説明

発光装置およびその製造方法並びに電子機器

【課題】回路の誤動作を簡単な構成で抑制する。
【解決手段】発光領域AにはOLED素子70が配置される。OLED素子70は共通電
極72と画素電極76との間に挟まれた発光機能層74を有する。回路領域Bにおいて周
辺回路を構成するトランジスタ40および50と光の射出面との間には、補助配線150
が配置される。補助配線150は画素電極72と同一の層で同時に形成される。補助配線
150および画素電極72は遮光性および導電性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光ダイオード素子のように電流量に応じた大きさの光を発光する発光
素子を用いた発光装置およびその製造方法、並びに発光装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子の一種として、電界により励起して自己発光するエレクトロルミネッセント(
EL)素子が知られている。EL素子を用いた発光装置では、基板上に多数の画素回路が
マトリックス状に配置され、各画素回路にEL素子が設けられている。EL素子は陽極と
陰極の間に挟まれた発光層を有する。
【0003】
EL素子が設けられた基板には、EL素子の各々に対応する画素回路だけでなく、画素
回路の駆動または検査に関係する信号を生成する周辺回路が配置されることがある。特許
文献1には、複数のEL素子が形成された発光領域の外側に駆動回路および検査回路が設
けられた回路領域を備えた発光装置が開示されている。多数のEL素子が設けられた基板
では、基板における位置によってEL素子に印加される電圧の降下がばらついてEL素子
の輝度が位置によってばらつくおそれがある。そこで、特許文献1に記載の技術では、陰
極を広大な面積を有するようにして複数のEL素子に共通にし、その電極の抵抗を下げる
ことが行われている。
【特許文献1】特開2004−55529号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の発光装置としては、発光層で発した光を基板から放出させるボトムエミッショ
ンタイプと、基板の反対側の射出面から放出させるトップエミッションタイプが知られて
いる。トップエミッションタイプでは、逆に射出面から外光が発光装置に入ってくるおそ
れがある。回路領域に形成される周辺回路は半導体素子を含む。半導体に光が入射すると
、光のエネルギーを受けて半導体中の電子が価電子帯から導電帯に励起され、電子と正孔
が発生し光電流が流れる。したがって、共通電極を通過した光が周辺回路に入射すると光
電流が流れ、周辺回路が誤動作するといった問題がある。
【0005】
特許文献1に記載されたボトムエミッションタイプでは、反射性材料から形成された共
通陰極により周辺回路が覆われているので、外光は共通陰極で遮蔽されて、周辺回路に届
かず、そこに含まれる薄膜トランジスタが外光により誤動作することが防止されている。
特許文献1には、光透過する薄膜金属で共通陰極を形成したトップエミッションタイプも
開示されている。しかし、このトップエミッションタイプでは、光透過性の共通陰極で周
辺回路を覆っても、周辺回路は外光にさらされ、誤動作するおそれがある。
そこで、本発明は、周辺回路の誤動作を簡易な構成で抑制する発光装置およびその製造
方法並びにこの発光装置を備えた電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発光装置は、第1電極と第2電極との間に挟まれた発光層を有する発光素
子を有する画素回路が複数形成された発光領域と、前記発光領域の外側に位置し、半導体
素子を含む周辺回路が形成された回路領域を備え、射出面から光を射出する発光装置であ
って、前記複数の発光素子の第2電極は複数の画素回路に共通に設けられた共通電極であ
って、前記発光層からの光を透過可能であり、前記発光領域は、遮光性を有する特定の層
および前記共通電極を含む複数の層を備え、前記回路領域は、前記射出面と前記周辺回路
との間に前記周辺回路を覆うように形成された前記特定の層と同一の層を備える。
【0007】
この発明によれば、発光装置の射出面側には発光層からの光を透過する共通電極が設け
られる。このため、回路領域において共通電極は光を透過するが、射出面と周辺回路との
間には周辺回路を覆うように特定の層と同一の層が形成される。特定の層は、遮光性を有
するので、射出面から入射する光は特定の層と同一の層によって遮光される。したがって
、周辺回路に含まれる半導体素子に光電流が発生して、周辺回路が誤動作することを抑制
できる。しかも、この層は、発光領域の特定の層と兼用されるので、遮光のために特別の
層を設ける必要がなく、簡易に構成することができる。なお、発光素子としては、有機発
光ダイオードや無機発光ダイオード等が該当する。また、半導体素子としては、例えば、
トランジスタやダイオードが該当する。さらに、周辺回路は、例えば、発光素子を駆動す
るための駆動回路、あるいは、発光素子や配線を検査するための検査回路等が含まれ得る

【0008】
上述した発光装置において、前記回路領域に形成される前記特定の層と同一の層は、前
記共通電極と電気的に接続され、遮光性を有する導電性材料で形成された配線であること
が好ましい。この場合には、共通電極のインピーダンスを下げることができるので、複数
の発光素子の輝度ムラが低減する。
【0009】
本発明に係る他の発光装置は、第1電極と第2電極との間に挟まれた発光層を有する発
光素子を有する画素回路が複数形成された発光領域と、前記発光領域の外側に位置し、半
導体素子を含む周辺回路が形成された回路領域を備え、射出面から光を射出する発光装置
であって、前記複数の発光素子の第2電極は複数の画素回路に共通に設けられた共通電極
