説明

発光装置、その製造方法および電子機器

【課題】 発光層からの出射光を共振させる反射層の劣化を防止する。
【解決手段】 基板10には配線12および光反射層21が形成される。透光層23は配線12および光反射層21を被覆する。透光層23のうち配線12と重なり合う部位にはコンタクトホールHが形成される。透光層23の面上には単位素子Uごとに膜厚が相違する第1電極25が形成される。単位素子Urの第1電極25rは、導電膜L1のパターニングによって形成されて光反射層21と重なり合う第1層261を含む。共振波長が単位素子Urとは相違する単位素子Ugの第1電極25gは、導電膜L1のパターニングによって形成されてコンタクトホールHを塞ぐ第1導通部271と、導電膜L1の形成後に成膜された導電膜L2のパターニングによって形成されて光反射層21と重なり合う第2層262とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光層を発光させる構造およびその構造を作成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(ElectroLuminescent)材料などの発光材料からなる発光層を第1電極と第2電極との間に介在させた素子(以下「単位素子」という)が基板上に配列された発光装置は従来から提案されている。この種の発光装置においては、発光層による出射光のスペクトルのピーク幅が広くその強度も低いため、例えば表示装置として採用されたときに充分な色再現性の確保が困難であるという問題がある。
【0003】
この問題を解決するために、例えば特許文献1には、発光層からの出射光を共振させる共振器構造を各単位素子に形成した構成が開示されている。この構成においては、発光層に対して基板側に位置する光透過性の第1電極と当該基板との間に反射層(誘電体ミラー)が配置される。発光層からの出射光は、この発光層を挟んで相互に対向する反射層と第2電極との間で往復する。そして、反射層と第2電極との光学的距離に応じた共振波長の光が選択的に増幅されたうえで観察側に出射する。したがって、スペクトルのピーク幅が狭く強度も高い光を表示に利用することができ、これによって表示装置の色再現性を向上させることが可能となる。また、単位素子ごとに反射層と第2電極との光学的距離を調整することによって複数の色彩(例えば赤色や緑色や青色)に対応した波長の光を取り出すこともできる。
【特許文献1】国際公開第01/039554号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、以上の構成においては、基板の表面に形成された反射層を被覆するように第1電極を形成する必要がある。したがって、例えば第1電極のパターニングに使用されるエッチング液の付着によって反射層の表面が損傷(腐食)するという問題がある。反射層の材料としてはアルミニウムや銀などの金属が好適に採用されるが、この種の材料は耐蝕性が低いから、エッチング液による損傷や劣化は特に顕著である。そして、このような損傷によって反射層の反射特性(例えば反射率)が劣化すると、共振器構造による共振の効率が低下するという問題がある。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、反射層の劣化を防止するという課題の解決を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するために、本発明に係る発光装置は、基板の面上に配置された第1反射層(例えば図1の光反射層21)と、第1反射層を挟んで基板とは反対側に配置された第2反射層(例えば図1の第2電極35)と、第1反射層と第2反射層との間に介在する発光層とを各々が含む複数の単位素子を備え、発光層からの出射光を第1反射層と第2反射層との間で共振させる共振器構造が各単位素子に形成される発光装置であって、基板の面上に形成された配線(例えば図1の配線12)と、光透過性の絶縁材料によって基板の面上に形成されて配線および第1反射層を被覆するとともに配線と重なり合う部位に単位素子ごとにコンタクトホールが形成された透光層(例えば図1の透光層23)と、透光層の面上に単位素子ごとに形成されて発光層と第1反射層との間に介在する光透過性の電極(例えば図1の第1電極25)とを具備し、複数の単位素子のうち第1の単位素子(例えば図1の単位素子Ur)の電極は、第1導電膜の選択的な除去によって形成されて発光層と第1反射層との間に介在するとともにコンタクトホールを介して配線に接触する第1層(例えば図1における単位素子Urの第1層261)を含み、複数の単位素子のうち共振器構造における共振波長が第1の単位素子とは相違する第2の単位素子(例えば図1の単位素子Ug)の電極は、第1導電膜の選択的な除去によって形成されてコンタクトホールを介して配線に接触する第1導通部(例えば図1における単位素子Ugの第1導通部271)と、第1層の形成後に成膜された第2導電膜の選択的な除去によって形成されて発光層と第1反射層との間に介在するとともに第1導通部に導通する第2層(例えば図1における単位素子Ugの第2層262)とを含む。
【0006】
この構成によれば、第1反射層を被覆するように透光層が形成されるから、各単位素子の電極の形成時における第1反射層の劣化や損傷を防止することができる。さらに、第2の単位素子のコンタクトホールを介して配線に接触するように第1導通部が形成されるから、第1導電膜の選択的な除去や第2導電膜の選択的な除去に際して第2の単位素子の配線が劣化ないし損傷する事態は有効に防止される。
【0007】
なお、各単位素子から効率的に光を出射させるためには、第1反射層および第2反射層の少なくとも一方が光透過性と光反射性とを兼ね備えた膜体(半透過反射層)であることが望ましい。第1反射層を半透過反射層とすれば基板側から光が出射するボトムエミッション型の発光装置が実現され、第2反射層を半透過反射層とすれば基板とは反対側から光が出射するトップエミッション型の発光装置が実現される。また、第2反射層は、発光素子に電界を印加するための電極として兼用されてもよいし、この第2反射層とは別個に電極が形成された構成としてもよい。
【0008】
