説明

発光装置、電子機器および画像処理装置

【課題】別個の原因で発生する複数種の階調ムラを有効に抑制する。
【解決手段】バッファ321は各発光素子Eの補正値Aaを記憶する。バッファ322は
各発光素子Eの補正値Abを記憶する。制御部326は、画像を構成する各ラインについ
て第1モードまたは第2モードを指定する。第1モードが指定されたラインの各画素の出
力時には画像データGと補正値Aaとに応じて各発光素子Eが駆動され、第2モードが指
定されたラインの各画素の出力時には画像データGと補正値Abとに応じて発光素子Eが
駆動される。補正値Aaは、所定の電気エネルギの供給時における各発光素子の光量の相
違が抑制されるように発光素子Eごとに選定される。補正値Abは、所定の電気エネルギ
が供給されたときの各発光素子Eに対応するスポット領域の形態の相違が抑制されるよう
に発光素子Eごとに選定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光ダイオード(以下「OLED(Organic Light Emitting Diode
)」という)素子などの発光素子の光量を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の発光素子が配列された発光装置は、画像形成装置の露光装置(光ヘッド)や各種
の電子機器の表示装置など画像を出力する装置として利用される。この種の発光装置にお
いて各発光素子の光量にバラツキがあると、実際に出力される画像に階調ムラが発生する
。この階調ムラを抑制するために、例えば特許文献1には、各発光素子からの放射光の光
量を事前に測定し、各発光素子に供給される電流の電流値やパルス幅をこの測定の結果に
応じて補正する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−118163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、発光素子における露光によって感光体ドラムの表面に潜像が形成される構成
の画像形成装置において、階調ムラの原因は、各発光素子の発光の光度(発光強度)のバ
ラツキだけではない。例えば、感光体ドラムの表面におけるスポット領域(各発光素子か
らの放射光が所定値を上回る光度で到達する領域)のサイズや形状が発光素子ごとに相違
する場合にも画像には階調ムラが発生する。この場合には、各発光素子の光度のバラツキ
に起因した階調ムラが抑制されるように各発光素子の光量を補正しても、スポット領域の
形態(サイズや形状)のバラツキに起因した階調ムラまでは必ずしも抑制することができ
ない。このような事情を背景として、本発明は、別個の原因で発生する複数種の階調ムラ
を有効に抑制するという課題の解決を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以上の課題を解決するために、本発明に係る発光装置は、画像を構成する画素に対応す
るとともに電気エネルギ(例えば駆動電流)の供給によって被照射体(例えば図6の感光
体ドラム110)に発光する複数の発光素子と、所定の電気エネルギが供給されたときの
複数の発光素子の各々の光量(光度)の相違が抑制されるように発光素子ごとに選定され
た第1補正値を記憶する第1記憶手段(例えば図1や図5におけるROM26やバッファ
321)と、被照射体の表面のうち所定の電気エネルギが供給された複数の発光素子の各
々からの放射光が所定値(例えば図3の閾値Pth)を上回る強度で到達するスポット領域
(例えば図3の領域As)の形態(サイズや形状)の相違が抑制されるように発光素子ご
とに選定された第2補正値を記憶する第2記憶手段(例えば図1や図5におけるROM2
6やバッファ322)と、画像を区分した複数の領域の各々について第1モードまたは第
2モードを指定する指定手段(例えば図1や図5の制御部326)と、指定手段が第1モ
ードを指定した領域の各画素について(例えば各画素の出力時に)、複数の発光素子の各
々に、各画素の画像データと当該発光素子の第1補正値とに応じた電気エネルギを供給し
、指定手段が第2モードを指定した領域の各画素について、複数の発光素子の各々に、各
画素の画像データと当該発光素子の第2補正値とに応じた電気エネルギを供給する駆動手
段(例えば図1や図5の補正部327および駆動回路24)とを具備する。
この構成においては、第1モードが指定された領域の各画素の出力時には第1補正値に
応じた補正によって各発光素子の光量の相違が抑制され、第2モードが指定された領域の
各画素の出力時には第2補正値に応じた補正によって各発光素子のスポット領域の形態の
相違が抑制される。したがって、各発光素子の光量の相違に起因した階調ムラ(例えば図
4における第1階調ムラB1)と各発光素子のスポット領域の形態の相違に起因した階調
ムラ(例えば図4における第2階調ムラB2)との一方のみが解消される構成と比較して
、階調ムラが低減された高品位な画像を形成することができる。
【0005】
第1モードおよび第2モードの何れかが択一的に選択される構成のほか、第1モードお
よび第2モードを含む3種以上の動作モードの何れかが選択される構成(例えば図5の構
成)も当然に本発明の範囲に含まれる。なお、本発明における「複数の発光素子」は、発
