説明

発光薄膜および発光素子ならびに発光薄膜の形成方法

【課題】 簡易に形成することが可能であり、発光再現性および発光効率が高く、所望の発光スペクトルを有する発光薄膜および発光素子を提供する。
【解決手段】 Si基板2上に形成したa−Siに対して+2価のEuを選択的にイオン注入し、その後アニーリング処理を施すことにより発光素子3を形成し、さらにITO電極4およびAl電極5を形成する。簡易な手法により、発光再現性および発光効率が高く、不純物ピークのない理想的な白色発光スペクトルを有する発光薄膜および発光素子を得ることができる。ITO付き石英ガラス基板上にSiやSi酸化物の薄膜を形成し、この薄膜に対してイオン注入することにより、さらにはSi基板に直接イオン注入することにより形成することも可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、希土類元素、クロム(Cr)およびマンガン(Mn)のうちの少なくとも1種からなる元素を加えたシリコン(Si)またはSi酸化物を含む発光薄膜およびそのような発光薄膜を備えた発光素子、ならびに発光薄膜の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のエレクトロニクス技術を支えているシリコン(Si)半導体は、間接遷移型であり、発光効率が非常に低いため、ディスプレイ用の発光デバイスには、有機材料、ならびにガリウムヒ素(GaAs)およびガリウム窒素(GaN)などの発光効率の高い直接遷移型の化合物半導体が用いられている。
【0003】
しかし、これらの材料は、その安定性、酸化膜の質、資源の豊富さ、集積回路作成技術などの点において、Si半導体と比較して劣るため、室温で強く光るSi半導体の出現が望まれている。
【0004】
また、蛍光体材料である希土類元素のユウロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、テルビウム(Tb)などは、従来より、蛍光灯、X線感光体などに使用されている高輝度発光体として知られている。
【0005】
このような希土類元素とSi半導体とを組み合わせて発光体を得る試みはほとんどなく、また、あったとしても、非常に費用のかかる分子線エピタキシーおよびイオン注入技術を必要とするため、実用化に際しては、大量生産性、価格等の点で問題があった。
【0006】
そこで、簡易な手法により、希土類元素とSi半導体とを組み合わせた発光体を得る試みがなされている。
【0007】
例えば、特許文献1には、ユウロピウムシリサイド(EuSi2)粉末をSi基板上に分散させて同時スパッタリングすることにより、またはEu粉末とSi粉末とを焼成して通常のスパッタリングターゲットとして用いることにより、EuとSi半導体とを組み合わせた発光薄膜を形成する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2000−306674号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記した特許文献1の技術では、EuSi2粉末をSi基板上に分散させることで発光薄膜を形成するため、形成された発光薄膜の再現性が乏しいという問題があった。また、Eu金属粉末とSi粉末とを焼成してスパッタリングターゲットを作製することも容易ではなく、現実的ではない。
【0009】
さらに、このようにして形成された発光薄膜においても、所望の+2価のEu化合物であるEu2SiO4以外に、+1価のEu化合物であるEuSiO3や+3価のEuが不純物として存在するため、十分な発光効率が得られないという問題があった。つまり、同文献の図3における矢印で示されているように、その発光スペクトルに+3価のEuに起因するシャープなピークが発生してしまい、所望する理想的な白色スペクトルが得られなかった。
【0010】
このように、単にEuSi2粉末をSi基板上に分散さたり、Eu粉末とSi粉末とを焼成したスパッタリングターゲットを用いるような従来の技術では、発光再現性および発光効率が高く、所望の発光スペクトルを有する発光体を簡易に形成することが困難であるという問題があった。
【0011】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、簡易に形成することが可能であり、発光再現性および発光効率が高く、所望の発光スペクトルを有する発光薄膜および発光素子ならびに発光薄膜の形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の発光薄膜は、希土類元素、クロム(Cr)およびマンガン(Mn)のうちの少なくとも1種からなる元素が所望の価数でイオン注入された後、アニーリング処理が施されたシリコン(Si)またはSi酸化物を含むものである。+2価のユウロピウム(Eu)がイオン注入された場合には、白色発光するようにすることが可能である。
