発光装置、電子機器、及び照明装置
【課題】水分や酸素などの不純物、外力による信頼性の低下を抑制しつつ、さらに熱による信頼性の低下も抑制できる、有機EL素子を用いた発光装置を提供する。
【解決手段】支持基板、金属基板、及び封止材に囲まれた空間内に、発光素子を含む発光部を備え、封止材は、発光部の外周を囲むように設けられ、発光素子は、第1の電極と、発光性の有機化合物を含む層と、第2の電極とを備え、支持基板及び第1の電極は、発光性の有機化合物が発する光に対して透光性を有し、空間は、発光素子に対して不活性である気体で充填されている、又は、真空であり、第2の電極上に、第2の電極よりも放射率が高く、第2の電極と熱的に接続する第1の高放射層を有し、金属基板の支持基板と対向する面に、金属基板よりも反射率が低い低反射層を有する発光装置を提供する。
【解決手段】支持基板、金属基板、及び封止材に囲まれた空間内に、発光素子を含む発光部を備え、封止材は、発光部の外周を囲むように設けられ、発光素子は、第1の電極と、発光性の有機化合物を含む層と、第2の電極とを備え、支持基板及び第1の電極は、発光性の有機化合物が発する光に対して透光性を有し、空間は、発光素子に対して不活性である気体で充填されている、又は、真空であり、第2の電極上に、第2の電極よりも放射率が高く、第2の電極と熱的に接続する第1の高放射層を有し、金属基板の支持基板と対向する面に、金属基板よりも反射率が低い低反射層を有する発光装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
有機エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence、以下ELとも記す)現象を利用した発光装置、電子機器及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL現象を利用した発光素子(有機EL素子とも記す)の研究開発が盛んに行われている。有機EL素子の基本的な構成は、一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層を挟んだものである。この素子に電圧を印加することにより、発光性の有機化合物からの発光を得ることができる。
【0003】
薄型軽量化が容易であること、入力信号に対し高速に応答可能であること、直流低電圧電源を用いて駆動可能であること等の特徴を有する有機EL素子は、次世代のフラットパネルディスプレイや照明への応用が検討されている。有機EL素子をマトリクス状に配置した表示装置は、従来の液晶表示装置と比較して、視野角が広く視認性が優れる点に優位性があると考えられている。また、有機EL素子は、膜状に形成することが可能であるため、大面積の素子を容易に形成することができ、照明等に応用できる面光源としての利用価値も高い。
【0004】
一方で、有機EL素子は、熱により、発光特性(輝度など)や信頼性が損なわれてしまうという課題がある。
【0005】
有機EL素子は自発光型の素子であるため、駆動させることで発熱し、温度が上昇する。有機EL素子の輝度は、温度依存性があるため、有機EL素子の温度が上昇することで、輝度が低下してしまう場合がある。また、有機EL素子は、素子の温度が上昇することで、素子を構成する有機化合物が劣化し、素子の寿命が低下してしまう場合がある。
【0006】
したがって、有機EL素子が発する熱を当該素子の外部に放出して、素子の温度上昇を抑制する技術について、研究開発が進められている。
【0007】
例えば、特許文献1では、発光素子上に放熱層を備える有機ELパネルが開示されている。
【0008】
また、有機EL素子は、外部から侵入する水分や酸素などの不純物により、信頼性が損なわれてしまうという課題がある。
【0009】
有機EL素子の外部から、水分や酸素などの不純物が、有機EL素子を構成する有機化合物や金属材料に侵入することで、有機EL素子の寿命は大幅に低減されてしまう場合がある。有機EL素子に用いる有機化合物や金属材料が、水分や酸素などの不純物と反応し、劣化してしまうためである。
【0010】
したがって、不純物の侵入を防ぐために有機EL素子を封止する技術について、研究開発が進められている。
【0011】
封止技術としては、例えば、有機EL素子を、該素子が形成された支持基板と薄膜の間に封止する技術(以下、膜封止とも記す)や、支持基板と封止基板とを樹脂やガラスフリット等を用いて貼り合わせ、有機EL素子を、該素子が形成された支持基板と封止基板の間に封止する技術が知られている。
【0012】
膜封止は生産性が低いため、コストが高い等の問題がある。一方、樹脂やガラスフリット等を用いて、有機EL素子を一対の基板で封止する技術は、コストが低く、生産性が高いため、望ましい封止手法の一つと考えられている。
【0013】
例えば、特許文献1では、発光素子等が形成された基板と、乾燥剤が貼り付けられた封止基板とが、紫外線硬化樹脂で貼り合わされた有機ELパネルが開示されている。
【0014】
封止基板としては、金属材料や合金材料を用いた金属基板が知られている。
【0015】
また、有機EL素子が封止された空間について、該空間が気体で充填された、いわゆる中空封止や、該空間が固体や液体で充填された、いわゆる固体封止や液体封止が知られている。
【0016】
<液体封止を適用した発光装置>
液体中の不純物を完全に除去することは難しいため、液体中に残留する水分や酸素等の不純物が、有機EL素子に悪影響を及ぼすという問題がある。
【0017】
<固体封止を適用した発光装置>
発光装置が封止基板側から外力等の衝撃を受けた場合、固体を介して封止基板と接する有機EL素子は、外力の影響を受けやすい。これにより、素子の陽極と陰極間のショートや、素子の破壊が起こりやすいという問題がある。固体は液体や気体に比べて変形しにくく、外力等の衝撃を吸収又は緩和することが難しいためである。また、この問題は上述の膜封止を適用した場合にも生じる。
【0018】
また、工程中に発光装置内に混入した固体由来の異物に応力が集中し、素子に押し当てられた異物が、素子の陽極と陰極間のショートを引き起こす可能性がある。
【0019】
<中空封止を適用した発光装置>
中空封止を適用した発光装置は、封止基板と有機EL素子の間に気体で充填された空間が存在するため、封止基板側から外力等の衝撃を受けても有機EL素子に直接外力が加わり素子が破壊されることを抑制することができる。よって、固体封止や液体封止を適用した発光装置に比べ、中空封止を適用した発光装置は、歩留まりが高く、信頼性が高いと言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2008−234890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかし、中空封止において、空間を充填する気体は熱伝導率が低いため、有機EL素子の発する熱が、有機EL素子から空間を伝導し封止基板に伝わる、さらには発光装置の外部に放出されることは難しい。つまり、有機EL素子の発する熱が、有機EL素子の外部に運ばれることは難しい。
【0022】
熱を運ぶ方法としては、熱伝導のほかに、熱放射が挙げられる。物体から熱エネルギーが電磁波として放出される現象である熱放射は、2つの物体の間に媒介する物質が無い場合(例えば、真空である場合)でも、熱を伝えることができる。
【0023】
しかし、封止基板として金属基板を用いる場合、金属材料や合金材料は反射率が高いため、放射率の高い層から放出された電磁波が金属基板で反射することで、熱エネルギーが有機EL素子に戻ってしまう場合がある。
【0024】
例えば、特許文献1では、発光素子上に放熱層を備える。しかし、封止基板として金属基板を用いると、熱伝導及び熱放射によって放熱層から金属基板へと熱を運ぶことは難しく、有機EL素子の温度上昇を抑制することが難しい。
【0025】
したがって、本発明の一態様は、水分や酸素などの不純物、及び外力による信頼性の低下を抑制しつつ、さらに熱による信頼性の低下も抑制できる、有機EL素子を用いた発光装置を提供することを目的の一とする。
【0026】
また、本発明の一態様は、該発光装置を用いた信頼性の高い電子機器又は照明装置を提供することを目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
有機EL素子は、一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層(以下、EL層とも記す)を備える。下面射出(ボトムエミッション)構造の場合、支持基板上に、該EL層が発する光を透過する第1の電極を有し、該第1の電極上にEL層を有し、該EL層上に第2の電極を有する。第2の電極の材料としては反射率が高い材料が好ましく、例えば、金属材料や合金材料が好適である。しかしながら、金属材料や合金材料は、一般に、熱伝導率は高いが、放射率及び透過率が低い。
【0028】
また、中空封止を適用した下面射出構造の発光装置は、支持基板と、封止基板と、封止材とに囲まれた空間内に有機EL素子を有し、該空間は気体で充填されている。したがって、該空間を伝導させて、有機EL素子が発する熱を封止基板側に運ぶことは困難である。
【0029】
封止基板としては、金属材料や合金材料を用いた金属基板を用いることができる。金属材料や合金材料は熱伝導性が高く、封止基板全体に熱を容易に伝導できるため、発光装置の局所的な温度上昇を抑制することができ、好ましい。しかし、前述の通り、金属材料や合金材料は反射率が高い。
【0030】
本発明者らは、該発光装置において、第2の電極上に、該第2の電極と熱的に接続する放射率の高い層(高放射層とも記す)を有し、かつ、金属基板の支持基板と対向する面に反射率の低い層(低反射層とも記す)を有する構成に想到した。このような構成とすることにより、有機EL素子が発する熱を、放射率の高い層から反射率の低い層へ電磁波として放射することができ、かつ、該電磁波が反射され、有機EL素子に該熱が戻ることを抑制することができる。よって、有機EL素子の温度上昇を抑制することができる。
【0031】
本明細書中において、AとBが熱的に接続する構成とは、AとBの間で熱が伝導する構成であれば良く、AとBが直接接する構成だけでなく、AとBが他の層を介して接する構成も含まれる。
【0032】
本発明の一態様は、支持基板、金属基板及び封止材に囲まれた空間内に、発光素子を含む発光部を備え、封止材は、発光部の外周を囲むように設けられ、発光素子は、支持基板上に設けられた第1の電極と、第1の電極上に設けられた発光性の有機化合物を含む層と、発光性の有機化合物を含む層上に設けられた第2の電極と、を備え、支持基板及び第1の電極は、発光性の有機化合物が発する光に対して透光性を有し、空間は、気体で充填されており、第2の電極上に、第2の電極よりも放射率が高く、第2の電極と熱的に接続する第1の高放射層を有し、金属基板の支持基板と対向する面に、金属基板よりも反射率が低い低反射層を有する発光装置である。
【0033】
上記の発光装置は、支持基板、金属基板及び封止材に囲まれた空間内に有機EL素子を有する。よって、発光装置の外部から水分や酸素などの不純物が侵入し、有機EL素子が劣化することを抑制できる。
【0034】
かつ、上記の発光装置は、金属基板と有機EL素子の間に、気体で充填された空間が存在するため、金属基板が外力等の衝撃を受けても、有機EL素子に直接外力が加わり、素子が破壊されることを抑制することができる。
【0035】
かつ、上記の発光装置は、第1の高放射層及び低反射層を有する。上記の発光装置において、有機EL素子が発する熱は、第2の電極から第1の高放射層に伝導する。そして、第1の高放射層から低反射層へ熱放射が起こるため、有機EL素子が発する熱が当該素子の外部に放出される。第1の高放射層から熱が電磁波として放出されても、低反射層において該電磁波は反射されにくく、有機EL素子に熱が戻ることは抑制される。よって、有機EL素子の温度上昇を抑制し、有機EL素子の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0036】
上記発光装置において、低反射層が、第1の高放射層と重なる領域に設けられていることが好ましい。このような構成とすることで、第1の高放射層から低反射層への経路が短くなるため、有機EL素子が発する熱を当該素子の外部に効率よく運ぶことができる。
【0037】
また、上記発光装置において、第1の高放射層は、発光性の有機化合物を含む層(EL層)よりも熱伝導率が高いことが好ましい。第1の高放射層の熱伝導率がEL層の熱伝導率よりも高いと、第2の電極において、熱はEL層よりも第1の高放射層に伝導しやすい。よって、有機EL素子が発する熱を当該素子の外部により効率よく運ぶことができる。また、第1の高放射層の熱伝導率が高いほど、第1の高放射層全体に熱を容易に伝導でき、局所的な温度上昇を抑制することができるため、好ましい。さらに、低反射層へと熱を効率よく運ぶ(放射する)ことができる。
【0038】
また、上記発光装置において、第2の電極と第1の高放射層は、発光性の有機化合物を含む層(EL層)よりも熱伝導率が高い第1の熱伝導層を介して熱的に接続することが好ましい。第1の熱伝導層はEL層よりも熱伝導率が高いため、第2の電極において、熱がEL層よりも第1の熱伝導層に伝導しやすい。よって、有機EL素子が発する熱を当該素子の外部により効率よく運ぶことができる。
【0039】
第2の電極と第1の高放射層の密着性(又は接着性)が低いと、第2の電極(さらには第1の高放射層)の熱伝導率が高くても、第1の高放射層に十分に熱が伝導されない場合がある。このような場合に、上記構成は特に好ましく、第2の電極と第1の高放射層との間に第1の熱伝導層を設けることで、第2の電極と第1の熱伝導層との密着性が高く、第1の熱伝導層と第1の高放射層との密着性が高い構成を実現することができる。該構成を適用することで、第2の電極から第1の高放射層への熱の伝導が容易となり、有機EL素子が発する熱が当該素子の外部に放出されることを促進できる。よって、有機EL素子の温度上昇を抑制し、有機EL素子の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0040】
また、上記発光装置において、低反射層の熱伝導率が1W/m・K以上であることが好ましい。低反射層の熱伝導率が高いほど、低反射層全体に熱を容易に伝導でき、局所的な温度上昇を抑制することができるため、好ましい。さらに、金属基板へと熱を効率よく運ぶ(伝導する)ことができる。
【0041】
また、上記発光装置において、低反射層と接する層が熱伝導性の高い層であると、低反射層から、低反射層と接する層への、熱の伝導を促進できる。したがって、低反射層と接する層が熱伝導性の高い層であることが好ましい。例えば、本発明の一態様の構成では、金属基板と低反射層とが接する。この構成は、低反射層から金属基板への熱の伝導が効率よく行われ、かつ、金属基板全体に熱を容易に伝導できるため好ましい。
【0042】
また、低反射層と金属基板の密着性(又は接着性)が低い場合には、低反射層と金属基板との間に第2の熱伝導層を設けることが好ましい。具体的には、上記発光装置において、金属基板と低反射層が、低反射層よりも熱伝導率が高い第2の熱伝導層を介して熱的に接続することが好ましい。
【0043】
低反射層と金属基板との間に第2の熱伝導層を設けることで、低反射層と第2の熱伝導層との密着性が高く、第2の熱伝導層と金属基板との密着性が高い構成を実現することができる。該構成を適用することで、低反射層から金属基板への熱の移動が容易となり、有機EL素子が発する熱が当該素子の外部に放出されることを促進できる。よって、有機EL素子の温度上昇を抑制し、有機EL素子の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0044】
また、上記発光装置において、金属基板の大気と接する面に、金属基板よりも放射率が高く、低反射層と重なる第2の高放射層を有することが好ましい。
【0045】
金属基板よりも放射率が高い第2の高放射層を大気に接して設けることで、有機EL素子の発する熱が発光装置の外部に放出されることを促進できる。よって、有機EL素子の温度上昇を抑制し、有機EL素子の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0046】
また、上記発光装置において、第2の高放射層は、低反射層よりも熱伝導率が高いことが好ましい。ただし、低反射層と金属基板が第2の熱伝導層を介して熱的に接続する場合、第2の高放射層は、第2の熱伝導層よりも熱伝導率が高いことが好ましい。第2の高放射層の熱伝導率が低反射層(又は第2の熱伝導層)の熱伝導率よりも高いと、金属基板において、熱が低反射層(又は第2の熱伝導層)よりも第2の高放射層に伝導しやすい。よって、有機EL素子が発する熱を当該素子の外部により効率よく運ぶことができる。また、第2の高放射層の熱伝導率が高いほど、第2の高放射層全体に熱を容易に伝導でき、局所的な温度上昇を抑制することができるため、好ましい。さらに、大気へと熱を効率よく放射することができる。
【0047】
また、上記発光装置において、第2の高放射層と接する層が熱伝導性の高い層であると、第2の高放射層と接する層から、第2の高放射層への熱の伝導を促進できる。したがって、第2の高放射層と接する層が熱伝導性の高い層であることが好ましい。例えば、本発明の一態様の構成では、金属基板と第2の高放射層とが接する。この構成は、金属基板から第2の高放射層への熱の伝導が効率よく行われ、かつ、金属基板全体に熱を容易に伝導できるため好ましい。
【0048】
また、第2の高放射層と金属基板の密着性(又は接着性)が低い場合には、第2の高放射層と金属基板の間に第3の熱伝導層を設けることが好ましい。具体的には、金属基板と第2の高放射層が、低反射層よりも熱伝導率が高い第3の熱伝導層を介して熱的に接続することが好ましい。ただし、低反射層と金属基板が第2の熱伝導層を介して熱的に接続する場合、第3の熱伝導層は、第2の熱伝導層よりも熱伝導率が高いことが好ましい。第3の熱伝導層は低反射層(又は第2の熱伝導層)よりも熱伝導率が高いため、金属基板において、熱が低反射層(又は第2の熱伝導層)よりも第3の熱伝導層に伝導しやすい。よって、有機EL素子が発する熱を当該素子の外部により効率よく運ぶことができる。
【0049】
また、第2の高放射層と金属基板との間に第3の熱伝導層を設けることで、第2の高放射層と第3の熱伝導層との密着性が高く、第3の熱伝導層と金属基板との密着性が高い構成を実現することができる。該構成を適用することで、金属基板から第2の高放射層への熱の伝導が容易となり、有機EL素子が発する熱が当該素子の外部に放出されることを促進できる。よって、有機EL素子の温度上昇を抑制し、有機EL素子の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0050】
また、本発明の一態様では、第1の高放射層や低反射層が乾燥剤を含む構成としても良い。特に、上記発光装置において、低反射層が乾燥剤を含むことが好ましい。
【0051】
第1の高放射層や低反射層が乾燥剤を含むと、作製工程中等に発光装置の内部(空間内)に侵入し残留した水分を、該乾燥剤によって吸着することができる。よって、発光装置の内部に残留した水分により、有機EL素子が劣化することを抑制できる。
【0052】
また、本発明の一態様は、上記構成の発光装置を表示部に有する電子機器である。また、本発明の一態様は、上記構成の発光装置を照明部に有する照明装置である。本発明の一態様の発光装置は、水分や酸素などの不純物、外力による信頼性の低下を抑制しつつ、さらに熱による信頼性の低下も抑制できるため、電子機器又は照明装置に適用することで、信頼性の高い電子機器又は照明装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0053】
水分や酸素などの不純物、外力による信頼性の低下を抑制しつつ、さらに熱による信頼性の低下も抑制できる、有機EL素子を用いた発光装置を提供することができる。また、該発光装置を用いた信頼性の高い電子機器又は照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一態様の発光装置の一例を示す図。
【図2】本発明の一態様の発光装置の一例を示す図。
【図3】本発明の一態様の発光装置の一例を示す図。
【図4】本発明の一態様の発光装置の一例を示す図。
【図5】本発明の一態様の発光装置の一例を示す図。
【図6】EL層の一例を示す図。
【図7】本発明の一態様の電子機器及び照明装置の一例を示す図。
【図8】本発明の一態様の照明装置の一例を示す図。
【図9】本発明の一態様の電子機器の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0055】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0056】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置について図1及び図2を用いて説明する。
【0057】
本発明の一態様の発光装置は、支持基板と、封止基板である金属基板と、封止材とに囲まれた空間内に、発光部を備える。支持基板及び金属基板は互いに対向している。封止材は、発光部の外周を囲むように設けられている。発光部は、発光素子(有機EL素子)を備える。該空間は、気体で充填されている。該発光素子は、支持基板上に設けられた第1の電極と、第1の電極上に設けられた発光性の有機化合物を含む層(EL層)と、EL層上に設けられた第2の電極とを備える。該支持基板及び該第1の電極は、発光性の有機化合物が発する光に対して透光性を有する。さらに、第2の電極上に、第2の電極と熱的に接続する第1の高放射層を有する。かつ、金属基板の支持基板と対向する面に低反射層を有する。
【0058】
第1の高放射層は、放射率が高い層である。具体的には、第1の高放射層は、第2の電極よりも放射率が高い層である。第1の高放射層は、放射率が0.25以上であることが好ましく、0.5以上であることが特に好ましい。
【0059】
低反射層は、反射率が低い層である。具体的には、低反射層は、金属基板よりも反射率が低い層である。低反射層は、反射率が0.75以下であることが好ましく、0.5以下であることが特に好ましい。
【0060】
ここで、反射率と放射率と透過率との和は1である。低反射層の透過率が高いと、第1の高放射層から電磁波として放出された熱は、低反射層を透過し、金属基板で反射し、再び低反射層を透過することで、有機EL素子に戻ってしまう恐れがある。したがって、低反射層は、透過率及び反射率が低い層(つまり、放射率が高い層)であることが好ましい。
【0061】
本発明の一態様の発光装置において、支持基板、金属基板及び封止材に囲まれた空間内に発光素子を備える。よって、上記発光装置は、発光装置の外部から水分や酸素などの不純物が侵入し、発光素子が劣化することを抑制できる。かつ、上記の発光装置は、封止基板と発光素子の間に、気体で充填された空間が存在するため、封止基板が外力等の衝撃を受けても、発光素子に直接外力が加わり、素子が破壊されることを抑制することができる。
【0062】
かつ、上記の発光装置は、第1の高放射層及び低反射層を有するため、有機EL素子が発する熱は、熱伝導率が高い第2の電極から第1の高放射層に伝導する。そして、第1の高放射層から低反射層へ熱放射が起こるため、有機EL素子が発する熱が当該素子の外部に放出される。第1の高放射層から熱が電磁波として放出されても、低反射層において該電磁波は反射されにくく、有機EL素子に熱が戻ることは抑制される。よって、有機EL素子の温度上昇を抑制し、有機EL素子の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0063】
以下に、本発明の一態様の発光装置における有機EL素子が発する熱の移動について、具体的に記す。
【0064】
熱を運ぶ方法としては、大きく分けて熱伝導、対流、熱放射の3つが挙げられる。ここでは、有機EL素子が発する熱が有機EL素子の外部へ運ばれる方法として、熱伝導と熱放射を考える。
【0065】
〈熱伝導〉
熱伝導は、物質の移動や放射によるエネルギー輸送なしに熱が物体の高温部から低温部に移る現象である。
【0066】
有機EL素子において、最も空間側に設けられている第2の電極の材料としては金属材料や合金材料が用いられ、特に反射性が高い材料が好適である。金属材料や合金材料は、一般に、熱伝導率が高い。
【0067】
しかし、本発明の一態様の発光装置において、空間は気体で充填されている。したがって、空間の熱伝導率は低く、有機EL素子が発する熱が、熱伝導によって、空間へと運ばれることは難しい。
【0068】
〈熱放射〉
熱放射は、熱輻射、温度放射とも呼ばれる。熱放射は、物体から熱エネルギーが電磁波として放出される現象である。熱放射では、2つの物体の間に媒介する物質が無い場合(例えば、真空である場合)でも、熱を伝えることができる。
【0069】
本発明の一態様の発光装置は、第2の電極上に、第2の電極と熱的に接続する第1の高放射層を有する。また、金属基板は、支持基板と対向する面に低反射層を有する。
【0070】
第1の高放射層は、放射率が高い層である。低反射層は、反射率が低い層である。有機EL素子が発する熱は、第2の電極から第1の高放射層に伝導する。そして、第1の高放射層から低反射層へ熱放射が起こるため、有機EL素子が発する熱が当該素子の外部に放出される。また、第1の高放射層から熱が電磁波として放出されても、低反射層において該電磁波は反射されにくく、有機EL素子に熱が戻ることは抑制される。したがって、本発明の一態様のような中空封止の発光装置であっても、有機EL素子が発する熱が当該素子の外部に放出されることを促進できる。よって、本発明の一態様の発光装置は、有機EL素子の温度上昇を抑制し、有機EL素子の発熱による信頼性の低下を抑制することができる。
【0071】
以下に本発明の一態様の発光装置の一例を示す。
【0072】
(構成例1)
図1(A)に本発明の一態様の発光装置の平面図を示す。図1(A)におけるA−B間の断面図を図1(B)に示す。
【0073】
図1(A)(B)に示す発光装置は、支持基板801、金属基板806、及び封止材805に囲まれた空間810内に、発光部802が設けられている。
【0074】
発光部802は、発光素子130(第1の電極118、EL層120、及び第2の電極122)を有する。隔壁124は、第1の電極118の端部を覆い、かつ発光素子130の発光領域と重なる位置に開口部が設けられている。第2の電極122上には、第2の電極122と熱的に接続する第1の高放射層101が設けられている。さらに、金属基板806の支持基板801と対向する面には、低反射層103が設けられている。
【0075】
