説明

発光装置および電子機器

【課題】開口率の低下などの不利益を伴なうことなく所望の特性の駆動トランジスタを作
成する。
【解決手段】電源線15から発光素子Eに供給される電流量を制御する駆動トランジスタ
Tdrは基板10の面上に形成される。この駆動トランジスタTdrは、ソース領域31sと
ドレイン領域31dとの間にチャネル領域31cが形成された半導体層31と、ゲート絶縁
層Lgを挟んでチャネル領域31cに対向するゲート電極511とを含む。電源線15は、
基板10に垂直な方向からみてチャネル領域31cと重なり合うように延在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(ElectroLuminescent)材料など各種の発光材料からなる発光層を
備えた発光装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子に供給される電流量を制御するためのトランジスタ(以下「駆動トランジスタ
」という)が発光素子ごとに配置されたアクティブマトリクス方式の発光装置が従来から
提案されている。例えば特許文献1には、電源線から発光素子に至る経路上に駆動トラン
ジスタを配置した構成が開示されている。駆動トランジスタの半導体層は、ゲート絶縁層
を挟んでゲート電極に対向するチャネル領域と、チャネル領域の両側に位置するドレイン
領域およびソース領域とを含む。発光素子の電極(例えば陽極)は、トランジスタを覆う
絶縁層のコンタクトホールを介して半導体層のドレイン領域に導通する。また、絶縁層の
面上には半導体層のソース領域と重なり合う電源線が形成される。この電源線は、絶縁層
のコンタクトホールを介してソース領域に導通する。
【特許文献1】特開2000−356963号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、駆動トランジスタのチャネル幅やチャネル長は発光素子に供給される電流量
に応じて決定される。例えば発光素子に充分な電流を供給するためには、その電流量に応
じたチャネル幅を駆動トランジスタに確保する必要がある。しかしながら、特許文献1の
構成においては、チャネル幅を拡大すると必然的に駆動トランジスタの面積が増大すると
いう問題がある。特にボトムエミッション型の発光装置においては、発光素子による放射
光の出射側に駆動トランジスタが配置されるから、その面積の増大は開口率の低下に直結
する。このような事情を背景として、本発明は、開口率の低下といった不利益を伴なうこ
となく所望の特性の駆動トランジスタを作成するという課題の解決を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するために、本発明に係る発光装置は、電源線から発光素子に供給され
る電流量を制御する駆動トランジスタが基板上に形成された発光装置であって、駆動トラ
ンジスタは、ソース領域とドレイン領域との間にチャネル領域が形成された半導体層と、
ゲート絶縁層を挟んでチャネル領域に対向するゲート電極とを含み、電源線は、チャネル
領域と重なり合うことを特徴とする。なお、電源線がチャネル領域の一部と重なり合うか
全部と重なり合うかは本発明において不問である。また、本発明における電源線は所定の
電位(例えば高位側や低位側の電源電位)が供給される配線である。
【0005】
この構成においては、駆動トランジスタのチャネル領域と重なり合うように電源線が形
成されるから、電源線によって覆われた領域の範囲内であれば、チャネル幅やチャネル長
を如何に選定したとしても駆動トランジスタと電源線との総面積(さらにボトムエミッシ
ョン型の発光装置における開口率)は変わらない。したがって、駆動トランジスタと電源
線との総面積に起因した種々の不利益(例えば開口率の低下)を解消することができる。
【0006】
例えば、ボトムエミッション型の発光装置において、電源線によって覆われた範囲内に
て駆動トランジスタのチャネル幅を所期の寸法に拡大すれば、開口率を低下させることな
く、電源線から発光素子に供給される電流量を充分に確保することが可能である。また、
開口率が高水準に維持されるということは、所期の光量を発光装置から出射するための発
光層に供給されるべき電気エネルギが低減されることを意味する。発光層(特に有機EL
材料)は高い電気エネルギが供給されるほど特性の劣化が進行するから、発光層に供給さ
れる電気エネルギを低減できる本発明によれば、発光層の寿命(発光量や発光効率などの
特性値が所定値に低下するまでの時間長)を長期化できるという利点がある。
【0007】
本発明の具体的な態様において、半導体層には、電源線の延在する方向がチャネル長と
なるようにソース領域とドレイン領域とチャネル領域とが形成される。この態様によれば
、電源線に沿って充分なチャネル長を確保できるから、駆動トランジスタを飽和領域で動
作させる場合(典型的には駆動トランジスタがオン状態とオフ状態の何れかに択一的に制
御される場合)に特に好適である。駆動トランジスタを飽和領域で動作させる場合として
は、例えば、駆動トランジスタがオン状態を維持する時間長とオフ状態を維持する時間長
との比率を制御することによって発光素子の光量(階調)を制御する場合(パルス幅変調
による階調の制御)がある。なお、この態様の具体例は、例えば第2実施形態や第5実施
形態として後述される。
【0008】
他の態様において、半導体層には、電源線の延在する方向がチャネル幅となるようにソ
ース領域とドレイン領域とチャネル領域とが形成される。この態様によれば、電源線に沿
って充分なチャネル幅を確保できるから、駆動トランジスタを線形領域で動作させる場合
に特に好適である。駆動トランジスタを線形領域で動作させる場合としては、例えば、駆
動トランジスタのソース−ドレイン間の電流をゲート電極の電位に応じて複数の段階の何
れかに制御することによって発光素子の光量(階調)を制御する場合がある。なお、この
態様の具体例は、例えば第1実施形態・第3実施形態および第4実施形態として後述され
る。
【0009】
駆動トランジスタのチャネル幅の方向に電源線が延在する態様において、さらに望まし
くは、半導体層およびゲート電極を覆う第1絶縁層が設けられ、ゲート電極は電源線と同
方向に延在し、電源線は、第1絶縁層に形成された複数のコンタクトホールを介してソー
ス領域およびドレイン領域の何れかに導通し、複数のコンタクトホールは、ゲート電極に
沿って配列する。この態様によれば、ゲート電極に沿った長手状の領域に複数のコンタク
トホールのスペースを容易に確保することができる。そして、電源線が複数のコンタクト
ホールを介して半導体層に接続されるから、例えばひとつのコンタクトホールのみが形成
された構成と比較して、電源線と半導体層との導通の確実性が担保され、さらには両者の
接触部の抵抗を低減することができる。なお、この態様の具体例は第4実施形態(図15
)として後述される。また、コンタクトホールとは、絶縁層の一方の側に位置する要素と
絶縁層の他方の側に位置する要素とを電気的に接続するための部分であり、より具体的に
は絶縁層をその厚さ方向に貫通する部分(孔や穴)である。コンタクトホールの平面的な
形状は任意である。
【0010】
本発明の望ましい態様において、第1電極(例えば図1の電極Ea1や図19の電極Eb1
)と第2電極(例えば図1の電極Ea2や図19の電極Eb2)とを含む容量素子を具備し、
駆動トランジスタと容量素子とは電源線が延在する方向に配列し、ゲート電極と第2電極
とは電気的に接続され、電源線は、チャネル領域および容量素子と重なり合う。なお、こ
の態様における容量素子は、駆動トランジスタのゲート電極の電位を保持するための手段
(例えば図1の容量素子C1)であってもよいし、駆動トランジスタのゲート電極を容量
カップリングによって所望の電位に設定するための手段(例えば図19の容量素子C2)
であってもよい。
【0011】
この態様によれば、駆動トランジスタのチャネル領域だけでなく容量素子にも重なり合
うように電源線が形成される。したがって、電源線と容量素子とが重なり合わない構成と
比較して、駆動トランジスタと電源線と容量素子との総面積を低減することができる。例
えば、電源線によって覆われた範囲内において容量素子の各電極の面積を拡大することに
よって充分な静電容量の容量素子が構成される。さらに好適な態様において、第1電極は
半導体層と同一の材料によって形成され、第2電極はゲート電極と同一の材料によって形
成される。この態様によれば、共通の導電膜の選択的な除去によって第1電極と半導体層
(あるいは第2電極とゲート電極)とを一括的に形成することができるから、各々が別個
の材料によって形成された構成と比較して、製造工程の簡素化や製造コストの低減が実現
される。
【0012】
