説明

発光素子

【課題】 複数の発光ダイオードとその駆動用のICを一体に備えた発光素子において、出力端子と各発光ダイオードとの間を金線などのワイヤにより接続作業を省略し、発光ダイオードで発光された光をワイヤ等により遮ることがない発光素子を提供すること。
【解決手段】 複数の発光ダイオード2R、2G、2Bと、これらの発光ダイオードを駆動する駆動用IC3を一体化した発光素子であって、前記駆動用IC3は、温度補償回路を備えた電流供給回路を備え、各発光ダイオードのドライバを介して各発光ダイオードに温度補償された駆動電流を供給する。そのような発光素子において、発光ダイオード2R、2G、2Bは、フリップ接続により駆動用IC3と接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光ダイオードとその駆動用のICを一体に備えるランプ型、チップ型等の発光素子に関し、特に複数の発光ダイオードとその駆動用のICを一体に備え、少なくとも赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色を含み、白色光のみならず任意の色を発光させることができ、しかも温度変化によらず多数の発光素子の発光強度及び色度特性を容易にバラツキなく一致させることができる発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、発光ダイオードとその発光色の補色の光を発する蛍光体との組み合わせによって、疑似的に白色光を発光可能な発光素子が特許文献1に開示されている。この場合、一般的に、発光ダイオードとして青色発光するものを使用し、蛍光体として青色光を吸収して黄色発光するものを組み合わせ、擬似的に人間の目に白色光と感じられるようにするものが多用されている。しかしながら、このような組合せでは特定の色成分が少ないため、すなわち前述のような青色と黄色の混色による場合には赤色成分が少ないことにより、LCD用バックライトとして使用する場合には色再現範囲が狭いという問題がある。また、演色性に欠けるという問題もある。
【0003】
また、白色光を発光させる別の方式として、R、G、Bの各光を発する発光ダイオードを用いた3原色の混色を用いる例も知られている。しかしながら、3原色の混色によって白色発光させる場合は、例えば図17に示す典型的な各種発光ダイオードの発光強度−順電流特性から明らかなように、R、G、Bのそれぞれの光を発する発光ダイオードの電気−光学特性に大きな差異があることから、各色の発光度合いを調整するための電流調整が非常に面倒になる。
【0004】
また、白色発光以外の場合においても、R、G、Bの3色あるいはそれとは異なる色の複数の発光ダイオードを用いて所望の色や発光強度分布を得る必要がある場合も、それぞれの発光ダイオードの発光強度を調整する必要があるが、そのための電流調整が面倒になる。また、この電流調整は、外付けの回路によって調整することもできるが、その場合は個々の発光素子毎に外付けの回路を設ける必要があり、回路構成が複雑化するとともに、色度などの調整が煩雑になるという問題点が存在している。
【0005】
従来、R、G、Bの3原色の各発光ダイオードを一体化したいわゆるマルチチップ式のフルカラー発光素子は、アノード又はカソードを共通端子とした4端子、或いは、3色の発光ダイオードが独立した6端子の発光素子として各種形状(チップ型発光ダイオード、ランプ、画像表示機器等)にて実用化されている。この場合、各発光ダイオードに供給する電流を外部より制御することにより、R、G、Bの単色発光ないし混合光(R+G、R+B、R+G+Bなど)の発光色を制御しているが、それぞれの色毎にそれぞれに定められた電流値を設定する必要があり、外部からの制御が複雑であるという問題点がある。
【0006】
また、外部から供給する電流を制御した状態であっても、発光素子毎の特性のバラツキによってR、G、Bそれぞれの発光強度、色度等の特性がばらつきやすく、さらに混合光とした場合に得られる発光強度、色度(特に白色の色度)もばらつくという問題点がある。
【0007】
また、R、G、Bの各光を発する発光ダイオードを用いた3原色の混色を用いた白色光は、図18の各種発光ダイオードのスペクトル分布特性図に示すように、RとGの発光スペクトルの間隔はGとBの発光スペクトルの間隔に比すると広いので、RとGの間に発光スペクトル分布が不連続な領域が存在する。したがって、より演色性の高い白色光を得るには、R、G、Bの3原色の各発光ダイオードだけでなく発光スペクトル分布がRとGの間に位置する橙色(O)及び黄色(Y)の発光ダイオードのうちの少なくとも1つがさらに使用されるが、そうするとこれらの発光ダイオードをマルチチップ化した発光素子の色度のバラツキを補正することはより困難となる。
【0008】
加えて、これらの複数の発光ダイオードをマルチチップ化した発光素子を多数個組み合わせて発光装置や画像表示装置を形成することは慣用的に行われているが、このような用途に使用される発光素子の数は非常に多いので、上述の色度のバラツキの補正の問題点はより大きく表れる。
【0009】
本願の発明者は、既に上述のようなマルチチップ方式の発光素子における色制御の複雑さ、回路構成の複雑さを解消し、簡単な駆動方式により多色光、及び白色光の発光制御を可能とし、しかも温度変化によらず多数の発光素子の発光強度及び色度特性を容易にバラツキなく一致させることができる発光素子に関する発明を特願2004−320594号(以下、「先願」という。)として特許出願している。
【0010】
先願の発光素子では、複数の発光ダイオードと、これらの発光ダイオードを駆動する駆動用ICを一体化しており、駆動用ICは、温度補償回路を備えた電流供給回路を備え、各発光ダイオードのドライバを介して各発光ダイオードに温度補償された駆動電流を供給する。
【0011】
