発光装置及び液晶表示装置
【課題】EL素子を発光部とした発光装置において、複数の発光領域を選択的に発光可能、かつ全面発光状態又は見かけ上全面発光状態において暗線を目立たないようにする。
【解決手段】発光装置11は透明電極13と対向電極15との間に有機EL層14が挟まれた有機EL素子16を発光部17とし、複数の第1の領域19及び第1の領域19に挟まれた第2の領域20を備えている。第2の領域20は、非発光領域20a及び発光領域20bがそれぞれ複数存在する状態に形成されている。非発光領域20aは、透明電極13の一部に孔13bを形成することにより構成されている。孔13bはその存在密度が第1の領域19の透明電極13の端子13aに近いほど高くなるように形成されている。
【解決手段】発光装置11は透明電極13と対向電極15との間に有機EL層14が挟まれた有機EL素子16を発光部17とし、複数の第1の領域19及び第1の領域19に挟まれた第2の領域20を備えている。第2の領域20は、非発光領域20a及び発光領域20bがそれぞれ複数存在する状態に形成されている。非発光領域20aは、透明電極13の一部に孔13bを形成することにより構成されている。孔13bはその存在密度が第1の領域19の透明電極13の端子13aに近いほど高くなるように形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及び液晶表示装置に係り、詳しくは第1電極と第2電極との間に発光層が設けられたエレクトロルミネッセンス素子を発光部とした発光装置及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、コンピュータ、携帯機器等の表示装置として広く用いられている。近年、これらの表示装置では周囲が暗くても表示が容易に認識できるようにバックライトが設けられるようになった。液晶表示装置として一つの液晶パネルを用いて複数画面の表示を行う装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1の液晶表示装置は、液晶パネルの隣り合う表示領域間に遮光壁を設けることにより、一方の表示領域に対応して配置されたバックライトからの光が他方の表示領域に入射されないようになっている。
【0003】
また、表示品位を向上させるため、液晶表示装置のバックライトをELパネル(以下、エレクトロルミネッセンスを適宜ELと記載する。)で構成するとともに発光部を複数に分割して設け、各発光部を選択的に駆動可能とした構成も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2に記載された装置では、図16に示すように、ELパネル71は、LCDパネルの表示領域に対し、表示単位である表示行毎に配設された複数の発光部72A,72B,72C,72Dが設けられ、各発光部72A〜72Dに対応してそれぞれ電極73A〜73Dが設けられている。そして、ELパネル71をLCDパネルのバックライトとして用いる場合、制御部によってELパネル71の発光部72A〜72Dが選択駆動される。
【0004】
また、液晶表示装置では静止画像だけでなく動画像の表示もなされる。そして、動画像の画質を改善する液晶表示装置として、LEDあるいは蛍光灯を光源にするとともに、特定の幅を有する線状光を液晶の走査方向と直交する方向に走査する走査型のバックライトを備えた表示装置が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開2004−184494号公報(明細書の段落[0041]〜[0045]、図5)
【特許文献2】特開2000−75802号公報(明細書の段落[0048]〜[0050]、図11)
【特許文献3】特開2002−6766号公報(明細書の段落[0055]、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2のELパネル71のように、発光部をLCDパネルの表示単位である表示行毎に複数設けて分割駆動する構成では、複数の発光部72A〜72Dの間の部分に常に発光しない線状の非発光部が存在する。このように、非発光部が存在する構成においては、隣り合う発光部を同時に点灯させた場合、非発光部のラインが視認される状態となり、バックライトとして好ましくない。
【0006】
また、特許文献2には動画表示に関しては何ら記載はないが、EL素子をバックライトとして使用する場合、動画表示に対応するためEL発光部を分割された線状に形成して、特許文献3に開示された装置のように、所謂擬似インパルス駆動を行うことが考えられる。擬似インパルス駆動の場合、LCDの画面全体を一度走査するのに必要な時間、即ち1フレーム時間の間に各発光部は発光状態と非発光状態とに切り替えられる。1フレーム時間内で各発光部が発光状態と非発光状態とに切り替えられても、人の目の残像によって見かけ上、全発光部が点灯しているように見える。しかし、隣接する発光部の間にある非発光部は常に非発光状態のため、暗線が視認される状態となり、バックライトとして好ましくない。
【0007】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その第1の目的はEL素子を発光部とした発光装置において、複数の発光領域を選択的に発光可能で、かつ全面発光状態又は見かけ上全面発光状態において暗線を目立たないようにすることができる発光装置を提供することにある。また、第2の目的はその発光装置をバックライトとした液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、第1電極と第2電極との間に発光層が設けられたエレクトロルミネッセンス素子を発光部とした発光装置であって、前記第1電極は外部から電圧が印加される端子を有し、複数の第1の領域と、前記第1の領域に挟まれた第2の領域とを備え、前記複数の第1の領域は発光状態と非発光状態とに切り替え可能であり、前記第1の領域の発光・非発光状態に拘わらず前記第2の領域が視認され難いように構成されている。
【0009】
この発明では、第1の領域は発光状態と非発光状態とに切り替えられるが、第2の領域は、第1の領域が発光状態であっても非発光状態であっても、視認され難い。従って、例えば、複数の第1の領域を選択的に駆動したり、同時に駆動したりしても、全面発光状態又は見かけ上全面発光状態において暗線を目立たないようにすることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1電極、前記第2電極及び前記発光層は前記第1の領域及び前記第2の領域で共通の材料により形成され、前記第1電極は前記第2電極よりも体積抵抗率が高く、かつ透明な材料で形成され、前記第2の領域は前記第1電極の形成状態が前記第1の領域における第1電極の形成状態と異なる。この発明では、第1の領域及び第2の領域は、第1電極の形成状態が異なるだけで容易に暗線を目立たないようにすることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記第2の領域には、非発光領域及び発光領域がそれぞれ複数存在する。この発明では、従来は非発光領域のみで構成されていた第2の領域に発光領域が存在するため、第2の領域が従来に比較して視認され難い状態になる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記非発光領域は、ドット状に形成されるとともに、その存在密度が前記第1の発光領域の前記端子に近いほど高くなるように形成されている。この発明では、非発光領域の存在密度が均一な場合に比較して、第2の領域が視認され難い状態になる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記第1電極は前記第2電極よりも体積抵抗率が高く、かつ透明な材料で形成され、前記第2の領域は前記第1電極の厚さが前記第1の領域における前記第1電極より薄く形成されている。この発明では、第2の領域にも全体に第1電極が存在するが、厚さが第1の領域の第1電極より薄いため、流れる電流量が小さく第1の領域より弱く発光する。従って、第2の領域が従来に比較して視認され難い状態になる。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記第2の領域を構成する前記第1電極の厚さは、前記第1の領域の前記端子に近いほど薄くなるように形成されている。この発明では、第2の領域を構成する第1電極の厚さが均一な場合に比較して、第2の領域が視認され難い状態になる。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記発光装置は光出射側に拡散部材を備えており、前記第2の領域は非発光領域により蛇行状態に形成されている。ここで、「蛇行状態」とは、S字状の部分が繰り返す形状、直線部が連続して折れ曲がるジグザグ状あるいは直線部と曲線部とがジグザグ状に連続する形状等のように屈曲方向が異なる状態の屈曲部が複数存在する状態を意味する。
【0016】
従来は、発光領域である第1の領域に挟まれた第2の領域は、非発光領域により直線状に形成されているため、拡散部材を使用しても、第2の領域を挟んだ状態の第1の領域から出射されて、第2の領域内を第2の領域の延びる方向に沿って進む光はないため、第2の領域を視認され難い状態にするのが難しい。しかし、この発明では、第2の領域が蛇行状態に形成されているため、第2の領域を挟んだ状態の第1の領域から出射される光は第2の領域に様々な方向から入射するため、拡散部材を使用することにより第2の領域が視認され難い状態になる。
【0017】
請求項8に記載の発明は、液晶パネルと、前記液晶パネルの背面に設けられたバックライトと、前記液晶パネルと前記バックライトとを制御する制御装置とを有する液晶表示装置であって、前記バックライトは、請求項1〜7のいずれか1項に記載の発光装置であり、前記複数の第1の領域は、それぞれ液晶パネルの垂直走査方向と直交する方向に延びるように構成され、前記制御装置は、前記バックライトの前記複数の第1の領域を、前記液晶パネルの垂直走査に同期して順に発光状態と非発光状態とに切り替え制御しており、少なくとも各第1の領域の直上にある液晶の表示データ書き替え期間は、当該第1の領域が非発光状態となるように前記バックライトを制御している。
【0018】
この発明では、第1の領域は、液晶パネルの垂直走査方向と直交する方向に延びるように構成され、各第1の領域は、少なくとも直上にある液晶の表示データ書き替え期間は非発光状態となるように制御される。従って、第2の領域が視認され難い状態になるだけでなく、動画表示を行う液晶表示装置において、残像が見えるのを抑制でき、動画像の画質が向上する。
【0019】
請求項9に記載の発明は、第1電極と第2電極との間に発光層が設けられたエレクトロルミネッセンス素子を発光部とした発光装置である。そして、前記第1電極及び第2電極はそれぞれベタ電極で構成され、前記第1電極は前記第2電極よりも体積抵抗率が高く、かつ透明な材料で形成され、前記第1電極は3個以上の端子を備えており、電圧を印加する端子が異なると発光状態となる発光領域が異なり、各端子は、当該端子に対応する発光領域の一部と、当該端子に隣接する端子に対応する発光領域の一部が重なるように設けられている。
【0020】
この発明では、第1電極の各端子に電圧が印加されるとその端子に対応する発光領域が発光状態となる。そして、隣接する端子の発光領域の一部が重なるため、複数の発光領域を備えるとともに分割駆動可能な従来技術と異なり、全面発光状態又は見かけ上全面発光状態において暗線を目立たないようにすることができる。
【0021】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記発光部は長方形状に形成されており、前記発光部の両側に前記端子が対向する状態で複数ずつ設けられている。この発明では、端子への電圧印加状態に対応して発光領域がカバーする範囲の自由度が増す。
【0022】
請求項11に記載の発明は、液晶パネルと、前記液晶パネルの背面に設けられたバックライトと、前記液晶パネルと前記バックライトとを制御する制御装置とを有する液晶表示装置であって、前記バックライトは、請求項9又は10に記載の発光装置であり、前記端子は、前記液晶パネルの垂直走査方向に沿って所定間隔で配置され、各発光領域の直上にある液晶の表示データ書き替え期間は、当該発光領域は非発光状態となるように各端子への電圧の印加が制御される。この発明では、全面発光状態又は見かけ上全面発光状態において暗線を目立たないようにすることができるとともに、動画表示を行う液晶表示装置において、残像が見えるのを抑制でき、動画像の画質が向上する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、EL素子を発光部とした発光装置において、複数の発光領域を選択的に発光可能で、かつ全面発光状態又は見かけ上全面発光状態において暗線を目立たないようにすることができる。また、その発光装置をバックライトとした液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1の実施形態)
