発光素子
発光素子は、エレクトロルミネセンス素子(1)、ハウジング(2)およびエレクトロルミネセンス素子のための電流供給手段を含む。それは、マイクロ光学要素(12)がハウジングに結合されること、およびエレクトロルミネセンス素子(1)により発せられる光に影響を与える態様で構成されることにより特徴付けられる。マイクロ光学要素はハウジング(2)に結合される少なくとも部分的に透明な層(11)の表面上におけるマイクロ光学構造からなってもよい。マイクロ光学構造は、たとえば、それらを、ハウジングに結合される少なくとも部分的に透明な層(11)上に直接インプリントすることにより、または発光素子の本体にエレクトロルミネセンス素子を含む少なくとも部分的に透明な層(11)を鋳造することにより製造されてもよい。マイクロ光学要素(12)の回折光学特徴は、1つ以上のエレクトロルミネセンス素子(1)の位置、サイズおよび形状、ならびに1つ以上のエレクトロルミネセンス素子(1)の出力光分布に従って設計される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はLEDまたは有機発光ダイオード(OLED)などのエレクトロルミネセンス素子に関する。それは、より特定的には、特許請求の範囲の定義に従う光源に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)は既に長い間公知である。それらはさまざまな形態で利用可能である。通常、それらは、適当な電流源手段およびハウジングを伴う−エレクトロルミネセンス素子の一例である−LEDチップを含む。それらは大量生産製品であり非常に多様な波長、発光パワー、および他の特性に対して利用可能である。より最近では、有機発光ダイオード(OLED)がますます人気を得ている。それらは2つの導体間に一連の有機薄膜を含むエレクトロルミネセンス素子に基づく。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
LED源を用いることに関する鍵となる問題はLEDが容易には平行化または整形され得ないという事実である。これは、LEDが、拡張された光源、つまり光が拡張された空間領域から発するような源であるという事実の当然の結果である(典型的にはLEDの活性領域は数十マイクロメータから数百マイクロメータまたは数ミリメータまでである一方、たとえば、垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)の活性領域は数マイクロメータである)。この結果、LEDは典型的には広い角範囲にわたって延びる出力光分布を有する。LEDにより生ずる光を合焦させる、平行化する、またはそうでない場合には影響を受けるようにするという要件がある場合、外部の光学システムをLEDの隣に配置しなければならない。
【0004】
現在の技術に従う、そのような光学システムを含むLEDの例を図1に示す。この図は、LEDチップ1、上方向に発光されない光を再方向付けする拡散反射器として作用するハウジング2、およびチップを取囲むエポキシ3(または他の透明な材料)からなるLEDを含む機構を概略的に示している。この機構は、さらに、エポキシ層の上に適切なホルダ5によって付加される外部の光学素子4を含む。このホルダはLED源と外部の光学素子4との間に不十分に規定される接触部分がないようなものでなければならない。たとえば、これら構成要素間の薄い不規則な空気の間隙は光学的な歪みに至り得る。このホルダは適切な光学特性を有する接着層であってもよい。従来の例では、光学素子4は通常はいわゆるドームレンズであり、チップによって発された光を集光しそれを弱く平行化する。このような機構で得られる典型的な出力はランベルトの余弦法則に従い、つまり、強度分布は光源が見られる角度の余弦に直接関係する。
【0005】
より狭い角分布は複雑な反射器および/またはレンズシステムによってしか達成され得ない。光学的構成要素からなるある複雑なシステムも、発された光ビームをさらに整形するために必要である。
【0006】
先行技術においては、回折光学要素(DOE)をLEDに関連して用いることが提案されている。WO97/04491は、DOEを、LEDが上に装着されるガラスキャリヤに形状化される球形または非球形のレンズに対する置換物として開示している。EP 1
115 155 A2には、LEDに接触するための電極を含むガラス板下に配置されるLEDのアレイ、およびLEDにより発される光を平行化するためのDOEのアレイをともなう光学コンピュータが示されている。
【0007】
LEDは、しばしば、LEDのアレイまたは不規則な配置を含むLEDディスプレイパネルの構成要素として用いられる。そのようなLEDパネルにドームレンズを含むLEDを取付けることは、ドームレンズがLEDパネルの上面から突出することにならない場合には別途の保持手段を必要とし、さらなる反射器および/またはレンズシステムを取付けることは多くの適用例にとっては複雑すぎる。さらに、ドーム形状のレンズのサイズのため、これらの現在の技術の平行化手段を有するLEDパネルはかなりの最小の厚みを有する。他の適用例、たとえば内部照明、後または前の光ディスプレイに結合する光、投影ディスプレイ、LCDプロジェクタ、または小型カメラのためのフラッシュライトなどでは、発光素子全体が小型であることが大変重要である。
【0008】
この発明の目的は、LEDチップを含み、先行技術のLEDと比較して改善された特性を有する光源を提供することである。好ましくは、この光源の機構は、特定の適用例の要求を満たすよう調整されさえし得るように増大された柔軟性を与えるべきである。
【0009】
特に、LEDにより発される光の光分布のよりよい平行化/整形を可能にする解決策を有することは望ましいであろう。
【0010】
この光源は、好ましくは、大量に、低コストで製造され得るようなものであるべきである。
【0011】
この光源は、さらに、高度な製造技術を必要とすることなくLED装置に柔軟性をもって統合され得るように設計されるべきである。
【0012】
この発明のさらなる目的は、製造が容易で、好ましくは上記の好ましい特性の少なくともいくつかを有するLEDパネルを提供することである。
【0013】
この発明のさらなる目的は、好ましくは上記の好ましい特性の少なくともいくつかを有する光源の製造方法を提供することである。
【0014】
最後に、この発明の目的は、LEDパネルの製造方法を提供することである。
【0015】
この発明の第1の原理は、回折および/または屈折光学素子に基づくマイクロ光学要素によってエレクトロルミネセンス素子−LEDまたはOLED光源など−を含む光源の最初の、典型的にはランバーティアン光分布を平行化および/またはそうでない場合には整形することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
従来の光学素子に対抗するものとしてのマイクロ光学素子は屈折および/または回折を引き起こす微細な構造に基づき、これらの構造は、数マイクロメータ(μm)、たとえば0.5μm〜200μm、好ましくは0.5μmと約50μmとの間または0.5μmと約30μmとの間の特徴的深さ/高さおよびしばしばさらには幅を有する。換言すると、この特徴的なプロファイル深さおよびプロファイル幅は、屈折光学素子に対しては数波長から数十波長までのオーダであり、回折光学素子に対しては約1波長から数波長までのオーダである。親指の法則として、マイクロ光学要素の構造は、その構造上における異なる付近の場所に存在する放射の位相関係が十分に規定されるような構造を有する。これは、構造の、異なる要素における放射の振舞いが、幾何学的な光学図で表現され得る、伝統的な、純粋な屈折光学要素に相対するものである。マイクロ光学要素は、かくして、伝統的な光学要素(たとえば伝統的なレンズ、ミラー要素など)に相対するものとしては、光の波の性質が考慮されなければならず、マイクロ光学要素が放射に対して有する影響に関与するような構造を有するものとしてみなされ得る。
【0017】
この原理のため、発光素子は−製造が容易であり、匹敵する先行技術光源より薄いということとは別に−最初に発された光を部分的におよび/または弱く平行化する可能性を有するのみであるのではなく、その光をほとんど任意の態様で整形してもよい。たとえば、ビームを平行化または合焦させることとは別に、それは任意の所望のパターン−たとえば企業のロゴまたは造形的な要素の構成要素など−を与えるよう整形されてもよい。発光素子は、さらに、ある範囲の波長に対して平行化または他の整形化機能性を組合せてもよい。これは、発光素子に、異なる周波数で発光する複数のエレクトロルミネセンス素子が含まれる場合に有用である。それは、さらに、異なる光の割合が発光素子内の異なる場所から発するような場合に適合されてもよい。
【0018】
LEDにより発される光を単に平行化する場合でさえ、マイクロ光学要素は、LEDの形状および発光特性に従って構成される場合には、屈折平行化レンズに取って代わるよう構成されるマイクロ光学要素よりも高い効率性を提供する。そのような置換は、たとえば、空間を節約するために行なわれる。しかしながら、単に屈折レンズを、点の源に対しても設計される回折型マイクロ光学要素で置換することは、通常、構成の効率性を、つまり所望の態様で発される光の強度を下げる。この発明に従う発光素子はエレクトロルミネセンス領域の形状およびその発光特性を考慮し、それを適用のニーズに従って形状化する。このようにして、効率性およびシステム性能が、伝統的な、およびフレネルレンズ解決策と比較して、大きく改善され得る。この発明に記載される光学マイクロ構造は発光面積または体積に非常に近く置かれ得るので、完成したシステムは非常にコンパクトであり得る。
【0019】
この発明の第2の原理は、光学要素、つまりマイクロ光学要素を、マイクロ光学要素を含む(もしくは収容する、または担持する)要素、たとえばLED源のハウジング、またはOLEDの場合には基板と直接結合することである。マイクロ光学要素は、マイクロ光学構造が、1つまたはいくつかのエレクトロルミネセンス素子を取囲みたとえば通常は従来のLEDに存在する種類である透明な材料に直接取付けられる少なくとも部分的に透明な層上に直接インプリントされるようなものでさえあってもよい。代替物としては、マイクロ光学要素は、マイクロ光学構造が、LEDチップを取囲む前記透明な材料上に直接インプリントされるようなものであってもよい。いずれの場合でも、LED出力を平行化および/または整形するために用いられる光学素子は、ハウジングまたは基板と、および光学機能と直接接触するよう置かれる回折/屈折マイクロ光学要素である。
【0020】
少なくとも部分的に透明な層およびエレクトロルミネセンス素子を取囲む少なくとも部分的に透明な材料は両方とも全く透明である必要はなく、それらの少なくとも一方は、たとえば、光に影響する添加物、たとえば染料、蛍光材料などを含んでもよい。たとえば、蛍光染料が選択される場合には、該材料または該層は、さらなる機能性を統合しさえしてもよく、つまり、それは、さらに、エレクトロルミネセンス素子により発される原色光をある特定の所望の光波長または波長分布に変換するという目的のために働いてもよい。
【0021】
この発明に従う発光素子は、それらは、整形光学素子を有するが、平坦な表面を有してもよく、比較的薄く本質的に平坦であってもよいという利点を特徴とする。それらは、したがって、現在の技術のLEDと比較して、はるかにより容易に取扱え、はるかにより容易にLED光源などを有するLEDパネルまたは装置に集積される。それらは、したがって、ほとんどいかなる種類の装置に対しても、満たすべき特別な条件、たとえば装置の形状に対する条件などを生じさせることなく、容易に取付けられ得る。特に、それらは、LEDを含む非常に薄い装置に対して用いられ得る。適切なダイオードチップ−OLED要素など−が用いられる場合には、全パッケージはおそらく−シートの厚みである!−100μm強の薄さであり得る。