光装置が備える発光素子の全部であっても一部であってもよい。また、「被照射体」とは
、各発光素子からの放射光が到達する物体であり、例えば、各発光素子からの放射光によ
る露光で潜像が形成される感光体(例えば感光体ドラム)である。
【0006】
以上に説明したように、第2モードが指定された画素の出力時には、各発光素子の光量
について第1補正値に応じた補正は実行されない。したがって、第2モードが指定された
領域に属する各画素は各発光素子における特性のバラツキの影響を受ける可能性がある。
もっとも、動作モードの指定の単位となる領域の形態(サイズや形状)を適宜に選定すれ
ば、第2モードが指定された領域についても各発光素子の特性のバラツキの影響を目立た
なくすることが可能である。このような構成としては、例えば、画像のうち各々の位置が
分散するように設定された複数の領域について第2モードを指定するとともにそれ以外の
領域について第1モードを指定する構成が考えられる。各発光素子に対応して第1方向(
例えば主走査方向)に配列された複数の画素からなるラインを第2方向(例えば副走査方
向)に配列してなる画像を形成する発光装置においては、画像を所定数のラインごとに区
分した各領域を単位として第1モードまたは第2モードが指定される構成が採用される。
さらに好適な態様において、指定手段は、奇数番目の各ラインについて第1モードおよび
第2モードの一方を指定し、偶数番目の各ラインについて第1モードおよび第2モードの
他方を指定する。
【0007】
本発明の具体的な態様において、駆動手段は、各画素の画像データを補正する補正手段
(例えば図1や図5の補正部327)とこの補正後の画像データに基づいて各発光素子を
駆動する駆動回路(例えば図1や図5の駆動回路24)とを含む。補正手段は、第1モー
ドが指定された各画素の画像データと第1補正値とについて所定の演算を実行し、第2モ
ードが指定された各画素の画像データと第2補正値とについて所定の演算を実行する。画
像データと各補正値との演算の典型例は加算(または減算)であるが、この演算の具体的
な内容は任意に変更される。駆動回路は、補正手段による演算後の画像データに応じたレ
ベル(電流値や電圧値)またはパルス幅の駆動信号を出力することで各発光素子を駆動す
る。
もっとも、本発明に係る発光装置は、各画素の画像データと第1補正値とに応じて各発
光素子を駆動する機能を備えていれば足り、画像データと第1補正値(または第2補正値
)とを演算する手段を備える必要は必ずしもない。例えば、別の態様に係る駆動手段は、
第1モードが指定されると、画像データに応じた駆動信号(画像データに応じたレベルま
たはパルス幅の駆動信号)のレベルまたはパルス幅を第1補正値に応じて調整したうえで
各発光素子に出力する。
【0008】
本発明に係る発光装置は各種の電子機器に利用される。この電子機器の典型例は、本発
明の発光装置を露光装置(露光ヘッド)として利用した画像形成装置である。この画像形
成装置は、露光により像形成面に潜像が形成される像担持体(例えば図6の感光体ドラム
110)と、像形成面を露光する本発明の発光装置と、トナーなどの現像剤を潜像に付着
させることで顕像を形成する現像器(例えば図6の現像器114)とを含む。もっとも、
本発明に係る発光装置の用途は露光に限定されない。例えば、本発明の発光装置を各種の
電子機器の表示装置として利用することもできる。この種の電子機器としては例えばパー
ソナルコンピュータや携帯電話機がある。また、液晶装置の背面側に配置されてこれを照
明する装置(バックライト)や、スキャナなどの画像読取装置に搭載されて原稿に光を照
射する装置など各種の照明装置としても本発明の発光装置を採用することができる。
【0009】
本発明は、以上の各態様に係る発光装置に利用される画像処理装置としても特定される
。この画像処理装置(例えば図1や図5のコントローラ32)は、所定の電気エネルギが
供給されたときの複数の発光素子の各々の光量の相違が抑制されるように発光素子ごとに
選定された第1補正値(例えば補正値Aa)を記憶する第1記憶手段(例えば図1や図5
におけるバッファ321)と、被照射体の表面のうち所定の電気エネルギが供給された複
数の発光素子の各々からの放射光が所定値を上回る強度で到達するスポット領域の形態の
相違が抑制されるように発光素子ごとに選定された第2補正値(例えば補正値Ab)を記
憶する第2記憶手段(例えば図1や図5におけるバッファ322)と、画像を区分した複
数の領域の各々について第1モードまたは第2モードを指定する指定手段(例えば図1や
図5における制御部326)と、指定手段が第1モードを指定した領域に属する各画素の
画像データを、第1記憶手段に記憶された第1補正値に応じて補正してから発光装置に出
力し、指定手段が第2モードを指定した領域に属する各画素の画像データを、第2記憶手
段に記憶された第2補正値に応じて補正してから発光装置に出力する補正手段(例えば図
1や図5における補正部327)とを具備する。この画像処理装置によっても、本発明の
発光装置と同様の作用および効果が奏される。
【0010】
なお、本発明の画像処理装置については、発光装置について以上に例示した各種の態様
が採用される。また、本発明の画像処理装置は、DSP(Digital Signal Processor)な
