説明

発光素子搭載用基板及び発光装置

【課題】本発明の課題は、発光素子搭載用基板とその内側に充填される封止樹脂とが強固に密着すると共に、発光素子から発光される光を効率よく反射できる、発光素子搭載用基板及び発光装置を提供することである。
【解決手段】発光素子が搭載される素子搭載部を有するセラミック基体部と、前記セラミック基体部上に前記素子搭載部を取り囲むように形成されるともに、セラミック焼結体からなるセラミック枠部と、を備え、前記セラミック枠部の内周面には、前記セラミック焼結体が露出する発光素子搭載用基板において、前記セラミック焼結体よりガラス成分を多く含むガラス層を、前記セラミック枠部上に、該セラミック枠部の開口を取り囲むように設けたことを特徴とする発光素子搭載用基板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード等の発光素子を搭載するための発光素子搭載用基板及び発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発光素子の一つである発光ダイオード(LED素子)の搭載用基板として、従来からセラミック製の基板が用いられている。そして、従来の発光素子搭載用基板として、図1に示すものが提案されている。(特許文献1)
図1の発光素子搭載用基板100は、発光素子120が搭載される素子搭載部121を有するセラミック基体部110と、セラミック基体部110上に素子搭載部121を取り囲むように形成されるセラミック枠部111とを備える。
そして、発光素子搭載用基板100に発光素子120を搭載して、発光装置200として使用する。発光素子120は、セラミック基体部110の素子搭載部121に、導電性接合材により固着される。そして、セラミック基体部110に形成された電極パッド130と発光素子120の電極とが、ボンディングワイヤ131を介して電気的に接続される。
また、キャビティには、発光素子120を覆うように、封止樹脂132が充填される。尚、キャビティとは、発光素子120が収納される部分のことで、セラミック基体部110とセラミック枠部111とで囲まれる部分のことである。
そして、セラミック基体部110の下面の外部接続端子が、外部電気回路基板の配線導体に接続されることで、発光素子搭載用基板100の配線導体を介して、発光素子120へ電源電圧が供給される。
【0003】
また、上記従来の発光素子搭載用基板100では、セラミック枠部111は金属メッキ層より光反射能が高いセラミック焼結体から構成され、当該セラミック焼結体がセラミック枠部111の内周面112に露出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2007/058361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の発光素子搭載用基板では、セラミック枠部の内周面に露出するセラミック焼結体と封止樹脂とが密着し難いため、発光装置を使用する際や発光装置を実装基板に半田付けする際等に、基板から封止樹脂が剥離する虞がある。そして、封止樹脂が剥離すると、発光素子やこれに接続したボンディングワイヤが引き剥がされるといった不具合が生じる。
このように従来の発光素子搭載用基板では、基板とその内側に充填される封止樹脂との密着の点において、改良の余地がある。
また、封止樹脂と密着性に優れるセラミック焼結体で、セラミック枠部を構成した場合、発光素子から発光される光の反射効率が悪くなり、発光素子搭載用基板として好ましくない。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板とその内側に充填される封止樹脂とが強固に密着すると共に、発光素子から発光される光を効率よく反射できる、発光素子搭載用基板及び発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、ガラスがセラミックスに比べ、樹脂と密着し易いという性質に着目してなされたものである。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(4)に記載の事項をその特徴とする。
【0008】
(1)発光素子が搭載される素子搭載部を有するセラミック基体部と、前記セラミック基体部上に前記素子搭載部を取り囲むように形成されるともに、セラミック焼結体からなるセラミック枠部と、を備え、前記セラミック枠部の内周面には、前記セラミック焼結体が露出する発光素子搭載用基板において、
前記セラミック焼結体よりガラス成分を多く含むガラス層を、前記セラミック枠部上に、該セラミック枠部の開口を取り囲むように設けたことを特徴とする発光素子搭載用基板。
【0009】
(2)前記ガラス層の内周面の面積は、前記セラミック枠部の内周面の面積より大きいことを特徴とする上記(1)に記載の発光素子搭載用基板。
【0010】
(3)前記セラミック枠部の厚さは、前記ガラス層の厚さより大きいことを特徴とする上記(2)に記載の発光素子搭載用基板。