【0022】
この発明のこの第2の原理に対する代替物は、マイクロ光学要素を直接LEDパネルの基礎層に、どのような整形光学素子も伴わないLED源が容易にこの層に近接して置かれ得るような態様で与えることであり、この実施例は、かくして、LEDパネルの容易な取付けを可能にし、それと同時に、LEDパネルから発される光の平行化または他の整形を可能にする。これは、LEDパネル機能性の調整をどのような特定の制限もなく可能にする。たとえば、LEDパネル層は、LEDを配置するための、予め定められたスポットからなる正規のアレイ、つまり「LEDドック」を含み、各LEDドックはパネル層上に予め配置される平行化光学素子を含んでもよい。次いで、LEDの所望のパターンをパネル層上に、たとえば適切な接着剤を用いて、単に配置してもよい。
【0023】
この発明のさらなる原理は、マイクロ光学要素の特徴は通常あるプラスチック(ポリマー、または他の成形可能な材料、たとえばソルゲル材料など)に存在するということである。これは、光学要素が、既に言及した種類のかなり単純なプラスチックドームレンズであるか、または、−それらがより高い品質のものである場合には−通常ガラスから形成される、現在の技術とは相対するものである。プラスチック材料は、この発明に従う光源およびLEDパネルが容易に製造されるという事実に貢献する。このことのさらなる利点には、より広い範囲のさまざまな選択可能な光学的特性(たとえば屈折率、透過特性など)、低コストおよび軽量が含まれる。
【0024】
マイクロ光学要素の形状は、構成プロセスにおいて、異なる光学機能のバランスを取りそれらを組合せ、および拡張されたエレクトロルミネセンス素子の性質をその周囲の環境(つまりハウジングまたは基板)と並んで考慮することにより得てもよい。マイクロ光学要素は、1つまたは2つ以上のエレクトロルミネセンス素子の位置、サイズおよび形状、それらの出力光分布、ならびに下にあるハウジング/反射器の形状を考慮することにより設計される1つまたは2つ以上の集積された光学機能を含むよう仮定されてもよい。
【0025】
これは、典型的には、マイクロ光学要素の対称特性はエレクトロルミネセンス素子の対称特性に対応するという事実をもたらす結果となる。たとえば、エレクトロルミネセンス素子として動作するLEDチップは通常は四角形に形状化され、オーダ4の回転対称性を有する。LEDが矩形である場合、それはオーダ2の回転対称性を有する。双方の場合において、LEDは、さらに、2つの垂直な線に沿って線対称性を有する。マイクロ光学要素の面に突出する、マイクロ光学要素の幾何学的な特徴は、対応する対称性を呈する。光ビームを平行化する際、対応する対称性はマイクロ光学要素の特徴を明確に支配する。任意のビーム整形が行なわれるとき、対応する対称的な特徴が、結果として得られる出力ビーム形状に関係する他の幾何学的特徴で重畳されてもよい。マイクロ光学パターンは、2つの別個のLEDチップまたは完全な装置が単一の出力ビームに組合される場合に対しては、二重の対称性を示すことになる。
【0026】
この発明は、上記の恩恵に加えて、いくつかの利点を特徴とする。1つの利点は、この発明に従う発光素子およびLEDパネルは高スループットのエンボスまたは鋳造プロセスを用いて低コストで製造され得るということである。特に、マイクロ光学構造は発光素子の製造中にハウジングに付加され得る。
【0027】
さらなる利点は、発光素子およびLEDパネルはさらなる要素を有する必要なく異なる機能性を組合せ得るという点である。たとえば、1つの単一のLED平行化光学素子は、異なるエレクトロルミネセンス素子から発する異なる波長のコヒーレントでない光が複数の光学要素を必要とすることなく平行化されるようなものであり得、換言すると、光学マイクロ構造は多色であり得る拡張された源に対して設計され得る。これは、ドームレンズが、本質的に、典型的には1つの波長を有する点源であると仮定される1つのLEDチッ
プからの光を平行化するだけのために設計され、したがって、複数のエレクトロルミネセンス素子が存在する場合またはLEDチップ(または他のエレクトロルミネセンス素子)のまわりに蛍光材料が配置される場合に対しては役に立たない、現在の技術とは対照的である。
【0028】
この発明のある特定の実施例に従うと、マイクロ光学要素は、各々が個々の光学機能を有する複数の独立した部分を含む。
【0029】
発光素子を形成する方法は、少なくとも部分的に透明な材料に少なくとも部分的に埋込まれる少なくとも1つのエレクトロルミネセンス素子を設けるステップと、前記少なくとも部分的に透明な材料の最も外側の表面にマイクロ光学要素となる構造を付加するステップとを含む。これは、少なくとも部分的に透明な層を前記表面に付加し、マイクロ光学構造をその中にエンボス加工することによりなされてもよい。これの代替として、少なくとも部分的に透明な層の鋳造を、その表面上において、それにマイクロ光学構造が与えられる態様で行なってもよい。いずれの場合でも、新しく効率のよい製造技術を適用することにより発光素子またはLEDパネルを形成し、そのような技術を変形させることにより最適化された結果をもたらす大きな可能性がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下において、この発明の好ましい実施例を概略的な図面を参照して記載する。
【0031】
図2に示される発光素子は、LEDチップ1、ハウジング2、およびLEDチップ1を取囲むエポキシ3(または他の、少なくとも部分的に透明な材料)からなるLED本体を含む。それらの構成要素は、たとえば、図1を参照して記載される従来のLEDの態様であるが、必ずしもそうであるわけではない。発光素子は、さらに、少なくとも部分的に透明な層11を含み、これは、エポキシ3を伴うハウジング2上に積層されるかまたは鋳造されるものであり、さらには、エポキシ樹脂から形成されてもよく、または代替的に他の熱可塑性もしくはデュロプラスチック材料から形成されてもよいものである。それは、たとえば、UV硬化または熱硬化材料であってもよい。最も好ましい実施例によるとこの少なくとも部分的に透明な層はポリマー材料から形成されるが、それは、ガラスから形成されてもよい。このさらなる層の厚みは、たとえば、特定の使用に依って、5μmと約1mmとの間、好ましくは150μm未満で変動してもよい。この少なくとも部分的に透明な層11はマイクロ光学要素12をマイクロ光学構造の形で或る層の上に含み、−この層は、図面においては、層11および光源全体の最も外側の表面である
換言すると、エレクトロルミネセンス素子1は発光表面および前記発光表面に対向する基部を含み、前記基部はハウジングおよび/または基板の内側面に取付けられ、発光表面は少なくとも部分的にハウジング2を充填するかまたは基板を被覆する少なくとも部分的に透明な材料3により被覆される。この少なくとも部分的に透明な材料3は第1の面を規定し、ある少なくとも部分的に透明な層が前記第1の面に固着し、前記第1の面に本質的に平行な第2の面を規定する。マイクロ光学要素12は前記第2の面に存在するマイクロ光学構造からなる。
【0032】
マイクロ光学構造の設計は、LEDチップ1により発される光またはハウジング2により回折するよう反射される光が上記の面を横断する前に回折および/または屈折により平行化および/またはそうでない場合には整形される態様でなされる。
【0033】
LEDチップの代替物して、他のエレクトロルミネセンス素子(図示せず)が用いられてもよい。そのような他のエレクトロルミネセンス素子−たとえばOLED−は、たとえば、図2に示される同様の機構において配置されてもよく、従来のLEDチップとOLEDとの間における主な相違点は、後者の方がより薄いという点である。
【0034】
さらに別の代替物として、複数のエレクトロルミネセンス素子が存在してもよい。
【0035】
自己固着層である代わりに、本質的に透明な層11はLED本体に少なくとも部分的に透明な接着剤で貼付けられてもよい。そのような場合、マイクロ構造それ自体は任意の材料から形成されてもよく、ある特定の実施例に従う場合には、それはガラスから形成されるキャリヤを含んでさえいてもよい。
【0036】
ここで、一例として、設計プロセスを参照して、平行化/整形光学素子を以下のプロセスステップを用いて設計してもよい:
1.チップを理想的な点源のアレイとしてモデル化する。各仮想源の分布はLEDチップの分布に一致するよう仮定され、つまり、ランベルティアンチップ分布に対しては各点源もランベルティアンであると仮定される。
【0037】
2.ハウジングを、二次的な点源からなる、重み付けされた、不均一に間隔をおかれたアレイとしてモデル化する。各源の分布はハウジング材料の反射特性に一致する、たとえばランベルティアンであるとして仮定され、一方、アレイにおける個々の源の相対的な重みは、どれだけのエネルギが(どの角度で)ハウジング上の対応の点に当るか、つまり、どれだけのエネルギが最初の位置でどの方向に反射すべきであるかを考慮することにより計算される。ハウジングは、典型的には、理想的なランベルティアン反射器であると仮定され、つまり、反射された光はランベルティアン分布を有すると仮定される。この目的のため、源から光を受けるハウジングのすべての点は二次的なランベルティアン点源として作用すると仮定される。加えて、これら二次的な源の各々により発せられる総強度は、各モデル化された点がチップから、つまり主たる仮想源から受取るエネルギと同一でなければならない。これは、各二次的な源を受取られたエネルギから計算される適切な重み関数で変倍することにより達成される。最後に、各二次的な源の主たる方向、つまり最大強度の方向を、当該の点に衝突する光線の入射角にわたって、重み付けされた平均に基づき、計算する。または、それを別の態様にするためには、各二次的な源は、その源と対応するハウジング上の点への入射光の、重み付けされた平均に一致する総エネルギおよび主たる方向を有することになる。
【0038】
3.理想的な平行化/整形光学素子を各仮想の点源に対し個々に設計する。得られた光学機能を、次いで、LEDユニットの射出面上(つまりエポキシ層の上)において、重み付けされた加算により組合せる。この加算に対する重みの計算は、どれだけのエネルギを各仮想の源が射出面上の各スポットに貢献するかを考慮することにより行なわれ、つまり、重みは各点での各源の相対的強度に対応する。
【0039】
4.全体の光学機能の表面プロファイル上の変換が、たとえば、透過関数の原理を介してなされ得る。次いで、まず、光学構成要素は入力フィールド(つまり点源から来る射出面でのフィールド)および出力フィールド(つまり要素の後のフィールド分布、この場合は平行化されたフィールド)を点状の態様で接続すること、およびその接続は透過関数として呈され得るということが仮定される。これらの仮定で、透過関数は単に2つのフィールドの差であり、つまり、出力フィールドから入力フィールドを引いたものである。最後に、素子の物理的記述の、透過関数からの計算が、どの物理的プロファイルが所与の透過関数値に対応するかを解くことにより行なわれ得る。ある最も単純な考えられ得る場合においては、これは、どれだけの材料が透過関数と一致する振幅/位相変化を導入するために必要とされるか、つまり、どれほど深くそのプロファイルがあらねばならないかを計算することに還元される。より複雑な場合では、たとえば、プロファイルの局所的形状、屈折率分布などをさらに考慮してもよい。十分に厳密な場合では、透過関数の概念は有効ではなく、入力フィールドおよび出力フィールドはマックスウェルの等式および接触部分に
おける電磁境界条件を介して接続され、必要とされる素子の物理的寸法は、それらの等式および境界条件を、考慮された空間のすべての点において同時に満足させる表面に対して解くことにより得られなければならない。
【0040】