空間810は、気体で充填されている。特に、発光素子130に対して不活性である気体で充填されていることが好ましい。例えば、該気体としては、希ガスや窒素で充填されていることが好ましい。
【0076】
第1の高放射層101は、放射率が高い層である。具体的には、第1の高放射層101は、第2の電極122よりも放射率が高い層である。第1の高放射層101は、放射率が0.25以上であることが好ましく、0.5以上であることが特に好ましい。
【0077】
低反射層103は、反射率が低い層である。具体的には、低反射層103は、金属基板806よりも反射率が低い層である。低反射層103は、0.75以下であることが好ましく、0.5以下であることが特に好ましい。
【0078】
本実施の形態の発光装置において、支持基板801、金属基板806及び封止材805に囲まれた空間810内に発光素子130を備える。よって、発光装置の外部から水分や酸素などの不純物が侵入し、発光素子130が劣化することを抑制できる。かつ、上記の発光装置は、金属基板806と発光素子130の間に、気体で充填された空間810が存在するため、金属基板806が外力等の衝撃を受けても、発光素子130に直接外力が加わり、発光素子130が破壊されることを抑制することができる。
【0079】
かつ、本実施の形態の発光装置は、第1の高放射層101及び低反射層103を有するため、発光素子130が発する熱は、熱伝導率が高い第2の電極122から第1の高放射層101に伝導する。そして、第1の高放射層101から低反射層103へ熱放射が起こるため、発光素子130が発する熱が当該素子の外部に放出される。第1の高放射層101から熱が電磁波として放出されても、低反射層103において該電磁波は反射されにくく、発光素子130に熱が戻ることは抑制される。よって、発光素子の温度上昇を抑制し、発光素子の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0080】
低反射層103は、金属基板806における支持基板801と対向する面の少なくとも一部に形成されていれば良い。同様に、第1の高放射層101は、第2の電極122の表面の少なくとも一部に形成されていれば良い。特に、本実施の形態で示す発光装置のように、低反射層103が、第1の高放射層101と重なる領域に設けられていると、第1の高放射層101から低反射層103への経路が短くなるため、発光素子130が発する熱を効率よく当該素子の外部に運ぶことができ、好ましい。
【0081】
[第1の高放射層101]
第1の高放射層101として用いることができる材料は、例えば、酸化アルミニウム、酸化真鍮、酸化クロム、酸化コバルト、酸化銅、酸化ニクロム、酸化鉄、酸化鋳鉄、酸化鉛、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化スズ、酸化鋼、酸化チタン等の金属酸化物や、グラファイト、ダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブ、プラスチック、ダイヤモンドライクカーボン等の炭素を含む化合物や、炭化珪素等の炭化物や、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の窒化物や、鉛、ステンレス、ゴム等が挙げられる。
【0082】
また、第2の電極122の表面を酸化することで、第1の高放射層101である金属酸化物を形成しても良い。
【0083】
また、第1の高放射層101は、凹凸を有する構造とすることで、熱放射性を向上させても良い(図2(A))。また、凹凸を有する第1の高放射層101の一態様としては図2(B)の構成も挙げられる。EL層120上に、表面に凹凸を有する金属膜121を形成することで、金属膜121の厚さ方向において、放射率に差をつけることができる。金属膜121としては、第2の電極122と同様の材料を用いることができる。
【0084】
具体的には、図2(B)において、金属膜121は、EL層120と接する領域(放射率が低い領域)が第2の電極122として機能し、空間と接する領域(凹凸を有する領域、かつ放射率が高い領域)が第1の高放射層101として機能する。
【0085】
さらに、第1の高放射層101は、熱伝導性が高いと好ましい。第1の高放射層101は、EL層120よりも熱伝導率が高いことが好ましい。特に、第1の高放射層101の熱伝導率は、第2の電極122の熱伝導率以上であることが好ましい。また、第1の高放射層101の熱伝導率が1W/m・K以上であることが好ましく、250W/m・K以上であることが特に好ましい。
【0086】
第1の高放射層101の熱伝導率がEL層120の熱伝導率よりも高いと、第2の電極122において、熱はEL層120よりも第1の高放射層101に伝導しやすい。よって、発光素子130が発する熱を当該素子の外部により効率よく運ぶことができる。また、第1の高放射層101の熱伝導率が高いほど、第1の高放射層101全体に熱を容易に伝導でき、局所的な温度上昇を抑制することができるため、好ましい。さらに、低反射層103へと熱を効率よく運ぶ(放射する)ことができる。
【0087】
第1の高放射層101として用いることができる熱伝導性の高い材料としては、例えば、グラファイト、ダイヤモンド、カーボンナノチューブ、ダイヤモンドライクカーボン、炭化珪素等が挙げられる。
【0088】
[低反射層103]
低反射層103として用いることができる材料は、例えば、酸化アルミニウム、酸化真鍮、酸化クロム、酸化コバルト、酸化銅、酸化ニクロム、酸化鉄、酸化鋳鉄、酸化鉛、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化スズ、酸化鋼、酸化チタン等の金属酸化物や、グラファイト、ダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブ、プラスチック、ダイヤモンドライクカーボン等の炭素を含む化合物や、炭化珪素等の炭化物や、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の窒化物や、鉛、ステンレス、ゴム等が挙げられる。
【0089】
また、低反射層103は、空間810を満たしている気体より高い熱伝導性を有していることが好ましい。低反射層103の熱伝導率は、1W/m・K以上であることが好ましく、250W/m・K以上であることが特に好ましい。
【0090】
低反射層103の熱伝導率が高いほど、低反射層103全体に熱を容易に伝導でき、局所的な温度上昇を抑制することができるため、好ましい。さらに、金属基板806へと熱を効率よく運ぶことができる。
【0091】
低反射層103として用いることができる熱伝導性の高い材料としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化真鍮、酸化クロム、酸化コバルト、酸化銅、酸化ニクロム、酸化鉄、酸化鋳鉄、酸化鉛、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化スズ、酸化鋼、酸化チタン等の金属酸化物や、グラファイト、ダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブ、プラスチック、ダイヤモンドライクカーボン等の炭素を含む化合物や、炭化珪素等の炭化物や、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の窒化物や、鉛、ステンレス、ゴム等が挙げられる。
【0092】
また、低反射層103は、凹凸を有する構造とすることで、熱放射性を向上させても良い。反射率と放射率と透過率との和は1であるため、熱放射性を高めることで、反射率を低下させることができる。
【0093】
また、第1の高放射層101や低反射層103は、乾燥剤を含んでいても良い。乾燥剤を含むことで、作製工程中等に発光装置の内部(空間810内)に侵入し残留した水分を、該乾燥剤によって吸着することができる。よって、発光装置の内部に残留した水分により発光素子が劣化することを抑制できる。
【0094】
乾燥剤には、公知の材料を用いることができる。乾燥剤としては、化学吸着によって水分等を吸収する材料(化学吸着型乾燥剤と記す)、物理吸着によって水分等を吸着する材料(物理吸着型乾燥剤と記す)のいずれを用いてもよい。例えば、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物(酸化カルシウムや酸化バリウム等)、硫酸塩、金属ハロゲン化物、過塩素酸塩、ゼオライト、シリカゲル等が挙げられる。
【0095】
化学吸着型乾燥剤は、水分等の吸着時に、化学反応により熱が発生する場合や、該乾燥剤自体が別の物質に変化し、体積変化が起こる場合がある。発光素子130へのダメージを抑制するため、発光素子130と近い位置に設けられる第1の高放射層101には、物理吸着型乾燥剤を用いることが好ましい。
【0096】
また、金属基板806側に設けられる(発光素子130と離れた位置に設けられる)低反射層103に乾燥剤を含む構成は、発光素子130にダメージを与えにくいため、化学吸着型乾燥剤と物理吸着型乾燥剤のいずれも好適に用いることができ、好ましい。
【0097】
(変形例1)
本発明の一態様では、図1(C)に示すように、金属基板806が凹部を有していても良い。また、金属缶を金属基板806として用いることができる。
【0098】
また、空間810内に乾燥剤126を備えていても良い。乾燥剤126を備えることで、作製工程中等に発光装置の内部に侵入し残留した水分を、乾燥剤126によって吸着することができる。よって、発光装置の内部に残留した水分により発光素子130が劣化することを抑制できる。
【0099】
(構成例2)
図3(A)に示す本発明の一態様の発光装置は、第2の電極122と第1の高放射層101の間に、第1の熱伝導層102を有する。
【0100】
第2の電極122と第1の高放射層101の密着性(又は接着性)が低いと、第2の電極122の熱伝導性が高くても、第1の高放射層101に十分に熱が伝導されない場合がある。このような場合には、第1の熱伝導層102を備えることが好ましい。
【0101】
第2の電極122と第1の高放射層101との間に第1の熱伝導層102を設けることで、第2の電極122と第1の熱伝導層102との密着性が高く、第1の熱伝導層102と第1の高放射層101との密着性が高い構成を実現することができる。該構成を適用することで、第2の電極122から第1の高放射層101への熱の伝導が容易となり、発光素子130が発する熱が当該素子の外部に放出されることを促進できる。よって、発光素子130の温度上昇を抑制し、発光素子130の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0102】
第1の熱伝導層102は、EL層120よりも熱伝導率が高い。特に、第1の熱伝導層102の熱伝導率は、第2の電極122の熱伝導率以上であることが好ましい。また、第1の熱伝導層102の熱伝導率が1W/m・K以上であることが好ましく、250W/m・K以上であることがより好ましい。
【0103】
第1の熱伝導層102は、EL層120よりも熱伝導率が高いため、第2の電極122において、熱はEL層120よりも第1の熱伝導層102へ伝導しやすい。よって、発光素子130が発する熱を当該素子の外部により効率よく運ぶことができる。
【0104】
第1の熱伝導層102に用いることができる材料としては、例えば、セラミックス材料、カーボンナノチューブ、ダイヤモンド、グラファイト、銀、銅、金、アルミニウム、シリコン、真鍮等が挙げられる。また、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等の熱伝導性が高い樹脂を用いることが好ましい。また、金属フィラーやカーボン粉末を該熱伝導性が高い樹脂に含ませても良い。
【0105】
(構成例3)
図3(B)に示す本発明の一態様の発光装置は、低反射層103と金属基板806の間に、第2の熱伝導層104を有する。
【0106】
低反射層103と金属基板806の密着性(又は接着性)が低いと、低反射層103から金属基板806に十分に熱が伝導されない場合がある。このような場合には、第2の熱伝導層104を備えることが好ましい。
【0107】
低反射層103と金属基板806との間に第2の熱伝導層104を設けることで、低反射層103と第2の熱伝導層104との密着性が高く、第2の熱伝導層104と金属基板806との密着性が高い構成を実現することができる。該構成を適用することで、低反射層103から金属基板806への熱の伝導が容易となり、発光素子130が発する熱が当該素子の外部に放出されることを促進できる。よって、発光素子130の温度上昇を抑制し、発光素子130の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0108】
第2の熱伝導層104は、低反射層103よりも熱伝導率が高い。第1の熱伝導層102の熱伝導率が1W/m・K以上であることが好ましく、250W/m・K以上であることがより好ましい。第2の熱伝導層104としては、第1の熱伝導層102と同様の材料を適用することができる。
【0109】
(構成例4)
図3(C)に示す本発明の一態様の発光装置は、金属基板806の大気と接する面に、第2の高放射層105を有する。
【0110】
なお、金属基板の大気と接する面は、第2の高放射層を全面に有することで、大気と直接接しない場合がある。よって、本発明の一態様では、金属基板が、第2の高放射層を介して大気と接する面を有する、と言える。
【0111】
熱放射性が高い第2の高放射層105を大気に接して設けることで、素子が発する熱が発光装置の外部に放出されることを促進できる。よって、素子の温度上昇を抑制し、素子の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0112】
第2の高放射層105は、金属基板806よりも熱放射率が高い層である。第2の高放射層105は、熱放射率が0.25以上であることが好ましく、0.5以上であることが特に好ましい。第2の高放射層105としては、第1の高放射層101と同様の材料を適用することができる。また、第2の高放射層105は、凹凸を有する構造とすることで、熱放射性を向上させても良い。
【0113】
また、第2の高放射層105は、低反射層103よりも熱伝導率が高いことが好ましい。ただし、低反射層103と金属基板806が第2の熱伝導層104を介して熱的に接続する場合、第2の高放射層105は、第2の熱伝導層104よりも熱伝導率が高いことが好ましい。
【0114】
第2の高放射層105の熱伝導率が、低反射層103(又は第2の熱伝導層104)の熱伝導率よりも高いと、金属基板806において、熱が、低反射層103(又は第2の熱伝導層104)より第2の高放射層105に伝導しやすい。よって、発光素子が発する熱を当該素子の外部により効率よく運ぶことができる。また、第2の高放射層105の熱伝導率が高いほど、第2の高放射層105全体に熱を容易に伝導でき、大気へと熱を効率よく放射することができる。
【0115】
(構成例5)
図3(D)に示す本発明の一態様の発光装置は、第2の高放射層105と金属基板806の間に、第3の熱伝導層106を有する。
【0116】
第2の高放射層105と金属基板806の密着性(又は接着性)が低いと、金属基板806から第2の高放射層105に十分に熱が伝導されない場合がある。このような場合には、第3の熱伝導層106を備えることが好ましい。
【0117】
第2の高放射層105と金属基板806との間に第3の熱伝導層106を設けることで、金属基板806と第3の熱伝導層106との密着性が高く、第3の熱伝導層106と第2の高放射層105との密着性が高い構成を実現することができる。該構成を適用することで、金属基板806から第2の高放射層105への熱の伝導が容易となり、発光素子130が発する熱が当該素子の外部に放出されることを促進できる。よって、発光素子130の温度上昇を抑制し、発光素子130の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0118】
第3の熱伝導層106は、低反射層103よりも熱伝導率が高いことが好ましい。ただし、低反射層103と金属基板806が第2の熱伝導層104を介して熱的に接続する場合、第3の熱伝導層106は、第2の熱伝導層104よりも熱伝導率が高いことが好ましい。第3の熱伝導層106の熱伝導率が1W/m・K以上であることが好ましく、250W/m・K以上であることがより好ましい。第3の熱伝導層106としては、第1の熱伝導層102と同様の材料を適用することができる。
【0119】
第3の熱伝導層106は、低反射層103(又は第2の熱伝導層104)よりも熱伝導率が高いため、金属基板806において、熱は低反射層103(又は第2の熱伝導層104)よりも第3の熱伝導層106へ伝導しやすい。よって、発光素子130が発する熱を当該素子の外部により効率よく運ぶことができる。
【0120】
本発明の一態様では、第1の熱伝導層102、第2の熱伝導層104、第2の高放射層105及び第3の熱伝導層106を適宜組み合わせて用いることができる。例えば、図3(E)に示すように、本発明の一態様の発光装置は、第1の熱伝導層102、第2の熱伝導層104、第2の高放射層105及び第3の熱伝導層106全てを備えていても良い。
【0121】
<本発明の一態様の発光装置に用いることができる材料>
以下に、本発明の一態様の発光装置に用いることができる材料の一例を記す。なお、空間、熱放射層及び熱伝導層については先の記載を参酌できる。
【0122】
[支持基板801]
支持基板801は、発光素子130からの光を取り出す側の基板であるため、該光に対する透光性を有する材料を用いる。例えば、ガラス、石英、セラミック、サファイア、有機樹脂などの材料を用いることができる。
【0123】
ガラスとしては、例えば、無アルカリガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス等を用いることができる。
【0124】
有機樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はポリ塩化ビニル樹脂などを用いることができる。また、ガラス繊維に有機樹脂を含浸した基板や、無機フィラーを有機樹脂に混ぜた基板を使用することもできる。
【0125】
なお、支持基板801に含まれる不純物が支持基板801上に設けられる各素子に拡散することを抑制するため、支持基板801の表面に絶縁層を設けることや、支持基板801に加熱処理を行うことが好ましい。
【0126】
[金属基板806]
金属基板806には、金属材料や合金材料を用いることができる。例えば、ステンレス、アルミニウム、銅、ニッケル、アルミニウム合金から選ばれる材料を用いることが好ましい。
【0127】
[発光素子130]
第1の電極118に用いることができる透光性を有する材料としては、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化インジウム酸化亜鉛、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などが挙げられる。
【0128】
また、第1の電極118として、金、白金、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、又はチタン等の金属材料を用いることができる。又は、それら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等を用いても良い。又は、グラフェン等を用いても良い。なお、金属材料(又はその窒化物)を用いる場合、透光性を有する程度に薄くすれば良い。
【0129】
EL層120は、少なくとも発光層を有する。発光層には、発光性の有機化合物が含まれる。そのほか、電子輸送性の高い物質を含む層、正孔輸送性の高い物質を含む層、電子注入性の高い物質を含む層、正孔注入性の高い物質を含む層、バイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)を含む層等を適宜組み合わせた積層構造を構成することができる。EL層の構成例は実施の形態4で詳細に説明する。
【0130】
第2の電極122は、光を取り出す側と反対側に設けられ、反射性を有する材料を用いて形成される。反射性を有する材料としては、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、又はパラジウム等の金属材料を用いることができる。そのほか、アルミニウムとチタンの合金、アルミニウムとニッケルの合金、アルミニウムとネオジムの合金などのアルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)や銀と銅の合金などの銀を含む合金を用いることもできる。銀と銅の合金は、耐熱性が高いため好ましい。また、上記金属材料や合金に、ランタン、ネオジム、又はゲルマニウム等が添加されていても良い。
【0131】
[隔壁124]
隔壁124の材料としては、有機樹脂又は無機絶縁材料を用いることができる。有機樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、エポキシ樹脂、又はフェノール樹脂等を用いることができる。
【0132】
特に、隔壁124の作製が容易となるため、感光性の光によってエッチャントに不溶解性となるネガ型の感光性樹脂、あるいは光によってエッチャントに溶解性となるポジ型の感光性樹脂を用いることが好ましい。
【0133】
隔壁124は、第1の電極118の端部を覆って設けられている。隔壁124の上層に形成されるEL層120や第2の電極122の被覆性を良好なものとするため、隔壁124の上端部又は下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにするのが好ましい。
【0134】
隔壁の形成方法は、特に限定されないが、フォトリソグラフィ法、スパッタ法、蒸着法、液滴吐出法(インクジェット法等)、印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷等)等を用いれば良い。
【0135】
[封止材805]
封止材805は、公知のシール材やガラスフリット等を用いて形成できる。具体的には、熱硬化樹脂、又は光硬化樹脂などの有機樹脂や、低融点ガラスなどの材料を用いることができる。また、シール材に乾燥剤が含まれていても良い。
【0136】
[乾燥剤126]
乾燥剤126には、公知の材料を用いることができる。乾燥剤としては、化学吸着によって水分等を吸収する物質、物理吸着によって水分等を吸着する物質のいずれを用いてもよい。例えば、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物(酸化カルシウムや酸化バリウム等)、硫酸塩、金属ハロゲン化物、過塩素酸塩、ゼオライト、シリカゲル等が挙げられる。
【0137】
以上のように、本発明の一態様の発光装置は、発光装置の外部から水分や酸素などの不純物が侵入し、有機EL素子が劣化することを抑制できる。かつ、封止基板が外力等の衝撃を受けても、発光素子に直接外力が加わり、素子が破壊されることを抑制することができる。かつ、有機EL素子の温度上昇を抑制し、有機EL素子の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0138】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0139】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置について図4を用いて説明する。図4(A)は、本発明の一態様の発光装置を示す平面図であり、図4(B)は、図4(A)におけるC−D間の断面図である。
【0140】
本実施の形態の発光装置は、支持基板801上に、発光素子130(第1の電極118、EL層120、及び第2の電極122)を備える。具体的には、支持基板801上に第1の電極118を有し、第1の電極118上にEL層120を有し、EL層120上に第2の電極122を有する。
【0141】
第1の端子809aは、補助配線163及び第1の電極118と電気的に接続する。第1の電極118上には、補助配線163及び第1の端子809aと重なる領域に、絶縁層125が設けられている。第1の端子809aと第2の電極122は、絶縁層125によって電気的に絶縁されている。第2の端子809bは、第2の電極122と電気的に接続する。なお、本実施の形態では、補助配線163上に第1の電極118が形成されている構成を示すが、第1の電極118上に補助配線163を形成しても良い。
【0142】
支持基板801及び金属基板806は、封止材805によって貼り合わされている。空間810は、気体で充填されている。特に、発光素子130に対して不活性である気体で充填されていることが好ましい。また、空間810に、乾燥剤を有していても良い。
【0143】
また、第2の電極122上に、第2の電極と熱的に接続する第1の高放射層101を有する。さらに、金属基板806の支持基板801と対向する面に、低反射層103を有する。
【0144】
本実施の形態の発光装置において、支持基板801、金属基板806及び封止材805に囲まれた空間810内に発光素子130を備える。よって、発光装置の外部から水分や酸素などの不純物が侵入し、発光素子130が劣化することを抑制できる。かつ、上記の発光装置は、金属基板806と発光素子130の間に、気体で充填された空間810が存在するため、金属基板806が外力等の衝撃を受けても、発光素子130に直接外力が加わり、発光素子130が破壊されることを抑制することができる。
【0145】
かつ、本実施の形態の発光装置は、第1の高放射層101及び低反射層103を有するため、発光素子130が発する熱は、第2の電極122から第1の高放射層101に伝導し、第1の高放射層101から低反射層103へ熱放射が起こり、発光素子130が発する熱が当該素子の外部に放出される。第1の高放射層101から熱が電磁波として放出されても、低反射層103において該電磁波は反射されにくく、発光素子130に熱が戻ることは抑制される。よって、発光素子の温度上昇を抑制し、発光素子の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0146】
また、有機EL素子は、屈折率が大気より高い領域で発光するため、光を大気中に取り出すときに有機EL素子内、又は有機EL素子と大気との境界面で全反射が生じる条件があり、有機EL素子の光取り出し効率は100%より小さいという問題がある。
【0147】
具体的には、EL層の屈折率よりも小さい屈折率を有する媒体Bへ、媒体Bよりも屈折率の高い媒体Aから光が入射する際に、入射する角度により全反射することがある。
