、外部の空間への光の取り出し効率を向上させることができる。
【0049】
なお、本発明に係る発光素子はELディスプレイに代表される発光装置に採用することができる。該発光装置は、互いに直交するように設けられた2種類のストライプ状電極の間に電界発光層を形成する方式(単純マトリクス方式)、又はTFTに接続されマトリクス状に配列された画素電極と対向電極との間に電界発光層を形成する方式(アクティブマトリクス方式)の2種類に大別されるが、本発明に係る発光素子は、単純マトリクス方式とアクティブマトリクス方式のいずれにも適用することができる。
【0050】
(実施の形態2) 図1(B)を参照して、本実施の形態に係る発光素子の構成について説明する。図1(B)は本実施の形態に係る発光素子の模式的断面図である。本実施の形態に係る発明は、パッシベーション膜14が積層構造を有していることを特徴としている。図示した構成においては、窒化珪素膜14aの上に酸化珪素膜14b、窒化珪素膜14cの順に積層される三層構造としている。ここで、2層目のSiO2膜は、パッシベーション膜としての機能と、SiN膜のピーリング又はクラックを防止するための機能(応力緩和層としての機能)を兼ね備えている。そして、三層構造とすることにより、パッシベーション膜が有するバリア機能が向上し、透明電極13や電界発光層12への水分、酸素、その他不純物の侵入を効果的に阻止することができる。
【0051】
なお、パッシベーション膜14の構成は、図1(B)に示したものに限定されないが、パッシベーション膜を構成する各層の界面における屈折率の差ができるだけ小さいものを用いるのが望ましい。さらに、パッシベーション膜14上には、応力緩和層15、低屈折率層16が設けられる。本実施の形態における応力緩和層15は、パッシベーション膜14の最上部の層に対して、実施の形態1の(1)、(2)の関係を満たしていればよい。また、応力緩和層15自体を実施の形態1に示した材料を用いた積層構造とする場合、低屈折率層16は、応力緩和層15の最上部の層に対して、実施の形態1の(1)、(2)の関係を満たしていればよい。なお、本実施の形態に係る発光素子のその余の構成については、実施の形態1に準ずる。
【0052】
本発明に係る発光素子は、パッシベーション膜14を積層構造としていることにより、バリア機能が向上し、透明電極13や電界発光層12への水分、酸素、その他不純物の侵入をより効果的に阻止することができる。また、パッシベーション膜14上に応力緩和層15を有していることにより、パッシベーション膜14のピーリングやクラック等の悪影響を受けることなくパッシベーション膜14の膜厚を厚くすることができ、結果的に、極めて高いブロッキング効果を得ることができる。
【0053】
また、応力緩和層15は、実施の形態1の(1)、(2)の関係に従い、パッシベーション膜14又は透明電極13と、低屈折率層16の中間の屈折率を有することにより、透明電極13、パッシベーション膜14、応力緩和層15、低屈折率層16各層の界面における屈折率の差を低減させることができ、外部の空間への光の取り出し効率を向上させることができる。
【0054】
なお、本発明に係る発光素子はELディスプレイに代表される発光装置に採用することができる。該発光装置は、互いに直交するように設けられた2種類のストライプ状電極の間に電界発光層を形成する方式(単純マトリクス方式)、又はTFTに接続されマトリクス状に配列された画素電極と対向電極との間に電界発光層を形成する方式(アクティブマトリクス方式)の2種類に大別されるが、本発明に係る発光素子は、単純マトリクス方式とアクティブマトリクス方式のいずれにも適用することができる。
【0055】
(実施の形態3) 図2を参照して、本実施の形態に係る発光素子の構成について説明する。図2は本実施の形態に係る発光素子の模式的断面図である。本実施の形態に係る発明は、低屈折率層16と対向基板18の間の空間が、充填層17によって充填されていることを特徴としている。ここで、充填層17の屈折率は、低屈折率層16若しくは対向基板18の屈折率とほぼ同等の値、又は低屈折率層16及び対向基板18の中間の値を有していることが望ましい。例えば、低屈折率層16がLiF(n=1.30〜1.39)、対向基板18がガラス基板(n=1.5)である場合には、充填層17として、1.2〜1.6程度の屈折率を有する素材を用いるのがよい。例えば、フッ素を含む不活性液体のフロリナート(n=1.23〜1.31)を用いるのがよい。あるいは、ポリテトラフロオロエチレン(n=1.36)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA、n=1.49)、フッ素を含むポリマー(n=1.35〜1.43)の膜を用いてもよい。
【0056】
ただし、低屈折率層16若しくは対向基板18の屈折率とほぼ同等の値、又は両者の中間の値を有するものであれば、上記材料に限定されるものではない。また、屈折率の下限については、空気(n=1)よりも大きいものであれば、充填層17を設ける効果が発揮されるので、1.2程度以下でも構わない。
【0057】
充填層17は、対向基板18によって発光素子を封止した後、液体を真空下で注入することによって形成することができる。あるいは、インクジェット法に代表される液滴吐出法、滴下法、印刷法、塗布法等を用いて作製することができる。
【0058】
また、対向基板18はガラス基板に限定されるものではなく、石英基板、実施の形態1で示した各種プラスチック基板等を用いることができる。基板10と同様の材質であっても良い。なお、本実施の形態に係る発光素子のその余の構成については、実施の形態1に準ずる。
【0059】
本発明に係る発光素子は、低屈折率層16と対向基板18の間の空間が、充填層17によって充填されていることにより、低屈折率層16と充填層17の界面、充填層17と対向基板18の界面におけるそれぞれの屈折率の差を低減させることができ、光の取り出し効率をより向上させることができる。
【0060】
なお、本発明に係る発光素子はELディスプレイに代表される発光装置に採用することができる。該発光装置は、互いに直交するように設けられた2種類のストライプ状電極の間に電界発光層を形成する方式(単純マトリクス方式)、又はTFTに接続されマトリクス状に配列された画素電極と対向電極との間に電界発光層を形成する方式(アクティブマトリクス方式)の2種類に大別されるが、本発明に係る発光素子は、単純マトリクス方式とアクティブマトリクス方式のいずれにも適用することができる。
【0061】
(実施の形態4) 本実施の形態では、図3を参照して、応力緩和層をパッシベーション膜の下部(画素電極側)に設けた場合について説明する。上記実施の形態においては、応力緩和層は、パッシベーション膜上のみに設けたが、パッシベーション膜14の下部に応力緩和層15aを形成することによっても(図3(A))、パッシベーション膜14のピーリング又はクラックを有効に防止することができる。そして、応力緩和層15aを設けることにより、パッシベーション膜14のピーリングやクラック等の悪影響を受けることなくパッシベーション膜14の膜厚を厚くすることができ、結果的に、極めて高いブロッキング効果を得ることができる。なお、応力緩和層15aは、積層構造を有するものであっても良い。
【0062】
ここで、応力緩和層15aとしては、応力の小さい有機材料や無機材料を適宜選択して用いることができる。例えば、SiNOは応力緩和層として好適である。また、SiO2、SiONを用いてもよい。他にも、α−NPD(単にNPDということもある。)やNPB(4,4’−ビス−[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル)、TPD等のEL素子において所謂正孔輸送、注入材料に分類されるような芳香族アミン類を用いることもできる。本実施の形態においては、応力緩和層15aの屈折率については、特に制限はなく材料を選択することができる。
【0063】
また、図3(B)のように、パッシベーション膜14の上下に応力緩和層15a(第1の応力緩和層)、応力緩和層15b(第2の応力緩和層)を設けても良い。ここで、応力緩和層15bは、実施の形態1に示した条件のものを用いればよい。一方、応力緩和層15aについては、特に制限はないが、上述した材料を選択して用いればよい。なお、応力緩和層15a、15bの材質は、同じでも異なっていても良い。
【0064】
このように、パッシベーション膜14の上下に応力緩和層を設けた場合には、パッシベーション膜14のピーリングやクラックを防止しつつ、光の取り出し効率を向上させることができる。
【実施例1】
【0065】
本実施例では、実施の形態1乃至3に係る発光素子を用いたアクティブマトリクス型表示装置(アクティブマトリクス型発光装置ともいう。以下同じ。)の構成について、図4、5を参照して説明する。本実施例に係る表示装置は、ソース線Sx(xは自然数、1≦x≦m)と、ゲート線Gy(yは自然数、1≦y≦n)が絶縁体を介して交差する領域に複数の素子を含む画素310を複数有する(図4(A))。画素310は、発光素子313と、容量素子316と、2つのトランジスタとを有する。2つのトランジスタのうち、1つは画素310に対するビデオ信号の入力を制御するスイッチング用のトランジスタ311であり、もう1つは発光素子313の点灯と非点灯を制御する駆動用のトランジスタ312である。容量素子316は、トランジスタ312のゲート・ソース間電圧を保持する機能を有する。
【0066】
トランジスタ311のゲート電極はゲート線Gyに接続し、ソース電極及びドレイン電極の一方はソース線Sxに接続し、他方はトランジスタ312のゲート電極に接続する。トランジスタ312のソース電極及びドレイン電極の一方は電源線Vx(xは自然数、1≦x≦l)を介して第1の電源317に接続し、他方は発光素子313の画素電極に接続する。発光素子313の対向電極(透明電極13)は第2の電源318に接続する。容量素子316はトランジスタ312のゲート電極とソース電極の間に設けられる。トランジスタ311、312の導電型は、N型とP型のどちらでもよいが、図示する構成では、トランジスタ311はN型、トランジスタ312はP型の場合を示す。第1の電源317の電位と第2の電源318の電位は特に制約されないが、発光素子313に順方向バイアス又は逆方向バイアスの電圧が印加されるように、互いに異なる電位に設定する。
【0067】
トランジスタ311、312を構成する半導体は、非晶質半導体(アモルファスシリコン)、微結晶半導体、結晶質半導体、有機半導体等のいずれでもよい。微結晶半導体は、シランガス(SiH4)とフッ素ガス(F2)を用いて形成するか、シランガスと水素ガスを用いて形成するか、上記に挙げたガスを用いて薄膜を形成後にレーザ光の照射を行って形成してもよい。トランジスタ311、312のゲート電極は、導電性材料により単層又は積層で形成する。例えば、窒化タングステン(WN)の上にタングステン(W)を積む積層構造や、モリブデン(Mo)の上にアルミニウム(Al)、Moを積む積層構造、窒化モリブデン(MoN)の上にMoを順に積む積層構造を採用するとよい。
【0068】
また図4(B)は、本実施例に係る表示装置の表示パネル部分の上面図である。図4(B)において、基板405上には、発光素子を含む画素(図4(A)で示した画素310)を複数有する表示領域400、ゲートドライバ401、ゲートドライバ402、ソースドライバ403及びFPC等の接続フィルム407が設けられる(図4(B))。接続フィルム407はICチップなどに接続する。
【0069】
図5は、図4(B)の表示パネルのA−Bにおける断面図を示している。図5(A)はトップエミッション型、図5(B)はデュアルエミッション型の表示パネルを示している。
【0070】
図5(A)、(B)ともに、表示領域400に設けられたトランジスタ312(図4(A)におけるトランジスタ311は省略する。)と、発光素子313、ソースドライバ403に設けられた素子群410を示している。また、316は、容量素子である。表示領域400、ゲートドライバ401、402及びソースドライバ403の周囲にはシール材408が設けられ、発光素子313は、シール材408と対向基板406により封止される。この封止処理は、発光素子313を水分から保護するための処理であり、ここではカバー材(ガラス、セラミックス、プラスチック、金属等)により封止する方法を用いるが、熱硬化性樹脂や紫外光硬化性樹脂を用いて封止する方法、金属酸化物や窒化物等のバリア能力が高い薄膜により封止する方法を用いてもよい。ただし、光の取り出し効率を向上させるために、空気又は実施の形態3における充填層17に対して屈折率が小さい材料を用いるのが望ましい。
【0071】
ここで、シール材408としては、代表的には紫外線硬化又は熱硬化のエポキシ樹脂を用いればよい。ここでは屈折率1.50、粘度500cps、ショアD硬度90、テンシル強度3000psi、Tg点150℃、体積抵抗1×1015Ω・cm、耐電圧450V/milである高耐熱のUVエポキシ樹脂(エレクトロライト社製:2500Clear)を用いる。
【0072】
また、発光素子313のうち、透明電極13は、図4(A)における第2の電源318に接続される。基板405上に形成される素子は、非晶質半導体に比べて移動度等の特性が良好な結晶質半導体(ポリシリコン)により形成することが好適であり、そうすると、同一表面上におけるモノリシック化が実現される。上記構成を有するパネルは、接続する外部ICの個数が減少するため、小型・軽量・薄型が実現される。
【0073】
なお、表示領域400は絶縁表面上に形成された非晶質半導体(アモルファスシリコン)をチャネル部としたトランジスタにより構成し、ゲートドライバ401、402及びソースドライバ403はICチップにより構成してもよい。ICチップは、COG方式により基板405上に貼り合わせたり、基板405に接続する接続フィルム407に貼り合わせたりしてもよい。非晶質半導体は、CVD法を用いることで、大面積の基板に簡単に形成することができ、かつ結晶化の工程が不要であることから、安価なパネルの提供を可能とする。また、この際、インクジェット法に代表される液滴吐出法により導電層を形成すると、より安価なパネルの提供を可能とする。
【0074】
ここで、図5(A)についてさらに詳説する。図5(A)に示す構成では、トランジスタ312及び素子群410上に、第1の層間絶縁膜411、第2の層間絶縁膜412、第3の層間絶縁膜413が設けられている。そして、第1の層間絶縁膜411、第2の層間絶縁膜412に設けられた開孔部を介して配線414が形成されている。配線414はトランジスタ312及び素子群410のソース配線若しくはドレイン配線、又は容量素子316の容量配線等として機能する。配線414としては、アルミニウム及びニッケルを含む合金を用いるのが望ましい。また、この合金に、さらに炭素、コバルト、鉄、珪素等を含有させても良い。これらの含有率は、例えば、炭素を0.1〜3.0原子%、ニッケル、コバルト、鉄のうち少なくとも一種以上の元素を0.5〜7.0原子%、珪素を0.5〜2.0原子%とするのがよい。この材料は、抵抗値が3.0〜5.0Ωcmと低いのが、特徴の一つである。
【0075】
ここで、配線414としてAlを用いた場合、画素電極11、例えばITOとの腐食が発生してしまうという問題がある。ただし、このような場合であっても、Al(又はAl−Si合金)をTi又はTiNで挟んだ積層構造をすることにより、ITOとの良好なコンタクトを獲得することができる。例えば、基板側からTiの上にAl、Tiの順に積層される積層構造とすればよい。これに対し、上記Al−C合金又はAl−C−Ni合金等は、その酸化還元電位がITO等の透明導電膜のそれと非常に近似しているため、積層構造としなくとも(Ti又はTiN等で挟持しなくとも)ITO等と直接接するコンタクトが可能である。配線414は、上記合金からなるターゲット材を用い、スパッタリング法を用いて形成することができる。また、上記合金に対し、レジストをマスクとしてエッチングを行う際には、ウエットエッチングによって行うのがよい。この場合、エッチャントとしては、リン酸等を用いることができる。なお、第2の電源318に接続される配線も、配線414と同様に形成することができる。
【0076】
さらに、第3の層間絶縁膜413に設けられた開孔部を介して画素電極11が形成されている。図5(A)はトップエミッション型であるので、画素電極11は、反射性導電膜を用いる。
【0077】
なお、第1乃至第3の層間絶縁膜の材質については特に制限はないが、例えば、第1の層間絶縁膜は無機材料、第2の及び第3の層間絶縁膜は有機材料とすればよい。この際、無機材料としては、酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素、DLC或いは窒化炭素(CN)等の炭素を有する膜、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、アルミナ膜等を用いることができる。形成方法としては、プラズマCVD法、減圧CVD(LPCVD)法、大気圧プラズマ等を用いることができる。あるいは、塗布法により得られるSOG膜(例えば、アルキル基を含むSiOx膜)を用いることもできる。
【0078】
一方、有機材料としては、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン等の感光性又は非感光性の有機材料や、シロキサン等の耐熱性有機樹脂、を用いることができる。形成方法としては、その材料に応じて、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷等)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター等を採用することができる。なお、上記材料を積層させて、第1乃至第3の層間絶縁膜を形成しても良い。
【0079】
画素電極11の周囲には、隔壁層409(土手、バンク、障壁などとも呼ばれる。)が形成されている。隔壁層409としては、感光性又は非感光性のポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジストまたはベンゾシクロブテン)等の有機樹脂材料や、シロキサン等の耐熱性有機樹脂、その他無機絶縁材料(SiN、SiO、SiON、SiNO等)、又はこれらの積層を用いることができる。ここでは窒化シリコン膜で覆われた感光性の有機樹脂を用いる。また、上記絶縁物として、感光性の光によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、又は光によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
【0080】
なお、隔壁層409の側面形状については特に制限はないが、図5等に示すように、S字状を有しているのがよい。換言すれば隔壁層409の側面において、変曲点を有するような構造とするのが望ましい。これにより、画素電極11上に形成される電界発光層12、透明電極13等のカバレッジを良好にすることができる。ただし、これに限定されるものではなく、絶縁物の上端部のみに曲率半径を有する曲面を持たせる構造としても良い。
【0081】
さらに、画素電極11上には、実施の形態1乃至3の要領で、電界発光層12、透明電極13、パッシベーション膜14、応力緩和層15、低屈折率層16等が形成される。図示する構成では、実施の形態1を採用したが、これに限定されるものではない。例えば、空間415に、実施の形態3で説明した充填層17を設けても良い。また、パッシベーション膜14以上の層は基板全面に形成したが、勿論これに限定されるものではない。
【0082】
図5(A)に示す構造では、第2の層間絶縁膜412上にさらに、第3の層間絶縁膜413を設け、その上に画素電極11を形成しているため、発光素子313が形成される領域がトランジスタ312や配線414の形成領域によって制限されることなく、設計の自由度が増す。また、それによって、所望の開口率を有する表示装置を得ることができる。
【0083】
次に、図5(B)についてさらに詳説する。図5(B)に示す構成では、トランジスタ312及び素子群410上に、第1の層間絶縁膜411、第2の層間絶縁膜412が設けられている。そして、第1の層間絶縁膜411、第2の層間絶縁膜412に設けられた開孔部を介して配線414が形成されている。配線414はトランジスタ312及び素子群410のソース配線若しくはドレイン配線、又は容量素子316の容量配線等として機能する。さらに、少なくとも一の配線414を介して、トランジスタ312と画素電極11とが接続されている。図5(B)はデュアルエミッション型であるので、画素電極11は透光性導電膜を用いる。また、図示する構成では、配線414を形成した後に、画素電極11を形成しているが、その逆の構成としても良い。また、配線414と画素電極11を同一のレイヤー(層)で形成しても良い。
【0084】
なお、本実施例において、トランジスタ312上に設けられる第1の層間絶縁膜411は、主にNa、O2、水分等の不純物のトランジスタ312への侵入を阻止するバリア機能を有するため(該機能を有することから「キャップ絶縁膜」等と呼ばれることもある。)、できるだけ形成するのが望ましいが、省略することも可能である。
【0085】
画素電極11の周囲には、隔壁層409(土手、バンクなどとも呼ばれる。)が形成されている。さらに、画素電極11上には、実施の形態1乃至3の要領で、電界発光層12、透明電極13、パッシベーション膜14、応力緩和層15、低屈折率層16等が形成される。図示する構成では、実施の形態1を採用したが、これに限定されるものではない。例えば、空間415に、実施の形態3で説明した充填層17を設けても良い。
【0086】
また、本発明に係る発光素子は、透明電極13を通過させて発光させる上面出射型(又は両面出射型)である。例えば、透明電極13が陰極として機能する場合には、1nm〜10nmのアルミニウム膜、もしくはLiを微量に含むアルミニウム膜を用いるとよい。透明電極13としてAl膜を用いる構成とすると、電界発光層12と接する材料を酸化物以外の材料で形成することが可能となり、発光装置の信頼性を向上させることができる。また、1nm〜10nmのアルミニウム膜を形成する前に陰極バッファ層としてCaF2、MgF2、またはBaF2からなる透光性を有する層(膜厚1nm〜5nm)を形成してもよい。また、陰極の低抵抗化を図るため、透明電極13として、1nm〜10nmの金属薄膜と透明導電膜(ITO、酸化インジウム酸化亜鉛合金(In2O3―ZnO)、酸化亜鉛(ZnO)等)との積層構造としてもよい。或いは、陰極の低抵抗化を図るため、発光領域とならない領域の透明電極13上に補助電極を設けてもよい。また、陰極形成の際には蒸着による抵抗加熱法を用い、蒸着マスクを用いて選択的に形成すればよい。
【0087】
なお、第1及び第2の層間絶縁膜、配線414、隔壁層409等の材質、構成は、図5(A)に係る発明に準ずる。
【0088】
また、図5(B)では、画素電極11が容量素子404が形成される領域まで延在しており、画素電極11が容量素子404の容量電極の役割をも担っている。また、接続フィルム407を設ける位置が、図5(A)とは異なっており、第2の層間絶縁膜412上に形成されている。この際、接続フィルム407と素子群410とは、配線414を介して接続されている。かくして、デュアルエミッション型表示装置が得られる。
【0089】
なお、図5(A)、(B)に係る発明におけるそれぞれの特徴的部分は、相互に置換又は組み合わせて実施することができる。また、本実施例は、上記実施の形態及び他の実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例2】
【0090】
本実施例では、実施例1に係るアクティブマトリクス型表示装置の他の構成について、図6を参照して説明する。本実施例に係る表示装置は、各画素部にカラーフィルタが設けられ、実施例1における第2若しくは第3の層間絶縁膜、若しくは隔壁層409のうち少なくとも一の層に又はその層の一部に、カーボンや、遮光性を有する金属の粒子が添加されていることを特徴としている。以下、詳説する。
【0091】
まず、図6(A)に示すトップエミッション型表示装置は、対向基板406上にR、G、Bのカラーフィルタ90〜92を有する。カラーフィルタ90〜92は、公知の材料、公知の方法によって作成することができる。電界発光層の材料は、基本的には、白色発光が可能なものとする。また、第2の層間絶縁膜及び隔壁層として、アクリル、ポリイミド、シロキサン等の有機材料に、カーボン(炭素)又は金属の粒子を添加した遮光性を有する層間絶縁膜417及び遮光性を有する隔壁層416を用いた構成を有する。一方、第3の層間絶縁膜413は、アクリル、ポリイミド、シロキサン等の透明な有機樹脂を用いて形成されている。
