説明

発光素子

【課題】櫛形の発生しない改善された表示品質を持つ発光素子を提供する。
【解決手段】本発明に係る発光素子は、一端が第1方向に延長されるスキャンラインS1、S2と連結された多数の第1カソード電極C1、C2と、一端が第2方向に延長されるスキャンラインS4、S5と連結された多数の第2カソード電極C4、C5と、一端は第1方向に延長されるスキャンラインS3aと連結され、他端は第2方向に延長されるスキャンラインS3bと連結された少なくとも一つ以上の第3カソード電極C3を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光素子に関する。詳しくは改善された表示品質を持つ有機電界発光素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光は、有機物(低分子または高分子)薄膜に、カソード電極及びアノード電極を通して注入された電子と正孔とが再結合して励起子(exciton)が形成され、形成された励起子からのエネルギーによって特定波長の光が発生する現象であり、有機電界発光素子は、このような現象を用いた平板型表示素子である。
【0003】
有機電界発光素子の基本構造は、透明基板、透明基板上に互いに交差するように配列されたアノード電極層及びカソード電極層、アノード電極層及びカソード電極層の間に介在する有機物層を含み、これらの二つの電極層を通して有機物層に所定電圧が印加されれば、電子と正孔とが再結合して電界発光を発する。
【0004】
図1Aは従来の有機電界発光素子を示したブロック図である。図1Aを参照すれば、従来の有機電界発光素子は、パネル100及びドライバー102を含んでいる。
パネル100は、多数の発光領域に形成される多数のピクセルE11〜E55を含んでおり、多数の発光領域は、多数のアノード電極層(以下、“アノードライン”という)A1〜A5と多数のカソード電極層(以下、“カソードライン”という)C1〜C5とが交差する領域に形成される。
ドライバー102は、制御部104、第1スキャン駆動部106、第2スキャン駆動部108、及びデータ駆動部110を含む。
【0005】
アノードラインA1〜A5は、データラインD1〜D5と接続され、パネル100の外部に配置されたデータ駆動部114と連結される。また、カソードラインC1〜C5は、スキャンラインS1〜S5と接続され、パネル100外部のスキャン駆動部106、108と連結される。
【0006】
第1スキャン駆動部106は、第1方向に形成されたスキャンラインS1、S3、S5に連結され、第1スキャン信号をスキャンラインS1、S3、S5を通して該当カソードラインC1、C3、C5に伝送する。第2スキャン駆動部108は、上記第1方向と異なる第2方向に形成されたスキャンラインS2、S4に連結され、第2スキャン信号をスキャンラインS2、S4を通して該当カソードラインC2、C4に伝送する。
【0007】
制御部104は、第1制御信号CS1を第1スキャン駆動部106に伝送し、第2制御信号CS2を第2スキャン駆動部108に伝送し、第3制御信号CS3をデータ駆動部110に伝送して、駆動部106、108、110の動作を制御する。
【0008】
データ駆動部110は、外部から入力された表示データに該当するデータ電流を、データラインD1〜D5を通してアノードラインA1〜A5に印加する。
【0009】
図1Bは、図1Aのパネルを示した回路図であり、カソード電極C1〜C5がスキャンラインS1〜S5を通してスキャン駆動部(図1Aの106及び108、ここでは接地電位とスキャン電圧V1で表す)に連結される態様を示している。また、図1Cは、図1Aの一部のピクセルを表す等価回路図であり、図1Dは、スキャンライン及びデータラインを通してそれぞれ印加されるスキャン電圧及びデータ電流を示したタイミングダイヤグラムである。
【0010】
図1Bを参照すれば、カソードラインC1〜C5中の一部のカソードラインC1、C3、C5は、これらのカソードラインの一端から第1方向に延長されて、スキャン電圧V1または接地電位に連結されるスキャンラインS1、S3、S5と連結されており、残りのカソードラインC2、C4は、これらのカソードラインの一端から第2方向に延長されて、スキャン電圧V1または接地電位に連結されるスキャンラインS2、S4と連結されている。
【0011】
以下、ピクセルE11〜E55の動作を詳述する。但し、説明の便宜のために、各スキャンラインS1〜S5の抵抗を、図1Bに示されるようにいずれも60Ωと仮定し、ピクセルE11〜E55の間のカソードラインC1〜C5に該当する部分の抵抗は、10Ωと仮定する。