以下、本発明を擬似インパルス駆動型液晶表示装置のバックライトに具体化した第1の実施形態を図1〜図4に従って説明する。図1(a)は発光装置の模式平面図、(b)は(a)のA−A線における模式断面図、(c)は(a)のB−B線における模式断面図である。図2(a)は第1の領域及び第2の領域の第1電極を示す模式平面図、(b)は(a)のC−C線における模式断面図である。図3は液晶パネルと発光装置の模式部分断面図、図4は駆動回路の概略構成図である。なお、図1〜図3は、発光装置、第1電極、液晶パネル等の構成を模式的に示したものであり、図示の都合上、一部の寸法を誇張して分かり易くしているために、それぞれの部分の幅、長さ、厚さ等の寸法の比は実際の比と異なっている。
【0025】
図1(a)〜(c)に示すように、発光装置11は、基板12上に順に、第1電極としての透明電極13、発光層としての有機EL層14及び第2電極としての対向電極15が設けられたエレクトロルミネッセンス素子(EL素子)としての有機EL素子16が面状の発光部17として設けられている。有機EL素子16は、有機EL層14が水分(水蒸気)及び酸素の悪影響を受けないように、保護膜18で被覆されている。
【0026】
この実施形態では、基板12として透明なガラス基板が使用されている。また、透明電極13が陽極を構成し、対向電極15が陰極を構成する。透明電極13は、対向電極15よりも体積抵抗率が高く、かつ透明な材料で形成されている。ここで、「透明」とは、少なくとも可視光を透過可能なことを意味する。透明電極13は、公知の有機EL素子で透明電極として用いられるITO(インジウム錫酸化物)により形成されている。対向電極15は、金属(例えば、アルミニウム)で形成され、光を反射する機能を有する。有機EL素子16は、有機EL層14からの光が基板12側から取り出される(出射される)所謂ボトムエミッションタイプに構成されている。保護膜18は、例えば窒化ケイ素で形成されている。
【0027】
図1(a)に示すように、有機EL素子16は、液晶表示装置のバックライトとして使用される際に、液晶の垂直走査方向と直交する方向(図1(a)の左右方向)に延びる複数の第1の領域19と、第1の領域19に挟まれた第2の領域20とを備えている。この実施形態では各第1の領域19は同じ幅に形成されている。
【0028】
第1の領域19を構成する透明電極13は、第1の領域19と同じ幅に形成され、各第1の領域19の一端(図1(a)〜(c)の左端)と対応する位置に端子13aが形成されている。即ち、第1の領域19の透明電極13は、液晶の垂直走査方向と直交する方向に延びるように形成され、一端側に端子13aが形成されている。第1の領域19の幅は後記する液晶表示装置の1画素分の幅ではなく、複数画素分の幅に形成されている。即ち、第1の領域19は、同時に走査される1列分の液晶の画素領域毎に設けられるのではなく、複数列分の画素領域を照明するのに必要な幅に形成されている。
【0029】
第2の領域20は、図1(c)に示すように、非発光領域20a及び発光領域20bがそれぞれ複数存在する状態に形成されている。非発光領域20aは、ドット状に形成されるとともに、その存在密度が第1の領域19の透明電極13の端子13aに近いほど高くなるように形成されている。
【0030】
透明電極13、有機EL層14及び対向電極15は第1の領域19及び第2の領域20で共通の材料により形成されている。図2(a),(b)に示すように、透明電極13には第2の領域20に対応する箇所に、孔13bが所定の間隔で複数ずつ形成されている。第2の領域20の透明電極13は、部分的に除去されることにより孔13bが形成されている。即ち、第2の領域20は、透明電極13の形成状態が第1の領域19における透明電極13の形成状態と異なるように形成されている。
【0031】
有機EL層14は、透明電極13の端子13aの一部を除いた部分及び孔13bを覆うように形成されている。有機EL層14は、公知の有機EL材料を用いて形成され、例えば、透明電極13側から順に正孔輸送層、発光層及び電子輸送層が積層されて形成されている。有機EL層14は、白色発光を行うように構成され、発光装置11を液晶表示装置のバックライトとして使用する場合、カラーフィルタを使用したフルカラー表示に対応できるようになっている。白色発光を行う構成としては、公知の構成、例えば、赤、緑、青に発光する層を平面的に微細に塗り分けて全体として白色発光とする構成、赤、緑、青に発光する層を積層して全体として白色発光とする構成、赤、緑、青の色素をホスト分子あるいは高分子中に分散させる構成等がある。
【0032】
対向電極15はベタ電極で構成され、図1(a)〜(c)に示すように、幅が有機EL層14より狭く形成され、長さが透明電極13の端子13a側と反対側において有機EL層14より長くなるように形成されている。(ここで、幅とは図1における上下方向の距離を示し、長さとは図1における左右方向の距離を示す。)対向電極15の端子部15aは、透明電極13の端子13aと反対側に設けられている。端子部15aは、透明電極13と同一材料で形成され、対向電極15の電極延出部15bと電気的に接続されている。発光装置11は、端子13aが後記するドライバに接続された状態で使用される。
【0033】
次に前記のように構成された発光装置11の製造方法を説明する。発光装置11を製造する際は、ITO膜が形成された透明な基板12(ガラス基板)を準備する。このITO膜に対してエッチングを行い、透明電極13、端子13a、孔13b及び端子部15aを形成する。
【0034】
次に基板12及び透明電極13の洗浄が行われた後、透明電極13を覆うように、有機EL層14を形成する。有機EL層14は、例えば、蒸着法で形成され、有機EL層14を構成する各層が蒸着により順次積層されることで形成される。その後、Alの蒸着により有機EL層14上に対向電極15を形成する。このとき、対向電極15は、電極延出部15bが端子部15aの一部を覆って端子部15aと電気的に接続される状態に形成される。最後に、保護膜18を形成する。保護膜18として窒化ケイ素等のセラミック膜を形成する場合、セラミック膜は、例えば、プラズマCVD法で形成される。
【0035】
次に前記のように構成された発光装置11が、擬似インパルス駆動型液晶表示装置のバックライトとして使用される場合の作用を説明する。
図3に示すように、発光装置11は、液晶表示装置31を構成する透過型の液晶パネル32の背面(表示面と反対側の面)側に配置されて使用される。液晶パネル32は、公知のアクティブマトリックス型のフルカラー表示用の液晶パネルと基本的に同じ構成である。液晶パネル32は、一対の透明な基板33,34を備え、両基板33,34は所定の間隔を保った状態で、図示しないシール材により貼り合わされて、その間に液晶35が封止されている。基板33,34は例えばガラス製である。発光装置11側に配置された一方の基板33には、液晶35と対向する面に画素電極36と、画素電極36に接続されたTFT(薄膜トランジスタ)37とがマトリックス状に形成されている。画素電極36はITO(インジウム錫酸化物)で形成されている。3個の画素電極36が1組で1個の画素を構成している。また、基板33には、液晶35と反対側の面に偏光板38が配設されている。
【0036】
他方の基板34には液晶35側の面にカラーフィルタ39が形成され、カラーフィルタ39上には全画素共通の透明電極40が形成されている。透明電極40もITOで形成されている。カラーフィルタ39は、赤色、緑色及び青色の光を透過する領域39a,39b,39cがサブ画素を構成する各画素電極36と対応するように配設されている。各領域39a〜39cはブラックマトリックス41で区画されている。基板34の液晶35と反対側の面には偏光板42が形成されている。
【0037】
発光装置11は、基板12が液晶パネル32と対向するとともに、第1の領域19が液晶35の垂直走査方向(図3の左右方向)と直交する方向(図3の紙面と垂直方向)に延びるように配置される。
【0038】
図4に示すように、液晶パネル32及び発光装置11で構成される表示部43の外側には、TFT37のゲート電極を駆動するゲートドライバ44と、ソース電極(データ電極)を駆動するソースドライバ45とが設けられている。また、表示部43の外側には、透明電極13を駆動するドライバ46が設けられている。透明電極13の端子13aはドライバ46に電気的に接続される。各ドライバ44〜46は制御装置47からの制御信号により駆動制御される。
【0039】
ゲートドライバ44は、制御装置47からの制御信号に基づいてアドレス信号(順次走査信号)をTFT37のゲートに供給し、ソースドライバ45は、制御装置47からの制御信号に基づいてデータ信号をTFT37のソースに供給する。画面全体を一度走査するのに使用する時間、即ち1フレーム時間は1/60秒に設定されている。従って、アドレス信号の出力される間隔は、アドレス信号線の数をAnとすると、(1/60)×(1/An)秒となる。
【0040】
制御装置47は、複数の第1の領域19を、液晶35の垂直走査、即ちアドレス信号の出力に同期して順に発光状態と非発光状態とに切り替え制御する。この実施形態では、制御装置47は、例えば、第1の領域19の数をN個としたとき、各第1の領域19が1フレーム時間の1/Nのタイミングで順に発光状態(点灯状態)となるように制御している。また、各第1の領域は、発光状態に切り替わってから所定時間発光状態が保持されるように制御されている。従って、液晶表示装置の駆動時には、同時に複数(例えば2個)の第1の領域19が発光状態となっている。
【0041】
第1の領域19の発光状態から非発光状態への切り替え時には、非発光状態に切り替えられる当該第1の領域19と交代して発光状態に切り替えられる他の第1の領域19が発光状態になった後、一定時間t経過後、当該第1の領域19が非発光状態に切り替えられるように制御装置47から指令信号がドライバ46に出力される。この一定時間tは極短時間であり、人の目には変化が殆ど感じられない時間である。
【0042】
各第1の領域19は、制御装置47からの指令信号により発光状態と非発光状態とに切り替え制御されるが、当該第1の領域19の直上にある液晶35を照明する第1の領域19は、少なくとも当該液晶35の表示データ書き替え期間は非発光状態となるように制御される。各第1の領域19が画素電極36の1走査ライン分と1:1で対応していれば、1走査ライン分のデータ書き替え期間が、当該第1の領域19の直上にある液晶35の表示データ書き替え期間となる。しかし、この実施形態では、各第1の領域19が画素電極36の複数の走査ライン分と対応しているため、当該複数の走査ライン分の表示データ書き替え期間Tの間、当該第1の領域19は非発光状態に保持される。そして、その後、予め設定された期間、オン状態に保持される。
【0043】
液晶パネル32の表示画面に画像を表示させる際、液晶パネル32においては、制御装置47からの指令信号により、ゲートドライバ44からアドレス信号が出力されて1列毎に各TFT37がオン状態になり、ソースドライバ45から出力されたデータ信号により各画素電極36にデータが書き込まれる。そして、書き込まれたデータは当該画素電極36の図示しない蓄積キャパシタに充放電電荷として蓄積され、次のデータ書き込みが行われるまで、その電荷に対応した大きさの電圧が当該画素電極36に印加される状態に保持される。そして、各画素電極36への印加電圧が大きいほど、当該画素電極36に対向する液晶35を透過する光量が増加するようになる。画素電極36への表示データの書き替えが行われるときには当該画素電極36と対向する第1の領域19は非発光状態に保持されるため、動画像の画質が向上する。
【0044】
発光装置11は、制御装置47からの指令信号に基づいて、アドレス信号と同期するようにドライバ46から各端子13aにオン信号が出力される。オン信号が出力されている間、当該端子13aに対応する第1の領域19に電流が流れて有機EL層14が白色発光する。各有機EL層14からの光は、基板12から出射され、液晶パネル32の基板33側に入射する。
【0045】
各第1の領域19は、液晶35の垂直走査に同期して順に発光する。但し、この実施形態では液晶35の複数の走査ライン分の画素電極36列と各第1の領域19とが対向しているため、当該第1の領域19を構成する透明電極13の端子13aへのオン信号は、当該第1の領域19と対向する複数の画素電極36列のTFT37への表示データ書き替え(書き込み)が完了後に出力される。
【0046】
そして、画素電極36への電圧の印加状態に対応した量の光が液晶35を透過して、透明電極40を経てカラーフィルタ39の各領域39a〜39cを透過する。液晶表示装置31の使用者はカラーフィルタ39を透過した光により形成される画像を液晶表示装置31の表示として視認する。
【0047】
カラー画像を表示する際、画像の色は各画素における赤色、緑色、青色の三原色を混合することで所望の色に調整される。この実施形態では、発光装置11からはほぼ一定の光量で白色光が出射され、画素電極36に印加される印可電圧の大きさによって各画素におけるカラーフィルタ39を透過する光量、即ち各画素における三原色の混合割合が調整される。
【0048】
複数の第1の領域19が選択的に順次駆動されて1フレーム時間内に発光状態と非発光状態とに切り替えられて見かけ上、全ての第1の領域19が同時に発光される全面発光状態になる。従来技術では、隣接する第1の領域19に挟まれた第2の領域20は常に非発光状態のため、暗線として視認される。しかし、この実施形態では、第2の領域20は非発光領域20a及び発光領域20bがそれぞれ複数存在する状態に形成されており、発光領域20bを構成する透明電極13には、隣接する第1の領域19が発光状態のとき、当該第1の領域19を構成する透明電極13から電流が流れて発光状態となる。従って、第2の領域20は、隣接する第1の領域19が発光状態であっても非発光状態であっても、視認され難くなる。非発光領域20a及び発光領域20bは、第1の領域19の発光状態において第2の領域20の視認性を弱める視認性弱め手段を構成する。
