説明

発光装置、照明装置

【課題】高い防塵・防水性を有する発光装置を低コストで提供する。
【解決手段】本発明に係る発光装置2は、開口を有するケース20と、発光ダイオード31及び発光ダイオード31の駆動回路が実装され、ケース20に収容される回路基板30と、発光ダイオード31の発光部311だけがケース20の開口に露出した状態となるように、ケース20に充填された充填材40と、回路基板30から充填材40を貫通してケース20の開口から外側へ延びる電線3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードを用いた発光装置、該発光装置を備える照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
白色光を発する発光ダイオードの開発に伴い、発光ダイオードを用いた発光装置は、長寿命で低消費電力であることから様々な分野で普及しつつある。その用途の一例として、屋外の広告パネルや案内パネル等のバックライトが挙げられる。このような用途に用いられる発光装置は、屋外に設置されるため、高い防塵性及び防水性が要求される。例えばIEC規格529に基づいて規定された保護等級IP(International Protection)のIP−67を充足することが要求される場合も少なくない。より具体的にはIP−67では、粉塵が内部に侵入しないこと、規定の圧力、時間で水中に浸漬しても有害な影響をうけないことなどが要求される。
【0003】
このような発光装置としては、例えば多数の発光ダイオードを実装した回路基板をケースに収容し、そのケースに合成樹脂材を充填した防塵・防水構造の発光装置が公知である(例えば特許文献1を参照)。また同種の発光装置としては、例えば発光ダイオードを実装した回路基板の部品実装面を底部が開口した箱形状の光束制御部材で覆い、その光束制御部材と回路基板との隙間をシーリング材でシールした防塵・防水構造の発光装置が公知である(例えば特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−310090号公報
【特許文献2】特開2010−287312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1に開示された従来技術は、多数の発光ダイオードが必要であり、大型で部品点数も多いため、コスト面で課題がある。また特許文献2に開示された従来技術は、単に隙間をシーリングする構造であるため、例えばIP−67を充足するような高い防塵・防水性を実現できない虞がある。
【0006】
このような状況に鑑み本発明はなされたものであり、その目的は、高い防塵・防水性を有する発光装置を低コストで提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
<本発明の第1の態様>
本発明の第1の態様は、開口を有する筐体と、発光ダイオード及び前記発光ダイオードの駆動回路が実装され、前記筐体に収容される回路基板と、前記発光ダイオードの発光部だけが前記筐体の開口に露出した状態となるように、前記筐体に充填された充填材と、前記回路基板から前記充填材を貫通して前記筐体の開口から外側へ延びる電線と、を備える発光装置である。
【0008】
発光ダイオード及び発光ダイオードの駆動回路が実装された回路基板は、筐体に収容される。そして筐体には、発光ダイオードの発光部だけが筐体の開口に露出した状態となるように充填材が充填される。それによって回路基板、回路基板に実装された発光ダイオード及びその駆動回路は、発光ダイオードから発する光が充填材で遮られない状態で、全体が充填材で覆われた状態となり、高い防塵・防水性で保護される。
【0009】
これにより本発明の第1の態様によれば、高い防塵・防水性を有する発光装置を低コストで提供することができるという作用効果が得られる。
【0010】
<本発明の第2の態様>
本発明の第2の態様は、前述した本発明の第1の態様において、前記回路基板の前記発光ダイオードが実装された面の裏面と前記筐体の内底面とが一定間隔をもって対向する状態で前記回路基板を支持する回路基板支持部をさらに備え、前記回路基板の前記発光ダイオードが実装された面の裏面と前記筐体の内底面との間に前記充填材が充填されている、ことを特徴とする発光装置である。
【0011】
