説明

発光表示素子駆動装置

【課題】パルス幅と電流の組み合わせによりクロックを十分低くしても電流切り換え時の不安定変化部分のない精度の良い画像の階調表示を行う発光表示素子駆動装置を提供する。
【解決手段】第1の幅の発光表示素子11の微調発光用の第1発光用パルス信号と第1の幅の整数倍の第2の幅の発光表示素子の主発光用の第2発光用パルス信号を生成するパルス発生回路5と画像の階調数を2進数で表し上位の階調と下位の階調に分けた時、画像の下位の階調だけで表される場合には、走査信号により第1発光用パルス信号を選択し画像の上位の階調だけの場合には第2発光用パルス信号を選択するパルス幅変調回路6とパルス幅変調回路6で選択された第1及び第2発光用パルス信号で発光表示素子11を発光させる画像信号電流を信号線に供給するパルス電流供給回路7と第2発光用パルス信号に対して第1発光用パルス信号の大きさを小さく設定する電流設定回路8とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLEDや有機EL素子や放電管や電子放出素子等のパッシブマトリクス型発光表示素子を発光させて画像を表示する発光表示素子駆動装置に係り、特に発光時間幅及び駆動電流を分割して発光表示素子を駆動し、階調表現を行う発光表示素子駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているようなLEDや有機ELの発光により階調表現を行う発光表示素子駆動装置は、表現する階調数により発光時間幅及び駆動電流を制御していた。
図9にこの従来の発光表示素子駆動装置の動作説明を行うための概要を示す図と、図10に従来の階調表現を行うための回路例を示す図と、図11に階調表現の詳細を示す図と、図12に従来の発光表示素子駆動装置の波形図を示す。
【0003】
図9に示すように、この発光表示素子駆動装置100は、インターフェイス回路101と、バッファメモリ102と、階調数識別回路103と、パルス幅変調回路104と、パルス電流供給回路105と、電流制御回路106と、水平走査回路107と、垂直走査回路108と、マトリクス型発光表示素子109と、PC110と、から構成される。
【0004】
インターフェイス回路101は、PC110等から画像入力を得てバッファメモリ102への画像データと、パルス幅変調回路104で画像の階調数に応じたパルス幅を計数するためのクロックと、マトリクス型発光表示素子109の水平走査の駆動を行う走査選択信号と,マトリクス型発光表示素子109の垂直走査の駆動を行う垂直走査信号とを生成する。
バッファメモリ102は、半導体記憶素子で構成され、インターフェイス回路101から画像データを入力して記憶し、マトリクス型発光表示素子109に画像を表示するタイミングで読み出した画像データを出力する。
【0005】
階調数識別回路103は、バッファメモリ102から読み出された画像データの階調数に応じて上位ビットと下位ビットに識別し、下位ビットはパルス幅変調回路104へそのまま送られる。そして、上位ビットは+1を加算した識別信号を生成して電流制御回路106へ送る。
例えば、画像の階調数が6ビットのデジタルデータで得られる場合、下位4ビット(16階調数分)はパルス幅変調回路104へパルス幅変調用のデータとして送られる。一方、上位2ビットのデジタルデータは+1が加算されて電流制御回路106で流される階調数に応じた電流のデータとして送られる。
【0006】
パルス幅変調回路104は、インターフェイス101からはクロックを、階調数識別回路103からは画像データの階調数の下位ビットのデータを入力する。そして、この下位ビットのデータに応じてクロックをカウントして所定の幅のパルスを生成する。
パルス電流供給回路105は、電流制御回路106から入力した電流と、パルス幅変調回路104から入力した所定の幅のパルスに基づいたパルス電流を生成する。
電流制御回路106は、階調数識別回路103から入力した上位ビットのデジタルデータに+1を加算した識別信号から電流を算出し、パルス電流供給回路105へ送る。
【0007】
水平走査回路107は、複数のパルス幅変調回路104と、複数のパルス幅電流供給回路105から構成され、階調数識別回路103から送られた画像データの階調数の下位ビットとパルス電流供給回路105から送られたパルス電流とによりパルス電流を制御してマトリクス型発光表示素子109の所定の水平位置の各発光表示素子のそれぞれにパルス電流を供給し発光させる。
垂直走査回路108は、インターフェイス回路101から送られた垂直走査信号により、マトリクス型発光表示素子109の所定の位置の走査線を接地電位としてパルス電流の供給が可能状態とし、この所定の位置の走査線を除く他の走査線にはパルス電流の供給が不可能状態に設定する電位を供給する垂直駆動信号を生成して出力し、マトリクス型発光表示素子109へ送る。
【0008】
マトリクス型発光表示素子109は、水平走査回路107から供給されたパルス電流と、垂直走査回路108で垂直走査信号より生成した垂直駆動信号とを入力し、この入力したパルス電流と垂直駆動信号により、所定の走査線位置と水平位置における発光表示素子を選択して画像の階調数に応じたパルス幅と電流を有するパルス電流を供給し発光させて、入力された画像に応じた階調の画像表示を行う。
PC110は、パーソナルコンピュータ等からなり、デジタルカメラ、デジタルムービー、スキャナ等から入力した画像を編集して発光表示素子駆動装置100で表示できるフォーマットとする。
【0009】
次に動作について説明する。
まず、図9に示すように、発光表示素子駆動装置100へPC110等から画像を送り、発光表示素子駆動装置100のインターフェイス回路101経由でバッファメモリ102に記憶する。そして,この記憶された画像を読み出して階調数識別回路103へ送る。
