説明

発光表示装置

【課題】 確実に導電シートとELシートを接着又は剥離させる機能を備え、安定して何度でも文字や図形を発光又は消光させることができ、利便性や信頼性に優れた発光表示装置を提供する。
【解決手段】 本発明の発光表示装置1は、透明導電シート2、ELシート3、収納ケース4、固定フレーム5、加圧ピン6、弾性材7を備えている。また、透明導電シート2とELシート3は、スペーサ10により所定の距離を離して設置されている。収納ケース4は、透明導電シート2とELシート3を収納して衝撃や熱等の外部環境から保護するようになっている。さらに、加圧ピン6は、収納ケース4に形成されたガイド溝15に挿入され、固定フレーム5を介してELシート3の端部を下方に加圧するようになっている。また、弾性材7は、加圧されるELシート3の下方に設けられ、一端がELシート3に当接され、他端が収納ケース4に当接されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は装飾や看板、玩具、インテリア等として好適な発光表示装置に関し、特に、高品位の文字や図形を容易に発光又は消光できる電界発光灯を用いた発光表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
透明電極と裏面電極の間に交流電圧を印加して、両電極間に挟まれた発光層から出た光を透明電極を介して全面発光させる電界発光灯は、液晶ディスプレイのバックライト等に使用されている。これとは別に、文字や図形などのキャラクタ表示を目的として、裏面電極を分割し、この分割した裏面電極に交流電圧を印加して、発光層を発光させる電界発光灯があり、例えば特開平8−153582号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
図13は、従来の電界発光灯131の構成を示す要部断面図である。従来の電界発光灯131は、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド等から成る絶縁性ベースフィルム132上に、銅、アルミニウム等の導電性材料を接着剤等で接着し、エッチング等の手段により電気的に分割された裏面電極133a、133bを櫛型状に形成し、この裏面電極133a、133b上に反射絶縁層134と発光層135を順次、積層形成し、さらに発光層135の上に、導電性で可視光透過性のあるペースト(例えば、インジウム錫酸化物やアンチモン錫酸化物をアクリルメラミン樹脂に分散させたペースト)又は、導電性で可視光透過性のあるインク(例えば、インジウム錫酸化物やアンチモン錫酸化物を液中に分散させたインク、又はイオン性界面活性剤を含んだ水溶性インク)を使用したペンで、使用者の好みに応じた所定形状を描くことにより、透明電極136を形成することができる。
【0004】
次に、かかる構成の電界発光灯131の発光原理について説明する。裏面電極133a、133bに所定の交流電圧を印加すると、反射絶縁層134と発光層135が容量性を有するために、裏面電極133a、133bと透明電極136の間に電位差が生じる。その結果、発光層135に高電界がかかり、使用者が塗布や印刷等の手段により好みの所定形状に成膜した表示電極である透明電極136を通して、発光層135から光が取り出される。
【0005】
しかしながら、上述した従来の電界発光灯131には、次のような問題があった。使用者が任意の文字や図形を発光させるために、透明電極136として導電性ペーストを使用する場合は、専用の乾燥設備が必要になるという問題があった。
【0006】
また、透明電極136として導電性インクを使用する場合、乾燥の必要はないが、消光させるために導電性インクを完全に拭き取らねばならず、非常に手間がかかるという問題があった。
【0007】
さらに、導電性インクとしてイオン性界面活性剤を含んだ水溶性インクを長時間使用すると、イオン性界面活性剤が電界に引き寄せられ、徐々に発光層135及び反射絶縁層134の内部に浸透して裏面電極133a、133bに達し、絶縁劣化から最終的には裏面電極133a、133bが腐蝕し、電界発光灯131が不灯になる等の致命的な問題も発生していた。
【0008】
そこで、本発明者は、これらの問題を解決するために、導電性ペーストや導電性インクを使用しない新しい方式の電界発光灯を開発し、特願2004−135133号明細書(平成16年4月30日出願、本出願時未公開、特許文献2)を出願した。
【0009】
図14は、本出願人が先に出願した電界発光灯141の構成を示す断面図であり、図14(a)は発光状態を示し、図14(b)は消光状態を示す。
【0010】
図14(a)、(b)に示す電界発光灯141は、透明導電シート142とELシート143を備えている。
【0011】
透明導電シート142は、ポリエチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート等からなる透明フィルム144と、透明フィルム144の上に形成された透光性、粘着性を有するイオン伝導性高分子ゲルからなる透明電極粘着層145と、透明電極粘着層145に分散形成された架橋ポリメタクリル酸メチルの粒形樹脂ビーズ等からなるスペーサ146から構成されている。
【0012】
一方、ELシート143は、ポリエチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド等からなる基材フィルム147と、その上に形成された銅やアルミニウム等の導電性材料を接着剤等で接着してなる裏面電極148と、チタン酸バリウムからなる高誘電体粉末をフッ素ゴム中に分散してなる反射絶縁層149と、硫化亜鉛を銅で付活し防湿コーティングを施した蛍光体をフッ素ゴム中に分散してなる発光層150から構成されている。
【0013】
なお、透明導電シート142とELシート143は、スペーサ146により所定の距離を離して設置されている。
【0014】
次に、図14(a)により、電界発光灯141の発光方法を説明する。先ず、透明電極粘着層145と裏面電極148に所定の交流電圧を印加した後、ペン(導電性インクは必要ない)、スティック、スタイラス、細い棒状の物、指等の押圧治具151を使用して文字や図形を表示させたい箇所の透明導電シート142を上から押圧する。押圧された箇所の透明導電シート142が凹状に変形し、透明電極粘着層145が発光層150と接触する。このとき、透明電極粘着層145は粘着性を有するイオン伝導性高分子ゲルで形成されているので、高分子ゲルの粘着力により、透明電極粘着層145は発光層150に接着保持される。そして、この透明電極粘着層145が接着保持された部分の発光層150に高電界がかかり発光する。すなわち、押圧治具151で押圧した部分が、瞬時に任意の文字や図形として発光することになる。
【0015】
電界発光灯141を消光する場合には、図14(b)に示すように、透明導電シート142の両側又は片側を所定の高さだけ上方に引き上げることにより、透明電極粘着層145と発光層150の接着部分を機械的に引き剥がす。これにより、発光層150が絶縁されて消光する。
【0016】
この電界発光灯141によれば、透明導電シート142とELシート143を接着又は剥離させるだけで、使用者が任意の文字や図形を容易に発光又は消光させることができる。導電性ペーストや導電性インクを使う必要がなく、又水や溶剤などで拭き取る必要もない。その結果、導電性ペーストの成膜乾燥に用いる乾燥設備が不要になるとともに、導電性インクの描き消しにかかる使用者の負担も軽減することができる。さらには、導電性インクが原因で発生する絶縁劣化や裏面電極の腐蝕等の問題も解決できる。
