説明

発光素子

【課題】発光効率の高い発光素子を提供することを課題とする。寿命の長い発光素子を提
供することを課題とする。
【解決手段】第1の電極と第2の電極との間に、発光層と第1の層と第2の層を有し、
第1の層は、発光層と第1の電極との間に設けられており、第2の層は、発光層と第2の
電極との間に設けられており、第1の層は正孔の輸送を制御する層であり、第2の層は電
子の輸送を制御する層であり、第1の電極の方が第2の電極よりも電位が高くなるように
、第1の電極と第2の電極とに電圧を印加することにより、発光層からの発光が得られる
発光素子を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流励起型の発光素子に関する。また、発光素子を有する発光装置、電子機
器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence)を利用
した発光素子の研究開発が盛んに行われている。これら発光素子の基本的な構成は、一対
の電極間に発光性の物質を挟んだものである。この素子に電圧を印加することにより、発
光性の物質からの発光を得ることができる。
【0003】
このような発光素子は自発光型であるため、液晶ディスプレイに比べ画素の視認性が高
く、バックライトが不要である等の利点があり、フラットパネルディスプレイ素子として
好適であると考えられている。また、このような発光素子は、薄型軽量に作製できること
も大きな利点である。また、非常に応答速度が速いことも特徴の一つである。
【0004】
また、これらの発光素子は膜状に形成することが可能であるため、大面積の素子を形成
することにより、面状の発光を容易に得ることができる。このことは、白熱電球やLED
に代表される点光源、あるいは蛍光灯に代表される線光源では得難い特色であるため、照
明等に応用できる面光源としての利用価値も高い。
【0005】
エレクトロルミネッセンスを利用した発光素子は、発光性の物質が有機化合物であるか
、無機化合物であるかによって大きく分けられる。
【0006】
発光性の物質が有機化合物である場合、発光素子に電圧を印加することにより、一対の
電極から電子および正孔がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れ
る。そして、それらキャリア(電子および正孔)が再結合することにより、発光性の有機
化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメ
カニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
【0007】
なお、有機化合物が形成する励起状態の種類としては、一重項励起状態と三重項励起状
態が可能であり、一重項励起状態からの発光が蛍光、三重項励起状態からの発光が燐光と
呼ばれている。
【0008】
このような発光素子に関しては、その素子特性を向上させる上で、材料に依存した問題
が多く、これらを克服するために素子構造の改良や材料開発等が行われている。
【0009】
例えば、非特許文献1では、正孔ブロック層を設けることにより、燐光材料を用いた発
光素子を効率良く発光させている。しかし、非特許文献1に記載されているように正孔ブ
ロック層は耐久性がなく、発光素子の寿命は極端に短い。よって、発光効率が高く、寿命
の長い発光素子の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】テツオ ツツイ、外8名、ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジックス、vol.38、L1502−L1504(1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記問題に鑑み、本発明は、発光効率の高い発光素子を提供することを課題とする。ま
た、寿命の長い発光素子を提供することを課題とする。また、発光効率の高い発光装置お
よび電子機器を提供することを課題とする。また、寿命の長い発光装置および電子機器を
提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、キャリアの移動を制御する層を設けることで、
発光効率の高い発光素子が得られることを見出した。また、寿命の長い発光素子が得られ
ることを見いだした。
【0013】
よって、本発明の一は、第1の電極と第2の電極との間に、発光層と第1の層と第2の
層を有し、第1の層は、発光層と第1の電極との間に設けられており、第2の層は、発光
層と第2の電極との間に設けられており、第1の層は、第1の有機化合物と第2の有機化
合物とを含み、第1の有機化合物は、第2の有機化合物よりも多く含まれており、第1の
有機化合物は、正孔輸送性の有機化合物であり、第2の有機化合物は、正孔トラップ性の
有機化合物であり、第2の層は、第3の有機化合物と第4の有機化合物とを含み、第3の
有機化合物は、第4の有機化合物よりも多く含まれており、第3の有機化合物は、電子輸
送性であり、第4の有機化合物は、正孔輸送性であり、第1の電極の方が第2の電極より
も電位が高くなるように、第1の電極と第2の電極とに電圧を印加することにより、発光
層からの発光が得られることを特徴とする発光素子である。
【0014】
上記構成において、第2の有機化合物は第1の有機化合物の最高被占有軌道準位より0
.3eV以上高い最高被占有軌道準位を有することが好ましい。
【0015】
また、上記構成において、第1の有機化合物は、芳香族アミン化合物であることが好ま
しい。
【0016】
また、上記構成において、第1の層の膜厚は、5nm以上20nm以下であることが好
ましい。
【0017】
また、上記構成において、第1の層と発光層とは接するように設けられていることが好
ましい。
【0018】
また、上記構成において、第3の有機化合物の最低空軌道準位と第4の有機化合物の最
低空軌道準位との差は0.3eVより小さいことが好ましい。
【0019】
また、上記構成において、第3の有機化合物は、金属錯体であり、第4の有機化合物は
、芳香族アミン化合物であることが好ましい。
【0020】
また、上記構成において、第3の有機化合物の双極子モーメントをP、第4の有機化
合物の双極子モーメントをPとすると、P/P≧3またはP/P≦0.33の
関係を満たすことが好ましい。
【0021】
また、上記構成において、第2の層の膜厚は、5nm以上20nm以下であることが好
ましい。
【0022】
また、上記構成において、第2の層と発光層とは接するように設けられていることが好
ましい。
【0023】
また、本発明は、上述した発光素子を有する発光装置も範疇に含めるものである。本明
細書中における発光装置とは、画像表示デバイス、発光デバイス、もしくは光源(照明装
置を含む)を含む。また、発光素子が形成されたパネルにコネクター、例えばFPC(F
lexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Aut
omated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier P
ackage)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線
板が設けられたモジュール、または発光素子にCOG(Chip On Glass)方
式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする

【0024】
また、本発明の発光素子を表示部に用いた電子機器も本発明の範疇に含めるものとする
。したがって、本発明の電子機器は、表示部を有し、表示部は、上述した発光素子と発光
素子の発光を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
キャリアの移動を制御する層を設けており、発光効率の高い発光素子を得ることができ
る。また、寿命の長い発光素子を得ることができる。
【0026】
また、本発明の発光素子を、発光装置および電子機器に適用することにより、発光効率
が高く、消費電力が低減された発光装置および電子機器を得ることができる。また、寿命
の長い発光装置および電子機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の発光素子を説明する図。
【図2】本発明の発光素子を説明する図。
【図3】本発明の発光素子を説明する図。
【図4】本発明の発光素子を説明する図。
【図5】本発明の発光素子を説明する図。
【図6】本発明の発光素子を説明する図。
【図7】本発明の発光装置を説明する図。
【図8】本発明の発光装置を説明する図。
【図9】本発明の電子機器を説明する図。
【図10】本発明の電子機器を説明する図。
【図11】本発明の電子機器を説明する図。
【図12】本発明の電子機器を説明する図。
【図13】本発明の照明装置を説明する図。
【図14】本発明の照明装置を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下
の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細
を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示
す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0029】
(実施の形態1)
本発明に係る発光素子の一態様について図1を用いて以下に説明する。本発明に係る発
光素子は、正孔の移動を制御する層と電子の移動を制御する層を有する。
【0030】
本発明の発光素子は、一対の電極間に複数の層を有する。当該複数の層は、電極から離
れたところに発光領域が形成されるように、つまり電極から離れた部位でキャリアの再結
合が行われるように、キャリア注入性の高い物質やキャリア輸送性の高い物質からなる層
を組み合わせて積層されたものである。
【0031】
本実施の形態において、発光素子は、第1の電極202と、第2の電極204と、第1
の電極202と第2の電極204との間に設けられたEL層203とから構成されている
。なお、本形態では第1の電極202は陽極として機能し、第2の電極204は陰極とし
て機能するものとして、以下説明をする。つまり、第1の電極202の方が第2の電極2
04よりも電位が高くなるように、第1の電極202と第2の電極204に電圧を印加し
たときに、発光が得られるものとして、以下説明をする。
【0032】
基板201は発光素子の支持体として用いられる。基板201としては、例えばガラス
、またはプラスチックなどを用いることができる。なお、発光素子の作製工程において支
持体として機能するものであれば、これら以外のものでもよい。
【0033】
第1の電極202としては、仕事関数の大きい(具体的には4.0eV以上であること
が好ましい)金属、合金、導電性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ま
しい。例えば、酸化インジウム−酸化スズ(ITO:Indium Tin Oxide
)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−酸化
亜鉛(IZO:Indium Zinc Oxide)、酸化タングステン及び酸化亜鉛
を含有した酸化インジウム(IWZO)等が挙げられる。これらの導電性金属酸化物膜は
、通常スパッタにより成膜されるが、ゾル−ゲル法などを応用して、インクジェット法、
スピンコート法などにより作製しても構わない。例えば、酸化インジウム−酸化亜鉛(I
ZO)は、酸化インジウムに対し1〜20wt%の酸化亜鉛を加えたターゲットを用いて
スパッタリング法により形成することができる。また、酸化タングステン及び酸化亜鉛を
含有した酸化インジウム(IWZO)は、酸化インジウムに対し酸化タングステンを0.
