説明

発光素子

【課題】高輝度で、かつ耐候性が高い分散型EL素子を提供すること。
【解決手段】少なくとも、無機蛍光体を含む発光層と、前記発光層に電圧を印加する一対の電極とを有する発光素子であって、無機蛍光体が平均粒径の異なる第1の無機蛍光粒子と第2の無機蛍光粒子とを含み、第1の無機蛍光体粒子の平均粒径(a)と第2の無機蛍光体粒子の平均粒径(b)の比(a/b)が2〜8である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子に関し、詳しくは無機材料からなる蛍光体を用いるエレクトロルミネッセンス素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、軽量・薄型の面発光型素子としてエレクトロルミネッセンス素子(以下、EL素子という)が注目されている。EL素子は大別すると、有機材料からなる蛍光体に直流電圧を印加し、電子とホールを再結合させて発光させる有機EL素子と、無機材料からなる蛍光体に交流電圧を印加し、およそ10V/cmもの高電界で加速された電子を無機蛍光体の発光中心に衝突させて励起させ、その緩和過程で無機蛍光体を発光させる無機EL素子がある。
【0003】
この無機EL素子には、無機蛍光体粒子を高分子有機材料からなるバインダ中に分散させ発光層とする分散型EL素子と、厚さが1μm程度の薄膜発光層の両側あるいは片側に絶縁層を設けた薄膜型EL素子とがある。これらのうち分散型EL素子は、消費電力が少なく、しかも製造が簡単なため製造コストが安くなる利点があるとして注目されている。
分散型EL素子と呼ばれているEL素子を図3を用いて説明する。図3はEL素子の構成を示す断面図である。EL素子3は基板31と第1電極32、発光層33、絶縁体層34、第2電極35からなる。発光層33はZnS:Mn等の無機蛍光体粒子37を有機バインダに分散させた構成をしており、絶縁体層34はBaTiOなどの強絶縁体を有機バインダにて分散させた構成をしている。第1電極32と第2電極35の間には交流電源36が設置されており、交流電源36から第1電極、第2電極間へ電圧を印加することでEL素子3は発光する。
【0004】
分散型EL素子の構造において発光層は分散型EL素子の輝度と効率を決定付ける層であるが、この発光層の無機蛍光体粒子には、粒径15〜35μmの大きさのものが用いられている(例えば、特許文献1)。また、分散型EL素子の発光層の発光色は発光層に用いられる無機蛍光体粒子によって決まり、例えば無機蛍光体粒子にZnS:Mnを用いた場合には橙色の発光を示し、例えば無機蛍光体粒子にZnS:Cuを用いた場合には青緑色の発光を示す。このように発光色は無機蛍光体粒子によって決まるため、それ以外の例えば白色の発光色を発光させる場合、例えば特許文献2に示されるように、有機色素を有機バインダに混合させることで発光色を変換し、目的の発光色を得ている。
【特許文献1】国際公開WO03/020848号パンフレット
【特許文献2】特開平7−216351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来、発光層に用いられる無機蛍光体粒子は粒径が大きいため、図4に示すように最密充填状態でも無機蛍光体粒子40間に空隙41が生じる。この空隙41には有機バインダが存在し、発光には寄与しないものである。この空隙4を減少させるためには無機蛍光体粒子を小さくすればよいが、無機蛍光体粒子を小さくした場合、無機蛍光体粒子の発光効率が減少したり蛍光体寿命が低下したりするため、分散型EL素子としての輝度を向上させることが困難であるという問題があった。
【0006】
また、上述のように発光色は無機蛍光体粒子によって決まってしまう。それ以外の発光色を得るべく、例えば、特許文献2に開示されているように有機色素を用いると、有機色素が紫外線に対する耐候性が弱く、発光色が変化してしまう問題もあった。
【0007】
そこで、本発明は、高輝度で、かつ耐候性が高い分散型EL素子を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の発光素子は、少なくとも、無機蛍光体を含む発光層と、前記発光層に電圧を印加する一対の電極とを有する発光素子であって、前記無機蛍光体が平均粒径の異なる第1の無機蛍光粒子と第2の無機蛍光粒子とを含み、第1の無機蛍光体粒子の平均粒径(a)と第2の無機蛍光体粒子の平均粒径(b)の比(a/b)が2〜8であることを特徴とする。