その発光素子は、図19及び図20に示すような構造を持つ。その内、図19の発光素子は、複数の発光ダイオード2として3原色である赤(R)、緑(G)、青(B)の発光色を持つ3個の発光ダイオード2R、2G、2Bを、駆動用IC3上に固定配置するとともに、この駆動用IC3を、外部端子6に接続する幅広の成形フレーム8上に載置したものである。
【0012】
この発光素子における各発光ダイオード2R、2G、2Bは、ウエハから分割された状態のベアチップで構成され、裏面にカソード電極を備えている。駆動用IC3は、各発光ダイオード2R、2G、2Bに対応した出力端子3R、3G、3Bと、各発光ダイオードの駆動信号入力端子3CR、3CG、3CBと、一方の電源端子3Vと、他方の電源端子3Eとを備えており、このうち各発光ダイオード用の出力端子3R、3G、3Bとそれぞれの発光ダイオード2R、2G、2Bとの間、各発光ダイオードの駆動信号入力端子3CR、3CG、3CBと外部端子7CR、7CG、7CBとの間、電源電圧入力端子3Vと一方の外部端子5との間、他方の電源端子3Eと他方の外部端子6との間、及びSET端子3SEと外部端子7SEとの間は、それぞれ金線などにより電気的に接続されている。なお、各発光ダイオード2R、2G、2Bのカソード側は駆動用IC3の表面で又は内部回路により電気的に他方の電源端子3Eに接続されている。
【0013】
また、図20の発光素子は、小型の発光素子とするためにチップ状態の複数の発光ダイオード2R、2G、2Bを、これらの発光ダイオードを駆動する回路基板を兼ねる駆動用IC3上に一体化して構成されている。各発光ダイオード2R、2G、2Bは、ウエハから分割された状態のベアチップで構成され、裏面にカソード電極を備えている。駆動用IC3は、各発光ダイオード2R、2G、2Bに対応した出力端子3R、3G、3Bと、各発光ダイオードの駆動信号入力端子3CR、3CG、3CBとを備え、さらに、一方の電源端子として機能する外部端子5及び他方の電源端子として機能する外部端子6がそれぞれ電気的に絶縁された状態で駆動用IC3の下部表面及び側面の一部分に設けられ、このうち外部端子6の表面上に各発光ダイオード2R、2G、2Bのカソード電極側が導電材料を用いて固定配置され、複数の発光ダイオード2R、2G、2B用の出力端子3R、3G、3B等の端子とそれぞれの発光ダイオード2R、2G、2Bとの間は金線などのワイヤにより電気的に接続されている。
【0014】
この発光素子は、これらの複数の発光ダイオード2R、2G、2Bを駆動用IC3の表面に固定し、配線を施した後に、光透過性のモールド樹脂9によってこれらの表面を覆うことにより作製されるが、非常に小型のチップ型の発光素子が得られる。
【特許文献1】特開2001−217463号公報
【特許文献2】特開2002−369506号公報
【特許文献3】特表平10−508984号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述の先願発明によれば、複数の発光ダイオードを制御する駆動用ICが複数の発光ダイオードとともに一体化されていて、この駆動用ICによりそれぞれの発光ダイオードへ供給される電流値を制御できるため、発光素子外部で複雑な電流制御を行うことなく、簡便に色度精度が良く、均一な品質の発光素子を得ることができるようになる。加えて、発光素子は、周囲温度、発光色や駆動信号の性質等によって発光素子の温度が変化するが、駆動用ICが温度補償のための構成を備えているので、発光素子の発光強度及び色度特性が安定化する。
【0016】
しかしながら、それらの発光素子は、発光ダイオード2R、2G、2B用の出力端子3R、3G、3B等の端子とそれぞれの発光ダイオード2R、2G、2Bとの間を金線などのワイヤにより電気的に接続するようにしているため、接続作業が必要になる上、金線などのワイヤが発光ダイオード2R、2G、2Bの発光面上に懸かるため、発光された光の一部が金線などのワイヤにより遮られるという問題点がある。
【0017】
本発明は、そのような問題点に鑑み、発光ダイオード用の出力端子とそれぞれの発光ダイオードとの間を金線などのワイヤにより接続する作業が不要で、しかも、ワイヤ等により発光ダイオードで発光された光を遮ることがない発光素子を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の上記目的は以下の構成により達成し得る。すなわち、請求項1の発光素子の発明は、複数の発光ダイオードと、これらの発光ダイオードを駆動する駆動用ICを一体化した発光素子であって、前記駆動用ICと発光ダイオードは、フリップ接続されていることを特徴とする。
【0019】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の発光素子において、前記駆動用ICは、前記複数の発光ダイオード毎の電流値もしくは前記発光ダイオード毎の電流比率を一定に制御することを特徴とする。
【0020】
また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載の発光素子において、前記複数の発光ダイオードは、それらの光の混色によって白色発光が可能な発光色を備えることを特徴とする。
【0021】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の発光素子において、前記複数の発光ダイオードは、赤、緑、青色の3原色を含むことを特徴とする。
【0022】
また、請求項5の発明は、請求項1または2に記載の発光素子において、前記駆動用ICは、温度補償回路、電流供給回路、複数ビットドライバを含むことを特徴とする。
【0023】
また、請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発光素子において、前記複数の発光ダイオードと前記駆動用ICは、同じ樹脂によって覆われていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、上記の構成を備えることにより、以下に述べるような優れた効果を奏する。すなわち、請求項1の発明によれば、駆動用ICと発光ダイオードとを、フリップ接続により接続するようにしたので、金線などのワイヤにより接続する作業が不要で、しかも、ワイヤ等により発光ダイオードで発光された光を遮ることがなくなる。