5〜5wt%、酸化亜鉛を0.1〜1wt%含有したターゲットを用いてスパッタリング
法により形成することができる。この他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)
、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(
Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、チタン(Ti)、または金属材料の窒化物(
例えば、窒化チタン)等が挙げられる。
【0034】
また、第1の電極と接する層として、後述する複合材料を含む層を用いた場合には、第
1の電極として、仕事関数の大小に関わらず、様々な金属、合金、電気伝導性化合物、お
よびこれらの混合物などを用いることができる。例えば、アルミニウム(Al)、銀(A
g)、アルミニウムを含む合金(AlSi)等を用いることができる。また、仕事関数の
小さい材料である、元素周期表の第1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(
Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム
(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(M
gAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属お
よびこれらを含む合金等を用いることもできる。アルカリ金属、アルカリ土類金属、これ
らを含む合金の膜は、真空蒸着法を用いて形成することができる。また、アルカリ金属ま
たはアルカリ土類金属を含む合金はスパッタリング法により形成することも可能である。
また、銀ペーストなどをインクジェット法などにより成膜することも可能である。
【0035】
本実施の形態で示すEL層203は、正孔注入層211、正孔輸送層212、正孔の移
動を制御する層213、発光層214、電子の移動を制御する層215、電子輸送層21
6、電子注入層217を有している。なお、EL層203は、本実施の形態で示すキャリ
アの移動を制御する層と、発光層とを有していればよく、その他の層積層構造については
特に限定されない。つまり、EL層203は、層の積層構造については特に限定されず、
電子輸送性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、正孔注入性の高
い物質、バイポーラ性(電子及び正孔の輸送性の高い物質)の物質等を含む層と、本実施
の形態で示すキャリアの移動を制御する層および発光層とを適宜組み合わせて構成すれば
よい。例えば、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層等を適宜組み
合わせて構成することができる。各層を構成する材料について以下に具体的に示す。
【0036】
正孔注入層211は、正孔注入性の高い物質を含む層である。正孔注入性の高い物質と
しては、モリブデン酸化物やバナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物
、マンガン酸化物等を用いることができる。この他、低分子の有機化合物としては、フタ
ロシアニン(略称:HPc)、銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジ
ルフタロシアニン(略称:VOPc)等のフタロシアニン系の化合物、4,4’,4’’
−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,
4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニ
ルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス[N−(4−ジフェニルアミノフェニ
ル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DPAB)、4,4’−ビス(N−{4
−[N’−(3−メチルフェニル)−N’−フェニルアミノ]フェニル}−N−フェニル
アミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニル
アミノフェニル)−N−フェニルアミノ]ベンゼン(略称:DPA3B)、3−[N−(
9−フェニルカルバゾール−3−イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾ
ール(略称:PCzPCA1)、3,6−ビス[N−(9−フェニルカルバゾール−3−
イル)−N−フェニルアミノ]−9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCA2)、
3−[N−(1−ナフチル)−N−(9−フェニルカルバゾール−3−イル)アミノ]−
9−フェニルカルバゾール(略称:PCzPCN1)等の芳香族アミン化合物等が挙げら
れる。
【0037】
また、正孔注入層211として、正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質を含有さ
せた複合材料を用いることができる。なお、正孔輸送性の高い物質にアクセプター性物質
を含有させたものを用いることにより、電極の仕事関数に依らず電極を形成する材料を選
ぶことができる。つまり、第1の電極202として仕事関数の大きい材料だけでなく、仕
事関数の小さい材料を用いることができる。これらの複合材料は、正孔輸送性の高い物質
とアクセプター物質とを共蒸着することにより形成することができる。
【0038】
なお、本明細書中において、複合とは、単に2つの材料が混合している状態だけでなく
、複数の材料を混合することによって材料間での電荷の授受が行われ得る状態になること
を言う。
【0039】
複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳
香族炭化水素、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマー等)など、種々の化
合物を用いることができる。なお、複合材料に用いる有機化合物としては、正孔輸送性の
高い有機化合物であることが好ましい。具体的には、10−6cm/Vs以上の正孔移
動度を有する物質であることが好ましい。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であ
れば、これら以外のものを用いてもよい。以下では、複合材料に用いることのできる有機
化合物を具体的に列挙する。
【0040】
複合材料に用いることのできる有機化合物としては、例えば、MTDATA、TDAT
A、DPAB、DNTPD、DPA3B、PCzPCA1、PCzPCA2、PCzPC
N1、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称
:NPBまたはα−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフ
ェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(略称:TPD)等の芳香族ア
ミン化合物や、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3
,5−トリス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]ベンゼン(略称:TCPB)、9−
[4−(N−カルバゾリル)]フェニル−10−フェニルアントラセン(略称:CzPA
)、1,4−ビス[4−(N−カルバゾリル)フェニル]−2,3,5,6−テトラフェ
ニルベンゼン等のカルバゾール誘導体や、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナ
フチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ
(1−ナフチル)アントラセン、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アント
ラセン(略称:DPPA)、2−tert−ブチル−9,10−ビス(4−フェニルフェ
ニル)アントラセン(略称:t−BuDBA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラ
セン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、2
−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuAnth)、9,10−ビス(4−メ
チル−1−ナフチル)アントラセン(略称:DMNA)、9,10−ビス[2−(1−ナ
フチル)フェニル]−2−tert−ブチル−アントラセン、9,10−ビス[2−(1
−ナフチル)フェニル]アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(
1−ナフチル)アントラセン、2,3,6,7−テトラメチル−9,10−ジ(2−ナフ
チル)アントラセン、9,9’−ビアントリル、10,10’−ジフェニル−9,9’−
ビアントリル、10,10’−ビス(2−フェニルフェニル)−9,9’−ビアントリル
、10,10’−ビス[(2,3,4,5,6−ペンタフェニル)フェニル]−9,9’
−ビアントリル、アントラセン、テトラセン、ルブレン、ペリレン、2,5,8,11−
テトラ(tert−ブチル)ペリレン、ペンタセン、コロネン、4,4’−ビス(2,2
−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、9,10−ビス[4−(2,2
−ジフェニルビニル)フェニル]アントラセン(略称:DPVPA)等の芳香族炭化水素
化合物を挙げることができる。
【0041】
また、アクセプター性物質としては、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6
−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)、クロラニル等の有機化合物や
、遷移金属酸化物を挙げることができる。また、元素周期表における第4族乃至第8族に
属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、
酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レ
ニウムは電子受容性が高いため好ましい。中でも特に、酸化モリブデンは大気中でも安定
であり、吸湿性が低く、扱いやすいため好ましい。
【0042】
また、正孔注入層211としては、高分子化合物(オリゴマー、デンドリマー、ポリマ
ー等)を用いることができる。例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK
)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)、ポリ[N−(4−{
N’−[4−(4−ジフェニルアミノ)フェニル]フェニル−N’−フェニルアミノ}フ
ェニル)メタクリルアミド](略称:PTPDMA)ポリ[N,N’−ビス(4−ブチル
フェニル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン](略称:Poly−TPD)など
の高分子化合物が挙げられる。また、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポ
リ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/ポリ(スチレンスル
ホン酸)(PAni/PSS)等の酸を添加した高分子化合物を用いることができる。
【0043】
また、上述したPVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPD等の高分子化合
物と、上述したアクセプター性物質を用いて複合材料を形成し、正孔注入層211として
用いてもよい。
【0044】
正孔輸送層212は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。正孔輸送性の高い物質と
しては、低分子の有機化合物としては、NPB(またはα−NPD)、TPD、4,4’
−ビス[N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェ
ニル(略称:DFLDPBi)、4,4’−ビス[N−(スピロ−9,9’−ビフルオレ
ン−2−イル)−N―フェニルアミノ]ビフェニル(略称:BSPB)などの芳香族アミ
ン化合物を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の
正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、こ
れら以外のものを用いてもよい。なお、正孔輸送性の高い物質を含む層は、単層のものだ
けでなく、上記物質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0045】
また、正孔輸送層212として、PVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TP
Dなどの高分子化合物を用いることもできる。
【0046】
本実施の形態で示す正孔の移動を制御する層213は、第1の有機化合物と第2の有機
化合物とを含んでおり、第1の有機化合物は、第2の有機化合物よりも多く含まれている
。つまり、第2の有機化合物は、第1の有機化合物中に分散されている。また、正孔の移
動を制御する層は、発光層214と第1の電極202との間に設けることが好ましい。
【0047】
正孔の移動を制御する層を設ける場合、第1の有機化合物は、正孔輸送性を有する有機
化合物であることが好ましい。つまり、第1の有機化合物は、電子輸送性よりも正孔輸送
性の方が高い物質であることが好ましい。
【0048】
他方、第2の有機化合物は、正孔をトラップする機能を有する有機化合物であることが
好ましい。つまり、第2の有機化合物は、第1の有機化合物の最高被占有道準位(HOM
O準位)より0.3eV以上高い最高被占有道準位(HOMO準位)を有する有機化合物
であることが好ましい。
【0049】