【0148】
このとき、媒体Aと媒体Bとの界面に凹凸の構造を設けることが好ましい。このような構成とすることで、媒体Aから媒体Bに臨界角を超えて入射する光が全反射し、発光装置内を光が導波して光の取り出し効率が低下する現象を抑制することができる。
【0149】
例えば、支持基板801と大気との界面に凹凸の構造161aを有することが好ましい。支持基板801の屈折率は大気の屈折率よりも大きい。よって、大気と支持基板801の界面に凹凸の構造161aを設けることで、全反射の影響で大気に取り出せない光を低減し、発光装置の光の取り出し効率を向上させることができる。
【0150】
また、発光素子130と支持基板801との界面に凹凸の構造161bを有することが好ましい。
【0151】
しかし、有機EL素子において、第1の電極118が凹凸を有すると、第1の電極118上に形成されるEL層120においてリーク電流が生じる恐れがある。したがって、本実施の形態では、EL層120の屈折率以上の屈折率を有する平坦化層162を、凹凸の構造161bと接して設ける。これによって、第1の電極118を平坦な膜とすることができ、第1の電極118の凹凸に起因するEL層におけるリーク電流の発生を抑制することができる。また、平坦化層162と支持基板801との界面に、凹凸の構造161bを有するため、全反射の影響で大気に取り出せない光を低減し、発光装置の光の取り出し効率を向上させることができる。
【0152】
なお、図4(B)において、支持基板801、凹凸の構造161a及び凹凸の構造161bを異なる要素として示したが、本発明はこれに限られない。これらのうち二つ又は全てが一体に形成されていても良い。また、凹凸の構造161bは封止領域の内側に全てが形成されていても良い。
【0153】
なお、図4(A)に示す発光装置の形状は八角形であるが、本発明はこれに限られない。発光装置は、その他の多角形または曲線をもつ形状としても良い。特に、発光装置の形状としては、三角形、四角形、正六角形などが好ましい。なぜなら、限られた面積に複数の発光装置を隙間無く設けることができるためである。また、限られた基板面積を有効に利用して発光装置を形成できるためである。また、発光装置が備える発光素子は一つに限られず、複数の発光素子を有していても良い。
【0154】
<本発明の一態様の発光装置に用いることができる材料>
以下に本発明の一態様の発光装置に用いることができる材料の一例を記す。なお、基板、発光素子、封止材、空間、及び熱放射層については、実施の形態1で例示した材料を適用することができる。
【0155】
[絶縁層125]
絶縁層125は、前述の隔壁124と同様の材料を用いて形成することができる。
【0156】
[補助配線163、第1の端子809a及び第2の端子809b]
補助配線163、第1の端子809a及び第2の端子809bは、同一の工程で(同時に)形成すると、少ない工程数で発光装置を作製できるため好ましい。例えば、銅(Cu)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)、スカンジウム(Sc)、ニッケル(Ni)、から選ばれた材料又はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層で又は積層して形成すれば良い。
【0157】
[凹凸の構造161a、161b]
凹凸の構造のパターンは、特に限定されず、例えば、半球状や、円錐、角錐(三角錐、四角錐等)などの頂点を有する形状とすることができる。凹凸の大きさ、高さは、特に、1μm以上であると、光の干渉による影響を抑制することができるため、好ましい。パターンは、隣り合う部分において隙間が生じないように設けられていることが好ましい。例えば、好ましい底面形状として、正六角形が挙げられる。
【0158】
凹凸の構造161a、161bは、支持基板801に直接作製することができる。その方法としては、例えば、エッチング法、砥粒加工法(サンドブラスト法)、マイクロブラスト加工法、液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法、インプリント法、ナノインプリント法等を適宜用いることができる。
【0159】
凹凸の構造161a、161bの材料としては、例えば、樹脂を用いることができ、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル(ポリメチルメタクリレート)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂、環状オレフィン系樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はポリ塩化ビニル樹脂などを用いることができる。また、これらを2以上組み合わせたものを用いても良い。アクリル樹脂は、可視光の透過率が高いため、好適に用いることができる。また、環状オレフィン系樹脂、及びシクロオレフィン樹脂は、可視光の透過率が高く耐熱性が優れているため、好適に用いることができる。
【0160】
また、凹凸の構造161a、161bとして、半球レンズ、マイクロレンズアレイや、凹凸構造が施されたフィルム、光拡散フィルム等を用いることもできる。例えば、支持基板801上に上記レンズやフィルムを、支持基板801又は該レンズもしくはフィルムと同程度の屈折率を有する接着剤等を用いて接着することで、凹凸の構造161a、161bを形成することができる。
【0161】
[平坦化層162]
平坦化層162は、凹凸の構造161bと接する面よりも、第1の電極118と接する面のほうが平坦である。したがって、第1の電極118を平坦な膜とすることができる。その結果、第1の電極118の凹凸に起因するEL層120のリーク電流を抑制することができる。
【0162】
平坦化層162の材料としては、高屈折率の液体や樹脂等を用いることができる。平坦化層162は、透光性を有する。高屈折率の樹脂としては、臭素が含まれる樹脂、硫黄が含まれる樹脂などが挙げられ、例えば、含硫黄ポリイミド樹脂、エピスルフィド樹脂、チオウレタン樹脂、又は臭素化芳香族樹脂などを用いることができる。また、PET(ポリエチレンテレフタラート)、TAC(トリアセチルセルロース)なども用いることができる。高屈折率の液体としては、硫黄及びヨウ化メチレンを含む接触液(屈折液)などを用いることができる。成膜方法としては、材料にあった種々の方法を適用すれば良い。例えば、前述の樹脂を、スピンコート法を用いて成膜し、熱または光によって硬化させることで形成することができる。接着強度や加工のしやすさなどを考慮し適宜選択することができる。
【0163】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0164】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置について図5を用いて説明する。図5(A)は、本発明の一態様の発光装置を示す平面図であり、図5(B)は、図5(A)におけるE−F間の断面図である。
【0165】
本実施の形態に係るアクティブマトリクス型の発光装置は、支持基板801上に、発光部802、駆動回路部803(ゲート側駆動回路部)、駆動回路部804(ソース側駆動回路部)及び封止材805を有する。発光部802及び駆動回路部803、804は、支持基板801、金属基板806及び封止材805で形成された空間810に封止されている。空間810は、気体で充填されている。特に、発光素子130に対して不活性である気体で充填されていることが好ましい。
【0166】
該発光装置は、支持基板801、金属基板806、及び封止材805に囲まれた空間810内に、発光部802(発光素子130)を備えることから、発光装置の外部から水分や酸素などの不純物が侵入し、発光素子130が劣化することを抑制できる。
【0167】
図5(B)に示す発光部802は、スイッチング用のトランジスタ140aと、電流制御用のトランジスタ140bと、トランジスタ140bの配線(ソース電極またはドレイン電極)に電気的に接続された第1の電極118とを含む複数の発光ユニットにより形成されている。発光ユニットの発光領域において、第1の絶縁層114上にはカラーフィルタ160が設けられている。
【0168】
発光素子130は、第1の電極118、EL層120、及び第2の電極122によって構成されている。また、第1の電極118の端部を覆って隔壁124が形成されている。また、第2の電極122上に、第2の電極122と熱的に接続する第1の高放射層101が設けられている。また、金属基板806の支持基板801と対向する面には、低反射層103が設けられている。
【0169】
本実施の形態の発光装置において、支持基板801、金属基板806及び封止材805に囲まれた空間810内に発光素子130を備える。よって、発光装置の外部から水分や酸素などの不純物が侵入し、発光素子130が劣化することを抑制できる。かつ、上記の発光装置は、金属基板806と発光素子130の間に、気体で充填された空間810が存在するため、金属基板806が外力等の衝撃を受けても、発光素子130に直接外力が加わり、発光素子130が破壊されることを抑制することができる。
【0170】
かつ、本実施の形態の発光装置は、第1の高放射層101及び低反射層103を有するため、発光素子130が発する熱は、第2の電極122から第1の高放射層101に伝導し、第1の高放射層101から低反射層103へ熱放射が起こり、発光素子130が発する熱が当該素子の外部に放出される。第1の高放射層101から熱が電磁波として放出されても、低反射層103において該電磁波は反射されにくく、発光素子130に熱が戻ることは抑制される。よって、発光素子の温度上昇を抑制し、発光素子の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0171】
支持基板801上には、駆動回路部803、804に外部からの信号(ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、またはリセット信号等)や電位を伝達する外部入力端子を接続するための引き回し配線が設けられる。ここでは、外部入力端子としてFPC808(Flexible Printed Circuit)を設ける例を示している。なお、FPC808にはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていてもよい。本明細書における発光装置は、発光装置本体だけでなく、発光装置本体にFPCまたはPWBが取り付けられた状態のものも範疇に含むものとする。
【0172】
駆動回路部803、804は、トランジスタを複数有する。図5では、駆動回路部803が、nチャネル型のトランジスタ152及びpチャネル型のトランジスタ153を組み合わせたCMOS回路を有する例を示している。駆動回路部の回路は、種々のCMOS回路、PMOS回路又はNMOS回路で形成することができる。また、本実施の形態では、発光部が形成された基板上に駆動回路が形成されたドライバー一体型を示すが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、発光部が形成された基板とは別の基板に駆動回路を形成することもできる。
【0173】
<本発明の一態様の発光装置に用いることができる材料>
以下に本発明の一態様の発光装置に用いることができる材料の一例を記す。なお、基板、発光素子、封止材、空間、隔壁、及び熱放射層については、実施の形態1で例示した材料を適用することができる。
【0174】
[トランジスタ]
本発明の一態様の発光装置に用いるトランジスタ(トランジスタ140a、140b、152、153等)の構造は特に限定されない。トップゲート型のトランジスタを用いても良いし、逆スタガ型などのボトムゲート型のトランジスタを用いても良い。また、チャネルエッチ型やチャネルストップ(チャネル保護)型としても良い。また、トランジスタに用いる材料についても特に限定されない。
【0175】
ゲート電極は、例えば、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらの元素を含む合金材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。
【0176】
ゲート絶縁層は、発光素子からの光を透過する材料で形成する。ゲート絶縁層は、例えば、プラズマCVD法やスパッタリング法等を用いて、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン又は酸化アルミニウムを単層で又は積層して形成することができる。
【0177】
半導体層は、シリコン半導体や酸化物半導体を用いて形成することができる。シリコン半導体としては、単結晶シリコンや多結晶シリコンなどがあり、酸化物半導体としては、In−Ga−Zn−O系金属酸化物などを、適宜用いることができる。ただし、半導体層としては、In−Ga−Zn−O系金属酸化物である酸化物半導体を用いて、オフ電流の低い半導体層とすることで、後に形成される発光素子130のオフ時のリーク電流が抑制できるため、好ましい。
【0178】
ソース電極層及びドレイン電極層としては、例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素を含む金属膜、又は該元素を含む金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。また、Al、Cuなどの金属膜の下側又は上側の一方又は双方にTi、Mo、Wなどの高融点金属膜又はそれらの金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)を積層させた構成としても良い。また、ソース電極層及びドレイン電極層は、導電性の金属酸化物で形成しても良い。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム(In2O3等)、酸化スズ(SnO2等)、酸化亜鉛(ZnO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化インジウム酸化亜鉛(In2O3−ZnO等)又はこれらの金属酸化物材料に酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
【0179】
[第1の絶縁層114、第2の絶縁層116]
第1の絶縁層114及び第2の絶縁層116は、発光素子からの光を透過する材料で形成する。
【0180】
第1の絶縁層114は、トランジスタを構成する半導体への不純物の拡散を抑制する効果を奏する。第1の絶縁層114としては、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜などの無機絶縁膜を用いることができる。
【0181】
第2の絶縁層116としては、カラーフィルタやトランジスタ起因の表面凹凸を低減するために平坦化機能を有する絶縁膜を選択するのが好適である。例えば、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン等の有機材料を用いることができる。また、上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、第2の絶縁層116を形成してもよい。
【0182】
[カラーフィルタ160]
第1の絶縁層114上には、発光素子130(の発光領域)と重なる位置に、着色層であるカラーフィルタ160が設けられている。カラーフィルタ160は、発光素子130からの発光色を調色する目的で設けられる。例えば、白色発光の発光素子を用いてフルカラーの表示装置とする場合には、異なる色のカラーフィルタを設けた複数の発光ユニットを用いる。その場合、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色を用いても良いし、これに黄色(Y)を加えた4色とすることもできる。
【0183】
なお、本実施の形態では、カラーフィルタ方式を用いた発光装置を例に説明したが、本発明の構成はこれに限られない。例えば、塗り分け方式や、色変換方式を適用しても良い。
【0184】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0185】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置に適用することができるEL層の構成例について、図6を用いて説明する。
【0186】
EL層には公知の物質を用いることができ、低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもできる。なお、EL層を形成する物質には、有機化合物のみから成るものだけでなく、無機化合物を一部に含む構成も含めるものとする。
【0187】
図6(A)では、第1の電極118及び第2の電極122の間にEL層120を有する。図6(A)に示すEL層120は、第1の電極118側から、正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、電子輸送層704及び電子注入層705の順で積層されている。
【0188】
EL層は、図6(B)に示すように、第1の電極118と第2の電極122との間に複数積層されていても良い。この場合、積層された第1のEL層120aと第2のEL層120bとの間には、電荷発生層709を設けることが好ましい。このような構成を有する発光素子は、エネルギーの移動や消光などの問題が起こり難く、材料の選択の幅が広がることで高い発光効率と長い寿命とを併せ持つ発光素子とすることが容易である。また、一方のEL層で燐光発光、他方で蛍光発光を得ることも容易である。この構造は上述のEL層の構造と組み合わせて用いることができる。
【0189】
また、それぞれのEL層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つのEL層を有する発光素子において、第1のEL層の発光色と第2のEL層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から得られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。また、3つ以上のEL層を有する発光素子の場合でも同様である。
【0190】
EL層120は、図6(C)に示すように、第1の電極118と第2の電極122との間に、正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、電子輸送層704、電子注入バッファー層706、電子リレー層707、及び第2の電極122と接する複合材料層708を有していても良い。
【0191】
第2の電極122と接する複合材料層708を設けることで、特にスパッタリング法を用いて第2の電極122を形成する際に、EL層120が受けるダメージを低減することができるため、好ましい。
【0192】
電子注入バッファー層706を設けることで、複合材料層708と電子輸送層704との間の注入障壁を緩和することができるため、複合材料層708で生じた電子を電子輸送層704に容易に注入することができる。
【0193】
電子注入バッファー層706と複合材料層708との間に、電子リレー層707を形成することが好ましい。電子リレー層707は、必ずしも設ける必要は無いが、電子輸送性の高い電子リレー層707を設けることで、電子注入バッファー層706へ電子を速やかに送ることが可能となる。
【0194】
複合材料層708と電子注入バッファー層706との間に電子リレー層707が挟まれた構造は、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質と、電子注入バッファー層706に含まれるドナー性物質とが相互作用を受けにくく、互いの機能を阻害しにくい構造である。したがって、駆動電圧の上昇を抑制することができる。
【0195】
以下に、それぞれの層に用いることができる材料を例示する。なお、各層は、単層に限られず、二層以上積層しても良い。
【0196】
〈正孔注入層701〉
正孔注入層701は、正孔注入性の高い物質を含む層である。
【0197】
正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の金属酸化物や、フタロシアニン(略称:H2Pc)、銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物等を用いることができる。
【0198】
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)などの高分子化合物や、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の酸を添加した高分子化合物を用いることができる。
【0199】
特に、正孔注入層701には、正孔輸送性の高い有機化合物と電子受容体(アクセプター)とを含む複合材料を用いることが好ましい。該複合材料は、該電子受容体によって該有機化合物に正孔が発生するため、正孔注入性及び正孔輸送性に優れている。該複合材料を用いることで、第1の電極118からEL層120への正孔注入性が良好となり、発光素子の駆動電圧を低減することができる。
【0200】
該複合材料は、正孔輸送性の高い有機化合物と電子受容体とを共蒸着することにより形成することができる。また、正孔注入層701は、同一膜中に、正孔輸送性の高い有機化合物と電子受容体とを含む構成だけでなく、正孔輸送性の高い有機化合物を含む層と、電子受容体を含む層とが積層されている構成も適用することができる。具体的には、電子受容体を含む層が、第1の電極118に接する構成とすれば良い。
【0201】
複合材料に用いる有機化合物は、電子よりも正孔の輸送性の高い有機化合物であれば良く、特に、10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する有機化合物であることが好ましい。複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素化合物、高分子化合物など、種々の化合物を用いることができる。
【0202】
芳香族アミン化合物としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB又はα−NPD)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)等が挙げられる。
【0203】
カルバゾール誘導体としては、例えば、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)等が挙げられる。
【0204】
芳香族炭化水素化合物としては、例えば、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)等が挙げられる。
【0205】
高分子化合物としては、例えば、PVK、PVTPA等が挙げられる。
【0206】
複合材料に用いることのできる電子受容体としては遷移金属酸化物や、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化モリブデンが好ましい。酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすい。
【0207】
〈正孔輸送層702〉
正孔輸送層702は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。
【0208】
正孔輸送性の高い物質としては、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば良く、特に、10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。例えば、NPB、BPAFLP等の芳香族アミン化合物、CBP、CzPA、PCzPA等のカルバゾール誘導体、t−BuDNA、DNA、DPAnth等の芳香族炭化水素化合物、PVK、PVTPA等の高分子化合物など、種々の化合物を用いることができる。
【0209】
〈発光層703〉
発光層703は、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。
【0210】
発光層703に用いることができる蛍光性化合物としては、例えば、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、ルブレン等が挙げられる。
【0211】
また、発光層703に用いることができる燐光性化合物としては、例えば、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)3)(アセチルアセトナト)ビス(3,5−ジメチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr−Me)2(acac))等の有機金属錯体が挙げられる。
【0212】
なお、発光層703は、上述した発光性の有機化合物(発光物質、ゲスト材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させた構成としてもよい。ホスト材料としては、各種のものを用いることができ、ゲスト材料よりも最低空軌道準位(LUMO準位)が高く、最高被占有軌道準位(HOMO準位)が低い物質を用いることが好ましい。
【0213】
ゲスト材料をホスト材料に分散させた構成とすることにより、発光層703の結晶化を抑制することができる。また、ゲスト材料の濃度が高いことによる濃度消光を抑制することができる。
【0214】
ホスト材料としては、具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)などの金属錯体、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などの複素環化合物や、CzPA、DNA、t−BuDNA、DPAnthなどの縮合芳香族化合物、NPB等の芳香族アミン化合物等を用いることができる。
【0215】
また、ホスト材料は複数種用いることができる。例えば、結晶化を抑制するためにルブレン等の結晶化を抑制する物質をさらに添加してもよい。また、ゲスト材料へのエネルギー移動をより効率良く行うためにNPB、あるいはAlq等をさらに添加してもよい。
【0216】
また、発光層を複数設け、それぞれの層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、発光層を2つ有する発光素子において、第1の発光層の発光色と第2の発光層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。また、発光層を3つ以上有する発光素子の場合でも同様である。