どのハードウェアのみによって実現されてもよいし、CPU(Central Processing Unit
)などのコンピュータとソフトウェアとの協働によって実現されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<A:発光装置の構成>
本発明の実施形態に係る発光装置の構成を説明する。この発光装置は、感光体ドラムの
露光によって潜像を形成する構成の画像形成装置(印刷装置)において感光体ドラムを露
光する露光装置として利用される。本実施形態においては、縦m行×横n列に画素を配列
した画像(潜像)が形成される場合を想定する(mおよびnの各々は2以上の自然数)。
ひとつの画像のうち主走査方向(感光体ドラムの回転軸の方向)に配列するn個の画素の
集合(1行)を以下では「ライン」と表記する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る発光装置の構成を示すブロック図である。同図に示すように
、発光装置10は、ヘッドモジュール20と制御基板30とを含む。ヘッドモジュール2
0は、所望の画像に応じた光線を感光体ドラムの外周面(以下「像形成面」という)に放
射する手段であり、光ヘッド22と駆動回路24とROM26とを含む。光ヘッド22は
、画像における1ラインの画素数に相当するn個の発光素子Eが主走査方向に沿って配列
された部分である。各発光素子Eは、これに供給される電気エネルギに応じた光量で発光
する。本実施形態の発光素子Eは、有機EL(ElectroLuminescence)材料で形成された
発光層が陽極と陰極との間隙に介在するOLED素子であり、発光層に駆動電流が供給さ
れる期間にその電流値に応じた光度で発光する。
【0013】
駆動回路24は、画像データGに応じた電気エネルギ(駆動電流)の供給によって各発
光素子Eを画像データGに応じた光量(光度および時間)に駆動する手段である。画像デ
ータGは、各発光素子Eについて複数の階調値の何れかを指定するデジタルデータである
。本実施形態の駆動回路24は、電流値が所定値に設定された駆動電流のパルス幅を画像
データGに応じて制御することで各発光素子Eの光量を制御する(パルス幅変調方式によ
る階調制御)。このように各発光素子Eの光量を制御しながら感光体ドラムの像形成面を
副走査方向に移動させることで、縦m行×横n列の1ページ分の潜像が像形成面に形成さ
れる。
【0014】
ROM26は、補正値Aaと補正値Abとを発光素子Eごとに不揮発的に記憶する手段で
ある。補正値Aaおよび補正値Abは、各発光素子Eの光量を画像データGとは別個に調整
するための数値である。ひとつの発光素子Eに設定された補正値Aaと補正値Abとは相違
する。なお、補正値Aaや補正値Abの具体的な内容や各々を選定する方法については後述
する。
【0015】
制御基板30には、コントローラ32と2個のバッファ(341および342)とが実
装される。コントローラ32には、発光装置10が搭載される画像形成装置のCPUなど
各種の上位装置50(ホストコンピュータ)から画像データGが供給される。コントロー
ラ32は、ヘッドモジュール20を制御する手段であり、2個のバッファ(321および
322)と入出力部325と制御部326と補正部327とを含む。なお、コントローラ
32を構成する各部(特に制御部326および補正部327)は、DSPなどのハードウ
ェアによって実現されてもよいし、CPUなどのコンピュータがプログラムを実行するこ
とによって実現されてもよい。
【0016】
発光装置10の電源が投入されると、各発光素子Eの駆動に先立って、ヘッドモジュー
ル20のROM26から各発光素子Eの補正値Aaと補正値Abとがコントローラ32に転
送される。バッファ321は、ROM26から転送されたn個の補正値Aaを記憶する手
段である。同様に、バッファ322は、ROM26から転送されたn個の補正値Abを記
憶する手段である。
【0017】
バッファ341およびバッファ342は、画像の1ラインに属するn個の画素の画像デ
ータGを記憶する手段(ラインメモリ)である。入出力部325は、上位装置50から順
次に供給される画像データGをラインごとに交互にバッファ341およびバッファ342
に書き込んでいく。さらに、入出力部325は、バッファ341およびバッファ342か
ら各ラインの画像データGを交互に読み出して制御部326に出力する。すなわち、入出
力部325は、バッファ341に対する奇数行の画像データGの書込およびバッファ34
2からの偶数行の画像データGの読出と、バッファ341からの奇数行の画像データGの
読出およびバッファ342に対する偶数行の画像データGの書込とを、水平同期信号に同
期したタイミングで(すなわち水平走査期間ごとに)順次に実行する。なお、入出力部3
25によって画像データGが読み出されるラインを以下では特に「対象ライン」と表記す
る。画像を構成するm個のラインの各々は、副走査方向に沿った配列の順番で順次に対象
ラインとして選定される。
【0018】
制御部326は、各発光素子Eの光量について実行されるべき補正の態様をラインごと
に制御する手段であり、第1モードおよび第2モードの何れかをラインごとに指定する補
正管理信号Sを補正部327に出力する。第1モードは、対象ラインの画像データGと補
