発光装置および照明ユニット
【課題】発光装置の光出力を改善すること。
【解決手段】発光装置10は、発光素子および発光部材200を有している。発光素子は、第1次光を放射する。発光部材200は、第1次光に応じて第2次光を放射する。発光部材200は、第1蛍光材料、第2蛍光材料および第3蛍光材料を含んでいる。第1蛍光材料は、(Ba,Sr)2SiO4:Euの組成式で表される。第2蛍光材料は、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Euまたは(Sr,Ba,Ca)10(PO4)6Cl2:Euの組成式で表される。第3蛍光材料は、(CaEu)AlSiN3の組成式で表される。
【解決手段】発光装置10は、発光素子および発光部材200を有している。発光素子は、第1次光を放射する。発光部材200は、第1次光に応じて第2次光を放射する。発光部材200は、第1蛍光材料、第2蛍光材料および第3蛍光材料を含んでいる。第1蛍光材料は、(Ba,Sr)2SiO4:Euの組成式で表される。第2蛍光材料は、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Euまたは(Sr,Ba,Ca)10(PO4)6Cl2:Euの組成式で表される。第3蛍光材料は、(CaEu)AlSiN3の組成式で表される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば発光ダイオード素子などの光源を有する発光装置および照明ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば照明分野などにおいて、発光ダイオード素子などの光源を有する発光装置の開発が進められている。光源は、駆動電力によって活性化されて、第1次光を放射する。発光装置は、蛍光材料を含んでいる。光源から放射された第1次光は、蛍光材料によって吸収される。蛍光材料は、第1次光の吸収に応じて、第2次光を放射する。発光装置の開発において、発光特性のさらなる向上が求められている。
【特許文献1】特開2007−142280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
改善が求められている発光特性には、光出力が含まれている。光出力を向上させるためには、光源に供給される電流の値と蛍光材料から放射される光束との関係について改善される必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一つの態様によれば、発光装置は、発光素子および発光部材を有している。発光素子は、第1次光を放射する。発光部材は、第1次光に応じて第2次光を放射する。発光部材は、第1蛍光材料、第2蛍光材料および第3蛍光材料を含んでいる。第1蛍光材料は、(Ba,Sr)2SiO4:Euの組成式で表される。第2蛍光材料は、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Euまたは(Sr,Ba,Ca)10(PO4)6Cl2:Euの組成式で表される。第3蛍光材料は、(CaEu)AlSiN3の組成式で表される。
【発明の効果】
【0005】
本発明の一つの態様によれば、発光装置は、発光素子および発光部材を有している。発光部材は、第1蛍光材料、第2蛍光材料および第3蛍光材料を含んでいる。第1蛍光材料は、(Ba,Sr)2SiO4:Euの組成式で表される。第2蛍光材料は、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Euまたは(Sr,Ba,Ca)10(PO4)6Cl2:Euの組成式で表される。第3蛍光材料は、(CaEu)AlSiN3の組成式で表される。発光装置は、このような構成により、光出力に関して向上されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の発光装置10における一つの実施形態の発光方式が、図1を参照して説明されている。この実施形態において、発光装置10は、光源100および発光部材200を含んでいる。光源100は、第1次光を放射する。発光部材200は、第1次光に応じて第2次光を放射する。一つの実施形態における発光装置10は、多色性白色光を放射する。“多色性白色光”とは、3色以上の混合光を含んでいる白色光のことをいう。発光装置10において、第2次光が、多色性白色光である。
【0007】
光源100の例は、半導体発光素子である。半導体発光素子の例は、発光ダイオード(LED)素子である。図2Aおよび2Bに示されているように、第1次光は、395nmから410nmまでの範囲に含まれるピーク発光波長を含む波長スペクトルを有している。
【0008】
ピーク発光波長の下限が395nmであることにより、光源100から放射される紫外領域の光の量が低減されている。ピーク発光波長の上限が410nmであることにより、光源100から放射される可視領域の光の量が低減されている。
【0009】