階調数識別回路103では送られてきた画像の階調数を示すデジタルデータを下位ビットと上位ビットに識別して、下位ビットはそのままパルス幅変調回路105へ送り,下位ビットが示す階調数に応じた幅のパルスを生成し、パルス電流供給回路105へ送る。そして上位ビットのデジタルデータは+1が加算され、この+1を加算されたデジタルデータは識別信号として電流制御回路106へ送られ、識別信号に応じた電流が生成されパルス電流供給回路105へ送られる。
【0010】
パルス電流供給回路105では、下位ビットが示す階調数に応じた幅のパルスと識別信号に応じた電流とにより、画像の階調数に応じたパルス幅と電流を有するパルス電流を生成してマトリクス型発光表示素子109の所定の水平位置の発光表示素子を選択して画像の階調数に応じたパルス幅と電流を有するパルス電流をマトリクス型発光表示素子109へ供給する。
【0011】
マトリクス型発光表示素子109へは水平走査回路107の複数のパルス電流供給回路105から供給されたパルス電流と、垂直走査回路108で垂直走査信号より生成した垂直駆動信号とを入力することにより、所定の走査線位置と水平位置における発光表示素子を選択して画像の階調数に応じたパルス幅と電流を有するパルス電流を供給し発光させて、入力された画像に応じた階調の画像表示をマトリクス型発光表示素子109で行う。
【0012】
図10に示すように,画像の階調数を示すデジタルデータを6ビットとして、下位ビットを4ビット、上位ビットを2ビットとした場合,走査期間内のパルス幅は下位ビット、電流は(上位ビット+1)で表される。
そして,図11に階調数38の場合のパルス電流を示す。すなわち、階調数38はデジタルデータで「100110」であるが、上位ビットを「01」、下位ビットを「0110」に識別した後,上位ビットに+1を加え「11」とすると、下位ビットはパルス幅6、上位ビットは電流3に相当する。従って電流2まではパルス幅は最大の16、電流3ではパルス幅6となり,図11に太線で示すパルス幅と電流を有するパルス電流となる。このパルス電流により、画像の階調数が38の場合における発光表示素子の発光が行われる。
【0013】
このようにして、入力される画像の階調数を識別して、パルス幅と電流の組み合わせにより、マトリクス型発光表示素子109を発光させることにより,精度の良い画像の階調表示を行っていた。
【特許文献1】特開2000−56727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、従来の発光表示素子駆動装置100において、入力される画像の階調数を識別して、パルス幅と電流の組み合わせにより、マトリクス型発光表示素子109を発光させる場合,図12(A)の(1)に示すようにクロック10を十分低くしても、図12(A)の(2)のように電流3から電流2へマトリクス型発光表示素子109の発光を保ちながら電流を減らすと、マトリクス型発光表示素子109に流れている電流は、電流による電荷の蓄積が発光表示素子内にあるため、電流3から電流2への切り換えにはすぐに追従できず蓄積している電荷を減らしながら徐々に変化するため、図12(A)の(3)の不安定変化部分に示すように電流3から電流2への切り換え時の輝度が電流3の時の輝度3と電流2の時の輝度との中間の不安定な値となり、また、電流の少ない方から多い方へ切り換えると駆動する発光表示素子数により少ない場合は早く、多い場合には遅延して切り替わる不安定動作となるので、マトリクス型発光表示素子109の発光を保ちながら電流を切り換えると精度の良い画像の階調表示を行うことは出来ない、と言う問題点が有った。
また、図12(B)の(1)に示すようにクロック11を出来るだけ早くして、図12(B)の(2)に示すように一定の電流4で階調数に応じたパルス電流幅により画像の階調表示を詳細に行おうとすると、図12(B)の(3)に示すようにマトリクス型発光表示素子109に流れる電流の切り換えが追随できず、階調数2,3のパルス電流幅は電流4まで到達できたものが階調数1のパルス幅では、電流4に到達できず、輝度低下部分を生じてしまうと言う問題点が有った。
【0015】
そこで、本発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、パルス幅と電流の組み合わせにより、クロックの周波数を十分低くしても、電流切り換え時の不安定変化部分のない、精度の良い画像の階調表示を行うことが出来る、発光表示素子駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願発明における第1の発明は、互いに直交する走査線と信号線との間にそれぞれ配列された複数の発光表示素子と、外部から入力される垂直同期信号から走査信号を生成する走査信号発生回路と、前記走査線に走査パルス信号を供給する垂直走査回路と、前記信号線に画像信号電流を順次供給する水平走査回路と、を有し、前記画像信号電流が前記複数の発光表示素子に供給された状態で、前記画像信号電流に応じた走査パルス信号を供給することにより、前記複数の発光表示素子を発光させてビット列で表示されるデジタル画像表示を行う発光表示素子駆動装置において、前記垂直走査回路から供給される前記走査パルス信号に基づいて1走査線分の前記発光表示素子を連続して2回繰り返し発光させるに当たり、前記各発光表示素子が第1の幅を有した前記各発光表示素子の微調発光用の第1発光用パルス信号と,前記第1の幅の整数倍の第2の幅を有した前記各発光表示素子の主発光用の第2発光用パルス信号を生成するパルス発生回路と、
前記デジタル画像の階調数を2進数で表し上位の階調と下位の階調に分けた時、前記デジタル画像の下位の階調だけで表される場合には、前記走査信号により前記第1発光用パルス信号を選択し、前記デジタル画像の上位の階調だけの場合には、前記第2発光用パルス信号を選択するパルス幅変調回路と、前記パルス幅変調回路で選択された前記第1及び第2発光用パルス信号で前記発光表示素子を発光させる前記画像信号電流を前記複数の信号線に供給するパルス電流供給回路と、前記第2発光用パルス信号に対して前記第1発光用パルス信号の電流の大きさを小さく設定する電流設定回路と、を備えたことを特徴とする発光表示素子駆動装置を提供する。