【0025】
また、請求項2の発明によれば、駆動用ICは、前記複数の発光ダイオード毎の電流値もしくは前記発光ダイオード毎の電流比率を一定に制御するようにしたので、発光素子毎の同色の発光ダイオード間の電気−光学特性のバラツキを補正できるとともに、所定の合成された色の光を得るための各発光ダイオードに流れる電流値を制御でき、発光素子毎の発光強度や発光色のバラツキを簡便に精度良く制御できる均一な品質の発光素子が得られる。
【0026】
また、請求項3の発明によれば、前記複数の発光ダイオードは、それらの光の混色によって白色発光が可能な発光色を備えるようにしたので、液晶表示パネルのバックライト、照明光等、広い技術分野で要求されている白色光源が実現でき、これらの広い技術分野への適用が可能な発光素子が得られる。
【0027】
また、請求項4の発明によれば、前記複数の発光ダイオードは、赤、緑、青色の3原色を含むようにしたので、液晶表示パネルのバックライトに用いる場合に、容易に色再現性の良好な白色光を発光することができる発光素子が得られる。
【0028】
また、請求項5の発明によれば、前記駆動用ICは、温度補償回路、電流供給回路、複数ビットドライバを含むようにしたので、簡単な構成の駆動用ICでそれぞれの発光ダイオードへ供給される電流値を制御でき、発光素子外部で複雑な電流制御を行うことなく、簡便に色度精度が良く、均一な品質の発光素子を得ることができる。
【0029】
また、請求項6の発明によれば、前記複数の発光ダイオードと前記駆動用ICは、同じ樹脂によって覆われて一体化されているため、組立作業性のよい発光素子が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのR、G、Bの3原色の発光ダイオードを備える発光素子の例を説明するものである。しかしながら、本発明は、R、G、Bの3原色以外に例えばO及びYの少なくとも一方を発光し得る発光ダイオードと組み合わせた発光素子の場合にも、あるいはその他の色を発光し得る複数個の発光ダイオードを備える発光素子の場合や、R、G、Bの3原色の発光ダイオードを一組としてこれを複数組有する発光素子の場合にも等しく適用し得るものである。
【実施例1】
【0031】
実施例1の発光素子を図1〜図6を用いて説明する。なお、図1は実施例1の発光素子の平面図であり、図2は実施例1の発光ダイオードの裏面斜視図であり、図3は実施例1の発光ダイオード接続前の状態を示す図であり、図4は実施例1の発光素子の変形例の斜視図であり、また、図5は実施例1の駆動用ICのブロック図であり、図6は実施例1の駆動用ICの内部回路の一具体例を示す図である。
【0032】
なお、図1〜図6においては、前記先願発明と同一の構成部分には同一の参照符号を付与して一部の説明は省略することとする。
【0033】
この実施例1の発光素子1は、駆動用IC3とそれに接続した各発光ダイオード2R、2G、2Bからなる発光回路を2つの外部端子5、6間に接続するとともに、外部端子7CR、7CG、7CBからの制御信号により各発光ダイオード2R、2G、2Bの発光強度及び色度を制御するようになっており、また、駆動用IC3は、電流供給回路11、補正回路17、各種信号制御回路18、複数ビットドライバ19及び温度補償回路20を備えている。
【0034】
この温度補償回路20は、各発光ダイオード2R、2G、2Bの作動温度に対応した補償電流供給するように電流供給回路11を制御する回路であり、例えば上記特許文献2ないし3に例示されているように、周知のものである。この発光素子1の場合は、電流供給回路11及び温度補償回路20をそれぞれ一つずつ備えており、各発光ダイオード2R、2G、2Bに所定の温度補償された電流を供給できるようになされている。
【0035】
この場合、発光ダイオードの温度変化による発光強度の変化は、赤の発光ダイオードが最も大きく、約2.4%/℃の変化率で変化する。したがって、少なくとも赤の発光ダイオード2Rに対して約2.4%/℃の変化率で供給する電流値を変化させれば、発光素子1の発光強度変化は少なくなる。
【0036】
また、緑の発光ダイオード及び青の発光ダイオードの温度変化による発光強度の変化は、赤の発光ダイオードのものよりも小さく約0.4%/℃である。
【0037】
緑の発光ダイオード及び青の発光ダイオードの温度変化による発光強度の変化は互いに類似しているとしても、図17に示した相対光強度−順電流曲線から明らかなように、緑の発光ダイオード及び青の発光ダイオードの相対光強度−順電流曲線は明確に異なっている。したがって、緑の発光ダイオード及び青の発光ダイオードに対しても正確な温度補償を行うためには、両者別々に温度補償を行うことが好ましい。
【0038】
この場合の発光素子1の駆動用IC3は、図5に示したとおり、3つの電流供給回路11−1〜11−3と、3つの温度補償回路20−1〜20−3を備え、電流供給回路11−1と温度補償回路20−1とによりドライバ19Rを介して赤の発光ダイオード2Rに対して約2.4%/℃の割合で温度補償を行い、電流供給回路11−2と温度補償回路20−2とによりドライバ19Gを介して緑の発光ダイオード2Gに対して、順電流10mA程度で使用する場合は約0.4%/℃よりも強めの約0.5%/℃の温度補償を行い、また、順電流40mA程度で使用する場合はさらに強い温度補償、例えば約1%/℃の温度補償を行い、さらに、電流供給回路11−3と温度補償回路20−3とによりドライバ19Bを介して青の発光ダイオード2Bに対して約0.5%の強めの温度補償を行う構成となせばよい。
【0039】
この発光素子1の制御用IC3の具体的回路構成は図6に示したとおりになる。すなわち、補正回路17は、例えば3×3ビットの不揮発性メモリによって、各3ビット分、すなわち8段階の補正レベルを記憶するようになっており、選択された補正レベルに対応する出力を各種信号制御回路18を経てドライバ19に送出し、各発光ダイオード2R、2G、2Bに対して所定の補正された電流を供給するようになっている。なお、ここでは3ビット分の補正レベルを記憶するようにしたが、発光ダイオードの特性により2ビット分ないしは4ビット分以上の復数ビット分の補正レベルを記憶するようにしても良い。
