説明

発光装置、モジュール、電子機器

【課題】電気光学装置において、新規の構成を有する画素回路を用いることにより、従来
の構成の画素よりも高い開口率を実現することを目的とする。
【解決手段】i行目を除くゲート信号線の電位は、i行目のゲート信号線106が選択さ
れている以外の期間においては定電位となっていることを利用し、i−1行目のゲート信
号線111をi行目のゲート信号線106によって制御されるEL素子103への電流供
給線として兼用することで配線数を減らし、高開口率を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置の構成に関する。本発明は、特に、絶縁基板上に作成される薄膜
トランジスタ(TFT)を有するアクティブマトリクス型電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LCD(液晶ディスプレイ)に替わるフラットパネルディスプレイとして、EL
ディスプレイが注目を集めており、活発な研究が行われている。
【0003】
EL素子は、エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:電場を加えることで発
生するルミネッセンス)が得られる有機化合物を含む層(以下、EL層と記す)と、陽極
と、陰極とを有する。有機化合物におけるルミネッセンスには、一重項励起状態から基底
状態に戻る際の発光(蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)と
があるが、本発明はどちらの発光を用いた電子装置にも適用可能である。
【0004】
なお、本明細書では、陽極と陰極の間に設けられた全ての層をEL層と定義する。EL
層には具体的に、発光層、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層等が含まれ
る。基本的にEL素子は、陽極/発光層/陰極が順に積層された構造を有しており、この
構造に加えて、陽極/正孔注入層/発光層/陰極や、陽極/正孔注入層/発光層/電子輸
送層/陰極等の順に積層した構造を有していることもある。
【0005】
また、本明細書中では、陽極、EL層及び陰極で形成される素子をEL素子と呼ぶ。
【0006】
LCDには、駆動方式として大きく分けて2つのタイプがあった。1つは、STN−L
CDなどに用いられているパッシブマトリクス型であり、もう1つは、TFT−LCDな
どに用いられているアクティブマトリクス型であった。ELディスプレイにおいても、同
様に、大きく分けて2種類の駆動方式がある。1つはパッシブマトリクス型、もう1つが
アクティブマトリクス型である。
【0007】
パッシブマトリクス型の場合は、EL素子の上部と下部とに、電極となる配線が配置さ
れている。そして、その配線に電圧を順に加えて、EL素子に電流を流すことによって点
灯させている。
一方、アクティブマトリクス型の場合は、各画素にTFTを有し、各画素内で信号を保
持出来るようになっている。
【0008】
ELディスプレイに用いられているアクティブマトリクス型電子装置の構成例を図15
に示す。図15(A)は全体回路構成図であり、中央に画素部を有している。画素部の左
側には、ゲート信号線を制御するためのゲート信号線側駆動回路が配置されている。画素
部の上側には、ソース信号線を制御するためのソース信号線側駆動回路が配置されている
。図15(A)において、点線枠で囲まれている部分が1画素分の回路である。拡大図を
図15(B)に示す。図15(B)
において、1501は、画素に信号を書き込む時のスイッチング素子として機能するTF
T(以下、スイッチング用TFTという)である。図15(B)では、スイッチング用T
FTはダブルゲート構造となっているが、シングルゲート構造あるいはトリプルゲート構
造やそれ以上のゲート本数を持つマルチゲート構造をとっても良い。また、TFTの極性
は回路の構成形態によっていずれかの極性を用いれば良い。1502はEL素子1503
に供給する電流を制御するための素子(電流制御素子)として機能するTFT(以下、E
L駆動用TFTという)である。図15(B)では、EL素子1503の陽極1509と
電流供給線1507との間に配置されている。別の構成方法として、EL素子1503の
陰極1510と陰極電極1508の間に配置したりすることも可能である。また、TFT
の極性は回路の構成形態によっていずれかの極性を用いれば良い。ただし、トランジスタ
の動作としてソース接地が良いこと、EL素子1503の製造上の制約などから、EL駆
動用TFTにはpチャネル型を用い、EL素子1503の陽極1509と電流供給線15
07との間にEL駆動用TFTを配置する方式が一般的であり、多く採用されている。1
504は、ソース信号線1506から入力される信号(電圧)を保持するための保持容量
である。図15(B)での保持容量1504の一方の端子は、電流供給線1507に接続
されているが、専用の配線を用いることもある。スイッチング用TFT1501のゲート
端子は、ゲート信号線1505に、ソース端子は、ソース信号線1506に接続されてい
る。また、EL駆動用TFT1502のドレイン端子はEL素子1503の陽極1509
に、ソース端子は電流供給線1507に接続されている。
【0009】
次に、同図15を参照して、アクティブマトリクス型電子装置の回路の動作について説
明する。まず、ゲート信号線1506が選択されると、スイッチング用TFT1501の
ゲートに電圧が印加され、スイッチング用TFT1501が導通状態になる。すると、ソ
ース信号線1506の信号(電圧)が保持容量1504に蓄積される。保持容量1504
の電圧は、EL駆動用TFT1502のゲート・ソース間電圧VGSとなるため、 保持容
量1504の電圧に応じた電流がEL駆動用TFT1502とEL素子1503に流れる
。その結果、EL素子1503が点灯する。
【0010】
EL素子1503の輝度、つまりEL素子1503を流れる電流量は、VGSによって制御
出来る。VGSは、保持容量1504の電圧であり、それはソース信号線1505に入力さ
れる信号(電圧)である。つまり、ソース信号線1505に入力される信号(電圧)を制
御することによって、EL素子1503の輝度を制御する。最後に、ゲート信号線150
6を非選択状態にして、スイッチング用TFT1501のゲートを閉じ、スイッチング用
TFT1501を非導通状態にする。その時、保持容量1504に蓄積された電荷は保持
される。よって、VGSは、そのまま保持され、VGSに応じた電流がEL駆動用TFT15
02とEL素子1503に流れ続ける。
【0011】
以上の内容に関しては、SID99 Digest : P372 :“Current Status and future of Ligh
t-Emitting Polymer Display Driven by Poly-Si TFT”、ASIA DISPLAY98 : P217 :“Hig
h Resolution Light Emitting Polymer Display Driven by Low Temperature Polysilico
n Thin Film Transistor with Integrated Driver”、Euro Display99 Late News : P27
:“3.8 Green OLED with Low Temperature Poly-Si TFT”などに報告されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
アクティブマトリクス型電子装置においては、その表示性能の面から、画素には大きな
保持容量を持たせるとともに、高開口率化が求められている。各画素が高い開口率を持つ
ことにより光の利用効率が向上し、表示装置の省電力化および小型化が達成出来る。
【0013】
近年、画素サイズの微細化が進み、より高精細な画像が求められている。画素サイズの
微細化は1つの画素に占めるTFTおよび配線の形成面積が大きくなり画素開口率を低減
させている。
【0014】
そこで、規定の画素サイズの中で各画素の高開口率を得るためには、画素の回路構成に
必要な回路要素を効率よくレイアウトすることが不可欠である。
【0015】
以上のように、少ないマスク数で画素開口率の高いアクティブマトリクス型電子装置を
実現するためには、従来にない新しい画素構成が求められている。
【0016】
本発明は、そのような要求に答えるものであり、新規の構成を有する画素を用いて、マ
スク数および工程数を増加させることなく、高い開口率を実現した画素を有する電子装置
を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した従来技術の課題を解決するために、本発明においては以下の手段を講じた。
【0018】
本発明の電子装置は、その画素部の構成において、あるゲート信号線が、その選択期間
以外の期間においては、一定の電位をとっている点に着目した。本発明の電子装置におけ
る特徴は、i行目のゲート信号線が選択されているとき、i行目の画素に電流を供給する
電流供給線を、i行目のゲート信号線を含むゲート信号線のいずれか1本によって代用す
ることにより、画素部においてある割合を占めている電流供給線を省略することが出来る
、というものである。この方法により、マスク枚数や作成工程数を増加させることなく、
画素部において高い開口率を実現することが出来る。また、従来の開口率と同等にするな
らば、信号線の幅をより大きくとることが出来るため、抵抗の低減やノイズの低減といっ
た、画質の向上に寄与することが出来る。
【0019】
以下に、本発明の電子装置の構成について記載する。
【0020】
請求項1に記載の本発明の電子装置は、 ソース信号線駆動回路と、ゲート信号線駆動回
路と、画素部とを有する電子装置であって、 前記ソース信号線駆動回路は、複数のソー
ス信号線を有し、 前記ゲート信号線駆動回路は、複数のゲート信号線を有し、 前記画
素部は、複数の画素がマトリクス状に配置された構造を有し、 前記複数の画素はそれぞ
れ、スイッチング用トランジスタと、EL駆動用トランジスタと、EL素子とを有し、
前記スイッチング用トランジスタのゲート電極は、ゲート信号線と電気的に接続され、
前記スイッチング用トランジスタの不純物領域のうち、一方はソース信号線と電気的に接
続され、残る一方は前記EL駆動用トランジスタのゲート電極と電気的に接続され、 前
記EL駆動用トランジスタの不純物領域のうち、一方は複数の前記ゲート信号線のうちい
ずれか1本と電気的に接続され、残る一方はEL素子の一方の電極と電気的に接続されて
いることを特徴としている。
【0021】
請求項2に記載の本発明の電子装置は、 ソース信号線駆動回路と、ゲート信号線駆動回
路と、画素部とを有する電子装置であって、 前記ソース信号線駆動回路は、複数のソー
ス信号線を有し、 前記ゲート信号線駆動回路は、複数のゲート信号線を有し、 前記画
素部は、複数の画素がマトリクス状に配置された構造を有し、 前記複数の画素はそれぞ
れ、スイッチング用トランジスタと、EL駆動用トランジスタと、EL素子とを有し、
i行目の画素において、前記スイッチング用トランジスタのゲート電極は、i行目のゲー
ト信号線と電気的に接続され、 前記スイッチング用トランジスタの不純物領域のうち、
一方は前記ソース信号線と電気的に接続され、残る一方は前記EL駆動用トランジスタの
ゲート電極と電気的に接続され、 前記EL駆動用トランジスタの不純物領域のうち、一
方は複数の前記ゲート信号線のうちいずれか1本と電気的に接続され、残る一方はEL素
子の一方の電極と電気的に接続され、 i行目の画素におけるEL素子への電流の供給は
、i行目の画素におけるEL駆動用トランジスタの不純物領域のうちの一方と電気的に接
続された前記ゲート信号線によって行われることを特徴としている。
【0022】
請求項3に記載の本発明の電子装置は、 ソース信号線駆動回路と、ゲート信号線駆動回
路と、画素部とを有する電子装置であって、 前記ソース信号線駆動回路は、複数のソー
ス信号線を有し、 前記ゲート信号線駆動回路は、複数のゲート信号線を有し、 前記画
素部は、複数の画素がマトリクス状に配置された構造を有し、 前記複数の画素はそれぞ
れ、スイッチング用トランジスタと、EL駆動用トランジスタと、EL素子とを有し、
i行目の画素において、前記スイッチング用トランジスタのゲート電極は、i行目のゲー
ト信号線と電気的に接続され、 前記スイッチング用トランジスタの不純物領域のうち、
一方は前記ソース信号線と電気的に接続され、残る一方は前記EL駆動用トランジスタの
ゲート電極と電気的に接続され、 前記EL駆動用トランジスタの不純物領域のうち、一
方は複数の前記ゲート信号線のうちいずれか1本と電気的に接続され、残る一方はEL素
子の一方の電極と電気的に接続され、 i行目に走査される前記ゲート信号線は、i行目
に走査される前記ゲート信号線と電気的に接続された前記スイッチング用トランジスタを
制御する機能と、i行目に走査される前記ゲート信号線と電気的に接続されたEL駆動用
トランジスタを介して、EL素子への電流供給を行う機能とを有することを特徴としてい
る。
【0023】
請求項4に記載の本発明の電子装置は、 ソース信号線駆動回路と、ゲート信号線駆動回
路と、画素部とを有する電子装置であって、 前記ソース信号線駆動回路は、複数のソー
ス信号線を有し、 前記ゲート信号線駆動回路は、複数のゲート信号線を有し、 前記画
素部は、複数の画素がマトリクス状に配置された構造を有し、 前記複数の画素はそれぞ
れ、スイッチング用トランジスタと、EL駆動用トランジスタと、EL素子とを有し、
i行目の画素において、前記スイッチング用トランジスタのゲート電極は、i行目のゲー
ト信号線と電気的に接続され、 前記スイッチング用トランジスタの不純物領域のうち、
一方は前記ソース信号線と電気的に接続され、残る一方は前記EL駆動用トランジスタの
ゲート電極と電気的に接続され、 前記EL駆動用トランジスタの不純物領域のうち、一
方は複数の前記ゲート信号線のうち、i行目に走査される前記ゲート信号線を除くいずれ
か1本と電気的に接続され、残る一方はEL素子の一方の電極と電気的に接続されている
