説明

発光装置および電子機器

【課題】表示サイズの小型化、表示の高精細化を進めた場合に、ある特定の画素だけを発光させたいとき、当該特定の画素に隣り合う画素も発光してしまうのを抑える。
【解決手段】基板体101に、RGBの各々に対応して配列し、それぞれが陽極として機能する画素電極52R、52G、52Bと、基板体101を平面視したときに画素電極の間隙に設けられ、画素電極よりも低い電位に維持された配線54と、画素電極および配線の上側に形成されるとともに発光層72を含み、RGBにわたって共通の有機EL層70と、有機EL層70の上側に形成されるとともに、陰極として機能する共通電極118と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示品位の低下を抑えた発光装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode、以下「OLED」という)などの発光素子を用いた発光装置が各種提案されている。このような発光装置では、表示すべき画像の画素に対応して画素回路が複数設けられる。当該画素回路は、上記発光素子と、スイッチングトランジスターと、駆動トランジスターとを含み、上記発光素子は、陽極と陰極とで少なくとも発光層を含む有機EL層を挟持した構成が一般的である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−338592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記構成において表示サイズの小型化、表示の高精細化を進めた場合に、ある特定の画素だけを発光させたいとき、当該特定の画素のみならず、当該特定の画素に隣り合う画素も発光して、表示品位を低下させてしまう、という問題が指摘された。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、表示サイズの小型化、表示の高精細化を進めた場合であっても、このような表示品位の低下を防止した発光装置および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明に係る発光装置にあっては、基板体に、複数の画素の各々に対応して配列する陽極として機能する画素電極と、前記基板体を平面視したときに前記画素電極の間隙に設けられ、前記画素電極よりも低い電位に維持された配線と、前記画素電極および前記配線の上側に形成され、少なくとも発光層を含む有機EL層と、前記有機EL層の上側に形成されるとともに、陰極として機能する共通電極と、を具備することを特徴とする。本発明によれば、基板体に対して横方向(基板面方向)に漏れてしまう電流が画素電極同士の間隙に設けられた配線によって吸収されるので、特定の画素だけを発光させたい場合に、隣の画素も発光してしまう現象を抑えることが可能になる。
【0006】
本発明において、前記複数の画素は、異なる2色以上のいずれかに対応し、前記有機EL層は、前記2色以上の複数の画素にわたって共通で形成されている構成が好ましい。この構成においては、有機EL層が異なる2色以上の画素にわたって共通化されているので、隔壁などの構造体を形成しなくて済む。このため例えば、画素電極同士の間隙が5μm程度のように小サイズで高精細な表示を行う場合に適している。
【0007】
本発明において、前記配線については、画素電極すなわち陽極よりも低い電位に維持されていれば、画素電極から配線に電流が流れる。ここで、前記配線は、前記共通電極に電気的に接続されている構成とすれば、別途の電位を生成しないで済ませることができる。さらに、この構成において、前記画素電極および前記配線は、同一導電層から形成すれば、製造プロセスを複雑化させないで済ませることもできる。
【0008】
さらに、前記画素電極および前記配線は、同一導電層から形成する構成において、前記画素電極および前記配線は、光透明性を有し、前記共通電極は、光透過性および光反射性を有し、前記基板体において前記画素電極および前記配線の下側には、絶縁性を有する透明層を介し、光反射層が設けられ、前記有機EL層で発生した光は、前記光反射層と前記共通電極との間で、対応する色の波長で共振する構成にしても良い。この構成によれば、有機EL層が複数色の画素にわたって共通化されていても、対応する色の波長の光が共振によって射出される。
一方、前記有機EL層が前記2色以上の複数の画素にわたって共通で形成されている場合において、前記画素電極は、光透明性を有し、前記基板体において前記画素電極の層下側には、絶縁性を有する透明層を介し光反射層が設けられ、前記光反射層および前記配線は、同一導電層からなり、前記有機EL層で発生した光は、前記光反射層と前記共通電極との間で、対応する色の波長で共振する構成も好ましい。この構成によれば、製造プロセスを複雑化させないで済ませることもできる。
【0009】
また、本発明において、前記配線は、前記有機EL層に接していることが好ましい。配線が有機EL層に接していることが好ましい。基板体に対して横方向に漏れてしまう電流が配線に吸収されやすくなるためである。
一方、前記画素電極および前記配線は、同一導電層から形成する構成において、前記配線を、平面視で前記複数の画素が配列する領域の外側で前記共通電極に接続すると、画素の配列領域内で接続しなくても良いので(コンタクトホールを設けないで済むので)、小サイズで高精細な表示に好適になる。