第2の有機化合物が含まれることにより、層全体としては、第1の有機化合物のみから
なる層よりも正孔輸送速度が小さくなる。つまり、第2の有機化合物を添加することによ
り、キャリアの移動を制御することが可能となる。また、第2の有機化合物の濃度を制御
することにより、キャリアの移動速度を制御することが可能となる。具体的には、第2の
有機化合物の濃度は、0.1重量%〜5重量%、または0.1mol%〜5mol%であ
ることが好ましい。
【0050】
図4は、図1(A)で示した本発明の発光素子のバンド図の一例である。図4において
、第2の電極204から注入された電子は、電子注入層217、電子輸送層216を通り
、電子の移動を制御する層215に注入される。一方、第1の電極202から注入された
正孔は、正孔注入層211、正孔輸送層212を通り、正孔の移動を制御する層213に
注入される。正孔の移動を制御する層に注入された正孔は、正孔トラップ性を有する第2
の有機化合物により、正孔の移動が遅くなる。遅くなった正孔は、発光層214に注入さ
れ、正孔と再結合し、発光する。
【0051】
第2の有機化合物としては、例えば、CuPc、DNTPD、DPAB、ビス(2−フ
ェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:I
r(ppy)(acac))、(アセチルアセトナト)ビス(10−(2−ピリジル)
フェノキサジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(ppx)(acac))、ト
リス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(pp
y))、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’
]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(btp)(acac))
、N,N’’−(2−tert−ブチルアントラセン−9,10−ジイルジ−4,1−フ
ェニレン)ビス[N,N’,N’−トリフェニル−1,4−フェニレンジアミン](略称
:DPABPA)などが挙げられる。
【0052】
上述した化合物は、発光素子に用いられる化合物の中でもHOMO準位が高い化合物で
あり、後述する第1の有機化合物に添加することで良好な正孔トラップ性を示す。また、
発光機能を担う層の発光色と第2の有機化合物の発光色とが同系色の発光色であることが
好ましい。これによって、第2の有機化合物が意に反して発光した場合にも発光素子の色
純度を保つことができる。
【0053】
また、正孔の移動を制御する層213に含まれる第1の有機化合物は、正孔輸送性を有
する有機化合物である。つまり、電子輸送性よりも正孔輸送性の方が高い物質である。具
体的には、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、6,12−ジメ
トキシ−5,11−ジフェニルクリセンのような縮合芳香族炭化水素が挙げられる。
【0054】
また、N,N−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル
]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:CzA1PA)、4−(10−フェニル−
9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:DPhPA)、N,9−ジフェニル−N−
[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミ
ン(略称:PCAPA)、N,9−ジフェニル−N−{4−[4−(10−フェニル−9
−アントリル)フェニル]フェニル}−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCA
PBA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H
−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、NPB(またはα−NPD)、T
PD、DFLDPBi、BSPB、2,3−ビス{4−[N−(4−ビフェニリル)−N
−フェニルアミノ]フェニル}キノキサリン(略称:BPAPQ)などの芳香族アミン化
合物等が挙げられる。さらに、PVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−TPDな
どの高分子化合物を用いることもできる。
【0055】
それらの中でも正孔に対して安定な芳香族アミン化合物であることが好ましい。また、
先に述べたように、本実施の形態においては、第2の有機化合物は正孔トラップ性の化合
物であることが必要であり、そのためにはHOMO準位は、第1の有機化合物のHOMO
準位より0.3eV以上高いことが好ましい。したがって、用いる第2の有機化合物の種
類に応じて、そのような条件を満たすように適宜第1の有機化合物を選択すればよい。
【0056】
なお、正孔の移動を制御する層213に含まれる第2の有機化合物の発光色と、発光層
214に含まれる発光性の高い物質の発光色とは、同系色の発光色であることが好ましい
。具体的には、第2の有機化合物の発光スペクトルのピークの波長と発光性の高い物質の
発光スペクトルのピークの波長との差は、30nm以内であることが好ましい。30nm
以内であることにより、発光性の高い物質の発光色と第2の有機化合物の発光色は、同系
色の発光色となる。よって、電圧等の変化により、第2の有機化合物が発光した場合にも
、発光色の変化を抑制することができる。
【0057】
ただし、必ずしも第2の有機化合物が発光する必要はない。例えば、発光性の高い物質
の方が発光効率が高い場合は、実質的に発光性の高い物質の発光のみが得られるように、
正孔の移動を制御する層213における第2の有機化合物の濃度を調節する(第2の有機
化合物の発光が抑制されるように、その濃度を若干低くする)ことが好ましい。この場合
、発光性の高い物質の発光色と第2の有機化合物の発光色は同系統の発光色である(すな
わち、同程度のエネルギーギャップを持つ)ため、発光性の高い物質から第2の有機化合
物へのエネルギー移動は生じにくく、高い発光効率が得られる。
【0058】
また、正孔の移動を制御する層である層213の膜厚は、5nm以上20nm以下であ
ることが好ましい。厚すぎる膜厚だと、キャリアの移動速度を低下させすぎてしまい、駆
動電圧が高くなってしまう。また、薄すぎる膜厚だと、キャリアの移動を制御する機能を
実現しなくなってしまう。よって、5nm以上20nm以下の膜厚であることが好ましい

【0059】
正孔の移動を制御する層を設けない従来の素子構成の場合、第1の電極から注入された
正孔は、正孔注入層および正孔輸送層を通り、発光層へ注入される。発光層へ注入された
正孔は、発光層が正孔輸送性の場合、つまり、発光層に含まれる最も多い材料が正孔輸送
性の場合には、発光層中を移動して、電子輸送層まで達してしまう可能性がある。正孔が
電子輸送層まで達してしまうと、電子輸送層に含まれる材料を劣化させてしまい、発光素
子の劣化に繋がる。
【0060】
しかし、本実施の形態で示した正孔の移動を制御する層を設けることにより、正孔が発
光層中を突き抜けて電子輸送層まで達することを抑制することができる。よって、正孔が
電子輸送層まで達して電子輸送層を劣化させることを抑制することができる。従って、発
光素子の劣化を抑制し、長寿命化することができる。
【0061】
また、正孔の移動を制御する層を設けない従来の素子構成の場合、第1の電極から注入
された多くの正孔は、そのまま発光層へ注入される。発光層が電子輸送性の場合、つまり
、発光層に含まれる最も多い材料が電子輸送性の場合には、発光領域は発光層と正孔輸送
層との界面付近になる。一方、発光層と正孔輸送層との界面付近には、過剰の正孔によっ
てカチオンが生成している可能性がある。カチオンは消光剤として働くため、発光領域の
周辺に生成していたカチオンの影響により発光効率が低下してしまう。
【0062】
しかし、本実施の形態で示した正孔の移動を制御する層を設けることにより、過剰の正
孔によって、発光層や発光層周辺にできていたカチオンの生成を抑制することができ、発
光効率の低下を抑制することができる。従って、発光効率の高い発光素子を得ることがで
きる。
【0063】
上述したように、正孔の移動を制御することにより、キャリアバランスが向上し、その
結果、正孔と電子の再結合確率が向上し、高い発光効率を得ることができる。また、本実
施の形態で示したように、正孔の移動を制御する層を、発光層と陽極として機能する第1
の電極との間に設ける構成は、正孔過多の発光素子に適用すると特に有効である。正孔過
多の発光素子において、正孔の移動を制御する層を設けることにより、過剰の正孔の移動
を抑制し、電子とバランスが取れるように制御することが可能となるからである。
【0064】
発光層214は、発光性の高い物質を含む層であり、種々の材料を用いることができる
。例えば、発光性の高い物質としては、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐
光性化合物を用いることができる。
【0065】
発光層に用いることのできる燐光性化合物としては、例えば、青色系の発光材料として
、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム
(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、ビス[2−(4
’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリ
ナート(略称:FIrpic)、ビス[2−(3’,5’ビストリフルオロメチルフェニ
ル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CF
ppy)(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−
N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIracac)など
が挙げられる。また、緑色系の発光材料として、トリス(2−フェニルピリジナト−N,
2’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy))、ビス(2−フェニルピリジ
ナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(ppy)
(acac))、ビス(1,2−ジフェニル−1H−ベンゾイミダゾラト)イリジウム
(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pbi)(acac))、ビス(ベン
ゾ[h]キノリナト)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bzq
(acac))などが挙げられる。また、黄色系の発光材料として、ビス(2,4−
ジフェニル−1,3−オキサゾラト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセト
ナート(略称:Ir(dpo)(acac))、ビス[2−(4’−パーフルオロフェ
ニルフェニル)ピリジナト]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(
p−PF−ph)(acac))、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト−N,C2’
)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(bt)(acac))な
どが挙げられる。また、橙色系の発光材料として、トリス(2−フェニルキノリナト−N
,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(pq))、ビス(2−フェニルキノリ
ナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(pq)
(acac))などが挙げられる。また、赤色系の発光材料として、ビス[2−(2’−
ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナト−N,C3’]イリジウム(III)アセチ
ルアセトナート(略称:Ir(btp)(acac))、ビス(1−フェニルイソキノ
リナト−N,C2’)イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:Ir(piq
(acac))、(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニ
ル)キノキサリナト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdpq)(acac))
、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィ
リン白金(II)(略称:PtOEP)等の有機金属錯体が挙げられる。また、トリス(
アセチルアセトナト)(モノフェナントロリン)テルビウム(III)(略称:Tb(a
cac)(Phen))、トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)
(モノフェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(DBM)(Phen
))、トリス[1−(2−テノイル)−3,3,3−トリフルオロアセトナト](モノフ
ェナントロリン)ユーロピウム(III)(略称:Eu(TTA)(Phen))等の
希土類金属錯体は、希土類金属イオンからの発光(異なる多重度間の電子遷移)であるた
め、燐光性化合物として用いることができる。
【0066】
発光層に用いることのできる蛍光性化合物としては、例えば、青色系の発光材料として
、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフ
ェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、4−(9H−カルバゾー
ル−9−イル)−4’−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称