ことを特徴としている。
【0024】
請求項5に記載の本発明の電子装置は、 ソース信号線駆動回路と、ゲート信号線駆動回
路と、画素部とを有する電子装置であって、 前記ソース信号線駆動回路は、複数のソー
ス信号線を有し、 前記ゲート信号線駆動回路は、複数のゲート信号線を有し、 前記画
素部は、複数の画素がマトリクス状に配置された構造を有し、 前記複数の画素はそれぞ
れ、スイッチング用トランジスタと、EL駆動用トランジスタと、EL素子とを有し、
i行目の画素において、前記スイッチング用トランジスタのゲート電極は、i行目のゲー
ト信号線と電気的に接続され、 前記スイッチング用トランジスタの不純物領域のうち、
一方は前記ソース信号線と電気的に接続され、残る一方は前記EL駆動用トランジスタの
ゲート電極と電気的に接続され、 前記EL駆動用トランジスタの不純物領域のうち、一
方はi−1行目に走査される前記ゲート信号線と電気的に接続され、残る一方はEL素子
の一方の電極と電気的に接続されていることを特徴としている。
【0025】
請求項6に記載の本発明の電子装置は、 ソース信号線駆動回路と、ゲート信号線駆動回
路と、画素部とを有する電子装置であって、 前記ソース信号線駆動回路は、複数のソー
ス信号線を有し、 前記ゲート信号線駆動回路は、複数のゲート信号線を有し、 前記画
素部は、複数の画素がマトリクス状に配置された構造を有し、 前記複数の画素はそれぞ
れ、スイッチング用トランジスタと、EL駆動用トランジスタと、EL素子とを有し、
ソース信号線より、スイッチング用トランジスタを介してEL駆動用トランジスタに映像
信号が入力され、 複数の前記ゲート信号線のうち1本より、EL駆動用トランジスタを
介してEL素子への電流供給が行われることを特徴としている。
【0026】
請求項7に記載の本発明の電子装置は、 ソース信号線駆動回路と、ゲート信号線駆動回
路と、画素部とを有する電子装置であって、 前記ソース信号線駆動回路は、複数のソー
ス信号線を有し、 前記ゲート信号線駆動回路は、複数のゲート信号線を有し、 前記画
素部は、複数の画素がマトリクス状に配置された構造を有し、 前記複数の画素はそれぞ
れ、スイッチング用トランジスタと、EL駆動用トランジスタと、EL素子とを有し、
ソース信号線より、i行目に走査される前記ゲート信号線と電気的に接続されたスイッチ
ング用トランジスタを介してEL駆動用トランジスタに映像信号が入力され、 複数の前
記ゲート信号線のうち、i行目に走査される前記ゲート信号線を除く1本より、EL駆動
用トランジスタを介してEL素子への電流供給が行われることを特徴としている。
【0027】
請求項8に記載の本発明の電子装置は、 ソース信号線駆動回路と、ゲート信号線駆動回
路と、画素部とを有する電子装置であって、 前記ソース信号線駆動回路は、複数のソー
ス信号線を有し、 前記ゲート信号線駆動回路は、複数のゲート信号線を有し、 前記画
素部は、複数の画素がマトリクス状に配置された構造を有し、 前記複数の画素はそれぞ
れ、スイッチング用トランジスタと、EL駆動用トランジスタと、EL素子とを有し、
ソース信号線より、i行目に走査される前記ゲート信号線と電気的に接続されたスイッチ
ング用トランジスタを介してEL駆動用トランジスタに映像信号が入力され、 i−1行
目に走査される前記ゲート信号線より、EL駆動用トランジスタを介してEL素子への電
流供給が行われることを特徴としている。
【0028】
請求項9に記載の本発明の電子装置は、 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の
電子装置において、 前記EL素子の発光方向が、駆動回路が形成されている基板に向か
う方向であるとき、前記EL素子と電気的に接続された前記EL駆動用トランジスタの極
性はPチャネル型であり、 前記EL素子の発光方向が、駆動回路が形成されている基板
に向かう方向に対して逆の方向であるとき、前記EL素子と電気的に接続された前記EL
駆動用トランジスタの極性はNチャネル型であることを特徴としている。
【0029】
請求項10に記載の本発明の電子装置は、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の
電子装置において、 ゲート信号線は、アルミニウムあるいはそれを主たる成分とした材
料を用いて形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0030】
本発明の電子装置を用いることにより、電源供給線が必要なくなるため、従来の電子装置
に比べて、パネル作成プロセスにおけるマスク枚数や工程数の増加を伴うことなく、より
高い開口率を実現することが出来る。あるいは、従来通りの開口率であれば、その分、信
号線を太くすることが出来るため、抵抗率が下がり、クロストーク、輝度傾斜などを低減
することが出来、画質の向上を実現することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明における、電流供給線とゲート信号線を共有する構造を有する画素の平面図および回路図。
【図2】専用の電流供給線とゲート信号線を有する構造の画素の平面図および回路図。
【図3】本発明における、電流供給線とゲート信号線を共有する構造を有する画素を3行2列に配置した様子を示す回路図。
【図4】本発明の画素を用いるための基本的な信号パターンを説明する図。
【図5】実施例1に示している、本発明の画素を有する電子装置の回路構成例を示す図。
【図6】実施例1に示している、本発明の画素を有する電子装置を駆動する例を説明するタイミングチャート。
【図7】実施例1に示している、本発明の画素を有する電子装置を駆動する例を説明するタイミングチャート。
【図8】実施例2に示している、電子装置の作製工程例を示す図。
【図9】実施例2に示している、電子装置の作製工程例を示す図。
【図10】実施例2に示している、電子装置の作製工程例を示す図。
【図11】実施例3に示している電子装置の上面図および断面図。
【図12】実施例4に示している電子装置の上面図および断面図。
【図13】実施例5に示している、電子装置の画素部断面図。
【図14】実施例6に示している、電子装置の画素部断面図。
【図15】電子装置の回路構成例を示す図。
【図16】実施例7に示している、本発明の画素を有する電子装置を駆動する例を説明するタイミングチャート。
【図17】実施例7に示している、本発明の画素を有する電子装置の回路構成例を示す図。
【図18】実施例8に示している、本発明の画素を有する電子装置を駆動する例を説明するタイミングチャート。
【図19】実施例8に示している、本発明の画素を有する電子装置の回路構成例を示す図。
【図20】実施例9に示している、本発明の画素を有する電子装置の回路構成例を示す図。
【図21】実施例10に示している、本発明の画素を有する電子装置を駆動する例を説明するタイミングチャート。
【図22】本発明の電子装置を組み込んだ電子装置の例を示す図。
【図23】本発明の電子装置を組み込んだ電子装置の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の内容について述べる。図1、図2を参照する。図2は通常の構成のEL画素を、
図1は本発明の構成のEL画素を示している。それぞれ、(A)には画素の平面図、(B
)にはその回路図を示している。図2(B)中、201はスイッチング用TFT、202
はEL駆動用TFT、203はEL画素、204は保持容量、205はソース信号線、2
06はゲート信号線、207は電流供給線、208は陰極電極、209はEL画素の陽極
、210はEL画素の陰極である。
図1(B)中、101はスイッチング用TFT、102はEL駆動用TFT、103はE
L画素、104は保持容量、105はソース信号線、106はi行目に走査されるゲート
信号線、108は陰極配線、109はEL画素の陽極、110はEL画素の陰極、111
は隣り合う1行前の行のゲート信号線である。スイッチングTFT101,201は、前
述したように、EL素子の構造に応じて極性を決定すれば良い。
【0033】
また、図1、図2におけるスイッチング用TFTは、ダブルゲート構造をとっているが、
シングルゲート構造でも良いし、トリプルゲート構造やそれ以上のゲート本数を持つマル
チゲート構造をとっていても良い。
【0034】
なお、EL駆動用TFTのソース領域とドレイン領域のうちいずれか一方に電気的に接
続されているゲート信号線は、必ずしも隣り合う1行前の行のゲート信号線である必要は
ない。
【0035】
従来の画素構成では、図2に示すように、専用の電流供給線207を配置し、EL駆動用
TFT202のソース電極や保持容量204の電極を電流供給線207に接続していた。
対して本発明では、図1に示すように、EL駆動用TFT102のソース電極や保持容量
104の電極は、別の行のゲート信号線111に接続する。この場合、配置の関係と各部
の電圧の関係とにより、1行前に走査されるゲート信号線に接続するのが望ましい。
【0036】
図1(B)に示した画素1個分の回路を、3行2列に画素を並べた場合の回路図を図3に
示す。なお、図3中の画素は図1(B)にて示したものと同様であるので、番号は図1(
B)に付したものを継承する。図3では、i行目のゲート信号線106によって制御され
る画素部を、Aで示される点線枠で囲っている。ただし図では2列分のみ表示しているが
、列方向にはパネルの水平方向の画素数分続くものである。EL駆動用TFT102のソ
ース領域や保持容量104の電極は、i−1行目の行のゲート信号線111に接続してい
る。ゲート信号線は、図において向かって上の行から順に下方向に走査されていくので、
1行前のゲート信号線に接続していることになる。
【0037】
本発明の着眼点は、現在選択している行に信号を書き込んでいるとき、既に1行前のゲ
ート信号線は非選択状態に戻っているということである。そして、再び選択されるように
なるまでの間は、電位は一定(非選択状態)に保たれる。そこで、1行前のゲート信号線
を定電位線、つまり、電流供給線として取り扱う点に特徴がある。つまり、ゲート信号線
と電流供給線とを共用するようにする。その結果、配線数を減らすことが出来、開口率を
向上させることが出来る。
【0038】
次に、図1に示した本発明の電子装置を駆動するための基本的な信号パターンを図4に
示す。ここでは、各部の電位は、スイッチング用TFT、EL駆動用TFTの極性がとも
にpチャネル型である場合を例として示している。図4では、同じ列の画素(ある1本の
ソース信号線に接続されている画素)におけるi−1行目からi+2行目までの4行分の
各配線での信号パターンを示している。そして、説明のため、時間を期間Aから期間Fま
でに分割して示している。図4に示されているのは、i−1行目からi+2行目までの、
EL駆動用TFT102のゲート電位、ソース信号線105の電位、ゲート信号線106
の電位、陰極配線108の電位、EL駆動用TFT102のゲート・ソース間電圧VGS
ある。
【0039】
まず、各行において、ゲート信号線が選択されて、次の行へシフトしていく。
スイッチング用TFTは、pチャネル型であるので、ゲート信号線の電位がスイッチング
用TFTのソース領域の電位よりも十分に低い(つまりスイッチング用TFTのゲート・
ソース間電圧の絶対値がしきい値電圧を上回る)ときに、スイッチング用TFTは導通状
態となる。その時のゲート信号線の電位は、ソース信号線の電圧が画素に書き込まれるよ
うにするため、ソース信号線での最も低い電位よりも十分低くしておく必要がある。まず
、i−1行目では、期間Bにおいて、ゲート信号線が選択される。i行目では、期間Cに
おいて選択され、i+1行目では、期間Dにおいて選択され、i+2行目では、期間Eに
おいて選択される。このように、各行において、ゲート信号線が選択されて、次の行へシ
フトしていく。
【0040】
次に、ソース信号線の電位について述べる。ここでは、ある1列のソース信号線に、各
行の画素が接続している。よって、i−1行目からi+2行目までにおいて、ソース信号
線の電位は同一である。ここでは、期間Aと期間Dとにおいて、期間の終了時におけるソ
ース信号線の電位はHi信号の状態にあり、期間B、期間C、期間E、期間Fにおいて、
期間の終了時におけるソース信号線の電位はLO信号の状態にあるとする。実際のソース
信号線の電位は、表示パターンによって、様々な値を取る。
【0041】
次に、各画素のEL駆動用TFTのゲート電極での電位について述べる。まず、i行目
について考える。期間A以前の期間においては、i行目の画素のEL駆動用TFTのゲー
ト電極の電位は、高い状態にあるとする。そして期間Bにおいては、i行目の画素のEL
駆動用TFTのゲート電極での電位は下がる。これは、i行目の保持容量の片方の電極が
i−1行目のゲート信号線に接続されており、そのi−1行目のゲート信号線が選択され
、i−1行目のゲート信号線の電圧が低くなることが原因である。つまり、保持容量には
、すでに蓄積されている電荷があり、保持容量の両端には、その電荷に応じた電圧がかか
っている。その状態において、保持容量の片方の電極、つまり、i−1行目のゲート信号
線の電圧を下げる。すると、i行目のスイッチング用TFTが非導通状態にあるため、i
行目の画素の保持容量の電荷、つまり、保持容量の両端の電圧はそのまま保持され、保持
容量のもう一方の電極、つまり、i行目のEL駆動用TFTのゲート電極の電位も同程度
だけ下がる。よって、保持容量の両端の電圧、つまり、i行目のEL駆動用TFTのゲー
ト・ソース間電圧は、i−1行目のゲート信号線の電位が変わっても、変化しない。
【0042】
この場合、期間Aでは、i行目の画素のEL駆動用TFTのゲート・ソース間電圧の絶対
値は小さいので、EL素子には、電流が流れず、非発光状態にあった。
従って、期間Bにおいても、EL駆動用TFTのゲート電極の電位は下がったが、同時に
、EL駆動用TFTのソース電極の電位も下がるため、EL駆動用TFTのゲート・ソー
ス間電圧は、期間Aと期間Bとでは、同じである。よって、期間Bにおいては、i行目の
画素のEL素子には、電流は流れない。また、たとえ、EL駆動用TFTが導通状態にあ