正値Aaとに基づいて発光素子Eの光量が制御される動作モードである。これに対し、第
2モードは、対象ラインの画像データGと補正値Abとに基づいて発光素子Eの光量が制
御される動作モードである。
【0019】
図2は、本実施形態における制御部326の具体的な動作を示すフローチャートである
。同図の処理は1ページの画像データGが上位装置50からコントローラ32に供給され
るたびに(すなわち垂直同期信号に同期して垂直走査期間ごとに)実行される。図2の処
理を開始すると、制御部326はまず、入出力部325が順次に出力する1ライン(対象
ライン)分の画像データGを取得する(ステップS1)。次いで、制御部326は、ステ
ップS1にて画像データGを取得した対象ラインが、画像を構成するm個のラインのうち
奇数行目のラインであるか否かを判定する(ステップS2)。この判定の結果が肯定であ
る場合、制御部326は、第1モードを指定する補正管理信号Sを対象ラインの画像デー
タGとともに補正部327に出力する(ステップS3)。これに対し、ステップS2におけ
る判定の結果が否定である場合(すなわち対象ラインが偶数行目のラインである場合)、
制御部326は、第2モードを指定する補正管理信号Sを対象ラインの画像データGとと
もに補正部327に出力する(ステップS4)。
【0020】
ステップS3またはステップS4に続いて、制御部326は、1ページの総てのラインに
ついて動作モードを指定したか否かを判定する(ステップS5)。この判定の結果が否定
である場合、制御部326は、次のライン(対象ライン)の画像データGを入出力部32
5から取得したうえで(ステップS1)、この新たな対象ラインについてステップS2以後
の処理を実行する。一方、ステップS5の結果が肯定であれば図2の処理は終了する。
【0021】
図1の補正部327は、入出力部325から制御部326を経由して供給される各ライ
ンの画像データGに対して補正管理信号Sに応じた処理を実行して出力する手段である。
補正管理信号Sによって第1モードが指定されると、補正部327は、そのラインの画像
データGとバッファ321に保持されたn個の補正値Aaとについて所定の演算を実行し
、この演算後の画像データGをヘッドモジュール20に出力する。一方、補正管理信号S
によって第2モードが指定されると、補正部327は、そのラインの画像データGとバッ
ファ322に保持されたn個の補正値Abとについて所定の演算を実行し、この演算後の
画像データGをヘッドモジュール20に出力する。本実施形態の補正部327は、第j列
目(jは1≦j≦nを満たす自然数)の画素の画像データGと、この画素を出力する第j
列目の発光素子Eの補正値(AaまたはAb)とを加算し、この加算後の画像データGを駆
動回路24に出力する。
【0022】
駆動回路24は、画像データGに応じた電気エネルギ(駆動電流)を各発光素子Eに供
給する。したがって、ひとつの画像のうち第1モードが指定されたラインについては、補
正値Aaに応じて補正された光量にて各発光素子Eが発光することで感光体ドラムの像形
成面に潜像が形成される。一方、第2モードが指定されたラインについては、補正値Ab
に応じて補正された光量にて各発光素子Eが発光することで像形成面に潜像が形成される

【0023】
<B:補正値(Aa/Ab)を選定する方法>
次に、各発光素子Eの補正値AaおよびAbの意義と各々を選定する方法について説明す
る。
画像形成装置から出力される画像に階調ムラが発生する原因は様々である。例えば、発
光素子Eの光度(発光強度)が相違する場合だけでなく、感光体ドラムの像形成面におけ
るスポット領域の形態(サイズや形状)が発光素子Eごとに相違する場合にも階調ムラが
発生する。したがって、実際に出力される画像のなかには、各発光素子Eの光度のバラツ
キに起因した階調ムラ(以下「第1階調ムラ」という)と、各発光素子Eに対応するスポ
ット領域の形態のバラツキに起因した階調ムラ(以下「第2階調ムラ」という)とが並存
する場合がある。このような場合には、第1階調ムラが補正値Aaに応じた光量の補正に
よって抑制されたとしても、第2階調ムラまでは必ずしも解消することができない。以上
の事情に鑑みて、本実施形態においては、第1階調ムラが抑制されるように補正値Aaが
発光素子Eごとに選定されるとともに、第2階調ムラが抑制されるように補正値Abが発
光素子Eごとに選定される。
【0024】
各発光素子Eの補正値Aaは、画像データGによって同階調が指定されたときの各発光
素子Eの光量が均一化されるように発光素子Eごとに選定される。例えば、第1に、同じ
電流値およびパルス幅の駆動電流を各発光素子Eに供給したうえで各々の光量をフォトダ
イオードなどの受光素子によって測定する。第2に、この測定の結果(非補正時における
光量のバラツキ)に基づいて、総ての発光素子Eの光量の平均値を算定する。第3に、各
発光素子Eの光量が補正(駆動電流のパルス幅の補正)によって光量の平均値に調整され
るように各補正値Aaが決定される。したがって、例えば、非補正時において光量が少な
い発光素子E(発光効率が低い発光素子E)の補正値Aaほど大きい数値となる。
【0025】
各補正値Abは例えば以下の手順で決定される。まず、スポット領域の面積(以下「ス