本発明の発光装置は、トップエミッション型およびボトムエミッション型の双方に適用
される。なお、ボトムエミッション型の発光装置においては、発光素子からみて基板側(
すなわち発光素子からの放射光の出射側)に駆動トランジスタが配置される。この構成に
おいては、駆動トランジスタのチャネル領域の形態(寸法や形状)が開口率に直結する。
したがって、開口率を低下することなく所望の特性の駆動トランジスタを作成し得る本発
明は、ボトムエミッション型の発光装置に特に好適に採用される。
【0013】
また、本発明における駆動トランジスタは、ボトムゲート構造およびトップゲート構造
の何れであってもよい。ボトムゲート構造においては、半導体層に対して基板側にゲート
電極が形成される。トップゲート構造においては、半導体層に対して基板とは反対側にゲ
ート電極が形成される。このトップゲート構造において、ゲート電極を挟んで半導体層と
は反対側に電源線を形成すれば、ゲート電極と電源線とによって形成される容量を、駆動
トランジスタのゲート電極の電位を保持するために利用することができる。したがって、
ゲート電極とは別個に形成された容量素子の面積を縮小する(理想的にはゲート電極とは
別個の容量素子を不要とする)ことができる。
【0014】
本発明に係る発光装置は各種の電子機器に利用される。この電子機器の典型例は、発光
装置を表示装置として利用した機器である。この種の電子機器としては、パーソナルコン
ピュータや携帯電話機などがある。もっとも、本発明に係る発光装置の用途は画像の表示
に限定されない。例えば、光線の照射によって感光体ドラムなどの像担持体に潜像を形成
するための露光装置(露光ヘッド)としても本発明の発光装置を適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<A:発光装置の電気的な構成>
図1は、本発明の第1実施形態から第4実施形態に係る発光装置の電気的な構成を示す
回路図である。同図に示すように、発光装置Dは、相互に交差する複数の選択線11と複
数の信号線13とを有する。選択線11と信号線13との各交差には画素Pが配置される
。したがって、これらの画素Pはマトリクス状に配列する。各画素Pには電源線15を介
して電源電位Vddが供給される。
【0016】
電源線15から接地線(接地電位Gnd)に至る経路上には発光素子Eと駆動トランジス
タTdrとが配置される。発光素子Eは、有機EL材料からなる発光層23を第1電極21
(陽極)と第2電極22(陰極)との間に介在させた素子である。第1電極21は、画素
Pごとに相互に離間して形成される。一方、第2電極22は、複数の画素Pにわたって連
続に形成されて接地(Gnd)される。発光層23は、第1電極21から第2電極22に流
れる電流量に応じた光量で発光する。
【0017】
駆動トランジスタTdrは、発光素子Eに供給される電流量を制御するためのnチャネル
型の薄膜トランジスタである。駆動トランジスタTdrのソース電極は発光素子Eの第1電
極21に接続される。駆動トランジスタTdrのドレイン電極は電源線15に接続される。
このドレイン電極とゲート電極との間には、ゲート電極の電位を保持する容量素子C1が
介在する。この容量素子C1は、駆動トランジスタTdrのドレイン電極に接続された電極
Ea1と駆動トランジスタTdrのゲート電極に接続された電極Ea2とを含む。
【0018】
図1の選択トランジスタTslは、駆動トランジスタTdrのゲート電極(電極Ea2)と信
号線13との間に介在して両者の電気的な接続を制御するnチャネル型の薄膜トランジス
タである。この選択トランジスタTslのゲート電極は選択線11に接続される。なお、駆
動トランジスタTdrや選択トランジスタTslの導電型は適宜に変更される。
【0019】
選択線11に供給される選択信号Sがアクティブレベル(ハイレベル)に遷移して選択
トランジスタTslがオン状態に変化すると、画素Pに指定された階調に応じたデータ電位
Vdataが信号線13から選択トランジスタTslを経由して駆動トランジスタTdrのゲート
電極に供給される。このときに容量素子C1にはデータ電位Vdataに応じた電荷が蓄積さ
れるから、選択線11が非アクティブレベルに遷移して選択トランジスタTslがオフ状態
に変化しても、駆動トランジスタTdrのゲート電極はデータ電位Vdataに維持される。し
たがって、発光素子Eには、駆動トランジスタTdrのゲート電極の電位に応じた電流(デ
ータ電位Vdataに応じた電流)が継続的に供給される。この電流の供給によって発光素子
Eはデータ電位Vdataに応じた輝度で発光する。
【0020】
<B−1:第1実施形態>
次に、本発明の第1実施形態に係る発光装置Dの画素Pの具体的な構成を説明する。図
2は、ひとつの画素Pの構成を示す平面図であり、図3は、図2におけるIII−III線から
みた断面図である。図3に示すように、駆動トランジスタTdrや発光素子Eといった図1
の要素は基板10の表面上に形成される。基板10は、ガラスやプラスチックなど各種の
絶縁性材料からなる板状の部材である。なお、基板10を被覆する絶縁性の膜体(例えば
酸化珪素や窒化珪素などの膜体)を下地として画素Pの各要素を形成してもよい。
【0021】
図2に示すように、選択線11はX方向に延在し、信号線13および電源線15はX方
向と直交するY方向に延在する。発光素子Eを構成する第1電極21は信号線13と電源
線15との間隙に形成される。図4ないし図6は、図2に図示された要素が順次に形成さ
れていく様子を示す平面図である。なお、図4ないし図6においては、以後の工程にて第
1電極21が形成される領域(以下「電極形成領域」という)Aが二点鎖線によって図示
されている。
【0022】
図2ないし図4に示すように、基板10の表面上には半導体層31と半導体層41とが
画素Pごとに形成される。半導体層31と半導体層41とは、基板10の全域にわたって
形成された半導体材料(例えばシリコン)の膜体をパターニングすることによって同一の
工程で一括的に形成される。なお、半導体層31と半導体層41との関係のように、複数
の要素がひとつの膜体の選択的な除去によって同一の工程で形成されることを以下では単
に「同層から形成される」と表記する。同層から形成された各要素は同一の材料からなる

【0023】
図2および図4に示すように、半導体層31は、略L字状に成形された部分である。さ
らに詳述すると、半導体層31は、駆動トランジスタTdrを構成する素子部311と、電
極形成領域AからみてY方向の負側の領域にて素子部311からX方向に延在する延在部
313と、素子部311からY方向の正側に連続する電極Ea1とを含む。素子部311の
うちY方向における中途の部分にはX方向に延在する切欠部315が形成される。図4に
示される第1部分311aは切欠部315からみて延在部313側に位置する領域であり
、第2部分311bは切欠部315からみて電極Ea1側に位置する領域である。一方、半
導体層41は、電極形成領域AをY方向に挟んで延在部313とは反対側に形成されてX
方向に延在する。
【0024】
図3に示すように、半導体層31と半導体層41とが形成された基板10の表面はその
全域にわたってゲート絶縁層Lgに覆われる。図2・図3および図5に示すように、ゲー
ト絶縁層Lgの面上には中間導電体51と選択線11とが同層から形成される。図5に示
すように、中間導電体51は、電極Ea2とゲート電極511と接続部513とを含む。電
極Ea2は、基板10に垂直な方向からみて電極Ea1と重なり合う部分である。図3に示す
ように電極Ea1と電極Ea2とがゲート絶縁層Lgを挟んで対向することによって図1の容
量素子C1が形成される。接続部513は、電極形成領域AからみてY方向の正側の領域
にて電極Ea2からX方向に延在する部分である。
【0025】
ゲート電極511は、電極Ea2のうちX方向の中央部からY方向の負側に延在する部分
(電極Ea2よりも幅狭な部分)であり、切欠部315を跨いで第1部分311aおよび第
2部分311bと重なり合う。図2および図3に示すように、半導体層31のうちゲート
絶縁層Lgを挟んでゲート電極511に対向する部分がチャネル領域31cとされる。半導
体層31には、このチャネル領域31cを挟むようにソース領域31sとドレイン領域31
dとが形成される。ソース領域31sはチャネル領域31cからみて延在部313側の領域
であり、ドレイン領域31dはチャネル領域31cよりも電極Ea1側の領域である。したが
って、図5に示すように、ゲート電極511の線幅(X方向における寸法)が駆動トラン
ジスタTdrのチャネル長Lに相当し、第1部分311aのY方向における寸法が駆動トラ
ンジスタTdrのチャネル幅Wに相当する。駆動トランジスタTdrと容量素子C1とはY方