【0049】
なお、互いに隣接する第1の領域の間の、第2の領域の透明電極には複数の孔13bが形成されている。このため、第1の領域に比べて、第2の領域の透明電極は全体として体積抵抗率が高くなる。したがって、一つの第1の領域から隣接する第1の領域には電流が流れにくくなっており、これによって第1の領域が区画されている。
【0050】
有機EL素子16の輝度は、有機EL層14における電流密度に影響され、電流密度が高いほど素子の輝度は高くなる。透明電極13は体積抵抗率が対向電極15に比較して高く、端子13aから近い部分と遠い部分とでは、電気抵抗値の差が大きくなり、有機EL層14における電流密度の差も大きくなる。従って、発光領域20bの密度が端子13aに近いほど低く、即ち非発光領域20aの密度が高くなるように設ける方が、第2の領域20全体としての輝度ムラが小さくなって第2の領域20が視認され難くなる。
【0051】
この実施形態では以下の効果を有する。
(1)発光装置11は、透明電極13と対向電極15との間に有機EL層14が設けられた有機EL素子16を発光部17としており、複数の第1の領域19と、第1の領域19に挟まれた第2の領域20とを備え、第1の領域19の発光・非発光状態に拘わらず第2の領域20が視認され難いように構成されている。従って、複数の第1の領域19を選択的に駆動したり、同時に駆動したりしても、全面発光状態又は見かけ上全面発光状態において暗線を目立たないようにすることができる。
【0052】
(2)透明電極13、対向電極15及び有機EL層14は、第1の領域19及び第2の領域20で共通の材料により形成され、透明電極13は対向電極15よりも体積抵抗率が高く、かつ透明な材料で形成され、第2の領域20は透明電極13の形成状態が第1の領域19における透明電極13の形成状態と異なる。従って、第1の領域19及び第2の領域20は、透明電極13の形成状態が異なるだけで容易に暗線を目立たないようにすることができる。
【0053】
(3)第2の領域20は、非発光領域20a及び発光領域20bがそれぞれ複数存在する。従って、従来は非発光領域のみで構成されていた第2の領域20に発光領域20bが存在するため、第2の領域20が従来に比較して視認され難い状態になる。
【0054】
(4)非発光領域20aは、ドット状に形成されるとともに、その存在密度が第1の領域19の透明電極13の端子13aに近いほど高くなるように形成されている。従って、非発光領域20aの存在密度が均一な場合に比較して、第2の領域20を構成する各発光領域20bの輝度ムラが小さくなり、第2の領域20がより視認され難い状態になる。
【0055】
(5)非発光領域20aは、第2の領域20における透明電極13の一部を除去して孔13bを設けることにより構成されている。従って、透明電極13の形成工程において孔13bを同時に設けることができ、製造時の工数を増加させずに製造することができる。
【0056】
(6)有機EL素子16を構成する対向電極15が光を反射する機能を有する。従って、対向電極15が光を反射する機能を有しない場合に比較して、有機EL層14から対向電極15側に向かう光が対向電極15で効率よく反射され、透明電極13側から出射する光量を多くすることができる。
【0057】
(7)液晶表示装置31は、バックライトとして発光装置11を備えている。バックライトの複数の第1の領域19は、液晶パネル32の垂直走査方向と直交する方向に延びるように構成され、発光状態と非発光状態とに制御装置47からの指令信号により切り替え制御される。そして、少なくとも各第1の領域の直上にある液晶35の表示データ書き替え期間は、当該第1の領域が非発光状態となるように制御される。従って、第2の領域20が視認され難い状態になるだけでなく、動画表示を行う液晶表示装置31において、残像が見えるのを抑制でき、動画像の画質が向上する。
【0058】
(8)液晶表示装置31の駆動時において、バックライトは同時に複数の第1の領域19が発光状態になるように保持されるため、1フレーム時間における各第1の領域19が発光状態になる期間が長くなり、液晶表示装置31の駆動時において常に1個の第1の領域19のみが発光する構成に比較して表示画面全体の輝度を高めることができる。
【0059】
(9)EL素子として有機EL素子16が使用されている。従って、発光部17に無機EL素子を使用した場合に比較して、低電圧で発光させることができる。
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態を図5(a),(b)に従って説明する。この実施形態は、第2の領域20の構成が前記第1の実施形態と異なっている。第1の実施形態と同様の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。図5(a)は透明電極13の模式平面図、(b)は(a)のD−D線における模式断面図である。
【0060】
図5(a)に示すように、第1の領域19を構成する各透明電極13は、同じ幅で平行に形成され、一端に端子13aが形成されている。図5(b)に示すように、第2の領域20を構成する透明電極13Sは、厚さが第1の領域19における透明電極13より薄く形成されている。この実施形態では、第2の領域20にも全体に透明電極13Sが存在する。即ち、第2の領域20は、非発光領域がなく、全て発光領域で構成されている。
【0061】
この構成の第2の領域20を形成する場合は、透明な基板12(ガラス基板)に形成されたITO膜に対してエッチングを行い、透明電極13、端子13a及び端子部15aを形成する工程において、同時に、第2の領域20の透明電極13Sとなるべき箇所にもエッチングを行い、所定の厚さの透明電極13Sを形成する。その後の有機EL層14、対向電極15、保護膜18等の形成工程は第1の実施形態と同じである。
【0062】
この実施形態の構成では、第2の領域20に隣接する第1の領域19が発光状態となる場合においては、当該第1の領域19の透明電極13を介して第2の領域20の透明電極13Sに電流が流れる状態となり、第2の領域20も発光状態となる。しかし、透明電極13Sの厚さが第1の領域19の透明電極13より薄いため、流れる電流量が小さく、第1の領域19より弱く発光する。第1の領域19の透明電極13より薄い透明電極13Sが、第1の領域19の発光状態において第2の領域20の視認性を弱める視認性弱め手段を構成する。
【0063】
従って、この第2の実施形態では、前記第1の実施形態の効果(1)、(2)、(6)〜(9)と同様の効果を有する他に次の効果を有する。
(10)第2の領域20にも全体に透明電極13Sが存在するが、厚さが第1の領域19の透明電極13より薄いため、流れる電流量が小さく第1の領域19より弱く発光する。従って、第2の領域20が従来に比較して視認され難い状態になる。
【0064】
(11)発光装置11の製造工程において、基板12上のITO膜に対するエッチング工程の一部を変更するだけで簡単に対応することができる。
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態を図6(a),(b)に従って説明する。この実施形態は、第2の領域20の構成と、発光装置の光出射側に拡散部材が設けられている点が前記第1の実施形態と異なっている。第1の実施形態と同様の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。図6(a)は透明電極13の模式部分平面図、(b)は発光装置の模式断面図である。
【0065】
図6(a)に示すように、第1の領域19を構成する各透明電極13は、隣接する第1の領域19の透明電極13との間に一定幅で蛇行状態に形成された溝21が存在するように形成され、一端に端子13aが形成されている。この実施形態では溝21は、直線部21aが90度に連続して折れ曲がる形状に形成されている。溝21の幅は、例えば、30μm程度である。そして、発光装置11において、各溝21と対応する部分が、第1の領域19に挟まれた第2の領域20となる。即ち、第2の領域20は、発光領域がなく、全て非発光領域で構成されている。
【0066】
この構成の第2の領域20を形成する場合は、透明な基板12(ガラス基板)に形成されたITO膜に対してエッチングを行い、透明電極13、端子13a及び端子部15aを形成する工程において、同時に、第2の領域20となるべき箇所、即ち溝21となるべき箇所にもエッチングを行う。その後の有機EL層14、対向電極15、保護膜18等の形成工程は第1の実施形態と同じである。
【0067】
図6(b)に示すように、発光装置11は、基板12の透明電極13と対向する面と反対側の面、即ち光出射側に拡散部材として拡散シート22を備えている。拡散シート22は、例えば、液晶表示装置等で使用される公知の構成のものが使用される。
【0068】
この実施形態の構成では、基板12から出射される光は、拡散シート22で拡散されて液晶パネル32へ照射される。第2の領域20は発光領域を備えていない。従って、第2の領域20が従来技術のように一直線状の場合は、第2の領域20を挟んだ状態の第1の領域19から出射されて、第2の領域20内を第2の領域20に沿って(第2の領域20の延びる方向に)進む光はないため、拡散シート22を使用しても、液晶表示装置31の使用者に第2の領域20が暗線として視認され易くなる。
【0069】
しかし、この実施形態の構成では、第2の領域20は、一直線状ではなく蛇行状態に形成されている。従って、第2の領域20を挟んだ状態の第1の領域19から出射される光は、第2の領域20に様々な方向から入射し、第2の領域20の延びる方向に進む光も多く存在するため、拡散シート22を使用することにより第2の領域20が視認され難い状態になる。
【0070】
従って、この第3の実施形態では、前記第1の実施形態の効果(1)、(6)〜(9)と同様の効果を有する他に次の効果を有する。
(12)発光装置11は光出射側に拡散シート22を備えており、第2の領域20は非発光領域により蛇行状態に形成されている。従って、第2の領域20は、発光領域を備えていないが、第2の領域20を挟んだ状態の第1の領域19から出射される光は第2の領域20に様々な方向から入射するため、拡散シート22を使用することにより第2の領域20が視認され難い状態になる。
【0071】
(13)発光装置11の製造工程において、基板12上のITO膜に対するエッチング工程の一部を変更するとともに、基板12に拡散シート22を設けることにより簡単に対応することができる。
【0072】
(第4の実施形態)
次に第4の実施形態を図7〜図9に従って説明する。図7は発光装置の模式平面図、図8は図7のE−E線における模式断面図であり、図9(a)は透明電極の模式平面図、(b)は作用を説明する模式図である。なお、第1の実施形態と同様の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0073】
図7及び図8に示すように、発光装置11は、基板12上に順に、第1電極としての透明電極13、発光層としての有機EL層14及び第2電極としての対向電極15が設けられたEL素子としての有機EL素子16が面状の発光部17として設けられている。有機EL素子16は、有機EL層14が水分(水蒸気)及び酸素の悪影響を受けないように、保護膜18で被覆されている。
【0074】
この実施形態では、基板12として透明なガラス基板が使用されている。透明電極13及び対向電極15はそれぞれベタ電極で構成され、透明電極13は対向電極15よりも体積抵抗率が高く、かつ透明な材料で形成されている。また、透明電極13が陽極を構成し、対向電極15が陰極を構成する。透明電極13はITOにより形成され、対向電極15はアルミニウムにより形成されている。有機EL素子16は、有機EL層14からの光が基板12側から取り出される(出射される)所謂ボトムエミッションタイプに構成されている。
【0075】
透明電極13、有機EL層14及び対向電極15は長方形状に形成されている。図7及び図9(a)に示すように、透明電極13には、発光装置11が液晶表示装置のバックライトとして使用される際に、液晶の垂直走査方向と直交する方向(図7の左右方向)の両端部に、端子13aが対向する状態で複数ずつ設けられている。即ち、発光部17の両側に透明電極13の端子13aが対向する状態で複数ずつ設けられている。この発光装置11は、電圧を印加する端子が異なると発光状態となる発光領域が異なっており、各端子は、当該端子に対応する発光領域の一部と、当該端子に隣接する端子に対応する発光領域の一部が重なるように設けられている。
【0076】
図7に示すように、対向電極15は、端子部15aが透明電極13の端子13aと対応する辺と異なる辺に沿って延びるように設けられている。各端子13aはドライバ46に電気的に接続され、制御装置47からの指令信号によりドライバ46を介して選択的に電圧が印加可能に構成されている。ドライバ46が端子13aに選択的に電圧を印加可能な電圧印加手段を構成する。
【0077】
この実施形態における発光装置11も第1の実施形態の発光装置11とほぼ同様にして製造される。第1の実施形態の場合と異なる点は、透明電極13がベタ電極である点と、端子13aが透明電極13の両側に対称に配置される点である。