ポット面積」という)が発光素子Eごとに個別に測定される。例えば、第1に、感光体ド
ラムの像形成面の位置にCCD素子などの複数の受光素子をマトリクス状に配置する。第
2に、同じ電流値およびパルス幅の駆動電流の供給によってn個の発光素子Eの各々を順
番に発光させる。第3に、このときの各受光素子による検出の結果に基づいて、ひとつの
発光素子Eから感光体ドラムの像形成面に到達する光線の当該面内における強度(光度)
の分布を測定する。図3は、発光素子Eの光軸と平行な面内における強度の分布を示すグ
ラフである。同図に示すように、像形成面に到達した光線の強度は、発光素子Eの光軸L
0から離間した位置ほど減少するように分布する。この分布のうち所定の閾値Pth(例え
ば1/e2)を上回る強度の光線が到達した領域がスポット領域Asである。そして、閾値
Pthを上回る光線を受光した受光素子の個数に応じてスポット面積が算定される。以上の
手順によって各発光素子Eのスポット面積が算定されると、n個の発光素子Eのスポット
面積の平均値が算定される。そして、各発光素子Eのスポット面積が光量の補正によって
この平均値に調整されるように補正値Abが発光素子Eごとに設定される。
【0026】
図4は、画像IMGを構成する総ての画素Pに同階調が指定された場合に画像形成装置か
ら実際に出力される画像(用紙に印刷される画像)の態様を示す概念図である。図4の部
分(a)には、各発光素子Eの光量を補正しない場合の画像IMGが図示されている。n個の発
光素子Eのうち第X1列目の発光素子Eの光度が他の発光素子Eよりも低いとすれば、画
像IMGのうち第X1列目の各画素Pは他の画素Pよりも低階調となる。また、n個の発光素
子Eのうち第X2列目の発光素子Eのスポット面積が他の発光素子Eよりも小さいとすれ
ば、図4の部分(a)に示すように、画像IMGのうち第X2列目の各画素Pは他の画素Pより
も低階調となる。すなわち、各発光素子Eの光度のバラツキを原因とする第1階調ムラB
1と各発光素子Eのスポット面積のバラツキを原因とする第2階調ムラB2とが画像IMG内
に並存する。
【0027】
光度およびスポット面積の双方が所期値よりも小さい発光素子Eについては、その光量
を増加させる補正によって第1階調ムラB1と第2階調ムラB2とが同時に抑制される。光
度およびスポット面積が所期値よりも大きい発光素子Eについても同様であり、その光量
を減少させる補正によって第1階調ムラB1および第2階調ムラB2の双方が抑制される。
しかしながら、光度が所期値よりも高くスポット面積が所期値よりも小さい発光素子Eに
ついては、第1階調ムラB1の抑制のために光量を減少させるとスポット面積はいっそう
縮小して所期値から遠ざかり(すなわち第2階調ムラB2が顕著となる)、第2階調ムラ
B2の抑制のために光量を増加させると今度は第1階調ムラB1が顕著となる。光度が所期
値よりも低くスポット面積が所期値よりも大きい発光素子Eについても同様に、第1階調
ムラB1の抑制と第2階調ムラB2の抑制とが背反する関係にある。これらの発光素子Eに
ついては、第1階調ムラB1および第2階調ムラB2をひとつの補正値のみによって同時に
抑制することはできない。
【0028】
したがって、第1階調ムラB1を抑制する補正が画像IMGの総てのラインについて実行さ
れたとしても、図4の部分(b1)に示すように、スポット面積のバラツキに起因した第X2
列目の第2階調ムラB2は抑制されない(かえって顕在化する)。同様に、各発光素子E
のスポット面積を均一化する補正によって第2階調ムラB2が抑制されたとしても、図4
の部分(b2)に示すように、光度のバラツキに起因した第X1列目の第1階調ムラB1は解消
されない。
【0029】
図4の部分(c)は、本実施形態の構成のもとで実際に出力される画像IMGの態様を示す概
念図である。本実施形態においては、第1モードが指定されるラインの出力時には各発光
素子Eの光量が補正値Aaに応じて補正される。したがって、奇数行目の各ラインに属す
る第X1列目の画素Pにおいて、各発光素子Eの光度のバラツキに起因した第1階調ムラ
B1は解消される。また、第2モードが指定されるラインの出力時には各発光素子Eの光
量が補正値Abに応じて補正される。したがって、偶数行目の各ラインに属する第X2列目
の画素Pにおいて、各発光素子Eのスポット面積のバラツキに起因した第2階調ムラB2
は抑制される。
【0030】
ところで、図4の部分(c)に示すように、奇数行目の各ラインに属する第X2列目の画素
Pには第2階調ムラB2が残存することになるが、この階調の第2階調ムラB2は人間の肉
眼によっては殆ど知覚されない。例えば、人間の視覚において明視距離(286mm)からの
解像力は「10cycle/mm」程度が限界値(上限値)であることが知られている。したがって
、用紙の表面のうち長さ1mmの範囲に副走査方向に沿って10個以上の画素Pが配列する
ように画像IMGが形成されれば、第X2列目の各画素Pにおける第2階調ムラB2は肉眼で
は殆ど認識し得ない。偶数行目の各ラインに属する第X1列目の画素Pに残存する第1階
調ムラB1についても同様である。以上のように本実施形態においては、各発光素子Eの
光度のバラツキに起因した第1階調ムラB1と各発光素子Eのスポット領域の形態のバラ
ツキに起因した第2階調ムラB2とがラインごとに交互に抑制されるから、何れか一方の