この発明は回折に限定されるものではなく、屈折を含むが、マイクロ光学構造は、光学素子が、いくつかの統合された光学機能を有する回折光学要素(DOE)に匹敵するようなものであってもよい。
【0041】
図3の光源が図2の光源と異なるのは、それが必ずしも少なくとも部分的に透明な層をエポキシ材料の上に含むとは限らないという点であり、マイクロ光学要素12はエポキシ(または他の少なくとも部分的に透明な)材料3の直接上のマイクロ光学構造からなる。
【0042】
ここで図4を参照して、そこに図示される光源は少なくとも部分的に透明な層を有するが、それは部分11a、11b、11cに分割されており、それらは各々異なる機能性を付加する。この実施例は、上記の結果的に得られる光学機能が、現在の技術を、利用可能な製造技術においてこえる場合に対して有用である。そのような場合において、その機能は、それをいくつかのパーツに分けること、および各パーツを要素の独立した部分として実現することにより近似され得る。
【0043】
図4においては異なる部分は個々の層本体として示されるが、これが当てはまる必要はない。逆に、通常は、異なる部分は、単一の少なくとも部分的に透明な層に存在する異なるマイクロ光学構造12a、12b、12cとなる。
【0044】
さらに、(微視的な意味において)異なる部分を有することなく異なる機能性を有するための構造を有することも可能である。単に、異なる機能を有する構造特徴、たとえば1つは第1のLEDチップからの光を回折および/または屈折により平行化するためのものであり、他方は第2のLEDチップからの光を平行化するためのものであるなどの2つの端面を有する突起を組合せなければならないだけである。
【0045】
図5は、上記の種類のようなマイクロ光学構造12の正規のパターンを伴うLEDパネル基礎層21を示す。マイクロ光学構造は、たとえば、すべて、ある特定の波長範囲の光を平行化することに対して設計され、その波長範囲はパネル基礎層に取付けられるべきLEDにより発される光の波長を含んでいる。LEDパネルはさらにいくつかのLED本体22を含み、それらは、各々、LEDチップおよびハウジングを有し、さらには、LEDチップを取囲むエポキシ(または他の少なくとも部分的に透明な材料)を含む。LED本体22は、基礎層21の一方側に、たとえばエポキシ(または他の少なくとも部分的に透明な材料)の固着性質、基礎層の固着性質、または中間接着層(図示せず)によって取付けられ、その光学特性はマイクロ光学構造12を設計することに対し考慮されている。LED本体はマイクロ光学構造の場所に取付けられるが、すべてのマイクロ光学構造が対応のLED本体を有する必要はない。
【0046】
LEDパネル基礎層は、その上に取付けられるLEDに対する適切な電流供給手段とともに、ユニバーサルパネルとなってもよい。パネル基礎層は単一の製造ステップにおいて注入成形またはインプリントされてもよい。
【0047】
パネル基礎層は、例示的に、LEDの少なくとも部分的に透明な層に対して上記の材料から形成されてもよい。代替物として、パネル基礎層はさらに、ガラス材料からなってもよい。
【0048】
LEDパネルの製造は、既存のLEDパネルと比較して、かなりより単純であることが
わかり、なぜならば、標準的な既製品のLEDを規格化された基礎層に標準的な手段で付加するだけでよいからである。
【0049】
図6a〜図6cはこの発明に従う光源の製造方法を示す。この方法は、エレクトロルミネセンス素子1−ここではLEDチップである−、ハウジング2およびエポキシ(または他の少なくとも部分的に透明な材料)を含むLED31をとるステップと(図6a)、たとえば積層などにより、熱可塑性材料からなる少なくとも部分的に透明な層11を付加するステップと(図6b)、−上昇させた温度で−形成されるべきマイクロ光学構造の窪みに対応する突起33を有する再使用可能なインプリント用ツール32によって、マイクロ光学構造を少なくとも部分的に透明な層11の表面上にインプリント(またはエンボス加工)するステップとを含む。このステップ・バイ・ステップのプロセスの代替物して、積層プレスに、構造を層の上に直接インプリントするためのインプリント用ツールが含まれるという点において、インプリントおよび積層ステップを組合せてもよい。
【0050】
ある代替的実施例においては、はじめは粘性状態にある少なくとも部分的に透明な層11をエポキシ(または他の少なくとも部分的に透明な材料)とエンボス用ツール32との間の隙間において鋳造(注入成形)し、次いで硬化、たとえばUV硬化させてもよい。エンボス用ツールは、好ましくは、少なくとも部分的に透明な層11の材料が少なくとも部分的に硬化したときにのみ取除かれる。もちろん、この実施例においては、粘性材料をエポキシ(または他の少なくとも部分的に透明な材料)の上に置いて層を形成した後エンボス用ツールを適所に置いてもよい。
【0051】
より一般的には、マイクロ光学構造を製造するための方法は、構造化されたツールを用いる、任意の形式のUVおよび/または化学および/または熱硬化材料のエンボス加工または鋳造を含んでよい。さらなる層がLED本体とマイクロ光学構造を含む層との間に存在してもよい。代替物として、層であり、既にマイクロ構造を(その中にまたはそれに取付けられた状態で)含むキャリヤをLED本体に貼付けまたは積層または他の態様で固定してもよい。さらに別の代替物としては、LED本体の一部(エレクトロルミネセンス素子を取囲む少なくとも部分的に透明な材料を含む)を−エンボス加工または鋳造(または注入成形)により−直接構造化してもよい。
【0052】
図7に示されるマイクロ光学構造41はLED源により発される光を平行化する。それは、図2〜図5のいずれにも示される光源に存在しもてよいマイクロ光学構造の例である。シェーディングはプロファイル深さの尺度である:シェーディングがより濃いほど、特徴はより深い。図においては、エレクトロルミネセンス素子の寸法を反映する中央の連続する部分が可視となる。エレクトロルミネセンス素子が複数のエレクトロルミネセンス素子によって置換される場合には、対応の複数の連続する部分が存在する。図8は図7に示される構造の中央部分を通る断面図を示す。それは、プロファイル高さ(μm)を位置の関数として(任意の単位で)示す。構造は変倍されてもよい。それらの寸法は波長に依存する。波長が変えられ、構造の寸法をその波長に比例するように変倍する場合、機能性は変更されないままである。さらに、構造の高さ(または深さ)の変更を、放射の位相が2πの整数倍により変更されるように、つまり、構造の高さが構造材料における光の波長の整数倍により変えられるように高さを加算または減算することにより行なってもよい。もちろん、この場合においても、構造の幅は適合されなければならず、構造の高さが小さいほど構造の幅はより微細になる。最後に、図9は図7に示されるプロファイルの本質的な部分を概略的に図示する。これらの部分は:中央レンズ51(これも図7および図8においては可視になる)、実際には複数のフレネルレンズのような、橋の半分の形状のような突出であり(図9においては1つのそのような突出により表わされる)中間部分52、およびボーダーレンズ53である。中央レンズ51は拡張されたルミネセンス素子のためのコリメーションレンズとなる。このレンズは、本質的に、いくつかのオフ軸レンズの、重
み付けされた平均である。中間部分52はさらなるコリメータとなり、それに衝突する光を軸の方向に向ける。ボーダーレンズ部分53はチップのハウジングの端縁部から反射される光を特に平行化するよう設計される。レンズは、ハウジングを、レンズから変動する距離をさらに有する二次的な拡張された源として考慮することにより設計される。
【0053】
図10および図11は、LEDチップ1および少なくとも部分的に透明な層11に形状化されたマイクロ光学構造12の相対的な構成およびサイズを示す。層11とLEDチップ1とを物理的に接続するハウジングおよび/または透明な層は図示されていない。ここにおいて、図12および図13に従う実施例におけるように、LEDチップ1の水平方向における延在はたとえば0.5〜2ミリメータの範囲内であってもよい。層11の最小の厚みに対応するマイクロ光学構造12の最大の厚みは、単色光に対してのca.1マイクロメータから異なる波長の光に対してのca.20マイクロメータにわたる。
【0054】
図10に従う構成においては、層11の形状および延在はLEDチップ1のそれにおおよそ一致し、層11はLEDチップ1に接近して、たとえば、数マイクロメータ〜20マイクロメータ〜1ミリメータの空隙または距離を伴って取付けられる。
【0055】
図11に対する変形物として、マイクロ光学構造はLEDチップに対面する側の上に置かれ得、またはマイクロ光学構造は層11の両側に設けられてもよい。層11は、さらに、第2のマイクロ光学構造を、LEDチップ1の方向に向けられる面上に含んでもよい。これによって、空隙を低減することができ、ビーム整形の機能性を増大させることができる。マイクロ光学構造が50〜100マイクロメータよりも十分下の距離にあるような場合には、LEDチップの局所的発光変動を、さらに、非常に高い確度で考慮し得、マイクロ光学構造の設計に組入れ得る。
【0056】
図11のさらなる一般化例として、マイクロ光学構造12を含む層11は平面的なまたは平坦な形状に限定されない。マイクロ光学構造は、さらに、異なるように形状化された表面に対する設計およびそのような表面上における形成が、それらの光学的機能を考慮し用いながら行なわれ得る。たとえば、そのような表面は球形または台形の断面を含んでもよい。
【0057】
図11に示される構成においては、層11の延在は、たとえば、LEDチップ1のそれの2倍以上である。したがって、層11までの距離はより大きく、たとえば0.5ミリメータまでである。この構成はランベルティアン出力特性を伴うLEDにより適している。LEDの出力がより方向付けされるほど、マイクロ光学構造12はより小さくてもよく、それをLEDチップ1により近く配置してももよい。
【0058】
図12は、層11がLEDチップ1にハウジング2により接続される発光素子を示す。距離がより大きければ大きいほど、上述のように、二次的な発光をマイクロ光学構造12の設計においてハウジング2の内側面に組入れることはより適切である。
【0059】
図13は、層11がLEDチップ1上に積層または鋳造されマイクロ光学構造12が形状化される、つまり層11にエンボス加工またはモールド成形される発光素子を示す。層の厚みはたとえば20マイクロメータ以上の範囲にある。層11は実質的にLEDチップ1の発光面を被覆する。それは、好ましくは、実質的にLEDチップ1の発光面を越えては延在しない。
【0060】
図14〜図16は、図7に類似のさらなるマイクロ光学構造であって、ある特定の光源形状および/または光源構成の出力を円形ビームに変換するためのマイクロ光学構造の表現を示す。図14は、オーダ3の回転対称性を有する三角形の光源またはLEDの出力を
変換するための構造を表現したものである。図15はオーダ2の回転対称性を有する2つの別個の相対的に小さな光源の出力を変換するための構造を表現したものである。図16は、八角形の光源の出力を変換するための構造を表現したものである。光源の形状そのものに対応して、それは、(2つの交互する側部の長さを伴う八角形に対しては)オーダ4の、(正八角形に対しては)オーダ8の回転対称性を有する。
【0061】
さまざまな他の実施例を構想してもよい。たとえば、LEDのハウジングは、図面に示される態様で形状化される必要はなく、任意の形状を有し任意の材料の組合せからなってもよい。エレクトロルミネセンス素子は、従来のLEDチップでなくてもよく、電流の注入で発光するどのような装置を用いてもよい。さらに、マイクロ光学構造は、光源の最も外側の表面に存在しなくてもよく、好適であればどのような面に存在してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】現在の技術に従う平行化光学素子を伴うLEDを示す。
