発光装置、発光装置の製造方法および電子機器
【課題】 安定した電気特性の得られる発光装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 画素電極25は、前記発光領域が複数配置された電極部25aと、配線12に接続される接続部25bとから構成され、第1単位素子Urの画素電極25は、電極部25aおよび接続部25bに対応する電極層51、52、53が積層されてなり、第2単位素子Ugの画素電極25は、電極部25aに対応する電極層52、53と、接続部25bに対応する電極層51、52、53とが積層されてなり、第1単位素子Urの電極部25aにおける電極層の積層数よりも第2単位素子Ugの電極部25aにおける電極層の積層数が少ない発光装置とする。
【解決手段】 画素電極25は、前記発光領域が複数配置された電極部25aと、配線12に接続される接続部25bとから構成され、第1単位素子Urの画素電極25は、電極部25aおよび接続部25bに対応する電極層51、52、53が積層されてなり、第2単位素子Ugの画素電極25は、電極部25aに対応する電極層52、53と、接続部25bに対応する電極層51、52、53とが積層されてなり、第1単位素子Urの電極部25aにおける電極層の積層数よりも第2単位素子Ugの電極部25aにおける電極層の積層数が少ない発光装置とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、発光装置の製造方法および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、有機EL(ElectroLuminescent)材料などの発光材料からなる発光層を第1電極と第2電極との間に介在させた素子(以下「単位素子」という)が基板上に配列された発光装置が提案されている。この種の発光装置においては、発光層による出射光のスペクトルのピーク幅が広くその強度も低いため、例えば表示装置として採用されたときに充分な色再現性の確保が困難であるという問題がある。
【0003】
この問題を解決するために、例えば特許文献1には、発光層からの出射光を共振させる共振器構造を各単位素子に形成した構成が開示されている。この構成においては、発光層に対して基板側に位置する光透過性の第1電極と当該基板との間に光反射層(誘電体ミラー)が配置される。発光層からの出射光は、この発光層を挟んで相互に対向する光反射層と第2電極との間で往復する。そして、光反射層と第2電極との光学的距離に応じた共振波長の光が選択的に増幅されたうえで観察側に出射する。したがって、スペクトルのピーク幅が狭く強度も高い光を表示に利用することができる。よって、表示装置の色再現性を向上させることが可能となる。また、単位素子ごとに光反射層と第2電極との光学的距離を調整することによって複数の色彩(例えば赤色や緑色や青色)に対応した波長の光を取り出すこともできる。
【0004】
また、共振器構造が各単位素子に形成された発光装置として、光反射層と第2電極との間にRGB(赤色、緑色、青色)それぞれに対応する3種類の厚みの第1電極が形成されたものが提案されている。このような発光装置では、一般に、厚みの厚い単位素子から順に第1電極となる膜の成膜を行い、RGBそれぞれに対応する所定の厚みとなるまで、パターニングを繰り返す方法により第1電極を形成している。
【特許文献1】国際公開第01/039554号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなパターニングを繰り返す方法により、RGBそれぞれに対応する所定の厚みを有する第1電極を形成する場合、要求される第1電極の厚みによって、単位素子上に成膜された膜をエッチング除去するか否かが決定される。このため、第1電極の厚みの薄い単位素子を構成するコンタクトホールが、厚みの厚い単位素子の第1電極のパターニングの際にエッチング液にさらされることになり、発光装置の電気特性に支障を来たす場合があり、問題となっていた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、安定した電気特性の得られる発光装置およびその製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために、本発明に係る発光装置は、基板上に光反射層と、半透過反射層と、前記光反射層と前記半透過反射層との間に配置された発光層と、前記光反射層と前記半透過反射層との間に配置された光透過性の画素電極とを含む複数の単位素子を備え、各単位素子の発光領域に共振器構造が形成され、前記複数の単位素子のうちの第1単位素子と、前記第1単位素子と前記共振器構造における共振波長の相違する第2単位素子とを備えた発光装置において、前記画素電極は、前記発光領域に配置された電極部と、配線に接続される接続部とから構成され、前記第1単位素子の前記画素電極は、前記電極部および前記接続部に対応する電極層が複数積層されてなり、前記第2単位素子の前記画素電極は少なくとも、前記電極部および前記接続部に対応する電極層と、前記接続部に対応する電極層とが積層されてなり、前記第1単位素子の前記電極部における前記電極層の積層数よりも前記第2単位素子の前記電極部における前記電極層の積層数が少ないことを特徴とする。
【0008】
このような発光装置では、前記第1単位素子の前記電極部における前記電極層の積層数よりも前記第2単位素子の前記電極部における前記電極層の積層数が少ないので、第1単位素子の画素電極となる電極層を形成する際における最初のパターニングで、第2単位素子の電極部に対応する電極層が除去されることになる。しかし、本発明の発光装置においては、前記第2単位素子の前記画素電極が、前記電極部および前記接続部に対応する電極層と、前記接続部に対応する電極層とが積層されてなるものであるので、第1単位素子の画素電極を構成する電極層をパターニングする際に、第2単位素子の接続部に対応する電極層を除去する必要はない。したがって、本発明の発光装置を製造する工程において、接続部の基板側の面が、電極層のパターニングに使用されるエッチング液にさらされることはない。例えば、接続部の基板側の面に配線を露出させるコンタクトホールが形成されている場合に、コンタクトホールが電極層のパターニングに使用されるエッチング液にさらされることはない。よって、本発明の発光装置においては、電極層のパターニングに使用されるエッチング液が発光装置の電気特性に支障を来たすことが効果的に防止される。
【0009】
さらに、本発明の発光装置では、前記第2単位素子の前記画素電極は、前記電極部および前記接続部に対応する電極層と、前記接続部に対応する電極層とが積層されてなるものであるので、第2単位素子の接続部には、複数の電極層が形成されていることになる。よって、接続部と配線との電気的な接続における信頼性が高いものとなり、安定した電気特性の得られるものとなる。
これに対し、例えば、接続部に1つの電極層のみが形成されている場合、配線と画素電極との接続部分に断線などが生じやすく、配線と画素電極との電気的な接続における信頼性が低いものとなる。
【0010】
また、本発明の発光装置では、前記第1単位素子および前記第2単位素子と、前記電極部に対応する電極層の積層数が異なり、前記共振器構造における共振波長の相違する第3単位素子を備えたものとすることができる。
このような発光装置とすることで、例えば、第1単位素子、第2単位素子、第3単位素子を、それぞれRGBに対応した波長の光を取り出すものとすることができ、安定した電気特性が得られ、色再現性に優れたカラーの発光装置を実現できる。
【0011】
また、本発明の発光装置では、前記接続部に対応する電極層の積層数が、全ての単位素子で同じであるものとすることができる。
このような発光装置では、前記接続部に対応する電極層の積層数が異なる単位素子が含まれている場合と比較して、配線と画素電極とを電気的に接続した際の電気抵抗が均一となり、発光装置の電気特性を安定化させることができる。
【0012】
また、本発明の発光装置では、前記画素電極は、前記画素電極の前記基板側に存在する段差部分を覆っているものとすることができる。
このような発光装置とすることで、段差部分を覆っている電極層のパターニングに使用されるエッチング液が、前記電極の前記基板側に存在する段差部分から電極層の基板側に浸入して、発光装置の特性に支障を来たすことを効果的に防止できる。
【0013】
また、本発明の発光装置では、前記光反射層の前記基板と反対側に、前記光反射層を覆い、光透過性を有する保護膜が配置されているものとすることができる。
光反射層に電極層のパターニングに使用されるエッチング液が付着すると、光反射層の表面が損傷(腐食)してしまう。光反射層の材料としてはアルミニウムや銀などの材料が好適に採用されるが、この種の材料は耐蝕性が低いから、エッチング液による損傷や劣化は特に顕著である。そして、光反射層が損傷することによって光反射層の反射特性(例えば反射率)が劣化すると、共振器構造による共振の効率が低下する。
これに対し、前記光反射層の前記基板と反対側に前記光反射層を覆う保護膜が配置されている発光装置とすることで、電極層のパターニングに使用されるエッチング液が光反射層に付着することを効果的に防止することができる。
【0014】
本発明に係る発光装置の製造方法は、請求項1に記載の発光装置を製造する方法であって、前記第1単位素子の前記電極部および前記接続部に対応するとともに、前記第2単位素子の前記接続部に対応する第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、前記第1単位素子および前記第2単位素子の前記電極部および前記接続部に対応する第2電極層を形成する第2電極層形成工程とを含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の発光装置の製造方法によれば、第1電極層および第2電極層をパターニングする際に、接続部となる電極層がエッチングされることはなく、発光装置を製造する工程において、接続部の基板側の面が、電極層のパターニングに使用されるエッチング液にさらされることはない。
また、本発明の発光装置の製造方法によれば、第1電極層形成工程および第2電極層形成工程を行なうことによって、第1単位素子の電極部に第1電極層と第2電極層の2層の電極層が形成され、第2単位素子の電極部に第2電極層が形成されるとともに、第1単位素子および第2単位素子の接続部に第1電極層と第2電極層の2層の電極層が形成される。したがって、本発明の発光装置の製造方法によれば、第1単位素子と第2単位素子とで電極部を構成する電極層の積層数が異なるものを形成することができる。また、本発明の発光装置の製造方法によれば、第1単位素子においても第2単位素子においても、接続部に2層の電極層が形成されるので、電極層の断線が生じにくく、配線と画素電極との電気的な接続における信頼性が高いものとなる。
【0016】
上記の発光装置の製造方法では、前記第1電極層形成工程において、第1電極層により、前記第1単位素子および前記第2単位素子と相違する第3単位素子の前記接続部に対応する電極層を形成し、前記第2電極層形成工程において、第2電極層により、前記第3単位素子の前記接続部に対応する電極層を形成し、前記第2電極層形成工程の後に、前記第1単位素子、前記第2単位素子、前記第3単位素子の前記電極部および前記接続部に対応する第3電極層を形成する第3電極層形成工程とを含む製造方法とすることができる。