【0017】
また、図15(a)〜図16(e)は、本出願人が先に出願した電界発光灯の他の構成を示す断面図である。図14と同一の構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0018】
先ず、図15(a)に示す電界発光灯161は、透明導電シート162が、透明フィルム144、ITO(Indium Tin Oxide)等からなる透明電極163、アクリル系粘着剤等からなる粘着層164、スペーサ146から構成されている。ELシート143は、図14に示した電界発光灯141と同じ構成である。また、図15(b)に示す電界発光灯171は、透明導電シート172が、透明フィルム144、透明電極163から構成され、ELシート173が、基材フィルム147、裏面電極148、反射絶縁層149、発光層150、粘着層164、スペーサ146から構成されている。
【0019】
これらの電界発光灯161、171は、図14に示した電界発光灯141の透明電極粘着層145を、透明電極163と粘着層164の2層に分離し、その配置を変更したものである。透明電極163に抵抗値の低いITOを使用するので、透明電極163の電力損失を低減でき、輝度や電池寿命を向上させることができる。
【0020】
また、図16(c)に示す電界発光灯181は、裏面導電シート182が、基材フィルム147、粘着性を有する裏面イオン伝導性高分子ゲルからなる裏面電極粘着層184、スペーサ146から構成され、ELシート183が、透明フィルム144、透明電極163、発光層150、反射絶縁層149から構成されている。
【0021】
この電界発光灯181は、図14に示した電界発光灯141の透明電極粘着層145を、裏面電極粘着層184に変更したものである。裏面電極粘着層184が発光層150の下側に設けられているので、透明である必要がない。そのため、不透明な材料でも使用することができ、材料の選択範囲が大幅に広がる。また、押圧治具151によりELシート183の上から押圧して発光させるので、裏面電極粘着層184に過剰な力が加わることがない。これにより、裏面電極粘着層184の変形量が少なくなるので、抵抗値が安定して、電界発光灯181の使用寿命を延ばすことができる。
【0022】
また、図16(d)に示す電界発光灯191は、裏面導電シート192が、基材フィルム147、裏面電極148、粘着層164、スペーサ146から構成されている。ELシート183は、図16(c)に示した電界発光灯181と同じ構成である。さらに、図16(e)に示す電界発光灯201は、裏面導電シート202が、基材フィルム147、裏面電極148から構成され、ELシート203が、透明フィルム144、透明電極163、発光層150、反射絶縁層149、粘着層164、スペーサ146から構成されている。
【0023】
これらの電界発光灯191、201は、図16(c)に示した電界発光灯181の裏面電極粘着層184を、裏面電極148と粘着層164の2層に分離し、その配置を変更したものである。裏面電極148に抵抗値の低い銅やアルミニウムを使用するので、裏面電極148の電力損失をさらに低減でき、輝度や電池寿命をより向上させることができる。
【特許文献1】特開平8−153582号公報(第2,3頁、0012段落〜0021段落、図1)
【特許文献2】特願2004−135133号明細書(0040段落〜0053段落、図1〜図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
上述した電界発光灯141、161、171、181、191、201を、装飾、看板、玩具、文具等の発光表示装置へ適用する場合、発光表示装置の利便性や信頼性をより向上させるためには、透明導電シート又は裏面導電シートとELシートを確実に接着又は剥離させることが重要になる。特に剥離が不十分になると、文字や図形が消去できずに新たな描き込みができなくなる。また、無理な力を加えて剥離させようとすると、透明電極粘着層又は裏面電極粘着層が剥がれて不発光領域が生じ、発光表示装置の信頼性を大きく低下させることになる。
【0025】
本発明は、上記問題点を解決するために考えられたもので、確実に導電シートとELシートを接着又は剥離させる機能を備え、安定して何度でも文字や図形を発光又は消光させることができ、利便性や信頼性に優れた発光表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の発光表示装置は、導電シートとELシートの間に交流電圧を印加しておき、前記導電シートと前記ELシートを接着又は剥離させることにより発光又は消光を行なう電界発光灯と、前記電界発光灯を収容する収容ケースと、前記導電シートと前記ELシートを剥離させる前記収容ケースに付属した消光機構を有することを特徴とする。
【0027】
また、請求項2記載の発光表示装置は、請求項1記載の発光表示装置であって、前記導電シートが透明電極を有し、前記ELシートが発光層、反射絶縁層及び裏面電極を有することを特徴とする。
【0028】
また、請求項3記載の発光表示装置は、請求項1記載の発光表示装置であって、前記導電シートが裏面電極を有し、前記ELシートが発光層、反射絶縁層及び透明電極を有することを特徴とする。
【0029】
また、請求項4記載の発光表示装置は、請求項2又は3記載の発光表示装置であって、前記透明電極が、イオン伝導性高分子ゲル、酸化インジウム、酸化錫、酸化アンチモン、酸化亜鉛及び導電性高分子の少なくとも一種類以上を含む導電性材料からなることを特徴とする。
【0030】
また、請求項5記載の発光表示装置は、請求項2又は3記載の発光表示装置であって、前記裏面電極が、イオン伝導性高分子ゲル、酸化インジウム、酸化錫、酸化アンチモン、酸化亜鉛、カーボン、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、白金、金及び導電性高分子の少なくとも一種類以上を含む導電性材料からなることを特徴とする。
【0031】
また、請求項6記載の発光表示装置は、請求項1〜3のいずれかに記載の発光表示装置であって、前記電界発光灯の消光機構が、機械的手段により前記ELシートに剥離方向の力を加え、前記導電シートと前記ELシートの接着部を剥離して行うことを特徴とする。
【0032】
また、請求項7記載の発光表示装置は、請求項1〜3のいずれかに記載の発光表示装置であって、前記電界発光灯の消光機構が、機械的手段により前記導電シートに剥離方向の力を加え、前記導電シートと前記ELシートの接着部を剥離して行うことを特徴とする。
【0033】
また、請求項8記載の発光表示装置は、請求項1〜3のいずれかに記載の発光表示装置であって、前記電界発光灯の消光機構が、機械的手段により前記導電シートとELシートの両者に剥離方向の力を加え、前記導電シートと前記ELシートの接着部を剥離して行うことを特徴とする。
【0034】
また、請求項9記載の発光表示装置は、請求項1〜3のいずれかに記載の発光表示装置であって、前記電界発光灯の消光機構が、供給ガスによるガス加圧手段により前記導電シートとELシートの両者に剥離方向の力を加え、前記導電シートと前記ELシートの接着部を剥離して行うことを特徴とする。