であって、前記発光層からの光を透過可能であり、前記回路領域には、前記共通電極と電
気的に接続され遮光性を有する配線が、前記射出面と前記周辺回路との間に前記周辺回路
を覆うように形成される。
【0010】
この発明によれば、射出面と周辺回路との間には周辺回路を覆うように遮光性を有する
配線が形成されるので、射出面から入射する光は配線によって遮光される。したがって、
周辺回路に含まれる半導体素子に光電流が発生して、周辺回路が誤動作することを抑制で
きる。しかも、配線は共通電極と電気的に接続されるので、共通電極のインピーダンスを
下げて、複数の発光素子の輝度ムラを低減することが可能となる。ここで、前記配線は、
前記第2電極の上面または下面に接するように形成されることが好ましい。この場合には
、第2電極と配線とを面で接続することができので、接触面積が大きくなる接続抵抗が低
減される。この結果、共通電極のインピーダンスをより一層低減することができる。
【0011】
前記共通電極は、前記発光領域および前記回路領域にわたって形成されているとともに
、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、またはZnO
ら形成されていると好ましい。あるいは、前記配線が、ITO、IZO、またはZnO
から形成された層と、遮光性を有する導電性材料から形成された層を有するのでもよい。
ITO、IZO、またはZnOといった材料は緻密な素材であり、ガス透過率が低い。
このような材料で回路領域を覆うことにより、回路領域の周辺回路が保護される。
【0012】
前記発光領域において前記複数の発光素子の各々が形成される部分の間に、前記回路領
域から前記配線が延びており、前記発光領域において前記共通電極と前記配線が接続され
ていることが好ましい。この場合には、発光領域中で共通電極のインピーダンスを低減で
きるので、複数の発光素子の輝度ムラを大幅に低減することが可能となる。
【0013】
また、本発明に係る電子機器は、上述した発光装置を備えることを特徴とする。このよ
うな電子機器として、発光装置を表示装置に適用したパーソナルコンピュータ、携帯電話
機、および携帯情報端末などが該当し、また、発光装置を光ヘッドに用いたプリンタや複
写器が該当する。
【0014】
本発明に係る発光装置の製造方法は、第1電極と第2電極との間に挟まれた発光層を有
する発光素子を有する画素回路が複数形成された発光領域と、前記発光領域の外側に位置
し、半導体素子を含む周辺回路が形成された回路領域を備え、射出面から光を射出する発
光装置の製造方法であって、遮光性を有する特定の層を含む複数の層を積層して前記発光
領域を形成し、前記回路領域において、前記射出面と前記周辺回路との間に前記周辺回路
を覆うように前記特定の層と同一の層を形成し、前記発光領域の形成では、前記発光層か
らの光を透過可能な材料から、前記複数の発光素子の第2電極として、複数の画素回路に
共通の共通電極を形成する。
【0015】
この発明によれば、射出面から入射する光は特定の層と同一の層によって遮光されるの
で、周辺回路に含まれる半導体素子に光電流が発生して、周辺回路が誤動作することを抑
制できる。また、周辺回路の遮光に用いられる層は、特定の層と同一の層であるから、発
光領域に特定の層を形成する際に、回路領域において同一の層を同時に形成することがで
きる。したがって、製造工程を増加させることなく信頼性の高い発光装置を製造すること
が可能となる。
【0016】
より具体的には、前記発光領域における特定の層は、前記第1電極を形成する層であり
、前記回路領域に形成される前記特定の層と同一の層は、前記第1電極と同一の材料で同
時に形成されることが好ましい。この場合には、発光領域の第1電極と回路領域の遮光層
を兼用することができる。
【0017】
また、前記発光素子は、前記発光層からの光を前記射出面に向けて反射する反射層を備
え、前記発光領域における特定の層は前記反射層であり、前記回路領域に形成される前記
特定の層と同一の層は、前記反射層と同一の材料で同時に形成されることが好ましい。こ
の場合には、発光領域の反射層と回路領域の遮光層を兼用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る様々な実施の形態を説明する。図面にお
いては、各部の寸法の比率は実際のものとは適宜に異ならせてある。
<1.第1実施形態>
図1(A)は、本発明の第1実施形態に係る発光装置1の構成の一部を示す概略平面図
であり、図1(B)は図1(A)の状態の後に補助配線150および画素電極76をさら
に形成した状態を示す平面図である。図1(A)に示すように、この発光装置1は、パネ
ル10とフレキシブル基板20とを備える。パネル10の端部には接続端子が形成され、
この接続端子とフレキシブル基板20に形成された接続端子とが、ACF(anisotropic
conductive film:異方性導電膜)と呼ばれる導電粒子を含有したフィルム状の接着剤
を介して圧着固定される。また、フレキシブル基板20には、データ線駆動回路200が
設けられており、さらに、フレキシブル基板20を介して各種の電源電圧がパネル10に
供給される。
【0019】
パネル10には、発光領域Aと、走査線駆動回路100Aおよび100B、ならびにプ
リチャージ回路120が形成される回路領域Bが設けられている。プリチャージ回路12
0は書き込み動作に先立って、データ線112の電位を所定の電位に設定するための回路
である。走査線駆動回路100Aおよび100B、ならびにプリチャージ回路120は、
発光領域Aの周辺にある周辺回路である。但し、周辺回路は、単位回路Pや配線の良否を
検査する検査回路(図示せず)を含んでもよいし、データ線駆動回路200が回路領域B
に設けられた周辺回路であってもよい。
【0020】