なお、本発明は、発光装置のほか、当該発光装置を有する電子機器として概念することも可能である。電子機器は、典型的には表示装置であり、電子機器としてはパーソナルコンピューターや携帯電話機が挙げられる。もっとも、本発明に係る発光装置の用途は、表示装置に限定されない。例えば、光線の照射によって感光体ドラムなどの像担持体に潜像を形成するための露光装置(光ヘッド)にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る発光装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図2】発光装置における画素回路の構成を示す図である。
【図3】画素回路の要部構成を示す平面図である。
【図4】画素回路の要部構成を部分拡大した平面図である。
【図5】図4におけるE−e線で破断した部分断面図である。
【図6】発光装置の表示動作を示す図である。
【図7】画素回路の等価回路を示す図である。
【図8】等価回路の電流経路と発光状態とを示す図である。
【図9】発光素子等の電圧−電流特性を配線の有無で示す図である。
【図10】色度図である。
【図11】輝度と色度(CIE−x、y)との関係を配線の有無で示す図である。
【図12】応用形態に係る配線の構成を示す平面図である。
【図13】別の応用形態に係る発光装置の画素回路を示す部分断面図である。
【図14】実施形態に係る発光装置を用いた電子機器(その1)を示す図である。
【図15】実施形態に係る発光装置を用いた電子機器(その2)を示す図である。
【図16】実施形態に係る発光装置を用いた電子機器(その3)を示す図である。
【図17】比較例に係る画素回路の要部構成を示す部分断面図である。
【図18】比較例に係る画素回路の等価回路を示す図である。
【図19】比較例に係る等価回路の電流経路と発光状態とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る発光装置の構成を示すブロック図である。発光装置1は、複数の画素回路110の各々に含まれる発光素子の発光によって画像を表示するものである。
この図に示されるように、発光装置1は、表示部100、走査線駆動回路210およびデータ線駆動回路230に大別することができる。
このうち、表示部100には、本実施形態ではm行の走査線112が図において横方向に延在して設けられ、また、3の倍数である(3n)列のデータ線114が図において縦方向に延在し、かつ、各走査線112と互いに電気的な絶縁を保って設けられている。ここで、m、nは、いずれも自然数である。
【0012】
画素回路110は、m行の走査線112と(3n)列のデータ線114との交差部に対応して、それぞれ設けられている。このうち、同一行の走査線112と、互いに隣り合う3列のデータ線114との交差に対応した3つの画素回路110は、表示すべき画像の1ドットを表現するものであり、それぞれR(赤)、G(緑)、B(青)の画素に相当する。換言すれば、本実施形態は、RGBの3つの画素回路110の発光素子による加法混色によって1ドットの色を表現する構成になっている。
このため、表示部100で表示される画像のドット配列は、縦m行×横n列になる。なお、画素回路110の配列は、縦m行×横(3n)列になる。
ドットの列を一般化して説明するために、1以上n以下の整数jを用いると、図1において左から数えて(3j−2)列目、(3j−1)列目および(3j)列目のデータ線114は、それぞれj番目のドットに属し、かつ、R、G、Bの系列である、ということになる。
【0013】
各画素回路110には、素子電源の高位側の電位Velを給電する電源線116がそれぞれ共通に接続される。なお、図1では省略されているが、後述するように共通電極が各画素回路110にわたって共通となるようにベタ状に設けられて、素子電源の低位側の電位Vctを給電する。電位Vel、Vctは、図示省略した電源回路によって生成される。
なお、走査線112および画素回路110の行を便宜的に区別するために、図1において順に1、2、3、…、(m−1)、m行と呼ぶ場合がある。同様にデータ線114および画素回路110の列を便宜的に区別するために、図1において順に1列、2列、3列、…、(3n−2)列、(3n−1)、(3n)列と呼ぶ場合がある。
【0014】
発光装置1では、マトリクス状に画素回路110が配列する領域の周辺に走査線駆動回路210およびデータ線駆動回路230が設けられ、図示省略したコントローラーによってそれぞれ動作が制御される。また、データ線駆動回路230には、各画素回路110で表現すべき画素の階調(輝度)を指定する階調データが上記コントローラーから供給される。
走査線駆動回路210は、各フレームにおいて1〜m行目を順次選択するものである。詳細には、走査線駆動回路210は、1、2、3、…、(m−1)、m行目の走査線112にそれぞれ走査信号Gw(1)、Gw(2)、Gw(3)、…、Gw(m-1)、Gw(m)を供給するものであり、フレームにおいて各走査信号を順次排他的にHレベルとする。なお、本説明において、フレームとは、1カット(コマ)分の画像を発光装置1に表示させるのに要する期間をいい、垂直走査周波数が60Hzであれば、その1周期分の16.67ミリ秒の期間をいう。
【0015】
データ線駆動回路230は、走査線駆動回路210によって選択された行に位置する画素回路110に対し、当該画素回路110に対応した画素の階調データに応じた電位のデータ信号を、データ線114を介して供給するものである。便宜的に、1、2、3、…、(3n−2)、(3n−1)、(3n)列目のデータ線114にそれぞれ供給されるデータ信号を、Vd(1)、Vd(2)、Vd(3)、…、Vd(3n-2)、Vd(3n-1)、Vd(3n)と表記している。