向に配列する。また、以上のように、半導体層31に切欠部315が形成された構成によ
って、半導体層31のソース領域31sと電極Ea1とが電気的に切り離されるとともに、
半導体層31のドレイン領域31dと電極Ea1とが電気的に接続される。
【0026】
選択線11は、半導体層41の近傍にてX方向に延在する。この選択線11からY方向
の負側に分岐して半導体層41と重なり合う部分111は選択トランジスタTslのゲート
電極として機能する。すなわち、半導体層41のうちゲート絶縁層Lgを挟んで部分11
1に対向する部分が選択トランジスタTslのチャネル領域である。
【0027】
図3に示すように、中間導電体51(ゲート電極511や電極Ea2)と選択線11とが
形成されたゲート絶縁層Lgの表面は第1絶縁層L1に覆われる。図2・図3および図6に
示すように、第1絶縁層L1の面上には、信号線13と接続部611と電源線15と電極
接続部68とが同層から形成される。
【0028】
信号線13は、電極形成領域AからみてX方向の負側の領域にてY方向に延在する配線
である。図5および図6に示すように、信号線13からX方向に分岐して半導体層41と
重なり合う部分131は、第1絶縁層L1とゲート絶縁層Lgとを貫通するコンタクトホー
ルCH1を介して半導体層41のドレイン領域に導通する。これにより部分131は選択
トランジスタTslのドレイン電極として機能する。
【0029】
接続部611は、X方向に延在して半導体層41および接続部513(中間導電体51
)の双方と重なり合う部分である。図5および図6に示すように、接続部611は、第1
絶縁層L1とゲート絶縁層Lgとを貫通するコンタクトホールCH2を介して半導体層41
のソース領域に導通する。これにより接続部611は選択トランジスタTslのソース電極
として機能する。さらに、接続部611は、第1絶縁層L1を貫通するコンタクトホール
CH3を介して接続部513に導通する。以上の構成によって選択トランジスタTslと電
極Ea2(さらには駆動トランジスタTdrのゲート電極511)とが電気的に接続される。
【0030】
電極接続部68は、半導体層31の延在部313と部分的に重なり合うように形成され
た略矩形状の部分である。図3・図5および図6に示すように、電極接続部68は、第1
絶縁層L1とゲート絶縁層Lgとを貫通するコンタクトホールCH4を介して延在部313
(半導体層31のソース領域31s)に導通する。すなわち、電極接続部68は駆動トラ
ンジスタTdrのソース電極として機能する。
【0031】
電源線15は、図2・図3および図6に示すように、基板10に垂直な方向からみて駆
動トランジスタTdrのチャネル領域31c(ゲート電極511)と重なり合う配線である
。本実施形態における電源線15は、Y方向に配列する駆動トランジスタTdrおよび容量
素子C1の双方と重なり合うようにY方向に延在する。さらに、本実施形態においては、
電源線15の延在する方向(Y方向)が駆動トランジスタTdrのチャネル幅Wの方向と一
致するように、チャネル領域31cとソース領域31sとドレイン領域31dとの形状や位
置(換言するとゲート電極511の形状)が選定されている。図5および図6に示すよう
に、素子部311の第2部分311bと重なり合う領域内にあってゲート電極511をX
方向に挟む各位置には、第1絶縁層L1とゲート絶縁層Lgとを貫通するコンタクトホール
CH5が形成される。電源線15は、各コンタクトホールCH5を介して半導体層31のド
レイン領域31dに導通する。すなわち、電源線15のうち第2部分311bと重なり合う
部分は、駆動トランジスタTdrのドレイン電極として機能する。
【0032】
図3に示すように、電極接続部68や電源線15が形成された第1絶縁層L1の表面は
第2絶縁層L2に覆われる。第2絶縁層L2の表面には第1電極21が形成される。第1電
極21は、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)といった光
透過性の導電性材料によって形成された略矩形状の電極であり、第2絶縁層L2を貫通す
るコンタクトホールCH6を介して電極接続部68に導通する。
【0033】
第1電極21が形成された第2絶縁層L2の面上には、各画素Pの境界を仕切る形状(
格子状)の隔壁25が形成される。この隔壁25は、相隣接する第1電極21を電気的に
絶縁させる役割(すなわち第1電極21の電位の個別的な制御を可能とする役割)を担う
。隔壁25の内周面に包囲されて第1電極21を底面とする窪みに発光層23が配置され
る。なお、発光層23による発光を促進または効率化するための各種の機能層(正孔注入
層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層)が発光層
23に積層された構成としてもよい。
【0034】
図3に示すように、第2電極22は、複数の画素Pにわたって連続に形成されて発光層
23と隔壁25とを覆う電極である。したがって、隔壁25は、各発光素子Eの間隙の領
域において各第1電極21と第2電極22とを電気的に絶縁する。換言すると、隔壁25
は、第1電極21と第2電極22との間に電流が流れる領域(すなわち実際に発光する領
域)を画定する。第2電極22は、アルミニウムや銀といった単体金属やこれらを主成分
とする合金など光反射性を有する導電性材料によって形成される。したがって、発光層2
3から基板10側に出射した光と、発光層23から基板10とは反対側に出射して第2電
極22の表面で反射した光とが、第1電極21と各絶縁層(L2・L1・Lg)と基板10
とを透過して出射する。すなわち、本実施形態の発光装置Dはボトムエミッション型であ
る。
【0035】
以上に説明したように、本実施形態においては、駆動トランジスタTdrのチャネル領域
31cや容量素子C1と重なり合うように電源線15が形成されるから、電源線15が駆動
トランジスタTdrや容量素子C1とは重なり合わないように形成された従来の構成と比較
して、駆動トランジスタTdrと容量素子C1と電源線15との総面積を削減することがで
きる。したがって、ボトムエミッション型の発光装置Dにおいて開口率を向上させること
ができる。また、開口率が向上するということは、発光装置Dから所期の光量を放射する
ために必要となる電気エネルギが低減されることを意味する。発光層23(特に有機EL
材料)は、高い電気エネルギが付与されるほど光学特性の劣化が進行するから、開口率が
向上される本実施形態によれば、発光層23を長寿命化することができるという効果が奏
される。
【0036】
ところで、各画素Pに供給される電源電位Vddの安定化や発光素子Eに対する充分な電
流の供給のためには電源線15が幅広であることが望ましい。しかしながら、電源線15
が駆動トランジスタTdrや容量素子C1と重なり合わない構成においては、電源線15の
線幅の拡大が開口率の低下に直結するという問題がある。これに対し、本実施形態におい
ては、駆動トランジスタTdr(チャネル領域31c)や容量素子C1と重なり合う範囲内で
電源線15を拡大しても開口率には何らの影響もない。したがって、本実施形態によれば
、開口率を低下させることなく電源線15について充分な線幅を確保して電源電位Vddを
安定化することができるという利点がある。
【0037】
また、コンタクトホールCH5の面積が小さい構成においては、コンタクトホールCH5
の形成の不良に起因して電源線15と駆動トランジスタTdrとが充分に導通しない場合や
、電源線15と駆動トランジスタTdr(半導体層31)との接触部の抵抗が増大する場合
がある。また、電源線15から駆動トランジスタTdrに大電流が流れ込むと電源線15と
駆動トランジスタTdrとの接触部が破壊される可能性もある。これに対し、本実施形態に
よれば、以上に説明したように電源線15の線幅が従来の構成と比較して拡大されるから
、コンタクトホールCH5の総数や各々の面積を充分に確保することができる。すなわち
、本実施形態に例示した構成においては、2個のコンタクトホールCH5が形成され、各
コンタクトホールCH5には電源線15と駆動トランジスタTdrとの確実な導通に必要な
面積が確保される。したがって、電源線15と駆動トランジスタTdrとを確実に導通させ
るとともに両者の接触部の抵抗を低減し、さらには両者の接触部の破壊を防止することが
できる。
【0038】
以上においては電源線15の線幅に着目したが、駆動トランジスタTdrの特性に着目す
ると、本実施形態には以下のような利点もある。すなわち、本実施形態においては、電源
線15によって覆われた領域の範囲内であれば、駆動トランジスタTdrのチャネル長Lや
チャネル幅Wを如何に選定したとしても開口率は変化しない。したがって、高い開口率を