図2Aおよび2Bにおいて、横軸は波長(単位は、ナノメートル)を示している。縦軸は、相対強度を示している。図2Aに示されているように、第1次光の一つの例100aにおいて、ピーク発光波長は395nmである。図2Bに示されているように、第1次光の他の例100bにおいて、ピーク発光波長は410nmである。
【0010】
標準分光比視感度V[λ]が、図2Aおよび2Bに示されている。標準分光比視感度は、1924年に国際照明委員会(CIE)によって定められたものである。標準分光比視感度は、波長による人間の目の感覚を示している。上限値である410nmのピーク発光波長を有する例100bは、人間の目ではほとんど感じることができない。さらに、下限値である395nmのピーク波長を有する例100は、人間の目ではほとんど感じることができない。例100aおよび100bの波長スペクトルは、標準分光比視感度にほとんど重なっていない。従って、仮に、光源100の特性ばらつきがあったとしても、発光装置10の出力光における発光色に関する影響は、低減されている。光源100の特性ばらつきとは、複数の光源100を製造した場合において、複数の光源100のうちのある2つの光源100の間に生じる特性に関する差のことをいう。特性は、発光波長に関するものである。
【0011】
第1次光の波長スペクトルは、388nmから416nmまでの範囲に含まれる半値発光波長を有している。“半値発光波長”とは、波長スペクトルにおいてピーク値の2分の1の値となる波長のことをいう。例100aの波長スペクトルにおいて、半値発光波長は、388nmおよび401nmである。例100bの波長スペクトルにおいて、半値発光波長は、403nmおよび416nmである。半値発光波長が388nmから416nmまでの範囲に含まれていることにより、波長スペクトルにおける裾部分の広がりが低減されている。
【0012】
発光部材200は、マトリクス材料201および蛍光材料202を有している。マトリクス材料201は透光性を有している。マトリクス材料201の“透光性”とは、光源100から放射された第1次光の波長の少なくとも一部が透過できることをいう。マトリクス材料の例は樹脂である。樹脂の例はシリコーンである。
【0013】
蛍光材料202は、マトリクス材料201の中に含有されている。蛍光材料202は、第1蛍光材料、第2蛍光材料および第3蛍光材料を含んでいる。第1蛍光材料は、複数の第1蛍光粒子202aを含んでいる。第2蛍光材料は、複数の第2蛍光粒子202bを含んでいる。第3蛍光材料は、複数の第3蛍光粒子202cを含んでいる。
【0014】
第1蛍光材料は、緑色領域の波長を含む光を放射する。図3Aおよび3Bに示されているように、第1蛍光材料は、光源100から放射された第1次光によって励起されることに適している。従って、第1蛍光材料は、光源100から放射された第1次光を白色光に変換する上で、理想的な特性を有している。
【0015】
図3Aおよび3Bにおいて、横軸は波長(単位は、ナノメートル)を示している。縦軸は、相対強度を示している。第1蛍光材料は、395nmから410nmの範囲に含まれる光によって励起されることに適している。第1蛍光材料の例は、(Ba,Sr)2SiO4:Euの組成式で表される。
【0016】
第2蛍光材料は、青色領域の波長を含む光を放射する。図4Aおよび4Bに示されているように、第2蛍光材料は、光源100から放射された第1次光によって励起されることに適している。従って、第2蛍光材料は、光源100から放射された第1次光を白色光に変換する上で、理想的な特性を有している。
【0017】
図4Aおよび4Bにおいて、横軸は波長(単位は、ナノメートル)を示している。縦軸は、相対強度を示している。第2蛍光材料は、395nmから410nmの範囲に含まれる光によって励起されることに適している。第2蛍光材料の一つの例は、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Euの組成式で表される。第2蛍光材料の他の例は、(Sr,Ba,Ca)10(PO4)6Cl2:Euの組成式で表される。
【0018】
第3蛍光材料は、赤色領域の波長を含む光を放射する。図5Aおよび5Bに示されているように、第3蛍光材料は、光源100から放射された第1次光によって励起されることに適している。従って、第3蛍光材料は、光源100から放射された第1次光を白色光に変換する上で、理想的な特性を有している。
【0019】
図5Aおよび5Bにおいて、横軸は波長(単位は、ナノメートル)を示している。縦軸は、相対強度を示している。第3蛍光材料は、395nmから410nmの範囲に含まれる光によって励起されることに適している。第3の蛍光材料の例は、(CaEu)AlSiN3の組成式で表される。
【0020】
図6に示されているように、発光装置10は、標準分光比視感度V[λ]との関係において、効果的な多色性白色光を放射する。図6において、横軸は、波長(単位は、ナノメートル)を示している。縦軸は、相対強度を示している。発光装置10の多色性白色光は、緑色光、青色光および赤色光を含んでいる。緑色光は、第1蛍光材料から放射される。青色光は、第2蛍光材料から放射される。赤色光は、第3蛍光材料から放射される。多色性白色光において、395nmから410nmの範囲に含まれるピーク発光波長を有する第1次光は、発光色に関してほとんど影響を与えない。従って、発光装置10は、発光色に関して改善されている。