:YGAPA)などが挙げられる。また、緑色系の発光材料として、N−(9,10−ジ
フェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(
略称:2PCAPA)、N−[9,10−ビス(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2
−アントリル]−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PC
ABPhA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,N’,N’−トリ
フェニル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPAPA)、N−[9,10−ビス
(1,1’−ビフェニル−2−イル)−2−アントリル]−N,N’,N’−トリフェニ
ル−1,4−フェニレンジアミン(略称:2DPABPhA)、9,10−ビス(1,1
’−ビフェニル−2−イル)−N−[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]
−N−フェニルアントラセン−2−アミン(略称:2YGABPhA)、N,N,9−ト
リフェニルアントラセン−9−アミン(略称:DPhAPhA)などが挙げられる。また
、黄色系の発光材料として、ルブレン、5,12−ビス(1,1’−ビフェニル−4−イ
ル)−6,11−ジフェニルテトラセン(略称:BPT)などが挙げられる。また、赤色
系の発光材料として、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)テトラセ
ン−5,11−ジアミン(略称:p−mPhTD)、7,13−ジフェニル−N,N,N
’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)アセナフト[1,2−a]フルオランテン
−3,10−ジアミン(略称:p−mPhAFD)などが挙げられる。
【0067】
なお、発光層としては、上述した発光性の高い物質(第6の有機化合物)を他の物質(
第5の有機化合物)に分散させた構成としてもよい。発光性の物質を分散させるための物
質としては、各種のものを用いることができ、発光性の物質よりも最低空軌道準位(LU
MO準位)が高く、最高被占有軌道準位(HOMO準位)が低い物質を用いることが好ま
しい。
【0068】
発光性の物質を分散させるための物質としては、具体的には、トリス(8−キノリノラ
ト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト
)アルミニウム(III)(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]
キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリ
ノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス
(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾ
リル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾ
リル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体、2−(4−ビフ
ェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(
略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−
オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル
)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール
(略称:TAZ01)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(
1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン
(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などの複素環化合物や、9−
[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:C
zPA)、3,6−ジフェニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニ
ル]−9H−カルバゾール(略称:DPCzPA)、9,10−ビス(3,5−ジフェニ
ルフェニル)アントラセン(略称:DPPA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラ
セン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラ
セン(略称:t−BuDNA)、9,9’−ビアントリル(略称:BANT)、9,9’
−(スチルベン−3,3’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’−
(スチルベン−4,4’−ジイル)ジフェナントレン(略称:DPNS2)、3,3’,
3’’−(ベンゼン−1,3,5−トリイル)トリピレン(略称:TPB3)、9,10
−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、6,12−ジメトキシ−5,11−
ジフェニルクリセンなどの縮合芳香族化合物、N,N−ジフェニル−9−[4−(10−
フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:Cz
A1PA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフェニルアミン(略称:DP
hPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニ
ル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)、N,9−ジフェニル−N
−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]フェニル}−9H−カル
バゾール−3−アミン(略称:PCAPBA)、N−(9,10−ジフェニル−2−アン
トリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA
)、NPB(またはα−NPD)、TPD、DFLDPBi、BSPBなどの芳香族アミ
ン化合物などを用いることができる。
【0069】
また、発光性の物質を分散させるための物質は複数種用いることができる。例えば、結
晶化を抑制するためにルブレン等の結晶化を抑制する物質をさらに添加してもよい。また
、発光性の物質へのエネルギー移動をより効率良く行うためにNPB、あるいはAlq等
をさらに添加してもよい。
【0070】
発光性の高い物質を他の物質に分散させた構成とすることにより、発光層214の結晶
化を抑制することができる。また、発光性の高い物質の濃度が高いことによる濃度消光を
抑制することができる。
【0071】
また、発光層214として高分子化合物を用いることができる。具体的には、青色系の
発光材料として、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)(略称:PF
O)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(2,5−ジ
メトキシベンゼン−1,4−ジイル)](略称:PF−DMOP)、ポリ{(9,9−ジ
オクチルフルオレン−2,7−ジイル)−co−[N,N’−ジ−(p−ブチルフェニル
)−1,4−ジアミノベンゼン]}(略称:TAB−PFH)などが挙げられる。また、
緑色系の発光材料として、ポリ(p−フェニレンビニレン)(略称:PPV)、ポリ[(
9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−alt−co−(ベンゾ[2,1,
3]チアジアゾール−4,7−ジイル)](略称:PFBT)、ポリ[(9,9−ジオク
チル−2,7−ジビニレンフルオレニレン)−alt−co−(2−メトキシ−5−(2
−エチルヘキシロキシ)−1,4−フェニレン)]などが挙げられる。また、橙色〜赤色
系の発光材料として、ポリ[2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキソキシ)−1,4−
フェニレンビニレン](略称:MEH−PPV)、ポリ(3−ブチルチオフェン−2,5
−ジイル)(略称:R4−PAT)、ポリ{[9,9−ジヘキシル−2,7−ビス(1−
シアノビニレン)フルオレニレン]−alt−co−[2,5−ビス(N,N’−ジフェ
ニルアミノ)−1,4−フェニレン]}、ポリ{[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキ
シロキシ)−1,4−ビス(1−シアノビニレンフェニレン)]−alt−co−[2,
5−ビス(N,N’−ジフェニルアミノ)−1,4−フェニレン]}(略称:CN−PP
V−DPD)などが挙げられる。
【0072】
電子の移動を制御する層215は、第3の有機化合物と第4の有機化合物とを含んでお
り、第3の有機化合物は、第4の有機化合物よりも多く含まれている。つまり、第4の有
機化合物は、第3の有機化合物中に分散されている。電子の移動を制御する層は、発光層
214と第2の電極204との間に設けることが好ましい。
【0073】
本実施の形態で示す電子の移動を制御する層215は、第3の有機化合物と第4の有機
化合物を含み、第3の有機化合物と第4の有機化合物のキャリア輸送の極性は異なってい
る。
【0074】
電子の移動を制御する層を、発光層と陰極として機能する第2の電極との間に設ける場
合、第3の有機化合物は、電子輸送性の有機化合物であり、第4の有機化合物は正孔輸送
性の有機化合物であることが好ましい。つまり、第3の有機化合物は、正孔輸送性よりも
電子輸送性が高い物質であり、第4の有機化合物は、電子輸送性よりも正孔輸送性が高い
物質であることが好ましい。また、第3の有機化合物の最低空軌道準位(LUMO準位)
と、第4の有機化合物の最低空軌道準位(LUMO準位)との差は0.3eVよりも小さ
いことが好ましく、より好ましくは0.2eV以下である。つまり、熱力学的には、第3
の有機化合物と第4の有機化合物との間でキャリアである電子の移動が容易であることが
好ましい。
【0075】
本実施の形態で示す電子の移動を制御する層の概念図を図5に示す。図5において、第
3の有機化合物241は、電子輸送性であるため、電子が注入されやすく、電子が近傍の
第3の有機化合物に移動しやすい。つまり、第3の有機化合物に電子が注入される速度、
および、第3の有機化合物から電子が放出される速度(v)が大きい。
【0076】
一方、正孔輸送性の有機化合物である第4の有機化合物242は、第3の有機化合物の
LUMO準位と近いLUMO準位を有するため、熱力学的には電子が注入されうる。しか
し、電子輸送性の有機化合物である第3の有機化合物241から正孔輸送性の有機化合物
である第4の有機化合物242に電子が注入される速度(v)、もしくは、第4の有機
化合物242から第3の有機化合物241へ電子が注入される速度(v)は、第3の有
機化合物241から第3の有機化合物241へ電子が注入される速度(v)よりも小さい

【0077】
よって、層全体としては、第4の有機化合物が含まれることにより、第3の有機化合物
241のみからなる層よりも電子輸送速度が小さくなる。つまり、第4の有機化合物を添
加することにより、キャリアの移動を制御することが可能となる。また、第4の有機化合
物の濃度を制御することにより、キャリアの移動速度を制御することが可能となる。
【0078】
本実施の形態において、上述したように、第3の有機化合物は、電子輸送性の有機化合
物であることが好ましい。具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(II
I)(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III
)(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム
(II)(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニル
フェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜
鉛(II)(略称:Znq)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛
(II)(略称:ZnPBO)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛
(II)(略称:ZnBTZ)などの金属錯体を用いることができる。さらに、金属錯体
以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3
,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチル
フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)
、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−
1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ01)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベ
ンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI
)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)な
どの複素環化合物も用いることができる。また、9−[4−(10−フェニル−9−アン
トリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、3,6−ジフェニル−9