【0092】
ここで、遮光性を有する層間絶縁膜417及び遮光性を有する隔壁層416は、振とう機や超音波振動器等を用いて、アクリル、ポリイミド、シロキサン等の有機材料に、カーボンや、遮光性を有する金属の粒子を添加して撹拌した後、必要に応じて濾過を行い、その後、スピンコート法を用いて形成される。有機材料にカーボン粒子や金属粒子を添加する際は、均一に混合されるように、界面活性剤や分散剤などを添加してもよい。また、カーボン粒子を添加する際は、カーボン粒子の濃度が重量パーセントで5〜15%となるように、その添加量を調節するとよい。また、スピンコート法で形成した後の薄膜をそのまま用いてもよいが、硬化を目的とした焼成を行ってもよい。成膜された薄膜の透過率は0%、又はほぼ0%近い値となる。また、反射率も0%、又はほぼ0%に近い値となる。
【0093】
なお、遮光性を有する層間絶縁膜417又は遮光性を有する隔壁層416は、その一部に透明な絶縁層を含んでいても良い。逆に、第3の層間絶縁膜は、その一部に遮光性を有する絶縁層を含んでいても良い。なお、画素電極11上には、実施の形態1乃至3の要領で、電界発光層12、透明電極13、パッシベーション膜14、応力緩和層15、低屈折率層16等が形成される。図示する構成では、実施の形態1を採用したが、これに限定されるものではない。例えば、空間415に、実施の形態3で説明した充填層17を設けても良い。また、第1の層間絶縁膜411、配線414の材質、構成は、実施例1に準ずる。
【0094】
図6(A)に示すトップエミッション型表示装置は、遮光性を有する層間絶縁膜417、遮光性を有する隔壁層416が設けられていることにより、発光層からの不要光(下面出射された光が反射することによって発生する光も含む。)により、画素間の輪郭がぼやけたりする影響を抑制することができる。つまり、遮光性を有する上記絶縁膜が不要光を吸収するために、画素間の輪郭が明瞭なものとなり、高精細な画像を表示することができる。また、遮光膜の配置により不要光による影響を抑制することができるために、偏光板が不要となり、小型化、軽量化、薄型化が実現される。また、不要光が、特に画素のトランジスタ形成領域にリークすることを防止することができ、信頼性の高いトランジスタによるアクティブマトリクス駆動が可能となる。
【0095】
次に、図6(B)に示すデュアルエミッション型表示装置は、基板405上に、トランジスタ312、第1の層間絶縁膜411が設けられ、さらに、遮光性を有する層間絶縁膜417が設けられた構成を有する。そして、遮光性を有する層間絶縁膜417には、発光層からの光を通過させるための開口部が設けられた後、該開口部に、赤、緑、青色の顔料を含み、かつ透光性を有する樹脂を充填することにより、カラーフィルタ93〜95が形成される。この顔料を含んだ樹脂は、液滴吐出法を用いて選択的に形成するのが望ましい。さらに、対向基板406には、図6(A)と同様に、R、G、Bのカラーフィルタ90〜92が設けられている。カラーフィルタ90〜92は、公知の材料、公知の方法によって作成することができる。
【0096】
また、第2層間絶縁膜及び隔壁層の一部として、アクリル、ポリイミド、シロキサン等の有機材料に、カーボン又は金属の粒子を添加した遮光性を有する層間絶縁膜417及び遮光性を有する隔壁層416を用いた構成を有する。隔壁層の残りの一部は、アクリル、ポリイミド、シロキサン等の透明な有機樹脂を用いて形成されている。なお、遮光性を有する層間絶縁膜417は、その一部に透明な絶縁層を含んでいても良い。
【0097】
ここで、遮光性を有する層間絶縁膜417及び遮光性を有する隔壁層416は、振とう機や超音波振動器等を用いて、アクリル、ポリイミド、シロキサン等の有機材料に、カーボンや、遮光性を有する金属の粒子を添加して撹拌した後、必要に応じて濾過を行い、その後、スピンコート法を用いて形成される。有機材料にカーボン粒子や金属粒子を添加する際は、均一に混合されるように、界面活性剤や分散剤などを添加してもよい。また、カーボン粒子を添加する際は、カーボン粒子の濃度が重量パーセントで5〜15%となるように、その添加量を調節するとよい。また、スピンコート法で形成した後の薄膜をそのまま用いてもよいが、硬化を目的とした焼成を行ってもよい。成膜された薄膜の透過率と反射率は、共に0%、又はほぼ0%に近い値となる。
【0098】
なお、画素電極11上には、実施の形態1乃至3の要領で、電界発光層12、透明電極13、パッシベーション膜14、応力緩和層15、低屈折率層16等が形成される。図示する構成では、実施の形態1を採用したが、これに限定されるものではない。例えば、空間415に、実施の形態3で説明した充填層17を設けても良い。また、第1の層間絶縁膜411、配線414の材質、構成は、実施例1に準ずる。
【0099】
図6(B)に示すデュアルエミッション型表示装置は、遮光性を有する層間絶縁膜417、遮光性を有する隔壁層416が設けられていることにより、発光層からの不要光により、画素間の輪郭がぼやけたりする影響を抑制することができる。つまり、遮光性を有する上記絶縁膜が不要光を吸収するために、画素間の輪郭が明瞭なものとなり、高精細な画像を表示することができる。また、遮光膜の配置により不要光による影響を抑制することができるために、偏光板が不要となり、小型化、軽量化、薄型化が実現される。また、不要光が、特に画素のトランジスタ形成領域にリークすることを防止することができ、信頼性の高いトランジスタによるアクティブマトリクス駆動が可能となる。
【0100】
また、通常、カラーフィルタを形成する場合には、その周囲にブラックマトリクス(R、G、Bの各画素を光学的に分離するための格子状又はストライプ状の遮光膜)を設ける。しかし、上述した図6(A)、(B)の構成に係る発明では、当該ブラックマトリクスを設けるべき箇所に対応して、遮光性を有する隔壁層416又は遮光性を有する層間絶縁膜417が形成されている。したがって、ブラックマトリクスを別途形成するのと比較して、本発明は、アライメントが取りやすくなることによって歩留まりが向上し、また、余分な工程を追加する必要がないためコスト削減につながる。
【0101】
なお、本実施例において、遮光性を有する隔壁層416、遮光性を有する層間絶縁膜417のうち、少なくとも一方が形成されていれば、発光層からの不要光による悪影響を抑制する等の上記効果を発揮することができる。勿論、両方形成されていることが望ましいことは言うまでもない。また、図6(A)、(B)に係る発明におけるそれぞれの特徴的部分は、相互に置換又は組み合わせて実施することができる。また、本実施例は、上記実施の形態及び他の実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例3】
【0102】
本実施例では、上記実施の形態に係る発光素子の構成の一例を示す。リファレンスのサンプルとして、基板側から陽極ITO(110nm)の上にα−NPD(40nm)、Alq3:DMQd(キナクリドン誘導体)(37.5nm)、Alq3(20nm)、BzOS:Li(20nm)、陰極ITO(110nm)の順に積層される構造を有するリファレンス用EL素子を作製した。さらに、陰極ITO上に、表1に示す層を形成したEL素子(本実施例では、パッシベーション膜の上下に応力緩和層が設けられた構造とした。)を作製し、電流密度2.5mA/cm2の電流を流し、上面出射される光の輝度を測定した。そして、リファレンス用EL素子について、同じ電流を流して得られた輝度(105.8cd/m2)と比較した結果、リファレンス用EL素子の輝度に対して、表1に示す輝度の上昇が観察された。
【表1】
【0103】
上記測定結果から、応力緩和層としては、特にSiNOを用いるのが好適であることが判った。また、リファレンス用EL素子においては、ダークスポットが発生し、信頼性としてはあまり良いものとは言えなかったが、陰極ITO上に表2に示す積層構造を有するEL素子においては、いずれもダークスポットは著しく減少し又はダークスポットは観察されず、信頼性としては良好であった。勿論、応力緩和層の存在により、パッシベーション膜であるSiN層のピーリング及びクラックは発生しなかった。
【0104】
なお、他の実施の形態又は実施例においても、本実施例のように、透明電極13とパッシベーション膜の間に、新たに応力緩和層を形成しても良い。この応力緩和層の材質は、パッシベーション膜上に設けられる応力緩和層と同じでも良いし、異なっていても良い。
【実施例4】
【0105】
本実施例では、本発明におけるパッシベーション膜14及び応力緩和層15の作製方法の一例について説明する。まず、パッシベーション膜14は、スパッタ法またはCVD法により得られる窒化珪素膜、酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、DLC膜、CN膜、またはこれらの積層とすることができる。特に、シリコンをターゲットとした高周波スパッタリング法により成膜される窒化珪素膜とすることが望ましい。また、シリコンターゲットを用いたRFスパッタ法により得られる緻密な窒化珪素膜は、ナトリウム、リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属がTFT(薄膜トランジスタ)のごとき能動素子を汚染して、しきい値電圧の変動等を効果的に防ぎ、且つ、水分や酸素に対して極めて高いブロッキング効果を有する。また、ブロッキング効果を高めるために、窒化珪素膜中における酸素及び水素含有量は10原子%以下、好ましくは1原子%以下とすることが望ましい。
【0106】
具体的なスパッタ条件は、窒素ガスまたは窒素と希ガスの混合ガスを用い、圧力を0.1〜1.5Pa、周波数を13MHz〜40MHz、電力を5〜20W/cm2、基板温度を室温〜350℃、シリコンターゲット(1〜10Ωcm)と基板との距離を40mm〜200mm、背圧を1×10−3Pa以下とする。さらに基板裏面に加熱された希ガスを吹き付けてもよい。例えば、流量比をAr:N2=20sccm:20sccmとし、圧力を0.8Pa、周波数を13.56MHz、電力を16.5W/cm2、基板温度を200℃、シリコンターゲットと基板との距離を60mm、背圧を3×10−5Paとして得られた緻密な窒化珪素膜は、エッチング速度(LAL500を用いて20℃でエッチングした際のエッチング速度をいう。以下、同じ。)が9nm以下(好ましくは、0.5〜3.5nm以下)と遅く、水素濃度が1×1021atoms/cm3以下(好ましくは、5×1020atoms/cm3以下)と低いという特徴を有している。なお、「LAL500」とは、橋本化成株式会社製「LAL500 SAバッファードフッ酸」であり、NH4HF2(7.13%)とNH4F(15.4%)の水溶液である。
【0107】
また、上記スパッタ法による窒化珪素膜の比誘電率は7.02〜9.3、屈折率は1.91〜2.13、内部応力は4.17×108dyn/cm2、エッチング速度は0.77〜1.31nm/minである。また、内部応力は、圧縮応力か引っ張り応力かで数値の正負の符号が変わるが、ここでは絶対値のみを取り扱う。また、上記スパッタ法による窒化珪素膜のRBSにより得られるSi濃度は37.3atomic%、N濃度は55.9atomic%である。また、上記スパッタ法による窒化珪素膜のSIMSによる水素濃度は4×1020atoms/cm3、酸素濃度は8×1020atoms/cm3、炭素濃度は、1×1019atoms/cm3である。また、上記スパッタ法による窒化珪素膜は可視光域において80%以上の透過率を有している。
【0108】
また、上記各構成において、前記炭素を主成分とする薄膜は、膜厚3〜50mのDLC膜、CN膜、またはアモルファスカーボン膜である。DLC膜は短距離秩序的には炭素間の結合として、SP3結合をもっているが、マクロ的にはアモルファス状の構造となっている。DLC膜の組成は炭素が70〜95原子%、水素が5〜30原子%であり、非常に硬く絶縁性に優れている。加えて、DLC膜は、化学的に安定で変化しにくい薄膜である。また、DLC膜の熱伝導率は200〜600W/m・K、屈折率は2.3〜2.4であり、駆動時に発生する発熱を放熱させることができる。このようなDLC膜は、水蒸気や酸素などのガス透過率が低いという特徴もある。また、微少硬度計による測定で、15〜25GPaの硬度を有することが知られている。
【0109】
DLC膜はプラズマCVD法(代表的には、RFプラズマCVD法、マイクロ波CVD法、電子サイクロトロン共鳴(ECR)CVD法、熱フィラメントCVD法など)、燃焼炎法、スパッタ法、イオンビーム蒸着法、レーザ蒸着法などで形成することができる。いずれの成膜方法を用いても、密着性良くDLC膜を形成することができる。DLC膜は基板をカソードに設置して成膜する。または、負のバイアスを印加して、イオン衝撃をある程度利用して緻密で硬質な膜を形成できる。DLC膜の成膜に用いる反応ガスは、水素ガスと、炭化水素からなるガス(例えばCH4、C2H2、C6H6など)とを用い、グロー放電によりイオン化し、負の自己バイアスがかかったカソードにイオンを加速衝突させて成膜する。こうすることにより、緻密で平滑なDLC膜を得ることができる。なお、このDLC膜は、可視光に対して透明もしくは半透明な絶縁膜である。本明細書において、可視光に対して透明とは可視光の透過率が80〜100%であることを指し、可視光に対して半透明とは可視光の透過率が50〜80%であることを指す。
【0110】
また、CN膜の成膜に用いる反応ガスは、窒素ガスと、炭化水素からなるガス(例えばC2H2、C2H4など)とを用いればよい。
【0111】
次に、応力緩和層15について説明する。応力緩和層は、MgO、SrO2、SrO、CaNなどの合金膜、またはα―NPD(4,4’−ビス−[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル)、BCP(バソキュプロイン)、MTDATA(4,4’,4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニル−アミノ)トリフェニルアミン)、Alq3(トリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体)などの有機化合物を含む材料膜を用いればよい。このように応力緩和層は、陰極と陽極とで挟まれた有機化合物を含む層(電界発光層)を構成する多層のうち、少なくとも一層と同一の材料を用いることができる。また、応力緩和層は、塗布法(インクジェット法やスピンコート法)により得られる有機化合物を含む高分子材料膜としてもよい。例えば、ポリアニリンやポリチオフェン誘導体(PEDOT)等を用いればよい。なお、上記材料はいずれも、膜応力が少なく、透明性を有する膜であることは勿論のことであるが、さらに吸湿性を有するという点で好適である。
【実施例5】
【0112】
本実施例では、実施例1に係るアクティブマトリクス型表示装置の他の構成について、図7を参照して説明する。図7(A)に示すアクティブマトリクス型表示装置は、対向基板406の上下面又は少なくともその一方の面に、低屈折率層418が設けられていることを特徴とする。低屈折率層418としては、空気よりも屈折率が高く、対向基板406(代表的には、ガラス基板)の屈折率(n=1.5)よりも低い、フッ化リチウム(LiF、n=1.30〜1.39)、フッ化マグネシウム(MgF2、n=1.38〜1.40)、フッ化カルシウム(CaF2、n=1.23〜1.45)、フッ化バリウム(BaF2、n=1.47)等を用いるとよい。なお、対向基板406の上下両面に低屈折率層418を設ける場合には、その材料は同じでも異なっていても良い。
【0113】
低屈折率層418として、LiFをガラス基板の両面に30nm成膜したものを対向基板として、1×1のEL素子を作製し、電流密度2.5mA/cm2で輝度の測定を行ったところ、陰極(透明電極13)の膜厚に拘わらず、約3%の輝度の上昇を観測できた。
【0114】
また、対向基板を(1)ガラスのみ、(2)低屈折率層の上にガラスを積層、(3)ガラスの上に低屈折率層を積層、(4)低屈折率層の上にガラス、低屈折率層を積層、の場合に分けて透過率を測定したところ、番号の順に透過率が向上する、つまり輝度が上昇することが判った。
【0115】
図7(B)に示すアクティブマトリクス型表示装置は、対向基板406の上下面又は少なくともその一方の面に、低屈折率層418が設けられ、さらに、発光素子313側の低屈折率層16と、対向基板406に設けられた低屈折率層418の間に、充填層17が設けられていることを特徴とする。低屈折率層418としては、図7(A)と同様の材料を用いることができる。また、充填層17としては、その屈折率が、低屈折率層16若しくは低屈折率層418の屈折率とほぼ同等の値、又は両者の中間の値を有していることが望ましい。例えば、低屈折率層16及び418がともにLiF(n=1.30〜1.39)である場合には、充填層17として、1.2〜1.5程度の屈折率を有する素材を用いるのがよい。例えば、フッ素を含む不活性液体のフロリナート(n=1.23〜1.31)を用いるのがよい。あるいは、ポリテトラフロオロエチレン(n=1.36)、(ポリメタクリル酸メチル(PMMA、n=1.49)、フッ素を含むポリマー(n=1.35〜1.43)の膜を用いてもよい。
【0116】
ただし、両方の低屈折率層の屈折率とほぼ同等の値、又は中間の値を有するものであれば、上記材料に限定されるものではない。また、屈折率の下限については、空気(n=1)よりも大きいものであれば、充填層17を設ける効果が発揮されるので、1.2程度以下でも構わない。充填層17は、低屈折率層418が形成された対向基板406によって発光素子を封止した後、液体を真空下で注入することによって形成することができる。あるいは、インクジェット法に代表される液滴吐出法、滴下法、印刷法、塗布法等を用いて作製することができる。
【0117】
なお、本実施例においては、アクティブマトリクス型表示装置の場合について説明したが、実施の形態1乃至3に係る発明の技術的特徴を有し、かつ、対向基板に低屈折率層を形成した構成を有するものであれば、パッシブ型表示装置にも適用することができる。なお、図7に示す発明の他の構成は、他の実施の形態又は実施例に準ずる。また、本実施例は、上記実施の形態及び他の実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例6】
【0118】
本実施例では、図4(A)に示した画素回路以外で、本発明に適用可能な画素回路の例について、図8を参照して説明する。図8(A)は、図4(A)に示した画素310に、消去用のトランジスタ340と、消去用のゲート線Ryを新たに設けた構成の画素回路である。トランジスタ340の配置により、強制的に発光素子313に電流が流れない状態を作ることができるため、全ての画素310に対する信号の書き込みを待つことなく、書き込み期間の開始と同時又は直後に点灯期間を開始することができる。従って、デューティ比が向上して、動画の表示は特に良好に行うことができる。
【0119】
図8(B)は、図4(A)に示した画素310のトランジスタ312を削除して、新たに、トランジスタ341、342と、電源線Vax(xは自然数、1≦x≦l)を設けた画素回路である。電源線Vaxは電源343に接続する。本構成では、トランジスタ341のゲート電極を一定の電位に保持した電源線Vaxに接続することにより、トランジスタ341のゲート電極の電位を固定にし、なおかつ飽和領域で動作させる。また、トランジスタ342は線形領域で動作させて、そのゲート電極には、画素の点灯又は非点灯の情報を含むビデオ信号を入力する。線形領域で動作するトランジスタ342のソースドレイン間電圧の値は小さいため、トランジスタ342のゲート・ソース間電圧の僅かな変動は、発光素子313に流れる電流値には影響を及ぼさない。従って、発光素子313に流れる電流値は、飽和領域で動作するトランジスタ341により決定される。上記構成を有する本発明は、トランジスタ341の特性バラツキに起因した発光素子313の輝度ムラを改善して画質を高めることができる。本実施例は、上記実施の形態及び他の実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例7】
【0120】
本実施例では、図9を参照して、上記実施例における配線414(第2の電源318を含む。本実施例において以下同じ。)及び画素電極11の積層構造について説明する。図9の各図は、画素領域の発光素子の一部分のみ抽出して示したものであり、パッシベーション膜、応力緩和層、低屈折率層等の図示は省略した。
【0121】
図9(A)は、配線としてMo600、アルミニウムを含む合金601の積層構造とし、画素電極11としてITO602とした場合を示している。アルミニウムを含む合金601としては、アルミニウムに、炭素、ニッケル、コバルト、鉄、珪素等を含有させたものが望ましい。これらの含有率は、例えば、炭素を0.1〜3.0原子%、ニッケル、コバルト、鉄のうち少なくとも一種以上の元素を0.5〜7.0原子%、珪素を0.5〜2.0原子%とするのがよい。この材料は、抵抗値が3.0〜5.0Ωcmと低いのが、特徴の一つである。なお、ここでMo600は、バリアメタルとして機能する。
【0122】
このように、アルミニウムを含む合金601にニッケル、コバルト、鉄のうち少なくとも一種以上の元素を0.5%以上含有させた場合には、ITO602の電極電位に近づけることができ、ITO602と直接接してコンタクトが可能になる。また、アルミニウムを含む合金601の耐熱性も向上する。また、炭素の含有量を0.1%以上とすることにより、ヒロックの発生を抑制することができる。また、珪素を含有させた場合にも、高温で加熱処理した際でも、ヒロックが発生しにくくなるというメリットがある。
【0123】
図9(B)は、配線としてアルミニウムを含む合金603を用い、画素電極11としてITO602を用いる場合を示している。ここでは、アルミニウムを含む合金603は、少なくともニッケルを含む構成とする。このアルミニウムを含む合金603を形成した後、該合金に含まれるニッケルがしみ出してきて、画素領域を駆動させるための能動素子(例えば、TFT)のシリコン半導体層608のSiと化学反応することにより、ニッケルシリサイド607が形成され、接合性が向上するというメリットがある。
【0124】
図9(C)は、配線としてアルミニウムを含む合金604を、画素電極11としてITO605を積層させた場合を示している。特に、両者の組合せの積層構造を採用した場合、平坦性が著しく向上することが実験的に判った。例えば、Al−Si合金の上にTiNを形成した配線とITOの積層構造、Al−Si合金の上にTiNを形成した配線とITSOの積層構造の場合と比較すると、その平坦性は約2倍の良好さを示した。
【0125】
図9(D)は、配線として、また画素電極として、ともにアルミニウムを含む合金604、606を用いた場合を示している。
【0126】
上記アルミニウムを含む合金は、ウエットエッチングによって簡単にパターニング形成ができることから、その用途は、配線、画素電極を問わず幅広く利用できる。ただし、上記アルミニウムを含む合金は、反射性に優れているため、トップエミッション型とする場合には好適である。また、デュアルエミッション型表示装置とする場合には、配線又は画素電極を光が透過できるように、薄膜として形成する必要がある。なお、本実施例は、上記実施の形態及び他の実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例8】
【0127】
本発明に係る発光素子を含む画素領域を備えた表示装置を用いた電子機器として、テレビジョン装置(テレビ、テレビジョン受信機)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話装置(携帯電話機)、PDA等の携帯情報端末、携帯型ゲーム機、モニタ、コンピュータ、カーオーディオ等の音響再生装置、家庭用ゲーム機等の記録媒体を備えた画像再生装置等が挙げられる。その具体例について、図10を参照して説明する。
【0128】