【0009】
本発明においては、第1の無機蛍光体粒子の含有量(α)と第2の無機蛍光体粒子の含有量(β)の比(α/β)が、4〜100であることが好ましい。
【0010】
また、第1の無機蛍光体粒子の平均粒径が、20〜30μmであることが好ましい。
【0011】
また、第1及び第2の無機蛍光体粒子に、電圧を印加することで発光する無機蛍光体を用いることができる。
【0012】
また、第1の無機蛍光体粒子には電圧を印加することで発光する無機蛍光体を用い、第2の無機蛍光体粒子には第1の無機蛍光体粒子からの発光を色変換する無機蛍光体を用いることができる。
【0013】
また、第1の無機蛍光体粒子には、母体として硫化亜鉛を含む無機蛍光体を用いることが好ましい。さらに、第1の無機蛍光体粒子は、付活剤として、Cu、Mn、Ag、Au、希土類元素、Cl及びAlから成る群から選択された少なくとも1種のイオンを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第1の無機蛍光体粒子の平均粒径(a)と第2の無機蛍光体粒子の平均粒径(b)の比(a/b)を2〜8としたので、第2の無機蛍光体粒子が第1の無機蛍光体粒子によって生じる空隙を埋めることで、発光層内に無機蛍光体粒子をより高密度に充填することができる。また、空隙を低減することで発光層の膜厚をより均一化することができ微細な発光ムラを低減することができる。これにより、高輝度で、耐候性が高い発光素子を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施の形態に係る発光装置について、添付図面を用いて説明する。なお、図面において実質的に同一の部材には同一の符号を付している。
図1は、本発明の実施の形態1に係る発光素子10の模式縦断面図である。この発光素子10は、基板11上に、第1電極12と、発光層13と、絶縁体層14、第2電極15とがこの順で積層された構造を有している。第1電極12と第2電極15とを交流電源16に接続し発光層13に交流電圧を引加して発光層13を発光させ、基板11側から光を取り出す。発光層13は、バインダを用いて第1の無機蛍光体粒子20と第2の無機蛍光体粒子21を分散させた構造を有する。
【0016】
この発光素子10を構成する各層について説明する。
まず、基板11には、発光層13の発光波長に対し透光性を有する材料であればいずれでも適用できる。例えば、石英基板、ガラス基板、セラミック基板やポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアミドなどのプラスチック基板等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0017】
第1電極12は、光透過性の透明導電体であればいずれでも適用できる。第1電極12に用いる透明電極材料としては、例えば、ITO(InにSnOをドープしたもの)やZnOなどの金属酸化物、Au、Ag、Alなどの薄膜金属、あるいはポリアニリン、ポリピロール、PEDOT/PSS、ポリチオフェンなどの導電性高分子等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。また、光を取り出さない側の第2電極15には、一般に良く知られている導電材料であればいずれでも適用できる。例えば、ITOやZnOなどの金属酸化物、Au、Ag、Al、Cuなどの金属、ポリアニリン、ポリピロール、PEDOT〔ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)〕/PSS(ポリスチレンスルホン酸)などの導電性高分子、あるいは導電性カーボンなどが用い得る。
【0018】
発光層13は、有機物からなるバインダに無機蛍光体を分散させた構造を有する。無機蛍光体は、平均粒径の異なる第1の無機蛍光体粒子20と第2の無機蛍光体粒子21とから成る。また、バインダとしては電気絶縁性が高く、強誘電性を有する有機材料が用いられ、絶縁体層14や第1電極12との密着性に優れていることが好ましく、例えばシアノセルロースやフッ素ゴム系樹脂等が用いられる。
【0019】
第1の無機蛍光粒子20は、交流電圧の印加により発光する材料であり、母体物質に付活剤や共付活剤を添加したものを用いることができる。母体物質には、硫化亜鉛や硫化カルシウムなどのII族−VI族間化合物や、カルシウムチオガレートなどのチオガレート化合物、バリウムチオアルミネートなどのチオアルミネート化合物、酸化イットリウムや酸化ガリウムなどの金属酸化物、ZnSiOなどの複酸化物等の化合物を挙げることができるが、硫化亜鉛を用いることが好ましい。
