説明

発光素子及び該発光素子を用いた発光装置

【課題】 マルチチップ方式の発光素子における色制御の複雑さ、回路構成の複雑さを解消し、簡単な駆動方式により多色光、及び白色光の発光制御を可能とした発光素子を提供すること。
【解決手段】 複数の発光ダイオード2R、2G、2Bと、これらの発光ダイオードを駆動する駆動用IC3Aを一体化した発光素子1Aであって、前記駆動用IC3を、複数ビットシフトレジスタ12、複数ビットラッチ13、複数ビットドライバ15より構成する。
この発光素子1Aの外部端子7SIから入力された発光入力信号SIを、最初の周期で複数ビットシフトレジスタ12によりR、G、B毎に分離して保持し、次の周期で複数ビットラッチ13に読取らせて保持させて、対応する複数の発光ダイオード2R、2G、2Bを適宜選択して発光させることにより、白色及び赤色から青色までの任意の色の光を発光させることができる発光素子1Aが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光ダイオードとその駆動用のICを一体に備えるランプ型、チップ型等の発光素子及び該発光素子を複数個用いた発光装置に関し、特に複数の発光ダイオードとその駆動用のICを一体に備え、少なくとも赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色を含み、青から赤までの発光スペクトルを有する白色光のみならず任意の色を発光させることのできる発光素子及び該発光素子を複数個用いた画像表示装置としても使用し得る発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、発光ダイオードとその発光色の補色の光を発する蛍光体との組み合わせによって、疑似的に白色光を発光可能な発光素子が特許文献1に開示されている。この場合、一般的に、発光ダイオードとして青色発光するものを使用し、蛍光体として青色光を吸収して黄色発光するものを組み合わせ、擬似的に人間の目に白色光と感じられるようにするものが多用されている。しかしながら、このような組合せでは特定の色成分が少ないため、すなわち前述のような青色と黄色の混色による場合には赤色成分が少ないことにより、演色性に欠けるという問題がある。
【0003】
また、白色光を発光させる別の方式として、R、G、Bの各光を発する発光ダイオードを用いた3原色の混色を用いる例も知られている。しかしながら、3原色の混色によって白色発光させる場合は、例えば図12に示す典型的な各種発光ダイオードの発光強度−順電流特性から明らかなように、R、G、Bのそれぞれの光を発する発光ダイオードの電気−光学特性に大きな差異があることから、各色の発光度合いを調整するための電流調整が非常に面倒になる。
【0004】
また、白色発光以外の場合においても、R、G、Bの3色あるいはそれとは異なる色の複数の発光ダイオードを用いて所望の色や発光強度分布を得る必要がある場合も、それぞれの発光ダイオードの発光強度を調整する必要があるが、そのための電流調整が面倒になる。また、この電流調整は、外付けの回路によって調整することもできるが、その場合は個々の発光素子毎に外付けの回路を設ける必要があり、回路構成が複雑化するとともに、色度などの調整が煩雑になるという問題点が存在している。
【0005】
従来、R、G、Bの3原色の各発光ダイオードを一体化したいわゆるマルチチップ式の発光素子は、R、G、Bの各発光ダイオードに流す電流値を制御することにより7色又は、多色の色制御を行っているが、R、G、Bの3原色を全て点灯した場合に得られる白色光は、それぞれの発光ダイオードに流れる電流値を発光強度−順電流特性に合わせた設計上の電流値(例えば、R:10mA、G:7mA、B:10mAなど)に設定した場合でも、個々の発光ダイオードの電気−光学特性にバラツキがあるため、製品によって色度のバラツキが発生するという問題点が存在している。
【0006】
また、R、G、Bの各光を発する発光ダイオードを用いた3原色の混色を用いた白色光は、図13の各種発光ダイオードのスペクトル分布特性図に示すように、RとGの発光スペクトルの間隔はGとBの発光スペクトルの間隔に比すると広いので、RとGの間に発光スペクトル分布が不連続な領域が存在する。したがって、より演色性の高い白色光を得るには、R、G、Bの3原色の各発光ダイオードだけでなく発光スペクトル分布がRとGの間に位置する橙色(O)及び黄色(Y)の発光ダイオードのうちの少なくとも1つがさらに使用されるが、そうするとこれらの発光ダイオードをマルチチップ化した発光素子の色度のバラツキを補正することはより困難となる。
【0007】
加えて、これらの複数の発光ダイオードをマルチチップ化した発光素子を多数個組み合わせて発光装置や画像表示装置を形成することは慣用的に行われているが、このような用途に使用される発光素子の数は非常に多いので、上述の色度のバラツキの補正の問題点はより大きく表れる。
【特許文献1】特開2001−217463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決すべくなされたものであり、その目的は、マルチチップ方式の発光素子における色制御の複雑さ、回路構成の複雑さを解消し、簡単な駆動方式により多色光、及び白色光の発光制御を可能とした発光素子を提供することにある。
【0009】
また、本発明の別の目的は、R、G、Bの3原色の各発光ダイオードより得られる白色の色度のバラツキを簡便に精度良く制御できる構成の発光素子を提供することにある。
【0010】