本発明の望ましい態様において、第1の単位素子の電極は、第2導電膜の選択的な除去によって形成されて発光層と第1反射層との間に介在するとともに第1層に導通する第2層(例えば図1における単位素子Urの第2層262)を含む。この態様によれば、第1反射層と第2反射層との光学的距離(ひいては共振器構造における共振波長)を第1の単位素子と第2の単位素子とで簡易かつ確実に相違させることができる。
【0009】
より望ましい態様において、各単位素子の電極のうち第2導電膜から形成された部分(例えば図1の第2層262)は、当該単位素子の電極のうち第1導電膜から形成された部分(例えば図1の第1層261や第1導通部271)の側端面を被覆する。この態様によれば、第1導電膜から形成された部分の劣化や損傷を第2導電膜の選択的な除去に際して防止することができる。
【0010】
さらに具体的な態様において、複数の単位素子のうち共振器構造における共振波長が第1の単位素子および第2の単位素子とは相違する第3の単位素子(例えば図1の単位素子Ub)の電極は、第1導電膜の選択的な除去によって形成されるとともにコンタクトホールを介して配線に接触する第1導通部(例えば図1における単位素子Ubの第1導通部271)と、第2導電膜の選択的な除去によって形成されて当該第1導通部に導通する第2導通部(例えば図1における単位素子Ubの第2導通部272)と、第2層の形成後に成膜された第3導電膜の選択的な除去によって形成されて発光層と第1反射層との間に介在するとともに第2導通部に導通する第3層(例えば図1における単位素子Ubの第3層263)とを含む。この態様によれば、第1ないし第3の単位素子の各々の共振波長を容易かつ確実に相違させて3種類の発光色を実現することができる。
【0011】
この態様においては、第1の単位素子および第2の単位素子のうち少なくとも一方の単位素子の電極が、第3導電膜の選択的な除去によって形成されて発光層と第1反射層との間に介在する第3層(例えば図1における単位素子Urの第3層263や単位素子Ugの第3層263)を含む。この構成によれば、第1反射層と第2反射層との光学的距離(ひいては共振器構造における共振波長)を第1ないし第3の単位素子の各々で容易に相違させることができる。
【0012】
より望ましくは、各単位素子の電極のうち第3導電膜から形成された部分(例えば図1の各単位素子Uにおける第3層263)が、当該単位素子の電極のうち第1導電膜または第2導電膜から形成された部分(例えば図1の各単位素子Uにおける第1層261または第2層262や第1導通部271または第2導通部272)の側端面を被覆する。この態様によれば、第1導電膜や第2導電膜から形成された部分の劣化や損傷を第3導電膜の選択的な除去に際して防止することができる。
【0013】
本発明に係る発光装置は各種の電子機器に利用される。この電子機器の典型例は、発光装置を表示装置として利用した機器である。この種の電子機器としては、パーソナルコンピュータや携帯電話機などがある。もっとも、本発明に係る発光装置の用途は画像の表示に限定されない。例えば、光線の照射によって感光体ドラムなどの像担持体に潜像を形成するための露光装置(露光ヘッド)としても本発明の発光装置を適用することができる。また、例えば液晶パネルの背面に設置される照明装置(バックライト)としても本発明の発光装置を採用することができる。
【0014】
本発明に係る発光装置の製造方法は、基板の面上に配置された第1反射層と、第1反射層を挟んで基板とは反対側に配置された第2反射層と、第1反射層と第2反射層との間に介在する発光層とを各々が含む複数の単位素子を備え、発光層からの出射光を第1反射層と第2反射層との間で共振させる共振器構造が各単位素子に形成される発光装置を製造する方法であって、基板の面上に配線を形成する配線形成工程(例えば図2の工程A1)と、各単位素子の第1反射層を基板の面上に形成する反射層形成工程(例えば図2の工程A3)と、配線と重なり合う部位に単位素子ごとにコンタクトホールを有する透光層を、配線および第1反射層を被覆するように光透過性の絶縁材料によって形成する透光層形成工程(例えば図2の工程A4)と、透光層を被覆する第1導電膜(例えば図3の導電膜L1)を形成する第1成膜工程(例えば図3の工程A5)と、複数の単位素子のうち第1の単位素子の発光層と第1反射層との間に介在するとともに当該第1の単位素子に対応するコンタクトホールを介して配線に接触する第1層と、複数の単位素子のうち共振器構造における共振波長が第1の単位素子とは相違する第2の単位素子に対応するコンタクトホールを介して配線に接触する第1導通部とを、第1導電膜の選択的な除去によって一括的に形成する第1除去工程(例えば図3の工程A6)と、第1層および第1導通部とを被覆する第2導電膜(例えば図3の導電膜L2)を形成する第2成膜工程(例えば図3の工程A7)と、第2の単位素子の発光層と反射層との間に介在するとともに第1導通部に導通する第2層を第2導電膜の選択的な除去によって形成する第2除去工程(例えば図3の工程A8)とを含む。
【0015】
この製造方法においては、第1反射層を被覆するように透光層が形成されるから、各単位素子の電極の形成時における第1反射層の劣化や損傷を防止することができる。さらに、第2の単位素子のコンタクトホールを介して配線に接触するように第1導通部が形成されるから、第1導電膜の選択的な除去や第2導電膜の選択的な除去に際して第2の単位素子の配線が劣化ないし損傷する事態は有効に防止される。なお、配線形成工程および反射層形成工程の各々が実施される順序は任意である。
【0016】
より望ましくは、第2除去工程において、第1の単位素子の発光層と第1反射層との間に介在する第2層を第2導電膜の選択的な除去によって形成する。この態様によれば、第1反射層と第2反射層との光学的距離を第1の単位素子と第2の単位素子とで簡易かつ確実に相違させることができる。
【0017】
また、第2除去工程においては、各単位素子のうち第2導電膜から形成される部分が、当該単位素子のうち第1導電膜から形成された部分の側端面を被覆するように、第2導電膜を選択的に除去してもよい。この態様によれば、第2導電膜の除去に際して、第1の導電膜から形成された各部の損傷や破損を防止することができる。
【0018】