【0021】
これまで説明された第1−第3蛍光材料および光源100を含む発光装置10の光束が、図7に示されている。図7において、横軸は、光源100に供給される電流値(単位は、ミリアンペア)を示している。左側の縦軸は、光源100の放射束(単位は、ミリワット)を示している。右側の縦軸は、発光装置10の光束(単位は、ルーメン)を示している。光源10の放射束が、グラフSによって示されている。光源100に関して、供給される電流値が増加するに伴って、放射束が増加している。
【0022】
本発明の発光装置10の一つの実施形態における光束が、グラフAによって示されている。発光装置10に関して、光源100に供給される電流値が480mAまで、光源100に供給される電流値が増加するに伴って、光束が増加している。比較例の発光装置の光束がグラフBによって示されている。比較例の発光装置に関して、光源100に供給される電流値が300mAを超えることによって、光束が減少している。発光装置10は、比較例に比べて、光出力の観点において改善されている。
【0023】
以下、これまで説明された光源100および蛍光材料が用いられた照明ユニット1および発光装置10が説明されている。本発明の照明ユニット1の一つの実施形態は、図8に示されているように、プレート部材11、照明モジュール12および反射部材14を有している。照明ユニット1は、カバー部材15をさらに有している。その一つの実施形態において、照明ユニット1は、多色性白色光を放射する。
【0024】
照明モジュール12は、プレート部材11の上に設けられている。照明モジュール12は、プリント基板13および複数の発光装置10を有している。複数の発光装置10は、プリント基板13に実装されている。発光装置10の例は、表面実装型の発光ランプである。反射部材14は、プレート部材11の上に設けられており、複数の発光装置10を囲んでいる。カバー部材15は、反射部材14の上に設けられており、透光性を有している。カバー部材15の“透光性”とは、複数の発光装置10から放射された光の少なくとも一部の波長が透過できることをいう。
【0025】
図9−11に示されているように、発光装置10の一つの例は、光源100および発光部材200を含んでいる。発光装置10は、基体300、フレーム部材400および封入層500をさらに含んでいる。発光装置10は、多色性白色光を放射する。
【0026】
光源100の例は、発光ダイオード(LED)素子である。以下、この実施形態において、光源100は、LED素子100として示されている。LED素子100は、第1次光を放射する。第1次光は、395nmから410nmまでの範囲に含まれるピーク発光波長を含む波長スペクトルを有している。ピーク発光波長の上限が410nmであることにより、仮に、LED素子100の特性ばらつきがあったとしても、発光装置10の出力光における発光色に関する影響は、低減されている。ピーク発光波長の下限が395nmであることにより、LED素子100から放射される紫外領域の光の量が低減されている。発光装置10は、例えば発光部材200または封入層500における紫外領域の光による劣化に関して改善されている。従って、発光装置10は、使用期間における光出力の低下に関して改善されている。LED素子100は、図1に示された光源100の波長スペクトルを有する第1次光を放射する。
【0027】
発光部材200は、LED素子100の上方に配置されており、LED素子100を覆っている。発光部材200は、フレーム部材400に固定されている。発光部材200および封入層500の間に、空隙600が存在する。
【0028】
図11に示されているように、発光部材200は、マトリクス材料201および蛍光材料202を含んでいる。発光部材200の内部構造が、点線による円の内側に、模式的に示されている。蛍光材料202は、第1蛍光材料、第2蛍光材料および第3蛍光材料を含んでいる。第1蛍光材料は、複数の第1蛍光粒子202aを含んでいる。第2蛍光材料は、複数の第2蛍光粒子202bを含んでいる。第3蛍光材料は、複数の第3蛍光粒子202cを含んでいる。複数の蛍光粒子202a−202cは、図1を参照して説明されたものである。
【0029】
基体300は、LED素子100に電気的に接続された導体パターン301を含んでいる。基体300の主な部分は絶縁材料からなる。絶縁材料の例は、セラミックスである。フレーム部材400は、基体300上に設けられており、LED素子100を囲んでいる。フレーム部材400の材料の一つの例は、絶縁材料である。絶縁材料の例は、セラミックスである。フレーム部材400の材料の他の例は、金属材料である。
【0030】