第2の発明は、互いに直交する走査線と信号線との間にそれぞれ配列された複数の発光表示素子と、外部から入力される垂直同期信号から走査信号を生成する走査信号発生回路と、前記走査線に走査パルス信号を1画面につき2回供給する垂直走査回路と、前記信号線に画像信号電流を順次供給する水平走査回路と、を有し、前記画像信号電流が前記複数の発光表示素子に供給された状態で、前記画像信号電流に応じた前記走査パルス信号を供給することにより、前記複数の発光表示素子を発光させてビット列で表示されるデジタル画像表示を行う発光表示素子駆動装置において、前記垂直走査回路から供給される前記走査パルス信号に基づいて1画面分の前記走査線で指定される前記発光表示素子の発光を2回に分けて1画面間隔で繰り返し発光させるに当たり、1回目の1画面分の前記走査線の前記各発光表示素子が第1の幅を有した前記各発光表示素子の微調発光用の第1発光用パルス信号と,2回目の1画面分の前記走査線の前記各発光表示素子が応答可能な最小応答時間の前記第1の幅の整数倍の第2の幅を有した前記各発光表示素子の主発光用の第2発光用パルス信号を生成するパルス発生回路と、前記デジタル画像の階調数を2進数で表し上位の階調と下位の階調に分けた時、前記デジタル画像の下位の階調だけで表される場合には、前記走査信号により前記第1発光用パルス信号を選択し、前記デジタル画像の上位の階調だけの場合には、前記第2発光用パルス信号を選択するパルス幅変調回路と、前記パルス幅変調回路で選択された前記第1及び第2発光用パルス信号で前記発光表示素子を発光させる前記画像信号電流を前記複数の信号線に供給するパルス電流供給回路と、前記第2発光用パルス信号に対して前記第1発光用パルス信号の電流の大きさを小さく設定する電流設定回路と、を備えたことを特徴とする発光表示素子駆動装置を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、互いに直交する走査線と信号線との間にそれぞれ配列された複数の発光表示素子と、外部から入力される垂直同期信号から走査信号を生成する走査信号発生回路と、走査線に走査パルス信号を供給する垂直走査回路と、信号線に画像信号電流を順次供給する水平走査回路と、を有し、画像信号電流が前記複数の発光表示素子に供給された状態で、画像信号電流に応じた走査パルス信号を供給することにより、複数の発光表示素子を発光させてビット列で表示されるデジタル画像表示を行う発光表示素子駆動装置において、垂直走査回路から供給される走査パルス信号に基づいて1走査線分の発光表示素子を連続して2回繰り返し発光させるに当たり、各発光表示素子が第1の幅を有した各発光表示素子の微調発光用の第1発光用パルス信号と,前記第1の幅の整数倍の第2の幅を有した各発光表示素子の主発光用の第2発光用パルス信号を生成するパルス発生回路と、デジタル画像の階調数を2進数で表し上位の階調と下位の階調に分けた時、デジタル画像の下位の階調だけで表される場合には、走査信号により第1発光用パルス信号を選択し、デジタル画像の上位の階調だけの場合には、第2発光用パルス信号を選択するパルス幅変調回路と、パルス幅変調回路で選択された第1及び第2発光用パルス信号で発光表示素子を発光させる画像信号電流を複数の信号線に供給するパルス電流供給回路と、第2発光用パルス信号に対して第1発光用パルス信号の電流の大きさを小さく設定する電流設定回路と、を備えることにより、パルス幅と電流の組み合わせを最適に行うことで、クロックを十分低くして電流切り換え時の不安定変化部分のない、精度の良い画像の階調表示を行うことが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に本発明の実施形態に係る発光表示素子駆動装置について図1〜図8を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る発光表示素子駆動装置の概要を示すブロック図である。
図2は、本発明の実施形態に係り、階調制御を行う回路構成を示す図である。
図3は、本発明の実施形態に係り、発光表示素子駆動装置の発光部分の動作説明を行うための図である。
図4は、本発明の実施形態に係り、(A)は1ラインを2回続けて発光させる時のクロックと電流の関係を説明するための図であり,(B)は1ラインを2回に分けて発光させる時のライン状態を示す図である。
図5は、本発明の実施形態に係り、(A)は1画面を2回に分けて発光させる時のクロックと電流の関係を説明するための図であり,(B)は1画面を2回に分けて発光させる時のライン状態を示す図である。
図6は、本発明の実施形態に係り、1ラインと1画面とを2回に分けて発光させる時のライン状態を示す図である。
図7は、階調数制御を行う際のクロックと電流の関係を説明するための図であり,(A)は、クロックが2種類で電流は1種類の時の波形を示す図であり、(B)は、クロックは1種類で電流は2種類の時の波形を示す図である。
図8は、階調数制御を行う際のクロックと電流の関係を説明するための図であり,(A)は、クロックが2種類で電流は1種類の時の波形を示す図であり、(B)は、クロックと電流が2種類の時の波形を示す図である。
【0019】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る発光表示素子駆動装置1は、インターフェイス回路2と、バッファメモリ3と、データ選択回路4と、パルス発生回路5と、パルス幅変調回路6と、パルス幅電流供給回路7と、電流設定回路8と、水平走査回路9と、垂直走査回路10と、マトリクス型発光表示素子11と、走査信号発生回路12と、により構成される。