−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:
DPCzPA)、9,10−ビス(3,5−ジフェニルフェニル)アントラセン(略称:
DPPA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−ter
t−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9
,9’−ビアントリル(略称:BANT)、9,9’−(スチルベン−3,3’−ジイル
)ジフェナントレン(略称:DPNS)、9,9’−(スチルベン−4,4’−ジイル)
ジフェナントレン(略称:DPNS2)、3,3’,3’’−(ベンゼン−1,3,5−
トリイル)トリピレン(略称:TPB3)などの縮合芳香族化合物を用いることができる
。また、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン
−3,5−ジイル)](略称:PF−Py)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−
2,7−ジイル)−co−(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル)](略称:PF
−BPy)などの高分子化合物を用いることができる。
【0079】
また、第4の有機化合物としては、正孔輸送性の有機化合物であることが好ましい。具
体的には、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)、6,12−ジメ
トキシ−5,11−ジフェニルクリセンのような縮合芳香族炭化水素や、N,N−ジフェ
ニル−9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール
−3−アミン(略称:CzA1PA)、4−(10−フェニル−9−アントリル)トリフ
ェニルアミン(略称:DPhPA)、N,9−ジフェニル−N−[4−(10−フェニル
−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPA)
、N,9−ジフェニル−N−{4−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル
]フェニル}−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:PCAPBA)、N−(9,1
0−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−ア
ミン(略称:2PCAPA)、NPB(またはα−NPD)、TPD、DFLDPBi、
BSPBなどの芳香族アミン化合物、クマリン7、クマリン30などのアミノ基を有する
化合物を用いることができる。また、PVK、PVTPA、PTPDMA、Poly−T
PDなどの高分子化合物を用いることもできる。
【0080】
このような組み合わせにより、第3の有機化合物から第4の有機化合物へ、あるいは第
4の有機化合物から第3の有機化合物への電子移動が抑制され、キャリアの移動を制御す
る層の電子移動速度を抑制することができる。また、キャリアの移動を制御する層は第3
の有機化合物に第4の有機化合物を分散させて構成されているため、経時的に結晶化や凝
集が生じにくい。したがって、先に述べた電子移動の抑制効果も経時変化しにくくなり、
その結果キャリアバランスも経時変化しにくくなる。このことが、発光素子の寿命の向上
、つまり、信頼性の向上に繋がる。
【0081】
なお、上述した組み合わせの中でも、第3の有機化合物として金属錯体を、第4の有機
化合物として芳香族アミン化合物を組み合わせることが好ましい。金属錯体は電子輸送性
が高い上に双極子モーメントが大きく、一方で芳香族アミン化合物は正孔輸送性が高い上
に比較的双極子モーメントが小さい。このように、双極子モーメントが大きく異なる物質
を組み合わせることで、上述した電子移動の抑制効果はより顕著となる。具体的には、第
3の有機化合物の双極子モーメントの大きさをP、第4の有機化合物の双極子モーメン
トの大きさをPとすると、P/P≧3またはP/P≦0.33となる組み合わ
せが好ましい。
【0082】
例えば、金属錯体であるAlqの双極子モーメントの大きさは9.40デバイであり、
芳香族アミン化合物である2PCAPAの双極子モーメントの大きさは1.15デバイで
ある。したがって、本実施の形態のように、第3の有機化合物として金属錯体のような電
子輸送性の有機化合物を、第4の有機化合物として芳香族アミン化合物のような正孔輸送
性の有機化合物を用いる場合は、P/P≧3であることが好ましい。
【0083】
また、電子の移動を制御する層215に含まれる第4の有機化合物の発光色と、発光層
214に含まれる発光性の高い物質の発光色とは、同系色であることが好ましい。具体的
には、第4の有機化合物の発光スペクトルの最大のピークの波長と発光性の高い物質の発
光スペクトルの最大のピークの波長との差は、30nm以内であることが好ましい。30
nm以内であることにより、第4の有機化合物の発光色と発光性の高い物質の発光色は、
同系色となる。よって、電圧等の変化により、第4の有機化合物が発光した場合にも、発
光色の変化を抑制することができる。ただし、必ずしも第4の有機化合物が発光する必要
はない。
【0084】
また、電子の移動を制御する層215の膜厚は、5nm以上20nm以下であることが
好ましい。膜厚が厚すぎると、キャリアの移動速度が過度に低下してしまい、駆動電圧が
高くなってしまう上に、電子の移動を制御する層215の発光強度が増大する可能性があ
る。また、膜厚が薄すぎると、キャリアの移動を制御する機能を実現しなくなってしまう
。よって、5nm以上20nm以下の膜厚であることが好ましい。
【0085】
電子の移動を制御する層を設けない従来の素子構成の場合、第2の電極から注入された
電子は、電子注入層および電子輸送層を通り、発光層へ注入される。発光層へ注入された
電子は、発光層が電子輸送性の場合、つまり、発光層に含まれる最も多い材料が電子輸送
性の場合には、発光層中を移動して、正孔輸送層まで達してしまう可能性がある。電子が
正孔輸送層まで達してしまうと、正孔輸送層に含まれる材料を劣化させてしまい、発光素
子の劣化に繋がる。
【0086】
しかし、本実施の形態で示した電子の移動を制御する層を設けることにより、電子が発
光層中を突き抜けて正孔輸送層まで達することを抑制することができる。よって、電子が
正孔輸送層まで達して正孔輸送層を劣化させることを抑制することができる。従って、発
光素子の劣化を抑制し、長寿命化することができる。
【0087】
電子輸送層216は、電子輸送性の高い物質を含む層である。例えば、低分子の有機化
合物として、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)、ト
リス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Almq)、
ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(II)(略称:BeBq
)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム
(III)(略称:BAlq)、ビス(8−キノリノラト)亜鉛(II)(略称:Znq
)、ビス[2−(2−ベンゾオキサゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnPB
O)、ビス[2−(2−ベンゾチアゾリル)フェノラト]亜鉛(II)(略称:ZnBT
Z)などの金属錯体を用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフ
ェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(
略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−
オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−ビフェニリル
)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール
(略称:TAZ01)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(
1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、バソフェナントロリン
(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などの複素環化合物も用いる
ことができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有す
る物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記以外の物質を電
子輸送層として用いても構わない。また、電子輸送層は、単層のものだけでなく、上記物
質からなる層が二層以上積層したものとしてもよい。
【0088】
また、電子輸送層216として、高分子化合物を用いることができる。例えば、ポリ[
(9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジイル)−co−(ピリジン−3,5−ジイ
ル)](略称:PF−Py)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル
)−co−(2,2’−ビピリジン−6,6’−ジイル)](略称:PF−BPy)など
を用いることができる。
【0089】
また、電子注入層217は、電子注入性の高い物質を含む層である。電子注入性の高い
物質としては、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウ
ム(CaF)等のようなアルカリ金属又はアルカリ土類金属又はそれらの化合物を用い
ることができる。例えば、電子輸送性を有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアル
カリ土類金属又はそれらの化合物を含有させたもの、例えばAlq中にマグネシウム(M
g)を含有させたもの等を用いることができる。なお、電子注入層として、電子輸送性を
有する物質からなる層中にアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有させたものを用いる
ことにより、第2の電極204からの電子注入が効率良く行われるためより好ましい。
【0090】
第2の電極204を形成する物質としては、仕事関数の小さい(具体的には3.8eV
以下であることが好ましい)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物など
を用いることができる。このような陰極材料の具体例としては、元素周期表の第1族また
は第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属
、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)等のアル
カリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)、ユウロピウム(Eu)
、イッテルビウム(Yb)等の希土類金属およびこれらを含む合金等が挙げられる。アル
カリ金属、アルカリ土類金属、これらを含む合金の膜は、真空蒸着法を用いて形成するこ
とができる。また、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む合金はスパッタリング法
により形成することも可能である。また、銀ペーストなどをインクジェット法などにより
成膜することも可能である。
【0091】
また、第2の電極204と電子輸送層216との間に、電子注入を促す機能を有する層
である電子注入層217を設けることにより、仕事関数の大小に関わらず、Al、Ag、
ITO、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ等様々な導電性材料
を第2の電極204として用いることができる。これら導電性材料は、スパッタリング法
やインクジェット法、スピンコート法等を用いて成膜することが可能である。
【0092】
また、EL層の形成方法としては、乾式法、湿式法を問わず、種々の方法を用いること
ができる。例えば、真空蒸着法、インクジェット法またはスピンコート法など用いても構
わない。また各電極または各層ごとに異なる成膜方法を用いて形成しても構わない。
【0093】
例えば、上述した材料のうち、高分子化合物を用いて湿式法でEL層を形成してもよい
。または、低分子の有機化合物を用いて湿式法で形成することもできる。また、低分子の
有機化合物を用いて真空蒸着法などの乾式法を用いてEL層を形成してもよい。
【0094】
また、電極についても、ゾル−ゲル法を用いて湿式法で形成しても良いし、金属材料の
ペーストを用いて湿式法で形成してもよい。また、スパッタリング法や真空蒸着法などの
乾式法を用いて形成しても良い。
【0095】
例えば、本発明の発光素子を表示装置に適用し、発光層を塗り分ける場合には、発光層
は湿式法により形成することが好ましい。発光層をインクジェット法を用いて形成するこ
とにより、大型基板であっても発光層の塗り分けが容易となる。
【0096】
以上のような構成を有する本発明の発光素子は、第1の電極202と第2の電極204
との間に生じた電位差により電流が流れ、EL層203において正孔と電子とが再結合し
、発光するものである。
【0097】
発光は、第1の電極202または第2の電極204のいずれか一方または両方を通って
外部に取り出される。従って、第1の電極202または第2の電極204のいずれか一方
または両方は、透光性を有する電極である。第1の電極202のみが透光性を有する電極
である場合、図3(A)に示すように、発光は第1の電極202を通って基板側から取り
出される。また、第2の電極204のみが透光性を有する電極である場合、図3(B)に
示すように、発光は第2の電極204を通って基板と逆側から取り出される。第1の電極
202および第2の電極204がいずれも透光性を有する電極である場合、図3(C)に
示すように、発光は第1の電極202および第2の電極204を通って、基板側および基
