説明

発光素子及び表示装置

【課題】高い密度で配列でき発光効率を向上できる発光素子を提供する。
【解決手段】平行に対向する第1及び第2電極の間に成膜された発光層と、発光層及び第1電極の間に成膜された有機半導体層と、第1電極における第2電極と対向している面の反対側に絶縁層を介して配置された補助電極と、を有する発光素子であって、第2電極における第1電極と対向している面の反対側に第2発光層、第3電極、第2有機半導体層及び第2絶縁層を介して配置された第2補助電極を積層した構造を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリア輸送性(正孔又は電子の移動性)を有する化合物を利用し、かかる化合物からなる半導体層を備えた発光素子及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電界を印加して発光させる例えば物質におけるキャリア(正孔又は電子)の再結合によるエレクトロルミネセンス(以下、単にELという)を利用している発光素子が着目されている。例えば、有機化合物材料を用いた注入型の有機EL素子による表示パネルを搭載したEL表示装置が開発されている。有機EL素子には、赤色で発光する構造を有する赤色EL素子、緑色で発光する構造を有する緑色EL素子、及び青色で発光する構造を有する青色EL素子がある。これら赤、青、緑RGBで発光する3つの有機EL素子を1画素発光ユニットとして、複数画素をパネル部上にマトリクス状に配列すればカラー表示装置を実現することができる。かかるカラー表示装置による表示パネルの駆動方式として、パッシブマトリクス駆動型と、アクティブマトリクス駆動型が知られている。アクティブマトリクス駆動型のEL表示装置は、パッシブマトリクス型のものに比べて、低消費電力であり、また画素間のクロストークが少ないなどの利点を有し、特に大画面表示装置や高精細度表示装置に適している。
【0003】
アクティブマトリクス駆動型のEL表示装置の表示パネルには、陽極電源供給線、陰極電源供給線、水平走査を担う走査線及び各走査線に交叉して配列された信号線が格子状に形成されている。走査線及び信号線の各RGB交差部にRGBサブピクセルが形成されている。
【0004】
サブピクセル毎に、走査線選択用の電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)のゲートには走査線が接続され、そのドレインには信号線が接続されて、そのソースには発光駆動用のFETのゲートが接続されている。発光駆動FETのソースには陽極電源供給線を介して駆動電圧が印加され、そのドレインDにはEL素子の陽極端が接続されている。発光駆動FETのゲート及びソース間にはキャパシタが接続されている。更に、EL素子の陰極端には、陰極電源供給線を介して接地電位が印加される。
【0005】
有機EL素子に代表される従来の有機発光素子は基本的にダイオード特性を示す素子であり、製品化されているものはほとんどパッシブマトリックス駆動によるものである。パッシブマトリックス駆動法では、線順次駆動を行うため瞬間的に高い輝度を必要とし、走査線数の限界数が限られてしまうため高精細な表示装置を得ることが難しかった。近年ではポリシリコンなどを用いたTFTを用いた有機ELディスプレイが検討されているが、プロセス温度が高い、単位面積あたりの製造コストが高く大画面化に向かない。また有機ELをTFTを用いてアクティブ駆動させる際には1画素内に2つ以上のトランジスタと1つ以上のコンデンサを配置しなければならないが、TFT自体が平面的な構造を持つ為に開口率を犠牲にしてしまいディスプレイに求められる輝度を得るためには有機ELに大電流をながし高輝度で発光させなければならなくなる、などの欠点があった。
【0006】
例えば、先行発明(特許文献1参照)では、図1に示すように、基体上に、陽極と、発光材料層を介して少なくともその一部が対向して設置されている陰極とからなる発光体において、陽極の発光材料層を介して陰極と対向している面と反対側の面に、絶縁層を介して補助電極が形成されている構造において、陽極と陰極との間に印加する電圧方向と同方向になるように、補助電極と陰極との間に電圧を印加する。この場合、素子自体の最大許容電流量が限られていることから最大輝度を上げるためには発光層に用いる材料を変更して発光材料自体の発光効率を向上させるしかないという問題があった。
【特許文献1】特開2002−343578公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の解決しようとする課題には、高い密度で配列でき発光効率を向上できる発光素子を提供することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発光素子は、平行に対向する第1及び第2電極の間に成膜された発光層と、
前記発光層及び前記第1電極の間に成膜された有機半導体層と、
前記第1電極における前記第2電極と対向している面の反対側に絶縁層を介して配置された補助電極と、を有する発光素子であって、
前記第2電極における前記第1電極と対向している面の反対側に第2発光層、第3電極、第2有機半導体層及び第2絶縁層を介して配置された第2補助電極を積層した構造を有することを特徴とする。