【0217】
〈電子輸送層704〉
電子輸送層704は、電子輸送性の高い物質を含む層である。
【0218】
電子輸送性の高い物質としては、正孔よりも電子の輸送性の高い有機化合物であれば良く、特に、10−6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質であることが好ましい。
【0219】
電子輸送性の高い物質としては、例えば、Alq、BAlqなど、キノリン骨格又はベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等や、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体などを用いることができる。また、TAZ、BPhen、BCPなども用いることができる。
【0220】
〈電子注入層705〉
電子注入層705は、電子注入性の高い物質を含む層である。
【0221】
電子注入性の高い物質としては、例えば、リチウム、セシウム、カルシウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、リチウム酸化物等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウムのような希土類金属化合物を用いることができる。また、上述した電子輸送層704を構成する物質を用いることもできる。
【0222】
なお、上述した正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、電子輸送層704、電子注入層705は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0223】
〈電荷発生層709〉
図6(B)に示す電荷発生層709は上述の複合材料で形成することができる。また、電荷発生層709は複合材料からなる層と他の材料からなる層との積層構造でもよい。この場合、他の材料からなる層としては、電子供与性物質と電子輸送性の高い物質とを含む層や、透明導電膜からなる層などを用いることができる。
【0224】
〈複合材料層708〉
図6(C)に示す複合材料層708は、前述の、正孔輸送性の高い有機化合物と電子受容体(アクセプター)とを含む複合材料を用いることができる。
【0225】
〈電子注入バッファー層706〉
電子注入バッファー層706には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)等の電子注入性の高い物質を用いることが可能である。
【0226】
また、電子注入バッファー層706が、電子輸送性の高い物質とドナー性物質を含んで形成される場合には、電子輸送性の高い物質に対して質量比で、0.001以上0.1以下の比率でドナー性物質を添加することが好ましい。なお、ドナー性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物の他、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセン等の有機化合物を用いることもできる。なお、電子輸送性の高い物質としては、先に説明した電子輸送層704の材料と同様の材料を用いて形成することができる。
【0227】
〈電子リレー層707〉
電子リレー層707は、電子輸送性の高い物質を含み、該電子輸送性の高い物質のLUMO準位は、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質のLUMO準位と、電子輸送層704に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位との間となるように形成する。また、電子リレー層707がドナー性物質を含む場合には、当該ドナー性物質のドナー準位も複合材料層708に含まれるアクセプター性物質のLUMO準位と、電子輸送層704に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位との間となるようにする。具体的なエネルギー準位の数値としては、電子リレー層707に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位は−5.0eV以上、好ましくは−5.0eV以上−3.0eV以下とするとよい。
【0228】
電子リレー層707に含まれる電子輸送性の高い物質としてはフタロシアニン系の材料又は金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体を用いることが好ましい。
【0229】
電子リレー層707に含まれるフタロシアニン系材料としては、具体的にはCuPc、PhO−VOPc(Vanadyl 2,9,16,23−tetraphenoxy−29H,31H−phthalocyanine)等が挙げられる。
【0230】
電子リレー層707に含まれる金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としては、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体を用いることが好ましい。金属−酸素の二重結合はアクセプター性(電子を受容しやすい性質)を有するため、電子の移動(授受)がより容易になる。
【0231】
金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としてはフタロシアニン系材料が好ましい。特に、分子構造的に金属−酸素の二重結合が他の分子に対して作用しやすく、アクセプター性が高い材料が好ましい。
【0232】
なお、上述したフタロシアニン系材料としては、フェノキシ基を有するものが好ましい。具体的にはPhO−VOPcのような、フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体が好ましい。フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体は、溶媒に可溶である。そのため、発光素子を形成する上で扱いやすいという利点を有する。また、溶媒に可溶であるため、成膜に用いる装置のメンテナンスが容易になるという利点を有する。
【0233】
電子リレー層707はさらにドナー性物質を含んでいても良い。ドナー性物質としては、電子注入バッファー層706に含むことができるドナー性物質と同様の材料が挙げられる。電子リレー層707にこれらドナー性物質を含ませることによって、電子の移動が容易となり、発光素子をより低電圧で駆動することが可能になる。
【0234】
電子リレー層707にドナー性物質を含ませる場合、電子輸送性の高い物質としては上記した材料の他、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質のアクセプター準位より高いLUMO準位を有する物質を用いることができる。具体的なエネルギー準位としては、−5.0eV以上、好ましくは−5.0eV以上−3.0eV以下の範囲にLUMO準位を有する物質を用いることが好ましい。このような物質としては例えば、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(略称:PTCDA)等のペリレン誘導体や、ピラジノ[2,3−f][1,10]フェナントロリン−2,3−ジカルボニトリル(略称:PPDN)等の含窒素縮合芳香族化合物などが挙げられる。なお、含窒素縮合芳香族化合物は、安定であるため、電子リレー層707を形成する為に用いる材料として、好ましい材料である。
【0235】
以上により、本実施の形態のEL層を作製することができる。
【0236】
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0237】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置を用いて完成させた様々な電子機器および照明装置の一例について、図7乃至図9を用いて説明する。
【0238】
本発明の一態様の発光装置は、水分や酸素などの不純物、外力による信頼性の低下を抑制しつつ、さらに熱による信頼性の低下も抑制できる。したがって、本発明の一態様の発光装置を適用することで、信頼性の高い電子機器及び照明装置を実現することができる。
【0239】
発光装置を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。これらの電子機器および照明装置の具体例を図7乃至図9に示す。
【0240】
図7(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7103が組み込まれている。表示部7103により、映像を表示することが可能であり、本発明の一態様の発光装置を表示部7103に用いることができる。本発明の一態様の発光装置を表示部7103に用いることで、信頼性の高いテレビジョン装置を実現することができる。また、ここでは、スタンド7105により筐体7101を支持した構成を示している。
【0241】
テレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7110により行うことができる。リモコン操作機7110が備える操作キー7109により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7103に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機7110に、当該リモコン操作機7110から出力する情報を表示する表示部7107を設ける構成としてもよい。
【0242】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0243】
図7(B)はコンピュータであり、本体7201、筐体7202、表示部7203、キーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む。なお、コンピュータは、本発明の一態様の発光装置をその表示部7203に用いることにより作製される。本発明の一態様の発光装置を表示部7203に用いることで、信頼性の高いコンピュータを実現することができる。
【0244】
図7(C)は携帯型遊技機であり、筐体7301と筐体7302の2つの筐体で構成されており、連結部7303により、開閉可能に連結されている。筐体7301には表示部7304が組み込まれ、筐体7302には表示部7305が組み込まれている。また、図7(C)に示す携帯型遊技機は、その他、スピーカ部7306、記録媒体挿入部7307、LEDランプ7308、入力手段(操作キー7309、接続端子7310、センサ7311(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン7312)等を備えている。もちろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも表示部7304および表示部7305の両方、又は一方に本発明の一態様の発光装置を用いていればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。本発明の一態様の発光装置を表示部7304又は/及び表示部7305に用いることで、信頼性の高い携帯型遊技機を実現することができる。図7(C)に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、図7(C)に示す携帯型遊技機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0245】
図7(D)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、本発明の一態様の発光装置を表示部7402に用いることにより作製される。本発明の一態様の発光装置を表示部7402に用いることで、信頼性の高い携帯電話機を実現することができる。
【0246】
図7(D)に示す携帯電話機7400は、表示部7402を指などで触れることで、情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
【0247】
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
【0248】
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部7402の画面のほとんどにキーボード又は番号ボタンを表示させることが好ましい。
【0249】
また、携帯電話機7400内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機7400の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
【0250】
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、又は筐体7401の操作ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
【0251】
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表示部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
【0252】
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部7402に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライト又は近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
【0253】
図7(E)は卓上照明器具であり、照明部7501、傘7502、可変アーム7503、支柱7504、台7505、電源7506を含む。なお、卓上照明器具は、本発明の一態様の発光装置を照明部7501に用いることにより作製される。本発明の一態様の発光装置を照明部7501に用いることで、信頼性の高い卓上照明器具を実現することができる。なお、照明器具には天井固定型の照明器具又は壁掛け型の照明器具なども含まれる。
【0254】
図8は、本発明の一態様の発光装置を、室内の照明装置811に用いた例である。本発明の一態様の発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置に用いることができる。その他、ロール型の照明装置812として用いることもできる。なお、図8に示すように、室内の照明装置811を備えた部屋で、図7(E)で説明した卓上照明器具813を併用してもよい。
【0255】
図9(A)(B)は2つ折り可能なタブレット型端末である。図9(A)は、開いた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、表示部9631a、表示部9631b、表示モード切り替えスイッチ9034、電源スイッチ9035、省電力モード切り替えスイッチ9036、留め具9033、操作スイッチ9038、を有する。
【0256】
表示部9631aは、一部をタッチパネルの領域9632aとすることができ、表示された操作キー9037にふれることでデータ入力をすることができる。なお、表示部9631aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、残りの半分の領域がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部9631aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部9631aの全面にキーボードボタンを表示させてタッチパネルとし、表示部9631bを表示画面として用いることができる。
【0257】
また、表示部9631bにおいても表示部9631aと同様に、表示部9631bの一部をタッチパネルの領域9632bとすることができる。また、タッチパネルのキーボード表示切り替えボタン9639が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれることで表示部9631bにキーボードボタンを表示することができる。
【0258】
また、タッチパネルの領域9632aとタッチパネルの領域9632bに対して同時にタッチ入力することもできる。
【0259】
また、表示モード切り替えスイッチ9034は、縦表示または横表示などの表示の向きを切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えスイッチ9036は、タブレット型端末に内蔵している光センサで検出される使用時の外光の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光センサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置を内蔵させてもよい。
【0260】
また、図9(A)では表示部9631aと表示部9631bの表示面積が同じ例を示しているが特に限定されず、一方の表示部のサイズと他方の表示部のサイズが異なっていてもよく、表示の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネルとしてもよい。
【0261】
図9(B)は、閉じた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、太陽電池9633、充放電制御回路9634、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有する。なお、図9(B)では充放電制御回路9634の一例としてバッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有する構成について示している。
【0262】
なお、タブレット型端末は2つ折り可能なため、未使用時に筐体9630を閉じた状態にすることができる。従って、表示部9631a、表示部9631bを保護できるため、耐久性に優れ、長期使用の観点からも信頼性の優れたタブレット型端末を提供できる。
【0263】
また、この他にも図9(A)(B)に示したタブレット型端末は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。
【0264】
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル、表示部、または映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、筐体9630の一面または二面に設けることで、効率的なバッテリー9635の充電を行う構成とすることができるため好適である。なお、バッテリー9635としては、リチウムイオン電池を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
【0265】
また、図9(B)に示す充放電制御回路9634の構成及び動作について、図9(C)にブロック図を示し説明する。図9(C)には、太陽電池9633、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3、表示部9631について示しており、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3が、図9(B)に示す充放電制御回路9634に対応する箇所となる。
【0266】
まず外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する。太陽電池で発電した電力は、バッテリー9635を充電するための電圧となるようDCDCコンバータ9636で昇圧または降圧がなされる。そして、表示部9631の動作に太陽電池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ9637で表示部9631に必要な電圧に昇圧または降圧をすることとなる。また、表示部9631での表示を行わない際には、スイッチSW1をオフにし、スイッチSW2をオンにしてバッテリー9635の充電を行う構成とすればよい。
【0267】
なお太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段によるバッテリー9635の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送受信して充電する無接点電力電送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う構成としてもよい。
【0268】
以上のように、本発明の一態様の発光装置を適用して電子機器や照明装置を得ることができる。本発明の一態様の発光装置の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0269】
なお、本実施の形態に示す構成は、先の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
【符号の説明】
【0270】
101 第1の高放射層
102 第1の熱伝導層
103 低反射層
104 第2の熱伝導層
105 第2の高放射層
106 第3の熱伝導層
114 第1の絶縁層
116 第2の絶縁層
118 第1の電極
120 EL層
120a 第1のEL層
120b 第2のEL層
121 金属膜
122 第2の電極
124 隔壁
125 絶縁層
126 乾燥剤
130 発光素子
140a トランジスタ
140b トランジスタ
152 トランジスタ
153 トランジスタ
160 カラーフィルタ
161a 凹凸の構造
161b 凹凸の構造
162 平坦化層
163 補助配線
701 正孔注入層
702 正孔輸送層
703 発光層
704 電子輸送層
705 電子注入層
706 電子注入バッファー層
707 電子リレー層
708 複合材料層
709 電荷発生層
801 支持基板
802 発光部
803 駆動回路部
804 駆動回路部
805 封止材
806 金属基板
808 FPC
809a 第1の端子
809b 第2の端子
810 空間
811 照明装置
812 照明装置
813 卓上照明器具
7100 テレビジョン装置
7101 筐体
7103 表示部
7105 スタンド
7107 表示部
7109 操作キー
7110 リモコン操作機
7201 本体
7202 筐体
7203 表示部
7204 キーボード
7205 外部接続ポート
7206 ポインティングデバイス
7301 筐体
7302 筐体
7303 連結部
7304 表示部
7305 表示部
7306 スピーカ部
7307 記録媒体挿入部
7308 LEDランプ
7309 操作キー
7310 接続端子
7311 センサ
7312 マイクロフォン
7400 携帯電話機
7401 筐体
7402 表示部
7403 操作ボタン
7404 外部接続ポート
7405 スピーカ
7406 マイク
7501 照明部
7502 傘
7503 可変アーム
7504 支柱
7505 台
7506 電源
9033 留め具
9034 スイッチ
9035 電源スイッチ
9036 スイッチ
9037 操作キー
9038 操作スイッチ
9630 筐体
9631 表示部
9631a 表示部
9631b 表示部
9632a タッチパネルの領域
9632b タッチパネルの領域
9633 太陽電池
9634 充放電制御回路
9635 バッテリー
9636 DCDCコンバータ
9637 コンバータ
9639 ボタン
SW1 スイッチ
SW2 スイッチ
SW3 スイッチ
【技術分野】
【0001】
有機エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence、以下ELとも記す)現象を利用した発光装置、電子機器及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL現象を利用した発光素子(有機EL素子とも記す)の研究開発が盛んに行われている。有機EL素子の基本的な構成は、一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層を挟んだものである。この素子に電圧を印加することにより、発光性の有機化合物からの発光を得ることができる。
【0003】
薄型軽量化が容易であること、入力信号に対し高速に応答可能であること、直流低電圧電源を用いて駆動可能であること等の特徴を有する有機EL素子は、次世代のフラットパネルディスプレイや照明への応用が検討されている。有機EL素子をマトリクス状に配置した表示装置は、従来の液晶表示装置と比較して、視野角が広く視認性が優れる点に優位性があると考えられている。また、有機EL素子は、膜状に形成することが可能であるため、大面積の素子を容易に形成することができ、照明等に応用できる面光源としての利用価値も高い。
【0004】
一方で、有機EL素子は、熱により、発光特性(輝度など)や信頼性が損なわれてしまうという課題がある。
【0005】
有機EL素子は自発光型の素子であるため、駆動させることで発熱し、温度が上昇する。有機EL素子の輝度は、温度依存性があるため、有機EL素子の温度が上昇することで、輝度が低下してしまう場合がある。また、有機EL素子は、素子の温度が上昇することで、素子を構成する有機化合物が劣化し、素子の寿命が低下してしまう場合がある。
【0006】
したがって、有機EL素子が発する熱を当該素子の外部に放出して、素子の温度上昇を抑制する技術について、研究開発が進められている。
【0007】
例えば、特許文献1では、発光素子上に放熱層を備える有機ELパネルが開示されている。
【0008】
また、有機EL素子は、外部から侵入する水分や酸素などの不純物により、信頼性が損なわれてしまうという課題がある。
【0009】
有機EL素子の外部から、水分や酸素などの不純物が、有機EL素子を構成する有機化合物や金属材料に侵入することで、有機EL素子の寿命は大幅に低減されてしまう場合がある。有機EL素子に用いる有機化合物や金属材料が、水分や酸素などの不純物と反応し、劣化してしまうためである。
【0010】
したがって、不純物の侵入を防ぐために有機EL素子を封止する技術について、研究開発が進められている。
【0011】
封止技術としては、例えば、有機EL素子を、該素子が形成された支持基板と薄膜の間に封止する技術(以下、膜封止とも記す)や、支持基板と封止基板とを樹脂やガラスフリット等を用いて貼り合わせ、有機EL素子を、該素子が形成された支持基板と封止基板の間に封止する技術が知られている。