【0078】
この実施形態の発光装置11も、擬似インパルス駆動型液晶表示装置31のバックライトとして使用される。制御装置47からの指令信号に基づいて、アドレス信号と同期するようにドライバ46から各端子13aにオン信号が出力される。その際、各発光領域の直上にある液晶の表示データ書き替え期間は、当該発光領域が非発光状態となるように各端子への電圧の印加が、ドライバ46により制御される。オン信号が出力されている間、透明電極13の当該端子13aに対応する範囲に電流が流れて有機EL層14が白色発光する。各有機EL層14からの光は、基板12から出射され、液晶パネル32の基板33側に入射する。
【0079】
透明電極13はベタ電極で、かつ体積抵抗率が大きいため、図9(b)に鎖線で示すように、電圧が印加されている状態(ONの状態)の端子13aを中心とした所定の範囲が有機EL素子16の発光領域24となる。そして、発光領域24は、隣接する電圧が印加されていない(OFFの状態)の端子13aと対応する仮想の帯状領域23の一部にまで及ぶ。その結果、電圧が印加されている状態の端子13aと対応する仮想の帯状領域23に隣接する端子13aと対応しない領域も発光状態となる。
【0080】
従って、この第4の実施形態では、前記第1の実施形態の効果(6)、(9)と同様の効果を有する他に次の効果を有する。
(14)透明電極13及び対向電極15はそれぞれベタ電極で構成され、透明電極13は対向電極15よりも体積抵抗率が高く、端子13aが3個以上設けられている。この発光装置11は電圧を印加する端子が異なると発光状態となる発光領域が異なり、各端子は、当該端子に対応する発光領域の一部と、当該端子に隣接する端子に対応する発光領域の一部が重なるように設けられている。従って、複数の発光領域を備えるとともに分割駆動可能な従来技術と異なり、全面発光状態又は見かけ上全面発光状態において暗線を目立たないようにすることができる。
【0081】
(15)発光部17は長方形状に形成されており、発光部17の両側に端子13aが対向する状態で複数ずつ設けられている。従って、端子13aへの電圧印加状態に対応して発光領域がカバーする範囲の自由度が増す。例えば、液晶表示装置31が液晶パネル32の片側半分だけで画像を表示したり、半分ずつ異なる条件で同時に駆動させたりすることも可能になる。
【0082】
(16)発光装置11は、擬似インパルス駆動型液晶表示装置のバックライトに使用される。そして、端子13aは、液晶パネル32の垂直走査方向に沿って所定間隔で配置されており、各発光領域の直上にある液晶の表示データ書き替え期間は、当該発光領域が非発光状態となるように各端子13aへの電圧の印加がドライバ46により制御される。従って、全面発光状態又は見かけ上全面発光状態において暗線を目立たないようにすることができるとともに、動画表示を行う液晶表示装置31において、残像が見えるのを抑制でき、動画像の画質が向上する。
【0083】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように構成してもよい。
○ 第1の実施形態のように、第2の領域20を非発光領域20a及び発光領域20bが混在する構成とする場合、非発光領域20aを第2の領域20に対応する透明電極13の一部に孔13bを設けることで構成する代わりに、図10に示すように、第2の領域20に対応する対向電極15の一部に孔15cを設けてもよい。孔15cは、端子13aに近いほど密度が高くなるように設けるのが好ましい。この場合も第1の実施形態とほぼ同様な効果を得られる。しかし、孔15cが形成された部分からは有機EL層14から対向電極15に向かって出射された光が反射されないため、透明電極13に孔13bを設けた場合の方が、透明電極13側から出射する光量を多くすることができる。
【0084】
○ 第2の領域20を非発光領域20a及び発光領域20bが混在する構成とする場合、透明電極13及び対向電極15の両方に孔13b,15cを設けてもよい。
○ 第2の領域20に非発光領域20aを設ける構成として、孔13b,15cを設ける構成に代えて、絶縁部(絶縁膜)を透明電極13と有機EL層14との間に設けたり、有機EL層14と対向電極15との間に設けたり、透明電極13と有機EL層14との間及び有機EL層14と対向電極15との間の両方に設けたりしてもよい。しかし、絶縁部を有機EL層14と対向電極15との間に設ける場合は、有機EL層14を形成した後に絶縁部を形成する必要があり、水分や高熱に弱い有機EL層14を損傷しないようにするための製造条件が厳しくなる。従って、絶縁部は、透明電極13と有機EL層14との間に設けられる構成が好ましい。
【0085】
○ 第2の領域20の非発光領域20aを構成する孔13b,15cあるいは絶縁部の形状は楕円形に限らず、円形としたり、三角形、四角形等の多角形としたりしてもよい。また、異なる形状のものが混在したり、異なる大きさのものが混在したりしてもよい。
【0086】
○ 第2の実施形態のように、第2の領域20を構成する透明電極13Sの厚さを第1の領域19を構成する透明電極13より薄く形成する構成において、第2の領域20を構成する透明電極13Sは、厚さが一定に限らない。例えば、図11に示すように、第1の領域19の透明電極13の端子13aに近いほど薄くなるように形成したり、透明電極13の端子13aに近い側から次第に厚くなるように形成するとともに途中から一定の厚さとなるように形成したりしてもよい。この場合、第2の領域20を構成する透明電極13Sの厚さが均一な場合に比較して、第2の領域20が視認され難い状態になる。
【0087】
○ 第2の実施形態のように、第2の領域20を構成する透明電極13Sに流れる電流量を第1の領域19を構成する透明電極13に流れる電流量より小さくする構成において、第2の領域20の透明電極13Sの材料に第1の領域19の透明電極13の材料と異なる材料を使用してもよい。
【0088】
○ 第1及び第2の実施形態のように第2の領域20により第1の領域19が区画される構成において、第2の領域20は直線状に限らず、例えば、波線状としてもよい。
○ 第3の実施形態において、第2の領域20を構成する溝21は、直線部21aが90度に連続して折れ曲がる形状に限らず、屈曲方向が異なる状態の屈曲部が複数存在すればよい。例えば、図12(a)に示すように、S字状の部分が繰り返す形状や図12(b)に示すように、直線部21aが連続して折れ曲がるジグザグ状であってもよい。また、直線部と曲線部とがジグザグ状に連続する形状であってもよい。この場合も、第3の実施形態と同様の効果が得られる。
【0089】
○ 第3の実施形態において、拡散部材は拡散シート22に限らず、板状の拡散部材を設けたり、基板12の表面に一体化して設ける代わりに、基板12と別体に設けたりしてもよい。
【0090】
○ 第1〜第3の実施形態のように第2の領域20により第1の領域19が区画される構成において、隣り合う第2の領域20の間隔、即ち第1の領域19の幅は一定に限らず、各第1の領域19の幅が全て異なる構成やいくつかの第1の領域19の幅が異なる構成としてもよい。
【0091】
○ 第1〜第3の実施形態のように第2の領域20により第1の領域19が区画される構成において、透明電極13の端子13aが透明電極13の両側に対をなすように対向する状態で配置された構成としてもよい。また、対向電極15の端子部15aも対向電極15の両側に配置された構成としてもよい。
【0092】
○ 対向電極15の端子部15aを透明電極13と同じ材料で形成せずに対向電極15の延出部で構成してもよい。
○ 第1〜第3の実施形態において、対向電極15の端子部15aを第4の実施形態のように透明電極13の端子13aと対応しない辺に配置してもよい。
【0093】
○ 第1〜第4の実施形態において、対向電極15の端子部15aを透明電極13の端子13aと対応する辺に配置してもよい。端子部15aを端子13aと同じ辺に配置する場合は、図13に示すように、透明電極13の端子13aを長く形成するとともに、端子13a上の有機EL層14に近い部分に絶縁膜25が設けられる。対向電極15は、絶縁膜25上に電極延出部15bが設けられている。また、電極延出部15bと電気的に接続するように対向電極15の端子部15aが絶縁膜25上に形成されている。端子部15aは、透明電極13と同一材料で形成されている。
【0094】
○ 第1〜第3の実施形態のように第2の領域20により第1の領域19が区画される構成において、第1の領域19は、液晶35の垂直走査方向と直交する方向に延びる構成に限らない。例えば、発光部17を二つの第1の領域19及びそれに挟まれる第2の領域20に区画してもよい。二つの第1の領域19は同じ形状であっても、図14に示すように、矩形状領域26及びそれに隣接する領域27の二つの領域で構成されてもよい。そして、第2の領域20は適宜第1〜第3の実施形態の構成あるいは前記各実施形態の構成の一つを採用した構成とする。
【0095】
○ 第4の実施形態のように透明電極13及び対向電極15をベタ電極で構成するとともに、隣接する各端子13aによる発光領域の一部が重なる構成を有する発光装置11において、図15に示すように、端子13aを透明電極13の片側にのみ設ける構成としてもよい。この構成の場合は透明電極13の幅(図15の左右方向における長さ)が、端子13aを両側に設ける構成の1/2程度以下になる。
【0096】
○ 第4の実施形態のように透明電極13及び対向電極15をベタ電極で構成するとともに、隣接する各端子13aによる発光領域の一部が重なる構成を有する発光装置11において、端子13aの配置は、長方形状の透明電極13の一辺のみ、あるいは対向する二辺に対をなすように配置する構成に限らない。端子13aは液晶パネル32の表示領域に合わせて発光領域が形成されるように3個以上設けられていればよい。
【0097】
○ 液晶パネル32の画面が大きくなって、1フレーム時間の間に垂直走査する画素電極36の列数が多い表示装置において、画面を垂直走査方向において複数分割し、分割された各領域毎に同時に垂直走査をする構成を採用した場合、発光装置11においても、発光領域をそれに対応して複数分割する。そして、分割された各領域毎に同時に、各第1の領域19が液晶35の垂直走査に同期して順に発光するように、透明電極13のオン状態を制御するようにしてもよい。
【0098】
○ 定常状態において複数の第1の領域19が同時に発光状態となる構成に代えて、第1の領域19が一個ずつ順に発光状態となる構成としてもよい。
○ 第1の領域19は、発光時に複数列の画素電極36に対して光を照射可能な幅に限らず、1列の画素電極36に対して光を照射可能な幅として、液晶35の垂直走査に1:1で同期して発光状態と非発光状態とに切り替えられる構成としてもよい。
【0099】
○ 基板12はガラスに限らず、透明な樹脂基板やフィルムであってもよい。
○ 透明電極13は、ITOに限らず、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、ZnO(酸化亜鉛)、SnO2(酸化錫)等を用いることができる。
【0100】
○ 対向電極15は、アルミニウムに限らず、従来用いられている公知の陰極材料等が使用でき、例えば、金、銀、銅、クロム等の金属やこれらの合金等が用いられる。
○ 対向電極15は光反射機能を備えていなくてもよい。
【0101】
○ 有機EL層14は白色発光を行うような構成に限らず、例えば、赤や青や緑や黄色等の単色光若しくは、その組み合わせを発光する構成としてもよい。
○ 有機EL素子16は基板12側から光を出射する構成に限らず、基板12と反対側から光を出射する所謂トップエミッション型の有機EL素子を使用してもよい。この場合、有機EL素子16は、基板12側に対向電極15が形成され、有機EL層14を挟んで基板12と反対側に透明電極13が形成される。対向電極15は透明電極13よりも体積抵抗率が低い材料で形成されていればよく、透明な電極で構成されても不透明な電極で構成されてもよい。また、基板12は透明基板に限らず、不透明な基板であってもよい。
【0102】
○ 液晶パネル32はカラーフィルタ39を備えない、白黒表示パネルであってもよい。
○ 発光装置11は、発光層として、有機EL層14に代えて無機EL層を使用した無機EL素子を備えた構成としてもよい。
【0103】
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)発光領域となる複数の第1の領域と、前記第1の領域に挟まれた第2の領域とを備え、前記第2の領域は、前記第1の領域の発光状態において前記第2の領域の視認性を弱める視認性弱め手段を備えている。
【0104】
(2)請求項1〜請求項6及び前記技術的思想(1)のいずれか一項に記載の発明において、前記各第1の領域は、平行な帯状に形成されている。
(3)請求項8に記載の発明において、前記第1の領域は、線順次走査される画素電極の複数列を同時に照明可能な幅に形成されている。
【0105】
(4)請求項1〜請求項11及び前記技術的思想(1)〜(3)のいずれか一項に記載の発明において、前記エレクトロルミネッセンス素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】(a)は第1の実施形態における発光装置の模式平面図、(b)は(a)のA−A線における模式断面図、(c)は(a)のB−B線における模式断面図。