【0040】
各種信号制御回路18は、各発光ダイオード2R、2G、2Bのそれぞれに対応する3つの信号制御回路18R、18G、18Bを備えている。またドライバ19は、各発光ダイオード2R、2G、2Bのそれぞれに対応する3つのドライバ19R、19G、19Bを備えている。
【0041】
このうち、緑の発光ダイオード2G駆動用の信号制御回路18G及びドライバ19Gを例にとると、2つの反転回路を直列接続した波形成形回路18Gと、補正回路17からの出力と外部入力端子7CGからの駆動信号とのアンド出力をとる3つのアンド回路18G〜18Gからなり、それぞれの出力はドライバ19Gの対応するドライバ回路19G〜19Gに入力され、それぞれのドライバ回路19G〜19Gの出力は並列に接続されて対応する緑の発光ダイオード2Gに発光電流として供給されるようになっている。
【0042】
なお、他の信号制御回路18R、18Bは緑の信号制御回路18Gと同様の構成を備えており、同じく他のドライバ19R、19Bは緑のドライバ19Gと同様の構成を備えているが、図示は省略した。
【0043】
そして、3つの電流供給回路11−1〜11−3にはそれぞれ温度補償回路20−1〜20−3が接続されており、電流供給回路11−1の出力が赤の発光ダイオード2R用のドライバ19Rに接続され、電流供給回路11−2の出力が緑の発光ダイオード2G用のドライバ19Gに接続され、電流供給回路11−3の出力が青の発光ダイオード2B用のドライバ19Bに接続されており、各発光ダイオード2R、2G、2Bに対して温度補償された電流が供給されるようになっている。
【0044】
そして、それぞれの発光ダイオード2R、2G、2Bは、外部入力端子7CR、7CG、7CBからそれぞれ入力される駆動信号CR、CG、CBにより発光制御が行われる。この発光素子1の発光色の調整は、前述の先願発明の場合と同様の方法により行われるので詳細な説明は省略するが、この発光素子1の各発光ダイオード2R、2G、2Bに供給される電流値は個別に温度補償されており、しかも、以下に詳細に述べるように制御用IC3と各発光ダイオード2R、2G、2Bとは一体化されているため、別途外部に温度検出器を設けることなく制御用IC3を利用して温度を検出できるため、精度良く温度補償を行うことができる。
【0045】
なお、実施例1の発光素子の実装形態として、駆動用IC上に各発光ダイオードを実装して駆動用ICを成形フレーム上に実装した例を図1に、また、駆動用IC上に各発光ダイオードを実装した例を図4に示す。
【0046】
図1に示した発光素子は、基板4として6端子の成形フレームを有するモールド型のものを用い、複数の発光ダイオード2として3原色である赤(R)、緑(G)、青(B)の発光色を持つ3個の発光ダイオード2R、2G、2Bを用い、これらの発光ダイオードを駆動用IC3上に固定配置するとともに、この駆動用IC3を他方の外部端子6に接続する幅広の成形フレーム8上に載置したものである。
【0047】
この発光素子は、チップ状態の複数の発光ダイオード2を備えており、各発光ダイオード2は、ウエハから分割された状態のベアチップで構成され、図2に示すように、裏面にアノード端子パッド2Aとカソード端子パッド2Kを備えている。駆動用IC3は、図3に示すように、各発光ダイオード2R、2G、2Bに対応した出力パッド3PR、3PG、3PBと、共通パッド3Qと、各発光ダイオードの駆動信号入力端子3CR、3CG、3CBと、一方の電源端子3Vと、他方の電源端子3Eとを備えており、このうち各発光ダイオード用の出力パッド3PR、3PG、3PBと共通パッド3Qとに、各発光ダイオード2R、2G、2Bのアノード端子パッド2Aとカソード端子パッド2Kとをそれぞれ当接されるようにして、各発光ダイオード2R、2G、2Bをフリップ接続させる。
【0048】
また、各発光ダイオードの駆動信号入力端子3CR、3CG、3CBと外部端子7CR、7CG、7CBとの間、電源電圧入力端子3Vと一方の外部端子5との間、他方の電源端子3Eと他方の外部端子6との間、及びSET端子3SEと外部端子7SEとの間は、それぞれ金線などにより電気的に接続されている。
【0049】
なお、各発光ダイオード2R、2G、2Bのカソード側は、カソード端子パッド2Kと駆動用IC3の表面の共通パッド3Qを介して他方の電源端子3Eに接続されている。この発光素子は、駆動用IC3が幅広の成形フレーム上に載置されているため、各発光ダイオード2R、2G、2B及び駆動用IC3の発熱は成形フレーム8を経て効率よく放熱させることができるので、各発光ダイオード2R、2G、2Bに大電流を流すことができ、明るい発光素子が得られる。
【0050】
また、図4に示した発光素子は、小型の発光素子とするためにチップ状態の複数の発光ダイオード2R、2G、2Bをこれらの発光ダイオードを駆動する回路基板を兼ねる駆動用IC3上に一体化して構成されている。各発光ダイオード2R、2G、2Bは、図2に示したものと同様に、ウエハから分割された状態のベアチップで構成され、裏面にアノード端子パッド2Aとカソード端子パッド2Kを備えている。駆動用IC3は、各発光ダイオード2R、2G、2Bに対応した出力パッド3PR、3PG、3PBと、各発光ダイオードの駆動信号入力端子3CR、3CG、3CBとを備え、さらに、一方の電源端子として機能する外部端子5及び他方の電源端子として機能する外部端子6が、それぞれ互いに電気的に絶縁された状態で、駆動用IC3の下部表面から上部表面に連なるように設けられている。そして、駆動用IC3の上部表面に設けられた外部端子6の表面と各発光ダイオード用の出力パッド3PR、3PG、3PBとの表面に、それぞれの発光ダイオード2R、2G、2Bのアノード端子パッド2Aが各発光ダイオード用の出力パッド3PR、3PG、3PB側になるように、また、それぞれの発光ダイオード2R、2G、2Bのカソード端子パッド2Kが外部端子6側になるように、それぞれ当接させるようにして、各発光ダイオード2R、2G、2Bをフリップ接続させる。