【0012】
膜封止は生産性が低いため、コストが高い等の問題がある。一方、樹脂やガラスフリット等を用いて、有機EL素子を一対の基板で封止する技術は、コストが低く、生産性が高いため、望ましい封止手法の一つと考えられている。
【0013】
例えば、特許文献1では、発光素子等が形成された基板と、乾燥剤が貼り付けられた封止基板とが、紫外線硬化樹脂で貼り合わされた有機ELパネルが開示されている。
【0014】
封止基板としては、金属材料や合金材料を用いた金属基板が知られている。
【0015】
また、有機EL素子が封止された空間について、該空間が気体で充填された、いわゆる中空封止や、該空間が固体や液体で充填された、いわゆる固体封止や液体封止が知られている。
【0016】
<液体封止を適用した発光装置>
液体中の不純物を完全に除去することは難しいため、液体中に残留する水分や酸素等の不純物が、有機EL素子に悪影響を及ぼすという問題がある。
【0017】
<固体封止を適用した発光装置>
発光装置が封止基板側から外力等の衝撃を受けた場合、固体を介して封止基板と接する有機EL素子は、外力の影響を受けやすい。これにより、素子の陽極と陰極間のショートや、素子の破壊が起こりやすいという問題がある。固体は液体や気体に比べて変形しにくく、外力等の衝撃を吸収又は緩和することが難しいためである。また、この問題は上述の膜封止を適用した場合にも生じる。
【0018】
また、工程中に発光装置内に混入した固体由来の異物に応力が集中し、素子に押し当てられた異物が、素子の陽極と陰極間のショートを引き起こす可能性がある。
【0019】
<中空封止を適用した発光装置>
中空封止を適用した発光装置は、封止基板と有機EL素子の間に気体で充填された空間が存在するため、封止基板側から外力等の衝撃を受けても有機EL素子に直接外力が加わり素子が破壊されることを抑制することができる。よって、固体封止や液体封止を適用した発光装置に比べ、中空封止を適用した発光装置は、歩留まりが高く、信頼性が高いと言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2008−234890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかし、中空封止において、空間を充填する気体は熱伝導率が低いため、有機EL素子の発する熱が、有機EL素子から空間を伝導し封止基板に伝わる、さらには発光装置の外部に放出されることは難しい。つまり、有機EL素子の発する熱が、有機EL素子の外部に運ばれることは難しい。
【0022】
熱を運ぶ方法としては、熱伝導のほかに、熱放射が挙げられる。物体から熱エネルギーが電磁波として放出される現象である熱放射は、2つの物体の間に媒介する物質が無い場合(例えば、真空である場合)でも、熱を伝えることができる。
【0023】
しかし、封止基板として金属基板を用いる場合、金属材料や合金材料は反射率が高いため、放射率の高い層から放出された電磁波が金属基板で反射することで、熱エネルギーが有機EL素子に戻ってしまう場合がある。
【0024】
例えば、特許文献1では、発光素子上に放熱層を備える。しかし、封止基板として金属基板を用いると、熱伝導及び熱放射によって放熱層から金属基板へと熱を運ぶことは難しく、有機EL素子の温度上昇を抑制することが難しい。
【0025】
したがって、本発明の一態様は、水分や酸素などの不純物、及び外力による信頼性の低下を抑制しつつ、さらに熱による信頼性の低下も抑制できる、有機EL素子を用いた発光装置を提供することを目的の一とする。
【0026】
また、本発明の一態様は、該発光装置を用いた信頼性の高い電子機器又は照明装置を提供することを目的の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
有機EL素子は、一対の電極間に発光性の有機化合物を含む層(以下、EL層とも記す)を備える。下面射出(ボトムエミッション)構造の場合、支持基板上に、該EL層が発する光を透過する第1の電極を有し、該第1の電極上にEL層を有し、該EL層上に第2の電極を有する。第2の電極の材料としては反射率が高い材料が好ましく、例えば、金属材料や合金材料が好適である。しかしながら、金属材料や合金材料は、一般に、熱伝導率は高いが、放射率及び透過率が低い。
【0028】
また、中空封止を適用した下面射出構造の発光装置は、支持基板と、封止基板と、封止材とに囲まれた空間内に有機EL素子を有し、該空間は気体で充填されている。したがって、該空間を伝導させて、有機EL素子が発する熱を封止基板側に運ぶことは困難である。
【0029】
封止基板としては、金属材料や合金材料を用いた金属基板を用いることができる。金属材料や合金材料は熱伝導性が高く、封止基板全体に熱を容易に伝導できるため、発光装置の局所的な温度上昇を抑制することができ、好ましい。しかし、前述の通り、金属材料や合金材料は反射率が高い。
【0030】
本発明者らは、該発光装置において、第2の電極上に、該第2の電極と熱的に接続する放射率の高い層(高放射層とも記す)を有し、かつ、金属基板の支持基板と対向する面に反射率の低い層(低反射層とも記す)を有する構成に想到した。このような構成とすることにより、有機EL素子が発する熱を、放射率の高い層から反射率の低い層へ電磁波として放射することができ、かつ、該電磁波が反射され、有機EL素子に該熱が戻ることを抑制することができる。よって、有機EL素子の温度上昇を抑制することができる。
【0031】
本明細書中において、AとBが熱的に接続する構成とは、AとBの間で熱が伝導する構成であれば良く、AとBが直接接する構成だけでなく、AとBが他の層を介して接する構成も含まれる。
【0032】
本発明の一態様は、支持基板、金属基板及び封止材に囲まれた空間内に、発光素子を含む発光部を備え、封止材は、発光部の外周を囲むように設けられ、発光素子は、支持基板上に設けられた第1の電極と、第1の電極上に設けられた発光性の有機化合物を含む層と、発光性の有機化合物を含む層上に設けられた第2の電極と、を備え、支持基板及び第1の電極は、発光性の有機化合物が発する光に対して透光性を有し、空間は、気体で充填されており、第2の電極上に、第2の電極よりも放射率が高く、第2の電極と熱的に接続する第1の高放射層を有し、金属基板の支持基板と対向する面に、金属基板よりも反射率が低い低反射層を有する発光装置である。
【0033】
上記の発光装置は、支持基板、金属基板及び封止材に囲まれた空間内に有機EL素子を有する。よって、発光装置の外部から水分や酸素などの不純物が侵入し、有機EL素子が劣化することを抑制できる。
【0034】
かつ、上記の発光装置は、金属基板と有機EL素子の間に、気体で充填された空間が存在するため、金属基板が外力等の衝撃を受けても、有機EL素子に直接外力が加わり、素子が破壊されることを抑制することができる。
【0035】
かつ、上記の発光装置は、第1の高放射層及び低反射層を有する。上記の発光装置において、有機EL素子が発する熱は、第2の電極から第1の高放射層に伝導する。そして、第1の高放射層から低反射層へ熱放射が起こるため、有機EL素子が発する熱が当該素子の外部に放出される。第1の高放射層から熱が電磁波として放出されても、低反射層において該電磁波は反射されにくく、有機EL素子に熱が戻ることは抑制される。よって、有機EL素子の温度上昇を抑制し、有機EL素子の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0036】
上記発光装置において、低反射層が、第1の高放射層と重なる領域に設けられていることが好ましい。このような構成とすることで、第1の高放射層から低反射層への経路が短くなるため、有機EL素子が発する熱を当該素子の外部に効率よく運ぶことができる。
【0037】
また、上記発光装置において、第1の高放射層は、発光性の有機化合物を含む層(EL層)よりも熱伝導率が高いことが好ましい。第1の高放射層の熱伝導率がEL層の熱伝導率よりも高いと、第2の電極において、熱はEL層よりも第1の高放射層に伝導しやすい。よって、有機EL素子が発する熱を当該素子の外部により効率よく運ぶことができる。また、第1の高放射層の熱伝導率が高いほど、第1の高放射層全体に熱を容易に伝導でき、局所的な温度上昇を抑制することができるため、好ましい。さらに、低反射層へと熱を効率よく運ぶ(放射する)ことができる。
【0038】
また、上記発光装置において、第2の電極と第1の高放射層は、発光性の有機化合物を含む層(EL層)よりも熱伝導率が高い第1の熱伝導層を介して熱的に接続することが好ましい。第1の熱伝導層はEL層よりも熱伝導率が高いため、第2の電極において、熱がEL層よりも第1の熱伝導層に伝導しやすい。よって、有機EL素子が発する熱を当該素子の外部により効率よく運ぶことができる。
【0039】
第2の電極と第1の高放射層の密着性(又は接着性)が低いと、第2の電極(さらには第1の高放射層)の熱伝導率が高くても、第1の高放射層に十分に熱が伝導されない場合がある。このような場合に、上記構成は特に好ましく、第2の電極と第1の高放射層との間に第1の熱伝導層を設けることで、第2の電極と第1の熱伝導層との密着性が高く、第1の熱伝導層と第1の高放射層との密着性が高い構成を実現することができる。該構成を適用することで、第2の電極から第1の高放射層への熱の伝導が容易となり、有機EL素子が発する熱が当該素子の外部に放出されることを促進できる。よって、有機EL素子の温度上昇を抑制し、有機EL素子の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0040】
また、上記発光装置において、低反射層の熱伝導率が1W/m・K以上であることが好ましい。低反射層の熱伝導率が高いほど、低反射層全体に熱を容易に伝導でき、局所的な温度上昇を抑制することができるため、好ましい。さらに、金属基板へと熱を効率よく運ぶ(伝導する)ことができる。
【0041】
また、上記発光装置において、低反射層と接する層が熱伝導性の高い層であると、低反射層から、低反射層と接する層への、熱の伝導を促進できる。したがって、低反射層と接する層が熱伝導性の高い層であることが好ましい。例えば、本発明の一態様の構成では、金属基板と低反射層とが接する。この構成は、低反射層から金属基板への熱の伝導が効率よく行われ、かつ、金属基板全体に熱を容易に伝導できるため好ましい。
【0042】
また、低反射層と金属基板の密着性(又は接着性)が低い場合には、低反射層と金属基板との間に第2の熱伝導層を設けることが好ましい。具体的には、上記発光装置において、金属基板と低反射層が、低反射層よりも熱伝導率が高い第2の熱伝導層を介して熱的に接続することが好ましい。
【0043】
低反射層と金属基板との間に第2の熱伝導層を設けることで、低反射層と第2の熱伝導層との密着性が高く、第2の熱伝導層と金属基板との密着性が高い構成を実現することができる。該構成を適用することで、低反射層から金属基板への熱の移動が容易となり、有機EL素子が発する熱が当該素子の外部に放出されることを促進できる。よって、有機EL素子の温度上昇を抑制し、有機EL素子の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0044】
また、上記発光装置において、金属基板の大気と接する面に、金属基板よりも放射率が高く、低反射層と重なる第2の高放射層を有することが好ましい。
【0045】
金属基板よりも放射率が高い第2の高放射層を大気に接して設けることで、有機EL素子の発する熱が発光装置の外部に放出されることを促進できる。よって、有機EL素子の温度上昇を抑制し、有機EL素子の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0046】
また、上記発光装置において、第2の高放射層は、低反射層よりも熱伝導率が高いことが好ましい。ただし、低反射層と金属基板が第2の熱伝導層を介して熱的に接続する場合、第2の高放射層は、第2の熱伝導層よりも熱伝導率が高いことが好ましい。第2の高放射層の熱伝導率が低反射層(又は第2の熱伝導層)の熱伝導率よりも高いと、金属基板において、熱が低反射層(又は第2の熱伝導層)よりも第2の高放射層に伝導しやすい。よって、有機EL素子が発する熱を当該素子の外部により効率よく運ぶことができる。また、第2の高放射層の熱伝導率が高いほど、第2の高放射層全体に熱を容易に伝導でき、局所的な温度上昇を抑制することができるため、好ましい。さらに、大気へと熱を効率よく放射することができる。
【0047】
また、上記発光装置において、第2の高放射層と接する層が熱伝導性の高い層であると、第2の高放射層と接する層から、第2の高放射層への熱の伝導を促進できる。したがって、第2の高放射層と接する層が熱伝導性の高い層であることが好ましい。例えば、本発明の一態様の構成では、金属基板と第2の高放射層とが接する。この構成は、金属基板から第2の高放射層への熱の伝導が効率よく行われ、かつ、金属基板全体に熱を容易に伝導できるため好ましい。
【0048】
また、第2の高放射層と金属基板の密着性(又は接着性)が低い場合には、第2の高放射層と金属基板の間に第3の熱伝導層を設けることが好ましい。具体的には、金属基板と第2の高放射層が、低反射層よりも熱伝導率が高い第3の熱伝導層を介して熱的に接続することが好ましい。ただし、低反射層と金属基板が第2の熱伝導層を介して熱的に接続する場合、第3の熱伝導層は、第2の熱伝導層よりも熱伝導率が高いことが好ましい。第3の熱伝導層は低反射層(又は第2の熱伝導層)よりも熱伝導率が高いため、金属基板において、熱が低反射層(又は第2の熱伝導層)よりも第3の熱伝導層に伝導しやすい。よって、有機EL素子が発する熱を当該素子の外部により効率よく運ぶことができる。
【0049】
また、第2の高放射層と金属基板との間に第3の熱伝導層を設けることで、第2の高放射層と第3の熱伝導層との密着性が高く、第3の熱伝導層と金属基板との密着性が高い構成を実現することができる。該構成を適用することで、金属基板から第2の高放射層への熱の伝導が容易となり、有機EL素子が発する熱が当該素子の外部に放出されることを促進できる。よって、有機EL素子の温度上昇を抑制し、有機EL素子の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0050】
また、本発明の一態様では、第1の高放射層や低反射層が乾燥剤を含む構成としても良い。特に、上記発光装置において、低反射層が乾燥剤を含むことが好ましい。
【0051】
第1の高放射層や低反射層が乾燥剤を含むと、作製工程中等に発光装置の内部(空間内)に侵入し残留した水分を、該乾燥剤によって吸着することができる。よって、発光装置の内部に残留した水分により、有機EL素子が劣化することを抑制できる。
【0052】
また、本発明の一態様は、上記構成の発光装置を表示部に有する電子機器である。また、本発明の一態様は、上記構成の発光装置を照明部に有する照明装置である。本発明の一態様の発光装置は、水分や酸素などの不純物、外力による信頼性の低下を抑制しつつ、さらに熱による信頼性の低下も抑制できるため、電子機器又は照明装置に適用することで、信頼性の高い電子機器又は照明装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0053】
水分や酸素などの不純物、外力による信頼性の低下を抑制しつつ、さらに熱による信頼性の低下も抑制できる、有機EL素子を用いた発光装置を提供することができる。また、該発光装置を用いた信頼性の高い電子機器又は照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一態様の発光装置の一例を示す図。
【図2】本発明の一態様の発光装置の一例を示す図。
【図3】本発明の一態様の発光装置の一例を示す図。
【図4】本発明の一態様の発光装置の一例を示す図。
【図5】本発明の一態様の発光装置の一例を示す図。
【図6】EL層の一例を示す図。
【図7】本発明の一態様の電子機器及び照明装置の一例を示す図。
【図8】本発明の一態様の照明装置の一例を示す図。
【図9】本発明の一態様の電子機器の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0055】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0056】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置について図1及び図2を用いて説明する。
【0057】
本発明の一態様の発光装置は、支持基板と、封止基板である金属基板と、封止材とに囲まれた空間内に、発光部を備える。支持基板及び金属基板は互いに対向している。封止材は、発光部の外周を囲むように設けられている。発光部は、発光素子(有機EL素子)を備える。該空間は、気体で充填されている。該発光素子は、支持基板上に設けられた第1の電極と、第1の電極上に設けられた発光性の有機化合物を含む層(EL層)と、EL層上に設けられた第2の電極とを備える。該支持基板及び該第1の電極は、発光性の有機化合物が発する光に対して透光性を有する。さらに、第2の電極上に、第2の電極と熱的に接続する第1の高放射層を有する。かつ、金属基板の支持基板と対向する面に低反射層を有する。
【0058】
第1の高放射層は、放射率が高い層である。具体的には、第1の高放射層は、第2の電極よりも放射率が高い層である。第1の高放射層は、放射率が0.25以上であることが好ましく、0.5以上であることが特に好ましい。
【0059】
低反射層は、反射率が低い層である。具体的には、低反射層は、金属基板よりも反射率が低い層である。低反射層は、反射率が0.75以下であることが好ましく、0.5以下であることが特に好ましい。
【0060】
ここで、反射率と放射率と透過率との和は1である。低反射層の透過率が高いと、第1の高放射層から電磁波として放出された熱は、低反射層を透過し、金属基板で反射し、再び低反射層を透過することで、有機EL素子に戻ってしまう恐れがある。したがって、低反射層は、透過率及び反射率が低い層(つまり、放射率が高い層)であることが好ましい。
【0061】
本発明の一態様の発光装置において、支持基板、金属基板及び封止材に囲まれた空間内に発光素子を備える。よって、上記発光装置は、発光装置の外部から水分や酸素などの不純物が侵入し、発光素子が劣化することを抑制できる。かつ、上記の発光装置は、封止基板と発光素子の間に、気体で充填された空間が存在するため、封止基板が外力等の衝撃を受けても、発光素子に直接外力が加わり、素子が破壊されることを抑制することができる。
【0062】
かつ、上記の発光装置は、第1の高放射層及び低反射層を有するため、有機EL素子が発する熱は、熱伝導率が高い第2の電極から第1の高放射層に伝導する。そして、第1の高放射層から低反射層へ熱放射が起こるため、有機EL素子が発する熱が当該素子の外部に放出される。第1の高放射層から熱が電磁波として放出されても、低反射層において該電磁波は反射されにくく、有機EL素子に熱が戻ることは抑制される。よって、有機EL素子の温度上昇を抑制し、有機EL素子の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0063】
以下に、本発明の一態様の発光装置における有機EL素子が発する熱の移動について、具体的に記す。
【0064】
熱を運ぶ方法としては、大きく分けて熱伝導、対流、熱放射の3つが挙げられる。ここでは、有機EL素子が発する熱が有機EL素子の外部へ運ばれる方法として、熱伝導と熱放射を考える。
【0065】
〈熱伝導〉
熱伝導は、物質の移動や放射によるエネルギー輸送なしに熱が物体の高温部から低温部に移る現象である。
【0066】
有機EL素子において、最も空間側に設けられている第2の電極の材料としては金属材料や合金材料が用いられ、特に反射性が高い材料が好適である。金属材料や合金材料は、一般に、熱伝導率が高い。
【0067】
しかし、本発明の一態様の発光装置において、空間は気体で充填されている。したがって、空間の熱伝導率は低く、有機EL素子が発する熱が、熱伝導によって、空間へと運ばれることは難しい。
【0068】
〈熱放射〉
熱放射は、熱輻射、温度放射とも呼ばれる。熱放射は、物体から熱エネルギーが電磁波として放出される現象である。熱放射では、2つの物体の間に媒介する物質が無い場合(例えば、真空である場合)でも、熱を伝えることができる。
【0069】
本発明の一態様の発光装置は、第2の電極上に、第2の電極と熱的に接続する第1の高放射層を有する。また、金属基板は、支持基板と対向する面に低反射層を有する。
【0070】
第1の高放射層は、放射率が高い層である。低反射層は、反射率が低い層である。有機EL素子が発する熱は、第2の電極から第1の高放射層に伝導する。そして、第1の高放射層から低反射層へ熱放射が起こるため、有機EL素子が発する熱が当該素子の外部に放出される。また、第1の高放射層から熱が電磁波として放出されても、低反射層において該電磁波は反射されにくく、有機EL素子に熱が戻ることは抑制される。したがって、本発明の一態様のような中空封止の発光装置であっても、有機EL素子が発する熱が当該素子の外部に放出されることを促進できる。よって、本発明の一態様の発光装置は、有機EL素子の温度上昇を抑制し、有機EL素子の発熱による信頼性の低下を抑制することができる。
【0071】
以下に本発明の一態様の発光装置の一例を示す。
【0072】
(構成例1)
図1(A)に本発明の一態様の発光装置の平面図を示す。図1(A)におけるA−B間の断面図を図1(B)に示す。
【0073】
図1(A)(B)に示す発光装置は、支持基板801、金属基板806、及び封止材805に囲まれた空間810内に、発光部802が設けられている。
【0074】
発光部802は、発光素子130(第1の電極118、EL層120、及び第2の電極122)を有する。隔壁124は、第1の電極118の端部を覆い、かつ発光素子130の発光領域と重なる位置に開口部が設けられている。第2の電極122上には、第2の電極122と熱的に接続する第1の高放射層101が設けられている。さらに、金属基板806の支持基板801と対向する面には、低反射層103が設けられている。
【0075】
空間810は、気体で充填されている。特に、発光素子130に対して不活性である気体で充填されていることが好ましい。例えば、該気体としては、希ガスや窒素で充填されていることが好ましい。
【0076】
第1の高放射層101は、放射率が高い層である。具体的には、第1の高放射層101は、第2の電極122よりも放射率が高い層である。第1の高放射層101は、放射率が0.25以上であることが好ましく、0.5以上であることが特に好ましい。
【0077】
低反射層103は、反射率が低い層である。具体的には、低反射層103は、金属基板806よりも反射率が低い層である。低反射層103は、0.75以下であることが好ましく、0.5以下であることが特に好ましい。
【0078】
本実施の形態の発光装置において、支持基板801、金属基板806及び封止材805に囲まれた空間810内に発光素子130を備える。よって、発光装置の外部から水分や酸素などの不純物が侵入し、発光素子130が劣化することを抑制できる。かつ、上記の発光装置は、金属基板806と発光素子130の間に、気体で充填された空間810が存在するため、金属基板806が外力等の衝撃を受けても、発光素子130に直接外力が加わり、発光素子130が破壊されることを抑制することができる。
【0079】
かつ、本実施の形態の発光装置は、第1の高放射層101及び低反射層103を有するため、発光素子130が発する熱は、熱伝導率が高い第2の電極122から第1の高放射層101に伝導する。そして、第1の高放射層101から低反射層103へ熱放射が起こるため、発光素子130が発する熱が当該素子の外部に放出される。第1の高放射層101から熱が電磁波として放出されても、低反射層103において該電磁波は反射されにくく、発光素子130に熱が戻ることは抑制される。よって、発光素子の温度上昇を抑制し、発光素子の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0080】
低反射層103は、金属基板806における支持基板801と対向する面の少なくとも一部に形成されていれば良い。同様に、第1の高放射層101は、第2の電極122の表面の少なくとも一部に形成されていれば良い。特に、本実施の形態で示す発光装置のように、低反射層103が、第1の高放射層101と重なる領域に設けられていると、第1の高放射層101から低反射層103への経路が短くなるため、発光素子130が発する熱を効率よく当該素子の外部に運ぶことができ、好ましい。
【0081】
[第1の高放射層101]
第1の高放射層101として用いることができる材料は、例えば、酸化アルミニウム、酸化真鍮、酸化クロム、酸化コバルト、酸化銅、酸化ニクロム、酸化鉄、酸化鋳鉄、酸化鉛、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化スズ、酸化鋼、酸化チタン等の金属酸化物や、グラファイト、ダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブ、プラスチック、ダイヤモンドライクカーボン等の炭素を含む化合物や、炭化珪素等の炭化物や、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の窒化物や、鉛、ステンレス、ゴム等が挙げられる。
【0082】
また、第2の電極122の表面を酸化することで、第1の高放射層101である金属酸化物を形成しても良い。
【0083】
また、第1の高放射層101は、凹凸を有する構造とすることで、熱放射性を向上させても良い(図2(A))。また、凹凸を有する第1の高放射層101の一態様としては図2(B)の構成も挙げられる。EL層120上に、表面に凹凸を有する金属膜121を形成することで、金属膜121の厚さ方向において、放射率に差をつけることができる。金属膜121としては、第2の電極122と同様の材料を用いることができる。
【0084】
具体的には、図2(B)において、金属膜121は、EL層120と接する領域(放射率が低い領域)が第2の電極122として機能し、空間と接する領域(凹凸を有する領域、かつ放射率が高い領域)が第1の高放射層101として機能する。
【0085】
さらに、第1の高放射層101は、熱伝導性が高いと好ましい。第1の高放射層101は、EL層120よりも熱伝導率が高いことが好ましい。特に、第1の高放射層101の熱伝導率は、第2の電極122の熱伝導率以上であることが好ましい。また、第1の高放射層101の熱伝導率が1W/m・K以上であることが好ましく、250W/m・K以上であることが特に好ましい。
