説明

発光装置および画像印刷装置

【課題】制御系統または制御方法を複雑にしなくても複数の発光素子の発光特性をでき
るだけ均等化することができる発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置10は、基板12上に配列された複数の発光素子14,15と、
基板12上に並べられ、発光素子14,15にそれぞれ電気的に接続され、対応する発光
素子14を発光させるための駆動信号を供給する複数の駆動配線31,33を備える。さ
らに発光装置10は、ダミー配線51,53を備える。ダミー配線51,53は、複数の
駆動配線31,33が並べられた列の外に配置されて、駆動配線31,33に対して並ぶ
ように基板12上に配置され、発光素子14,15の発光に寄与しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置およびこれを有する電子写真方式の画像印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に多数のエレクトロルミネッセント(EL)が設けられた発光装置が知られてい
る。EL素子は、電界により励起して自己発光する。また、多数のEL素子を配列したラ
インヘッドを露光手段すなわち潜像書き込み器として用いる電子写真方式の画像印刷装置
が開発されている(特許文献1)。つまり、このラインヘッドによって、例えば感光体ド
ラムなどの像担持体に光を照射し、像担持体の表面に潜像を形成することができる。潜像
には、トナーが付着して顕像を形成し、この顕像は例えば紙のシートのような他の物体に
転写される。
【0003】
【特許文献1】特開平4−348963号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような潜像書き込み器では、EL素子が配置された基板に、これらのEL素子を発
光させるための駆動信号を供給する複数の駆動配線が並べられている。駆動配線の各々お
よびこれに隣合う駆動配線の間には寄生容量が発生する。この寄生容量は、駆動配線を流
れる電流ひいてはEL素子の発光特性に影響する。駆動配線の列のうち、端にある駆動配
線は他の駆動配線による寄生容量から受ける影響が小さいのに対して、端にない駆動配線
は他の駆動配線による寄生容量の影響が大きい。従って、駆動配線の列のうち端にある駆
動配線に対応するEL素子は、他のEL素子と異なる発光特性を呈する。このことは、潜
像ひいては顕像においても、両端と他の部分では品質が異なるという不利益をもたらす。
【0005】
この欠点を抑制するために、両端のEL素子に駆動信号を与える時間と、他のEL素子
に駆動信号を与える時間を変えることが考えられるが、それでは制御系統または制御方法
が複雑になる。
【0006】
そこで、本発明は、制御系統または制御方法を複雑にしなくても複数の発光素子の発光
特性をできるだけ均等化することができる発光装置およびこれを有する画像印刷装置を提
供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る発光装置は、基板と、前記基板上に配列された複数の発光素子と、前記基
板上に並べられ、前記発光素子にそれぞれ電気的に接続され、対応する発光素子を発光さ
せるための駆動信号を供給する複数の駆動配線と、複数の前記駆動配線が並べられた列の
外に配置されて、前記駆動配線に対して並ぶように前記基板上に配置され、導電体から形
成され、前記発光素子の発光に寄与しないダミー配線とを備える。
【0008】
本発明によれば、発光素子の発光に寄与しないダミー配線が、駆動配線の列の外に配置
されて、駆動配線に対して並ぶように基板上に配置されているので、駆動配線の列のうち
、端にある駆動配線は他の駆動配線だけでなくダミー配線による寄生容量から影響を受け
、この影響は、端にない駆動配線が他の駆動配線による寄生容量から受ける影響と近似す
る。従って、制御系統または制御方法を複雑にしなくても、複数の発光素子、特に端にあ
る発光素子と他の発光素子の発光特性をできるだけ均等化することができる。
【0009】
前記駆動配線はほぼ等間隔で並べられ、前記ダミー配線はこれに最も近い駆動配線から
前記駆動配線同士の間隔とほぼ等しい間隔をおいて配置されていると好ましい。
駆動配線はほぼ等間隔で並べられているので、端にない一つの駆動配線がその隣の二つ
の駆動配線から受ける寄生容量の影響は、端にない他の一つの駆動配線がその隣の二つの
駆動配線から受ける寄生容量の影響と、ほぼ等しい。ダミー配線とこれに最も近い駆動配
線(つまり端にある駆動配線)の間隔を、駆動配線同士の間隔とほぼ等しくすることによ
り、端にある駆動配線がその隣の駆動配線とダミー配線から受ける寄生容量の影響は、端
にない一つの駆動配線がその隣の二つの駆動配線から受ける寄生容量の影響と、ほぼ等し
い。従って、さらに発光素子の発光特性を均等化することができる。
【0010】
さらに、前記発光素子と同じ構造を有し駆動信号が供給されないダミー素子が、複数の
前記発光素子が並べられた列の外に配置されて、前記発光素子に対して並ぶように前記基
板上に配置され、前記ダミー配線が前記ダミー素子に電気的に接続されていると好ましい

発光素子の各々およびこれに隣合う発光素子の間にも寄生容量が発生する。ダミー素子
がない場合には、発光素子の列のうち、端にある発光素子は他の発光素子による寄生容量
から受ける影響が小さいのに対して、端にない発光素子は他の発光素子による寄生容量の
影響が大きい。ダミー素子が、発光素子の列の外に配置されて、発光素子に対して並ぶよ
うに基板上に配置されることにより、発光素子の列のうち、端にある発光素子は他の発光
素子だけでなくダミー素子による寄生容量から影響を受け、この影響は、端にない発光素
子が他の発光素子による寄生容量から受ける影響と近似する。従って、さらに発光素子の
発光特性を均等化することができる。
【0011】
また、複数の前記駆動配線が並べられた列の外の少なくとも一方側に、導電体から形成
され、前記発光素子の発光に寄与しない複数のダミー配線が並べられていると好ましい。
駆動配線の列内で各駆動配線は最も近い他の駆動配線から最も大きな寄生容量の影響を
受けるが、さらに他の駆動配線からも寄生容量の影響を受ける。従って、ダミー配線がな
い場合には、端にある駆動配線と他の駆動配線では、受ける寄生容量の影響が異なる。駆
動配線の列の外の少なくとも一方側に、複数のダミー配線を配置することにより、ダミー
配線に最も近い端にある駆動配線と他の駆動配線の条件が近似し、さらに発光素子の発光
特性を均等化することができる。
【0012】
さらに、前記基板には、前記発光素子を駆動するための他の装置と電気的に接続される
複数の実装端子が配置され、複数の前記実装端子はそれぞれ複数の駆動配線に電気的に接
続されており、複数の前記実装端子は複数の群に分類され、これらの群は間隔をおいて互
いに離間しており、これらの群同士の間隔よりも小さいほぼ等しい間隔で各群内の実装端
子が並べられ、実装端子の群に対応する駆動配線の群の各々の外の両側の各々に、前記駆
動配線に対して並ぶように、導電体から形成され、前記発光素子の発光に寄与しないダミ
ー配線が前記基板上に配置されていると好ましい。
基板上に配置された複数の実装端子は、各群に分類され、これらの群は大きい間隔をお
いて互いに離間し、各群内では小さい間隔で実装端子が並べられている。実装端子の群に
対応する駆動配線の群の外の両側の各々に、ダミー配線が配置されることにより、各群の
端にある駆動配線と他の駆動配線の条件が近似し、発光素子の発光特性を均等化すること
ができる。
【0013】
本発明に係る画像印刷装置は、像担持体と、前記像担持体を帯電する帯電器と、複数の
前記発光素子が配列され、前記像担持体の帯電された面に複数の前記発光素子により光を
照射して潜像を形成する前記の発光装置と、前記潜像にトナーを付着させることにより前
記像担持体に顕像を形成する現像器と、前記像担持体から前記顕像を他の物体に転写する