さらに、本発明の別の目的は、マルチチップ方式の発光素子において、R、G、Bの3原色による白色発光では、赤と緑の発光スペクトルの間隔が広いため、発光スペクトル分布に不連続な領域があり、白色光としては不完全であるが、これを赤から青まで連続的なスペクトル分布を有する白色光を容易に得ることができるようにした発光素子を提供することにある。
【0011】
また、本発明のさらに別の目的は、複数の発光素子を多数個連続的に並べて接続した際に、少ない配線数で個々の発光素子を簡単に制御できるようにした画像表示装置としても使用し得る発光装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記各目的は以下の構成により達成し得る。すなわち、請求項1に係る発光素子の発明は、複数の発光ダイオードと、これらの発光ダイオードを駆動する駆動用ICを一体化した発光素子であって、前記駆動用ICは、電流供給回路、複数ビットシフトレジスタ、複数ビットラッチ及び複数ビットドライバよりなることを特徴とする。この場合、複数の発光ダイオードとしては、任意の色の組み合わせのものが使用できるが、白色光が得られる組み合わせにする方が用途が広がるので好ましい。
【0013】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発光素子において、前記複数ビットドライバは、前記複数の発光ダイオード毎の電流値もしくは前記複数の発光ダイオード間の電流比率を一定に制御するものであることを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に記載の発光素子において、前記複数ビットドライバは、前記複数の発光ダイオード毎の電流値もしくは前記複数の発光ダイオード間の電流比率を微調整する機能を備えていることを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に係る発明は、請求項3に記載の発光素子において、前記微調整は、前記駆動用ICに内蔵した不揮発性メモリに記憶させた補正用のデータに基づいて行われることを特徴とする。
【0016】
また、請求項5に係る発明は、請求項1に記載の発光素子において、前記駆動用ICは、ストローブ信号制御回路を含み、前記ストローブ信号制御回路により前記複数の発光ダイオードの発光時間制御を行うことを特徴とする。
【0017】
また、請求項6に係る発明は、請求項1に記載の発光素子において、前記複数の発光ダイオードは、それらの光の混色によって白色発光が可能な発光色を備えることを特徴とする。
【0018】
また、請求項7に係る発明は、前記請求項6に記載の発光素子において、前記複数の発光ダイオードは、赤色、緑色、青色の3原色のそれぞれを発光するものを含むことを特徴とする。
【0019】
また、請求項8に係る発明は、前記請求項7に記載の発光素子において、前記複数の発光ダイオードは、さらに赤色と緑色の間に中心波長を有する発色光を有するものであることを特徴とする。
【0020】
また、請求項9に係る発明は、前記請求項7に記載の発光素子において、前記複数の発光ダイオードは、さらに橙色及び黄色の少なくとも1つを発光するものを含むことを特徴とする。
【0021】
また、請求項10に係る発明は、前記請求項1〜9のいずれかに記載の発光素子において、前記複数の発光ダイオードは前記駆動用ICの表面に設けられていることを特徴とする。
【0022】
また、請求項11に係る発明は、前記請求項1〜10のいずれかに記載の発光素子において、前記複数の発光ダイオードと前記駆動用ICは、同じ樹脂によって覆われていることを特徴とする。
【0023】
さらに、請求項12に係る発光装置の発明は、前記請求項1〜11のいずれかに記載の発光素子を複数個備え、それぞれの発光素子の駆動用ICをカスケード接続したことを特徴とする。
【0024】
さらに、請求項13に係る発明は、前記発光装置が画像表示装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明は上記構成を備えることにより以下に述べるような優れた効果を奏する。すなわち、請求項1の発明によれば、複数の発光ダイオードを制御する駆動用ICが複数の発光ダイオードとともに一体化されているので、この駆動用ICによりそれぞれの発光ダイオードへ供給される電流値を制御できるため、発光素子外部で複雑な電流制御を行うことなく、簡便に色度精度が良く、均一な品質の発光素子を得ることができるようになる。
【0026】
また、請求項2の発明によれば、複数の発光ダイオードのそれぞれに供給する電流を一定値に制御できるためにその選択された発光ダイオードの発光強度を一定値に保つことができ、また、複数の発光ダイオード間の電流比率を一定に制御できるため合成された光の色度を一定に保つことができるようになる。
【0027】
また、請求項3の発明によれば、発光素子毎の同色の発光ダイオード間の電気−光学特性のバラツキを補正できるとともに、所定の合成された色の光を得るための各発光ダイオードに流れる電流値を制御できるため、発光素子毎の発光強度や発光色のバラツキを簡便に精度良く制御できる均一な品質の発光素子が得られる。
【0028】
また、請求項4の発明によれば、発光素子毎の発光強度や発光色のバラツキの補正用のデータを駆動用ICに内蔵した不揮発性メモリに記憶させて利用できるため、ユーザは発光素子毎のバラツキを考慮する必要がなくなるので、使用時の外部回路構成を簡略化できる発光素子が得られる。
【0029】
また、請求項5の発明によれば、前記駆動用ICはストローブ信号制御回路を有しているので、複数の発光ダイオードの発光するタイミング及び時間を制御することが容易になる。
【0030】
また、白色光源は、液晶表示パネルのバックライト、照明光等、広い技術分野で要求されている光源であり、請求項6の発明によればこれらの広い技術分野への適用が可能な発光素子が得られる。