【0086】
第1の高放射層101の熱伝導率がEL層120の熱伝導率よりも高いと、第2の電極122において、熱はEL層120よりも第1の高放射層101に伝導しやすい。よって、発光素子130が発する熱を当該素子の外部により効率よく運ぶことができる。また、第1の高放射層101の熱伝導率が高いほど、第1の高放射層101全体に熱を容易に伝導でき、局所的な温度上昇を抑制することができるため、好ましい。さらに、低反射層103へと熱を効率よく運ぶ(放射する)ことができる。
【0087】
第1の高放射層101として用いることができる熱伝導性の高い材料としては、例えば、グラファイト、ダイヤモンド、カーボンナノチューブ、ダイヤモンドライクカーボン、炭化珪素等が挙げられる。
【0088】
[低反射層103]
低反射層103として用いることができる材料は、例えば、酸化アルミニウム、酸化真鍮、酸化クロム、酸化コバルト、酸化銅、酸化ニクロム、酸化鉄、酸化鋳鉄、酸化鉛、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化スズ、酸化鋼、酸化チタン等の金属酸化物や、グラファイト、ダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブ、プラスチック、ダイヤモンドライクカーボン等の炭素を含む化合物や、炭化珪素等の炭化物や、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の窒化物や、鉛、ステンレス、ゴム等が挙げられる。
【0089】
また、低反射層103は、空間810を満たしている気体より高い熱伝導性を有していることが好ましい。低反射層103の熱伝導率は、1W/m・K以上であることが好ましく、250W/m・K以上であることが特に好ましい。
【0090】
低反射層103の熱伝導率が高いほど、低反射層103全体に熱を容易に伝導でき、局所的な温度上昇を抑制することができるため、好ましい。さらに、金属基板806へと熱を効率よく運ぶことができる。
【0091】
低反射層103として用いることができる熱伝導性の高い材料としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化真鍮、酸化クロム、酸化コバルト、酸化銅、酸化ニクロム、酸化鉄、酸化鋳鉄、酸化鉛、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化スズ、酸化鋼、酸化チタン等の金属酸化物や、グラファイト、ダイヤモンド、フラーレン、カーボンナノチューブ、プラスチック、ダイヤモンドライクカーボン等の炭素を含む化合物や、炭化珪素等の炭化物や、窒化アルミニウム、窒化ホウ素等の窒化物や、鉛、ステンレス、ゴム等が挙げられる。
【0092】
また、低反射層103は、凹凸を有する構造とすることで、熱放射性を向上させても良い。反射率と放射率と透過率との和は1であるため、熱放射性を高めることで、反射率を低下させることができる。
【0093】
また、第1の高放射層101や低反射層103は、乾燥剤を含んでいても良い。乾燥剤を含むことで、作製工程中等に発光装置の内部(空間810内)に侵入し残留した水分を、該乾燥剤によって吸着することができる。よって、発光装置の内部に残留した水分により発光素子が劣化することを抑制できる。
【0094】
乾燥剤には、公知の材料を用いることができる。乾燥剤としては、化学吸着によって水分等を吸収する材料(化学吸着型乾燥剤と記す)、物理吸着によって水分等を吸着する材料(物理吸着型乾燥剤と記す)のいずれを用いてもよい。例えば、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物(酸化カルシウムや酸化バリウム等)、硫酸塩、金属ハロゲン化物、過塩素酸塩、ゼオライト、シリカゲル等が挙げられる。
【0095】
化学吸着型乾燥剤は、水分等の吸着時に、化学反応により熱が発生する場合や、該乾燥剤自体が別の物質に変化し、体積変化が起こる場合がある。発光素子130へのダメージを抑制するため、発光素子130と近い位置に設けられる第1の高放射層101には、物理吸着型乾燥剤を用いることが好ましい。
【0096】
また、金属基板806側に設けられる(発光素子130と離れた位置に設けられる)低反射層103に乾燥剤を含む構成は、発光素子130にダメージを与えにくいため、化学吸着型乾燥剤と物理吸着型乾燥剤のいずれも好適に用いることができ、好ましい。
【0097】
(変形例1)
本発明の一態様では、図1(C)に示すように、金属基板806が凹部を有していても良い。また、金属缶を金属基板806として用いることができる。
【0098】
また、空間810内に乾燥剤126を備えていても良い。乾燥剤126を備えることで、作製工程中等に発光装置の内部に侵入し残留した水分を、乾燥剤126によって吸着することができる。よって、発光装置の内部に残留した水分により発光素子130が劣化することを抑制できる。
【0099】
(構成例2)
図3(A)に示す本発明の一態様の発光装置は、第2の電極122と第1の高放射層101の間に、第1の熱伝導層102を有する。
【0100】
第2の電極122と第1の高放射層101の密着性(又は接着性)が低いと、第2の電極122の熱伝導性が高くても、第1の高放射層101に十分に熱が伝導されない場合がある。このような場合には、第1の熱伝導層102を備えることが好ましい。
【0101】
第2の電極122と第1の高放射層101との間に第1の熱伝導層102を設けることで、第2の電極122と第1の熱伝導層102との密着性が高く、第1の熱伝導層102と第1の高放射層101との密着性が高い構成を実現することができる。該構成を適用することで、第2の電極122から第1の高放射層101への熱の伝導が容易となり、発光素子130が発する熱が当該素子の外部に放出されることを促進できる。よって、発光素子130の温度上昇を抑制し、発光素子130の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0102】
第1の熱伝導層102は、EL層120よりも熱伝導率が高い。特に、第1の熱伝導層102の熱伝導率は、第2の電極122の熱伝導率以上であることが好ましい。また、第1の熱伝導層102の熱伝導率が1W/m・K以上であることが好ましく、250W/m・K以上であることがより好ましい。
【0103】
第1の熱伝導層102は、EL層120よりも熱伝導率が高いため、第2の電極122において、熱はEL層120よりも第1の熱伝導層102へ伝導しやすい。よって、発光素子130が発する熱を当該素子の外部により効率よく運ぶことができる。
【0104】
第1の熱伝導層102に用いることができる材料としては、例えば、セラミックス材料、カーボンナノチューブ、ダイヤモンド、グラファイト、銀、銅、金、アルミニウム、シリコン、真鍮等が挙げられる。また、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等の熱伝導性が高い樹脂を用いることが好ましい。また、金属フィラーやカーボン粉末を該熱伝導性が高い樹脂に含ませても良い。
【0105】
(構成例3)
図3(B)に示す本発明の一態様の発光装置は、低反射層103と金属基板806の間に、第2の熱伝導層104を有する。
【0106】
低反射層103と金属基板806の密着性(又は接着性)が低いと、低反射層103から金属基板806に十分に熱が伝導されない場合がある。このような場合には、第2の熱伝導層104を備えることが好ましい。
【0107】
低反射層103と金属基板806との間に第2の熱伝導層104を設けることで、低反射層103と第2の熱伝導層104との密着性が高く、第2の熱伝導層104と金属基板806との密着性が高い構成を実現することができる。該構成を適用することで、低反射層103から金属基板806への熱の伝導が容易となり、発光素子130が発する熱が当該素子の外部に放出されることを促進できる。よって、発光素子130の温度上昇を抑制し、発光素子130の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0108】
第2の熱伝導層104は、低反射層103よりも熱伝導率が高い。第1の熱伝導層102の熱伝導率が1W/m・K以上であることが好ましく、250W/m・K以上であることがより好ましい。第2の熱伝導層104としては、第1の熱伝導層102と同様の材料を適用することができる。
【0109】
(構成例4)
図3(C)に示す本発明の一態様の発光装置は、金属基板806の大気と接する面に、第2の高放射層105を有する。
【0110】
なお、金属基板の大気と接する面は、第2の高放射層を全面に有することで、大気と直接接しない場合がある。よって、本発明の一態様では、金属基板が、第2の高放射層を介して大気と接する面を有する、と言える。
【0111】
熱放射性が高い第2の高放射層105を大気に接して設けることで、素子が発する熱が発光装置の外部に放出されることを促進できる。よって、素子の温度上昇を抑制し、素子の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0112】
第2の高放射層105は、金属基板806よりも熱放射率が高い層である。第2の高放射層105は、熱放射率が0.25以上であることが好ましく、0.5以上であることが特に好ましい。第2の高放射層105としては、第1の高放射層101と同様の材料を適用することができる。また、第2の高放射層105は、凹凸を有する構造とすることで、熱放射性を向上させても良い。
【0113】
また、第2の高放射層105は、低反射層103よりも熱伝導率が高いことが好ましい。ただし、低反射層103と金属基板806が第2の熱伝導層104を介して熱的に接続する場合、第2の高放射層105は、第2の熱伝導層104よりも熱伝導率が高いことが好ましい。
【0114】
第2の高放射層105の熱伝導率が、低反射層103(又は第2の熱伝導層104)の熱伝導率よりも高いと、金属基板806において、熱が、低反射層103(又は第2の熱伝導層104)より第2の高放射層105に伝導しやすい。よって、発光素子が発する熱を当該素子の外部により効率よく運ぶことができる。また、第2の高放射層105の熱伝導率が高いほど、第2の高放射層105全体に熱を容易に伝導でき、大気へと熱を効率よく放射することができる。
【0115】
(構成例5)
図3(D)に示す本発明の一態様の発光装置は、第2の高放射層105と金属基板806の間に、第3の熱伝導層106を有する。
【0116】
第2の高放射層105と金属基板806の密着性(又は接着性)が低いと、金属基板806から第2の高放射層105に十分に熱が伝導されない場合がある。このような場合には、第3の熱伝導層106を備えることが好ましい。
【0117】
第2の高放射層105と金属基板806との間に第3の熱伝導層106を設けることで、金属基板806と第3の熱伝導層106との密着性が高く、第3の熱伝導層106と第2の高放射層105との密着性が高い構成を実現することができる。該構成を適用することで、金属基板806から第2の高放射層105への熱の伝導が容易となり、発光素子130が発する熱が当該素子の外部に放出されることを促進できる。よって、発光素子130の温度上昇を抑制し、発光素子130の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0118】
第3の熱伝導層106は、低反射層103よりも熱伝導率が高いことが好ましい。ただし、低反射層103と金属基板806が第2の熱伝導層104を介して熱的に接続する場合、第3の熱伝導層106は、第2の熱伝導層104よりも熱伝導率が高いことが好ましい。第3の熱伝導層106の熱伝導率が1W/m・K以上であることが好ましく、250W/m・K以上であることがより好ましい。第3の熱伝導層106としては、第1の熱伝導層102と同様の材料を適用することができる。
【0119】
第3の熱伝導層106は、低反射層103(又は第2の熱伝導層104)よりも熱伝導率が高いため、金属基板806において、熱は低反射層103(又は第2の熱伝導層104)よりも第3の熱伝導層106へ伝導しやすい。よって、発光素子130が発する熱を当該素子の外部により効率よく運ぶことができる。
【0120】
本発明の一態様では、第1の熱伝導層102、第2の熱伝導層104、第2の高放射層105及び第3の熱伝導層106を適宜組み合わせて用いることができる。例えば、図3(E)に示すように、本発明の一態様の発光装置は、第1の熱伝導層102、第2の熱伝導層104、第2の高放射層105及び第3の熱伝導層106全てを備えていても良い。
【0121】
<本発明の一態様の発光装置に用いることができる材料>
以下に、本発明の一態様の発光装置に用いることができる材料の一例を記す。なお、空間、熱放射層及び熱伝導層については先の記載を参酌できる。
【0122】
[支持基板801]
支持基板801は、発光素子130からの光を取り出す側の基板であるため、該光に対する透光性を有する材料を用いる。例えば、ガラス、石英、セラミック、サファイア、有機樹脂などの材料を用いることができる。
【0123】
ガラスとしては、例えば、無アルカリガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス等を用いることができる。
【0124】
有機樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はポリ塩化ビニル樹脂などを用いることができる。また、ガラス繊維に有機樹脂を含浸した基板や、無機フィラーを有機樹脂に混ぜた基板を使用することもできる。
【0125】
なお、支持基板801に含まれる不純物が支持基板801上に設けられる各素子に拡散することを抑制するため、支持基板801の表面に絶縁層を設けることや、支持基板801に加熱処理を行うことが好ましい。
【0126】
[金属基板806]
金属基板806には、金属材料や合金材料を用いることができる。例えば、ステンレス、アルミニウム、銅、ニッケル、アルミニウム合金から選ばれる材料を用いることが好ましい。
【0127】
[発光素子130]
第1の電極118に用いることができる透光性を有する材料としては、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化インジウム酸化亜鉛、酸化亜鉛、ガリウムを添加した酸化亜鉛などが挙げられる。
【0128】
また、第1の電極118として、金、白金、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、又はチタン等の金属材料を用いることができる。又は、それら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等を用いても良い。又は、グラフェン等を用いても良い。なお、金属材料(又はその窒化物)を用いる場合、透光性を有する程度に薄くすれば良い。
【0129】
EL層120は、少なくとも発光層を有する。発光層には、発光性の有機化合物が含まれる。そのほか、電子輸送性の高い物質を含む層、正孔輸送性の高い物質を含む層、電子注入性の高い物質を含む層、正孔注入性の高い物質を含む層、バイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)を含む層等を適宜組み合わせた積層構造を構成することができる。EL層の構成例は実施の形態4で詳細に説明する。
【0130】
第2の電極122は、光を取り出す側と反対側に設けられ、反射性を有する材料を用いて形成される。反射性を有する材料としては、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、又はパラジウム等の金属材料を用いることができる。そのほか、アルミニウムとチタンの合金、アルミニウムとニッケルの合金、アルミニウムとネオジムの合金などのアルミニウムを含む合金(アルミニウム合金)や銀と銅の合金などの銀を含む合金を用いることもできる。銀と銅の合金は、耐熱性が高いため好ましい。また、上記金属材料や合金に、ランタン、ネオジム、又はゲルマニウム等が添加されていても良い。
【0131】
[隔壁124]
隔壁124の材料としては、有機樹脂又は無機絶縁材料を用いることができる。有機樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、シロキサン樹脂、エポキシ樹脂、又はフェノール樹脂等を用いることができる。
【0132】
特に、隔壁124の作製が容易となるため、感光性の光によってエッチャントに不溶解性となるネガ型の感光性樹脂、あるいは光によってエッチャントに溶解性となるポジ型の感光性樹脂を用いることが好ましい。
【0133】
隔壁124は、第1の電極118の端部を覆って設けられている。隔壁124の上層に形成されるEL層120や第2の電極122の被覆性を良好なものとするため、隔壁124の上端部又は下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにするのが好ましい。
【0134】
隔壁の形成方法は、特に限定されないが、フォトリソグラフィ法、スパッタ法、蒸着法、液滴吐出法(インクジェット法等)、印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷等)等を用いれば良い。
【0135】
[封止材805]
封止材805は、公知のシール材やガラスフリット等を用いて形成できる。具体的には、熱硬化樹脂、又は光硬化樹脂などの有機樹脂や、低融点ガラスなどの材料を用いることができる。また、シール材に乾燥剤が含まれていても良い。
【0136】
[乾燥剤126]
乾燥剤126には、公知の材料を用いることができる。乾燥剤としては、化学吸着によって水分等を吸収する物質、物理吸着によって水分等を吸着する物質のいずれを用いてもよい。例えば、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物(酸化カルシウムや酸化バリウム等)、硫酸塩、金属ハロゲン化物、過塩素酸塩、ゼオライト、シリカゲル等が挙げられる。
【0137】
以上のように、本発明の一態様の発光装置は、発光装置の外部から水分や酸素などの不純物が侵入し、有機EL素子が劣化することを抑制できる。かつ、封止基板が外力等の衝撃を受けても、発光素子に直接外力が加わり、素子が破壊されることを抑制することができる。かつ、有機EL素子の温度上昇を抑制し、有機EL素子の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0138】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0139】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置について図4を用いて説明する。図4(A)は、本発明の一態様の発光装置を示す平面図であり、図4(B)は、図4(A)におけるC−D間の断面図である。
【0140】
本実施の形態の発光装置は、支持基板801上に、発光素子130(第1の電極118、EL層120、及び第2の電極122)を備える。具体的には、支持基板801上に第1の電極118を有し、第1の電極118上にEL層120を有し、EL層120上に第2の電極122を有する。
【0141】
第1の端子809aは、補助配線163及び第1の電極118と電気的に接続する。第1の電極118上には、補助配線163及び第1の端子809aと重なる領域に、絶縁層125が設けられている。第1の端子809aと第2の電極122は、絶縁層125によって電気的に絶縁されている。第2の端子809bは、第2の電極122と電気的に接続する。なお、本実施の形態では、補助配線163上に第1の電極118が形成されている構成を示すが、第1の電極118上に補助配線163を形成しても良い。
【0142】
支持基板801及び金属基板806は、封止材805によって貼り合わされている。空間810は、気体で充填されている。特に、発光素子130に対して不活性である気体で充填されていることが好ましい。また、空間810に、乾燥剤を有していても良い。
【0143】
また、第2の電極122上に、第2の電極と熱的に接続する第1の高放射層101を有する。さらに、金属基板806の支持基板801と対向する面に、低反射層103を有する。
【0144】
本実施の形態の発光装置において、支持基板801、金属基板806及び封止材805に囲まれた空間810内に発光素子130を備える。よって、発光装置の外部から水分や酸素などの不純物が侵入し、発光素子130が劣化することを抑制できる。かつ、上記の発光装置は、金属基板806と発光素子130の間に、気体で充填された空間810が存在するため、金属基板806が外力等の衝撃を受けても、発光素子130に直接外力が加わり、発光素子130が破壊されることを抑制することができる。
【0145】
かつ、本実施の形態の発光装置は、第1の高放射層101及び低反射層103を有するため、発光素子130が発する熱は、第2の電極122から第1の高放射層101に伝導し、第1の高放射層101から低反射層103へ熱放射が起こり、発光素子130が発する熱が当該素子の外部に放出される。第1の高放射層101から熱が電磁波として放出されても、低反射層103において該電磁波は反射されにくく、発光素子130に熱が戻ることは抑制される。よって、発光素子の温度上昇を抑制し、発光素子の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0146】
また、有機EL素子は、屈折率が大気より高い領域で発光するため、光を大気中に取り出すときに有機EL素子内、又は有機EL素子と大気との境界面で全反射が生じる条件があり、有機EL素子の光取り出し効率は100%より小さいという問題がある。
【0147】
具体的には、EL層の屈折率よりも小さい屈折率を有する媒体Bへ、媒体Bよりも屈折率の高い媒体Aから光が入射する際に、入射する角度により全反射することがある。
【0148】
このとき、媒体Aと媒体Bとの界面に凹凸の構造を設けることが好ましい。このような構成とすることで、媒体Aから媒体Bに臨界角を超えて入射する光が全反射し、発光装置内を光が導波して光の取り出し効率が低下する現象を抑制することができる。
【0149】
例えば、支持基板801と大気との界面に凹凸の構造161aを有することが好ましい。支持基板801の屈折率は大気の屈折率よりも大きい。よって、大気と支持基板801の界面に凹凸の構造161aを設けることで、全反射の影響で大気に取り出せない光を低減し、発光装置の光の取り出し効率を向上させることができる。
【0150】
また、発光素子130と支持基板801との界面に凹凸の構造161bを有することが好ましい。
【0151】
しかし、有機EL素子において、第1の電極118が凹凸を有すると、第1の電極118上に形成されるEL層120においてリーク電流が生じる恐れがある。したがって、本実施の形態では、EL層120の屈折率以上の屈折率を有する平坦化層162を、凹凸の構造161bと接して設ける。これによって、第1の電極118を平坦な膜とすることができ、第1の電極118の凹凸に起因するEL層におけるリーク電流の発生を抑制することができる。また、平坦化層162と支持基板801との界面に、凹凸の構造161bを有するため、全反射の影響で大気に取り出せない光を低減し、発光装置の光の取り出し効率を向上させることができる。
【0152】
なお、図4(B)において、支持基板801、凹凸の構造161a及び凹凸の構造161bを異なる要素として示したが、本発明はこれに限られない。これらのうち二つ又は全てが一体に形成されていても良い。また、凹凸の構造161bは封止領域の内側に全てが形成されていても良い。
【0153】
なお、図4(A)に示す発光装置の形状は八角形であるが、本発明はこれに限られない。発光装置は、その他の多角形または曲線をもつ形状としても良い。特に、発光装置の形状としては、三角形、四角形、正六角形などが好ましい。なぜなら、限られた面積に複数の発光装置を隙間無く設けることができるためである。また、限られた基板面積を有効に利用して発光装置を形成できるためである。また、発光装置が備える発光素子は一つに限られず、複数の発光素子を有していても良い。
【0154】
<本発明の一態様の発光装置に用いることができる材料>
以下に本発明の一態様の発光装置に用いることができる材料の一例を記す。なお、基板、発光素子、封止材、空間、及び熱放射層については、実施の形態1で例示した材料を適用することができる。
【0155】
[絶縁層125]
絶縁層125は、前述の隔壁124と同様の材料を用いて形成することができる。
【0156】
[補助配線163、第1の端子809a及び第2の端子809b]
補助配線163、第1の端子809a及び第2の端子809bは、同一の工程で(同時に)形成すると、少ない工程数で発光装置を作製できるため好ましい。例えば、銅(Cu)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)、スカンジウム(Sc)、ニッケル(Ni)、から選ばれた材料又はこれらを主成分とする合金材料を用いて、単層で又は積層して形成すれば良い。
【0157】
[凹凸の構造161a、161b]
凹凸の構造のパターンは、特に限定されず、例えば、半球状や、円錐、角錐(三角錐、四角錐等)などの頂点を有する形状とすることができる。凹凸の大きさ、高さは、特に、1μm以上であると、光の干渉による影響を抑制することができるため、好ましい。パターンは、隣り合う部分において隙間が生じないように設けられていることが好ましい。例えば、好ましい底面形状として、正六角形が挙げられる。
【0158】
凹凸の構造161a、161bは、支持基板801に直接作製することができる。その方法としては、例えば、エッチング法、砥粒加工法(サンドブラスト法)、マイクロブラスト加工法、液滴吐出法や、印刷法(スクリーン印刷やオフセット印刷などパターンが形成される方法)、スピンコート法などの塗布法、ディッピング法、ディスペンサ法、インプリント法、ナノインプリント法等を適宜用いることができる。
【0159】
凹凸の構造161a、161bの材料としては、例えば、樹脂を用いることができ、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリルニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル(ポリメチルメタクリレート)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)樹脂、ポリアミド樹脂、環状オレフィン系樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、又はポリ塩化ビニル樹脂などを用いることができる。また、これらを2以上組み合わせたものを用いても良い。アクリル樹脂は、可視光の透過率が高いため、好適に用いることができる。また、環状オレフィン系樹脂、及びシクロオレフィン樹脂は、可視光の透過率が高く耐熱性が優れているため、好適に用いることができる。