板と逆側の両方から取り出される。
【0098】
なお第1の電極202と第2の電極204との間に設けられる層の構成は、上記のもの
には限定されない。発光領域と金属とが近接することによって生じる消光を防ぐように、
第1の電極202および第2の電極204から離れた部位に正孔と電子とが再結合する発
光領域を設けた構成であり、キャリアの移動を制御する層を有する構成であれば、上記以
外のものでもよい。
【0099】
つまり、層の積層構造については特に限定されず、電子輸送性の高い物質または正孔輸
送性の高い物質、電子注入性の高い物質、正孔注入性の高い物質、バイポーラ性(電子及
び正孔の輸送性の高い物質)の物質等から成る層と、本実施の形態で示すキャリアの移動
を制御する層および発光層を適宜組み合わせて構成すればよい。
【0100】
なお、正孔の移動を制御する層は、正孔の移動を制御するものであるため、発光層と陽
極として機能する電極との間に設けることが好ましい。
【0101】
図1(A)や図1(C)に示すように、発光層214と、正孔の移動を制御する層21
3とが接する構成とした場合には、発光層に含まれる有機化合物のうち、最も多く含まれ
ている有機化合物のバンドギャップよりも、バンドギャップが大きく電子が注入されにく
い有機化合物を第2の有機化合物として用いることが好ましい。発光層214と正孔の移
動を制御する層213とが接する構成である場合、発光層とキャリアの移動を制御する層
を同一のマスクで連続して成膜することが可能である。よって、フルカラーディスプレイ
など、発光素子毎にキャリアの移動を制御する層を作り分ける必要がある場合には、作製
が容易となり好ましい。
【0102】
ただし、図1(B)や図1(D)に示すように、発光層214と正孔の移動を制御する
層213との間に層が形成されている構成であってもよい。
【0103】
また、電子の移動を制御する層は、電子の移動を制御するものであるため、発光層と陰
極として機能する電極との間に設けることが好ましい。図1(A)や図1(B)に示すよ
うに、電子の移動を制御する層は発光層と接するように設けることがより好ましい。電子
の移動を制御する層を発光層と接するように設けることにより、発光層への電子注入を直
接制御できるため、発光層内におけるキャリアバランスの経時変化をより抑制することが
でき、素子寿命向上に関してより大きな効果が得られる。また、プロセス的にも簡便とな
る。
【0104】
また、電子の移動を制御する層は発光層と接するように設けるのが好ましく、その場合
には、電子の移動を制御する層に含まれる第3の有機化合物と、発光層に多く含まれてい
る有機化合物とは、異なる種類の有機化合物であることが好ましい。特に、発光層の構成
が、発光性の高い物質を分散させる物質(第5の有機化合物)と、発光性の高い物質(第
6の有機化合物)とを含む場合、第5の有機化合物と、第3の有機化合物とは、異なる種
類の有機化合物であることが好ましい。このような構成により、電子の移動を制御する層
から発光層への電子の移動が、第3の有機化合物と第5の有機化合物との間においても抑
制され、電子の移動を制御する層を設ける効果がより高くなる。
【0105】
ただし、図1(C)や図1(D)に示すように、発光層214と電子の移動を制御する
層215との間に層が形成されていてもよい。
【0106】
また、図2に示すように、基板201上に、陰極として機能する第2の電極204、E
L層203、陽極として機能する第1の電極202とが順に積層された構成としてもよい
。図2(A)に示す発光素子は、図1(A)に示したEL層を逆の順に積層した構成であ
り、図2(B)に示す発光素子は、図1(B)に示したEL層を逆の順に積層した構成で
あり、図2(C)に示す発光素子は、図1(C)に示したEL層を逆の順に積層した構成
であり、図2(D)に示す発光素子は、図1(D)に示したEL層を逆の順に積層した構
成である。
【0107】
なお、本実施の形態においては、ガラス、プラスチックなどからなる基板上に発光素子
を作製している。一基板上にこのような発光素子を複数作製することで、パッシブマトリ
クス型の発光装置を作製することができる。また、ガラス、プラスチックなどからなる基
板上に、例えば、薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、TFTと電気的に接続された電
極上に発光素子を作製してもよい。これにより、TFTによって発光素子の駆動を制御す
るアクティブマトリクス型の発光装置を作製できる。なお、TFTの構造は、特に限定さ
れない。スタガ型のTFTでもよいし、逆スタガ型のTFTでもよい。また、TFT基板
に形成される駆動用回路についても、N型およびP型のTFTからなるものでもよいし、
若しくはN型のTFTまたはP型のTFTのいずれか一方からのみなるものであってもよ
い。また、TFTに用いられる半導体膜の結晶性についても特に限定されない。非晶質半
導体膜を用いてもよいし、結晶性半導体膜を用いてもよい。また、単結晶半導体膜を用い
てもよい。単結晶半導体膜は、スマートカット法などを用いて作製することができる。
【0108】
以上で述べたように、本実施の形態で示す発光素子は、正孔の移動を制御する層213
および電子の移動を制御する層215の両方を有している点が特徴である。
【0109】
例えば、もし正孔の移動を制御する層213および電子の移動を制御する層215を設
けない従来の発光素子であれば、第1の電極202から注入された正孔は、正孔注入層2
11、正孔輸送層212を通り、移動が遅くならないまま発光層214に注入されるため
、その一部は電子輸送層216の界面付近まで達する。そして、正孔が電子輸送層216
にまで達してしまうと、電子輸送層216を劣化させる恐れがある。またその劣化によっ
て、経時的に電子輸送層216にまで達してしまう正孔の量が増えていくと、経時的に発
光層214における再結合確率が低下していくことになるため、素子寿命の低下(輝度の
経時劣化)に繋がってしまう。同様に、第2の電極204から注入された電子は、電子注
入層217および電子輸送層216を通り、移動が遅くならないまま発光層214に注入
されるため、その一部は正孔輸送層212と発光層214との界面付近まで達する。そし
て、電子が正孔輸送層212にまで達してしまうと、正孔輸送層212を劣化させる恐れ
がある。またその劣化によって、経時的に正孔輸送層212にまで達してしまう電子の量
が増えていくと、経時的に発光層内での再結合確率が低下していくことになるため、素子
寿命の低下(輝度の経時劣化)に繋がってしまう。
【0110】
一方、本発明の発光素子においては、正孔の移動を制御する層213を設けることによ
り、第1の電極202から注入された正孔は、正孔注入層211、正孔輸送層212を通
り、正孔の移動を制御する層213に注入される。正孔の移動を制御する層213に注入
された正孔は、その移動が遅くなり、発光層214への正孔注入が制御される。その結果
、正孔が電子輸送層216にまで達してしまい、電子輸送層216を劣化させる可能性が
低くなる。なお、本発明においては、正孔の移動を制御する層213において、単に正孔
移動度の遅い物質を適用するのではなく、正孔輸送性を有する有機化合物に正孔輸送性を
下げる有機化合物を添加している点が重要である。このような構成とすることで、単に発
光層への正孔注入を制御するだけではなく、その制御された正孔注入量が経時的に変化す
るのを抑制することができる。
【0111】
さらに本発明の発光素子においては、電子の移動を制御する層215をも設けている。こ
れにより、第2の電極204から注入された電子は、電子注入層217、電子輸送層21
6を通り、電子の移動を制御する層215に注入される。ここで、電子の移動を制御する
層215は、電子輸送性を有する第3の有機化合物に、正孔輸送性を有する第4の有機化
合物が添加した構成となっている。したがって、電子の移動を制御する層215に注入さ
れた電子は、その移動が遅くなり、発光層214への電子注入が制御される。その結果、
電子が正孔輸送層212にまで達してしまい、正孔輸送層212を劣化させる可能性が低
くなる。また正孔に関しても、電子の移動を制御する層215が電子輸送性を有する第3
の有機化合物を有しているため、正孔が電子輸送層216にまで達して電子輸送層216
を劣化させる可能性はさらに低い。なお、本発明においては、電子の移動を制御する層2
15において、単に電子移動度の遅い物質を適用するのではなく、電子輸送性を有する有
機化合物に電子輸送性を下げる有機化合物を添加している点が重要である。このような構
成とすることで、単に発光層214への電子注入を制御するだけではなく、その制御され
た電子注入量が経時的に変化するのを抑制することができる。
【0112】
以上のことから、本発明の発光素子は、正孔、電子の両キャリアの発光層への注入量を制
御することにより、経時的にキャリアバランスが悪化して再結合確率が低下していく現象
を防ぐことができるため、素子寿命の向上(輝度の経時劣化の抑制)に繋がる。
【0113】
さらに、正孔の移動を制御する層213の効果として、発光効率の向上が挙げられる。
正孔の移動を制御する層213を設けない従来の素子構成の場合、第1の電極202から
注入された多くの正孔は、そのまま発光層214へ注入される。発光層214が電子輸送
性の場合、つまり、発光層214に含まれる最も多い材料が電子輸送性の場合には、発光
領域は発光層214と正孔輸送層212との界面付近になる。一方、発光層214と正孔
輸送層212との界面付近には、過剰の正孔によってカチオンが生成している可能性があ
る。カチオンは消光剤として働くため、発光領域の周辺に生成していたカチオンの影響に
より発光効率が低下してしまう。
【0114】
しかし、本実施の形態で示した正孔の移動を制御する層213を設けることにより、過
剰の正孔によって、発光層214や発光層214周辺にできていたカチオンの生成を抑制
することができ、発光効率の低下を抑制することができる。従って、発光効率の高い発光
素子を得ることができる。
【0115】
以上で述べたように、本実施の形態で示す発光素子は、キャリアの移動を制御する層を
有している。キャリアの移動を制御する層は、2種類以上の物質を含むため、物質の組み
合わせや混合比、膜厚などを制御することにより、キャリアバランスを精密に制御するこ
とが可能である。
【0116】
また、物質の組み合わせや混合比、膜厚などの制御でキャリアバランスを制御すること
が可能であるので、従来よりも容易にキャリアバランスの制御が可能となる。つまり、用
いる物質そのものの物性を変化させなくても、混合比や膜厚等により、キャリアの移動を
制御することができる。
【0117】
また、キャリアの移動を制御する層に含まれる2種類以上の物質のうち、少なく含まれ
ている有機化合物を用いてキャリアの移動を制御している。つまり、キャリアの移動を制
御する層に含まれている成分のうち少ない成分でキャリアの移動を制御することが可能で
あるので、経時変化に強く、発光素子の長寿命化を実現することができる。つまり、単一
物質によりキャリアバランスを制御する場合に比べ、キャリアバランスの変化が起きにく
い。例えば、単一物質により形成された層でキャリアの移動を制御する場合には、部分的
にモルフォロジーが変化することや、部分的に結晶化が起こることなどが生じると、層全
体のバランスが変化してしまう。そのため、経時変化に弱い。しかし、本実施の形態で示
すように、キャリアの移動を制御する層に含まれている成分のうち少ない成分でキャリア
の移動を制御することにより、モルフォロジーの変化や結晶化、凝集等の影響が小さくな
り、経時変化が起きにくい。よって、経時的なキャリアバランスの低下、ひいては経時的
な発光効率の低下が起こりにくい長寿命の発光素子を得ることができる。
【0118】
また、発光層の両側において、キャリアの移動を制御することにより、より一層モルフ
ォロジーの変化や結晶化、凝集等の影響が小さくなり、経時劣化が起きにくく、経時的な
発光効率の低下が起こりにくい長寿命の発光素子を得ることができる。
【0119】
また、発光層の両側において、キャリアの移動を制御することにより、発光層のキャリ
ア輸送性に依存せず、長寿命の発光素子を実現することができる。よって、発光層を構成
する材料の選択肢および設計の自由度が広がる。
【0120】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0121】
(実施の形態2)
本実施の形態は、本発明に係る複数の発光ユニットを積層した構成の発光素子(以下、
積層型発光素子という)の態様について、図6を参照して説明する。この発光素子は、第
1の電極と第2の電極との間に、複数の発光ユニットを有する積層型発光素子である。各
発光ユニットの構成としては、実施の形態1で示した構成と同様な構成を用いることがで
きる。つまり、実施の形態1で示した発光素子は、1つの発光ユニットを有する発光素子
である。本実施の形態では、複数の発光ユニットを有する発光素子について説明する。
【0122】
図6において、第1の電極501と第2の電極502との間には、第1の発光ユニット
511と第2の発光ユニット512が積層されている。第1の電極501と第2の電極5
02は実施の形態1と同様なものを適用することができる。また、第1の発光ユニット5
11と第2の発光ユニット512は同じ構成であっても異なる構成であってもよく、その
構成は実施の形態1と同様なものを適用することができる。
【0123】
電荷発生層513には、有機化合物にアクセプター性物質を含有させた複合材料が含ま
れている。この有機化合物とアクセプター性物質を含有する複合材料は、実施の形態1で
示した複合材料であり、アクセプター物質として、7,7,8,8−テトラシアノ−2,
3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F−TCNQ)や、酸化バナジウム
や酸化モリブデンや酸化タングステン等の金属酸化物を含む。有機化合物としては、芳香
族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素、高分子化合物、オリゴマー、デ
ンドリマー、ポリマーなど、種々の化合物を用いることができる。なお、有機化合物とし
ては、正孔移動度が10−6cm/Vs以上であるものを適用することが好ましい。但
し、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものを用いてもよい。有
機化合物と金属酸化物の複合体は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、