【図2】この発明に従う光源を示す。
【図3】この発明に従う光源を示す。
【図4】この発明に従う光源を示す。
【図5】この発明に従うLEDパネルを示す。
【図6a】この発明に従う光源の製造プロセスを示す。
【図6b】この発明に従う光源の製造プロセスを示す。
【図6c】この発明に従う光源の製造プロセスを示す。
【図7】マイクロ光学構造を示す。
【図8】図7に示されるマイクロ光学構造の断面図を示す。
【図9】図7に示されるマイクロ光学構造の断面図を示す。
【図10】この発明に従うLEDチップおよびマイクロ光学構造の相対的な構成およびサイズを示す。
【図11】この発明に従うLEDチップおよびマイクロ光学構造の相対的な構成およびサイズを示す。
【図12】この発明のさらに好ましい実施例を示す。
【図13】この発明のさらに好ましい実施例を示す。
【図14】さらなるマイクロ光学構造を示す。
【図15】さらなるマイクロ光学構造を示す。
【図16】さらなるマイクロ光学構造を示す。
【技術分野】
【0001】
この発明はLEDまたは有機発光ダイオード(OLED)などのエレクトロルミネセンス素子に関する。それは、より特定的には、特許請求の範囲の定義に従う光源に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)は既に長い間公知である。それらはさまざまな形態で利用可能である。通常、それらは、適当な電流源手段およびハウジングを伴う−エレクトロルミネセンス素子の一例である−LEDチップを含む。それらは大量生産製品であり非常に多様な波長、発光パワー、および他の特性に対して利用可能である。より最近では、有機発光ダイオード(OLED)がますます人気を得ている。それらは2つの導体間に一連の有機薄膜を含むエレクトロルミネセンス素子に基づく。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
LED源を用いることに関する鍵となる問題はLEDが容易には平行化または整形され得ないという事実である。これは、LEDが、拡張された光源、つまり光が拡張された空間領域から発するような源であるという事実の当然の結果である(典型的にはLEDの活性領域は数十マイクロメータから数百マイクロメータまたは数ミリメータまでである一方、たとえば、垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)の活性領域は数マイクロメータである)。この結果、LEDは典型的には広い角範囲にわたって延びる出力光分布を有する。LEDにより生ずる光を合焦させる、平行化する、またはそうでない場合には影響を受けるようにするという要件がある場合、外部の光学システムをLEDの隣に配置しなければならない。
【0004】
現在の技術に従う、そのような光学システムを含むLEDの例を図1に示す。この図は、LEDチップ1、上方向に発光されない光を再方向付けする拡散反射器として作用するハウジング2、およびチップを取囲むエポキシ3(または他の透明な材料)からなるLEDを含む機構を概略的に示している。この機構は、さらに、エポキシ層の上に適切なホルダ5によって付加される外部の光学素子4を含む。このホルダはLED源と外部の光学素子4との間に不十分に規定される接触部分がないようなものでなければならない。たとえば、これら構成要素間の薄い不規則な空気の間隙は光学的な歪みに至り得る。このホルダは適切な光学特性を有する接着層であってもよい。従来の例では、光学素子4は通常はいわゆるドームレンズであり、チップによって発された光を集光しそれを弱く平行化する。このような機構で得られる典型的な出力はランベルトの余弦法則に従い、つまり、強度分布は光源が見られる角度の余弦に直接関係する。
【0005】
より狭い角分布は複雑な反射器および/またはレンズシステムによってしか達成され得ない。光学的構成要素からなるある複雑なシステムも、発された光ビームをさらに整形するために必要である。
【0006】
先行技術においては、回折光学要素(DOE)をLEDに関連して用いることが提案されている。WO97/04491は、DOEを、LEDが上に装着されるガラスキャリヤに形状化される球形または非球形のレンズに対する置換物として開示している。EP 1
115 155 A2には、LEDに接触するための電極を含むガラス板下に配置されるLEDのアレイ、およびLEDにより発される光を平行化するためのDOEのアレイをともなう光学コンピュータが示されている。
【0007】
LEDは、しばしば、LEDのアレイまたは不規則な配置を含むLEDディスプレイパネルの構成要素として用いられる。そのようなLEDパネルにドームレンズを含むLEDを取付けることは、ドームレンズがLEDパネルの上面から突出することにならない場合には別途の保持手段を必要とし、さらなる反射器および/またはレンズシステムを取付けることは多くの適用例にとっては複雑すぎる。さらに、ドーム形状のレンズのサイズのため、これらの現在の技術の平行化手段を有するLEDパネルはかなりの最小の厚みを有する。他の適用例、たとえば内部照明、後または前の光ディスプレイに結合する光、投影ディスプレイ、LCDプロジェクタ、または小型カメラのためのフラッシュライトなどでは、発光素子全体が小型であることが大変重要である。
【0008】
この発明の目的は、LEDチップを含み、先行技術のLEDと比較して改善された特性を有する光源を提供することである。好ましくは、この光源の機構は、特定の適用例の要求を満たすよう調整されさえし得るように増大された柔軟性を与えるべきである。
【0009】
特に、LEDにより発される光の光分布のよりよい平行化/整形を可能にする解決策を有することは望ましいであろう。
【0010】
この光源は、好ましくは、大量に、低コストで製造され得るようなものであるべきである。
【0011】
この光源は、さらに、高度な製造技術を必要とすることなくLED装置に柔軟性をもって統合され得るように設計されるべきである。
【0012】
この発明のさらなる目的は、製造が容易で、好ましくは上記の好ましい特性の少なくともいくつかを有するLEDパネルを提供することである。
【0013】
この発明のさらなる目的は、好ましくは上記の好ましい特性の少なくともいくつかを有する光源の製造方法を提供することである。
【0014】
最後に、この発明の目的は、LEDパネルの製造方法を提供することである。
【0015】
この発明の第1の原理は、回折および/または屈折光学素子に基づくマイクロ光学要素によってエレクトロルミネセンス素子−LEDまたはOLED光源など−を含む光源の最初の、典型的にはランバーティアン光分布を平行化および/またはそうでない場合には整形することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
従来の光学素子に対抗するものとしてのマイクロ光学素子は屈折および/または回折を引き起こす微細な構造に基づき、これらの構造は、数マイクロメータ(μm)、たとえば0.5μm〜200μm、好ましくは0.5μmと約50μmとの間または0.5μmと約30μmとの間の特徴的深さ/高さおよびしばしばさらには幅を有する。換言すると、この特徴的なプロファイル深さおよびプロファイル幅は、屈折光学素子に対しては数波長から数十波長までのオーダであり、回折光学素子に対しては約1波長から数波長までのオーダである。親指の法則として、マイクロ光学要素の構造は、その構造上における異なる付近の場所に存在する放射の位相関係が十分に規定されるような構造を有する。これは、構造の、異なる要素における放射の振舞いが、幾何学的な光学図で表現され得る、伝統的な、純粋な屈折光学要素に相対するものである。マイクロ光学要素は、かくして、伝統的な光学要素(たとえば伝統的なレンズ、ミラー要素など)に相対するものとしては、光の波の性質が考慮されなければならず、マイクロ光学要素が放射に対して有する影響に関与するような構造を有するものとしてみなされ得る。
【0017】
この原理のため、発光素子は−製造が容易であり、匹敵する先行技術光源より薄いということとは別に−最初に発された光を部分的におよび/または弱く平行化する可能性を有するのみであるのではなく、その光をほとんど任意の態様で整形してもよい。たとえば、ビームを平行化または合焦させることとは別に、それは任意の所望のパターン−たとえば企業のロゴまたは造形的な要素の構成要素など−を与えるよう整形されてもよい。発光素子は、さらに、ある範囲の波長に対して平行化または他の整形化機能性を組合せてもよい。これは、発光素子に、異なる周波数で発光する複数のエレクトロルミネセンス素子が含まれる場合に有用である。それは、さらに、異なる光の割合が発光素子内の異なる場所から発するような場合に適合されてもよい。
【0018】
LEDにより発される光を単に平行化する場合でさえ、マイクロ光学要素は、LEDの形状および発光特性に従って構成される場合には、屈折平行化レンズに取って代わるよう構成されるマイクロ光学要素よりも高い効率性を提供する。そのような置換は、たとえば、空間を節約するために行なわれる。しかしながら、単に屈折レンズを、点の源に対しても設計される回折型マイクロ光学要素で置換することは、通常、構成の効率性を、つまり所望の態様で発される光の強度を下げる。この発明に従う発光素子はエレクトロルミネセンス領域の形状およびその発光特性を考慮し、それを適用のニーズに従って形状化する。このようにして、効率性およびシステム性能が、伝統的な、およびフレネルレンズ解決策と比較して、大きく改善され得る。この発明に記載される光学マイクロ構造は発光面積または体積に非常に近く置かれ得るので、完成したシステムは非常にコンパクトであり得る。
【0019】
この発明の第2の原理は、光学要素、つまりマイクロ光学要素を、マイクロ光学要素を含む(もしくは収容する、または担持する)要素、たとえばLED源のハウジング、またはOLEDの場合には基板と直接結合することである。マイクロ光学要素は、マイクロ光学構造が、1つまたはいくつかのエレクトロルミネセンス素子を取囲みたとえば通常は従来のLEDに存在する種類である透明な材料に直接取付けられる少なくとも部分的に透明な層上に直接インプリントされるようなものでさえあってもよい。代替物としては、マイクロ光学要素は、マイクロ光学構造が、LEDチップを取囲む前記透明な材料上に直接インプリントされるようなものであってもよい。いずれの場合でも、LED出力を平行化および/または整形するために用いられる光学素子は、ハウジングまたは基板と、および光学機能と直接接触するよう置かれる回折/屈折マイクロ光学要素である。
【0020】
少なくとも部分的に透明な層およびエレクトロルミネセンス素子を取囲む少なくとも部分的に透明な材料は両方とも全く透明である必要はなく、それらの少なくとも一方は、たとえば、光に影響する添加物、たとえば染料、蛍光材料などを含んでもよい。たとえば、蛍光染料が選択される場合には、該材料または該層は、さらなる機能性を統合しさえしてもよく、つまり、それは、さらに、エレクトロルミネセンス素子により発される原色光をある特定の所望の光波長または波長分布に変換するという目的のために働いてもよい。
【0021】
この発明に従う発光素子は、それらは、整形光学素子を有するが、平坦な表面を有してもよく、比較的薄く本質的に平坦であってもよいという利点を特徴とする。それらは、したがって、現在の技術のLEDと比較して、はるかにより容易に取扱え、はるかにより容易にLED光源などを有するLEDパネルまたは装置に集積される。それらは、したがって、ほとんどいかなる種類の装置に対しても、満たすべき特別な条件、たとえば装置の形状に対する条件などを生じさせることなく、容易に取付けられ得る。特に、それらは、LEDを含む非常に薄い装置に対して用いられ得る。適切なダイオードチップ−OLED要素など−が用いられる場合には、全パッケージはおそらく−シートの厚みである!−100μm強の薄さであり得る。
【0022】