【0160】
また、凹凸の構造161a、161bとして、半球レンズ、マイクロレンズアレイや、凹凸構造が施されたフィルム、光拡散フィルム等を用いることもできる。例えば、支持基板801上に上記レンズやフィルムを、支持基板801又は該レンズもしくはフィルムと同程度の屈折率を有する接着剤等を用いて接着することで、凹凸の構造161a、161bを形成することができる。
【0161】
[平坦化層162]
平坦化層162は、凹凸の構造161bと接する面よりも、第1の電極118と接する面のほうが平坦である。したがって、第1の電極118を平坦な膜とすることができる。その結果、第1の電極118の凹凸に起因するEL層120のリーク電流を抑制することができる。
【0162】
平坦化層162の材料としては、高屈折率の液体や樹脂等を用いることができる。平坦化層162は、透光性を有する。高屈折率の樹脂としては、臭素が含まれる樹脂、硫黄が含まれる樹脂などが挙げられ、例えば、含硫黄ポリイミド樹脂、エピスルフィド樹脂、チオウレタン樹脂、又は臭素化芳香族樹脂などを用いることができる。また、PET(ポリエチレンテレフタラート)、TAC(トリアセチルセルロース)なども用いることができる。高屈折率の液体としては、硫黄及びヨウ化メチレンを含む接触液(屈折液)などを用いることができる。成膜方法としては、材料にあった種々の方法を適用すれば良い。例えば、前述の樹脂を、スピンコート法を用いて成膜し、熱または光によって硬化させることで形成することができる。接着強度や加工のしやすさなどを考慮し適宜選択することができる。
【0163】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0164】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置について図5を用いて説明する。図5(A)は、本発明の一態様の発光装置を示す平面図であり、図5(B)は、図5(A)におけるE−F間の断面図である。
【0165】
本実施の形態に係るアクティブマトリクス型の発光装置は、支持基板801上に、発光部802、駆動回路部803(ゲート側駆動回路部)、駆動回路部804(ソース側駆動回路部)及び封止材805を有する。発光部802及び駆動回路部803、804は、支持基板801、金属基板806及び封止材805で形成された空間810に封止されている。空間810は、気体で充填されている。特に、発光素子130に対して不活性である気体で充填されていることが好ましい。
【0166】
該発光装置は、支持基板801、金属基板806、及び封止材805に囲まれた空間810内に、発光部802(発光素子130)を備えることから、発光装置の外部から水分や酸素などの不純物が侵入し、発光素子130が劣化することを抑制できる。
【0167】
図5(B)に示す発光部802は、スイッチング用のトランジスタ140aと、電流制御用のトランジスタ140bと、トランジスタ140bの配線(ソース電極またはドレイン電極)に電気的に接続された第1の電極118とを含む複数の発光ユニットにより形成されている。発光ユニットの発光領域において、第1の絶縁層114上にはカラーフィルタ160が設けられている。
【0168】
発光素子130は、第1の電極118、EL層120、及び第2の電極122によって構成されている。また、第1の電極118の端部を覆って隔壁124が形成されている。また、第2の電極122上に、第2の電極122と熱的に接続する第1の高放射層101が設けられている。また、金属基板806の支持基板801と対向する面には、低反射層103が設けられている。
【0169】
本実施の形態の発光装置において、支持基板801、金属基板806及び封止材805に囲まれた空間810内に発光素子130を備える。よって、発光装置の外部から水分や酸素などの不純物が侵入し、発光素子130が劣化することを抑制できる。かつ、上記の発光装置は、金属基板806と発光素子130の間に、気体で充填された空間810が存在するため、金属基板806が外力等の衝撃を受けても、発光素子130に直接外力が加わり、発光素子130が破壊されることを抑制することができる。
【0170】
かつ、本実施の形態の発光装置は、第1の高放射層101及び低反射層103を有するため、発光素子130が発する熱は、第2の電極122から第1の高放射層101に伝導し、第1の高放射層101から低反射層103へ熱放射が起こり、発光素子130が発する熱が当該素子の外部に放出される。第1の高放射層101から熱が電磁波として放出されても、低反射層103において該電磁波は反射されにくく、発光素子130に熱が戻ることは抑制される。よって、発光素子の温度上昇を抑制し、発光素子の発熱による発光装置の信頼性の低下を抑制することができる。
【0171】
支持基板801上には、駆動回路部803、804に外部からの信号(ビデオ信号、クロック信号、スタート信号、またはリセット信号等)や電位を伝達する外部入力端子を接続するための引き回し配線が設けられる。ここでは、外部入力端子としてFPC808(Flexible Printed Circuit)を設ける例を示している。なお、FPC808にはプリント配線基板(PWB)が取り付けられていてもよい。本明細書における発光装置は、発光装置本体だけでなく、発光装置本体にFPCまたはPWBが取り付けられた状態のものも範疇に含むものとする。
【0172】
駆動回路部803、804は、トランジスタを複数有する。図5では、駆動回路部803が、nチャネル型のトランジスタ152及びpチャネル型のトランジスタ153を組み合わせたCMOS回路を有する例を示している。駆動回路部の回路は、種々のCMOS回路、PMOS回路又はNMOS回路で形成することができる。また、本実施の形態では、発光部が形成された基板上に駆動回路が形成されたドライバー一体型を示すが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、発光部が形成された基板とは別の基板に駆動回路を形成することもできる。
【0173】
<本発明の一態様の発光装置に用いることができる材料>
以下に本発明の一態様の発光装置に用いることができる材料の一例を記す。なお、基板、発光素子、封止材、空間、隔壁、及び熱放射層については、実施の形態1で例示した材料を適用することができる。
【0174】
[トランジスタ]
本発明の一態様の発光装置に用いるトランジスタ(トランジスタ140a、140b、152、153等)の構造は特に限定されない。トップゲート型のトランジスタを用いても良いし、逆スタガ型などのボトムゲート型のトランジスタを用いても良い。また、チャネルエッチ型やチャネルストップ(チャネル保護)型としても良い。また、トランジスタに用いる材料についても特に限定されない。
【0175】
ゲート電極は、例えば、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料又はこれらの元素を含む合金材料を用いて、単層で又は積層して形成することができる。
【0176】
ゲート絶縁層は、発光素子からの光を透過する材料で形成する。ゲート絶縁層は、例えば、プラズマCVD法やスパッタリング法等を用いて、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン又は酸化アルミニウムを単層で又は積層して形成することができる。
【0177】
半導体層は、シリコン半導体や酸化物半導体を用いて形成することができる。シリコン半導体としては、単結晶シリコンや多結晶シリコンなどがあり、酸化物半導体としては、In−Ga−Zn−O系金属酸化物などを、適宜用いることができる。ただし、半導体層としては、In−Ga−Zn−O系金属酸化物である酸化物半導体を用いて、オフ電流の低い半導体層とすることで、後に形成される発光素子130のオフ時のリーク電流が抑制できるため、好ましい。
【0178】
ソース電極層及びドレイン電極層としては、例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wから選ばれた元素を含む金属膜、又は該元素を含む金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。また、Al、Cuなどの金属膜の下側又は上側の一方又は双方にTi、Mo、Wなどの高融点金属膜又はそれらの金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)を積層させた構成としても良い。また、ソース電極層及びドレイン電極層は、導電性の金属酸化物で形成しても良い。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム(In2O3等)、酸化スズ(SnO2等)、酸化亜鉛(ZnO)、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化インジウム酸化亜鉛(In2O3−ZnO等)又はこれらの金属酸化物材料に酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
【0179】
[第1の絶縁層114、第2の絶縁層116]
第1の絶縁層114及び第2の絶縁層116は、発光素子からの光を透過する材料で形成する。
【0180】
第1の絶縁層114は、トランジスタを構成する半導体への不純物の拡散を抑制する効果を奏する。第1の絶縁層114としては、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜などの無機絶縁膜を用いることができる。
【0181】
第2の絶縁層116としては、カラーフィルタやトランジスタ起因の表面凹凸を低減するために平坦化機能を有する絶縁膜を選択するのが好適である。例えば、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン等の有機材料を用いることができる。また、上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、第2の絶縁層116を形成してもよい。
【0182】
[カラーフィルタ160]
第1の絶縁層114上には、発光素子130(の発光領域)と重なる位置に、着色層であるカラーフィルタ160が設けられている。カラーフィルタ160は、発光素子130からの発光色を調色する目的で設けられる。例えば、白色発光の発光素子を用いてフルカラーの表示装置とする場合には、異なる色のカラーフィルタを設けた複数の発光ユニットを用いる。その場合、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色を用いても良いし、これに黄色(Y)を加えた4色とすることもできる。
【0183】
なお、本実施の形態では、カラーフィルタ方式を用いた発光装置を例に説明したが、本発明の構成はこれに限られない。例えば、塗り分け方式や、色変換方式を適用しても良い。
【0184】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0185】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置に適用することができるEL層の構成例について、図6を用いて説明する。
【0186】
EL層には公知の物質を用いることができ、低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもできる。なお、EL層を形成する物質には、有機化合物のみから成るものだけでなく、無機化合物を一部に含む構成も含めるものとする。
【0187】
図6(A)では、第1の電極118及び第2の電極122の間にEL層120を有する。図6(A)に示すEL層120は、第1の電極118側から、正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、電子輸送層704及び電子注入層705の順で積層されている。
【0188】
EL層は、図6(B)に示すように、第1の電極118と第2の電極122との間に複数積層されていても良い。この場合、積層された第1のEL層120aと第2のEL層120bとの間には、電荷発生層709を設けることが好ましい。このような構成を有する発光素子は、エネルギーの移動や消光などの問題が起こり難く、材料の選択の幅が広がることで高い発光効率と長い寿命とを併せ持つ発光素子とすることが容易である。また、一方のEL層で燐光発光、他方で蛍光発光を得ることも容易である。この構造は上述のEL層の構造と組み合わせて用いることができる。
【0189】
また、それぞれのEL層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、2つのEL層を有する発光素子において、第1のEL層の発光色と第2のEL層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。なお、補色とは、混合すると無彩色になる色同士の関係をいう。つまり、補色の関係にある色を発光する物質から得られた光を混合すると、白色発光を得ることができる。また、3つ以上のEL層を有する発光素子の場合でも同様である。
【0190】
EL層120は、図6(C)に示すように、第1の電極118と第2の電極122との間に、正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、電子輸送層704、電子注入バッファー層706、電子リレー層707、及び第2の電極122と接する複合材料層708を有していても良い。
【0191】
第2の電極122と接する複合材料層708を設けることで、特にスパッタリング法を用いて第2の電極122を形成する際に、EL層120が受けるダメージを低減することができるため、好ましい。
【0192】
電子注入バッファー層706を設けることで、複合材料層708と電子輸送層704との間の注入障壁を緩和することができるため、複合材料層708で生じた電子を電子輸送層704に容易に注入することができる。
【0193】
電子注入バッファー層706と複合材料層708との間に、電子リレー層707を形成することが好ましい。電子リレー層707は、必ずしも設ける必要は無いが、電子輸送性の高い電子リレー層707を設けることで、電子注入バッファー層706へ電子を速やかに送ることが可能となる。
【0194】
複合材料層708と電子注入バッファー層706との間に電子リレー層707が挟まれた構造は、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質と、電子注入バッファー層706に含まれるドナー性物質とが相互作用を受けにくく、互いの機能を阻害しにくい構造である。したがって、駆動電圧の上昇を抑制することができる。
【0195】
以下に、それぞれの層に用いることができる材料を例示する。なお、各層は、単層に限られず、二層以上積層しても良い。
【0196】
〈正孔注入層701〉
正孔注入層701は、正孔注入性の高い物質を含む層である。
【0197】
正孔注入性の高い物質としては、例えば、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物等の金属酸化物や、フタロシアニン(略称:H2Pc)、銅(II)フタロシアニン(略称:CuPc)等のフタロシアニン系の化合物等を用いることができる。
【0198】
また、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)などの高分子化合物や、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT/PSS)等の酸を添加した高分子化合物を用いることができる。
【0199】
特に、正孔注入層701には、正孔輸送性の高い有機化合物と電子受容体(アクセプター)とを含む複合材料を用いることが好ましい。該複合材料は、該電子受容体によって該有機化合物に正孔が発生するため、正孔注入性及び正孔輸送性に優れている。該複合材料を用いることで、第1の電極118からEL層120への正孔注入性が良好となり、発光素子の駆動電圧を低減することができる。
【0200】
該複合材料は、正孔輸送性の高い有機化合物と電子受容体とを共蒸着することにより形成することができる。また、正孔注入層701は、同一膜中に、正孔輸送性の高い有機化合物と電子受容体とを含む構成だけでなく、正孔輸送性の高い有機化合物を含む層と、電子受容体を含む層とが積層されている構成も適用することができる。具体的には、電子受容体を含む層が、第1の電極118に接する構成とすれば良い。
【0201】
複合材料に用いる有機化合物は、電子よりも正孔の輸送性の高い有機化合物であれば良く、特に、10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する有機化合物であることが好ましい。複合材料に用いる有機化合物としては、芳香族アミン化合物、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素化合物、高分子化合物など、種々の化合物を用いることができる。
【0202】
芳香族アミン化合物としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB又はα−NPD)、4−フェニル−4’−(9−フェニルフルオレン−9−イル)トリフェニルアミン(略称:BPAFLP)等が挙げられる。
【0203】
カルバゾール誘導体としては、例えば、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、9−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:CzPA)、9−フェニル−3−[4−(10−フェニル−9−アントリル)フェニル]−9H−カルバゾール(略称:PCzPA)等が挙げられる。
【0204】
芳香族炭化水素化合物としては、例えば、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPAnth)等が挙げられる。
【0205】
高分子化合物としては、例えば、PVK、PVTPA等が挙げられる。
【0206】
複合材料に用いることのできる電子受容体としては遷移金属酸化物や、元素周期表における第4族乃至第8族に属する金属の酸化物を挙げることができる。具体的には、酸化モリブデンが好ましい。酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、扱いやすい。
【0207】
〈正孔輸送層702〉
正孔輸送層702は、正孔輸送性の高い物質を含む層である。
【0208】
正孔輸送性の高い物質としては、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば良く、特に、10−6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質であることが好ましい。例えば、NPB、BPAFLP等の芳香族アミン化合物、CBP、CzPA、PCzPA等のカルバゾール誘導体、t−BuDNA、DNA、DPAnth等の芳香族炭化水素化合物、PVK、PVTPA等の高分子化合物など、種々の化合物を用いることができる。
【0209】
〈発光層703〉
発光層703は、蛍光を発光する蛍光性化合物や燐光を発光する燐光性化合物を用いることができる。
【0210】
発光層703に用いることができる蛍光性化合物としては、例えば、N,N’−ビス[4−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]−N,N’−ジフェニルスチルベン−4,4’−ジアミン(略称:YGA2S)、N−(9,10−ジフェニル−2−アントリル)−N,9−ジフェニル−9H−カルバゾール−3−アミン(略称:2PCAPA)、ルブレン等が挙げられる。
【0211】
また、発光層703に用いることができる燐光性化合物としては、例えば、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2’)イリジウム(III)(略称:Ir(ppy)3)(アセチルアセトナト)ビス(3,5−ジメチル−2−フェニルピラジナト)イリジウム(III)(略称:Ir(mppr−Me)2(acac))等の有機金属錯体が挙げられる。
【0212】
なお、発光層703は、上述した発光性の有機化合物(発光物質、ゲスト材料)を他の物質(ホスト材料)に分散させた構成としてもよい。ホスト材料としては、各種のものを用いることができ、ゲスト材料よりも最低空軌道準位(LUMO準位)が高く、最高被占有軌道準位(HOMO準位)が低い物質を用いることが好ましい。
【0213】
ゲスト材料をホスト材料に分散させた構成とすることにより、発光層703の結晶化を抑制することができる。また、ゲスト材料の濃度が高いことによる濃度消光を抑制することができる。
【0214】
ホスト材料としては、具体的には、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(III)(略称:Alq)ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)などの金属錯体、3−(4−ビフェニリル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などの複素環化合物や、CzPA、DNA、t−BuDNA、DPAnthなどの縮合芳香族化合物、NPB等の芳香族アミン化合物等を用いることができる。
【0215】
また、ホスト材料は複数種用いることができる。例えば、結晶化を抑制するためにルブレン等の結晶化を抑制する物質をさらに添加してもよい。また、ゲスト材料へのエネルギー移動をより効率良く行うためにNPB、あるいはAlq等をさらに添加してもよい。
【0216】
また、発光層を複数設け、それぞれの層の発光色を異なるものにすることで、発光素子全体として、所望の色の発光を得ることができる。例えば、発光層を2つ有する発光素子において、第1の発光層の発光色と第2の発光層の発光色を補色の関係になるようにすることで、発光素子全体として白色発光する発光素子を得ることも可能である。また、発光層を3つ以上有する発光素子の場合でも同様である。
【0217】
〈電子輸送層704〉
電子輸送層704は、電子輸送性の高い物質を含む層である。
【0218】
電子輸送性の高い物質としては、正孔よりも電子の輸送性の高い有機化合物であれば良く、特に、10−6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質であることが好ましい。
【0219】
電子輸送性の高い物質としては、例えば、Alq、BAlqなど、キノリン骨格又はベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等や、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体などを用いることができる。また、TAZ、BPhen、BCPなども用いることができる。
【0220】
〈電子注入層705〉
電子注入層705は、電子注入性の高い物質を含む層である。
【0221】
電子注入性の高い物質としては、例えば、リチウム、セシウム、カルシウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、リチウム酸化物等のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらの化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウムのような希土類金属化合物を用いることができる。また、上述した電子輸送層704を構成する物質を用いることもできる。
【0222】
なお、上述した正孔注入層701、正孔輸送層702、発光層703、電子輸送層704、電子注入層705は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0223】
〈電荷発生層709〉
図6(B)に示す電荷発生層709は上述の複合材料で形成することができる。また、電荷発生層709は複合材料からなる層と他の材料からなる層との積層構造でもよい。この場合、他の材料からなる層としては、電子供与性物質と電子輸送性の高い物質とを含む層や、透明導電膜からなる層などを用いることができる。
【0224】
〈複合材料層708〉
図6(C)に示す複合材料層708は、前述の、正孔輸送性の高い有機化合物と電子受容体(アクセプター)とを含む複合材料を用いることができる。
【0225】
〈電子注入バッファー層706〉
電子注入バッファー層706には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物(酸化リチウム等の酸化物、ハロゲン化物、炭酸リチウムや炭酸セシウム等の炭酸塩を含む)等の電子注入性の高い物質を用いることが可能である。
【0226】
また、電子注入バッファー層706が、電子輸送性の高い物質とドナー性物質を含んで形成される場合には、電子輸送性の高い物質に対して質量比で、0.001以上0.1以下の比率でドナー性物質を添加することが好ましい。なお、ドナー性物質としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、およびこれらの化合物の他、テトラチアナフタセン(略称:TTN)、ニッケロセン、デカメチルニッケロセン等の有機化合物を用いることもできる。なお、電子輸送性の高い物質としては、先に説明した電子輸送層704の材料と同様の材料を用いて形成することができる。
【0227】
〈電子リレー層707〉
電子リレー層707は、電子輸送性の高い物質を含み、該電子輸送性の高い物質のLUMO準位は、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質のLUMO準位と、電子輸送層704に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位との間となるように形成する。また、電子リレー層707がドナー性物質を含む場合には、当該ドナー性物質のドナー準位も複合材料層708に含まれるアクセプター性物質のLUMO準位と、電子輸送層704に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位との間となるようにする。具体的なエネルギー準位の数値としては、電子リレー層707に含まれる電子輸送性の高い物質のLUMO準位は−5.0eV以上、好ましくは−5.0eV以上−3.0eV以下とするとよい。