【0031】
また、請求項7の発明によれば、容易に演色性の高い白色光を発光することができる発光素子が得られる。
【0032】
また、請求項8、9の発明によれば、発光スペクトルの間隔が広い赤色発光ダイオードの発光スペクトルと緑色発光ダイオードの発光スペクトルとの間を、赤色と緑色の間に中心波長を有する発色光を有する発光ダイオード、または橙色発光ダイオード及び黄色発光ダイオードの少なくとも1つにより補うことができるため、赤から青まで実質的に連続的なスペクトル分布を有する白色光を得ることができる発光素子が得られる。
【0033】
また、請求項10の発明によれば、駆動用IC自体を複数の発光ダイオードを固定するための基板として用いることができるため、小型の発光素子が得られる。
【0034】
また、請求項11の発明によれば、複数の発光ダイオードと駆動用ICが同じ樹脂により覆われて一体化されているため、組立作業性のよい発光素子が得られる。
【0035】
さらに、請求項12の発明によれば、複数の発光素子を多数個連続的に並べて接続した際に、少ない配線数で個々の発光素子を簡単に制御できる発光装置が得られる。
【0036】
また、請求項13の発明によれば、白色を含め、赤から青まで自然な発光色を有する画像表示装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのR、G、Bの3原色の発光ダイオードを備える発光素子及び発光装置の例を説明するものである。
【0038】
しかしながら、本発明は、RGBの3原色以外に例えば橙色及び黄色の少なくとも一方を発光し得る発光ダイオードと組み合わせた発光素子の場合にも、あるいはその他の色を発光し得る複数個の発光ダイオードを備える発光素子の場合にも等しく適用し得るものである。特に一般的にはRGBの発光ダイオードのスペクトル分布特性は、緑の発光ダイオードのピーク波長が、青と赤の発光ダイオードのピーク波長の中間点よりも青の発光ダイオード側に大きく偏った特性となり、緑と赤の発光ダイオードの間に波長の不連続な領域が存在しているが、赤と緑の発光ダイオードの中間にピーク波長を持つ橙色や黄色などの発光ダイオードを追加することによって、波長の不連続な領域を埋めることができ、演色性をより一層高めることができる。
【実施例1】
【0039】
実施例1の発光素子1Aを図1〜図4を用いて説明する。なお、図1は実施例1の発光素子1Aのモールド樹脂を透視した状態の斜視図であり、図2は図1の発光素子1Aの駆動用ICをブロック図で表した等価回路図であり、図3は実施例1で使用した駆動用ICの内部回路の一具体例を示す図であり、また、図4は実施例1の駆動用ICの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0040】
発光素子1Aは、小型の発光素子とするために、チップ状態の複数の発光ダイオード2をこれらの発光ダイオードを駆動する回路基板を兼ねる駆動用IC3A上に一体化して構成されている。各発光ダイオード2は、ウエハから分割された状態のベアチップで構成され、裏面にカソード電極を備えている。本実施例1では、白色発光を行うために、複数の発光ダイオード2として3原色である赤(R)、緑(G)、青(B)の発光色を持つ3個の発光ダイオード2R、2G、2Bを用いた。
【0041】
駆動用IC3Aは、各発光ダイオード2R、2G、2Bに対応した出力端子3R、3G、3Bを表面に備え、各発光ダイオード2R、2G、2B毎の電流値もしくは各発光ダイオード2R、2G、2B間の電流比率を一定に制御するための駆動回路を内蔵している。この駆動回路によって、各出力端子の出力電流が調整され、各発光ダイオード2R、2G、2Bの発光強度が各々予め設定した範囲内に維持される。
【0042】
この駆動用IC3Aは、3つの発光ダイオード2R、2G、2Bの発光色が混色されることによって、それぞれの駆動パルス幅が同一の場合に白色が得られるように、各出力の電流値あるいは電流の比率が予め設定されている。
【0043】
発光素子1Aは、少なくとも6個の外部端子5、6、7C、7SI、7L、7SOを備えている。回路基板を兼ねる駆動用IC3Aには、一方の電源端子として機能する外部端子5及び他方の電源端子として機能する外部端子6がそれぞれ電気的に絶縁された状態で駆動用IC3Aの下部表面及び側面の一部分に設けられ、このうち外部端子6の表面上に各発光ダイオード2R、2G、2Bのカソード電極側が導電材料を用いて固定配置されている。この駆動用IC3Aは、さらに表面にCLOCK信号入力端子7C、発光信号入力端子7SI、LOAD信号入力端子7L、発光信号出力端子7SO及び複数の発光ダイオード2R、2G、2B用の出力端子3R、3G、3B等の端子が配置されており、このうち出力端子3R、3G、3Bとそれぞれの発光ダイオード2R、2G、2Bとの間は金線などのワイヤにより電気的に接続されている。
【0044】
本実施例1で使用した複数の発光ダイオード2R、2G、2Bは、裏面にカソード電極を備えているものを使用したので、導電材料により外部端子6に固定されているが、複数の発光ダイオード2R、2G、2Bが表面にアノードとカソードの両方の電極を備える場合は、これらの両方の電極にワイヤによる配線を施す必要がある。
【0045】
本実施例1の発光素子1Aは、これらの複数の発光ダイオード2R、2G、2Bを駆動用ICの表面に固定し、配線を施した後に、光透過性のモールド樹脂9によってこれらの表面を覆うことにより作製される。
【0046】