【0016】
次に、図2を参照して画素回路110の電気的な構成について説明する。なお、図2には、i行目及び当該i行目に隣り合う(i−1)行目の走査線112と、j番目のドットに属する(3j−2)、(3j−1)、(3j)列目のデータ線114との交差に対応する縦2行×横3列の計6個分の画素回路110が示されている。ここで、(i−1)、iは、画素回路110が配列する行を一般的に示す場合の記号であって、それぞれ1以上m以下の整数である。
【0017】
図2に示されるように、各画素回路110は、Nチャネル型のトランジスター130、140と、保持容量135と、発光素子150とを有する。各画素回路110については電気的にみれば互いに同一構成なので、i行(3j−2)列に位置するもので代表して説明する。i行(3j−2)列の画素回路110においてトランジスター130は、スイッチングトランジスターとして機能するものであり、そのゲートノードはi行目の走査線112に接続される一方、そのドレインノードはj列目のデータ線114に接続され、そのソースノードは保持容量135の一端とトランジスター140のゲートノードとにそれぞれ接続されている。
保持容量135の他端は、トランジスター140のソースノードおよび発光素子150の陽極にそれぞれ接続されている。一方、トランジスター140のドレインノードは、電源線116に接続されている。
【0018】
便宜的に、i行(3j−2)列の画素回路110において、トランジスター140のゲートノード(トランジスター130のソースノードおよび保持容量135の一端)を、大文字で示す緑のGと区別するために、小文字のg(i,3j-2)と表記している。
【0019】
発光素子150は、後述するように、互いに対向する陽極と陰極とで発光層を含む有機EL層を挟持したOLEDであり、陽極から陰極に向かって流れる電流に応じた輝度にて発光する。
本実施形態において、発光素子150の陽極は、RGBの色毎に個別の画素電極52R、52G、52Bである。一方、発光素子150の陰極は、各画素回路110にわたって共通の共通電極118である。共通電極118には、素子電源の低位側の電位Vctが給電される。
なお、図2において、Gw(i-1)、Gw(i)は、それぞれ(i−1)、i行目の走査線112に供給される走査信号を示している。また、Vd(3j-2)、Vd(3j-1)、Vd(3j)は、それぞれ(3j−2)、(3j−1)、(3j)列目のデータ線114に供給されるデータ信号を示している。
【0020】
続いて、画素回路110のうち、発光素子150およびその周辺の構成について図3、図4および図5を参照して説明する。
図3は、画素電極52R、52G、52Bの配列を示す平面図であり、図4は、図3の一部を部分拡大した平面図であり、図5は、図4におけるE−e線で破断した部分断面図である。
なお、図3および図4は、トップエミッション構造の表示部100を観察側から平面視した場合の構造を示しているが、簡略化のために、発光素子150における画素電極52R、52G、52Bと、当該画素電極と同層から形成される配線54のみを示し、それ以外の構造体の図示を省略している。一方、図5においては、平坦化層以降に形成される構造体を示し、平坦化層よりも前に形成されるトランジスター130、140等についての図示を省略している。
また、以下の各図においては、各層、各部材、各領域などを認識可能な大きさとするために、縮尺を異ならせている。
【0021】
表示部100は、主にガラス基板などの絶縁性を有する絶縁基板に形成される。このため、トランジスター130、140は、例えば薄膜トランジスターであり、非晶質シリコンや低温ポリシリコンで形成される。低温ポリシリコンとする場合、図1における走査線駆動回路210や、データ線駆動回路230などの能動素子についても画素回路110とともに、上記絶縁基板に形成することができる。
上記絶縁基板にあっては、トランジスターや配線などの有無によって段差が生じるが、図5に示されるように、例えばアクリル樹脂等からなる平坦化層102によって平坦化されている。
以降の説明では、当該絶縁基板に形成されたトランジスター130、140や保持容量などの素子・配線と、これらの素子・配線の段差をなくすように形成された平坦化層102とを含めて基板体101と呼んでいる。また、本説明において上側とは、基板体101において時間的に後の製造プロセスによって形成される側、という意味で用い、反対に、下側とは、時間的に前の製造プロセスによって形成される側、という意味で用いている。
【0022】
光反射性を有する反射層62が、基板体101の上側に、画素電極の各々に対応するようにそれぞれ設けられている。反射層62は、発光層で発生した光を観察側に反射するものである。反射層62は、アルミニウムや銀などのように反射性を有する金属層または合金層を成膜した後に、平面視したときに後に形成される画素電極52R、52G、52Bを含むようにパターニングされる。
透明層103は、反射層62および平坦化層102を覆うように形成されている。透明層103は、反射層62を保護するために、および、平坦性を確保するために設けられ、光透過性および絶縁性を有する。
【0023】
画素電極52R、52G、52Bおよび配線54が、それぞれ透明層103の上側に設けられている。画素電極52R、52G、52Bおよび配線54は、それぞれ透明性および導電性を有する例えばITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電層をパターニングしたものである。なお、ITOは、レアメタルのインジウムを用いているので、ITOの代替材料として、酸化亜鉛や、酸化錫(いわゆるNESA)などを用いても良い。