【0020】
本発明においては、付活剤と共付活剤を特に区別して用いる必要はなく、以下、両者をまとめて付活剤と呼ぶ。付活剤には例えば、Cu、Mn、Ag、Au、希土類元素、Cl及びAlから成る群から選択された少なくとも1種のイオンを用いることができる。より好ましくは、Cu、Mn、Cl及びAlから成る群から選択された少なくとも1種のイオンである。
【0021】
ここで、第1の無機蛍光粒子は、固相法(例えば、特開平6−306356号公報、特開平11−193378号公報)や液相法(例えば、特開平6−287551号公報、特開2002−194346号公報)等の公知の製造方法を用いて製造することができる。例えば、固相法では、原料の硫化亜鉛等の母体物質とフラックスを混合し、1000〜1300℃で第一焼成を行い、続いて500〜1000℃で第二焼成を行い第1の無機蛍光粒子を得ることができる。フラックスには、例えばアルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物を用いることができる。第1の無機蛍光体粒子の平均粒径は特に限定はされないが、好ましくは特許文献1に示されたように、レーザー回折散乱法により測定された平均粒径が20〜30μmであることが輝度の点から好ましい。平均粒径が20μmより小さい場合、あるいは30μmより大きい場合には輝度が低下するからである。
【0022】
第2の無機蛍光体粒子21には、交流電圧の印加により発光する材料又は第1の無機蛍光体粒子からの発光の一部を吸収することにより異なる波長の光を発光する色変換材料を用いることもできる。交流電圧の印加により発光する材料を用いる場合、第1の無機蛍光体粒子と同一組成の材料を用いて同一色で発光させても良く、あるいは第1の無機蛍光体粒子を異なる組成の材料を用い発光色を混合することもできる。また、色変換材料を用いる場合、第1の無機蛍光体粒子の発光波長で励起されて発光する無機材料であれば特に限定されず、フルカラー化あるいは白色化を目的として、適宜選択することができる。本発明の色変換材料に用いる無機蛍光体には、カルシウム含有硫化物、カルシウム含有複酸化物又は複窒化物、あるいはイットリウム含有複酸化物等を用いることができる。
【0023】
ここで、第2の無機蛍光体粒子の平均粒径は第1の無機蛍光体粒子を発光層13に充填したときの空隙の大きさにより決定することができる。例えば図2(a)に示すように第1の無機蛍光体粒子20が最密充填状態で発光層13に充填されている場合、第2の無機蛍光体粒子21aの平均粒径は第1の無機蛍光体粒子20の平均粒径に対し1/8程度のサイズであれば第1の無機蛍光体粒子20により生じる空隙に収まることができる。当然第2の無機蛍光体粒子がこのサイズより小さい場合でも空隙に充填は可能であるが、第2の無機蛍光体粒子が発光もしくは色変換のどちらの蛍光体であっても結晶サイズが小さくなると効率が低下するため、大きいほうが好ましい。一方図2(b)のような、第1の無機蛍光体粒子20が充填状態の場合、第2の無機蛍光体粒子21bの平均粒径は、第1の無機蛍光体粒子20の平均粒径に対し1/2.5程度のサイズであれば第1の無機蛍光体粒子20により生じる空隙に収まることができる。実際の第1の無機蛍光体粒子20の形状は完全な球体ではないため1/2程度のサイズであれば空隙に収まることが可能と考えられる。よって、第1の無機蛍光体粒子の平均粒径(a)と第2の無機蛍光体粒子の平均粒径(b)との比(a/b)は、2〜8、より好ましくは4〜8であれば良い。
なお、前述のバインダならびに第1および第2の無機蛍光体粒子の構成材料については一例を挙げたものであり、前述の構造に限定されるものではない。
【0024】
絶縁体層14は、絶縁性の無機物、あるいはこの無機物を前述の有機バインダにて分散させたものから構成されている。絶縁性の無機物としては、Si、TiO、Al、Y、BaTiO、SrTiO、CaTiOなどを用いることができる。中でも、BaTiOとSrTiOは誘電率が高い点で好ましい。なお、絶縁体層14は、必要に応じて2種類以上の絶縁体を積層した構成にしてもよく、2種類以上の材料を混合したものでも良い。
【0025】