【0051】
この発光素子は、これらの複数の発光ダイオード2R、2G、2Bを駆動用IC3の表面に固定した後に、光透過性のモールド樹脂9によってこれらの表面を覆うことにより作製されるが、非常に小型のチップ型の発光素子が得られる。
【実施例2】
【0052】
実施例1の発光素子は、各外部入力端子7CR、7CG及び7CBに各発光ダイオード2R、2G、2Bの駆動信号CR、CG、CBを供給すると所望の発光強度及び色度が得られるようになされているが、この駆動信号CR、CG、CB発生回路としては、シフトレジスタないしカウンタを使用した回路を使用し得る。
【0053】
そこで、実施例2の発光素子として、駆動用IC3内にシフトレジスタを有するものを使用したものを作製した。この実施例2の発光素子の駆動用IC3−2のブロック図を図7に、この駆動用IC3−2の内部回路の一具体例を図8に示す。なお、図7及び図8においては、実施例1及び前記先願発明と同一の構成部分には同一の参照符号を付与して一部の説明は省略することとする。また、実施例2においては各発光ダイオード2R、2G、2B毎に個別に温度補償を行う構成のものを示すが、実施例1の場合と同様に、全ての発光ダイオードに対して同じ温度補償を行うかあるいは赤色の発光ダイオード2Rについてのみ温度補償を行う構成とすることもできるし、また、赤の発光ダイオード2Rに対して個別に温度補償を行うとともに緑の発光ダイオード2G及び青の発光ダイオード2Bに対しては同じ温度補償を行う構成とすることもできる。
【0054】
この実施例2の発光素子は、白色発光を行うために、複数の発光ダイオードとして3原色である赤(R)、緑(G)、青(B)の発光色を持つ3個の発光ダイオード2R、2G、2Bが用いられており、その駆動用IC3−2とそれに接続した各発光ダイオード2R、2G、2Bからなる発光回路を2つの外部端子5、6間に接続するとともに、外部端子7CL、7SI、7LOにそれぞれCLOCK信号、発光入力信号SI、LOAD信号が、また必要に応じて7STにストローブ信号STBが、それぞれ入力され、外部入力端子7SOから発光入力信号SIと同じ発光出力信号SOが出力される回路構成をとっている。
【0055】
この実施例2の駆動用IC3−2は、電源供給回路11−1〜11−3、温度補償回路20−1〜20−3、3ビットシフトレジスタ12、ストローブ(STB)制御回路16、3ビットラッチ17L及び不揮発性メモリ17Mとからなる補正回路17、各種信号制御回路18及びドライバ19を備えており、このうちSTB制御回路16は省略することも可能である。
【0056】
補正用メモリ17Mは、3×3ビットの不揮発性メモリによって、各3ビット分、すなわち8段階の補正レベルを記憶するようになっており、選択された補正レベルに対応する出力を各種信号制御回路18を経てドライバ19に送出し、各発光ダイオード2R、2G、2Bに対して所定の補正された電流を供給するようになっている。
【0057】
各種信号制御回路18は、各発光ダイオード2R、2G、2Bのそれぞれに対応する3つの信号制御回路18R、18G、18Bを備えており、各信号制御回路18R、18G、18Bは、例えば緑の発光ダイオード2G駆動用のものを例に取ると、2つの反転回路を直列接続した波形成形回路18Gと、補正用メモリ17Mからの出力と3ビットラッチ17Lの出力ないしSTB制御回路16の出力とのアンド出力をとる3つのアンド回路18G〜18Gからなり、それぞれの波形成形回路及びアンド回路18G〜18Gの出力はドライバ19Gの対応するドライバ回路19G〜19Gに入力され、それぞれのドライバ回路19G〜19Gの出力は並列に接続されて対応する緑の発光ダイオード2Gに供給されるようになっている。
【0058】
なお、赤の発光ダイオード2R及び青の発光ダイオード2B駆動用の各信号制御回路18R、18B及びドライバ19R、19Bも緑の発光ダイオード2G駆動用の各種信号制御回路18G及びドライバ19Gと同様の構成を備えているが、図示は省略し、また、この発光素子1−2の発光色の調整は実施例1の発光素子1の場合と同様であるので省略する。
【0059】
したがって、この駆動用IC3−2においては、補正回路17の3ビットラッチ17Lの出力ないしSTB制御回路16の出力として実施例1の発光素子1の駆動信号CR、CG、CBに対応する信号が得られる。また、この駆動用IC3−2の動作のタイミングチャートは、STB制御回路16を使用しない場合は図9に示すとおりであり、また、STB制御回路16を使用する場合は図10に示すとおりとなる。
【0060】
まず、STB制御回路16を使用しない場合について図9を用いて説明すると、この例では、複数の発光ダイオード2として、それぞれR、G、Bの各色を発光する3種の発光ダイオード2R、2G、2Bを用いているので、発光入力信号SIはCLOCK信号の連続する3パルス分で1周期分となるが、シフトレジスタ12がR、G、Bに対応する信号を分離して保持した後に、LOAD信号により3ビットラッチ17Lがシフトレジスタ12が保持している信号を読み込み保持するために1パルス分必要である。
【0061】
駆動用IC3−2に電源電圧が供給されているとき、3ビットシフトレジスタ12は、外部端子7CLに加えられているCLOCK信号の立ち下がりに同期して、発光入力信号SIからそれぞれR、G、Bに対応する3ビット分の信号を分離して保持する。3ビットシフトレジスタ12が保持した信号はLOAD信号に同期して3ビットラッチ17Lにより読み込まれ、3ビットラッチ17Lはこの読み込んだ信号を次の周期の間保持する。
【0062】