【0024】
図5に示されるように、画素電極52R、52G、52Bは、断面視でみた厚さが互いに異なっており、画素電極52Rが最も厚く、次いで画素電極52Gが厚く、画素電極52Bが最も薄くなっている。このように、画素電極52R、52G、52Bの厚さが異なっているのは、後述する光共振構造における共振波長をRGBに合わせているためである。
厚さの異なる画素電極52R、52G、52Bを形成する方法の一例としては、例えば上記透明導電層を第1層、第2層および第3層の順で積層した3層構造にするとともに、画素電極52Rについては第1層から第3層までで構成し、画素電極52Gについては第1層および第2層で構成し、画素電極52Bについては第1層のみで構成する方法が挙げられる。
画素電極52R、52G、52Bの各々は、図示を省略しているが、それぞれ透明層103を開孔するとともに、反射層62を避けるように形成されたコンタクトホール(ビア)を介し、対応する画素回路110におけるトランジスター140のソースノードおよび保持容量135の他端にそれぞれ接続されている。
【0025】
画素電極52R、52G、52Bは、平面視でみれば図3および図4に示されるように、縦方向(データ線114の延在方向)に長手が延在した矩形に、かつ、各々が一定の間隔を保って配列するように形成されている。
一方、配線54は、画素電極52R、52G、52Bの間隙に位置するとともに、縦方向および横方向にわたって互いに電気的に接続されるようにメッシュ状に配設されている。この配線54は、例えば図3に示されるように、画素電極52R、52G、52Bがマトリクス状に配列する表示部100の外側領域(ハッチングが付された領域)において共通電極118と接続が図られて、当該共通電極118と同じ電位Vctが供給される構成となっている。なお、配線54については、上記透明導電層の3層のうち、いずれか、または、適宜組み合わせたものを用いることができる。
【0026】
続いて、図5に示されるように、有機EL層70が、画素電極52R、52G、52B、配線54および透明層103を覆うように設けられている。有機EL層70は、本実施形態では、画素電極(陽極)からみて順に正孔輸送層(Hole Transport Layer)71と発光層(Emitting Layer)72と電子輸送層(Electron Transport Layer)73とで構成されている。すなわち、有機EL層70は、少なくとも発光層72を含んだ構成となっている。
正孔輸送層71は、例えばトリフェニルアミン誘導体(TPD)、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体等によって形成されている。発光層72は、例えばアルミノウムキノリノール錯体(Alq)等をホスト材料とし、ルブレン等をドーパントとして形成されている。電子輸送層73は、例えばAlq等によって形成されている。
【0027】
共通電極118は、有機EL層70を覆うように設けられている。共通電極118は、光透過性と光反射性とを有する一種のハーフミラーであり、例えばマグネシウムと銀との合金からなる。なお、共通電極118の材料としては、他にカルシウムや、ナトリウム、リチウム、これらの金属化合物などが挙げられる。
【0028】
発光素子150は、陽極として機能する画素電極52R、52G、52Bのいずれかと、陰極として機能する共通電極118とで、有機EL層70を挟持した構成となる。
このような構成において、陽極から陰極に向かって順方向電流が流れると、正孔輸送層71から注入される正孔と電子輸送層73から注入される電子とが発光層72で再結合して、発光層72の材料に応じた蛍光スペクトルの光が発生する。このときに発生する光の色は、本実施形態では、画素回路同士で共通の色、例えば白色であるが、光共振構造(およびカラーフィルター)によってRGBの各色に相当する波長の光が射出される構成となっている。
【0029】
従来の有機EL装置では、例えば画素電極の周辺が隔壁によって仕切られるとともに、この仕切り内に各色に対応した発光層がそれぞれ形成されていたが、本実施形態では、隔壁を設けず、RGBにおいて共通の有機EL層70(発光層72)を用いた構成となっている。
本実施形態において、このような構成としている理由は、次の通りである。すなわち、表示サイズの小型化や表示の高精細化が要求される用途では、例えば表示サイズが対角で1インチ以下であるマイクロディスプレイの用途では、1ドットにつき3色分を配列させるので、画素回路110における横方向の配列ピッチは数μm程度、画素電極同士の間隙で言えば5μm以下に、抑える必要がある。
このため、従来の構成、すなわち、隔壁による仕切り内に各色に対応した発光層を形成する構成では、画素電極同士の間隙を5μm以下まで微細化することが困難である。そこで、本実施形態では、隔壁を形成しないで、さらに、RGB毎に異なる発光層を形成しない構成としているのである。
【0030】
封止層104は、酸素や水分の侵入による素子劣化を防ぐために、共通電極118を覆うように設けられている。封止層104は、透明性を有し例えばシリコン酸窒化膜(SiON)からなる。封止層104の材料としては、他にSiOや、SiN、樹脂などが挙げられる。
【0031】
一方、基板体101に対向するように、透明性を有するガラス等の対向基板105が設けられる。対向基板105のうち、基板体101に対向する側の面には、カラーフィルター80R、80G、80Bおよび遮光層82が設けられている。カラーフィルター80Rは、R(赤)の色に対応するものであり、同様にカラーフィルター80G、80Bは、それぞれG(緑)、B(青)の色に対応するものである。遮光層82は、いわゆるブラックマトリクスである。