転写器とを備える。つまり、本発明に係る画像印刷装置は、電子写真方式を利用したプリ
ンタ、または複写機もしくはファクシミリの画像印刷部分である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る様々な実施の形態を説明する。図面にお
いては、各部の寸法の比率は実際のものとは適宜に異ならせてある。
<第1の実施の形態>
【0015】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る発光装置10の概略を示す平面図である。図
1に例示された発光装置10は、電子写真方式を利用した画像印刷装置における像担持体
(例えば感光体ドラム)に静電潜像を書き込むためのライン型の光ヘッドとして用いられ
る。発光装置10は、複数の発光素子14,15が同一平面上に配列された基板12を備
える。
【0016】
この実施の形態で、発光素子14,15は有機EL素子または無機EL素子であり、各
発光素子14,15は印加された電圧に応じて発光する。発光素子14,15は、二列か
つ千鳥状のパターンで配列されている。具体的には、基板12上には、複数の発光素子1
4が並べられた第1の列と、複数の発光素子15が並べられた第2の列がある。但し、発
光素子14,15の配列パターンは図示の形態に限定されず、単列または三列以上でもよ
いし他の適切なパターンで配列されていてもよい。基板12の長手方向(図1の横方向)
が光ヘッドの主走査方向、図1の縦方向が副走査方向である。
【0017】
詳細な図示は省略するが、当業者に公知なように、発光素子14,15の各々は、陽極
、陰極16およびこれらに挟まれた発光機能層を有する。この実施の形態では、発光素子
14,15の各々が独立した画素電極として陽極を有しており、陰極16はすべての発光
素子14,15にわたって形成されて、すべての発光素子14,15に共通する共通電極
である(以下、陰極16を共通陰極16と呼ぶ)。図示しない陽極は基板12に近い層に
形成され、共通陰極16は基板12に遠い層に形成されている。つまり、図1の紙面垂直
方向の最も奥に基板12があり、それよりも手前に陽極があり、その手前に発光機能層が
あり、その手前に共通陰極16がある。
【0018】
図示しない発光機能層は少なくとも発光層を有する。発光層の材料は有機EL物質また
は無機EL物質である。有機EL物質は、低分子材料であってもよいし、高分子材料であ
ってもよい。発光素子14,15が有機EL素子の場合には、発光機能層は、発光層のほ
か、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、正孔ブロック層、および電子ブ
ロック層の一部又は全部を備えていてもよい。発光素子14,15が無機EL素子の場合
には、発光機能層は、発光層のほか、絶縁層を備えている。発光素子14,15の各々が
独立した発光機能層を有していてもよいし、発光素子14,15のすべてに共通する発光
機能層が形成されていてもよい。また、この発光装置10は、発光機能層からの光が基板
12を通じて外部に放出されるボトムエミッションタイプであってもよいし、発光機能層
からの光が基板12と反対側に放出されるトップエミッションタイプであってもよい。
【0019】
これらの発光素子14,15が有機EL素子である場合には、発光素子14,15は封
止体18によって覆われる。封止体18は基板12と協働して発光素子14,15を空気
または水分から保護する。封止の手法としては、公知の手法、例えば、缶封止、薄膜封止
のいずれであってもよい。
【0020】
基板12は矩形の薄板であり、その長い方の一方の端縁には、N個の端子群20A,2
0B,...20Nが形成され、長い方の他方の端縁には、N個の端子群22A,22B
,...22Nが形成されている。端子群20A,20B,...20Nの各々は複数の
(n個の)実装端子21を有する。つまり、多数の実装端子21は複数の端子群20A,
20B,...20Nに分類されている。数Nは数nと同じでもよいし違ってもよい。こ
れらの端子群20A,20B,...20Nは間隔をおいて互いに離間しており、ほぼ等
しい間隔で各端子群内のn個の実装端子21が平行に並べられている。隣り合う端子群2
0A,20B,...20N同士の間隔よりも、各端子群内の隣り合う実装端子21の間
隔は小さい。
【0021】
また、端子群22A,22B,...22Nの各々は複数の(n個の)実装端子23を
有する。つまり、多数の実装端子23は複数の端子群22A,22B,...22Nに分
類されている。これらの端子群22A,22B,...22Nは間隔をおいて互いに離間
しており、ほぼ等しい間隔で各端子群内のn個の実装端子23が平行に並べられている。
隣り合う端子群22A,22B,...22N同士の間隔よりも、各端子群内の隣り合う
実装端子23の間隔は小さい。実装端子21,23は、同じ導電材料から同厚、同形かつ
同大に形成され、基板12の長手方向に対して垂直に延びている。
【0022】
図2は、第1の実施の形態に係る発光装置10での配線群の詳細を示す平面図であり、
ここでは、共通陰極16および封止体18が形成されていない状態を示す。図2に示すよ
うに、端子群20A,20B,...20Nの実装端子21(21a〜21n)は、それ
ぞれ駆動配線31(31a〜31n)を介して発光素子14(14a〜14n)に電気的
に接続されている。端子群22A,22B,...22Nの実装端子23(23a〜23
n)は、それぞれ駆動配線33(33a〜33n)を介して発光素子15(15a〜15
n)に電気的に接続されている。添え字a〜nは、実装端子、駆動配線および発光素子の
対応を表す。駆動配線31,33は、発光素子14,15の陽極に接しており、実装端子
21,23は発光素子14,15に発光のための駆動信号としての高電位を供給する。
【0023】
実装端子21,23は、発光素子14,15を駆動するために、駆動信号を生成する駆
動回路(図示せず)と電気的に接続される。これらの駆動回路はIC(集積回路)として
形成されており、OLB(outer lead bonding)またはCOG(chip on glass)に
より実装端子21,23に電気的に接続される。
【0024】
他方、図1に示すように、発光素子14,15の共通陰極16は実装端子26,27に
接続されている。実装端子26,27は、発光素子14,15に低電位、例えばグラウン
ド電位を供給する。図示しない低電位供給配線が、OLBまたはCOGにより実装端子2
6,27に電気的に接続される。
【0025】
以下、端子群20A,20B,...20N,22A,22B,...22Nにそれぞ
れ対応する駆動配線の群を駆動配線群30A,30B,...30N,32A,32B,
...32Nと呼ぶ(図2参照)。端子群の各々は、n本の駆動配線31または33を有
する。これらの駆動配線31,33は、同じ導電材料から同厚かつ同幅に形成されている

【0026】
端子群20,22の各々の幅(その端子群内の実装端子21aと21nの間隔または実
装端子23aと23nの間隔)は、その端子群に対応する発光素子14aと14nの間隔
または発光素子15aと15nの間隔よりも小さい。このため、駆動配線群30の各々で
は、駆動配線31a〜31nの間隔は、実装端子21ひいては基板12の端縁に近いほど
小さく、発光素子14ひいては基板12の中央に近いほど大きい。駆動配線群32の各々
では、駆動配線33a〜33nの間隔は、実装端子23ひいては基板12の端縁に近いほ
ど小さく、発光素子15ひいては基板12の中央に近いほど大きい。より具体的には、駆
動配線31,33の各々は、発光素子14または15側にある真っ直ぐな平行部分と、実
装端子21,23側にある真っ直ぐな間隔変化部分を有する。これらの駆動配線31また
は33の平行部分は、互いに平行かつ基板12の長手方向に対して垂直に延び、隣り合う
平行部分同士の間隔は一様である。他方、駆動配線31または33の間隔変化部分の間隔
は、実装端子21,23に近いほど小さく、発光素子14,15に近いほど大きい。駆動