【0009】
請求項15記載の表示装置は、複数の発光部をマトリクス状に配置した表示装置であって、
前記発光部の各々は、平行に対向する第1及び第2電極の間に成膜された発光層と、
前記発光層及び前記第1電極の間に成膜された有機半導体層と、
前記第1電極における前記第2電極と対向している面の反対側に絶縁層を介して配置された補助電極と、を有する発光素子であって、
前記第2電極における前記第1電極と対向している面の反対側に第2発光層、第3電極、第2有機半導体層及び第2絶縁層を介して配置された第2補助電極を積層した構造を有することを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、アクティブマトリックス駆動をする際に1画素内に配置されるデバイスの数を減らすことが可能であり、ポリシリコンなどを用いた有機ELの表示装置と比較して低コスト化、低消費電力化、長寿命化ができる。さらに、発光素子がスイッチング特性を示しかつ、有機EL作製プロセスを大きく変更することなく、容易に作製可能である。
【0011】
さらに、上記構成によれば、たとえば積層された2つの発光素子部分はほぼ同色を発光する構造を用いることにより従来の構造と比較して発光効率を向上させることができる。すなわち、先行発明の構造では素子自体の最大許容電流量が限られ、輝度を上げるためには発光層に用いる材料を変更して発光材料自体の発光効率を向上させるしかなかったが、当該構造では発光材料を変えることなく先行発明の構造と比較して、より多くの電流を流すことが可能になるので2倍程度まで発光輝度を向上させることができる。
【0012】
また、2つの発光層にそれぞれ異なる波長の発光が得られる材料を用いることにより1つの発光素子から2色以上の表示色が得られるので、表示色の少ない表示デバイスの構成を簡略化することができ、2つの補助電極に印加される電圧を変化することにより、得られる発光のスペクトルが変化するデバイスを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施形態の発光素子の一例として有機EL表示パネルを図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図2は、本発明の実施形態における、対向する1対の第1及び第2電極(陽極4及び陰極7)の間に成膜された発光層6を備えた基板1上に形成された発光素子の有機EL素子114を示す。
【0015】
有機EL素子114は、基礎部分として、基板1上に補助電極2を第1補助電極、絶縁層3を第1絶縁層、陽極4を第1陽極(第1電極)、正孔注入層5を第1正孔注入層、発光層6を第1発光層、として形成した後、透明導電膜を用いて陰極7(第2電極)を共通電極として形成し、その後、基礎部分上に、第2発光層6b、第2正孔注入層5b、第2陽極4b(第3電極)、第2絶縁層3b、第2補助電極2bを順に形成してなる。ここで、正孔注入層5及び正孔注入層5bはキャリア輸送性の有機半導体層に属する。キャリア輸送性の有機半導体層としては、正孔注入層のほか、例えば正孔輸送層又はこれらの積層や、ブロック層などであってもよい。さらに、キャリア輸送性の有機半導体層としては、図示していないが、陰極7と発光層6及び第2発光層6bとの間の少なくとも一方に挿入して配置される、例えば電子注入層、電子輸送層又はこれらの積層や、ブロック層などであってもよい。
【0016】
陽極4及び第2陽極4bは格子状、櫛状又は簾状の形状のパターンで成膜される。このようにすれば、有機半導体層を通過するキャリアのためには都合がよい。すなわち、正孔注入層、正孔輸送層などの有機半導体層5側の陽極4は、有機半導体層を通過するキャリアのためのパターンを画定するように、形成されている。
【0017】
また、第1陽極4と第2陽極4bは電気的に接続してもよく、さらに、それぞれ独立した別回路への接続でもよい。補助電極も同様に第1及び第2補助電極2、2bが電気的に接続されていてもよく、さらに、独立した接続でもよい。2つの発光層6、6bに異なる材料を用いた場合には第1陽極及び第2補助電極が第2陽極及び第2補助電極とは別の接続のほうが発光色の制御を行う時に有効に機能する。
【0018】
本実施形態の有機EL素子は、1つの陰極を挟んで2つの発光層を有することにより、同一の発光層材料を用いれば同一電圧で発光輝度を2倍程度まで向上させることが可能となる。また、2つの発光層にそれぞれ異なる発光層材料を用いることにより、2つの補助電極に加える電位を変化させることにより2色以上の色を表現することが可能な素子が得られる。
【0019】
本実施形態は、真空蒸着法などを用いガラス基板上にパターン化された補助電極2を形成し、その上に絶縁層3、正孔注入層5を真空蒸着法、スピンコート法などを用いて形成する。正孔注入層を形成した後に陽極を形成することで、塗布型の正孔注入材料の成膜性を向上させるとともに、塗布型正孔注入材料に留まらず真空蒸着法により形成した正孔注入材料でも、陽極に電圧を印加していない時(OFF時)の陰極7に流れる電流、発光強度を低減化できる。その結果、陽極に電圧を印加した時(ON時)の電流、発光強度とOFF時の電流、発光強度のそれぞれの比が向上する。
【0020】
