説明

発光素子

【課題】EL素子において、耐久性を低下させることなく高発光効率を実現する。
【解決手段】エレクトロルミネッセンス素子1は、電極(11,16)間に、複数の層(12〜15)が積層されてなり、該複数の層の間に、電極間への電界の印加により発光する発光領域14を備えものであって、発光領域14の近傍に配置された発光領域14からの発光光によるプラズモン共鳴を表面に生じせしめる金属膜20を備え、金属膜20は、少なくとも一方の面に、金属膜20の仕事関数を、金属膜20に隣接する層15の仕事関数に近づける極性を有する末端基を備えた表面修飾30が施されたものであることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界の印加により発光を生じる電界発光素子(エレクトロルミネッセンス素子)に関し、特に、発光の高効率化を図ったエレクトロルミネッセンス素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子やLED(発光ダイオード)、半導体レーザなどのエレクトロルミネッセンス素子(EL素子)は、基板上に電極層や発光層等が積層された構成をしており、一般に、発光層において発光した光を、透明電極を介して取り出している。その際、各層の屈折率の影響により、光取り出し側の層界面において臨界角以上で入射された光は、全反射して素子内に閉じ込められてしまい、外部に取り出すことができない。そのため、発光した光を高効率に取り出すことが難しく、ITO等の現在よく用いられている透明電極の屈折率の場合、その取り出し効率は20%程度であると言われている。
【0003】
また、例えば有機ELにおいては、本質的に有機材料は、励起状態に長時間存在することで、化学結合が壊れ、発光性能が、経時的に低下していくことが知られており、有機物を発光素子に用いる際の大きな課題である。発光効率についても、蛍光を利用する限り、上準位の生成効率が理論的に25%に制限され、これ以上の発光効率は不可能である。燐光を用い、項間交差を促進することで、原理的には、上準位をすべて3重項で生成できるため、理論限界は75%から100%に上昇しうる。しかし、3重項は、上準位寿命が許容遷移である蛍光に比べて長く、励起子同士の衝突確率が大きいために、発光光率が低下するとともに、素子の劣化が早く耐久性が低いという問題がある。
【0004】
このように、EL素子においては、取り出し効率、発光効率が低いことから、発光された光の利用効率が非常に低いことが問題となっており、利用効率の向上が課題となっている。
【0005】
発光光率の向上(あるいは発光増強)をさせるためのアプローチとして、非特許文献1には、プラズモン増強効果を利用する方法が提案されている。プラズモン増強効果を利用する方法とは、有機発光素子において、発光層の近傍(たとえば数10nm)に金属(望ましくは、島状構造)を配置することで、発光の増強を図るものである。この発光の増強は、発光素子からの双極子放射が金属表面にプラズモン(あるいは局在プラズモン)を誘起し、エネルギーを吸収したのちに、再放射する新たな発光が加わることに伴うものである。従って、発光素子の持つ発光過程に新たなプラズモンによる発光遷移が付け加わった形となり、上準位寿命(励起寿命)を短縮する効果が発現できる。このように、プラズモン増強を利用することにより、発光効率の向上と共に、励起寿命の短縮化による耐久性の向上効果も期待できる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】W. Li et al, Proc. of SPIE, vol. 7032, pp.703224, 2008.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、非特許文献1において、プラズモン増強効果による発光の増強が確認されているのは、光励起型の発光素子(フォトルミネッセンス素子:PL素子)においてのみであり、成功例が報告されていない。非特許文献1には、EL素子においては、金属層の挿入によりチャージトラップを生じるため、電極から発光層までの電子や正孔の流れが阻害されてキャリアバランスを崩し、発光がかえって抑制されてしまうことが記載されている。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、耐久性を低下させることなく高発光効率を実現するEL素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のエレクトロルミネッセンス素子は、電極間に、複数の層が積層されてなり、該複数の層の間に、前記電極間への電界の印加により発光する発光領域を備えた、エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記発光領域の近傍に配置された前記発光領域からの発光光によるプラズモン共鳴を表面に生じせしめる金属膜を備え、