配線群30,32の各々においては、中央の駆動配線の間隔変化部分は、実装端子21,
23と同様に基板12の長手方向に対して垂直に延びている一方、端の方の駆動配線の間
隔変化部分は、実装端子21,23に対して傾斜し、両最端の駆動配線31a,31nま
たは33a,33nの間隔変化部分は、実装端子21,23に対して大きく傾斜する。
【0027】
隣り合う駆動配線群の互いに最も近い駆動配線(例えば、駆動配線群30Aの駆動配線
31nと駆動配線群30Bの駆動配線31a)の平行部分同士の間隔は、駆動配線群内の
隣り合う平行部分同士の間隔と等しい。従って、隣り合ういずれの駆動配線の平行部分同
士の間隔も、一様である。
【0028】
また、駆動配線群30,32の各々においては、駆動配線31または33は等間隔で並
べられている。ここでいう等間隔とは、基板12の長手方向に延びる任意の直線上で計っ
た駆動配線群内の駆動配線のピッチが等しいことをいう。つまり、駆動配線31または3
3の平行部分同士の間隔が一様なだけではなく、(駆動配線31または33の間隔変化部
分同士の間隔は基板12の長い側端からの距離により変化するとはいえ、)基板12の長
い側端から一定距離にある直線上で計った間隔変化部分同士の間隔は等しい。
【0029】
さらに発光装置10は、ダミー端子41,43およびダミー配線51,53を備える。
二つのダミー端子41は、基板12の長い方の一方の端縁における多数の実装端子21が
並べられた列の外側、つまり端子群20A,20B,...20Nの外側の二箇所にそれ
ぞれ配置されている。他の二つのダミー端子43は、基板12の長い方の他方の端縁にお
ける多数の実装端子23が並べられた列の外側、つまり端子群22A,22B,...2
2Nの外側の二箇所にそれぞれ配置されている。ダミー端子41,43は、実装端子21
,23と同じ導電材料から同厚、同形かつ同大に形成され、基板12の長手方向に対して
垂直に延びている。
【0030】
一方のダミー端子41は、これに最も近い実装端子(端子群20Aの実装端子21a)
から実装端子21同士の間隔と等しい間隔をおいて配置され、他方のダミー端子41は、
これに最も近い実装端子(端子群20Nの実装端子21n)から実装端子21同士の間隔
と等しい間隔をおいて配置されている。一方のダミー端子43は、これに最も近い実装端
子(端子群22Aの実装端子23a)から実装端子23同士の間隔と等しい間隔をおいて
配置され、他方のダミー端子43は、これに最も近い実装端子(端子群22Nの実装端子
23n)から実装端子23同士の間隔と等しい間隔をおいて配置されている。
【0031】
ダミー配線51,53は、これらのダミー端子41,43にそれぞれ電気的に接続され
ている。ダミー配線51,53は、駆動配線31,33と同じ導電材料から同厚かつ同幅
に形成されている。ダミー配線51,53には、発光素子に相当するものは接続されてい
ないし、ダミー配線51,53は上述した発光素子14,15の発光に寄与しない。ダミ
ー端子41,43は、上述した駆動回路(図示せず)と電気的に接続され、駆動回路から
ダミー端子41,43ひいてはダミー配線51,53には一定電位が常に与えられている
。この電位は、発光素子14,15を駆動するために、実装端子21,23に与えられる
電位と同じでもよいし、それと違っていてもよい。
【0032】
ダミー配線51は、複数の駆動配線31が並べられた列の外に配置されて、駆動配線3
1に対して並ぶように基板12上に配置されている。また、ダミー配線53は、複数の駆
動配線33が並べられた列の外に配置されて、駆動配線33に対して並ぶように基板12
上に配置されている。
【0033】
一方のダミー配線51は、これに最も近い駆動配線(駆動配線群30Aの駆動配線31
a)から、隣り合う駆動配線31同士の間隔と等しい間隔をおいて配置され、他方のダミ
ー配線51は、これに最も近い駆動配線(駆動配線群30Nの駆動配線31n)から、隣
り合う駆動配線31同士の間隔と等しい間隔をおいて配置されている。一方のダミー配線
53は、これに最も近い駆動配線(駆動配線群32Aの駆動配線33a)から、隣り合う
駆動配線33同士の間隔と等しい間隔をおいて配置され、他方のダミー配線53は、これ
に最も近い駆動配線(駆動配線群32Nの駆動配線33n)から、隣り合う駆動配線33
同士の間隔と等しい間隔をおいて配置されている。
【0034】
より具体的には、ダミー配線51,53の各々は、駆動配線31,33の平行部分と平
行で真っ直ぐな平行部分と、ダミー端子41,43側にある真っ直ぐな間隔変化部分を有
する。ダミー配線51,53の各々の平行部分と、そのダミー配線に最も近い駆動配線3
1または33の平行部分の間隔は、隣り合う駆動配線の平行部分同士の間隔と等しい。ダ
ミー配線の間隔変化部分と駆動配線31または33の間隔変化部分の間隔は、基板12の
長い側端からの距離により変化するとはいえ、基板12の長い側端から一定距離にある直
線上で計ったダミー配線の間隔変化部分とそのダミー配線に最も近い駆動配線の間隔変化
部分の間隔は、その直線上で計った駆動配線同士の間隔変化部分の間隔に等しい。
【0035】
図3は、比較例の発光装置での配線群の詳細を示す平面図であり、ここでは、共通陰極
16および封止体18が形成されていない状態を示す。この比較例では、ダミー端子41
,43およびダミー配線51,53は設けられていないが、他の構成要素は、図2の発光
装置10と同様である。
【0036】
図4は、発光装置10における発光素子14に関連する配線群の等価回路を示す。発光
装置10における発光素子15に関連する配線群の等価回路もこれと同様である。図5は
図3の比較例の発光装置における発光素子14に関連する配線群の等価回路を示す。比較
例における発光素子15に関連する配線群の等価回路もこれと同様である。図4または図
5に示すように、各発光素子14には、対応する実装端子21および駆動配線31から駆
動信号としての高電位が供給される。例えば、端にある発光素子14aには、端子群20
Aの実装端子21aおよび駆動配線群30Aの駆動配線31から駆動信号としての高電位
が供給される。各発光素子14は、共通陰極16を介して、低電位を供給する実装端子2
6,27に接続されている。
【0037】
図4および図5において、抵抗器の記号は抵抗器ではなく駆動配線31またはダミー配
線51自体の抵抗を表し、キャパシタの記号はキャパシタではなく隣り合う配線間に発生
する寄生容量を表す。駆動配線31の各々およびこれに隣合う駆動配線31の間には寄生
容量が発生する(実際には、すべての配線の間に寄生容量が発生するが、図では隣り合う
配線間の寄生容量のみを示す)。この寄生容量は、駆動配線31を流れる電流の遅れ特性
ひいては発光素子14の発光遅れ特性に影響する。
【0038】
図5に示すように、ダミー端子41,43およびダミー配線51,53がない場合には
、駆動配線31の列のうち端にある駆動配線は他の駆動配線による寄生容量から受ける影
響が小さい。つまり、駆動配線群30Aの駆動配線31aは他の駆動配線31b,31c
,...による寄生容量から受ける影響が小さく、駆動配線群30Nの駆動配線31nは
他の駆動配線31n−1,31n−2,...による寄生容量から受ける影響が小さい。
これに対して、端にない駆動配線(例えば駆動配線31b)は他の駆動配線(例えば駆動
配線31a,31c,...)による寄生容量の影響が大きい。従って、駆動配線群30
Aの駆動配線31aに対応する発光素子14aおよび駆動配線群30Nの駆動配線31n
に対応する発光素子14nは、他の発光素子と異なる発光遅れ特性を呈する。これについ
て、図6を参照しながら説明する。
【0039】
図6は、図3の比較例の発光装置における実装端子21に供給される入力電流の経時変
化と、図3の比較例における発光素子14が発する光パワーの経時変化の関係を示すグラ
フである。特性Aは、駆動配線31の列のうち端にない駆動配線に接続された発光素子が
発する光パワー(W/m)の経時変化であり、特性Bは、駆動配線31の列のうち端にあ