【0035】
また、請求項10記載の発光表示装置は、請求項6〜8のいずれかに記載の発光表示装置であって、前記機械的手段が、加圧治具、回転治具、移動治具又は挿入治具を用いて行うことを特徴とする。
【0036】
また、請求項11記載の発光表示装置は、請求項9記載の発光表示装置であって、前記供給ガスが、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム又はこれらの混合ガスからなることを特徴とする。
【0037】
また、請求項12記載の発光表示装置は、請求項1〜3のいずれかに記載の発光表示装置であって、前記電界発光灯の発光機構が、押圧手段により前記導電シートに圧力を加え、前記導電シートと前記ELシートを接着して行うことを特徴とする。
【0038】
また、請求項13記載の発光表示装置は、請求項1〜3のいずれかに記載の発光表示装置であって、前記電界発光灯の発光機構が、押圧手段により前記ELシートに圧力を加え、前記導電シートと前記ELシートを接着して行うことを特徴とする。
【0039】
また、請求項14記載の発光表示装置は、請求項12又は13記載の発光表示装置であって、前記押圧手段の先端に、文字や図形に対応した凸部が形成されていることを特徴とする。
【0040】
また、請求項15記載の発光表示装置は、請求項12又は13記載の発光表示装置であって、前記押圧手段の先端に、文字や図形に対応した凸部が接着部材により固定されていることを特徴とする。
【0041】
また、請求項16記載の発光表示装置は、請求項14記載の発光表示装置であって、前記凸部が、前記押圧手段から着脱自在であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0042】
以上説明したように、本発明の発光表示装置によれば、加圧治具、回転治具又は移動治具等の機械的手段により導電シート又はELシートに剥離方向の力を加え、導電シートとELシートの接着面を引き剥がすようにしたので、導電シートとELシートを確実に剥離することができる。また、挿入治具等の機械的手段又は供給ガス等のガス加圧手段により導電シートとELシートの両者に剥離方向の力を加え、導電シートとELシートの接着面を引き剥がすようにしたので、導電シートとELシートを確実に剥離することができる。これにより、長期に亘って安定して発光又は消光を行うことができる。
【0043】
また、文字や図形に対応した凸部を形成した押圧治具により、導電シート又はELシートを押圧し、導電シートとELシートを接着させるようにしたので、高品位の文字や図形を容易に発光表示することができる。これにより、看板や広告等のように表示する情報を日々変化させるような宣伝媒体として利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は本発明の第1実施例の発光表示装置1の構成を示す断面図であり、図1(a)は発光状態を示し、図1(b)は消光状態を示している。
【0045】
図1(a)、(b)に示す第1実施例の発光表示装置1は、透明導電シート2、ELシート3、収納ケース4、固定フレーム5、加圧ピン6、弾性材7を備えている。
【0046】
透明導電シート2は、ポリエチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート等からなる透明フィルム8と、透明フィルム8の上に形成された透光性、粘着性を有するイオン伝導性高分子ゲルからなる透明電極粘着層9と、透明電極粘着層9に分散形成された架橋ポリメタクリル酸メチルの粒形樹脂ビーズ等からなるスペーサ10から構成されている。
【0047】
一方、ELシート3は、ポリエチレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド等からなる基材フィル11と、その上に形成された銅やアルミニウム等の導電性材料を接着剤等で接着してなる裏面電極12と、チタン酸バリウムからなる高誘電体粉末をフッ素ゴム中に分散してなる反射絶縁層13と、硫化亜鉛を銅で付活し防湿コーティングを施した蛍光体をフッ素ゴム中に分散してなる発光層14から構成されている。
【0048】
なお、透明導電シート2とELシート3は、スペーサ10により所定の距離を離して設置されている。
【0049】
収納ケース4は、透明導電シート2とELシート3を収納して衝撃や熱等の外部環境から保護するようになっている。また、固定フレーム5は、透明導電シート2とELシート3の周縁部に取付けられ、両者2、3を収納ケース4に安定に固定するようになっている。さらに、加圧ピン6は、収納ケース4に形成されたガイド溝15に挿入され、固定フレーム5を介してELシート3の端部を下方に加圧するようになっている。また、バネ材やゴム材等からなる弾性材7は、加圧されるELシート3の下方に設けられ、一端がELシート3に当接され、他端が収納ケース4に当接されている。
【0050】
次に、図1(a)により、本実施例の発光表示装置1の発光方法を説明する。先ず、透明電極粘着層9と裏面電極12に交流電源により所定の交流電圧を印加する。次に、ペン(導電性インクは必要ない)、スティック、スタイラス、細い棒状の物、指等の押圧治具16により透明導電シート2をELシート3に押しつけ、発光表示させたい文字や図形を描く。透明導電シート2の透明電極粘着層9は、透光性、粘着性を有するイオン伝導性高分子ゲルから形成されているので、高分子ゲルの粘着力により、押圧された箇所の透明導電シート2はELシート3に接着保持される。そして、透明導電シート2とELシート3に高電界がかかり、文字や図形が発光表示される。この文字や図形は、透明導電シート2がELシート3に接着している間、連続して発光表示される。
【0051】
次に、図1(b)により、本実施例の発光表示装置1の消光方法を説明する。先ず、収納ケース4の上部に設けられた加圧ピン6を押すと、ELシート3の端部に剥離方向の力が加わる。このとき、ELシート3の他端は、固定フレーム5により収納ケース4に固定されているので、この部分を支点として加圧ピン6で押された部分のELシート3が下方に押下げられる。また、ELシート3の周縁部は固定フレーム5で保護されているので、加圧ピン6で押されても損傷することがない。この押下げ力により、透明導電シート2とELシート3の接着面が引き剥がされ、透明導電シート2とELシート3がオープン状態になる。その結果、透明導電シート2とELシート3に高電界がかからなくなり消光される。
【0052】
消光後に加圧ピン6を離すと、ELシート3の端部に加わっていた力が開放され、弾性材7の反力により、ELシート3と加圧ピン6が元の位置に戻る。なお、元の位置に戻った透明導電シート2とELシート3は、スペーサ10により所定の距離を離して設置されているため、発光することがない。その後、再び押圧治具16により描き込みを行えば、任意の文字や図形を発光表示させることができる。
【0053】
このように、本実施例の発光表示装置1によれば、ELシート3を押下げることにより、接着面に対し下方向に力が働くので、透明導電シート2とELシート3を確実に剥離することができる。これにより、長期に亘って安定して発光、消光を行うことができる。
【0054】
