説明

発光素子

【課題】 少数の端子を用いて複数の発光ダイオードを配置するに適した構造を提供することを課題とする
【解決手段】 本発明の発光素子は、赤色、緑色、青色の発光が可能な複数の発光ダイオードと、これらの発光ダイオードと接続される2つの端子を備え、前記発光ダイオードを前記2端子間に直列に接続した。前記複数の発光ダイオードの全てが、前記端子の一方に積層して配置されていることを特徴とする。また、前記複数の発光ダイオードの一部が前記端子の一方に積層して配置され、前記複数の発光ダイオードの残りが前記端子の他方に配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光ダイオードを備える発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオードとその発光色の補色の光を発する蛍光体との組み合わせによって、疑似的に白色を発光可能な発光素子が特許文献1に開示されている。一般的に、発光ダイオードとして青色発光するもの、蛍光体として黄色発光するものを組み合わせて擬似的に白色発光するものが多用されているが、特定の色成分、この例では青と黄色の混色による場合、赤色成分が少ないことによって演色性に欠けるという問題がある。
【0003】
また、白色発光させる別の方式として、RGB3原色の発光ダイオードの混色を用いる例もある。しかしながら、3原色の混色によって白色発光する場合、使用する発光ダイオードの数に対応してそれらに接続する端子数が増加するので、端子の接続作業性が悪くなる。特に、端子をリードピンにて構成する場合はリードピンの数が増加するに従いピンが挿入作業性が悪くなる。
【0004】
各色の発光度合いを調整するために制御回路を内蔵させることは電流調整作業性を高めるために有効であるが、回路素子を余分に必要とするので素子数の増加につながる。
【0005】
このような課題は、白色発光以外の色の発光を行う場合も同様である。
【特許文献1】特開2001−217463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、少数の端子を用いて複数の発光ダイオードを配置するに適した構造を提供することを課題の1つとする。白色発光に適した少なくとも3原色の発光ダイオードを用いた2端子構造の発光素子を提供することを課題の1つとする。また本発明は、白色発光させる場合の演色性を高めるに適した構造を提供することを課題の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発光素子は請求項1に記載の通り、赤色、緑色、青色の発光が可能な複数の発光ダイオードと、これらの発光ダイオードと接続される2つの端子を備え、前記発光ダイオードを前記2端子間に直列に接続したことを特徴とする。
【0008】
本発明の発光素子は請求項2に記載の通り、前記複数の発光ダイオードの全てが、前記端子の一方に積層して配置されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の発光素子は請求項3に記載の通り、前記複数の発光ダイオードの一部が前記端子の一方に積層して配置され、前記複数の発光ダイオードの残りが前記端子の他方に配置されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の発光素子は請求項4に記載の通り、前記緑、青色の発光ダイオードは、1対の電極を上面に備え、前記赤色の発光ダイオードは、1対の電極を上面と下面に備え、前記複数の発光ダイオードをそれぞれ前記端子の一方もしくは両方に直接配置し、前記赤色、緑色、青色の発光ダイオード間の電気的な接続を、前記上面に位置する電極間のダイレクトワイヤーボンドによって行ったことを特徴とする。
【0011】
本発明の発光素子は請求項5に記載の通り、赤色、緑色、青色の3原色の発光が可能な3色の発光ダイオードに加えて、第4の発光ダイオードと、これらに接続される2つの端子を備え、赤色と緑色あるいは青色の発光ダイオードを直列に接続し、第4の発光ダイオードと青色あるいは緑色の発光ダイオードを直列に接続し、これらの直列回路を並列に接続したことを特徴とする。
【0012】