ったとしても、期間Bでは、EL駆動用TFTのソース電極の電位は下がり、EL素子の
陰極配線の電位よりも低くなることが想定されるため、EL素子には、順バイアスの電圧
はかからなくなるため、電流は流れなくなる。そして、期間Bの最後において、i−1行
目のゲート信号線の電圧が元に戻る。その結果、i行目の画素のEL駆動用TFTのゲー
ト電極の電位も元に戻る。
【0043】
次に、期間Cに移る。期間Cでは、i行目のゲート信号線が選択される。よって、i行
目の画素のEL駆動用TFTのゲート電極の電位は、ソース信号線の電位と同じになる。
期間Cでは、ソース信号線は、LO信号の状態にあるとしている。よって、i行目の画素
のEL駆動用TFTのゲート電極の電位も、ソース信号線と同電位となり、低くなる。そ
の時、保持容量の片方の電極、つまり、i−1行目のゲート信号線の電位は、すでに高い
状態に戻っている。よって、保持容量には、i−1行目のゲート信号線とi行目の画素の
EL駆動用TFTのゲート電極との間の電圧が加わることになり、i行目の画素のEL駆
動用TFTのゲート・ソース間電圧の絶対値は大きくなる。従って、i行目の画素のEL
駆動用TFTは導通状態になる。また、i−1行目のゲート信号線の電位、つまり、i行
目の画素のEL駆動用TFTのソース電極の電位は、すでに高い状態に戻っているので、
i行目のEL素子の陽極の電位は、陰極配線の電位よりも高い。その結果、i行目のEL
素子に電流が流れ、発光する。i行目のEL素子を流れる電流は、i−1行目のゲート信
号線を通して供給される。よって、各行のゲート信号線の配線抵抗は、十分低くしておく
必要がある。
【0044】
次に、期間Dへ移る。期間Dでは、i行目のゲート信号線の電圧が元に戻り、i行目の
スイッチング用TFTは非導通状態になる。そして、i行目の画素のEL駆動用TFTの
ゲート電極の電位は、そのまま保持される。この時、i−1行目のゲート信号線の電位、
つまり、i行目の画素の保持容量の電極とEL駆動用TFTのソース電極の電位もそのま
ま変わらない。よって、以後、i行目の画素のEL駆動用TFTは導通状態になり、i行
目のEL素子に電流が流れ続ける。
【0045】
同様にして、i+1行目について考える。期間B以前の期間においては、i+1行目の
画素のEL駆動用TFTのゲート電極の電位は、高い状態にあるとする。そして期間Cに
おいては、i+1行目の画素のEL駆動用TFTのゲート電極での電位は下がる。これは
、i+1行目の保持容量の片方の電極がi行目のゲート信号線に接続されており、そのi
行目のゲート信号線が選択され、i行目のゲート信号線の電圧が低くなることが原因であ
る。そして、期間Cの最後において、i行目のゲート信号線の電圧が元に戻り、i+1行
目の画素のEL駆動用TFTのゲート電極の電位も元に戻る。
【0046】
次に、期間Dに移る。期間Dでは、i+1行目のゲート信号線が選択される。
よって、i+1行目の画素のEL駆動用TFTのゲート電極の電位は、ソース信号線の電
位と同じになる。期間Dでは、ソース信号線は、H信号の状態にあるとしている。よって
、i+1行目の画素のEL駆動用TFTのゲート電極の電位も、ソース信号線と同電位と
なり、高くなる。その時、保持容量の片方の電極、つまり、i行目のゲート信号線の電位
は、すでに高い状態に戻っている。よって、保持容量には、i行目のゲート信号線とi+
1行目の画素のEL駆動用TFTのゲート電極との間の電圧が加わることになり、EL駆
動用TFTのゲート・ソース間電圧の絶対値は小さくなる。従って、i+1行目の画素の
EL駆動用TFTは非導通状態になり、i+1行目のEL素子に電流が流れず、発光しな
い。
【0047】
次に、期間Eへ移る。期間Eでは、i+1行目のゲート信号線の電圧が元に戻り、i+
1行目のスイッチング用TFTは非選択状態になる。i+1行目の画素のEL駆動用TF
Tのゲート電極の電位はそのまま保持される。i行目のゲート信号線の電位、つまり、i
+1行目の画素の保持容量の電極とEL駆動用TFTのソース電極の電位もそのまま変わ
らない。よって、以後、i+1行目の画素のEL駆動用TFTは非導通状態になり、i+
1行目のEL素子に電流が流れない状態が続く。
【0048】
同様にして、i+2行目について考える。期間C以前の期間においては、i+2行目の
画素のEL駆動用TFTのゲート電極の電位は、低い状態にあるとする。そして期間Dに
おいては、i+2行目の画素のEL駆動用TFTのゲート電極での電位は下がる。これは
、i+2行目の保持容量の片方の電極がi+1行目のゲート信号線に接続されており、そ
のi+1行目のゲート信号線が選択され、i+1行目のゲート信号線の電圧が低くなるこ
とが原因である。期間C以前の期間では、i+2行目の画素のEL駆動用TFTのゲート
・ソース間電圧の絶対値は大きいので、i+2行目の画素のEL素子には、電流が流れ、
発光状態にあった。期間Dにおいては、EL駆動用TFTのゲート電極の電位は下がった
が、同時に、EL駆動用TFTのソース電極の電位も下がるため、EL駆動用TFTのゲ
ート・ソース間電圧は、期間C以前の期間と期間Dとでは、同じである。ただし、EL駆
動用TFTが導通状態にあったとしても、期間Dでは、EL駆動用TFTのソース電極の
電位は下がり、EL素子の陰極配線の電位よりも低くなるため、EL素子には、電流は流
れなくなる。そして、期間Dの最後において、i+1行目のゲート信号線の電圧が元に戻
る。その結果、i+2行目の画素のEL駆動用TFTのゲート電極の電位も元に戻る。
【0049】
次に、期間Eに移る。期間Eでは、i+2行目のゲート信号線が選択される。
よって、i+2行目の画素のEL駆動用TFTのゲート電極の電位は、ソース信号線の電
位と同じになる。期間Eでは、ソース信号線は、L信号の状態にあるとしている。よって
、i+2行目の画素のEL駆動用TFTのゲート電極の電位も、ソース信号線と同電位と
なり、低くなる。その時、保持容量の片方の電極、つまり、i+1行目のゲート信号線の
電位は、すでに高い状態に戻っている。よって、保持容量には、i+1行目のゲート信号
線とi+2行目の画素のEL駆動用TFTのゲート電極との間の電圧が加わることになり
、EL駆動用TFTのゲート・ソース間電圧の絶対値は大きくなる。従って、i+2行目
の画素のEL駆動用TFTは導通状態になり、i+2行目のEL素子に電流が流れ、発光
する。i+2行目のEL素子を流れる電流は、i+1行目のゲート信号線を通して供給さ
れる。
【0050】
次に、期間Fへ移る。期間Fでは、i+2行目のゲート信号線の電圧が元に戻り、i+
2行目のスイッチング用TFTは非導通状態になる。i+2行目の画素のEL駆動用TF
Tのゲート電極の電位はそのまま保持される。i+1行目のゲート信号線の電位、つまり
、i+2行目の画素の保持容量の電極とEL駆動用TFTのソース電極の電位もそのまま
変わらない。よって、以後、i+2行目の画素のEL駆動用TFTは導通状態になり、i
+2行目のEL素子に電流が流れ続ける。
【0051】
以上のような動作を繰り返していけば、EL駆動用TFT102のソース電極や保持容
量104の電極を別の行のゲート信号線に接続することにより、ゲート信号線を通してE
L素子に電流を供給させて、動作させることが出来る。
【0052】
次に、TFTの極性について述べる。
【0053】
EL駆動用TFTの場合は、従来通りで良い。つまり、nチャネル型でもpチャネル型
でも良い。ただし、トランジスタの動作としてソース接地が良いこと、EL素子の製造上
の制約などを考えると、pチャネル型の方が望ましい。
【0054】
スイッチング用TFTについては、ゲート信号線の電位によって、設定する必要がある
。つまり、ゲート信号線とEL素子の陽極電極とをEL駆動用TFTを介して接続する場
合においては、EL素子に電流を流すためには、ゲート信号線の電位は、陰極配線よりも
高くする必要がある。よって、スイッチング用TFTにおいて、非導通状態においてゲー
ト信号線を高い電位にしておくためには、pチャネル型を用いる必要がある。一方、もし
仮に、ゲート信号線とEL素子の陰極電極とをEL駆動用TFTを介して接続する場合に
おいては、スイッチング用TFTは、nチャネル型を用いる必要がある。
【0055】
なお、本発明は、アナログ階調方式、デジタル階調方式のどちらでも適応可能である。
【0056】
以下に本発明の実施例について記述する。
【実施例1】
【0057】
図5(A)に、電子装置全体の回路構成例を示す。中央に画素部が配置されている。1
画素分の回路図は、図5(A)において、点線枠500で囲んだ部分である。図5(B)
に回路図を示す。図5(B)内に付した番号は図1(B)のものと同一である。左側には
、ゲート信号線106、111を制御するための、ゲート信号線側駆動回路が配置されて
いる。図示していないが、ゲート信号線側駆動回路は、画素部の左右両側に対称に配置す
るとより効果的に駆動できる。上側には、ソース信号線105を制御するため、ソース信
号線側駆動回路が配置されている。
【0058】
ソース信号線105に入力する信号は、デジタル量でもアナログ量でも構わない。つま
り、本発明は、デジタル階調の場合であっても、アナログ階調の場合であっても、適用す
る事が出来る。
【0059】
次に、デジタル階調と時間階調を組み合わせて、kビット(2k)の階調を表現させた場
合について述べる。簡単のため、3ビット(23=8)の階調を表現することにする。図
6、図7に、各行のゲート信号線の電位を示したタイミングチャートを示す。画素を構成
するTFTの極性には、スイッチング用TFT、EL駆動用TFTともにpチャネル型を
用いる場合を例とした。
【0060】
タイミングチャートの構成としては、まず、1フレーム期間を3個のサブフレーム期間
、SF1〜SF3に分割する。各サブフレーム期間の中には、アドレス(書き込み)期間T
1〜Ta3やサステイン(点灯)期間Ts1〜Ts3がある。Ts1〜Ts3の長さは、2の
べき乗で変わるようにする。つまり、Ts1:Ts2:Ts3=4:2:1とする。
【0061】
まず、1行づつ、画素に信号を入力していく。この場合、ゲート信号線106を選択し
て、ソース信号線105を通って、画素に信号を入力していく。そして、この動作を、ゲ
ート信号線第1行目から最終行目まで行う。
【0062】
ここで、アドレス期間は、1行目のゲート信号線が選択されてから、最終行目のゲート
信号線が選択される時までの期間である。よって、アドレス期間の長さは、どのサブフレ
ーム期間中においても、同一である。
【0063】
次に、SF2に移る。ここでも同様に、ゲート信号線106を選択して、ソース信号線
105を通って、画素に信号を入力していく。そして、この動作を、ゲート信号線第1行
目から最終行目まで行う。
【0064】
この間、陰極配線108における電位は、一定である。よって、各画素のサステイン期
間は、ある1つのサブフレーム期間で画素に信号が書き込まれた時から、次のサブフレー
ム期間で画素に信号が書き込まれる時までの期間となる。従って、あるサブフレーム期間
においては、各行によって、サステイン期間のタイミングは異なるが、その長さは全て同
じである。
【0065】
次に、SF3に移る。ここでも同様に、ゲート信号線106を選択して、ソース信号線
105を通って、画素に信号を入力していく。SF3では、アドレス期間Ta3は、サステ
イン期間Ts3よりも長い。よって、Ts3の期間が終了して、すぐに次のフレーム期間の
サブフレームSF1でのアドレス期間Ta1に入ると、異なる2行のゲート信号線を同時に
選択することになるため、正常に2行分の信号を同時に入力することは出来ない。そこで
、Ts3の期間が終了した後、1行目から順に、1行前のゲート信号線の電位を上げてい
くようにする。つまり、1行前のゲート信号線を選択状態にする。すると、1行目の画素
から順に、EL素子に電圧が印加されなくなっていき、EL素子が点灯しなくなっていく
。ただしこの時は、複数行のゲート信号線が同時に選択されるので、無関係な行にも信号
が入力されていく。しかし実際は、無関係な行では、EL素子に電圧が印加されなくなっ
ており、EL素子は点灯しなくなっていくので、考えなくても良い。
そして、アドレス期間Ta3が終了し、次のアドレス期間Ta1が開始すると、通常の動作
に戻していく。これにより、サステイン期間Ts3の長さを制御することが出来る。この
ように、一つ前の行のゲート信号線の電位を上げておき、非表示期間を設ける期間を、ク
リア期間(Tcn n:サブフレーム期間に付された番号)と呼ぶことにする。
【0066】
このように、サステイン期間がアドレス期間よりも短い場合、サステインが終了してか
ら、アドレス期間が終了する、あるいは、次のアドレス期間が開始するまでの期間をクリ
ア期間に設定する。これにより、サステイン期間がアドレス期間よりも短くても、サステ
イン期間の長さを自由に設定することが出来る。
【実施例2】
【0067】
本実施例においては、実施例1で説明した電子装置の作成方法例として、画素部の周辺
に設けられる駆動回路(ソース信号線側駆動回路、ゲート信号線側駆動回路等)のTFT
と、画素部のスイッチングTFTおよびEL駆動用TFTとを同一基板上に作成する方法
について工程に従って詳細に説明する。但し、説明を簡単にするために、駆動回路部とし
てはその基本構成回路であるCMOS回路と、画素部としてはスイッチング用TFTとE
L駆動用TFTとを図示することにする。
【0068】
まず、図8(A)に示すように、コーニング社の#7059ガラスや#1737ガラス
などに代表されるバリウムホウケイ酸ガラス、またはアルミノホウケイ酸ガラスなどのガ
ラスから成る基板5001上に酸化シリコン膜、窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン
膜などの絶縁膜から成る下地膜5002を形成する。
例えば、プラズマCVD法でSiH4、NH3、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜
5002aを10〜200[nm](好ましくは50〜100[nm])形成し、同様にSiH4
、N2Oから作製される酸化窒化水素化シリコン膜5002bを50〜200[nm](好ま