この発明のこの第2の原理に対する代替物は、マイクロ光学要素を直接LEDパネルの基礎層に、どのような整形光学素子も伴わないLED源が容易にこの層に近接して置かれ得るような態様で与えることであり、この実施例は、かくして、LEDパネルの容易な取付けを可能にし、それと同時に、LEDパネルから発される光の平行化または他の整形を可能にする。これは、LEDパネル機能性の調整をどのような特定の制限もなく可能にする。たとえば、LEDパネル層は、LEDを配置するための、予め定められたスポットからなる正規のアレイ、つまり「LEDドック」を含み、各LEDドックはパネル層上に予め配置される平行化光学素子を含んでもよい。次いで、LEDの所望のパターンをパネル層上に、たとえば適切な接着剤を用いて、単に配置してもよい。
【0023】
この発明のさらなる原理は、マイクロ光学要素の特徴は通常あるプラスチック(ポリマー、または他の成形可能な材料、たとえばソルゲル材料など)に存在するということである。これは、光学要素が、既に言及した種類のかなり単純なプラスチックドームレンズであるか、または、−それらがより高い品質のものである場合には−通常ガラスから形成される、現在の技術とは相対するものである。プラスチック材料は、この発明に従う光源およびLEDパネルが容易に製造されるという事実に貢献する。このことのさらなる利点には、より広い範囲のさまざまな選択可能な光学的特性(たとえば屈折率、透過特性など)、低コストおよび軽量が含まれる。
【0024】
マイクロ光学要素の形状は、構成プロセスにおいて、異なる光学機能のバランスを取りそれらを組合せ、および拡張されたエレクトロルミネセンス素子の性質をその周囲の環境(つまりハウジングまたは基板)と並んで考慮することにより得てもよい。マイクロ光学要素は、1つまたは2つ以上のエレクトロルミネセンス素子の位置、サイズおよび形状、それらの出力光分布、ならびに下にあるハウジング/反射器の形状を考慮することにより設計される1つまたは2つ以上の集積された光学機能を含むよう仮定されてもよい。
【0025】
これは、典型的には、マイクロ光学要素の対称特性はエレクトロルミネセンス素子の対称特性に対応するという事実をもたらす結果となる。たとえば、エレクトロルミネセンス素子として動作するLEDチップは通常は四角形に形状化され、オーダ4の回転対称性を有する。LEDが矩形である場合、それはオーダ2の回転対称性を有する。双方の場合において、LEDは、さらに、2つの垂直な線に沿って線対称性を有する。マイクロ光学要素の面に突出する、マイクロ光学要素の幾何学的な特徴は、対応する対称性を呈する。光ビームを平行化する際、対応する対称性はマイクロ光学要素の特徴を明確に支配する。任意のビーム整形が行なわれるとき、対応する対称的な特徴が、結果として得られる出力ビーム形状に関係する他の幾何学的特徴で重畳されてもよい。マイクロ光学パターンは、2つの別個のLEDチップまたは完全な装置が単一の出力ビームに組合される場合に対しては、二重の対称性を示すことになる。
【0026】
この発明は、上記の恩恵に加えて、いくつかの利点を特徴とする。1つの利点は、この発明に従う発光素子およびLEDパネルは高スループットのエンボスまたは鋳造プロセスを用いて低コストで製造され得るということである。特に、マイクロ光学構造は発光素子の製造中にハウジングに付加され得る。
【0027】
さらなる利点は、発光素子およびLEDパネルはさらなる要素を有する必要なく異なる機能性を組合せ得るという点である。たとえば、1つの単一のLED平行化光学素子は、異なるエレクトロルミネセンス素子から発する異なる波長のコヒーレントでない光が複数の光学要素を必要とすることなく平行化されるようなものであり得、換言すると、光学マイクロ構造は多色であり得る拡張された源に対して設計され得る。これは、ドームレンズが、本質的に、典型的には1つの波長を有する点源であると仮定される1つのLEDチッ
プからの光を平行化するだけのために設計され、したがって、複数のエレクトロルミネセンス素子が存在する場合またはLEDチップ(または他のエレクトロルミネセンス素子)のまわりに蛍光材料が配置される場合に対しては役に立たない、現在の技術とは対照的である。
【0028】
この発明のある特定の実施例に従うと、マイクロ光学要素は、各々が個々の光学機能を有する複数の独立した部分を含む。
【0029】
発光素子を形成する方法は、少なくとも部分的に透明な材料に少なくとも部分的に埋込まれる少なくとも1つのエレクトロルミネセンス素子を設けるステップと、前記少なくとも部分的に透明な材料の最も外側の表面にマイクロ光学要素となる構造を付加するステップとを含む。これは、少なくとも部分的に透明な層を前記表面に付加し、マイクロ光学構造をその中にエンボス加工することによりなされてもよい。これの代替として、少なくとも部分的に透明な層の鋳造を、その表面上において、それにマイクロ光学構造が与えられる態様で行なってもよい。いずれの場合でも、新しく効率のよい製造技術を適用することにより発光素子またはLEDパネルを形成し、そのような技術を変形させることにより最適化された結果をもたらす大きな可能性がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下において、この発明の好ましい実施例を概略的な図面を参照して記載する。
【0031】
図2に示される発光素子は、LEDチップ1、ハウジング2、およびLEDチップ1を取囲むエポキシ3(または他の、少なくとも部分的に透明な材料)からなるLED本体を含む。それらの構成要素は、たとえば、図1を参照して記載される従来のLEDの態様であるが、必ずしもそうであるわけではない。発光素子は、さらに、少なくとも部分的に透明な層11を含み、これは、エポキシ3を伴うハウジング2上に積層されるかまたは鋳造されるものであり、さらには、エポキシ樹脂から形成されてもよく、または代替的に他の熱可塑性もしくはデュロプラスチック材料から形成されてもよいものである。それは、たとえば、UV硬化または熱硬化材料であってもよい。最も好ましい実施例によるとこの少なくとも部分的に透明な層はポリマー材料から形成されるが、それは、ガラスから形成されてもよい。このさらなる層の厚みは、たとえば、特定の使用に依って、5μmと約1mmとの間、好ましくは150μm未満で変動してもよい。この少なくとも部分的に透明な層11はマイクロ光学要素12をマイクロ光学構造の形で或る層の上に含み、−この層は、図面においては、層11および光源全体の最も外側の表面である
換言すると、エレクトロルミネセンス素子1は発光表面および前記発光表面に対向する基部を含み、前記基部はハウジングおよび/または基板の内側面に取付けられ、発光表面は少なくとも部分的にハウジング2を充填するかまたは基板を被覆する少なくとも部分的に透明な材料3により被覆される。この少なくとも部分的に透明な材料3は第1の面を規定し、ある少なくとも部分的に透明な層が前記第1の面に固着し、前記第1の面に本質的に平行な第2の面を規定する。マイクロ光学要素12は前記第2の面に存在するマイクロ光学構造からなる。
【0032】
マイクロ光学構造の設計は、LEDチップ1により発される光またはハウジング2により回折するよう反射される光が上記の面を横断する前に回折および/または屈折により平行化および/またはそうでない場合には整形される態様でなされる。
【0033】
LEDチップの代替物して、他のエレクトロルミネセンス素子(図示せず)が用いられてもよい。そのような他のエレクトロルミネセンス素子−たとえばOLED−は、たとえば、図2に示される同様の機構において配置されてもよく、従来のLEDチップとOLEDとの間における主な相違点は、後者の方がより薄いという点である。
【0034】
さらに別の代替物として、複数のエレクトロルミネセンス素子が存在してもよい。
【0035】
自己固着層である代わりに、本質的に透明な層11はLED本体に少なくとも部分的に透明な接着剤で貼付けられてもよい。そのような場合、マイクロ構造それ自体は任意の材料から形成されてもよく、ある特定の実施例に従う場合には、それはガラスから形成されるキャリヤを含んでさえいてもよい。
【0036】
ここで、一例として、設計プロセスを参照して、平行化/整形光学素子を以下のプロセスステップを用いて設計してもよい:
1.チップを理想的な点源のアレイとしてモデル化する。各仮想源の分布はLEDチップの分布に一致するよう仮定され、つまり、ランベルティアンチップ分布に対しては各点源もランベルティアンであると仮定される。
【0037】
2.ハウジングを、二次的な点源からなる、重み付けされた、不均一に間隔をおかれたアレイとしてモデル化する。各源の分布はハウジング材料の反射特性に一致する、たとえばランベルティアンであるとして仮定され、一方、アレイにおける個々の源の相対的な重みは、どれだけのエネルギが(どの角度で)ハウジング上の対応の点に当るか、つまり、どれだけのエネルギが最初の位置でどの方向に反射すべきであるかを考慮することにより計算される。ハウジングは、典型的には、理想的なランベルティアン反射器であると仮定され、つまり、反射された光はランベルティアン分布を有すると仮定される。この目的のため、源から光を受けるハウジングのすべての点は二次的なランベルティアン点源として作用すると仮定される。加えて、これら二次的な源の各々により発せられる総強度は、各モデル化された点がチップから、つまり主たる仮想源から受取るエネルギと同一でなければならない。これは、各二次的な源を受取られたエネルギから計算される適切な重み関数で変倍することにより達成される。最後に、各二次的な源の主たる方向、つまり最大強度の方向を、当該の点に衝突する光線の入射角にわたって、重み付けされた平均に基づき、計算する。または、それを別の態様にするためには、各二次的な源は、その源と対応するハウジング上の点への入射光の、重み付けされた平均に一致する総エネルギおよび主たる方向を有することになる。
【0038】
3.理想的な平行化/整形光学素子を各仮想の点源に対し個々に設計する。得られた光学機能を、次いで、LEDユニットの射出面上(つまりエポキシ層の上)において、重み付けされた加算により組合せる。この加算に対する重みの計算は、どれだけのエネルギを各仮想の源が射出面上の各スポットに貢献するかを考慮することにより行なわれ、つまり、重みは各点での各源の相対的強度に対応する。
【0039】
4.全体の光学機能の表面プロファイル上の変換が、たとえば、透過関数の原理を介してなされ得る。次いで、まず、光学構成要素は入力フィールド(つまり点源から来る射出面でのフィールド)および出力フィールド(つまり要素の後のフィールド分布、この場合は平行化されたフィールド)を点状の態様で接続すること、およびその接続は透過関数として呈され得るということが仮定される。これらの仮定で、透過関数は単に2つのフィールドの差であり、つまり、出力フィールドから入力フィールドを引いたものである。最後に、素子の物理的記述の、透過関数からの計算が、どの物理的プロファイルが所与の透過関数値に対応するかを解くことにより行なわれ得る。ある最も単純な考えられ得る場合においては、これは、どれだけの材料が透過関数と一致する振幅/位相変化を導入するために必要とされるか、つまり、どれほど深くそのプロファイルがあらねばならないかを計算することに還元される。より複雑な場合では、たとえば、プロファイルの局所的形状、屈折率分布などをさらに考慮してもよい。十分に厳密な場合では、透過関数の概念は有効ではなく、入力フィールドおよび出力フィールドはマックスウェルの等式および接触部分に
おける電磁境界条件を介して接続され、必要とされる素子の物理的寸法は、それらの等式および境界条件を、考慮された空間のすべての点において同時に満足させる表面に対して解くことにより得られなければならない。
【0040】
この発明は回折に限定されるものではなく、屈折を含むが、マイクロ光学構造は、光学素子が、いくつかの統合された光学機能を有する回折光学要素(DOE)に匹敵するようなものであってもよい。