る駆動配線(駆動配線群30Aの駆動配線31aまたは駆動配線群30Nの駆動配線31
n)に接続された発光素子が発する光パワーの経時変化である。図示のように、実装端子
21には、矩形波形の入力電流Iが供給される。しかし、駆動配線31には元々抵抗があ
り、隣り合う配線間には寄生容量があるため、これらの抵抗および寄生容量が時定数とし
て作用するため、発光素子14の発光には遅れが生ずる。特性A,Bの比較により明らか
なように、駆動配線31の列のうち端にある駆動配線に接続された発光素子の光パワーは
、他の駆動配線に接続された発光素子よりも早く、最大パワーPmaxに達し、その後、早
く下降する。これは寄生容量による遅れが、端にある駆動配線に接続された発光素子では
他の発光素子よりも小さいためである。
【0040】
Pthは、この発光装置を潜像書き込み器として用いる電子写真方式の画像印刷装置の像
担持体(例えば感光体ドラム)の感光体の露光閾値である。具体的には、露光閾値Pth(
W/m)以上の光パワーが与えられると、感光体に静電潜像を形成することが可能である
。また、感光体では、与えられた単位面積あたりの光エネルギ(W/m)に応じて、帯電
電荷が変化する。ここでいう単位面積あたりの光エネルギは、露光閾値Pth以上の光パワ
ーの時間の積分値で定義され、図6の特性A,Bの各グラフでの斜線部分の面積に相当す
る。特性Aのグラフ(端にない発光素子の光パワー変化)の斜線部分の面積(単位面積あ
たりの光エネルギ)EAと特性Bのグラフ(端にある発光素子の光パワー変化)の斜線部
分の面積(単位面積あたりの光エネルギ)EBは異なるので、感光体における帯電電荷も
異なる。従って、両端と他の部分では、潜像ひいては顕像において品質が異なる。
【0041】
このような発光素子の位置による光パワーのバラツキは、さらに別の問題を引き起こす
。これについて詳述する。発光装置の発光素子には製造バラツキがあるため、図7に示す
ように入出力特性にバラツキが生ずることがある。図7から明らかなように、同じ入力電
流Iに対して、ある発光素子は高い光パワーP1を放出し(線L1)、ある発光素子は低
い光パワーP2を放出する(線L2)ことがある。
【0042】
図8は、図7に入出力特性が示された二つの発光素子が発する光パワーの経時変化を示
すグラフである。特性L1は、矩形波形の入力電流Iが持続時間t供給されたときの図7
の線L1に対応する発光素子が発する光パワーの経時変化であり、特性L2は、矩形波形
の入力電流Iが持続時間t供給されたときの図7の線L2に対応する発光素子が発する光
パワーの経時変化である。同じ入力電流Iに対して、特性L1では、発光素子の放出する
光パワーはP1であるのに対して、特性L2では、発光素子の放出する光パワーはP2に
過ぎない。従って、特性L2のグラフでの斜線部分の面積つまり線L2に対応する発光素
子が感光体に与える単位面積あたりの光エネルギE2は、特性L1のグラフでの斜線部分
の面積つまり線L1に対応する発光素子が感光体に与える単位面積あたりの光エネルギE
1よりも小さい。このことは、感光体における帯電電荷のバラツキひいては像の品質のバ
ラツキの原因になる。
【0043】
光エネルギE1,E2のいずれもが目標エネルギE0に満たない場合には、線L1に対
応する発光素子の駆動時間(入力電流Iを供給する時間)をt1に延長し、線L2に対応
する発光素子の駆動時間をさらにt2に延長する補正をすることが考えられる。図8の特
性L1(補正後)および特性L2(補正後)は、線L1,L2にそれぞれ対応する発光素
子の駆動時間をこのように補正したときの発光素子が発する光パワーの経時変化である。
補正後の光エネルギE1a,E2aは、目標エネルギE0と同等である。駆動時間の補正
は、あらかじめ発光素子から得られる光エネルギを測定しておき、測定された光エネルギ
が目標エネルギE0に一致するように、駆動時間を補正する補正係数を算出しておけばよ
い。
【0044】
図8を参照しながら上述した補正は、複数の発光素子の入力電流に対する発光の遅れが
一様である場合には、有効である。しかし、図4から図6を参照しながら説明したように
、発光素子の位置によって、他の配線から受ける寄生容量の相違に起因する発光の遅れが
存在する。仮に、図3の比較例の発光装置で端にある発光素子の定常パワーが低い光パワ
ーP2であって、端にない発光素子の定常パワーが高い光パワーP1である場合には、図
8のグラフは図9のように書き換えることができる。図9において特性L1のグラフは図
8と変わらないが、特性L2のグラフは、端にある発光素子は、寄生容量による遅れが他
の発光素子よりも小さいため、その発光素子の光パワーの上昇も下降も早いことを示す。
【0045】
この場合、図8の場合と同様に、線L1に対応する発光素子の駆動時間(入力電流Iを
供給する時間)をt1に延長し、線L2に対応する発光素子の駆動時間をさらにt2に延
長する補正を行ったとしても、補正後の光エネルギE2aは目標エネルギE0と一致しな
い。補正後の光エネルギE1aだけが目標エネルギE0と一致する。逆に、図3の比較例
の発光装置で端にある発光素子の定常パワーが高い光パワーP1であって、端にない発光
素子の定常パワーが低い光パワーP2である場合には、同様に補正したとしても、補正後
の光エネルギE2aだけが目標エネルギE0と一致することになる。発光素子の定常発光
パワーの相違および発光素子の位置による発光の遅れの相違を考慮して補正係数をあらか
じめ求めることも考えられるが、それでは補正係数の数が増加し、制御系統または制御方
法が極めて複雑になる。
【0046】
図10は、この実施の形態に係る発光装置10における実装端子21に供給される入力
電流の経時変化と、この実施の形態に係る発光装置10における発光素子14が発する光
パワーの経時変化の関係を示すグラフである。特性Aは、駆動配線31の列のうち端にな
い駆動配線に接続された発光素子が発する光パワー(W/m)の経時変化であり、特性B
は、駆動配線31の列のうち端にある駆動配線(駆動配線群30Aの駆動配線31aまた
は駆動配線群30Nの駆動配線31n)に接続された発光素子が発する光パワーの経時変
化である。図示のように、実装端子21には、矩形波形の入力電流Iが供給される。
【0047】
図10の特性A,Bの比較により明らかなように、この実施の形態では、駆動配線31
の列のうち端にある駆動配線に接続された発光素子の光パワーは、端にない駆動配線に接
続された発光素子の光パワーとほぼ同様に上昇しほぼ同時に最大パワーPmaxに達し、ほ
ぼ同様に下降する。これは寄生容量による遅れが、端にある駆動配線に接続された発光素
子と、他の発光素子とほぼ同様であるためである。この理由について以下に説明する。
【0048】
この実施の形態によれば、図2および図4に示すように、発光素子14,15の発光に
寄与しないダミー配線51,53が、駆動配線31または33の列の外に配置されて、駆
動配線31または33に対して並ぶように基板12上に配置されている。駆動配線31ま
たは33の列のうち、端にある駆動配線(駆動配線群30Aの駆動配線31a、駆動配線
群30Nの駆動配線31n、駆動配線群32Aの駆動配線33a、または駆動配線群32
Nの駆動配線33n)は他の駆動配線だけでなくダミー配線51または53による寄生容
量から影響を受け、この影響は、端にない駆動配線が他の駆動配線による寄生容量から受
ける影響と近似する。
【0049】
また、駆動配線31または33はほぼ等間隔で並べられ、ダミー配線51または53は
これに最も近い駆動配線31または33(駆動配線群30Aの駆動配線31a、駆動配線
群30Nの駆動配線31n、または駆動配線群32Aの駆動配線33a、駆動配線群32
Nの駆動配線33n)から駆動配線31または33同士の間隔とほぼ等しい間隔をおいて
配置されている。「等しい間隔」の意味は上述の通りである。駆動配線31または33は
ほぼ等間隔で並べられているので、端にない一つの駆動配線31または33がその隣の二