例えば、図9においては、第1周期の発光入力信号SIは順にB、G、Rに対応する信号がHレベルとなっており、この発光入力信号SIは、第1周期の間に3ビットシフトレジスタ12によりR、G、B毎に分離して保持され、LOAD信号に同期して3ビットラッチ17Lに読み込まれ、3ビットラッチ17Lが読み込んだシフトレジスタ12が保持していた信号は第2周期の間そのまま保持される。したがって、第2周期の間、3ビットラッチ17LのR、G、Bのそれぞれに対応するラッチ出力は全てHレベルとなる。
【0063】
この3ビットラッチ17Lの出力によって信号処理回路18を経てドライバ19によって温度補償された電流供給回路11−1〜11−3より供給された電流に基いて各発光ダイオード2R、2G、2Bが駆動されるため、第2周期の間には、各発光ダイオード2R、2G、2Bは全て発光するので、結果として温度補償された白色光(W)が得られる。
【0064】
同様にして、例えば第2周期及び第3周期の発光入力信号SIはそれぞれR及びGに対応する信号のみがHレベルとなっているため、第3周期では赤の発光ダイオード2Rのみが発光して温度補償された赤色光が得られ、第4周期では緑の発光ダイオード2Gのみが発光して温度補償された緑色光が得られる。
【0065】
このようにして、実施例2の発光素子1−2においてSTB制御回路16を使用しない場合には、発光入力信号SIの1周期分に含まれるR、G、Bの各成分の組合せに基いて、次の周期の間にわたりその組み合わせられた色を発光させることができるため、少なくともW、R、G、B、RG、RB、GBの7色の温度補償された発光が可能となる。
【0066】
次に、STB制御回路16を使用する場合について説明する。このSTB制御回路16を含めた発光素子1−2の駆動用IC3−2の動作は図10のタイミングチャートに示したとおりである。すなわち、駆動用IC3−2に電源電圧が供給されているとき、3ビットシフトレジスタ12は、外部端子7CLに加えられているCLOCK信号の立ち下がりに同期して、発光入力信号SIからそれぞれR、G、Bに対応する3ビット分の信号を分離して保持し、3ビットシフトレジスタ12が保持した信号はLOAD信号に同期して3ビットラッチ17Lにより読み込まれ、3ビットラッチ17Lはこの読み込んだ信号を次の周期の間保持する。
【0067】
しかしながら、STB制御回路16を使用しない場合は、3ビットラッチ17Lが保持している信号を1周期の間そのまま信号処理回路18を経てドライバ19へ供給するようになっているが、STB制御回路16を使用すると、STB制御回路16により3ビットラッチ17Lが保持している信号と外部端子7STより入力されたストローブ信号STBとのアンド出力が信号処理回路18を経てドライバ19へ供給されるようになっている。そのため、STB制御回路16を使用すると、1周期の間に信号処理回路18を経てドライバ19へ供給される信号をストローブ信号STBによって制御することができる。
【0068】
例えば、図10においては、第1周期の発光入力信号SIは順にB、G、Rに対応する信号がHレベルとなっており、この発光入力信号SIは、第1周期の間に3ビットシフトレジスタ12を介して保持され、LOAD信号に同期して3ビットラッチ17Lに読み込まれ、3ビットラッチ17Lが読み込んだシフトレジスタ12が保持した信号は第2周期の間そのまま保持され、3ビットラッチ17LのR、G、Bのそれぞれに対応するラッチ出力は全てHレベルとなる。
【0069】
しかしながら、この3ビットラッチ17Lの出力は、STB制御回路16においてストローブ信号STBとのアンド出力がとられて信号処理回路18を経てドライバ19によって温度補償された電流供給回路11−1〜11−3より供給された電流に基いて各発光ダイオード2R、2G、2Bが駆動されるため、各発光ダイオード2R、2G、2Bは、第2周期の間にストローブ信号STBに同期して発光することとなり、この場合においてはストローブ信号STBに対応して2回に分けて全て発光するので、結果として第2周期の間に2回点滅する温度補償された白色光(W)が得られる。
【0070】
同様にして、例えば第2周期及び第3周期の発光入力信号S1はそれぞれR及びGに対応する信号のみがHレベルとなっているため、第3周期では第3周期のストローブ信号STBに対応して赤の発光ダイオード2Rのみが1周期の期間より短い時間だけ発光する温度補償された赤色光が得られ、第4周期では第4周期のストローブ信号STBに対応して緑の発光ダイオード2Gのみが1周期の期間より短い時間だけ発光する温度補償された緑色光が得られる。
【0071】
このように、発光素子1−2においてSTB制御回路16を使用すると、それぞれの周期内の各発光ダイオード2R、2G、2Bの発光時間を変えることができるようになるので、各発光ダイオード2R、2G、2Bのそれぞれの発光色の階調を変えることができ、見かけ上温度補償された多色の発色光が得られるようになる。
【0072】
なお、実施例2の発光素子1−2においては、外部入力端子7SOから発光入力信号SIと同じ発光出力信号SOが出力されているため、この発光出力信号SOを別の発光素子の外部入力端子7SOに入力することにより複数N個の発光素子をカスケード接続してまとめて発光制御することもできる。この場合、LOADデータ間のデータの数を3×Nとすればよい。
【0073】
また、実施例2の発光素子の実装形態として、駆動用IC上に各発光ダイオードを実装した例を図11に示す。なお、図11は駆動用IC3上に各発光ダイオードを実装した発光素子を、モールド樹脂9を透過して表した斜視図であり、図4に示した実施例1の発光素子と同一の構成部分には同一の参照符号を付与してある。
【0074】
この実施例2の駆動用IC上に各発光ダイオードを実装した例である発光素子が図4に示した実施例1の発光素子と大きく構成が異なる点は、図4の発光素子では駆動信号入力端子が3CR、3CG及び3CBであるのに対し、図11の発光素子ではCLOCK信号入力端子3CL、発光信号入力端子3SI、LOAD信号入力端子3LO及び駆動信号出力端子3SOを備えている点であり、その他の構成は図4の発光素子と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【実施例3】