【0041】
図3の光源が図2の光源と異なるのは、それが必ずしも少なくとも部分的に透明な層をエポキシ材料の上に含むとは限らないという点であり、マイクロ光学要素12はエポキシ(または他の少なくとも部分的に透明な)材料3の直接上のマイクロ光学構造からなる。
【0042】
ここで図4を参照して、そこに図示される光源は少なくとも部分的に透明な層を有するが、それは部分11a、11b、11cに分割されており、それらは各々異なる機能性を付加する。この実施例は、上記の結果的に得られる光学機能が、現在の技術を、利用可能な製造技術においてこえる場合に対して有用である。そのような場合において、その機能は、それをいくつかのパーツに分けること、および各パーツを要素の独立した部分として実現することにより近似され得る。
【0043】
図4においては異なる部分は個々の層本体として示されるが、これが当てはまる必要はない。逆に、通常は、異なる部分は、単一の少なくとも部分的に透明な層に存在する異なるマイクロ光学構造12a、12b、12cとなる。
【0044】
さらに、(微視的な意味において)異なる部分を有することなく異なる機能性を有するための構造を有することも可能である。単に、異なる機能を有する構造特徴、たとえば1つは第1のLEDチップからの光を回折および/または屈折により平行化するためのものであり、他方は第2のLEDチップからの光を平行化するためのものであるなどの2つの端面を有する突起を組合せなければならないだけである。
【0045】
図5は、上記の種類のようなマイクロ光学構造12の正規のパターンを伴うLEDパネル基礎層21を示す。マイクロ光学構造は、たとえば、すべて、ある特定の波長範囲の光を平行化することに対して設計され、その波長範囲はパネル基礎層に取付けられるべきLEDにより発される光の波長を含んでいる。LEDパネルはさらにいくつかのLED本体22を含み、それらは、各々、LEDチップおよびハウジングを有し、さらには、LEDチップを取囲むエポキシ(または他の少なくとも部分的に透明な材料)を含む。LED本体22は、基礎層21の一方側に、たとえばエポキシ(または他の少なくとも部分的に透明な材料)の固着性質、基礎層の固着性質、または中間接着層(図示せず)によって取付けられ、その光学特性はマイクロ光学構造12を設計することに対し考慮されている。LED本体はマイクロ光学構造の場所に取付けられるが、すべてのマイクロ光学構造が対応のLED本体を有する必要はない。
【0046】
LEDパネル基礎層は、その上に取付けられるLEDに対する適切な電流供給手段とともに、ユニバーサルパネルとなってもよい。パネル基礎層は単一の製造ステップにおいて注入成形またはインプリントされてもよい。
【0047】
パネル基礎層は、例示的に、LEDの少なくとも部分的に透明な層に対して上記の材料から形成されてもよい。代替物として、パネル基礎層はさらに、ガラス材料からなってもよい。
【0048】
LEDパネルの製造は、既存のLEDパネルと比較して、かなりより単純であることが
わかり、なぜならば、標準的な既製品のLEDを規格化された基礎層に標準的な手段で付加するだけでよいからである。
【0049】
図6a〜図6cはこの発明に従う光源の製造方法を示す。この方法は、エレクトロルミネセンス素子1−ここではLEDチップである−、ハウジング2およびエポキシ(または他の少なくとも部分的に透明な材料)を含むLED31をとるステップと(図6a)、たとえば積層などにより、熱可塑性材料からなる少なくとも部分的に透明な層11を付加するステップと(図6b)、−上昇させた温度で−形成されるべきマイクロ光学構造の窪みに対応する突起33を有する再使用可能なインプリント用ツール32によって、マイクロ光学構造を少なくとも部分的に透明な層11の表面上にインプリント(またはエンボス加工)するステップとを含む。このステップ・バイ・ステップのプロセスの代替物して、積層プレスに、構造を層の上に直接インプリントするためのインプリント用ツールが含まれるという点において、インプリントおよび積層ステップを組合せてもよい。
【0050】
ある代替的実施例においては、はじめは粘性状態にある少なくとも部分的に透明な層11をエポキシ(または他の少なくとも部分的に透明な材料)とエンボス用ツール32との間の隙間において鋳造(注入成形)し、次いで硬化、たとえばUV硬化させてもよい。エンボス用ツールは、好ましくは、少なくとも部分的に透明な層11の材料が少なくとも部分的に硬化したときにのみ取除かれる。もちろん、この実施例においては、粘性材料をエポキシ(または他の少なくとも部分的に透明な材料)の上に置いて層を形成した後エンボス用ツールを適所に置いてもよい。
【0051】
より一般的には、マイクロ光学構造を製造するための方法は、構造化されたツールを用いる、任意の形式のUVおよび/または化学および/または熱硬化材料のエンボス加工または鋳造を含んでよい。さらなる層がLED本体とマイクロ光学構造を含む層との間に存在してもよい。代替物として、層であり、既にマイクロ構造を(その中にまたはそれに取付けられた状態で)含むキャリヤをLED本体に貼付けまたは積層または他の態様で固定してもよい。さらに別の代替物としては、LED本体の一部(エレクトロルミネセンス素子を取囲む少なくとも部分的に透明な材料を含む)を−エンボス加工または鋳造(または注入成形)により−直接構造化してもよい。
【0052】
図7に示されるマイクロ光学構造41はLED源により発される光を平行化する。それは、図2〜図5のいずれにも示される光源に存在しもてよいマイクロ光学構造の例である。シェーディングはプロファイル深さの尺度である:シェーディングがより濃いほど、特徴はより深い。図においては、エレクトロルミネセンス素子の寸法を反映する中央の連続する部分が可視となる。エレクトロルミネセンス素子が複数のエレクトロルミネセンス素子によって置換される場合には、対応の複数の連続する部分が存在する。図8は図7に示される構造の中央部分を通る断面図を示す。それは、プロファイル高さ(μm)を位置の関数として(任意の単位で)示す。構造は変倍されてもよい。それらの寸法は波長に依存する。波長が変えられ、構造の寸法をその波長に比例するように変倍する場合、機能性は変更されないままである。さらに、構造の高さ(または深さ)の変更を、放射の位相が2πの整数倍により変更されるように、つまり、構造の高さが構造材料における光の波長の整数倍により変えられるように高さを加算または減算することにより行なってもよい。もちろん、この場合においても、構造の幅は適合されなければならず、構造の高さが小さいほど構造の幅はより微細になる。最後に、図9は図7に示されるプロファイルの本質的な部分を概略的に図示する。これらの部分は:中央レンズ51(これも図7および図8においては可視になる)、実際には複数のフレネルレンズのような、橋の半分の形状のような突出であり(図9においては1つのそのような突出により表わされる)中間部分52、およびボーダーレンズ53である。中央レンズ51は拡張されたルミネセンス素子のためのコリメーションレンズとなる。このレンズは、本質的に、いくつかのオフ軸レンズの、重
み付けされた平均である。中間部分52はさらなるコリメータとなり、それに衝突する光を軸の方向に向ける。ボーダーレンズ部分53はチップのハウジングの端縁部から反射される光を特に平行化するよう設計される。レンズは、ハウジングを、レンズから変動する距離をさらに有する二次的な拡張された源として考慮することにより設計される。
【0053】
図10および図11は、LEDチップ1および少なくとも部分的に透明な層11に形状化されたマイクロ光学構造12の相対的な構成およびサイズを示す。層11とLEDチップ1とを物理的に接続するハウジングおよび/または透明な層は図示されていない。ここにおいて、図12および図13に従う実施例におけるように、LEDチップ1の水平方向における延在はたとえば0.5〜2ミリメータの範囲内であってもよい。層11の最小の厚みに対応するマイクロ光学構造12の最大の厚みは、単色光に対してのca.1マイクロメータから異なる波長の光に対してのca.20マイクロメータにわたる。
【0054】
図10に従う構成においては、層11の形状および延在はLEDチップ1のそれにおおよそ一致し、層11はLEDチップ1に接近して、たとえば、数マイクロメータ〜20マイクロメータ〜1ミリメータの空隙または距離を伴って取付けられる。
【0055】
図11に対する変形物として、マイクロ光学構造はLEDチップに対面する側の上に置かれ得、またはマイクロ光学構造は層11の両側に設けられてもよい。層11は、さらに、第2のマイクロ光学構造を、LEDチップ1の方向に向けられる面上に含んでもよい。これによって、空隙を低減することができ、ビーム整形の機能性を増大させることができる。マイクロ光学構造が50〜100マイクロメータよりも十分下の距離にあるような場合には、LEDチップの局所的発光変動を、さらに、非常に高い確度で考慮し得、マイクロ光学構造の設計に組入れ得る。
【0056】
図11のさらなる一般化例として、マイクロ光学構造12を含む層11は平面的なまたは平坦な形状に限定されない。マイクロ光学構造は、さらに、異なるように形状化された表面に対する設計およびそのような表面上における形成が、それらの光学的機能を考慮し用いながら行なわれ得る。たとえば、そのような表面は球形または台形の断面を含んでもよい。
【0057】
図11に示される構成においては、層11の延在は、たとえば、LEDチップ1のそれの2倍以上である。したがって、層11までの距離はより大きく、たとえば0.5ミリメータまでである。この構成はランベルティアン出力特性を伴うLEDにより適している。LEDの出力がより方向付けされるほど、マイクロ光学構造12はより小さくてもよく、それをLEDチップ1により近く配置してももよい。
【0058】
図12は、層11がLEDチップ1にハウジング2により接続される発光素子を示す。距離がより大きければ大きいほど、上述のように、二次的な発光をマイクロ光学構造12の設計においてハウジング2の内側面に組入れることはより適切である。
【0059】
図13は、層11がLEDチップ1上に積層または鋳造されマイクロ光学構造12が形状化される、つまり層11にエンボス加工またはモールド成形される発光素子を示す。層の厚みはたとえば20マイクロメータ以上の範囲にある。層11は実質的にLEDチップ1の発光面を被覆する。それは、好ましくは、実質的にLEDチップ1の発光面を越えては延在しない。
【0060】
図14〜図16は、図7に類似のさらなるマイクロ光学構造であって、ある特定の光源形状および/または光源構成の出力を円形ビームに変換するためのマイクロ光学構造の表現を示す。図14は、オーダ3の回転対称性を有する三角形の光源またはLEDの出力を
変換するための構造を表現したものである。図15はオーダ2の回転対称性を有する2つの別個の相対的に小さな光源の出力を変換するための構造を表現したものである。図16は、八角形の光源の出力を変換するための構造を表現したものである。光源の形状そのものに対応して、それは、(2つの交互する側部の長さを伴う八角形に対しては)オーダ4の、(正八角形に対しては)オーダ8の回転対称性を有する。
【0061】
さまざまな他の実施例を構想してもよい。たとえば、LEDのハウジングは、図面に示される態様で形状化される必要はなく、任意の形状を有し任意の材料の組合せからなってもよい。エレクトロルミネセンス素子は、従来のLEDチップでなくてもよく、電流の注入で発光するどのような装置を用いてもよい。さらに、マイクロ光学構造は、光源の最も外側の表面に存在しなくてもよく、好適であればどのような面に存在してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】現在の技術に従う平行化光学素子を伴うLEDを示す。
【図2】この発明に従う光源を示す。
【図3】この発明に従う光源を示す。