つの駆動配線31または33から受ける寄生容量の影響は、端にない他の一つの駆動配線
31または33がその隣の二つの駆動配線31または33から受ける寄生容量の影響と、
ほぼ等しい。ダミー配線51または53とこれに最も近い駆動配線31または33、つま
り端にある駆動配線(駆動配線群30Aの駆動配線31a、駆動配線群30Nの駆動配線
31n、駆動配線群32Aの駆動配線33a、または駆動配線群32Nの駆動配線33n
)の間隔を、駆動配線31または33同士の間隔とほぼ等しくすることにより、端にある
駆動配線(駆動配線群30Aの駆動配線31a、駆動配線群30Nの駆動配線31n、駆
動配線群32Aの駆動配線33a、または駆動配線群32Nの駆動配線33n)がその隣
の駆動配線31または33とダミー配線51または53から受ける寄生容量の影響は、端
にない一つの駆動配線31または33がその隣の二つの駆動配線31または33から受け
る寄生容量の影響と、ほぼ等しい。従って、多数の発光素子14,15の発光遅れ特性を
位置にかかわらず均等化することができる。特に端にある発光素子(駆動配線群30Aの
駆動配線31aに対応する発光素子14a、駆動配線群30Nの駆動配線31nに対応す
る発光素子14n、駆動配線群32Aの駆動配線33aに対応する発光素子15a、駆動
配線群32Nの駆動配線33nに対応する発光素子15n)と他の発光素子の発光遅れ特
性をできるだけ均等化することができる。
【0050】
従って、図7を参照して上述したように発光素子に製造バラツキに起因する出力光パワ
ーのバラツキがあったとしても、例えば図8を参照して上述した補正を行うことによって
、補正後の光エネルギE1a,E2aを目標エネルギE0と同等にすることが可能である
。このようにして、画像印刷装置で得られる像の両端と他の部分との品質の相違を相殺す
ることが可能である。図9を参照して上述した不具合は防止される。この場合、補正係数
は、発光素子の定常発光パワーの相違に応じて決定され、発光素子の位置による発光の遅
れの相違にはよらないので、補正係数の数を増加させなくてよい。従って、制御系統また
は制御方法を複雑にしなくてもよい。
【0051】
<第2の実施の形態>
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る発光装置10Aでの配線群の詳細を示す平
面図である。第2の実施の形態に係る発光装置10Aの概略は図1と同様であり、図11
では、共通陰極16および封止体18が形成されていない状態を示す。
【0052】
第2の実施の形態に係る発光装置10Aは、第1の実施の形態の発光装置10の特徴に
加えて、ダミー素子54,55を有する。ダミー素子54は、複数の発光素子14が並べ
られた列の外に配置されて、発光素子14に対して並ぶように基板12上に配置され、ダ
ミー素子55は、複数の発光素子15が並べられた列の外に配置されて、発光素子15に
対して並ぶように基板12上に配置されている。ダミー配線51,53がそれぞれダミー
素子54,55に電気的に接続されている。
【0053】
ダミー素子54,55は、発光素子14,15と同じ構造を有する。詳細な図示は省略
するが、より具体的には、ダミー素子54,55の各々は、陽極、陰極およびこれらに挟
まれた発光機能層を有する。この実施の形態では、ダミー素子54,55の各々が独立し
た陽極を有しており、その陽極にダミー配線51または53が接している。ダミー素子5
4,55の陰極は、発光素子14,15の共通陰極16(図1参照)である。ダミー素子
54,55の図示しない陽極は、発光素子14,15の陽極と同じ大きさであり、共通陰
極16よりも基板12に近い層に形成されている。つまり、図1の紙面垂直方向の最も奥
に基板12があり、それよりも手前にダミー素子54,55および発光素子14,15の
陽極があり、その手前にダミー素子54,55および発光素子14,15の発光機能層が
あり、その手前に共通陰極16がある。
【0054】
この実施の形態で、ダミー端子41,43は、上述した駆動回路(図示せず)と電気的
に接続され、駆動回路からダミー端子41,43ひいてはダミー素子54,55には一定
の電位が常に与えられている。この電位は、ダミー素子54,55が発光しない程度の低
い電位であり、例えばグラウンド電位でもよい。従って、ダミー素子54,55には一定
電位が与えられるが、駆動信号は供給されない。
【0055】
図12は、発光装置10Aにおける発光素子14に関連する配線群の等価回路を示す。
発光装置10Aにおける発光素子15に関連する配線群の等価回路もこれと同様である。
駆動配線31の各々およびこれに隣合う駆動配線31の間には寄生容量が発生する(実際
には、すべての配線の間に寄生容量が発生するが、図では隣り合う配線間の寄生容量のみ
を示す)。この寄生容量は、駆動配線31を流れる電流ひいては発光素子14の発光遅れ
特性に影響する。また、駆動配線31の列のうち、端にある駆動配線(駆動配線群30A
の駆動配線31a、駆動配線群30Nの駆動配線31n)は他の駆動配線だけでなくダミ
ー配線51による寄生容量から影響を受け、この影響は、端にない駆動配線が他の駆動配
線による寄生容量から受ける影響と近似する。
【0056】
さらに、発光素子14の各々およびこれに隣合う発光素子14の間にも寄生容量が発生
する。ダミー素子54がない場合には、発光素子14の列のうち、端にある発光素子14
は他の発光素子14による寄生容量から受ける影響が小さいのに対して、端にない発光素
子14は他の発光素子14による寄生容量の影響が大きい。つまり、ダミー素子がない場
合、駆動配線群30Aの駆動配線31aに対応する発光素子14aは他の発光素子14b
,14c,...による寄生容量から受ける影響が小さく、駆動配線群30Nの駆動配線
31nに対応する発光素子14nは他の発光素子14n−1,14n−2,...による
寄生容量から受ける影響が小さい。これに対して、端にない発光素子(例えば発光素子1
4b)は他の発光素子(例えば発光素子14a,14c,...)による寄生容量の影響
が大きい。
【0057】
これに対して、この実施の形態では、ダミー素子54または55が、発光素子14また
は15の列の外に配置されて、発光素子14または15に対して並ぶように基板12上に
配置されることにより、発光素子14または15の列のうち、端にある発光素子14また
は15は他の発光素子14または15だけでなくダミー素子54または55による寄生容
量から影響を受ける。例えば、駆動配線群30Aの駆動配線31aに対応する発光素子1
4aは他の発光素子14b,14c,...による寄生容量だけでなく隣のダミー素子5
4による寄生容量から影響を受け、駆動配線群30Nの駆動配線31nに対応する発光素
子14nは他の発光素子14n−1,14n−2,...による寄生容量だけでなく隣の
ダミー素子54による寄生容量から影響を受ける、この影響は、端にない発光素子14ま
たは15が他の発光素子14または15による寄生容量から受ける影響と近似する。
【0058】
従って、第1の実施の形態に関連して上述した効果に加えて、さらに発光素子14また
は15の発光遅れ特性を均等化することができる。また、図7を参照して上述したように
発光素子に製造バラツキに起因する出力光パワーのバラツキがあったとしても、例えば図
8を参照して上述した補正を行うことによって、補正後の光エネルギE1a,E2aを目
標エネルギE0と同等にすることが可能である。
【0059】
<第3の実施の形態>
図13は、本発明の第3の実施の形態に係る発光装置10Bでの配線群の詳細を示す平
面図である。第3の実施の形態に係る発光装置10Bの概略は図1と近似しており、図1
3では、共通陰極16および封止体18が形成されていない状態を示す。
【0060】
第3の実施の形態に係る発光装置10Bは、第2の実施の形態の発光装置10Aの特徴
に加えて、より多数のダミー端子41,43およびより多数のダミー配線51,53を備
える。これらのダミー端子41,43は、実装端子の群(端子群20A,20B,...