維持しながら所望の特性の駆動トランジスタTdrを作成することができる。特に本実施形
態においては、電源線15の延在する方向(Y方向)がチャネル幅Wとなるようにチャネ
ル領域31c(ゲート電極511の形態)が画定されるから、駆動トランジスタTdrにつ
いて充分なチャネル幅Wを容易に確保することができる。したがって、発光素子Eに充分
な電流量を供給し得る駆動トランジスタTdrが実現される。
【0039】
なお、チャネル幅Wが大きい駆動トランジスタTdrは線形領域が広いから、チャネル幅
Wを充分に確保できる本実施形態は、駆動トランジスタTdrの抵抗値を段階的に変化させ
るべき方式の発光装置Dに特に好適である。このような方式としては、例えば、各画素P
に指定された階調に応じて駆動トランジスタTdrのゲート電極の電位を段階的に変化させ
ることで発光素子Eへの電流量を段階的に制御する方式がある。
【0040】
また、本実施形態によれば開口率を低下させることなくゲート電極511の面積(チャ
ネル領域31cの面積)が拡大されるから、駆動トランジスタTdrのゲート容量を容易に
確保することができる。このゲート容量はデータ電位Vdataの保持(ゲート電極511の
電位の保持)に利用されるから、本実施形態によれば、容量素子C1に必要となる静電容
量を低減することができる。したがって、容量素子C1を小面積化する(理想的には容量
素子C1を不要とする)ことができる。もっとも、本実施形態においては、駆動トランジ
スタTdrだけでなく容量素子C1にも重なり合うように電源線15が形成されるから、電
源線15によって覆われた領域の範囲内であれば、電極Ea1や電極Ea2の面積を如何に選
定したとしても開口率には影響しない。したがって、別の観点からすれば、開口率を低下
させることなく容量素子C1に充分な静電容量を確保できるという利点もある。
【0041】
本実施形態において、第1電極21を駆動トランジスタTdrに接続するための要素(延
在部313や電極接続部68)と、選択トランジスタTslを構成する要素(信号線13の
部分131や半導体層41や接続部611)とは、Y方向に沿って発光層23を挟む各位
置に形成される。また、発光層23からみてX方向の一方の側には信号線13が配置され
、他方の側には、駆動トランジスタTdrや容量素子C1が配置されるとともに電源線15
が両者と重なり合うように形成される。以上のように、本実施形態においては、発光層2
3の四方を包囲するように各種の素子や配線が配置されるから、発光層23の形状が単純
化されるとともにその面積が充分に確保されるというという利点がある。また、信号線1
3の部分131と半導体層41と接続部611と接続部513とがX方向に沿って配置さ
れ、各々を導通するためのコンタクトホール(CH1・CH2・CH3)がX方向に沿って
直線状に配列する。この構成によれば、部分131と半導体層41と接続部611と接続
部513とが直線的に配列しない構成と比較して、発光層23の形状の単純化や大面積化
をいっそう容易に実現することができる。
【0042】
<B−2:第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る発光装置Dの画素Pの具体的な構成を説明する。図
7は、本実施形態における画素Pの構成を示す平面図である。図8ないし図10は、図7
に示された要素が順次に形成されていく様子を示す平面図である。なお、以下に示す各実
施形態のうち第1実施形態と同様の要素については第1実施形態と共通の符号を付してそ
の詳細な説明を適宜に省略する。
【0043】
図7および図8に示すように、基板10の面上には半導体層32と半導体層42とが同
層から形成される。半導体層32は、第1実施形態の半導体層31と同様に、素子部32
1と延在部323と電極Ea1とを含む。ただし、本実施形態における素子部321に切欠
部315は形成されていない。また、本実施形態の半導体層42は、Y方向を長手とする
島状の部分である。半導体層32と半導体層42とが形成された基板10の表面はゲート
絶縁層Lgに覆われる。
【0044】
図7および図9に示すように、ゲート絶縁層Lgの面上には選択線11と中間導電体5
2とが同層から形成される。選択線11は、X方向に延在して半導体層42と交差する。
半導体層42のうちゲート絶縁層Lgを挟んで選択線11に対向する部分が選択トランジ
スタTslのチャネル領域となる。
【0045】
中間導電体52は、電極Ea1に対向して容量素子C1を構成する電極Ea2と、電極Ea2
からみてY方向の負側に間隔をあけて隣接するゲート電極521と、電極Ea2とゲート電
極521とを連結する連結部522と、第1実施形態の接続部513と同形態の接続部5
23とを含む。ゲート電極521は、半導体層32の素子部321と重なり合う電極であ
り、連結部522から素子部321の略全幅(X方向の寸法)にわたってX方向に延在す
る。図7に示すように、半導体層32のうちゲート絶縁層Lgを挟んでゲート電極521
に対向する部分がチャネル領域32cである。このチャネル領域32cを挟むようにソース
領域32sおよびドレイン領域32dが形成される。したがって、本実施形態においては、
図9に示すように、ゲート電極521のY方向における寸法がチャネル長Lに相当し、ゲ
ート電極521のX方向における寸法がチャネル幅Wに相当する。
【0046】
選択線11と中間導電体52とが形成されたゲート絶縁層Lgの表面は第1絶縁層L1に
覆われる。図7および図10に示すように、第1絶縁層L1の面上には、信号線13と接
続部621と電極接続部68と電源線15とが形成される。信号線13は、第1実施形態
と同様に、部分131と半導体層42と接続部621とを介して電極Ea2に電気的に接続
される。
【0047】
図10に示すように、電源線15は、基板10に垂直な方向からみて駆動トランジスタ
Tdr(特にチャネル領域31c)および容量素子C1の双方と重なり合うようにY方向に延
在する。素子部321のうち中間導電体52と重なり合わない部分(より具体的にはゲー
ト電極521と電極Ea2との間隙)には、第1絶縁層L1とゲート絶縁層Lgとを貫通する
2個のコンタクトホールCH5が形成される。電源線15は、各コンタクトホールCH5を
介して半導体層32のドレイン領域32dに導通する。
【0048】
電極接続部68は、第1実施形態と同様に、コンタクトホールCH4を介して半導体層
32の延在部323に導通する。発光素子Eの第1電極21は、図7および図10に示す
ように、信号線13や電源線15を覆う第2絶縁層L2のコンタクトホールCH6を介して
電極接続部68に導通する。発光層23や隔壁25や第2電極22の構成は第1実施形態
と同様である。
【0049】
以上のように、本実施形態においても、駆動トランジスタTdrのチャネル領域32c(
ゲート電極521)や容量素子C1と重なり合うように電源線15が形成されるから、第
1実施形態と同様の作用および効果が奏される。また、本実施形態においては、電源線1
5の延在する方向(Y方向)がチャネル長Lとなるようにチャネル領域32cとソース領
域32sとドレイン領域32dとが画定されるから、駆動トランジスタTdrについて充分な
チャネル長Lを容易に確保することができる。チャネル長Lが大きい駆動トランジスタT
drは飽和領域が広いから、駆動トランジスタTdrのオン状態とオフ状態とが明確に区別さ
れるべき方式の発光装置Dに本実施形態は特に好適である。このような方式としては、例
えば、各画素Pに指定された階調に応じて駆動トランジスタTdrのオン状態の期間とオフ
状態の期間とを比率を変化させることで発光素子Eの光量(階調)を制御する方式(パル
ス幅変調方式による階調制御)がある。
【0050】
なお、本実施形態においても、図2に例示した第1実施形態と同様に、信号線13の部
分131と半導体層41と接続部621と接続部523とがX方向に沿って配列されると
ともに各コンタクトホール(CH1・CH2・CH3)がX方向に沿って直線状に配列する
構成を採用することができる。この構成によれば、発光層23の形状の単純化や大面積化
をいっそう容易に実現することができる。
【0051】
<B−3:第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る発光装置Dの画素Pの具体的な構成を説明する。図
11は、本実施形態における画素Pの構成を示す平面図である。同図に示すように、本実
施形態においては、選択線11がY方向に延在するとともに信号線13および電源線15
がX方向に延在する。図12ないし図14は、図11に示された各要素が順次に形成され
ていく様子を示す平面図である。
【0052】
図11および図12に示すように、基板10の面上には半導体層33と半導体層43と