発光ダイオードから発生する熱の一部は、回路基板を介して放熱される。そして回路基板の放熱性は、回路基板が外部に露出している方が有利である。特に回路基板の発光ダイオードが実装された面の裏面(以下、単に「回路基板の裏面」という。)を外部に露出させ、その回路基板の裏面を大きな金属板等に面接触させた状態で発光装置を支持すれば、極めて良好な放熱性が得られる。しかしながら回路基板の裏面を外部に露出させる構成の発光装置は、高い防塵・防水性を実現することは極めて困難である。
【0012】
本発明に係る発光装置は、前述したように、発光ダイオード等が実装された回路基板が筐体に収容され、その筐体に充填材が充填された構成であるため、高い防塵・防水性を実現できる一方で、放熱性の面では不利である。このような構成の発光装置において回路基板の放熱性を高める上では、例えば筐体の内底面に回路基板の裏面を隙間無く面接触させることができれば、回路基板から筐体を介して発光ダイオードの熱を外部へ効率良く放熱することができる。
【0013】
しかし例えば回路基板が僅かに反っていたり筐体の内底面に小さな凹凸が存在していたりする等の理由で、実際上、筐体の内底面に回路基板の裏面を隙間無く面接触させることは困難であり、両者の間には僅かな隙間が生じてしまう場合が多い。そして筐体の内底面と回路基板の裏面との間の僅かな隙間は、回路基板から筐体への熱伝達を著しく低下させるため、回路基板の放熱性が低下する要因となる。
【0014】
本発明の第2の態様においては、回路基板の裏面と筐体の内底面とが一定間隔をもって対向する状態で回路基板が支持される。そして回路基板の裏面と筐体の内底面との間に充填材が充填されている。つまり回路基板の裏面と筐体の内底面とを離間させた状態で、あえて両者の間に一定の間隔を形成することによって、筐体に充填材を充填する際に、回路基板の裏面と筐体の内底面との間に充填材を確実に入り込ませることができる。
【0015】
そして回路基板の裏面と筐体の内底面との間に充填材が隙間無く充填されることによって、回路基板は、充填材を介して裏面全体が筐体と一体になる。それによって発光ダイオードから発生する熱の一部は、回路基板から充填材を介して筐体へ伝達されて効率良く放熱されることになる。つまり本発明の第2の態様によれば、高い防塵・防水性を実現しつつ、発光ダイオードから発生する熱を効率良く放熱することができる。
【0016】
<本発明の第3の態様>
本発明の第3の態様は、前述した本発明の第1の態様又は第2の態様において、前記筐体の開口に設けられ、透光性を有する材料で形成された蓋体と、前記筐体に一体に形成された第1ガイド部及び前記蓋体に一体に形成された第2ガイド部で構成され、前記電線を把持する把持部と、をさらに備える、ことを特徴とする発光装置である。
【0017】
筐体の開口に設けられる蓋体は、透光性を有する材料で形成されているので、発光ダイオードが発する光を外部へ放射することができる。また回路基板から充填材を貫通して筐体の開口から外側へ延びる電線は、把持部によって把持される。それによって例えば、充填材からの出口部分や筐体の開口端の部分で電線に断線が生ずる虞を低減することができる。
【0018】
そして把持部は、筐体に一体に形成された第1ガイド部及び蓋体に一体に形成された第2ガイド部で構成されている。それによって部品点数を削減することができるので、別個に把持部を設けるよりも製造コストを削減することができる。また把持部で把持された状態の電線は、蓋体を筐体に取り付けた状態において常に一定の位置及び姿勢で把持されることになるので、その把持される位置及び姿勢が変動することに起因して断線等が生ずる虞が低減される。
【0019】
<本発明の第4の態様>
本発明の第4の態様は、前述した本発明の第3の態様において、前記蓋体は、前記発光ダイオードが発する光を均一に拡散させる光拡散レンズ部を含む、ことを特徴とする発光装置である。
【0020】
このような特徴によれば、発光ダイオードの発光部が発する光は、光拡散レンズ部によって広範囲に均一に拡散するので、より少ない数の発光ダイオードで広範囲を照明することができる。それによって照明性能を低下させることなく発光ダイオードの数を削減することができるので、製造コストを削減することができる。
【0021】