本発明の発光素子は請求項6に記載の通り、前記各発光ダイオードは、1対の電極を上面と下面に備え、緑色と青色の発光ダイオードを一方の端子上に配置し、赤色と第4の発光ダイオードを他方の端子上に配置し、赤色と青色あるいは赤色と緑色の発光ダイオードの上面電極間をダイレクトワイヤーボンドによって接続し、第4の発光ダイオードと緑色あるいは青色の発光ダイオードの上面電極間をダイレクトワイヤーボンドによって接続したことを特徴とする。
【0013】
本発明の発光素子は請求項7に記載の通り、前記各発光ダイオードは、1対の電極を上面と下面に備え、赤色あるいは第4発光ダイオードの上に緑色の発光ダイオードを積層して一方の端子上に配置し、第4あるいは赤色の発光ダイオードの上に青色の発光ダイオードを積層して一方の端子上に配置したことを特徴とする。
【0014】
本発明の発光素子は請求項8に記載の通り、前記緑色、青色の発光ダイオードは、1対の電極を上面に備え、前記赤色、第4の発光ダイオードは、1対の電極を上面と下面に備え、前記緑色、青色の発光ダイオードを前記一方の端子に直接配置し、前記赤色、第4の発光ダイオードを前記他方の端子に直接配置し、赤色と青色あるいは赤色と緑色の発光ダイオードの上面電極間をダイレクトワイヤーボンドによって接続し、第4と緑色あるいは青色の発光ダイオードの上面電極間をダイレクトワイヤーボンドによって接続し、前記緑色と青色の発光ダイオードの残りの上面電極を前記端子の一方に接続したことを特徴とする。
【0015】
本発明の発光素子は請求項9に記載の通り、赤色、緑色、青色の3原色の発光が可能な3色の発光ダイオードと、これらに接続される2つの端子を備え、緑色と青色の発光ダイオードを並列に接続し、この並列回路に赤色の発光ダイオードを直列に接続し、これらの直列回路を前記端子間に接続したことを特徴とする発光素子。
【0016】
本発明の発光素子は請求項10に記載の通り、前記赤色の発光ダイオードの上に、前記緑色と青色の発光ダイオードを並設したことを特徴とする。
【0017】
本発明の発光素子は請求項11に記載の通り、赤色、緑色、青色の3原色の発光が可能な3色の発光ダイオードを2つの端子間に並列に接続した発光素子であって、前記3色の発光ダイオードの内、フォワード電圧(VF)が最も低い発光ダイオードに直列に補正用の発光ダイオードを接続したことを特徴とする。
【0018】
本発明の発光素子は請求項12に記載の通り、前記補正用の発光ダイオードは、前記フォワード電圧(VF)が最も低い発光ダイオードと同色の発光ダイオードか、あるいは、赤色と緑色の間に波長成分を有する発光ダイオードを用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、端子数が少なくなるので組立作業性が良い素子構造を提供することができる。また、白色発光することができる素子を従来の2端子型の発光素子とコンパチな形状を提供することができる。また、複数の色を混色する場合においても、従来の2端子型の発光素子とコンパチな形状を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
初めに、全ての発光ダイオードを直列に接続した第1の実施形態に係わる発光素子について、図1〜図6を参照して説明する。
【0022】
発光素子1は、正極と負極を構成する1対の端子2,3間に、赤色、緑色、青色の3原色を発光することができる複数(この例でが3つ)の発光ダイオード4R,4G,4Bを直列に接続して構成している。
【0023】
端子2,3は、発光素子1の外部に引き出されて他の回路との接続に利用される外部端子を構成する。この端子2,3は、金属製のフレームやピン、回路基板に形成された導電性のパターンで構成することができる。
【0024】
赤色の発光ダイオード4Rは、例えばGaAs系、GaInP系、AlGaInP系等の素子を用いることができる。赤色の発光ダイオード4Rは、アノード電極とカソード電極を構成する一対の電極を上下の面に備えている。緑色、青色の発光ダイオード4G,4Bは、例えばGaN系、AlGaN系、InGaN系、AlInGaN系、GaP系等の素子を用いることができる。緑色、青色の発光ダイオードは、導電性の半導体基板を用いる場合は、赤色発光ダイオードと同様に、一対の電極を上下の面に備えることができる。緑色、青色の発光ダイオードは、絶縁性の基板を用いる場合は、アノード電極とカソード電極を構成する一対の電極を上面に備えることができる。絶縁性の基板を用いる場合においても、基板の一部に電気的な導電路形成することによって、導電性の半導体基板を用いる場合と同様に、アノード電極とカソード電極を構成する一対の電極を上下の面に備えることもできる。