が同層から形成される。半導体層33は、略コ字状(略U字状)の部分である。さらに詳
述すると、半導体層33は、X方向に延在する電極Ea1と、電極Ea1からX方向の正側に
連続する素子部331と、電極Ea1や素子部331と電極形成領域Aとの間隙にてX方向
に延在する延在部333と、素子部331と延在部333とを各々のX方向の正側の端部
にて相互に連結する連結部335とを含む。
【0053】
半導体層43は、各々がX方向に延在する4個の部分(431ないし434)とY方向
に延在する接続部436とを含む。部分431と部分432とはX方向における負側の端
部にて相互に連結される。部分432と部分433とはX方向における正側の端部にて相
互に連結される。また、部分433と部分434とはX方向における負側の端部にて相互
に連結される。接続部436は部分434のX方向における正側の端部に連結される。
【0054】
図11および図13に示すように、半導体層33と半導体層43とを覆うゲート絶縁層
Lgの面上には選択線11と中間導電体53とが同層から形成される。選択線11は、Y
方向に延在して半導体層43の部分431ないし部分434と交差する。この構成におい
て、部分431ないし部分434の各々のうち選択線11と重なり合う部分が選択トラン
ジスタTslのチャネル領域となる。すなわち、本実形態における選択トランジスタTslは
、部分431および部分432を含むデュアルゲート構造のトランジスタと部分433お
よび部分434を含むデュアルゲート構造のトランジスタとが直列に配列された構成であ
る。この構成によれば、単一のチャネル領域のみを含むひとつのトランジスタが選択トラ
ンジスタTslとして利用される構成と比較して、半導体層43の各チャネル領域を介した
電流のリークを抑制することができる。
【0055】
図13に示すように、中間導電体53は、X方向を長手とする電極Ea2と、電極Ea2か
らX方向の正側に延在するゲート電極531と、電極Ea2におけるX方向の負側の周縁か
らY方向に延在する接続部533とを含む。電極Ea2と電極Ea1とがゲート絶縁層Lgを
挟んで対向することによって容量素子C1が形成される。
【0056】
ゲート電極531は、半導体層33の素子部331と重なり合う電極であり、連結部3
35の略全幅にわたってX方向に延在する。図11および図13に示すように、半導体層
33のうちゲート絶縁層Lgを挟んでゲート電極531に対向する部分が駆動トランジス
タTdrのチャネル領域33cである。また、半導体層33のうちチャネル領域33cを挟ん
で電極Ea2側に位置する領域はドレイン領域33dであり、延在部333側に位置する領
域はソース領域33sである。したがって、図13に示すように、ゲート電極531の線
幅(Y方向の寸法)がチャネル長Lに相当し、連結部335のX方向における寸法がチャ
ネル幅Wに相当する。また、駆動トランジスタTdrと容量素子C1とはX方向に配列する

【0057】
選択線11と中間導電体53とが形成されたゲート絶縁層Lgの表面は第1絶縁層L1に
覆われる。図11および図14に示すように、第1絶縁層L1の面上には、信号線13と
接続部631と電極接続部68と電源線15とが同層から形成される。信号線13は、第
1絶縁層L1とゲート絶縁層Lgとを貫通するコンタクトホールCH1を介して半導体層4
3の接続部436に導通する。電極接続部68の形態や他の要素との接続の関係は第1実
施形態や第2実施形態と同様である。
【0058】
接続部631は、半導体層43の部分431におけるX方向の正側の端部と中間導電体
53の接続部533とに重なり合うようにY方向に延在する。図13および図14に示す
ように、接続部631は、コンタクトホールCH2を介して部分431に導通するととも
に、コンタクトホールCH3を介して中間導電体53の接続部533に導通する。すなわ
ち、選択トランジスタTslのソース電極(部分431)と容量素子C1の電極Ea2(さら
には駆動トランジスタTdrのゲート電極531)とが接続部631を介して電気的に接続
される。
【0059】
電源線15は、基板10に垂直な方向からみて駆動トランジスタTdrのチャネル領域3
3cおよび容量素子C1の双方と重なり合うようにX方向に延在する。素子部331のうち
中間導電体52と重なり合わない領域には第1絶縁層L1とゲート絶縁層Lgとを貫通する
コンタクトホールCH5が形成される。電源線15は、このコンタクトホールCH5を介し
て半導体層33のドレイン領域33dに導通する。
【0060】
以上に説明したように、本実施形態においても駆動トランジスタTdrのチャネル領域3
3c(ゲート電極531)や容量素子C1と重なり合うように電源線15が形成されるから
、第1実施形態と同様の作用および効果が奏される。また、本実施形態においては、電源
線15の延在する方向とチャネル幅Wの方向とが一致するようにチャネル領域33cとソ
ース領域33sとドレイン領域33dとが画定されるから、第1実施形態と同様に、駆動ト
ランジスタTdrについて充分なチャネル幅Wを確保することができるという利点がある。
【0061】
また、本実施形態においては、基板10に垂直な方向からみて電極接続部68と信号線
13との間隙の領域に駆動トランジスタTdrが配置され、この駆動トランジスタTdrを覆
う電源線15が信号線13と同層から形成される。この構成においては、信号線13と電
源線15とが近接するから、駆動トランジスタTdrと信号線13とが隣接する構成にも拘
わらず、信号線13に発生したノイズが駆動トランジスタTdrや電極接続部68に与える
影響を低減ないし防止することが可能である。
【0062】
なお、第1実施形態や第2実施形態においては、信号線13と容量素子C1(駆動トラ
ンジスタTdr)とがX方向に沿って発光層23を挟む各位置に配置された構成を例示した
。この構成においては、信号線13と容量素子C1との間の選択トランジスタTslに関わ
る要素(部分131・半導体層41・接続部611(621)および接続部513(52
3))を、発光層23のX方向における全幅にわたって配置する必要がある。これに対し
、本実施形態においては、選択トランジスタTslに関わる要素(半導体層43や接続部6
31)を発光層23とは無関係に配置することができるから、第1実施形態や第2実施形
態と対比すると、例えば部分131や接続部611を省略できる分だけ開口率を増加する
ことができる。
【0063】
また、本実施形態においては、駆動トランジスタTdrからみて発光層23側の領域内に
コンタクトホールCH2・CH3・CH4およびCH6が相互に近接して配置される。この構
成によれば、例えばコンタクトホールCH2やCH3が駆動トランジスタTdrからみてX方
向の一方の側に形成された構成と比較して、電源線15がX方向に延在する領域を充分に
確保できるという利点がある。
【0064】
<B−4:第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る発光装置Dの画素Pの具体的な構成を説明する。図
15は、本実施形態における画素Pの構成を示す平面図である。同図に示すように、本実
施形態においては、第3実施形態と同様に、選択線11がY方向に延在するとともに信号
線13および電源線15がX方向に延在する。図16ないし図18は、図15に示された
各要素が順次に形成されていく様子を示す平面図である。なお、本実施形態のうち第3実
施形態と同様の要素については共通の符号を付してその詳細な説明を適宜に省略する。
【0065】
図15および図16に示すように、基板10の面上には半導体層34と半導体層44と
が同層から形成される。半導体層34は、電極形成領域AからみてY方向の正側に位置す
る略矩形状の部分である。半導体層44は、第3実施形態の半導体層43と同じ形状であ
る。
【0066】
図15および図17に示すように、半導体層34と半導体層44とを覆うゲート絶縁層
Lgの面上には選択線11と中間導電体54とが同層から形成される。選択線11は第3
実施形態と同様である。図17に示すように、中間導電体54はゲート電極541と接続
部543とを含む。ゲート電極541は、ゲート絶縁層Lgを挟んで半導体層34と重な
り合う部分であり、半導体層34の略全幅にわたってX方向に延在する。接続部543は
、第3実施形態の接続部533と同様に、ゲート電極541の端部からY方向に延在する

【0067】
図15に示すように、半導体層34のうちゲート絶縁層Lgを挟んでゲート電極541
に対向する部分が駆動トランジスタTdrのチャネル領域34cである。また、半導体層3
4のうちチャネル領域34cを挟んで電極形成領域A側に位置する領域がソース領域34s
であり、その反対側に位置する領域がドレイン領域34dである。したがって、図17に