第1除去工程においては、複数の単位素子のうち共振器構造における共振波長が第1の単位素子および第2の単位素子とは相違する第3の単位素子に対応するコンタクトホールを介して配線に接触する第1導通部を第1導電膜の選択的な除去によって形成し、基板を被覆する第3導電膜(例えば図3の導電膜L3)を第2除去工程の実施後に形成する第3成膜工程(例えば図3の工程A9)と、第3の単位素子の発光層と第1反射層との間に介在するとともに当該第3の単位素子の第1導通部に導通する第3層を、第3導電膜の選択的な除去によって形成する第3除去工程(例えば図3の工程A10)とを含む。この態様によれば、各単位素子の配線の劣化や損傷を防止しながら、第1ないし第3の単位素子の各々の共振波長を容易かつ確実に相違させることができる。
【0019】
なお、第3除去工程においては、第1の単位素子および第2の単位素子のうち少なくとも一方の単位素子の発光層と第1反射層との間に介在する第3層を、第3導電膜の選択的な除去によって形成してもよい。この態様によれば、第1反射層と第2反射層との光学的距離を第1ないし第3の単位素子の各々で簡易かつ確実に相違させることができる。
【0020】
より望ましくは、第3除去工程において、各単位素子のうち第3導電膜から形成される部分が、当該単位素子のうち第1導電膜または第2導電膜から形成される部分の側端面を被覆するように、第3導電膜を選択的に除去する。この態様によれば、第1導電膜や第2導電膜から形成された部分の劣化や損傷を第3導電膜の選択的な除去に際して防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
<A:発光装置の構造>
図1は、本発明の実施形態に係る発光装置の構造を示す断面図である。同図に示されるように、発光装置Dは、マトリクス状に配列された複数の単位素子U(Ur,Ug,Ub)が封止材37によって基板10の面上に封止された構成となっている。各単位素子Uは複数の色彩(赤色・緑色・青色)の何れかに対応した波長の光を発生する要素である。すなわち、単位素子Urは赤色光(R)を出射し、単位素子Ugは緑色光(G)を出射し、単位素子Ubは青色光(B)を出射する。本実施形態における発光装置Dは、各単位素子Uにて発生した光が基板10とは反対側(図1における上方)に向かって出射するトップエミッション型である。したがって、ガラスなどの光透過性を有する板材のほか、セラミックスや金属のシートなど不透明な板材を基板10として採用することもできる。
【0022】
基板10の表面には複数の配線12が形成される。これらの配線12は、各単位素子Uを駆動するための信号を伝送する配線(例えばデータ線や走査線)であり、各単位素子Uの配列に沿うように銅などの導電材料によってストライプ状に形成される。各配線12が形成された基板10の表面は下地層14によって覆われる。この下地層14は、例えばアクリル系やエポキシ系といった樹脂材料または酸化珪素(SiOx)や窒化珪素(SiNx)といった無機材料など各種の絶縁材料によって形成された膜体である。
【0023】
下地層14の表面上には各単位素子Uに対応するように光反射層21が形成される。本実施形態における光反射層21は、各単位素子Uの配列に沿うようにストライプ状に形成される。各光反射層21は、光反射性を有する材料からなる。このような材料としては、アルミニウムや銀などの単体金属、またはアルミニウムや銀を主成分とする合金といった様々な材料がある。
【0024】
光反射層21が形成された下地層14の表面は、複数の単位素子Uにわたって連続に分布する透光層23によって被覆される。この透光層23は、光反射層21の保護に利用される膜体であり、例えば酸化珪素(SiOx)や窒化珪素(SiNx)といった光透過性の絶縁材料によって形成される。基板10の表面と垂直な方向からみて配線12と重なり合う位置には、透光層23と下地層14とを各々の厚さ方向に貫通するコンタクトホールHが単位素子Uごとに形成される。なお、透光層23は、例えば光反射層21の陽極酸化によって当該光反射層21の表面に形成されてもよい。
【0025】
透光層23が形成された基板10の表面上には、第1電極25(25r・25g・25b)が単位素子Uごとに相互に離間して形成される。各第1電極25は、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)など光透過性の導電材料によって形成される。なお、透光層23と第1電極25との屈折率を略等しくして両者の境界面での屈折や反射を防止するという観点からすると、第1電極25がITOによって形成されるとともに透光層23が窒化珪素によって形成された構成が望ましい。
【0026】
各第1電極25のうち光反射層21と重なり合う領域(以下「共振領域」という)の膜厚は単位素子Uの発光色ごとに相違する。本実施形態における共振領域の膜厚は、各第1電極25を構成する膜体の積層数に応じて単位素子Uの発光色ごとに決定される。各第1電極25の具体的な構造は以下の通りである。
【0027】
赤色の単位素子Urの第1電極25rは、各々が光反射層21と重なり合うように(すなわち共振領域に分布するように)形成された第1層261・第2層262および第3層263の3層が基板10側からこの順番に積層された構造となっている。一方、緑色の単位素子Ugの第1電極25gは、コンタクトホールHの近傍のみに形成されて共振領域には分布しない第1導通部271と、各々が光反射層21と重なり合うように形成された第2層262および第3層263とが基板10側からこの順番に積層された構造となっている。また、青色の単位素子Ubの第1電極25bは、各々がコンタクトホールHの近傍のみに形成されて共振領域には分布しない第1導通部271および第2導通部272と、光反射層21と重なり合うように形成された第3層263とが基板10側からこの順番に積層された構造となっている。したがって、共振領域における膜厚は、第1層261から第3層263までの3層が積層された単位素子Urの第1電極25rが最大となり、第1層261のみが共振領域に分布する単位素子Ubの第1電極25bが最小となる。
【0028】
