説明

発光表示素子および発光表示装置

【課題】発光輝度を高くするとともに発光寿命を長くすることができる発光表示素子を提供する。
【解決手段】本発明による発光表示素子1は、各々の互いに対向する面に電極3、4が形成された一対の基板2a、2bと、一対の基板2a、2b間に挟持された発光層5とを備えている。このうち発光層5は、イオン液体10と、このイオン液体10中に溶解された発光物質11と、イオン液体10をゲル化するゲル化材料12とを有している。ゲル化材料12は、1以上の金属原子と2以上の酸素原子とから構成された酸化物微粒子からなっている。酸化物微粒子の平均一次粒子径は、10nm以上100nm未満である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光表示素子および発光表示装置に係り、とりわけ、発光輝度を高くするとともに発光寿命を長くすることができる発光表示素子および発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機EL等の発光表示素子の開発が急激に進展している。有機ELの発光表示素子は自発光素子であるため、バックライトが必要な液晶の受光素子よりも、薄型化および軽量化が図れる。それに有機ELの発光素子は自発光素子であるため、液晶の受光素子と比べると視認性に優れている。このため、有機ELの発光表示素子は、優れた視認性、高速表示性、低電圧駆動性、薄型化等の特徴を有している。
【0003】
有機ELの発光表示素子は、一般に、各々の互いに対向する面に電極が形成された一対の基板と、一対の基板間に挟持された発光層とを備えている。このうち発光層は電圧が印加されて発光する発光物質を含み、数100nmの厚さを有している。このため、対向する各電極間の距離が短く、各電極が相互に接触し易い。また、有機ELの発光表示素子の発光層には直流電圧が印加される。このため、有機ELの発光表示素子を構成する各電極間の界面に不純物が蓄積され易い。このことにより、有機ELの発光表示素子において用いられる発光層は、動作寿命が短くなる。
【0004】
このような問題に対して、電気化学反応を利用した液体からなる発光層を用いた発光表示素子の開発が行われている。このような発光表示素子は、互いに対向する面に電極が形成された一対の基板と、一対の基板間に挟持された発光層とを有し、一対の電極のうちの一方の電極上に酸化チタンなどにより形成されたポーラス電極が設けられ、各電極間に交流電圧が印加されて発光層が発光するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−317533号公報
【特許文献2】特開2008−84664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような発光表示素子においては、電極間に電圧を印加した場合における発光層からの発光の輝度は、十分に高いとは言えず、また発光寿命も十分に長くないというのが現状である。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、発光輝度を高くするとともに発光寿命を長くすることができる発光表示素子および発光表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、各々の互いに対向する面に電極が形成された一対の基板と、一対の基板間に挟持された発光層と、を備え、発光層は、イオン液体と、このイオン液体中に溶解された発光物質と、イオン液体をゲル化するゲル化材料とを有し、ゲル化材料は、1以上の金属原子と2以上の酸素原子とから構成された酸化物微粒子からなり、酸化物微粒子の平均一次粒子径は、10nm以上100nm未満であることを特徴とする発光表示装置。
【0009】
本発明は、発光層に含有される酸化物微粒子の濃度は、20重量%以上50重量%以下であることを特徴とする発光表示素子である。
【0010】
本発明は、発光層に含有される酸化物微粒子の1mあたりの一次粒子数は、0.3×1021個以上23×1021個以下であることを特徴とする発光表示素子である。
【0011】
本発明は、発光層に含有される酸化物微粒子の1mあたりの比表面積は、0.7×10以上10×10以下であることを特徴とする発光表示素子である。
【0012】
本発明は、酸化物微粒子は、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化セリウム、および酸化イットリウムのうちいずれかの材料からなることを特徴とする発光表示素子である。
【0013】
本発明は、一対の電極のうちの一方の電極が白金からなることを特徴とする発光表示素子である。
【0014】
本発明は、発光表示素子と、この発光表示素子の一対の電極間に接続され、発光層に対して交流電圧を印加する交流電源と、を備えたことを特徴とする発光表示装置である。
【0015】
本発明は、交流電源が発光層に対して印加する交流電圧の周波数は、60Hz以上1000Hz以下であることを特徴とする発光表示装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、発光輝度を高くするとともに発光寿命を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の実施の形態における発光表示装置の全体構成を示す図。