示すように、ゲート電極541の線幅(Y方向の寸法)がチャネル長Lに相当し、半導体
層34のX方向における寸法がチャネル幅Wに相当する。
【0068】
図18に示すように、選択線11と中間導電体54とを覆う第1絶縁層L1の面上には
、信号線13と接続部641と電極接続部68と電源線15とが同層から形成される。信
号線13・接続部641および電極接続部68の各々の形態や他の要素との接続の関係は
、第3実施形態における信号線13・接続部631および電極接続部68と同様である。
【0069】
電源線15は、第3実施形態と同様に、基板10に垂直な方向からみて駆動トランジス
タTdrのチャネル領域34cと重なり合うようにX方向に延在する。図15および図18
に示すように、この電源線15は、第1絶縁層L1とゲート絶縁層Lgとを貫通する複数(
5個)のコンタクトホールCH5を介して半導体層34のドレイン領域34dに導通する。
複数のコンタクトホールCH5は、ゲート電極541に沿ってX方向に配列する。
【0070】
以上に説明したように、本実施形態においても駆動トランジスタTdrのチャネル領域3
4c(ゲート電極541)と重なり合うように電源線15が形成されるから、第1実施形
態や第3実施形態と同様の作用および効果が奏される。また、本実施形態においては、ゲ
ート電極541に沿って複数のコンタクトホールCH5が形成されるから、第3実施形態
と比較して、駆動トランジスタTdrと電源線15とを確実に導通させるとともに両者の接
触部の抵抗を低減することができる。なお、本実施形態において図1の容量素子C1は独
立して形成されないが、半導体層34の全幅にわたってゲート電極541が形成されるこ
とでデータ電位Vdataの保持に充分な静電容量を確保することが可能である。
【0071】
<C:第5実施形態>
<C−1:画素の電気的な構成>
次に、本発明の第5実施形態に係る発光装置Dの構成を説明する。図19は、発光装置
Dにおけるひとつの画素Pの電気的な構成を示す回路図である。同図に示すように、本実
施形態においては、pチャネル型の駆動トランジスタTdrのソース電極が電源線15に接
続されるとともにドレイン電極が発光素子Eの第1電極21に接続される。選択トランジ
スタTslのゲート電極が選択線11に接続されるとともにドレイン電極が信号線13に接
続される点は図1の構成と同様である。
【0072】
図19に示すように、駆動トランジスタTdrのゲート電極とドレイン電極(発光素子E
の第1電極21)との間には、両者の電気的な接続を制御するためのnチャネル型のトラ
ンジスタ(以下「初期化トランジスタ」という)Tintが介在する。初期化トランジスタ
Tintのゲート電極は初期化信号INTが供給される初期化線12に接続される。初期化
線12は、例えばX方向に配列する複数の画素Pにて共用される。
【0073】
また、本実施形態の画素Pは電極Eb1と電極Eb2とから構成される容量素子C2を含む
。電極Eb1は選択トランジスタTslのソース電極に接続される。電極Eb2は駆動トランジ
スタTdrのゲート電極に接続される。なお、図19においては図示を省略したが、図1に
例示された構成と同様に、駆動トランジスタTdrのゲート電極の電位を保持する容量素子
C1をゲート電極と電源線15との間に配置してもよい。
【0074】
次に、ひとつの画素Pの動作を初期化期間と書込期間と駆動期間とに区分して説明する
。まず、初期化期間においては、信号線13に所定の電位Vrefが供給されるとともに、
選択線11の選択信号Sと初期化線12の初期化信号INTとがアクティブレベル(ハイ
レベル)を維持する。したがって、容量素子C2の電極Eb1には信号線13から選択トラ
ンジスタTslを介して電位Vrefが供給される。また、初期化トランジスタTintがオン状
態に変化することによって駆動トランジスタTdrがダイオード接続される。したがって、
駆動トランジスタTdrのゲート電極の電位Vgは、電源線15の電源電位Vddと駆動トラ
ンジスタTdrの閾値電圧Vthとの差分値(Vg=Vdd−Vth)に収束する。
【0075】
次に、初期化期間の経過後の書込期間においては、初期化信号INTが非アクティブレ
ベル(ローレベル)に遷移して駆動トランジスタTdrのダイオード接続が解除される。そ
して、選択トランジスタTslがオン状態に維持されたまま、信号線13から電極Eb1に供
給される電位Vrefが画素Pの階調に応じたデータ電位Vdataに変更される。駆動トラン
ジスタTdrのゲート電極のインピーダンスは充分に高いから、電極Eb1が電位Vrefから
データ電位Vdataまで変化量ΔV(=Vref−Vdata)だけ変動すると、電極Eb2の電位
は容量素子C2における容量カップリングによってその直前の電位Vg(=Vdd−Vth)か
ら変動する。このときの電極Eb2の電位の変化量は、容量素子C2とその他の寄生容量(
例えば駆動トランジスタTdrのゲート容量やその他の配線に寄生する容量、あるいは画素
Pが容量素子C1を含む場合にはこの容量素子C1)との容量比に応じて定まる。より具体
的には、容量素子C2の静電容量を「C」とし寄生容量の静電容量を「Cs」とすると、電
極Eb2の電位の変化量は「ΔV・C/(C+Cs)」と表現される。したがって、書込期
間の終点において駆動トランジスタTdrの電位Vgは以下の式(1)のレベルで安定する。
Vg=Vdd−Vth−k・ΔV ……(1)
ただし、k=C/(C+Cs)
【0076】
書込期間の経過後の駆動期間においては、選択信号Sが非アクティブレベルに遷移して
選択トランジスタTslがオフ状態に変化する。そして、駆動トランジスタTdrのゲート電
極の電位Vgに応じた電流が電源線15から駆動トランジスタTdrを経由して発光素子E
に供給される。この電流の供給によって発光素子Eはデータ電位Vdataに応じた光量で発
光する。
【0077】
いま、駆動トランジスタTdrが飽和領域で動作すると仮定すれば、駆動期間にて発光素
子Eに供給される電流Iは以下の式(2)によって表現される。ただし、「β」は駆動トラ
ンジスタTdrの利得係数であり、「Vgs」は駆動トランジスタTdrのゲート−ソース間の
電圧である。
I=(β/2)(Vgs−Vth)2 ……(2)
=(β/2)(Vdd−Vg−Vth)2
式(1)の代入によって式(2)は以下のように変形される。
I=(β/2)(k・ΔV)2
すなわち、本実施形態において発光素子Eに供給される電流Iは駆動トランジスタTdr
の閾値電圧Vthに依存しない。したがって、各駆動トランジスタTdrの閾値電圧Vthのバ
ラツキに起因した発光素子Eの光量の誤差(輝度のムラ)を抑制することができる。
【0078】
<C−2:画素Pの構造>
次に、図20ないし図23を参照して、本実施形態における画素Pの具体的な構造を説
明する。図20は、ひとつの画素Pの構成を示す平面図であり、図21ないし図23は、
図20に示された各要素が順次に形成されていく様子を示す平面図である。
【0079】
図20および図21に示すように、基板10の面上には半導体層35と半導体層45と
が同層から形成される。半導体層35は、駆動トランジスタTdrを構成する略矩形状の第
1素子部351と、第1素子部351に連設された第2素子部352と、第1素子部35
1からX方向の負側に延在する延在部353とを含む。第2素子部352は、図19の初
期化トランジスタTintを構成する部分であり、第1素子部351からY方向の負側に突
出する部分352aと、部分352aからみてX方向の正側にてY方向に延在する部分35
2bとを、各々のY方向の負側の端部にて相互に連結した形状となっている。
【0080】
半導体層45は、電極Eb1と素子部451とを含む。電極Eb1は、図19の容量素子C
2を構成する略矩形状の電極である。素子部451は、選択トランジスタTslを構成する
部分であり、電極Eb1からY方向の正側に突出する部分451aと、部分451aからみて
X方向の正側にてY方向に延在する部分451bとを、各々のY方向の正側の端部にて相
互に連結した形状である。
【0081】
図20および図22に示すように、半導体層35と半導体層45とを覆うゲート絶縁層
Lgの面上には選択線11と初期化線12と中間導電体55とが同層から形成される。選
択線11は、X方向に延在して半導体層45の素子部451と重なり合う。半導体層45
の部分451aおよび部分451bの各々のうちゲート絶縁層Lgを介して選択線11と対
向する領域がチャネル領域となる。また、初期化線12は、X方向に延在して半導体層3
5の第2素子部352と重なり合う。半導体層35の部分352aおよび部分352bの各
々のうちゲート絶縁層Lgを介して初期化線12と対向する領域がチャネル領域となる。
以上のように、本実施形態における選択トランジスタTslおよび初期化トランジスタTin