しくは100〜150[nm])の厚さに積層形成する。本実施例では下地膜5002を2層
構造として示したが、前記絶縁膜の単層膜または2層以上積層させた構造として形成して
も良い。
【0069】
島状半導体層5003〜5006は、非晶質構造を有する半導体膜をレーザー結晶化法
や公知の熱結晶化法を用いて作製した結晶質半導体膜で形成する。この島状半導体層50
03〜5006の厚さは25〜80[nm](好ましくは30〜60[nm])の厚さで形成する
。結晶質半導体膜の材料に限定はないが、好ましくはシリコンまたはシリコンゲルマニウ
ム(SiGe)合金などで形成すると良い。
【0070】
レーザー結晶化法で結晶質半導体膜を作製するには、パルス発振型または連続発光型の
エキシマレーザーやYAGレーザー、YVO4レーザーを用いる。これらのレーザーを用
いる場合には、レーザー発振器から放射されたレーザー光を光学系で線状に集光し半導体
膜に照射する方法を用いると良い。結晶化の条件は実施者が適宣選択するものであるが、
エキシマレーザーを用いる場合はパルス発振周波数30[Hz]とし、レーザーエネルギー密
度を100〜400[mJ/cm2](代表的には200〜300[mJ/cm2])とする。また、YAG
レーザーを用いる場合にはその第2高調波を用いパルス発振周波数1〜10[kHz]とし、
レーザーエネルギー密度を300〜600[mJ/cm2] (代表的には350〜500[mJ/cm2]
)とすると良い。そして幅100〜1000[μm]、例えば400[μm]で線状に集光した
レーザー光を基板全面に渡って照射し、この時の線状レーザー光の重ね合わせ率(オーバ
ーラップ率)を80〜98[%]として行う。
【0071】
次いで、島状半導体層5003〜5006を覆うゲート絶縁膜5007を形成する。ゲ
ート絶縁膜5007はプラズマCVD法またはスパッタ法を用い、厚さを40〜150[n
m]としてシリコンを含む絶縁膜で形成する。本実施例では、120[nm]の厚さで酸化窒化
シリコン膜で形成する。勿論、ゲート絶縁膜はこのような酸化窒化シリコン膜に限定され
るものでなく、他のシリコンを含む絶縁膜を単層または積層構造として用いても良い。例
えば、酸化シリコン膜を用いる場合には、プラズマCVD法でTEOS(Tetraethyl Ort
hosilicate)とO2とを混合し、反応圧力40[Pa]、基板温度300〜400[℃]とし、
高周波(13.56[MHz])電力密度0.5〜0.8[W/cm2]で放電させて形成することが
出来る。
このようにして作製される酸化シリコン膜は、その後400〜500[℃]の熱アニールに
よりゲート絶縁膜として良好な特性を得ることが出来る。
【0072】
そして、ゲート絶縁膜5007上にゲート電極を形成するための第1の導電膜5008
と第2の導電膜5009とを形成する。本実施例では、第1の導電膜5008をTaで5
0〜100[nm]の厚さに形成し、第2の導電膜5009をWで100〜300[nm]の厚さ
に形成する。
【0073】
Ta膜はスパッタ法で形成し、TaのターゲットをArでスパッタする。この場合、A
rに適量のXeやKrを加えると、Ta膜の内部応力を緩和して膜の剥離を防止すること
が出来る。また、α相のTa膜の抵抗率は20[μΩcm]程度でありゲート電極に使用する
ことが出来るが、β相のTa膜の抵抗率は180[μΩcm]程度でありゲート電極とするに
は不向きである。α相のTa膜を形成するために、Taのα相に近い結晶構造をもつ窒化
タンタルを10〜50[nm]程度の厚さでTaの下地に形成しておくとα相のTa膜を容易
に得ることが出来る。
【0074】
W膜を形成する場合には、Wをターゲットとしたスパッタ法で形成する。その他に6フ
ッ化タングステン(WF6)を用いる熱CVD法で形成することも出来る。いずれにして
もゲート電極として使用するためには低抵抗化を図る必要があり、W膜の抵抗率は20[
μΩcm]以下にすることが望ましい。W膜は結晶粒を大きくすることで低抵抗率化を図る
ことが出来るが、W中に酸素などの不純物元素が多い場合には結晶化が阻害され高抵抗化
する。このことより、スパッタ法による場合、純度99.9999[%]のWターゲットを
用い、さらに成膜時に気相中からの不純物の混入がないように十分配慮してW膜を形成す
ることにより、抵抗率9〜20[μΩcm]を実現することが出来る。
【0075】
なお、本実施例では、第1の導電膜5008をTa、第2の導電膜5009をWとした
が、特に限定されず、いずれもTa、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、ま
たは前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成しても良い。また、リン
等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜を用いても良い
。本実施例以外の他の組み合わせの一例は、第1の導電膜5008を窒化タンタル(Ta
N)で形成し、第2の導電膜5009をWとする組み合わせ、第1の導電膜5008を窒
化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜5009をAlとする組み合わせ、第1の
導電膜5008を窒化タンタル(TaN)で形成し、第2の導電膜5009をCuとする
組み合わせが挙げられるが、特に、第1の導電膜5008と第2の導電膜5009とが、
エッチングにより選択比の取れる組み合わせを用いて形成することが好ましい。
(図8(A))
【0076】
次に、レジストによるマスク5010を形成し、電極および配線を形成するための第1
のエッチング処理を行う。本実施例ではICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合
型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング用ガスにCF4とCl2を混合し、1Paの圧
力でコイル型の電極に500[W]のRF(13.56[MHz])電力を投入してプラズマを生
成して行う。基板側(試料ステージ)にも100[W]のRF(13.56[MHz])電力を投
入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した場合にはW膜
およびTa膜とも同程度にエッチングされる。
【0077】
上記のエッチング条件では、レジストによるマスクの形状を適したものとすることによ
り、基板側に印加するバイアス電圧の効果により第1の導電層および第2の導電層の端部
がテーパー形状となる。テーパー部の角度は15〜45°となる。ゲート絶縁膜上に残渣
を残すことなくエッチングするためには、10〜20[%]程度の割合でエッチング時間を
増加させると良い。W膜に対する酸化窒化シリコン膜の選択比は2〜4(代表的には3)
であるので、オーバーエッチング処理により、酸化窒化シリコン膜が露出した面は20〜
50[nm]程度エッチングされることになる。こうして、第1のエッチング処理により第1
の導電層と第2の導電層から成る第1の形状の導電層5011〜5016(第1の導電層
5011a〜5016aと第2の導電層5011b〜5016b)を形成する。ゲート絶
縁膜5007は、第1の形状の導電層5011〜5016で覆われない領域は20〜50
[nm]程度エッチングされ、薄くなった領域が形成される。
【0078】
そして、第1のドーピング処理を行いn型を付与する不純物元素を添加する。
ドーピングの方法はイオンドープ法若しくはイオン注入法で行えば良い。イオンドープ法
の条件はドーズ量を1×1013〜5×1014[atoms/cm2]とし、加速電圧を60〜100[
keV]として行う。n型を付与する不純物元素として15族に属する元素、典型的にはリン
(P)または砒素(As)を用いるが、ここではリン(P)を用いる。この場合、導電層
5011〜5015がn型を付与する不純物元素に対するマスクとなり、自己整合的に第
1の不純物領域5017〜5025が形成される。第1の不純物領域5017〜5025
には1×1020〜1×1021[atoms/cm3]の濃度範囲でn型を付与する不純物元素を添加
する。(図8(B))
【0079】
次に、第2のエッチング処理を行う。同様にICPエッチング法を用い、エッチングガ
スにCF4とCl2とO2を混合して、1[Pa]の圧力でコイル型の電極に500[W]のRF
電力(13.56[MHz])を供給し、プラズマを生成して行う。
基板側(試料ステージ)には50[W]のRF(13.56[MHz])電力を投入し、第1のエ
ッチング処理に比べ低い自己バイアス電圧を印加する。このような条件によりW膜を異方
性エッチングし、かつ、それより遅いエッチング速度で第1の導電層であるTaを異方性
エッチングして第2の形状の導電層5026〜5031(第1の導電層5026a〜50
31aと第2の導電層5026b〜5031b)を形成する。ゲート絶縁膜5007は、
第2の形状の導電層5026〜5031で覆われない領域はさらに20〜50[nm]程度エ
ッチングされ、薄くなった領域が形成される。(図8(C))
【0080】
W膜やTa膜のCF4とCl2の混合ガスによるエッチング反応は、生成されるラジカル
またはイオン種と反応生成物の蒸気圧から推測することが出来る。WとTaのフッ化物と
塩化物の蒸気圧を比較すると、Wのフッ化物であるWF6が極端に高く、その他のWCl5
、TaF5、TaCl5は同程度である。従って、CF4とCl2の混合ガスではW膜および
Ta膜共にエッチングされる。しかし、この混合ガスに適量のO2を添加するとCF4とO
2が反応してCOとFになり、FラジカルまたはFイオンが多量に発生する。その結果、
フッ化物の蒸気圧が高いW膜のエッチング速度が増大する。一方、TaはFが増大しても
相対的にエッチング速度の増加は少ない。また、TaはWに比較して酸化されやすいので
、O2を添加することでTaの表面が酸化される。Taの酸化物はフッ素や塩素と反応し
ないためさらにTa膜のエッチング速度は低下する。従って、W膜とTa膜とのエッチン
グ速度に差を作ることが可能となりW膜のエッチング速度をTa膜よりも大きくすること
が可能となる。
【0081】
そして、図9(A)に示すように第2のドーピング処理を行う。この場合、第1のドー
ピング処理よりもドーズ量を下げて高い加速電圧の条件としてn型を付与する不純物元素
をドーピングする。例えば、加速電圧を70〜120[keV]とし、1×1013[atoms/cm2]
のドーズ量で行い、図8(B)で島状半導体層に形成された第1の不純物領域の内側に新
たな不純物領域を形成する。ドーピングは、第2の形状の導電層5026〜5030を不
純物元素に対するマスクとして用い、第1の導電層5026a〜5030aの下側の領域
にも不純物元素が添加されるようにドーピングする。こうして、第1の導電層5026a
〜5030aと重なる第3の不純物領域5032〜5041と、第1の不純物領域と第3
の不純物領域との間の第2の不純物領域5042〜5051とを形成する。n型を付与す
る不純物元素は、第2の不純物領域で1×1017〜1×1019[atoms/cm3]の濃度となる
ようにし、第3の不純物領域で1×1016〜1×1018[atoms/cm3]の濃度となるように
する。
【0082】
そして、図9(B)に示すように、pチャネル型TFTを形成する島状半導体層500
4、5005、5006に一導電型とは逆の導電型の第4の不純物領域5052〜507
4を形成する。第2の導電層5012〜5015を不純物元素に対するマスクとして用い
、自己整合的に不純物領域を形成する。このとき、nチャネル型TFTを形成する島状半
導体層5003、配線を形成する第2の導電層5031はレジストマスク5200で全面
を被覆しておく。不純物領域5052〜5054、5055〜5057、5058〜50
60、5061〜5065、5066〜5068、5069〜5071、5072〜50
74にはそれぞれ異なる濃度でリンが添加されているが、ジボラン(B26)を用いたイ
オンドープ法で形成し、そのいずれの領域においても不純物濃度を2×1020〜2×10
21[atoms/cm3]となるようにする。
【0083】
以上までの工程でそれぞれの島状半導体層に不純物領域が形成される。島状半導体層と
重なる第2の形状の導電層5026〜5030がゲート電極として機能する。また、50
31は信号線として機能する。
【0084】
こうして導電型の制御を目的として図9(C)に示すように、それぞれの島状半導体層
に添加された不純物元素を活性化する工程を行う。この工程はファーネスアニール炉を用
いる熱アニール法で行う。その他に、レーザーアニール法、またはラピッドサーマルアニ
ール法(RTA法)を適用することが出来る。熱アニール法では酸素濃度が1[ppm]以下
、好ましくは0.1[ppm]以下の窒素雰囲気中で400〜700[℃]、代表的には500
〜600[℃]で行うものであり、本実施例では500[℃]で4時間の熱処理を行う。ただ
し、5026〜5031に用いた配線材料が熱に弱い場合には、配線等を保護するため層
間絶縁膜(シリコンを主成分とする)を形成した後で活性化を行うことが好ましい。
【0085】
さらに、3〜100[%]の水素を含む雰囲気中で、300〜450[℃]で1〜12時間
の熱処理を行い、島状半導体層を水素化する工程を行う。この工程は熱的に励起された水
素により半導体層のダングリングボンドを終端する工程である。水素化の他の手段として
、プラズマ水素化(プラズマにより励起された水素を用いる)を行っても良い。
【0086】
次に、図10(A)に示すように、第1層間絶縁膜5075を形成する。第1層間絶縁
膜5075としては、珪素を含む絶縁膜を単層で用いるか、2種類以上の珪素を含む絶縁
膜を組み合わせた積層膜を用いれば良い。また、膜厚は400[nm]〜1.5[μm]とすれ
ば良い。本実施例では、200[nm]厚の窒化酸化珪素膜を形成した。活性化手段としては
、ファーネスアニール法、レーザーアニール法、またはランプアニール法で行うことが出
来る。本実施例では電熱炉において窒素雰囲気中、550[℃]、4時間の熱処理を行う。