単位素子Urの第1電極25rは、第1層261がコンタクトホールHに入り込んで配線12に接触することによって当該配線12と電気的に接続される。また、単位素子Ugの第1電極25g(第2層262および第3層263)や単位素子Ubの第1電極25g(第3層263)は、各々の第1導通部271がコンタクトホールHに入り込んで配線12と接触することによって当該配線12と電気的に接続される。各第1導通部271は、透光部23の表面上からコンタクトホールHに入り込んで配線12のうち当該コンタクトホールHから露出する部分を被覆する。
【0029】
単位素子Urの第1層261と単位素子Ugおよび単位素子Ubの各々の第1導通部271とは単一の導電膜(図3における導電膜L1)のパターニングによって一括的に形成される。また、単位素子Urおよび単位素子Ugの各々の第2層262と単位素子Ubの第2導通部272とは単一の導電膜(図3における導電膜L2)のパターニングによって一括的に形成される。さらに、総ての単位素子(Ur・Ug・Ub)の第3層263は単一の導電膜(図3の導電膜L3)のパターニングによって一括的に形成される。
【0030】
各単位素子Uの第1電極25を構成する各層(第1層261および第2層262、第1導通部271および第2導通部272)は、表面と全周にわたる側端面との双方が、その上層に位置する各部によって被覆される。例えば、赤色の単位素子Urの第2層262は、その下層に位置する第1層261よりも大面積に形成されて当該第1層261の表面(上面)および側端面の双方を被覆する。すなわち、第1層261の側端面(基板10と垂直な方向のエッジ部分)はその全周にわたって第2層262に被覆される。同様に、単位素子Urにおける第2層262は表面および側端面の双方が第3層263によって被覆される。また、緑色の単位素子Ugの第1電極25gにおいては、第1導通部271の表面および側端面の双方を被覆するように第2層262が形成され、さらに第2層262の表面および側端面は第3層263に被覆される。さらに、青色の単位素子Ubの第1電極25bにおいては、第1導通部271の表面および側端面を被覆するように第2導通部272が形成され、さらに第2導通部272の表面および側端面を被覆するように第3層263が形成される。
【0031】
第1電極25が形成された基板10の表面上にはバンク層31が形成される。このバンク層31は、基板10の表面上の空間を単位素子Uごとに仕切るように格子状に形成された隔壁である。バンク層31は、例えばアクリル系やエポキシ系といった樹脂材料または酸化珪素や窒化珪素といった無機材料など各種の絶縁材料によって形成される。
【0032】
バンク層31の内壁に包囲されて第1電極25を底面とする空間(凹部)には単位素子Uごとに発光体33が形成される。この発光体33は、有機EL材料からなる発光層を含む複数の機能層を積層した構造となっている。各単位素子Uの発光体33は、その単位素子Uに対応した波長の光を発光する発光層を含む。各単位素子Uの第1電極25は発光体33に電気エネルギを付与するための陽極として機能する。一方、各発光体33の表面には、発光体33の陰極として機能する第2電極35が形成される。ただし、第1電極25が陰極として機能するとともに第2電極35が陽極として機能する構成としてもよい。
【0033】
本実施形態における発光体33は、正孔輸送層と発光層と電子輸送層という3種類の機能層を基板10側から第2電極35側に向かってこの順番に積層した構造となっている。ただし、発光体33の構造はこの例示に限定されない。例えば、正孔輸送層と第1電極25との間に正孔注入層を介在させた構成や、電子輸送層と第2電極35との間に電子注入層を介在させた構成としてもよい。すなわち、第1電極25と第2電極35との間に発光層が介在する構成であれば足りる。
【0034】
第2電極35は、その表面に到達した光の一部を透過するとともにその残りを反射する性質(すなわち半透過反射性)を持った半透過反射層として機能する。本実施形態における第2電極35は、例えばITOなどの光透過性を有する材料によって形成される。このように第2電極35が光透過性の材料からなる場合であっても、第2電極35よりも屈折率が低い材料によって封止材37を形成すれば、第2電極35と封止材37との界面において光の一部が透過するとともに他の一部が反射するから、第2電極35を半透過反射層として機能させることができる。また、アルミニウムや銀(あるいはこれらの金属を主成分とする合金)といった光反射性の材料を薄く形成して第2電極35とした場合であっても、第2電極35を半透過反射層として機能させることができる。
【0035】
各単位素子Uは、光反射層21と透光層23と第1電極25と発光体33と第2電極35とを含む要素である。各単位素子Uにおいては、光反射層21と第2電極35との間で発光層からの出射光を共振させる共振器構造が形成される。すなわち、発光体33の発光層による出射光は光反射層21と第2電極35との間で往復し、共振器構造における共振波長の成分のみが選択的に増幅されたうえで第2電極35を透過して観察側に出射する。したがって、本実施形態によれば、スペクトルのピーク幅が狭く強度も高い光を表示に利用することができる。
【0036】
共振器構造における共振波長λは、以下の式(1)で表現されるように、光反射層21と第2電極35との光学的距離Lに応じて決定される。ただし、式(1)における「Φ(rad)」は、共振器構造の両端部で発生する位相シフトであり、より具体的には、光反射層21の表面で反射するときに生じる位相シフトΦ1(rad)と第2電極35の表面で反射するときに生じる位相シフトΦ2と(rad)の和(Φ=Φ1+Φ2)である。また、「m」は光学的距離Lが正となる整数である。
(2L)/λ+Φ/(2π)=m ……(1)
各単位素子Uから出射されるべき所望の共振波長λを式(1)に代入することによって、この共振波長λによる光共振を実現するための光学的距離Lが決定される。
【0037】
いま、光反射層21と第2電極35との間隙に存在する要素のうち発光体33および透光層23の屈折率と膜厚とが各単位素子Uの発光色に拘わらず略同一であると仮定すれば、各単位素子Uの第1電極25の共振領域における膜厚に応じて共振波長が決定される。したがって、図1に示したように単位素子Urの第1電極25rの膜厚(積層数)を最大とし単位素子Ubの第1電極25bの膜厚を最小とした場合には、単位素子Urの共振波長が単位素子Ugの共振波長よりも長く、単位素子Ugの共振波長が単位素子Ubの共振波長よりも長いといった具合に、各単位素子Uの共振波長をその発光色ごとに調整することができる。