図10(A)に示す本発明の表示装置を用いた携帯情報端末は、本体9201、表示部9202等を含み、本発明により高精細な画像を表示することができる。図10(B)に示す本発明の表示装置を用いたデジタルビデオカメラは、表示部9701、9702等を含み、本発明により高精細な画像を表示することができる。図10(C)に示す本発明の表示装置を用いた携帯端末は、本体9101、表示部9102等を含み、本発明により高精細な画像を表示することができる。図10(D)に示す本発明の表示装置を用いた携帯型のテレビジョン装置は、本体9301、表示部9302等を含み、本発明により高精細な画像を表示することができる。図10(E)に示す本発明の表示装置を用いた携帯型のコンピュータは、本体9401、表示部9402等を含み、本発明により高精細な画像を表示することができる。図10(F)に示す本発明の表示装置を用いたテレビジョン装置は、本体9501、表示部9502等を含み、本発明により高精細な画像を表示することができる。また、上記実施例のように、遮光性を有する層間絶縁膜又は遮光性を有する隔壁層を設けた場合には、不要光による影響を抑制することができるために、偏光板が不要となり、小型化、軽量化、薄型化が実現される。
【0129】
ここで、上記テレビジョン装置の主要な構成について、図11のブロック図を用いて簡単に説明する。図中、EL表示パネル801は、本発明に係る表示装置を用いて作製されており、さらにEL表示パネル801と外部回路との接続方法として、(1)表示パネルの画素部と走査線側駆動回路803を基板上に一体形成し、さらに信号線側駆動回路802を別途ドライバICとして実装する場合、(2)表示パネルの画素部のみが形成されて走査線側駆動回路803と信号線側駆動回路802とがTAB方式により実装される場合、(3)表示パネルの画素部とその周辺に走査線側駆動回路803と信号線側駆動回路802とがCOG方式により実装される場合、などがあるが、どのような形態としても良い。
【0130】
その他の外部回路の構成として、映像信号の入力側では、チューナ804で受信した信号のうち、映像信号を増幅する映像波増幅回路805と、そこから出力される信号を赤、緑、青の各色に対応した色信号に変換する映像信号処理回路806と、その映像信号をドライバICの入力仕様に変換するためのコントロール回路807などからなっている。コントロール回路807は、走査線側と信号線側にそれぞれ信号が出力する。デジタル駆動する場合には、信号線側に信号分割回路808を設け、入力デジタル信号をm個に分割して供給する構成としても良い。
【0131】
チューナ804で受信した信号のうち、音声信号は、音声波増幅回路809に送られ、その出力は音声信号処理回路810を経てスピーカ813に供給される。制御回路811は受信局(受信周波数)や音量の制御情報を入力部812から受け、チューナ804や音声信号処理回路810に信号を送出する。
【0132】
このような外部回路と、EL表示パネルを筐体に組みこんで、図10(F)に示すようなテレビ受像機を完成させることができる。勿論、本発明はテレビ受像機に限定されず、パーソナルコンピュータのモニタをはじめ、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤など特に大面積の表示媒体として様々な用途に適用することができる。なお、本実施例は、上記実施の形態又は他の実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例9】
【0133】
本発明の表示装置は、メモリや処理回路などの機能回路やアンテナコイルを搭載することで、非接触でデータの送受信が可能なIDカードとして用いることができる。そのようなIDカードの構成の一例について図面を参照して説明する。
【0134】
図12(A)に、本発明に係る表示装置を内蔵したIDカードの一形態を示す。図12(A)に示すIDカードは、非接触で端末装置のリーダ/ライタとデータの送受信を行う非接触型である。101はカード本体であり、102はカード本体101に搭載されている表示装置の画素部に相当する。
【0135】
図12(B)に、図12(A)に示したカード本体101に含まれるカード基板103の構成を示す。カード基板103には、薄膜の半導体膜で形成されたIDチップ104と、上記実施の形態又は実施例に係る表示装置105とが貼り合わされている。IDチップ104と表示装置105は共に別途用意された基板上において形成された後、カード基板103上に転写されたものである。転写方法としては、多数のTFTからなる薄膜集積回路を作製した後、小型真空ピンセット等を用いて、貼り付ける方法や、UV光照射法を用いて選択的に貼り付ける方法などがある。また、表示装置における画素部や駆動回路部についても、同様に行うことができる。IDチップ104と表示装置105とを含む、薄膜の半導体膜を用いて形成され、なおかつ形成後にカード基板に転写される部分を、薄膜部107と呼ぶ。
【0136】
またカード基板103には、TFTを用いて作製された集積回路106が実装されている。集積回路106の実装の仕方は、特に限定されるものではなく、公知のCOG方法やワイヤボンディング方法、或いはTAB方法などを用いることができる。集積回路106は、薄膜部107と、カード基板103に形成された配線108を介して電気的に接続されている。
【0137】
またカード基板103上には、集積回路106と電気的に接続されたアンテナコイル109が形成されている。アンテナコイル109により、端末装置との間のデータの送受信を、電磁誘導を用いて非接触で行うことができるので、非接触型のIDカードは接触型に比べてIDカードが物理的な磨耗による損傷を受けにくい。さらに非接触型のIDカードは、非接触にて情報の管理を行うタグ(無線タグ)としても用いることができる。非接触型のIDカードは、同じく非接触で情報の読み取りができるバーコードに比べて、管理可能な情報量が飛躍的に高い。また情報を読み取ることができる端末装置との間の距離を、バーコードを用いた場合に比べて長くすることができる。
【0138】
なお図12(B)では、アンテナコイル109をカード基板103上に形成した例を示しているが、別途作製しておいたアンテナコイルをカード基板103に実装するようにしても良い。例えば銅線などをコイル状に巻き、100μm程度の厚さを有する2枚のプラスチックフィルムの間に該銅線を挟んでプレスしたものを、アンテナコイルとして用いることができる。また、薄膜集積回路の中に、アンテナコイルを作りこんでおいても良い。また、図12(B)では、1つのIDカードにアンテナコイル109が1つだけ用いられているが、アンテナコイル109が複数用いられていても良い。
【0139】
なお、図12では表示装置105を搭載したIDカードの形態を示しているが、この構成に限定されるものではなく、必ずしも表示装置を設ける必要はない。ただし、表示装置を設けることで、顔写真のデータを表示装置において表示させることができ、印刷法を用いた場合に比べて顔写真のすり替えを困難にすることができる。また顔写真以外の情報を表示することができ、IDカードの高機能化を実現することができる。
【0140】
なお、カード基板103には、可撓性を有するプラスチック基板を用いることができる。プラスチック基板としては、極性基のついたノルボルネン樹脂からなるARTON:JSR製を用いることができる。また、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミドなどのプラスチック基板を用いることができる。
【0141】
なお、本実施例では、IDチップと薄膜集積回路との間の電気的な接続は、図12において示した形態に限定されない。例えば、カード基板上に形成された配線を介すのではなく、IDチップの端子と薄膜集積回路の端子とを異方性の導電性樹脂やハンダなどで直接接続するようにしても良い。
【0142】
また図12において、薄膜集積回路と、カード基板に形成された配線との間の接続は、ワイヤボンディング法、ソルダーボールを用いたフリップチップ法で接続しても良いし、異方性の導電性樹脂やハンダなどで直接接続しても良いし、その他の方法を用いて接続しても良い。なお、本実施例は、上記実施の形態及び他の実施例と自由に組み合わせることができる。また、本発明に係る表示装置は、IDカードのみならず、IDタグ、無線チップ、無線タグ等の半導体装置に組み込んで使用することもできる。
【実施例10】
【0143】
上述した本発明の発光素子は、表示機能を有する発光装置の画素部や、照明機能を有する発光装置の照明部に適用することができる。本実施例では、表示機能を有する発光装置の回路構成および駆動方法について図13〜16を用いて説明する。
【0144】
図13は本発明を適用した発光装置を上面からみた模式図である。図13において、基板6500上には、画素部6511と、ソース信号線駆動回路6512と、書込用ゲート信号線駆動回路6513と、消去用ゲート信号線駆動回路6514とが設けられている。ソース信号線駆動回路6512と、書込用ゲート信号線駆動回路6513と、消去用ゲート信号線駆動回路6514とは、それぞれ、配線群を介して、外部入力端子であるFPC(フレキシブルプリントサーキット)6503と接続している。そして、ソース信号線駆動回路6512と、書込用ゲート信号線駆動回路6513と、消去用ゲート信号線駆動回路6514とは、それぞれ、FPC6503からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。またFPC6503にはプリント配線基盤(PWB)6504が取り付けられている。なお、駆動回路部は、上記のように必ずしも画素部6511と同一基板上に設けられている必要はなく、例えば、配線パターンが形成されたFPC上にICチップを実装したもの(TCP)等を利用し、基板外部に設けられていてもよい。
【0145】
画素部6511には、列方向に延びた複数のソース信号線が行方向に並んで配列している。また、電流供給線が行方向に並んで配列している。また、画素部6511には、行方向に延びた複数のゲート信号線が列方向に並んで配列している。また画素部6511には、発光素子を含む一組の回路が複数配列している。
【0146】
図14は、一画素を動作するための回路を表した図である。図14に示す回路には、第1のトランジスタ901と第2のトランジスタ902と発光素子903とが含まれている。第1のトランジスタ901と、第2のトランジスタ902とは、それぞれ、ゲート電極と、ドレイン領域と、ソース領域とを含む三端子の素子であり、ドレイン領域とソース領域の間にチャネル領域を有する。ここで、ソース領域とドレイン領域とは、トランジスタの構造や動作条件等によって変わるため、いずれがソース領域またはドレイン領域であるかを限定することが困難である。そこで、本形態においては、ソースまたはドレインとして機能する領域を、それぞれ第1電極、第2電極と表記する。
【0147】
ゲート信号線911と、書込用ゲート信号線駆動回路913とはスイッチ918によって電気的に接続または非接続の状態になるように設けられている。また、ゲート信号線911と、消去用ゲート信号線駆動回路914とはスイッチ919によって電気的に接続または非接続の状態になるように設けられている。また、ソース信号線912は、スイッチ920によってソース信号線駆動回路915または電源916のいずれかに電気的に接続するように設けられている。そして、第1のトランジスタ901のゲートはゲート信号線911に電気的に接続している。また、第1のトランジスタ901の第1電極はソース信号線912に電気的に接続し、第2電極は第2のトランジスタ902のゲート電極と電気的に接続している。第2のトランジスタ902の第1電極は電流供給線917と電気的に接続し、第2電極は発光素子903に含まれる一の電極と電気的に接続している。なお、スイッチ918は、書込用ゲート信号線駆動回路913に含まれていてもよい。またスイッチ919についても消去用ゲート信号線駆動回路914の中に含まれていてもよい。また、スイッチ920についてもソース信号線駆動回路915の中に含まれていてもよい。
【0148】
また画素部におけるトランジスタや発光素子等の配置について特に限定はないが、例えば図15の上面図に表すように配置することができる。図15において、第1のトランジスタ1001の第1電極はソース信号線1004に接続し、第2の電極は第2のトランジスタ1002のゲート電極に接続している。また第2のトランジスタ1002の第1電極は電流供給線1005に接続し、第2電極は発光素子の電極1006に接続している。ゲート信号線1003の一部は第1のトランジスタ1001のゲート電極として機能する。
【0149】
次に、駆動方法について説明する。図16は時間経過に伴ったフレームの動作について説明する図である。図16において、横方向は時間経過を表し、縦方向はゲート信号線の走査段数を表している。
【0150】
本発明の発光装置を用いて画像表示を行うとき、表示期間においては、画面の書き換え動作と表示動作とが繰り返し行われる。この書き換え回数について特に限定はないが、画像をみる人がちらつき(フリッカ)を感じないように少なくとも1秒間に60回程度とすることが好ましい。ここで、一画面(1フレーム)の書き換え動作と表示動作を行う期間を1フレーム期間という。
【0151】
1フレームは、図16に示すように、書き込み期間501a、502a、503a、504aと保持期間501b、502b、503b、504bとを含む4つのサブフレーム501、502、503、504に時分割されている。発光するための信号を与えられた発光素子は、保持期間において発光状態となっている。各々のサブフレームにおける保持期間の長さの比は、第1のサブフレーム501:第2のサブフレーム502:第3のサブフレーム503:第4のサブフレーム504=23:22:21:20=8:4:2:1となっている。これによって4ビット階調を表現することができる。但し、ビット数及び階調数はここに記すものに限定されず、例えば8つのサブフレームを設け8ビット階調を行えるようにしてもよい。
【0152】
1フレームにおける動作について説明する。まず、サブフレーム501において、1行目から最終行まで順に書き込み動作が行われる。従って、行によって書き込み期間の開始時間が異なる。書き込み期間501aが終了した行から順に保持期間501bへと移る。当該保持期間において、発光するための信号を与えられている発光素子は発光状態となっている。また、保持期間501bが終了した行から順に次のサブフレーム502へ移り、サブフレーム501の場合と同様に1行目から最終行まで順に書き込み動作が行われる。以上のような動作を繰り返し、サブフレーム504の保持期間504b迄終了する。サブフレーム504における動作を終了したら次のフレームへ移る。このように、各サブフレームにおいて発光した時間の積算時間が、1フレームにおける各々の発光素子の発光時間となる。この発光時間を発光素子ごとに変えて一画素内で様々に組み合わせることによって、明度および色度の異なる様々な表示色を形成することができる。
【0153】
サブフレーム504のように、最終行目までの書込が終了する前に、既に書込を終え、保持期間に移行した行における保持期間を強制的に終了させたいときは、保持期間504bの後に消去期間504cを設け、強制的に非発光の状態となるように制御することが好ましい。そして、強制的に非発光状態にした行については、一定期間、非発光の状態を保つ(この期間を非発光期間504dとする。)。そして、最終行目の書込期間が終了したら直ちに、一行目から順に次の(またはフレーム)の書込期間に移行する。なお、このようにある行の画素では書き込みを行い、またある行の画素には画素を非発光の状態にする消去信号を入力するには、図18に示すように、1水平期間を2つに分割し、一方の期間を書き込みにあて、他方の期間を消去にあてる。分割された水平期間内で、各々のゲート信号線911を選択し、そのときに対応する信号をソース信号線912に入力する。例えば、ある1水平期間において、前半はi行目を選択し、後半はj行目を選択する。すると、1水平期間において、あたかも同時に2行分を選択したかのように動作させることが可能となる。つまり、それぞれの1水平期間の書き込み期間を用いて、書き込み期間501a〜504aに画素へ映像信号を書き込む。そして、このときの1水平期間の消去期間には画素を選択しない。また、別の1水平期間の消去期間を用いて消去期間504cに画素へ書き込まれた信号を消去する。このときの1水平期間の書き込み期間には画素を選択しない。これによって、開口率の高い画素を有する表示装置を提供することができ、歩留まりの向上を図ることができる。
【0154】
なお、本実施例では、サブフレーム501乃至504は保持期間の長いものから順に並んでいるが、必ずしも本実施例のような並びにする必要はなく、例えば保持期間の短いものから順に並べられていてもよいし、または保持期間の長いものと短いものとがランダムに並んでいてもよい。また、サブフレームは、さらに複数のフレームに分割されていてもよい。つまり、同じ映像信号を与えている期間、ゲート信号線の走査を複数回行ってもよい。
【0155】
ここで、書込期間および消去期間における、図14で示す回路の動作について説明する。まず書込期間における動作について説明する。書込期間において、i行目(iは自然数)のゲート信号線911は、スイッチ918を介して書込用ゲート信号線駆動回路913と電気的に接続し、消去用ゲート信号線駆動回路914とは非接続である。また、ソース信号線912はスイッチ920を介してソース信号線駆動回路915と電気的に接続している。ここで、i行目のゲート信号線911に接続した第1のトランジスタ901のゲートに信号が入力され、第1のトランジスタ901はオンとなる。そして、この時、1列目から最終列目迄のソース信号線に同時に映像信号が入力される。なお、各列のソース信号線912から入力される映像信号は互いに独立したものである。ソース信号線912から入力された映像信号は、各々のソース信号線に接続した第1のトランジスタ901を介して第2のトランジスタ902のゲート電極に入力される。この時、第2のトランジスタ902のゲート電極に入力された信号によって、第2のトランジスタ902のオンオフが制御される。そして、第2のトランジスタ902がオンすると発光素子903に電圧が印加され、発光素子903に電流が流れる。つまり、第2のトランジスタ902のゲート電極に入力する信号によって、発光素子903の発光又は非発光が決まる。例えば、第2のトランジスタ902がPチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にLow Levelの信号が入力されることによって発光素子903が発光する。一方、第2のトランジスタ902がNチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にHigh Levelの信号が入力されることによって発光素子903が発光する。
【0156】
次に消去期間における動作について説明する。消去期間において、j行目(jは自然数)のゲート信号線911は、スイッチ919を介して消去用ゲート信号線駆動回路914と電気的に接続し、書込用ゲート信号線駆動回路913とは非接続である。また、ソース信号線912はスイッチ920を介して電源916と電気的に接続している。ここで、j行目のゲート信号線911に接続した第1のトランジスタ901のゲートに信号が入力され、第1のトランジスタ901はオンとなる。そして、この時、1列目から最終列目迄のソース信号線に同時に消去信号が入力される。ソース信号線912から入力された消去信号は、各々のソース信号線に接続した第1のトランジスタ901を介して第2のトランジスタ902のゲート電極に入力される。この時第2のトランジスタ902のゲート電極に入力された消去信号によって、第2のトランジスタ902はオフし、電流供給線917から発光素子903への電流の供給が阻止される。そして、発光素子903は強制的に非発光となる。例えば、第2のトランジスタ902がPチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にHigh Levelの信号が入力されることによって発光素子903は非発光となる。一方、第2のトランジスタ902がNチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にLow Levelの信号が入力されることによって発光素子903は非発光となる。
【0157】
なお、消去期間では、j行目については、以上に説明したような動作によって消去する為の信号を入力する。しかし、前述のように、j行目が消去期間であると共に、他の行(i行目とする。)については書込期間となる場合がある。このような場合、同じ列のソース信号線を利用してj行目には消去の為の信号を、i行目には書込の為の信号を入力する必要があるため、以下に説明するような動作をさせることが好ましい。
【0158】
消去期間における動作によって、j−1行目の発光素子903が非発光となった後、直ちに、ゲート信号線911と消去用ゲート信号線駆動回路914とを非接続の状態とすると共に、スイッチ920を切り替えてソース信号線912とソース信号線駆動回路915と接続させる。そして、ソース信号線912とソース信号線駆動回路915とを接続させると共に、スイッチ918を切り替えてゲート信号線911と書込用ゲート信号線駆動回路913とを接続させる。そして、書込用ゲート信号線駆動回路913からi行目のゲート信号線911に選択的に信号が入力され、第1のトランジスタ901がオンすると共に、ソース信号線駆動回路915からは、1列目から最終列目迄のソース信号線912に書込の為の映像信号が入力される。この映像信号によって、i行目の発光素子903は、発光または非発光となる。
【0159】
以上のようにしてi行目について書込期間を終えたら、直ちに、j行目の消去期間に移行する。その為にスイッチ918を切り替えて、ゲート信号線と書込用ゲート信号線駆動回路913を非接続とすると共に、スイッチ920を切り替えてソース信号線を電源916と接続する。また、ゲート信号線911と書込用ゲート信号線駆動回路913を非接続とすると共に、ゲート信号線911については、スイッチ919を切り替えて消去用ゲート信号線駆動回路914と接続状態にする。そして、消去用ゲート信号線駆動回路914からj行目のゲート信号線911に選択的に信号を入力して第1のトランジスタ901がオンすると共に、電源916から消去信号が入力される。そして、消去信号により、発光素子903は強制的に非発光となる。このようにして、j行目の消去期間を終えたら、直ちに、i+1行目の書込期間に移行する。以下、同様に、消去期間と書込期間とを繰り返し、最終行目の消去期間まで動作させればよい。
【0160】
なお、本形態では、j―1行目の消去期間とj行目の消去期間との間にi行目の書込期間を設ける態様について説明したが、これに限らず、j行目の消去期間とj+1行目の消去期間との間にi行目の書込期間を設けてもよい。
【0161】
また、本形態では、サブフレーム504のように非発光期間504dを設ける場合において、消去用ゲート信号線駆動回路914と或る一のゲート信号線とを非接続状態にすると共に、書込用ゲート信号線駆動回路913と他のゲート信号線とを接続状態にする動作を繰り返している。このような動作は、特に非発光期間を設けないフレームにおいて行っても構わない。なお、本実施例は、上記実施の形態又は他の実施例と自由に組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明に係る発光素子は、パッシベーション膜の上面又は下面に接して応力緩和層が形成されていることにより、パッシベーション膜のピーリングやクラック等の悪影響を受けることなくパッシベーション膜の膜厚を厚くすることができ、結果的に、極めて高いブロッキング効果を得ることができる。したがって、信頼性が高い発光素子を、高歩留まりで提供することができる。また、パッシベーション膜の上面に応力緩和層を設けた場合(両面に設けた場合を含む。)には、低屈折率層の屈折率を応力緩和層の屈折率よりも小さくすることにより、応力緩和層と空間の間の屈折率の差を低減させることができ、外部の空間への光の取り出し効率を向上させることができる。
【0163】
上記作用効果を有する発光素子はELディスプレイに代表される表示装置に採用することができる。該表示装置は、互いに直交するように設けられた2種類のストライプ状電極の間に電界発光層を形成する方式(単純マトリクス方式)、又はTFTに接続されマトリクス状に配列された画素電極と対向電極との間に電界発光層を形成する方式(アクティブマトリクス方式)の2種類に大別されるが、本発明に係る発光素子は、単純マトリクス方式とアクティブマトリクス方式のいずれにも適用することができる。また、上記表示装置は、あらゆる電子機器やIDカード等のユビキタス製品に搭載することができ、本発明の利用可能性は極めて多岐に渡る。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】本発明に係る発光素子の構成を説明する図