【0025】
発光ダイオード4R,4G,4Bを直列接続しているので、各発光ダイオードには同一の電流が流れる。発光素子1を白色発光に利用するために、同一の電流値における発光バランスを考慮して各発光ダイオードの選択が行われる。発光ダイオードは、事前に特性検査が行われ、規定の電流値に対する発光強度、波長等が予め規定した範囲内に入ったものが選別されて用意される。
【0026】
図2に示すように、赤色、緑色、青色の発光ダイオード4R,4G,4Bは、一方の端子3上に、積層して配置することができる。各発光ダイオード4R,4G,4Bは、一対の電極を上下の面に備える構造のものを用いている。そして、端子3の上に、赤色の発光ダイオード4Rを配置し、その上に緑色の発光ダイオード4Gを配置し、その上に青色の発光ダイオード4Bを配置している。このように、発光波長の長い(光吸収性が高い)発光ダイオードの上にそれよりも発光波長が短い(光吸収性が低い)発光ダイオードが位置するように積層しているので、発光ダイオードによる光吸収を抑制することができる。
【0027】
端子3と赤色発光ダイオード4R間、赤、緑、青色の発光ダイオード間の上下に隣接する電極は、導電材で接続される。積層構造の最上部に位置する電極(この例では青色発光ダイオードの上面電極)と他の端子2間は、ワイヤーボンド線Wを用いて電気的に接続される。このように3色の発光ダイオードの全てを積層することによって、端子3における発光ダイオードの占有面積を最小限に抑えることができる。
【0028】
端子2,3間に一定の電流あるいは電圧を与えると、各発光ダイオードが発光し、その色が混色されて白色の発光を行うことができる。
【0029】
図2に示す例は、3色の発光ダイオードを積層した形態を示したが、図3,4に示すように、積層する発光ダイオードの数を2つとすることもできる。
【0030】
図3は、端子2の上に、赤色の発光ダイオード4Rを配置し、その上に緑色の発光ダイオード4Gを配置し、端子3の上に青色の発光ダイオード4Bのみを配置した例を示している。図4は、端子2の上に、赤色の発光ダイオード4Rのみを配置し、端子3の上に緑色の発光ダイオード4Gを配置し、その上に青色の発光ダイオード4Bを配置した例を示している。これらの例においても、発光波長の長い(光吸収性が高い)発光ダイオードの上にそれよりも発光波長が短い(光吸収性が低い)発光ダイオードが位置するように積層しているので、発光ダイオードによる光吸収を抑制することができる。特に、赤色の発光ダイオードは、可視光を吸収するGaAsを半導体基板として用いる例が多いので、端子に近い最下層に発光ダイオード4Rを配置することが光吸収を抑える上で好ましい配置形態となる。
【0031】
図3、図4に示すように3色の発光ダイオードの2つを積層するとともに2つの端子に振り分けて配置することによって、端子2,3における発光ダイオードの占有面積を小さく抑えることができる。図2に示す3重積層構造に比べて、上に位置する発光ダイオードによる遮光の発生を抑制することもできる。
【0032】
図5は、端子の上に単独で赤色、緑色、青色の発光ダイオード4R,4G,4Bを配置した例を示している。緑色、青色の発光ダイオード4G,4Bは、絶縁性の基板を用いた素子構造で、上面に1対の電極を備えたものである。赤色の発光ダイオード4Rは、上下に一対の電極を備えたものである。これら赤色、緑色、青色の発光ダイオード4R,4G,4Bを端子3上に配置し、端子2と青色発光ダイオード4Bのアノード側電極間、青色発光ダイオード4Bのカソード側電極と緑色発光ダイオード4Gのアノード側電極間、緑色発光ダイオード4Gのカソード側電極と赤色発光ダイオード4Rのアノード側電極間をワイヤーボンド配線Wにて接続している。緑色と青色の発光ダイオード4G,4Bの配置は逆にしてもよいが、赤色発光ダイオード4Rの位置は、ワイヤボンドの開始位置か終了位置の何れか一方になる様に配置する。そう配置することによって、ワイヤボンド時の作業性を高めることできる。また、緑色、青色の発光ダイオード4G,4Bの一方あるいは両方を端子2側に配置しても良い。
【0033】