【0087】
このとき、第1層間絶縁膜はゲート電極の酸化を防止する役目を果たしている。
【0088】
さらに、3〜100%の水素を含む雰囲気中で、300〜450℃で1〜12時間の熱
処理を行い水素化処理を行う。この工程は熱的に励起された水素により半導体膜の不対結
合手を水素終端する工程である。水素化の他の手段として、プラズマ水素化(プラズマに
より励起された水素を用いる)を行っても良い。
【0089】
なお、第1層間絶縁膜5075に積層膜を用いる場合、一つの層を形成する工程と他の
層を形成する工程との間に水素化処理を行っても良い。
【0090】
次に、活性化工程が終了したら図10(B)に示すように、第2層間絶縁膜5076を
形成した後、第1層間絶縁膜5075、第2層間絶縁膜5076、およびゲート絶縁膜5
007に対してコンタクトホールを形成し、各配線(接続電極を含む)5077〜508
2、ゲート信号線5084をパターニング形成した後、接続電極5082に接する画素電
極5083をパターニング形成する。
【0091】
第2層間絶縁膜5076としては、有機樹脂を材料とする膜を用い、その有機樹脂とし
てはポリイミド、ポリアミド、アクリル、BCB(ベンゾシクロブテン)等を使用するこ
とが出来る。特に、第2層間絶縁膜5076は平坦化の意味合いが強いので、平坦性に優
れたアクリルが好ましい。本実施例ではTFTによって形成される段差を十分に平坦化し
うる膜厚でアクリル膜を形成する。好ましくは1〜5[μm](さらに好ましくは2〜4[μ
m])とすれば良い。
【0092】
コンタクトホールの形成は、ドライエッチングまたはウエットエッチングを用い、n型
の不純物領域5018〜5026またはp型の不純物領域5054〜5065に達するコ
ンタクトホール、配線5032に達するコンタクトホール、電流供給線5033に達する
コンタクトホール、およびゲート電極5029、5030に達するコンタクトホール(図
示せず)をそれぞれ形成する。
【0093】
また、配線(接続電極、信号線を含む)5077〜5082、5084として、Ti膜
を100[nm]、Tiを含むアルミニウム膜を300[nm]、Ti膜150[nm]をスパッタ法
で連続形成した3層構造の積層膜を所望の形状にパターニングしたものを用いる。勿論、
他の導電膜を用いても良い。
【0094】
ところで、本発明の画素構成を有する回路を構成する際には、前記3層構造の積層膜の
一部を利用してゲート信号線を形成し、そのゲート信号線を電流供給線と共用するので、
低抵抗の材料(例えば、アルミニウム、銅などを主たる成分とする材料)を用いることが
望ましい。
【0095】
また、本実施例では、画素電極5083としてITO膜を110[nm]の厚さに形成し、
パターニングを行った。画素電極5083を接続電極5082と接して重なるように配置
することでコンタクトを取っている。また、酸化インジウムに2〜20[%]の酸化亜鉛(
ZnO)を混合した透明導電膜を用いても良い。この画素電極5083がEL素子の陽極
となる。
【0096】
次に、図10(B)に示すように、珪素を含む絶縁膜(本実施例では酸化珪素膜)を5
00[nm]の厚さに形成し、画素電極5083に対応する位置に開口部を形成して第3層間
絶縁膜5085を形成する。開口部を形成する際、ウエットエッチング法を用いることで
容易にテーパー形状の側壁とすることが出来る。開口部の側壁が十分になだらかでないと
段差に起因するEL層の劣化が顕著な問題となってしまう。
【0097】
次に、EL層5086および陰極(MgAg電極)5087を、真空蒸着法を用いて大
気解放しないで連続形成する。なお、EL層5086の膜厚は80〜200[nm](典型的
には100〜120[nm])、陰極5087の厚さは180〜300[nm](典型的には20
0〜250[nm])とすれば良い。
【0098】
この工程では、赤色に対応する画素、緑色に対応する画素および青色に対応する画素に
対して順次、EL層および陰極を形成する。但し、EL層は溶液に対する耐性に乏しいた
めフォトリソグラフィ技術を用いずに各色個別に形成しなくてはならない。そこでメタル
マスクを用いて所望の画素以外を隠し、必要箇所だけ選択的にEL層および陰極を形成す
るのが好ましい。
【0099】
即ち、まず赤色に対応する画素以外を全て隠すマスクをセットし、そのマスクを用いて
赤色発光のEL層および陰極を選択的に形成する。次いで、緑色に対応する画素以外を全
て隠すマスクをセットし、そのマスクを用いて緑色発光のEL層および陰極を選択的に形
成する。次いで、同様に青色に対応する画素以外を全て隠すマスクをセットし、そのマス
クを用いて青色発光のEL層および陰極を選択的に形成する。なお、ここでは全て異なる
マスクを用いるように記載しているが、同じマスクを使いまわしても構わない。また、全
画素にEL層および陰極を形成するまで真空を破らずに処理することが好ましい。
【0100】
ここではRGBに対応した三種類のEL素子を形成する方式を用いたが、白色発光のE
L素子とカラーフィルタを組み合わせた方式、青色または青緑発光のEL素子と蛍光体(
蛍光性の色変換層:CCM)とを組み合わせた方式、陰極(対向電極)に透明電極を利用
してRGBに対応したEL素子を重ねる方式などを用いても良い。
【0101】
なお、EL層5086としては公知の材料を用いることが出来る。公知の材料としては
、駆動電圧を考慮すると有機材料を用いるのが好ましい。例えば正孔注入層、正孔輸送層
、発光層および電子注入層でなる4層構造をEL層とすれば良い。また、本実施例ではE
L素子の陰極としてMgAg電極を用いた例を示すが、公知の他の材料であっても良い。
【0102】
次いで、EL層および陰極を覆って保護電極5088を形成する。この保護電極508
8としてはアルミニウムを主成分とする導電膜を用いれば良い。保護電極5088はEL
層および陰極を形成した時とは異なるマスクを用いて真空蒸着法で形成すれば良い。また
、EL層および陰極を形成した後で大気解放しないで連続的に形成することが好ましい。
【0103】
最後に、窒化珪素膜でなるパッシベーション膜5089を300[nm]の厚さに形成する
。実際には保護電極5088がEL層を水分等から保護する役割を果たすが、さらにパッ
シベーション膜5089を形成しておくことで、EL素子の信頼性をさらに高めることが
出来る。
【0104】
こうして図10(B)に示すような構造のアクティブマトリクス型電子装置が完成する
。図10(B)中、A−A'、B−B'で示される部分は、図1(A)におけるA−A'断
面およびB−B'断面に対応している。
【0105】
なお、本実施例におけるアクティブマトリクス型電子装置の作成工程においては、回路
の構成および工程の関係上、ゲート電極を形成している材料であるTa、Wによってソー
ス信号線を形成し、ソース、ドレイン電極を形成している配線材料であるAlによってゲ
ート信号線を形成しているが、異なる材料を用いても良い。
【0106】
ところで、本実施例のアクティブマトリクス型電子装置は、画素部だけでなく駆動回路
部にも最適な構造のTFTを配置することにより、非常に高い信頼性を示し、動作特性も
向上しうる。また結晶化工程においてNi等の金属触媒を添加し、結晶性を高めることも
可能である。それによって、ソース信号線駆動回路の駆動周波数を10[MHz]以上にする
ことが可能である。
【0107】
まず、極力動作速度を落とさないようにホットキャリア注入を低減させる構造を有する
TFTを、駆動回路部を形成するCMOS回路のnチャネル型TFTとして用いる。なお
、ここでいう駆動回路としては、シフトレジスタ、バッファ、レベルシフタ、線順次駆動
におけるラッチ、点順次駆動におけるトランスミッションゲートなどが含まれる。
【0108】
本実施例の場合、nチャネル型TFTの活性層は、ソース領域、ドレイン領域、GOL
D領域、LDD領域およびチャネル形成領域を含み、GOLD領域はゲート絶縁膜を介し
てゲート電極と重なっている。
【0109】
また、CMOS回路のpチャネル型TFTは、ホットキャリア注入による劣化が殆ど気
にならないので、特にLDD領域を設けなくても良い。勿論、nチャネル型TFTと同様
にLDD領域を設け、ホットキャリア対策を講じることも可能である。
【0110】
その他、駆動回路において、チャネル形成領域を双方向に電流が流れるようなCMOS
回路、即ち、ソース領域とドレイン領域の役割が入れ替わるようなCMOS回路が用いら
れる場合、CMOS回路を形成するnチャネル型TFTは、チャネル形成領域の両サイド
にチャネル形成領域を挟む形でLDD領域を形成することが好ましい。このような例とし
ては、点順次駆動に用いられるトランスミッションゲートなどが挙げられる。また駆動回
路において、オフ電流値を極力低く抑える必要のあるCMOS回路が用いられる場合、C
MOS回路を形成するnチャネル型TFTは、LDD領域の一部がゲート絶縁膜を介して
ゲート電極と重なる構成を有していることが好ましい。このような例としては、やはり、
点順次駆動に用いられるトランスミッションゲートなどが挙げられる。
【0111】
なお、実際には図10(B)の状態まで完成したら、さらに外気に曝されないように、
気密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(ラミネートフィルム、紫外線硬化樹脂フィ
ルム等)や透光性のシーリング材でパッケージング(封入)することが好ましい。その際
、シーリング材の内部を不活性雰囲気にしたり、内部に吸湿性材料(例えば酸化バリウム
)を配置したりするとEL素子の信頼性が向上する。
【0112】
また、パッケージング等の処理により気密性を高めたら、基板上に形成された素子又は
回路から引き回された端子と外部信号端子とを接続するためのコネクタ(フレキシブルプ
リントサーキット:FPC)を取り付けて製品として完成する。このような出荷出来る状
態にまでした状態を本明細書中ではELディスプレイ(またはELモジュール)という。
【実施例3】
【0113】
本実施例では、本発明の電子装置を作製した例について説明する。
【0114】
図11(A)は本発明を用いた電子装置の上面図であり、図11(A)をX−X'面で
切断した断面図を図11(B)に示す。図11(A)において、4001は基板、400
2は画素部、4003はソース信号線側駆動回路、4004はゲート信号線側駆動回路で
あり、それぞれの駆動回路は配線4005、4006、4007を経てFPC4008に
至り、外部機器へと接続される。
【0115】
このとき、少なくとも画素部、好ましくは駆動回路および画素部を囲むようにしてカバ
ー材4009、密封材4010、シーリング材(ハウジング材ともいう)4011(図1
1(B)に図示)が設けられている。
【0116】
また、図11(B)は本実施例の電子装置の断面構造であり、基板4001、下地膜4
012の上に駆動回路用TFT(但し、ここではnチャネル型TFTとpチャネル型TF
Tを組み合わせたCMOS回路を図示している)4013および画素部用TFT4014
(但し、ここではEL素子への電流を制御するEL駆動用TFTだけ図示している)が形
成されている。これらのTFTは公知の構造(トップゲート構造あるいはボトムゲート構
造)を用いれば良い。
【0117】
公知の作製方法を用いて駆動回路用TFT4013、画素部用TFT4014が完成し
たら、樹脂材料でなる層間絶縁膜(平坦化膜)4015の上に画素部用TFT4014の
ドレインと電気的に接続する透明導電膜でなる画素電極4016を形成する。透明導電膜
としては、酸化インジウムと酸化スズとの化合物(ITOと呼ばれる)または酸化インジ
ウムと酸化亜鉛との化合物を用いることができる。そして、画素電極4016を形成した
ら、絶縁膜4017を形成し、画素電極4016上に開口部を形成する。
【0118】
次に、EL層4018を形成する。EL層4018は公知のEL材料(正孔注入層、正
孔輸送層、発光層、電子輸送層または電子注入層)を自由に組み合わせて積層構造または
単層構造とすれば良い。どのような構造とするかは公知の技術を用いれば良い。また、E
L材料には低分子系材料と高分子系(ポリマー系)材料がある。低分子系材料を用いる場
合は蒸着法を用いるが、高分子系材料を用いる場合には、スピンコート法、印刷法または
インクジェット法等の簡易な方法を用いることが可能である。
【0119】
本実施例では、シャドウマスクを用いて蒸着法によりEL層を形成する。シャドウマス
クを用いて画素毎に波長の異なる発光が可能な発光層(赤色発光層、緑色発光層および青
色発光層)を形成することで、カラー表示が可能となる。その他にも、色変換層(CCM
)とカラーフィルタを組み合わせた方式、白色発光層とカラーフィルタを組み合わせた方
式があるがいずれの方法を用いても良い。勿論、単色発光の電子装置とすることもできる

【0120】
EL層4018を形成したら、その上に陰極4019を形成する。陰極4019とEL
層4018の界面に存在する水分や酸素は極力排除しておくことが望ましい。従って、真
空中でEL層4018と陰極4019を連続成膜するか、EL層4018を不活性雰囲気
で形成し、大気解放しないで陰極4019を形成するといった工夫が必要である。本実施
例ではマルチチャンバー方式(クラスターツール方式)の成膜装置を用いることで上述の
ような成膜を可能とする。
【0121】
なお、本実施例では陰極4019として、LiF(フッ化リチウム)膜とAl(アルミ
ニウム)膜の積層構造を用いる。具体的にはEL層4018上に蒸着法で1[nm]厚のL
iF(フッ化リチウム)膜を形成し、その上に300[nm]厚のアルミニウム膜を形成す
る。勿論、公知の陰極材料であるMgAg電極を用いても良い。そして陰極4019は4
020で示される領域において配線4007に接続される。配線4007は陰極4019
に所定の電圧を与えるための電源線であり、導電性ペースト材料4021を介してFPC
4008に接続される。
【0122】
4020に示された領域において陰極4019と配線4007とを電気的に接続するた
めに、層間絶縁膜4015および絶縁膜4017にコンタクトホールを形成する必要があ
る。これらは層間絶縁膜4015のエッチング時(画素電極用コンタクトホールの形成時