【0017】
このような製造方法によれば、第1単位素子の電極部に第1電極層と第2電極層と第3電極層の3層の電極層が形成され、第2単位素子の電極部に第2電極層と第3電極層の2層の電極層が形成され、第3単位素子の電極部に第3電極層が形成されるとともに、第1単位素子、第2単位素子、第3単位素子の接続部に第1電極層と第2電極層と第3電極層の3層の電極層が形成される。したがって、接続部における電極層の断線がより一層生じにくいものとなり、配線と画素電極との電気的な接続における信頼性が非常に高いものとなる。
また、このような製造方法によれば、例えば、第1単位素子、第2単位素子、第3単位素子を、それぞれRGBに対応した波長の光を取り出すものとすることができ、安定した電気特性が得られ、色再現性に優れたカラーの発光装置を製造できる。
【0018】
上記の発光装置の製造方法では、前記第1電極層形成工程において、前記第1電極層を形成する被形成面上の段差部分を覆うように第1電極層を形成する製造方法とすることができる。
このような製造方法によれば、電極層のパターニングに使用されるエッチング液が、第1電極層を形成する被形成面上における段差部分から電極層の基板側に浸入して、発光装置の特性に支障を来たすことを効果的に防止できる。
【0019】
上記の発光装置の製造方法では、前記第1電極層上であって、前記段差部分に対応する部分を覆うように第2電極層を形成する製造方法とすることができる。
このような製造方法によれば、被形成面上における段差部分を第1電極層のみで覆う場合よりも、エッチング液の浸入を効果的に防止することができる。
【0020】
上記の発光装置の製造方法では、前記電極形成工程の前に、前記光反射層を形成する工程と、前記光反射層を覆い、光透過性を有する保護膜を形成する保護膜形成工程を含む製造方法とすることができる。
このような製造方法によれば、電極層のパターニングに使用されるエッチング液が光反射層に付着することを防止できる。
【0021】
本発明の電子機器は、上記のいずれかに記載の発光装置を具備することを特徴とする。
このような電子機器によれば、配線と画素電極との電気的な接続における信頼性が高く、安定した電気特性の得られる発光装置を備えたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の発光装置を発光装置の一例であるEL装置に適用した場合の実施形態を例に挙げて説明する。なお、以降の説明では図面を用いて各種の構造を例示するが、これらの図面に示される構造は特徴的な部分を分かり易く示すために実際の構造に対して寸法を異ならせて示す場合がある。
【0023】
<発光装置>
まず、発光装置の実施形態に係るEL装置について説明する。
図1は、本実施形態に係るEL装置の構造を示す断面図である。図1に示すEL装置は、マトリクス状に配列された複数の単位素子U(Ur、Ug、Ub)が封止材37によって基板10の面上に封止された構成となっている。各単位素子Uは、赤色、緑色、青色の何れかに対応した波長の光を発生する要素であり、共振器構造における共振波長が相違している。すなわち、単位素子Ur(第1単位素子)は赤色光を出射し、単位素子Ug(第2単位素子)は緑色光を出射し、単位素子Ub(第3単位素子)は青色光を出射する。
本実施形態におけるEL装置は、各単位素子Uにて発生した光が基板10とは反対側に向かって出射するトップエミッション型である。したがって、基板10として、ガラスなどの光透過性を有する板材のほか、セラミックスや金属のシートなど不透明な板材を採用することができる。
【0024】
図1に示すように、基板10の表面には複数の配線12が形成されている。配線12は、各単位素子Uを駆動するための信号を伝送する例えばデータ線や走査線である。
また、各配線12が形成された基板10の表面は、下地層14によって覆われている。下地層14は、例えばアクリル系やエポキシ系などの樹脂材料または酸化珪素(SiOx)や窒化珪素(SiNx)などの無機材料などの各種の絶縁材料によって形成された膜体である。
下地層14の表面上には、各単位素子Uに対応するように光反射層21が形成されている。本実施形態における光反射層21は、各単位素子Uの配列に沿うようにストライプ状に形成される。各光反射層21は、光反射性を有する材料からなる。具体的には、光反射層21を形成する材料として、アルミニウムや銀などの単体金属、またはアルミニウムや銀を主成分とする合金といった様々な材料が使用される。
【0025】
光反射層21が形成された下地層14の表面は、複数の単位素子Uにわたって連続に分布する保護層23によって被覆されている。保護層23は、後述する電極層のパターニングに使用されるエッチング液が光反射層21に付着しないように保護するためのものであり、例えば酸化珪素(SiOx)や窒化珪素(SiNx)といった光透過性を有する絶縁材料によって形成される。
【0026】
また、図1に示すように、基板10の表面と垂直な方向からみて配線12と重なり合う位置には、保護層23と下地層14とを各々の厚さ方向に貫通するコンタクトホールH(Hr、Hg、Hb)が単位素子Uごとに形成されている。すなわち、コンタクトホールHrは赤色光を出射する単位素子Urに、コンタクトホールHgは緑色光を出射する単位素子Ugに、コンタクトホールHbは青色光を出射する単位素子Ubに設けられている。
【0027】
保護層23が形成された基板10の表面上には、発光体33と平面的に重なり合う発光領域RGBに配置された電極部25aと、コンタクトホールH上に配置され、コンタクトホールHを介して外部と接続する電荷を受渡しするための配線に接続される接続部25bとから構成された第1電極25(画素電極)が形成されている。第1電極25は、図1に示すように、第1電極25の基板10側に存在する段差部分Dを覆うように形成されているとともに、単位素子Uごとに相互に離間して形成されている。本実施形態では、単位素子Uの発光色ごとに、電極部25aの電極層の積層数が異なっている。
【0028】
より詳細には、保護層23が形成された基板10の表面上には、コンタクトホールH上と、単位素子Uのうち赤色光を出射する単位素子Urの光反射層21上とを覆うように第1電極層51が形成されている。また、第1電極層51が形成された第1電極層形成領域上と、緑色光を出射する単位素子Ugの光反射層21上とを覆うように第2電極層52が形成され、第2電極層52が形成された第2電極層形成領域上と、青色光を出射する単位素子Ubの光反射層21上とを覆うように第3電極層53が形成されている。第1電極層51と第2電極層52と第3電極層53の各々は、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)といった光透過性の導電材料によって形成されている。
【0029】
したがって、図1に示すように、赤色光を出射する単位素子Urの第1電極25は、電極部25aおよび接続部25bに対応する第1電極層51と第2電極層52と第3電極層53の3層の電極層が積層されてなり、緑色光を出射する単位素子Ugの第1電極25は、接続部25bに対応する第1電極層51と、電極部25aおよび接続部25bに対応する第2電極層52および第3電極層53の2層の電極層とが積層されてなり、青色光を出射する単位素子Ubの第1電極25は、接続部25bに対応する第1電極層51および第2電極層52と、電極部25aおよび接続部25bに対応する第3電極層53とが積層されてなるものである。
【0030】
また、図1に示すように、各コンタクトホールH上には、第1電極25を構成する全ての電極層である第1電極層51と第2電極層52と第3電極層53が積層され、全ての単位素子Uにおいて、第1電極25の接続部25bに対応する電極層の積層数が同じとなっている。また、第1電極層51が、コンタクトホールHに入り込んで配線12と接触するように形成され、第1電極層51と第2電極層52と第3電極層53とが配線12に電気的に接続されている。
【0031】
第1電極25が形成された基板10の表面上には隔壁層31が形成されている。隔壁層31は、基板10の表面上の空間を単位素子Uごとに仕切るように格子状に形成された隔壁である。隔壁層31は、例えばアクリル系やエポキシ系といった樹脂材料または酸化珪素や窒化珪素といった無機材料など各種の絶縁材料によって形成される。
【0032】
隔壁層31の内壁に包囲され、第1電極25を底面とする空間には、単位素子Uごとに発光体33が形成されている。発光体33は、有機EL材料からなる発光層を含む複数の機能層を積層した構造となっている。各単位素子Uの発光体33は、その単位素子Uに対応した波長の光を発光する発光層を含む。各単位素子Uの第1電極25は、発光体33に電気エネルギーを付与するための陽極として機能する。一方、各発光体33の表面には、発光体33の陰極として機能する第2電極35が形成されている。ただし、第1電極25が陰極として機能するとともに第2電極35が陽極として機能する構成としてもよい。
【0033】
本実施形態における発光体33は、正孔輸送層と発光層と電子輸送層という3種類の機能層を基板10側から第2電極35側に向かってこの順番に積層した構造となっている。ただし、発光体33の構造はこの例示に限定されない。例えば、正孔輸送層と第1電極25との間に正孔注入層を介在させた構成や、電子輸送層と第2電極35との間に電子注入層を介在させた構成としてもよい。すなわち、第1電極25と第2電極35との間に発光層が介在する構成であれば足りる。
【0034】
第2電極35(半透過反射層)は、その表面に到達した光の一部を透過するとともにその残りを反射する性質を持った半透過反射層として機能する。本実施形態における第2電極35は、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの光透過性を有する材料によって形成される。このように第2電極35が光透過性の材料からなる場合であっても、第2電極35よりも屈折率が低い材料によって封止材37を形成すれば、第2電極35と封止材37との界面において光の一部が透過するとともに他の一部が反射するから、第2電極35を半透過反射層として機能させることができる。また、アルミニウムや銀(あるいはこれらの金属を主成分とする合金)といった光反射性の材料を薄く形成して第2電極35とした場合であっても、第2電極35を半透過反射層として機能させることができる。
【0035】
各単位素子Uは、光反射層21と第1電極25と発光体33と第2電極35とを含む要素である。各単位素子Uにおいては、光反射層21と第2電極35との間で発光層からの出射光を共振させる共振器構造が形成される。すなわち、発光体33の発光層による出射光が、光反射層21と第2電極35との間で往復し、共振器構造における共振波長の成分のみが選択的に増幅されたうえで第2電極35を透過して観察側(図1の上方)に出射する。したがって、本実施形態によれば、スペクトルのピーク幅が狭く強度も高い光を表示に利用することができる。
【0036】