該金属膜は、少なくとも一方の面に、該金属膜の仕事関数を、該金属膜に隣接する層の仕事関数に近づける極性を有する末端基を備えた表面修飾が施されたものであることを特徴とするものである。
【0010】
ここで、エレクトロルミネッセンス素子は、電界印加により発光する素子の総称であり、有機EL素子、無機EL素子、発光ダイオード(LED)および半導体レーザ(LD)を含むものとする。
【0011】
前記金属膜の主成分としては、Au又はAgであることが好ましい。ここで、「主成分」は、含量80質量%以上の成分と定義する。
【0012】
金属膜としては、ベタ膜であってもよいし、発光光の波長よりも小さい凹凸構造を有する膜であってもよい。発光光の波長よりも小さい凹凸構造を有する膜としては、金属微粒子が膜上に分散されて成るアイランド構造膜や、金属がパターン形成された金属層等が挙げられ、粒径5nm以上の金属微粒子をランダムに、あるいは周期配列パターンに膜状に分散されてなるアイランド構造膜が特に望ましい。ここで、粒径は、微粒子の最大長をいうものとする。すなわち、微粒子が球状である場合にはその直径、ロッド状である場合には、その長径をいう。
【0013】
前記金属膜と前記発光領域との距離は、30nm以下であることが好ましい。
【0014】
本発明のエレクトロルミネッセンス素子において、前記金属膜は、該金属膜の仕事関数を、該金属膜に隣接する層の仕事関数に近づける極性を有する末端基を備えた表面修飾が施されたものであるので、金属膜の仕事関数が、該金属膜の両側の隣接層の仕事関数より小さいものである場合は(陰極側)、前記末端基は電子供与性基であり、該金属膜の両側の隣接層の仕事関数より大きいものである場合は(陽極側)、前記末端基は電子吸引性基となる。
【0015】
有機EL素子である場合には、前記複数の層は、それぞれ有機層から形成された、少なくとも電子輸送層、発光層、正孔輸送層を含むものであることが望ましい。かかる構成では、前記金属膜は正孔輸送層又は電子輸送層の表面又は内部に形成されていることが好ましい。
【0016】
LEDあるいはLDである場合には、前記複数の層は、それぞれ半導体層からなる、少なくともp型クラッド層、活性層、n型クラッド層からなることが望ましい。
【0017】
有機LEDにおいて、金属電極とショットキーバリアを形成する有機ポリマーとの仕事関数を調整するために、電子供与性基を備えたSAMにより金属表面を修飾することが、“Tuning the Work Function of Gold with Self-Assembled Monolayers Derived from X-[C6H4-C≡C-]nC6H4-SH(n=0,1,2; X=H,F,CH3, CF3, and OCH3)”, Robert W. Zehner et al, Langmuir 1999, 15, p.1121-1127, に記載されている。また、「戸田徹他、日本写真学会誌、70、38(2007)」には、金や銀のエネルギーレベルを、金属表面を電子供与性基や電子吸引性基により修飾することにより調整して電子の流れを制御することが記載されている。
【0018】
金属膜のエネルギーレベルを調整するだけであれば、上記文献に記載の技術を、金属膜に対して適用すればよいが、そのまま適用するだけでは、プラズモン共鳴による発光効率の向上効果を阻害する可能性がある。本発明者らは、プラズモン共鳴による発光効率の向上効果を充分に活かしたまま、金属膜のエネルギーレベルを調整する構成を見出し、耐久性を低下させることなく高発光効率を実現するエレクトロルミネッセンス素子を実現した。
【発明の効果】
【0019】
本発明のエレクトロルミネッセンス素子は、発光領域からの発光光によるプラズモン共鳴を表面に生じせしめる金属膜を発光領域の近傍に備えており、金属膜の少なくとも一方の面に、金属膜の仕事関数を隣接する層の仕事関数に近づける極性を有する末端基を備えた表面修飾が施された構成としている。かかる構成によれば、金属層の仕事関数が隣接する層の仕事関数に近くなっているため、チャージトラップによる電子や正孔の流れを阻害することなく、プラズモンによる発光遷移による、発光増強と上準位寿命(励起寿命)を短縮する効果を得ることができる。これにより、発光効率、励起寿命の短縮化による耐久性を飛躍的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるEL素子の層構成と各層のポテンシャルエネルギーを示す模式図