【図2】(a)は第1の領域及び第2の領域の透明電極を示す模式平面図、(b)は(a)のC−C線における模式断面図。
【図3】液晶パネルと発光装置の模式部分断面図。
【図4】駆動回路の概略構成図。
【図5】(a)は第2の実施形態における透明電極の模式平面図、(b)は(a)のD−D線における模式断面図。
【図6】(a)は第3の実施形態における透明電極の模式部分平面図、(b)は発光装置の模式断面図。
【図7】第4の実施形態における発光装置の模式平面図。
【図8】図7のE−E線における模式断面図。
【図9】(a)透明電極の模式平面図、(b)は作用を説明する模式図。
【図10】別の実施形態における発光装置の模式断面図。
【図11】別の実施形態における発光装置の模式断面図。
【図12】(a),(b)は別の実施形態における透明電極の模式部分平面図。
【図13】別の実施形態における端子部の構成を示す模式断面図。
【図14】別の実施形態における第1の領域及び第2の領域の配置を示す模式図。
【図15】別の実施形態における透明電極の模式平面図。
【図16】従来技術のELパネルの模式平面図。
【符号の説明】
【0107】
11…発光装置、13,13S…第1電極としての透明電極、13a…端子、14…発光層としての有機EL層、15…第2電極としての対向電極、16…EL素子としての有機EL素子、17…発光部、19…第1の領域、20…第2の領域、20a…非発光領域、20b…発光領域、22…拡散部材としての拡散シート、23…帯状領域、31…液晶表示装置、32…液晶パネル、35…液晶、46…電圧印加手段としてのドライバ、47…制御装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及び液晶表示装置に係り、詳しくは第1電極と第2電極との間に発光層が設けられたエレクトロルミネッセンス素子を発光部とした発光装置及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、コンピュータ、携帯機器等の表示装置として広く用いられている。近年、これらの表示装置では周囲が暗くても表示が容易に認識できるようにバックライトが設けられるようになった。液晶表示装置として一つの液晶パネルを用いて複数画面の表示を行う装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1の液晶表示装置は、液晶パネルの隣り合う表示領域間に遮光壁を設けることにより、一方の表示領域に対応して配置されたバックライトからの光が他方の表示領域に入射されないようになっている。
【0003】
また、表示品位を向上させるため、液晶表示装置のバックライトをELパネル(以下、エレクトロルミネッセンスを適宜ELと記載する。)で構成するとともに発光部を複数に分割して設け、各発光部を選択的に駆動可能とした構成も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2に記載された装置では、図16に示すように、ELパネル71は、LCDパネルの表示領域に対し、表示単位である表示行毎に配設された複数の発光部72A,72B,72C,72Dが設けられ、各発光部72A〜72Dに対応してそれぞれ電極73A〜73Dが設けられている。そして、ELパネル71をLCDパネルのバックライトとして用いる場合、制御部によってELパネル71の発光部72A〜72Dが選択駆動される。
【0004】
また、液晶表示装置では静止画像だけでなく動画像の表示もなされる。そして、動画像の画質を改善する液晶表示装置として、LEDあるいは蛍光灯を光源にするとともに、特定の幅を有する線状光を液晶の走査方向と直交する方向に走査する走査型のバックライトを備えた表示装置が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開2004−184494号公報(明細書の段落[0041]〜[0045]、図5)
【特許文献2】特開2000−75802号公報(明細書の段落[0048]〜[0050]、図11)
【特許文献3】特開2002−6766号公報(明細書の段落[0055]、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2のELパネル71のように、発光部をLCDパネルの表示単位である表示行毎に複数設けて分割駆動する構成では、複数の発光部72A〜72Dの間の部分に常に発光しない線状の非発光部が存在する。このように、非発光部が存在する構成においては、隣り合う発光部を同時に点灯させた場合、非発光部のラインが視認される状態となり、バックライトとして好ましくない。
【0006】
また、特許文献2には動画表示に関しては何ら記載はないが、EL素子をバックライトとして使用する場合、動画表示に対応するためEL発光部を分割された線状に形成して、特許文献3に開示された装置のように、所謂擬似インパルス駆動を行うことが考えられる。擬似インパルス駆動の場合、LCDの画面全体を一度走査するのに必要な時間、即ち1フレーム時間の間に各発光部は発光状態と非発光状態とに切り替えられる。1フレーム時間内で各発光部が発光状態と非発光状態とに切り替えられても、人の目の残像によって見かけ上、全発光部が点灯しているように見える。しかし、隣接する発光部の間にある非発光部は常に非発光状態のため、暗線が視認される状態となり、バックライトとして好ましくない。
【0007】
本発明は、前記従来の問題に鑑みてなされたものであって、その第1の目的はEL素子を発光部とした発光装置において、複数の発光領域を選択的に発光可能で、かつ全面発光状態又は見かけ上全面発光状態において暗線を目立たないようにすることができる発光装置を提供することにある。また、第2の目的はその発光装置をバックライトとした液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、第1電極と第2電極との間に発光層が設けられたエレクトロルミネッセンス素子を発光部とした発光装置であって、前記第1電極は外部から電圧が印加される端子を有し、複数の第1の領域と、前記第1の領域に挟まれた第2の領域とを備え、前記複数の第1の領域は発光状態と非発光状態とに切り替え可能であり、前記第1の領域の発光・非発光状態に拘わらず前記第2の領域が視認され難いように構成されている。
【0009】
この発明では、第1の領域は発光状態と非発光状態とに切り替えられるが、第2の領域は、第1の領域が発光状態であっても非発光状態であっても、視認され難い。従って、例えば、複数の第1の領域を選択的に駆動したり、同時に駆動したりしても、全面発光状態又は見かけ上全面発光状態において暗線を目立たないようにすることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1電極、前記第2電極及び前記発光層は前記第1の領域及び前記第2の領域で共通の材料により形成され、前記第1電極は前記第2電極よりも体積抵抗率が高く、かつ透明な材料で形成され、前記第2の領域は前記第1電極の形成状態が前記第1の領域における第1電極の形成状態と異なる。この発明では、第1の領域及び第2の領域は、第1電極の形成状態が異なるだけで容易に暗線を目立たないようにすることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記第2の領域には、非発光領域及び発光領域がそれぞれ複数存在する。この発明では、従来は非発光領域のみで構成されていた第2の領域に発光領域が存在するため、第2の領域が従来に比較して視認され難い状態になる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記非発光領域は、ドット状に形成されるとともに、その存在密度が前記第1の発光領域の前記端子に近いほど高くなるように形成されている。この発明では、非発光領域の存在密度が均一な場合に比較して、第2の領域が視認され難い状態になる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記第1電極は前記第2電極よりも体積抵抗率が高く、かつ透明な材料で形成され、前記第2の領域は前記第1電極の厚さが前記第1の領域における前記第1電極より薄く形成されている。この発明では、第2の領域にも全体に第1電極が存在するが、厚さが第1の領域の第1電極より薄いため、流れる電流量が小さく第1の領域より弱く発光する。従って、第2の領域が従来に比較して視認され難い状態になる。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記第2の領域を構成する前記第1電極の厚さは、前記第1の領域の前記端子に近いほど薄くなるように形成されている。この発明では、第2の領域を構成する第1電極の厚さが均一な場合に比較して、第2の領域が視認され難い状態になる。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記発光装置は光出射側に拡散部材を備えており、前記第2の領域は非発光領域により蛇行状態に形成されている。ここで、「蛇行状態」とは、S字状の部分が繰り返す形状、直線部が連続して折れ曲がるジグザグ状あるいは直線部と曲線部とがジグザグ状に連続する形状等のように屈曲方向が異なる状態の屈曲部が複数存在する状態を意味する。
【0016】
従来は、発光領域である第1の領域に挟まれた第2の領域は、非発光領域により直線状に形成されているため、拡散部材を使用しても、第2の領域を挟んだ状態の第1の領域から出射されて、第2の領域内を第2の領域の延びる方向に沿って進む光はないため、第2の領域を視認され難い状態にするのが難しい。しかし、この発明では、第2の領域が蛇行状態に形成されているため、第2の領域を挟んだ状態の第1の領域から出射される光は第2の領域に様々な方向から入射するため、拡散部材を使用することにより第2の領域が視認され難い状態になる。
【0017】
請求項8に記載の発明は、液晶パネルと、前記液晶パネルの背面に設けられたバックライトと、前記液晶パネルと前記バックライトとを制御する制御装置とを有する液晶表示装置であって、前記バックライトは、請求項1〜7のいずれか1項に記載の発光装置であり、前記複数の第1の領域は、それぞれ液晶パネルの垂直走査方向と直交する方向に延びるように構成され、前記制御装置は、前記バックライトの前記複数の第1の領域を、前記液晶パネルの垂直走査に同期して順に発光状態と非発光状態とに切り替え制御しており、少なくとも各第1の領域の直上にある液晶の表示データ書き替え期間は、当該第1の領域が非発光状態となるように前記バックライトを制御している。
【0018】
この発明では、第1の領域は、液晶パネルの垂直走査方向と直交する方向に延びるように構成され、各第1の領域は、少なくとも直上にある液晶の表示データ書き替え期間は非発光状態となるように制御される。従って、第2の領域が視認され難い状態になるだけでなく、動画表示を行う液晶表示装置において、残像が見えるのを抑制でき、動画像の画質が向上する。
【0019】
請求項9に記載の発明は、第1電極と第2電極との間に発光層が設けられたエレクトロルミネッセンス素子を発光部とした発光装置である。そして、前記第1電極及び第2電極はそれぞれベタ電極で構成され、前記第1電極は前記第2電極よりも体積抵抗率が高く、かつ透明な材料で形成され、前記第1電極は3個以上の端子を備えており、電圧を印加する端子が異なると発光状態となる発光領域が異なり、各端子は、当該端子に対応する発光領域の一部と、当該端子に隣接する端子に対応する発光領域の一部が重なるように設けられている。
【0020】
この発明では、第1電極の各端子に電圧が印加されるとその端子に対応する発光領域が発光状態となる。そして、隣接する端子の発光領域の一部が重なるため、複数の発光領域を備えるとともに分割駆動可能な従来技術と異なり、全面発光状態又は見かけ上全面発光状態において暗線を目立たないようにすることができる。
【0021】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の発明において、前記発光部は長方形状に形成されており、前記発光部の両側に前記端子が対向する状態で複数ずつ設けられている。この発明では、端子への電圧印加状態に対応して発光領域がカバーする範囲の自由度が増す。
【0022】
請求項11に記載の発明は、液晶パネルと、前記液晶パネルの背面に設けられたバックライトと、前記液晶パネルと前記バックライトとを制御する制御装置とを有する液晶表示装置であって、前記バックライトは、請求項9又は10に記載の発光装置であり、前記端子は、前記液晶パネルの垂直走査方向に沿って所定間隔で配置され、各発光領域の直上にある液晶の表示データ書き替え期間は、当該発光領域は非発光状態となるように各端子への電圧の印加が制御される。この発明では、全面発光状態又は見かけ上全面発光状態において暗線を目立たないようにすることができるとともに、動画表示を行う液晶表示装置において、残像が見えるのを抑制でき、動画像の画質が向上する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、EL素子を発光部とした発光装置において、複数の発光領域を選択的に発光可能で、かつ全面発光状態又は見かけ上全面発光状態において暗線を目立たないようにすることができる。また、その発光装置をバックライトとした液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1の実施形態)