【0011】
(4)上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の発光素子搭載用基板と、前記素子搭載部に搭載される発光素子と、前記セラミック基体部と前記セラミック枠部と前記ガラス層とで囲まれる部分に充填され、前記発光素子を封止するシリコーン樹脂からなる封止樹脂と、
を備える発光装置であって、前記ガラス層のガラス成分には、Si元素が含有されていることを特徴とする発光装置。
【0012】
上記(1)によると、セラミック焼結体よりガラス成分を多く含むガラス層をセラミック枠部上に設けることで、ガラス層に封止樹脂を密着させることができる。そのため、発光素子搭載用基板と封止樹脂との密着力が向上する。
従って、発光装置を使用する際や発光装置を実装基板に半田付けする際でも、発光素子搭載用基板から封止樹脂が剥離し難く、封止樹脂の剥離に起因する、発光素子やボンディングワイヤの引き剥がれといった不具合を防止できる。
また、上記(1)によると、発光素子からの光の主な反射面となる、セラミック枠部の内周面には、光反射能が優れるセラミック焼結体を露出させることができる。そのため、発光素子搭載用基板の光の反射効率を高くすることができる。
【0013】
発光素子搭載用基板からの封止樹脂の剥離は、セラミック枠部の内周面から主に発生する。そのため、上記(2)によると、樹脂と密着し易いガラス層の内周面の面積が、樹脂と密着し難いセラミック枠部の内周面の面積より大きくなるため、発光素子搭載用基板と封止樹脂との密着力をより一層向上させることができる。従って、発光素子搭載用基板から封止樹脂が剥離するという不具合をより一層防止できる。
【0014】
上記(3)によると、発光素子からの光の主な反射面で、且つ光反射能が優れるセラミック枠部の内周面をより大きくすることができるため、発光素子搭載用基板の光の反射効率を高くすることができる。従って、上記(2)の構成に上記(3)の構成を限定することで、発光素子搭載用基板とその内側に充填される封止樹脂とを強固に密着させると共に、発光素子からの光を効率よく反射できる発光素子搭載用基板をより確実に提供される。
【0015】
発光素子を封止する封止樹脂として、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の透明樹脂が挙げられる。シリコーン樹脂はエポキシ樹脂に比べて耐熱性や変色性に優れているため、シリコーン樹脂を封止樹脂として用いた方が発光装置の耐久性が優れる。しかし、シリコーン樹脂はエポキシ樹脂に比べてセラミックスと密着し難いため、シリコーン樹脂を封止樹脂として用いると、基板から封止樹脂が剥離するという不具合が顕在化しやすい。
それに対し、上記(5)によると、ガラス層を構成するガラス組成物のガラス成分にSi元素を含有させることで、封止樹脂にシリコーン樹脂を用いた場合であっても、ガラス層と封止樹脂とをより一層密着させることができる。そのため、耐久性に優れるとともに、発光素子搭載用基板から封止樹脂が剥離し難い発光装置が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、発光素子搭載用基板とその内側に充填される封止樹脂とが強固に密着すると共に、発光素子から発光される光を効率よく反射できる、発光素子搭載用基板及び発光装置を提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の発光装置の断面図。
【図2】本実施形態の発光素子装置の斜視図。
【図3】本実施形態の発光素子装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
図2は、本実施形態の発光装置1の斜視図(概略図)である。また、図3は、本実施形態の発光装置1の断面図である。
【0019】
図2に示されるように、本実施形態の発光素子搭載用基板2は、セラミック基体部10と、セラミック枠部11と、ガラス層12と、電極パッド13と、配線導体15とを備えるものである。
そして、発光素子搭載用基板2は、発光素子30を収納する部分であるキャビティ20を有する。キャビティ20とは、セラミック基体部10とセラミック枠部11とガラス層12とで囲まれる部分のことで、封止樹脂40が充填される。
【0020】
次に、上記発光装置1と発光素子搭載用基板2の構造を、図3に基づいて説明する。
セラミック基体部10は、板状(四角平板状)の部位であり、セラミック焼結体からなる。セラミック基体部10の上面24の中央部には、発光素子30が搭載される素子搭載部31を有する。
因みに、セラミック基体部10のサイズは、3mm(縦幅)×2mm(横幅)×0.6mm(厚さ)である。
【0021】
セラミック基体部10を構成するセラミック焼結体には、例えば、主成分としてアルミナを含み、添加成分としてバリウム元素を含むセラミック焼結体を用いる。
【0022】