図2に示すように、パルス発生回路5は、基準クロック発生回路5aと,クロック選択回路5bと、からなり、電流設定回路8は、電流源選択回路8aと、電流源8bと、からなる。
【0020】
インターフェイス回路2は、外部に設置されているPC13等から画像入力を得てバッファメモリ3への画像データと、パルス発生回路5の基準クロックであるマスタークロックと、走査信号発生回路12へ送る画像入力に含まれる垂直同期信号と、を生成して出力する。
バッファメモリ3は、半導体記憶素子で構成され、インターフェイス回路2から画像データを入力して記憶し、マトリクス型発光表示素子11に画像を表示する走査信号のタイミングに合わせて画像データを読み出し出力する。
【0021】
データ選択回路4は、バッファメモリ3から読み出された画像データから階調数を示すデジタルデータを抽出して入力し、インターフェイス回路2から垂直同期信号を入力して1垂直同期信号期間における走査線毎に走査信号1と走査信号2の2つの走査信号を生成する走査信号発生回路12から送られてきた2種類の走査信号である走査信号1と走査信号2とにより、デジタルデータの下位ビットを走査信号1へ上位ビットを走査信号2への期間に分割選択して出力し,パルス幅変調回路6へ送る。
【0022】
パルス発生回路5は、マスタークロックと2種類の走査信号を入力し、図2に示すように、基準クロック発生回路5aでマスタークロックに基づいてクロック1とクロック2とを生成してクロック選択回路5bへ送り、クロック選択回路5bで走査信号1の期間はクロック1、走査信号2の期間はクロック2としてクロックを選択して出力し、パルス幅変調回路6へ送る。
【0023】
パルス幅変調回路6は、データ選択回路4から送られてきた分割選択された下位ビットと上位ビットのデジタルデータと、クロック発生回路5から送られて来たクロック1とクロック2と、を入力し、走査信号1の期間内にクロック1を分割された下位ビットのデジタルデータでカウントして得たパルス幅のパルス(第1発光用パルス信号)と、走査信号2の期間内にクロック2を他の分割された上位ビットのデジタルデータでカウントして得たパルス幅のパルス(第2発光用パルス信号)と、を生成して出力し、パルス電流供給回路7へ送る。
(デジタル画像の階調数を2進数のデジタルデータで表したときに、上位の階調を上位ビットとし、下位の階調を下位ビットとする。)
【0024】
パルス電流供給回路7は、パルス幅変調回路6から送られてきた2つのパルス幅のパルスと、電流設定回路8から送られてくる電流aと電流bと、を入力し、1つのパルス幅のパルスを電流aで駆動し,他の1つのパルス幅のパルスを電流bで駆動する。
【0025】
電流設定回路8は、2種類の走査信号を入力し、図2に示すように、電流源選択回路8aに送る。そして、電流源8bにより生成された電流aと電流bとを電流源選択回路8aに送り、走査信号1の期間は電流aと走査2の期間は電流bとに選択して出力し,パルス電流供給回路7へ送る。
【0026】
水平走査回路9は、パルス幅変調回路6とパルス電流供給回路7とからなるICの複数の構成からなり、電流設定回路8からから送られてくる電流aもしくは電流bと、データ選択回路4から送られてくる画像の階調数を示す2種類のデジタルデータとを入力し、マトリクス型発光表示素子11を所定の位置で発光させる電流aで駆動されるパルス(第1発光用パルス信号)と、電流bで駆動されるパルス(第2発光用パルス信号)と、からなる水平駆動電流を、水平走査方向の画素数分生成する。
【0027】
垂直走査回路10は、走査信号に基づいて、マトリクス型発光表示素子11の走査線を選択し水平駆動電流が流れるよう接地電位とし、それ以外の走査線は水平駆動電流が流れないよう所定の電位を供給する垂直駆動信号(走査パルス信号)を生成して出力し、マトリクス型発光表示素子11へ送る。
【0028】
マトリクス型発光表示素子11は、水平走査回路9から送られた水平駆動電流と、垂直走査回路10から送られた垂直駆動信号と、を入力し、所定の走査線位置を垂直駆動信号により選択し、その選択された走査線位置にある発光表示素子11へ水平駆動電流を供給して発光させることにより画像を表示する。
【0029】
走査信号発生回路12は、インターフェイス回路2から垂直同期信号を入力して1垂直同期信号期間の1走査線毎に走査信号1と走査信号2の2つの走査信号を生成する。走査信号1と走査信号2はそれぞれ1画面分の走査線数からなり、走査信号1と走査信号2とを連続して生成する場合と,走査信号1を1画面分生成し,続いて走査信号2を1画面分生成する場合と、1画面毎に交互に走査信号1と走査信号2とを入れ替え他者を生成する場合とがあり、画像入力の動きに応じて早い場合は前者を、遅い場合は後者のどちらかを選択して出力する。
【0030】
次に,動作について説明する。
図1に示すように、発光表示素子駆動装置1へ外部から画像入力としてPC13等から画像データを送り、発光表示素子駆動装置1のインターフェイス回路2を経由してバッファメモリ3に記憶する。そして,この記憶された画像データを読み出してデータ選択回路4へ送る。
データ選択回路4では、バッファメモリ3から送られてきた画像データから画像の階調数を示すデジタルデータを抽出し、走査信号発生回路12から送られてきた走査信号によりデジタルデータを1つの走査線毎に走査信号1と走査信号2との期間に分割選択して出力し,パルス幅変調回路6へ送る。
【0031】
図2に示すように、例えばバッファメモリ3から送られてきた画像の階調数を示すデジタルデータを、「D0,D1,D2,D3」としてデータ選択回路4へ入力し、1つの走査期間における走査1の期間は下位ビットの「D2、D3」、走査2の期間は上位ビットの「D0,D1」として画像の階調数を示すデジタルデータを選択し、パルス幅変調回路6へ送る。
【0032】