対向基板105は、基板体101に対し、カラーフィルター80R、80G、80Bの各々がそれぞれ画素電極52R、52G、52Bと平面視で重なるように位置合わせされるとともに、基板体101と対向する領域の周縁に沿った接着材(図示省略)によって貼り合わせられている。
【0032】
発光装置1においては、上述したように発光層72で発せられた光を反射層62と共通電極118との間で共振させる一種の光共振構造となっている。詳細には、発光層72で発せられた光は、反射層62とハーフミラー状の共通電極118との間で往復する際に、その光学的距離に対応した共振波長の光が共通電極118を透過して射出される。この光共振構造によって、射出される光において、輝度が高められるとともに、波長の帯域が狭められる。
このような共振波長は、反射層62と共通電極118との間の光学的距離によって調整される。具体的には、発光層72から発生した光のうち、取り出したい光のピーク波長をλとしたとき、次式(1)が成立するように調整される。
(2L)/λ+Φ/(2π)=p …(1)
なお、式(1)において、Φは、発光層72で発生した光が反射層62と共通電極118とにおいて反射する際に生じる位相シフト量をラジアンで示した値である。また、pは、整数である。
【0033】
Rの画素に対応した光学的距離Lは、透明層103のうち反射層62から画素電極52Rまでの厚さと、画素電極52Rの厚さと、有機EL層70の厚さとの和である。同様に、Gの画素に対応した光学的距離Lは、透明層103のうち反射層62から画素電極52Gまでの厚さと、画素電極52Gの厚さと、有機EL層70の厚さとの和であり、Bの画素に対応した光学的距離Lは、透明層103のうち反射層62から画素電極52Bまでの厚さと、画素電極52Bの厚さと、有機EL層70の厚さとの和である。
このうち、RGBで異なるのは、画素電極52R、52G、52Bの厚さであり、透明層103の厚さと有機EL層70の厚さとについてはRGBでほぼ共通である。このため、光学的距離L、L、Lの各々が、それぞれRGBの色の波長λに対して上記式(1)を同時に満たすためには、透明層103の厚さと有機EL層70の厚さとに対して、画素電極52R、52G、52Bの厚さを適切に異ならせれば良いことになる。
【0034】
詳細には、第1に、光学的距離Lが、Bの波長に対して式(1)を満たすように、画素電極52Bの厚さ、すなわち透明導電層の第1層の厚さを決定する。第2に、光学的距離Lが、Gの波長に対して式(1)を満たすように画素電極52Gの厚さを決定する。画素電極52Gは、透明導電層の第1層と第2層との積層体であり、すでに第1層の厚さがBに応じて決定しているから、第2層の厚さも自ずと決定する。第3に、光学的距離Lが、Rの波長に対して式(1)を満たすように画素電極52Rの厚さを決定する。画素電極52Rは、透明導電層の第1層、第2層および第3層の積層体であり、すでに第1層および第2層の厚さが決定しているから、第3層の厚さも自ずと決定する。
このようにして画素電極52R、52G、52Bの厚さがそれぞれ決定されるので、共振波長については、RGBの色に合わせて適切に設定されることになる。
【0035】
次に、発光装置1の表示動作について図6を参照して簡易的に説明する。図6は、走査信号およびデータ信号の波形の一例を示す図である。
この図に示されるように、走査信号Gw(1)、Gw(2)、Gw(3)、…、Gw(m-1)、Gw(m)は、走査線駆動回路210によって各フレームにわたって水平走査期間(H)毎に順次排他的にHレベルとなる。
ここで、i行目の走査線112が選択されて走査信号Gw(i)がHレベルになったとき、(3j−2)列目のデータ線114には、i行(3j−2)j列の画素回路110に対応したR画素の階調データに応じた電位のデータ信号Vd(3j-2)がデータ線駆動回路230によって供給される。
【0036】
i行(3j−2)j列の画素回路110において走査信号Gw(i)がHレベルになると、トランジスター130がオンするので、ゲートノードg(i,3j-2)がj列目のデータ線114に電気的に接続された状態になる。このため、ゲートノードg(i,3j-2)の電位は、図6において矢印で示されるように、データ信号Vd(3j-2)の電位になる。このとき、トランジスター140は、ゲートノードg(i,3j-2)の電位に応じた電流を発光素子150に流し、保持容量135が、このときのトランジスター140におけるゲート・ソース間の電圧を保持する。i行目の走査線112の選択が終了して走査信号Gw(i)がLレベルになったとき、トランジスター130がオフする。
【0037】
トランジスター130がオンからオフに切り替わっても、当該トランジスター130がオンしていたときの、トランジスター140のゲート・ソース間の電圧は保持容量135によって保持されている。このため、トランジスター130がオフしても、トランジスター140は、保持容量135による保持電圧に応じた電流を、次回i行目の走査線112が再び選択されるまで、発光素子150に流し続ける。このため、i行(3j−2)列の画素回路110における発光素子150は、i行目が選択されたときのデータ信号Vd(3j-2)の電位に応じた輝度で、すなわちi行(3j−2)列の階調データに応じた輝度で、1フレームに相当する期間にわたって発光し続けることになる。
【0038】