封入層500は、LED素子100の上端および側面を囲んでおり、LED素子100の上端および側面に付着されている。封入層500は、基体300の上に設けられており、フレーム部材400の内側に位置する。封入層500は、透光性を有する絶縁材料からなる。封入層500の“透光性”とは、LED素子100から放射された第1次光の少なくとも一部の波長が透過できることをいう。特に、封入層500は、343nmから443nmまでの範囲に含まれる光が透過できることが好ましい。さらに、封入層500は、388nmから416nmまでの範囲に含まれる光が透過できることが好ましい。さらに、封入層500は、395nmから410nmまでの範囲に含まれる光が透過できることが好ましい。
【0031】
作動の際には、LED素子100に電力が供給され、LED素子100が活性化される。LED素子100が活性化されると、LED素子100は、第1次光を放射する。放射された第1次光の少なくとも一部は、発光部材200内の蛍光材料202によって吸収される。蛍光材料202は、第1次光の吸収に応じて、第2次光を放射する。第2次光は、複数種類の蛍光材料から放射される3色の光を含んでいる。従って、発光装置10の出力光は、3色の光を含む混合光である。発光装置10は、多色性白色を放射する。
【0032】
本発明の発光装置10の他の実施形態が、図12および13を参照して説明されている。他の実施形態の発光装置10は、光源100、発光部材200および基体300を含んでいる。光源100および基体300は、図9−11を参照して説明された構成と同様である。
【0033】
発光部材200は、基体300上に設けられている。発光部材200は、光源100の上端および側面を囲んでおり、光源100の上端および側面に付着されている。発光部材200は、マトリクス材料201および蛍光材料202を含んでいる。蛍光材料202は、第1蛍光材料、第2蛍光材料および第3蛍光材料を含んでいる。図13において、点線の円の内側に模式的に示されているように、第1蛍光材料は、複数の第1蛍光材料202aを含んでいる。第2蛍光材料は、複数の第2蛍光粒子202bを含んでいる。第3蛍光材料は、複数の第3蛍光粒子を含んでいる。複数の蛍光粒子202a−202cは、図1を参照して説明されたものである。
【0034】
作動の際には、LED素子100に電力が供給され、LED素子100が活性化される。LED素子100が活性化されると、LED素子100は、第1次光を放射する。放射された第1次光の少なくとも一部は、発光部材200内の蛍光材料202によって吸収される。蛍光材料202は、第1次光の吸収に応じて、第2次光を放射する。第2次光は、複数種類の蛍光材料から放射される3色の光を含んでいる。従って、発光装置10の出力光は、3色の光を含む混合光である。発光装置10は、多色性白色を放射する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の発光装置10における一つの実施形態の概要を示している。
【図2A】第1次光の波長スペクトルの一つの例100aを示している。
【図2B】第1次光の波長スペクトルの他の例100bを示している。
【図3A】例100aの波長スペクトルおよび第1蛍光材料の励起スペクトルの関係を示している。
【図3B】他の例100bの波長スペクトルおよび第1蛍光材料の励起スペクトルの関係を示している。
【図4A】例100aの波長スペクトルおよび第2蛍光材料の励起スペクトルの関係を示している。
【図4B】他の例100bの波長スペクトルおよび第2蛍光材料の励起スペクトルの関係を示している。
【図5A】例100aの波長スペクトルおよび第3蛍光材料の励起スペクトルの関係を示している。
【図5B】他の例100bの波長スペクトルおよび第3蛍光材料の励起スペクトルの関係を示している。
【図6】第1−第3蛍光材料の波長スペクトルを示している。
【図7】発光装置10の光束を示している。
【図8】本発明の照明ユニット1の一つの実施形態を示している。
【図9】図8に示された発光装置10を示している。
【図10】図9に示された発光装置10の内部を示している。
【図11】図9に示された発光装置10の断面を示している。
【図12】本発明の発光装置10の他の実施形態を示している。
【図13】図12に示された発光装置10の断面を示している。
【符号の説明】
【0036】
10 発光装置
100 光源
200 発光部材
201 マトリクス材料
202 蛍光材料
202a 第1蛍光粒子
202b 第2蛍光粒子
202c 第3蛍光粒子
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば発光ダイオード素子などの光源を有する発光装置および照明ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば照明分野などにおいて、発光ダイオード素子などの光源を有する発光装置の開発が進められている。光源は、駆動電力によって活性化されて、第1次光を放射する。発光装置は、蛍光材料を含んでいる。光源から放射された第1次光は、蛍光材料によって吸収される。蛍光材料は、第1次光の吸収に応じて、第2次光を放射する。発光装置の開発において、発光特性のさらなる向上が求められている。