【0013】
本発明の第1の発光素子は、以下の構成要件(A)〜(C)を備えたものである。
(A)シリコン(Si)基板上に形成され、希土類元素、クロム(Cr)およびマンガン(Mn)のうちの少なくとも1種からなる元素が所望の価数でイオン注入された後、アニーリング処理が施されたSiまたはSi酸化物を含む発光薄膜
(B)発光薄膜上に形成された第1の電極
(C)Si基板の裏面に形成された第2の電極
【0014】
本発明の第2の発光素子は、以下の構成要件(A)〜(C)を備えたものである。
(A)透明基板上に形成された第1の電極
(B)第1の電極上に形成され、希土類元素、クロム(Cr)およびマンガン(Mn)のうちの少なくとも1種からなる元素が所望の価数でイオン注入された後、アニーリング処理が施されたシリコン(Si)またはSi酸化物を含む発光薄膜
(C)発光薄膜上に形成された第2の電極
【0015】
本発明の発光薄膜の形成方法は、シリコン(Si)またはSi酸化物に対して希土類元素、クロム(Cr)およびマンガン(Mn)のうちの少なくとも1種からなる元素を所望の価数でイオン注入し、その後アニーリング処理を施す工程を含むものである。
【0016】
本発明の発光薄膜、発光素子または発光薄膜の形成方法では、シリコン(Si)またはSi酸化物に対して希土類元素、クロム(Cr)およびマンガン(Mn)のうちの少なくとも1種からなる元素が所望の価数でイオン注入され、その後アニーリング処理が施されることで、母体であるシリコン(Si)またはSi酸化物においてイオンの価数が制御され、所望の価数の元素のみを有する発光薄膜が容易に得られる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の発光薄膜、発光素子または発光薄膜の形成方法によれば、SiまたはSi酸化物中に所望の価数の希土類元素、クロム(Cr)およびマンガン(Mn)のうちの少なくとも1種からなる元素のみを添加するようにしたので、発光再現性および発光効率が高く、所望の発光スペクトルを有する発光薄膜または発光素子を簡易に得ることが可能となる。特に、+2価のユウロピウム(Eu)を添加するようにした場合には、理想的な白色発光スペクトルを有する発光薄膜または発光素子を簡易に得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施の形態に係る発光素子の例を断面図で表したものである。この発光素子1は、ITO(Indium Tin Oxide)電極4およびアルミニウム(Al)電極5の間に、Al電極5側から、Si基板2およびその上に形成された発光薄膜3を備えている。そしてこの場合、Al電極5側が+電極、ITO電極4側が−電極となるように直流電源Eを接続し、直流電圧を印加することで発光薄膜3が発光し、透明なITO電極4を透過して出射光Lを出射するようになっている。
【0020】
Si基板2は、発光薄膜3を形成するための基板である。p型かn型の選択は、発光薄膜3上に形成される電極の種類によって決定する。ここでは、図のように発光薄膜3上にはITO電極4が形成され、これがn型であることから、p型のSi基板2を使用している。よって、発光薄膜3上にp型の電極を形成する場合には、n型のSi基板を使用することも可能である。
【0021】
発光薄膜3は、SiまたはSi酸化物に対して希土類元素、クロム(Cr)およびマンガン(Mn)のうちの少なくとも1種からなる元素をイオン注入することにより形成されたものである。後述するように、これらの元素を所望の価数でイオン注入し、その後所定のアニーリング処理を施すことで、発光再現性および発光効率が高く、所望の発光スペクトルを得ることができる。なお、以下の説明においては、アモルファス−シリコン(a−Si)に対して、+2価のユウロピウム(Eu)を選択的にイオン注入する場合の例について説明する。
【0022】
ITO電極4は、上記のように発光薄膜3と直流電源Eとを接続するための電極である。この例では、発光薄膜3からの出射光Lを透過させるため、透明のITO電極4を使用しているが、電極として利用できるものであれば、他の電極を用いて構成してもよい。また、上記のように、この電極はp型またはn型のいずれも利用可能である。
【0023】
Al電極5は、上記のようにITO電極4と同様、発光薄膜3と直流電源Eとを接続するための電極である。この例ではAl電極5を使用しているが、電極として利用できるものであれば、他の電極を用いて構成してもよい。
【0024】
次に、このような構成の発光素子1の形成方法について説明する。
【0025】
図2は、図1の発光素子1の形成工程の一部を断面図で表したものである。
【0026】