【図2】図2は、本発明の実施例1における発光物質が溶解されたイオン液体をゲル化した状態を示す写真。
【図3】図3は、本発明の実施例1における発光輝度および電流密度と電圧との関係を示す図。
【図4】図4は、本発明の実施例1における発光輝度と時間との関係を示す図。
【図5】図5は、本発明の比較例2における発光輝度および電流密度と電圧との関係を示す図。
【図6】図6は、本発明の比較例2における発光輝度および電流密度と時間との関係を示す図。
【図7】図7は、本発明の比較例2における発光輝度および電流密度と電圧との関係を示す図。
【図8】図8は、本発明の比較例2における発光輝度および電流密度と時間との関係を示す図。
【図9】図9は、本発明の実施例2における発光輝度および電流密度と電圧との関係を示す図。
【図10】図10は、本発明の実施例2における発光輝度と時間との関係を示す図。
【図11】図11は、本発明の実施例2における電流密度と時間との関係を示す図。
【図12】図12は、本発明の実施例2において、発光層を間欠的に発光させた場合の発光輝度と時間との関係を示す図。
【図13】図13は、本発明の実施例3における発光輝度および電流密度と時間との関係を示す図。
【図14】図14は、本発明の実施例3における発光輝度と交流電圧の周波数との関係を示す図。
【図15】図15は、本発明の実施例3における発光輝度と時間との関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
まず、図1により、本発明における発光表示素子1および発光表示装置20について説明する。ここで、発光表示素子1は、電圧が印加されることにより発光され、各種ディスプレイ等として使用されるものである。
【0020】
図1に示す発光表示素子1は、各々の互いに対向する面に電極3、4が形成された一対の基板2a、2bと、一対の基板2a、2b間に挟持された発光層5とを備えている。すなわち、第1基板2aの発光層5側の面に第1電極3が形成され、第2基板2bの発光層5側の面に第2電極4が形成され、第1電極3と第2電極4とにより一対の電極3、4が構成されている。このように第1電極3および第2電極4が対向して配置されるため、発光層5に電界を効果的に印加することができ、発光層5から高輝度の発光を得ることができる。
【0021】
第1電極3に用いる材料としては、白金(Pt)からなることが好ましい。このことにより、実施例において詳述するように、発光層5からの発光輝度を向上させるとともに発光寿命を長くすることができる。
【0022】
第2電極4に用いる材料としては、透明な材料であれば良く、特に、酸化錫化合物を用いることが、入手性が良く好適である。酸化錫化合物としては、主成分として、2以上の酸素が結合された酸化錫(金属酸化物)を含むインジウム錫酸化物(ITO)、フッ素添加酸化錫(FTO)等を用いることが好適である。具体的には、第2電極4に、主成分として95重量%以上99.5重量%以下の酸化錫が含有されていることが好ましい。このことにより、発光輝度を向上させることができるとともに、導電性を付与する添加物の含有量を確保して、第2電極4が導電性を有することができる。なお、第2電極4の主成分の含有量は、X線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy)を用いて測定することができる。この方法によれば、超高真空中で固体にX線を照射して、表面から数nm(ナノメートル)以内の深さから放出される電子のエネルギー分光を行うことにより、表面に存在する元素の種類(水素、ヘリウムを除く)と、各元素の量(検出限界は、〜10分の数at%程度)と、これらの元素の化学的結合状態を分析することができる。また、この方法は、状態分析ができることから、エスカ(ESCA : Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)とも呼ばれ、金属、半導体、ガラス、セラミックス、有機物、高分子材料などあらゆるものの分析が可能である。この方法で分析される各元素の量(at%)と各元素の原子量との積により、各元素の含有量(重量%)を算出することができる。
【0023】
第1電極3および第2電極4は、各基板2a、2b上にスパッタ法若しくはEB蒸着法により成膜されて、フォトレジスト、または臭酸若しくは塩化鉄を用いたエッチングによってパターン状に形成することができる。
【0024】
また、各基板2a、2bに用いる材料としては、絶縁材料であれば特に制限はなく、例えば、透明なガラスまたは透明なフィルム等を用いることができる。
【0025】
図1に示すように、第1基板2aと第2基板2bとの間に、発光層5を囲むように第1電極3と第2電極4との間の距離(ギャップ)を一定に保持するスペーサ6が設けられている。この第1電極3と第2電極4との間の距離は、1μm以上かつ5mm以下であれば良く、特に5μmから2mmの範囲に設定することが好適である。なお、本発明による発光表示素子1は電極間距離が大きくても低電圧で発光することが特徴であり、電極間距離はμmオーダー以下とすることも可能であるが、第1電極3と第2電極4との接触による不良、または異物の付着による不良などが生じることを防止するために、5μm以上とすることが好ましい。一方、電極間距離が大きい場合には十分な発光を得ることが困難になるため、電極間距離は2mm以下とすることが好ましい。