20N,22A,22B,...22N)の各々の外の両側に、実装端子21,23に対
して並ぶように、基板12上に配置されている。ダミー配線51,53は、実装端子の群
(端子群20A,20B,...20N,22A,22B,...22N)に対応する駆
動配線の群(駆動配線群30A,30B,...30N,32A,32B,...32N
)の各々の外の両側に、駆動配線31,33に対して並ぶように、基板12上に配置され
ている。
【0061】
ダミー端子41,43は、実装端子21,23と同じ導電材料から同厚、同形かつ同大
に形成され、基板12の長手方向に対して垂直に延びている。ダミー端子41は、これに
最も近い実装端子21aまたは21nから実装端子21同士の間隔と等しい間隔をおいて
配置され、ダミー端子43は、これに最も近い実装端子23aまたは23nから実装端子
23同士の間隔と等しい間隔をおいて配置されている。
【0062】
ダミー配線51,53は、駆動配線31,33と同じ導電材料から同厚かつ同幅に形成
されている。ダミー配線51,53のうちダミー素子54,55に接続されたもの(図の
左右端にあるもの)は、第1および第2の実施の形態と同様に、駆動配線31,33の平
行部分と平行で真っ直ぐな平行部分と、ダミー端子41,43側にある真っ直ぐな間隔変
化部分を有する。他のダミー配線51,53は間隔変化部分のみを有する。基板12の長
い側端から一定距離にある直線上で計ったダミー配線の間隔変化部分とそのダミー配線に
最も近い駆動配線の間隔変化部分の間隔は、その直線上で計った駆動配線同士の間隔変化
部分の間隔に等しい。
【0063】
これらのダミー配線51,53は、ダミー端子41,43にそれぞれ電気的に接続され
ている。ダミー端子41,43は、上述した駆動回路(図示せず)と電気的に接続され、
駆動回路からダミー端子41,43ひいてはダミー配線51,53には一定電位が与えら
れている。この電位は、発光素子14,15を駆動するために、実装端子21,23に与
えられる電位と同じでもよいし、それと違っていてもよい。第2の実施の形態に関連して
上述したように、ダミー素子54,55が接続されたダミー端子41,43には、ダミー
素子54,55が発光しない程度の低い電位、例えばグラウンド電位が供給される。
【0064】
基板12上に配置された端子群20A,20B,...20N,22A,22B,..
.22Nは大きい間隔をおいて互いに離間し、端子群20A,20B,...20N,2
2A,22B,...22Nの各々内では小さい間隔で実装端子21,23が並べられて
いる。端子群20,22の各々の幅(その端子群内の実装端子21aと21nの間隔また
は実装端子23aと23nの間隔)は、その端子群に対応する発光素子14aと14nの
間隔または発光素子15aと15nの間隔よりも小さい。このため、駆動配線群30の各
々では、駆動配線31a〜31nの間隔は、実装端子21ひいては基板12の端縁に近い
ほど小さく、発光素子14ひいては基板12の中央に近いほど大きい。駆動配線群32の
各々では、駆動配線33a〜33nの間隔は、実装端子23ひいては基板12の端縁に近
いほど小さく、発光素子15ひいては基板12の中央に近いほど大きい。
【0065】
従って、ダミー端子41,43およびダミー配線51,53がない場合には、駆動配線
群30A,30B,...30N,32A,32B,...32Nの各々の端にある駆動
配線31a,31n,33a,33nと他の駆動配線31b〜31n−1,33b〜33
n−1は、他の駆動配線によって生ずる寄生容量から受ける影響が異なる。しかし、この
実施の形態では、端子群20,22の各々の両側にダミー端子41または43が設けられ
、駆動配線群30,32の各々の両側にダミー配線51または53が設けられているので
、駆動配線群30,32の各々の端にある駆動配線31a,31n,33a,33nと他
の駆動配線31b〜31n−1,33b〜33n−1の条件が近似し、発光素子14,1
5の発光遅れ特性を均等化することができる。特に駆動配線群30,32の各々の端にあ
る駆動配線31a,31n,33a,33nに対応する発光素子14a,14n,15a
,15nと他の発光素子の発光遅れ特性をできるだけ均等化することができる。
【0066】
以上のように、この実施の形態では、第2の実施の形態に関連して上述した効果に加え
て、さらに発光素子14または15の発光遅れ特性を均等化することができる。また、図
7を参照して上述したように発光素子に製造バラツキに起因する出力光パワーのバラツキ
があったとしても、例えば図8を参照して上述した補正を行うことによって、補正後の光
エネルギE1a,E2aを目標エネルギE0と同等にすることが可能である。
【0067】
<第4の実施の形態>
図14は、本発明の第4の実施の形態に係る発光装置10Cでの配線群の詳細を示す平
面図である。第4の実施の形態に係る発光装置10Cの概略は図1と近似しており、図1
4では、共通陰極16および封止体18が形成されていない状態を示す。
【0068】
第4の実施の形態に係る発光装置10Cは、第3の実施の形態の発光装置10Bの特徴
に加えて、より多数のダミー端子41,43、より多数のダミー配線51,53およびよ
り多数のダミー素子54,55を備える。具体的には、端子群20の各々の外の両側に2
本ずつダミー端子41が配置され、端子群22の各々の外の両側に2本ずつダミー端子4
3が配置されている。片側の2本のダミー端子の間隔は、実装端子同士の間隔と等しい。
【0069】
また、駆動配線群30の各々の外の両側に2本ずつダミー配線51が配置され、駆動配
線群32の各々の外の両側に2本ずつダミー配線53が配置されている。駆動配線31の
列の外側(図の左右端の駆動配線31の外側)にある4本のダミー配線51には、それぞ
れダミー素子54の陽極が接続されている。駆動配線33の列の外側(図の左右端の駆動
配線33の外側)にある4本のダミー配線53には、それぞれダミー素子55の陽極が接
続されている。ダミー素子54,55の陰極は、発光素子14,15の共通陰極16(図
1参照)である。
【0070】
駆動配線31,33の列の内側にあるダミー配線51,53は間隔変化部分のみを有す
る。基板12の長い側端から一定距離にある直線上で計った隣り合うダミー配線の間隔は
、その直線上で計った駆動配線同士の間隔変化部分の間隔に等しい。
【0071】
これらのダミー配線51,53は、ダミー端子41,43にそれぞれ電気的に接続され
ている。ダミー端子41,43は、上述した駆動回路(図示せず)と電気的に接続され、
駆動回路からダミー端子41,43ひいてはダミー配線51,53には一定電位が与えら
れている。この電位は、発光素子14,15を駆動するために、実装端子21,23に与
えられる電位と同じでもよいし、それと違っていてもよい。第2の実施の形態に関連して
上述したように、ダミー素子54,55が接続されたダミー端子41,43には、ダミー
素子54,55が発光しない程度の低い電位、例えばグラウンド電位が供給される。
【0072】
駆動配線31,33の列内で各駆動配線31,33は最も近い他の駆動配線から最も大
きな寄生容量の影響を受けるが、さらに他の駆動配線からも寄生容量の影響を受ける。例
えば、駆動配線31cは、駆動配線31b,31dから最も影響を受けるが、駆動配線3
1a,31d〜31nからも影響を受ける。駆動配線31aは、駆動配線31bから最も
影響を受けるが、駆動配線31c〜31nからも影響を受ける。従って、ダミー配線51
,53がない場合には、各駆動配線群30,32の中で端にある駆動配線31a,31n
,33a,33nと他の駆動配線31b〜31n−1,33b〜33n−1では、受ける
寄生容量の影響が異なる。これに対して、各駆動配線の両側に複数本ずつ他の配線があれ
ば、すべての駆動配線に与えられる寄生容量の影響は均等化され、発光素子の発光遅れ特
性も均等化される。
【0073】
この実施の形態では、各駆動配線群30の外の両側に、複数のダミー配線51を配置し
、各駆動配線群32の列の外の両側に、複数のダミー配線53を配置することにより、ダ
ミー配線51,53に最も近い端にある駆動配線31a,31n,33a,33nと他の
駆動配線31b〜31n−1,33b〜33n−1の条件が近似する。また、発光素子1
4,15の列の外の両側に、ダミー素子54,55を配置したので、ダミー素子54,5
5に最も近い端にある発光素子(端子群20Aの実装端子21aに対応する発光素子14
a,端子群20Nの実装端子21nに対応する発光素子14n,端子群22Aの実装端子
23aに対応する発光素子15a,端子群22Nの実装端子23nに対応する発光素子1
5n)と他の発光素子の条件が近似する。従って、発光素子14,15の発光遅れ特性を
均等化することができる。