発光領域Aには、複数の走査線111と複数のデータ線112が形成され、それらの交
差点の各々の近傍には複数の単位回路(画素回路)Pが設けられている。単位回路PはO
LED(organic light emitting diode)素子を含み、電流供給線113から給電を
受ける。複数の電流供給線113は第1電極用電源線130に接続されている。
【0021】
図2は、発光装置1の単位回路Pの詳細を示す回路図である。各単位回路Pは、nチャ
ネル型のトランジスタ68、pチャネル型のトランジスタ60、容量素子69、およびO
LED素子70を含む。pチャネル型のトランジスタ60のソース電極は電流供給線11
3に接続される一方、そのドレイン電極はOLED素子70の陽極に接続される。また、
トランジスタ60のソース電極とゲート電極との間には、容量素子69が設けられている
。nチャネル型のトランジスタ68のゲート電極は走査線111に接続され、そのソース
電極は、データ線112に接続され、そのドレイン電極はトランジスタ60のゲート電極
と接続される。
【0022】
単位回路Pは、その単位回路Pに対応する走査線111を走査線駆動回路100Aおよ
び100Bが選択すると、トランジスタ68がオンされて、データ線112を介して供給
されるデータ信号を内部の容量素子69に保持する。そして、トランジスタ60が、デー
タ信号のレベルに応じた電流をOLED素子70に供給する。これにより、OLED素子
70は、データ信号のレベルに応じた輝度で発光する。
【0023】
また、図1(A)に示すように、回路領域Bの外周部側には、コの字状の第2電極用電
源線140が形成されている。第2電極用電源線140は、後述するようにOLED素子
の陰極(第2電極)に電源電圧(この例では、Vss:グランドレベル)を供給するため
の配線である。OLED素子は、画素電極76(陽極)と共通電極72(陰極)との間に
挟まれた発光機能層(発光層を含む)74を有する(図4参照)。共通電極72は、図1
(B)に示すように発光領域Aおよび回路領域Bにわたって形成される。また、共通電極
72と第2電極用電源線140とを接続する補助配線150が、回路領域Bにおいて周辺
回路を覆うように形成される。補助配線150は、発光領域Aに設けられる補助配線の第
1部分150aと、回路領域Bに設けられる補助配線の第2部分150bとを含んでいる
。発光領域Aでは補助配線150の第1部分150aと画素電極76とが接触しないよう
に、補助配線150の第1部分150aが格子状に形成されている。つまりOLED素子
70の間に補助配線150の第1部分150aとが配置されている。本明細書でいう補助
配線とは、共通電極72に重ねて電気的に接続され、共通電極72の抵抗を下げる導体の
ことである。明確化のため、図3に、図1(B)の一部を拡大して示す。
【0024】
この実施形態の発光装置1は、トップエミッションの形式で構成されており、発光機能
層74からの光が共通電極72を通過して射出される。共通電極72は、透明材料から形
成されている。このため、回路領域Bを共通電極72によって遮光することはできない。
一方、上述した補助配線150には、導電性および遮光性を有する金属が用いられるため
、補助配線150によって遮光が可能である。これにより、周辺回路に光が入射して光電
流が発生することを抑制できる。また、補助配線150は、発光領域Aの画素電極76と
同一の工程で形成される。したがって、回路領域Bに遮光性を付加するために特別な工程
は不要である。
【0025】
図4にパネル10の部分断面図を示す。同図において、発光領域AにはOLED素子7
0が形成される一方、回路領域Bには周辺回路たる走査線駆動回路100Aが形成される
。同図において発光装置1の上面が光を射出する射出面となる。同図に示すように、基板
30の上に下地保護層31が形成され、その上にトランジスタ40、50、および60が
形成される。トランジスタ40はnチャネル型、トランジスタ50および60はpチャネ
ル型である。トランジスタ40,50は走査線駆動回路100Aの一部であり、トランジ
スタ60とOLED素子70は単位回路Pの一部である。
【0026】
トランジスタ40、50、および60は、基板30の表面に形成された酸化珪素を主体
とする下地保護層31の上に設けられている。下地保護層31の上層にはシリコン層40
1、501および601が形成される。シリコン層401、501および601を覆うよ
うに、ゲート絶縁層32が下地保護層31の上層に設けられる。ゲート絶縁層32は、例
えば酸化珪素から形成される。ゲート絶縁層32の上面のうちシリコン層401、501
および601に対向する部分にゲート電極42、52および62が設けられる。トランジ
スタ40においてゲート電極42を介してシリコン層401にはV族元素がドーピングさ
れ、ドレイン領域40cおよびソース領域40aが形成される。ここで、V族元素がドー
ピングされていない領域がチャネル領域40bとなる。
【0027】
トランジスタ50および60においてゲート電極52および62を介してシリコン層5
01および601にはゲート電極52および62を介してIII族元素がドーピングされ、
ドレイン領域50aおよび60a、ならびにソース領域50cおよび60cが形成される
。ここで、III族元素がドーピングされていない領域がチャネル領域50bおよび60b
となる。なお、トランジスタ40、50、および60のゲート電極42、52、および6
2を形成するのと同時に走査線111が形成される。
【0028】
第1層間絶縁層33が、ゲート電極42、52および62を覆うようにゲート絶縁層3
2の上層に形成される。第1層間絶縁層33の材料には酸化珪素等が用いられる。さらに
、ソース電極41、51、および63、ドレイン・ソース電極43、ならびにドレイン電
極61が、ゲート絶縁層32および第1層間絶縁層33にわたって開孔するコンタクトホ