また、端子2,3間に端子2,3と電気的に独立した補助端子5を設けることができる場合は、図6に示すように、これらの補助端子5上に赤色、緑色、青色の発光ダイオード4R,4G,4Bの内の任意の1つを選択的に配置することもできる。そして、端子2と赤色の発光ダイオード4Rのアノード側電極間、赤色の発光ダイオード4Rのカソード側電極が接続された補助端子5と緑色発光ダイオード4Gのアノード側電極側間、緑色の発光ダイオード4Gのカソード側電極が接続された補助端子と青色発光ダイオード4Bのアノード側電極間を順次ワイヤーボンド配線Wにてダイレクトに接続している。この場合は、発光ダイオードとして上下に電極を備えるのものを利用する。このような構成によっても白色発光に適した素子構造を提供することができる。
【0034】
次に、3原色の発光ダイオードに加えて、補正用の第4の発光ダイオードを備えた第2の実施形態に係わる発光素子について、図7〜図14を参照して説明する。
【0035】
発光素子1は、正極と負極を構成する1対の端子2,3間に、赤色、緑色、青色の3原色の発光ダイオード4R,4G,4Bに加えて補正用の第4の発光ダイオード4Aを加えた複数(この例では4つ)の発光ダイオードを備えて構成している。
【0036】
各発光ダイオードに10mAの電流が流れるとすると、赤色、緑色、青色の3原色の発光ダイオード4R,4G,4BのVF(フォワード電圧)は、1.85V,3.4V,3.4Vになる。端子2,3間に接続した2つの直列回路において、それらに電流が均等に流れるように、直列回路を構成する発光ダイオードのVF(フォワード電圧)の合計値が互いに等しくなるように発光ダイオードの選択が行われる。この例では、緑色と青色の発光ダイオード4G,4BのVF(フォワード電圧)が3.4Vで同じであるため、補正用の第4の発光ダイオードは、赤色発光ダイオード4Rと同等のVFを持つ発光ダイオードが選択される。よって、第4の発光ダイオードとしては、赤色発光ダイオード4Rと同じ赤色発光ダイオードを選択することができる。赤色発光ダイオード4Rと同等のVFを持つ発光ダイオードであれば、赤色以外に橙色や黄色等の発光色の発光ダイオードを選択することができる。ここで、橙色や黄色の発光ダイオードは、赤と緑の間に発光スペクトラムを有するので、スペクトラムの谷間となりやすい赤と緑の間の波長域をカバーすることができる。
【0037】
4つの発光ダイオードの2つを直列に接続し、その直列回路を互いに並列に接続して端子2,3間に接続している。すなわち、赤色の発光ダイオード4Rと青色の発光ダイオード4Bを直列に接続し、第4の発光ダイオード4Aを緑色の発光ダイオード4Gに接続し、それらを端子2,3間に並列に接続している。緑色と青色の発光ダイオード4G、4Bは相互に置換可能である。
【0038】
端子2,3間に接続した2つの直列回路において、それらを構成する発光ダイオードのVF(フォワード電圧)の合計値が互いに等しくなるように発光ダイオードの選択が行われているので、各発光ダイオードに例えば10mAの電流が均一に流れる。この補正用の発光ダイオードがなければ、端子2,3間に接続した回路の電流バランスが崩れやすいが、補正用の発光ダイオード4Aを加えることによって、電流バランスが均等化される。
【0039】
図8は、各発光ダイオードの配置と接続の例を示している。端子2の上に緑色、青色の発光ダイオード4G,4Bを配置し、端子3の上に赤色の発光ダイオード4Rと補正用の第4の発光ダイオード4Aを配置している。これらの各発光ダイオードは、上下の面に一対の電極を備える形態のものを用いている。緑色、青色の発光ダイオード4G,4Bは、破線で示す活性層が下側に位置するようにジャンクションダウンで配置され、赤色と補正用の発光ダイオード4R,4Aは、破線で示す活性層が上側に位置するようにジャンクションアップで配置されている。そして、緑色と補正用の発光ダイオード4G,4Aの上面電極間、青色と赤色の発光ダイオード4B、4Rの上面電極間がワイヤボンド用の線Wを用いてダイレクトにワイヤーボンド配線されている。
【0040】
図9は、図8に示す発光ダイオードの配置形態とは異なる別の配置形態を示している。端子3の上に補正用の発光ダイオード4Aを配置し、その上に緑色の発光ダイオード4Gを積層して配置している。同じ端子3の上に赤色の発光ダイオード4Rを配置し、その上に青色の発光ダイオード4Bを積層して配置している。各発光ダイオードは、ジャンクションアップで配置されている。ここで、緑と青色の発光ダイオード4G、4Bの配置は置換することもできる。積層した発光ダイオードの上面電極と端子2間にワイヤーボンド線Wによる配線が施される。