また光拡散レンズ部は、透光性を有する材料で形成された蓋体に含まれる。つまり光拡散レンズ部は、蓋体に一体に形成されている。それによって部品点数を削減することができるので、別個に光拡散レンズ部を設けるよりも製造コストを削減することができる。さらに光拡散レンズ部が蓋体に一体に形成されていることによって、発光ダイオードの発光部と光拡散レンズ部との位置関係は、蓋体を筐体に取り付けた状態において常に一定となる。それによって発光ダイオードの発光部と光拡散レンズ部との位置関係がずれることに起因して光拡散性が低下する虞を低減することができる。
【0022】
<本発明の第5の態様>
本発明の第5の態様は、前述した本発明の第1〜第4のいずれかにおいて、前記駆動回路は定電流回路を含む、ことを特徴とする発光装置である。
【0023】
前述したように、屋外の広告パネルや案内パネル等のバックライトに用いられる発光装置は、屋外に設置されるため、高い防塵性及び防水性が要求される。このことは発光装置のみならず、その発光装置の電源として、その発光装置とともに屋外に設置される電源装置についても同じことが言える。そして汎用品として流通している電源装置のうち、高い防塵性及び防水性を備えた電源装置は、ほとんどが定電圧電源であり、定電流電源が皆無であるという実情がある。
【0024】
しかしながら発光ダイオードは、一般に定電流で駆動する必要がある。そのため例えば高い防塵性及び防水性を備えた定電流電源装置を特注品として製造するとなると、電源装置のコストが大幅に増加してしまう虞が生ずる。また特注品の電源装置は、汎用品と比較して、入手が困難であることや実績がないため信頼性の面で不安ある等の課題がある。
【0025】
本発明の第5の態様によれば、発光ダイオードの駆動回路として定電流回路を内蔵しているので、定電圧電源で駆動することができる。つまり発光装置と同様に高い防塵性及び防水性が要求される電源装置として、入手が容易で信頼性の高い汎用の定電圧電源を用いることができる。それによって発光ダイオードを用いた発光装置をバックライトとして設けた屋外の広告パネルや案内パネル等を低コストで実現することが可能になる。
【0026】
<本発明の第6の態様>
本発明の第6の態様は、前述した本発明の第5の態様において、前記定電流回路は定電流ダイオードを含む、ことを特徴とする発光装置である。
このような特徴によれば、より低コストで定電流回路を構成することができる。
【0027】
<本発明の第7の態様>
本発明の第7の態様は、前述した本発明の第5の態様又は第6の態様の発光装置と、前記電線を通じて前記発光装置へ直流電力を供給する定電圧電源と、を備える照明装置である。
本発明の第7の態様によれば、照明装置において、前述した本発明の第5の態様又は第6の態様による作用効果が得られる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、高い防塵・防水性を有する発光装置を低コストで提供することができるという作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】照明装置の概略構成図。
【図2】発光装置の平面図。
【図3】発光装置の正面図。
【図4】発光装置の側面図。
【図5】発光装置の要部断面図。
【図6】発光装置のカバーの斜視図。
【図7】発光装置のカバーの側面図。
【図8】発光装置のケースの平面図。
【図9】発光装置の回路基板の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0031】
<照明装置>
本発明に係る照明装置100の構成について、図1を参照しながら説明する。
図1は、照明装置100の概略構成図である。
照明装置100は、例えば屋外の広告パネルや案内パネル等のバックライトであり、直流定電圧電源1と複数の発光装置2とを備える。「定電圧電源」としての公知の直流定電圧電源1は、交流電力又は直流電力を受電し、定電圧の直流電力を出力する。直流定電圧電源1は、高い防塵性及び防水性を有するものが好ましく、特にIP−67を充足する防塵性及び防水性を有するものが好ましい。発光装置2は、白色光を発する発光ダイオード(図示せず)を備える。発光装置2の構成については後述する。照明装置100は、電線3によって複数の発光装置2が直流定電圧電源1に接続されており、直流定電圧電源1から供給される定電圧の直流電力で複数の発光装置2が発光する。
【0032】
<発光装置>
本発明に係る発光装置2の構成について、図2〜図9を参照しながら説明する。