みが解消される構成(図4の部分(b1)や部分(b2))と比較して、利用者に知覚される画質
を高水準に維持できるという利点がある。
【0031】
<C:変形例>
以上の形態には様々な変形を加えることができる。具体的な変形の態様を例示すれば以
下の通りである。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。また、以下では補正
値Aaと補正値Abとを総称して「補正値A」と表記する場合がある。
【0032】
(1)変形例1
以上の形態においては、補正値A(AaまたはAb)を記憶するROM26がヘッドモジ
ュール20に実装された構成を例示したが、補正値Aがコントローラ32に予め保持され
た構成としてもよい。なお、補正値Aは各発光素子Eの特性に応じた数値であるから、コ
ントローラ32に補正値Aが保持された発光装置10を量産する場合には、ヘッドモジュ
ール20とコントローラ32との対応を発光装置10ごとに厳格に管理する必要がある。
これに対し、補正値Aがヘッドモジュール20に記憶された以上の形態においては、発光
装置10ごとに各発光素子Eの特性が相違する場合であっても、総ての発光装置10につ
いて共通のコントローラ32を採用することが可能である。これによってヘッドモジュー
ル20とコントローラ32との対応の管理が不要となるから、発光装置10の製造工程が
簡素化されるという利点がある。
【0033】
(2)変形例2
以上の形態においては、ひとつのラインを単位として動作モードが決定される構成を例
示したが、動作モードを決定する対象となる範囲は任意に変更される。例えば、複数のラ
インを単位として動作モードが指定される構成も採用される。さらに、動作モードの決定
の単位となる範囲が主走査方向に沿った領域である必要はない。例えば、副走査方向に沿
って連続する各列の画素(m個)の集合を単位として動作モードを決定してもよい。
【0034】
また、以上の形態においては第1モードが指定されるラインと第2モードが指定される
ラインとが交互に配列する構成を例示したが、各モードが指定されるラインの配置の態様
は任意である。例えば、画像のうち副走査方向に沿って可及的に分散されるように選択さ
れた複数のラインについて第1モードおよび第2モードの一方を指定し、それ以外の各ラ
インについて第1モードおよび第2モードの他方を指定するといった構成も採用される。
【0035】
(3)変形例3
以上の形態においては、画像データGに応じたパルス幅の駆動電流が各発光素子Eに供
給される構成を例示した。この構成においては、駆動電流のパルス幅が補正値Aに応じて
補正されると言える。しかしながら、本発明において画像データGに応じて制御される対
象はパルス幅に限定されない。例えば、各発光素子Eに供給される駆動電流の電流値が画
像データGに応じて制御される構成や、各発光素子Eに印加される電圧(以下「駆動電圧
」という)の電圧値が画像データGに応じて制御される構成も採用される。換言すると、
駆動電流の電流値や駆動電圧の電圧値が補正値Aに応じて補正される構成としてもよい。
【0036】
(4)変形例4
以上の形態においては感光体ドラムの露光に利用される発光装置10を例示したが、各
種の画像を表示する装置としても本発明の発光装置を採用することができる。表示装置と
して利用される発光装置においては、複数の発光素子Eが行方向および列方向にわたって
マトリクス状に配列されるとともに、各行の発光素子Eを順次に選択する選択回路(走査
線駆動回路)が配置される。そして、選択回路による選択行の各発光素子Eに駆動回路2
4から駆動電流が供給されることで各発光素子Eが画像データGに応じた光量で発光する

【0037】
(5)変形例5
以上の形態においては第1モードおよび第2モードの何れかが択一的に選択される構成
を例示したが、さらに多数の動作モードのなかから各ラインの出力に適用される動作モー
ド(換言すると各発光素子Eの光量の補正に利用される補正値A)が選択される構成とし
てもよい。例えば、図5に図示された発光装置10は、ひとつの発光素子Eの光量が3種
類の補正値A(Aa・Ab・Ac)の何れかに応じて補正される構成となっている。各発光
素子Eに対応するn個の補正値Acはバッファ323に格納される。補正値Acは、補正値
Aaや補正値Abとは別個の手順で選定された数値であり、例えば各発光素子Eの特性に依
存しない固定値である。
【0038】
入出力部325は、各ラインの画像データGの書込および読出を3個のバッファ(34
1から343)に対して実行する。バッファ341には第(3N−2)行目のラインの画
像データGが格納され、バッファ342には第(3N−1)行目のラインの画像データG
が格納され、バッファ343には第3N行目のラインの画像データGが格納される(Nは
自然数)。制御部326は、第(3N−2)行目のラインに第1モードを指定し、第(3
N−1)行目のラインに第2モードを指定し、第3N行目のラインに第3モードを指定す
る。補正部327は、以上の形態と同様に、第1モードおよび第2モードが指定された各
ラインの画像データGについて補正値Aaおよび補正値Abに応じた演算を実行したうえで
出力する。さらに、補正部327は、第3モードが指定されたラインの画像データGとバ