【0026】
第1基板2aと第2基板2bとの間に設けられたスペーサ6に、後述するゲル化された発光溶液を注入する注入孔7が形成されている。この注入孔7には、このゲル化された発光溶液を注入した後に注入孔7を封止する封止材8が設けられている。
【0027】
第1電極3と第2電極4との間には、発光層5に対して交流電圧を印加する交流電源9が接続されている。このようにして、発光表示素子1と交流電源9とを有する発光表示装置20が構成されている。
【0028】
交流電源9が発光層5に対して印加する交流電圧の周波数は、60Hz以上1000Hz以下であることが好ましい。ここで、交流電圧の周波数が60Hzよりも低い場合には、発光層5の発光が点滅する。このため、この場合、連続した発光を得ることが困難になる。このことにより、交流電圧の周波数は60Hz以上とすることが好ましい。しかしながら、交流電圧の周波数が1000Hzよりも高い場合には、電極3、4の極性反転の頻度が過度に増大して、後述するラジカルアニオン13およびラジカルカチオン14が、その極性反転に追従することが困難になり、ラジカルアニオン13とラジカルカチオン14との衝突が減って、発光輝度が低下する。このため、交流電圧の周波数は、極性反転を適度に増大させるために、60Hz以上1000Hz以下とすることが好ましい。
【0029】
発光層5は、イオン液体10と、このイオン液体10中に溶解された発光物質11と、イオン液体10をゲル化するゲル化材料12とを有している。このようにして形成された発光層5を電気化学反応させることにより、発光層5に印加する電圧を低く抑えることができるとともに、高速に酸化還元反応を起こさせることができる。
【0030】
ところで、イオン液体10は溶融塩とも呼ばれ、常温で液体状態を維持するイオンのみからなっている。このイオン液体10は、有機溶媒に支持塩が溶解された液体電解質とは異なり、難燃性であるため取り扱い上安全である。また、イオン液体10は、不揮発性であるため、発光層5が劣化することを防止して発光層5の発光特性を維持することができるとともに、支持塩等を溶解させる必要がないため、発光層5を構成する材料の種類を少なくすることができる。
【0031】
イオン液体10に用いる材料としては、多種類の発光物質11を高濃度に溶解させるために極性が高い材料が望ましく、例えば、4級アンモニウム塩系、イミダゾリウム系、ピリジウム系等を用いることができる。特に、イオン液体10のカチオン材料として、非環状式の4級アンモニウム塩(例えば、N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウム、N,N−ジメチル−N−メチル−(2−メトキシエチル)アンモニウム等)を用いる場合には、電位窓を広くすることができるため、発光層5の発光輝度を高めることができる。
【0032】
発光物質11に用いる材料としては、電気化学発光する材料であれば特に制限はなく、例えば、PVB(ポリビニルブチラール)、DPA(9,10−ジフェニルアントラセン)、5,12−ジフェニルテトラセン、ペリレン、ルブレン、RuCl、RuPF、Ru(bpy)Cl 、Ru(bpy)(PF、Ru(d−bpy)(PF等のRu(ルテニウム)化合物・錯体、Ir(ppy)、Ir(bpy)(PF等のIr(イリジウム)化合物・錯体を好適に用いることができる。
【0033】
また、発光物質11の濃度については特に制限はないが、イオン液体10の分子量に対して発光物質11の分子量が1%から5%、すなわち1mol%から5mol%であることが好適である。この分子量を重量比に換算すると、2重量%から10重量%となる。発光物質11の濃度が低い場合には発光が弱まるため、濃度は少なくとも1mol%(2重量%)以上であることが望ましい。一方、発光物質11の濃度が高い場合にはイオン液体10に発光物質11を十分に溶解させることが困難になるため、発光物質11の濃度は少なくとも5mol%(10重量%)以下であることが望ましい。さらには、5mol%(10重量%)以下であっても発光物質11の濃度が高い場合には発光溶液自体の透光性が低下し、ゲル状に形成された発光層5から外部に放射される光が弱まるため、発光物質11の濃度は1mol%(2重量%)から3mol%(6重量%)以下であることが好適である。
【0034】
また、上述したように、発光物質11が溶解されたイオン液体(発光溶液)に、この発光溶液をゲル化するゲル化材料12が添加されている。ここでゲル化とは、図2に示すように、イオン液体10が流動性を失った状態をいう。このように発光溶液をゲル化することにより、ゲル化された発光溶液が第1電極3と第2電極4との間から外方に漏洩することを防止し、発光層5の発光特性が低下することなく安定した性能を長期間に渡って維持することができる。
【0035】