以下、本発明を擬似インパルス駆動型液晶表示装置のバックライトに具体化した第1の実施形態を図1〜図4に従って説明する。図1(a)は発光装置の模式平面図、(b)は(a)のA−A線における模式断面図、(c)は(a)のB−B線における模式断面図である。図2(a)は第1の領域及び第2の領域の第1電極を示す模式平面図、(b)は(a)のC−C線における模式断面図である。図3は液晶パネルと発光装置の模式部分断面図、図4は駆動回路の概略構成図である。なお、図1〜図3は、発光装置、第1電極、液晶パネル等の構成を模式的に示したものであり、図示の都合上、一部の寸法を誇張して分かり易くしているために、それぞれの部分の幅、長さ、厚さ等の寸法の比は実際の比と異なっている。
【0025】
図1(a)〜(c)に示すように、発光装置11は、基板12上に順に、第1電極としての透明電極13、発光層としての有機EL層14及び第2電極としての対向電極15が設けられたエレクトロルミネッセンス素子(EL素子)としての有機EL素子16が面状の発光部17として設けられている。有機EL素子16は、有機EL層14が水分(水蒸気)及び酸素の悪影響を受けないように、保護膜18で被覆されている。
【0026】
この実施形態では、基板12として透明なガラス基板が使用されている。また、透明電極13が陽極を構成し、対向電極15が陰極を構成する。透明電極13は、対向電極15よりも体積抵抗率が高く、かつ透明な材料で形成されている。ここで、「透明」とは、少なくとも可視光を透過可能なことを意味する。透明電極13は、公知の有機EL素子で透明電極として用いられるITO(インジウム錫酸化物)により形成されている。対向電極15は、金属(例えば、アルミニウム)で形成され、光を反射する機能を有する。有機EL素子16は、有機EL層14からの光が基板12側から取り出される(出射される)所謂ボトムエミッションタイプに構成されている。保護膜18は、例えば窒化ケイ素で形成されている。
【0027】
図1(a)に示すように、有機EL素子16は、液晶表示装置のバックライトとして使用される際に、液晶の垂直走査方向と直交する方向(図1(a)の左右方向)に延びる複数の第1の領域19と、第1の領域19に挟まれた第2の領域20とを備えている。この実施形態では各第1の領域19は同じ幅に形成されている。
【0028】
第1の領域19を構成する透明電極13は、第1の領域19と同じ幅に形成され、各第1の領域19の一端(図1(a)〜(c)の左端)と対応する位置に端子13aが形成されている。即ち、第1の領域19の透明電極13は、液晶の垂直走査方向と直交する方向に延びるように形成され、一端側に端子13aが形成されている。第1の領域19の幅は後記する液晶表示装置の1画素分の幅ではなく、複数画素分の幅に形成されている。即ち、第1の領域19は、同時に走査される1列分の液晶の画素領域毎に設けられるのではなく、複数列分の画素領域を照明するのに必要な幅に形成されている。
【0029】
第2の領域20は、図1(c)に示すように、非発光領域20a及び発光領域20bがそれぞれ複数存在する状態に形成されている。非発光領域20aは、ドット状に形成されるとともに、その存在密度が第1の領域19の透明電極13の端子13aに近いほど高くなるように形成されている。
【0030】
透明電極13、有機EL層14及び対向電極15は第1の領域19及び第2の領域20で共通の材料により形成されている。図2(a),(b)に示すように、透明電極13には第2の領域20に対応する箇所に、孔13bが所定の間隔で複数ずつ形成されている。第2の領域20の透明電極13は、部分的に除去されることにより孔13bが形成されている。即ち、第2の領域20は、透明電極13の形成状態が第1の領域19における透明電極13の形成状態と異なるように形成されている。
【0031】
有機EL層14は、透明電極13の端子13aの一部を除いた部分及び孔13bを覆うように形成されている。有機EL層14は、公知の有機EL材料を用いて形成され、例えば、透明電極13側から順に正孔輸送層、発光層及び電子輸送層が積層されて形成されている。有機EL層14は、白色発光を行うように構成され、発光装置11を液晶表示装置のバックライトとして使用する場合、カラーフィルタを使用したフルカラー表示に対応できるようになっている。白色発光を行う構成としては、公知の構成、例えば、赤、緑、青に発光する層を平面的に微細に塗り分けて全体として白色発光とする構成、赤、緑、青に発光する層を積層して全体として白色発光とする構成、赤、緑、青の色素をホスト分子あるいは高分子中に分散させる構成等がある。
【0032】
対向電極15はベタ電極で構成され、図1(a)〜(c)に示すように、幅が有機EL層14より狭く形成され、長さが透明電極13の端子13a側と反対側において有機EL層14より長くなるように形成されている。(ここで、幅とは図1における上下方向の距離を示し、長さとは図1における左右方向の距離を示す。)対向電極15の端子部15aは、透明電極13の端子13aと反対側に設けられている。端子部15aは、透明電極13と同一材料で形成され、対向電極15の電極延出部15bと電気的に接続されている。発光装置11は、端子13aが後記するドライバに接続された状態で使用される。
【0033】
次に前記のように構成された発光装置11の製造方法を説明する。発光装置11を製造する際は、ITO膜が形成された透明な基板12(ガラス基板)を準備する。このITO膜に対してエッチングを行い、透明電極13、端子13a、孔13b及び端子部15aを形成する。
【0034】
次に基板12及び透明電極13の洗浄が行われた後、透明電極13を覆うように、有機EL層14を形成する。有機EL層14は、例えば、蒸着法で形成され、有機EL層14を構成する各層が蒸着により順次積層されることで形成される。その後、Alの蒸着により有機EL層14上に対向電極15を形成する。このとき、対向電極15は、電極延出部15bが端子部15aの一部を覆って端子部15aと電気的に接続される状態に形成される。最後に、保護膜18を形成する。保護膜18として窒化ケイ素等のセラミック膜を形成する場合、セラミック膜は、例えば、プラズマCVD法で形成される。
【0035】
次に前記のように構成された発光装置11が、擬似インパルス駆動型液晶表示装置のバックライトとして使用される場合の作用を説明する。
図3に示すように、発光装置11は、液晶表示装置31を構成する透過型の液晶パネル32の背面(表示面と反対側の面)側に配置されて使用される。液晶パネル32は、公知のアクティブマトリックス型のフルカラー表示用の液晶パネルと基本的に同じ構成である。液晶パネル32は、一対の透明な基板33,34を備え、両基板33,34は所定の間隔を保った状態で、図示しないシール材により貼り合わされて、その間に液晶35が封止されている。基板33,34は例えばガラス製である。発光装置11側に配置された一方の基板33には、液晶35と対向する面に画素電極36と、画素電極36に接続されたTFT(薄膜トランジスタ)37とがマトリックス状に形成されている。画素電極36はITO(インジウム錫酸化物)で形成されている。3個の画素電極36が1組で1個の画素を構成している。また、基板33には、液晶35と反対側の面に偏光板38が配設されている。
【0036】
他方の基板34には液晶35側の面にカラーフィルタ39が形成され、カラーフィルタ39上には全画素共通の透明電極40が形成されている。透明電極40もITOで形成されている。カラーフィルタ39は、赤色、緑色及び青色の光を透過する領域39a,39b,39cがサブ画素を構成する各画素電極36と対応するように配設されている。各領域39a〜39cはブラックマトリックス41で区画されている。基板34の液晶35と反対側の面には偏光板42が形成されている。
【0037】
発光装置11は、基板12が液晶パネル32と対向するとともに、第1の領域19が液晶35の垂直走査方向(図3の左右方向)と直交する方向(図3の紙面と垂直方向)に延びるように配置される。
【0038】
図4に示すように、液晶パネル32及び発光装置11で構成される表示部43の外側には、TFT37のゲート電極を駆動するゲートドライバ44と、ソース電極(データ電極)を駆動するソースドライバ45とが設けられている。また、表示部43の外側には、透明電極13を駆動するドライバ46が設けられている。透明電極13の端子13aはドライバ46に電気的に接続される。各ドライバ44〜46は制御装置47からの制御信号により駆動制御される。
【0039】
ゲートドライバ44は、制御装置47からの制御信号に基づいてアドレス信号(順次走査信号)をTFT37のゲートに供給し、ソースドライバ45は、制御装置47からの制御信号に基づいてデータ信号をTFT37のソースに供給する。画面全体を一度走査するのに使用する時間、即ち1フレーム時間は1/60秒に設定されている。従って、アドレス信号の出力される間隔は、アドレス信号線の数をAnとすると、(1/60)×(1/An)秒となる。
【0040】
制御装置47は、複数の第1の領域19を、液晶35の垂直走査、即ちアドレス信号の出力に同期して順に発光状態と非発光状態とに切り替え制御する。この実施形態では、制御装置47は、例えば、第1の領域19の数をN個としたとき、各第1の領域19が1フレーム時間の1/Nのタイミングで順に発光状態(点灯状態)となるように制御している。また、各第1の領域は、発光状態に切り替わってから所定時間発光状態が保持されるように制御されている。従って、液晶表示装置の駆動時には、同時に複数(例えば2個)の第1の領域19が発光状態となっている。
【0041】
第1の領域19の発光状態から非発光状態への切り替え時には、非発光状態に切り替えられる当該第1の領域19と交代して発光状態に切り替えられる他の第1の領域19が発光状態になった後、一定時間t経過後、当該第1の領域19が非発光状態に切り替えられるように制御装置47から指令信号がドライバ46に出力される。この一定時間tは極短時間であり、人の目には変化が殆ど感じられない時間である。
【0042】
各第1の領域19は、制御装置47からの指令信号により発光状態と非発光状態とに切り替え制御されるが、当該第1の領域19の直上にある液晶35を照明する第1の領域19は、少なくとも当該液晶35の表示データ書き替え期間は非発光状態となるように制御される。各第1の領域19が画素電極36の1走査ライン分と1:1で対応していれば、1走査ライン分のデータ書き替え期間が、当該第1の領域19の直上にある液晶35の表示データ書き替え期間となる。しかし、この実施形態では、各第1の領域19が画素電極36の複数の走査ライン分と対応しているため、当該複数の走査ライン分の表示データ書き替え期間Tの間、当該第1の領域19は非発光状態に保持される。そして、その後、予め設定された期間、オン状態に保持される。
【0043】
液晶パネル32の表示画面に画像を表示させる際、液晶パネル32においては、制御装置47からの指令信号により、ゲートドライバ44からアドレス信号が出力されて1列毎に各TFT37がオン状態になり、ソースドライバ45から出力されたデータ信号により各画素電極36にデータが書き込まれる。そして、書き込まれたデータは当該画素電極36の図示しない蓄積キャパシタに充放電電荷として蓄積され、次のデータ書き込みが行われるまで、その電荷に対応した大きさの電圧が当該画素電極36に印加される状態に保持される。そして、各画素電極36への印加電圧が大きいほど、当該画素電極36に対向する液晶35を透過する光量が増加するようになる。画素電極36への表示データの書き替えが行われるときには当該画素電極36と対向する第1の領域19は非発光状態に保持されるため、動画像の画質が向上する。
【0044】
発光装置11は、制御装置47からの指令信号に基づいて、アドレス信号と同期するようにドライバ46から各端子13aにオン信号が出力される。オン信号が出力されている間、当該端子13aに対応する第1の領域19に電流が流れて有機EL層14が白色発光する。各有機EL層14からの光は、基板12から出射され、液晶パネル32の基板33側に入射する。
【0045】
各第1の領域19は、液晶35の垂直走査に同期して順に発光する。但し、この実施形態では液晶35の複数の走査ライン分の画素電極36列と各第1の領域19とが対向しているため、当該第1の領域19を構成する透明電極13の端子13aへのオン信号は、当該第1の領域19と対向する複数の画素電極36列のTFT37への表示データ書き替え(書き込み)が完了後に出力される。
【0046】
そして、画素電極36への電圧の印加状態に対応した量の光が液晶35を透過して、透明電極40を経てカラーフィルタ39の各領域39a〜39cを透過する。液晶表示装置31の使用者はカラーフィルタ39を透過した光により形成される画像を液晶表示装置31の表示として視認する。
【0047】
カラー画像を表示する際、画像の色は各画素における赤色、緑色、青色の三原色を混合することで所望の色に調整される。この実施形態では、発光装置11からはほぼ一定の光量で白色光が出射され、画素電極36に印加される印可電圧の大きさによって各画素におけるカラーフィルタ39を透過する光量、即ち各画素における三原色の混合割合が調整される。
【0048】