ールを介してシリコン層401、501、および601と接続される。また、これらの電
極と同一の工程で第2電極用電源線140、データ線112および電流供給線113が形
成される。第2電極用電源線140は導電性を有するアルミニウム等の材料で形成される

【0029】
回路保護膜34が、ソース電極41、51、および63、ドレイン・ソース電極43、
ドレイン電極61、ならびに第2電極用電源線140を覆うように第1層間絶縁層33の
上層に設けられる。回路保護膜34は、例えば、窒化珪素や酸窒化珪素などのガス透過率
が低い材料から形成されている。また、これらの窒化珪素や酸窒化珪素は、非晶質材料で
あってもよいし、水素を含んでいても良い。これにより、トランジスタ40、50、およ
び60からの水素の離脱を防止できる。なお、回路保護膜34をソース電極やドレイン電
極の下に形成してもよい。
【0030】
回路段差平坦化膜35が回路保護膜34の上層に設けられる。回路段差平坦化膜35は
、回路保護膜34に対向する下面の凹凸よりも回路保護膜34とは反対の上面の凹凸が小
さい。つまり、トランジスタ40,50,60、走査線111、データ線112、電流供
給線113などにより生ずる凹凸を平坦化するために、回路段差平坦化膜35は用いられ
る。回路段差平坦化膜35の材料には、例えば、アクリル系、ポリイミド系の有機高分子
材料が用いられる。この場合、有機樹脂にパターニングのための感光性材料を混合して、
フォトレジストと同様に露光でパターニングしても良い。あるいは、酸化珪素、酸窒化珪
素等の無機材料から蒸着により回路段差平坦化膜35を形成し、エッチング等によりその
上面を平坦化してもよい。無機材料は一般に蒸着によって膜を形成するため、その膜厚は
1μm以下であり、しかもほぼ一様であるから、上面が下層の凹凸の影響を受けやすいの
に対し、有機樹脂はコーティングによって形成するのでその膜厚を2〜3μm程度に大き
くでき、しかもその上面は下層の凹凸の影響を受け難いので回路段差平坦化膜35の材料
に適している。尤も、ある程度の凹凸を許容するのであれば、酸化珪素、酸窒化珪素等の
無機材料を回路段差平坦化膜35に用いることもできる。
【0031】
回路段差平坦化膜35上には、発光領域Aで画素電極76(第1電極)および補助配線
の第1部分150aを形成すると同時に、回路領域Bに補助配線の第2部分150bを形
成する。即ち、画素電極76と補助配線150とは同一の層において、同一の材料を用い
て同時に形成される。この実施形態における画素電極76はOLED素子70の陽極であ
り、回路段差平坦化膜35および回路保護膜34を貫通するコンタクトホールを介してト
ランジスタ60のドレイン電極61と接続される。また、陽極である画素電極76の材料
としては、仕事関数が大きい材料が望ましく、例えば、ニッケル、金、白金等またはそれ
らの合金が好適である。これらの材料は反射性を持つので、発光機能層74で発光した光
を共通電極72に向けて反射する。補助配線150は、回路領域Bにおいて、回路保護膜
34に形成されたコンタクトホールを介して第2電極用電源線140と接続される。
【0032】
次に、隔壁37を形成する。隔壁37は、画素電極76とその後に形成される共通電極
72(第2電極)との間、もしくは複数の画素電極76同士の間を絶縁するものである。
隔壁37を設けることによりそれぞれの画素電極76を独立して制御することができ、複
数の発光素子をそれぞれ所定の輝度で発光させることができる。例えば、アクリルもしく
はポリイミド等が隔壁37の材料である。この場合、パターニングのため感光性材料を混
合して、フォトレジストと同様に露光でパターニングしても良い。隔壁37にはコンタク
トホールCHが同時に形成される。発光領域37において、このコンタクトホールCHを
介して補助配線150の第1部分150aと後述する共通電極72が接続される。また、
回路領域Bにおける補助配線150の第2部分150bの上には、隔壁37と同一の層が
設けられていない。
【0033】
次に、画素電極76の上に、少なくとも発光層を含む発光機能層74を形成する。発光
層には有機EL物質が用いられる。有機EL物質は、低分子材料であっても良いし、高分
子材料であっても良い。発光機能層74を構成する他の層として、正孔注入層、正孔輸送
層、電子輸送層、電子注入層、正孔ブロック層、および電子ブロック層の一部又は全部を
備えていてもよい。
【0034】
次に、発光領域Aおよび回路領域Bにわたって補助配線150および発光機能層74を
覆うように、共通電極72(第2電極)が形成される。共通電極72は透明であり、OL
ED素子70からの光は、共通電極74を透過して図中上側の方向に射出される。この実
施形態の共通電極72をすべてのOLED素子70の陰極として機能させるため、共通電
極72は電子を注入しやすいように、仕事関数が低い材料によって形成される。例えば、
アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、またはリチウム等やそれらの合金である。ま
た、この合金は仕事関数が低い材料とその材料を安定化される材料を用いることが望まし
い。例えば、マグネシウムと銀の合金が好適である。これらの金属または合金を共通電極
72に使用する場合には、透光性を得るために厚さを小さくすればよい。
【0035】
また、共通電極72(第2電極)は、上記の仕事関数が低い材料、もしくは、仕事関数
が低い材料とその材料を安定化される材料からある第1層と、ITO(indium tin oxi
de)、IZO(indium zinc oxide)、またはZnOのような酸化導電材料からなる
光透過性、導電性を備えた第2層とを含み、発光機能層側に第1層が設けられる構成であ
ってもよい。ITO、IZO、またはZnOのような酸化導電材料は緻密な素材であり