低電圧駆動、低電流駆動を実現することができる。
【0124】
なお、電荷発生層513は、有機化合物とアクセプター性物質の複合材料と他の材料と
を組み合わせて形成してもよい。例えば、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と
、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物と電子輸送性の高い化合物とを含む層とを
組み合わせて形成してもよい。また、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、透
明導電膜とを組み合わせて形成してもよい。また、電荷発生層として、実施の形態1で示
した電極材料を用いることもできる。なお、光取り出し効率の点から、電荷発生層は透光
性の高い層とすることが好ましい。
【0125】
いずれにしても、第1の発光ユニット511と第2の発光ユニット512に挟まれる電
荷発生層513は、第1の電極501と第2の電極502に電圧を印加したときに、一方
の側の発光ユニットに電子を注入し、他方の側の発光ユニットに正孔を注入するものであ
れば良い。例えば、第1の電極の電位の方が第2の電極の電位よりも高くなるように電圧
を印加した場合、電荷発生層513は、第1の発光ユニット511に電子を注入し、第2
の発光ユニット512に正孔を注入するものであればいかなる構成でもよい。
【0126】
本実施の形態では、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明したが、同様に
、3つ以上の発光ユニットを積層した発光素子についても、同様に適用することが可能で
ある。本実施の形態に係る発光素子のように、一対の電極間に複数の発光ユニットを電荷
発生層で仕切って配置することで、電流密度を低く保ったまま、高輝度領域での長寿命素
子を実現できる。また、照明を応用例とした場合は、電極材料の抵抗による電圧降下を小
さくできるので、大面積での均一発光が可能となる。また、低電圧駆動が可能で消費電力
が低くい発光装置を実現することができる。
【0127】
また、それぞれの発光ユニットの発光色を異なるものにすることで、発光素子全体とし
て、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つの発光ユニットを有する発光素子
において、第1の発光ユニットの発光色と第2の発光ユニットの発光色を補色の関係にな
るようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である
。なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係に
ある色を発光する物質から得られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。また
、3つの発光ユニットを有する発光素子の場合でも同様であり、例えば、第1の発光ユニ
ットの発光色が赤色であり、第2の発光ユニットの発光色が緑色であり、第3の発光ユニ
ットの発光色が青色である場合、発光素子全体としては、白色発光を得ることができる。
【0128】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0129】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の発光素子を有する発光装置について説明する。
【0130】
本実施の形態では、画素部に本発明の発光素子を有する発光装置について図7を用いて
説明する。なお、図7(A)は、発光装置を示す上面図、図7(B)は図7(A)をA−
A’およびB−B’で切断した断面図である。この発光装置は、発光素子の発光を制御す
るものとして、点線で示された駆動回路部(ソース側駆動回路)601、画素部602、
駆動回路部(ゲート側駆動回路)603を含んでいる。また、604は封止基板、605
はシール材であり、シール材605で囲まれた内側は、空間607になっている。
【0131】
なお、引き回し配線608はソース側駆動回路601及びゲート側駆動回路603に入
力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプ
リントサーキット)609からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号
等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント
配線基板(PWB)が取り付けられていても良い。本明細書における発光装置には、発光
装置本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものと
する。
【0132】
次に、断面構造について図7(B)を用いて説明する。素子基板610上には駆動回路
部及び画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路601
と、画素部602中の一つの画素が示されている。
【0133】
なお、ソース側駆動回路601はNチャネル型TFT623とPチャネル型TFT62
4とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路は、種々のCMOS回路
、PMOS回路もしくはNMOS回路で形成しても良い。また、本実施の形態では、基板
上に駆動回路を形成したドライバ一体型を示すが、必ずしもその必要はなく、駆動回路を
基板上ではなく外部に形成することもできる。
【0134】
また、画素部602はスイッチング用TFT611と、電流制御用TFT612とその
ドレインに電気的に接続された第1の電極613とを含む複数の画素により形成される。
なお、第1の電極613の端部を覆って絶縁物614が形成されている。ここでは、ポジ
型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
【0135】
また、被覆性を良好なものとするため、絶縁物614の上端部または下端部に曲率を有
する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物614の材料としてポジ型の感光性ア
クリルを用いた場合、絶縁物614の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有
する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物614として、光の照射によってエッ
チャントに不溶解性となるネガ型、或いは光の照射によってエッチャントに溶解性となる
ポジ型のいずれも使用することができる。
【0136】
第1の電極613上には、EL層616、および第2の電極617がそれぞれ形成され
ている。ここで、第1の電極613に用いる材料としては、さまざまな金属、合金、電気
伝導性化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。第1の電極を陽極として用
いる場合には、その中でも、仕事関数の大きい(仕事関数4.0eV以上)金属、合金、
電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。例えば、珪素を
含有した酸化インジウム−酸化スズ膜、酸化インジウム−酸化亜鉛膜、窒化チタン膜、ク
ロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタン膜とアルミニウ
ムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタ
ン膜との3層構造等の積層膜を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線とし
ての抵抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれ、さらに陽極として機能させること
ができる。
【0137】
また、EL層616は、蒸着マスクを用いた蒸着法、インクジェット法、スピンコート
法等の種々の方法によって形成される。EL層616は、実施の形態1〜実施の形態2で
示したキャリアの移動を制御する層を有している。また、EL層616を構成する材料と
しては、低分子化合物、または高分子化合物、オリゴマー、デンドリマーのいずれを用い
てもよい。また、EL層に用いる材料としては、有機化合物だけでなく、無機化合物を用
いてもよい。
【0138】
また、第2の電極617に用いる材料としては、さまざまな金属、合金、電気伝導性化
合物、およびこれらの混合物を用いることができる。第2の電極を陰極として用いる場合
には、その中でも、仕事関数の小さい(仕事関数3.8eV以下)金属、合金、電気伝導
性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。例えば、元素周期表の第
1族または第2族に属する元素、すなわちリチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアル
カリ金属、およびマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)
等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(MgAg、AlLi)等が挙げられる
。なお、EL層616で生じた光を第2の電極617を透過させる場合には、第2の電極
617として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜(酸化インジウム−酸化スズ(I
TO)、珪素若しくは酸化珪素を含有した酸化インジウム−酸化スズ、酸化インジウム−
酸化亜鉛(IZO)、酸化タングステン及び酸化亜鉛を含有した酸化インジウム(IWZ
O)等)との積層膜を用いることも可能である。
【0139】
さらにシール材605で封止基板604を素子基板610と貼り合わせることにより、
素子基板610、封止基板604、およびシール材605で囲まれた空間607に発光素
子618が備えられた構造になっている。なお、空間607には、充填材が充填されてお
り、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材605が充填され
る場合もある。
【0140】
なお、シール材605にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料
はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板604
に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass−Rei
nforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、ポリエステル
またはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
【0141】
以上のようにして、本発明の発光素子を有する発光装置を得ることができる。
【0142】
本発明の発光装置は、実施の形態1〜実施の形態2で示した発光素子を有する。そのた
め、発光効率が高い発光装置を得ることができる。
【0143】
また、発光効率が高い発光素子を有しているため、低消費電力の発光装置を得ることが
できる。
【0144】
また、劣化が少なく、寿命の長い発光素子を有しているため、寿命の長い発光装置を得
ることができる。
【0145】
以上のように、本実施の形態では、トランジスタによって発光素子の駆動を制御するア
クティブマトリクス型の発光装置について説明したが、パッシブマトリクス型の発光装置
であってもよい。図8には本発明を適用して作製したパッシブマトリクス型の発光装置の
斜視図を示す。なお、図8(A)は、発光装置を示す斜視図、図8(B)は図8(A)を
X−Yで切断した断面図である。図8において、基板951上には、電極952と電極9
56との間にはEL層955が設けられている。電極952の端部は絶縁層953で覆わ
れている。そして、絶縁層953上には隔壁層954が設けられている。隔壁層954の
側壁は、基板面に近くなるに伴って、一方の側壁と他方の側壁との間隔が狭くなっていく
ような傾斜を有する。つまり、隔壁層954の短辺方向の断面は、台形状であり、底辺(
絶縁層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接する辺)の方が上辺(絶縁
層953の面方向と同様の方向を向き、絶縁層953と接しない辺)よりも短い。このよ
うに、隔壁層954を設けることで、陰極をパターニングすることができる。また、パッ
シブマトリクス型の発光装置においても、発光効率が高い本発明の発光素子を含むことに
よって、発光効率が高い発光装置を得ることができる。
【0146】
本発明の発光装置は、実施の形態1〜実施の形態2で示した発光素子を有する。そのた
め、発光効率が高い発光装置を得ることができる。
【0147】
また、発光効率が高い発光素子を有しているため、低消費電力の発光装置を得ることが
できる。
【0148】
また、劣化が少なく、寿命の長い発光素子を有しているため、寿命の長い発光装置を得
ることができる。
【0149】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【0150】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態3に示す発光装置をその一部に含む本発明の電子機器に
ついて説明する。本発明の電子機器は、実施の形態1〜実施の形態2で示した発光素子を
有し、発光効率が高く、低消費電力の表示部を有する。また、寿命の長い表示部を有する

【0151】
本発明の発光装置を用いて作製された電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ
、ゴーグル型ディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、
オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュー
タ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具
体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生