【0012】
まず、スキャンラインS1が接地電位に連結され、残りのスキャンラインS2〜S5がピクセルE11〜E55を駆動する駆動電圧と同じ大きさを有するスキャン電圧V1に連結される。ここで、ピクセルE11〜E55は、各ピクセルに対応するカソードラインと連結されたスキャンラインが接地電位に連結されるときに発光するので、スキャンラインS1と連結されたカソードラインC1上のピクセルE11〜E51のみが発光する。
【0013】
続いて、スキャンラインS1と同じ方向に形成されたスキャンラインS2が接地電位に連結され、残りのスキャンラインS1、S3、S4、S5はスキャン電圧V1に連結される。従って、スキャンラインS2と連結されたカソードラインC2上のピクセルE12〜E52のみが発光する。
【0014】
この場合、カソードラインC1上のピクセルE11〜E51のライン抵抗成分R11〜R51と、カソードラインS2上のピクセルE12〜E52に連結されたライン抵抗成分R12〜R52を、図1Cを参照して比較する。
【0015】
図1Cを参照すれば、アノードラインA1上で互いに隣接して配置されたピクセルE11、E12の抵抗R11、R12は、40Ωの差を有しており、アノードラインA2上で互いに隣接して配置されたピクセルE21、E22のライン抵抗R21、R22は、20Ωの差を有している。また、アノードラインA3上で互いに隣接して配置されたピクセルE31、E32のライン抵抗R31、R32は、互いに同一である。また、アノードラインA4上で互いに隣接して配置されたピクセルE41、E42のライン抵抗R41、R42は、20Ωの差を有しており、アノードラインA5上で互いに隣接して配置されたピクセルE51、E52のライン抵抗R51、R52は、40Ωの差を有している。
【0016】
以下、このようなライン抵抗値の差が各ピクセルE11〜E55の輝度に及ぼす影響を、図1Dを参照して詳述する。但し、第11ピクセルE11が発光する場合を例として用いる。
【0017】
図1Dを参照すれば、データ電流I1は、スキャンラインS1がLow論理状態のとき、データラインD1を通してピクセルE11に印加される。この場合、理想的には、スキャンラインS1がLow論理状態の間、データ電流I1は、予め設定された値IWを有しなければならないが、実際には、図1Dに示されるように、予め設定された値IWより小さい値IUを持つ。即ち、データ電流は、それに対応する抵抗に影響を受けるので、ピクセルE11〜E55の輝度は、抵抗成分R11〜R55の影響によって変化する。
尚、ここでは抵抗R11〜R55の影響によってピクセルE11〜E55の輝度が低くなる場合を詳述したが、場合によっては高くなることもある。
【0018】
以下、パネル100の動作を詳述する。
再び図1Cを参照すると、アノードライン(図1BのA1)上のピクセルE11及びE12の抵抗成分R11及びR12は、大きな差を有するので、ピクセルE11及びE12に同じデータ電流が印加された場合にも、抵抗R11及びR12の影響によってピクセルE11とE12の間に明暗の差が大きく発生する。
【0019】
さらに、他のアノードラインA2〜A5上のピクセルE12〜E55間にも明暗の差が発生する。但し、パネル100の縁部に配置されるアノードライン(図1BのA1及びA5)上のピクセルE11〜E15、E51〜E55間で明暗の差が明らかに発生する。その結果、アノードラインA1及びA5上のピクセルE11〜E15、E51〜E55間に明暗の差が繰り返されて形成される縞形、即ち、“櫛形”が発生した。即ち、パネル100の左右の縁部で櫛形が発生し、使用者には視覚的に不便が感じられた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
従って、櫛形の発生しない改善された画質を持つ発光素子、電界発光素子、または有機電界発光素子のような平板型表示素子の開発に対する要求が依然として存在する。
【0021】
本発明は、櫛形の発生しない発光素子(平板型表示素子)を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る発光素子は、多数のアノード電極及びカソード電極が交差する領域に形成された多数の発光部と、上記多数のカソード電極のいずれかの一端に連結されて第1方向または第2方向に延長される多数のスキャンラインとを含む発光素子であって、上記多数のカソード電極は、一端が上記第1方向に延長されるスキャンラインに連結された多数の第1カソード電極と、一端が上記第2方向に延長されるスキャンラインに連結された多数の第2カソード電極と、一端は上記第1方向に延長されるスキャンラインに連結され、他端は上記第2方向に延長されるスキャンラインに連結された少なくとも一つ以上の第3カソード電極と、を含むことを特徴とする。