、ガス透過率が低い。このような材料で共通電極72を形成すれば、共通電極72が発光
領域Aおよび回路領域Bにわたって形成されているため、発光領域Aの単位回路Pおよび
回路領域Bの周辺回路が、後述する発光素子段差平坦化膜82で発生するガスまたは外気
から保護され、これらの劣化が抑制される。このように、共通電極72(第2電極)が上
記の第2層を含む構成であれば、第1層を構成する材料と比して光透過性、導電性が優れ
ているため、共通電極72の電源インピーダンスを大幅に低減することができるとともに
、発光機能層からの光取り出し効率を向上させることができる。また、共通電極72(第
2電極)が、仕事関数が低い材料とその材料を安定化される材料からある第1層と、上記
の酸化導電材料からなる第2層とを含んで構成することにより、第1層と第2層が反応し
、電子注入効率が劣化するのを防止することができる。
【0036】
また、共通電極72を形成するに先立って、隔壁37にはコンタクトホールCHが形成
される。このコンタクトホールCHを介して発光領域37において補助配線の第1部分1
50aと共通電極72が接続される。発光領域Aにおいて格子状に形成される補助配線の
第1部分150a(図1(B)参照)に共通電極72が接続されることにより、共通電極
72の電源インピーダンスを大幅に低減することができる。これに加えて、補助配線の第
2部分150bは、回路領域Bにおいて隔壁37により覆われていないため共通電極72
と広い面積で面接触するので、接続抵抗を下げることができる。したがって、電源インピ
ーダンスを大幅に低減することが可能となる。
【0037】
次に、共通電極72を覆うように電極保護膜80が形成される。電極保護膜80は、回
路保護膜34と同様に、例えば、窒化珪素や酸窒化珪素などのガス透過率が低い無機材料
から形成されている。また、これらの窒化珪素や酸窒化珪素は、非晶質材料であってもよ
いし、水素を含んでいても良い。さらに、電極保護膜80を覆うように発光素子段差平坦
化膜82が形成される。発光素子段差平坦化膜82は、電極保護膜80に対向する面の凹
凸よりも、電極保護膜80と反対側にある面の凹凸が小さくなるように形成された層、つ
まりコンタクトホールCH、隔壁37およびOLED素子70で生じた段差を平坦化する
膜である。回路段差平坦化膜35と同様に、酸化珪素等の無機材料から蒸着により発光素
子段差平坦化膜82を形成し、エッチング等によりその上面を平坦化してもよいが、回路
段差平坦化膜35に関して述べたのと同じ理由から、例えばウレタン、アクリル、エポキ
シ、またはシアノアクリレート等の有機化合物で発光素子段差平坦化膜82を形成するこ
とが好ましい。また、隔壁37が温度により伸縮しても、後述するガスバリア層84が割
れないように、隔壁37と類似の熱膨張係数を有する有機化合物で発光素子段差平坦化膜
82を形成することが好ましい。発光素子段差平坦化膜82として有機化合物を用いる場
合には、硬化する際や硬化後において第2平坦化膜82により発生するガスまたは不純物
が下層に浸透する可能性があるが、電極保護膜80によってこれを防止し、OLED素子
70の寿命を低下させないようにすることができる。
【0038】
くわえて、発光素子段差平坦化膜82を覆うようにガスバリア層84を形成する。ガス
バリア層84の材料には、例えば窒化珪素や酸窒化珪素などのガス透過率が低い無機材料
から形成されている。また、これらの窒化珪素や酸窒化珪素は、非晶質材料であってもよ
いし、水素を含んでいても良い。ガスバリア層84は、高密度プラズマ気相成長法によっ
て、高密度で硬度の大きい薄膜として形成される。ガスバリア層84によって、外気や水
分が発光装置1の内部に浸入することが防がれる。
【0039】
発光装置1の製造工程の概略は、以下の通りである。第1に、基板30の上にトランジ
スタ40、50、および60等を形成し、その上から回路段差平坦化膜35を形成する。
第2に、回路段差平坦化膜35の上層の同一の層に補助配線150と画素電極76を同一
の材料で同時に形成する。図1(B)は、この工程が終了した状態を示している。回路領
域Bにおいて、補助配線の第2部分150bは、光の射出面とトランジスタ40および5
0(周辺回路)との間にこれらを覆うように、画素電極76が形成される特定の層と同一
の層で形成され、発光領域Aにおいて、補助配線の第1部分150aは、画素電極76に
接触しないように格子状に形成される。この後、補助配線150および画素電極76の上
層に隔壁37を形成し、隔壁37で画定された画素電極76上の空間に発光機能層74を
形成する。さらに、透明な共通電極72を発光領域Aおよび回路領域Bにわたって形成す
る。この後、電極保護膜80、発光素子段差平坦化膜82およびバリア層84を形成する

【0040】
この製造方法によれば、発光領域Aを構成する複数の層のうち特定の層を形成するのと
同時に回路領域Bに遮光性を有する層を形成することができるので、回路領域Bに遮光性
を確保するために特別な工程を必要としない。したがって、発光装置1の製造工程を簡易
なものにすることができる。
【0041】
図5は、本発明の第1実施形態の変形例に係る発光装置の構成の一部を示す概略平面図
であって、図1(A)と同様の状態を示す図である。この変形例では、第2電極用電源線
140は図1(A)と異なり、コの字状ではなく、短い矩形に形成されている。上述と同
様に、図5の状態の後に、補助配線150および画素電極76がさらに形成されて、図1
(B)と全く同一の状態になる。補助配線150は回路領域Bを広く覆っており、回路領
域Bにおいて第2電極用電源線140に接続される。従って、第2電極用電源線140は
図1(A)のようにコの字状に長く形成する必要はなく、この変形例のように短い矩形に