【特許文献1】特開2007−142280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
改善が求められている発光特性には、光出力が含まれている。光出力を向上させるためには、光源に供給される電流の値と蛍光材料から放射される光束との関係について改善される必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一つの態様によれば、発光装置は、発光素子および発光部材を有している。発光素子は、第1次光を放射する。発光部材は、第1次光に応じて第2次光を放射する。発光部材は、第1蛍光材料、第2蛍光材料および第3蛍光材料を含んでいる。第1蛍光材料は、(Ba,Sr)2SiO4:Euの組成式で表される。第2蛍光材料は、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Euまたは(Sr,Ba,Ca)10(PO4)6Cl2:Euの組成式で表される。第3蛍光材料は、(CaEu)AlSiN3の組成式で表される。
【発明の効果】
【0005】
本発明の一つの態様によれば、発光装置は、発光素子および発光部材を有している。発光部材は、第1蛍光材料、第2蛍光材料および第3蛍光材料を含んでいる。第1蛍光材料は、(Ba,Sr)2SiO4:Euの組成式で表される。第2蛍光材料は、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Euまたは(Sr,Ba,Ca)10(PO4)6Cl2:Euの組成式で表される。第3蛍光材料は、(CaEu)AlSiN3の組成式で表される。発光装置は、このような構成により、光出力に関して向上されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の発光装置10における一つの実施形態の発光方式が、図1を参照して説明されている。この実施形態において、発光装置10は、光源100および発光部材200を含んでいる。光源100は、第1次光を放射する。発光部材200は、第1次光に応じて第2次光を放射する。一つの実施形態における発光装置10は、多色性白色光を放射する。“多色性白色光”とは、3色以上の混合光を含んでいる白色光のことをいう。発光装置10において、第2次光が、多色性白色光である。
【0007】
光源100の例は、半導体発光素子である。半導体発光素子の例は、発光ダイオード(LED)素子である。図2Aおよび2Bに示されているように、第1次光は、395nmから410nmまでの範囲に含まれるピーク発光波長を含む波長スペクトルを有している。
【0008】
ピーク発光波長の下限が395nmであることにより、光源100から放射される紫外領域の光の量が低減されている。ピーク発光波長の上限が410nmであることにより、光源100から放射される可視領域の光の量が低減されている。
【0009】
図2Aおよび2Bにおいて、横軸は波長(単位は、ナノメートル)を示している。縦軸は、相対強度を示している。図2Aに示されているように、第1次光の一つの例100aにおいて、ピーク発光波長は395nmである。図2Bに示されているように、第1次光の他の例100bにおいて、ピーク発光波長は410nmである。
【0010】
標準分光比視感度V[λ]が、図2Aおよび2Bに示されている。標準分光比視感度は、1924年に国際照明委員会(CIE)によって定められたものである。標準分光比視感度は、波長による人間の目の感覚を示している。上限値である410nmのピーク発光波長を有する例100bは、人間の目ではほとんど感じることができない。さらに、下限値である395nmのピーク波長を有する例100は、人間の目ではほとんど感じることができない。例100aおよび100bの波長スペクトルは、標準分光比視感度にほとんど重なっていない。従って、仮に、光源100の特性ばらつきがあったとしても、発光装置10の出力光における発光色に関する影響は、低減されている。光源100の特性ばらつきとは、複数の光源100を製造した場合において、複数の光源100のうちのある2つの光源100の間に生じる特性に関する差のことをいう。特性は、発光波長に関するものである。
【0011】
第1次光の波長スペクトルは、388nmから416nmまでの範囲に含まれる半値発光波長を有している。“半値発光波長”とは、波長スペクトルにおいてピーク値の2分の1の値となる波長のことをいう。例100aの波長スペクトルにおいて、半値発光波長は、388nmおよび401nmである。例100bの波長スペクトルにおいて、半値発光波長は、403nmおよび416nmである。半値発光波長が388nmから416nmまでの範囲に含まれていることにより、波長スペクトルにおける裾部分の広がりが低減されている。
【0012】
発光部材200は、マトリクス材料201および蛍光材料202を有している。マトリクス材料201は透光性を有している。マトリクス材料201の“透光性”とは、光源100から放射された第1次光の波長の少なくとも一部が透過できることをいう。マトリクス材料の例は樹脂である。樹脂の例はシリコーンである。
【0013】