ゲル化材料12としては、1以上の金属原子と2以上の酸素原子とから構成された酸化物微粒子、例えば、酸化チタン(TiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ビスマス(Bi)、酸化セリウム(CeO)、または酸化イットリウム(Y)を用いることが好ましい。
【0036】
また、ゲル化材料12としての酸化物微粒子の平均一次粒子径は、10nm以上100nm未満あることが好ましい。ここで、酸化物微粒子の平均一次粒子径が、10nm未満である場合には、酸化物微粒子が過度に微細となるため、イオン液体10の分子と酸化物微粒子との吸着力が弱まり、イオン液体10と酸化物微粒子が分離してゲル化が困難になる。このことにより、酸化物微粒子の平均一次粒子径は、10nm以上であることが好ましい。しかしながら、平均一次粒子径が100nm以上である場合には、酸化物微粒子の比表面積(単位体積あたりの表面積)が減少するため、イオン液体10の分子と酸化物微粒子が分離して、ゲル化が困難になる。このことにより、酸化物微粒子の平均一次粒子径は、10nm以上100nm未満であることが好ましい。
【0037】
ところで、平均一次粒子径とは、粒子同士が凝集していない状態における個々の粒子体の大きさであり、電子顕微鏡を用いた観察等により粒子と認められる最小単位であって、これら個々の粒子体の大きさの平均値である。この平均一次粒子径の測定方法としては、酸化物微粒子を溶媒に分散して支持膜に固定し、電子顕微鏡により撮像して得られた写真の画像処理等により酸化物微粒子の大きさを測定することが好適である。具体的には、例えば、ランダムに配向されている個々の粒子について、一定方向の寸法を測定して一次粒子径とし、所定の視野から粒子をランダムに選択して、これらの平均値を求める。あるいは、個々の一次粒子の投影面積と等しい面積からなる円の直径を測定してこれらの平均値を求める。さらには、個々の一次粒子径の短軸径と長軸径を測定し、その面積と等しい円の直径を算術的に求めてこれを一次粒子径とし、これらの平均値を求める。これ以外にも同等の信頼性が得られれば他の測定方法を用いることもできる。また、発光層5内の酸化物微粒子の平均一次粒子径を測定する場合には、発光層5を溶媒で洗い流してろ過することにより酸化物微粒子を取り出して、上述の方法により測定することができる。
【0038】
発光層5に含有されるゲル化材料12の濃度は、20重量%以上50重量%以下であることが好ましい。すなわち、ゲル化材料12の濃度が低い場合には発光溶液の流動性が失われず、ゲル化することが困難になるため、酸化物微粒子の濃度は少なくとも20重量%以上であることが望ましい。一方、酸化物微粒子の濃度が高い場合にはゲル化された発光溶液の柔軟性が失われ、電極3、4間へ注入して発光層5を形成することが困難になるとともに、後述するラジカルアニオン13およびラジカルカチオン14の移動度が低下して発光輝度が低下するため酸化物微粒子の濃度は少なくとも50重量%以下であることが望ましい。なお、酸化物微粒子の濃度の測定には、電子天秤等を用いて混合する材料の重量を測定することが好適である。また、発光層5内の酸化物微粒子の濃度を測定する場合には、発光層5を溶媒で洗い流してろ過することにより酸化物微粒子を取り出して、上述の方法により測定することができる。
【0039】
また、発光層5に含有されるゲル化材料12の濃度は、酸化物微粒子の一次粒子数または比表面積に換算することもできる。すなわち、上述した20重量%以上50重量%以下というゲル化材料12の濃度を、酸化物微粒子の1mあたりの一次粒子数に換算すると、0.3×1021個以上23×1021個以下と表され、また、酸化物微粒子の1mあたりの比表面積に換算すると、0.7×10以上10×10以下と表される。ところで、発光物質11が溶解されていないイオン液体10のみに酸化物微粒子を混合させることによりイオン液体10をゲル化させることができる。このことにより、イオン液体10分子の表面に酸化物微粒子が吸着されて、イオン液体10がゲル化すると考えられる。このため、発光層5に含有される酸化物微粒子の一次粒子数または微粒子の比表面積を上述の値に規定することによっても、発光溶液を適切にゲル化することができる。なお、酸化物微粒子の一次粒子数の測定方法としては、電子顕微鏡写真の画像処理等によって単位面積当たりの粒子数を数えることが好適である。また、酸化物微粒子の比表面積を求める方法としては、粒子を球体とみなして、上述した方法により求められた一次粒子径から換算した個々の粒子の表面積と粒子数との積により求めることが好適である。
【0040】
次に、本実施の形態における発光表示素子1および発光表示装置20の作用について説明する。
【0041】
図1に示す発光表示素子1において発光層5を発光させる場合、まず、発光表示装置20の交流電源9から各電極3、4を介して発光層5に交流電圧が印加される。この場合、例えば陰極となる第1電極3の近傍において、電気化学的な還元反応が起こり、発光物質11からラジカルアニオン13が生成される。他方、陽極となる第2電極4の近傍において、電気化学的な酸化反応が起こり、発光物質11からラジカルカチオン14が生成される。電子的に中性な分子では酸化還元に伴いラジカルアニオン13、ラジカルカチオン14が生成されるが、発光物質11としてRu(bpy)(PFを用いた場合に生成されるRu(bpy2+(PF等の塩では、2価Ruが1価Ru及び3価Ruに価数変化することにより同様の作用効果を発揮する。