【0075】
実施例3の発光素子として、駆動用IC内にカウンタ回路を使用したものを作製した。この実施例3の発光素子1−3の駆動用IC3−3のブロック図を図12に、この駆動用IC3−3の内部回路の一具体例を図13に、また、この駆動用IC3−3の動作を説明するためのタイミングチャートを図14に示す。なお、図12及び図13においては、実施例1、2及び前記先願発明と同一の構成部分には同一の参照符号を付与して一部の説明は省略することとする。また、実施例3においては各発光ダイオード2R、2G、2B毎に個別に温度補償を行う構成のものを示すが、実施例1の場合と同様に、全ての発光ダイオードに対して同じ温度補償を行うかあるいは赤色の発光ダイオード2Rについてのみ温度補償を行う構成とすることもできるし、また、赤の発光ダイオード2Rに対して個別に温度補償を行うとともに緑の発光ダイオード2G及び青の発光ダイオード2Bに対しては同じ温度補償を行う構成とすることもできる。
【0076】
この実施例3の発光素子1−3の駆動用IC3−3は、電源供給回路11−1〜11−3、温度補償回路20−1〜20−3、3ビットカウンタ回路21、3×3ビット不揮発性メモリからなる補正回路17、各種信号制御回路18及びドライバ19を備えており、そのうち3×3ビット不揮発性メモリからなる補正回路17はそれぞれのビット毎に3ビット分、すなわち8段階の補正レベルを記憶しており、選択された補正レベルの出力は各種信号制御回路18及びドライバ19を経て各発光ダイオード2R、2G、2Bに対して所定の補正された電流を供給するようになっている。
【0077】
各種信号制御回路18は、各発光ダイオード2R、2G、2Bのそれぞれに対応する3つの信号制御回路18R、18G、18Bを備えており、各信号制御回路18R、18G、18Bは、例えば緑の発光ダイオード2G駆動用のものを例に取ると、2つの反転回路を直列接続した波形成形回路18Gと、3×3ビット不揮発性メモリからなる補正回路17からの出力とカウンタ回路12の出力端子12の出力とのアンド出力をとる3つのアンド回路18G〜18Gからなり、それぞれの信号制御回路18Gの出力はドライバ19Gの対応するドライバ回路19G〜19Gに入力され、それぞれのドライバ回路19G〜19Gの出力は並列に接続されて対応する緑の発光ダイオード2Gに供給されるようになっている。
【0078】
なお、赤の発光ダイオード2R及び青の発光ダイオード2B駆動用の各信号制御回路18R、18B及びドライバ19R、19Bも緑の発光ダイオード2G駆動用の信号制御回路18G及びドライバ19Gと同様の構成を備えているが、図示は省略し、また、この発光素子1−3の発光色の調整は実施例1の発光素子1の場合と同様であるので省略する。
【0079】
したがって、この駆動用IC3−3においては、カウンタ回路12の出力端子12、12、12の出力として実施例1の発光素子1の駆動信号CR、CG、CBに対応する信号が得られる。
【0080】
この実施例3の発光素子1−3の駆動用IC3−3の動作は図14のタイミングチャートに示したとおりである。すなわち、駆動用IC3−3に電源電圧が供給されているとき、外部端子7にパルス状の制御信号CRGBが入力されると、そのパルスの立ち上がりに同期して3ビットカウンタ回路21の出力端子12〜12のうちの一つの端子に出力が現われ、そのパルスの立ち下がりに同期してその端子の出力が消失する。そして、外部端子7に次のパルスが入力されると、最初に選択された出力端子とは異なる次の端子に出力が現われる。すなわち、3ビットカウンタ回路21は、外部端子7にパルスが入力される毎に、出力端子12〜12の何れかが選択され、その出力端子12〜12の出力によって信号制御回路18を経てドライバ19によって温度補償された電流供給回路11−1〜11−3より供給された電流に基いて発光ダイオード2R、2G、2Bの何れか1つが発光し、出力端子12〜12のいずれも選択されていないときは発光ダイオード2R、2G、2Bのいずれも発光するようになる。したがって、実施例3の発光素子1−3においても、温度補償された発光が可能となる。
【0081】
この場合、発光素子1−3では、3パルスで1周期となり、その1周期の間に各発光ダイオード2R、2G、2Bが順番に発光するようになる。したがって、図14に示したように、制御信号CRGBとして1周期内の3連続するパルスの幅が全て等しい場合(例えば、aの領域の場合)は、各発光ダイオード2R、2G、2Bのそれぞれの発光時間は等しくなるので、発光間隔を人の目の残像時間を考慮して定めれば、人の目に見える発光色は白色となる。また、制御信号CRGBとして3連続するパルスの幅がそれぞれ異なる場合(例えば、bの領域の場合)には、発光ダイオード2R、2G、2Bのそれぞれの発光時間は対応する制御信号CRGBのパルスの幅に等しくなり、人の目にみえる発光色は発光時間の長い色が強調された色となる。
【0082】
また、各発光ダイオード2R、2G、2Bは予め定められた順番に発光するから、例えば赤色光を得たい場合、制御信号CRGBにおける赤色発光ダイオード2Rに対応するパルス幅を1周期中で最も大きくし、緑色発光ダイオード2G及び青色発光ダイオード2Bに対応するパルス幅を3ビットカウンタ回路21が応答できる範囲内で最も小さくすればよい。なお、実施例3の発光素子1−3においては、必要に応じて3ビットカウンタ回路21をリセットするためのSET端子を設けてもよい。
【0083】
このように、実施例3の発光素子1−3においては、制御信号CRGBとしての3連続するそれぞれのパルスの幅を必要とする発光色に応じて変化させることにより、赤色から青色まで実質的に無段階の温度補償された色を発色させることができるとともに、白色光の場合には赤色、緑色、青色の発光成分を有して色度精度の高い温度補償された白色光を得ることができる。
【0084】