次に、本発明の好ましい他の実施の形態を、図面を参照して説明する。図2は本発明の第2実施例の発光表示装置21の構成を示す断面図であり、図2(a)は発光状態を示し、図2(b)は消光状態を示している。なお、第1実施例と同一の構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0055】
図2(a)に示す第2実施例の発光表示装置21は、透明導電シート2、ELシート3、収納ケース4、固定フレーム5、回転板22、回転軸23、加圧ピン24、弾性材25を備えている。回転板22は収納ケース4の側面部に設けられ、回転自在に構成されている。また、回転軸23は収納ケース4の内部に設けられ、回転板22の中心部に接続されている。さらに、加圧ピン24は回転軸23に接続され、固定フレーム5を介してELシート3の端部を下方に加圧するようになっている。また、弾性材25は、加圧されるELシート3の下方に設けられ、一端がELシート3に当接され、他端が収納ケース4に当接されている。
【0056】
次に、図2(b)により、本実施例の発光表示装置21の消光方法を説明する。先ず、収納ケース4の側面部に設けられた回転板22を回すと、回転板22に接続された回転軸23が同一方向に回転する。さらに、回転軸23に接続された加圧ピン24も下方向に回転し、水平位置から垂直位置に保持される。この加圧ピン24の回転によりELシート3の端部に剥離方向の力が加わる。このとき、回転板22に加圧ピン24の位置に対応するようにマーク26を付けておけば、収納ケース4の外側から容易に加圧ピン24の位置を知ることができる。また、固定カバー5に突起部27を設けておけば、回転板22のストッパとして働き、加圧ピン24を正確に垂直位置に保持することができる。ELシート3の他端は、固定フレーム5により収納ケース4に固定されているので、この部分を支点として加圧ピン24で押された部分のELシート3が下方に押下げられる。この押下げ力により、透明導電シート2とELシート3の接着面が引き剥がされ、透明導電シート2とELシート3がオープン状態になる。その結果、透明導電シート2とELシート3に高電界がかからなくなり消光される。
【0057】
消光後に回転板22を逆に回すと、回転軸23と加圧ピン24も逆方向に回転する。この加圧ピン24の回転によりELシート3の端部に加わっていた圧力が開放され、弾性材25の反力により、ELシート3と加圧ピン24が元の位置に戻る。なお、元の位置に戻った透明導電シート2とELシート3は、スペーサ10により所定の距離を離して設置されているため、発光することがない。その後、再び押圧治具16により描き込みを行えば、任意の文字や図形を発光表示させることができる。
【0058】
このように、本実施例の発光表示装置21によれば、ELシート3を押下げることにより、接着面に対し下方向に力が働くので、透明導電シート2とELシート3を確実に剥離することができる。これにより、長期に亘って安定して発光、消光を行うことができる。
【0059】
次に、本発明の好ましい他の実施の形態を、図面を参照して説明する。図3は本発明の第3実施例の発光表示装置31の構成を示す断面図であり、図3(a)は発光状態を示し、図3(b)は消光状態を示している。なお、第1実施例と同一の構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0060】
図3(a)に示す第3実施例の発光表示装置31は、透明導電シート2、ELシート3、収納ケース4、固定フレーム5、第1ローラ32、第2ローラ33、駆動部34、スイッチ35を備えている。第1ローラ32と第2ローラ33は収納ケース4の内部に設けられ、ELシート3が巻かれている。また、第1ローラ32と第2ローラ33には駆動部34が接続され、スイッチ35の操作により駆動部34が作動し、両者32、33が回転するように構成されている。
【0061】
次に、図3(b)により、本実施例の発光表示装置31の消光方法を説明する。先ず、スイッチ35を押すと、駆動部34が作動し、第1ローラ32と第2ローラ33が所定時間だけ回転する。このとき同時に、第1ローラ32と第2ローラ33に巻かれたELシート3も横方向に回転移動する。この回転力により、透明導電シート2とELシート3の接着面が引き剥がされ、透明導電シート2とELシート3がオープン状態になる。その結果、透明導電シート2とELシート3に高電界がかからなくなり消光される。
【0062】
一旦、引き剥がされた透明導電シート2とELシート3は、スペーサ10により所定の距離を離して設置されているため、発光することがない。その後、再び押圧治具16により描き込みを行えば、任意の文字や図形を発光表示させることができる。
【0063】
このように、本実施例の発光表示装置31によれば、ELシート3を回転させることにより、接着面に対し横方向に力が働くので、透明導電シート2とELシート3を確実に剥離することができる。これにより、長期に亘って安定して発光、消光を行うことができる。本実施例では、ELシート3を回転移動させる場合について説明したが、ELシート3を固定し、透明導電シート2を第1ローラ32と第2ローラ33に巻きつけて回転させるようにしてもよい。また、駆動部34を用いず、手動にて第1ローラ32と第2ローラ33を回転させるようにしてもよい。
【0064】
次に、本発明の好ましい他の実施の形態を、図面を参照して説明する。図4は本発明の第4実施例の発光表示装置41の構成を示す断面図であり、図4(a)は発光状態を示し、図4(b)は消光状態を示している。なお、第1実施例と同一の構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0065】
図4(a)に示す第4実施例の発光表示装置41は、透明導電シート2、ELシート3、収納ケース4、固定フレーム5、スライド軸42、固定具43、駆動部44、スイッチ45、ガイド溝46を備えている。スライド軸42は収納ケース4の内部に設けられ、その下部に固定具43が取付けられている。固定具43にはELシート3の一端が固定保持されている。また、スライド軸42には駆動部44が接続され、駆動部44にはスイッチ45が接続されている。
【0066】
次に、図4(b)により、本実施例の発光表示装置41の消光方法を説明する。先ず、スイッチ45を押すと、駆動部44が作動し、スライド軸42が所定距離だけ、収納ケース4内に設けられたガイド溝46に沿って水平移動する。このとき同時に、固定具43と、固定具43に固定保持されたELシート3の一端も横方向に水平移動する。ELシート3の他端は、固定フレーム5により収納ケース4に固定されているので、この部分を支点としてスライド軸42の移動によりELシート3が下側に引っ張られる。この引っ張り力により、透明導電シート2とELシート3の接着面が引き剥がされ、透明導電シート2とELシート3がオープン状態になる。その結果、透明導電シート2とELシート3に高電界がかからなくなり消光される。
【0067】
消光後にスライド軸42をガイド溝46に沿って逆移動させると、固定具43とELシート3も逆方向に移動し、元の位置に戻る。なお、元の位置に戻った透明導電シート2とELシート3は、スペーサ10により所定の距離を離して設置されているため、発光することがない。その後、再び押圧治具16により描き込みを行えば、任意の文字や図形を発光表示させることができる。
【0068】