【0228】
電子リレー層707に含まれる電子輸送性の高い物質としてはフタロシアニン系の材料又は金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体を用いることが好ましい。
【0229】
電子リレー層707に含まれるフタロシアニン系材料としては、具体的にはCuPc、PhO−VOPc(Vanadyl 2,9,16,23−tetraphenoxy−29H,31H−phthalocyanine)等が挙げられる。
【0230】
電子リレー層707に含まれる金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としては、金属−酸素の二重結合を有する金属錯体を用いることが好ましい。金属−酸素の二重結合はアクセプター性(電子を受容しやすい性質)を有するため、電子の移動(授受)がより容易になる。
【0231】
金属−酸素結合と芳香族配位子を有する金属錯体としてはフタロシアニン系材料が好ましい。特に、分子構造的に金属−酸素の二重結合が他の分子に対して作用しやすく、アクセプター性が高い材料が好ましい。
【0232】
なお、上述したフタロシアニン系材料としては、フェノキシ基を有するものが好ましい。具体的にはPhO−VOPcのような、フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体が好ましい。フェノキシ基を有するフタロシアニン誘導体は、溶媒に可溶である。そのため、発光素子を形成する上で扱いやすいという利点を有する。また、溶媒に可溶であるため、成膜に用いる装置のメンテナンスが容易になるという利点を有する。
【0233】
電子リレー層707はさらにドナー性物質を含んでいても良い。ドナー性物質としては、電子注入バッファー層706に含むことができるドナー性物質と同様の材料が挙げられる。電子リレー層707にこれらドナー性物質を含ませることによって、電子の移動が容易となり、発光素子をより低電圧で駆動することが可能になる。
【0234】
電子リレー層707にドナー性物質を含ませる場合、電子輸送性の高い物質としては上記した材料の他、複合材料層708に含まれるアクセプター性物質のアクセプター準位より高いLUMO準位を有する物質を用いることができる。具体的なエネルギー準位としては、−5.0eV以上、好ましくは−5.0eV以上−3.0eV以下の範囲にLUMO準位を有する物質を用いることが好ましい。このような物質としては例えば、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(略称:PTCDA)等のペリレン誘導体や、ピラジノ[2,3−f][1,10]フェナントロリン−2,3−ジカルボニトリル(略称:PPDN)等の含窒素縮合芳香族化合物などが挙げられる。なお、含窒素縮合芳香族化合物は、安定であるため、電子リレー層707を形成する為に用いる材料として、好ましい材料である。
【0235】
以上により、本実施の形態のEL層を作製することができる。
【0236】
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0237】
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の発光装置を用いて完成させた様々な電子機器および照明装置の一例について、図7乃至図9を用いて説明する。
【0238】
本発明の一態様の発光装置は、水分や酸素などの不純物、外力による信頼性の低下を抑制しつつ、さらに熱による信頼性の低下も抑制できる。したがって、本発明の一態様の発光装置を適用することで、信頼性の高い電子機器及び照明装置を実現することができる。
【0239】
発光装置を適用した電子機器として、例えば、テレビジョン装置(テレビ、又はテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。これらの電子機器および照明装置の具体例を図7乃至図9に示す。
【0240】
図7(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7103が組み込まれている。表示部7103により、映像を表示することが可能であり、本発明の一態様の発光装置を表示部7103に用いることができる。本発明の一態様の発光装置を表示部7103に用いることで、信頼性の高いテレビジョン装置を実現することができる。また、ここでは、スタンド7105により筐体7101を支持した構成を示している。
【0241】
テレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7110により行うことができる。リモコン操作機7110が備える操作キー7109により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部7103に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機7110に、当該リモコン操作機7110から出力する情報を表示する表示部7107を設ける構成としてもよい。
【0242】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0243】
図7(B)はコンピュータであり、本体7201、筐体7202、表示部7203、キーボード7204、外部接続ポート7205、ポインティングデバイス7206等を含む。なお、コンピュータは、本発明の一態様の発光装置をその表示部7203に用いることにより作製される。本発明の一態様の発光装置を表示部7203に用いることで、信頼性の高いコンピュータを実現することができる。
【0244】
図7(C)は携帯型遊技機であり、筐体7301と筐体7302の2つの筐体で構成されており、連結部7303により、開閉可能に連結されている。筐体7301には表示部7304が組み込まれ、筐体7302には表示部7305が組み込まれている。また、図7(C)に示す携帯型遊技機は、その他、スピーカ部7306、記録媒体挿入部7307、LEDランプ7308、入力手段(操作キー7309、接続端子7310、センサ7311(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン7312)等を備えている。もちろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも表示部7304および表示部7305の両方、又は一方に本発明の一態様の発光装置を用いていればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。本発明の一態様の発光装置を表示部7304又は/及び表示部7305に用いることで、信頼性の高い携帯型遊技機を実現することができる。図7(C)に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、図7(C)に示す携帯型遊技機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0245】
図7(D)は、携帯電話機の一例を示している。携帯電話機7400は、筐体7401に組み込まれた表示部7402の他、操作ボタン7403、外部接続ポート7404、スピーカ7405、マイク7406などを備えている。なお、携帯電話機7400は、本発明の一態様の発光装置を表示部7402に用いることにより作製される。本発明の一態様の発光装置を表示部7402に用いることで、信頼性の高い携帯電話機を実現することができる。
【0246】
図7(D)に示す携帯電話機7400は、表示部7402を指などで触れることで、情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いはメールを作成するなどの操作は、表示部7402を指などで触れることにより行うことができる。
【0247】
表示部7402の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
【0248】
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部7402を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部7402の画面のほとんどにキーボード又は番号ボタンを表示させることが好ましい。
【0249】
また、携帯電話機7400内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機7400の向き(縦か横か)を判断して、表示部7402の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
【0250】
また、画面モードの切り替えは、表示部7402を触れること、又は筐体7401の操作ボタン7403の操作により行われる。また、表示部7402に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
【0251】
また、入力モードにおいて、表示部7402の光センサで検出される信号を検知し、表示部7402のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
【0252】
表示部7402は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部7402に掌や指で触れ、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライト又は近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
【0253】
図7(E)は卓上照明器具であり、照明部7501、傘7502、可変アーム7503、支柱7504、台7505、電源7506を含む。なお、卓上照明器具は、本発明の一態様の発光装置を照明部7501に用いることにより作製される。本発明の一態様の発光装置を照明部7501に用いることで、信頼性の高い卓上照明器具を実現することができる。なお、照明器具には天井固定型の照明器具又は壁掛け型の照明器具なども含まれる。
【0254】
図8は、本発明の一態様の発光装置を、室内の照明装置811に用いた例である。本発明の一態様の発光装置は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置に用いることができる。その他、ロール型の照明装置812として用いることもできる。なお、図8に示すように、室内の照明装置811を備えた部屋で、図7(E)で説明した卓上照明器具813を併用してもよい。
【0255】
図9(A)(B)は2つ折り可能なタブレット型端末である。図9(A)は、開いた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、表示部9631a、表示部9631b、表示モード切り替えスイッチ9034、電源スイッチ9035、省電力モード切り替えスイッチ9036、留め具9033、操作スイッチ9038、を有する。
【0256】
表示部9631aは、一部をタッチパネルの領域9632aとすることができ、表示された操作キー9037にふれることでデータ入力をすることができる。なお、表示部9631aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、残りの半分の領域がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部9631aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部9631aの全面にキーボードボタンを表示させてタッチパネルとし、表示部9631bを表示画面として用いることができる。
【0257】
また、表示部9631bにおいても表示部9631aと同様に、表示部9631bの一部をタッチパネルの領域9632bとすることができる。また、タッチパネルのキーボード表示切り替えボタン9639が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれることで表示部9631bにキーボードボタンを表示することができる。
【0258】
また、タッチパネルの領域9632aとタッチパネルの領域9632bに対して同時にタッチ入力することもできる。
【0259】
また、表示モード切り替えスイッチ9034は、縦表示または横表示などの表示の向きを切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えスイッチ9036は、タブレット型端末に内蔵している光センサで検出される使用時の外光の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光センサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置を内蔵させてもよい。
【0260】
また、図9(A)では表示部9631aと表示部9631bの表示面積が同じ例を示しているが特に限定されず、一方の表示部のサイズと他方の表示部のサイズが異なっていてもよく、表示の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネルとしてもよい。
【0261】
図9(B)は、閉じた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、太陽電池9633、充放電制御回路9634、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有する。なお、図9(B)では充放電制御回路9634の一例としてバッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有する構成について示している。
【0262】
なお、タブレット型端末は2つ折り可能なため、未使用時に筐体9630を閉じた状態にすることができる。従って、表示部9631a、表示部9631bを保護できるため、耐久性に優れ、長期使用の観点からも信頼性の優れたタブレット型端末を提供できる。
【0263】
また、この他にも図9(A)(B)に示したタブレット型端末は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。
【0264】
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル、表示部、または映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、筐体9630の一面または二面に設けることで、効率的なバッテリー9635の充電を行う構成とすることができるため好適である。なお、バッテリー9635としては、リチウムイオン電池を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
【0265】
また、図9(B)に示す充放電制御回路9634の構成及び動作について、図9(C)にブロック図を示し説明する。図9(C)には、太陽電池9633、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3、表示部9631について示しており、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3が、図9(B)に示す充放電制御回路9634に対応する箇所となる。
【0266】
まず外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する。太陽電池で発電した電力は、バッテリー9635を充電するための電圧となるようDCDCコンバータ9636で昇圧または降圧がなされる。そして、表示部9631の動作に太陽電池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ9637で表示部9631に必要な電圧に昇圧または降圧をすることとなる。また、表示部9631での表示を行わない際には、スイッチSW1をオフにし、スイッチSW2をオンにしてバッテリー9635の充電を行う構成とすればよい。
【0267】
なお太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段によるバッテリー9635の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送受信して充電する無接点電力電送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う構成としてもよい。
【0268】
以上のように、本発明の一態様の発光装置を適用して電子機器や照明装置を得ることができる。本発明の一態様の発光装置の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0269】
なお、本実施の形態に示す構成は、先の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができる。
【符号の説明】
【0270】
101 第1の高放射層
102 第1の熱伝導層
103 低反射層
104 第2の熱伝導層
105 第2の高放射層
106 第3の熱伝導層
114 第1の絶縁層
116 第2の絶縁層
118 第1の電極
120 EL層
120a 第1のEL層
120b 第2のEL層
121 金属膜
122 第2の電極
124 隔壁
125 絶縁層
126 乾燥剤
130 発光素子
140a トランジスタ
140b トランジスタ
152 トランジスタ
153 トランジスタ
160 カラーフィルタ
161a 凹凸の構造
161b 凹凸の構造
162 平坦化層
163 補助配線
701 正孔注入層
702 正孔輸送層
703 発光層
704 電子輸送層
705 電子注入層
706 電子注入バッファー層
707 電子リレー層
708 複合材料層
709 電荷発生層
801 支持基板
802 発光部
803 駆動回路部
804 駆動回路部
805 封止材
806 金属基板
808 FPC
809a 第1の端子
809b 第2の端子
810 空間
811 照明装置
812 照明装置
813 卓上照明器具
7100 テレビジョン装置
7101 筐体
7103 表示部
7105 スタンド
7107 表示部
7109 操作キー
7110 リモコン操作機
7201 本体
7202 筐体
7203 表示部
7204 キーボード
7205 外部接続ポート
7206 ポインティングデバイス
7301 筐体
7302 筐体
7303 連結部
7304 表示部
7305 表示部
7306 スピーカ部
7307 記録媒体挿入部
7308 LEDランプ
7309 操作キー
7310 接続端子
7311 センサ
7312 マイクロフォン
7400 携帯電話機
7401 筐体
7402 表示部
7403 操作ボタン
7404 外部接続ポート
7405 スピーカ
7406 マイク
7501 照明部
7502 傘
7503 可変アーム
7504 支柱
7505 台
7506 電源
9033 留め具
9034 スイッチ
9035 電源スイッチ
9036 スイッチ
9037 操作キー
9038 操作スイッチ
9630 筐体
9631 表示部
9631a 表示部
9631b 表示部
9632a タッチパネルの領域
9632b タッチパネルの領域
9633 太陽電池
9634 充放電制御回路
9635 バッテリー
9636 DCDCコンバータ
9637 コンバータ
9639 ボタン
SW1 スイッチ
SW2 スイッチ
SW3 スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板、金属基板及び封止材に囲まれた空間内に、発光素子を含む発光部を備え、
前記封止材は、前記発光部の外周を囲むように設けられ、
前記発光素子は、前記支持基板上に設けられた第1の電極と、前記第1の電極上に設けられた発光性の有機化合物を含む層と、前記発光性の有機化合物を含む層上に設けられた第2の電極と、を備え、
前記支持基板及び前記第1の電極は、前記発光性の有機化合物が発する光に対して透光性を有し、
前記空間は、気体で充填されており、
前記第2の電極上に、前記第2の電極よりも放射率が高く、前記第2の電極と熱的に接続する第1の高放射層を有し、
前記金属基板の前記支持基板と対向する面に、前記金属基板よりも反射率が低い低反射層を有する発光装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記低反射層が、前記第1の高放射層と重なる領域に設けられている発光装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記第1の高放射層は、前記発光性の有機化合物を含む層よりも熱伝導率が高い発光装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
前記第2の電極と前記第1の高放射層が、前記発光性の有機化合物を含む層よりも熱伝導率が高い第1の熱伝導層を介して熱的に接続する発光装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記低反射層の熱伝導率が1W/m・K以上である発光装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、
前記金属基板と前記低反射層が、前記低反射層よりも熱伝導率が高い第2の熱伝導層を介して熱的に接続する発光装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記金属基板の大気と接する面に、前記金属基板よりも放射率が高く、前記低反射層と重なる第2の高放射層を有する発光装置。
発光装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項において、
前記第2の高放射層は、前記低反射層よりも熱伝導率が高い発光装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項において、
前記金属基板と前記第2の高放射層が、前記低反射層よりも熱伝導率が高い第3の熱伝導層を介して熱的に接続する発光装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項において、
前記低反射層が、乾燥剤を含む発光装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の発光装置を表示部に有する電子機器。
【請求項12】
請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の発光装置を照明部に有する照明装置。
【請求項1】
支持基板、金属基板及び封止材に囲まれた空間内に、発光素子を含む発光部を備え、
前記封止材は、前記発光部の外周を囲むように設けられ、
前記発光素子は、前記支持基板上に設けられた第1の電極と、前記第1の電極上に設けられた発光性の有機化合物を含む層と、前記発光性の有機化合物を含む層上に設けられた第2の電極と、を備え、
前記支持基板及び前記第1の電極は、前記発光性の有機化合物が発する光に対して透光性を有し、
前記空間は、気体で充填されており、
前記第2の電極上に、前記第2の電極よりも放射率が高く、前記第2の電極と熱的に接続する第1の高放射層を有し、
前記金属基板の前記支持基板と対向する面に、前記金属基板よりも反射率が低い低反射層を有する発光装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記低反射層が、前記第1の高放射層と重なる領域に設けられている発光装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記第1の高放射層は、前記発光性の有機化合物を含む層よりも熱伝導率が高い発光装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
前記第2の電極と前記第1の高放射層が、前記発光性の有機化合物を含む層よりも熱伝導率が高い第1の熱伝導層を介して熱的に接続する発光装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記低反射層の熱伝導率が1W/m・K以上である発光装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項において、
前記金属基板と前記低反射層が、前記低反射層よりも熱伝導率が高い第2の熱伝導層を介して熱的に接続する発光装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記金属基板の大気と接する面に、前記金属基板よりも放射率が高く、前記低反射層と重なる第2の高放射層を有する発光装置。
発光装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項において、
前記第2の高放射層は、前記低反射層よりも熱伝導率が高い発光装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項において、
前記金属基板と前記第2の高放射層が、前記低反射層よりも熱伝導率が高い第3の熱伝導層を介して熱的に接続する発光装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項において、
前記低反射層が、乾燥剤を含む発光装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の発光装置を表示部に有する電子機器。
【請求項12】
請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の発光装置を照明部に有する照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2013−105653(P2013−105653A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249590(P2011−249590)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
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