そして、パルス発生回路5では、マスタークロックを入力した基準クロック発生回路5aで、マスタークロックに基づいてクロック1とクロック2とを生成してクロック選択回路5bへ送り、クロック選択回路5bで走査信号1の期間はクロック1、走査信号2の期間はクロック2としてクロックを選択して出力し、パルス幅変調回路6へ送る。
【0033】
そして、パルス幅変調回路6では、所定の1走査線における走査信号1の期間はクロック1をデジタルデータの下位ビットである「D2、D3」でカウントして得たパルス幅のパルスを、走査信号2の期間はクロック2をデジタルデータの上位ビットである「D0、D1」でカウントして得たパルス幅のパルスを、生成して出力し、パルス電流供給回路7へ送る。
【0034】
一方、電流設定回路8では、電流源8bにより生成された電流aと電流bとを電流源選択回路8aに送り、走査信号1の期間は電流a、走査信号2の期間は電流bに選択して出力し,パルス電流供給回路7へ送る。
【0035】
そして、パルス電流供給回路7では、パルス幅変調回路6から送られてきた走査信号1の期間はクロック1をデジタルデータ「D2、D3」でカウントして得たパルス幅のパルスと、走査信号2の期間はクロック2をデジタルデータ「D0、D1」でカウントして得たパルス幅のパルスと、を入力して、走査信号1の期間のパルスは電流設定回路8から送られてきた電流aで駆動し、走査信号2の期間のパルスは電流設定回路8から送られてきた電流bで駆動するそれぞれのパルスを生成する。
【0036】
水平走査回路9では、複数のパルス幅変調回路6と複数のパルス電流供給回路7から、電流aで駆動されるパルスと電流bで駆動されるパルスとからなる複数の水平駆動電流と、を生成して出力し、マトリクス型発光表示素子11へ送る。
【0037】
一方、垂直走査回路10では、走査信号発生回路12から送られてきた走査信号1と走査信号2に基づいて、マトリクス型発光表示素子11の走査線を選択して水平駆動電流が流れるよう接地電位に設定し、それ以外の走査線は水平駆動電流が流れないよう所定の電位を供給する垂直駆動信号を生成して出力し、マトリクス型発光表示素子11へ送る。
【0038】
そして、マトリクス型発光表示素子11では、水平走査回路9から送られた水平駆動電流と、垂直走査回路10から送られた垂直駆動信号と、を入力し、所定の走査線位置を垂直駆動信号により選択し、その選択された走査線位置にある発光表示素子11へ水平駆動電流を供給して発光表示素子11を発光させることにより画像を表示する。
【0039】
次に、マトリクス型発光表示素子11の発光制御について説明する。
図3に示すように,マトリクス型発光表示素子11に有機EL素子を用いた場合,パルス電流供給回路7から供給された電流Ia0を、水平走査回路9のスイッチSW0をONさせて有機EL素子であるEL0へ供給する。
水平走査回路9のスイッチSW0のON/OFFは画像を構成する画素毎の階調数に基づいて行われる。
【0040】
この時、垂直走査回路9のスイッチSW1によりEL0の電流を供給する端子の反対の端子を接地電位にすると、EL0に電流Ia0が流れて発光する。
また、EL1のように水平走査回路9のスイッチをOFFにしておくと有機EL素子であるEL1は浮遊容量を持つコンデンサー状態となり発光しない。
【0041】
さらに、有機EL素子に水平走査回路9のスイッチをONにして電流を流そうとしても、垂直走査回路9のスイッチSW1の切り換えにより、所定の電圧V0を保護抵抗R0を経由して有機EL素子の電流を供給する端子の反対の端子に加えると、有機EL素子の電流を供給する端子側より電圧が高くなるから,有機EL素子には電流は流れない。
このようにしてマトリクス型発光表示素子11の発光を水平走査回路9と垂直走査回路9とにより制御する。
【0042】
次に,各回路部分における信号の波形について詳細に説明する。
図4に示すように、図4(A)(1)のクロックは、クロック発生回路5で生成され、1つの走査線期間における走査信号1の期間にはクロック1を、走査信号2の期間にはクロック2を時系列に選択する。そして,例えば、クロック1はクロック2の2倍の高い周波数に設定し、クロック1のパルス幅を、クロック2のパルス幅の1/2として、より狭く設定する。このようにクロックを設定すると図4(A)(2)に示すように走査信号1の期間は走査信号2の期間の半分となる。
図4(A)(3)は縦軸に電流を,横軸に時間を取り発光表示素子11に供給するパルス電流を示したもので、I1はクロック1を1回カウントした時のパルス幅であり、このI1の期間において所定の発光表示素子11に電流aを流して発光させる。
また、I2はクロック2を1回カウントした時のパルス幅であり、このI2の期間において所定の発光表示素子11に電流bを流して発光させる。
以下同様にクロック1をカウントして得たパルス幅の期間に電流aを流し、クロック2をカウントして得たパルス幅の期間に電流bを流す。
【0043】
図4(B)は、1走査線(ライン)毎に2回発光表示素子11を発光させる状態を1画面分表示したもので、最初のラインL1はクロック1を所定のデジタルデータの下位ビットをカウントした時のパルス幅で所定の発光表示素子11に電流aを流して発光させ、次のラインL1の所定の発光表示素子11を繰り返し発光させる時は、クロック2を所定のデジタルデータの上位ビットをカウントした時のパルス幅で電流bを流して発光させる。
以下同様にL2ライン発光(ライン発光:走査信号1の時の発光)、L2ライン繰り返し発光(ライン繰り返し発光:走査信号2の時の発光)、・・・Lnライン発光,Lnライン繰り返し発光、をさせて、1走査線(ライン)毎に下位ビットと上位ビットのデジタルデータに基づいて順次発光させる。(Ln:最大ライン数)
【0044】
図5に示すように,図5(A)(1)のクロックは、クロック発生回路5で生成され、最初の画面における走査信号1の期間にはクロック1を選択する。そして,例えば、クロック1はクロック2の2倍の高い周波数に設定し、クロック1のパルス幅を、クロック2のパルス幅の1/2として、より狭く設定する。