【0038】
<B:製造方法>
次に、図2ないし図4を参照しながら、本実施形態の発光装置Dを製造する方法について説明する。なお、以下に示す各層は、スパッタリングやCVD(Chemical Vapour Deposition)や蒸着など公知である様々な成膜技術によって形成される。また、各層のパターニングには、例えばフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術が利用される。
【0039】
まず、基板10の表面上に複数の配線12が形成される(図2の工程A1)。続いて、基板10の表面上に下地層14が形成される(工程A2)。次に、基板10の全面にわたって形成された光反射性の膜体をパターニングすることによって光反射層21が形成される(工程A3)。次いで、基板10の全面を被覆するように50nm程度の膜厚に形成された絶縁層をパターニングすることによって透光層23が形成される(工程A4)。
【0040】
次に、基板10の全面にわたって導電膜L1が40nm程度の膜厚に形成される(図3の工程A5)。この導電膜L1は透光層23のコンタクトホールHに入り込んで配線12に接触する。導電膜L1の材料としてはITOやIZOなど光透過性を有する導電材料が好適に採用される。続いて、導電膜L1のパターニングによって、単位素子Urの第1層261と単位素子Ugおよび単位素子Ubの第1導通部271とが一括的に形成される(工程A6)。第1層261は、コンタクトホールHに入り込むとともに光反射層21と重なり合うように分布する。これに対し、第1導通部271は、コンタクトホールHの近傍のみに分布して光反射層21とは重なり合わない。
【0041】
次に、ITOやIZOの導電膜L2が基板10の全面にわたって30nm程度の膜厚に形成される(工程A7)。そして、この導電膜L2のパターニングによって単位素子Urおよび単位素子Ugの各々の第2層262と単位素子Ubの第2導通部272とが一括的に形成される(工程A8)。導電膜L2から形成される各部(第2層262および第2導通部272)は、各々の下層に導電膜L1から形成された各部(第1層261および第1導通部271)の側端面を全周にわたって被覆する。
【0042】
さらに、ITOやIZOの導電膜L3が基板10の全面にわたって30nm程度の膜厚に形成される(工程A9)。そして、この導電膜L3のパターニングによって各単位素子U(Ur・Ug・Ub)の第3層263が一括的に形成される(工程A10)。導電膜L3から形成される第3層263は、各々の下層に導電膜L1や導電膜L2から形成された各部(第1層261や第2層262、第1導通部271や第2導通部272)の側端面を全周にわたって被覆する。
【0043】
続いて、樹脂膜の形成およびそのパターニングによってバンク層31が形成される(図4の工程A11)。さらに、このバンク層31によって仕切られた単位素子Uごとの空間に、当該単位素子Uに対応した発光色の発光層を含む発光体33が順次に形成される(工程A12)。次いで、各発光体33を挟んで第1電極25と対向するように半透過反射性の第2電極35が形成されたうえで(工程A13)、基板10の全面を覆うように封止材37が設置される(図1参照)。
【0044】
以上に説明したように、本実施形態においては、第1電極25の形成に先立って光反射層21が透光層23によって被覆されるから、導電膜L1ないしL3のパターニング(工程A6・工程A8・工程A10)に使用されるエッチング液は光反射層21に付着しない。したがって、本実施形態によれば光反射層21の劣化や損傷が防止され、発光体33からの出射光が高効率に利用される良好な共振器構造を実現することができる。
【0045】
ところで、第1電極25の膜厚を各単位素子Uの発光色ごとに相違させたうえで各々を配線12と導通させるという観点のみからすれば、第1導通部271や第2導通部272を形成しない方法(以下「対比例」という)も採用され得る。図5は、対比例に係る発光装置Dの製造方法の工程図である。図5の工程B5ないし工程B10は、図3の工程A5ないし工程A10の代わりに実施される。
【0046】
まず、導電膜L1の成膜(図5の工程B5)およびそのパターニング(工程B6)によって単位素子Urの第1層261が形成される。図5に示されるように、対比例の方法においては、導電膜L1のうち単位素子Ugや単位素子Ubに対応する部分が完全に除去される(すなわち第1導通部271は形成されない)から、単位素子Ugや単位素子Ubに対応するコンタクトホールHを介して配線12は露出する。したがって、工程B6においては、導電膜L1のパターニングに使用されるエッチング液が単位素子Ugや単位素子Ubに対応する配線12に付着し、これらの配線12が破損や劣化する可能性がある。
【0047】
工程B6に続いて、導電膜L2の成膜(工程B7)およびそのパターニング(工程B8)によって単位素子Urおよび単位素子Ugの各々の第2層262が形成される。対比例の方法においては単位素子Ubに対応する第2導通部272が形成されないから、工程B8においては単位素子Ubに対応するコンタクトホールHを介して配線12が露出する。したがって、この工程B8にて使用されるエッチングの付着によって単位素子Ubの配線12が劣化ないし破損する可能性がある。次いで、導電膜L3の成膜(工程B9)およびそのパターニング(工程B10)によって各単位素子U(Ur・Ug・Ub)の第3層263が形成される。
【0048】
以上のように、第1導通部271や第2導通部272が形成されない対比例の方法においては、コンタクトホールHを介したエッチング液の付着によって配線12が劣化するという問題がある。第1電極25が第3層263のみからなる単位素子Ubの配線12については、工程B6および工程B8の2回にわたってエッチング液による浸食を受けるから、その破損や劣化は特に顕著となる。これに対し、本実施形態においては、単位素子Ugや単位素子Ubに対応するコンタクトホールHが第1導通部271や第2導通部272によって塞がれる(すなわち配線12が第1導通部271や第2導通部272によって被覆される)から、導電膜L1またはL2のパターニングに使用されるエッチング液がこれらの単位素子Uの配線12に付着することはない。したがって、何れの単位素子Uの配線12についてもその劣化や破損を防止することができる。また、本実施形態においては、導電膜L1およびL2のうち最初に成膜およびパターニングされる導電膜L1から単位素子Ugや単位素子Ubの第1導通部271が形成されるから、例えば第2導通部272のみが形成される構成と比較して、特に単位素子Ubに対応する配線12の劣化や損傷を確実に防止することができるという利点がある。