【0042】
発光層5に交流電圧が印加されている間、第1電極3および第2電極4に交流電圧が印加されているため、第1電極3および第2電極4において還元反応と酸化反応とが交互に繰り返される。すなわち、例えば、第1電極3の近傍に還元反応により生成されたラジカルアニオン13は、第2電極4に向けて移動する。次に、第1電極3および第2電極4の極性が反転され、第1電極3近傍に酸化反応によりラジカルカチオン14が生成される。この間、第1電極3近傍から第2電極4へ向けて移動していたラジカルアニオン13が、第1電極3へ戻ってくる。このことにより、ラジカルアニオン13とラジカルカチオン14とが衝突する。次に、衝突したラジカルアニオン13とラジカルカチオン14とから、基底状態の中性分子と励起状態の中性分子とが生成される。その後、励起状態の中性分子が基底状態に戻ることにより、この中性分子から光が発せられる。
【0043】
この第1電極3の近傍における発光メカニズムと同様にして、第2電極4の近傍において、生成されたラジカルアニオン13とラジカルカチオン14とが互いに衝突し、励起状態の分子が生成されて発光する。
【0044】
このようにして、第1電極3近傍および第2電極4近傍においてラジカルアニオン13とラジカルカチオン14とが衝突して発光する。このため、第1電極3と第2電極4との間が比較的離れている場合においても発光層5を発光させることができる。すなわち、電極3、4間の距離を長くすることにより、異物の影響を抑制することができ、クリーンルームまたは真空装置などを用いることなく製造することが可能になる。
【0045】
このように本実施の形態によれば、平均一次粒子径が10nm以上100nm未満である酸化物微粒子からなるゲル化材料12が発光層5に含有されている。このことにより、発光物質11が溶解されたイオン液体10の分子と酸化物微粒子とが分離することを防止して、イオン液体10をゲル化することができる。このため、発光輝度を高くするとともに発光寿命を長くすることができる。
【0046】
また、本実施の形態によれば、20重量%以上50重量%以下の濃度でゲル化材料12が発光層5に含有されている。このことにより、発光層5を効率良く形成することができるとともに、電圧印加時にラジカルアニオン13およびラジカルカチオン14の移動度が低下することを防止して、発光物質11が溶解されたイオン液体10をゲル化することができる。また、第1電極3が白金電極となっているため、白金の触媒作用により、発光層5内の電気化学反応を促進させることができる。このため、後述する実施例においても明らかなように、発光輝度を高くするとともに発光寿命を長くすることができる。
【0047】
さらに、本実施の形態によれば、ゲル化された発光層5に対して印加される交流電圧の周波数が、60Hz以上1000Hz以下となっている。このことにより、電極3、4の極性反転の頻度を適度に増大させて、ラジカルアニオン13とラジカルカチオン14との衝突を増やすことができ、発光層5からの発光輝度を向上させることができる。
【0048】
なお、本実施の形態においては、第1電極3に用いる材料が白金からなるとともに、第2電極4に用いる材料が酸化錫化合物(例えば、ITO)からなる例について述べた。しかしながらこのことに限られることはなく、第1電極3に用いる材料は、白金に限られることはなく、後述する第2電極4と同様に酸化錫化合物を用いても良い。この場合においても、上述の酸化物微粒子を発光層5に含有させることにより、発光輝度を高くすることができるとともに発光寿命を長くすることができる。
【実施例】
【0049】
実施例1
図1に示す発光表示素子1において、ゲル化された発光溶液により発光層5を一対の電極3、4間に形成し、この発光層5に交流電圧を印加して発光層5から得られる発光の輝度を測定した。
【0050】
まず、一対の電極3、4として透明なITOを200nmの厚さでスパッタ成膜したガラス基板2a、2bを、そのITOが形成された面が80μmの間隔で対向するように配置した。
【0051】
次に、イオン液体10であるTMPA−TFSI(N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウム−ビス(トリフルオロメタンサルフォニル)イミド)に、発光物質11としてのRu(bpy)(PFを1mol%(1%分子当量)溶解させて、60℃に加熱しながらマグネティックスターラーで所定時間攪拌して発光溶液を作成した。この発光溶液にゲル化材料12を30重量%添加して所定時間混練し、発光溶液をゲル化した。なお、ゲル化材料12として酸化チタンの微粒子(シーアイ化成社製NanoTek、一次粒子径範囲20nm〜100、平均一次粒子径30nm)を用いた場合には、図2に示すように発光溶液をゲル化することができた。
【0052】
次に、このゲル化された発光溶液を各電極3、4間に注入して発光層5を形成し、60Hz、±3.0Vの矩形波の交流電圧を印加して発光の輝度を測定した。なお、発光輝度の測定には、コニカミノルタ社製の色彩輝度計CS−100Aを用いた。