発光層や絶縁層は、それぞれ第1及び第2の無機蛍光体粒子と高誘電材料を、有機溶剤及び有機バインダと混合して塗液とし、その塗液をスピンコート法、ディップ法、バーコート法又はスクリーン印刷法等により塗布して乾燥させることにより形成することができる。発光層の膜厚は、30〜100μm、より好ましくは30〜80μmである。また、発光層を形成する場合、有機溶剤及び有機バインダ100重量部に対し、第1及び第2の無機蛍光体粒子を含む無機蛍光体を50〜500重量部を用いるのが好ましく、100〜300重量部がより好ましい。さらに、第1の無機蛍光体粒子の含有量(α)と第2の無機蛍光体粒子の含有量(β)の比(α/β)は4〜100、より好ましくは6〜80である。この比が4より小さいと発光層の空隙を十分に埋めることができず、またこの比が100より大きいと輝度が低下してくるからである。
【0026】
なお、図1は、平均粒径の異なる2種類の無機蛍光体粒子を含む例を示しているが、平均粒径が同じであれば、第1及び/又は第2の無機蛍光体粒子を複数種の無機蛍光体粒子で構成することもできる。例えば、平均粒径aを有する第1の無機蛍光体粒子を無機蛍光体粒子A1、A2、・・・・・、Anで構成し、平均粒径bを有する第2の無機蛍光体粒子を無機蛍光体粒子B1、B2、・・・・・、Bmで構成することもできる。ここでm、nは1以上の整数である。好ましくは、平均粒径の小さい第2の無機蛍光体粒子を2種以上の無機蛍光体粒子で構成することができる。この場合、第2の無機蛍光体粒子には、同一組成の蛍光体を用いても良く、あるいは組成の異なる蛍光体を用いることもできる。
【実施例】
【0027】
本発明について実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示した構造を有する発光素子を以下の手順で作製した。
(a)基板には、厚さ0.7mmのガラス基板を用いた。
(b)第1電極は、ITOをスパッタリング法により厚さ200nmに成膜した。
(c)発光層には第1の無機蛍光体粒子として平均粒径28μmのZnS:Cuを、第2の無機蛍光体粒子として平均粒径11μmのZnS:Cuを重量比8:1の割合で混合し、フッ素ゴム系樹脂からなるバインダに重量比1:1の割合で混合・分散し、無機蛍光体ペーストを作成した。このペーストを第1電極上にスクリーン印刷した後、120℃で乾燥し、厚さ60μmの発光層を作製した。
(d)絶縁体層はBaTiO微粒子をバインダに混合したものをスクリーン印刷にて、発光層上に印刷し、120℃で乾燥を行うことを2回行い形成した。
(e)第2電極は、銀ペーストを絶縁体層上にスクリーン印刷にて印刷後、120℃で乾燥を行って厚さ20μmの電極を形成して、発光素子を作製した。
【0028】
(比較例1)
第1の第1の無機蛍光体粒子として平均粒径28μmのZnS:Cuを、第2の無機蛍光体粒子は混合しないこと以外は、実施例1と同様の方法で発光素子を作製した。
【0029】
(比較例2)
第1の第1の無機蛍光体粒子として平均粒径11μmのZnS:Cuを、第2の無機蛍光体粒子は混合しないこと以外は、実施例1と同様の方法で発光素子を作製した。
【0030】
(結果)
前記実施例1および比較例1、比較例2で作製した発光素子にそれぞれ周波数1000Hz、印加電圧100Vおよび200Vの交流電圧を印加した際の発光素子の輝度および色彩値(x,y)を表1に示す。
表1


表1から明らかのように、第2の無機蛍光体粒子を混合した実施例1は、混合しなかった比較例1、比較例2よりも高い輝度を示した。これは平均粒径11μmの無機蛍光体粒子は平均粒径28μmの無機蛍光体粒子よりも輝度は低いが、平均粒径28μmの無機蛍光体粒子から生じる空隙に平均粒径11μmの無機蛍光体粒子が入ることで輝度が向上すると考えられる。
【0031】
(実施例2)
第2の無機蛍光体粒子として、カルシウム含有硫化物からなる平均粒径9μmの色変換用の蛍光体粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で発光素子を作製した。発光色は白緑色であった。
【0032】
(比較例3)
第2の無機蛍光体粒子として、カルシウム含有硫化物からなる平均粒径19μmの色変換用の蛍光体粒子を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で発光素子を作製した。
【0033】
(結果)
前記実施例2および比較例3で作成した発光素子にそれぞれ周波数1000Hz、印加電圧100Vおよび200Vの交流電圧を印加した際の発光素子の輝度および色彩値(x,y)を表2に示す。
表2