【0049】
また、図5の対比例においては、第2層262が第1層261の表面のみを被覆するとともに第3層263が第2層262の表面のみを被覆する構成(すなわち第1層261や第2層262の側端面が露出する構成)を例示した。このような構成においては、工程B8における導電膜L2のエッチングに際してエッチング液が単位素子Urの第1層261の側端面(図5で符号E1が付された部分)に付着して第1層261が劣化または損傷する可能性がある。同様に、工程B10における導電膜L3のエッチングに際して単位素子Urの第1層261および第2層262(図5で符号E2が付された部分)の側端面や単位素子Ugの第2層262の側端面(図5で符号E2が付された部分)にエッチング液が付着してこれらの部分が劣化または損傷する可能性がある。
【0050】
これに対し、本実施形態においては、導電膜L2から形成される各部(第2層262や第2導通部272)が、導電膜L1から形成される各部(第1層261や第1導通部271)の側端面まで完全に被覆するから、工程A8にて使用されるエッチング液は第1層261や第1導通部271に付着しない。同様に、導電膜L3から形成される各部(第3層263)が、導電膜L1や導電膜L2から形成される各部の側端面まで完全に被覆するから、工程A10にて使用されるエッチング液は第1層261・第2層262や第1導通部271・第2導通部272に付着しない。したがって、本実施形態によれば、第1層261および第2層262や第1導通部271および第2導通部272の劣化や損傷を有効に防止することができる。
【0051】
また、図5(特に工程B10)に示した対比例のように第1電極25の各層の側端面が露出する構成においては、第1電極25の各層の側端面が同一面(基板10に垂直な平面)内に揃う。したがって、各第1電極25の膜厚に相当する段差Dが透光層23の表面に対して急峻となる。このように表面の形状が急激に変化する箇所は電界の特異点(電界が集中する箇所)となるため、第1電極25および発光体33の劣化や第1電極25から第2電極35への電流のリークが発生し易くなる。これに対し、本実施形態においては、第1電極25の各層がその下層の側端面まで被覆するように形成されるから、例えば図3に工程A10として示されるように、第1電極25の周縁の部分は透光層23の表面に対して緩やかに傾斜した段差Dとなる。したがって、本実施形態によれば、第1電極25の周縁の近傍における電界の集中が対比例の構成よりも低減され、これにより第1電極25および発光体33の劣化や電流のリークを抑制することができるという利点がある。
【0052】
<C:変形例>
以上の形態には様々な変形を加えることができる。具体的な変形の態様を例示すれば以下の通りである。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。
【0053】
(1)変形例1
単位素子Uを構成する要素は、複数の単位素子Uにわたって連続して形成されてもよいし、単位素子Uごとに相互に離間して形成されてもよい。例えば、発光体33の少なくともひとつの機能層や第2電極35が複数の単位素子Uにわたって連続的に分布する構成としてもよい。発光層が総ての単位素子Uにわたって連続する構成であっても、各単位素子Uの共振波長を適宜に選定することによって各単位素子Uの発光色を相違させることができる。さらに、光反射層21や透光層23が複数の単位素子Uにわたって連続的に分布する構成としてもよい。
【0054】
(2)変形例2
以上の実施形態においては第2電極35が共振器構造の半透過反射層として兼用される構成を例示したが、半透過反射層が第2電極35とは別個に形成された構成としてもよい。この構成における半透過反射層は第2電極35に対して発光体33側に設置されてもよいしこれとは反対側(観察側)に配置されてもよい。また、以上の実施形態においてはトップエミッション型の発光装置Dを例示したが、ボトムエミッション型の発光装置にも本発明は適用される。ボトムエミッション型の発光装置においては、図1に示した第2電極35を光反射性の導電材料で形成することによって光反射層として兼用するとともに、図1に示した光反射層21に代えて半透過反射層を形成すればよい。
【0055】
(3)変形例3
以上の実施形態においては、単位素子Uの配列ごとに配線12が形成された構成を例示したが、第2電極35の電位が単位素子Uごとに制御される構成においては、総ての単位素子Uの第1電極25が単一の配線12に対して共通に接続された構成としてもよい。また、単位素子Uごとに個別の配線12が形成された構成としてもよい。すなわち、各単位素子Uの第1電極25と配線12との対応関係は任意に変更され得る。
【0056】
(4)変形例4
以上の実施形態においては単位素子Ubの第1電極25bが第1導通部271と第2導通部272と第3層263とを含む構成を例示したが、第2導通部272は適宜に省略される。第1導通部271が形成された構成であれば(第2導通部272がなくても)、配線12の損傷や劣化を防止するという効果は確かに奏されるからである。すなわち、第1電極25bにおいては、第1導通部271と直接的に接触するように第3層263が形成されてもよい。
【0057】
(5)変形例5
図6に示されるように、各単位素子Uの発光色に対応した色彩(赤色・緑色および青色)のカラーフィルタ41(41r・41g・41b)が設置された構成としてもよい。同図においては、光透過性を有する板材40の表面に各色のカラーフィルタ41が形成された場合が例示されている。各単位素子Uに対応するカラーフィルタは、その単位素子Uの共振波長に対応する波長の光を選択的に透過させる手段である。例えば、赤色の単位素子Urの観察側には赤色に対応した光を透過させるカラーフィルタが設置される。この構成によれば、各単位素子Uからの出射光のうちカラーフィルタを透過した成分のみが観察側に出射するから、カラーフィルタが設置されない構成よりも色再現性を向上することができる。また、各カラーフィルタによって外光が吸収されるから、外光の反射が低減されるという利点もある。