)や絶縁膜4017のエッチング時(EL層形成前の開口部の形成時)に形成しておけば
良い。また、絶縁膜4017をエッチングする際に、層間絶縁膜4015まで一括でエッ
チングしても良い。この場合、層間絶縁膜4015と絶縁膜4017が同じ樹脂材料であ
れば、コンタクトホールの形状を良好なものとすることができる。
【0123】
このようにして形成されたEL素子の表面を覆って、パッシベーション膜4022、充
填材4023、カバー材4009が形成される。
【0124】
さらに、EL素子部を囲むようにして、カバー材4009と基板4001の内側にシーリ
ング材4011が設けられ、さらにシーリング材4011の外側には密封材(第2のシー
リング材)4010が形成される。
【0125】
このとき、この充填材4023は、カバー材4009を接着するための接着剤としても
機能する。充填材4023としては、PVC(ポリビニルクロライド)
、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エチレン
ビニルアセテート)を用いることができる。この充填材4023の内部に乾燥剤を設けて
おくと、吸湿効果を保持できるので好ましい。また充填材4023の内部に、酸素を捕捉
する効果を有する酸化防止剤等を配置することで、EL層の劣化を抑えても良い。
【0126】
また、充填材4023の中にスペーサーを含有させてもよい。このとき、スペーサーを
BaOなどからなる粒状物質とし、スペーサー自体に吸湿性をもたせてもよい。
【0127】
スペーサーを設けた場合、パッシベーション膜4022はスペーサー圧を緩和すること
ができる。また、パッシベーション膜とは別に、スペーサー圧を緩和する樹脂膜などを設
けてもよい。
【0128】
また、カバー材4009としては、ガラス板、アルミニウム板、ステンレス板、FRP
(Fiberglass-Reinforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)フィルム、
マイラーフィルム、ポリエステルフィルムまたはアクリルフィルムを用いることができる
。なお、充填材4023としてPVBやEVAを用いる場合、数十[μm]のアルミニウ
ムホイルをPVFフィルムやマイラーフィルムで挟んだ構造のシートを用いることが好ま
しい。
【0129】
但し、EL素子からの発光方向(光の放射方向)によっては、カバー材4009が透光
性を有する必要がある。
【0130】
また、配線4007はシーリング材4011および密封材4010と基板4001との
隙間を通ってFPC4008に電気的に接続される。なお、ここでは配線4007につい
て説明したが、他の配線4005、4006も同様にしてシーリング材4011および密
封材4010の下を通ってFPC4008に電気的に接続される。
【0131】
なお本実施例では、充填材4023を設けてからカバー材4009を接着し、充填材4
023の側面(露呈面)を覆うようにシーリング材4011を取り付けているが、カバー
材4009およびシーリング材4011を取り付けてから、充填材4023を設けても良
い。この場合、基板4001、カバー材4009およびシーリング材4011で形成され
ている空隙に通じる充填材の注入口を設ける。そして前記空隙を真空状態(10-2[Torr
]以下)にし、充填材の入っている水槽に注入口を浸してから、空隙の外の気圧を空隙の
中の気圧よりも高くして、充填材を空隙の中に充填する。
【実施例4】
【0132】
本実施例では、本発明を用いて実施例3とは異なる形態の電子装置を作製した例につい
て、図12(A)、(B)を用いて説明する。図11(A)、(B)
と同じ番号のものは同じ部分を指しているので説明は省略する。
【0133】
図12(A)は本実施例の電子装置の上面図であり、図12(A)をY−Y'面で切断
した断面図を図12(B)に示す。
【0134】
実施例3に従って、EL素子の表面を覆ってパッシベーション膜4022までを形成す
る。
【0135】
さらに、EL素子を覆うようにして充填材4023を設ける。この充填材4023は、
カバー材4009を接着するための接着剤としても機能する。充填材4023としては、
PVC(ポリビニルクロライド)、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、PVB(ポリビニルブ
チラル)またはEVA(エチレンビニルアセテート)
を用いることができる。この充填材4023の内部に乾燥剤を設けておくと、吸湿効果を
保持できるので好ましい。また充填材4023の内部に、酸素を捕捉する効果を有する酸
化防止剤等を配置することで、EL層の劣化を抑えても良い。
【0136】
また、充填材4023の中にスペーサーを含有させてもよい。このとき、スペーサーを
BaOなどからなる粒状物質とし、スペーサー自体に吸湿性をもたせてもよい。
【0137】
スペーサーを設けた場合、パッシベーション膜4022はスペーサー圧を緩和すること
ができる。また、パッシベーション膜とは別に、スペーサー圧を緩和する樹脂膜などを設
けてもよい。
【0138】
また、カバー材4009としては、ガラス板、アルミニウム板、ステンレス板、FRP
(Fiberglass-Reinforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)フィルム、
マイラーフィルム、ポリエステルフィルムまたはアクリルフィルムを用いることができる
。なお、充填材4023としてPVBやEVAを用いる場合、数十[μm]のアルミニウ
ムホイルをPVFフィルムやマイラーフィルムで挟んだ構造のシートを用いることが好ま
しい。
【0139】
但し、EL素子からの発光方向(光の放射方向)によっては、カバー材6000が透光
性を有する必要がある。
【0140】
次に、充填材4023を用いてカバー材4009を接着した後、充填材4023の側面
(露呈面)を覆うようにフレーム材4024を取り付ける。フレーム材4024はシーリ
ング材(接着剤として機能する)4025によって接着される。このとき、シーリング材
4025としては、光硬化性樹脂を用いるのが好ましいが、EL層の耐熱性が許せば熱硬
化性樹脂を用いても良い。なお、シーリング材4025はできるだけ水分や酸素を透過し
ない材料であることが望ましい。また、シーリング材4025の内部に乾燥剤を添加して
あっても良い。
【0141】
また、配線4007はシーリング材4025と基板4001との隙間を通ってFPC4
008に電気的に接続される。なお、ここでは配線4007について説明したが、他の配
線4005、4006も同様にしてシーリング材4025の下を通ってFPC4008に
電気的に接続される。
【0142】
なお本実施例では、充填材4023を設けてからカバー材4009を接着し、充填材4
023の側面(露呈面)を覆うようにフレーム材4024を取り付けているが、カバー材
4009、シーリング材4025およびフレーム材4024を取り付けてから、充填材4
023を設けても良い。この場合、基板4001、カバー材4009、シーリング材40
25およびフレーム材4024で形成されている空隙に通じる充填材の注入口を設ける。
そして前記空隙を真空状態(10-2[Torr]以下)にし、充填材の入っている水槽に注入
口を浸してから、空隙の外の気圧を空隙の中の気圧よりも高くして、充填材を空隙の中に
充填する。
【実施例5】
【0143】
ここで本発明の電子装置における画素部のさらに詳細な断面構造を図13に示す。
【0144】
図13において、基板4501上に設けられたスイッチング用TFT4502は公知の
方法で形成されたnチャネル型TFTを用いる。本実施例ではダブルゲート構造としてい
るが、構造および作製プロセスに大きな違いはないので説明は省略する。但し、ダブルゲ
ート構造とすることで実質的に2つのTFTが直列された構造となり、オフ電流値を低減
することができるという利点がある。なお、本実施例ではダブルゲート構造としているが
、シングルゲート構造でも構わないし、トリプルゲート構造やそれ以上のゲート本数を持
つマルチゲート構造でも構わない。また、公知の方法で形成されたpチャネル型TFTを
用いて形成しても構わない。
【0145】
また、EL駆動用TFT4503は公知の方法で形成されたnチャネル型TFTを用い
る。スイッチング用TFT4502のドレイン配線4504は配線(図示せず)によって
EL駆動用TFT4503のゲート電極4506に電気的に接続されている。
【0146】
EL駆動用TFT4503はEL素子4510を流れる電流量を制御するための素子で
あるため、多くの電流が流れ、熱による劣化やホットキャリアによる劣化の危険性が高い
素子でもある。そのため、EL駆動用TFT4503のドレイン側、あるいはソース側と
ドレイン側の両方に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極に重なるようにLDD領域を設け
る構造は極めて有効である。図13においては、例としてEL駆動用TFT4503のソ
ース側とドレイン側の両方にLDD領域を形成した例を示している。
【0147】
また、本実施例ではEL駆動用TFT4503をシングルゲート構造で図示しているが
、複数のTFTを直列に接続したマルチゲート構造としても良い。さらに、複数のTFT
を並列につなげて実質的にチャネル形成領域を複数に分割し、熱の放射を高い効率で行え
るようにした構造としても良い。このような構造は熱による劣化対策として有効である。
【0148】
また、EL駆動用TFT4503のゲート電極4506を含む配線(図示せず)は、E
L駆動用TFT4503のドレイン配線4512と絶縁膜を介して一部で重なり、その領
域では保持容量が形成される。この保持容量はEL駆動用TFT4503のゲート電極4
506にかかる電圧を保持する機能を有する。
【0149】
スイッチング用TFT4502およびEL駆動用TFT4503の上には第1の層間絶
縁膜4514が設けられ、その上に樹脂絶縁膜でなる第2の層間絶縁膜4515が形成さ
れる。
【0150】
4517は反射性の高い導電膜でなる画素電極(EL素子の陰極)であり、EL駆動用
TFT4503のドレイン領域に一部が覆い被さるように形成され、電気的に接続される
。画素電極4517としてはアルミニウム合金膜、銅合金膜または銀合金膜など低抵抗な
導電膜またはそれらの積層膜を用いることが好ましい。勿論、他の導電膜との積層構造と
しても良い。
【0151】
次に有機樹脂膜4516を画素電極4517上に形成し、画素電極4517に面する部
分をパターニングした後、EL層4519が形成される。なおここでは図示していないが
、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色に対応した発光層を作り分けても良い。発光層と
する有機EL材料としてはπ共役ポリマー系材料を用いる。代表的なポリマー系材料とし
ては、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)系、ポリビニルカルバゾール(PVK)系
、ポリフルオレン系などが挙げられる。
【0152】
なお、PPV系有機EL材料としては様々な型のものがあるが、例えば「H.Shenk, H.B
ecker, O.Gelsen, E.Kluge, W.Kreuder and H.Spreitzer :“Polymers for Light Emitti
ng Diodes”,Euro Display,Proceedings,1999,p.33-37」や特開平10−92576号公
報に記載されたような材料を用いれば良い。
【0153】
具体的な発光層としては、赤色に発光する発光層にはシアノポリフェニレンビニレン、
緑色に発光する発光層にはポリフェニレンビニレン、青色に発光する発光層にはポリフェ
ニレンビニレン若しくはポリアルキルフェニレンを用いれば良い。膜厚は30〜150[
nm](好ましくは40〜100[nm])とすれば良い。
【0154】
但し、以上の例は発光層として用いることのできる有機EL材料の一例であって、これ
に限定する必要はまったくない。発光層、電荷輸送層または電荷注入層を自由に組み合わ
せてEL層(発光およびそのためのキャリアの移動を行わせるための層)を形成すれば良
い。
【0155】
例えば、本実施例ではポリマー系材料を発光層として用いる例を示したが、低分子系有
機EL材料を用いても良い。また、電荷輸送層や電荷注入層として炭化珪素等の無機材料
を用いることも可能である。これらの有機EL材料や無機材料は公知の材料を用いること
ができる。
【0156】
陽極4523まで形成された時点でEL素子4510が完成する。なお、ここでいうE
L素子4510とは、画素電極(陰極)4517と、発光層4519と、正孔注入層45
22および陽極4523で形成された保持容量とを指す。
【0157】
ところで、本実施例では、陽極4523の上にさらにパッシベーション膜4524を設
けている。パッシベーション膜4524としては窒化珪素膜または窒化酸化珪素膜が好ま
しい。この目的は、外部とEL素子とを遮断することであり、有機EL材料の酸化による
劣化を防ぐ意味と、有機EL材料からの脱ガスを抑える意味との両方を併せ持つ。これに
より電子装置の信頼性が高められる。
【0158】
以上のように本実施例において説明してきた電子装置は図13のような構造の画素から
なる画素部を有し、オフ電流値の十分に低いスイッチング用TFTと、ホットキャリア注
入に強いEL駆動用TFTとを有する。従って、高い信頼性を有し、且つ、良好な画像表
示が可能な電子装置が得られる。
【0159】
本実施例において説明した構造を有するEL素子の場合、発光層4519で発生した光
は、矢印で示されるようにTFTが形成された基板の逆方向に向かって放射される。
【実施例6】
【0160】
本実施例では、実施例5に示した画素部において、EL素子4510の構造を反転させ
た構造について説明する。説明には図14を用いる。なお、図13の構造と異なる点はE
L素子の部分とTFT部分だけであるので、その他の説明は省略することとする。
【0161】
図12において、スイッチング用TFT4502は公知の方法で形成されたpチャネル