このようにクロックを設定すると図5(A)(2)に示すように走査信号1の期間は図5(A)(5)に示す走査信号2の期間の略半分となる。
図5(A)(3)は縦軸に電流を,横軸に時間を取りパルス電流を示したもので、I4はクロック1を1回カウントした時のパルス幅であり、このI4の期間において所定の発光表示素子11に電流aを流して発光させる。以下同様にして、I5はクロック1を2回、I6はクロック1を3回カウントした時のパルス幅である。
図5(A)(4)のクロック2は、クロック発生回路5で生成され、2回目の画面における走査信号2の期間に選択される。そして,例えば、クロック2はクロック1の半分の周波数に設定し、クロック2のパルス幅を、クロック1のパルス幅の2倍として、より広く設定する。このようにクロックを設定すると図4(A)(5)に示すように走査信号2の期間は走査信号1の期間の略2倍となる。
図5(A)(6)は縦軸に電流を,横軸に時間を取りパルス電流を示したもので、I7はクロック2を1回カウントした時のパルス幅であり、このI7の期間において所定の発光表示素子11に電流bを流して発光させる。以下同様にして、I8はクロック2を2回カウントした時のパルス幅である。
【0045】
図5(B)は、1画面分の発光表示素子11を2回続けて発光させる状態を表示したもので、最初の画面はクロック1を所定のデジタルデータの下位ビットをカウントした時のパルス幅で1画面分の発光表示素子11に電流aを流して発光させ、次の画面で発光表示素子11を繰り返し発光させる時は、クロック2を所定のデジタルデータの上位ビットをカウントした時のパルス幅で1画面分の発光表示素子11に電流bを流して発光させる。
即ち、L1ライン発光,L2ライン発光、・・・Lnライン発光,L1繰り返し発光,L2繰り返し発光、・・・Lnライン繰り返し発光として2画面分連続で発光表示素子11を発光させる。
【0046】
図6は、1画面分の発光表示素子11を交互に発光させる状態を表示したもので、最初の画面はL1ラインの発光表示素子11をクロック1で下位ビット分カウントして発光させ、次のL2ラインの発光表示素子11をクロック2で上位ビット分カウントして発光させ、これをLnラインまで繰り返した後、次の画面でL1ラインの発光表示素子11をクロック2で上位ビット分カウントして発光させ、次のL2ラインの発光表示素子11をクロック1で下位ビット分カウントして発光させ、これをLnラインまで繰り返して、1画面の発光表示素子11を2回発光させる。
【0047】
図4、図5、図6で用いられる走査信号1及び走査信号2は走査信号発生回路で画像の動きの状態によりそれぞれ選択される。
即ち、画像の動きの速い場合は、出来るだけ各走査線を同時に発光させて画像の流れを停止させる必要があり,図4に示すような走査信号配列とする。
一方、画像の動きが遅い場合は,図5に示すような1画面ずつ順に走査信号を配列することにより、1画面の画像を短時間で繰り返し発光させることでフリッカーを低減させる。
また、図6に示すようなラインの異なる下位ビットと上位ビットのデジタルデータによる発光表示素子11の1画面分の発光を交互に行うことによりフリッカーの低減と見かけ上の解像度を向上させる。
【0048】
なお、図4,図5、図6における表示期間1Vは,それぞれのラインの発光表示素子11を2回ずつ発光させるから、それぞれの発光期間Tはnを1画面の走査線数とするといずれもT=n(h1,h2)となり同じである。
例えば,走査信号1の期間を50μsec、走査信号2の期間を150μsecとし、1画面の走査線数を64とすると、
図4ではT=50μsec+150μsec=200μsecの期間で1走査線を続けて発光することになるから,200μsec×64=12.8msecの間隔で同一の走査線位置の発光表示素子11が発光される。
これに対し、図5の場合は50μsec×64=3.2msecと150μsec×64=9.6msecの2つの間隔で同一の走査線位置の発光表示素子11が発光される。
図6は図5の変形であり発光期間は,図5と同じである。
【0049】
このようにして、画像の動きの速い場合は、走査信号1と走査信号2とを連続して用いることにより、画像の動きに応じた良好な階調表現を行うことが出来る。
また、画像の動きが遅い場合は,1画面ずつ順に走査信号1と走査信号2とを配列することにより、1画面の画像を短時間で繰り返し発光させることで良好な階調表現を行うとともにフリッカーを低減させることが出来る。
さらに、ラインの異なる下位ビットと上位ビットのデジタルデータによる発光表示素子11の1画面分の発光を交互に行うことによりフリッカーの低減と見かけ上の解像度を向上させることができる。
以上述べてきた走査信号1と走査信号2の順序は間隔の狭い方を走査信号1とし間隔の広い方を走査信号2として説明してきたが、順序を逆にし間隔の広い方を先にして走査信号1とし間隔の狭い方を後にして走査信号2としても同等の機能と効果が得られるのはもちろんである。
【0050】
次に,図7,図8により、1つの走査期間を走査信号1と走査信号2を用いて画像の階調を表現する場合の、クロックと電流の組み合わせによる階調数を詳細に説明する。
図7(A)は、走査信号1にクロック1、走査信号2に走査信号1の1/2の周波数のクロック2を用い、電流は走査信号1と走査信号2とも電流bとしたものである。このようにクロックと電流を組み合わせると、走査信号1のカウント1を1階調とすると走査信号2のカウント1は2階調となり、図7(A)(3)のように走査信号1ではカウント1,走査信号2ではカウント3を最大値とすると「カウント1+カウント3×2」より最大値7となるから、階調数は0〜7の8階調まで表示することが出来る。
【0051】