例えば、発光体33の屈折率および膜厚が各単位素子Uの発光色に拘わらず略同一であると仮定すれば、光反射層21のうち発光体33に対向する表面と発光体33のうち光反射層21に対向する表面との間の光学的距離に応じて共振波長が決定される。そして、本実施形態における光反射層21と発光体33との光学的距離は、以下に説明するように、第1電極25の膜厚(積層数)に応じて単位素子Uの発光色ごとに個別に決定される。
【0037】
図1を参照して説明したように、赤色の単位素子Urにおける光反射層21と発光体33との間には、第1電極25の第1電極層51、第2電極層52、第3電極層53と、保護膜23とが介在する。また、緑色の単位素子Ugの光反射層21と発光体33との間には第1電極25の第2電極層52、第3電極層53と、保護膜23とが介在する。さらに、青色の単位素子Ubの光反射層21と発光体33との間には第1電極25の第3電極層53と保護膜23とが介在する。
【0038】
また、第1電極25がITO(Indium Tin Oxide)によって形成され、保護膜23が第1電極25と屈折率が略同一である窒化珪素によって形成された場合を想定すると、光反射層21と発光体33との光学的距離は、両者間の幾何学的な距離に比例する。すなわち、本実施形態においては、単位素子Urの共振波長が単位素子Ugの共振波長よりも長く、単位素子Ugの共振波長が単位素子Ubの共振波長よりも長いといった具合に、各単位素子Uの共振器構造が第1電極25の膜厚と保護膜23の膜厚とによって決定される。
【0039】
<発光装置の製造方法>
次に、図2〜図11を参照しながら、図1に示す本実施形態のEL装置を製造する方法について説明する。なお、以下に示す各層は、スパッタリングやCVD(Chemical Vapour Deposition)や蒸着など公知である様々な成膜技術によって形成される。また、各層のパターニングには、例えばフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術が利用される。
【0040】
まず、図2に示すように、基板10の表面上の所定の位置に複数の配線12を形成する。続いて、基板10の表面上の全面にわたって下地層14となる膜が形成され、パターニングされることによって図3に示すように下地層14が形成される。次に、基板10の全面にわたって光反射性の導電膜が形成され、この導電膜がパターニングされることによって図4に示すように光反射層21が形成される。
さらに、基板10の全面にわたって光透過性を有する絶縁膜が形成され、この絶縁膜がパターニングされることによって図5に示すように光反射層21を覆う保護膜23が形成される(保護膜形成工程)。得られた保護膜23上には、光反射層21の縁部を被覆する領域に光反射層21の厚みに起因する段差部分Dが形成される。また、本実施形態では、この保護膜形成工程において、図5に示すように、絶縁膜のうち配線12に重なり合う部分が除去されてコンタクトホールHとなる配線の露出した穴hが形成される。
【0041】
次に、光反射層上に第1電極25(画素電極)を形成する。まず、第1電極25の第1電極層51となる導電膜が基板10の全面にわたって形成される。この導電膜の材料が、全てのコンタクトホールHとなる穴hの内部に充填されることにより、第1電極層51と配線12とが導通するコンタクトホールHが形成される。そして、第1電極層51となる導電膜がパターニングされることによって図6に示すように、コンタクトホールH上の全てと、単位素子Uのうち赤色光を出射する単位素子Urの光反射層21上と、第1電極層51の下層となる保護膜23(被形成面)上に存在する段差部分Dとを覆うように、第1電極層51が形成される(第1電極層形成工程)。したがって、第1電極層形成工程においては、図6に示すように、単位素子Uのうち赤色光を出射する単位素子Urの電極部25aおよび接続部25bに対応するとともに、緑色光を出射する単位素子Ugおよび青色光を出射する単位素子Ubの接続部25bに対応する第1電極層51が形成される。
【0042】
次に、第1電極25の第2電極層52となる導電膜が基板10の全面にわたって形成され、この導電膜がパターニングされることによって図7に示すように、第1電極層51が形成された第1電極層形成領域上と、緑色光を出射する単位素子Ugの光反射層21上とを覆うように第2電極層52が形成される(第2電極層形成工程)。したがって、第2電極層形成工程においては、図7に示すように、赤色光を出射する単位素子Urおよび緑色光を出射する単位素子Ugの電極部25aおよび接続部25bに対応するとともに、青色光を出射する単位素子Ubの接続部25b、及び段差部Dに対応する第1電極層51上に第2電極層52が形成される。
【0043】
続いて、第1電極25の第3電極層53となる導電膜が基板10の全面にわたって形成され、この導電膜がパターニングされることによって図8に示すように、第2電極層52が形成された第2電極層形成領域上と、青色光を出射する単位素子Ubの光反射層21上とを覆うように第3電極層53が形成される(第3電極層形成工程)。したがって、第3電極層形成工程においては、図8に示すように、全ての単位素子Uの電極部25aおよび接続部25bに対応する第3電極層53が形成される。
【0044】
続いて、樹脂膜の形成およびそのパターニングによって図9に示すように、隔壁層31が形成される。さらに、この隔壁層31によって仕切られた単位素子Uごとの空間に、図10に示すように、当該単位素子Uに対応した発光色の発光層を含む発光体33が順次に形成される。次いで、図11に示すように、各発光体33を挟んで第1電極25と対向するように半透過反射性の第2電極35が形成され、基板10の全面を覆うように封止材37が設置される(図1参照)。
【0045】
ここで、上述した本実施形態のEL装置の効果について以下に、対比例を挙げて詳述する。
図12は、対比例に係るEL装置であり、図13〜図15は、図12に示すEL装置の製造方法の工程図である。図12に示すEL装置は、図1に示すEL装置と同様に、単一の保護膜23によって総ての単位素子Uの光反射層21を被覆したうえで、第1電極25の膜厚(積層数)を単位素子Uの発光色ごとに個別に選定するものである。
【0046】
図12に示すEL装置が、図1に示すEL装置と異なるところは、図1に示すEL装置では、全てのコンタクトホールH上に、第1電極25を構成する全ての電極層が形成されているのに対し、図12に示すEL装置では、緑色光を出射する単位素子Ugおよび青色光を出射する単位素子UbのコンタクトホールHG、HB上に、第1電極を構成する電極層のうちの一部しか積層されていない点である。具体的には、緑色光を出射する単位素子UgのコンタクトホールHG上には、第1電極の第1電極層251、第2電極層252、第3電極層253の3層の電極層のうち、光反射層21上と同様に、第2電極層252、第3電極層253の2層のみが形成されている。また、青色光を出射する単位素子UbのコンタクトホールHB上には、光反射層21上と同様に、第3電極層253の1層のみが形成されている。
【0047】
そして、図12に示すEL装置を製造する方法において、図1に示すEL装置を製造する方法と異なる工程は、第1電極を形成する工程のみであるので、第1電極を形成する工程についてのみ以下に説明する。
まず、図5に示す基板10の全面にわたって、第1電極の第1電極層251となる導電膜が形成される。この導電膜の材料は、全てのコンタクトホールHとなる穴hの内部に充填される。そして、第1電極層251となる導電膜がパターニングされることによって図13に示すように、赤色光を出射する単位素子UrのコンタクトホールHR上と、単位素子Urの光反射層21上のみを覆うように、第1電極層251が形成される。
【0048】
次に、第1電極の第2電極層252となる導電膜が基板10の全面にわたって形成される。この導電膜の材料は、コンタクトホールHGおよびコンタクトホールHBとなる穴hの内部に充填される。この導電膜がパターニングされることによって図14に示すように、第1電極層251が形成された第1電極層形成領域上と、緑色光を出射する単位素子UgのコンタクトホールHG上と、単位素子Ugの光反射層21上とを覆うように第2電極層252が形成される。
続いて、第1電極の第3電極層253となる導電膜が基板10の全面にわたって形成され、この導電膜がパターニングされることによって図15に示すように、第2電極層252が形成された第2電極層形成領域上と、青色光を出射する単位素子UbのコンタクトホールHB上と、単位素子Ubの光反射層21上とを覆うように第3電極層253が形成される。
【0049】
上述した方法で図12に示すEL装置を製造する場合には、第1電極層251を形成する工程において、緑色光を出射する単位素子Ugおよび青色光を出射する単位素子UbのコンタクトホールHとなる穴hの内部に一旦充填された第1電極層251となる導電膜が、パターニングによって除去される。したがって、コンタクトホールHGおよびコンタクトホールHBとなる穴hの内部は、第1電極層251となる導電膜のパターニングに使用されるエッチング液(エッチャント)にさらされる。
また、第2電極層252を形成する工程において、青色光を出射する単位素子UbのコンタクトホールHBとなる穴hに一旦充填された第2電極層252となる導電膜が、パターニングによって除去される。したがって、コンタクトホールHBとなる穴hの内部は、第2電極層252となる導電膜のパターニングに使用されるエッチング液にもさらされる。
【0050】
これに対し、図1に示すEL装置を製造する場合には、上述した第1電極層形成工程において、コンタクトホールH上に形成された第1電極層51となる導電膜は、パターニングによって除去されない。このため、第1電極層51となる導電膜のパターニングに使用されるエッチング液にコンタクトホールHとなる穴hがさらされることはない。
また、図1に示すEL装置を製造する場合には、第1電極層形成工程において、全ての単位素子Uの接続部25bに対応する第1電極層51が形成され、全てのコンタクトホールHの内部に第1電極層51となる導電膜の材料が充填されるので、第1電極層形成工程においてだけでなく、第2電極層形成工程および第3電極層形成工程においても、パターニングに使用されるエッチング液にコンタクトホールHとなる穴hがさらされることはない。よって、本実施形態によれば、第1電極25を形成する際に使用されるエッチング液の付着に起因したコンタクトホールHの劣化を有効に防止することができる。
【0051】
また、本実施形態のEL装置では、コンタクトホールH上に、第1電極25を構成する全ての電極層が積層されているので、図12に示すEL装置のように、各コンタクトホール上に発光領域と同じ積層数の電極層が積層されている場合など、発光装置の単位素子の中に、コンタクトホール上に形成される電極層の積層数が異なる単位素子が含まれている場合と比較して、配線12と第1電極25とを電気的に接続した際の電気抵抗が均一となり、EL装置の電気特性を安定化させることができる。
また、図12に示すEL装置のように、青色光を出射する単位素子UbのコンタクトホールHB上に、第3電極層253からなる1つの電極層のみが形成されている場合、図1に示すEL装置における単位素子UのコンタクトホールHと比較して、コンタクトホールH上における電極層の断線などが生じやすく、コンタクトホールHを介した配線12と第1電極との電気的な接続における信頼性が低いものとなる。
【0052】