尚、セラミック基体部10を構成するセラミック焼結体には、上記セラミック焼結体以外に、アルミナを主成分とするセラミック焼結体、窒化アルミニウムを主成分とするセラミック焼結体、ムライトを主成分とするセラミック焼結体、低温焼成の一種であるガラス−セラミック焼結体等も用いることができる。
【0023】
セラミック枠部11は、セラミック基体部10上に、素子搭載部31を取り囲むように形成された枠状の部位であり、セラミック焼結体からなる。そして、セラミック枠部11の内周面23には、上記セラミック焼結体が露出している。
また、セラミック枠部11の開口25は、四角形状になっており、セラミック枠部11の内周面23は、発光素子30から放射された光の反射面として作用し、外部に向かって広がる傾斜面となっている。
因みに、セラミック枠部11のサイズは、3mm(縦幅)×2mm(横幅)×0.2mm(厚さ)である。そして、セラミック枠部11の内周面23の傾斜角度θは75°で、セラミック枠部11の開口25のサイズは0.9mm(縦幅)×0.9mm(横幅)である。また、セラミック枠部11の内周面23の面積は、0.75mmである。
【0024】
また、本実施形態では、セラミック基体部10とセラミック枠部11とは一体成形されたもので、単層の厚膜基板(セラミック焼結体)中に、セラミック基体部10とセラミック枠部11とが形成されている。そのため、セラミック枠部11を構成するセラミック焼結体は、セラミック基体部10と同じセラミック焼結体である。
【0025】
尚、セラミック基体部10とセラミック枠部11とは、積層シート構造の基板中に形成することもできる。その場合、セラミック基体部10とセラミック枠部11に対応するセラミックグリーンシートを積層圧着して一体化させた後、焼成して形成する。
また、セラミック基体部10とセラミック枠部11とは、別々のセラミック焼結体で形成することもできる。その場合、セラミック基体部10とセラミック枠部11に対応したセラミック焼結体を形成した後、それらを銀−銅等のロウ材、樹脂接着剤、低融点ガラス等により固定して形成する。
【0026】
尚、セラミック枠部11を構成するセラミック焼結体には、アルミナを主成分とするセラミック焼結体、窒化アルミニウムを主成分とするセラミック焼結体、ムライトを主成分とするセラミック焼結体、低温焼成の一種であるガラス−セラミック焼結体等を用いることができる。より好ましくは、金属メッキ層より光反射能が優れるセラミック焼結体(例えば、Ba含有アルミナ焼結体)を用いる。
【0027】
ガラス層12は、セラミック枠部11の上面27上に、セラミック枠部11の開口25を離間して取り囲むように形成された枠状の部材であり、ガラス組成物により構成される。そして、ガラス層12の内周面26には、上記ガラス組成物が露出している。
また、ガラス層12の開口28は、トラック形状(略平行な2本の直線と、それらを繋ぐ2つの曲線とを有する形状)になっており、ガラス層12の内周面26は、発光素子30から放射された光の反射面として作用し、外部に向かって広がる傾斜面となっている。
因みに、ガラス層12の厚さは、0.19mmである。そして、ガラス層12の内周面26の面積は、1.96mmである。
【0028】
また、本実施形態では、ガラス層12を構成するガラス組成物には、例えば、ガラス成分(ホウ珪酸ガラス(Si元素を含む。))とセラミック粒子(酸化チタンや硫酸バリウム等の光散乱粒子)とを含有するガラス組成物を用いる。
尚、上記ガラス組成物はガラス成分のみとすることもできるが、発光素子搭載用基板の光の反射効率の観点から、ガラス成分とセラミック粒子との混合物を用いることがより好ましい。
【0029】
また、上記ガラス組成物に含有するガラス成分は、セラミック枠部11を構成するセラミック焼結体に含まれるガラス成分より多く含まれている。
尚、ガラス層12のガラス組成物がセラミック基体部11のセラミック焼結体よりガラス成分を多く含むか否かについては、ガラス層12とセラミック枠部11との内周面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影し、その画像におけるガラス(非晶質部分)の占める割合(占有面積)の多寡により判断することができる。
【0030】
本実施形態では、ガラス層12の内周面26の面積(1.96mm)は、セラミック枠部11の内周面23の面積(0.75mm)より大きくなっている。
また、本発明において、ガラス層12の内周面の面積とは、封止樹脂40とガラス層12とが接触する部分の面積のことである。
尚、セラミック枠部11及びガラス層12の内周面の面積は、3次元測定器を用いて測定することができる。また、図面や測定画像により内周面の形状を特定し、計算にて求めることもできる。
【0031】
本実施形態では、セラミック枠部11の厚さ(0.20mm)は、ガラス層12の厚さ(0.19mm)より大きくなっている。
また、本発明において、セラミック枠部11の厚さとは、セラミック基体部10の上面24(キャビティ20の底面)からセラミック枠部11の上面27までの距離(高さ)の平均値のことである。そして、ガラス層12の厚さとは、セラミック枠部11の上面27からガラス層12の上面29までの距離(高さ)の平均値のことである。