【0053】
上述のようにして、ゲル化材料12に用いる酸化物微粒子及びその濃度を種々変えて発光表示素子1を作製して発光輝度を測定したところ、表1に示す結果が得られた。
【表1】

【0054】
表1に示すように、ゲル化材料12として、酸化チタン(TiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ビスマス(Bi)、酸化セリウム(CeO)、または酸化イットリウム(Y)を用いた場合には、発光輝度が高くなった。しかしながら、酸化コバルト(CoO)、酸化銅(CuO)、酸化亜鉛(ZnO)を用いた場合には、発光輝度が低下し、酸化亜鉛の場合には発光層5からの発光が得られなかった。
【0055】
このことから、ゲル化材料12として1つの金属原子と1つの酸素原子とから構成された金属酸化物からなる酸化物微粒子を用いた場合には発光輝度が低くなり、1以上の金属原子と2以上の酸素原子とから構成された金属酸化物からなる酸化物微粒子を用いた場合には発光輝度が高くなった。
【0056】
また、表1には、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化セリウム、および酸化イットリウムの濃度(一次粒子数、または比表面積)をそれぞれ変えた場合の発光輝度の測定結果も示されている。この表1に示すように、これら酸化物微粒子の濃度が20重量%以上50重量%以下の場合には、発光輝度が高くなった。しかしながら、酸化チタン微粒子の濃度を55重量%とした場合には、発光輝度が低下した。このことから、濃度が50重量%を超えると、発光輝度が低下することがわかる。このことは、ゲル化された発光溶液の柔軟性が失われ、ラジカルアニオン13およびラジカルカチオン14の移動度が低下したことが原因と考えられる。
【0057】
ゲル化材料12として上述した酸化チタン微粒子を用いた場合に得られた実施例1の発光表示素子1の発光特性を図3および図4に示す。また、後述する比較例2に示すように発光溶液をゲル化させることなく発光層5を形成して得られた発光特性を図5および図6に示す。
【0058】
図3と図5を比較すると、発光溶液をゲル化した場合、電流密度が低くなることがわかる。また、図4と図6を比較すると、発光溶液をゲル化した場合、発光の初期輝度が高くなるとともに、発光寿命が30分程長くなることがわかる。このことから、発光溶液を上述の酸化チタン微粒子を用いてゲル化することにより、発光輝度が高くなるとともに、寿命が長くなることが確認できた。
【0059】
また、図示しないが、ゲル化材料12として、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化セリウム、酸化イットリウムをそれぞれ用いた場合においても、いずれも、表1に示すように発光輝度が高くなるとともに、発光寿命が長くなることを確認した。
【0060】
比較例1
比較例として、一次粒子径範囲が100nm〜300nmである酸化チタン微粒子(関東化学社製、鹿1級アナターゼ型)を用いて、実施例1と同様にして発光輝度を測定したところ、100(cd/m)の初期輝度が得られたが、この初期輝度が約10分で半減するという結果が得られ、実施例1の場合よりも短くなった。このことは、平均一次粒子径が100nm以上となることにより、酸化チタン微粒子の比表面積が減少し、イオン液体と酸化チタン微粒子が分離してゲル化され難くなることが原因と考えられる。
【0061】
また、平均一次粒子径が6nmである酸化チタン微粒子(テイカ社製、AMT100)を用いて、実施例1と同様にして発光輝度を測定したところ、300(cd/m)の初期輝度が得られたが、この初期輝度は約5分で半減した。顕微鏡を用いて発光層5を詳細に観察したところ、発光時(電圧印加時)に発光層5の内部で流動現象が見られた。このことから、酸化チタン微粒子の径が小さい場合には、イオン液体10の分子と酸化チタン微粒子との吸着力が弱まり、イオン液体10と酸化チタン微粒子が分離してゲル化が困難になることが原因と考えられる。
【0062】
比較例2
次に、一対の電極3、4がいずれもITOからなる場合と、第1電極3が白金からなるとともに第2電極4がITOからなる場合とによる発光特性の違いを調べた。
【0063】
ここでは、発光溶液のゲル化による影響を排除するために、発光溶液をゲル化させることなく発光層5を形成した点以外は、上述した実施例1と同様の方法により発光表示素子1を作製した。それぞれの場合について発光輝度を測定し、図5乃至図8に示す結果を得た。
【0064】
図5に示すように、一対の電極3、4がいずれもITOからなる場合には、電極3、4間に印加される電圧が±2.5Vになったところで発光層5が発光し始め、±3.0Vで約65(cd/m)の発光輝度が得られた。すなわち、±2.5Vがしきい値となって発光が始まり、電流密度の特性も発光輝度と同様なしきい値特性を示すことから、±2.5Vがしきい値となってルテニウムの酸化還元電流が流れ始めるという結果が得られた。また、図6は発光輝度の時間変化を示しているが、この図6に示されているように、初期輝度から指数関数的に急激に輝度が減少し、数分内で発光が消滅した。