なお、i行目においては、(3j−2)列目以外の画素回路110でも、対応するデータ線114に供給されたデータ信号の電位に応じた輝度で発光する。また、ここではi行目の走査線112に対応する画素回路110で説明しているが、走査線112は、1、2、3、…、(m−1)、m行目という順番で選択される結果、画素回路110の各々は、それぞれ階調データに応じた輝度で発光することになる。このような動作は、フレーム毎にで繰り返される。
また、図6においては、走査信号の電位スケールよりも、データ信号Vd(3j-2)、ゲートノードg(i,3j-2)の電位スケールを便宜的に拡大している。
【0039】
本実施形態において配線54を設けたことによる効果について言及する前に、配線54を有しない比較例での問題点について説明する。
図17は、比較例に係る発光装置の構成を示す部分断面図であり、図5に示した本実施形態と比べて配線54を有していない。
ここで、正孔輸送層71は、単体では抵抗とみなすことができる。したがって、発光素子およびその周辺は、図18に示されるように、正孔輸送層71の抵抗成分で示される抵抗体と、画素電極52R、52G、52Bから共通電極118に向かう並列ダイオードとからなる等価回路で示すことができる。
【0040】
ところで、図17において、有機EL層70のうち、画素電極52R、52G、52B同士の間隙に相当する領域R−G、G−B、B−Rの層厚は、光共振構造や、画素電極を構成する透明導電層の不存在などによる段差に起因して、局所的に薄くなっている。
【0041】
このような状況で、例えばBの画素だけを発光させる場合を想定する。この場合、図19に示されるように、画素電極52Bには、共通電極118の電位VctよりもVdだけ高位の電位(Vct+Vd)が供給される。これにより、電流が画素電極52Bから共通電極118に向かって図において縦方向に流れて、Bの色の光が射出される。
しかしながら、有機EL層70の層厚は画素電極の間隙に相当する領域で局所的に薄くなっているために、この領域において電流が流れやすくなっている。
このため、画素電極52Bの周縁においてBの共振波長になっていない光が少なからず射出されるだけでなく、電流が画素電極52Bから図において左および右方向、すなわちBに対して隣り合うGおよびB方向にも流れる結果、Gの色の光およびRの色の光も射出されてしまうことになる。
【0042】
したがって比較例では、カラーフィルター80Bを透過した光ではあるが、Bの共振波長でない光が視認されるだけでなく、RおよびGも同時に発光する結果、目的とする色からずれた色が表現されてしまう、すなわち色純度が低下してしまう、という問題があった。
【0043】
比較例に対して、本実施形態では、画素電極の間隙に配線54が設けられるとともに、当該配線54には共通電極(陰極)118と同じ電位Vctが供給されている。このため、図8に示されるように、Bの画素だけを発光させる場合に、画素電極52BからGおよびB方向に向かう電流は、それぞれ途中に位置する配線54に流れ込むので、画素電極52Bの周縁や、R、Gで光が発生してしまうのを抑え込むことができる。したがって、本実施形態によれば、色純度の低下を防止することが可能になる。
【0044】
また、ここでは画素電極の層厚も最も薄いBの画素を発光させる場合を想定したが、他のR、Gを発光させる場合も同様な問題が発生する。特に画素電極の層厚がBと比較して厚いR(G)では、画素電極52R(52G)の周縁において有機EL層70の層厚が、局所的にみれば、より薄くなっているために、配線54が設けられていないと、R(G)の共振波長になっていない光の成分が多く射出されてしまう。
【0045】
ここで、配線54への電流の流れ込み、および、色純度の低下の防止の各々について、測定結果を参照しつつ説明する。
図9は、配線54を有する本実施形態の電圧−電流特性を実線で示しており、発光素子150の陽極から陰極に向かう順方向電圧を横軸とし、発光素子150の順方向電流と配線54に流れ込む電流との和、すなわち図8における電流計で計測された電流の対数を縦軸として表している。対比のために、配線54を有しない比較例の特性を破線で示している。なお、比較例の電流値は、図19における電流計で計測された電流である。
なお、1つの画素回路で流れる電流値は微小であるので、ここでは、表示部100の複数の画素回路を同時に駆動して計測している。
【0046】
発光層72で示されるダイオード成分の抵抗には電圧依存性があり、電圧が高くなるにつれて抵抗が小さくなる傾向がある。このため、図9に示されるように、高電圧側では、本実施形態と比較例とで差がなくなっている。これは、高電圧側では、ダイオード成分の抵抗が電圧依存性によって正孔輸送層の抵抗よりも相対的に低くなり、配線54があったとしても、電流が配線54にほとんど流れないためである。換言すれば、色純度の低下は、高電圧側ではほとんど問題にならない。
一方、この図の実線で示されるように、低電圧側では、ダイオードの抵抗が正孔輸送層71の抵抗よりも相対的に高くなるために、配線54に流れ込む電流成分が多くなる。このため、低電圧側では、同一電圧で比べると、破線で示される比較例よりも電流が増大している。
なお、図9の破線において低電圧側では、本実施形態と比較して流れる電流が小さいが、この微小電流は、Bの画素だけを発光させているわけではなく、隣り合うR、Gの画素も発光させている電流の合算である点に留意する必要がある。
【0047】