【0032】
セラミック枠部11の上面27(枠部11の開口25からガラス層12までの部分)には、発光素子30の電極に電気的に接続される電極パッド13が形成されている。また、電極パッド13に連続的に形成される配線導体15が、セラミック枠部11の上面27と側面、セラミック基体部10の側面と下面に形成されている。
【0033】
発光素子30は、セラミック基体部10の素子搭載部31に樹脂接着剤により固着される。電極パッド13と発光素子30の電極とは、ボンディングワイヤ14を介して電気的に接続される。
また、キャビティ20には、発光素子30を覆うようにシリコーン樹脂からなる封止樹脂40が設けられる。
そして、セラミック基体部10の下面の配線導体15が、外部電気回路基板の配線導体に接続されることで、発光素子30へ電源電圧が供給される。
【0034】
尚、上記封止樹脂としてエポキシ樹脂等を用いることもできるが、発光装置の耐久性の観点から、シリコーン樹脂を用いた方がより好ましい。
また、封止樹脂には、蛍光体を含有していてもよい。蛍光体は、発光素子30から発光される所定の波長の光を受けて他の波長の光を発光可能なもの等である。
【0035】
次に、上記構造の発光装置1及び発光素子搭載用基板2を製造する方法について、説明する。
まず、セラミックグリーンシートを準備する準備工程を実施する。具体的には、アルミナ粉末、炭酸バリウム粉末、有機バインダ、溶剤、可塑剤等を適宜混合してスラリーを作製する。そして、このスラリーを従来周知の手法(例えば、ドクターブレード法やカレンダーロール法)により、シート状に成形して、セラミックグリーンシートを作製する。
尚、セラミックグリーンシートは、原料粉末を成型機に充填して、加圧成形して作製することもできる。
【0036】
次に、凹部形成工程を実施する。凸部を有する金型を、単層のセラミックグリーンシートに向かって押圧して、セラミックグリーンシートの上面の一部を凹ませて、凹部を有するセラミックグリーンシートを得る。
【0037】
次に、グリーンシート焼成工程を実施する。具体的には、上記セラミックグリーンシートを、アルミナが焼結し得る所定の温度(例えば、1400℃から1800℃程度の温度)で焼成する。この焼成により、セラミックグリーンシートを焼結させて、セラミック基体部10とセラミック枠部11が一体化した単層のアルミナ焼結体を得る。
【0038】
次に、導体部形成工程を実施する。具体的には、金属粉末、有機バインダ、溶剤、可塑剤等を適宜混合して、導体ペーストを作製する。そして、その導体ペーストを、セラミック枠部11の上面27と側面の所定の位置、セラミック基体部10の側面と下面の所定の位置に印刷する。その後、焼成することで、導体ペーストの印刷層を焼結させて、電極パッド13と配線導体15とを形成する。
【0039】
次に、ガラス層形成工程を実施する。具体的には、まず、SiO、Al、B等を主成分とするガラス粉末と、酸化チタン(TiO)又は、硫酸バリウム(BaSO)等の光散乱粒子(セラミック粉末)と有機ビヒクルとを適宜混合して、ガラスペーストを作製する。そして、そのガラスペーストを、セラミック枠部11の上面27に、セラミック枠部11の開口25を離間して取り囲むように、スクリーン印刷する。その後、焼成することで、ガラスペーストの印刷層を焼結させて、ガラス焼成膜を形成する。そして、そのガラス焼成膜の上に、ガラスペーストをさらに印刷し、焼成する工程を行う。この工程を所定回数行うことで、ガラス焼成膜の積層体からなるガラス層12を形成する。
尚、ガラス層12は、ガラスペーストの印刷を複数回行った後、焼成して形成することもできる。また、ガラスペーストを厚く1回印刷した後、焼成して形成することもできる。
以上の工程を経ることで、発光素子搭載用基板2が製造される。
【0040】
次に、発光素子30の実装工程を実施する。具体的には、発光素子30を、セラミック基体部10の素子搭載部31に、樹脂接着剤により固着する。次に、電極パッド13と発光素子30の電極とに、ボンディングワイヤ14を半田付けする。その後、キャビティ20に、固化前の封止樹脂40を充填し、ガラス層12の上面29と面一になるように固化する。
以上の工程を経ることで、発光装置1が製造される。
【0041】
本実施形態の発光装置1及び発光素子搭載用基板2によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)セラミック枠部11を構成するセラミック焼結体よりガラス成分を多く含むガラス層12を、セラミック枠部11上に設けるため、ガラス層12の内周面26に封止樹脂40を密着させることができる。そのため、発光素子搭載用基板2と封止樹脂40との密着力を向上させることができる。