このように、本実施例の発光表示装置41によれば、ELシート3の一端を引っ張ることにより、接着面に対し下方向に力が働くので、透明導電シート2とELシート3を確実に剥離することができる。これにより、長期に亘って安定して発光、消光を行うことができる。本実施例では、ELシート3を下側に引っ張る場合について説明したが、透明導電シート2の一端を固定具43に固定保持し、透明導電シート2を上側に引っ張るようにしてもよい。また、駆動部44を用いず、手動にてスライド軸42を水平移動させるようにしてもよい。
【0069】
次に、本発明の好ましい他の実施の形態を、図面を参照して説明する。図5は本発明の第5実施例の発光表示装置51の構成を示す断面図であり、図5(a)は発光状態を示し、図5(b)は消光状態を示している。なお、第1実施例と同一の構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0070】
図5(a)に示す第5実施例の発光表示装置51は、透明導電シート2、ELシート3、収納ケース4、固定フレーム5、スライド軸52、ローラ53、駆動部54、スイッチ55、ガイド溝56を備えている。スライド軸52は収納ケース4の内部に設けられ、その外周部にはローラ53が設けられている。また、スライド軸52には駆動部54が接続され、駆動部54にはスイッチ55が接続されている。
【0071】
次に、図5(b)により、本実施例の発光表示装置51の消光方法を説明する。先ず、スイッチ55を押すと、駆動部54が作動し、スライド軸52が所定距離だけ、収納ケース4内に設けられたガイド溝56に沿って水平移動する。このとき同時に、スライド軸52の外周部に設けられたローラ53が回転し、ELシート3を巻き取る。ELシート3の他端は、固定フレーム5により収納ケース4に固定されているので、この部分を支点としてローラ53によりELシート3が下側に引っ張られる。この引っ張り力により、透明導電シート2とELシート3の接着面が引き剥がされ、透明導電シート2とELシート3がオープン状態になる。その結果、透明導電シート2とELシート3に高電界がかからなくなり消光される。
【0072】
消光後にスライド軸52をガイド溝56に沿って逆移動させると、ローラ53が逆回転し、ELシート3が元の位置に戻る。なお、元の位置に戻った透明導電シート2とELシート3は、スペーサ10により所定の距離を離して設置されているため、発光することがない。その後、再び押圧治具16により描き込みを行えば、任意の文字や図形を発光表示させることができる。
【0073】
このように、本実施例の発光表示装置51によれば、ELシート3の一端を巻き取ることにより、接着面に対し下方向に力が働くので、透明導電シート2とELシート3を確実に剥離することができる。これにより、長期に亘って安定して発光、消光を行うことができる。本実施例では、ELシート3を巻き取る構成について説明したが、ELシート3を固定し、透明導電シート2をローラ53により巻き取るようにしてもよい。また、駆動部54を用いず、手動にてスライド軸52を水平移動させるようにしてもよい。
【0074】
次に、本発明の好ましい他の実施の形態を、図面を参照して説明する。図6は本発明の第6実施例の発光表示装置61の構成を示す断面図であり、図6(a)は発光状態を示し、図6(b)は消光状態を示している。第1実施例と同一の構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0075】
図6(a)に示す第6実施例の発光表示装置61は、透明導電シート2、ELシート3、収納ケース4、固定フレーム5、レバー62、回転軸63、加圧ピン64、弾性材65を備えている。レバー62は収納ケース4の上部に設けられ、倒立自在に構成されている。また、回転軸63は収納ケース4の内部に設けられ、レバー62の端部に接続されている。さらに、加圧ピン64はレバー62と略直角になるようにして回転軸63に接続され、固定フレーム5を介して透明電極粘着シート2の端部を上方に加圧するよう構成されている。また、弾性材65は、レバー62の可倒側に設けられ、一端が収納ケース4に当接され、他端がレバー62に当接されている。
【0076】
次に、図6(b)により、本実施例の発光表示装置61の消光方法を説明する。先ず、レバー62を手前側に倒すと、レバー62に接続された回転軸63が同一方向に回転する。さらに、回転軸63に接続された加圧ピン64も上方向に回転し、透明導電シート2の端部に剥離方向の力が加わる。このとき、透明導電シート2の他端は、固定フレーム5により収納ケース4に固定されているので、この部分を支点として加圧ピン64で押された部分の透明導電シート2が上方向に押上げられる。この押上げ力により、透明導電シート2とELシート3の接着面が引き剥がされ、透明電極粘着シート2とELシート3がオープン状態になる。その結果、透明電極粘着シート2とELシート3に高電界がかからなくなり消光される。
【0077】
消光後にレバー62を離すと、透明導電シート2の端部に加わっていた力が開放され、弾性材65の反力により、透明導電シート2、レバー62及び加圧ピン64が元の位置に戻る。なお、元の位置に戻った透明導電シート2とELシート3は、スペーサ10により所定の距離を離して設置されているため、発光することがない。その後、再び押圧治具16により描き込みを行えば、任意の文字や図形を発光表示させることができる。
【0078】
このように、本実施例の発光表示装置61によれば、透明導電シート2を押上げることにより、接着面に対し上方向に力が働くので、透明導電シート2とELシート3を確実に剥離することができる。これにより、長期に亘って安定して発光、消光を行うことができる。
【0079】
次に、本発明の好ましい他の実施の形態を、図面を参照して説明する。図7は本発明の第7実施例の発光表示装置71の構成を示す断面図であり、図7(a)は発光状態を示し、図7(b)は消光状態を示している。第1実施例と同一の構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0080】
図7(a)に示す第7実施例の発光表示装置71は、透明導電シート2、ELシート3、収納ケース4、固定フレーム5、第1加圧ピン72、第2加圧ピン73、支持台74、第1弾性材75、第2弾性材76、支持ピン77、ガイド溝78を備えている。第1加圧ピン72は収納ケース4に形成されたガイド溝78に挿入され、収納ケース4内の第2加圧ピン73と、支持台74を介して接続されている。また、支持台74の下には、支持ピン77を挟んで、同一の弾性係数を有する第1弾性材75と第2弾性材76が設けられている。
【0081】
次に、図7(b)により、本実施例の発光表示装置71の消光方法を説明する。先ず、第1加圧ピン72を押すと、支持台74に圧力がかかる。支持台74は、中央部に設けた支持ピン77を支点として、左右が対称となるよう昇降自在に構成されているので、第1加圧ピン72による圧力は、支持台74を介して第2加圧ピン73に伝わる。これにより、第2加圧ピン73は上方向に押上げられ、透明導電シート2の端部に剥離方向の力が加わる。このとき、透明導電シート2の他端は、固定フレーム5により収納ケース4に固定されているので、この部分を支点として第2加圧ピン73で押された部分の透明導電シート2が上方に押上げられる。この押上げ力により、透明導電シート2とELシート3の接着面が引き剥がされ、透明導電シート2とELシート3がオープン状態になる。その結果、透明導電シート2とELシート3に高電界がかからなくなり消光される。