まず、Si基板2上に発光薄膜3を形成する前に、自然酸化膜を除去して界面抵抗を下げ、発光させる際に印加する直流電圧における電圧降下をなるべく小さくするようにする。このとき、自然酸化膜の除去は、bafferd NH4Fおよび希釈HF(1〜10%)等にSi基板2を5〜20分浸透することによって行われる。また、このSi基板2はなるべく低抵抗なものが良いが、ここでは3〜5Ω・cmのものを用いた。
【0027】
続いて、図2(A)に示したように、自然酸化膜を除去した後、直ちにSi基板2上に発光薄膜3となるa−Siを形成する。a−Siは、例えば厚さを100nmで、例えば化学気相成長(CVD;Chemical Vapor Deposition)法により形成する。
【0028】
続いて、このようにして形成したa−Siに対して、+2価のEuのイオン注入を施す。この際、イオン注入時の加速電圧により、発光薄膜3の膜厚を制御することが可能である。つまり、発光薄膜3の膜厚を厚くする場合には、加速電圧を高加速から低加速まで数回に分けてイオン注入を施し、厚さ方向に均等にイオン注入がなされるようにする。今回は、100nmの発光薄膜3を形成するため、100keV、75keV、50keVのエネルギーにて3回に分けてイオン注入を施した。なお、発光薄膜3の最適な膜厚は、50nm〜10000nmの範囲である。この範囲よりも膜厚が薄いと発光効率が低下してしまい、また、この範囲よりも膜厚が厚いと膜の抵抗が大きくなり、直流電圧を印加しても電流が流れなくなるからである。
【0029】
続いて、イオン注入した部分の欠陥を低減させるため、例えば、真空中にて1000度、15分間のアニーリング処理を施す。ただし、アニーリング処理を施す雰囲気は真空中には限られず、酸素雰囲気、窒素雰囲気でもよい。また、アニーリング処理を施す温度は、900〜1200度の範囲であることが望ましい。なおこの場合、アニーリング処理により、a−Siがポリ−シリコン(p−Si)化される。
【0030】
続いて、このようにして形成された発光薄膜3に基づいて発光素子1を形成するため、図2(B)に示したように、発光薄膜3上およびSi基板2の裏面に、それぞれITO電極4およびAl電極5を形成する。ITO電極4は、例えば100nm程度の厚さで、例えば蒸着法または対向ターゲット式スパッタリング(FTS;Facing Target Sputtering)法により形成する。また、Al電極5は、例えば300nm程度の厚さで、例えば蒸着法またはFTS法により形成する。以上のようにして、図1に示したような発光薄膜3を有する発光素子1が得られる。
【0031】
次に、このようにして形成された発光薄膜3および発光素子1の特性について説明する。
【0032】
まず、このようにして形成された発光薄膜3を、エネルギー分散X線分光法(EDX;Energy Dispersive X-ray spectroscopy)により構造回析すると、Euの原子量が約25%となった。この分析結果により、この発光薄膜3は、+2価のEu化合物であるEu2SiO4から構成されていると考えられる。つまり所望通りに、a−Siに対してEuが+2価でイオン注入されたものと考えられる。
【0033】
次に、発光素子1に対して、図1に示したように直流電源Eから直流電圧を印加したところ、図3に示したように、+3価のEuに起因する不純物のシャープなピーク等が存在しない、理想的な白色発光スペクトルが得られた。つまり、この発光スペクトルの帯域は400〜800nmのほぼ可視領域の全域にわたるものである。なお、このような広帯域な発光スペクトルは、キャリア(電子と正孔)が発光薄膜3に注入され、これらのエネルギーが+2価のEuイオンに移動((4f)6(5d)→(4f)7遷移)した結果によるものと考えられ、母体結晶であるSiとイオン注入されたEuとの間で結晶場の影響による相互作用が働いているものと推測される。
【0034】
また、この発光薄膜3の発光面の大きさは、形成するITO電極4の大きさにより決まる。よって、工業化を念頭に置いた場合、得られる発光素子1の大きさは、ここではSi基板2の大きさにより決定され、現在の段階では、直径が30〜40cmのものが利用可能である。さらに、この手法により形成された発光薄膜3による白色光は、発光再現性が高いため(イオン注入により+2価のEuイオンを正確に制御することが可能なため)、例えば、20cm×20cmの正方形状の発光素子1をタイル状に並べることにより、物理的にはどのような大きさにも対応することが可能となる。
【0035】
次に、発光素子1の電流電圧特性を調べたところ、図4に示したような特性となった。ここで、縦軸は電流密度J(mA/cm2)、横軸は電圧(V)である。この結果により、この発光薄膜3の比抵抗は、約1010Ω・cmと高抵抗な膜であることがわかる。この値より、ここで形成された発光薄膜3は、ほぼ絶縁体とみなすことができる。
【0036】