【図4】この発明に従う光源を示す。
【図5】この発明に従うLEDパネルを示す。
【図6a】この発明に従う光源の製造プロセスを示す。
【図6b】この発明に従う光源の製造プロセスを示す。
【図6c】この発明に従う光源の製造プロセスを示す。
【図7】マイクロ光学構造を示す。
【図8】図7に示されるマイクロ光学構造の断面図を示す。
【図9】図7に示されるマイクロ光学構造の断面図を示す。
【図10】この発明に従うLEDチップおよびマイクロ光学構造の相対的な構成およびサイズを示す。
【図11】この発明に従うLEDチップおよびマイクロ光学構造の相対的な構成およびサイズを示す。
【図12】この発明のさらに好ましい実施例を示す。
【図13】この発明のさらに好ましい実施例を示す。
【図14】さらなるマイクロ光学構造を示す。
【図15】さらなるマイクロ光学構造を示す。
【図16】さらなるマイクロ光学構造を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのエレクトロルミネセンス素子(1)、およびエレクトロルミネセンス素子(1)により発せられる光に影響するよう配される回折型マイクロ光学要素(12)を含む発光素子であって、マイクロ光学要素(12)の回折光学特徴は、1つ以上のエレクトロルミネセンス素子(1)の位置、サイズおよび形状、ならびに1つ以上のエレクトロルミネセンス素子(1)の出力光分布に従って設計されることにおいて特徴付けられる、発光素子。
【請求項2】
エレクトロルミネセンス素子(1)はマイクロ光学要素(1)に結合されるハウジング(2)および/または基板において配され、マイクロ光学要素(12)の回折光学特徴の設計は、さらに、下のハウジング(2)の形状および反射特性を組込む、請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
マイクロ光学要素(12)の対称性特性は、エレクトロルミネセンス素子(1)の対称性特性、および所望される発光特性の対称性特性に対応する、請求項1または2に記載の発光素子。
【請求項4】
マイクロ光学構造(12)はエレクトロルミネセンス素子(1)の発光面を実質的に被覆する少なくとも部分的に透明な層(11)に形状化される、請求項1〜3の1つに記載の発光素子。
【請求項5】
層(11)はエレクトロルミネセンス素子(1)の発光面を実質的に越えては延在しない、請求項4に記載の発光素子。
【請求項6】
エレクトロルミネセンス素子(1)およびエレクトロルミネセンス素子(1)のための電流供給手段を収容するためのハウジングおよび/または基板(2)を含み、マイクロ光学要素(12)はハウジングおよび/または基板(2)に結合される、請求項1〜5の1つに記載の光学素子。
【請求項7】
前記マイクロ光学要素(12)はハウジングおよび/または基板(2)に直接かつ本質的に不可逆的に固定される、請求項6に記載の光学素子。
【請求項8】
エレクトロルミネセンス素子、ハウジングおよび/または基板(2)、ならびにエレクトロルミネセンス素子(1)を取囲む少なくとも部分的に透明な材料(3)を伴うLED本体(22)を含み、前記マイクロ光学要素(12)は前記LED本体に取付けられる少なくとも部分的に透明な層(11)の表面上のマイクロ光学構造(12)からなる、請求項6または7に記載の発光素子。
【請求項9】
前記マイクロ光学要素(12)は少なくとも部分的に透明なプラスチック材料の表面上におけるマイクロ光学構造(12)からなる、先行する請求項のいずれか1つに記載の光学素子。
【請求項10】
前記マイクロ光学要素(12)は個々の光学機能を各々が有する複数の独立した部分を含む、先行する請求項のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項11】
前記エレクトロルミネセンス素子(1)は発光面を含み、発光面は少なくとも部分的に透明な材料(3)によって被覆され、少なくとも部分的に透明な材料(3)は第1の面を規定し、少なくとも部分的に透明な層は前記第1の面に固着し、前記第1の面に本質的に平行な第2の面を規定し、前記マイクロ光学要素(12)は前記第2の面に存在するマイ
クロ光学構造からなる、先行する請求項のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項12】
前記マイクロ光学構造(12)は0.5μmと200μmとの間の特徴的な深さおよび/または高さを有する特徴を含む、先行する請求項のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項13】
少なくとも1つのエレクトロルミネセンス素子(1)、ならびに選択肢としてハウジングおよび/または基板(2)、および面を伴う少なくとも部分的に透明な材料(3)を含むLED本体(22)を設けるステップと、前記少なくとももう1つのエレクトロルミネセンス素子(1)により発せられる光を整形および/または平行化するためマイクロ光学要素(12)となる構造を前記面に付加するステップとを含む、発光素子を製造するための方法。
【請求項14】
少なくとも部分的に透明な材料(11)からなる層を前記LED本体(22)上に固着させるステップと、前記面において、前記マイクロ光学要素となるマイクロ構造(12)をエンボス加工するステップとを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記面上に、前記マイクロ光学要素となるマイクロ構造(12)を含む少なくとも部分的に透明な層(11)を鋳造するステップと、前記少なくとも部分的に透明な層(11)をたとえば熱硬化、UV硬化、化学硬化によって硬化させるステップとを含む請求項13に記載の方法。
【請求項16】
エレクトロルミネセンス素子と関連して用いられるマイクロ光学構造を設計するための方法であって、
点源からなるアレイとしてエレクトロルミネセンス素子(1)の発光をモデル化するステップを含み、各点源は全体としてエレクトロルミネセンス素子と同じ角光分布を有し、一方、強度は、選択肢として、エレクトロルミネセンス素子の局所的発光強度に適合され、前記方法はさらに、
選択肢として、エレクトロルミネセンス素子を出る光がマイクロ光学構造に到達する前に反射される点に対応する二次的な点源の発光をモデル化するステップと、
所望される光ビーム形状に対し、ビーム整形光学素子を各点源毎に設計するステップと、
すべての点源に対するビーム整形光学素子を結合させて、全体の光学的機能を生じさせるステップと、
全体的な光学的機能に従ってマイクロ光学構造に対し表面プロファイルを生じさせるステップとを含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのエレクトロルミネセンス素子(1)、およびエレクトロルミネセンス素子(1)により発せられる光に影響するよう配される回折光学要素(12)を含む発光素子であって、回折光学要素(12)の回折光学特徴は、1つ以上のエレクトロルミネセンス素子(1)の出力光分布に従って設計されることにおいて特徴付けられ、エレクトロルミネセンス素子(1)は回折光学要素(1)に結合されるハウジング(2)および/または基板において配され、回折光学要素(12)の回折光学特徴の設計は、さらに、下のハウジング(2)の形状および反射特性を組込み、ハウジングの点は二次的なランベルティアン点源となるよう仮定される源からの光を受ける、発光素子。
【請求項2】
回折光学要素(12)の対称性特性は、エレクトロルミネセンス素子(1)の対称性特性、および所望される発光特性の対称性特性に対応する、請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
回折光学構造(12)はエレクトロルミネセンス素子(1)の発光面を実質的に被覆する少なくとも部分的に透明な層(11)に形状化される、請求項1または2に記載の発光素子。
【請求項4】
層(11)はエレクトロルミネセンス素子(1)の発光面を越えては延在しない、請求項3に記載の発光素子。
【請求項5】
エレクトロルミネセンス素子(1)およびエレクトロルミネセンス素子(1)のための電流供給手段を収容するためのハウジングおよび/または基板(2)を含み、回折光学要素(12)はハウジングおよび/または基板(2)に結合される、請求項1〜4の1つに記載の光学素子。
【請求項6】
前記回折光学要素(12)はハウジングおよび/または基板(2)に直接かつ不可逆的に固定される、請求項5に記載の光学素子。
【請求項7】
エレクトロルミネセンス素子(1)としてのLEDチップ、ハウジングおよび/または
基板(2)、ならびにエレクトロルミネセンス素子(1)を取囲む少なくとも部分的に透明な材料(3)をさらに含むLED(発光ダイオード)を含み、前記回折光学要素(12)は前記少なくとも部分的に透明な材料(3)に取付けられる少なくとも部分的に透明な層(11)の表面上の回折光学構造(12)からなる、請求項5または6に記載の発光素子。
【請求項8】
エレクトロルミネセンス素子(1)としてのLEDチップ、ハウジングおよび/または基板(2)、ならびにエレクトロルミネセンス素子(1)を取囲む少なくとも部分的に透明な材料(3)をさらに含むLED(発光ダイオード)を含み、前記回折光学要素は前記少なくとも部分的に透明な材料(3)の表面上の回折光学構造(12)からなる、請求項5または6に記載の発光素子。
【請求項9】
前記少なくとも部分的に透明な材料(3)は光に影響を与える添加物、特に蛍光材料を含む、請求項7または8に記載の発光素子。
【請求項10】
前記回折光学要素(12)は個々の光学機能を各々が有する複数の独立した部分を含む、先行する請求項のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項11】
前記エレクトロルミネセンス素子(1)は発光面を含み、発光面は少なくとも部分的に透明な材料(3)によって被覆され、少なくとも部分的に透明な材料(3)は第1の面を規定し、少なくとも部分的に透明な層は前記第1の面に固着し、前記第1の面に本質的に平行な第2の面を規定し、前記回折光学要素(12)は前記第2の面に存在する回折光学構造からなる、先行する請求項のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項12】
前記回折光学構造(12)は0.5μmと200μmとの間の特徴的な深さおよび/または高さを有する特徴を含む、先行する請求項のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項13】
ハウジング(2)および/または基板に配されるエレクトロルミネセンス素子と関連して発光素子において用いられる回折光学構造を製造するための方法であって、回折光学構造はエレクトロルミネセンス素子(1)により発せられる光に影響するよう構成され、前記方法は、
点源からなるアレイとしてエレクトロルミネセンス素子(1)の発光をモデル化するステップを含み、各点源は全体としてエレクトロルミネセンス素子と同じ角光分布を有し、一方、強度は、選択肢として、エレクトロルミネセンス素子の局所的発光強度に適合され、前記方法はさらに、
エレクトロルミネセンス素子を出る光がハウジング(2)および/または基板によって回折光学構造に到達する前に反射される点に対応する二次的な点源の発光をモデル化し、二次的な点源の発光をランベルティアンであるとしてモデル化するステップと、
所望される光ビーム形状に対し、ビーム整形光学素子を各点源毎に設計するステップと、
すべての点源に対するビーム整形光学素子を結合させて、全体の光学的機能を生じさせるステップと、
全体的な光学的機能に従って回折光学構造に対し表面プロファイルを生じさせるステップとを含む、方法。
【請求項1】