図7(B)は、走査信号1と走査信号2にクロック2、電流は走査信号1に電流a、走査信号2に電流aの2倍の電流bとしたものである。このようにクロックと電流を組み合わせると、走査信号1のカウント1を1階調とすると走査信号2のカウント1は2階調となり、図7(B)のように走査信号1ではカウント1,走査信号2ではカウント3を最大値とすると「カウント1+カウント3×2」より最大値7となるから、階調数は0〜7の8階調まで表示することが出来る。
図7(A)と図7(B)は、階調数は同じであるが,走査期間が図6(B)の方が長くなる。
【0052】
図8(A)は、走査信号1にクロック1、走査信号2に走査信号1の1/4の周波数のクロック2を用い、電流は走査信号1と走査信号2とも電流bとしたものである。このようにクロックと電流を組み合わせると、走査信号1のカウント1を1階調とすると走査信号2のカウント1は4階調となり、図8(A)(3)に示すように走査信号1ではカウント3,走査信号2でもカウント3を最大値とすると「カウント3+カウント3×4」より最大値15となるから、階調数は0〜15の16階調まで表示することが出来る。
【0053】
図8(B)は、走査信号1にクロック1、走査信号2に走査信号1の1/2の周波数のクロックを用い、電流は走査信号1に電流a、走査信号2に電流aの2倍の電流bとしたものである。このようにクロックと電流を組み合わせると、走査信号1のカウント1を1階調とすると走査信号2のカウント1は4階調となり、図8(B)(3)に示すように走査信号1ではカウント3,走査信号2でもカウント3を最大値とすると「カウント3+カウント3×4」より最大値15となるから、階調数は0〜15の16階調まで表示することが出来る。
図8(A)と図8(B)は、階調数は同じであるが,走査期間が図8(B)の方が長くなる。
【0054】
このようにして、画像の1走査期間内に走査信号1の期間と走査信号2の期間を設定して、外部から入力する画像の階調数を示すデジタルデータを下位ビットと上位ビットの2つに分けてそれぞれ走査信号1と走査信号2に分けて画像の階調を表示する。
例えば、外部から入力する画像の階調数のデジタルデータを(a+b)ビットとすると、走査信号1の期間は下位のaビットを、走査信号2の期間は上位のbビットを用いて発光表示素子の発光期間を算出して、1走査期間内に計2回同じ発光表示素子を発光させて、その発光量の合計で画像の階調を表示する。
そして、走査信号1の(クロックと電流)と走査信号2の(クロックと電流)との比率により表示する画像の階調数を設定する。
【0055】
次にマトリクス型発光表示素子11を駆動する電流の量について説明する。
まず、走査信号1と走査信号2に流す電流の量により画像のリニアな階調を表現するためには、走査信号1の単位パルス幅(カウント1のパルス幅)によって得られる電流の量をWaとし、走査信号2の単位パルス幅によって得られる電流の量をWbとすると、
Wa=Wb/(2^n)・・・(1)
(2^n):2のn乗、n:カウント数、Wa,Wb:電流値×パルス幅
とすることが必須条件となる。
この電流の量は電流値と単位パルス幅の2つのパラメータがあるため、次の3種類の設定方法により算出する。
【0056】
種類1の設定方法:図6(A)に示すようにパルス幅のみを変化する。
走査信号1の時の単位パルス幅(カウント1のパルス幅)をta、走査信号2の時の単位パルス幅をtbとすると、
ta=tb/(2^n)・・・(2) *図7(A)ではn=1
とし、電流値は電流bで一定であるから、
Wa=電流b×ta=電流b×tb/(2^n)=Wb/(2^n)
となり,(1)式を満たしている。
【0057】
種類2の設定方法:図7(B)に示すように電流値のみを変化する。
走査信号1の時は電流a、走査信号2の時は電流bとすると、
電流a=電流b/(2^n)・・・(3) *図7(B)ではn=1
となり、
単位パルス幅tbは一定であるから、
Wa=電流a×tb=電流b×tb/(2^n)=Wb/(2^n)
が得られるから,(1)式を満たしている。
【0058】
種類3の設定方法:図6(D)に示すようにパルス幅と電流値を変化する。
走査信号1の時は単位パルス幅ta、電流aとし、走査信号2の時は単位パルス幅tb、電流b、とすると、
ta=tb/(2^n)・・・(4) *図8(A)ではn=3
電流a=電流b/(2^m)・・・(5) *図8(B)ではm=3
となり、
Wa=電流a×ta
={電流b/(2^n)}×{tb/(2^m)}=Wb/{2^(n+m)}
となる。
(n+m)=aとして、外部から入力する画像の階調数のデジタルデータの下位ビットをaビットとし、上位ビットをbビットとした場合、走査信号1でaの階調数、走査信号2でb^aの階調数が得られる。
従って走査信号1を走査線期間に設定することでaビットの階調数を付加することが出来る。
【0059】
以上述べてきたように、本発明の実施形態における発光表示素子駆動装置において、画像の1走査線毎に走査信号1の期間と走査信号2の2つの期間を設定し、発光表示素子11の1画面分の走査線を2回に分けて走査し、この2つの走査期間のパルス幅と電流とを組み合わせることにより、クロックの周波数を十分低くし、かつ発光表示素子11に電流を流す時は常に一定電流とすることが出来るので、精度の良い安定した画像の階調表示を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施形態に係る発光表示素子駆動装置の概要を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係り、階調制御を行う回路構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係り、発光表示素子駆動装置の発光部分の動作説明を行うための図である。