この発光素子1Aは、図2に示すように、駆動用IC3Aとそれに接続した各発光ダイオード2R、2G、2Bからなる発光回路を2つの外部端子5、6間に接続するとともに、外部端子7C、7SI、7LにそれぞれCLOCK信号、発光入力信号SI、LOAD信号がそれぞれ入力され、外部端子7SOから発光入力信号SIと同じ発光出力信号SOが出力される回路構成をとる。
【0047】
次に、本実施例1で使用した駆動用IC3Aの一具体例を、図3及び図4を用いて説明する。この駆動用IC3Aは、電流供給回路11、3ビットシフトレジスタ12、3ビットラッチ13、信号処理回路14及び3ビットドライバ15を備えている。3ビットシフトレジスタ12は、CLOCK信号の立ち下がりに同期して発光入力信号SIからそれぞれR、G、Bに対応する3ビット分の信号を分離して保持し、この3ビットシフトレジスタ12に保持されたR、G、Bに対応するそれぞれの信号は、LOAD信号に同期して同時に3ビットラッチ13に取り込まれて信号処理回路14を経て3ビットドライバ15に送られ、この3ビットドライバ15により電流供給回路11から所定の駆動電流を供給することによりそれぞれの発光ダイオード2R、2G、2Bを発光させるようになっている。
【0048】
信号処理回路14は、それぞれ2つの反転回路の直列回路からなる波形成形回路14R、14G、14Bからなり、3ビットラッチ13から送られてきたパルスを成形する機能を有するものであるが、場合によっては省略することも可能である。
【0049】
3ビットドライバ15は、図3の符号15R、15G、15Bに示すように、CMOS回路及びFETにより形成されたドライバであり、ここでは電源VDD2から供給される電流を各発光ダイオード2R、2G、2Bに供給するようになっている。なお、電源VDD2は電源端子である一方の外部端子5に直接接続ないしは所定の定電圧回路(図示せず)を経て接続されていてもよい。3ビットドライバ15から各発光ダイオード2R、2G、2Bのそれぞれに流れる電流は、それぞれのドライバ15R、15G、15Bの回路定数を変えることによりあるいは前記定電圧回路の電圧を変えることにより、各発光ダイオード2R、2G、2Bの駆動パルス幅が同一の場合に白色が得られるように調整されている。
【0050】
この駆動用IC3Aの動作は図4のタイミングチャートに示したとおりである。すなわち、本実施例では、複数の発光ダイオード2として、それぞれR、G、Bの各色を発光する3種の発光ダイオード2R、2G、2Bを用いているので、発光入力信号SIはCLOCK信号の連続する3パルス分で1周期分となるが、シフトレジスタ12がR、G、Bに対応する信号を分離して保持した後に、LOAD信号により3ビットラッチ13がシフトレジスタ12が保持している信号を読み込み保持するために1パルス分必要である。
【0051】
駆動用IC3Aに電源電圧が供給されているとき、3ビットシフトレジスタ12は、外部端子7Cに加えられているCLOCK信号の立ち下がりに同期して、発光入力信号SIからそれぞれR、G、Bに対応する3ビット分の信号を分離して保持する。3ビットシフトレジスタ12が保持した信号はLOAD信号に同期して3ビットラッチ13により読み込まれ、3ビットラッチ13はこの読み込んだ信号を次の周期の間保持する。
【0052】
例えば、図4においては、第1周期の発光入力信号SIは順にB、G、Rに対応する信号がHレベルとなっており、この発光入力信号SIは、第1周期の間に3ビットシフトレジスタ12によりR、G、B毎に分離して保持され、LOAD信号に同期して3ビットラッチ13に読み込まれ、3ビットラッチ13が読み込んだシフトレジスタ12が保持していた信号は第2周期の間そのまま保持される。したがって、第2周期の間、3ビットラッチ13のR、G、Bのそれぞれに対応するラッチ出力は全てHレベルとなる。
【0053】
この3ビットラッチ13の出力に基づき信号処理回路14を経て3ビットドライバ15により各発光ダイオード2R、2G、2Bが駆動されるため、第2周期の間には、各発光ダイオード2R、2G、2Bは全て発光するので、結果として白色光(W)が得られる。
【0054】
同様にして、例えば第2周期及び第3周期の発光入力信号SIはそれぞれR及びGに対応する信号のみがHレベルとなっているため、第3周期では赤の発光ダイオード2Rのみが発光して赤色光が得られ、第4周期では緑の発光ダイオード2Gのみが発光して緑色光が得られる。
【0055】
このようにして、本実施例1の発光素子1Aでは、発光入力信号SIの1周期分に含まれるR、G、Bの各成分の組合せに基いて、次の周期の間にわたりその組み合わせられた色を発光させることができるため、W、R、G、B、RG、RB、GBの7色、全て無発光の場合(黒)を含めて計8色の発光が可能となる。
【実施例2】
【0056】
実施例1の発光素子1Aでは、1周期の間の各発光ダイオード2R、2G、2Bの発光時間は、CLOCK信号とLOAD信号によって定まり、変えることができなかったが、実施例2ではストローブ信号STB制御回路を使用することにより1周期間の各発光ダイオード2R、2G、2Bの発光時間を変えることができるようにすることで、各発光ダイオード2R、2G、2Bのそれぞれの発光色の階調を変えることができるようにし、見かけ上多色の発光を可能とした発光素子1Bを作製した。
【0057】
この実施例2の発光素子1Bを図5及び図6を用いて説明する。ここで、図5は実施例2の発光素子1Bの駆動用IC3Bの内部回路の一具体例であり、図6は実施例2の駆動用IC3Bの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0058】
なお、実施例2の発光素子1Bの斜視図及びブロック図で表した等価回路図は、ストローブ端子7STを有する以外は実施例1の発光素子に関する図1及び図2の場合と同様であるので、その記載は省略し、また、図5及び図6においては実施例1の発光素子1と同一の構成部分には同一の参照符号を付与してその詳細な説明は省略することとする。