また、本実施形態では、第1電極層形成工程を行なう際には、光反射層21が保護膜23によって被覆されているから、緑色光を出射する単位素子Ugや青色光を出射する単位素子Ubの光反射層21と平面的に重なり合う第1電極層51となる導電膜を除去するときに、エッチング液が単位素子Ugや単位素子Ubの光反射層21に付着することはない。さらに、本実施形態においては、光反射層21が保護膜23によって被覆されているから、第2電極層形成工程を行なう際に、青色光を出射する単位素子Ubの光反射層21と平面的に重なり合う第2電極層52となる導電膜を除去するときにも、エッチング液が単位素子Ubの光反射層21に付着することはない。よって、第1電極層形成工程および第2電極層形成工程において使用されるエッチング液の付着に起因した各光反射層21の劣化を効果的に防止できる。
【0053】
さらに、光反射層21を覆う保護膜23が配置されている場合であっても、保護膜23上に形成される段差部分Dは欠陥が生じやすく、段差部分Dから第1電極25のパターニングに使用されるエッチング液が浸入して光反射層21を劣化させる恐れがある。これに対し、本実施形態においては、保護膜23上に存在する段差部分Dを覆うように第1電極層51が形成されているので、保護膜23の段差に起因する欠陥を防止することができ、EL装置の特性に支障を来たすことをより一層効果的に防止できる。
【0054】
<変形例>
また、上述した実施形態には様々な変形を加えることができる。具体的な変形の態様を例示すれば以下の通りである。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。
(1)上述した実施形態においては、光反射層21を覆う保護膜23が形成されたものを例に挙げて説明したが、保護膜23はなくてもよい。
【0055】
(2)上述した実施形態においては、各発光色の単位素子Uを構成する要素が相互に離間して形成された構成を例示したが、各要素は各発光色の単位素子Uにわたって連続していてもよい。例えば、発光体33の少なくともひとつの機能層や第2電極35が総ての単位素子Uにわたって連続的に分布する構成としてもよい。発光層が総ての単位素子Uにわたって連続する構成であっても、各単位素子の共振波長を適宜に選定することによって各単位素子Uの発光色を相違させることが可能である。さらに、第1実施形態における光反射層21が総ての単位素子Uにわたって連続的に分布する構成としてもよい。
【0056】
(3)上述した実施形態においては、第2電極35が共振器構造の半透過反射層として兼用される構成を例示したが、半透過反射層が第2電極35とは別個に形成された構成としてもよい。この構成における半透過反射層は第2電極35に対して発光体33側に設置されてもよいしこれとは反対側(観察側)に配置されてもよい。
【0057】
(4)上述した実施形態において、各単位素子Uの発光色に対応した色彩(赤色・緑色および青色)のカラーフィルタが設置された構成としてもよい。カラーフィルタとしては、光透過性を有する板材の表面に各色のカラーフィルタが形成されたものを例示できる。各単位素子Uに対応するカラーフィルタは、その単位素子Uの共振波長に対応する波長の光を選択的に透過させる手段である。例えば、赤色の単位素子Urの観察側には赤色に対応した光を透過させるカラーフィルタが設置される。この構成によれば、各単位素子Uからの出射光のうちカラーフィルタを透過した成分のみが観察側に出射するから、カラーフィルタが設置されない構成よりも色再現性を向上することができる。また、各カラーフィルタによって外光が吸収されるから、外光の反射が低減されるという利点もある。
【0058】
(5)発光装置を構成する各部の材料や各々を製造する方法は任意に変更される。例えば、上述した実施形態においては有機EL材料からなる発光層を例示したが、例えば無機EL材料からなる発光層を含む発光装置や、発光ダイオードを発光体に利用した発光装置にも本発明を同様に適用することができる。
【0059】
<電子機器>
次に、本発明に係る発光装置を利用した電子機器について説明する。
図16は、図1に示すEL装置を表示装置として適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話機1000は、複数の操作ボタン1001およびスクロールボタン1002、ならびに表示装置としてのEL装置1004を備える。
【0060】
なお、本発明に係る発光装置が適用される電子機器としては、図16に示したもののほか、パーソナルコンピュータ、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。
また、本発明に係る発光装置の用途は画像の表示に限定されない。例えば、液晶パネルのバックライトとして本発明の発光装置を利用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図である。
【図2】図1に示す発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図3】図1に示す発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図4】図1に示す発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図5】図1に示す発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図6】図1に示す発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図7】図1に示す発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図8】図1に示す発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図9】図1に示す発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図10】図1に示す発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図11】図1に示す発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図12】対比例に係る発光装置の構成を示す断面図である。
【図13】図12に示す発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図14】図12に示す発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図15】図12に示す発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図16】本発明に係る電子機器の一例を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
10…基板、12…配線、14…下地層、21…光反射層、23…保護膜、25…第1電極(画素電極)、25a…電極部、25b…接続部、…31…隔壁層、33…発光体、35…第2電極(半透過反射層)、37…封止材、51、251…第1電極層(電極層)、52、252…第2電極層(電極層)、53、253…第3電極層(電極層)、1004…EL装置、D…段差部分、H、Hr、Hg、Hb、HR、HG、HB…コンタクトホール、U…単位素子、Ur…単位素子(第1単位素子)、Ug…単位素子Ug(第2単位素子)、Ub…単位素子(第3単位素子)、R、G、B…発光領域。
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、発光装置の製造方法および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、有機EL(ElectroLuminescent)材料などの発光材料からなる発光層を第1電極と第2電極との間に介在させた素子(以下「単位素子」という)が基板上に配列された発光装置が提案されている。この種の発光装置においては、発光層による出射光のスペクトルのピーク幅が広くその強度も低いため、例えば表示装置として採用されたときに充分な色再現性の確保が困難であるという問題がある。
【0003】
この問題を解決するために、例えば特許文献1には、発光層からの出射光を共振させる共振器構造を各単位素子に形成した構成が開示されている。この構成においては、発光層に対して基板側に位置する光透過性の第1電極と当該基板との間に光反射層(誘電体ミラー)が配置される。発光層からの出射光は、この発光層を挟んで相互に対向する光反射層と第2電極との間で往復する。そして、光反射層と第2電極との光学的距離に応じた共振波長の光が選択的に増幅されたうえで観察側に出射する。したがって、スペクトルのピーク幅が狭く強度も高い光を表示に利用することができる。よって、表示装置の色再現性を向上させることが可能となる。また、単位素子ごとに光反射層と第2電極との光学的距離を調整することによって複数の色彩(例えば赤色や緑色や青色)に対応した波長の光を取り出すこともできる。
【0004】
また、共振器構造が各単位素子に形成された発光装置として、光反射層と第2電極との間にRGB(赤色、緑色、青色)それぞれに対応する3種類の厚みの第1電極が形成されたものが提案されている。このような発光装置では、一般に、厚みの厚い単位素子から順に第1電極となる膜の成膜を行い、RGBそれぞれに対応する所定の厚みとなるまで、パターニングを繰り返す方法により第1電極を形成している。
【特許文献1】国際公開第01/039554号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなパターニングを繰り返す方法により、RGBそれぞれに対応する所定の厚みを有する第1電極を形成する場合、要求される第1電極の厚みによって、単位素子上に成膜された膜をエッチング除去するか否かが決定される。このため、第1電極の厚みの薄い単位素子を構成するコンタクトホールが、厚みの厚い単位素子の第1電極のパターニングの際にエッチング液にさらされることになり、発光装置の電気特性に支障を来たす場合があり、問題となっていた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、安定した電気特性の得られる発光装置およびその製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために、本発明に係る発光装置は、基板上に光反射層と、半透過反射層と、前記光反射層と前記半透過反射層との間に配置された発光層と、前記光反射層と前記半透過反射層との間に配置された光透過性の画素電極とを含む複数の単位素子を備え、各単位素子の発光領域に共振器構造が形成され、前記複数の単位素子のうちの第1単位素子と、前記第1単位素子と前記共振器構造における共振波長の相違する第2単位素子とを備えた発光装置において、前記画素電極は、前記発光領域に配置された電極部と、配線に接続される接続部とから構成され、前記第1単位素子の前記画素電極は、前記電極部および前記接続部に対応する電極層が複数積層されてなり、前記第2単位素子の前記画素電極は少なくとも、前記電極部および前記接続部に対応する電極層と、前記接続部に対応する電極層とが積層されてなり、前記第1単位素子の前記電極部における前記電極層の積層数よりも前記第2単位素子の前記電極部における前記電極層の積層数が少ないことを特徴とする。