【図2A】一般的なEL素子の層構成と各層のポテンシャルエネルギーを示す模式図
【図2B】金属膜を層内に備えたEL素子の層構成と各層のポテンシャルエネルギーを示す模式図
【図3】図1のEL素子の仕事関数調整膜を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0021】
<エレクトロルミネッセンス(EL)素子>
図面を参照して本発明に係る実施形態のエレクトロルミネッセンス素子(EL素子)について説明する。図1は、本実施形態のEL素子の素子構成を模式的に示した断面図である。視認しやすくするため、構成要素の縮尺は実際のものとは適宜異ならせてある。なお、図1には、各層のポテンシャルエネルギーを併せて示している。
【0022】
図面に示されるように、エレクトロルミネッセンス素子(EL素子)1は、左側から、順に陽極11、正孔注入層12、正孔輸送層13、発光層(発光領域)14、電子輸送層15、陰極16を備え、電子輸送層15内に金属膜20が配されてなる有機EL素子である。また、金属膜20の片面には仕事関数調整層(表面修飾)30が設けられている。
【0023】
発光層14は、有機EL素子の発光層として適用可能なものであれば特に制限なく、例えば、Alq3(tris(8-quinolinolato)-aluminum)等があげられる。有機EL素子1は、陽極11、陰極17から注入された電子、正孔がこの領域で再結合することにより、発光する。
【0024】
金属膜20は、発光光によりプラズモン共鳴を生じうる発光領域(発光層14)の近傍に配置されている。金属膜20の厚みはプラズモン共鳴を生じうる範囲内であれば特に制限されないが、金属膜20が完全反射性とならない方が好ましいことから、厚みは薄い方が好ましい。
【0025】
また、金属膜20は、発光層14と接触あるいは、5nm未満の距離dで近接していると、発光層14から直接電荷移動が生じ、発光の減衰が生じる可能性が高いため、発光層14とは5nm以上離間していることが望ましい。また、一方で、発光層14から距離が離れすぎると、発光光によるプラズモン共鳴が生じにくくなり、発光増強効果を得ることができないため、発光層14との距離dは30nm以下であることが望ましい。
【0026】
また金属膜20は、平坦なベタ膜でもよいが、発光光の波長よりも小さい凹凸構造を有する膜である方が好ましい。発光光の波長よりも小さい凹凸構造を有する膜としては、金属微粒子が膜上に分散されて成るアイランド構造膜や、金属がパターン形成された金属層等の空隙を有する膜が挙げられ、粒径5nm以上の金属微粒子をランダムに、あるいは周期配列パターンに膜状に分散されてなるアイランド構造膜が特に望ましい。
【0027】
金属膜が平坦な膜である場合、発光光により金属膜表面に表面プラズモンが誘起されるが、放射モードへの再結合が生じにくく、非放射過程として、最終的には熱として消失してしまう割合が大きい。一方、金属膜がアイランド構造膜である場合、発光光により膜表面に誘起された表面プラズモンが、再度、放射モードに結合し、放射光を発する効率が高い。
【0028】
金属膜20の材料としては、発光光によりプラズモン共鳴が生じるものであればよく、Ag(銀)、Au(金)、Cu(銅)、Al(アルミ)、およびこれらの金属のいずれかを主成分(80%以上)とする合金が適用可能である。なお、特に、発光光が可視域波長であれば、銀が望ましい。プラズマ周波数から、銀は可視域での表面プラズモン共鳴が起こせるためである。発光光が可視域以外の波長、たとえば赤外であれば、金が望ましい。
【0029】
仕事関数調整層30は、金属膜20の仕事関数を、該金属膜20に隣接する層(ここでは、電子輸送層15)の仕事関数に近づける極性の末端基を備えた表面修飾層である。金属膜20は、発光層14からの発光光によりプラズモン共鳴を生じる領域に配置されている。
【0030】
図2Aは、一般的な有機EL素子の素子構成を模式的に示した断面図を、図1と同様、各層のポテンシャルエネルギーと併せて示したものである。図中、黒丸(●)は電子e、白丸(○)は正孔hを示している。
【0031】
図2Aに示されるように、一般にEL素子では、各層は、陽極11側および陰極16側から発光層14に向けて仕事関数が徐々に減少あるいは増加するように、連続的に変化するように配置される。
【0032】