【0058】
(6)変形例6
以上の実施形態においては、導電膜の積層数に応じて第1電極25の膜厚(ひいては共振基構造における第1電極25と第2電極35との光学的距離)を単位素子Uの発光色ごとに相違させた構成を例示したが、第1電極25の共振領域が複数層であることは必ずしも必要ではない。例えば、単位素子Urの第1電極25が第1層261のみから形成され、単位素子Ugの第1電極25が第1導通部271および第2層262のみから形成され、単位素子Ubの第1電極25が第1導通部271・第2導通部272および第3層263のみから形成された構成であっても、第1層261・第2層262および第3層263の各々の膜厚(すなわち導電膜L1ないしL3の各々の膜厚)を個別に調整すれば、各第1電極25の膜厚を単位素子Uの発光色ごとに相違させることができる。
【0059】
(7)変形例7
発光装置Dを構成する各部の材料や各々を製造する方法は任意に変更される。例えば、各実施形態においては有機EL材料からなる発光層を例示したが、例えば無機EL材料からなる発光層を含む発光装置や、発光ダイオードを発光体に利用した発光装置にも本発明を同様に適用することができる。
【0060】
<D:応用例>
次に、本発明に係る発光装置を利用した電子機器について説明する。図7は、以上に説明した何れかの形態に係る発光装置Dを表示装置として採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、表示装置としての発光装置Dと本体部2010とを備える。本体部2010には、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設けられている。
【0061】
図8に、実施形態に係る発光装置Dを適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002、ならびに表示装置としての発光装置Dを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、発光装置Dに表示される画面がスクロールされる。
【0062】
図9に、実施形態に係る発光装置Dを適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002、ならびに表示装置としての発光装置Dを備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が発光装置Dに表示される。
【0063】
なお、本発明に係る発光装置が適用される電子機器としては、図7から図9に示したもののほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。また、本発明に係る発光装置の用途は画像の表示に限定されない。例えば、液晶パネルのバックライトとして本発明の発光装置を利用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図である。
【図2】発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図3】発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図4】発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図5】対比例に係る発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図6】変形例に係る発光装置の構成を示す断面図である。
【図7】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【図9】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
D……発光装置、U(Ur,Ug,Ub)……単位素子、10……基板、12……配線、14……下地層、H……コンタクトホール、21……光反射層、23……透光層、25(25r,25g,25b)……第1電極、261……第1層、262……第2層、263……第3層、271……第1導通部、272……第2導通部、31……バンク層、33……発光体、35……第2電極、37……封止材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の面上に配置された第1反射層と、前記第1反射層を挟んで前記基板とは反対側に配置された第2反射層と、前記第1反射層と前記第2反射層との間に介在する発光層とを各々が含む複数の単位素子を備え、前記発光層からの出射光を前記第1反射層と前記第2反射層との間で共振させる共振器構造が前記各単位素子に形成される発光装置であって、
前記基板の面上に形成された配線と、
光透過性の絶縁材料によって前記基板の面上に形成されて前記配線および前記第1反射層を被覆するとともに前記配線と重なり合う部位に単位素子ごとにコンタクトホールが形成された透光層と、
前記透光層の面上に単位素子ごとに形成されて前記発光層と前記第1反射層との間に介在する光透過性の電極とを具備し、
前記複数の単位素子のうち第1の単位素子の前記電極は、第1導電膜の選択的な除去によって形成されて前記発光層と前記第1反射層との間に介在するとともに前記コンタクトホールを介して前記配線に接触する第1層を含み、
前記複数の単位素子のうち共振器構造における共振波長が前記第1の単位素子とは相違する第2の単位素子の前記電極は、前記第1導電膜の選択的な除去によって形成されて前記コンタクトホールを介して前記配線に接触する第1導通部と、前記第1層の形成後に成膜された第2導電膜の選択的な除去によって形成されて前記発光層と前記第1反射層との間に介在するとともに前記第1導通部に導通する第2層とを含む
ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記第1の単位素子の前記電極は、前記第2導電膜の選択的な除去によって形成されて前記発光層と前記第1反射層との間に介在するとともに前記第1層に導通する第2層を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記各単位素子の電極のうち前記第2導電膜から形成された部分は、当該単位素子の電極のうち前記第1導電膜から形成された部分の側端面を被覆する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記複数の単位素子のうち共振器構造における共振波長が前記第1の単位素子および前記第2の単位素子とは相違する第3の単位素子の前記電極は、
前記第1導電膜の選択的な除去によって形成されるとともに前記コンタクトホールを介して前記配線に接触する第1導通部と、
前記第2導電膜の選択的な除去によって形成されて当該第1導通部に導通する第2導通部と、
前記第2層の形成後に成膜された第3導電膜の選択的な除去によって形成されて前記発光層と前記第1反射層との間に介在するとともに前記第2導通部に導通する第3層とを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1の単位素子および前記第2の単位素子のうち少なくとも一方の単位素子の前記電極は、前記第3導電膜の選択的な除去によって形成されて前記発光層と前記第1反射層との間に介在する第3層を含む
ことを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記各単位素子の電極のうち前記第3導電膜から形成された部分は、当該単位素子の電極のうち前記第1導電膜または前記第2導電膜から形成された部分の側端面を被覆する
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れかに記載の発光装置を具備する電子機器。
【請求項8】
基板の面上に配置された第1反射層と、前記第1反射層を挟んで前記基板とは反対側に配置された第2反射層と、前記第1反射層と前記第2反射層との間に介在する発光層とを各々が含む複数の単位素子を備え、前記発光層からの出射光を前記第1反射層と前記第2反射層との間で共振させる共振器構造が前記各単位素子に形成される発光装置を製造する方法であって、
前記基板の面上に配線を形成する配線形成工程と、
前記各単位素子の前記第1反射層を前記基板の面上に形成する反射層形成工程と、
前記配線と重なり合う部位に単位素子ごとにコンタクトホールを有する透光層を、前記配線および前記第1反射層を被覆するように光透過性の絶縁材料によって形成する透光層形成工程と、
前記透光層を被覆する第1導電膜を形成する第1成膜工程と、
前記複数の単位素子のうち第1の単位素子の前記発光層と前記第1反射層との間に介在するとともに当該第1の単位素子に対応する前記コンタクトホールを介して前記配線に接触する第1層と、前記複数の単位素子のうち共振器構造における共振波長が前記第1の単位素子とは相違する第2の単位素子に対応する前記コンタクトホールを介して前記配線に接触する第1導通部とを、前記第1導電膜の選択的な除去によって一括的に形成する第1除去工程と、
前記第1層および前記第1導通部とを被覆する第2導電膜を形成する第2成膜工程と、
前記第2の単位素子の前記発光層と前記反射層との間に介在するとともに前記第1導通部に導通する第2層を前記第2導電膜の選択的な除去によって形成する第2除去工程と
を含むことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記第2除去工程においては、前記第1の単位素子の前記発光層と前記第1反射層との間に介在する第2層を前記第2導電膜の選択的な除去によって形成する
ことを特徴とする請求項8に記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記第2除去工程においては、各単位素子のうち前記第2導電膜から形成される部分が、当該単位素子のうち前記第1導電膜から形成された部分の側端面を被覆するように、前記第2導電膜を選択的に除去する
ことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の発光装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1除去工程においては、前記複数の単位素子のうち共振器構造における共振波長が前記第1の単位素子および前記第2の単位素子とは相違する第3の単位素子に対応する前記コンタクトホールを介して前記配線に接触する第1導通部を前記第1導電膜の選択的な除去によって形成し、
前記基板を被覆する第3導電膜を前記第2除去工程の実施後に形成する第3成膜工程と、
前記第3の単位素子の前記発光層と前記第1反射層との間に介在するとともに当該第3の単位素子の第1導通部に導通する第3層を、前記第3導電膜の選択的な除去によって形成する第3除去工程と
を含むことを特徴とする請求項8から請求項10の何れかに記載の発光装置の製造方法。
【請求項12】
前記第3除去工程においては、前記第1の単位素子および前記第2の単位素子のうち少なくとも一方の単位素子の前記発光層と前記第1反射層との間に介在する第3層を、前記第3導電膜の選択的な除去によって形成する
ことを特徴とする請求項11に記載の発光装置の製造方法。
【請求項13】
前記第3除去工程においては、各単位素子のうち前記第3導電膜から形成される部分が、当該単位素子のうち前記第1導電膜または前記第2導電膜から形成される部分の側端面を被覆するように、前記第3導電膜を選択的に除去する
ことを特徴とする請求項11または請求項12に記載の発光装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−48644(P2007−48644A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−232870(P2005−232870)
【出願日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】