【0008】
このような発光装置では、前記第1単位素子の前記電極部における前記電極層の積層数よりも前記第2単位素子の前記電極部における前記電極層の積層数が少ないので、第1単位素子の画素電極となる電極層を形成する際における最初のパターニングで、第2単位素子の電極部に対応する電極層が除去されることになる。しかし、本発明の発光装置においては、前記第2単位素子の前記画素電極が、前記電極部および前記接続部に対応する電極層と、前記接続部に対応する電極層とが積層されてなるものであるので、第1単位素子の画素電極を構成する電極層をパターニングする際に、第2単位素子の接続部に対応する電極層を除去する必要はない。したがって、本発明の発光装置を製造する工程において、接続部の基板側の面が、電極層のパターニングに使用されるエッチング液にさらされることはない。例えば、接続部の基板側の面に配線を露出させるコンタクトホールが形成されている場合に、コンタクトホールが電極層のパターニングに使用されるエッチング液にさらされることはない。よって、本発明の発光装置においては、電極層のパターニングに使用されるエッチング液が発光装置の電気特性に支障を来たすことが効果的に防止される。
【0009】
さらに、本発明の発光装置では、前記第2単位素子の前記画素電極は、前記電極部および前記接続部に対応する電極層と、前記接続部に対応する電極層とが積層されてなるものであるので、第2単位素子の接続部には、複数の電極層が形成されていることになる。よって、接続部と配線との電気的な接続における信頼性が高いものとなり、安定した電気特性の得られるものとなる。
これに対し、例えば、接続部に1つの電極層のみが形成されている場合、配線と画素電極との接続部分に断線などが生じやすく、配線と画素電極との電気的な接続における信頼性が低いものとなる。
【0010】
また、本発明の発光装置では、前記第1単位素子および前記第2単位素子と、前記電極部に対応する電極層の積層数が異なり、前記共振器構造における共振波長の相違する第3単位素子を備えたものとすることができる。
このような発光装置とすることで、例えば、第1単位素子、第2単位素子、第3単位素子を、それぞれRGBに対応した波長の光を取り出すものとすることができ、安定した電気特性が得られ、色再現性に優れたカラーの発光装置を実現できる。
【0011】
また、本発明の発光装置では、前記接続部に対応する電極層の積層数が、全ての単位素子で同じであるものとすることができる。
このような発光装置では、前記接続部に対応する電極層の積層数が異なる単位素子が含まれている場合と比較して、配線と画素電極とを電気的に接続した際の電気抵抗が均一となり、発光装置の電気特性を安定化させることができる。
【0012】
また、本発明の発光装置では、前記画素電極は、前記画素電極の前記基板側に存在する段差部分を覆っているものとすることができる。
このような発光装置とすることで、段差部分を覆っている電極層のパターニングに使用されるエッチング液が、前記電極の前記基板側に存在する段差部分から電極層の基板側に浸入して、発光装置の特性に支障を来たすことを効果的に防止できる。
【0013】
また、本発明の発光装置では、前記光反射層の前記基板と反対側に、前記光反射層を覆い、光透過性を有する保護膜が配置されているものとすることができる。
光反射層に電極層のパターニングに使用されるエッチング液が付着すると、光反射層の表面が損傷(腐食)してしまう。光反射層の材料としてはアルミニウムや銀などの材料が好適に採用されるが、この種の材料は耐蝕性が低いから、エッチング液による損傷や劣化は特に顕著である。そして、光反射層が損傷することによって光反射層の反射特性(例えば反射率)が劣化すると、共振器構造による共振の効率が低下する。
これに対し、前記光反射層の前記基板と反対側に前記光反射層を覆う保護膜が配置されている発光装置とすることで、電極層のパターニングに使用されるエッチング液が光反射層に付着することを効果的に防止することができる。
【0014】
本発明に係る発光装置の製造方法は、請求項1に記載の発光装置を製造する方法であって、前記第1単位素子の前記電極部および前記接続部に対応するとともに、前記第2単位素子の前記接続部に対応する第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、前記第1単位素子および前記第2単位素子の前記電極部および前記接続部に対応する第2電極層を形成する第2電極層形成工程とを含むことを特徴とする。
【0015】
本発明の発光装置の製造方法によれば、第1電極層および第2電極層をパターニングする際に、接続部となる電極層がエッチングされることはなく、発光装置を製造する工程において、接続部の基板側の面が、電極層のパターニングに使用されるエッチング液にさらされることはない。
また、本発明の発光装置の製造方法によれば、第1電極層形成工程および第2電極層形成工程を行なうことによって、第1単位素子の電極部に第1電極層と第2電極層の2層の電極層が形成され、第2単位素子の電極部に第2電極層が形成されるとともに、第1単位素子および第2単位素子の接続部に第1電極層と第2電極層の2層の電極層が形成される。したがって、本発明の発光装置の製造方法によれば、第1単位素子と第2単位素子とで電極部を構成する電極層の積層数が異なるものを形成することができる。また、本発明の発光装置の製造方法によれば、第1単位素子においても第2単位素子においても、接続部に2層の電極層が形成されるので、電極層の断線が生じにくく、配線と画素電極との電気的な接続における信頼性が高いものとなる。
【0016】
上記の発光装置の製造方法では、前記第1電極層形成工程において、第1電極層により、前記第1単位素子および前記第2単位素子と相違する第3単位素子の前記接続部に対応する電極層を形成し、前記第2電極層形成工程において、第2電極層により、前記第3単位素子の前記接続部に対応する電極層を形成し、前記第2電極層形成工程の後に、前記第1単位素子、前記第2単位素子、前記第3単位素子の前記電極部および前記接続部に対応する第3電極層を形成する第3電極層形成工程とを含む製造方法とすることができる。
【0017】
このような製造方法によれば、第1単位素子の電極部に第1電極層と第2電極層と第3電極層の3層の電極層が形成され、第2単位素子の電極部に第2電極層と第3電極層の2層の電極層が形成され、第3単位素子の電極部に第3電極層が形成されるとともに、第1単位素子、第2単位素子、第3単位素子の接続部に第1電極層と第2電極層と第3電極層の3層の電極層が形成される。したがって、接続部における電極層の断線がより一層生じにくいものとなり、配線と画素電極との電気的な接続における信頼性が非常に高いものとなる。
また、このような製造方法によれば、例えば、第1単位素子、第2単位素子、第3単位素子を、それぞれRGBに対応した波長の光を取り出すものとすることができ、安定した電気特性が得られ、色再現性に優れたカラーの発光装置を製造できる。
【0018】
上記の発光装置の製造方法では、前記第1電極層形成工程において、前記第1電極層を形成する被形成面上の段差部分を覆うように第1電極層を形成する製造方法とすることができる。
このような製造方法によれば、電極層のパターニングに使用されるエッチング液が、第1電極層を形成する被形成面上における段差部分から電極層の基板側に浸入して、発光装置の特性に支障を来たすことを効果的に防止できる。
【0019】
上記の発光装置の製造方法では、前記第1電極層上であって、前記段差部分に対応する部分を覆うように第2電極層を形成する製造方法とすることができる。
このような製造方法によれば、被形成面上における段差部分を第1電極層のみで覆う場合よりも、エッチング液の浸入を効果的に防止することができる。
【0020】
上記の発光装置の製造方法では、前記電極形成工程の前に、前記光反射層を形成する工程と、前記光反射層を覆い、光透過性を有する保護膜を形成する保護膜形成工程を含む製造方法とすることができる。
このような製造方法によれば、電極層のパターニングに使用されるエッチング液が光反射層に付着することを防止できる。
【0021】
本発明の電子機器は、上記のいずれかに記載の発光装置を具備することを特徴とする。
このような電子機器によれば、配線と画素電極との電気的な接続における信頼性が高く、安定した電気特性の得られる発光装置を備えたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の発光装置を発光装置の一例であるEL装置に適用した場合の実施形態を例に挙げて説明する。なお、以降の説明では図面を用いて各種の構造を例示するが、これらの図面に示される構造は特徴的な部分を分かり易く示すために実際の構造に対して寸法を異ならせて示す場合がある。
【0023】
<発光装置>
まず、発光装置の実施形態に係るEL装置について説明する。
図1は、本実施形態に係るEL装置の構造を示す断面図である。図1に示すEL装置は、マトリクス状に配列された複数の単位素子U(Ur、Ug、Ub)が封止材37によって基板10の面上に封止された構成となっている。各単位素子Uは、赤色、緑色、青色の何れかに対応した波長の光を発生する要素であり、共振器構造における共振波長が相違している。すなわち、単位素子Ur(第1単位素子)は赤色光を出射し、単位素子Ug(第2単位素子)は緑色光を出射し、単位素子Ub(第3単位素子)は青色光を出射する。
本実施形態におけるEL装置は、各単位素子Uにて発生した光が基板10とは反対側に向かって出射するトップエミッション型である。したがって、基板10として、ガラスなどの光透過性を有する板材のほか、セラミックスや金属のシートなど不透明な板材を採用することができる。
【0024】
図1に示すように、基板10の表面には複数の配線12が形成されている。配線12は、各単位素子Uを駆動するための信号を伝送する例えばデータ線や走査線である。
また、各配線12が形成された基板10の表面は、下地層14によって覆われている。下地層14は、例えばアクリル系やエポキシ系などの樹脂材料または酸化珪素(SiOx)や窒化珪素(SiNx)などの無機材料などの各種の絶縁材料によって形成された膜体である。
下地層14の表面上には、各単位素子Uに対応するように光反射層21が形成されている。本実施形態における光反射層21は、各単位素子Uの配列に沿うようにストライプ状に形成される。各光反射層21は、光反射性を有する材料からなる。具体的には、光反射層21を形成する材料として、アルミニウムや銀などの単体金属、またはアルミニウムや銀を主成分とする合金といった様々な材料が使用される。
【0025】
光反射層21が形成された下地層14の表面は、複数の単位素子Uにわたって連続に分布する保護層23によって被覆されている。保護層23は、後述する電極層のパターニングに使用されるエッチング液が光反射層21に付着しないように保護するためのものであり、例えば酸化珪素(SiOx)や窒化珪素(SiNx)といった光透過性を有する絶縁材料によって形成される。
【0026】