基板1の材料としては、ガラス、石英、ポリスチレンなどのプラスチック材料といった半透明材料に限らず、シリコンやAlなどの不透明な材料、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂などを用いることができるがこれに限らない。
【0021】
補助電極2、陽極4、第2補助電極2b、第2陽極4b及び陰極7の電極材料としては、Ti、Al、Li:Al、Cu、Ni、Ag、Mg:Ag、Au、Pt、Pd、Ir、Cr、Mo、W、Taなどの金属あるいはこれらの合金が挙げられる。あるいは、ポリアニリンやPEDT:PSSなどの導電性高分子を用いることができる。あるいは、酸化物透明導電薄膜、例えば錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、酸化インジウム(In23)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化錫(SnO2)のいずれかを主組成としたものを用いることができるが、これに限定されない。また、各電極の厚さは10〜500nm程度が好ましい。陰極7材料と補助電極2には特に50〜300nmの範囲が適している。陰極7材料には特に10〜200nm程度の範囲が適している。これらの電極材料は真空蒸着法、スパッタ法で作製されたものが好ましい。
【0022】
陽極材料(4、4b)の仕事関数の値と有機半導体層5のイオン化ポテンシャルの値との差が0.5eV以内であることが好ましい。陽極及び陰極の間に印加する電圧方向と逆方向になるように、補助電極と有機半導体層側の電極との間に電圧が印加されるときに、発光層が発光する。陽極の材料は、その仕事関数の値は有機半導体層5のイオン化ポテンシャルの値より小であるものから、選択される。なお、陽極の仕事関数Wf1及びキャリア抑止層BFの仕事関数Wf2は真空準位(0eV)から各フェルミ準位へと測定したエネルギーである。有機半導体層5のイオン化ポテンシャルIp1は真空準位から価電子帯上端の最高被占分子軌道(HOMO)準位へと測定したエネルギーである。電子親和力Eaは0eVの基準エネルギー準位の真空準位(VACUUM LEVEL)から伝導帯下端の最低空分子軌道(LUMO)準位へと測定したエネルギーである。
【0023】
絶縁層3には、SiO2、Si34に代表される種々の絶縁材料を用いることができるが、特に比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどの無機窒化物も好適に用いることができる。また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、及びアノエチルプルラン、ポリマー体、エラストマー体を含むホスファゼン化合物、などを用いることもできる。
【0024】
正孔注入層5は、陽極4からの正孔の注入を容易にする機能、正孔を安定に輸送する機能を有し、その材料には銅フタロシアニン(CuPc)に代表されるポルフィリン誘導体、ペタセンに代表されるポリアセン、m−TDATAに代表されるスターバーストアミンと呼ばれる高分子アリールアミンが低分子系ではよく用いられる。また、ポルフィリン誘導体やトリフェニルアミン誘導体などにルイス酸や四フッ化テトラシアノキノジメタン(F4−TCNQ)などを混合し導電性を高くした層を用いることもできる。この時、混合比率は重量比率で5〜95%の割合で混合されていることが好ましい。また、高分子系ではポリアニリン(PANI)、ポリチオフェン誘導体(PEDOT)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)などの高分子材料を用いることができる。また、正孔注入層5はこれらの材料の混合層、もしくは積層したものでもよい。
【0025】
発光層6には、発光機能を有する化合物である蛍光物質もしくは燐光物質を含有させる。このような蛍光性物質としては、例えば特開63−264692号公報に開示されているような化合物、例えばキナクリドン、ルブレン、スチリル系色素などの化合物から選択される少なくとも1種が挙げられる。燐光性物質としてはAppl. Phys. Lett., 75巻、4項、1999年にあるような有機イリジウム錯体、有機プラチナ錯体などが挙げられる。
【0026】
また、図3に示すように、他の実施形態として、正孔注入層5と発光層6の間に有機半導体層として正孔輸送層13Aを挿入した以外、図2に示す有機EL素子114と同一の素子がある。正孔輸送層13Aの材料としては、トリフェニルジアミン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族縮合環を有するアミン誘導体、カルバゾール誘導体、高分子材料としてはポリビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリチオフェンなどが挙げられる。これらの化合物は2種以上を併用してもよい。さらに、一般的に、正孔輸送層は正孔注入層よりもイオン化ポテンシャルIpが大きい有機半導体材料を用いた方が好ましい。図示しないが、この実施形態に更に第2正孔注入層5bと第2発光層6bの間に有機半導体層として第2正孔輸送層を挿入し、補助電極/絶縁層/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極/第2発光層/第2正孔輸送層/第2正孔注入層/第2陽極/第2絶縁層/第2補助電極という構成をとってもよい。