形成しても問題はない。この変形例では、第2電極用電源線140を形成する面積を節約
することができる。
【0042】
<2.第2実施形態>
上述した第1実施形態においては、補助配線150を発光領域Aに形成されるOLED
素子70の構成要素である画素電極76と同時に形成した。これに対して、第2実施形態
は、OLED素子70の形成とは、独立して補助配線150を形成する。
【0043】
図6に第2実施形態に係る発光装置2の断面図を示す。この図に示すように、補助配線
150は共通電極72の上に面接触するように形成され、補助配線150および共通電極
72を覆うように電極保護膜80が形成される。逆に、補助配線150を共通電極72の
下に面接触するように形成してもよい。
補助配線150は共通電極72の上に面接触するように形成されるのであれば、共通電
極72を形成する際に、補助配線150の段差や補助配線150の応力により共通電極7
2が断線する虞がない。一方、補助配線150を共通電極72の下に面接触するように形
成する場合には、発光機能層74を形成する前に、隔壁37上に形成することができる。
この場合には、発光機能層74が形成されていないため、フォトリソグラフィなどにより
補助配線150のパターンを形成することができ、トランジスタ40、50、60や走査
線111などの配線と同様の精度で補助配線150を形成することができる。
【0044】
補助配線150の材料は、第1実施形態と同様であり、遮光性と導電性を有する。そし
て、補助配線150は、回路領域Bにおいて共通電極72と面で接触するので、接続抵抗
を下げることができる。したがって、電源インピーダンスを大幅に低減することが可能と
なる。また、補助配線150は発光領域AにおいてOLED素子70が形成されない領域
に配置される。例えば、補助配線150は隔壁37の上に形成される。したがって、第1
実施形態のように発光領域Aにおいて、コンタクトホールCHを形成して共通電極72と
補助配線150とを接続する必要がない。コンタクトホールCHを形成する場合には、コ
ンタクトホールCHの内面に共通電極72および電極保護膜80を形成する必要があるの
で、構造が複雑となり信頼性が低下する。これに対して、第2実施形態では、補助配線1
50を隔壁37の上に形成したので、構造を簡素化し信頼性を向上させることができる。
【0045】
また、この実施形態においては、共通電極72の端部において補助配線150が共通電
極72の外に突出しており、さらに外側を電極保護膜80が覆っている。このように形成
することによって、パネル10の端部から入り込む水分や空気が共通電極72の面に沿っ
て発光機能層74に到達することを抑制することができる。この実施の形態では、画素電
極76は不透明な反射性のものであるが、画素電極76を透明導電材料から形成して、デ
ュアルエミッションを実現してもよい。
【0046】
発光装置2の製造工程の概略は、以下の通りである。第1の実施の形態と同様に、回路
段差平坦化膜35を形成した後、回路段差平坦化膜35の上層に画素電極76を形成する
。この後、画素電極76の上層に隔壁37を形成し、隔壁37で画定された画素電極76
上の空間に発光機能層74を形成する。さらに、透明な共通電極72を発光領域Aおよび
回路領域Bにわたって形成する。この後、共通電極72の上に補助配線150を形成し、
電極保護膜80、発光素子段差平坦化膜82およびバリア層84を形成する。
【0047】
この製造方法によれば、発光領域Aを構成する複数の層のうち特定の層を形成するのと
同時に回路領域Bに遮光性を有する層を形成することができるので、回路領域Bに遮光性
を確保するために特別な工程を必要としない。したがって、発光装置1の製造工程を簡易
なものにすることができる。
【0048】
<3.第3実施形態>
図7(A)は、本発明の第3実施形態に係る発光装置3の構成の一部を示す概略平面図
であり、図7(B)は図7(A)の状態の後に共通電極72をさらに形成した状態を示す
平面図であり、図8は、図7(B)の状態の後に補助配線150をさらに形成した状態を
示す平面図である。上述した第1実施形態では、図1に示すように回路領域Bにおいて周
辺回路(走査線駆動回路100A、100B、プリチャージ回路120)の外側に第2電
極用電源線140を設けたが、第3実施形態では、第2電極用電源線140を周辺回路と
発光領域Aとの間に設けている。第2電極用電源線140と共通電極72は、図7(B)
に示すようにコンタクトホールCHで接続されている。
【0049】
図9は発光装置3の断面図を示す。同図に示すように、回路領域Bから発光領域Aに延
びる走査線111の少なくとも第2電極用電源線140と重なる部分は、第2電極用電源
線140とは異なる高さに配置されており、両者の間は第1層間絶縁層33で絶縁されて
いる。図示しないが、データ線112の少なくとも第2電極用電源線140と重なる部分
や電流給電線113の少なくとも第2電極用電源線140と重なる部分も同様である。走
査線111、データ線112、あるいは電流給電線113の少なくとも第2電極用電源線
140と重なる部分は、ゲート絶縁層32の上にゲート電極42、52、および62と同
一の材料から同時に形成される(図示しないが、他の実施形態でも同様である)。そして
、第1層間絶縁層33の上に第2電極用電源線140が形成される。
【0050】
発光装置3の製造方法の概略は第2実施形態とほぼ同じである。但し、隔壁37におけ
る第2電極用電源線140と重なる位置にコンタクトホールCHが形成される。隔壁37
で画定された画素電極76上の空間に発光機能層74が形成された後、共通電極72およ
び補助電極150が積層される。コンタクトホールCHには共通電極72および補助配線
150が入り、共通電極72が第2電極用電源線140と直接接続される。コンタクトホ
ールCHでは他の部分との段差が生じるために、これに伴い共通電極72に段差による断