【0059】
この実施例2の発光素子1Bは、図5の記載から明らかなように、実施例1の発光素子1Aとは3ビットラッチ13の出力と信号処理回路14の入力との間に3個のアンド回路16R、16G、16BのからなるSTB制御回路16が挿入されている点で構成が相違しているが、他の部分の構成は実施例1の発光素子1Aと実質的に同一である。
【0060】
このSTB制御回路16を含めた実施例2の発光素子1Bの駆動用IC3Bの動作は図6のタイミングチャートに示したとおりである。すなわち、駆動用IC3Bに電源電圧が供給されているとき、3ビットシフトレジスタ12は、外部端子7Cに加えられているCLOCK信号の立ち下がりに同期して、発光入力信号SIからそれぞれR、G、Bに対応する3ビット分の信号を分離して保持し、3ビットシフトレジスタ12が保持した信号はLOAD信号に同期して3ビットラッチ13により読み込まれ、3ビットラッチ13はこの読み込んだ信号を次の周期の間保持する点までは実施例1の駆動用IC3Aの場合と同様である。
【0061】
しかしながら、実施例1の駆動用IC3Aの場合は3ビットラッチ13が保持している信号を1周期の間そのまま信号処理回路14を経て3ビットドライバ15へ供給するようになっているが、本実施例2の駆動用IC3BではSTB制御回路16により3ビットラッチ13が保持している信号と外部端子7STより入力されたストローブ信号STBとのアンド出力が信号処理回路14を経て3ビットドライバ15へ供給されるようになっている。そのため、本実施例2の駆動用IC3Bでは1周期の間に信号処理回路14を経て3ビットドライバ15へ供給される信号はストローブ信号STBによって制御することができる。
【0062】
例えば、図6においては、第1周期の発光入力信号SIは順にB、G、Rに対応する信号がHレベルとなっており、この発光入力信号SIは、第1周期の間に3ビットシフトレジスタ12を介して保持され、LOAD信号に同期して3ビットラッチ13に読み込まれ、3ビットラッチ13が読み込んだシフトレジスタ12が保持した信号は第2周期の間そのまま保持され、3ビットラッチ13のR、G、Bのそれぞれに対応するラッチ出力は全てHレベルとなる。
【0063】
しかしながら、この3ビットラッチ13の出力は、STB制御回路16においてストローブ信号STBとのアンド出力がとられて信号処理回路14を経て3ビットドライバ15により各発光ダイオード2R、2G、2Bが駆動されるため、各発光ダイオード2R、2G、2Bは、第2周期の間にストローブ信号STBに同期して発光することとなり、この場合においてはストローブ信号STBに対応して2回に分けて全て発光するので、結果として第2周期の間に2回点滅する白色光(W)が得られる。
【0064】
同様にして、例えば第2周期及び第3周期の発光入力信号S1はそれぞれR及びGに対応する信号のみがHレベルとなっているため、第3周期では第3周期のストローブ信号STBに対応して赤の発光ダイオード2Rのみが1周期の期間より短い時間だけ発光する赤色光が得られ、第4周期では第4周期のストローブ信号STBに対応して緑の発光ダイオード2Gのみが1周期の期間より短い時間だけ発光する緑色光が得られる。
【0065】
この実施例2の発光素子1Bでは、それぞれの周期内の各発光ダイオード2R、2G、2Bの発光時間を変えることができるようになるので、各発光ダイオード2R、2G、2Bのそれぞれの発光色の階調を変えることができ、見かけ上多色の発色光が得られるようになる。
【実施例3】
【0066】
実施例1の発光素子1A及び実施例2の発光素子1Bにおいては、3ビットドライバ15から各発光ダイオード2R、2G、2Bのそれぞれに流れる電流を、それぞれの発光ダイオード2R、2G、2Bに流れる電流値を発光強度−順電流特性に合わせるとともに個々の発光ダイオードの電気−光学特性のバラツキを補正するため、それぞれのドライバ15R、15G、15Bの回路定数を変えることによりあるいは前記定電圧回路の電圧を変えることにより各発光ダイオード2R、2G、2Bの駆動パルス幅が同一の場合に白色が得られるように調整するようにしたが、このような調整方法は、発光素子1Aないし1Bの組立中に行うことができる方法であって、発光素子1Aないし1Bの組立終了後には調整が困難である。
【0067】
そこで、実施例3として、外部から各発光ダイオード2R、2G、2Bに流れる電流値を調整できるようにして、発光素子の組立中又は組立後にそれぞれの発光ダイオード2R、2G、2Bの電気−光学特性のバラツキを補正できるようにした発光素子1Cを作製した。この実施例3の発光素子1Cを図7及び図8を用いて説明する。ここで、図7は実施例3の発光素子1Cの駆動用IC3Cをブロック図で表した等価回路図であり、図8は実施例3で使用した駆動用IC3Cの内部回路の一具体例を示す図である。
【0068】
なお、実施例3の発光素子1Cの斜視図は、必要に応じてリセット端子7SEを有する以外は実施例1の発光素子1Aに関する図1の場合と同様であるので、その記載は省略し、また、図7及び図8においては、実施例1の発光素子1Aと同一の構成部分には同一の参照符号を付与して一部の説明は省略することとする。
【0069】
この実施例3の発光素子1Cは、駆動用IC3Cとそれに接続した各発光ダイオード2R、2G、2Bからなる発光回路を2つの外部端子5、6間に接続するとともに、外部端子7C、7SI、7LにそれぞれCLOCK信号、発光入力信号SI、LOAD信号がそれぞれ入力され、外部端子7SOから発光入力信号SIと同じ発光出力信号SOが出力される回路構成をとっている点では実施例1の発光素子1Aと同じであるが、内部構成が実施例1の駆動用IC3Aとは相違している。