複数の第1の領域19が選択的に順次駆動されて1フレーム時間内に発光状態と非発光状態とに切り替えられて見かけ上、全ての第1の領域19が同時に発光される全面発光状態になる。従来技術では、隣接する第1の領域19に挟まれた第2の領域20は常に非発光状態のため、暗線として視認される。しかし、この実施形態では、第2の領域20は非発光領域20a及び発光領域20bがそれぞれ複数存在する状態に形成されており、発光領域20bを構成する透明電極13には、隣接する第1の領域19が発光状態のとき、当該第1の領域19を構成する透明電極13から電流が流れて発光状態となる。従って、第2の領域20は、隣接する第1の領域19が発光状態であっても非発光状態であっても、視認され難くなる。非発光領域20a及び発光領域20bは、第1の領域19の発光状態において第2の領域20の視認性を弱める視認性弱め手段を構成する。
【0049】
なお、互いに隣接する第1の領域の間の、第2の領域の透明電極には複数の孔13bが形成されている。このため、第1の領域に比べて、第2の領域の透明電極は全体として体積抵抗率が高くなる。したがって、一つの第1の領域から隣接する第1の領域には電流が流れにくくなっており、これによって第1の領域が区画されている。
【0050】
有機EL素子16の輝度は、有機EL層14における電流密度に影響され、電流密度が高いほど素子の輝度は高くなる。透明電極13は体積抵抗率が対向電極15に比較して高く、端子13aから近い部分と遠い部分とでは、電気抵抗値の差が大きくなり、有機EL層14における電流密度の差も大きくなる。従って、発光領域20bの密度が端子13aに近いほど低く、即ち非発光領域20aの密度が高くなるように設ける方が、第2の領域20全体としての輝度ムラが小さくなって第2の領域20が視認され難くなる。
【0051】
この実施形態では以下の効果を有する。
(1)発光装置11は、透明電極13と対向電極15との間に有機EL層14が設けられた有機EL素子16を発光部17としており、複数の第1の領域19と、第1の領域19に挟まれた第2の領域20とを備え、第1の領域19の発光・非発光状態に拘わらず第2の領域20が視認され難いように構成されている。従って、複数の第1の領域19を選択的に駆動したり、同時に駆動したりしても、全面発光状態又は見かけ上全面発光状態において暗線を目立たないようにすることができる。
【0052】
(2)透明電極13、対向電極15及び有機EL層14は、第1の領域19及び第2の領域20で共通の材料により形成され、透明電極13は対向電極15よりも体積抵抗率が高く、かつ透明な材料で形成され、第2の領域20は透明電極13の形成状態が第1の領域19における透明電極13の形成状態と異なる。従って、第1の領域19及び第2の領域20は、透明電極13の形成状態が異なるだけで容易に暗線を目立たないようにすることができる。
【0053】
(3)第2の領域20は、非発光領域20a及び発光領域20bがそれぞれ複数存在する。従って、従来は非発光領域のみで構成されていた第2の領域20に発光領域20bが存在するため、第2の領域20が従来に比較して視認され難い状態になる。
【0054】
(4)非発光領域20aは、ドット状に形成されるとともに、その存在密度が第1の領域19の透明電極13の端子13aに近いほど高くなるように形成されている。従って、非発光領域20aの存在密度が均一な場合に比較して、第2の領域20を構成する各発光領域20bの輝度ムラが小さくなり、第2の領域20がより視認され難い状態になる。
【0055】
(5)非発光領域20aは、第2の領域20における透明電極13の一部を除去して孔13bを設けることにより構成されている。従って、透明電極13の形成工程において孔13bを同時に設けることができ、製造時の工数を増加させずに製造することができる。
【0056】
(6)有機EL素子16を構成する対向電極15が光を反射する機能を有する。従って、対向電極15が光を反射する機能を有しない場合に比較して、有機EL層14から対向電極15側に向かう光が対向電極15で効率よく反射され、透明電極13側から出射する光量を多くすることができる。
【0057】
(7)液晶表示装置31は、バックライトとして発光装置11を備えている。バックライトの複数の第1の領域19は、液晶パネル32の垂直走査方向と直交する方向に延びるように構成され、発光状態と非発光状態とに制御装置47からの指令信号により切り替え制御される。そして、少なくとも各第1の領域の直上にある液晶35の表示データ書き替え期間は、当該第1の領域が非発光状態となるように制御される。従って、第2の領域20が視認され難い状態になるだけでなく、動画表示を行う液晶表示装置31において、残像が見えるのを抑制でき、動画像の画質が向上する。
【0058】
(8)液晶表示装置31の駆動時において、バックライトは同時に複数の第1の領域19が発光状態になるように保持されるため、1フレーム時間における各第1の領域19が発光状態になる期間が長くなり、液晶表示装置31の駆動時において常に1個の第1の領域19のみが発光する構成に比較して表示画面全体の輝度を高めることができる。
【0059】
(9)EL素子として有機EL素子16が使用されている。従って、発光部17に無機EL素子を使用した場合に比較して、低電圧で発光させることができる。
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態を図5(a),(b)に従って説明する。この実施形態は、第2の領域20の構成が前記第1の実施形態と異なっている。第1の実施形態と同様の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。図5(a)は透明電極13の模式平面図、(b)は(a)のD−D線における模式断面図である。
【0060】
図5(a)に示すように、第1の領域19を構成する各透明電極13は、同じ幅で平行に形成され、一端に端子13aが形成されている。図5(b)に示すように、第2の領域20を構成する透明電極13Sは、厚さが第1の領域19における透明電極13より薄く形成されている。この実施形態では、第2の領域20にも全体に透明電極13Sが存在する。即ち、第2の領域20は、非発光領域がなく、全て発光領域で構成されている。
【0061】
この構成の第2の領域20を形成する場合は、透明な基板12(ガラス基板)に形成されたITO膜に対してエッチングを行い、透明電極13、端子13a及び端子部15aを形成する工程において、同時に、第2の領域20の透明電極13Sとなるべき箇所にもエッチングを行い、所定の厚さの透明電極13Sを形成する。その後の有機EL層14、対向電極15、保護膜18等の形成工程は第1の実施形態と同じである。
【0062】
この実施形態の構成では、第2の領域20に隣接する第1の領域19が発光状態となる場合においては、当該第1の領域19の透明電極13を介して第2の領域20の透明電極13Sに電流が流れる状態となり、第2の領域20も発光状態となる。しかし、透明電極13Sの厚さが第1の領域19の透明電極13より薄いため、流れる電流量が小さく、第1の領域19より弱く発光する。第1の領域19の透明電極13より薄い透明電極13Sが、第1の領域19の発光状態において第2の領域20の視認性を弱める視認性弱め手段を構成する。
【0063】
従って、この第2の実施形態では、前記第1の実施形態の効果(1)、(2)、(6)〜(9)と同様の効果を有する他に次の効果を有する。
(10)第2の領域20にも全体に透明電極13Sが存在するが、厚さが第1の領域19の透明電極13より薄いため、流れる電流量が小さく第1の領域19より弱く発光する。従って、第2の領域20が従来に比較して視認され難い状態になる。
【0064】
(11)発光装置11の製造工程において、基板12上のITO膜に対するエッチング工程の一部を変更するだけで簡単に対応することができる。
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態を図6(a),(b)に従って説明する。この実施形態は、第2の領域20の構成と、発光装置の光出射側に拡散部材が設けられている点が前記第1の実施形態と異なっている。第1の実施形態と同様の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。図6(a)は透明電極13の模式部分平面図、(b)は発光装置の模式断面図である。
【0065】
図6(a)に示すように、第1の領域19を構成する各透明電極13は、隣接する第1の領域19の透明電極13との間に一定幅で蛇行状態に形成された溝21が存在するように形成され、一端に端子13aが形成されている。この実施形態では溝21は、直線部21aが90度に連続して折れ曲がる形状に形成されている。溝21の幅は、例えば、30μm程度である。そして、発光装置11において、各溝21と対応する部分が、第1の領域19に挟まれた第2の領域20となる。即ち、第2の領域20は、発光領域がなく、全て非発光領域で構成されている。
【0066】
この構成の第2の領域20を形成する場合は、透明な基板12(ガラス基板)に形成されたITO膜に対してエッチングを行い、透明電極13、端子13a及び端子部15aを形成する工程において、同時に、第2の領域20となるべき箇所、即ち溝21となるべき箇所にもエッチングを行う。その後の有機EL層14、対向電極15、保護膜18等の形成工程は第1の実施形態と同じである。
【0067】
図6(b)に示すように、発光装置11は、基板12の透明電極13と対向する面と反対側の面、即ち光出射側に拡散部材として拡散シート22を備えている。拡散シート22は、例えば、液晶表示装置等で使用される公知の構成のものが使用される。
【0068】
この実施形態の構成では、基板12から出射される光は、拡散シート22で拡散されて液晶パネル32へ照射される。第2の領域20は発光領域を備えていない。従って、第2の領域20が従来技術のように一直線状の場合は、第2の領域20を挟んだ状態の第1の領域19から出射されて、第2の領域20内を第2の領域20に沿って(第2の領域20の延びる方向に)進む光はないため、拡散シート22を使用しても、液晶表示装置31の使用者に第2の領域20が暗線として視認され易くなる。
【0069】
しかし、この実施形態の構成では、第2の領域20は、一直線状ではなく蛇行状態に形成されている。従って、第2の領域20を挟んだ状態の第1の領域19から出射される光は、第2の領域20に様々な方向から入射し、第2の領域20の延びる方向に進む光も多く存在するため、拡散シート22を使用することにより第2の領域20が視認され難い状態になる。
【0070】
従って、この第3の実施形態では、前記第1の実施形態の効果(1)、(6)〜(9)と同様の効果を有する他に次の効果を有する。
(12)発光装置11は光出射側に拡散シート22を備えており、第2の領域20は非発光領域により蛇行状態に形成されている。従って、第2の領域20は、発光領域を備えていないが、第2の領域20を挟んだ状態の第1の領域19から出射される光は第2の領域20に様々な方向から入射するため、拡散シート22を使用することにより第2の領域20が視認され難い状態になる。
【0071】
(13)発光装置11の製造工程において、基板12上のITO膜に対するエッチング工程の一部を変更するとともに、基板12に拡散シート22を設けることにより簡単に対応することができる。
【0072】
(第4の実施形態)
次に第4の実施形態を図7〜図9に従って説明する。図7は発光装置の模式平面図、図8は図7のE−E線における模式断面図であり、図9(a)は透明電極の模式平面図、(b)は作用を説明する模式図である。なお、第1の実施形態と同様の部分については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0073】
図7及び図8に示すように、発光装置11は、基板12上に順に、第1電極としての透明電極13、発光層としての有機EL層14及び第2電極としての対向電極15が設けられたEL素子としての有機EL素子16が面状の発光部17として設けられている。有機EL素子16は、有機EL層14が水分(水蒸気)及び酸素の悪影響を受けないように、保護膜18で被覆されている。
【0074】
この実施形態では、基板12として透明なガラス基板が使用されている。透明電極13及び対向電極15はそれぞれベタ電極で構成され、透明電極13は対向電極15よりも体積抵抗率が高く、かつ透明な材料で形成されている。また、透明電極13が陽極を構成し、対向電極15が陰極を構成する。透明電極13はITOにより形成され、対向電極15はアルミニウムにより形成されている。有機EL素子16は、有機EL層14からの光が基板12側から取り出される(出射される)所謂ボトムエミッションタイプに構成されている。
【0075】
透明電極13、有機EL層14及び対向電極15は長方形状に形成されている。図7及び図9(a)に示すように、透明電極13には、発光装置11が液晶表示装置のバックライトとして使用される際に、液晶の垂直走査方向と直交する方向(図7の左右方向)の両端部に、端子13aが対向する状態で複数ずつ設けられている。即ち、発光部17の両側に透明電極13の端子13aが対向する状態で複数ずつ設けられている。この発光装置11は、電圧を印加する端子が異なると発光状態となる発光領域が異なっており、各端子は、当該端子に対応する発光領域の一部と、当該端子に隣接する端子に対応する発光領域の一部が重なるように設けられている。
【0076】
図7に示すように、対向電極15は、端子部15aが透明電極13の端子13aと対応する辺と異なる辺に沿って延びるように設けられている。各端子13aはドライバ46に電気的に接続され、制御装置47からの指令信号によりドライバ46を介して選択的に電圧が印加可能に構成されている。ドライバ46が端子13aに選択的に電圧を印加可能な電圧印加手段を構成する。