ッファ323に格納された補正値Acとについて所定の演算(例えば加算)を実行したう
えで駆動回路24に出力する。
【0039】
図5の構成によれば、以上の形態と比較して多様な補正値Aによって各ラインの発光素
子Eの光量を補正できるから、画像の階調ムラを効果的に低減することが可能である。な
お、ここではひとつの発光素子Eの補正値Aが3種類である場合を例示したが、さらに多
数の補正値Aが用意された構成(各ラインについてさらに多数の動作モードの何れかが指
定される構成)も採用される。
【0040】
(6)変形例6
以上の形態においては発光素子EとしてOLED素子を例示したが、本発明の発光装置
に採用される発光素子はこれに限定されない。例えば、OLED素子に代えて、無機EL
素子や発光ダイオード素子、電界放出(FE:Field Emission)素子、表面導電型電子放
出(SE:Surface-conduction Electron-emission)素子、弾道電子放出(BS:Balli
stic electron Surface emission)素子など様々な発光素子を利用した発光装置にも
、以上の形態と同様に本発明が適用される。本発明における発光素子は、電気エネルギの
供給によって発光する要素であれば足り、電流の供給によって駆動される電流駆動型であ
るか電圧の印加によって駆動される電圧駆動型であるかは不問である。
【0041】
<D:電子機器>
次に、本発明に係る電子機器の具体例を説明する。
図6は、以上の形態に係る発光装置を利用した画像形成装置の構成を示す断面図である
。画像形成装置は、タンデム型のフルカラー画像形成装置であり、以上の形態に係る4個
の発光装置10(10K,10C,10M,10Y)と、各発光装置10に対応する4個
の感光体ドラム110(110K,110C,110M,110Y)とを具備する。ひと
つの発光装置10は、これに対応する感光体ドラム110の像形成面(外周面)と対向す
るように配置される。なお、各符号の添字「K」「C」「M」「Y」は、黒(K)、シア
ン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の各顕像の形成に利用されることを意味して
いる。
【0042】
図6に示すように、駆動ローラ121と従動ローラ122とには無端の中間転写ベルト
120が巻回される。4個の感光体ドラム110は、相互に所定の間隔をあけて中間転写
ベルトの周囲に配置される。各感光体ドラム110は、中間転写ベルト120の駆動に同
期して回転する。
【0043】
各感光体ドラム110の周囲には、発光装置10のほかにコロナ帯電器111(111
K,111C,111M,111Y)と現像器114(114K,114C,114M,
114Y)とが配置される。コロナ帯電器111は、これに対応する感光体ドラム110
の像形成面を一様に帯電させる。この帯電した像形成面を各発光装置10が画像データG
に応じて露光することで静電潜像が形成される。各現像器114は、静電潜像に現像剤(
トナー)を付着させることで感光体ドラム110に顕像(可視像)を形成する。
【0044】
以上のように感光体ドラム110に形成された各色(黒・シアン・マゼンタ・イエロー
)の顕像が中間転写ベルト120の表面に順次に転写(一次転写)されることでフルカラ
ーの顕像が形成される。中間転写ベルト120の内側には4個の一次転写コロトロン(転
写器)112(112K,112C,112M,112Y)が配置される。各一次転写コ
ロトロン112は、これに対応する感光体ドラム110から顕像を静電的に吸引すること
によって、感光体ドラム110と一次転写コロトロン112との間隙を通過する中間転写
ベルト120に顕像を転写する。
【0045】
シート(記録材)102は、ピックアップローラ103によって給紙カセット101か
ら1枚ずつ給送され、中間転写ベルト120と二次転写ローラ126との間のニップに搬
送される。中間転写ベルト120の表面に形成されたフルカラーの顕像は、二次転写ロー
ラ126によってシート102の片面に転写(二次転写)され、定着ローラ対127を通
過することでシート102に定着される。排紙ローラ対128は、以上の工程を経て顕像
が定着されたシート102を排出する。
【0046】
以上に例示した画像形成装置は、OLED素子を光源(露光手段)として利用している
ので、レーザ走査光学系を利用した構成よりも装置が小型化される。なお、以上に例示し
た以外の構成の画像形成装置にも本発明を適用することができる。例えば、ロータリ現像
式の画像形成装置や、中間転写ベルトを使用せずに感光体ドラムからシートに対して直接
的に顕像を転写するタイプの画像形成装置、あるいはモノクロの画像を形成する画像形成
装置にも本発明に係る発光装置を利用することが可能である。
【0047】
なお、本発明に係る発光装置の用途は感光体の露光に限定されない。例えば、本発明の
発光装置は、原稿などの読取対象に光を照射するライン型の光ヘッド(照明装置)として
画像読取装置に採用される。この種の画像読取装置としては、スキャナ、複写機やファク
シミリの読取部分、バーコードリーダ、あるいはQRコード(登録商標)のような二次元
画像コードを読む二次元画像コードリーダがある。また、複数の発光素子を面状に配列し