【0070】
すなわち、この実施例3の駆動用IC3Cは、図7及び図8に示すように、電流供給回路11、3ビットシフトレジスタ12、補正回路17、各種信号制御回路18及びドライバ19を備えており、そのうち補正回路17は、3ビットシフトレジスタ12の出力を保持して各種信号制御回路18及びドライバ19へ出力するための3ビットラッチ17Lと、補正用データを保持する補正メモリ17Mとからなる。
【0071】
補正メモリ17Mは、3×3ビットの不揮発性メモリによって、各3ビット分、すなわち8段階の補正レベルを記憶するようになっており、選択された補正レベルに対応する出力を各種信号制御回路18を経てドライバ19に送出し、各発光ダイオード2R、2G、2Bに対して所定の補正された電流を供給するようになっている。
【0072】
各種信号制御回路18は、各発光ダイオード2R、2G、2Bのそれぞれに対応する3つの信号制御回路ブロック18R、18G、18Bを備えており、各信号制御回路ブロック18R、18G、18Bは、例えば緑の発光ダイオード2G駆動用のものを例に取ると、2つの反転回路を直列接続した波形成形回路18G1と、補正メモリ17Mからの出力と3ビットラッチ17Lの出力とのアンド出力をとる3つのアンド回路18G2〜18G4からなり、それぞれの信号制御回路ブロック18G1〜18G4の出力は3×4ビットドライバ19Gの対応するドライバ19G1〜19G4に入力され、それぞれのドライバ19G1〜19G4の出力は並列に接続されて対応する緑の発光ダイオード2Gに供給されるようになっている。
【0073】
なお、赤の発光ダイオード2R及び青の発光ダイオード2B駆動用の各信号制御回路ブロック18R、18B及び3×4ビットドライバ19R、19Bも緑の発光ダイオード2G駆動用の各種信号制御回路ブロック18G及び3×4ビットドライバ19Gと同様の構成を備えているが、図示は省略した。
【0074】
この実施例3の発光素子1Cの発光色の調整は次のとおりの方法により行われる。まず、複数の発光ダイオード2R、2G、2Bのそれぞれの発光強度−順電流特性から白色光を得るための平均的な電流値TYPを求め、この値を中心とし、各発光ダイオードの製品毎のバラツキを考慮して所定の電流間隔、例えば、5%分ごとに、+20%、+15%、+10%、+5%、TYP、−5%、−10%、−15%の8レベルの電流値を定める。
【0075】
そして、3×4ビットドライバ19Gは、3ビットラッチ17Lの出力によってのみ駆動されるドライバ19G1の出力電流として前記−15%に対応する電流値を供給するようにし、他の3つのドライバ19G2〜19G4はそれぞれ前記の所定の電流間隔に対応する+5%分、+10%分及び+20%分の電流を供給するようにする。
【0076】
そうすると、発光ダイオード2Gには、ある周期に3ビットシフトレジスタ12の緑に対応する出力端子に出力が現われると、次の周期に3ビットラッチ17Lに現われた出力に対応して常にドライバ19G1から前記の−15%に対応する電流が供給されるとともに、補正メモリ17Mに記憶されたデータに基づく出力に応じて他の3つのドライバ19G2〜19G4からの出力電流が同時に供給されるため、発光ダイオード2Gに供給される電流値は−15%を最低値として、−10%、−5%、TYP、+5%、+10%、+15%、+20%の8レベルに変えることができる。
【0077】
このような構成を採用することにより、発光素子1Cの組立時ないしは組立後に、発光ダイオード2G対して所定の補正された電流を供給できるように補正メモリ17Mに対して所定の補正データを記憶させれば、所定の補正された電流値を各発光ダイオード2Gに対して供給することができるようになる。
【0078】
なお、ここでは緑の発光ダイオード2Rを発光させる場合を例に取り説明したが、赤の発光ダイオード2R及び青の発光ダイオード2Bを発光させる場合についても同様であり、このようにして3つの発光ダイオード2R、2G、2Bの全てについて補正した電流値を供給することによって、所望の色度の発光素子が得られる。なお、本実施例3の発光素子1Cの駆動回路3Cの動作は、図4に示した実施例1の発光素子1Aの駆動回路3Aのタイミングチャートと同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【実施例4】
【0079】
実施例3の発光素子1Cは、発光素子1Cの組立時ないしは組立後に各発光ダイオード2R、2G、2Bに対して所定の補正された電流を供給できるようにしたものを示したが、この発光素子1Cでは1周期の間の各発光ダイオード2R、2G、2Bの発光時間は、CLOCK信号とLOAD信号によって定まり、変えることができなかった。そこで、実施例4ではストローブ信号STB制御回路を使用することにより、1周期間の各発光ダイオード2R、2G、2Bの発光のタイミングや発光時間を変えることができるようにして、各発光ダイオード2R、2G、2Bのそれぞれの発光色の階調を変えることができるようにし、見かけ上多色の発光を可能とした発光素子1Dを作製した。
【0080】
この実施例4の発光素子1Dを図9を用いて説明する。ここで、図9は実施例4の発光素子1Dの駆動用IC3Bの内部回路の一具体例である。なお、実施例4の発光素子1Dの斜視図、ブロック図及び駆動用IC3Dをブロック図で表した等価回路図は、ストローブ端子7STを有する以外は実施例3の発光素子1Cの場合と同様であるので、その記載は省略することとし、また、図9においては実施例3の発光素子1Cと同一の構成部分には同一の参照符号を付与することとしてその詳細な説明も省略する。
【0081】