【0041】
図8,9に示す構成において、端子間2,3に一定の電圧あるいは一定の電流を与えると、発光ダイオード4R,4G,4B,4Aは一定の電流が与えられて所定の発光を行う。この光が混色されて、所定の色、この例では白色の発光が行われる。
【0042】
図10〜12は、図7〜9に示す発光ダイオードの配置形態とは活性層の位置を反対、すなわち、ジャンクションダウンの素子をジャンクションアップとし、その反対にジャンクションアップの素子をジャンクションダウンとした別の配置形態を示している。破線はジャンクションの位置を模式的に示している。
【0043】
図13は、図9に示す形態の変形例であり、補正用の発光ダイオード4Aを赤色発光ダイオード4Rと同じ素材で構成し、両者を切り離すことなく一体化した点に特徴を有する。このような補正用の発光ダイオード4Aを赤色発光ダイオード4Rと同じ素材とする構成は、図11に示す形態にも適用することができる。
【0044】
図14は、図8に示す形態の変形例であり、緑色と青色の発光ダイオード4G、4Bを上面に一対の電極を備える素子に変更した例を示す。この例では、全ての発光ダイオードをジャンクションアップとすることができ、導電材として銀ペーストなどを使用したとしても、導電材の這い上がりに起因する短絡の発生を未然に防止することができる。
【0045】
次に、3原色の発光ダイオードのみを備えた第3の実施形態に係わる発光素子について、図15〜図17を参照して説明する。
【0046】
発光素子1は、正極と負極を構成する1対の端子2,3間に、赤色、緑色、青色の3原色の発光ダイオード4R,4G,4B(この例では3つ)の発光ダイオードを備えて構成している。
【0047】
共通の電流値におけるVF(フォワード電圧)が同じ緑色、青色の発光ダイオード4G,4Bを並列に接続し、この並列回路にVF(フォワード電圧)が緑色や青色の発光ダイオード4G,4Bよりも低い赤色の発光ダイオード4Rを直列に接続している。この直列回路を端子2,3間に接続している。3つの発光ダイオードの内、VFが同じか最も近い2つの発光ダイオードを並列接続しているので、それらに流れる電流分布を均一化することができる。
【0048】
図16は、図15に示す回路における各発光ダイオードの配置と接続の例を示している。端子3の上に赤色発光ダイオードを配置し、その上に、緑色と青色の発光ダイオードを並列に配置している。各発光ダイオードは、上下に一対の電極を備える形状の素子で構成している。そして緑色と青色の発光ダイオードのアノード側の電極をワイヤーボンド線Wにて端子2に接続している。
図17(平面図)は、図15に示す回路における各発光ダイオードの配置と接続のさらに別の例を示している。端子3の上に赤色、緑色、青色の発光ダイオード4R、4G、4Bを並列に配置している。赤色の発光ダイオード4Rは上下に一対の電極を備える形状の素子で構成し、緑色と青色の発光ダイオード4G、4Bは上面に一対の電極を備える素子で構成している。緑色と青色の発光ダイオード4G、4Bのアノード側の電極を端子2にワイヤーボンド線Wを利用して接続し、緑色と青色の発光ダイオード4G、4Bのカソード側の電極を赤色発光ダイオード4Rのアノード側の電極にワイヤーボンド線Wを利用して接続している。赤色発光ダイオード4Rのカソード側の電極は、端子3に接続されている。
図15〜17に示す構成において、端子2,3間に一定の電流あるいは電圧を与えると、緑色と青色の発光ダイオード4G、4Bに流れた電流が赤色発光ダイオード4Rに与えられ、これらの発光ダイオードがそれぞれの色に発光する。この光が混色され、白色発光が得られる。
【0049】
次に、3原色の発光ダイオードに加えて補正用の第4の発光ダイオードを備えた第4の実施形態に係わる発光素子について、図18〜図19を参照して説明する。
【0050】
図7に示す補正用の第4の発光ダイオードを備えた実施形態と相違するのは、赤色発光ダイオード4Rが緑色と青色発光ダイオード4G、4Bに並列に接続され、同一電流におけるVFが最も低い発光ダイオード、この例では赤色発光ダイオード4Rに直列に補正用の第4の発光ダイオード4Aを接続した点である。第4の発光ダイオード4Aは、赤色発光ダイオード4Rと緑色あるいは青色発光ダイオード4G、4BとのVFの差を解消するに適したVFを持つ発光ダイオードが選択される。第4の発光ダイオード4AのVFは、3色の発光ダイオードの内、VFが最も高い発光ダイオードと最も低い発光ダイオードのVF差に相当する電圧に設定されるのが最も好ましいが、前記VF差の2倍の値に収まる電圧に設定するのが好ましい。第4の発光ダイオード4Aの発光色は、補正すべき、すなわち、VFが最も低い発光ダイオードと同色設定することができるが、他の色に設定することもできる。この例では、赤色発光ダイオード4Rと同じ構成の赤色発光ダイオードを用いているが、赤色発光ダイオード4Rと同等のVFを有する橙色や黄色の発光ダイオードを用いることができる。