【0023】
本発明に係る発光素子(平板型表示素子)は、櫛形の発生しない長所を有する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、櫛形の発生しない改善された表示品質を持つ平板型表示素子を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して本発明に係る発光素子の好ましい実施形態を詳細に説明する。
【0026】
図2は、本発明の好ましい一実施形態に係る有機電界発光素子を示したブロック図である。図2を参照すれば、本実施形態の有機電界発光素子は、パネル200及びドライバー202を含んでいる。
【0027】
パネル200は、多数の発光領域に形成される多数のピクセルE11〜E55を含んでおり、多数の発光領域は、多数のアノードライン(アノード電極層)A1〜A5と多数のカソードライン(カソード電極層)C1〜C5とが交差する領域に形成される。アノードラインA1〜A5は、データラインD1〜D5と接続されて、パネル200の外部に配置されたデータ駆動部210と連結される。また、カソードラインC1〜C5は、スキャンラインS1〜S5と接続されて、パネル200外部のスキャン駆動部206、208と連結される。
【0028】
各ピクセルE11〜E55は、アノード電極層、カソード電極層、及びこれら2層の電極層の間に介在する有機物層を含む。ここで、有機物層は、アノード電極層上に順次に積層された正孔輸送層(HTL:Hole Transporting Layer)、発光層(EML:Emitting Layer,)及び電子輸送層(ETL:Electron Transporting Layer)を含む。
【0029】
アノード電極層に正の電圧が印加され、カソード電極層に負の電圧が印加されると、HTLは、アノード電極層から供給される正孔をEMLに輸送し、ETLは、カソード電極層から供給される電子をEMLに輸送する。次いで、供給された正孔と電子がEMLで再結合し、それにより所定波長の光がEMLから放射される。
【0030】
ドライバー202は、制御部204、第1スキャン駆動部206、第2スキャン駆動部208、及びデータ駆動部210を含む。
【0031】
第1スキャン駆動部206は、カソードラインC1〜C3の一端から第1方向に延長されたスキャンラインS1〜S3と連結され、第1スキャン信号を、スキャンラインS1〜S3を通して該当カソードラインC1〜C3に伝送する。第2スキャン駆動部208は、カソードラインC3〜C5の一端から、上記第1方向と異なる第2方向に延長されたスキャンラインS3〜S5と連結され、第2スキャン信号を、スキャンラインS3〜S5を通して該当カソードラインC3〜C5に伝送する。
【0032】
ここで、カソードラインC3(第3カソード電極)の一端は、第1方向に延長されたスキャンラインS3aに連結され、カソードラインC3の他端は、第2方向に延長されたスキャンラインS3bに連結される。また、カソードラインC3の両端は、二つのスキャンラインS3a、S3bを通して第1スキャン駆動部206及び第2スキャン駆動部208の両方に連結される。スキャンラインS3a、S3bを通してカソードラインC3に伝送される第1及び第2スキャン信号は、互いに同一である。
【0033】
以下、スキャンラインS1〜S5の位置関係について詳述する。
【0034】
本発明の一実施形態に係る有機電界発光素子は、第1スキャン駆動部206及び第2スキャン駆動部208の両方に連結された少なくとも一つ以上のカソードラインC3を含む。一実施形態において、このようなカソードラインC3は、図2に示されるように、第1方向に延長されたスキャンラインS2に連結されたカソードラインC2(第1カソード電極)と、第2方向に延長されたスキャンラインS4に連結されたカソードラインC4(第2カソード電極)との間に配置される。他の実施形態では、カソードラインC3は、同じ方向に延長されたスキャンラインに連結された二つのカソードラインの間に配置されていてもよい。
【0035】
但し、本実施形態の有機電界発光素子では、図2のカソードラインC3のように、両方向に延長されたスキャンラインに連結されたカソードラインは、常に、第1方向に形成されたスキャンラインに連結されたカソードラインと、第2方向に形成されたスキャンラインに連結されたカソードラインとの間に存在する。このようにカソードラインとスキャンラインを配置する理由は、添付された図面を参照して以下に詳述する。