本実施形態および比較例において、Bの画素だけで色を表現しようとする場合に、図11(a)は、輝度に対する色度(CIE−x)の測定結果を示し、図11(b)は、輝度に対する色度(CIE−y)の測定結果を示している。なお、ここでいう色度とは、CIE表色系(XYZ系)のx刺激値、y刺激値である。図10は、図11を説明するためのxy色度図であり、また、当該色度図の三角形内は、NTSC方式の色再現範囲を示している。
【0048】
図11(a)、(b)において比較例(配線なし)では、特に低輝度側においてはBのみならず、RGも発光してしまうために、目的とするB(図10参照)からズレた色が再現されてしまうことが判る。
これに対して、実線で示される本実施形態(配線あり)では、RGの発光が抑えられるために、低輝度側においても、目的とするBに近い色が再現されることが判る。
【0049】
なお、本発明は、上述した実施形態に限られず、次のような応用・変形が可能である。
例えば、実施形態にあっては、配線54を、共通電極118に表示部100の外側で接続して、電位Vctを供給する構成としたが、表示部100の内側において複数個の画素回路おきにコンタクトをとる構成としても良い。また、配線54を、共通電極118に接続せずに、電位Vctとは異なる電位を供給しても良い。配線54に電位Vctとは異なる電位を供給する場合、画素電極52R、52G、52Bが取り得る範囲よりも低い電位を供給すれば、配線54に電流が流れて、漏れ電流による発光を抑えることができる。
【0050】
また例えば、実施形態においては、配線54を画素電極52R、52G、52Bに対して図3に示されるようにメッシュ状に配設したが、図12に示されるように、縦方向、すなわちストライプ配列における色の延在方向のみとし、横方向を省略した構成として良い。このように横方向を省略した構成でも、低輝度側における色純度の低下を抑えることができるからである。
この構成では、ある色のうち、特定の行に位置する画素だけを発光させたい場合に、縦方向で隣り合う同色の画素も漏れ電流によって発光してしまうので、エッジ部分がぼやけて視認されるかのようにみえる。ただし、この場合、エッジ部分のぼやけは、低輝度側でしか発生しないので、実際には、ほとんど問題にならないと考えられる。もっとも、配線54を図3に示されるようにメッシュ状に配設すれば、低輝度側で発生するエッジ部分のぼやけについては、全く問題にならない。
一方、画素電極が平面視で長方形であれば、少なくとも画素電極の長手方向に沿った方向に、画素電極の間隙に配線54を設ければ良い。長手方向では、短手方向と比べて漏れ電流が多くなるからである。仮に、画素電極が平面視で正方形であって、いわゆるモザイク配列でカラー表示するのであれば、配線54を当該画素電極同士の間隙に縦および横方向に配設すれば良い。また、カラー表示しなくても画素電極同士の間隙が狭くなれば、漏れ電流の影響が無視できなくなるので、同様に、配線54を当該画素電極同士の間隙に配設すれば良い。
【0051】
実施形態において、1ドットをカラー表示する場合に、RGBの3色の加法混色によって表現する構成としたが、RGBに加えて別の1色または複数色を加えても良い。例えば再現可能な色域を拡大するために例えばイエロー(Y)を加えた4色によって1ドットを構成しても良いし、輝度を向上させるためにをホワイト(W)を加えた4色によって1ドットを構成しても良い。
一方で、カラー表示しない場合であっても、上述したように画素電極同士の間隙が狭くなれば、漏れ電流の影響が無視できなくなるので、当該画素電極同士の間隙に配線を配設する構成が効果的となる。
【0052】
画素電極52R、52G、52Bを構成する透明導電層によって配線54を構成したが、ITOに代表される透明導電層の抵抗率は一般に高い。このため、透明導電層よりも抵抗率が低い金属層のパターニングによって配線を構成しても良い。例えば、図13に示されるように、反射層62を構成する反射性金属層のパターニングによって配線54と同等の役割を有する配線64を形成しても良い。
ここで、画素電極から隣の画素に向かう漏れ電流を配線64に流れ込みやすくする、という観点からいえば、配線64については、正孔輸送層71に接している構成が良い。このため、同図に示されるように透明層103については、配線64が正孔輸送層71に接するのを阻害にしないようにパターニングした構成、または、透明層103を省略した構成が好ましい。
【0053】
実施形態にあっては、有機EL層70(発光層72)を仕切る隔壁を形成しない構成で説明したが、隔壁を形成しても良い。隔壁を形成する場合、画素電極52R、52G、52Bと配線54(64)との間隙を埋めるように、かつ、配線54(64)の周縁を含んで配線54(64)の一部が露出するように隔壁を形成すれば良い。このように隔壁を形成すると、配線54(64)の露出部分で正孔輸送層71に接することになるので、漏れ電流が配線54(64)に流れ込みやすくなる。
なお、このように隔壁を形成すると、隔壁の下側に配線54(64)が位置することになるが、隔壁の上側に配線を設ける構成としても良い。このような構成とする場合には、第1に、画素電極52R、52G、52B同士の間隙を埋めるように隔壁を形成し、第2に、隔壁の頂上部分であって、画素電極同士の間隙に、配線を別途配設すれば良い。
【0054】
実施形態にあっては、発光素子150において基板体101側の画素電極52R、52G、52Bを陽極とし、共通電極118を陰極としたが、反対に、画素電極を陰極とし、共通電極を陽極とした構成にしても良い。この構成において、陰極としての画素電極が取り得る範囲よりも高い電位を配線54(64)に供給すれば、漏れ電流による発光を抑えることができる。
【0055】
<電子機器>
次に、実施形態や応用例に係る発光装置を適用した電子機器のいくつかについて説明する。