【図2】本発明に係る発光素子の構成を説明する図(充填層を設けた場合)
【図3】本発明に係る発光素子の構成を説明する図(パッシベーション膜の下部に応力緩和層を設けた場合)
【図4】本発明に係る表示装置の画素領域の等価回路図及び表示装置の表示パネル部分の上面図
【図5】本発明に係る表示装置の断面図
【図6】本発明に係る表示装置の断面図(カラーフィルタを設けた場合)
【図7】本発明に係る表示装置の断面図(対向基板に低屈折率層を設けた場合)
【図8】本発明に係る表示装置の画素領域の等価回路図
【図9】配線を積層構造とした場合を示す断面図
【図10】本発明に係る表示装置を用いた電子機器を示す図
【図11】本発明に係る表示装置を用いたテレビジョン装置の主要な構成を示すブロック図
【図12】本発明に係る表示装置を用いたIDカードを説明する図
【図13】本発明に係る発光装置の上面図
【図14】本発明に係る発光装置における一画素を動作するための回路を表した図
【図15】本発明に係る発光装置における画素領域の上面図
【図16】時間経過に伴ったフレームの動作について説明する図
【図17】従来の発光素子の構成を説明する図
【図18】1水平期間にゲート信号線を複数同時に選択する方法を説明する図
【符号の説明】
【0165】
1:基板
2:電極
3:正孔輸送層
4:発光層
5:電子注入層
6:透明電極
7:防湿層
8:反射防止層
10:基板
11:画素電極
12:電界発光層
13:透明電極
14:パッシベーション膜
14a:窒化珪素膜
14b:酸化珪素膜
14c:窒化珪素膜
15:応力緩和層
15a:応力緩和層
15b:応力緩和層
16:低屈折率層
17:充填層
18:対向基板
90:カラーフィルタ
91:カラーフィルタ
92:カラーフィルタ
93:カラーフィルタ
94:カラーフィルタ
95:カラーフィルタ
101:カード本体
102:画素部
103:カード基板
104:IDチップ
105:表示装置
106:集積回路
107:薄膜部
108:配線
109:アンテナコイル
310:画素
311:トランジスタ
312:トランジスタ
313:発光素子
316:容量素子
317:第1の電源
318:第2の電源
340:トランジスタ
341:トランジスタ
342:トランジスタ
343:電源
400:表示領域
401:ゲートドライバ
402:ゲートドライバ
403:ソースドライバ
404:容量素子
405:基板
406:対向基板
407:接続フィルム
408:シール材
409:隔壁層
410:素子群
411:第1の層間絶縁膜
412:第2の層間絶縁膜
413:第3の層間絶縁膜
414:配線
415:空間
416:遮光性を有する隔壁層
417:遮光性を有する層間絶縁膜
418:低屈折率層
501:サブフレーム
501a:書き込み期間
501b:保持期間
502:サブフレーム
502a:書き込み期間
502b:保持期間
503:サブフレーム
503a:書き込み期間
503b:保持期間
504:サブフレーム
504a:書き込み期間
504b:保持期間
504c:消去期間
504d:非発光期間
600:Mo
601:アルミニウムを含む合金
602:ITO
603:アルミニウムを含む合金
604:アルミニウムを含む合金
605:ITO
606:アルミニウムを含む合金
607:ニッケルシリサイド
608:シリコン半導体層
801:EL表示パネル
802:信号線側駆動回路
803:走査線側駆動回路
804:チューナ
805:映像波増幅回路
806:映像信号処理回路
807:コントロール回路
808:信号分割回路
809:音声波増幅回路
810:音声信号処理回路
811:制御回路
812:入力部
813:スピーカ
901:第1のトランジスタ
902:第2のトランジスタ
903:発光素子
911:ゲート信号線
912:ソース信号線
913:書込用ゲート信号線駆動回路
914:消去用ゲート信号線駆動回路
915:ソース信号線駆動回路
916:電源
917:電流供給線
918:スイッチ
919:スイッチ
920:スイッチ
1001:第1のトランジスタ
1002:第2のトランジスタ
1003:ゲート信号線
1004:ソース信号線
1005:電流供給線
1006:発光素子の電極
6500:基板
6503:FPC(フレキシブルプリントサーキット)
6504:プリント配線基板(PWB)
6511:画素部
6512:ソース信号線駆動回路
6513:書込用ゲート信号線駆動回路
6514:消去用ゲート信号線駆動回路
9101:本体
9102:表示部
9201:本体
9202:表示部
9301:本体
9302:表示部
9401:本体
9402:表示部
9501:本体
9502:表示部
9701:表示部
9702:表示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL素子に代表される発光素子及び該発光素子を有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機EL(Electro Luminescence)素子に代表される発光素子を有する表示装置の開発が進められ、自発光型ゆえの高画質、広視野角、薄型、軽量等の利点を活かして、幅広い利用が期待されている。EL素子とは、陰極と陽極との間に流れる電流によって、両電極間に挟持された電界発光層が発光するという原理を用いた発光素子である。発光素子としては、例えば、対向基板側の電極を透明にし、発光層からの光を対向基板側へ放射させる、所謂トップエミッション型発光素子が知られている。その断面構造を図17に示す。図17中、1は基板、2は電極、3は正孔輸送層、4は発光層、5は電子注入層、6は透明電極、7は防湿層、8は反射防止層をそれぞれ表している。この発光素子は、透明電極6から電子注入層5を通して発光層4に注入された電子と、電極2から正孔輸送層3を通して発光層4へ注入された正孔との再結合によって生成された励起子が、基底状態にもどる際に放射される光を利用する素子である。
【0003】
このトップエミッション型発光素子のような上面側(対向基板側)から光を取り出す発光素子では、対向電極として透明電極6を用いる必要があり、例えば、酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)等が用いられている。この場合において、透明電極6とその周囲に存在する空気の屈折率の差が大きいため、光の取り出し効率が低下するという問題があった(特許文献1、2参照)。
【0004】
また、特に有機化合物を主体とする発光素子は、主に水分や酸素が原因で劣化しやすく、この原因に起因する不良状態として、部分的な輝度の低下が生じたり、非発光領域が生じたりすることがある。これを防止するために、透明電極6の上に耐湿用のSiN膜等のパッシベーション膜(防湿層7)を形成する技術が知られている(特許文献2参照)。しかし、透明電極6の上に耐湿用のSiN膜等のパッシベーション膜(防湿層7)を形成した場合においても、SiN膜の屈折率と空気との屈折率差が大きい為、光の取り出し効率が低下するという問題があった(特許文献2参照)。
【0005】
これらの問題点に対し、透明電極6上又は防湿層7上に、反射防止層8として、透明電極6よりも屈折率が低い材料を単層又は多層により形成する技術が知られている(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開2003−303679号公報
【特許文献2】特開2003−303685号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、透明電極6の屈折率が、例えばITOの場合、1.9〜2.0程度であるのに対し、その上に設けられる防湿層7の屈折率は、例えばSiN膜の場合、2.1〜2.3程度と、透明電極6の屈折率よりも高い。そのため、透明電極6上にSiN膜等の防湿層7を設けた場合には、さらに透明電極6よりも屈折率が低い反射防止層8を防湿層7上に設けたとしても、防湿層7と反射防止層8との間の屈折率の差は依然として大きい状態のままであった。したがって、防湿層7と反射防止層8との界面における反射率は、防湿層7を設けない場合に比べてさらに高くなる、すなわち、該界面における光の反射損失がより大きくなることにより、発光層からの光の外部取り出し効率が低くなってしまうという問題があった。
【0007】
また、防湿層7を設けた場合には、応力に起因する膜剥がれ(ピーリング)やひび割れ(クラック)等が起きやすく、発光素子作製の歩留まりの低下や、作製された発光素子の信頼性や寿命の低下をもたらしてしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題点の少なくとも一を解決することを目的とする。すなわち、透明電極上に、パッシベーション膜を設けた場合であっても、ピーリングやクラック等が起きにくく、信頼性が高い発光素子及びそれを用いた表示装置を提供することを目的とする。あるいは、発光層からの光の外部取り出し効率が高い発光素子及びそれを用いた表示装置を提供することを目的とする。あるいは、上記問題点のすべてを同時に解決することが可能な発光素子及びそれを用いた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る発光素子は、画素電極、電界発光層、透明電極、パッシベーション膜、応力緩和層及び低屈折率層が順次積層されてなることを特徴とする。ここで、応力緩和層は、パッシベーション膜の膜剥がれを防止する機能を有する。低屈折率層は、電界発光層から出射される光が、空気中に入射する際の反射率を低減し、光の取り出し効率を向上させる機能を有する。画素電極及び透明電極は、電界発光層に電子又は正孔(ホール)を供給するための陽極又は陰極として機能する。パッシベーション膜は、透明電極や電界発光層に、水分等の不純物の混入を防止する機能を有する。パッシベーション膜、応力緩和層又は前記低屈折率層は、積層構造を有していてもよい。なお、上記応力緩和層は、透明電極とパッシベーション膜の間にも設けられていても良い。また、電界発光層は、単層構造又は積層構造であっても良い。
【0010】
また、本発明に係る発光素子は、画素電極、電界発光層、透明電極、パッシベーション膜、応力緩和層及び低屈折率層が順次積層されてなり、前記低屈折率層の屈折率は、前記応力緩和層の屈折率よりも小さいことを特徴とする。低屈折率層は、応力緩和層と空間(空気又は窒素等の充填ガスによって満たされた空間。以下同じ。)との屈折率の差を低減させる機能を有する。
【0011】
また、本発明に係る発光素子は、画素電極、電界発光層、透明電極、応力緩和層、パッシベーション膜及び低屈折率層が順次積層されてなることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る発光素子は、画素電極、電界発光層、透明電極、第1の応力緩和層、パッシベーション膜、第2の応力緩和層及び低屈折率層が順次積層されてなることを特徴とする。ここで、前記低屈折率層の屈折率は、前記第2の応力緩和層の屈折率よりも小さいものであってもよい。
【0013】
また、本発明に係る表示装置は、基板上に設けられたトランジスタと、層間絶縁膜を介して前記トランジスタと接続された発光素子とを有し、前記発光素子は、画素電極、電界発光層、透明電極、パッシベーション膜、応力緩和層及び低屈折率層が積層されてなることを特徴とする。ここで、トランジスタは、発光素子の点灯と非点灯を制御する機能を有するが、他の機能を有するトランジスタが含まれていても良い。このトランジスタは、通常、薄膜トランジスタ(TFT)を用いるが、これに限定されるものではない。また、層間絶縁膜は、トランジスタと発光素子とを隔てる絶縁膜であり、単層でも積層でも良い。応力緩和層は、パッシベーション膜の膜剥がれを防止する機能を有する。低屈折率層は、電界発光層から出射される光が、空気中に入射する際の反射率を低減し、光の取り出し効率を向上させる機能を有するものであるが、前記応力緩和層の屈折率よりも小さいことが望ましい。画素電極及び透明電極は、電界発光層に電子又は正孔(ホール)を供給するための陽極又は陰極として機能する。パッシベーション膜は、透明電極や電界発光層に、水分等の不純物の混入を防止する機能を有する。パッシベーション膜、応力緩和層又は前記低屈折率層は、積層構造を有していてもよい。
【0014】
また、本発明に係る表示装置は、基板上に設けられたトランジスタと、層間絶縁膜を介して前記トランジスタと接続された発光素子とを有し、前記発光素子は、画素電極、電界発光層、透明電極、応力緩和層、パッシベーション膜及び低屈折率層が順次積層されてなることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る表示装置は、基板上に設けられたトランジスタと、層間絶縁膜を介して前記トランジスタと接続された発光素子とを有し、前記発光素子は、画素電極、電界発光層、透明電極、第1の応力緩和層、パッシベーション膜、第2の応力緩和層及び低屈折率層が順次積層されてなることを特徴とする。ここで、前記低屈折率層の屈折率は、前記第2の応力緩和層の屈折率よりも小さいものであってもよい。
【0016】
また、本発明に係る上記表示装置において、前記発光素子は、充填層を介して対向基板によって封止されていてもよい。ここで、充填層の屈折率は、低屈折率層若しくは対向基板の屈折率とほぼ同等の値、又は低屈折率層及び対向基板の中間の値を有していることが望ましいが、少なくとも空気(又は窒素等の充填ガス)の屈折率よりも大きい液層又は固層であればよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る発光素子は、パッシベーション膜の上面又は下面に接して応力緩和層が形成されていることにより、パッシベーション膜のピーリングやクラック等の悪影響を受けることなくパッシベーション膜の膜厚を厚くすることができ、結果的に、極めて高いブロッキング効果を得ることができる。したがって、信頼性が高く高寿命の発光素子を、高歩留まりで提供することができる。
【0018】
また、パッシベーション膜の上面に応力緩和層を設けた場合(両面に設けた場合を含む。)には、低屈折率層の屈折率を応力緩和層の屈折率よりも小さくすることにより、応力緩和層と空間の間の屈折率の差を低減させることができ、外部の空間への光の取り出し効率を向上させることができる。
【0019】
本発明に係る表示装置は、その発光素子におけるパッシベーション膜上に応力緩和層を有していることにより、パッシベーション膜のピーリングやクラック等の悪影響を受けることなくパッシベーション膜の膜厚を厚くすることができ、結果的に、極めて高いブロッキング効果を得ることができる。したがって、信頼性が高い表示装置を、高歩留まりで提供することができる。
【0020】
また、低屈折率層の屈折率を応力緩和層の屈折率よりも小さくする場合には、応力緩和層と空間の間の屈折率の差を低減させることができ、外部の空間への光の取り出し効率を向上させることができる。さらに、低屈折率層と対向基板の間に、充填層を設けた場合には、外部の空間への光の取り出し効率をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更することができる。従って、本発明は以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。例えば、以下に述べる各実施の形態及び各実施例の特徴的部分を組み合わせて実施することが可能である。なお、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる。
【0022】
なお、本明細書において、発光素子と言う場合には、(1)陽極、陰極、その間に設けられる電界発光層(有機化合物を含む層、EL層とも呼ぶ。)からなる素子、という一般的な定義に加え、(2)前記陽極又は陰極上に、本発明の特徴的部分であるパッシベーション膜、応力緩和層、低屈折率層等が形成されている素子、という定義も含むものとする。換言すれば、光の透過部分における屈折率の差を低減する、又はパッシベーション膜の応力を緩和するという本発明に特有の機能を発揮する箇所を含めて発光素子と言う場合がある。また、本明細書において、各種化合物材料を化学式を用いて説明する場合には、特に示さない限り、任意の組成比の材料を適宜選択することができるものとする(例えば、「SiN」と表記した場合、SixNy(x、y>0)を意味するものとする。)。また、屈折率をnで略記することがある。
【0023】
(実施の形態1) 図1(A)を参照して、本実施の形態に係る発光素子の構成について説明する。図1(A)は本実施の形態に係る発光素子の模式的断面図である。本発明に係る発光素子は、図1(A)に示すように、画素電極11、電界発光層12、透明電極13、パッシベーション膜14、応力緩和層15、低屈折率層16からなり、通常、基板10上に設けられている。また、本発明に係る発光素子は、いわゆるトップエミッション(上面発光)が可能な発光素子であり、発光取り出し電極となる透明電極13上に設けられたパッシベーション膜14と、パッシベーション膜14上に設けられた応力緩和層15と、応力緩和層15上に設けられた低屈折率層16を有することを特徴とする。本発明は、トップエミッション型発光素子にも、発光層の上下両面から光を取り出すデュアルエミッション(両面発光)型発光素子にも適用することができる。図1(A)では、便宜的に、上面発光のみの光を示した。以下、具体的に説明する。
【0024】
基板10は、ガラスや石英、プラスチック等からなる絶縁表面を有する基板であるが、これらに限定されるものではない。なお、プラスチック基板を用いる場合、可撓性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミドから選ばれた1種からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0025】
基板10上には、画素電極11が設けられる。トップエミッション型の場合には、画素電極11が陽極として機能するか陰極として機能するかにかかわらず、画素電極11として反射性のある金属材料を用いる。例えば、陰極の場合には、Al、AlLi、MgAg、MgIn、Ca、又は周期表の1族もしくは2族に属する元素とアルミニウムとを共蒸着法により形成した透光性導電膜を用いることができる。これらの材料は仕事関数が小さく、電子を取り出しやすいため、陰極材料として好適である。この場合、発光素子の構造は、基板側から陰極の上に電界発光層、陽極の順に積層される。この積層構造を逆積み構造という。
【0026】
一方、画素電極11を陽極として機能させる場合には、Cr、Ti、TiN、TiSixNy、Ni、W、WSix、WNx、WSixNy、NbN、Pt、Zn、Sn、In又はMoから選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料を主成分とする膜またはそれらの積層膜を用いればよい。この場合、発光素子の構造は、基板側から陽極の上に電界発光層、陰極の順に積層される。この積層構造を順積み構造という。
【0027】
一方、デュアルエミッション型の場合には、下面発光も行う必要があるため、画素電極11として、光透過性のある金属材料を用いる。代表的にはITOを用いる。ITOは一般的には、陽極として用いられる。この場合、発光素子の構造は、順積み構造となる。なお、画素電極11を陰極として機能させる場合には、ITOを用い透明性を確保しつつ、ITOと電界発光層12の間に陰極用材料であるLi等の薄膜を形成すればよい。なお、ITOに代えて、ITOに酸化珪素を含有させたITSO、酸化亜鉛(ZnO:Zinc Oxide)、ガリウムを添加した酸化亜鉛(GZO)、酸化インジウムに1〜20%程度の酸化亜鉛を混合した酸化インジウム亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)等の透明導電膜を用いることもできる。
【0028】
なお、ITO等の透明導電膜と電界発光層12との間に、珪素、酸化珪素、窒化珪素等を含むバリア層を挟持させてもよい。これにより、発光効率が上昇することが実験的に判っている。また、画素電極11は、ITO等の上下面又はその一方をCr膜等で覆った反射防止機能を有する電極としてもよい。これにより、外光又は発光光が画素電極11で反射し、外部に取り出される光と干渉することを防止することができる。
【0029】
画素電極11上には、電界発光層12が設けられる。なお、電界発光層12は、順積みの場合、従来例に示すように、正孔輸送層3、発光層4、電子注入層5の積層構造としてもよいし(図17参照)、発光層のみの単層構造としても良い。複数の層で構成する場合、基板1側から見て、(1)陽極の上にホール(正孔)注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、陰極、(2)陽極の上にホール注入層、発光層、電子輸送層、陰極、(3)陽極の上にホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極、(4)陽極の上にホール注入層、ホール輸送層、発光層、ホールブロッキング層、電子輸送層、陰極、(5)陽極の上にホール注入層、ホール輸送層、発光層、ホールブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、陰極、等の順に積層される素子構造とすることもできる。以上は、順積みの場合であるから、逆積みの場合には、積層順を逆にすればよい。
【0030】
発光素子の中心とも言える電界発光層12は、一般に有機化合物層からなり、上述したホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層等は、全て電界発光層12に含まれる。電界発光層12を構成する層としては、低分子の有機化合物材料、中分子の有機化合物材料、高分子(ポリマー)の有機化合物材料若しくは無機材料、又はこれらを適宣組み合わせた材料を用いることが可能であるが、一般に、低分子の材料よりも高分子の材料の方が、取り扱いが容易で高耐熱性を有している。また、電子輸送性材料と正孔輸送性材料を適宜混合させた混合層、又はそれぞれの接合界面に混合領域を形成した混合接合を形成しても良い。また、発光層に対して蛍光性色素等をドーピングしても良い。これらの有機化合物の成膜方法には、蒸着法、スピンコーティング法、インクジェット法といった方法が知られている。特に、高分子の材料を用いてフルカラー化を実現させるには、スピンコーティング法やインクジェット法が好適である。
【0031】
なお、信頼性を向上させるため、電界発光層12の形成直前に真空加熱(100℃〜250℃)を行って脱気を行うことが好ましい。例えば、蒸着法を用いる場合、真空度が0.665Pa(5×10−3Torr)以下、好ましくは1.33×10−2Pa〜1.33×10−4Pa(10−4〜10−6Torr)まで真空排気された成膜室で蒸着を行う。蒸着工程の際、予め、抵抗加熱により有機化合物は気化されており、シャッターが開くことにより基板の方向へ飛散し、蒸着が行われる。気化された有機化合物は、上方に飛散し、メタルマスクに設けられた開口部を通って基板に蒸着される。例えば、Alq3(以下、Alqと表記する場合がある。)、赤色発光色素であるナイルレッドを部分的にドープしたAlq3、p−EtTAZ、TPD(芳香族ジアミン)を蒸着法により順次積層することで白色を得ることができる。
【0032】
また、スピンコートを用いた塗布法により電界発光層12を形成する場合、塗布した後、真空加熱で焼成することが好ましい。例えば、正孔注入層として作用するポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)水溶液(PEDOT/PSS)を全面に塗布、焼成し、その後、発光層として作用する発光中心色素(1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン(TPB)、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノ−スチリル)−4H−ピラン(DCM1)、ナイルレッド、クマリン6など)ドープしたポリビニルカルバゾール(PVK)溶液を全面に塗布、焼成すればよい。なお、PEDOT/PSSは溶媒に水を用いており、有機溶剤には溶けない。従って、PVKをその上から塗布する場合にも、再溶解する心配はない。また、PEDOT/PSSとPVKは溶媒が異なるため、成膜室は同一のものを使用しないことが好ましい。また、電界発光層12を単層とすることもでき、ホール輸送性のポリビニルカルバゾール(PVK)に電子輸送性の1,3,4−オキサジアゾール誘導体(PBD)を分散させてもよい。また、30wt%のPBDを電子輸送剤として分散し、4種類の色素(TPB、クマリン6、DCM1、ナイルレッド)を適当量分散することで白色発光が得られる。