【0065】
また、以下のようにして発光寿命が短い原因を調べた。まず、発光が消滅した発光表示素子1から発光溶液を回収し、新たに準備した一対のITO電極3、4間に、回収した発光溶液を注入して発光層5を形成して発光輝度を測定した。この場合、発光層5から発光が得られ、発光特性の劣化は確認されなかった。次に、上述した発光が消滅した発光表示素子1から発光溶液を洗浄除去して、新たに準備した発光溶液を注入して発光層5を形成し、発光輝度を測定した。この場合、発光層5からの発光が得られなかった。このことから、発光寿命が短い原因として、ITO電極の劣化が影響していると考えられる。
【0066】
そこで、さらに詳細に調べるために、一対の電極3、4のうちの一方の第1電極3を白金からなる電極とし、このこと以外は上述した方法と同様にして発光表示素子1を作製し、発光輝度を測定した。この測定により図7および図8に示す発光特性が得られた。図7に示すように、第1電極3を白金電極とした場合、発光輝度および電流密度のしきい値が低下し、電圧が±2.0Vで発光し始め、±3.0Vで約85(cd/m)の輝度が得られた。このようなしきい値の低下および輝度の向上は、白金の触媒作用により発光層5内の電気化学反応が促進されたためであると考えられる。
【0067】
しかしながら、このように発光特性が改善された発光表示素子1においても、図8に示すように、発光輝度は初期輝度から指数関数的に急激に減少し、数分で消滅することがわかる。このことから、ITO電極および白金電極のいずれの場合においても、ゲル化されていない発光層5からは、安定的に電気化学発光を持続させることは困難であることがわかった。
【0068】
なお、一方の電極3が白金電極からなる場合において、発光が消滅した発光表示素子1の白金電極を再使用した場合の発光特性を調べた。すると、白金電極を再使用した場合、発光溶液を再使用した場合と同様に、発光特性の低下は確認されなかった。このことにより、発光寿命が短くなる原因は、発光溶液の劣化ではなく、以下のようにITO電極の劣化が影響していると考えられる。すなわち、発光表示素子1は交流駆動されるため、ITO電極には正負の電圧が交互に印加される。ITOは酸化物であるため、正電圧が印加されて電解質である発光溶液から電子を受け取る酸化反応においては安定しているが、負電圧が印加されて発光溶液に電子を与える還元反応においては金属析出反応を伴うことが考えられる。そこで、X線光電子分光法により新しいITO電極と発光が消滅した後のITO電極の表面を分析したところ、発光が消滅した後のITO電極から、新しいITO電極からは検出されなかった微量のインジウム(In)元素が検出された。このことにより、ITO電極の劣化が発光寿命を短くしている原因であると考えられる。
【0069】
実施例2
一対の電極3、4のうち第1電極3を白金電極とし、このこと以外は、実施例1と同様の方法により、発光溶液をゲル化させて発光表示素子1を作製し、発光輝度を測定した。その結果、表1及び図9乃至図12に示すような発光特性が得られた。
【0070】
まず、図9に示すように、第1電極3を白金電極とした場合、±3.0Vで約120(cd/m)の発光輝度が得られ、発光輝度が高くなることが確認できた。
【0071】
また、発光輝度の時間変化を示す図10から、発光の初期輝度が100(cd/m)と高く、この初期輝度が半減するまでに約1時間、発光が消滅するまでに5時間以上かかることがわかり、発光寿命が長くなることが確認できた。なお、この図10においては、実施例1における図4の場合とは異なり、横軸および縦軸ともに対数で表示されている。
【0072】
図11は、電流密度の時間変化を示しているが、この図11からも、電流が数時間安定的に流れ、電流の急激な減衰が見られないことが確認できた。
【0073】
図12は、10秒間に1秒間という割合で発光層5を間欠的に点灯させた場合の発光寿命を示している。この場合、10数時間、発光層5が発光し続け、点灯時間が積算された時間によって発光層5の寿命が決まることが確認できた。
【0074】
このように、発光溶液をゲル化して発光層5を形成するとともに、第1電極3を白金電極とすることにより、発光輝度を高くすることおよび発光寿命が長くなることが確認できた。
【0075】
また、表1に示すように、第1電極3を白金電極とした場合においても、酸化チタン微粒子の濃度が50重量%を超えると、発光輝度が低下することがわかる。すなわち、この場合においても、酸化物微粒子の濃度を20重量%以上50重量%以下とすることにより、発光輝度を高くすることができる。
【0076】
なお、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化セリウム、または酸化イットリウム等のように、1以上の金属原子と2以上の酸素原子とから構成された酸化物微粒子をゲル化材料12として発光溶液をゲル化した場合に発光輝度および発光寿命が大幅に向上する原因については明確ではない。図11に示すように、電流の時間変化が、ゲル化されていな比較例2の場合(図6および図8参照)と異なり長時間安定していることから、これらの金属酸化物が混合されることにより、ゲル化された発光溶液の誘電率が増加し、電極3、4間の静電容量及びインピーダンスが増加して交流駆動における電流過渡応答が緩和していることが推測される。また、これらの金属酸化物は何らかの触媒作用を有していることが報告されており、この触媒作用と関係があることも推測される。