【0027】
さらに、図4に示すように、他の実施形態として、発光層6と陰極7の間に有機半導体層として電子注入層13Bを挿入した以外、図2に示す有機EL素子114と同一の素子がある。図示しないが、この実施形態に更に電子注入層及び発光層間に電子輸送層を設けることもできる。電子注入層及び又は電子輸送層には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)などの8−キノリノール又はその誘導体を配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体などを用いることができる。電子注入層及び又は電子輸送層は発光層6をかねたものであってもよく、このような場合にはトリス(8−キノリノラト)アルミニウムなどを使用することが好ましい。電子注入層と電子輸送層を積層して作成するときには、陰極7側から電子親和力の値の大きい化合物の順に積層することが好ましい。図示しないが、この実施形態に更に陰極7と第2発光層6bの間に有機半導体層として第2電子注入層を挿入し、補助電極/絶縁層/陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極/第2電子注入層/第2発光層/第2正孔注入層/第2陽極/第2絶縁層/第2補助電極という構成をとってもよい。
【0028】
またさらに、図5に示すように、他の実施形態として、陽極4及び正孔注入層5との間及び第2陽極4b及び第2正孔注入層5bとの間に接触して挿入されたキャリア抑止層BFを挿入した以外、図2に示す有機EL素子114と同一の素子がある。キャリア抑止層BFにより、陽極4が正孔注入層5に接触するキャリア供給部CPPを画定する。この場合、キャリア抑止層BFの仕事関数の値は陽極4の仕事関数の値より小である。この場合、キャリア抑止層BFの材料は、その仕事関数の値が正孔注入層5のイオン化ポテンシャルの値より大であるものから、選択される。本実施形態では、陽極4の金属材料と異なる金属材料からなるキャリア抑止層BFを陽極4に積層して、キャリア抑止層BFにより、正孔注入層5に注入されるキャリアの経路を規定する。
【0029】
有機半導体中のキャリア移動のために、キャリア抑止層BFは、そのイオン化ポテンシャルの条件すなわち、接触電極の仕事関数と有機半導体層のイオン化ポテンシャルとの間の仕事関数(又はイオン化ポテンシャル)の値に基づいて選択される。キャリアの移動を阻害するにはエネルギー障壁が大であるほうがよいからである。
【0030】
本実施形態で使用するキャリア抑止層BFの材料としては、具体的には、イオン化ポテンシャルIp1(eV)を有する正孔注入材料(正孔注入層5)と仕事関数Wf1(eV)を有する陽極4と、仕事関数Wf2(eV)を有するキャリア抑止層BFとを積層したとき、Ip1とWf2はIp1>Wf2という関係を有することが好ましい。かかるキャリア抑止層BFの挿入によって、陽極4からキャリア抑止層BFを介した有機半導体層へと障壁になり、電流が流れ難くなる。
【0031】
また、この時、Ip1とWf1はIp1<Wf1であることが望ましいが、Ip1≧Wf1としてもよく、Ip1とWf1の差は0.5eV以内であればよい。正孔注入層5と陽極4が接触する面での正孔注入は妨げられないが、正孔注入層とキャリア抑止層BFが接触する面ではその仕事関数の差から正孔が注入されることがなく、補助電極2にかかる電圧によらない電流成分を抑えることにより、OFF電流を低減させ輝度のON/OFF比を向上することができる。
【0032】
またさらに、他の実施形態として、陽極を共通電極として1つの陽極を挟んで2つの発光層を有することによっても、上記同様な効果を奏する。例えば、図6に示すように、有機EL素子114は、基礎部分として、基板1上に補助電極2を第1補助電極、絶縁層3を第1絶縁層、陰極7を第1陰極(第1電極)、電子注入層13Bを第1電子注入層、発光層6を第1発光層、正孔輸送層13Aを第1正孔輸送層、正孔注入層5を第1正孔注入層、として形成した後、透明導電膜を用いて陽極4(第2電極)を共通電極として形成し、その後、基礎部分上に、第2正孔注入層5b、第2正孔輸送層13Ab、第2発光層6b、第2電子注入層13Bb、第2陰極7b(第3電極)、第2絶縁層3b、第2補助電極2bを順に形成してなる。
【0033】
さらに、他の実施形態として、第2補助電極上に積層された中間絶縁膜を備え、前記中間絶縁膜上に形成された1対の電極に挟まれた第3の発光層を備え、3つの発光層を有することによっても、上記同様な効果を奏する。例えば、図7に示すように、有機EL素子114は、基礎部分として、図2に示す実施形態の第2補助電極上に中間絶縁膜MILを形成した後、その上に、第3補助電極2c、第3絶縁層3c、第3陽極4c、第3正孔注入層5c、第3発光層6c、第2陰極7bと、順に形成し同様の素子構造を繰り返して構成できる。その際、3つの発光層に赤、緑、青色を発光する発光材料を用いることで1つの素子で1つの画素を構成することが可能になる。