蛍光材料202は、マトリクス材料201の中に含有されている。蛍光材料202は、第1蛍光材料、第2蛍光材料および第3蛍光材料を含んでいる。第1蛍光材料は、複数の第1蛍光粒子202aを含んでいる。第2蛍光材料は、複数の第2蛍光粒子202bを含んでいる。第3蛍光材料は、複数の第3蛍光粒子202cを含んでいる。
【0014】
第1蛍光材料は、緑色領域の波長を含む光を放射する。図3Aおよび3Bに示されているように、第1蛍光材料は、光源100から放射された第1次光によって励起されることに適している。従って、第1蛍光材料は、光源100から放射された第1次光を白色光に変換する上で、理想的な特性を有している。
【0015】
図3Aおよび3Bにおいて、横軸は波長(単位は、ナノメートル)を示している。縦軸は、相対強度を示している。第1蛍光材料は、395nmから410nmの範囲に含まれる光によって励起されることに適している。第1蛍光材料の例は、(Ba,Sr)2SiO4:Euの組成式で表される。
【0016】
第2蛍光材料は、青色領域の波長を含む光を放射する。図4Aおよび4Bに示されているように、第2蛍光材料は、光源100から放射された第1次光によって励起されることに適している。従って、第2蛍光材料は、光源100から放射された第1次光を白色光に変換する上で、理想的な特性を有している。
【0017】
図4Aおよび4Bにおいて、横軸は波長(単位は、ナノメートル)を示している。縦軸は、相対強度を示している。第2蛍光材料は、395nmから410nmの範囲に含まれる光によって励起されることに適している。第2蛍光材料の一つの例は、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Euの組成式で表される。第2蛍光材料の他の例は、(Sr,Ba,Ca)10(PO4)6Cl2:Euの組成式で表される。
【0018】
第3蛍光材料は、赤色領域の波長を含む光を放射する。図5Aおよび5Bに示されているように、第3蛍光材料は、光源100から放射された第1次光によって励起されることに適している。従って、第3蛍光材料は、光源100から放射された第1次光を白色光に変換する上で、理想的な特性を有している。
【0019】
図5Aおよび5Bにおいて、横軸は波長(単位は、ナノメートル)を示している。縦軸は、相対強度を示している。第3蛍光材料は、395nmから410nmの範囲に含まれる光によって励起されることに適している。第3の蛍光材料の例は、(CaEu)AlSiN3の組成式で表される。
【0020】
図6に示されているように、発光装置10は、標準分光比視感度V[λ]との関係において、効果的な多色性白色光を放射する。図6において、横軸は、波長(単位は、ナノメートル)を示している。縦軸は、相対強度を示している。発光装置10の多色性白色光は、緑色光、青色光および赤色光を含んでいる。緑色光は、第1蛍光材料から放射される。青色光は、第2蛍光材料から放射される。赤色光は、第3蛍光材料から放射される。多色性白色光において、395nmから410nmの範囲に含まれるピーク発光波長を有する第1次光は、発光色に関してほとんど影響を与えない。従って、発光装置10は、発光色に関して改善されている。
【0021】
これまで説明された第1−第3蛍光材料および光源100を含む発光装置10の光束が、図7に示されている。図7において、横軸は、光源100に供給される電流値(単位は、ミリアンペア)を示している。左側の縦軸は、光源100の放射束(単位は、ミリワット)を示している。右側の縦軸は、発光装置10の光束(単位は、ルーメン)を示している。光源10の放射束が、グラフSによって示されている。光源100に関して、供給される電流値が増加するに伴って、放射束が増加している。
【0022】
本発明の発光装置10の一つの実施形態における光束が、グラフAによって示されている。発光装置10に関して、光源100に供給される電流値が480mAまで、光源100に供給される電流値が増加するに伴って、光束が増加している。比較例の発光装置の光束がグラフBによって示されている。比較例の発光装置に関して、光源100に供給される電流値が300mAを超えることによって、光束が減少している。発光装置10は、比較例に比べて、光出力の観点において改善されている。
【0023】
以下、これまで説明された光源100および蛍光材料が用いられた照明ユニット1および発光装置10が説明されている。本発明の照明ユニット1の一つの実施形態は、図8に示されているように、プレート部材11、照明モジュール12および反射部材14を有している。照明ユニット1は、カバー部材15をさらに有している。その一つの実施形態において、照明ユニット1は、多色性白色光を放射する。
【0024】
照明モジュール12は、プレート部材11の上に設けられている。照明モジュール12は、プリント基板13および複数の発光装置10を有している。複数の発光装置10は、プリント基板13に実装されている。発光装置10の例は、表面実装型の発光ランプである。反射部材14は、プレート部材11の上に設けられており、複数の発光装置10を囲んでいる。カバー部材15は、反射部材14の上に設けられており、透光性を有している。カバー部材15の“透光性”とは、複数の発光装置10から放射された光の少なくとも一部の波長が透過できることをいう。