【0074】
以上のように、この実施の形態では、第3の実施の形態に関連して上述した効果に加え
て、さらに発光素子14または15の発光遅れ特性を均等化することができる。また、図
7を参照して上述したように発光素子に製造バラツキに起因する出力光パワーのバラツキ
があったとしても、例えば図8を参照して上述した補正を行うことによって、補正後の光
エネルギE1a,E2aを目標エネルギE0と同等にすることが可能である。
【0075】
以上の実施の形態から理解できるように、ダミー端子、ダミー配線およびダミー素子の
数は、基板12の面積および形状ならびに他の構成要素の配置により制約されるが、任意
である。また、ダミー端子、ダミー配線およびダミー素子の位置は、上述した実施の形態
に限定されず、本発明の効果が発揮できる範囲で変更することが可能である。
【0076】
<画像印刷装置>
上述したように、発光装置10,10a,10b,10cは、電子写真方式を利用した
画像印刷装置における像担持体に潜像を書き込むためのライン型の光ヘッドとして用いる
ことが可能である。画像印刷装置の例としては、プリンタ、複写機の印刷部分およびファ
クシミリの印刷部分がある。
【0077】
図15は、発光装置10,10a,10b,10cのいずれかをライン型の光ヘッドと
して用いた画像印刷装置の一例を示す縦断面図である。この画像印刷装置は、ベルト中間
転写体方式を利用したタンデム型のフルカラー画像印刷装置である。
【0078】
この画像印刷装置では、同様な構成の4個の有機ELアレイ露光ヘッド10K,10C
,10M,10Yが、同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)110K,11
0C,110M,110Yの露光位置にそれぞれ配置されている。有機ELアレイ露光ヘ
ッド10K,10C,10M,10Yは上述した発光装置10,10a,10b,10c
のいずれかである。
【0079】
図15に示すように、この画像印刷装置には、駆動ローラ121と従動ローラ122が
設けられており、これらのローラ121,122には無端の中間転写ベルト120が巻回
されて、矢印に示すようにローラ121,122の周囲を回転させられる。図示しないが
、中間転写ベルト120に張力を与えるテンションローラなどの張力付与手段を設けても
よい。
【0080】
この中間転写ベルト120の周囲には、互いに所定間隔をおいて4個の外周面に感光層
を有する感光体ドラム110K,110C,110M,110Yが配置される。添え字K
,C,M,Yはそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローの顕像を形成するために使用さ
れることを意味している。他の部材についても同様である。感光体ドラム110K,11
0C,110M,110Yは、中間転写ベルト120の駆動と同期して回転駆動される。
【0081】
各感光体ドラム110(K,C,M,Y)の周囲には、コロナ帯電器111(K,C,
M,Y)と、有機ELアレイ露光ヘッド10(K,C,M,Y)と、現像器114(K,
C,M,Y)が配置されている。コロナ帯電器111(K,C,M,Y)は、対応する感
光体ドラム110(K,C,M,Y)の外周面を一様に帯電させる。有機ELアレイ露光
ヘッド10(K,C,M,Y)は、感光体ドラムの帯電させられた外周面に静電潜像を書
き込む。各有機ELアレイ露光ヘッド10(K,C,M,Y)は、複数のOLED素子1
4の配列方向が感光体ドラム110(K,C,M,Y)の母線(主走査方向)に沿うよう
に設置される。静電潜像の書き込みは、上記の複数のOLED素子14により光を感光体
ドラムに照射することにより行う。現像器114(K,C,M,Y)は、静電潜像に現像
剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラムに顕像すなわち可視像を形成する

【0082】
このような4色の単色顕像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、
イエローの各顕像は、中間転写ベルト120上に順次一次転写されることにより、中間転
写ベルト120上で重ね合わされて、この結果フルカラーの顕像が得られる。中間転写ベ
ルト120の内側には、4つの一次転写コロトロン(転写器)112(K,C,M,Y)
が配置されている。一次転写コロトロン112(K,C,M,Y)は、感光体ドラム11
0(K,C,M,Y)の近傍にそれぞれ配置されており、感光体ドラム110(K,C,
M,Y)から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写コロトロンの
間を通過する中間転写ベルト120に顕像を転写する。
【0083】
最終的に画像を形成する対象としてのシート102は、ピックアップローラ103によ
って、給紙カセット101から1枚ずつ給送されて、駆動ローラ121に接した中間転写
ベルト120と二次転写ローラ126の間のニップに送られる。中間転写ベルト120上
のフルカラーの顕像は、二次転写ローラ126によってシート102の片面に一括して二
次転写され、定着部である定着ローラ対127を通ることでシート102上に定着される
。この後、シート102は、排紙ローラ対128によって、装置上部に形成された排紙カ
セット上へ排出される。
【0084】
次に、本発明に係る画像印刷装置の他の実施の形態について説明する。
図16は、発光装置10,10a,10b,10cのいずれかをライン型の光ヘッドと
して用いた他の画像印刷装置の縦断面図である。この画像印刷装置は、ベルト中間転写体
方式を利用したロータリ現像式のフルカラー画像印刷装置である。図16に示す画像印刷
装置において、感光体ドラム(像担持体)165の周囲には、コロナ帯電器168、ロー
タリ式の現像ユニット161、有機ELアレイ露光ヘッド167、中間転写ベルト169
が設けられている。
【0085】
コロナ帯電器168は、感光体ドラム165の外周面を一様に帯電させる。有機ELア
レイ露光ヘッド167は、感光体ドラム165の帯電させられた外周面に静電潜像を書き
込む。有機ELアレイ露光ヘッド167は、上述した発光装置10,10a,10b,1
0cのいずれかであり、複数のOLED素子14の配列方向が感光体ドラム165の母線
(主走査方向)に沿うように設置される。静電潜像の書き込みは、上記の複数のOLED
素子14により光を感光体ドラムに照射することにより行う。
【0086】
現像ユニット161は、4つの現像器163Y,163C,163M,163Kが90
°の角間隔をおいて配置されたドラムであり、軸161aを中心にして反時計回りに回転
可能である。現像器163Y,163C,163M,163Kは、それぞれイエロー、シ
アン、マゼンタ、黒のトナーを感光体ドラム165に供給して、静電潜像に現像剤として
のトナーを付着させることにより感光体ドラム165に顕像すなわち可視像を形成する。
【0087】
無端の中間転写ベルト169は、駆動ローラ170a、従動ローラ170b、一次転写
ローラ166およびテンションローラに巻回されて、これらのローラの周囲を矢印に示す
向きに回転させられる。一次転写ローラ166は、感光体ドラム165から顕像を静電的
に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写ローラ166の間を通過する中間転写ベ
ルト169に顕像を転写する。
【0088】
具体的には、感光体ドラム165の最初の1回転で、露光ヘッド167によりイエロー
(Y)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Yにより同色の顕像が形成され、
さらに中間転写ベルト169に転写される。また、次の1回転で、露光ヘッド167によ
りシアン(C)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Cにより同色の顕像が形
成され、イエローの顕像に重なり合うように中間転写ベルト169に転写される。そして
、このようにして感光体ドラム9が4回転する間に、イエロー、シアン、マゼンタ、黒の
顕像が中間転写ベルト169に順次重ね合わせられ、この結果フルカラーの顕像が転写ベ
ルト169上に形成される。最終的に画像を形成する対象としてのシートの両面に画像を
形成する場合には、中間転写ベルト169に表面と裏面の同色の顕像を転写し、次に中間
転写ベルト169に表面と裏面の次の色の顕像を転写する形式で、フルカラーの顕像を中
間転写ベルト169上で得る。
【0089】
画像印刷装置には、シートが通過させられるシート搬送路174が設けられている。シ
ートは、給紙カセット178から、ピックアップローラ179によって1枚ずつ取り出さ