【0034】
上記実施形態では、絶縁層は補助電極と正孔注入層の間にしか設けていなかったが、陽極上に陽極とほぼ同一形状の絶縁膜を形成して、陽極及び陰極間の漏れ電流をさらに減少させる構造としてもよい。
【0035】
本実施形態により、1つの陰極又は陽極を共有して発光層を2つ有してさらに独立に駆動することができるため、発光面の大きさや発光層材料を変えることなく1つの素子から得られる最大輝度を向上させることができる。さらに2つの発光層材料に異なる発光色が得られる材料を用いることで1つの素子で表現できる色を増やすなどの効果が得られる。
【0036】
さらに実施形態の発光素子を用いることで、アクティブマトリックス駆動をする際に1画素内に配置されるデバイスの数を減らすことが可能であり、ポリシリコンなどを用いた有機ELの表示装置と比較して低コスト化、低消費電力化、長寿命化が可能となる。さらに従来構造の素子と比較して約2倍程度の発光輝度が得られるため従来素子と同じ輝度を得る際に低い電圧で駆動することができるため素子にかかる負担が軽く長寿命化が可能となる。また、少なくとも2つの発光層にそれぞれ異なる波長の発光が得られる材料を用いることにより1つの発光素子から2色以上の表示色が得られるので、画素の数を増やすことなく表現色の多い発光表示装置を容易に作製することが可能になる。
【0037】
また、上記実施形態では発光素子を示したが、発光素子の複数を表示装置の画素に用いることもできる。具体的には、少なくとも有機トランジスタを1つ、コンデンサなど必要な素子、画素電極などを共通の基板上に作製すれば、本発明によるアクティブ駆動型の表示装置を実現できる。例として、以下に表示装置に適用した場合の構造を説明する。
【0038】
図8は、図2に示す有機EL素子114において第1及び第2陽極4−4bが電気的に接続されかつ第1及び第2補助電極2−2bも電気的に接続されているものを用いた有機EL表示パネルのサブピクセルの発光部を示す等価回路図を示す。
【0039】
基板上に形成された発光部の各々は、選択用トランジスタのスイッチング有機TFT素子111と、データ電圧の保持用のキャパシタ113と、有機EL素子114と、から構成されている。この構成を走査線SL及び電源供給線VccL、並びに信号線DLの各交点近傍に、配置することで画素の発光部を実現することができる。本実施形態では駆動用トランジスタを省略する効果が得られるが、駆動有機TFT素子を2以上設けた場合にも適用できる。
【0040】
スイッチング有機TFT素子111のゲート電極Gは、アドレス信号が供給される走査線SLに接続され、スイッチング有機TFT素子111のソース電極Sはデータ信号が供給される信号線DLに接続されている。スイッチング有機TFT素子111のドレイン電極Dは有機EL素子114の第1及び第2補助電極2−2bとキャパシタ113の一方の端子に接続されている。有機EL素子114の陰極7は電源供給線VccLに接続されており、キャパシタ113の他方は接地されている。有機EL素子114の第1及び第2陽極4−4bは接地されている。
【0041】
有機EL表示パネルの基板上の走査線SL、スイッチング有機TFT素子111のゲート電極G、有機EL素子114の第1及び第2補助電極2−2bとキャパシタ113の他方の端子は、例えば陽極酸化が可能な導電体パターンである。これら導電体パターンから陽極酸化されて生成された酸化膜がそれぞれの導電体パターン上の絶縁膜、絶縁層となる。
【0042】
有機TFT素子111は、有機EL表示パネルの基板上に有機EL素子114とともに作り込まれた、対向するソース電極S及びドレイン電極Dと、ソース電極及びドレイン電極の間にチャネルを形成できるように積層された有機半導体からなる有機半導体膜と、ソース電極S及びドレイン電極Dの間の有機半導体膜に電界を印加せしめるゲート電極Gと、を含み、さらに、ゲート電極Gを覆いソース電極S及びドレイン電極Dから絶縁するゲート絶縁膜を有している。
【0043】
図9は、図8の発光部(有機EL素子114)の複数をマトリクス配置して画素に用いた有機EL表示パネルを示す構成図を示す。走査線SL各々は走査線用ドライバSLDに接続され、信号線DLはデータ線用ドライバDLDに接続され、電源供給線VccLは電源に接続される。
【0044】
図10は、他の実施例としての図2に示す有機EL素子114において第1及び第2陽極4−4bが電気的に接続されるが、第1及び第2補助電極2、2bが電気的に別個の回路に接続されているものを用いた有機EL表示パネルのサブピクセルの発光部を示す等価回路図を示す。
【0045】
スイッチング有機TFT素子111、111bのゲート電極は、アドレス信号が供給される走査線SLに接続され、スイッチング有機TFT素子111、111bのソース電極はそれぞれ信号線DL、DLbに接続されている。スイッチング有機TFT素子111、111bのドレイン電極は有機EL素子114の第1及び第2補助電極2、2bとキャパシタ113、113bの一方の端子にそれぞれ接続されている。有機EL素子114の陰極7は電源供給線VccLに接続されており、キャパシタ113の他方は接地されている。有機EL素子114の第1及び第2陽極4−4bは接地されている。
【0046】