図2は発光装置2の平面図であり、図3はその正面図、図4はその側面図である。図5は、図2のA−A断面を図示した発光装置2の要部断面図である。図6はカバー10の斜視図であり、図7はその側面図である。図8はケース20の平面図である。図9は回路基板30の回路図である。
【0033】
発光装置2は、カバー10、ケース20、回路基板30、充填材40及び電線3を備える。
【0034】
「蓋体」としてのカバー10は、ケース20の開口に設けられ、透光性を有する材料で形成された部材である。カバー10は、カバー本体11、光拡散レンズ部12、2つの第2ガイド部13、4つの掛止孔14を含む。
【0035】
光拡散レンズ部12は、カバー本体11の上面に形成されており、発光ダイオード31が発する白色光を均一に拡散させる。より具体的には光拡散レンズ部12は、発光ダイオード31が発する白色光が入射する凹面形状の入射面部121と、入射面部121に入射した白色光が出射する凸面形状の出射面部122とを含む。この入射面部121及び出射面部122の形状は、発光ダイオード31が発する白色光が均一に拡散するように、発光ダイオード31の特性等に応じて適宜設定すればよい。発光ダイオード31の発光部311が発する白色光は、光拡散レンズ部12によって広範囲に均一に拡散するので、より少ない数の発光ダイオード31で広範囲を照明することができる。それによって照明性能を低下させることなく発光ダイオード31の数を削減することができるので、製造コストを削減することができる。また光拡散レンズ部12は、発光ダイオード31の発光部311の大きさと出射面部122の大きさとの比率が一般的な比率の約2倍となる大きさに設定されている。それによって光拡散レンズ部12の出射面部122から出射する白色光に色むらが生ずる虞を低減することができる。
尚、光拡散レンズ部12の構成は、発光ダイオード31が発する光を均一に拡散することができれば、どのような構成でもよく、特に上記構成に限定されない。
【0036】
また光拡散レンズ部12は、カバー10に一体に形成されている。それによって部品点数を削減することができるので、別個に光拡散レンズ部12を設けるよりも製造コストを削減することができる。さらに光拡散レンズ部12がカバー10に一体に形成されていることによって、発光ダイオード31の発光部311と光拡散レンズ部12との位置関係は、カバー10をケース20に取り付けた状態において常に一定となる。それによって発光ダイオード31の発光部311と光拡散レンズ部12との位置関係がずれることに起因して光拡散性が低下する虞を低減することができる。
【0037】
第2ガイド部13は、カバー本体11の両側部に一体に形成されており、後述するケース20の第1ガイド部23と共に、電線3を把持する把持部4を構成する。第2ガイド部13には、後述するケース20の第1ガイド部23が嵌合する凹部131が形成されており、その凹部131には、電線3の外周面に沿う凹面断面形状の2つの溝132が電線3の延出方向に沿って形成されている。掛止孔14は、カバー本体11の両側面部に一体に形成されている。掛止孔14は、カバー本体11の両側面部に2つずつ形成されており、後述するケース20の掛止爪部24と各々掛合している。
【0038】
「筐体」としてのケース20は、例えばABS樹脂等で形成された部材であり、開口を有するケース本体21、2つの取付片部22、2つの第1ガイド部23、4つの掛止爪部24、2つの凸部25を含む。
【0039】
ケース本体21は、上面が開口する箱形状を有している。取付片部22は、ネジ止め等によって所望の取付位置に発光装置2を固定するために設けられており、ケース本体21の外側の前部及び後部に一体に形成されている。取付片部22の略中央には円形孔221が形成されている。第1ガイド部23は、ケース本体21の外側の両側部に一体に形成されており、前述したカバー10の第2ガイド部13と共に、電線3を把持する把持部4を構成する。第1ガイド部23には、第2ガイド部13の溝132に対応する部分に、電線3の外周面に沿う凹面断面形状の2つの溝231が電線3の延出方向に沿って形成されている。掛止爪部24は、ケース本体21の外側の両側面部に一体に形成されている。掛止爪部24は、ケース本体21の両側面部に2つずつ形成されており、前述したカバー10の掛止孔14と各々係合している。「回路基板支持部」としての凸部25は、ケース本体21の内底面211に一体に形成されている。凸部25は、その頂部で回路基板30を支持し、回路基板30の裏面(発光ダイオード31が実装された面の裏面)とケース本体21の内底面211とが一定間隔をもって対向する状態で回路基板30を位置決めする。