図14は、上述した発光装置1を表示装置として採用した電子機器(その1)としてのパーソナルコンピューターの外観を示す図である。パーソナルコンピューター2000は、表示装置としての発光装置1と本体部2010とを備える。本体部2010には、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設けられている。
発光装置1において、発光素子150にOLEDを使用した場合、視野角が広く見易い画面表示が可能になる。
【0056】
図15は、発光装置1を表示装置として採用した電子機器(その2)である携帯電話機の外観を示す図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001や方向キー3002などのほか、受話口3003、送話口3004とともに上述した発光装置1を備える。方向キー3002を操作することによって、発光装置1に表示される画面がスクロールする。
【0057】
図16は、実施形態に係る発光装置1を表示装置として採用した電子機器(その3)としての携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の外観を示す図である。携帯情報端末4000は、複数の操作ボタン4001や方向キー4002などのほか、上述した発光装置1を備える。携帯情報端末4000では、所定の操作によって住所録やスケジュール帳などの各種の情報が発光装置1に表示されるとともに、表示された情報が方向キー4002の操作に応じてスクロールする。
【0058】
なお、本発明に係る発光装置が適用される電子機器としては、図14から図16までに示した例のほか、テレビ、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンター、スキャナー、複写機、ビデオプレーヤー、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。
特にマイクロディスプレイとしては、ヘッドマウントディスプレイや、デジタルスチルカメラまたはビデオカメラの電子ビューファインダーなどが挙げられる。
【符号の説明】
【0059】
1…発光装置、52R、52G、52B…画素電極、54、64…配線、62…反射層、70…有機EL層、71…正孔輸送層、72…発光層、72…電子輸送層、80R、80G、80B…カラーフィルター、100…表示部、110…画素回路、112…走査線、114…データ線、116…電源線、118…共通電極、130…トランジスター、135…保持容量、140…トランジスター、150…発光素子、210…走査線駆動回路、230…データ線駆動回路、2000…パーソナルコンピューター、3000…携帯電話機、4000…携帯情報端末。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板体に、複数の画素の各々に対応して配列する陽極として機能する画素電極と、
前記基板体を平面視したときに前記画素電極の間隙に設けられ、前記画素電極以下の電位に維持された配線と、
前記画素電極および前記配線の上側に形成され、少なくとも発光層を含む有機EL層と、
前記有機EL層の上側に形成されるとともに、陰極として機能する共通電極と、
を具備することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記複数の画素は、異なる2色以上のいずれかに対応し、
前記有機EL層は、前記2色以上の複数の画素にわたって共通で形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記配線は、前記共通電極に電気的に接続されている
ことを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記画素電極および前記配線は、同一導電層からなる
ことを特徴とする請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記画素電極および前記配線は、光透明性を有し、
前記共通電極は、光透過性および光反射性を有し、
前記基板体において前記画素電極および前記配線の下側には、絶縁性を有する透明層を介し、光反射層が設けられ、
前記有機EL層で発生した光は、前記光反射層と前記共通電極との間で、対応する色の波長で共振する
ことを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記配線は、前記有機EL層に接している
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の発光装置。
【請求項7】
前記配線は、平面視で前記複数の画素が配列する領域の外側において前記共通電極に接続されている
ことを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載の発光装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の発光装置を有する
ことを特徴とする電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−252822(P2012−252822A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123211(P2011−123211)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】