また、図1に示すように、基板10の表面と垂直な方向からみて配線12と重なり合う位置には、保護層23と下地層14とを各々の厚さ方向に貫通するコンタクトホールH(Hr、Hg、Hb)が単位素子Uごとに形成されている。すなわち、コンタクトホールHrは赤色光を出射する単位素子Urに、コンタクトホールHgは緑色光を出射する単位素子Ugに、コンタクトホールHbは青色光を出射する単位素子Ubに設けられている。
【0027】
保護層23が形成された基板10の表面上には、発光体33と平面的に重なり合う発光領域RGBに配置された電極部25aと、コンタクトホールH上に配置され、コンタクトホールHを介して外部と接続する電荷を受渡しするための配線に接続される接続部25bとから構成された第1電極25(画素電極)が形成されている。第1電極25は、図1に示すように、第1電極25の基板10側に存在する段差部分Dを覆うように形成されているとともに、単位素子Uごとに相互に離間して形成されている。本実施形態では、単位素子Uの発光色ごとに、電極部25aの電極層の積層数が異なっている。
【0028】
より詳細には、保護層23が形成された基板10の表面上には、コンタクトホールH上と、単位素子Uのうち赤色光を出射する単位素子Urの光反射層21上とを覆うように第1電極層51が形成されている。また、第1電極層51が形成された第1電極層形成領域上と、緑色光を出射する単位素子Ugの光反射層21上とを覆うように第2電極層52が形成され、第2電極層52が形成された第2電極層形成領域上と、青色光を出射する単位素子Ubの光反射層21上とを覆うように第3電極層53が形成されている。第1電極層51と第2電極層52と第3電極層53の各々は、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)といった光透過性の導電材料によって形成されている。
【0029】
したがって、図1に示すように、赤色光を出射する単位素子Urの第1電極25は、電極部25aおよび接続部25bに対応する第1電極層51と第2電極層52と第3電極層53の3層の電極層が積層されてなり、緑色光を出射する単位素子Ugの第1電極25は、接続部25bに対応する第1電極層51と、電極部25aおよび接続部25bに対応する第2電極層52および第3電極層53の2層の電極層とが積層されてなり、青色光を出射する単位素子Ubの第1電極25は、接続部25bに対応する第1電極層51および第2電極層52と、電極部25aおよび接続部25bに対応する第3電極層53とが積層されてなるものである。
【0030】
また、図1に示すように、各コンタクトホールH上には、第1電極25を構成する全ての電極層である第1電極層51と第2電極層52と第3電極層53が積層され、全ての単位素子Uにおいて、第1電極25の接続部25bに対応する電極層の積層数が同じとなっている。また、第1電極層51が、コンタクトホールHに入り込んで配線12と接触するように形成され、第1電極層51と第2電極層52と第3電極層53とが配線12に電気的に接続されている。
【0031】
第1電極25が形成された基板10の表面上には隔壁層31が形成されている。隔壁層31は、基板10の表面上の空間を単位素子Uごとに仕切るように格子状に形成された隔壁である。隔壁層31は、例えばアクリル系やエポキシ系といった樹脂材料または酸化珪素や窒化珪素といった無機材料など各種の絶縁材料によって形成される。
【0032】
隔壁層31の内壁に包囲され、第1電極25を底面とする空間には、単位素子Uごとに発光体33が形成されている。発光体33は、有機EL材料からなる発光層を含む複数の機能層を積層した構造となっている。各単位素子Uの発光体33は、その単位素子Uに対応した波長の光を発光する発光層を含む。各単位素子Uの第1電極25は、発光体33に電気エネルギーを付与するための陽極として機能する。一方、各発光体33の表面には、発光体33の陰極として機能する第2電極35が形成されている。ただし、第1電極25が陰極として機能するとともに第2電極35が陽極として機能する構成としてもよい。
【0033】
本実施形態における発光体33は、正孔輸送層と発光層と電子輸送層という3種類の機能層を基板10側から第2電極35側に向かってこの順番に積層した構造となっている。ただし、発光体33の構造はこの例示に限定されない。例えば、正孔輸送層と第1電極25との間に正孔注入層を介在させた構成や、電子輸送層と第2電極35との間に電子注入層を介在させた構成としてもよい。すなわち、第1電極25と第2電極35との間に発光層が介在する構成であれば足りる。
【0034】
第2電極35(半透過反射層)は、その表面に到達した光の一部を透過するとともにその残りを反射する性質を持った半透過反射層として機能する。本実施形態における第2電極35は、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの光透過性を有する材料によって形成される。このように第2電極35が光透過性の材料からなる場合であっても、第2電極35よりも屈折率が低い材料によって封止材37を形成すれば、第2電極35と封止材37との界面において光の一部が透過するとともに他の一部が反射するから、第2電極35を半透過反射層として機能させることができる。また、アルミニウムや銀(あるいはこれらの金属を主成分とする合金)といった光反射性の材料を薄く形成して第2電極35とした場合であっても、第2電極35を半透過反射層として機能させることができる。
【0035】
各単位素子Uは、光反射層21と第1電極25と発光体33と第2電極35とを含む要素である。各単位素子Uにおいては、光反射層21と第2電極35との間で発光層からの出射光を共振させる共振器構造が形成される。すなわち、発光体33の発光層による出射光が、光反射層21と第2電極35との間で往復し、共振器構造における共振波長の成分のみが選択的に増幅されたうえで第2電極35を透過して観察側(図1の上方)に出射する。したがって、本実施形態によれば、スペクトルのピーク幅が狭く強度も高い光を表示に利用することができる。
【0036】
例えば、発光体33の屈折率および膜厚が各単位素子Uの発光色に拘わらず略同一であると仮定すれば、光反射層21のうち発光体33に対向する表面と発光体33のうち光反射層21に対向する表面との間の光学的距離に応じて共振波長が決定される。そして、本実施形態における光反射層21と発光体33との光学的距離は、以下に説明するように、第1電極25の膜厚(積層数)に応じて単位素子Uの発光色ごとに個別に決定される。
【0037】
図1を参照して説明したように、赤色の単位素子Urにおける光反射層21と発光体33との間には、第1電極25の第1電極層51、第2電極層52、第3電極層53と、保護膜23とが介在する。また、緑色の単位素子Ugの光反射層21と発光体33との間には第1電極25の第2電極層52、第3電極層53と、保護膜23とが介在する。さらに、青色の単位素子Ubの光反射層21と発光体33との間には第1電極25の第3電極層53と保護膜23とが介在する。
【0038】
また、第1電極25がITO(Indium Tin Oxide)によって形成され、保護膜23が第1電極25と屈折率が略同一である窒化珪素によって形成された場合を想定すると、光反射層21と発光体33との光学的距離は、両者間の幾何学的な距離に比例する。すなわち、本実施形態においては、単位素子Urの共振波長が単位素子Ugの共振波長よりも長く、単位素子Ugの共振波長が単位素子Ubの共振波長よりも長いといった具合に、各単位素子Uの共振器構造が第1電極25の膜厚と保護膜23の膜厚とによって決定される。
【0039】
<発光装置の製造方法>
次に、図2〜図11を参照しながら、図1に示す本実施形態のEL装置を製造する方法について説明する。なお、以下に示す各層は、スパッタリングやCVD(Chemical Vapour Deposition)や蒸着など公知である様々な成膜技術によって形成される。また、各層のパターニングには、例えばフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術が利用される。
【0040】
まず、図2に示すように、基板10の表面上の所定の位置に複数の配線12を形成する。続いて、基板10の表面上の全面にわたって下地層14となる膜が形成され、パターニングされることによって図3に示すように下地層14が形成される。次に、基板10の全面にわたって光反射性の導電膜が形成され、この導電膜がパターニングされることによって図4に示すように光反射層21が形成される。
さらに、基板10の全面にわたって光透過性を有する絶縁膜が形成され、この絶縁膜がパターニングされることによって図5に示すように光反射層21を覆う保護膜23が形成される(保護膜形成工程)。得られた保護膜23上には、光反射層21の縁部を被覆する領域に光反射層21の厚みに起因する段差部分Dが形成される。また、本実施形態では、この保護膜形成工程において、図5に示すように、絶縁膜のうち配線12に重なり合う部分が除去されてコンタクトホールHとなる配線の露出した穴hが形成される。
【0041】
次に、光反射層上に第1電極25(画素電極)を形成する。まず、第1電極25の第1電極層51となる導電膜が基板10の全面にわたって形成される。この導電膜の材料が、全てのコンタクトホールHとなる穴hの内部に充填されることにより、第1電極層51と配線12とが導通するコンタクトホールHが形成される。そして、第1電極層51となる導電膜がパターニングされることによって図6に示すように、コンタクトホールH上の全てと、単位素子Uのうち赤色光を出射する単位素子Urの光反射層21上と、第1電極層51の下層となる保護膜23(被形成面)上に存在する段差部分Dとを覆うように、第1電極層51が形成される(第1電極層形成工程)。したがって、第1電極層形成工程においては、図6に示すように、単位素子Uのうち赤色光を出射する単位素子Urの電極部25aおよび接続部25bに対応するとともに、緑色光を出射する単位素子Ugおよび青色光を出射する単位素子Ubの接続部25bに対応する第1電極層51が形成される。
【0042】
次に、第1電極25の第2電極層52となる導電膜が基板10の全面にわたって形成され、この導電膜がパターニングされることによって図7に示すように、第1電極層51が形成された第1電極層形成領域上と、緑色光を出射する単位素子Ugの光反射層21上とを覆うように第2電極層52が形成される(第2電極層形成工程)。したがって、第2電極層形成工程においては、図7に示すように、赤色光を出射する単位素子Urおよび緑色光を出射する単位素子Ugの電極部25aおよび接続部25bに対応するとともに、青色光を出射する単位素子Ubの接続部25b、及び段差部Dに対応する第1電極層51上に第2電極層52が形成される。
【0043】
続いて、第1電極25の第3電極層53となる導電膜が基板10の全面にわたって形成され、この導電膜がパターニングされることによって図8に示すように、第2電極層52が形成された第2電極層形成領域上と、青色光を出射する単位素子Ubの光反射層21上とを覆うように第3電極層53が形成される(第3電極層形成工程)。したがって、第3電極層形成工程においては、図8に示すように、全ての単位素子Uの電極部25aおよび接続部25bに対応する第3電極層53が形成される。
【0044】