図19(平面図)は、図18に示す回路における各発光ダイオードの配置と接続の例を示している。端子3の上に緑色、青色、補正用の発光ダイオード4G、4B、4Aを並列に配置している。補助端子5の上に赤色の発光ダイオード4Rを配置している。各発光ダイオードは上下に一対の電極を備える形状の素子で構成し、カソード側電極を端子3と補助端子に接続している。赤色、緑色、青色の発光ダイオード4R、4G、4Bのアノード側電極は、ワイヤーボンド線Wを利用して端子2に接続している。補正用の発光ダイオード4Aのアノード側の電極は、ワイヤーボンド線を利用して補助端子に接続している。端子2,3、補助端子5は、絶縁材の上の導電性のパターンで構成されている。
図18〜19に示す構成において、端子2,3間に一定の電流あるいは電圧を与えると、赤色、緑色、青色の発光ダイオード4R、4G、4Bに所定の電流が流れ、これらの発光ダイオードがそれぞれの色に発光する。VFが最も低い赤色発光ダイオードに直列に補正用の発光ダイオード4Aを接続して緑色、青色の発光ダイオード4R、4Gと赤色発光ダイオードとのVFの差を少なくしているので、赤色、緑色、青色の発光ダイオード4R、4G、4Bに流れる電流分布を均一化することができる。これらの光が混色され、白色発光が得られる。補正用の発光ダイオード4Aの発光色をスペクトラムの谷間になりやすい赤と緑色の間の波長域を埋めるに適した色に設定する場合には、演色性を高めた白色の発光素子を提供することができる。
上記の実施形態に係わる発光素子は、ランプタイプ(発光ダイオードを配置したリードピンの先端部分を樹脂でモールドしたもの)やチップタイプ(発光ダイオードを配置した回路基板の一部を樹脂でモールドしたもの)の素子に適用することができる。
また、上記の実施形態に係わる発光素子は、これに限らず各種の発光表示器、例えば、白色表示盤、白色車載表示器などにも適用することができる。
【0051】
上記の実施形態は、赤、緑、青色の発光ダイオードを各々1つずつ用いた例を示したが、各色の発光ダイオードは、1つに限らず複数個用いることもできる。
【0052】
上記の実施形態は、異なる色、例えば、赤と緑の発光ダイオードを組み合わせて橙色を表示する発光素子等、白色以外の発光色を持つ素子にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
白色、モノカラーなどの発光素子に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第1の実施形態に係わる回路図である。
【図2】同実施形態の素子配置状態を示す側面図である。
【図3】同実施形態の素子配置状態の別形態を示す側面図である。
【図4】同実施形態の素子配置状態の別形態を示す側面図である。
【図5】同実施形態の素子配置状態の別形態を示す側面図である。
【図6】同実施形態の素子配置状態の別形態を示す側面図である。
【図7】第2の実施形態に係わる回路図である。
【図8】同実施形態の素子配置状態を示す側面図である。
【図9】同実施形態の素子配置状態の別形態を示す側面図である。
【図10】第2の実施形態の別形態に係わる回路図である。
【図11】同実施形態の素子配置状態を示す側面図である。
【図12】同実施形態の素子配置状態の別形態を示す側面図である。
【図13】同実施形態の素子配置状態の別形態を示す側面図である。
【図14】同実施形態の素子配置状態の別形態を示す側面図である。
【図15】第3の実施形態に係わる回路図である。
【図16】同実施形態の素子配置状態を示す側面図である。
【図17】同実施形態の素子配置状態の別形態を示す平面図である。
【図18】第4の実施形態に係わる回路図である。
【図19】同実施形態の素子配置状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 発光素子
2 端子
3 端子