【0033】
ここでは白色発光を得る発光素子の例を示したが、電界発光層12の材料を適宜選択することによって、赤色発光、緑色発光、または青色発光を得ることのできる発光素子を作製することができることは言うまでもない。この場合には、図6に示すようなカラーフィルタを省略することができる。また、発光素子の発光機構は、一対の電極間に有機化合物層を挟んで電圧を印加することにより、陰極から注入された電子および陽極から注入された正孔が有機化合物層中の発光中心で再結合して分子励起子を形成し、その分子励起子が基底状態に戻る際にエネルギーを放出して発光するものと一般的に考えられている。そして、励起状態には一重項励起と三重項励起が知られるが、本発明に係る発光素子にはいずれも適用することができる。
【0034】
例えば、三重項励起状態からの発光(燐光)を用いる場合、燐光を得ることができる有機化合物(トリプレット化合物とも呼ぶ)として、カルバゾールからなるCBP+Ir(ppy)3を用いることができる。燐光は、一重項励起状態からの発光(蛍光)よりも発光効率が高く、同じ発光輝度を得るにも動作電圧(有機発光素子を発光させるに要する電圧)を低くすることが可能であるという利点を有する。
【0035】
次いで、電界発光層12上には、透明電極13が設けられる。透明電極13を陽極として機能させる場合には、ITO等の透明導電膜を用いればよい。一方、透明電極13を陰極として機能させる場合には、透明電極13と電界発光層12の間に陰極用材料であるLi等の薄膜を形成すればよい。
【0036】
透明電極13上には、パッシベーション膜14が設けられる。パッシベーション膜14は、窒化珪素(代表的には、Si3N4)、酸化珪素(代表的には、SiO2)、窒化酸化珪素(SiNO(組成比N>O))、酸化窒化珪素(SiON(組成比N<O)、又は炭素を主成分とする薄膜(DLC(Diamond like Carbon)膜、CN膜等)等を用い、単層又は積層により形成するのがよい。特に窒化物からなるパッシベーション膜14は膜質が緻密であるため、透明電極13を保護するとともに、電界発光層12に悪影響を及ぼす水分、酸素、その他不純物に対して極めて高いブロッキング効果を有する。
【0037】
このようにパッシベーション膜14は、高いブロッキング効果を有しているが、膜厚が厚くなると膜応力が増大してピーリングやクラック(ひび割れ)が生じやすくなる。しかし、パッシベーション膜14上に、応力緩和層15を設けることにより、パッシベーション膜14のピーリング等を防止することができる。応力緩和層15としては、応力の小さい有機材料や無機材料を適宜選択して用いることができるが、さらに、透明電極13又はパッシベーション膜14よりも、低屈折率の材料を用いるのが望ましい。例えば、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂を用いることができる。他にも、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト若しくはベンゾシクロブテン、塗布法により得られるSOG膜(例えば、シロキサンは、シリコン(Si)と酸素と(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。塗布膜を用いたアルキル基を含むSiOx膜、ポリシラザン塗布膜を用いたSiOx膜)、又は電界発光層に用いられる有機材料と同一又は類似の材料を用いることができる。
【0038】
このように、応力緩和層15を設けることにより、パッシベーション膜14のピーリングやクラック等の悪影響を受けることなくパッシベーション膜14の膜厚を厚くすることができ、結果的に、極めて高いブロッキング効果を得ることができる。なお、応力緩和層として用いられる材料には、パッシベーション膜としての機能を有するものも含まれる。このような場合にも、応力緩和層としての機能(すなわち、膜応力が比較的大きい材料に接して形成されることにより、結果的に膜のピーリング又はクラック等を防止しうる機能、又は現実に膜のピーリング又はクラックを防止している状態を実現している機能)を有している限り、応力緩和層に含まれるものとする。例えば、パッシベーション膜としてSiN(屈折率n=2.1〜2.3)を形成した場合に、さらにSiO2(n=1.5程度)又はSiNO(n=1.8程度)等を応力緩和層として(かつパッシベーション膜として)形成する場合等が挙げられる。
【0039】
次いで、応力緩和層15上には、低屈折率層16が設けられる。ここで低屈折率層16とは、応力緩和層15よりも低い屈折率を有し、発光素子の外部の雰囲気(通常、n=1)よりも高い屈折率を有する層をいう。外部の雰囲気は空気でもよいし、窒素ガス等を充填させたものであってもよい。
【0040】
ここで、パッシベーション膜14上に応力緩和層15を設けた場合においては、透明電極13、パッシベーション膜14、応力緩和層15、低屈折率層16の屈折率をそれぞれ、nT、nP、nB、nLとすると、これらの関係は以下のようになっていることが望ましい。
【0041】
(1)nT<nPの場合、nP>nB>nLの関係を満たす。
(2)nT>nPの場合、nT>nB>nLの関係を満たす。より好ましくは、nP>nB>nL又はnP≒nB>nLの関係を満たす(すなわち、透明電極13から低屈折率層16にかけて、屈折率が徐々に低下していく関係を満たす。)。
【0042】
例えば、透明電極13としてITOを用いた場合、その屈折率は1.9〜2.0である。また、例えば、パッシベーション膜14として、SiNを用いた場合には、その屈折率は2.1〜2.3、SiNOを用いた場合には、その屈折率は、1,8程度、SiO2を用いた場合には、その屈折率は1.5程度である。したがって、応力緩和層15として用いられる材料の屈折率は、上述したように、ポリイミド樹脂(n=1.50〜1.55)、アクリル樹脂(n=1.45〜1.50)、スチレン樹脂(n=1.55〜1.60)、フッ化マグネシウム(MgF2、n=1.38〜1.40)、フッ化バリウム(BaF2、n=1.47)、電界発光層に用いられる有機材料(n=1.6程度)等を用いるとよい。また、MgO(n=1.64〜1.74)、SrO2、SrOは吸湿性及び透光性を有し、蒸着法で薄膜を得ることができるため、応力緩和層15として好適である。
【0043】
また、応力緩和層15として有機材料を用いる場合には、α―NPD(4,4’−ビス−[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル)、BCP(バソキュプロイン)、MTDATA(4,4’,4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニル−アミノ)トリフェニルアミン)、Alq3(トリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体)などを用いることができる。これらの有機材料は、吸湿性を有し、膜厚が薄ければほぼ透明である。
【0044】
また、低屈折率層16としては、応力緩和層15よりも屈折率の低いフッ化リチウム(LiF、n=1.30〜1.39)、フッ化マグネシウム(MgF2、n=1.38〜1.40)、フッ化カルシウム(CaF2、n=1.23〜1.45)、フッ化バリウム(BaF2、n=1.47)等を用いるとよい。
【0045】
なお、上記(1)、(2)のいずれかの関係を満たすものであれば、透明電極13、パッシベーション膜14、応力緩和層15、低屈折率層16の材質は、上述したものに限定されない。透明電極13、パッシベーション膜14、応力緩和層15、低屈折率層16の屈折率に関し、上記(1)、(2)のいずれかの関係を有せしめることにより、各層の界面における屈折率の差を低減させることができ、外部の空間への光の取り出し効率を向上させることができる。
【0046】
なお、透明電極13、パッシベーション膜14、応力緩和層15、低屈折率層16は、スパッタ法、CVD法、蒸着法等を用いて形成することができる。例えば、透明電極13をスパッタ法で形成し、パッシベーション膜14をCVD法で形成し、応力緩和層15及び低屈折率層16を蒸着法で形成するとよい。この場合、スパッタ成膜室、CVD成膜室、蒸着室及び乾燥処理を行うベーク室等を一体化させたマルチチャンバー方式を採用することにより、各チャンバーに基板を搬送して効率的に成膜を行うことができる。
【0047】
上述したように、本発明に係る発光素子は、パッシベーション膜14上に応力緩和層15を有していることにより、パッシベーション膜14のピーリングやクラック等の悪影響を受けることなくパッシベーション膜14の膜厚を厚くすることができ、結果的に、極めて高いブロッキング効果を得ることができる。
【0048】
また、応力緩和層15は、パッシベーション膜14又は透明電極13と、低屈折率層16の中間の屈折率を有することにより、透明電極13、パッシベーション膜14、応力緩和層15、低屈折率層16各層の界面における屈折率の差を低減させることができ、外部の空間への光の取り出し効率を向上させることができる。
【0049】
なお、本発明に係る発光素子はELディスプレイに代表される発光装置に採用することができる。該発光装置は、互いに直交するように設けられた2種類のストライプ状電極の間に電界発光層を形成する方式(単純マトリクス方式)、又はTFTに接続されマトリクス状に配列された画素電極と対向電極との間に電界発光層を形成する方式(アクティブマトリクス方式)の2種類に大別されるが、本発明に係る発光素子は、単純マトリクス方式とアクティブマトリクス方式のいずれにも適用することができる。
【0050】
(実施の形態2) 図1(B)を参照して、本実施の形態に係る発光素子の構成について説明する。図1(B)は本実施の形態に係る発光素子の模式的断面図である。本実施の形態に係る発明は、パッシベーション膜14が積層構造を有していることを特徴としている。図示した構成においては、窒化珪素膜14aの上に酸化珪素膜14b、窒化珪素膜14cの順に積層される三層構造としている。ここで、2層目のSiO2膜は、パッシベーション膜としての機能と、SiN膜のピーリング又はクラックを防止するための機能(応力緩和層としての機能)を兼ね備えている。そして、三層構造とすることにより、パッシベーション膜が有するバリア機能が向上し、透明電極13や電界発光層12への水分、酸素、その他不純物の侵入を効果的に阻止することができる。
【0051】
なお、パッシベーション膜14の構成は、図1(B)に示したものに限定されないが、パッシベーション膜を構成する各層の界面における屈折率の差ができるだけ小さいものを用いるのが望ましい。さらに、パッシベーション膜14上には、応力緩和層15、低屈折率層16が設けられる。本実施の形態における応力緩和層15は、パッシベーション膜14の最上部の層に対して、実施の形態1の(1)、(2)の関係を満たしていればよい。また、応力緩和層15自体を実施の形態1に示した材料を用いた積層構造とする場合、低屈折率層16は、応力緩和層15の最上部の層に対して、実施の形態1の(1)、(2)の関係を満たしていればよい。なお、本実施の形態に係る発光素子のその余の構成については、実施の形態1に準ずる。
【0052】
本発明に係る発光素子は、パッシベーション膜14を積層構造としていることにより、バリア機能が向上し、透明電極13や電界発光層12への水分、酸素、その他不純物の侵入をより効果的に阻止することができる。また、パッシベーション膜14上に応力緩和層15を有していることにより、パッシベーション膜14のピーリングやクラック等の悪影響を受けることなくパッシベーション膜14の膜厚を厚くすることができ、結果的に、極めて高いブロッキング効果を得ることができる。
【0053】
また、応力緩和層15は、実施の形態1の(1)、(2)の関係に従い、パッシベーション膜14又は透明電極13と、低屈折率層16の中間の屈折率を有することにより、透明電極13、パッシベーション膜14、応力緩和層15、低屈折率層16各層の界面における屈折率の差を低減させることができ、外部の空間への光の取り出し効率を向上させることができる。
【0054】
なお、本発明に係る発光素子はELディスプレイに代表される発光装置に採用することができる。該発光装置は、互いに直交するように設けられた2種類のストライプ状電極の間に電界発光層を形成する方式(単純マトリクス方式)、又はTFTに接続されマトリクス状に配列された画素電極と対向電極との間に電界発光層を形成する方式(アクティブマトリクス方式)の2種類に大別されるが、本発明に係る発光素子は、単純マトリクス方式とアクティブマトリクス方式のいずれにも適用することができる。
【0055】
(実施の形態3) 図2を参照して、本実施の形態に係る発光素子の構成について説明する。図2は本実施の形態に係る発光素子の模式的断面図である。本実施の形態に係る発明は、低屈折率層16と対向基板18の間の空間が、充填層17によって充填されていることを特徴としている。ここで、充填層17の屈折率は、低屈折率層16若しくは対向基板18の屈折率とほぼ同等の値、又は低屈折率層16及び対向基板18の中間の値を有していることが望ましい。例えば、低屈折率層16がLiF(n=1.30〜1.39)、対向基板18がガラス基板(n=1.5)である場合には、充填層17として、1.2〜1.6程度の屈折率を有する素材を用いるのがよい。例えば、フッ素を含む不活性液体のフロリナート(n=1.23〜1.31)を用いるのがよい。あるいは、ポリテトラフロオロエチレン(n=1.36)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA、n=1.49)、フッ素を含むポリマー(n=1.35〜1.43)の膜を用いてもよい。
【0056】
ただし、低屈折率層16若しくは対向基板18の屈折率とほぼ同等の値、又は両者の中間の値を有するものであれば、上記材料に限定されるものではない。また、屈折率の下限については、空気(n=1)よりも大きいものであれば、充填層17を設ける効果が発揮されるので、1.2程度以下でも構わない。
【0057】
充填層17は、対向基板18によって発光素子を封止した後、液体を真空下で注入することによって形成することができる。あるいは、インクジェット法に代表される液滴吐出法、滴下法、印刷法、塗布法等を用いて作製することができる。
【0058】
また、対向基板18はガラス基板に限定されるものではなく、石英基板、実施の形態1で示した各種プラスチック基板等を用いることができる。基板10と同様の材質であっても良い。なお、本実施の形態に係る発光素子のその余の構成については、実施の形態1に準ずる。
【0059】
本発明に係る発光素子は、低屈折率層16と対向基板18の間の空間が、充填層17によって充填されていることにより、低屈折率層16と充填層17の界面、充填層17と対向基板18の界面におけるそれぞれの屈折率の差を低減させることができ、光の取り出し効率をより向上させることができる。
【0060】
なお、本発明に係る発光素子はELディスプレイに代表される発光装置に採用することができる。該発光装置は、互いに直交するように設けられた2種類のストライプ状電極の間に電界発光層を形成する方式(単純マトリクス方式)、又はTFTに接続されマトリクス状に配列された画素電極と対向電極との間に電界発光層を形成する方式(アクティブマトリクス方式)の2種類に大別されるが、本発明に係る発光素子は、単純マトリクス方式とアクティブマトリクス方式のいずれにも適用することができる。
【0061】
(実施の形態4) 本実施の形態では、図3を参照して、応力緩和層をパッシベーション膜の下部(画素電極側)に設けた場合について説明する。上記実施の形態においては、応力緩和層は、パッシベーション膜上のみに設けたが、パッシベーション膜14の下部に応力緩和層15aを形成することによっても(図3(A))、パッシベーション膜14のピーリング又はクラックを有効に防止することができる。そして、応力緩和層15aを設けることにより、パッシベーション膜14のピーリングやクラック等の悪影響を受けることなくパッシベーション膜14の膜厚を厚くすることができ、結果的に、極めて高いブロッキング効果を得ることができる。なお、応力緩和層15aは、積層構造を有するものであっても良い。
【0062】
ここで、応力緩和層15aとしては、応力の小さい有機材料や無機材料を適宜選択して用いることができる。例えば、SiNOは応力緩和層として好適である。また、SiO2、SiONを用いてもよい。他にも、α−NPD(単にNPDということもある。)やNPB(4,4’−ビス−[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル)、TPD等のEL素子において所謂正孔輸送、注入材料に分類されるような芳香族アミン類を用いることもできる。本実施の形態においては、応力緩和層15aの屈折率については、特に制限はなく材料を選択することができる。
【0063】
また、図3(B)のように、パッシベーション膜14の上下に応力緩和層15a(第1の応力緩和層)、応力緩和層15b(第2の応力緩和層)を設けても良い。ここで、応力緩和層15bは、実施の形態1に示した条件のものを用いればよい。一方、応力緩和層15aについては、特に制限はないが、上述した材料を選択して用いればよい。なお、応力緩和層15a、15bの材質は、同じでも異なっていても良い。
【0064】
このように、パッシベーション膜14の上下に応力緩和層を設けた場合には、パッシベーション膜14のピーリングやクラックを防止しつつ、光の取り出し効率を向上させることができる。
【実施例1】
【0065】
本実施例では、実施の形態1乃至3に係る発光素子を用いたアクティブマトリクス型表示装置(アクティブマトリクス型発光装置ともいう。以下同じ。)の構成について、図4、5を参照して説明する。本実施例に係る表示装置は、ソース線Sx(xは自然数、1≦x≦m)と、ゲート線Gy(yは自然数、1≦y≦n)が絶縁体を介して交差する領域に複数の素子を含む画素310を複数有する(図4(A))。画素310は、発光素子313と、容量素子316と、2つのトランジスタとを有する。2つのトランジスタのうち、1つは画素310に対するビデオ信号の入力を制御するスイッチング用のトランジスタ311であり、もう1つは発光素子313の点灯と非点灯を制御する駆動用のトランジスタ312である。容量素子316は、トランジスタ312のゲート・ソース間電圧を保持する機能を有する。
【0066】
トランジスタ311のゲート電極はゲート線Gyに接続し、ソース電極及びドレイン電極の一方はソース線Sxに接続し、他方はトランジスタ312のゲート電極に接続する。トランジスタ312のソース電極及びドレイン電極の一方は電源線Vx(xは自然数、1≦x≦l)を介して第1の電源317に接続し、他方は発光素子313の画素電極に接続する。発光素子313の対向電極(透明電極13)は第2の電源318に接続する。容量素子316はトランジスタ312のゲート電極とソース電極の間に設けられる。トランジスタ311、312の導電型は、N型とP型のどちらでもよいが、図示する構成では、トランジスタ311はN型、トランジスタ312はP型の場合を示す。第1の電源317の電位と第2の電源318の電位は特に制約されないが、発光素子313に順方向バイアス又は逆方向バイアスの電圧が印加されるように、互いに異なる電位に設定する。
【0067】
トランジスタ311、312を構成する半導体は、非晶質半導体(アモルファスシリコン)、微結晶半導体、結晶質半導体、有機半導体等のいずれでもよい。微結晶半導体は、シランガス(SiH4)とフッ素ガス(F2)を用いて形成するか、シランガスと水素ガスを用いて形成するか、上記に挙げたガスを用いて薄膜を形成後にレーザ光の照射を行って形成してもよい。トランジスタ311、312のゲート電極は、導電性材料により単層又は積層で形成する。例えば、窒化タングステン(WN)の上にタングステン(W)を積む積層構造や、モリブデン(Mo)の上にアルミニウム(Al)、Moを積む積層構造、窒化モリブデン(MoN)の上にMoを順に積む積層構造を採用するとよい。
【0068】
また図4(B)は、本実施例に係る表示装置の表示パネル部分の上面図である。図4(B)において、基板405上には、発光素子を含む画素(図4(A)で示した画素310)を複数有する表示領域400、ゲートドライバ401、ゲートドライバ402、ソースドライバ403及びFPC等の接続フィルム407が設けられる(図4(B))。接続フィルム407はICチップなどに接続する。
【0069】
図5は、図4(B)の表示パネルのA−Bにおける断面図を示している。図5(A)はトップエミッション型、図5(B)はデュアルエミッション型の表示パネルを示している。
【0070】
図5(A)、(B)ともに、表示領域400に設けられたトランジスタ312(図4(A)におけるトランジスタ311は省略する。)と、発光素子313、ソースドライバ403に設けられた素子群410を示している。また、316は、容量素子である。表示領域400、ゲートドライバ401、402及びソースドライバ403の周囲にはシール材408が設けられ、発光素子313は、シール材408と対向基板406により封止される。この封止処理は、発光素子313を水分から保護するための処理であり、ここではカバー材(ガラス、セラミックス、プラスチック、金属等)により封止する方法を用いるが、熱硬化性樹脂や紫外光硬化性樹脂を用いて封止する方法、金属酸化物や窒化物等のバリア能力が高い薄膜により封止する方法を用いてもよい。ただし、光の取り出し効率を向上させるために、空気又は実施の形態3における充填層17に対して屈折率が小さい材料を用いるのが望ましい。
【0071】
ここで、シール材408としては、代表的には紫外線硬化又は熱硬化のエポキシ樹脂を用いればよい。ここでは屈折率1.50、粘度500cps、ショアD硬度90、テンシル強度3000psi、Tg点150℃、体積抵抗1×1015Ω・cm、耐電圧450V/milである高耐熱のUVエポキシ樹脂(エレクトロライト社製:2500Clear)を用いる。
【0072】
また、発光素子313のうち、透明電極13は、図4(A)における第2の電源318に接続される。基板405上に形成される素子は、非晶質半導体に比べて移動度等の特性が良好な結晶質半導体(ポリシリコン)により形成することが好適であり、そうすると、同一表面上におけるモノリシック化が実現される。上記構成を有するパネルは、接続する外部ICの個数が減少するため、小型・軽量・薄型が実現される。
【0073】
なお、表示領域400は絶縁表面上に形成された非晶質半導体(アモルファスシリコン)をチャネル部としたトランジスタにより構成し、ゲートドライバ401、402及びソースドライバ403はICチップにより構成してもよい。ICチップは、COG方式により基板405上に貼り合わせたり、基板405に接続する接続フィルム407に貼り合わせたりしてもよい。非晶質半導体は、CVD法を用いることで、大面積の基板に簡単に形成することができ、かつ結晶化の工程が不要であることから、安価なパネルの提供を可能とする。また、この際、インクジェット法に代表される液滴吐出法により導電層を形成すると、より安価なパネルの提供を可能とする。
【0074】
ここで、図5(A)についてさらに詳説する。図5(A)に示す構成では、トランジスタ312及び素子群410上に、第1の層間絶縁膜411、第2の層間絶縁膜412、第3の層間絶縁膜413が設けられている。そして、第1の層間絶縁膜411、第2の層間絶縁膜412に設けられた開孔部を介して配線414が形成されている。配線414はトランジスタ312及び素子群410のソース配線若しくはドレイン配線、又は容量素子316の容量配線等として機能する。配線414としては、アルミニウム及びニッケルを含む合金を用いるのが望ましい。また、この合金に、さらに炭素、コバルト、鉄、珪素等を含有させても良い。これらの含有率は、例えば、炭素を0.1〜3.0原子%、ニッケル、コバルト、鉄のうち少なくとも一種以上の元素を0.5〜7.0原子%、珪素を0.5〜2.0原子%とするのがよい。この材料は、抵抗値が3.0〜5.0Ωcmと低いのが、特徴の一つである。