線が生ずることがある。しかし、共通電極72にこのような段差による断線が生じたとし
ても、コンタクトホールCH内で補助配線150が共通電極72に電気的に接続されてい
るために、補助配線150によって第2電極用電源線140と共通電極72の電気的接続
が維持される。この実施の形態では、画素電極76は不透明な反射性のものであるが、画
素電極76を透明導電材料から形成して、デュアルエミッションを実現してもよい。
【0051】
<4.変形例>
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に述べる変形が
可能である。
上述した第1実施形態では、画素電極76と補助配線150を同一の層で形成した。こ
の場合、画素電極76は、発光層からの光を反射する反射層としての機能を有していたが
、反射層を画素電極76と別に設けてもよい。
図10に変形例に係る発光領域Aの断面図を示す。この例の陽極としての画素電極76
は、ITOやIZOなどの透明電極で構成される。反射層90は、例えば、アルミニウム
などの遮光性と導電性を併せ持つ材料によって、画素電極76の下層に設けられる。ここ
で、画素電極76と反射層90との間の距離Wは、このOLED素子70が光出射面より
取り出す所定波長の光を共振によって強めるように設定される。図示しないが、回路領域
Bにおいて反射層90と同一の層で設けられた層を射出面と周辺回路との間に周辺回路を
覆うように設けてもよい。射出面から入射する光は反射層によって遮光される。したがっ
て、周辺回路に含まれる半導体素子に光電流が発生して、周辺回路が誤動作することを抑
制できる。また、反射層90は、回路領域において補助電極150を構成してもよい。反
射層90と補助配線150を同一の材料で同時に形成することにより製造工程を簡略化す
ることができる。
【0052】
また、上述した各実施形態においては、共通電極72はOLED素子70の陰極であっ
たが、陽極であってもよい。
さらに、上述した各実施形態において、補助配線150および画素電極76を、遮光性
を有する金属材料、例えばアルミニウムの層と、透明酸化物導電材料、例えばITO、I
ZO、またはZnO等の層の2層で構成してもよい。このような透明酸化物導電材料は
ガス透過率が低いため、例えば、外気や硬化後の発光素子段差平坦化膜82で発生するガ
スや不純物から、周辺回路を保護することができる。
くわえて、上述した各実施形態において発光領域Aに補助配線150を格子状に配置し
たが、これを設けなくてもよい。
上述した各実施形態においては、すべてのOLED素子70の陰極として単一の共通電
極72が設けられているが、複数の共通電極を設けて、それぞれの共通電極が異なるOL
ED素子70の陰極となるように配置してもよい。
【0053】
<5.応用例>
次に、本発明に係る発光装置を適用した電子機器について説明する。図11は、上記実
施形態に係る発光装置1を表示装置に適用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構
成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、表示装置としての発光装置
1と本体部2010とを備える。本体部2010には、電源スイッチ2001およびキー
ボード2002が設けられている。この発光装置1(2,3)はOLED素子70を用い
るので、視野角が広く見易い画面を表示できる。
【0054】
図12に、上記実施形態に係る発光装置1を適用した携帯電話機を示す。携帯電話機3
000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002、ならびに表示装
置としての発光装置1(2,3)を備える。スクロールボタン3002を操作することに
よって、発光装置1(2,3)に表示される画面がスクロールされる。
【0055】
図13に、上記実施形態に係る発光装置1を適用した情報携帯端末(PDA:Personal
Digital Assistant)を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001お
よび電源スイッチ4002、ならびに表示装置としての発光装置1(2,3)を備える。
電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が発光
装置1に表示される。
【0056】
本発明に係る発光装置が適用される電子機器としては、図11から図13に示したもの
のほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ペー
ジャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ
電話、POS端末、電子写真方式を利用した画像印刷装置における像担持体に光を照射し
て潜像を形成するプリンタヘッドのような発光源、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオ
プレーヤ、タッチパネルを備えた機器等等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】(A)は本発明の第1実施形態に係る発光装置の構成の一部を示す概略平面図であり、(B)は(A)の状態の後に補助配線および画素電極をさらに形成した状態を示す平面図である。
【図2】同装置の画素回路の詳細を示す回路図である。
【図3】図1(B)の一部の拡大図である。
【図4】同装置の部分断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態の変形例に係る発光装置の構成の一部を示す概略平面図であって、図1(A)と同様の状態を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る発光装置2の部分断面図である。