図11は、図10の発光部(有機EL素子114)の複数をマトリクス配置して画素に用いた有機EL表示パネルを示す構成図を示す。走査線SL各々は走査線用ドライバSLDに接続され、信号線DL、DLbはそれぞれデータ線用ドライバDLD、DLDbに接続され、電源供給線VccLは電源に接続される。
【0047】
図12は、さらなる他の実施例としての図7に示す有機EL素子114において第1、第2及び第3陽極4−4b−4cが電気的に接続されるが、第1、第2及び第3補助電極2、2b、2cが電気的に別個の回路に接続されているものを用いた有機EL表示パネルのサブピクセルの発光部を示す等価回路図を示す。
【0048】
スイッチング有機TFT素子111、111b、111cのゲート電極は、アドレス信号が供給される走査線SLに接続され、スイッチング有機TFT素子111、111b、111cのソース電極はそれぞれ信号線DL、DLb、DLcに接続されている。スイッチング有機TFT素子111、111b、111cのドレイン電極は有機EL素子114の第1、第2及び第3補助電極2、2b、2cとキャパシタ113、113bの一方の端子にそれぞれ接続されている。有機EL素子114の陰極7は電源供給線VccLに接続されており、キャパシタ113の他方は接地されている。有機EL素子114の第1、第2及び第3陽極4−4b−4cは接地されている。
【0049】
図13は、図12の発光部(有機EL素子114)の複数をマトリクス配置して画素に用いた有機EL表示パネルを示す構成図を示す。走査線SL各々は走査線用ドライバSLDに接続され、信号線DL、DLb、DLcはそれぞれデータ線用ドライバDLD、DLDb、DLDcに接続され、電源供給線VccLは電源に接続される。
【0050】
(実施例1)
図14に示すような発光素子を作製した。図14は図2の発光素子の基板側から見た平面図である。図14に示すように、第1及び第2陽極4−4bは櫛状又は簾状の形状として形成しているが、格子状でもよく、さらに陽極を格子状、櫛状又は簾状の形状とすれば、有機半導体層を通過するキャリアのためのパターンを画定することができる。
【0051】
さらに、補助電極/絶縁層/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極/第2発光層/第2正孔輸送層/第2正孔注入層/第2陽極/第2絶縁層/第2補助電極という構成の発光素子を作製した。
【0052】
かかる発光素子は以下の(1)〜(13)の工程で作製した。
【0053】
(1) 補助電極の形成…無アルカリガラス基板上にITOをスパッタリング法により100nm形成したのち、フォトレジストをスピンコートにより塗布する。光学マスクを用いた露光と現像により先のフォトレジストをパターン化し、その上からミリングによりフォトレジストパターンの無い部分のITO膜を取り除く、最後に剥離液を用いてフォトレジストを溶解させた。
【0054】
(2) 絶縁層の形成…絶縁層としてポリビニルフェノール系高分子8wt%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶液を用いてスピンコート法により300nm成膜した。その後、補助電極上の端部に成膜された高分子膜を、PGMEAを含ませたコットンにより拭き取り、ホットプレートを用いて200℃で180分間ベーキングを行った。
【0055】
(3) 陽極の形成…陽極として、メタルマスクを用いた真空蒸着法により金を50nm成膜した。金の成膜速度は0.1m/sとした。続いて同じマスクを用いてアルミニウムを真空蒸着法により10nm成膜した。この時のアルミニウムの成膜速度は0.2nm/sとした。
【0056】
(4) 正孔注入層の形成…正孔注入層として、ペンタセンを50nm成膜した。この時ペンタセンの成膜速度は0.1nm/sとした。
【0057】
(5) 正孔輸送層の形成…正孔輸送層として、α−NPDを50nm成膜した。
【0058】
(6) 発光層の形成…発光層材料として、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムを真空蒸着法により60nm成膜した。
【0059】
(7) 陰極の形成…陰極として銀を真空蒸着法により15nm蒸着した。この時、銀の成膜速度は0.1nm/sとした。
【0060】
(8) 第2発光層の形成…第2発光層として、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムを真空蒸着法により60nm成膜した。
【0061】
(9) 第2正孔輸送層の形成…第2正孔輸送層として、α−NPDを成膜した。
【0062】
(10) 第2正孔注入層の形成…第2正孔注入層として、ペンタセンを0.1nm/sの成膜速度で50nm成膜した。
【0063】
(11) 第2陽極の形成…第2陽極として、メタルマスクを用いてアルミニウムを20nm成膜した後続けて金を真空蒸着法により20nm成膜した。この時メタルマスクにより成膜範囲を(3)工程で形成した陽極と同じ範囲になるようにし、さらに電気的に接続するように形成した。
【0064】
(12) 第2絶縁層の形成…第2絶縁層として電子ビームを用いた真空蒸着法によりSiO2を200nm成膜した。
【0065】