【0025】
図9−11に示されているように、発光装置10の一つの例は、光源100および発光部材200を含んでいる。発光装置10は、基体300、フレーム部材400および封入層500をさらに含んでいる。発光装置10は、多色性白色光を放射する。
【0026】
光源100の例は、発光ダイオード(LED)素子である。以下、この実施形態において、光源100は、LED素子100として示されている。LED素子100は、第1次光を放射する。第1次光は、395nmから410nmまでの範囲に含まれるピーク発光波長を含む波長スペクトルを有している。ピーク発光波長の上限が410nmであることにより、仮に、LED素子100の特性ばらつきがあったとしても、発光装置10の出力光における発光色に関する影響は、低減されている。ピーク発光波長の下限が395nmであることにより、LED素子100から放射される紫外領域の光の量が低減されている。発光装置10は、例えば発光部材200または封入層500における紫外領域の光による劣化に関して改善されている。従って、発光装置10は、使用期間における光出力の低下に関して改善されている。LED素子100は、図1に示された光源100の波長スペクトルを有する第1次光を放射する。
【0027】
発光部材200は、LED素子100の上方に配置されており、LED素子100を覆っている。発光部材200は、フレーム部材400に固定されている。発光部材200および封入層500の間に、空隙600が存在する。
【0028】
図11に示されているように、発光部材200は、マトリクス材料201および蛍光材料202を含んでいる。発光部材200の内部構造が、点線による円の内側に、模式的に示されている。蛍光材料202は、第1蛍光材料、第2蛍光材料および第3蛍光材料を含んでいる。第1蛍光材料は、複数の第1蛍光粒子202aを含んでいる。第2蛍光材料は、複数の第2蛍光粒子202bを含んでいる。第3蛍光材料は、複数の第3蛍光粒子202cを含んでいる。複数の蛍光粒子202a−202cは、図1を参照して説明されたものである。
【0029】
基体300は、LED素子100に電気的に接続された導体パターン301を含んでいる。基体300の主な部分は絶縁材料からなる。絶縁材料の例は、セラミックスである。フレーム部材400は、基体300上に設けられており、LED素子100を囲んでいる。フレーム部材400の材料の一つの例は、絶縁材料である。絶縁材料の例は、セラミックスである。フレーム部材400の材料の他の例は、金属材料である。
【0030】
封入層500は、LED素子100の上端および側面を囲んでおり、LED素子100の上端および側面に付着されている。封入層500は、基体300の上に設けられており、フレーム部材400の内側に位置する。封入層500は、透光性を有する絶縁材料からなる。封入層500の“透光性”とは、LED素子100から放射された第1次光の少なくとも一部の波長が透過できることをいう。特に、封入層500は、343nmから443nmまでの範囲に含まれる光が透過できることが好ましい。さらに、封入層500は、388nmから416nmまでの範囲に含まれる光が透過できることが好ましい。さらに、封入層500は、395nmから410nmまでの範囲に含まれる光が透過できることが好ましい。
【0031】
作動の際には、LED素子100に電力が供給され、LED素子100が活性化される。LED素子100が活性化されると、LED素子100は、第1次光を放射する。放射された第1次光の少なくとも一部は、発光部材200内の蛍光材料202によって吸収される。蛍光材料202は、第1次光の吸収に応じて、第2次光を放射する。第2次光は、複数種類の蛍光材料から放射される3色の光を含んでいる。従って、発光装置10の出力光は、3色の光を含む混合光である。発光装置10は、多色性白色を放射する。
【0032】
本発明の発光装置10の他の実施形態が、図12および13を参照して説明されている。他の実施形態の発光装置10は、光源100、発光部材200および基体300を含んでいる。光源100および基体300は、図9−11を参照して説明された構成と同様である。
【0033】
発光部材200は、基体300上に設けられている。発光部材200は、光源100の上端および側面を囲んでおり、光源100の上端および側面に付着されている。発光部材200は、マトリクス材料201および蛍光材料202を含んでいる。蛍光材料202は、第1蛍光材料、第2蛍光材料および第3蛍光材料を含んでいる。図13において、点線の円の内側に模式的に示されているように、第1蛍光材料は、複数の第1蛍光材料202aを含んでいる。第2蛍光材料は、複数の第2蛍光粒子202bを含んでいる。第3蛍光材料は、複数の第3蛍光粒子を含んでいる。複数の蛍光粒子202a−202cは、図1を参照して説明されたものである。
【0034】