【図4】本発明の実施形態に係り、(A)は1ラインを2回続けて発光させる時のクロックと電流の関係を説明するための図であり,(B)は1ラインを2回に分けて発光させる時のライン状態を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係り、(A)は1画面を2回に分けて発光させる時のクロックと電流の関係を説明するための図であり,(B)は1画面を2回に分けて発光させる時のライン状態を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係り、1ラインと1画面とを2回に分けて発光させる時のライン状態を示す図である。
【図7】階調数制御を行う際のクロックと電流の関係を説明するための図であり,(A)は、クロックが2種類で電流は1種類の時の波形を示す図であり、(B)は、クロックは1種類で電流は2種類の時の波形を示す図である。
【図8】階調数制御を行う際のクロックと電流の関係を説明するための図であり,(A)は、クロックが2種類で電流は1種類の時の波形を示す図であり、(B)は、クロックと電流が2種類の時の波形を示す図である。
【図9】従来の発光表示素子駆動装置の動作説明を行うための概要を示す図である。
【図10】従来の階調表現を行うための回路例を示す図である。
【図11】階調表現の詳細を示す図である。
【図12】従来の発光表示素子駆動装置の波形を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1・・・発光表示素子駆動装置、2・・・インターフェイス回路、3・・・バッファメモリ、4・・・データ選択回路、5・・・パルス発生回路、5a・・・基準クロック発生回路、5b・・・クロック選択回路、6・・・パルス幅変調回路、7・・・パルス幅電流供給回路(パルス電流供給回路)、8・・・電流設定回路、8a・・・電流源選択回路、8b・・・電流源、9・・・水平走査回路、10・・・垂直走査回路、11・・・マトリクス型発光表示素子、12・・・走査信号発生回路、13・・・PC(パーソナルコンピュータ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する走査線と信号線との間にそれぞれ配列された複数の発光表示素子と、外部から入力される垂直同期信号から走査信号を生成する走査信号発生回路と、前記走査線に走査パルス信号を供給する垂直走査回路と、前記信号線に画像信号電流を順次供給する水平走査回路と、を有し、前記画像信号電流が前記複数の発光表示素子に供給された状態で、前記画像信号電流に応じた走査パルス信号を供給することにより、前記複数の発光表示素子を発光させてビット列で表示されるデジタル画像表示を行う発光表示素子駆動装置において、
前記垂直走査回路から供給される前記走査パルス信号に基づいて1走査線分の前記発光表示素子を連続して2回繰り返し発光させるに当たり、前記各発光表示素子が第1の幅を有した前記各発光表示素子の微調発光用の第1発光用パルス信号と,前記第1の幅の整数倍の第2の幅を有した前記各発光表示素子の主発光用の第2発光用パルス信号を生成するパルス発生回路と、
前記デジタル画像の階調数を2進数で表し上位の階調と下位の階調に分けた時、前記デジタル画像の下位の階調だけで表される場合には、前記走査信号により前記第1発光用パルス信号を選択し、前記デジタル画像の上位の階調だけの場合には、前記第2発光用パルス信号を選択するパルス幅変調回路と、
前記パルス幅変調回路で選択された前記第1及び第2発光用パルス信号で前記発光表示素子を発光させる前記画像信号電流を前記複数の信号線に供給するパルス電流供給回路と、
前記第2発光用パルス信号に対して前記第1発光用パルス信号の電流の大きさを小さく設定する電流設定回路と、
を備えたことを特徴とする発光表示素子駆動装置。
【請求項2】
互いに直交する走査線と信号線との間にそれぞれ配列された複数の発光表示素子と、外部から入力される垂直同期信号から走査信号を生成する走査信号発生回路と、前記走査線に走査パルス信号を1画面につき2回供給する垂直走査回路と、前記信号線に画像信号電流を順次供給する水平走査回路と、を有し、前記画像信号電流が前記複数の発光表示素子に供給された状態で、前記画像信号電流に応じた前記走査パルス信号を供給することにより、前記複数の発光表示素子を発光させてビット列で表示されるデジタル画像表示を行う発光表示素子駆動装置において、
前記垂直走査回路から供給される前記走査パルス信号に基づいて1画面分の前記走査線で指定される前記発光表示素子の発光を2回に分けて1画面間隔で繰り返し発光させるに当たり、1回目の1画面分の前記走査線の前記各発光表示素子が第1の幅を有した前記各発光表示素子の微調発光用の第1発光用パルス信号と,2回目の1画面分の前記走査線の前記各発光表示素子が前記第1の幅の整数倍の第2の幅を有した前記各発光表示素子の主発光用の第2発光用パルス信号を生成するパルス発生回路と、
前記デジタル画像の階調数を2進数で表し上位の階調と下位の階調に分けた時、前記デジタル画像の下位の階調だけで表される場合には、前記走査信号により前記第1発光用パルス信号を選択し、前記デジタル画像の上位の階調だけの場合には、前記第2発光用パルス信号を選択するパルス幅変調回路と、
前記パルス幅変調回路で選択された前記第1及び第2発光用パルス信号で前記発光表示素子を発光させる前記画像信号電流を前記複数の信号線に供給するパルス電流供給回路と、
前記第2発光用パルス信号に対して前記第1発光用パルス信号の電流の大きさを小さく設定する電流設定回路と、
を備えたことを特徴とする発光表示素子駆動装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−114692(P2007−114692A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−308724(P2005−308724)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】