【0075】
ここで、配線414としてAlを用いた場合、画素電極11、例えばITOとの腐食が発生してしまうという問題がある。ただし、このような場合であっても、Al(又はAl−Si合金)をTi又はTiNで挟んだ積層構造をすることにより、ITOとの良好なコンタクトを獲得することができる。例えば、基板側からTiの上にAl、Tiの順に積層される積層構造とすればよい。これに対し、上記Al−C合金又はAl−C−Ni合金等は、その酸化還元電位がITO等の透明導電膜のそれと非常に近似しているため、積層構造としなくとも(Ti又はTiN等で挟持しなくとも)ITO等と直接接するコンタクトが可能である。配線414は、上記合金からなるターゲット材を用い、スパッタリング法を用いて形成することができる。また、上記合金に対し、レジストをマスクとしてエッチングを行う際には、ウエットエッチングによって行うのがよい。この場合、エッチャントとしては、リン酸等を用いることができる。なお、第2の電源318に接続される配線も、配線414と同様に形成することができる。
【0076】
さらに、第3の層間絶縁膜413に設けられた開孔部を介して画素電極11が形成されている。図5(A)はトップエミッション型であるので、画素電極11は、反射性導電膜を用いる。
【0077】
なお、第1乃至第3の層間絶縁膜の材質については特に制限はないが、例えば、第1の層間絶縁膜は無機材料、第2の及び第3の層間絶縁膜は有機材料とすればよい。この際、無機材料としては、酸化珪素、窒化珪素、酸窒化珪素、DLC或いは窒化炭素(CN)等の炭素を有する膜、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)、アルミナ膜等を用いることができる。形成方法としては、プラズマCVD法、減圧CVD(LPCVD)法、大気圧プラズマ等を用いることができる。あるいは、塗布法により得られるSOG膜(例えば、アルキル基を含むSiOx膜)を用いることもできる。
【0078】
一方、有機材料としては、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン等の感光性又は非感光性の有機材料や、シロキサン等の耐熱性有機樹脂、を用いることができる。形成方法としては、その材料に応じて、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷等)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター等を採用することができる。なお、上記材料を積層させて、第1乃至第3の層間絶縁膜を形成しても良い。
【0079】
画素電極11の周囲には、隔壁層409(土手、バンク、障壁などとも呼ばれる。)が形成されている。隔壁層409としては、感光性又は非感光性のポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジストまたはベンゾシクロブテン)等の有機樹脂材料や、シロキサン等の耐熱性有機樹脂、その他無機絶縁材料(SiN、SiO、SiON、SiNO等)、又はこれらの積層を用いることができる。ここでは窒化シリコン膜で覆われた感光性の有機樹脂を用いる。また、上記絶縁物として、感光性の光によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、又は光によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。
【0080】
なお、隔壁層409の側面形状については特に制限はないが、図5等に示すように、S字状を有しているのがよい。換言すれば隔壁層409の側面において、変曲点を有するような構造とするのが望ましい。これにより、画素電極11上に形成される電界発光層12、透明電極13等のカバレッジを良好にすることができる。ただし、これに限定されるものではなく、絶縁物の上端部のみに曲率半径を有する曲面を持たせる構造としても良い。
【0081】
さらに、画素電極11上には、実施の形態1乃至3の要領で、電界発光層12、透明電極13、パッシベーション膜14、応力緩和層15、低屈折率層16等が形成される。図示する構成では、実施の形態1を採用したが、これに限定されるものではない。例えば、空間415に、実施の形態3で説明した充填層17を設けても良い。また、パッシベーション膜14以上の層は基板全面に形成したが、勿論これに限定されるものではない。
【0082】
図5(A)に示す構造では、第2の層間絶縁膜412上にさらに、第3の層間絶縁膜413を設け、その上に画素電極11を形成しているため、発光素子313が形成される領域がトランジスタ312や配線414の形成領域によって制限されることなく、設計の自由度が増す。また、それによって、所望の開口率を有する表示装置を得ることができる。
【0083】
次に、図5(B)についてさらに詳説する。図5(B)に示す構成では、トランジスタ312及び素子群410上に、第1の層間絶縁膜411、第2の層間絶縁膜412が設けられている。そして、第1の層間絶縁膜411、第2の層間絶縁膜412に設けられた開孔部を介して配線414が形成されている。配線414はトランジスタ312及び素子群410のソース配線若しくはドレイン配線、又は容量素子316の容量配線等として機能する。さらに、少なくとも一の配線414を介して、トランジスタ312と画素電極11とが接続されている。図5(B)はデュアルエミッション型であるので、画素電極11は透光性導電膜を用いる。また、図示する構成では、配線414を形成した後に、画素電極11を形成しているが、その逆の構成としても良い。また、配線414と画素電極11を同一のレイヤー(層)で形成しても良い。
【0084】
なお、本実施例において、トランジスタ312上に設けられる第1の層間絶縁膜411は、主にNa、O2、水分等の不純物のトランジスタ312への侵入を阻止するバリア機能を有するため(該機能を有することから「キャップ絶縁膜」等と呼ばれることもある。)、できるだけ形成するのが望ましいが、省略することも可能である。
【0085】
画素電極11の周囲には、隔壁層409(土手、バンクなどとも呼ばれる。)が形成されている。さらに、画素電極11上には、実施の形態1乃至3の要領で、電界発光層12、透明電極13、パッシベーション膜14、応力緩和層15、低屈折率層16等が形成される。図示する構成では、実施の形態1を採用したが、これに限定されるものではない。例えば、空間415に、実施の形態3で説明した充填層17を設けても良い。
【0086】
また、本発明に係る発光素子は、透明電極13を通過させて発光させる上面出射型(又は両面出射型)である。例えば、透明電極13が陰極として機能する場合には、1nm〜10nmのアルミニウム膜、もしくはLiを微量に含むアルミニウム膜を用いるとよい。透明電極13としてAl膜を用いる構成とすると、電界発光層12と接する材料を酸化物以外の材料で形成することが可能となり、発光装置の信頼性を向上させることができる。また、1nm〜10nmのアルミニウム膜を形成する前に陰極バッファ層としてCaF2、MgF2、またはBaF2からなる透光性を有する層(膜厚1nm〜5nm)を形成してもよい。また、陰極の低抵抗化を図るため、透明電極13として、1nm〜10nmの金属薄膜と透明導電膜(ITO、酸化インジウム酸化亜鉛合金(In2O3―ZnO)、酸化亜鉛(ZnO)等)との積層構造としてもよい。或いは、陰極の低抵抗化を図るため、発光領域とならない領域の透明電極13上に補助電極を設けてもよい。また、陰極形成の際には蒸着による抵抗加熱法を用い、蒸着マスクを用いて選択的に形成すればよい。
【0087】
なお、第1及び第2の層間絶縁膜、配線414、隔壁層409等の材質、構成は、図5(A)に係る発明に準ずる。
【0088】
また、図5(B)では、画素電極11が容量素子404が形成される領域まで延在しており、画素電極11が容量素子404の容量電極の役割をも担っている。また、接続フィルム407を設ける位置が、図5(A)とは異なっており、第2の層間絶縁膜412上に形成されている。この際、接続フィルム407と素子群410とは、配線414を介して接続されている。かくして、デュアルエミッション型表示装置が得られる。
【0089】
なお、図5(A)、(B)に係る発明におけるそれぞれの特徴的部分は、相互に置換又は組み合わせて実施することができる。また、本実施例は、上記実施の形態及び他の実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例2】
【0090】
本実施例では、実施例1に係るアクティブマトリクス型表示装置の他の構成について、図6を参照して説明する。本実施例に係る表示装置は、各画素部にカラーフィルタが設けられ、実施例1における第2若しくは第3の層間絶縁膜、若しくは隔壁層409のうち少なくとも一の層に又はその層の一部に、カーボンや、遮光性を有する金属の粒子が添加されていることを特徴としている。以下、詳説する。
【0091】
まず、図6(A)に示すトップエミッション型表示装置は、対向基板406上にR、G、Bのカラーフィルタ90〜92を有する。カラーフィルタ90〜92は、公知の材料、公知の方法によって作成することができる。電界発光層の材料は、基本的には、白色発光が可能なものとする。また、第2の層間絶縁膜及び隔壁層として、アクリル、ポリイミド、シロキサン等の有機材料に、カーボン(炭素)又は金属の粒子を添加した遮光性を有する層間絶縁膜417及び遮光性を有する隔壁層416を用いた構成を有する。一方、第3の層間絶縁膜413は、アクリル、ポリイミド、シロキサン等の透明な有機樹脂を用いて形成されている。
【0092】
ここで、遮光性を有する層間絶縁膜417及び遮光性を有する隔壁層416は、振とう機や超音波振動器等を用いて、アクリル、ポリイミド、シロキサン等の有機材料に、カーボンや、遮光性を有する金属の粒子を添加して撹拌した後、必要に応じて濾過を行い、その後、スピンコート法を用いて形成される。有機材料にカーボン粒子や金属粒子を添加する際は、均一に混合されるように、界面活性剤や分散剤などを添加してもよい。また、カーボン粒子を添加する際は、カーボン粒子の濃度が重量パーセントで5〜15%となるように、その添加量を調節するとよい。また、スピンコート法で形成した後の薄膜をそのまま用いてもよいが、硬化を目的とした焼成を行ってもよい。成膜された薄膜の透過率は0%、又はほぼ0%近い値となる。また、反射率も0%、又はほぼ0%に近い値となる。
【0093】
なお、遮光性を有する層間絶縁膜417又は遮光性を有する隔壁層416は、その一部に透明な絶縁層を含んでいても良い。逆に、第3の層間絶縁膜は、その一部に遮光性を有する絶縁層を含んでいても良い。なお、画素電極11上には、実施の形態1乃至3の要領で、電界発光層12、透明電極13、パッシベーション膜14、応力緩和層15、低屈折率層16等が形成される。図示する構成では、実施の形態1を採用したが、これに限定されるものではない。例えば、空間415に、実施の形態3で説明した充填層17を設けても良い。また、第1の層間絶縁膜411、配線414の材質、構成は、実施例1に準ずる。
【0094】
図6(A)に示すトップエミッション型表示装置は、遮光性を有する層間絶縁膜417、遮光性を有する隔壁層416が設けられていることにより、発光層からの不要光(下面出射された光が反射することによって発生する光も含む。)により、画素間の輪郭がぼやけたりする影響を抑制することができる。つまり、遮光性を有する上記絶縁膜が不要光を吸収するために、画素間の輪郭が明瞭なものとなり、高精細な画像を表示することができる。また、遮光膜の配置により不要光による影響を抑制することができるために、偏光板が不要となり、小型化、軽量化、薄型化が実現される。また、不要光が、特に画素のトランジスタ形成領域にリークすることを防止することができ、信頼性の高いトランジスタによるアクティブマトリクス駆動が可能となる。
【0095】
次に、図6(B)に示すデュアルエミッション型表示装置は、基板405上に、トランジスタ312、第1の層間絶縁膜411が設けられ、さらに、遮光性を有する層間絶縁膜417が設けられた構成を有する。そして、遮光性を有する層間絶縁膜417には、発光層からの光を通過させるための開口部が設けられた後、該開口部に、赤、緑、青色の顔料を含み、かつ透光性を有する樹脂を充填することにより、カラーフィルタ93〜95が形成される。この顔料を含んだ樹脂は、液滴吐出法を用いて選択的に形成するのが望ましい。さらに、対向基板406には、図6(A)と同様に、R、G、Bのカラーフィルタ90〜92が設けられている。カラーフィルタ90〜92は、公知の材料、公知の方法によって作成することができる。
【0096】
また、第2層間絶縁膜及び隔壁層の一部として、アクリル、ポリイミド、シロキサン等の有機材料に、カーボン又は金属の粒子を添加した遮光性を有する層間絶縁膜417及び遮光性を有する隔壁層416を用いた構成を有する。隔壁層の残りの一部は、アクリル、ポリイミド、シロキサン等の透明な有機樹脂を用いて形成されている。なお、遮光性を有する層間絶縁膜417は、その一部に透明な絶縁層を含んでいても良い。
【0097】
ここで、遮光性を有する層間絶縁膜417及び遮光性を有する隔壁層416は、振とう機や超音波振動器等を用いて、アクリル、ポリイミド、シロキサン等の有機材料に、カーボンや、遮光性を有する金属の粒子を添加して撹拌した後、必要に応じて濾過を行い、その後、スピンコート法を用いて形成される。有機材料にカーボン粒子や金属粒子を添加する際は、均一に混合されるように、界面活性剤や分散剤などを添加してもよい。また、カーボン粒子を添加する際は、カーボン粒子の濃度が重量パーセントで5〜15%となるように、その添加量を調節するとよい。また、スピンコート法で形成した後の薄膜をそのまま用いてもよいが、硬化を目的とした焼成を行ってもよい。成膜された薄膜の透過率と反射率は、共に0%、又はほぼ0%に近い値となる。
【0098】
なお、画素電極11上には、実施の形態1乃至3の要領で、電界発光層12、透明電極13、パッシベーション膜14、応力緩和層15、低屈折率層16等が形成される。図示する構成では、実施の形態1を採用したが、これに限定されるものではない。例えば、空間415に、実施の形態3で説明した充填層17を設けても良い。また、第1の層間絶縁膜411、配線414の材質、構成は、実施例1に準ずる。
【0099】
図6(B)に示すデュアルエミッション型表示装置は、遮光性を有する層間絶縁膜417、遮光性を有する隔壁層416が設けられていることにより、発光層からの不要光により、画素間の輪郭がぼやけたりする影響を抑制することができる。つまり、遮光性を有する上記絶縁膜が不要光を吸収するために、画素間の輪郭が明瞭なものとなり、高精細な画像を表示することができる。また、遮光膜の配置により不要光による影響を抑制することができるために、偏光板が不要となり、小型化、軽量化、薄型化が実現される。また、不要光が、特に画素のトランジスタ形成領域にリークすることを防止することができ、信頼性の高いトランジスタによるアクティブマトリクス駆動が可能となる。
【0100】
また、通常、カラーフィルタを形成する場合には、その周囲にブラックマトリクス(R、G、Bの各画素を光学的に分離するための格子状又はストライプ状の遮光膜)を設ける。しかし、上述した図6(A)、(B)の構成に係る発明では、当該ブラックマトリクスを設けるべき箇所に対応して、遮光性を有する隔壁層416又は遮光性を有する層間絶縁膜417が形成されている。したがって、ブラックマトリクスを別途形成するのと比較して、本発明は、アライメントが取りやすくなることによって歩留まりが向上し、また、余分な工程を追加する必要がないためコスト削減につながる。
【0101】
なお、本実施例において、遮光性を有する隔壁層416、遮光性を有する層間絶縁膜417のうち、少なくとも一方が形成されていれば、発光層からの不要光による悪影響を抑制する等の上記効果を発揮することができる。勿論、両方形成されていることが望ましいことは言うまでもない。また、図6(A)、(B)に係る発明におけるそれぞれの特徴的部分は、相互に置換又は組み合わせて実施することができる。また、本実施例は、上記実施の形態及び他の実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例3】
【0102】
本実施例では、上記実施の形態に係る発光素子の構成の一例を示す。リファレンスのサンプルとして、基板側から陽極ITO(110nm)の上にα−NPD(40nm)、Alq3:DMQd(キナクリドン誘導体)(37.5nm)、Alq3(20nm)、BzOS:Li(20nm)、陰極ITO(110nm)の順に積層される構造を有するリファレンス用EL素子を作製した。さらに、陰極ITO上に、表1に示す層を形成したEL素子(本実施例では、パッシベーション膜の上下に応力緩和層が設けられた構造とした。)を作製し、電流密度2.5mA/cm2の電流を流し、上面出射される光の輝度を測定した。そして、リファレンス用EL素子について、同じ電流を流して得られた輝度(105.8cd/m2)と比較した結果、リファレンス用EL素子の輝度に対して、表1に示す輝度の上昇が観察された。
【表1】
【0103】
上記測定結果から、応力緩和層としては、特にSiNOを用いるのが好適であることが判った。また、リファレンス用EL素子においては、ダークスポットが発生し、信頼性としてはあまり良いものとは言えなかったが、陰極ITO上に表2に示す積層構造を有するEL素子においては、いずれもダークスポットは著しく減少し又はダークスポットは観察されず、信頼性としては良好であった。勿論、応力緩和層の存在により、パッシベーション膜であるSiN層のピーリング及びクラックは発生しなかった。
【0104】
なお、他の実施の形態又は実施例においても、本実施例のように、透明電極13とパッシベーション膜の間に、新たに応力緩和層を形成しても良い。この応力緩和層の材質は、パッシベーション膜上に設けられる応力緩和層と同じでも良いし、異なっていても良い。
【実施例4】
【0105】
本実施例では、本発明におけるパッシベーション膜14及び応力緩和層15の作製方法の一例について説明する。まず、パッシベーション膜14は、スパッタ法またはCVD法により得られる窒化珪素膜、酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、DLC膜、CN膜、またはこれらの積層とすることができる。特に、シリコンをターゲットとした高周波スパッタリング法により成膜される窒化珪素膜とすることが望ましい。また、シリコンターゲットを用いたRFスパッタ法により得られる緻密な窒化珪素膜は、ナトリウム、リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属がTFT(薄膜トランジスタ)のごとき能動素子を汚染して、しきい値電圧の変動等を効果的に防ぎ、且つ、水分や酸素に対して極めて高いブロッキング効果を有する。また、ブロッキング効果を高めるために、窒化珪素膜中における酸素及び水素含有量は10原子%以下、好ましくは1原子%以下とすることが望ましい。
【0106】
具体的なスパッタ条件は、窒素ガスまたは窒素と希ガスの混合ガスを用い、圧力を0.1〜1.5Pa、周波数を13MHz〜40MHz、電力を5〜20W/cm2、基板温度を室温〜350℃、シリコンターゲット(1〜10Ωcm)と基板との距離を40mm〜200mm、背圧を1×10−3Pa以下とする。さらに基板裏面に加熱された希ガスを吹き付けてもよい。例えば、流量比をAr:N2=20sccm:20sccmとし、圧力を0.8Pa、周波数を13.56MHz、電力を16.5W/cm2、基板温度を200℃、シリコンターゲットと基板との距離を60mm、背圧を3×10−5Paとして得られた緻密な窒化珪素膜は、エッチング速度(LAL500を用いて20℃でエッチングした際のエッチング速度をいう。以下、同じ。)が9nm以下(好ましくは、0.5〜3.5nm以下)と遅く、水素濃度が1×1021atoms/cm3以下(好ましくは、5×1020atoms/cm3以下)と低いという特徴を有している。なお、「LAL500」とは、橋本化成株式会社製「LAL500 SAバッファードフッ酸」であり、NH4HF2(7.13%)とNH4F(15.4%)の水溶液である。
【0107】
また、上記スパッタ法による窒化珪素膜の比誘電率は7.02〜9.3、屈折率は1.91〜2.13、内部応力は4.17×108dyn/cm2、エッチング速度は0.77〜1.31nm/minである。また、内部応力は、圧縮応力か引っ張り応力かで数値の正負の符号が変わるが、ここでは絶対値のみを取り扱う。また、上記スパッタ法による窒化珪素膜のRBSにより得られるSi濃度は37.3atomic%、N濃度は55.9atomic%である。また、上記スパッタ法による窒化珪素膜のSIMSによる水素濃度は4×1020atoms/cm3、酸素濃度は8×1020atoms/cm3、炭素濃度は、1×1019atoms/cm3である。また、上記スパッタ法による窒化珪素膜は可視光域において80%以上の透過率を有している。
【0108】
また、上記各構成において、前記炭素を主成分とする薄膜は、膜厚3〜50mのDLC膜、CN膜、またはアモルファスカーボン膜である。DLC膜は短距離秩序的には炭素間の結合として、SP3結合をもっているが、マクロ的にはアモルファス状の構造となっている。DLC膜の組成は炭素が70〜95原子%、水素が5〜30原子%であり、非常に硬く絶縁性に優れている。加えて、DLC膜は、化学的に安定で変化しにくい薄膜である。また、DLC膜の熱伝導率は200〜600W/m・K、屈折率は2.3〜2.4であり、駆動時に発生する発熱を放熱させることができる。このようなDLC膜は、水蒸気や酸素などのガス透過率が低いという特徴もある。また、微少硬度計による測定で、15〜25GPaの硬度を有することが知られている。
【0109】
DLC膜はプラズマCVD法(代表的には、RFプラズマCVD法、マイクロ波CVD法、電子サイクロトロン共鳴(ECR)CVD法、熱フィラメントCVD法など)、燃焼炎法、スパッタ法、イオンビーム蒸着法、レーザ蒸着法などで形成することができる。いずれの成膜方法を用いても、密着性良くDLC膜を形成することができる。DLC膜は基板をカソードに設置して成膜する。または、負のバイアスを印加して、イオン衝撃をある程度利用して緻密で硬質な膜を形成できる。DLC膜の成膜に用いる反応ガスは、水素ガスと、炭化水素からなるガス(例えばCH4、C2H2、C6H6など)とを用い、グロー放電によりイオン化し、負の自己バイアスがかかったカソードにイオンを加速衝突させて成膜する。こうすることにより、緻密で平滑なDLC膜を得ることができる。なお、このDLC膜は、可視光に対して透明もしくは半透明な絶縁膜である。本明細書において、可視光に対して透明とは可視光の透過率が80〜100%であることを指し、可視光に対して半透明とは可視光の透過率が50〜80%であることを指す。
【0110】
また、CN膜の成膜に用いる反応ガスは、窒素ガスと、炭化水素からなるガス(例えばC2H2、C2H4など)とを用いればよい。
【0111】
次に、応力緩和層15について説明する。応力緩和層は、MgO、SrO2、SrO、CaNなどの合金膜、またはα―NPD(4,4’−ビス−[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル)、BCP(バソキュプロイン)、MTDATA(4,4’,4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニル−アミノ)トリフェニルアミン)、Alq3(トリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体)などの有機化合物を含む材料膜を用いればよい。このように応力緩和層は、陰極と陽極とで挟まれた有機化合物を含む層(電界発光層)を構成する多層のうち、少なくとも一層と同一の材料を用いることができる。また、応力緩和層は、塗布法(インクジェット法やスピンコート法)により得られる有機化合物を含む高分子材料膜としてもよい。例えば、ポリアニリンやポリチオフェン誘導体(PEDOT)等を用いればよい。なお、上記材料はいずれも、膜応力が少なく、透明性を有する膜であることは勿論のことであるが、さらに吸湿性を有するという点で好適である。
【実施例5】
【0112】