実施例3の発光素子は、入力電圧はCRGBの一つですむため、一方の電源端子として機能する外部端子5及び他方の電源端子として機能する外部端子6を含めて3端子型(1方の電源端子を2端子としたものも含む)とすることができる。この実施例3の発光素子の実装例を図15、図16に示す。
【0085】
なお、図15は駆動用IC上に各発光ダイオードを実装した発光素子のモールド樹脂9を透視した斜視図であり、図16は駆動用IC上に各発光ダイオードを固定するとともにこの駆動用ICを端子上に固定したランプ型の発光素子のモールド樹脂9を透視した平面図であり、図16(a)は平面図、図16(b)は側面図である。
【0086】
図15に示す発光素子は、図4に示した実施例1及び図11に示した実施例2の発光素子と大きく構成が異なる点は、駆動信号入力端子が制御信号端子3CRGBのみだけである点であり、その他の構成は図4及び図11の発光素子と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0087】
また、図16に示す発光素子は、駆動用IC3上に各発光ダイオード2R、2G、2Bをそれぞれ固定するとともにこの駆動用IC3を端子6上に固定したものであるが、その各発光ダイオード2R、2G、2Bも図2に示したものと同様な構造をしている。また、駆動用IC3の上面には、各発光ダイオード2R、2G、2Bのアノード端子パッド2Aに対応した出力パッドと、カソード端子パッド2Kに対応した共通パッドが設けられており、それらのパッドに各発光ダイオード2R、2G、2Bのアノード端子パッド2Aとカソード端子パッド2Kとをそれぞれ当接されるようにして、各発光ダイオード2R、2G、2Bをフリップ接続させる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】実施例1の発光素子の平面図である。
【図2】実施例1の発光ダイオードの裏面斜視図である。
【図3】実施例1の駆動用ICの平面図である。
【図4】実施例1の発光素子の変形例の斜視図である。
【図5】実施例1の駆動用ICのブロック図である。
【図6】実施例1の駆動用ICの内部回路の一具体例を示す図である。
【図7】実施例2の駆動用ICをブロック図である。
【図8】実施例2の駆動用ICの内部回路の一具体例を示す図である。
【図9】実施例2の駆動用ICのSTB制御回路を使用しない場合の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図10】実施例2の駆動用ICのSTB制御回路を使用する場合の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図11】実施例2の駆動用IC上に各発光ダイオードを実装した発光素子の斜視図である。
【図12】実施例3の駆動用ICのブロック図である。
【図13】実施例3の駆動用ICの内部回路の一具体例である。
【図14】実施例3の駆動用ICの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図15】実施例3の駆動用IC上に各発光ダイオードを実装した発光素子の斜視図である。
【図16】実施例3の駆動用IC上に各発光ダイオードを固定するとともにこの駆動用ICを端子上に固定したランプ型の発光素子の平面図(図16(a))と側面図(図16(b))である。
【図17】典型的な各種発光ダイオードの発光強度−順電流特性を表す図である。
【図18】各種発光ダイオードのスペクトル分布特性図である。
【図19】先願発明の駆動用IC上に各発光ダイオードを実装して成形フレーム上に実装した発光素子の平面図である。
【図20】先願発明の駆動用IC上に各発光ダイオードを実装した例の斜視図である。
【符号の説明】
【0089】
1、1−1〜1−3 発光素子
2、2R、2G、2B 発光ダイオード
3、3−1〜3−3 駆動用IC
4 回路基板
5、6、7CL、7SI、7LO、7SO、7ST、7SE 外部端子
7CR、7CG、7CB 外部端子
8 成形フレーム
9 光透過性のモールド樹脂
11、11−1〜11−3 電流供給回路
12 3ビットシフトレジスタ
17 補正回路
17L 3ビットラッチ
17M 補正用メモリ
18 各種信号制御回路
18R、18G、18B 信号制御回路
19、19R、19G、19B ドライバ
19G〜19G ドライバ回路
20、20−1〜20−3 温度補償回路
21 3ビットカウンタ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光ダイオードと、これらの発光ダイオードを駆動する駆動用ICを一体化した発光素子であって、前記駆動用ICと発光ダイオードは、フリップ接続されていることを特徴とする発光素子。
【請求項2】
前記駆動用ICは、前記複数の発光ダイオード毎の電流値もしくは前記発光ダイオード毎の電流比率を一定に制御することを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記複数の発光ダイオードは、それらの光の混色によって白色発光が可能な発光色を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の発光素子。
【請求項4】
前記複数の発光ダイオードは、赤、緑、青色の3原色を含むことを特徴とする請求項3に記載の発光素子。
【請求項5】
前記駆動用ICは、温度補償回路、電流供給回路、複数ビットドライバを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の発光素子。
【請求項6】
前記複数の発光ダイオードと前記駆動用ICは、同じ樹脂によって覆われていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−180187(P2007−180187A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−375549(P2005−375549)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】