型TFTを用いる。EL駆動用TFT4503は公知の方法で形成されたpチャネル型T
FTを用いる。ここで、スイッチング用TFTとEL駆動用TFTとは、その極性の同じ
物を用いることが望ましい。
【0162】
本実施例では、画素電極(陽極)4525として透明導電膜を用いる。具体的には酸化
インジウムと酸化亜鉛との化合物でなる導電膜を用いる。勿論、酸化インジウムと酸化ス
ズとの化合物でなる導電膜を用いても良い。
【0163】
そして、樹脂膜でなる第3の層間絶縁膜4526が形成された後、発光層4528が形
成される。その上にはカリウムアセチルアセトネート(acacKと表記される)でなる
電子注入層4529、アルミニウム合金でなる陰極4530が形成される。
【0164】
その後、実施例5と同様に、有機EL材料の酸化を防止するためのパッシベーション膜
4532が形成され、こうしてEL素子4531が形成される。
【0165】
本実施例において説明した構造を有するEL素子の場合、発光層4528で発生した光
は、矢印で示されるようにTFTが形成された基板の方に向かって放射される。
【実施例7】
【0166】
本実施例においては、実施例1とは異なる駆動方法を本発明の電子装置と組み合わせた
場合について述べる。説明には図16、図17を参照する。
【0167】
ここでは、簡単のため、デジタル階調と時間階調とを組み合わせて、3ビットの階調(
3=8階調)を表現する場合について説明する。図16(A)、(B)にタイミングチ
ャートを示す。1フレーム期間を3つのサブフレーム期間SF1〜SF3に分割する。SF
1〜SF3の各長さは、2のべき乗で決定される。つまりこの場合、SF1:SF2:SF3
=4:2:1(22:21:20)となる。
【0168】
まず、最初のサブフレーム期間において、1段づつ画素に信号を入力していく。ただし
この場合、実際にゲート信号線が選択されるのは、前半のサブゲート信号線選択期間のみ
である。後半のサブゲート信号線選択期間には、ゲート信号線の選択は行われず、画素へ
の信号の入力も行われない。この動作を、1段目から最終段まで行う。ここで、アドレス
期間は、1段目のゲート信号線が選択されてから、最終段のゲート信号線が選択されるま
での期間である。よって、アドレス期間の長さは、どのサブフレーム期間においても同一
である。
【0169】
続いて、第2のサブフレーム期間に入る。ここでも同様に、1段づつ画素に信号が入力
される。この場合も、前半のサブゲート信号線選択期間においてのみ行われる。この動作
を、1段目から最終段まで行う。
【0170】
この時、全画素の陰極配線には、一定電圧が印加されている。よって、あるサブフレー
ム期間における画素のサステイン(点灯)期間は、あるサブフレーム期間において画素に
信号が書き込まれてから、次のサブフレーム期間において画素に信号が書き込まれ始める
までの期間となる。よって、各段におけるサステイン期間は、時期が異なり、長さが等し
い。
【0171】
続いて、第3のサブフレーム期間について説明する。まず、第1、第2のサブフレーム
期間と同様に、前半のサブゲート信号線選択期間においてゲート信号線を選択し、画素に
信号を書き込む場合について考えてみる。この場合、最終段付近の画素への信号の書き込
みが始まる時には、すでに次のフレーム期間での1段目の画素への書き込み期間、つまり
アドレス期間に入ってしまっている。その結果、第3のサブフレーム期間における最終段
付近の画素への書き込みと、次のフレーム期間の第1のサブフレーム期間における前半の
ある画素への書き込みが重複することになるわけである。同時に異なる2段分の信号を異
なる2段の画素に正常に書き込むことはできない。そこで、第3のサブフレーム期間にお
いては、後半のサブゲート信号線選択期間にゲート信号線を選択していくことにする。す
ると、第1のサブフレーム期間(このサブフレーム期間は次のフレーム期間に属している
)ではゲート信号線の選択は前半のサブゲート信号線選択期間において行われているから
、同時に異なる2段の画素に信号を書き込みが行われることを回避することができる。
【0172】
以上のように、本発明の駆動方法においては、あるサブフレーム期間におけるアドレス
期間が、別のサブフレーム期間におけるアドレス期間と重複する場合、複数のサブゲート
信号線選択期間を利用して書き込み期間の割り当てを行うことにより、実際にゲート信号
線の選択タイミングが重複しないようにすることができる。その結果、画素に正常に信号
を書き込むことができる。
【0173】
図17(A)は、本実施例の駆動方法を実施するための回路構成例を示している。画素
部は、本発明の電子装置の構造を有している。
【0174】
図17(A)において、中央に画素部が配置され、その上方には、ソース信号線を制御
するためのソース信号線側駆動回路を有している。また左右には、ゲート信号線を制御す
るための、1対のゲート信号線側駆動回路を有している。第1のゲート信号線側駆動回路
は、前半のサブゲート信号線選択期間にゲート信号線を選択し、第2のゲート信号線側駆
動回路は、後半のサブゲート信号線選択期間にゲート信号線を選択する。
【0175】
図17(B)は、図17(A)にて点線枠で示されている1画素部を拡大して示してい
る。1701は第1のスイッチング用TFT、1702は第2のスイッチング用TFT、
1703はEL駆動用TFT、1704はEL素子、1705は保持容量、1706はソ
ース信号線、1707は第1のゲート信号線側駆動回路によって選択されるi行目の第1
のゲート信号線、1708は第2のゲート信号線側駆動回路によって選択されるi行目の
第2のゲート信号線、1709は陰極電極、1710はEL素子の陽極、1711はEL
素子の陰極、1712はEL素子1704への電流供給線として機能する第3のゲート信
号線である。第3のゲート信号線1712に関しては、前述の通り、隣り合う1行前の行
のゲート信号線である必要はないが、ここでは簡単のため、隣り合う1行前の行のゲート
信号線に接続されている場合を例にとって説明する。
【0176】
前半のサブゲート信号線選択期間にゲート信号線を選択する際には、アドレス期間にお
いて、第1のゲート信号線側駆動回路からの選択パルスが第1のゲート信号線1707か
ら入力され、第1のスイッチング用TFT1701が導通状態となる。その後、サステイ
ン期間でEL駆動用TFT1703が導通状態となり、第3のゲート信号線1712から
供給される電流がEL素子1704に流れ、保持容量1705がEL駆動用TFT170
3のゲート電極に印加される電荷を保持している期間だけ発光を続ける。
【0177】
後半のサブゲート信号線選択期間にゲート信号線を選択する際には、アドレス期間におい
て、第2のゲート信号線側駆動回路からの選択パルスが第2のゲート信号線1708から
入力され、第2のスイッチング用TFT1702が導通状態となる。その後、サステイン
期間でEL駆動用TFT1703が導通状態となり、第3のゲート信号線1712から供
給される電流がEL素子1704に流れ、保持容量1705がEL駆動用TFT1703
のゲート電極に印加される電荷を保持している期間だけ発光を続ける。
【0178】
このように、本発明の画素は、様々な駆動方法と組み合わせて使用することが可能である

【0179】
また、図17(B)におけるTFT1701、1702、1703は、ここではシング
ルゲートTFTを示しているが、本実施例においてはダブルゲート型や、それ以上のゲー
ト電極を有するマルチゲート型を用いても良い。また、TFTの極性については、EL素
子の構造等に合わせて決定すれば良い。
【実施例8】
【0180】
本実施例においては、実施例1におけるクリア期間による非表示期間を、実施例1とは
異なる方法により設ける駆動方法を本発明の電子装置と組み合わせた場合について述べる
。説明には図18、図19を参照する。
【0181】
図18(A)は、本実施例の駆動方法を行う際の、ゲート信号線の電位を示すタイミン
グチャートである。各サブフレーム期間におけるゲート信号線選択のタイミングは、実施
例1と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0182】
実施例1では、サステイン期間Ts3と、次の行のアドレス期間Ta1の重複を回避する
ために、電流供給線として機能しているゲート信号線の電位を上げることで、非表示期間
(クリア期間)を設けていた。対して、本実施例においては、専用の信号線を用いてリセ
ット信号を入力することにより、実施例1と同様の非表示期間を設ける。ここでは、この
期間をリセット期間(Trn n:サブフレーム期間に付された番号)と呼ぶことにする

【0183】
図19(A)は、本実施例の駆動方法を実施するための回路構成例を示している。画素
部は、本発明の電子装置の構造を有している。
【0184】
図19(A)において、中央に画素部が配置され、その上方には、ソース信号線を制御
するためのソース信号線側駆動回路を有している。また左方には、ゲート信号線を制御す
るための、ゲート信号線側駆動回路を有している。図示していないが、ゲート信号線側駆
動回路は、画素アレイの左右両側に配置するとより効果的に駆動できる。本実施例におけ
るゲート信号線側駆動回路は、リセット信号を出力する回路(図示せず)を有している。
【0185】
図19(B)は、図19(A)にて点線枠で示されている1画素部を拡大して示してい
る。1901はスイッチング用TFT、1902はEL駆動用TFT、1903はEL素
子、1904は保持容量、1905はリセット用TFT、1906はソース信号線、19
07はi行目の第1のゲート信号線、1908は陰極電極、1909はEL素子の陽極、
1910はEL素子の陰極、1911はEL素子1903への電流供給線として機能する
第2のゲート信号線、1912はリセット信号を入力するためのリセット信号線である。
第2のゲート信号線1911に関しては、前述の通り、隣り合う1行前の行のゲート信号
線である必要はないが、ここでは簡単のため、隣り合う1行前の行のゲート信号線に接続
されている場合を例にとって説明する。
【0186】
ゲート信号線側駆動回路からの選択パルスが第1のゲート信号線1907から入力され
、スイッチング用TFT1901が導通状態となる。その後、サステイン期間でEL駆動
用TFT1902が導通状態となり、第2のゲート信号線1911から供給される電流が
EL素子1903に流れ、保持容量1904がEL駆動用TFT1902のゲート電極に
印加される電荷を保持している期間だけ発光を続ける。
【0187】
ここで、図18(B)においてサステイン期間Ts3とアドレス期間Ta1との重複を回
避するため、リセット期間で、リセット信号線1912よりリセット信号が入力され、リ
セット用TFT1905が導通状態となり、保持容量1904で保持されていた電荷を逃
がす。よってこの期間はEL素子への電流供給は停止し、非点灯状態となる。
【0188】
このような方法で非点灯期間を設けることにより、実施例1と同様、アドレス期間とサ
ステイン期間の重複を回避し、正常に画像の表示が可能となる。
【0189】
本実施例で示したような回路を用いる際にも、本発明の電子装置は、容易に応用が可能
である。
【0190】
また、図19(B)におけるTFT1901、1902、1905は、ここではシング
ルゲートTFTを示しているが、本実施例においてはダブルゲート型や、それ以上のゲー
ト電極を有するマルチゲート型を用いても良い。また、TFTの極性については、EL素
子の構造等に合わせて決定すれば良い。
【実施例9】
【0191】
本実施例においては、実施例8におけるリセット信号による非表示期間を、実施例8と
は異なる方法により設ける駆動方法を本発明の電子装置と組み合わせた場合について述べ
る。説明には図20を参照する。
【0192】
図20(A)は、本実施例の駆動方法を実施するための回路構成例を示している。画素
部は、本発明の電子装置の構造を有している。
【0193】
図20(A)において、中央に画素部が配置され、その上方には、ソース信号線を制御
するためのソース信号線側駆動回路を有している。また左方には、ゲート信号線を制御す
るための、ゲート信号線側駆動回路を有している。図示していないが、ゲート信号線側駆
動回路は、画素アレイの左右両側に配置するとより効果的に駆動できる。本実施例におけ
るゲート信号線側駆動回路は、リセット信号を出力する回路(図示せず)を有している。
【0194】
図20(B)は、図20(A)にて点線枠で示されている1画素部を拡大して示してい
る。2001はスイッチング用TFT、2002はEL駆動用TFT、2003はEL素
子、2004は保持容量、2005はリセット用TFT、2006はソース信号線、20
07はi行目の第1のゲート信号線、2008は陰極電極、2009はEL素子の陽極、
2010はEL素子の陰極、2011はEL素子2003への電流供給線として機能する
第2のゲート信号線、2012はリセット信号を入力するためのリセット信号線である。
第2のゲート信号線2011に関しては、前述の通り、隣り合う1行前の行のゲート信号
線である必要はないが、ここでは簡単のため、隣り合う1行前の行のゲート信号線に接続
されている場合を例にとって説明する。
【0195】
本実施例にて示す回路の駆動方法は、実施例8のものと同様であるので、図18(A)
(B)を参照すればよい。ここでは説明を省略する。実施例8においては、リセット信号
の入力により、リセット用TFTを導通状態にして、保持容量の電荷を逃がす方法により
、リセット期間を設けていた。これに対して本実施例においては、リセット用TFT20
05を、電流供給線である第2のゲート信号線2011と、EL駆動用TFT2002と
の間に配置する。通常のサステイン期間では、リセット用TFTは導通状態にあり、第2
のゲート信号線2011から供給される電流はEL駆動用TFT2002を通ってEL素
子2003へと流れる。リセット期間において、リセット信号線2012にリセット信号
が入力されると、リセット用TFT2005は非導通状態となり、EL素子への電流供給
を遮断する。こうすることにより非表示期間を設ける。
【0196】
このような方法で非点灯期間を設けることにより、実施例1および実施例8と同様、ア