(13) 第2補助電極の形成…第2補助電極として真空蒸着法により金を蒸着した。このときメタルマスクを用いて成膜範囲を制限すると共に(1)工程で作成した補助電極と電気的に接続されるように形成した。
【0066】
なお、(3)〜(13)の工程はすべて真空一貫装置で行った。
【0067】
(実施例2)
また、図15に示すような発光素子を作製した。図15は図6の発光素子の基板側から見た平面図である。
【0068】
次の工程(1)〜(15)の工程で図6に示す発光素子を作製した。
【0069】
(1) 補助電極の形成…無アルカリガラス基板上にITOをスパッタリング法により100nm形成したのち、実施例1と同様にITOをパターニングした。
【0070】
(2) 絶縁層の形成…絶縁層としてスパッタリング法によりSiO2を300nm成膜した。この時、補助電極の一部に絶縁層が成膜されないようにメタルマスクを用いて成膜範囲を限定した。
【0071】
(3) 陰極の作製…陰極としてマグネシウムと銀を真空蒸着法により10:1の比で20nm共蒸着した。この時マグネシウムの成膜速度は1nm/sとし、銀の成膜速度は0.1nm/sとした。その後、同一のマスクを用いてプラチナを20nm蒸着した。
【0072】
(4) 電子注入層の形成…電子注入層として、フラーレンC60の炭素膜を真空蒸着法により成膜した。
【0073】
(5) 発光層の形成…発光層材料として、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)とルブレンを真空蒸着法により共蒸着し40nm成膜した。この時ルブレンの濃度は3wt%であった。Alq3の成膜速度は0.3nm/sであった。
【0074】
(6) 正孔輸送層の形成…正孔輸送層としてα−NPDを50nmメタルマスクを用いて真空蒸着法により成膜した。
【0075】
(7) 正孔注入層の形成…正孔注入層としてCuPcを30nmメタルマスクを用いて真空蒸着法により成膜した。
【0076】
(8) 陽極の形成…陽極として金IZOを真空蒸着法により30nm蒸着した。
【0077】
(9) 第2正孔注入層の形成…第2正孔注入層として、(7)と同様にCuPcを30nm成膜した。
【0078】
(10) 第2正孔輸送層の形成…第2正孔輸送層として(6)工程と同様にα−NPDを50nm成膜した。
【0079】
(11) 第2発光層の形成…第2発光層としてB−Alq3をメタルマスクを用いた真空蒸着法により30nm成膜した。
【0080】
(12) 第2電子注入層の形成…第2電子注入層として、(4)工程と同様にC60を真空蒸着法により成膜した。
【0081】
(13) 第2陰極の形成…第2陰極として(3)と同様にプラチナを20nm成膜したのちにマグネシウムと銀を20nm共蒸着した。このときメタルマスクは(3)工程と同じものを用い、(3)工程で形成した陰極と電気的に接続されるよう形成した。
【0082】
(14) 第2絶縁層の形成…第2絶縁層として電子ビームを用いた真空蒸着法によりSiO2を3200nm成膜した。
【0083】
(15) 第2補助電極の形成…第2補助電極として真空蒸着法により金を蒸着した。このときメタルマスクを用いて成膜範囲を(1)工程で作成した補助電極との電気的な接続がないように制限した。
【0084】
なお、(3)〜(15)の工程はすべて真空一貫装置で行った。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】従来の有機EL素子を示す部分断面図である。
【図2】本発明による実施形態の有機EL素子を示す部分断面図である。
【図3】本発明による他の実施形態の有機EL素子を示す部分断面図である。
【図4】本発明による他の実施形態の有機EL素子を示す部分断面図である。
【図5】本発明による他の実施形態の有機EL素子を示す部分断面図である。
【図6】本発明による他の実施形態の有機EL素子を示す部分断面図である。
【図7】本発明による他の実施形態の有機EL素子を示す部分断面図である。
【図8】本発明による他の実施形態の有機EL表示装置のサブピクセル発光部を示す等価回路図である。
【図9】図8の発光部の複数をマトリクス配置して画素に用いた有機EL表示パネルを示す構成図である。
【図10】本発明による他の実施形態の有機EL表示装置のサブピクセル発光部を示す等価回路図である。
【図11】図10の発光部の複数をマトリクス配置して画素に用いた有機EL表示パネルを示す構成図である。
【図12】本発明による他の実施形態の有機EL表示装置のサブピクセル発光部を示す等価回路図である。
【図13】図12の発光部の複数をマトリクス配置して画素に用いた有機EL表示パネルを示す構成図である。
【図14】本発明による他の実施形態の有機EL素子を示す部分平面図である。
【図15】本発明による他の実施形態の有機EL素子を示す部分平面図である。
【図16】本発明による他の実施形態の有機EL素子を示す部分平面図である。
【符号の説明】
【0086】
1 基板
2 補助電極
3 絶縁層
4 陽極
5 有機半導体層(正孔注入層)
6 発光層
7 陰極
13A 正孔輸送層
13B 電子注入層
113 キャパシタ
114 有機EL素子
BF キャリア抑止層
DL 信号線
SL 走査線