【0082】
消光後に第1加圧ピン72を離すと、透明導電シート2の端部に加わっていた力が開放され、第1弾性材75と第2弾性材76の反力により、透明導電シート2、第1加圧ピン72及び第2加圧ピン73が元の位置に戻る。また、第1弾性材75と第2弾性材76は同一の弾性係数を有する材料で構成されているので、透明導電シート2が加圧されていない状態では、支持台74が平行に保持される。なお、元の位置に戻った透明導電シート2とELシート3は、スペーサ10により所定の距離を離して設置されているため、発光することがない。その後、再び押圧治具16により描き込みを行えば、任意の文字や図形を発光表示させることができる。
【0083】
このように、本実施例の発光表示装置71によれば、透明導電シート2を押上げることにより、接着面に対し上方向に力が働くので、透明電極粘着シート2とELシート3を確実に剥離することができる。これにより、長期に亘って安定して発光、消光を行うことができる。
【0084】
次に、本発明の好ましい他の実施の形態を、図面を参照して説明する。図8は本発明の第8実施例の発光表示装置81の構成を示す断面図であり、図8(a)は発光状態を示し、図8(b)は消光状態を示している。第1実施例と同一の構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0085】
図8(a)に示す第8実施例の発光表示装置81は、透明導電シート2、ELシート3、収納ケース4、固定フレーム5、第1回転ピン82、第2回転ピン83、第1ギア84、第2ギア85、ガイド溝86を備えている。第1回転ピン82は収納ケース4に形成されたガイド溝86に挿入され、第1ギア84と第2ギア85を介して、収納ケース4内の第2回転ピン83に接続されている。この第1ギア84、第2ギア85は、互いに嵌合して連動するように構成されている。また、第2回転ピン83は、ELシート2の固定フレーム5に接続されている。
【0086】
次に、図8(b)により、本実施例の発光表示装置81の消光方法を説明する。先ず、第1回転ピン82を回すと、第1回転ピン82に接続された第1ギア84が同一方向に回転する。その回転が第1ギア84から第2ギア85に伝達され、第2回転ピン83が回転する。さらに、第2回転ピン83に接続された固定フレーム5も回転し、透明導電シート2に回転の力が加わる。このとき、透明導電シート2の他端は、固定フレーム5により収納ケース4に固定されているので、この部分を支点として第2回転ピン83の力が加わった部分の透明導電シート2が横方向に引張られる。この引張り力により、透明導電シート2とELシート3の接着面が引き剥がされ、透明導電シート2とELシート3がオープン状態になる。その結果、透明導電シート2とELシート3に高電界がかからなくなり消光される。
【0087】
消光後に第1回転ピン82を逆方向に回すと、透明導電シート2の端部に加わっていた力が開放される。なお、元の位置に戻った透明導電シート2とELシート3は、スペーサ10により所定の距離を離して設置されているため、発光することがない。その後、再び押圧治具16により描き込みを行えば、任意の文字や図形を発光表示させることができる。
【0088】
このように、本実施例の発光表示装置81によれば、透明導電シート2の一端を回転させることにより、接着面に対し横方向に力が働くので、透明電極粘着シート2とELシート3を確実に剥離することができる。これにより、長期に亘って安定して発光又は消光を行うことができる。
【0089】
次に、本発明の好ましい他の実施の形態を、図面を参照して説明する。図9は本発明の第9実施例の発光表示装置91の構成を示す断面図であり、図9(a)は発光状態を示し、図9(b)は消光状態を示している。なお、第1実施例と同一の構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0090】
図9(a)に示す第9実施例の発光表示装置91は、透明導電シート2、ELシート3、収納ケース4、固定フレーム5、挿入軸92、駆動部93、スイッチ94、ガイド溝95を備えている。挿入軸92は、その両側に鋭角状の先端部を有し、透明導電シート2とELシート3の間に配置されている。また、挿入軸92には駆動部93が接続され、駆動部93にはスイッチ94が接続されている。
【0091】
次に、図9(b)により、本実施例の発光表示装置91の消光方法を説明する。先ず、スイッチ94を押すと、駆動部93が作動し、挿入軸92が所定距離だけ、収納ケース4内に設けられたガイド溝95に沿って水平移動する。このとき、透明導電シート2とELシート3の両端は、固定フレーム5により収納ケース4に固定されているので、挿入軸92が透明導電シート2とELシート3の間を水平移動すると、透明導電シート2とELシート3が両端を支点として互いに、挿入軸92の高さ分だけ上下方向に膨らむ。この膨らむ力により、透明導電シート2とELシート3の接着面が引き剥がされ、透明導電シート2とELシート3がオープン状態になる。その結果、透明導電シート2とELシート3に高電界がかからなくなり消光される。
【0092】
消光後に挿入軸92をガイド溝95に沿って逆移動させると、膨らんだ透明導電シート2とELシート3が元の位置に戻る。なお、元の位置に戻った透明導電シート2とELシート3は、スペーサ10により所定の距離を離して設置されているため、発光することがない。その後、再び押圧治具16により描き込みを行えば、任意の文字や図形を発光表示させることができる。
【0093】
このように、本実施例の発光表示装置91によれば、透明導電シート2とELシート3の間に挿入軸92を水平移動させることにより、接着面に対し上下方向に力が働くので、透明導電シート2とELシート3を確実に剥離することができる。これにより、長期に亘って安定して発光又は消光を行うことができる。また、挿入軸92は、その両側に鋭角状の先端部を有しているので、左右どちらの方向にも移動できる。なお、本実施例では、駆動部93により挿入軸92を水平移動させたが、手動にて行うようにしてもよい。
【0094】
次に、本発明の好ましい他の実施の形態を、図面を参照して説明する。図10は本発明の第10実施例の発光表示装置101の構成を示す断面図であり、図10(a)は発光状態を示し、図10(b)は消光状態を示している。第1実施例と同一の構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0095】
図10(a)に示す第10実施例の発光表示装置101は、透明導電シート2、ELシート3、収納ケース4、固定フレーム5、ガス供給孔102、ガス排出孔103、ガス供給源104、排出バルブ105、スイッチ106を備えている。ガス供給孔102とガス排出孔103は、透明導電シート2とELシート3を挟み、収納ケース4内に対向するように形成されている。さらに、ガス供給孔102はガス供給源104に接続され、ガス排出孔103は排出バルブ105に接続されている。また、ガス供給源104はスイッチ106に接続されている。
【0096】