少なくとも1つのエレクトロルミネセンス素子(1)、およびエレクトロルミネセンス素子(1)により発せられる光に影響するよう配される回折型マイクロ光学要素(12)を含む発光素子であって、マイクロ光学要素(12)の回折光学特徴は、1つ以上のエレクトロルミネセンス素子(1)の位置、サイズおよび形状、ならびに1つ以上のエレクトロルミネセンス素子(1)の出力光分布に従って設計されることにおいて特徴付けられる、発光素子。
【請求項2】
エレクトロルミネセンス素子(1)はマイクロ光学要素(1)に結合されるハウジング(2)および/または基板において配され、マイクロ光学要素(12)の回折光学特徴の設計は、さらに、下のハウジング(2)の形状および反射特性を組込む、請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
マイクロ光学要素(12)の対称性特性は、エレクトロルミネセンス素子(1)の対称性特性、および所望される発光特性の対称性特性に対応する、請求項1または2に記載の発光素子。
【請求項4】
マイクロ光学構造(12)はエレクトロルミネセンス素子(1)の発光面を実質的に被覆する少なくとも部分的に透明な層(11)に形状化される、請求項1〜3の1つに記載の発光素子。
【請求項5】
層(11)はエレクトロルミネセンス素子(1)の発光面を実質的に越えては延在しない、請求項4に記載の発光素子。
【請求項6】
エレクトロルミネセンス素子(1)およびエレクトロルミネセンス素子(1)のための電流供給手段を収容するためのハウジングおよび/または基板(2)を含み、マイクロ光学要素(12)はハウジングおよび/または基板(2)に結合される、請求項1〜5の1つに記載の光学素子。
【請求項7】
前記マイクロ光学要素(12)はハウジングおよび/または基板(2)に直接かつ本質的に不可逆的に固定される、請求項6に記載の光学素子。
【請求項8】
エレクトロルミネセンス素子、ハウジングおよび/または基板(2)、ならびにエレクトロルミネセンス素子(1)を取囲む少なくとも部分的に透明な材料(3)を伴うLED本体(22)を含み、前記マイクロ光学要素(12)は前記LED本体に取付けられる少なくとも部分的に透明な層(11)の表面上のマイクロ光学構造(12)からなる、請求項6または7に記載の発光素子。
【請求項9】
前記マイクロ光学要素(12)は少なくとも部分的に透明なプラスチック材料の表面上におけるマイクロ光学構造(12)からなる、先行する請求項のいずれか1つに記載の光学素子。
【請求項10】
前記マイクロ光学要素(12)は個々の光学機能を各々が有する複数の独立した部分を含む、先行する請求項のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項11】
前記エレクトロルミネセンス素子(1)は発光面を含み、発光面は少なくとも部分的に透明な材料(3)によって被覆され、少なくとも部分的に透明な材料(3)は第1の面を規定し、少なくとも部分的に透明な層は前記第1の面に固着し、前記第1の面に本質的に平行な第2の面を規定し、前記マイクロ光学要素(12)は前記第2の面に存在するマイ
クロ光学構造からなる、先行する請求項のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項12】
前記マイクロ光学構造(12)は0.5μmと200μmとの間の特徴的な深さおよび/または高さを有する特徴を含む、先行する請求項のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項13】
少なくとも1つのエレクトロルミネセンス素子(1)、ならびに選択肢としてハウジングおよび/または基板(2)、および面を伴う少なくとも部分的に透明な材料(3)を含むLED本体(22)を設けるステップと、前記少なくとももう1つのエレクトロルミネセンス素子(1)により発せられる光を整形および/または平行化するためマイクロ光学要素(12)となる構造を前記面に付加するステップとを含む、発光素子を製造するための方法。
【請求項14】
少なくとも部分的に透明な材料(11)からなる層を前記LED本体(22)上に固着させるステップと、前記面において、前記マイクロ光学要素となるマイクロ構造(12)をエンボス加工するステップとを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記面上に、前記マイクロ光学要素となるマイクロ構造(12)を含む少なくとも部分的に透明な層(11)を鋳造するステップと、前記少なくとも部分的に透明な層(11)をたとえば熱硬化、UV硬化、化学硬化によって硬化させるステップとを含む請求項13に記載の方法。
【請求項16】
エレクトロルミネセンス素子と関連して用いられるマイクロ光学構造を設計するための方法であって、
点源からなるアレイとしてエレクトロルミネセンス素子(1)の発光をモデル化するステップを含み、各点源は全体としてエレクトロルミネセンス素子と同じ角光分布を有し、一方、強度は、選択肢として、エレクトロルミネセンス素子の局所的発光強度に適合され、前記方法はさらに、
選択肢として、エレクトロルミネセンス素子を出る光がマイクロ光学構造に到達する前に反射される点に対応する二次的な点源の発光をモデル化するステップと、
所望される光ビーム形状に対し、ビーム整形光学素子を各点源毎に設計するステップと、
すべての点源に対するビーム整形光学素子を結合させて、全体の光学的機能を生じさせるステップと、
全体的な光学的機能に従ってマイクロ光学構造に対し表面プロファイルを生じさせるステップとを含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのエレクトロルミネセンス素子(1)、およびエレクトロルミネセンス素子(1)により発せられる光に影響するよう配される回折光学要素(12)を含む発光素子であって、回折光学要素(12)の回折光学特徴は、1つ以上のエレクトロルミネセンス素子(1)の出力光分布に従って設計されることにおいて特徴付けられ、エレクトロルミネセンス素子(1)は回折光学要素(1)に結合されるハウジング(2)および/または基板において配され、回折光学要素(12)の回折光学特徴の設計は、さらに、下のハウジング(2)の形状および反射特性を組込み、ハウジングの点は二次的なランベルティアン点源となるよう仮定される源からの光を受ける、発光素子。
【請求項2】
回折光学要素(12)の対称性特性は、エレクトロルミネセンス素子(1)の対称性特性、および所望される発光特性の対称性特性に対応する、請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
回折光学構造(12)はエレクトロルミネセンス素子(1)の発光面を実質的に被覆する少なくとも部分的に透明な層(11)に形状化される、請求項1または2に記載の発光素子。
【請求項4】
層(11)はエレクトロルミネセンス素子(1)の発光面を越えては延在しない、請求項3に記載の発光素子。
【請求項5】
エレクトロルミネセンス素子(1)およびエレクトロルミネセンス素子(1)のための電流供給手段を収容するためのハウジングおよび/または基板(2)を含み、回折光学要素(12)はハウジングおよび/または基板(2)に結合される、請求項1〜4の1つに記載の光学素子。
【請求項6】
前記回折光学要素(12)はハウジングおよび/または基板(2)に直接かつ不可逆的に固定される、請求項5に記載の光学素子。
【請求項7】
エレクトロルミネセンス素子(1)としてのLEDチップ、ハウジングおよび/または
基板(2)、ならびにエレクトロルミネセンス素子(1)を取囲む少なくとも部分的に透明な材料(3)をさらに含むLED(発光ダイオード)を含み、前記回折光学要素(12)は前記少なくとも部分的に透明な材料(3)に取付けられる少なくとも部分的に透明な層(11)の表面上の回折光学構造(12)からなる、請求項5または6に記載の発光素子。
【請求項8】
エレクトロルミネセンス素子(1)としてのLEDチップ、ハウジングおよび/または基板(2)、ならびにエレクトロルミネセンス素子(1)を取囲む少なくとも部分的に透明な材料(3)をさらに含むLED(発光ダイオード)を含み、前記回折光学要素は前記少なくとも部分的に透明な材料(3)の表面上の回折光学構造(12)からなる、請求項5または6に記載の発光素子。
【請求項9】
前記少なくとも部分的に透明な材料(3)は光に影響を与える添加物、特に蛍光材料を含む、請求項7または8に記載の発光素子。
【請求項10】
前記回折光学要素(12)は個々の光学機能を各々が有する複数の独立した部分を含む、先行する請求項のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項11】
前記エレクトロルミネセンス素子(1)は発光面を含み、発光面は少なくとも部分的に透明な材料(3)によって被覆され、少なくとも部分的に透明な材料(3)は第1の面を規定し、少なくとも部分的に透明な層は前記第1の面に固着し、前記第1の面に本質的に平行な第2の面を規定し、前記回折光学要素(12)は前記第2の面に存在する回折光学構造からなる、先行する請求項のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項12】
前記回折光学構造(12)は0.5μmと200μmとの間の特徴的な深さおよび/または高さを有する特徴を含む、先行する請求項のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項13】
ハウジング(2)および/または基板に配されるエレクトロルミネセンス素子と関連して発光素子において用いられる回折光学構造を製造するための方法であって、回折光学構造はエレクトロルミネセンス素子(1)により発せられる光に影響するよう構成され、前記方法は、
点源からなるアレイとしてエレクトロルミネセンス素子(1)の発光をモデル化するステップを含み、各点源は全体としてエレクトロルミネセンス素子と同じ角光分布を有し、一方、強度は、選択肢として、エレクトロルミネセンス素子の局所的発光強度に適合され、前記方法はさらに、
エレクトロルミネセンス素子を出る光がハウジング(2)および/または基板によって回折光学構造に到達する前に反射される点に対応する二次的な点源の発光をモデル化し、二次的な点源の発光をランベルティアンであるとしてモデル化するステップと、
所望される光ビーム形状に対し、ビーム整形光学素子を各点源毎に設計するステップと、
すべての点源に対するビーム整形光学素子を結合させて、全体の光学的機能を生じさせるステップと、
全体的な光学的機能に従って回折光学構造に対し表面プロファイルを生じさせるステップとを含む、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図7】
【公表番号】特表2006−506803(P2006−506803A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−550602(P2004−550602)
【出願日】平成15年11月4日(2003.11.4)
【国際出願番号】PCT/CH2003/000721
【国際公開番号】WO2004/044995
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(505175489)
【氏名又は名称原語表記】HEPTAGON OY
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年11月4日(2003.11.4)
【国際出願番号】PCT/CH2003/000721
【国際公開番号】WO2004/044995
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(505175489)
【氏名又は名称原語表記】HEPTAGON OY
【Fターム(参考)】
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