れ、搬送ローラによってシート搬送路174を進行させられ、駆動ローラ170aに接し
た中間転写ベルト169と二次転写ローラ171の間のニップを通過する。二次転写ロー
ラ171は、中間転写ベルト169からフルカラーの顕像を一括して静電的に吸引するこ
とにより、シートの片面に顕像を転写する。二次転写ローラ171は、図示しないクラッ
チにより中間転写ベルト169に接近および離間させられるようになっている。そして、
シートにフルカラーの顕像を転写する時に二次転写ローラ171は中間転写ベルト169
に当接させられ、中間転写ベルト169に顕像を重ねている間は二次転写ローラ171か
ら離される。
【0090】
上記のようにして画像が転写されたシートは定着器172に搬送され、定着器172の
加熱ローラ172aと加圧ローラ172bの間を通過させられることにより、シート上の
顕像が定着する。定着処理後のシートは、排紙ローラ対176に引き込まれて矢印Fの向
きに進行する。両面印刷の場合には、シートの大部分が排紙ローラ対176を通過した後
、排紙ローラ対176が逆方向に回転させられ、矢印Gで示すように両面印刷用搬送路1
75に導入される。そして、二次転写ローラ171により顕像がシートの他面に転写され
、再度定着器172で定着処理が行われた後、排紙ローラ対176でシートが排出される

【0091】
以上、発光装置10,10a,10b,10cのいずれかを応用可能な画像印刷装置を
例示したが、他の電子写真方式の画像印刷装置にも発光装置10,10a,10b,10
cのいずれかを応用することが可能であり、そのような画像印刷装置は本発明の範囲内に
ある。例えば、中間転写ベルトを使用せずに感光体ドラムから直接シートに顕像を転写す
るタイプの画像印刷装置や、モノクロの画像を形成する画像印刷装置にも発光装置10,
10a,10b,10cのいずれかを応用することが可能である。
【0092】
<他の応用>
本発明に係る発光装置は、さらに各種の露光装置および照明装置に応用することが可能
である。
【0093】
<変形例>
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に述べる変形が
可能である。
上述した各実施形態においては、発光素子14,15は、個別の陽極と共通陰極16を
有するが、これに代えて、個別の陰極と共通陽極を有していてもよい。
【0094】
上述した各実施形態においては、すべての発光素子14,15の陰極として単一の共通
陰極16が設けられているが、複数の共通電極を設けて、それぞれの共通電極が異なる発
光素子14,15の陰極となるように配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る発光装置の概略を示す平面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る発光装置での配線群の詳細を示す平面図である。
【図3】比較例の発光装置での配線群の詳細を示す平面図である。
【図4】第1の実施の形態に係る発光装置における配線群の等価回路を示す図である。
【図5】図3の比較例の発光装置における配線群の等価回路を示す図である。
【図6】図3の比較例の発光装置における実装端子に供給される入力電流の経時変化と、比較例における発光素子が発する光パワーの経時変化の関係を示すグラフである。
【図7】発光素子の入出力特性のバラツキを示すグラフである。
【図8】図7に示されるように入出力特性が異なる二つの発光素子が発する光パワーの経時変化を示すグラフである。
【図9】入出力特性および発光遅れ特性が異なる二つの発光素子が発する光パワーの経時変化を示すグラフである。
【図10】第1の実施の形態に係る発光装置における実装端子に供給される入力電流の経時変化と、この実施の形態に係る発光装置における発光素子が発する光パワーの経時変化の関係を示すグラフである。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る発光装置での配線群の詳細を示す平面図である。
【図12】第2の実施の形態に係る発光装置における配線群の等価回路を示す図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態に係る発光装置での配線群の詳細を示す平面図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態に係る発光装置での配線群の詳細を示す平面図である。
【図15】図1または図10に示した発光装置を用いた画像印刷装置の一例を示す縦断面図である。
【図16】図1または図10に示した発光装置を用いた画像印刷装置の他の例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0096】
10,10A,10B,10C…発光装置、12…基板、14,15(14a〜14n
,15a〜15n)…発光素子、16…共通陰極、18…封止体、20,22(20A,
20B,...20N,22A,22B,...22N)…端子群、21,23(21a
〜21n,23a〜23n)…実装端子、30,32(30A,30B,...30N,
32A,32B,...32N)…駆動配線群、31,33(31a〜31n,33a〜
33n)…駆動配線、41,43…ダミー端子、51,53…ダミー配線、54,55…
ダミー素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配列された複数の発光素子と、
前記基板上に並べられ、前記発光素子にそれぞれ電気的に接続され、対応する発光素子
を発光させるための駆動信号を供給する複数の駆動配線と、
複数の前記駆動配線が並べられた列の外に配置されて、前記駆動配線に対して並ぶよう
に前記基板上に配置され、導電体から形成され、前記発光素子の発光に寄与しないダミー
配線とを備えることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記駆動配線はほぼ等間隔で並べられ、前記ダミー配線はこれに最も近い駆動配線から
前記駆動配線同士の間隔とほぼ等しい間隔をおいて配置されていることを特徴とする請求
項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記発光素子と同じ構造を有し駆動信号が供給されないダミー素子が、複数の前記発光
素子が並べられた列の外に配置されて、前記発光素子に対して並ぶように前記基板上に配
置され、前記ダミー配線が前記ダミー素子に電気的に接続されていることを特徴とする請
求項1または請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
複数の前記駆動配線が並べられた列の外の少なくとも一方側に、導電体から形成され、
前記発光素子の発光に寄与しない複数のダミー配線が並べられていることを特徴とする請
求項1または請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記基板には、前記発光素子を駆動するための他の装置と電気的に接続される複数の実
装端子が配置され、
複数の前記実装端子はそれぞれ複数の駆動配線に電気的に接続されており、
複数の前記実装端子は複数の群に分類され、これらの群は間隔をおいて互いに離間して
おり、これらの群同士の間隔よりも小さいほぼ等しい間隔で各群内の実装端子が並べられ

実装端子の群に対応する駆動配線の群の各々の外の両側の各々に、前記駆動配線に対し
て並ぶように、導電体から形成され、前記発光素子の発光に寄与しないダミー配線が前記
基板上に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の
発光装置。
【請求項6】
像担持体と、
前記像担持体を帯電する帯電器と、
複数の前記発光素子が配列され、前記像担持体の帯電された面に複数の前記発光素子に
より光を照射して潜像を形成する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の発光装置
と、
前記潜像にトナーを付着させることにより前記像担持体に顕像を形成する現像器と、
前記像担持体から前記顕像を他の物体に転写する転写器とを備える画像印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−184125(P2007−184125A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−418(P2006−418)
【出願日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】