【0036】
制御部204は、第1制御信号CS1を第1スキャン駆動部206に伝送し、第2制御信号CS2を第2スキャン駆動部208に伝送し、第3制御信号CS3をデータ駆動部210に伝送して、駆動部206、208、210の動作を制御する。特に、制御部204は、カソードラインC3の選択のときに、カソードラインC3の2つのスキャンラインS3a及びS3bを電界発光開始電圧、例えば、接地電位に同時に連結する。
【0037】
データ駆動部214は、外部から提供されたビデオデータに該当するデータ電流を、データラインD1〜D5を通してアノードラインA1〜A5に印加する。
【0038】
図3は、図2のパネルを示した回路図であり、カソードラインC1〜C5がスキャンラインS1〜S5を通してスキャン駆動部(図2の206及び208、ここでは接地電位とスキャン電圧V1で表示する)に連結される態様を示している。また、図4A〜4Cは、図3のパネルに含まれる一部のピクセルを表す等価回路図である。
【0039】
図3を参照すれば、スキャンラインS1、S2は、カソードラインC1、C2(第1カソード電極)の一端から第1方向に延長され、接地電位またはスキャン電圧V1と連結されている。また、スキャンラインS4、S5は、カソードラインC4、C5(第2カソード電極)の一端から、第1方向と異なる第2方向に形成される。スキャンラインS3aは、カソードラインC3(第3カソード電極)の一端から第1方向に延長され、接地電位またはスキャン電圧V1と連結されており、また、スキャンラインS3bは、カソードラインC3の他端から第2方向に延長されて、接地電位またはスキャン電圧V1と連結されている。
【0040】
以下、ピクセルE11〜E55の動作を詳述する。但し、各スキャンラインS1〜S5のライン抵抗を、図3に示されるように、それぞれ60Ω及び140Ωと仮定し、ピクセルE11〜E55間のカソードラインのライン抵抗を10Ωと仮定する。
【0041】
まず、スキャンラインS1が接地電位に連結され、残りのスキャンラインS2〜S5は、ピクセルE11〜E55を駆動する駆動電圧と同じ大きさを有するスキャン電圧V1に連結される。ここで、ピクセルE11〜E55は、各ピクセルに該当するスキャンラインが接地電位に連結されるときに発光するので、スキャンラインS1に連結されたカソードラインC1上のピクセルE11〜E51のみが発光する。
【0042】
続いて、スキャンラインS1と同じ方向に形成されたスキャンラインS2が接地電位に連結され、他のスキャンラインS1、S3、S4、S5は、スキャン電圧V1に連結される。従って、カソードラインC2上のピクセルE12〜E52のみが発光する。
【0043】
以下、カソードラインC1上のピクセルE11〜E51のライン抵抗成分R11〜R51と、カソードラインC2上のピクセルE12〜E52のライン抵抗成分R12〜R52を、図4Aを参照して比較する。
【0044】
図4Aを参照すれば、データラインD1と連結されたピクセルE11及びE12のライン抵抗成分R11及びR12の抵抗値は同一であり、また、データラインD2と連結されたピクセルE21及びE22のライン抵抗成分R21及びR22の抵抗値も同一であり、さらに、データラインD3と連結されたピクセルE31及びE32のライン抵抗成分R31及びR32の抵抗値も同一である。また、データラインD4と連結されたピクセルE41及びE42のライン抵抗成分R41及びR42の抵抗値は同一であり、データラインD5と連結されたピクセルE51及びE52のライン抵抗成分R51及びR52の抵抗値も同一である。従って、カソードラインC1上のピクセルE11〜E51と、カソードラインC2上のピクセルE12〜E52との間には、明暗の差が生じない。つまり、同じ方向に形成されたスキャンラインに連結されたカソード電極同士の間には、明暗の差が生じない。
【0045】
再び図3を参照すれば、続いて、スキャンラインS3a及びS3bが接地電位に連結され、残りのスキャンラインS1、S2、S4、S5は、スキャン電圧V1に連結される。従って、スキャンラインS3に連結されたカソードラインC3上のピクセルE13〜E53のみが発光する。
【0046】
以下、カソードラインC2上のピクセルE12〜E52のライン抵抗成分R12〜R52と、カソードラインC3上のピクセルE13〜E53のライン抵抗成分R13〜E53を、図4Bを参照して比較する。
【0047】