tはデュアルゲート構造のトランジスタである。
【0082】
中間導電体55は、略矩形状の電極Eb2と、電極Eb2からみてY方向の負側に間隔をあ
けて隣接するゲート電極551と、電極Eb2とゲート電極551とを連結する連結部55
2とを含む。電極Eb1と電極Eb2とがゲート絶縁層Lgを挟んで対向することによって図
19の容量素子C2が構成される。
【0083】
ゲート電極551は、半導体層35の第1素子部351と重なり合う電極であり、連結
部552から第1素子部351の略全幅にわたってX方向に延在する。図20に示すよう
に、半導体層35(第1素子部351)のうちゲート絶縁層Lgを挟んでゲート電極55
1に対向する部分が駆動トランジスタTdrのチャネル領域35cである。また、半導体層
35には、チャネル領域35cを挟んで延在部353側に位置するドレイン領域35dと、
半導体層45側に位置するソース領域35sとが形成される。したがって、図22に示す
ように、ゲート電極551のY方向における寸法が駆動トランジスタTdrのチャネル長L
に相当し、第1素子部351のX方向における寸法がチャネル幅Wに相当する。また、駆
動トランジスタTdrと容量素子C2とはY方向に配列する。
【0084】
選択線11と初期化線12と中間導電体55とが形成されたゲート絶縁層Lgの表面は
第1絶縁層L1に覆われる。図20および図23に示すように、第1絶縁層L1の面上には
、信号線13と接続部651と電極接続部68と電源線15とが形成される。Y方向に延
在する信号線13は、第1絶縁層L1とゲート絶縁層Lgとを貫通するコンタクトホールC
H1を介して部分451b(すなわち選択トランジスタTslのドレイン電極)に導通する。
電極接続部68の形態や他の要素との接続の関係は第1実施形態と同様である。
【0085】
電源線15は、駆動トランジスタTdrのチャネル領域35c(ゲート電極551)およ
び容量素子C2の双方と重なり合うようにY方向に延在する。図22および図23に示す
ように、第1素子部351のうち中間導電体55と重なり合わない部分(より具体的には
ゲート電極551と電極Eb2との間隙)には2個のコンタクトホールCH5が形成される
。電源線15は、コンタクトホールCH5を介して半導体層35のソース領域35sに導通
する。
【0086】
電源線15のうちX方向の正側の周縁には切欠部151が形成される。接続部651は
、この切欠部151の内側に電源線15から離間して形成された部分であり、第2素子部
352の部分352bと中間導電体55のゲート電極551とに重なり合うようにY方向
に延在する。図22および図23に示すように、接続部651は、第1絶縁層L1とゲー
ト絶縁層Lgとを貫通するコンタクトホールCH2を介して第2素子部352(部分352
b)に導通するとともに、第1絶縁層L1を貫通するコンタクトホールCH3を介して中間
導電体55(ゲート電極551)に導通する。すなわち、初期化トランジスタTintと駆
動トランジスタTdrのゲート電極551とが接続部651を介して電気的に接続される。
【0087】
以上に説明したように、本実施形態においても駆動トランジスタTdrのチャネル領域3
5c(ゲート電極551)や容量素子C2と重なり合うように電源線15が形成されるから
、第1実施形態と同様の作用および効果が奏される。また、電源線15の延在する方向(
Y方向)が駆動トランジスタTdrのチャネル長Lの方向と一致するから、第2実施形態と
同様にチャネル長Lを充分に確保することができるという利点がある。
【0088】
<D:変形例>
以上の各形態には様々な変形を加えることができる。具体的な変形の態様を例示すれば
以下の通りである。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。
【0089】
(1)変形例1
以上の実施形態においては、半導体層(31,32,33,34,35)の上層にゲー
ト電極(511,521,531,541,551)が形成されたトップゲート構造の駆
動トランジスタTdrを例示したが、半導体層の下層にゲート電極が形成された(すなわち
半導体層と基板10との間にゲート電極が介在する)ボトムゲート構造のトランジスタを
駆動トランジスタTdrとして採用してもよい。なお、以上の各形態のように駆動トランジ
スタTdrをトップゲート構造とした場合には、第1絶縁層L1を挟んでゲート電極と電源
線15とが対向する部分が、駆動トランジスタTdrのゲート電極の電位を保持するための
容量素子として機能する。この構成によれば容量素子C1に必要となる静電容量が低減さ
れるから、容量素子C1が小型化される(理想的には第4実施形態や第5実施形態に例示
したように容量素子C1が省略される)という利点がある。
【0090】
(2)変形例2
以上の各形態においてはボトムエミッション型の発光装置Dを例示したが、発光素子か
らの放射光が基板10とは反対側に出射するトップエミッション型の発光装置にも本発明
は適用される。駆動トランジスタTdrや電源線15の配置に要するスペースが大きい場合
には、トップエミッション型の発光装置においても画素Pの高精細化が制約されるといっ
た種々の不利益がある。本発明によれば駆動トランジスタTdrおよび電源線15の総面積
が削減されるから、トップエミッション型の発光装置に適用された場合には、これらの不
利益を解消できるという利点がある。もっとも、ボトムエミッション型の発光装置Dにお
いては発光素子Eによる放射光の出射側(すなわち発光素子Eからみて基板10側)に駆
動トランジスタTdrや電源線15が配置されるから、駆動トランジスタTdrや電源線15
の面積の増大は開口率の低下に直結する。したがって、駆動トランジスタTdrや電源線1
5の面積を縮小できる本発明は、開口率が問題となるボトムエミッション型の発光装置D
に特に好適であると言える。
【0091】
(3)変形例3
以上の各形態においては、駆動トランジスタTdrのチャネル領域(31c,32c,33
c,34c,35c)の全域と重なり合うように電源線15が形成された構成を例示したが
、このチャネル領域の一部と重なり合うように電源線15が形成された構成としてもよい
。また、チャネル領域だけでなくソース領域(31s,32s,33s,34s,35s)や
ドレイン領域(31d,32d,33d,34d,35d)に重なり合うように電源線15が
形成された構成も採用される。
【0092】
(4)変形例4
以上の各形態を適宜に組み合わせてもよい。例えば、第5実施形態のように駆動トラン
ジスタTdrの閾値電圧Vthを補償する画素Pにおいて、第1実施形態・第3実施形態およ
び第4実施形態と同様に、電源線15の延在する方向と駆動トランジスタTdrのチャネル
幅Wの方向とが一致するように、半導体層35におけるチャネル領域35c・ソース領域
35sおよびドレイン領域35dの形状や電源線15の方向が選定された構成としてもよい

【0093】
(5)変形例5
以上の各形態においては、隔壁25の内周縁の内側の領域のみに発光層23が形成され
た構成を例示したが、基板10の全面(より詳細には第2絶縁層L2の全面)にわたって
発光層23が連続に形成された構成としてもよい。この構成によれば、例えば、スピンコ
ート法などの低廉な成膜技術を発光層23の形成に採用できるという利点がある。なお、
第1電極21は発光素子Eごとに個別に形成されるから、発光層23が複数の発光素子E
にわたって連続するとは言っても、発光層23の光量は発光素子Eごとに個別に制御され
る。以上のように発光層23が複数の発光素子Eにわたって連続する構成においては隔壁
25を省略してもよい。
【0094】
なお、隔壁25で仕切られた各空間に発光材料の液滴を吐出するインクジェット法(液
滴吐出法)で発光層23を形成する場合には、以上の各形態のように第2絶縁層L2の面
上に隔壁25を配置した構成が好適に採用される。ただし、発光層23を発光素子Eごと
に形成するための方法は適宜に変更される。より具体的には、基板10の全域に形成され
た発光材料の膜体を選択的に除去する方法や、レーザ転写(LITI: Laser-Induced Therma
l Imaging)法など各種のパターニング技術によっても発光層23は発光素子Eごとに形
成される。この場合には、隔壁25の形成を不要としながら発光素子Eごとに独立に発光
層23を形成できる。以上のように、本発明の発光装置において隔壁25は必ずしも必要
な要素ではない。
【0095】
(6)変形例6
以上の各形態においては有機EL材料からなる発光層23を含む発光素子Eを例示した
が、本発明における発光素子はこれに限定されない。例えば、無機EL材料からなる発光
層を含む発光素子やLED(Light Emitting Diode)素子など様々な発光素子を採用する