以上のように、本実施の形態の発光薄膜、発光素子および発光薄膜の形成方法によれば、Si基板2上に形成したa−Siに対して+2価のEuを選択的にイオン注入し、その後アニーリング処理を施すことにより発光薄膜3を形成し、さらにITO電極4およびAl電極5を形成して発光素子1を形成するようにしたので、簡易な手法により、発光効率が高く、不純物ピークのない理想的な白色発光スペクトルを有する発光薄膜および発光素子を得ることが可能となる。
【0037】
また、本実施の形態の発光薄膜、発光素子および発光薄膜の形成方法によれば、+2価のEuイオンを選択的にイオン注入するようにしたので、所望のイオン価数を正確に制御することができ、これにより発光再現性の高い発光薄膜および発光素子を得ることが可能となる。
【0038】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されず、種々の変形が可能である。
【0039】
例えば、実施の形態では、希土類元素、クロム(Cr)およびマンガン(Mn)のうちの少なくとも1種からなる元素として+2価のEuを選択的にイオン注入し、これにより理想的な白色発光スペクトルを有する発光薄膜3を形成する場合の例について説明してきたが、これらの元素とそのイオンの価数との組み合わせを選択することにより、他の任意の発光スペクトルを有する発光薄膜を形成することも可能である。例えば、希土類元素には、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のうちの少なくとも1種の元素を適用することが可能である。
【0040】
また、例えば、SiやSi酸化物に対して、+3価のユウロピウム(Eu)を選択的にイオン注入することにより赤色発光する発光薄膜を、+3価のテルビウム(Tb)を選択的にイオン注入することにより緑色発光する発光薄膜を、+3価のセリウム(Ce)を選択的にイオン注入することにより青色発光する発光薄膜を、それぞれ形成することが可能である。
【0041】
また、実施の形態では、Si基板2上に発光薄膜3を形成する場合の例で説明してきたが、他の材料からなる基板により形成することも可能である。つまり、図5に示したように、ディスプレイ材料などに利用されているITO付き石英ガラス基板などの透明基板を用いることも可能である。この場合、図に示したように、石英ガラス基板6上に形成されているITO電極4上に、SiやSi酸化物に希土類元素、クロム(Cr)およびマンガン(Mn)のうちの少なくとも1種からなる元素を所望の価数でイオン注入した発光薄膜3を形成し、さらにこの発光薄膜3上に例えば実施の形態と同様にAl電極5を形成することになる。そして、実施の形態と同様に、Al電極5側が+電極、ITO電極4側が−電極となるように直流電源Eを接続し、直流電圧を印加することで発光薄膜3が発光し、透明なITO電極4および石英ガラス基板6を透過して出射光Lを出射することとなる。
【0042】
さらに、実施の形態では、Si基板2上に形成したa−Siに対して+2価のEuをイオン注入し、発光薄膜3を形成する場合の例で説明してきたが、Si基板に対して直接イオン注入を施すことにより形成することも可能である。つまり、Si基板に対して直接イオン注入を施すことでSi基板の表面をa−Si化し、実施の形態と同様の発光薄膜を形成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施の形態に係る発光素子の例を表した断面図である。
【図2】図1の発光素子の形成工程を説明するための断面図である。
【図3】図1の発光素子の発光スペクトル図である。
【図4】図1の発光素子の電流電圧特性図である。
【図5】本発明の発光素子の他の例を表した断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1…発光素子、2…Si基板、3…発光薄膜、4…ITO電極、5…Al電極、6…石英ガラス基板、E…直流電源、L…出射光。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
希土類元素、クロム(Cr)およびマンガン(Mn)のうちの少なくとも1種からなる元素が所望の価数でイオン注入された後、アニーリング処理が施されたシリコン(Si)またはSi酸化物を含む
ことを特徴とする発光薄膜。
【請求項2】
+2価のユウロピウム(Eu)がイオン注入されたことにより、白色発光する
ことを特徴とする請求項1に記載の発光薄膜。
【請求項3】
900〜1200度の温度でアニーリング処理が施された
ことを特徴とする請求項2に記載の発光薄膜。
【請求項4】
+3価のユウロピウム(Eu)がイオン注入されたことにより、赤色発光する
ことを特徴とする請求項1に記載の発光薄膜。
【請求項5】
+3価のテルビウム(Tb)がイオン注入されたことにより、緑色発光する
ことを特徴とする請求項1に記載の発光薄膜。
【請求項6】
+3価のセリウム(Ce)がイオン注入されたことにより、青色発光する
ことを特徴とする請求項1に記載の発光薄膜。
【請求項7】