し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置)などが挙げられる。これらの電子機器
の具体例を図9に示す。
【0152】
図9(A)は本実施の形態に係るテレビ装置であり、筐体9101、支持台9102、
表示部9103、スピーカー部9104、ビデオ入力端子9105等を含む。このテレビ
装置において、表示部9103は、実施の形態1〜2で説明したものと同様の発光素子を
マトリクス状に配列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、消費電力が
低いという特徴を有している。また、長寿命であるという特徴を有している。その発光素
子で構成される表示部9103も同様の特徴を有するため、このテレビ装置は画質の劣化
が少なく、低消費電力化が図られている。このような特徴により、テレビ装置において、
劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは縮小することができるので、筐体910
1や支持台9102の小型軽量化を図ることが可能である。本実施の形態に係るテレビ装
置は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図られているので、それにより住環境に適合
した製品を提供することができる。
【0153】
図9(B)は本実施の形態に係るコンピュータであり、本体9201、筐体9202、
表示部9203、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングデバイ
ス9206等を含む。このコンピュータにおいて、表示部9203は、実施の形態1〜2
で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されている。当該発光素
子は、発光効率が高く、消費電力が低いという特徴を有している。また、長寿命であると
いう特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9203も同様の特徴を有する
ため、このコンピュータは画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られている。このよう
な特徴により、コンピュータにおいて、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、若しくは
縮小することができるので、本体9201や筐体9202の小型軽量化を図ることが可能
である。本実施の形態に係るコンピュータは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図ら
れているので、環境に適合した製品を提供することができる。また、持ち運ぶことも可能
となり、持ち運ぶときの外部からの衝撃にも強い表示部を有しているコンピュータを提供
することができる。
【0154】
図9(C)は本実施の形態に係る携帯電話であり、本体9401、筐体9402、表示
部9403、音声入力部9404、音声出力部9405、操作キー9406、外部接続ポ
ート9407、アンテナ9408等を含む。この携帯電話において、表示部9403は、
実施の形態1〜2で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配列して構成されて
いる。当該発光素子は、発光効率が高く、消費電力が低いという特徴を有している。また
、長寿命であるという特徴を有している。その発光素子で構成される表示部9403も同
様の特徴を有するため、この携帯電話は画質の劣化が少なく、低消費電力化が図られてい
る。このような特徴により、携帯電話において、劣化補償機能や電源回路を大幅に削減、
若しくは縮小することができるので、本体9401や筐体9402の小型軽量化を図るこ
とが可能である。本実施の形態に係る携帯電話は、低消費電力、高画質及び小型軽量化が
図られているので、携帯に適した製品を提供することができる。また、携帯したときの衝
撃にも強い表示部を有している製品を提供することができる。
【0155】
図9(D)はカメラであり、本体9501、表示部9502、筐体9503、外部接続
ポート9504、リモコン受信部9505、受像部9506、バッテリー9507、音声
入力部9508、操作キー9509、接眼部9510等を含む。このカメラにおいて、表
示部9502は、実施の形態1〜2で説明したものと同様の発光素子をマトリクス状に配
列して構成されている。当該発光素子は、発光効率が高く、消費電力が低いという特徴を
有している。また、長寿命であるという特徴を有している。その発光素子で構成される表
示部9502も同様の特徴を有するため、このカメラは画質の劣化が少なく、低消費電力
化が図られている。このような特徴により、カメラにおいて、劣化補償機能や電源回路を
大幅に削減、若しくは縮小することができるので、本体9501の小型軽量化を図ること
が可能である。本実施の形態に係るカメラは、低消費電力、高画質及び小型軽量化が図ら
れているので、携帯に適した製品を提供することができる。また、携帯したときの衝撃に
も強い表示部を有している製品を提供することができる。
【0156】
図10は音響再生装置、具体例としてカーオーディオであり、本体701、表示部702
、操作スイッチ703、704を含む。表示部702は実施の形態2の発光装置(パッシ
ブマトリクス型またはアクティブマトリクス型)で実現することができる。また、この表
示部702はセグメント方式の発光装置で形成しても良い。いずれにしても、本発明に係
る発光素子を用いることにより、車両用電源(12〜42V)を使って、低消費電力化を
図りつつ、寿命が長く明るい表示部を構成することができる。また、本実施例では車載用
オーディオを示すが、携帯型や家庭用のオーディオ装置に用いても良い。
【0157】
図11は、その一例としてデジタルプレーヤーを示している。図11に示すデジタルプレ
ーヤーは、本体710、表示部711、メモリ部712、操作部713、イヤホン714
等を含んでいる。なお、イヤホン714の代わりにヘッドホンや無線式イヤホンを用いる
ことができる。表示部711として、実施の形態2の発光装置(パッシブマトリクス型ま
たはアクティブマトリクス型)で実現することができる。また、この表示部711はセグ
メント方式の発光装置で形成しても良い。いずれにしても、本発明に係る発光素子を用い
ることにより、二次電池(ニッケル−水素電池など)を使っても表示が可能であり、低消
費電力化を図りつつ、寿命が長く明るい表示部を構成することができる。メモリ部712
は、ハードディスクや不揮発性メモリを用いている。例えば、記録容量が20〜200ギ
ガバイト(GB)のNAND型不揮発性メモリを用い、操作部713を操作することによ
り、映像や音声(音楽)を記録、再生することができる。なお、表示部711は黒色の背
景に白色の文字を表示することで消費電力を抑えられる。これは携帯型のオーディオ装置
において特に有効である。
【0158】
以上の様に、本発明を適用して作製した発光装置の適用範囲は極めて広く、この発光装
置をあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。本発明を適用することにより
、低消費電力で、信頼性の高い表示部を有する電子機器を作製することが可能となる。
【0159】
また、本発明を適用した発光装置は、発光効率の高い発光素子を有しており、照明装置
として用いることもできる。本発明を適用した発光素子を照明装置として用いる一態様を
、図12を用いて説明する。
【0160】
図12は、本発明の発光装置をバックライトとして用いた液晶表示装置の一例である。
図12に示した液晶表示装置は、筐体901、液晶層902、バックライト903、筐体
904を有し、液晶層902は、ドライバIC905と接続されている。また、バックラ
イト903は、本発明の発光装置が用いられおり、端子906により、電流が供給されて
いる。
【0161】
本発明の発光装置を液晶表示装置のバックライトとして用いることにより、発光効率の
高いバックライトが得られる。また、寿命の長いバックライトが得られる。また、本発明
の発光装置は、面発光の照明装置であり大面積化も可能であるため、バックライトの大面
積化が可能であり、液晶表示装置の大面積化も可能になる。さらに、本発明の発光装置は
薄型で低消費電力であるため、表示装置の薄型化、低消費電力化も可能となる。
【0162】
図13は、本発明を適用した発光装置を、照明装置である電気スタンドとして用いた例
である。図13に示す電気スタンドは、筐体2001と、光源2002を有し、光源20
02として、本発明の発光装置が用いられている。本発明の発光装置は長寿命であるため
、電気スタンドも長寿命である。
【0163】
図14は、本発明を適用した発光装置を、室内の照明装置3001として用いた例であ
る。本発明の発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置として用いること
ができる。また、本発明の発光装置は、長寿命であるため、長寿命の照明装置として用い
ることが可能となる。このように、本発明を適用した発光装置を、室内の照明装置300
1として用いた部屋に、図9(A)で説明したような、本発明に係るテレビ装置3002
を設置して公共放送や映画を鑑賞することができる。このような場合、両装置は長寿命で
あるので、照明装置やテレビ装置の買い換え回数を減らすことができ、環境への負荷を低
減することができる。
【0164】
なお、本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0165】
201 基板
202 第1の電極
203 EL層
204 第2の電極
211 正孔注入層
212 正孔輸送層
213 正孔の移動を制御する層
214 発光層
215 電子の移動を制御する層
216 電子輸送層
217 電子注入層
241 第3の有機化合物
242 第4の有機化合物
501 第1の電極
502 第2の電極
511 第1の発光ユニット
512 第2の発光ユニット
513 電荷発生層
601 ソース側駆動回路
602 画素部
603 ゲート側駆動回路
604 封止基板
605 シール材
607 空間
608 配線
609 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
610 素子基板
611 スイッチング用TFT
612 電流制御用TFT
613 第1の電極
614 絶縁物
616 EL層
617 第2の電極
618 発光素子
623 Nチャネル型TFT
624 Pチャネル型TFT
701 本体
702 表示部
703 操作スイッチ
704 表示部
710 本体
711 表示部
712 メモリ部
713 操作部
714 イヤホン
901 筐体
902 液晶層
903 バックライト
904 筐体
905 ドライバIC
906 端子
951 基板
952 電極
953 絶縁層
954 隔壁層
955 EL層
956 電極
2001 筐体
2002 光源
3001 照明装置
3002 テレビ装置
9101 筐体
9102 支持台
9103 表示部
9104 スピーカー部
9105 ビデオ入力端子
9201 本体
9202 筐体
9203 表示部
9204 キーボード
9205 外部接続ポート
9206 ポインティングデバイス
9401 本体
9402 筐体
9403 表示部
9404 音声入力部
9405 音声出力部
9406 操作キー
9407 外部接続ポート
9408 アンテナ
9501 本体
9502 表示部
9503 筐体
9504 外部接続ポート
9505 リモコン受信部
9506 受像部
9507 バッテリー
9508 音声入力部
9509 操作キー
9510 接眼部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と陰極との間に、発光層と第1の層と第2の層を有し、
前記第1の層は、前記発光層と前記陽極との間に設けられており、
前記第2の層は、前記発光層と前記陰極との間に設けられており、
前記第1の層は、第1の有機化合物と第2の有機化合物とを含み、
前記第1の有機化合物は、前記第2の有機化合物よりも多く含まれており、
前記第1の有機化合物は、正孔輸送性を有し、
前記第2の有機化合物は、イリジウムを含む有機金属錯体を有し、
前記第2の層は、第3の有機化合物と第4の有機化合物とを含み、
前記第3の有機化合物は、前記第4の有機化合物よりも多く含まれており、
前記第3の有機化合物は、電子輸送性を有し、
前記第4の有機化合物は、正孔輸送性を有することを特徴とする発光素子。
【請求項2】
陽極と陰極との間に、発光層と第1の層と第2の層を有し、
前記第1の層は、前記発光層と前記陽極との間に設けられており、
前記第2の層は、前記発光層と前記陰極との間に設けられており、
前記第1の層は、第1の有機化合物と第2の有機化合物とを含み、
前記第1の有機化合物は、前記第2の有機化合物よりも多く含まれており、
前記第1の有機化合物は、正孔輸送性を有し、
前記第2の有機化合物は、イリジウムを含む有機金属錯体を有し、
前記第2の層は、第3の有機化合物と第4の有機化合物とを含み、
前記第3の有機化合物は、前記第4の有機化合物よりも多く含まれており、
前記第3の有機化合物は、電子輸送性を有し、
前記第4の有機化合物は、正孔輸送性を有し、
前記第2の層と前記発光層とは接することを特徴とする発光素子。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記発光層は、燐光を発光する物質を含むことを特徴とする発光素子。
【請求項4】
請求項1または請求項2において、
前記発光層は、有機金属錯体を含むことを特徴とする発光素子。
【請求項5】
請求項1または請求項2において、
前記発光層は、蛍光を発光する物質を含むことを特徴とする発光素子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2013−102202(P2013−102202A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−9166(P2013−9166)
【出願日】平成25年1月22日(2013.1.22)
【分割の表示】特願2008−239761(P2008−239761)の分割
【原出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】