ことができる。本発明における発光素子は、電気エネルギの供給(典型的には電流の供給
)によって発光する素子であれば足り、その具体的な構造や材料の如何は不問である。
【0096】
<E:応用例>
次に、本発明に係る発光装置を利用した電子機器の具体的な形態を説明する。図24は
、以上に説明した何れかの形態に係る発光装置Dを表示装置として採用したモバイル型の
パーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は
、表示装置としての発光装置Dと本体部2010とを備える。本体部2010には、電源
スイッチ2001およびキーボード2002が設けられている。この発光装置Dは有機E
L材料の発光層23を発光素子Eに使用しているので、視野角が広く見易い画面を表示で
きる。
【0097】
図25に、各形態に係る発光装置Dを適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3
000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002、ならびに表示装
置としての発光装置Dを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、発
光装置Dに表示される画面がスクロールされる。
【0098】
図26に、各形態に係る発光装置Dを適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digit
al Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001お
よび電源スイッチ4002、ならびに表示装置としての発光装置Dを備える。電源スイッ
チ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が発光装置Dに表
示される。
【0099】
なお、本発明に係る発光装置が適用される電子機器としては、図24から図26に示し
たもののほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置
、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、
テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネル
を備えた機器等などが挙げられる。また、本発明に係る発光装置の用途は画像の表示に限
定されない。例えば、光書込み型のプリンタや電子複写機といった画像形成装置において
は、用紙などの記録材に形成されるべき画像に応じて感光体を露光する書込みヘッドが使
用されるが、この種の書込みヘッドとしても本発明の発光装置を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】発光装置の電気的な構成を示す回路図である。
【図2】第1実施形態における画素の構成を示す平面図である。
【図3】図2におけるIII−III線からみた断面図である。
【図4】半導体層が形成された段階を示す平面図である。
【図5】選択線や中間導電体が形成された段階を示す平面図である。
【図6】信号線や電源線が形成された段階を示す平面図である。
【図7】第2実施形態に係る画素の構成を示す平面図である。
【図8】半導体層が形成された段階を示す平面図である。
【図9】選択線や中間導電体が形成された段階を示す平面図である。
【図10】信号線や電源線が形成された段階を示す平面図である。
【図11】第3実施形態に係る画素の構成を示す平面図である。
【図12】半導体層が形成された段階を示す平面図である。
【図13】選択線や中間導電体が形成された段階を示す平面図である。
【図14】信号線や電源線が形成された段階を示す平面図である。
【図15】第4実施形態に係る画素の構成を示す平面図である。
【図16】半導体層が形成された段階を示す平面図である。
【図17】選択線や中間導電体が形成された段階を示す平面図である。
【図18】信号線や電源線が形成された段階を示す平面図である。
【図19】本発明の第5実施形態に係る発光装置の画素の電気的な構成を示す回路図である。
【図20】第5実施形態に係る画素の構成を示す平面図である。
【図21】半導体層が形成された段階を示す平面図である。
【図22】選択線や中間導電体が形成された段階を示す平面図である。
【図23】信号線や電源線が形成された段階を示す平面図である。
【図24】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【図25】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【図26】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0101】
D……発光装置、E……発光素子、P……画素、11……選択線、12……初期化線、1
3……信号線、15……電源線、21……第1電極、22……第2電極、23……発光層
、25……隔壁、Lg……ゲート絶縁層、L1……第1絶縁層、L2……第2絶縁層、31
,32,33,34,35,41,42,43,44,45……半導体層、31c,32c
,33c,34c,35c……チャネル領域、31s,32s,33s,34s,35s……ソー
ス領域、31d,32d,33d,34d,35d……ドレイン領域、51,52,53,5
4,55……中間導電体、511,521,531,541,551……ゲート電極、6
8……電極接続部、L……チャネル長、W……チャネル幅。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源線から発光素子に供給される電流量を制御する駆動トランジスタが基板上に形成さ
れた発光装置であって、
前記駆動トランジスタは、
ソース領域とドレイン領域との間にチャネル領域が形成された半導体層と、
ゲート絶縁層を挟んで前記チャネル領域に対向するゲート電極とを含み、
前記電源線は、前記チャネル領域と重なり合う
ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記半導体層には、前記電源線の延在する方向がチャネル長となるように前記ソース領
域と前記ドレイン領域と前記チャネル領域とが形成される
請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記半導体層には、前記電源線の延在する方向がチャネル幅となるように前記ソース領
域と前記ドレイン領域と前記チャネル領域とが形成される
請求項1に記載の発光装置。
【請求項4】
前記半導体層および前記ゲート電極を覆う第1絶縁層を具備し、
前記ゲート電極は前記電源線と同方向に延在し、
前記電源線は、前記第1絶縁層に形成された複数のコンタクトホールを介して前記ソー
ス領域および前記ドレイン領域の何れかに導通し、
前記複数のコンタクトホールは、前記ゲート電極に沿って配列する
請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
第1電極と第2電極とを含む容量素子を具備し、
前記駆動トランジスタと前記容量素子とは前記電源線が延在する方向に配列し、
前記ゲート電極と前記第2電極とは電気的に接続され、
前記電源線は、前記チャネル領域および前記容量素子と重なり合う
請求項1から請求項3の何れかに記載の発光装置。
【請求項6】
前記第1電極は、前記半導体層と同一の材料によって形成され、
前記第2電極は、前記ゲート電極と同一の材料によって形成され、前記ゲート絶縁層を
挟んで前記第1電極に対向する
請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記発光素子からの放射光は、前記基板を透過して出射する
請求項1から請求項6の何れかに記載の発光装置。
【請求項8】
前記半導体層は、前記ゲート電極と前記基板との間に介在し、
前記電源線は、前記ゲート電極を挟んで前記半導体層とは反対側に形成される
請求項1から請求項7の何れかに記載の発光装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れかに記載の発光装置を具備する電子機器。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2007−148215(P2007−148215A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−345295(P2005−345295)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】