この実施例4の発光素子1Dは、図9の記載から明らかなように、実施例3の発光素子1Cとは補正回路17の3ビットラッチ17Lの出力と信号処理回路18の入力との間に3個のアンド回路16R、16G、16BからなるSTB制御回路16が挿入されている点で構成が相違しているが、他の部分の構成は実施例3の発光素子1Cと実質的に同一である。
【0082】
この実施例4の発光素子1Dの駆動用IC3Dにおいては、補正回路17の動作原理は実施例3の駆動用IC3Cのものと同一であり、また、STB制御回路16の動作原理は実施例2の駆動用IC3Bのものと同一であり、更に、その動作も実施例2の発光素子1Bの駆動回路3Bのタイミングチャートである図6に示したとおりであるので、その詳細な説明は省略する。
【0083】
このようにして、実施例4の発光素子1Dは、発光素子1Dの組立時ないしは組立後に各発光ダイオード2R、2G、2Bに対して所定の補正された電流を供給できるようになるとともに、ストローブ信号STBを使用することにより1周期間の各発光ダイオード2R、2G、2Bの発光時間を変えることができるようになるので、各発光ダイオード2R、2G、2Bのそれぞれの発光色の階調を変えることができるようにし、見かけ上多色の発光を可能とした発光素子1Dが得られる。
【実施例5】
【0084】
実施例1の発光素子1Aは、小型の発光素子とするために、チップ状態の複数の発光ダイオード2R、2G、2Bを回路基板を兼ねる駆動用IC3A上に一体化した例を示したが、実施例5ではリードフレームを有する基板上に駆動用IC及び複数の発光ダイオード2R、2G、2Bを載置した発光素子1Eを作製した。
【0085】
この実施例5の発光素子1Eを図10を用いて説明する。なお、図10は実施例5の発光素子1Eの光透過性のモールド樹脂を透過して表した平面図であり、実施例1の発光素子1Aと同一の構成部分には同一の参照符号を付与して一部の説明は省略することとする。
【0086】
この実施例5の発光素子1Eが実施例1の発光素子1Aと大きく構成が相違している点は、基板4として5端子のリードフレームを有するモールド型のものを用い、このうち他方の外部端子6に接続する幅広のリードフレーム8上に各発光ダイオード2R、2G、2Bのカソード電極側を導電材料を用いて固定配置するとともに、駆動用IC3をも載置して放熱効率を向上させるようにした点である。
【0087】
また、本実施例5で使用した駆動用IC3の表面には、各発光ダイオード用の出力端子3R、3G、3B、CLOCK信号入力端子3C、発光制御信号入力端子3SI、LOAD信号入力端子3L、電源電圧入力端子3V、共通端子3E等の端子が配置されており、このうち各発光ダイオード用の出力端子3R、3G、3Bとそれぞれの発光ダイオード2R、2G、2Bとの間、CLOCK信号入力端子と外部端子7Cとの間、発光制御信号入力端子3SIと外部端子7SIとの間、LOAD信号入力端子3Lと外部端子7Lとの間、発光信号出力端子3SOと外部端子7SOとの間、電源電圧入力端子3Vと一方の外部端子5との間、及び、共通端子3Eと他方の外部端子6との間は、それぞれ金線などにより電気的に接続されている。なお、実施例5の発光素子1Eの駆動用IC3の内部構成としては、実施例1〜実施例4の駆動用IC3A〜3Dのいずれをも使用することができ、その場合、必要に応じてストローブ端子7STないしリセット端子7SEを設ければよい。
【0088】
このような構成の実施例5の発光素子1Eによれば、他方の外部端子6に接続する幅広のリードフレーム8上に各発光ダイオード2R、2G、2B及び駆動用IC3が設けられているため、各発光ダイオード2R、2G、2B及び駆動用IC3の発熱はリードフレーム8を経て効率よく放熱させることができるので、各発光ダイオード2R、2G、2Bに大電流を流すことができ、明るい発光素子1Eが得られる。
【実施例6】
【0089】
実施例1〜5では、それぞれ単一の発光素子1A〜1Eを示したが、これらの発光素子1A〜1Eは発光信号出力端子7SOから発光入力信号SIと同じ波形の出力信号SOが得られているので、この発光信号出力端子7SOからの出力を別の発光素子の発光信号入力端子7SIに接続すると、複数個の発光素子を同時に発光制御することができるようになる。
【0090】
実施例5では、このような複数(N個)の発光素子をカスケード接続した発光装置を作成した。その発光装置の具体的な回路図を図11に示す。なお、図11においては理解を容易にするために各発光素子の入出力端子を信号名で表してある。
【0091】
実施例5の発光装置においては、各発光素子の正負の電源端子、CLOCK信号端子、LOAD信号端子及びストローブ信号STB入力端子は全て並列に接続されており、ただ、各発光素子の発光信号出力端子SOは、最終段のものを除き、隣り合う次の発光素子の発光信号入力端子SIに接続されている。
【0092】
そして、LOAD信号のデータ間に入力されるデータ数を3×Nとすれば、N個の発光素子を一つの入力信号で制御し得る発光装置が得られる。この場合、各発光素子としては実施例1〜5に示した発光素子1A〜1Eのいずれをも、ストローブ端子の有無にかかわらず、使用することができる。
【0093】
また、このような複数個の発光素子をカスケード接続した発光装置を、更に複数個平面状に配置すると、画像表示装置として使用し得る発光装置が得られる。
【0094】
以上、実施例1〜5としてはR、G、Bの3原色の発光ダイオードを使用した発光素子及び発光装置について述べたが、本発明はこれに限定されるものではなく、R、G、Bの3原色以外に例えばO及びYの少なくとも一方を発光し得る発光ダイオードと組み合わせた発光素子及び発光装置の場合にも、あるいはその他の色を発光し得る複数個の発光ダイオードを備える発光素子及び発光装置にも等しく適用し得るものである。