本実施例では、実施例1に係るアクティブマトリクス型表示装置の他の構成について、図7を参照して説明する。図7(A)に示すアクティブマトリクス型表示装置は、対向基板406の上下面又は少なくともその一方の面に、低屈折率層418が設けられていることを特徴とする。低屈折率層418としては、空気よりも屈折率が高く、対向基板406(代表的には、ガラス基板)の屈折率(n=1.5)よりも低い、フッ化リチウム(LiF、n=1.30〜1.39)、フッ化マグネシウム(MgF2、n=1.38〜1.40)、フッ化カルシウム(CaF2、n=1.23〜1.45)、フッ化バリウム(BaF2、n=1.47)等を用いるとよい。なお、対向基板406の上下両面に低屈折率層418を設ける場合には、その材料は同じでも異なっていても良い。
【0113】
低屈折率層418として、LiFをガラス基板の両面に30nm成膜したものを対向基板として、1×1のEL素子を作製し、電流密度2.5mA/cm2で輝度の測定を行ったところ、陰極(透明電極13)の膜厚に拘わらず、約3%の輝度の上昇を観測できた。
【0114】
また、対向基板を(1)ガラスのみ、(2)低屈折率層の上にガラスを積層、(3)ガラスの上に低屈折率層を積層、(4)低屈折率層の上にガラス、低屈折率層を積層、の場合に分けて透過率を測定したところ、番号の順に透過率が向上する、つまり輝度が上昇することが判った。
【0115】
図7(B)に示すアクティブマトリクス型表示装置は、対向基板406の上下面又は少なくともその一方の面に、低屈折率層418が設けられ、さらに、発光素子313側の低屈折率層16と、対向基板406に設けられた低屈折率層418の間に、充填層17が設けられていることを特徴とする。低屈折率層418としては、図7(A)と同様の材料を用いることができる。また、充填層17としては、その屈折率が、低屈折率層16若しくは低屈折率層418の屈折率とほぼ同等の値、又は両者の中間の値を有していることが望ましい。例えば、低屈折率層16及び418がともにLiF(n=1.30〜1.39)である場合には、充填層17として、1.2〜1.5程度の屈折率を有する素材を用いるのがよい。例えば、フッ素を含む不活性液体のフロリナート(n=1.23〜1.31)を用いるのがよい。あるいは、ポリテトラフロオロエチレン(n=1.36)、(ポリメタクリル酸メチル(PMMA、n=1.49)、フッ素を含むポリマー(n=1.35〜1.43)の膜を用いてもよい。
【0116】
ただし、両方の低屈折率層の屈折率とほぼ同等の値、又は中間の値を有するものであれば、上記材料に限定されるものではない。また、屈折率の下限については、空気(n=1)よりも大きいものであれば、充填層17を設ける効果が発揮されるので、1.2程度以下でも構わない。充填層17は、低屈折率層418が形成された対向基板406によって発光素子を封止した後、液体を真空下で注入することによって形成することができる。あるいは、インクジェット法に代表される液滴吐出法、滴下法、印刷法、塗布法等を用いて作製することができる。
【0117】
なお、本実施例においては、アクティブマトリクス型表示装置の場合について説明したが、実施の形態1乃至3に係る発明の技術的特徴を有し、かつ、対向基板に低屈折率層を形成した構成を有するものであれば、パッシブ型表示装置にも適用することができる。なお、図7に示す発明の他の構成は、他の実施の形態又は実施例に準ずる。また、本実施例は、上記実施の形態及び他の実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例6】
【0118】
本実施例では、図4(A)に示した画素回路以外で、本発明に適用可能な画素回路の例について、図8を参照して説明する。図8(A)は、図4(A)に示した画素310に、消去用のトランジスタ340と、消去用のゲート線Ryを新たに設けた構成の画素回路である。トランジスタ340の配置により、強制的に発光素子313に電流が流れない状態を作ることができるため、全ての画素310に対する信号の書き込みを待つことなく、書き込み期間の開始と同時又は直後に点灯期間を開始することができる。従って、デューティ比が向上して、動画の表示は特に良好に行うことができる。
【0119】
図8(B)は、図4(A)に示した画素310のトランジスタ312を削除して、新たに、トランジスタ341、342と、電源線Vax(xは自然数、1≦x≦l)を設けた画素回路である。電源線Vaxは電源343に接続する。本構成では、トランジスタ341のゲート電極を一定の電位に保持した電源線Vaxに接続することにより、トランジスタ341のゲート電極の電位を固定にし、なおかつ飽和領域で動作させる。また、トランジスタ342は線形領域で動作させて、そのゲート電極には、画素の点灯又は非点灯の情報を含むビデオ信号を入力する。線形領域で動作するトランジスタ342のソースドレイン間電圧の値は小さいため、トランジスタ342のゲート・ソース間電圧の僅かな変動は、発光素子313に流れる電流値には影響を及ぼさない。従って、発光素子313に流れる電流値は、飽和領域で動作するトランジスタ341により決定される。上記構成を有する本発明は、トランジスタ341の特性バラツキに起因した発光素子313の輝度ムラを改善して画質を高めることができる。本実施例は、上記実施の形態及び他の実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例7】
【0120】
本実施例では、図9を参照して、上記実施例における配線414(第2の電源318を含む。本実施例において以下同じ。)及び画素電極11の積層構造について説明する。図9の各図は、画素領域の発光素子の一部分のみ抽出して示したものであり、パッシベーション膜、応力緩和層、低屈折率層等の図示は省略した。
【0121】
図9(A)は、配線としてMo600、アルミニウムを含む合金601の積層構造とし、画素電極11としてITO602とした場合を示している。アルミニウムを含む合金601としては、アルミニウムに、炭素、ニッケル、コバルト、鉄、珪素等を含有させたものが望ましい。これらの含有率は、例えば、炭素を0.1〜3.0原子%、ニッケル、コバルト、鉄のうち少なくとも一種以上の元素を0.5〜7.0原子%、珪素を0.5〜2.0原子%とするのがよい。この材料は、抵抗値が3.0〜5.0Ωcmと低いのが、特徴の一つである。なお、ここでMo600は、バリアメタルとして機能する。
【0122】
このように、アルミニウムを含む合金601にニッケル、コバルト、鉄のうち少なくとも一種以上の元素を0.5%以上含有させた場合には、ITO602の電極電位に近づけることができ、ITO602と直接接してコンタクトが可能になる。また、アルミニウムを含む合金601の耐熱性も向上する。また、炭素の含有量を0.1%以上とすることにより、ヒロックの発生を抑制することができる。また、珪素を含有させた場合にも、高温で加熱処理した際でも、ヒロックが発生しにくくなるというメリットがある。
【0123】
図9(B)は、配線としてアルミニウムを含む合金603を用い、画素電極11としてITO602を用いる場合を示している。ここでは、アルミニウムを含む合金603は、少なくともニッケルを含む構成とする。このアルミニウムを含む合金603を形成した後、該合金に含まれるニッケルがしみ出してきて、画素領域を駆動させるための能動素子(例えば、TFT)のシリコン半導体層608のSiと化学反応することにより、ニッケルシリサイド607が形成され、接合性が向上するというメリットがある。
【0124】
図9(C)は、配線としてアルミニウムを含む合金604を、画素電極11としてITO605を積層させた場合を示している。特に、両者の組合せの積層構造を採用した場合、平坦性が著しく向上することが実験的に判った。例えば、Al−Si合金の上にTiNを形成した配線とITOの積層構造、Al−Si合金の上にTiNを形成した配線とITSOの積層構造の場合と比較すると、その平坦性は約2倍の良好さを示した。
【0125】
図9(D)は、配線として、また画素電極として、ともにアルミニウムを含む合金604、606を用いた場合を示している。
【0126】
上記アルミニウムを含む合金は、ウエットエッチングによって簡単にパターニング形成ができることから、その用途は、配線、画素電極を問わず幅広く利用できる。ただし、上記アルミニウムを含む合金は、反射性に優れているため、トップエミッション型とする場合には好適である。また、デュアルエミッション型表示装置とする場合には、配線又は画素電極を光が透過できるように、薄膜として形成する必要がある。なお、本実施例は、上記実施の形態及び他の実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例8】
【0127】
本発明に係る発光素子を含む画素領域を備えた表示装置を用いた電子機器として、テレビジョン装置(テレビ、テレビジョン受信機)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話装置(携帯電話機)、PDA等の携帯情報端末、携帯型ゲーム機、モニタ、コンピュータ、カーオーディオ等の音響再生装置、家庭用ゲーム機等の記録媒体を備えた画像再生装置等が挙げられる。その具体例について、図10を参照して説明する。
【0128】
図10(A)に示す本発明の表示装置を用いた携帯情報端末は、本体9201、表示部9202等を含み、本発明により高精細な画像を表示することができる。図10(B)に示す本発明の表示装置を用いたデジタルビデオカメラは、表示部9701、9702等を含み、本発明により高精細な画像を表示することができる。図10(C)に示す本発明の表示装置を用いた携帯端末は、本体9101、表示部9102等を含み、本発明により高精細な画像を表示することができる。図10(D)に示す本発明の表示装置を用いた携帯型のテレビジョン装置は、本体9301、表示部9302等を含み、本発明により高精細な画像を表示することができる。図10(E)に示す本発明の表示装置を用いた携帯型のコンピュータは、本体9401、表示部9402等を含み、本発明により高精細な画像を表示することができる。図10(F)に示す本発明の表示装置を用いたテレビジョン装置は、本体9501、表示部9502等を含み、本発明により高精細な画像を表示することができる。また、上記実施例のように、遮光性を有する層間絶縁膜又は遮光性を有する隔壁層を設けた場合には、不要光による影響を抑制することができるために、偏光板が不要となり、小型化、軽量化、薄型化が実現される。
【0129】
ここで、上記テレビジョン装置の主要な構成について、図11のブロック図を用いて簡単に説明する。図中、EL表示パネル801は、本発明に係る表示装置を用いて作製されており、さらにEL表示パネル801と外部回路との接続方法として、(1)表示パネルの画素部と走査線側駆動回路803を基板上に一体形成し、さらに信号線側駆動回路802を別途ドライバICとして実装する場合、(2)表示パネルの画素部のみが形成されて走査線側駆動回路803と信号線側駆動回路802とがTAB方式により実装される場合、(3)表示パネルの画素部とその周辺に走査線側駆動回路803と信号線側駆動回路802とがCOG方式により実装される場合、などがあるが、どのような形態としても良い。
【0130】
その他の外部回路の構成として、映像信号の入力側では、チューナ804で受信した信号のうち、映像信号を増幅する映像波増幅回路805と、そこから出力される信号を赤、緑、青の各色に対応した色信号に変換する映像信号処理回路806と、その映像信号をドライバICの入力仕様に変換するためのコントロール回路807などからなっている。コントロール回路807は、走査線側と信号線側にそれぞれ信号が出力する。デジタル駆動する場合には、信号線側に信号分割回路808を設け、入力デジタル信号をm個に分割して供給する構成としても良い。
【0131】
チューナ804で受信した信号のうち、音声信号は、音声波増幅回路809に送られ、その出力は音声信号処理回路810を経てスピーカ813に供給される。制御回路811は受信局(受信周波数)や音量の制御情報を入力部812から受け、チューナ804や音声信号処理回路810に信号を送出する。
【0132】
このような外部回路と、EL表示パネルを筐体に組みこんで、図10(F)に示すようなテレビ受像機を完成させることができる。勿論、本発明はテレビ受像機に限定されず、パーソナルコンピュータのモニタをはじめ、鉄道の駅や空港などにおける情報表示盤や、街頭における広告表示盤など特に大面積の表示媒体として様々な用途に適用することができる。なお、本実施例は、上記実施の形態又は他の実施例と自由に組み合わせることができる。
【実施例9】
【0133】
本発明の表示装置は、メモリや処理回路などの機能回路やアンテナコイルを搭載することで、非接触でデータの送受信が可能なIDカードとして用いることができる。そのようなIDカードの構成の一例について図面を参照して説明する。
【0134】
図12(A)に、本発明に係る表示装置を内蔵したIDカードの一形態を示す。図12(A)に示すIDカードは、非接触で端末装置のリーダ/ライタとデータの送受信を行う非接触型である。101はカード本体であり、102はカード本体101に搭載されている表示装置の画素部に相当する。
【0135】
図12(B)に、図12(A)に示したカード本体101に含まれるカード基板103の構成を示す。カード基板103には、薄膜の半導体膜で形成されたIDチップ104と、上記実施の形態又は実施例に係る表示装置105とが貼り合わされている。IDチップ104と表示装置105は共に別途用意された基板上において形成された後、カード基板103上に転写されたものである。転写方法としては、多数のTFTからなる薄膜集積回路を作製した後、小型真空ピンセット等を用いて、貼り付ける方法や、UV光照射法を用いて選択的に貼り付ける方法などがある。また、表示装置における画素部や駆動回路部についても、同様に行うことができる。IDチップ104と表示装置105とを含む、薄膜の半導体膜を用いて形成され、なおかつ形成後にカード基板に転写される部分を、薄膜部107と呼ぶ。
【0136】
またカード基板103には、TFTを用いて作製された集積回路106が実装されている。集積回路106の実装の仕方は、特に限定されるものではなく、公知のCOG方法やワイヤボンディング方法、或いはTAB方法などを用いることができる。集積回路106は、薄膜部107と、カード基板103に形成された配線108を介して電気的に接続されている。
【0137】
またカード基板103上には、集積回路106と電気的に接続されたアンテナコイル109が形成されている。アンテナコイル109により、端末装置との間のデータの送受信を、電磁誘導を用いて非接触で行うことができるので、非接触型のIDカードは接触型に比べてIDカードが物理的な磨耗による損傷を受けにくい。さらに非接触型のIDカードは、非接触にて情報の管理を行うタグ(無線タグ)としても用いることができる。非接触型のIDカードは、同じく非接触で情報の読み取りができるバーコードに比べて、管理可能な情報量が飛躍的に高い。また情報を読み取ることができる端末装置との間の距離を、バーコードを用いた場合に比べて長くすることができる。
【0138】
なお図12(B)では、アンテナコイル109をカード基板103上に形成した例を示しているが、別途作製しておいたアンテナコイルをカード基板103に実装するようにしても良い。例えば銅線などをコイル状に巻き、100μm程度の厚さを有する2枚のプラスチックフィルムの間に該銅線を挟んでプレスしたものを、アンテナコイルとして用いることができる。また、薄膜集積回路の中に、アンテナコイルを作りこんでおいても良い。また、図12(B)では、1つのIDカードにアンテナコイル109が1つだけ用いられているが、アンテナコイル109が複数用いられていても良い。
【0139】
なお、図12では表示装置105を搭載したIDカードの形態を示しているが、この構成に限定されるものではなく、必ずしも表示装置を設ける必要はない。ただし、表示装置を設けることで、顔写真のデータを表示装置において表示させることができ、印刷法を用いた場合に比べて顔写真のすり替えを困難にすることができる。また顔写真以外の情報を表示することができ、IDカードの高機能化を実現することができる。
【0140】
なお、カード基板103には、可撓性を有するプラスチック基板を用いることができる。プラスチック基板としては、極性基のついたノルボルネン樹脂からなるARTON:JSR製を用いることができる。また、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミドなどのプラスチック基板を用いることができる。
【0141】
なお、本実施例では、IDチップと薄膜集積回路との間の電気的な接続は、図12において示した形態に限定されない。例えば、カード基板上に形成された配線を介すのではなく、IDチップの端子と薄膜集積回路の端子とを異方性の導電性樹脂やハンダなどで直接接続するようにしても良い。
【0142】
また図12において、薄膜集積回路と、カード基板に形成された配線との間の接続は、ワイヤボンディング法、ソルダーボールを用いたフリップチップ法で接続しても良いし、異方性の導電性樹脂やハンダなどで直接接続しても良いし、その他の方法を用いて接続しても良い。なお、本実施例は、上記実施の形態及び他の実施例と自由に組み合わせることができる。また、本発明に係る表示装置は、IDカードのみならず、IDタグ、無線チップ、無線タグ等の半導体装置に組み込んで使用することもできる。
【実施例10】
【0143】
上述した本発明の発光素子は、表示機能を有する発光装置の画素部や、照明機能を有する発光装置の照明部に適用することができる。本実施例では、表示機能を有する発光装置の回路構成および駆動方法について図13〜16を用いて説明する。
【0144】
図13は本発明を適用した発光装置を上面からみた模式図である。図13において、基板6500上には、画素部6511と、ソース信号線駆動回路6512と、書込用ゲート信号線駆動回路6513と、消去用ゲート信号線駆動回路6514とが設けられている。ソース信号線駆動回路6512と、書込用ゲート信号線駆動回路6513と、消去用ゲート信号線駆動回路6514とは、それぞれ、配線群を介して、外部入力端子であるFPC(フレキシブルプリントサーキット)6503と接続している。そして、ソース信号線駆動回路6512と、書込用ゲート信号線駆動回路6513と、消去用ゲート信号線駆動回路6514とは、それぞれ、FPC6503からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。またFPC6503にはプリント配線基盤(PWB)6504が取り付けられている。なお、駆動回路部は、上記のように必ずしも画素部6511と同一基板上に設けられている必要はなく、例えば、配線パターンが形成されたFPC上にICチップを実装したもの(TCP)等を利用し、基板外部に設けられていてもよい。
【0145】
画素部6511には、列方向に延びた複数のソース信号線が行方向に並んで配列している。また、電流供給線が行方向に並んで配列している。また、画素部6511には、行方向に延びた複数のゲート信号線が列方向に並んで配列している。また画素部6511には、発光素子を含む一組の回路が複数配列している。
【0146】
図14は、一画素を動作するための回路を表した図である。図14に示す回路には、第1のトランジスタ901と第2のトランジスタ902と発光素子903とが含まれている。第1のトランジスタ901と、第2のトランジスタ902とは、それぞれ、ゲート電極と、ドレイン領域と、ソース領域とを含む三端子の素子であり、ドレイン領域とソース領域の間にチャネル領域を有する。ここで、ソース領域とドレイン領域とは、トランジスタの構造や動作条件等によって変わるため、いずれがソース領域またはドレイン領域であるかを限定することが困難である。そこで、本形態においては、ソースまたはドレインとして機能する領域を、それぞれ第1電極、第2電極と表記する。
【0147】
ゲート信号線911と、書込用ゲート信号線駆動回路913とはスイッチ918によって電気的に接続または非接続の状態になるように設けられている。また、ゲート信号線911と、消去用ゲート信号線駆動回路914とはスイッチ919によって電気的に接続または非接続の状態になるように設けられている。また、ソース信号線912は、スイッチ920によってソース信号線駆動回路915または電源916のいずれかに電気的に接続するように設けられている。そして、第1のトランジスタ901のゲートはゲート信号線911に電気的に接続している。また、第1のトランジスタ901の第1電極はソース信号線912に電気的に接続し、第2電極は第2のトランジスタ902のゲート電極と電気的に接続している。第2のトランジスタ902の第1電極は電流供給線917と電気的に接続し、第2電極は発光素子903に含まれる一の電極と電気的に接続している。なお、スイッチ918は、書込用ゲート信号線駆動回路913に含まれていてもよい。またスイッチ919についても消去用ゲート信号線駆動回路914の中に含まれていてもよい。また、スイッチ920についてもソース信号線駆動回路915の中に含まれていてもよい。
【0148】
また画素部におけるトランジスタや発光素子等の配置について特に限定はないが、例えば図15の上面図に表すように配置することができる。図15において、第1のトランジスタ1001の第1電極はソース信号線1004に接続し、第2の電極は第2のトランジスタ1002のゲート電極に接続している。また第2のトランジスタ1002の第1電極は電流供給線1005に接続し、第2電極は発光素子の電極1006に接続している。ゲート信号線1003の一部は第1のトランジスタ1001のゲート電極として機能する。
【0149】
次に、駆動方法について説明する。図16は時間経過に伴ったフレームの動作について説明する図である。図16において、横方向は時間経過を表し、縦方向はゲート信号線の走査段数を表している。
【0150】
本発明の発光装置を用いて画像表示を行うとき、表示期間においては、画面の書き換え動作と表示動作とが繰り返し行われる。この書き換え回数について特に限定はないが、画像をみる人がちらつき(フリッカ)を感じないように少なくとも1秒間に60回程度とすることが好ましい。ここで、一画面(1フレーム)の書き換え動作と表示動作を行う期間を1フレーム期間という。
【0151】
1フレームは、図16に示すように、書き込み期間501a、502a、503a、504aと保持期間501b、502b、503b、504bとを含む4つのサブフレーム501、502、503、504に時分割されている。発光するための信号を与えられた発光素子は、保持期間において発光状態となっている。各々のサブフレームにおける保持期間の長さの比は、第1のサブフレーム501:第2のサブフレーム502:第3のサブフレーム503:第4のサブフレーム504=23:22:21:20=8:4:2:1となっている。これによって4ビット階調を表現することができる。但し、ビット数及び階調数はここに記すものに限定されず、例えば8つのサブフレームを設け8ビット階調を行えるようにしてもよい。
【0152】
1フレームにおける動作について説明する。まず、サブフレーム501において、1行目から最終行まで順に書き込み動作が行われる。従って、行によって書き込み期間の開始時間が異なる。書き込み期間501aが終了した行から順に保持期間501bへと移る。当該保持期間において、発光するための信号を与えられている発光素子は発光状態となっている。また、保持期間501bが終了した行から順に次のサブフレーム502へ移り、サブフレーム501の場合と同様に1行目から最終行まで順に書き込み動作が行われる。以上のような動作を繰り返し、サブフレーム504の保持期間504b迄終了する。サブフレーム504における動作を終了したら次のフレームへ移る。このように、各サブフレームにおいて発光した時間の積算時間が、1フレームにおける各々の発光素子の発光時間となる。この発光時間を発光素子ごとに変えて一画素内で様々に組み合わせることによって、明度および色度の異なる様々な表示色を形成することができる。
【0153】