「背景技術」の項において述べたように、有機発光素子の発光層の近傍(たとえば数10nm)に金属(望ましくは、島状構造)を配置することで、発光層からの双極子放射が金属表面にプラズモン(あるいは局在プラズモン)を誘起し、エネルギーを吸収したのちに、再放射する新たな発光が加わって発光効率の向上と共に、励起寿命の短縮化による耐久性の向上効果が得られることがフォトルミネッセンス素子において確認されている。しかしながら、有機EL素子において同様の構成とした場合(図2B)、図示されるように、電子輸送層15に挿入されている金属膜20は、電子輸送層15に比べて仕事関数が大きく、電界印加時に電子トラップとなってしまい、電子の流れを阻害してキャリアバランスを崩すため発光層14における再結合効率が低下して、発光がかえって抑制されてしまう。
【0033】
本実施形態の有機EL素子1は、金属膜20の仕事関数を電子輸送層15の仕事関数に近づけるように調整する仕事関数調整層(表面修飾)30を金属膜20の表面に備えた構成としている。
【0034】
ここで、仕事関数調整層30は、金属膜20が電子トラップするのを抑制する機能を有する。仕事関数調整層30により、金属膜20の実効的な仕事関数を小さくして、すなわち金属膜20の本来のエネルギーレベルE0を、実効的にエネルギーレベルE1へと変化させて、電子eが金属膜20にトラップされず発光層側へと移動するようにさせる(図1)。
【0035】
図3は、仕事関数調整層の例を示すものである。ここで、金属膜20がAuからなるものとしている。仕事関数調整層30は、図3に示すように、極性を有する末端基を備えたチオールやジスルフィドがAu反応してAu膜表面に結合して形成されたSAM膜(自己組織化単分子膜)である。図3には、チオール基のパラ位にメチル基を有するベンゼンチオール(チオフェノール)のSAM膜の例が示してある。
【0036】
メチル基のようなアルキル基は電子供与性基であり、かかる末端基を有する場合、その電子供与性によりAuのポテンシャルエネルギーは高められ、仕事関数を小さくすることができる。電子供与性基としては、メチル基等のアルキル基、アミノ基、ヒドロキシル基などが挙げられる。
【0037】
仕事関数調整層30は、Au膜を形成後、一般的なSAM作製法により形成することができるが、特に、塗布法等の液相法や、蒸着法、スパッタ法を用いることが好ましい。仕事関数調整層は、金属膜20の片面のみならず、両面に備えていてもよい。
【0038】
ここでは、金属膜20を電子輸送層15に挿入した例を挙げたが、陽極側の正孔輸送層13の間に金属膜20を挿入してもよい。その場合、金属膜20の仕事関数は、正孔輸送層13の仕事関数よりも小さい(ポテンシャルエネルギーが高い)ため、正孔輸送層13の仕事関数に近づけるようにポテンシャルエネルギーを低くするための仕事関数調整層を金属膜の少なくとも片面に備えればよい。この場合、仕事関数調整層は、その末端基として、図3に示す電子供与性基に代えて、電子吸引性基を備えることにより、実効的なポテンシャルエネルギーを低くすることができ、金属膜の仕事関数を正孔輸送層13のものに近づけることができる。電子吸引基としては、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基などが挙げられる。
【0039】
本発明者らは、上記した構成により、プラズモン共鳴による発光効率の向上効果を充分に活かしたまま、金属膜のエネルギーレベルを調整できることを見出した。
【0040】
有機EL素子1は、発光領域からの発光光によるプラズモン共鳴を表面に生じせしめる金属膜20を発光層(発光領域)14の近傍に備えており、金属膜20の少なくとも一方の面に、金属膜20の仕事関数を隣接する層の仕事関数に近づける極性を有する末端基を備えた表面修飾が施された構成としている。かかる構成によれば、金属膜20の仕事関数が隣接する層の仕事関数に近くなっているため、チャージトラップによる電子や正孔の流れを阻害することなく、プラズモンによる発光遷移による、発光増強と上準位寿命(励起寿命)を短縮する効果を得ることができる。これにより、発光効率、励起寿命の短縮化による耐久性を飛躍的に向上させることができる。
【0041】
なお、上述のようなEL素子は、例えば、基板上に陽極側から順次積層されて、陽極側から光が取り出させるように構成される。金属膜以外の各層については、従来の有機EL素子の材料および積層方法により形成することができる。なお、金属膜(アイランド構造膜)は、例えば、スパッタ法成膜後アニールする方法や斜め蒸着法などを用いて形成することができる。
【0042】
上記実施形態において、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極などの各層は、それぞれの機能を有する層として周知の種々の材料のなかから、適宜選択可能である。さらに、正孔ブロック層、電子ブロック層、保護層などの層が備えられていてもよい。