図4Bを参照すれば、データラインD1と連結されたピクセルE12のライン抵抗成分R12とピクセルE13のライン抵抗成分R13は、抵抗値において所定の差があり、それにより発光時のピクセルE12とピクセルE13との間に輝度差が発生する。しかし、このような明暗の差は、従来の有機電界発光素子とは異なり、抵抗値の差が少ないため、使用者には認知されない。このように、スキャンラインS2に連結されたカソードライン(図3のC2)上のピクセルE12〜E52と、スキャンラインS3に連結されたカソードライン(図3のC3)上のピクセルE13〜E53の輝度を比較すると、所定の明暗の差が発生するが、このような明暗の差は使用者には認知されない。つまり、第1方向に延長されたスキャンラインに連結されたカソードラインと、両方向に延長されたスキャンラインに連結されたカソードラインとの間には、使用者が認知し得る明暗の差が発生しない。
【0048】
続いて、スキャンラインS4が接地電位に連結され、残りのスキャンラインS1、S2、S3、S5は、スキャン電圧V1に連結される。従って、スキャンラインS4に連結されたカソードラインC4上のピクセルE14〜E54のみが発光する。
【0049】
以下、カソードラインC3上のピクセルE13〜E53のライン抵抗成分R13〜R53の抵抗値と、カソードラインC4上のピクセルE14〜E54のライン抵抗成分R14〜R54の抵抗値を、図4Cを参照して比較する。
【0050】
図4Cを参照すれば、カソードラインC3上のピクセルE13〜E53のライン抵抗成分R13〜R53の抵抗値と、カソードラインC4上のピクセルE14〜E54のライン抵抗成分R14〜R54の抵抗値は、その大きさが異なり、それによりカソードラインC3上のピクセルE13〜E53とカソードラインC4上のピクセルE14〜E54との間に輝度差が発生する。しかし、カソードラインC3上のピクセルE13〜E53のライン抵抗成分R13〜R53の抵抗値と、カソードラインC4上のピクセルE14〜E54のライン抵抗成分R14〜R54の抵抗値との差が小さいため、使用者にはこのような明暗の差が認知されない。つまり、第2方向に延長されたスキャンラインに連結されたカソードラインと、両方向に延長されたスキャンラインに連結されたカソードラインとの間には、使用者が認知し得る明暗の差が発生しない。
【0051】
上述したように、本実施形態の有機電界発光素子では、同一方向に延長されたスキャンラインに連結されたカソード電極同士の間に明暗の差が発生せず、さらに、いずれか一方向に形成されたスキャンラインに連結されたカソード電極と、両方向に形成されたスキャンラインに連結されたカソード電極との間には、使用者が認知することができない極めて少ない明暗の差が発生するだけである。従って、明暗の差が繰り返されて発生する櫛形のような現象は発生しない。
【0052】
本実施形態の有機電界発光素子では、両方向に形成されたスキャンラインが、第1方向に形成されたスキャンラインと第2方向に形成されたスキャンラインとの間に常に形成される。従って、第1方向に形成されたスキャンラインと第2方向に形成されたスキャンラインとの間に櫛形が発生した従来の有機電界発光素子のパネル100とは異なり、本実施形態の有機電界発光素子に含まれるパネル200には、櫛形が発生しない。
【0053】
以上で説明した本発明の実施形態は、例示の目的のために開示されたものであり、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有するものであるならば、添付された特許請求の範囲に開示された本発明の思想の範囲内で様々な修正、変更、及び付加が可能である。従って、そのような修正、変更、及び付加は、本発明の特許請求の範囲に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1A】従来の有機電界発光素子を示したブロック図である。
【図1B】図1Aのパネルを示した回路図であり、カソード電極がスキャンラインを通してスキャン駆動部に連結される態様を示した図である。
【図1C】図1Aの一部のピクセルを表す回路図である。
【図1D】図1Aの有機電界発光素子を駆動するために、スキャンライン及びデータラインを通してそれぞれ印加されるスキャン電圧及びデータ電流を示したタイミングダイヤグラムである。
【図2】本発明の好ましい一実施形態に係る有機電界発光素子を示したブロック図である。
【図3】図2のパネルを示した回路図であり、カソード電極がスキャンラインを通してスキャン駆動部に連結される態様を示した図である。
【図4A】図3のパネルに含まれる一部のピクセルを表す等価回路図であり、同じ方向に形成されたスキャンラインに連結されたカソードライン上のピクセルを比較する図である。