【0077】
実施例3
発光層5に印加される交流電圧の周波数と発光輝度との関係を調べた。
【0078】
まず、発光溶液のゲル化による影響を排除するために、比較例2と同様にして、発光溶液をゲル化することなく発光層5を形成し、500Hz、±3.0Vの矩形波の交流電圧を印加して発光輝度を測定した。その結果を図13に示す。
【0079】
図13に示すように、交流電圧の周波数を500Hzとした場合、発光の初期輝度が30(cd/m)に低下した。このことから、交流電圧の周波数が高くなることにより、電極3、4の極性反転の頻度が増大し、ラジカルアニオン13およびラジカルカチオン14が、極性反転に追従することが困難になり、ラジカルアニオン13とラジカルカチオン14との衝突が減っていることが原因と考えられる。しかしながら、発光輝度の減衰特性は、図6に示すような指数関数的な減衰ではなく、比較的緩やかに減衰して発光時間が長くなった。これは、交流電圧の周波数を高くすることにより、ITO電極に負電位が連続して印加される時間が短くなり、ITOの劣化が抑制され、発光輝度が安定することが原因と考えられる。
【0080】
次に、実施例2と同様にして、発光溶液をゲル化させた発光層5を形成して、発光層5に印加する交流電圧の周波数を種々変化させて発光輝度を測定した。その結果を図14および図15に示す。
【0081】
図14に示すように、周波数が100Hz〜600Hzの範囲では、60Hzよりも発光輝度が高くなり、1000Hzの場合においても、100(cd/m)の発光輝度が得られた。このことにより、ゲル化された発光層5においては、交流電圧の周波数は、発光輝度の向上に寄与していると考えられる。
【0082】
また、図15に示すように、発光の初期輝度が半減するまでの時間を調べたところ、300Hz、500Hzの場合には2時間以上かかり、発光が消滅するまでには10時間以上かかることがわかった。このことは、発光層5がゲル化されていることにより、発光特性が長期間に渡って安定して維持されることが原因と考えられる。
【符号の説明】
【0083】
1 発光表示素子
2a 第1基板
2b 第2基板
3 第1電極
4 第2電極
5 発光層
6 スペーサ
7 注入孔
8 封止材
9 交流電源
10 イオン液体
11 発光物質
12 ゲル化材料
13 ラジカルアニオン
14 ラジカルカチオン
20 発光表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々の互いに対向する面に電極が形成された一対の基板と、
一対の基板間に挟持された発光層と、を備え、
発光層は、イオン液体と、このイオン液体中に溶解された発光物質と、イオン液体をゲル化するゲル化材料とを有し、
ゲル化材料は、1以上の金属原子と2以上の酸素原子とから構成された酸化物微粒子からなり、
酸化物微粒子の平均一次粒子径は、10nm以上100nm未満であることを特徴とする発光表示素子。
【請求項2】
発光層に含有される酸化物微粒子の濃度は、20重量%以上50重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の発光表示素子。
【請求項3】
発光層に含有される酸化物微粒子の1mあたりの一次粒子数は、0.3×1021個以上23×1021個以下であることを特徴とする請求項1に記載の発光表示素子。
【請求項4】
発光層に含有される酸化物微粒子の1mあたりの比表面積は、0.7×10以上10×10以下であることを特徴とする請求項1に記載の発光表示素子。
【請求項5】
酸化物微粒子は、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化セリウム、および酸化イットリウムのうちいずれかの材料からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の発光表示素子。
【請求項6】
一対の電極のうちの一方の電極が白金からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の発光表示素子。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の発光表示素子と、
この発光表示素子の一対の電極間に接続され、発光層に対して交流電圧を印加する交流電源と、を備えたことを特徴とする発光表示装置。
【請求項8】
交流電源が発光層に対して印加する交流電圧の周波数は、60Hz以上1000Hz以下であることを特徴とする請求項7に記載の発光表示装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−138743(P2011−138743A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97009(P2010−97009)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】