【0043】
また、上記各実施形態では、発光層を含む複数の層が有機化合物層からなる有機EL素子について説明したが、本発明のEL素子は、発光層を含む複数の層が無機化合物層である無機EL素子のほか、複数の半導体層からなる発光ダイオードおよび半導体レーザにも好適に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明のEL素子は、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、光通信等に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 エレクトロルミネッセンス素子
11 陽極
12 正孔注入層
13 正孔輸送層
14 発光層(発光領域)
15 電子輸送層
16 陰極
20 金属膜
30 仕事関数調整層(表面修飾)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極間に、複数の層が積層されてなり、該複数の層の間に、前記電極間への電界の印加により発光する発光領域を備えた、エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記発光領域の近傍に配置された前記発光領域からの発光光によるプラズモン共鳴を表面に生じせしめる金属膜を備え、
該金属膜は、少なくとも一方の面に、該金属膜の仕事関数を、該金属膜に隣接する層の仕事関数に近づける極性を有する末端基を備えた表面修飾が施されたものであることを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項2】
前記金属膜の主成分がAu又はAgであることを特徴とする請求項1または2記載のエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項3】
前記金属膜が、ベタ金属膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
前記金属膜が、前記発光光の波長よりも小さい凹凸構造を有するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】
前記金属膜が、粒径5nm以上の複数の金属微粒子が膜状に分散されて成るアイランド構造膜であることを特徴とする請求項4に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項6】
前記金属膜が、金属がパターン形成された金属層からなることを特徴とする請求項4に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項7】
前記金属膜と前記発光領域との距離が、30nm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項8】
前記金属膜の仕事関数が、該金属膜の両側の隣接層の仕事関数より小さいものであり、前記末端基が電子供与性基であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項9】
前記金属膜の仕事関数が、該金属膜の両側の隣接層の仕事関数より大きいものであり、前記末端基が電子吸引性基であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項10】
前記複数の層が、それぞれ有機層から形成された、少なくとも電子輸送層、発光層、正孔輸送層を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項11】
前記金属膜が、前記電子輸送層の表面又は内部に形成されたものであることを特徴とする請求項10に記載のエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項12】
前記金属膜が、前記正孔輸送層の表面又は内部に形成されたものであることを特徴とする請求項10に記載のエレクトロルミネッセンス素子。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−238774(P2010−238774A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−82789(P2009−82789)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】