従って、発光装置1を使用する際や発光装置1を実装基板に半田付けする際でも、発光素子搭載用基板2から封止樹脂40が剥離し難く、封止樹脂40の剥離に起因する、発光素子30やボンディングワイヤ14の引き剥がれといった不具合を防止できる。
また、発光素子30からの光の主な反射面となる、セラミック枠部11の内周面23には、光反射能が優れるセラミック焼結体を露出させることができる。そのため、発光素子搭載用基板2の光の反射効率を高くすることができる。
(2)本実施形態では、ガラス層12の内周面26の面積は、セラミック枠部11の内周面23の面積より大きくなっている。尚、発光素子搭載用基板2からの封止樹脂40の剥離は、セラミック枠部11の内周面23から主に発生する。従って、樹脂と密着し易いガラス層12の内周面26の面積を、樹脂と密着し難いセラミック枠部11の内周面23の面積より大きくすることで、発光素子搭載用基板2と封止樹脂40との密着力をより一層向上させることができる。
(3)本実施形態では、セラミック枠部11の厚さはガラス層12の厚さより大きくなっている。発光素子30からの光の主な反射面となるセラミック枠部11の内周面23を、より大きくすることで、発光素子搭載用基板2の光の反射効率を高くすることができる
(4)本実施形態では、封止樹脂40はシリコーン樹脂からなり、ガラス層12を構成するガラス組成物中のガラス成分には、Si元素が含有されている。そのため、封止樹脂40がシリコーン樹脂であっても、封止樹脂40とガラス層12とが密着し易い。すなわち、本実施形態の発光装置1は、耐久性に優れると共に、発光素子搭載用基板2からの封止樹脂40の剥離を防止できる。
(5)本実施形態では、単層の厚膜基板中にセラミック基体部10とセラミック枠部11とが形成されている。そのため、セラミック枠部11の内周面に、光の反射を妨げる接合面やセラミックシートの積層面がないため、発光素子搭載用基板2の光の反射効率を高くすることができる。
(6)本実施形態では、電極パッド13は、セラミック枠部11の上面27の上に形成されている。そのため、素子搭載部31の周辺面積を小さくすることができ、発光素子搭載用基板2を小型化できる。また、発光素子30とセラミック枠部11の内周面23との距離が狭まるので、発光素子搭載用基板2の光の反射効率を高くすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明によれば、発光素子搭載用基板とその内側に充填される封止樹脂とが強固に密着すると共に、発光素子から発光される光を効率よく反射できる、発光素子搭載用基板及び発光装置を提供される。
【符号の説明】
【0043】
1 ・・・発光装置
2 ・・・発光素子搭載用基板
10・・・セラミック基体部
11・・・セラミック枠部
12・・・ガラス層
13・・・電極パッド
14・・・ボンディングワイヤ
15・・・配線導体
20・・・キャビティ
23・・・セラミック枠部の内周面
24・・・セラミック基体部の上面
25・・・セラミック枠部の開口
26・・・ガラス層の内周面
27・・・セラミック枠部の上面
28・・・ガラス層の開口
29・・・ガラス層の上面
30・・・発光素子
31・・・素子搭載部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子が搭載される素子搭載部を有するセラミック基体部と、
前記セラミック基体部上に前記素子搭載部を取り囲むように形成されるともに、セラミック焼結体からなるセラミック枠部と、を備え、
前記セラミック枠部の内周面には、前記セラミック焼結体が露出する発光素子搭載用基板において、
前記セラミック焼結体よりガラス成分を多く含むガラス層を、前記セラミック枠部上に、該セラミック枠部の開口を取り囲むように設けたことを特徴とする発光素子搭載用基板。
【請求項2】
前記ガラス層の内周面の面積は、前記セラミック枠部の内周面の面積より大きいことを特徴とする請求項1に記載の発光素子搭載用基板。
【請求項3】
前記セラミック枠部の厚さは、前記ガラス層の厚さより大きいことを特徴とする請求項2に記載の発光素子搭載用基板。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発光素子搭載用基板と、
前記素子搭載部に搭載される発光素子と、
前記セラミック基体部と前記セラミック枠部と前記ガラス層とで囲まれる部分に充填され、前記発光素子を封止するシリコーン樹脂からなる封止樹脂と、
を備える発光装置であって、
前記ガラス層のガラス成分には、Si元素が含有されていることを特徴とする発光装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−244027(P2012−244027A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114394(P2011−114394)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000004592)日本カーバイド工業株式会社 (165)
【Fターム(参考)】