VccL 電源供給線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平行に対向する第1及び第2電極の間に成膜された発光層と、
前記発光層及び前記第1電極の間に成膜された有機半導体層と、
前記第1電極における前記第2電極と対向している面の反対側に絶縁層を介して配置された補助電極と、を有する発光素子であって、
前記第2電極における前記第1電極と対向している面の反対側に第2発光層、第3電極、第2有機半導体層及び第2絶縁層を介して配置された第2補助電極を積層した構造を有することを特徴とする発光素子。
【請求項2】
前記第1電極及び前記第3電極並びに前記第2電極は陽極並びに陰極であり、前記有機半導体層及び第2有機半導体層の少なくとも一方は正孔注入層、正孔輸送層又はこれらの積層であることを特徴とする請求項1記載の発光素子。
【請求項3】
前記発光層及び前記第2電極の間と前記第2発光層及び前記第2電極の間との少なくとも一方に成膜された補助有機半導体層を有し、前記補助有機半導体層は電子注入層、電子輸送層又はこれらの積層であることを特徴とする請求項2記載の発光素子。
【請求項4】
前記第1電極及び前記第3電極並びに前記第2電極は陰極並びに陽極であり、前記有機半導体層及び第2有機半導体層の少なくとも一方は電子注入層、電子輸送層又はこれらの積層であることを特徴とする請求項1記載の発光素子。
【請求項5】
前記発光層及び前記第2電極の間と前記第2発光層及び前記第2電極の間との少なくとも一方に成膜された補助有機半導体層を有し、前記補助有機半導体層は正孔注入層、正孔輸送層又はこれらの積層であることを特徴とする請求項4記載の発光素子。
【請求項6】
前記第1及び第3電極は、格子状、櫛状又は簾状の形状を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の発光素子。
【請求項7】
前記第2電極は、透明材料又は半透明材料からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の発光素子。
【請求項8】
前記第1及び前記有機半導体層の間並びに第3電極及び前記第2有機半導体層の間の少なくとも一方に接触して挿入されたキャリア抑止層を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の発光素子。
【請求項9】
前記発光層及び前記第2発光層は同一の発光層材料からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の発光素子。
【請求項10】
前記第1及び第2発光層は互いに異なる発光層材料からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の発光素子。
【請求項11】
前記第1及び第3電極は互い接続されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の発光素子。
【請求項12】
前記第1及び第3電極は互いに異なる電源に接続されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の発光素子。
【請求項13】
前記第2補助電極上に積層された中間絶縁膜を有し、前記中間絶縁膜上に形成されかつ、
平行に対向する第4及び第5電極の間に成膜された第3発光層と、
前記第3発光層及び前記第4電極の間に成膜された第3有機半導体層と、
前記第4電極における前記第5電極と対向している面の反対側に第3絶縁層を介して配置された第3補助電極と、を有することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の発光素子。
【請求項14】
前記中間絶縁膜及び前記中間絶縁膜に近い側の第4電極又は第5電極又は第3補助電極は、透明材料又は半透明材料からなることを特徴とする請求項12記載の発光素子。
【請求項15】
複数の発光部をマトリクス状に配置した表示装置であって、
前記発光部の各々は、平行に対向する第1及び第2電極の間に成膜された発光層と、
前記発光層及び前記第1電極の間に成膜された有機半導体層と、
前記第1電極における前記第2電極と対向している面の反対側に絶縁層を介して配置された補助電極と、を有する発光素子であって、
前記第2電極における前記第1電極と対向している面の反対側に第2発光層、第3電極、第2有機半導体層及び第2絶縁層を介して配置された第2補助電極を積層した構造を有することを特徴とする表示装置。
【請求項16】
前記発光部ごとに前記補助電極に電気的に接続されたスイッチング素子を備え、前記1対の電極に電力を供給する配線と、前記スイッチング素子にオンオフの電圧情報を印加する配線と、を有することを特徴とする請求項15記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−109564(P2007−109564A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−300597(P2005−300597)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】