次に、図10(b)により、本実施例の発光表示装置101の消光方法を説明する。先ず、スイッチ106を押すと、ガス供給源104から、ガス供給孔102を介して収納ケース4内にガスを供給される。このとき、排出バルブ105は閉じた状態である。透明導電シート2とELシート3の両端は、固定フレーム5により収納ケース4に固定されているので、透明導電シート2とELシート3の全面に所定のガス圧が加わると、両端を支点として互いに上下方向に膨らむ。この膨らむ力により、透明導電シート2とELシート3の接着面が引き剥がされ、透明導電シート2とELシート3がオープン状態になる。その結果、透明導電シート2とELシート3に高電界がかからなくなり消光される。
【0097】
消光後にガス供給源104よりガスの供給を停止し、排出バルブ105を開いて、ガス排出孔103より収納ケース4内のガスを排出すると、透明導電シート2とELシート3に加わっていたガス圧が開放されて元の位置に戻る。なお、元の位置に戻った透明導電シート2とELシート3は、スペーサ10により所定の距離を離して設置されているため、発光することがない。その後、再び押圧治具16により描き込みを行えば、任意の文字や図形を発光表示させることができる。なお、ガス供給源104より供給するガスは、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム又はこれらの混合ガスを使用することができる。
【0098】
このように、本実施例の発光表示装置101によれば、透明導電シート2とELシート3の全面にガスを供給することにより、接着面に対し上下方向に力が働くので、透明導電シート2とELシート3を確実に剥離することができる。これにより、長期に亘って安定して発光又は消光を行うことができる。
【0099】
また、上述した各実施例では、ペン(導電性インクは必要ない)、スティック、スタイラス、細い棒状の物、指等の押圧治具16で透明導電シート2を上部から押圧し、透明導電シート2とELシート3を部分的に接着させることにより、文字や図形を発光させていた。これ以外にも、例えば図11(a)に示すように、押圧治具111の片面又は両面に文字や図形に対応した凸部112を形成し、この押圧治具111を本発明の発光表示装置に適用するようにしてもよい。押圧治具111に形成された凸部112により、発光表示装置1の透明導電シート2を上部から押圧し、凸部112に対応した部分の透明導電シート2をELシート3に接着させることにより、図11(b)に示すような文字113や図形114を、安定して発光表示させることができる。
【0100】
このように、本発明の発光表示装置に用いられる押圧治具111によれば、片面又は両面にあらかじめ任意の文字や図形に対応した凸部112が形成されているので、高品位の文字や図形を安定して発光表示させることができる。
【0101】
また、これらの凸部112は、図12(a)に示すように押圧治具111に直接形成してもよいし、図12(b)に示すように押圧治具111に接着剤や両面テープ等の接着部材115で固定してもよい。また、図12(c)に示すように凸部112を形成した別体の治具116を、押圧治具111の先端に取付けるようにしてもよい。
【0102】
これらの押圧治具111により透明導電シート2とELシート3を接着させ、透明導電シート2とELシート3に交流電圧を連続して印加すれば、文字や図形を連続発光させることができる。また、透明導電シート2とELシート3に交流電圧を間隔をおいて印加すれば、点滅発光させることができる。また、点滅の間隔を長くすれば、何もないところから、文字や図形を急に出現させることもできる。また、交流電圧の強度を時間とともに変化させるようにすれば、文字や図形を徐々に暗くさせたり、明るくさせることができる。これにより、発光表示装置1の視覚効果をより一層高めることができる。
【0103】
これらは、例えば看板や広告等のように表示する情報を日々変化させるような宣伝媒体としての利用に好適する。高品位の文字や図形を安定して発光表示させることができるので、見る人の興味を大いに引きつけることができる。
【0104】
以上、本発明の発光表示装置1、21、31、41、51、61、71、81、91、101では、透明導電シート2とELシート3を接着又は剥離させることによって発光又は消光を行う場合について説明したが、図15(a)〜図16(e)に示した電界発光灯161、171、181、191、201にも適用することができる。
【0105】
また、透明電極粘着層9の材料はイオン伝導性高分子ゲルのみならず、酸化インジウム、酸化錫、酸化アンチモン、酸化亜鉛、又はポリアニリン、ポリエチレンジオキシチオフェン等の透明導電性高分子を、アクリル系粘着剤に分散して使用してもよい。また、図16(c)の電界発光灯181に適用する場合、裏面電極粘着層184の材料はイオン伝導性高分子ゲルのみならず、酸化インジウム、酸化錫、酸化アンチモン、酸化亜鉛、カーボン、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、白金、金又は導電性高分子を、アクリル系粘着剤に分散して使用してもよい。裏面電極粘着層184は、透光性を有していなくてもよいので、材料の選択範囲が広がる。そのため、より抵抗値の低い材料を使用することができ、発光表示装置の低消費電力化につながなる。
【0106】
また、本発明の発光表示装置1、21、41、51、61、71、81では、透明導電シート2又はELシート3の片側を固定し、もう一方の側に力を加えて剥離するようにしたが、両側に圧力を加えて剥離するようにしてもよい。両側から均等に圧力が加わるので、より一層剥離性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
加圧治具、回転治具又は移動治具等の機械的手段により導電シート又はELシートに剥離方向の力を加え、導電シートとELシートの接着面を引き剥がすことによって、導電シートとELシートを確実に剥離することができる。また、挿入治具等の機械的手段又は供給ガス等のガス加圧手段により導電シートとELシートの両者に剥離方向の力を加え、導電シートとELシートの接着面を引き剥がすことによって、導電シートとELシートを確実に剥離することができる。これにより、長期に亘って安定して発光又は消光を行うことができる。
【0108】
また、文字や図形に対応した凸部を形成した押圧治具により、導電シート又はELシートを押圧し、導電シートとELシートを接着させることによって、高品位の文字や図形を容易に発光表示することができる。これにより、看板や広告等のように表示する情報を日々変化させるような宣伝媒体として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の第1実施例の発光表示装置の断面図
【図2】本発明の第2実施例の発光表示装置の断面図
【図3】本発明の第3実施例の発光表示装置の断面図
【図4】本発明の第4実施例の発光表示装置の断面図
【図5】本発明の第5実施例の発光表示装置の断面図
【図6】本発明の第6実施例の発光表示装置の断面図
【図7】本発明の第7実施例の発光表示装置の断面図
【図8】本発明の第8実施例の発光表示装置の断面図
【図9】本発明の第9実施例の発光表示装置の断面図
【図10】本発明の第10実施例の発光表示装置の断面図
【図11】本発明の押圧治具と発光表示装置の斜視図及び平面図
【図12】本発明の他の押圧治具の断面図
【図13】従来の電界発光灯の断面図
【図14】本出願人による先願の電界発光灯の断面図
【図15】本出願人による先願の他の電界発光灯の断面図
【図16】本出願人による先願の他の電界発光灯の断面図
【符号の説明】
【0110】