た発光装置は、液晶パネルの背面側に配置されるバックライトユニットとしても採用され
る。
【0048】
本発明の発光装置は、各種の電子機器の表示装置としても利用される。本発明の発光装
置が適用される電子機器としては、例えば、可搬型のパーソナルコンピュータ、携帯電話
機、携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)、デジタルスチルカメラ、
テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、
電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、ス
キャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る発光装置の具体的な形態を示すブロック図である。
【図2】制御部の動作を示すフローチャートである。
【図3】スポット領域について説明するためのグラフである。
【図4】階調ムラの低減について説明するための概念図である。
【図5】変形例に係る発光装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明に係る電子機器(画像形成装置)の具体的な形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0050】
10……発光装置、20……ヘッドモジュール、22……光ヘッド、E……発光素子、2
4……駆動回路、26……ROM、30……制御基板、32……コントローラ、321,
322,323,341,342,343……バッファ、325……入出力部、326…
…制御部、327……補正部、Aa,Ab,Ac……補正値、G……画像データ、S……補
正管理信号、50……上位装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を構成する画素に対応するとともに電気エネルギの供給によって被照射体に発光す
る複数の発光素子と、
所定の電気エネルギが供給されたときの前記複数の発光素子の各々の光量の相違が抑制
されるように前記発光素子ごとに選定された第1補正値を記憶する第1記憶手段と、
前記被照射体の表面のうち所定の電気エネルギが供給された前記複数の発光素子の各々
からの放射光が所定値を上回る強度で到達するスポット領域の形態の相違が抑制されるよ
うに前記発光素子ごとに選定された第2補正値を記憶する第2記憶手段と、
画像を区分した複数の領域の各々について第1モードまたは第2モードを指定する指定
手段と、
前記指定手段が第1モードを指定した領域の各画素について、前記複数の発光素子の各
々に、前記各画素の画像データと当該発光素子の第1補正値とに応じた電気エネルギを供
給し、前記指定手段が第2モードを指定した領域の各画素について、前記複数の発光素子
の各々に、前記各画素の画像データと当該発光素子の第2補正値とに応じた電気エネルギ
を供給する駆動手段と
を具備する発光装置。
【請求項2】
前記画像は、前記各発光素子に対応して第1方向に配列された複数の画素からなるライ
ンを、前記第1方向に交差する第2方向に配列してなり、
前記指定手段は、前記画像を所定数のラインごとに区分した各領域について第1モード
または第2モードを指定する
請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記指定手段は、奇数番目の各ラインについて第1モードおよび第2モードの一方を指
定し、偶数番目の各ラインについて第1モードおよび第2モードの他方を指定する
請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れかに記載の発光装置を具備する電子機器。
【請求項5】
画像を構成する画素に対応した複数の発光素子の各々が画像データに応じた電気エネル
ギの供給によって駆動される発光装置の画像処理装置であって、
所定の電気エネルギが供給されたときの前記複数の発光素子の各々の光量の相違が抑制
されるように前記発光素子ごとに選定された第1補正値を記憶する第1記憶手段と、
前記被照射体の表面のうち所定の電気エネルギが供給された前記複数の発光素子の各々
からの放射光が所定値を上回る強度で到達するスポット領域の形態の相違が抑制されるよ
うに前記発光素子ごとに選定された第2補正値を記憶する第2記憶手段と、
画像を区分した複数の領域の各々について第1モードまたは第2モードを指定する指定
手段と、
前記指定手段が第1モードを指定した領域に属する各画素の画像データを、前記第1記
憶手段に記憶された第1補正値に応じて補正してから前記発光装置に出力し、前記指定手
段が第2モードを指定した領域に属する各画素の画像データを、前記第2記憶手段に記憶
された第2補正値に応じて補正してから前記発光装置に出力する補正手段と
を具備する画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−203603(P2007−203603A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−25343(P2006−25343)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】