【図4B】図3のパネルに含まれる一部のピクセルを表す等価回路図であり、第1方向に延長されたスキャンラインに連結されたカソードライン上のピクセルと、両方向に延長されたスキャンラインに連結されたカソードライン上のピクセルとを比較する図である。
【図4C】図3のパネルに含まれる一部のピクセルを表す等価回路図であり、第2方向に延長されたスキャンラインに連結されたカソードライン上のピクセルと、両方向に延長されたスキャンラインに連結されたカソードライン上のピクセルとを比較する図である。
【符号の説明】
【0055】
A1〜A5:アノード電極、C1,C2:第1カソード電極、C3:第3カソード電極、C4,C5:第2カソード電極、S1,S2,S3a,S3b,S4,S5:スキャンライン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のアノード電極及びカソード電極が交差する領域に形成された多数の発光部と、
上記多数のカソード電極のいずれかの一端に連結されて第1方向または第2方向に延長される多数のスキャンラインと、を含む発光素子であって、
上記多数のカソード電極は、
一端が上記第1方向に延長されるスキャンラインに連結された多数の第1カソード電極と、一端が上記第2方向に延長されるスキャンラインに連結された多数の第2カソード電極と、
一端は上記第1方向に延長されるスキャンラインに連結され、他端は上記第2方向に延長されるスキャンラインに連結された少なくとも一つ以上の第3カソード電極と、を含むことを特徴とする発光素子。
【請求項2】
上記多数の第1カソード電極の少なくとも一部は互いに隣接して配置され、上記多数の第2カソード電極の少なくとも一部は互いに隣接して配置され、上記第3カソード電極は、互いに隣接して配置された上記第1カソード電極と上記第2カソード電極との間に配置されることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
上記第3カソード電極は、上記第1カソード電極と上記第2カソード電極との間に配置されることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項4】
上記第3カソード電極に連結されたスキャンラインの抵抗値は、上記第1カソード電極及び第2カソード電極に連結されたスキャンラインの抵抗値よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項5】
上記第3カソード電極の線幅は、上記第1カソード電極及び第2カソード電極の線幅よりも狭いことを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項6】
上記発光素子は、
上記第1方向に延長されたスキャンラインによって上記カソード電極に電気的に連結される第1スキャン駆動部と、
上記第2方向に延長されたスキャンラインによって上記カソード電極に電気的に連結される第2スキャン駆動部と、
上記第1スキャン駆動部及び上記第2スキャン駆動部の動作を制御する制御部と、をさらに含み、
上記第3カソード電極は、上記第1方向に連結されたスキャンライン及び上記第2方向に連結されたスキャンラインを通して、上記第1スキャン駆動部及び上記第2スキャン駆動部の両方に電気的に連結されることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項7】
上記第3カソード電極の両端の電位は、実質的に同じであることを特徴とする請求項6に記載の発光素子。
【請求項8】
上記第3カソード電極は、上記第1カソード電極と上記第2カソード電極との間にこれらと隣接して配置され、上記第3カソード電極上の発光部の輝度は、上記第1カソード電極上の対応する発光部の輝度と上記第2カソード電極上の対応する発光部の輝度との間の値を持つことを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項9】
上記発光素子は、有機電界発光素子であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の発光素子。


【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【公開番号】特開2007−140449(P2007−140449A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−82813(P2006−82813)
【出願日】平成18年3月24日(2006.3.24)
【出願人】(596066770)エルジー エレクトロニクス インコーポレーテッド (384)
【Fターム(参考)】