【0040】
回路基板30は、いわゆるプリント配線基板であり、発光ダイオード31で発生する熱を効率良く放熱する観点から、例えばアルミ基板等の熱伝導性に優れる基板を用いるのが好ましい。回路基板30は、発光ダイオード31及び発光ダイオード31の駆動回路を含む(図9)。より具体的には回路基板30は、VIN+端子、VIN−端子、VOUT+端子、VOUT−端子を含み、ダイオードD1、3つの定電流ダイオードD2〜D4、白色光を発する発光ダイオード(LED)31が実装されている。VIN+端子、VIN−端子、VOUT+端子、VOUT−端子には、ケース20の開口から充填材40を貫通して、それぞれ電線3が半田付け等によって接続される。
【0041】
VIN+端子はVOUT+端子に接続され、VIN−端子はVOUT−端子に接続されている。ダイオードD1のアノードはVIN+端子に接続されている。「定電流回路」としての3つの定電流ダイオードD2〜D4は、アノード同士、カソード同士が接続されて並列に接続されており、アノードがダイオードD1のカソードに接続されている。3つの定電流ダイオードD2〜D4のカソードは、発光ダイオード31のアノードに接続されている。発光ダイオード31のカソードは、VIN−端子に接続されている。
【0042】
このように発光ダイオード31の駆動回路として定電流回路(定電流ダイオードD2〜D4)を発光装置2に内蔵することによって、発光装置2を直流定電圧電源1で駆動することができる。つまり発光装置2と同様に高い防塵性及び防水性が要求される電源装置として、入手が容易で信頼性の高い汎用の直流定電圧電源1を用いることができる。また回路基板30の定電流回路は、特に定電流ダイオードD2〜D4に限定されるものではなく、どのようか回路構成でもよいが、定電流ダイオードD2〜D4を用いることによって、より低コストで構成することができる。
【0043】
充填材40は、例えばエポキシ樹脂等であり、発光ダイオード31の発光部311だけがケース20の開口に露出した状態となるように、ケース20に充填されている。充填材40の色は、光の反射率が高い白色が好ましい。それによって発光ダイオード31から発せられる光の一部を充填材40の表面からカバー10の光拡散レンズ部12へ反射することができるので、発光装置2の発光効率を向上させることができる。
【0044】
このような構成の発光装置2は、例えば以下のようにして製造できる。
まず回路基板30のVIN+端子、VIN−端子、VOUT+端子、VOUT−端子に電線3を接続する。次にその回路基板30をケース20に収容する。このときケース本体21の内底面211に形成された凸部25の頂部に回路基板30が支持された状態とする。次に発光ダイオード31の発光部311だけがケース20の開口に露出した状態となるように、ケース20に充填材40を充填する。この充填材40の充填は、回路基板30の裏面とケース本体21の内底面211との間も含めて、ケース本体21の内側に隙間無く充填するのが好ましい。そして4本の電線3がケース20の第1ガイド部23とカバー10の第2ガイド部13とで構成される把持部4で把持されるように、ケース20にカバー10を取り付ける。ケース20に対するカバー10の取り付けは、ケース20の4つの掛止爪部24にカバー10の4つの掛止孔14を掛合させることによって簡単に行うことができる。
【0045】
以上説明した本発明に係る発光装置2は、発光ダイオード31の発光部311だけがケース20の開口に露出した状態となるように充填材40が充填されている。それによって回路基板30、回路基板30に実装された発光ダイオード31及びその駆動回路(ダイオードD1、定電流ダイオードD2〜D4)は、全体が充填材40で覆われた状態となり、高い防塵・防水性で保護される。したがって本発明によれば、高い防塵・防水性を有する発光装置2を低コストで提供することができる。
【0046】