ドレス期間とサステイン期間の重複を回避し、正常に画像の表示が可能となる。
【0197】
本実施例で示したような回路を用いる際にも、本発明の電子装置は、容易に応用が可能
である。
【0198】
また、図20(B)におけるTFT2001、2002、2005は、ここではシング
ルゲートTFTを示しているが、本実施例においてはダブルゲート型や、それ以上のゲー
ト電極を有するマルチゲート型を用いても良い。また、TFTの極性については、EL素
子の構造等に合わせて決定すれば良い。
【実施例10】
【0199】
本実施例においては、実施例1、実施例7〜実施例9とは異なる駆動方法を本発明の画
素と組み合わせた場合について述べる。回路構成に関しては、実施例1で示したものと同
様のもので良い。以下の説明には図5、図21を参照する。
【0200】
図21(A)は、点灯時間の差を利用して階調を表現する時分割階調方法による駆動を
示すタイミングチャートである。本図においては、一例として、フレーム周波数60[Hz]
、VGA、4ビット階調の例を示している。
【0201】
1フレーム期間を4個のサブフレーム期間に分割する。各サブフレーム期間は、アドレ
ス期間とサステイン期間とに完全に分離されている。また、サステイン期間Ts1〜Ts4
は、Ts1:Ts2:Ts3:Ts4=23:22:21:20=8:4:2:1となっており、
4ビット=16階調を表示出来る。アドレス期間Ta1〜Ta4は、それぞれが1画面分
の画素への書き込みを行う期間であるから、全て長さが等しい。
【0202】
1つのサブフレーム期間に行われるデータの書き込みについて説明する。まずソース信
号線を通って入力されるデジタルデータが順にサンプリングされる。1水平期間分(本実
施例の例の場合はVGAであるから、640本+ダミー2本としている)のサンプリング
が終了した後、一斉にデータがラッチされる。これを全てのゲート信号線の分(本実施例
の例の場合はVGAであるから、480本+ダミー2本としている)だけ繰り返し、各ビ
ットにおいて、1フレーム分の書き込みを完了する。
【0203】
なお、この書き込みが行われている間は、図21(B)に示すように、陰極108の電
位を、電流供給線(本発明の画素と組み合わせる場合は、電流供給線として機能している
ゲート信号線111)の電位と等しくしておく。こうすることにより、その期間はEL素
子103の陽極109、陰極110間には電圧が発生せず、電流は流れない。つまり、ア
ドレス期間中は、画面内のいずれのEL素子103も発光することはない。
【0204】
アドレス期間内で、各ビットごとに1フレーム分の書き込みが終了した後、先程まで電
流供給線と等しい電位にあった陰極108の電位を下げ、点灯させるEL素子の陽極、陰
極間に電圧を生じさせることにより、EL素子103に電流が流れ、発光する。EL素子
103の発光は、スイッチングTFT101がOFFした後も、保持容量104によって
EL駆動用TFT102のゲートへの電圧印加が保たれ、一定期間、発光が継続する。
【0205】
本実施例で示した駆動方法は容易に実施が可能であり、本発明の電子装置と組み合わせ
る場合においても、容易に応用が可能である。
【0206】
また、図5(B)におけるスイッチングTFT101は、ここではダブルゲートTFT
を、EL駆動用TFT102は、ここではシングルゲートTFTを示しているが、本実施
例においては、シングルゲート型、ダブルゲート型を問わず、3つ以上のゲート電極を有
するマルチゲート型を用いても良い。また、TFTの極性については、EL素子の構造等
に合わせて決定すれば良い。
【実施例11】
【0207】
本発明において、三重項励起子からの燐光を発光に利用できるEL材料を用いることで
、外部発光量子効率を飛躍的に向上させることができる。これにより、EL素子の低消費
電力化、長寿命化、および軽量化が可能になる。
【0208】
ここで、三重項励起子を利用し、外部発光量子効率を向上させた報告を示す。
(T.Tsutsui, C.Adachi, S.Saito, Photochemical Processes in Organized Molecular S
ystems, ed.K.Honda,(Elsevier Sci.Pub., Tokyo,1991)p.437.)
上記の論文により報告されたEL材料(クマリン色素)の分子式を以下に示す。
【0209】
【化1】

【0210】
(M.A.Baldo, D.F.O'Brien, Y.You, A.Shoustikov, S.Sibley, M.E.Thompson, S.R.Forre
st, Nature 395(1998)p.151.)
上記の論文により報告されたEL材料(Pt錯体)の分子式を以下に示す。
【0211】
【化2】

【0212】
(M.A.Baldo, S.Lamansky, P.E.Burrows, M.E.Thompson, S.R.Forrest, Appl.Phys.Lett.
,75(1999)p.4.)
(T.Tsutsui, M.J.Yang, M.Yahiro, K.Nakamura, T.Watanabe, T.tsuji, Y.Fukuda, T.Wa
kimoto, S.Mayaguchi, Jpn.Appl.Phys., 38(12B)(1999)L1502.)
上記の論文により報告されたEL材料(Ir錯体)の分子式を以下に示す。
【0213】
【化3】

【0214】
以上のように三重項励起子からの燐光発光を利用できれば原理的には一重項励起子からの
蛍光発光を用いる場合より3〜4倍の高い外部発光量子効率の実現が可能となる。なお、
本実施例の構成は、実施例1〜実施例10のいずれの構成とも自由に組みあせて実施する
ことが可能である。
【実施例12】
【0215】
本発明の電子装置を用いたELディスプレイは、自発光型であるため液晶ディスプレイ
に比べて明るい場所での視認性に優れ、しかも視野角が広い。従って、様々な電子機器の
表示部として用いることが出来る。例えば、TV放送等を大画面で鑑賞するには対角30
インチ以上(典型的には40インチ以上)のELディスプレイの表示部として本発明の電
子装置を用いると良い。
【0216】
なお、ELディスプレイには、パソコン用表示装置、TV放送受信用表示装置、広告表
示用表示装置等の全ての情報表示用表示装置が含まれる。また、その他にも様々な電子機
器の表示部として本発明のELディスプレイを用いることが出来る。
【0217】
その様な本発明の電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型表示
装置(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオ
ーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯
情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録
媒体を備えた画像再生装置(具体的にはデジタルビデオディスク(DVD)等の記録媒体
を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。特に、
斜め方向から見ることの多い携帯情報端末は視野角の広さが重要視されるため、ELディ
スプレイを用いることが望ましい。それら電子機器の具体例を図22および図23に示す

【0218】
図22(A)はELディスプレイであり、筐体3301、支持台3302、表示部33
03等を含む。本発明の電子装置は表示部3303に用いることが出来る。ELディスプ
レイは自発光型であるためバックライトが必要なく、液晶ディスプレイよりも薄い表示部
とすることが出来る。
【0219】
図22(B)はビデオカメラであり、本体3311、表示部3312、音声入力部33
13、操作スイッチ3314、バッテリー3315、受像部3316等を含む。本発明の
電子装置は表示部3312に用いることが出来る。
【0220】
図22(C)はヘッドマウントELディスプレイの一部(右片側)であり、本体332
1、信号ケーブル3322、頭部固定バンド3323、表示部3324、光学系3325
、表示装置3326等を含む。本発明の電子装置は表示装置3326に用いることが出来
る。
【0221】
図22(D)は記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)
であり、本体3331、記録媒体(DVD等)3332、操作スイッチ3333、表示部
(a)3334、表示部(b)3335等を含む。表示部(a)3334は主として画像
情報を表示し、表示部(b)3335は主として文字情報を表示するが、本発明の電子装
置はこれら表示部(a)3334、表示部(b)3335に用いることが出来る。なお、
記録媒体を備えた画像再生装置には家庭用ゲーム機器なども含まれる。
【0222】
図22(E)はゴーグル型表示装置(ヘッドマウントディスプレイ)であり、本体33
41、表示部3342、アーム部3343を含む。本発明の電子装置は表示部3342に
用いることが出来る。
【0223】
図22(F)はパーソナルコンピュータであり、本体3351、筐体3352、表示部
3353、キーボード3354等を含む。本発明の電子装置は表示部3353に用いるこ
とが出来る。
【0224】
なお、将来的にEL材料の発光輝度が高くなれば、出力した画像情報を含む光をレンズ
等で拡大投影してフロント型あるいはリア型のプロジェクターに用いることも可能となる

【0225】
また、上記電子機器はインターネットやCATV(ケーブルテレビ)などの電子通信回
線を通じて配信された情報を表示することが多くなり、特に動画情報を表示する機会が増
してきている。EL材料の応答速度は非常に高いため、ELディスプレイは動画表示に好
ましい。
【0226】
また、ELディスプレイは発光している部分が電力を消費するため、発光部分が極力少
なくなるように情報を表示することが望ましい。従って、携帯情報端末、特に携帯電話や
音響再生装置のような文字情報を主とする表示部にELディスプレイを用いる場合には、
非発光部分を背景として文字情報を発光部分で形成するように駆動することが望ましい。
【0227】
図23(A)は携帯電話であり、本体3401、音声出力部3402、音声入力部34
03、表示部3404、操作スイッチ3405、アンテナ3406を含む。本発明の電子
装置は表示部3404に用いることが出来る。なお、表示部3404は黒色の背景に白色
の文字を表示することで携帯電話の消費電力を抑えることが出来る。
【0228】
図23(B)は音響再生装置、具体的にはカーオーディオであり、本体3411、表示
部3412、操作スイッチ3413、3414を含む。本発明の電子装置は表示部341
2に用いることが出来る。また、本実施例では車載用オーディオを示すが、携帯型や家庭
用の音響再生装置に用いても良い。なお、表示部3414は黒色の背景に白色の文字を表
示することで消費電力を抑えられる。これは携帯型の音響再生装置において特に有効であ
る。
【0229】
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが
可能である。また、本実施例の電子機器は実施例1〜実施例11に示したいずれの構成の
電子装置を用いても良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、第1の導電層と、第2の導電層と、第3の導電層と、第4の導電層と、第5の導電層と、第6の導電層と、発光素子と、を有し、
前記第1のトランジスタは、チャネルを形成することができる機能を有する領域を複数有し、
前記第1のトランジスタのゲートは、前記第1の導電層に電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第2の導電層を介して前記第3の導電層に電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第4の導電層を介して前記第2のトランジスタのゲートに電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第5の導電層を介して前記発光素子に電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第6の導電層に電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのゲート、前記第2のトランジスタのゲート及び前記第3の導電層は、第1の導電膜をエッチング加工する工程を経て形成されたものであり、
前記第1の導電層、前記第2の導電層、前記第4の導電層、前記第5の導電層及び前記第6の導電層は、第2の導電膜をエッチング加工する工程を経て形成されたものであり、
前記第1のトランジスタのゲート、前記第2のトランジスタのゲート及び前記第3の導電層は、前記第1の導電層、前記第2の導電層、前記第4の導電層、前記第5の導電層及び前記第6の導電層よりも先に形成されたものであることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の前記発光装置と、フレキシブルプリントサーキットと、を有するモジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の前記発光装置と、音声入力部と、音声出力部と、アンテナと、を有する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−109367(P2013−109367A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−11025(P2013−11025)
【出願日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【分割の表示】特願2011−272981(P2011−272981)の分割
【原出願日】平成13年3月23日(2001.3.23)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】