【図7】(A)は本発明の第3実施形態に係る発光装置の構成の一部を示す概略平面図であり、(B)は(A)の状態の後に共通電極をさらに形成した状態を示す平面図である。
【図8】図7(B)の状態の後に補助配線をさらに形成した状態を示す平面図である。
【図9】同装置の部分断面図である。
【図10】変形例に係る発光装置の部分断面図である。
【図11】本発明に係る発光装置を有するパーソナルコンピュータの外観を示す斜視図である。
【図12】本発明に係る発光装置を有する携帯電話機の外観を示す斜視図である。
【図13】本発明に係る発光装置を有する携帯情報端末の外観を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0058】
1…発光装置、35…第2層間絶縁層、70…OLED素子(発光素子)、72…共通
電極(第2電極)、74…発光機能層、76…画素電極(第1電極)、90…反射層、1
00A,100B…走査線駆動回路(周辺回路)、111…走査線、112…データ線、
113…電源供給線、120…プリチャージ回路(周辺回路)、140…第2電極用電源
線、150…補助配線、A…発光領域、B…回路領域、P…単位回路(画素回路)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と第2電極との間に挟まれた発光層を有する発光素子を有する画素回路が複数
形成された発光領域と、前記発光領域の外側に位置し、半導体素子を含む周辺回路が形成
された回路領域を備え、射出面から光を射出する発光装置であって、
前記複数の発光素子の第2電極は複数の画素回路に共通に設けられた共通電極であって
、前記発光層からの光を透過可能であり、
前記発光領域は、遮光性を有する特定の層および前記共通電極を含む複数の層を備え、
前記回路領域は、前記射出面と前記周辺回路との間に前記周辺回路を覆うように形成さ
れた前記特定の層と同一の層を備えたことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記回路領域に形成される前記特定の層と同一の層は、前記共通電極と電気的に接続さ
れ、遮光性を有する導電性材料で形成された配線であることを特徴とする請求項1に記載
の発光装置。
【請求項3】
第1電極と第2電極との間に挟まれた発光層を有する発光素子を有する画素回路が複数
形成された発光領域と、前記発光領域の外側に位置し、半導体素子を含む周辺回路が形成
された回路領域を備え、射出面から光を射出する発光装置であって、
前記複数の発光素子の第2電極は複数の画素回路に共通に設けられた共通電極であって
、前記発光層からの光を透過可能であり、
前記回路領域には、前記共通電極と電気的に接続され遮光性を有する配線が、前記射出
面と前記周辺回路との間に前記周辺回路を覆うように形成されることを特徴とする発光装
置。
【請求項4】
前記共通電極は、前記発光領域および前記回路領域にわたって形成されているとともに
、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、またはZnO
ら形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発光装
置。
【請求項5】
前記配線は、ITO、IZO、またはZnOから形成された層と、遮光性を有する導
電性材料から形成された層を有することを特徴とする請求項2または3に記載の発光装置

【請求項6】
前記発光領域において前記複数の発光素子の各々が形成される部分の間に、前記回路領
域から前記配線が延びており、前記発光領域において前記共通電極と前記配線が接続され
ていることを特徴とする請求項2から請求項5のうちいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載の発光装置を備えた電子機器。
【請求項8】
第1電極と第2電極との間に挟まれた発光層を有する発光素子を有する画素回路が複数
形成された発光領域と、前記発光領域の外側に位置し、半導体素子を含む周辺回路が形成
された周辺回路領域を備え、射出面から光を射出する発光装置の製造方法であって、
遮光性を有する特定の層を含む複数の層を積層して前記発光領域を形成し、
前記回路領域において、前記射出面と前記周辺回路との間に前記周辺回路を覆うように
前記特定の層と同一の層を形成し、
前記発光領域の形成では、前記発光層からの光を透過可能な材料から、前記複数の発光
素子の第2電極として、複数の画素回路に共通の共通電極を形成することを特徴とする発
光装置の製造方法。
【請求項9】
前記発光領域における特定の層は、前記第1電極を形成する層であり、
前記回路領域に形成される前記特定の層と同一の層は、前記第1電極と同一の材料で同
時に形成されることを特徴とする請求項8に記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記発光素子は、前記発光層からの光を前記射出面に向けて反射する反射層を備え、
前記発光領域における特定の層は前記反射層であり、
前記回路領域に形成される前記特定の層と同一の層は、前記反射層と同一の材料で同時
に形成されることを特徴とする請求項8に記載の発光装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−147814(P2007−147814A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−339783(P2005−339783)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】