サブフレーム504のように、最終行目までの書込が終了する前に、既に書込を終え、保持期間に移行した行における保持期間を強制的に終了させたいときは、保持期間504bの後に消去期間504cを設け、強制的に非発光の状態となるように制御することが好ましい。そして、強制的に非発光状態にした行については、一定期間、非発光の状態を保つ(この期間を非発光期間504dとする。)。そして、最終行目の書込期間が終了したら直ちに、一行目から順に次の(またはフレーム)の書込期間に移行する。なお、このようにある行の画素では書き込みを行い、またある行の画素には画素を非発光の状態にする消去信号を入力するには、図18に示すように、1水平期間を2つに分割し、一方の期間を書き込みにあて、他方の期間を消去にあてる。分割された水平期間内で、各々のゲート信号線911を選択し、そのときに対応する信号をソース信号線912に入力する。例えば、ある1水平期間において、前半はi行目を選択し、後半はj行目を選択する。すると、1水平期間において、あたかも同時に2行分を選択したかのように動作させることが可能となる。つまり、それぞれの1水平期間の書き込み期間を用いて、書き込み期間501a〜504aに画素へ映像信号を書き込む。そして、このときの1水平期間の消去期間には画素を選択しない。また、別の1水平期間の消去期間を用いて消去期間504cに画素へ書き込まれた信号を消去する。このときの1水平期間の書き込み期間には画素を選択しない。これによって、開口率の高い画素を有する表示装置を提供することができ、歩留まりの向上を図ることができる。
【0154】
なお、本実施例では、サブフレーム501乃至504は保持期間の長いものから順に並んでいるが、必ずしも本実施例のような並びにする必要はなく、例えば保持期間の短いものから順に並べられていてもよいし、または保持期間の長いものと短いものとがランダムに並んでいてもよい。また、サブフレームは、さらに複数のフレームに分割されていてもよい。つまり、同じ映像信号を与えている期間、ゲート信号線の走査を複数回行ってもよい。
【0155】
ここで、書込期間および消去期間における、図14で示す回路の動作について説明する。まず書込期間における動作について説明する。書込期間において、i行目(iは自然数)のゲート信号線911は、スイッチ918を介して書込用ゲート信号線駆動回路913と電気的に接続し、消去用ゲート信号線駆動回路914とは非接続である。また、ソース信号線912はスイッチ920を介してソース信号線駆動回路915と電気的に接続している。ここで、i行目のゲート信号線911に接続した第1のトランジスタ901のゲートに信号が入力され、第1のトランジスタ901はオンとなる。そして、この時、1列目から最終列目迄のソース信号線に同時に映像信号が入力される。なお、各列のソース信号線912から入力される映像信号は互いに独立したものである。ソース信号線912から入力された映像信号は、各々のソース信号線に接続した第1のトランジスタ901を介して第2のトランジスタ902のゲート電極に入力される。この時、第2のトランジスタ902のゲート電極に入力された信号によって、第2のトランジスタ902のオンオフが制御される。そして、第2のトランジスタ902がオンすると発光素子903に電圧が印加され、発光素子903に電流が流れる。つまり、第2のトランジスタ902のゲート電極に入力する信号によって、発光素子903の発光又は非発光が決まる。例えば、第2のトランジスタ902がPチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にLow Levelの信号が入力されることによって発光素子903が発光する。一方、第2のトランジスタ902がNチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にHigh Levelの信号が入力されることによって発光素子903が発光する。
【0156】
次に消去期間における動作について説明する。消去期間において、j行目(jは自然数)のゲート信号線911は、スイッチ919を介して消去用ゲート信号線駆動回路914と電気的に接続し、書込用ゲート信号線駆動回路913とは非接続である。また、ソース信号線912はスイッチ920を介して電源916と電気的に接続している。ここで、j行目のゲート信号線911に接続した第1のトランジスタ901のゲートに信号が入力され、第1のトランジスタ901はオンとなる。そして、この時、1列目から最終列目迄のソース信号線に同時に消去信号が入力される。ソース信号線912から入力された消去信号は、各々のソース信号線に接続した第1のトランジスタ901を介して第2のトランジスタ902のゲート電極に入力される。この時第2のトランジスタ902のゲート電極に入力された消去信号によって、第2のトランジスタ902はオフし、電流供給線917から発光素子903への電流の供給が阻止される。そして、発光素子903は強制的に非発光となる。例えば、第2のトランジスタ902がPチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にHigh Levelの信号が入力されることによって発光素子903は非発光となる。一方、第2のトランジスタ902がNチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にLow Levelの信号が入力されることによって発光素子903は非発光となる。
【0157】
なお、消去期間では、j行目については、以上に説明したような動作によって消去する為の信号を入力する。しかし、前述のように、j行目が消去期間であると共に、他の行(i行目とする。)については書込期間となる場合がある。このような場合、同じ列のソース信号線を利用してj行目には消去の為の信号を、i行目には書込の為の信号を入力する必要があるため、以下に説明するような動作をさせることが好ましい。
【0158】
消去期間における動作によって、j−1行目の発光素子903が非発光となった後、直ちに、ゲート信号線911と消去用ゲート信号線駆動回路914とを非接続の状態とすると共に、スイッチ920を切り替えてソース信号線912とソース信号線駆動回路915と接続させる。そして、ソース信号線912とソース信号線駆動回路915とを接続させると共に、スイッチ918を切り替えてゲート信号線911と書込用ゲート信号線駆動回路913とを接続させる。そして、書込用ゲート信号線駆動回路913からi行目のゲート信号線911に選択的に信号が入力され、第1のトランジスタ901がオンすると共に、ソース信号線駆動回路915からは、1列目から最終列目迄のソース信号線912に書込の為の映像信号が入力される。この映像信号によって、i行目の発光素子903は、発光または非発光となる。
【0159】
以上のようにしてi行目について書込期間を終えたら、直ちに、j行目の消去期間に移行する。その為にスイッチ918を切り替えて、ゲート信号線と書込用ゲート信号線駆動回路913を非接続とすると共に、スイッチ920を切り替えてソース信号線を電源916と接続する。また、ゲート信号線911と書込用ゲート信号線駆動回路913を非接続とすると共に、ゲート信号線911については、スイッチ919を切り替えて消去用ゲート信号線駆動回路914と接続状態にする。そして、消去用ゲート信号線駆動回路914からj行目のゲート信号線911に選択的に信号を入力して第1のトランジスタ901がオンすると共に、電源916から消去信号が入力される。そして、消去信号により、発光素子903は強制的に非発光となる。このようにして、j行目の消去期間を終えたら、直ちに、i+1行目の書込期間に移行する。以下、同様に、消去期間と書込期間とを繰り返し、最終行目の消去期間まで動作させればよい。
【0160】
なお、本形態では、j―1行目の消去期間とj行目の消去期間との間にi行目の書込期間を設ける態様について説明したが、これに限らず、j行目の消去期間とj+1行目の消去期間との間にi行目の書込期間を設けてもよい。
【0161】
また、本形態では、サブフレーム504のように非発光期間504dを設ける場合において、消去用ゲート信号線駆動回路914と或る一のゲート信号線とを非接続状態にすると共に、書込用ゲート信号線駆動回路913と他のゲート信号線とを接続状態にする動作を繰り返している。このような動作は、特に非発光期間を設けないフレームにおいて行っても構わない。なお、本実施例は、上記実施の形態又は他の実施例と自由に組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明に係る発光素子は、パッシベーション膜の上面又は下面に接して応力緩和層が形成されていることにより、パッシベーション膜のピーリングやクラック等の悪影響を受けることなくパッシベーション膜の膜厚を厚くすることができ、結果的に、極めて高いブロッキング効果を得ることができる。したがって、信頼性が高い発光素子を、高歩留まりで提供することができる。また、パッシベーション膜の上面に応力緩和層を設けた場合(両面に設けた場合を含む。)には、低屈折率層の屈折率を応力緩和層の屈折率よりも小さくすることにより、応力緩和層と空間の間の屈折率の差を低減させることができ、外部の空間への光の取り出し効率を向上させることができる。
【0163】
上記作用効果を有する発光素子はELディスプレイに代表される表示装置に採用することができる。該表示装置は、互いに直交するように設けられた2種類のストライプ状電極の間に電界発光層を形成する方式(単純マトリクス方式)、又はTFTに接続されマトリクス状に配列された画素電極と対向電極との間に電界発光層を形成する方式(アクティブマトリクス方式)の2種類に大別されるが、本発明に係る発光素子は、単純マトリクス方式とアクティブマトリクス方式のいずれにも適用することができる。また、上記表示装置は、あらゆる電子機器やIDカード等のユビキタス製品に搭載することができ、本発明の利用可能性は極めて多岐に渡る。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】本発明に係る発光素子の構成を説明する図
【図2】本発明に係る発光素子の構成を説明する図(充填層を設けた場合)
【図3】本発明に係る発光素子の構成を説明する図(パッシベーション膜の下部に応力緩和層を設けた場合)
【図4】本発明に係る表示装置の画素領域の等価回路図及び表示装置の表示パネル部分の上面図
【図5】本発明に係る表示装置の断面図
【図6】本発明に係る表示装置の断面図(カラーフィルタを設けた場合)
【図7】本発明に係る表示装置の断面図(対向基板に低屈折率層を設けた場合)
【図8】本発明に係る表示装置の画素領域の等価回路図
【図9】配線を積層構造とした場合を示す断面図
【図10】本発明に係る表示装置を用いた電子機器を示す図
【図11】本発明に係る表示装置を用いたテレビジョン装置の主要な構成を示すブロック図
【図12】本発明に係る表示装置を用いたIDカードを説明する図
【図13】本発明に係る発光装置の上面図
【図14】本発明に係る発光装置における一画素を動作するための回路を表した図
【図15】本発明に係る発光装置における画素領域の上面図
【図16】時間経過に伴ったフレームの動作について説明する図
【図17】従来の発光素子の構成を説明する図
【図18】1水平期間にゲート信号線を複数同時に選択する方法を説明する図
【符号の説明】
【0165】
1:基板
2:電極
3:正孔輸送層
4:発光層
5:電子注入層
6:透明電極
7:防湿層
8:反射防止層
10:基板
11:画素電極
12:電界発光層
13:透明電極
14:パッシベーション膜
14a:窒化珪素膜
14b:酸化珪素膜
14c:窒化珪素膜
15:応力緩和層
15a:応力緩和層
15b:応力緩和層
16:低屈折率層
17:充填層
18:対向基板
90:カラーフィルタ
91:カラーフィルタ
92:カラーフィルタ
93:カラーフィルタ
94:カラーフィルタ
95:カラーフィルタ
101:カード本体
102:画素部
103:カード基板
104:IDチップ
105:表示装置
106:集積回路
107:薄膜部
108:配線
109:アンテナコイル
310:画素
311:トランジスタ
312:トランジスタ
313:発光素子
316:容量素子
317:第1の電源
318:第2の電源
340:トランジスタ
341:トランジスタ
342:トランジスタ
343:電源
400:表示領域
401:ゲートドライバ
402:ゲートドライバ
403:ソースドライバ
404:容量素子
405:基板
406:対向基板
407:接続フィルム
408:シール材
409:隔壁層
410:素子群
411:第1の層間絶縁膜
412:第2の層間絶縁膜
413:第3の層間絶縁膜
414:配線
415:空間
416:遮光性を有する隔壁層
417:遮光性を有する層間絶縁膜
418:低屈折率層
501:サブフレーム
501a:書き込み期間
501b:保持期間
502:サブフレーム
502a:書き込み期間
502b:保持期間
503:サブフレーム
503a:書き込み期間
503b:保持期間
504:サブフレーム
504a:書き込み期間
504b:保持期間
504c:消去期間
504d:非発光期間
600:Mo
601:アルミニウムを含む合金
602:ITO
603:アルミニウムを含む合金
604:アルミニウムを含む合金
605:ITO
606:アルミニウムを含む合金
607:ニッケルシリサイド
608:シリコン半導体層
801:EL表示パネル
802:信号線側駆動回路
803:走査線側駆動回路
804:チューナ
805:映像波増幅回路
806:映像信号処理回路
807:コントロール回路
808:信号分割回路
809:音声波増幅回路
810:音声信号処理回路
811:制御回路
812:入力部
813:スピーカ
901:第1のトランジスタ
902:第2のトランジスタ
903:発光素子
911:ゲート信号線
912:ソース信号線
913:書込用ゲート信号線駆動回路
914:消去用ゲート信号線駆動回路
915:ソース信号線駆動回路
916:電源
917:電流供給線
918:スイッチ
919:スイッチ
920:スイッチ
1001:第1のトランジスタ
1002:第2のトランジスタ
1003:ゲート信号線
1004:ソース信号線
1005:電流供給線
1006:発光素子の電極
6500:基板
6503:FPC(フレキシブルプリントサーキット)
6504:プリント配線基板(PWB)
6511:画素部
6512:ソース信号線駆動回路
6513:書込用ゲート信号線駆動回路
6514:消去用ゲート信号線駆動回路
9101:本体
9102:表示部
9201:本体
9202:表示部
9301:本体
9302:表示部
9401:本体
9402:表示部
9501:本体
9502:表示部
9701:表示部
9702:表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素電極、電界発光層、透明電極、パッシベーション膜、応力緩和層及び低屈折率層が順次積層されてなることを特徴とする発光素子。
【請求項2】
画素電極、電界発光層、透明電極、パッシベーション膜、応力緩和層及び低屈折率層が順次積層されてなり、
前記低屈折率層の屈折率は、前記応力緩和層の屈折率よりも小さいことを特徴とする発光素子。
【請求項3】
画素電極、電界発光層、透明電極、応力緩和層、パッシベーション膜及び低屈折率層が順次積層されてなることを特徴とする発光素子。
【請求項4】
画素電極、電界発光層、透明電極、第1の応力緩和層、パッシベーション膜、第2の応力緩和層及び低屈折率層が順次積層されてなることを特徴とする発光素子。
【請求項5】
画素電極、電界発光層、透明電極、第1の応力緩和層、パッシベーション膜、第2の応力緩和層及び低屈折率層が順次積層されてなり、
前記低屈折率層の屈折率は、前記第2の応力緩和層の屈折率よりも小さいことを特徴とする発光素子。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、
前記パッシベーション膜は、窒化珪素、酸化珪素、窒化酸化珪素又は酸化窒化珪素を含むことを特徴とする発光素子。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項において、
前記応力緩和層は、窒化酸化珪素又はα−NPDを含むことを特徴とする発光素子。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項において、
前記低屈折率層は、LiF、MgF2又はCaF2を含むことを特徴とする発光素子。
【請求項9】
基板上に設けられたトランジスタと、
層間絶縁膜を介して前記トランジスタと接続された発光素子とを有し、
前記発光素子は、画素電極、電界発光層、透明電極、パッシベーション膜、応力緩和層及び低屈折率層が順次積層されてなることを特徴とする表示装置。
【請求項10】
基板上に設けられたトランジスタと、
層間絶縁膜を介して前記トランジスタと接続された発光素子とを有し、
前記発光素子は、画素電極、電界発光層、透明電極、パッシベーション膜、応力緩和層及び低屈折率層が順次積層されてなり、
前記低屈折率層の屈折率は、前記応力緩和層の屈折率よりも小さいことを特徴とする表示装置。
【請求項11】
基板上に設けられたトランジスタと、
層間絶縁膜を介して前記トランジスタと接続された発光素子とを有し、
前記発光素子は、画素電極、電界発光層、透明電極、応力緩和層、パッシベーション膜及び低屈折率層が順次積層されてなることを特徴とする表示装置。
【請求項12】
基板上に設けられたトランジスタと、
層間絶縁膜を介して前記トランジスタと接続された発光素子とを有し、
前記発光素子は、画素電極、電界発光層、透明電極、第1の応力緩和層、パッシベーション膜、第2の応力緩和層及び低屈折率層が順次積層されてなることを特徴とする表示装置。
【請求項13】
基板上に設けられたトランジスタと、
層間絶縁膜を介して前記トランジスタと接続された発光素子とを有し、
前記発光素子は、画素電極、電界発光層、透明電極、第1の応力緩和層、パッシベーション膜、第2の応力緩和層及び低屈折率層が順次積層されてなり、
前記低屈折率層の屈折率は、前記第2の応力緩和層の屈折率よりも小さいことを特徴とする表示装置。
【請求項14】
請求項9乃至13のいずれか一項において、
前記発光素子は、充填層を介して対向基板によって封止されていることを特徴とする表示装置。
【請求項15】
請求項9乃至14のいずれか一項において、
前記パッシベーション膜は、窒化珪素、酸化珪素、窒化酸化珪素又は酸化窒化珪素を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項16】
請求項9乃至15のいずれか一項において、
前記応力緩和層は、窒化酸化珪素又はα−NPDを含むことを特徴とする表示装置。
【請求項17】
請求項9乃至16のいずれか一項において、
前記低屈折率層は、LiF、MgF2又はCaF2を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項18】
請求項9乃至17のいずれか一項において、
前記層間絶縁膜は炭素を含み、かつ遮光性を有することを特徴とする表示装置。
【請求項19】
請求項9乃至18のいずれか一項において、
前記発光素子に接して、炭素を含み、かつ遮光性を有する隔壁層が設けられていることを特徴とする表示装置。
【請求項20】
請求項9乃至19のいずれか一項において、
前記トランジスタと前記発光素子は、アルミニウム及びニッケルを含む合金からなる配線によって接続されていることを特徴とする表示装置。
【請求項21】
請求項20において、
前記合金は、さらに炭素を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項1】
画素電極、電界発光層、透明電極、パッシベーション膜、応力緩和層及び低屈折率層が順次積層されてなることを特徴とする発光素子。
【請求項2】
画素電極、電界発光層、透明電極、パッシベーション膜、応力緩和層及び低屈折率層が順次積層されてなり、
前記低屈折率層の屈折率は、前記応力緩和層の屈折率よりも小さいことを特徴とする発光素子。
【請求項3】
画素電極、電界発光層、透明電極、応力緩和層、パッシベーション膜及び低屈折率層が順次積層されてなることを特徴とする発光素子。
【請求項4】
画素電極、電界発光層、透明電極、第1の応力緩和層、パッシベーション膜、第2の応力緩和層及び低屈折率層が順次積層されてなることを特徴とする発光素子。
【請求項5】
画素電極、電界発光層、透明電極、第1の応力緩和層、パッシベーション膜、第2の応力緩和層及び低屈折率層が順次積層されてなり、
前記低屈折率層の屈折率は、前記第2の応力緩和層の屈折率よりも小さいことを特徴とする発光素子。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項において、
前記パッシベーション膜は、窒化珪素、酸化珪素、窒化酸化珪素又は酸化窒化珪素を含むことを特徴とする発光素子。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項において、
前記応力緩和層は、窒化酸化珪素又はα−NPDを含むことを特徴とする発光素子。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項において、
前記低屈折率層は、LiF、MgF2又はCaF2を含むことを特徴とする発光素子。
【請求項9】
基板上に設けられたトランジスタと、
層間絶縁膜を介して前記トランジスタと接続された発光素子とを有し、
前記発光素子は、画素電極、電界発光層、透明電極、パッシベーション膜、応力緩和層及び低屈折率層が順次積層されてなることを特徴とする表示装置。
【請求項10】
基板上に設けられたトランジスタと、
層間絶縁膜を介して前記トランジスタと接続された発光素子とを有し、
前記発光素子は、画素電極、電界発光層、透明電極、パッシベーション膜、応力緩和層及び低屈折率層が順次積層されてなり、
前記低屈折率層の屈折率は、前記応力緩和層の屈折率よりも小さいことを特徴とする表示装置。
【請求項11】
基板上に設けられたトランジスタと、
層間絶縁膜を介して前記トランジスタと接続された発光素子とを有し、
前記発光素子は、画素電極、電界発光層、透明電極、応力緩和層、パッシベーション膜及び低屈折率層が順次積層されてなることを特徴とする表示装置。
【請求項12】
基板上に設けられたトランジスタと、
層間絶縁膜を介して前記トランジスタと接続された発光素子とを有し、
前記発光素子は、画素電極、電界発光層、透明電極、第1の応力緩和層、パッシベーション膜、第2の応力緩和層及び低屈折率層が順次積層されてなることを特徴とする表示装置。
【請求項13】
基板上に設けられたトランジスタと、
層間絶縁膜を介して前記トランジスタと接続された発光素子とを有し、
前記発光素子は、画素電極、電界発光層、透明電極、第1の応力緩和層、パッシベーション膜、第2の応力緩和層及び低屈折率層が順次積層されてなり、
前記低屈折率層の屈折率は、前記第2の応力緩和層の屈折率よりも小さいことを特徴とする表示装置。
【請求項14】
請求項9乃至13のいずれか一項において、
前記発光素子は、充填層を介して対向基板によって封止されていることを特徴とする表示装置。
【請求項15】
請求項9乃至14のいずれか一項において、
前記パッシベーション膜は、窒化珪素、酸化珪素、窒化酸化珪素又は酸化窒化珪素を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項16】
請求項9乃至15のいずれか一項において、
前記応力緩和層は、窒化酸化珪素又はα−NPDを含むことを特徴とする表示装置。
【請求項17】
請求項9乃至16のいずれか一項において、
前記低屈折率層は、LiF、MgF2又はCaF2を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項18】
請求項9乃至17のいずれか一項において、
前記層間絶縁膜は炭素を含み、かつ遮光性を有することを特徴とする表示装置。
【請求項19】
請求項9乃至18のいずれか一項において、
前記発光素子に接して、炭素を含み、かつ遮光性を有する隔壁層が設けられていることを特徴とする表示装置。
【請求項20】
請求項9乃至19のいずれか一項において、
前記トランジスタと前記発光素子は、アルミニウム及びニッケルを含む合金からなる配線によって接続されていることを特徴とする表示装置。
【請求項21】
請求項20において、
前記合金は、さらに炭素を含むことを特徴とする表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−4917(P2006−4917A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−139233(P2005−139233)
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
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