前記希土類元素が、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のうちの少なくとも1種の元素である
ことを特徴とする請求項1に記載の発光薄膜。
【請求項8】
シリコン(Si)基板上に形成され、希土類元素、クロム(Cr)およびマンガン(Mn)のうちの少なくとも1種からなる元素が所望の価数でイオン注入された後、アニーリング処理が施されたSiまたはSi酸化物を含む発光薄膜と、
前記発光薄膜上に形成された第1の電極と、
前記Si基板の裏面に形成された第2の電極と
を備えたことを特徴とする発光素子。
【請求項9】
+2価のユウロピウム(Eu)がイオン注入されたことにより、白色発光する
ことを特徴とする請求項8に記載の発光素子。
【請求項10】
900〜1200度の温度でアニーリング処理が施された
ことを特徴とする請求項9に記載の発光素子。
【請求項11】
+3価のユウロピウム(Eu)がイオン注入されたことにより、赤色発光する
ことを特徴とする請求項8に記載の発光素子。
【請求項12】
+3価のテルビウム(Tb)がイオン注入されたことにより、緑色発光する
ことを特徴とする請求項8に記載の発光素子。
【請求項13】
+3価のセリウム(Ce)がイオン注入されたことにより、青色発光する
ことを特徴とする請求項8に記載の発光素子。
【請求項14】
前記希土類元素が、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のうちの少なくとも1種の元素である
ことを特徴とする請求項8に記載の発光素子。
【請求項15】
透明基板上に形成された第1の電極と、
前記第1の電極上に形成され、希土類元素、クロム(Cr)およびマンガン(Mn)のうちの少なくとも1種からなる元素が所望の価数でイオン注入された後、アニーリング処理が施されたシリコン(Si)またはSi酸化物を含む発光薄膜と、
前記発光薄膜上に形成された第2の電極と
を備えたことを特徴とする発光素子。
【請求項16】
+2価のユウロピウム(Eu)がイオン注入されたことにより、白色発光する
ことを特徴とする請求項15に記載の発光素子。
【請求項17】
900〜1200度の温度でアニーリング処理が施された
ことを特徴とする請求項16に記載の発光素子。
【請求項18】
+3価のユウロピウム(Eu)がイオン注入されたことにより、赤色発光する
ことを特徴とする請求項15に記載の発光素子。
【請求項19】
+3価のテルビウム(Tb)がイオン注入されたことにより、緑色発光する
ことを特徴とする請求項15に記載の発光素子。
【請求項20】
+3価のセリウム(Ce)がイオン注入されたことにより、青色発光する
ことを特徴とする請求項15に記載の発光素子。
【請求項21】
前記希土類元素が、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のうちの少なくとも1種の元素である
ことを特徴とする請求項15に記載の発光素子。
【請求項22】
シリコン(Si)またはSi酸化物を含む発光薄膜の形成方法であって、
SiまたはSi酸化物に対して希土類元素、クロム(Cr)およびマンガン(Mn)のうちの少なくとも1種からなる元素を所望の価数でイオン注入し、その後アニーリング処理を施す工程を含む
ことを特徴とする発光薄膜の形成方法。
【請求項23】
+2価のユウロピウム(Eu)をイオン注入することにより、白色発光の発光薄膜を形成する
ことを特徴とする請求項22に記載の発光薄膜の形成方法。
【請求項24】
900〜1200度の温度でアニーリング処理を施す
ことを特徴とする請求項23に記載の発光薄膜の形成方法。
【請求項25】
+3価のユウロピウム(Eu)をイオン注入することにより、赤色発光の発光薄膜を形成する
ことを特徴とする請求項22に記載の発光薄膜の形成方法。
【請求項26】
+3価のテルビウム(Tb)をイオン注入することにより、緑色発光の発光薄膜を形成する
ことを特徴とする請求項22に記載の発光薄膜の形成方法。
【請求項27】
+3価のセリウム(Ce)をイオン注入することにより、青色発光の発光薄膜を形成する
ことを特徴とする請求項22に記載の発光薄膜の形成方法。
【請求項28】
前記希土類元素が、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のうちの少なくとも1種の元素である
ことを特徴とする請求項22に記載の発光薄膜の形成方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−32082(P2006−32082A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208282(P2004−208282)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】