1 本発明の第1実施例の発光表示装置
2 透明導電シート
3 ELシート
4 収納ケース
5 固定フレーム
6 加圧ピン
7 弾性材
8 透明フィルム
9 透明電極粘着層
10 スペーサ
11 基材フィルム
12 裏面電極
13 反射絶縁層
14 発光層
15 ガイド溝
16 押圧治具
21 本発明の第2実施例の発光表示装置
22 回転板
23 回転軸
24 加圧ピン
25 弾性材
26 マーク
27 突起部
31 本発明の第3実施例の発光表示装置
32 第1ローラ
33 第2ローラ
34 駆動部
35 スイッチ
41 本発明の第4実施例の発光表示装置
42 スライド軸
43 固定具
44 駆動部
45 スイッチ
46 ガイド溝
51 本発明の第5実施例の発光表示装置
52 スライド軸
53 ローラ
54 駆動部
55 スイッチ
56 ガイド溝
61 本発明の第6実施例の発光表示装置
62 レバー
63 回転軸
64 加圧ピン
65 弾性材
71 本発明の第7実施例の発光表示装置
72 第1加圧ピン
73 第2加圧ピン
74 支持台
75 第1弾性材
76 第2弾性材
77 支持ピン
78 ガイド溝
81 本発明の第8実施例の発光表示装置
82 第1回転ピン
83 第2回転ピン
84 第1ギア
85 第2ギア
86 ガイド溝
91 本発明の第9実施例の発光表示装置
92 挿入軸
93 駆動部
94 スイッチ
95 ガイド溝
101 本発明の第10実施例の発光表示装置
102 ガス供給孔
103 ガス排出孔
104 ガス供給源
105 排出バルブ
106 スイッチ
111 押圧治具
112 凸部
113 文字
114 図形
115 接着部材
116 別体の治具
131 従来の電界発光灯
132 絶縁性ベースフィルム
133a、133b 裏面電極
134 反射絶縁層
135 発光層
136 透明電極
141 本出願人による先願の電界発光灯
142 透明導電シート
143 ELシート
144 透明フィルム
145 透明電極粘着層
146 スペーサ
147 基材フィルム
148 裏面電極
149 反射絶縁層
150 発光層
151 押圧治具
161 本出願人による先願の他の電界発光灯
162 透明導電シート
163 透明電極
164 粘着層
171 本出願人による先願の他の電界発光灯
172 透明導電シート
173 ELシート
181 本出願人による先願の他の電界発光灯
182 裏面導電シート
183 ELシート
184 裏面電極粘着層
191 本出願人による先願の他の電界発光灯
192 裏面導電シート
201 本出願人による先願の他の電界発光灯
202 裏面導電シート
203 ELシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電シートとELシートの間に交流電圧を印加しておき、前記導電シートと前記ELシートを接着又は剥離させることにより発光又は消光を行なう電界発光灯と、前記電界発光灯を収容する収容ケースと、前記導電シートと前記ELシートを剥離させる前記収容ケースに付属した消光機構を有することを特徴とする発光表示装置。
【請求項2】
前記導電シートが透明電極を有し、前記ELシートが発光層、反射絶縁層及び裏面電極を有することを特徴とする請求項1記載の発光表示装置。
【請求項3】
前記導電シートが裏面電極を有し、前記ELシートが発光層、反射絶縁層及び透明電極を有することを特徴とする請求項1記載の発光表示装置。
【請求項4】
前記透明電極が、イオン伝導性高分子ゲル、酸化インジウム、酸化錫、酸化アンチモン、酸化亜鉛及び導電性高分子の少なくとも一種類以上を含む導電性材料からなることを特徴とする請求項2又は3記載の発光表示装置。
【請求項5】
前記裏面電極が、イオン伝導性高分子ゲル、酸化インジウム、酸化錫、酸化アンチモン、酸化亜鉛、カーボン、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、白金、金及び導電性高分子の少なくとも一種類以上を含む導電性材料からなることを特徴とする請求項2又は3記載の発光表示装置。
【請求項6】
前記電界発光灯の消光機構が、機械的手段により前記ELシートに剥離方向の力を加え、前記導電シートと前記ELシートの接着部を剥離して行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の発光表示装置。
【請求項7】
前記電界発光灯の消光機構が、機械的手段により前記導電シートに剥離方向の力を加え、前記導電シートと前記ELシートの接着部を剥離して行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の発光表示装置。
【請求項8】
前記電界発光灯の消光機構が、機械的手段により前記導電シートとELシートの両者に剥離方向の力を加え、前記導電シートと前記ELシートの接着部を剥離して行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の発光表示装置。
【請求項9】
前記電界発光灯の消光機構が、供給ガスによるガス加圧手段により前記導電シートとELシートの両者に剥離方向の力を加え、前記導電シートと前記ELシートの接着部を剥離して行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の発光表示装置。
【請求項10】
前記機械的手段が、加圧治具、回転治具、移動治具又は挿入治具を用いて行うことを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の発光表示装置。
【請求項11】
前記供給ガスが、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム又はこれらの混合ガスからなることを特徴とする請求項9記載の発光表示装置。
【請求項12】
前記電界発光灯の発光機構が、押圧手段により前記導電シートに圧力を加え、前記導電シートと前記ELシートを接着して行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の発光表示装置。
【請求項13】
前記電界発光灯の発光機構が、押圧手段により前記ELシートに圧力を加え、前記導電シートと前記ELシートを接着して行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の発光表示装置。
【請求項14】
前記押圧手段の先端に、文字や図形に対応した凸部が形成されていることを特徴とする請求項12又は13記載の発光表示装置。
【請求項15】
前記押圧手段の先端に、文字や図形に対応した凸部が接着部材により固定されていることを特徴とする請求項12又は13記載の発光表示装置。
【請求項16】
前記凸部が、前記押圧手段から着脱自在であることを特徴とする請求項14記載の発光表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−12697(P2006−12697A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−190710(P2004−190710)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000156950)関西日本電気株式会社 (26)
【Fターム(参考)】