4 発光ダイオード
5 補助端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤色、緑色、青色の発光が可能な複数の発光ダイオードと、これらの発光ダイオードと接続される2つの端子を備え、前記発光ダイオードを前記2端子間に直列に接続したことを特徴とする発光素子。
【請求項2】
前記複数の発光ダイオードの全てが、前記端子の一方に積層して配置されていることを特徴とする請求項1記載の発光素子。
【請求項3】
前記複数の発光ダイオードの一部が前記端子の一方に積層して配置され、前記複数の発光ダイオードの残りが前記端子の他方に配置されていることを特徴とする請求項1記載の発光素子。
【請求項4】
前記緑、青色の発光ダイオードは、1対の電極を上面に備え、前記赤色の発光ダイオードは、1対の電極を上面と下面に備え、前記複数の発光ダイオードをそれぞれ前記端子の一方もしくは両方に直接配置し、前記赤色、緑色、青色の発光ダイオード間の電気的な接続を、前記上面に位置する電極間のダイレクトワイヤーボンドによって行ったことを特徴とする請求項1記載の発光素子。
【請求項5】
赤色、緑色、青色の3原色の発光が可能な3色の発光ダイオードに加えて、第4の発光ダイオードと、これらに接続される2つの端子を備え、赤色と緑色あるいは青色の発光ダイオードを直列に接続し、第4の発光ダイオードと青色あるいは緑色の発光ダイオードを直列に接続し、これらの直列回路を並列に接続したことを特徴とする発光素子。
【請求項6】
前記各発光ダイオードは、1対の電極を上面と下面に備え、緑色と青色の発光ダイオードを一方の端子上に配置し、赤色と第4の発光ダイオードを他方の端子上に配置し、赤色と青色あるいは赤色と緑色の発光ダイオードの上面電極間をダイレクトワイヤーボンドによって接続し、第4の発光ダイオードと緑色あるいは青色の発光ダイオードの上面電極間をダイレクトワイヤーボンドによって接続したことを特徴とする請求項5記載の発光素子。
【請求項7】
前記各発光ダイオードは、1対の電極を上面と下面に備え、赤色あるいは第4発光ダイオードの上に緑色の発光ダイオードを積層して一方の端子上に配置し、第4あるいは赤色の発光ダイオードの上に青色の発光ダイオードを積層して一方の端子上に配置したことを特徴とする請求項5記載の発光素子。
【請求項8】
前記緑色、青色の発光ダイオードは、1対の電極を上面に備え、前記赤色、第4の発光ダイオードは、1対の電極を上面と下面に備え、前記緑色、青色の発光ダイオードを前記一方の端子に直接配置し、前記赤色、第4の発光ダイオードを前記他方の端子に直接配置し、赤色と青色あるいは赤色と緑色の発光ダイオードの上面電極間をダイレクトワイヤーボンドによって接続し、第4と緑色あるいは青色の発光ダイオードの上面電極間をダイレクトワイヤーボンドによって接続し、前記緑色と青色の発光ダイオードの残りの上面電極を前記端子の一方に接続したことを特徴とする請求項5記載の発光素子。
【請求項9】
赤色、緑色、青色の3原色の発光が可能な3色の発光ダイオードと、これらに接続される2つの端子を備え、緑色と青色の発光ダイオードを並列に接続し、この並列回路に赤色の発光ダイオードを直列に接続し、これらの直列回路を前記端子間に接続したことを特徴とする発光素子。
【請求項10】
前記赤色の発光ダイオードの上に、前記緑色と青色の発光ダイオードを並設したことを特徴とする請求項9記載の発光素子。
【請求項11】
赤色、緑色、青色の3原色の発光が可能な3色の発光ダイオードを2つの端子間に並列に接続した発光素子であって、前記3色の発光ダイオードの内、フォワード電圧(VF)が最も低い発光ダイオードに直列に補正用の発光ダイオードを接続したことを特徴とする発光素子。
【請求項12】
前記補正用の発光ダイオードは、前記フォワード電圧(VF)が最も低い発光ダイオードと同色の発光ダイオードか、あるいは、赤色と緑色の間に波長成分を有する発光ダイオードを用いたことを特徴とする請求項11記載の発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−54336(P2006−54336A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−235343(P2004−235343)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】