続いて、樹脂膜の形成およびそのパターニングによって図9に示すように、隔壁層31が形成される。さらに、この隔壁層31によって仕切られた単位素子Uごとの空間に、図10に示すように、当該単位素子Uに対応した発光色の発光層を含む発光体33が順次に形成される。次いで、図11に示すように、各発光体33を挟んで第1電極25と対向するように半透過反射性の第2電極35が形成され、基板10の全面を覆うように封止材37が設置される(図1参照)。
【0045】
ここで、上述した本実施形態のEL装置の効果について以下に、対比例を挙げて詳述する。
図12は、対比例に係るEL装置であり、図13〜図15は、図12に示すEL装置の製造方法の工程図である。図12に示すEL装置は、図1に示すEL装置と同様に、単一の保護膜23によって総ての単位素子Uの光反射層21を被覆したうえで、第1電極25の膜厚(積層数)を単位素子Uの発光色ごとに個別に選定するものである。
【0046】
図12に示すEL装置が、図1に示すEL装置と異なるところは、図1に示すEL装置では、全てのコンタクトホールH上に、第1電極25を構成する全ての電極層が形成されているのに対し、図12に示すEL装置では、緑色光を出射する単位素子Ugおよび青色光を出射する単位素子UbのコンタクトホールHG、HB上に、第1電極を構成する電極層のうちの一部しか積層されていない点である。具体的には、緑色光を出射する単位素子UgのコンタクトホールHG上には、第1電極の第1電極層251、第2電極層252、第3電極層253の3層の電極層のうち、光反射層21上と同様に、第2電極層252、第3電極層253の2層のみが形成されている。また、青色光を出射する単位素子UbのコンタクトホールHB上には、光反射層21上と同様に、第3電極層253の1層のみが形成されている。
【0047】
そして、図12に示すEL装置を製造する方法において、図1に示すEL装置を製造する方法と異なる工程は、第1電極を形成する工程のみであるので、第1電極を形成する工程についてのみ以下に説明する。
まず、図5に示す基板10の全面にわたって、第1電極の第1電極層251となる導電膜が形成される。この導電膜の材料は、全てのコンタクトホールHとなる穴hの内部に充填される。そして、第1電極層251となる導電膜がパターニングされることによって図13に示すように、赤色光を出射する単位素子UrのコンタクトホールHR上と、単位素子Urの光反射層21上のみを覆うように、第1電極層251が形成される。
【0048】
次に、第1電極の第2電極層252となる導電膜が基板10の全面にわたって形成される。この導電膜の材料は、コンタクトホールHGおよびコンタクトホールHBとなる穴hの内部に充填される。この導電膜がパターニングされることによって図14に示すように、第1電極層251が形成された第1電極層形成領域上と、緑色光を出射する単位素子UgのコンタクトホールHG上と、単位素子Ugの光反射層21上とを覆うように第2電極層252が形成される。
続いて、第1電極の第3電極層253となる導電膜が基板10の全面にわたって形成され、この導電膜がパターニングされることによって図15に示すように、第2電極層252が形成された第2電極層形成領域上と、青色光を出射する単位素子UbのコンタクトホールHB上と、単位素子Ubの光反射層21上とを覆うように第3電極層253が形成される。
【0049】
上述した方法で図12に示すEL装置を製造する場合には、第1電極層251を形成する工程において、緑色光を出射する単位素子Ugおよび青色光を出射する単位素子UbのコンタクトホールHとなる穴hの内部に一旦充填された第1電極層251となる導電膜が、パターニングによって除去される。したがって、コンタクトホールHGおよびコンタクトホールHBとなる穴hの内部は、第1電極層251となる導電膜のパターニングに使用されるエッチング液(エッチャント)にさらされる。
また、第2電極層252を形成する工程において、青色光を出射する単位素子UbのコンタクトホールHBとなる穴hに一旦充填された第2電極層252となる導電膜が、パターニングによって除去される。したがって、コンタクトホールHBとなる穴hの内部は、第2電極層252となる導電膜のパターニングに使用されるエッチング液にもさらされる。
【0050】
これに対し、図1に示すEL装置を製造する場合には、上述した第1電極層形成工程において、コンタクトホールH上に形成された第1電極層51となる導電膜は、パターニングによって除去されない。このため、第1電極層51となる導電膜のパターニングに使用されるエッチング液にコンタクトホールHとなる穴hがさらされることはない。
また、図1に示すEL装置を製造する場合には、第1電極層形成工程において、全ての単位素子Uの接続部25bに対応する第1電極層51が形成され、全てのコンタクトホールHの内部に第1電極層51となる導電膜の材料が充填されるので、第1電極層形成工程においてだけでなく、第2電極層形成工程および第3電極層形成工程においても、パターニングに使用されるエッチング液にコンタクトホールHとなる穴hがさらされることはない。よって、本実施形態によれば、第1電極25を形成する際に使用されるエッチング液の付着に起因したコンタクトホールHの劣化を有効に防止することができる。
【0051】
また、本実施形態のEL装置では、コンタクトホールH上に、第1電極25を構成する全ての電極層が積層されているので、図12に示すEL装置のように、各コンタクトホール上に発光領域と同じ積層数の電極層が積層されている場合など、発光装置の単位素子の中に、コンタクトホール上に形成される電極層の積層数が異なる単位素子が含まれている場合と比較して、配線12と第1電極25とを電気的に接続した際の電気抵抗が均一となり、EL装置の電気特性を安定化させることができる。
また、図12に示すEL装置のように、青色光を出射する単位素子UbのコンタクトホールHB上に、第3電極層253からなる1つの電極層のみが形成されている場合、図1に示すEL装置における単位素子UのコンタクトホールHと比較して、コンタクトホールH上における電極層の断線などが生じやすく、コンタクトホールHを介した配線12と第1電極との電気的な接続における信頼性が低いものとなる。
【0052】
また、本実施形態では、第1電極層形成工程を行なう際には、光反射層21が保護膜23によって被覆されているから、緑色光を出射する単位素子Ugや青色光を出射する単位素子Ubの光反射層21と平面的に重なり合う第1電極層51となる導電膜を除去するときに、エッチング液が単位素子Ugや単位素子Ubの光反射層21に付着することはない。さらに、本実施形態においては、光反射層21が保護膜23によって被覆されているから、第2電極層形成工程を行なう際に、青色光を出射する単位素子Ubの光反射層21と平面的に重なり合う第2電極層52となる導電膜を除去するときにも、エッチング液が単位素子Ubの光反射層21に付着することはない。よって、第1電極層形成工程および第2電極層形成工程において使用されるエッチング液の付着に起因した各光反射層21の劣化を効果的に防止できる。
【0053】
さらに、光反射層21を覆う保護膜23が配置されている場合であっても、保護膜23上に形成される段差部分Dは欠陥が生じやすく、段差部分Dから第1電極25のパターニングに使用されるエッチング液が浸入して光反射層21を劣化させる恐れがある。これに対し、本実施形態においては、保護膜23上に存在する段差部分Dを覆うように第1電極層51が形成されているので、保護膜23の段差に起因する欠陥を防止することができ、EL装置の特性に支障を来たすことをより一層効果的に防止できる。
【0054】
<変形例>
また、上述した実施形態には様々な変形を加えることができる。具体的な変形の態様を例示すれば以下の通りである。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。
(1)上述した実施形態においては、光反射層21を覆う保護膜23が形成されたものを例に挙げて説明したが、保護膜23はなくてもよい。
【0055】
(2)上述した実施形態においては、各発光色の単位素子Uを構成する要素が相互に離間して形成された構成を例示したが、各要素は各発光色の単位素子Uにわたって連続していてもよい。例えば、発光体33の少なくともひとつの機能層や第2電極35が総ての単位素子Uにわたって連続的に分布する構成としてもよい。発光層が総ての単位素子Uにわたって連続する構成であっても、各単位素子の共振波長を適宜に選定することによって各単位素子Uの発光色を相違させることが可能である。さらに、第1実施形態における光反射層21が総ての単位素子Uにわたって連続的に分布する構成としてもよい。
【0056】
(3)上述した実施形態においては、第2電極35が共振器構造の半透過反射層として兼用される構成を例示したが、半透過反射層が第2電極35とは別個に形成された構成としてもよい。この構成における半透過反射層は第2電極35に対して発光体33側に設置されてもよいしこれとは反対側(観察側)に配置されてもよい。
【0057】
(4)上述した実施形態において、各単位素子Uの発光色に対応した色彩(赤色・緑色および青色)のカラーフィルタが設置された構成としてもよい。カラーフィルタとしては、光透過性を有する板材の表面に各色のカラーフィルタが形成されたものを例示できる。各単位素子Uに対応するカラーフィルタは、その単位素子Uの共振波長に対応する波長の光を選択的に透過させる手段である。例えば、赤色の単位素子Urの観察側には赤色に対応した光を透過させるカラーフィルタが設置される。この構成によれば、各単位素子Uからの出射光のうちカラーフィルタを透過した成分のみが観察側に出射するから、カラーフィルタが設置されない構成よりも色再現性を向上することができる。また、各カラーフィルタによって外光が吸収されるから、外光の反射が低減されるという利点もある。
【0058】
(5)発光装置を構成する各部の材料や各々を製造する方法は任意に変更される。例えば、上述した実施形態においては有機EL材料からなる発光層を例示したが、例えば無機EL材料からなる発光層を含む発光装置や、発光ダイオードを発光体に利用した発光装置にも本発明を同様に適用することができる。
【0059】
<電子機器>
次に、本発明に係る発光装置を利用した電子機器について説明する。
図16は、図1に示すEL装置を表示装置として適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話機1000は、複数の操作ボタン1001およびスクロールボタン1002、ならびに表示装置としてのEL装置1004を備える。
【0060】
なお、本発明に係る発光装置が適用される電子機器としては、図16に示したもののほか、パーソナルコンピュータ、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。
また、本発明に係る発光装置の用途は画像の表示に限定されない。例えば、液晶パネルのバックライトとして本発明の発光装置を利用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図である。