【0095】
この場合、R、G、Bの3原色による白色発光では、RとGの発光スペクトルの間隔が広いため、発光スペクトル分布に不連続な領域があり、白色光としては不完全であるが、特にO或いはYの発光ダイオードを組み合わせて使用すると赤から青まで連続的なスペクトル分布を有する白色光を容易に得ることができるようなる。さらに、この発光素子を多数個連続的に並べて接続した際に、少ない配線数で個々の発光素子を簡単に制御でき、演色性のよい画像表示装置としても使用し得る発光装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】実施例1の発光素子のモールド樹脂を透視した状態の斜視図である。
【図2】実施例1の発光素子の駆動用ICをブロック図で表した等価回路図である。
【図3】実施例1で使用した駆動用ICの内部回路の一具体例を示す図である。
【図4】実施例1の駆動用ICの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】実施例2で使用した駆動用ICの内部回路の一具体例を示す図である。
【図6】実施例2の駆動用ICの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図7】実施例3の発光素子の駆動用ICをブロック図で表した等価回路図である。
【図8】実施例3で使用した駆動用ICの内部回路の一具体例を示す図である。
【図9】実施例4で使用した駆動用ICの内部回路の一具体例を示す図である。
【図10】実施例5の発光素子のモールド樹脂を透視した状態の平面図である。
【図11】複数個の発光素子をカスケード接続した実施例6の発光装置の回路図である。
【図12】典型的な各種発光ダイオードの発光強度−順電流特性図である。
【図13】各種発光ダイオードのスペクトル分布特性図である。
【符号の説明】
【0097】
1A〜1E 発光素子
2、2R、2G、2B 発光ダイオード
3A〜3E 駆動用IC
4 回路基板
5、6、7C、7SI、7L、7SO、7ST、7SE 外部端子
8 リードフレーム
9 光透過性のモールド樹脂
11 電流供給回路
12 3ビットシフトレジスタ
13 3ビットラッチ
14、14R、14G、14B 信号処理回路
15、15R、15G、15B ドライバ
17 補正回路
17L 3ビットラッチ
17M 補正メモリ
18 各種信号制御回路
19、19R、19G、19B ドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光ダイオードと、これらの発光ダイオードを駆動する駆動用ICを一体化した発光素子であって、前記駆動用ICは、電流供給回路、複数ビットシフトレジスタ、複数ビットラッチ及び複数ビットドライバよりなることを特徴とする発光素子。
【請求項2】
前記複数ビットドライバは、前記複数の発光ダイオード毎の電流値もしくは前記複数の発光ダイオード間の電流比率を一定に制御するものであることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記複数ビットドライバは、前記複数の発光ダイオード毎の電流値もしくは前記複数の発光ダイオード間の電流比率を微調整する機能を備えていることを特徴とする請求項2に記載の発光素子。
【請求項4】
前記微調整は、前記駆動用ICに内蔵した不揮発性メモリに記憶させた補正用のデータに基づいて行われることを特徴とする請求項3に記載の発光素子。
【請求項5】
前記駆動用ICは、ストローブ信号制御回路を含み、前記ストローブ信号制御回路により前記複数の発光ダイオードの発光時間制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項6】
前記複数の発光ダイオードは、それらの光の混色によって白色発光が可能な発光色を備えることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項7】
前記複数の発光ダイオードは、赤色、緑色、青色の3原色のそれぞれを発光するものを含むことを特徴とする請求項6に記載の発光素子。
【請求項8】
前記複数の発光ダイオードは、さらに赤色と緑色の間に中心波長を有する発色光を有するものであることを特徴とする請求項7に記載の発光素子。
【請求項9】
前記複数の発光ダイオードは、さらに橙色及び黄色の少なくとも1つを発光するものを含むことを特徴とする請求項7に記載の発光素子。
【請求項10】
前記複数の発光ダイオードは前記駆動用ICの表面に設けられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の発光素子。
【請求項11】
前記複数の発光ダイオードと前記駆動用ICは、同じ樹脂によって覆われていることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の発光素子。
【請求項12】
前記請求項1〜11のいずれかに記載の発光素子を複数個備え、それぞれの発光素子の駆動用ICをカスケード接続したことを特徴とする発光装置。
【請求項13】
前記発光装置が画像表示装置であることを特徴とする請求項12に記載の発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−54337(P2006−54337A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−235344(P2004−235344)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】