作動の際には、LED素子100に電力が供給され、LED素子100が活性化される。LED素子100が活性化されると、LED素子100は、第1次光を放射する。放射された第1次光の少なくとも一部は、発光部材200内の蛍光材料202によって吸収される。蛍光材料202は、第1次光の吸収に応じて、第2次光を放射する。第2次光は、複数種類の蛍光材料から放射される3色の光を含んでいる。従って、発光装置10の出力光は、3色の光を含む混合光である。発光装置10は、多色性白色を放射する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の発光装置10における一つの実施形態の概要を示している。
【図2A】第1次光の波長スペクトルの一つの例100aを示している。
【図2B】第1次光の波長スペクトルの他の例100bを示している。
【図3A】例100aの波長スペクトルおよび第1蛍光材料の励起スペクトルの関係を示している。
【図3B】他の例100bの波長スペクトルおよび第1蛍光材料の励起スペクトルの関係を示している。
【図4A】例100aの波長スペクトルおよび第2蛍光材料の励起スペクトルの関係を示している。
【図4B】他の例100bの波長スペクトルおよび第2蛍光材料の励起スペクトルの関係を示している。
【図5A】例100aの波長スペクトルおよび第3蛍光材料の励起スペクトルの関係を示している。
【図5B】他の例100bの波長スペクトルおよび第3蛍光材料の励起スペクトルの関係を示している。
【図6】第1−第3蛍光材料の波長スペクトルを示している。
【図7】発光装置10の光束を示している。
【図8】本発明の照明ユニット1の一つの実施形態を示している。
【図9】図8に示された発光装置10を示している。
【図10】図9に示された発光装置10の内部を示している。
【図11】図9に示された発光装置10の断面を示している。
【図12】本発明の発光装置10の他の実施形態を示している。
【図13】図12に示された発光装置10の断面を示している。
【符号の説明】
【0036】
10 発光装置
100 光源
200 発光部材
201 マトリクス材料
202 蛍光材料
202a 第1蛍光粒子
202b 第2蛍光粒子
202c 第3蛍光粒子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1次光を放射する発光素子と、
前記第1次光に応じて第2次光を放射するとともに、第1蛍光材料、第2蛍光材料および第3蛍光材料を含んでおり、前記第1蛍光材料が(Ba,Sr)2SiO4:Euの組成式で表され、前記第2蛍光材料が、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Euまたは(Sr,Ba,Ca)10(PO4)6Cl2:Euの組成式で表され、前記第3蛍光材料が、(CaEu)AlSiN3の組成式で表される、発光部材と、
を備えた発光装置。
【請求項2】
前記第1次光が、395nmから410nmまでの範囲に含まれるピーク発光波長を有していることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記発光素子が、発光ダイオード素子であることを特徴とする請求項2記載の発光装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発光装置と、
前記発光装置を囲んでいる反射部材と、
を備えた照明ユニット。
【請求項1】
第1次光を放射する発光素子と、
前記第1次光に応じて第2次光を放射するとともに、第1蛍光材料、第2蛍光材料および第3蛍光材料を含んでおり、前記第1蛍光材料が(Ba,Sr)2SiO4:Euの組成式で表され、前記第2蛍光材料が、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Euまたは(Sr,Ba,Ca)10(PO4)6Cl2:Euの組成式で表され、前記第3蛍光材料が、(CaEu)AlSiN3の組成式で表される、発光部材と、
を備えた発光装置。
【請求項2】
前記第1次光が、395nmから410nmまでの範囲に含まれるピーク発光波長を有していることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記発光素子が、発光ダイオード素子であることを特徴とする請求項2記載の発光装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発光装置と、
前記発光装置を囲んでいる反射部材と、
を備えた照明ユニット。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−10379(P2010−10379A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−167686(P2008−167686)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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