【図2】図1に示す発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図3】図1に示す発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図4】図1に示す発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図5】図1に示す発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図6】図1に示す発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図7】図1に示す発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図8】図1に示す発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図9】図1に示す発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図10】図1に示す発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図11】図1に示す発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図12】対比例に係る発光装置の構成を示す断面図である。
【図13】図12に示す発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図14】図12に示す発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図15】図12に示す発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図16】本発明に係る電子機器の一例を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
10…基板、12…配線、14…下地層、21…光反射層、23…保護膜、25…第1電極(画素電極)、25a…電極部、25b…接続部、…31…隔壁層、33…発光体、35…第2電極(半透過反射層)、37…封止材、51、251…第1電極層(電極層)、52、252…第2電極層(電極層)、53、253…第3電極層(電極層)、1004…EL装置、D…段差部分、H、Hr、Hg、Hb、HR、HG、HB…コンタクトホール、U…単位素子、Ur…単位素子(第1単位素子)、Ug…単位素子Ug(第2単位素子)、Ub…単位素子(第3単位素子)、R、G、B…発光領域。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に光反射層と、半透過反射層と、前記光反射層と前記半透過反射層との間に配置された発光層と、前記光反射層と前記半透過反射層との間に配置された光透過性の画素電極とを含む複数の単位素子を備え、
各単位素子の発光領域に共振器構造が形成され、前記複数の単位素子のうちの第1単位素子と、前記第1単位素子と前記共振器構造における共振波長の相違する第2単位素子とを備えた発光装置において、
前記画素電極は、前記発光領域に配置された電極部と、配線に接続される接続部とから構成され、
前記第1単位素子の前記画素電極は、前記電極部および前記接続部に対応する電極層が複数積層されてなり、
前記第2単位素子の前記画素電極は少なくとも、前記電極部および前記接続部に対応する電極層と、前記接続部に対応する電極層とが積層されてなり、
前記第1単位素子の前記電極部における前記電極層の積層数よりも前記第2単位素子の前記電極部における前記電極層の積層数が少ないことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記第1単位素子および前記第2単位素子と、前記電極部に対応する電極層の積層数が異なり、前記共振器構造における共振波長の相違する第3単位素子を備えたものであることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記接続部に対応する電極層の積層数が、全ての単位素子で同じであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記画素電極は、前記画素電極の前記基板側に存在する段差部分を覆っていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の発光装置。
【請求項5】
前記光反射層の前記基板と反対側に、前記光反射層を覆い、光透過性を有する保護膜が配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の発光装置。
【請求項6】
請求項1に記載の発光装置を製造する方法であって、
前記第1単位素子の前記電極部および前記接続部に対応するとともに、前記第2単位素子の前記接続部に対応する第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、
前記第1単位素子および前記第2単位素子の前記電極部および前記接続部に対応する第2電極層を形成する第2電極層形成工程とを含むことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1電極層形成工程において、第1電極層により、前記第1単位素子および前記第2単位素子と相違する第3単位素子の前記接続部に対応する電極層を形成し、
前記第2電極層形成工程において、第2電極層により、前記第3単位素子の前記接続部に対応する電極層を形成し、
前記第2電極層形成工程の後に、前記第1単位素子、前記第2単位素子、前記第3単位素子の前記電極部および前記接続部に対応する第3電極層を形成する第3電極層形成工程とを含むことを特徴とする請求項6に記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1電極層形成工程において、前記第1電極層を形成する被形成面上の段差部分を覆うように第1電極層を形成することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1電極層上であって、前記段差部分に対応する部分を覆うように第2電極層を形成することを特徴とする請求項8に記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記電極形成工程の前に、前記光反射層を形成する工程と、前記光反射層を覆い、光透過性を有する保護膜を形成する保護膜形成工程を含むことを特徴とする請求項6から請求項9のいずれかに記載の発光装置の製造方法。
【請求項11】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の発光装置を具備する電子機器。
【請求項1】
基板上に光反射層と、半透過反射層と、前記光反射層と前記半透過反射層との間に配置された発光層と、前記光反射層と前記半透過反射層との間に配置された光透過性の画素電極とを含む複数の単位素子を備え、
各単位素子の発光領域に共振器構造が形成され、前記複数の単位素子のうちの第1単位素子と、前記第1単位素子と前記共振器構造における共振波長の相違する第2単位素子とを備えた発光装置において、
前記画素電極は、前記発光領域に配置された電極部と、配線に接続される接続部とから構成され、
前記第1単位素子の前記画素電極は、前記電極部および前記接続部に対応する電極層が複数積層されてなり、
前記第2単位素子の前記画素電極は少なくとも、前記電極部および前記接続部に対応する電極層と、前記接続部に対応する電極層とが積層されてなり、
前記第1単位素子の前記電極部における前記電極層の積層数よりも前記第2単位素子の前記電極部における前記電極層の積層数が少ないことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記第1単位素子および前記第2単位素子と、前記電極部に対応する電極層の積層数が異なり、前記共振器構造における共振波長の相違する第3単位素子を備えたものであることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記接続部に対応する電極層の積層数が、全ての単位素子で同じであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記画素電極は、前記画素電極の前記基板側に存在する段差部分を覆っていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の発光装置。
【請求項5】
前記光反射層の前記基板と反対側に、前記光反射層を覆い、光透過性を有する保護膜が配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の発光装置。
【請求項6】
請求項1に記載の発光装置を製造する方法であって、
前記第1単位素子の前記電極部および前記接続部に対応するとともに、前記第2単位素子の前記接続部に対応する第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、
前記第1単位素子および前記第2単位素子の前記電極部および前記接続部に対応する第2電極層を形成する第2電極層形成工程とを含むことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1電極層形成工程において、第1電極層により、前記第1単位素子および前記第2単位素子と相違する第3単位素子の前記接続部に対応する電極層を形成し、
前記第2電極層形成工程において、第2電極層により、前記第3単位素子の前記接続部に対応する電極層を形成し、
前記第2電極層形成工程の後に、前記第1単位素子、前記第2単位素子、前記第3単位素子の前記電極部および前記接続部に対応する第3電極層を形成する第3電極層形成工程とを含むことを特徴とする請求項6に記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1電極層形成工程において、前記第1電極層を形成する被形成面上の段差部分を覆うように第1電極層を形成することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1電極層上であって、前記段差部分に対応する部分を覆うように第2電極層を形成することを特徴とする請求項8に記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記電極形成工程の前に、前記光反射層を形成する工程と、前記光反射層を覆い、光透過性を有する保護膜を形成する保護膜形成工程を含むことを特徴とする請求項6から請求項9のいずれかに記載の発光装置の製造方法。
【請求項11】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の発光装置を具備する電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−95330(P2007−95330A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−279379(P2005−279379)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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