また本発明に係る発光装置2は、回路基板30の裏面とケース本体21の内底面211との間に充填材40が充填されている。つまり回路基板30の裏面とケース本体21の内底面211とを離間させた状態で、あえて両者の間に一定の間隔を形成することによって、ケース20に充填材を充填する際に、回路基板30の裏面とケース本体21の内底面211との間に充填材40を確実に入り込ませることができる。そして回路基板30の裏面とケース本体21の内底面211との間に充填材40が隙間無く充填されることによって、回路基板30は、充填材40を介して裏面全体がケース20と一体になる。それによって発光ダイオード31から発生する熱の一部は、回路基板30から充填材40を介してケース20へ伝達されて効率良く放熱されることになる。つまり発光ダイオード31から発生する熱を効率良く放熱することができる。
【0047】
また本発明に係る発光装置2は、回路基板30から充填材40を貫通してケース20の開口から外側へ延びる電線3が把持部4(第1ガイド部23及び第2ガイド部13)によって把持される。それによって例えば、充填材40からの出口部分やケース20の開口端の部分で電線3に断線が生ずる虞を低減することができる。そして把持部4は、ケース20に一体に形成された第1ガイド部23及びカバー10に一体に形成された第2ガイド部13で構成されている。それによって部品点数を削減することができるので、別個に把持部4を設けるよりも製造コストを削減することができる。また上記構成の把持部4で把持された状態の電線3は、カバー10をケース20に取り付けた状態において常に一定の位置及び姿勢で把持されることになるので、把持される位置及び姿勢が変動することに起因して断線等が生ずる虞が低減される。
【0048】
尚、本発明は、上記説明した実施例に特に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変形が可能であること言うまでもない。
【符号の説明】
【0049】
1 直流定電圧電源
2 発光装置
3 電線
4 把持部
10 カバー
20 ケース
30 回路基板
31 発光ダイオード
40 充填材
100 照明装置
D2〜D4 定電流ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する筐体と、
発光ダイオード及び前記発光ダイオードの駆動回路が実装され、前記筐体に収容される回路基板と、
前記発光ダイオードの発光部だけが前記筐体の開口に露出した状態となるように、前記筐体に充填された充填材と、
前記回路基板から前記充填材を貫通して前記筐体の開口から外側へ延びる電線と、を備える発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置において、前記回路基板の前記発光ダイオードが実装された面の裏面と前記筐体の内底面とが一定間隔をもって対向する状態で前記回路基板を支持する回路基板支持部をさらに備え、
前記回路基板の前記発光ダイオードが実装された面の裏面と前記筐体の内底面との間に前記充填材が充填されている、ことを特徴とする発光装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の発光装置において、前記筐体の開口に設けられ、透光性を有する材料で形成された蓋体と、
前記筐体に一体に形成された第1ガイド部及び前記蓋体に一体に形成された第2ガイド部で構成され、前記電線を把持する把持部と、をさらに備える、ことを特徴とする発光装置。
【請求項4】
請求項3に記載の発光装置において、前記蓋体は、前記発光ダイオードが発する光を均一に拡散させる光拡散レンズ部を含む、ことを特徴とする発光装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の発光装置において、前記駆動回路は定電流回路を含む、ことを特徴とする発光装置。
【請求項6】
請求項5に記載の発光装置において、前記定電流回路は定電流ダイオードを含む、ことを特徴とする発光装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の発光装置と、
前記電線を通じて前記発光装置へ直流電力を供給する定電圧電源と、を備える照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−50520(P2013−50520A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187176(P2011−187176)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000103666)オカノ電機株式会社 (6)
【Fターム(参考)】