表2から明らかなように、第2の無機蛍光体粒子として本発明の平均粒径の範囲内にあるものを混合した実施例2は、本発明の平均粒径の範囲外のものを混合した比較例3よりも高い輝度を示した。これは、実施例2の発光素子では第1の無機蛍光体粒子から生じる空隙に平均粒径9μmの色変換用の蛍光体粒子が入ることで、第1の無機蛍光体粒子の発光を阻害することなく色変換が行えたためと考えられる。
【0034】
(比較例4)
第2の無機蛍光体粒子は混合せず、色変換材料としてローダミン系蛍光色素をフッ素ゴム系樹脂からなるバインダに混合したこと以外は、実施例1と同様の方法で発光素子を作製した。発光色は白色であった。
【0035】
(結果)
前記実施例2および比較例3で作成した発光素子にそれぞれ周波数1000Hz、印加電200Vの交流電圧を印加した際の発光素子の輝度および色彩値(x,y)ならびに発光素子を2.5kWのキセノンランプで60時間照射した後の輝度および色彩値(x,y)を表3に示す。
表3



表3から明らかのように、本発明の実施例2は、有機材料からなる色変換材料を用いた比較例4よりも、色彩値の変化が少なく高い耐候性を示した。これは、有機材料がキセノンランプの照射により分解し色変換の効果が減少したことに対し、無機材料からなる色変換材料はキセノンランプの照射による影響が少ないためと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の発光素子は、発光輝度が高くしかも耐候性が高いため、デジタルカメラ、携帯電話、情報携帯端末、パソコン、テレビ、自動車などに搭載する表示装置および液晶ディスプレイのバックライトや、屋外に用いられる面発光源に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る発光素子の構造の一例であり、発光面に垂直な断面構造を示す模式断面図である。
【図2】本発明に係る発光素子における粒子の充填状態の一例を示す模式断面図であり、(a)と(b)は異なる充填状態を示す。
【図3】従来の発光素子の構造の一例であり、発光面に垂直な断面構造を示す模式断面図である。
【図4】従来の発光素子における粒子の充填状態の一例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
【0038】
10 本発明の発光素子
30 従来の発光素子
11,31 基板
12,32 第1電極
13,33 発光層
14,34 絶縁体層
15,35 第2電極
16,36 交流電源
20 第1の無機蛍光体粒子
21,21a,21b 第2の無機蛍光体粒子
40 無機蛍光体粒子
41 空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、無機蛍光体を含む発光層と、前記発光層に電圧を印加する一対の電極とを有する発光素子であって、
前記無機蛍光体が平均粒径の異なる第1の無機蛍光粒子と第2の無機蛍光粒子とを含み、第1の無機蛍光体粒子の平均粒径(a)と第2の無機蛍光体粒子の平均粒径(b)の比(a/b)が2〜8である発光素子。
【請求項2】
前記第1の無機蛍光体粒子の含有量(α)と第2の無機蛍光体粒子の含有量(β)の比(α/β)が、4〜100である請求項1記載の発光素子。
【請求項3】
前記第1の無機蛍光体粒子の平均粒径が、20〜30μmである請求項1又は2に記載の発光素子。
【請求項4】
前記第1及び第2の無機蛍光体粒子が電圧を印加することで発光する請求項1記載の発光素子。
【請求項5】
前記第1の無機蛍光体粒子は電圧を印加することで発光し、前記第2の無機蛍光体粒子は第1の無機蛍光体粒子からの発光を色変換する請求項1記載の発光素子。
【請求項6】
前記第1の無機蛍光体粒子は、母体として硫化亜鉛を含む請求項1から5のいずれか一つに記載の発光素子。
【請求項7】
前記第1の無機蛍光体粒子は、付活剤として、Cu、Mn、Ag、Au、希土類元素、Cl及びAlから成る群から選択された少なくとも1種のイオンを含む請求項6記載の発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−134121(P2007−134121A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−324713(P2005−324713)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】