【0077】
この実施形態における発光装置11も第1の実施形態の発光装置11とほぼ同様にして製造される。第1の実施形態の場合と異なる点は、透明電極13がベタ電極である点と、端子13aが透明電極13の両側に対称に配置される点である。
【0078】
この実施形態の発光装置11も、擬似インパルス駆動型液晶表示装置31のバックライトとして使用される。制御装置47からの指令信号に基づいて、アドレス信号と同期するようにドライバ46から各端子13aにオン信号が出力される。その際、各発光領域の直上にある液晶の表示データ書き替え期間は、当該発光領域が非発光状態となるように各端子への電圧の印加が、ドライバ46により制御される。オン信号が出力されている間、透明電極13の当該端子13aに対応する範囲に電流が流れて有機EL層14が白色発光する。各有機EL層14からの光は、基板12から出射され、液晶パネル32の基板33側に入射する。
【0079】
透明電極13はベタ電極で、かつ体積抵抗率が大きいため、図9(b)に鎖線で示すように、電圧が印加されている状態(ONの状態)の端子13aを中心とした所定の範囲が有機EL素子16の発光領域24となる。そして、発光領域24は、隣接する電圧が印加されていない(OFFの状態)の端子13aと対応する仮想の帯状領域23の一部にまで及ぶ。その結果、電圧が印加されている状態の端子13aと対応する仮想の帯状領域23に隣接する端子13aと対応しない領域も発光状態となる。
【0080】
従って、この第4の実施形態では、前記第1の実施形態の効果(6)、(9)と同様の効果を有する他に次の効果を有する。
(14)透明電極13及び対向電極15はそれぞれベタ電極で構成され、透明電極13は対向電極15よりも体積抵抗率が高く、端子13aが3個以上設けられている。この発光装置11は電圧を印加する端子が異なると発光状態となる発光領域が異なり、各端子は、当該端子に対応する発光領域の一部と、当該端子に隣接する端子に対応する発光領域の一部が重なるように設けられている。従って、複数の発光領域を備えるとともに分割駆動可能な従来技術と異なり、全面発光状態又は見かけ上全面発光状態において暗線を目立たないようにすることができる。
【0081】
(15)発光部17は長方形状に形成されており、発光部17の両側に端子13aが対向する状態で複数ずつ設けられている。従って、端子13aへの電圧印加状態に対応して発光領域がカバーする範囲の自由度が増す。例えば、液晶表示装置31が液晶パネル32の片側半分だけで画像を表示したり、半分ずつ異なる条件で同時に駆動させたりすることも可能になる。
【0082】
(16)発光装置11は、擬似インパルス駆動型液晶表示装置のバックライトに使用される。そして、端子13aは、液晶パネル32の垂直走査方向に沿って所定間隔で配置されており、各発光領域の直上にある液晶の表示データ書き替え期間は、当該発光領域が非発光状態となるように各端子13aへの電圧の印加がドライバ46により制御される。従って、全面発光状態又は見かけ上全面発光状態において暗線を目立たないようにすることができるとともに、動画表示を行う液晶表示装置31において、残像が見えるのを抑制でき、動画像の画質が向上する。
【0083】
実施形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように構成してもよい。
○ 第1の実施形態のように、第2の領域20を非発光領域20a及び発光領域20bが混在する構成とする場合、非発光領域20aを第2の領域20に対応する透明電極13の一部に孔13bを設けることで構成する代わりに、図10に示すように、第2の領域20に対応する対向電極15の一部に孔15cを設けてもよい。孔15cは、端子13aに近いほど密度が高くなるように設けるのが好ましい。この場合も第1の実施形態とほぼ同様な効果を得られる。しかし、孔15cが形成された部分からは有機EL層14から対向電極15に向かって出射された光が反射されないため、透明電極13に孔13bを設けた場合の方が、透明電極13側から出射する光量を多くすることができる。
【0084】
○ 第2の領域20を非発光領域20a及び発光領域20bが混在する構成とする場合、透明電極13及び対向電極15の両方に孔13b,15cを設けてもよい。
○ 第2の領域20に非発光領域20aを設ける構成として、孔13b,15cを設ける構成に代えて、絶縁部(絶縁膜)を透明電極13と有機EL層14との間に設けたり、有機EL層14と対向電極15との間に設けたり、透明電極13と有機EL層14との間及び有機EL層14と対向電極15との間の両方に設けたりしてもよい。しかし、絶縁部を有機EL層14と対向電極15との間に設ける場合は、有機EL層14を形成した後に絶縁部を形成する必要があり、水分や高熱に弱い有機EL層14を損傷しないようにするための製造条件が厳しくなる。従って、絶縁部は、透明電極13と有機EL層14との間に設けられる構成が好ましい。
【0085】
○ 第2の領域20の非発光領域20aを構成する孔13b,15cあるいは絶縁部の形状は楕円形に限らず、円形としたり、三角形、四角形等の多角形としたりしてもよい。また、異なる形状のものが混在したり、異なる大きさのものが混在したりしてもよい。
【0086】
○ 第2の実施形態のように、第2の領域20を構成する透明電極13Sの厚さを第1の領域19を構成する透明電極13より薄く形成する構成において、第2の領域20を構成する透明電極13Sは、厚さが一定に限らない。例えば、図11に示すように、第1の領域19の透明電極13の端子13aに近いほど薄くなるように形成したり、透明電極13の端子13aに近い側から次第に厚くなるように形成するとともに途中から一定の厚さとなるように形成したりしてもよい。この場合、第2の領域20を構成する透明電極13Sの厚さが均一な場合に比較して、第2の領域20が視認され難い状態になる。
【0087】
○ 第2の実施形態のように、第2の領域20を構成する透明電極13Sに流れる電流量を第1の領域19を構成する透明電極13に流れる電流量より小さくする構成において、第2の領域20の透明電極13Sの材料に第1の領域19の透明電極13の材料と異なる材料を使用してもよい。
【0088】
○ 第1及び第2の実施形態のように第2の領域20により第1の領域19が区画される構成において、第2の領域20は直線状に限らず、例えば、波線状としてもよい。
○ 第3の実施形態において、第2の領域20を構成する溝21は、直線部21aが90度に連続して折れ曲がる形状に限らず、屈曲方向が異なる状態の屈曲部が複数存在すればよい。例えば、図12(a)に示すように、S字状の部分が繰り返す形状や図12(b)に示すように、直線部21aが連続して折れ曲がるジグザグ状であってもよい。また、直線部と曲線部とがジグザグ状に連続する形状であってもよい。この場合も、第3の実施形態と同様の効果が得られる。
【0089】
○ 第3の実施形態において、拡散部材は拡散シート22に限らず、板状の拡散部材を設けたり、基板12の表面に一体化して設ける代わりに、基板12と別体に設けたりしてもよい。
【0090】
○ 第1〜第3の実施形態のように第2の領域20により第1の領域19が区画される構成において、隣り合う第2の領域20の間隔、即ち第1の領域19の幅は一定に限らず、各第1の領域19の幅が全て異なる構成やいくつかの第1の領域19の幅が異なる構成としてもよい。
【0091】
○ 第1〜第3の実施形態のように第2の領域20により第1の領域19が区画される構成において、透明電極13の端子13aが透明電極13の両側に対をなすように対向する状態で配置された構成としてもよい。また、対向電極15の端子部15aも対向電極15の両側に配置された構成としてもよい。
【0092】
○ 対向電極15の端子部15aを透明電極13と同じ材料で形成せずに対向電極15の延出部で構成してもよい。
○ 第1〜第3の実施形態において、対向電極15の端子部15aを第4の実施形態のように透明電極13の端子13aと対応しない辺に配置してもよい。
【0093】
○ 第1〜第4の実施形態において、対向電極15の端子部15aを透明電極13の端子13aと対応する辺に配置してもよい。端子部15aを端子13aと同じ辺に配置する場合は、図13に示すように、透明電極13の端子13aを長く形成するとともに、端子13a上の有機EL層14に近い部分に絶縁膜25が設けられる。対向電極15は、絶縁膜25上に電極延出部15bが設けられている。また、電極延出部15bと電気的に接続するように対向電極15の端子部15aが絶縁膜25上に形成されている。端子部15aは、透明電極13と同一材料で形成されている。
【0094】
○ 第1〜第3の実施形態のように第2の領域20により第1の領域19が区画される構成において、第1の領域19は、液晶35の垂直走査方向と直交する方向に延びる構成に限らない。例えば、発光部17を二つの第1の領域19及びそれに挟まれる第2の領域20に区画してもよい。二つの第1の領域19は同じ形状であっても、図14に示すように、矩形状領域26及びそれに隣接する領域27の二つの領域で構成されてもよい。そして、第2の領域20は適宜第1〜第3の実施形態の構成あるいは前記各実施形態の構成の一つを採用した構成とする。
【0095】
○ 第4の実施形態のように透明電極13及び対向電極15をベタ電極で構成するとともに、隣接する各端子13aによる発光領域の一部が重なる構成を有する発光装置11において、図15に示すように、端子13aを透明電極13の片側にのみ設ける構成としてもよい。この構成の場合は透明電極13の幅(図15の左右方向における長さ)が、端子13aを両側に設ける構成の1/2程度以下になる。
【0096】
○ 第4の実施形態のように透明電極13及び対向電極15をベタ電極で構成するとともに、隣接する各端子13aによる発光領域の一部が重なる構成を有する発光装置11において、端子13aの配置は、長方形状の透明電極13の一辺のみ、あるいは対向する二辺に対をなすように配置する構成に限らない。端子13aは液晶パネル32の表示領域に合わせて発光領域が形成されるように3個以上設けられていればよい。
【0097】
○ 液晶パネル32の画面が大きくなって、1フレーム時間の間に垂直走査する画素電極36の列数が多い表示装置において、画面を垂直走査方向において複数分割し、分割された各領域毎に同時に垂直走査をする構成を採用した場合、発光装置11においても、発光領域をそれに対応して複数分割する。そして、分割された各領域毎に同時に、各第1の領域19が液晶35の垂直走査に同期して順に発光するように、透明電極13のオン状態を制御するようにしてもよい。
【0098】
○ 定常状態において複数の第1の領域19が同時に発光状態となる構成に代えて、第1の領域19が一個ずつ順に発光状態となる構成としてもよい。
○ 第1の領域19は、発光時に複数列の画素電極36に対して光を照射可能な幅に限らず、1列の画素電極36に対して光を照射可能な幅として、液晶35の垂直走査に1:1で同期して発光状態と非発光状態とに切り替えられる構成としてもよい。
【0099】
○ 基板12はガラスに限らず、透明な樹脂基板やフィルムであってもよい。
○ 透明電極13は、ITOに限らず、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、ZnO(酸化亜鉛)、SnO2(酸化錫)等を用いることができる。
【0100】
○ 対向電極15は、アルミニウムに限らず、従来用いられている公知の陰極材料等が使用でき、例えば、金、銀、銅、クロム等の金属やこれらの合金等が用いられる。
○ 対向電極15は光反射機能を備えていなくてもよい。
【0101】
○ 有機EL層14は白色発光を行うような構成に限らず、例えば、赤や青や緑や黄色等の単色光若しくは、その組み合わせを発光する構成としてもよい。
○ 有機EL素子16は基板12側から光を出射する構成に限らず、基板12と反対側から光を出射する所謂トップエミッション型の有機EL素子を使用してもよい。この場合、有機EL素子16は、基板12側に対向電極15が形成され、有機EL層14を挟んで基板12と反対側に透明電極13が形成される。対向電極15は透明電極13よりも体積抵抗率が低い材料で形成されていればよく、透明な電極で構成されても不透明な電極で構成されてもよい。また、基板12は透明基板に限らず、不透明な基板であってもよい。
【0102】
○ 液晶パネル32はカラーフィルタ39を備えない、白黒表示パネルであってもよい。
○ 発光装置11は、発光層として、有機EL層14に代えて無機EL層を使用した無機EL素子を備えた構成としてもよい。
【0103】
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
(1)発光領域となる複数の第1の領域と、前記第1の領域に挟まれた第2の領域とを備え、前記第2の領域は、前記第1の領域の発光状態において前記第2の領域の視認性を弱める視認性弱め手段を備えている。
【0104】
(2)請求項1〜請求項6及び前記技術的思想(1)のいずれか一項に記載の発明において、前記各第1の領域は、平行な帯状に形成されている。
(3)請求項8に記載の発明において、前記第1の領域は、線順次走査される画素電極の複数列を同時に照明可能な幅に形成されている。
【0105】
(4)請求項1〜請求項11及び前記技術的思想(1)〜(3)のいずれか一項に記載の発明において、前記エレクトロルミネッセンス素子は、有機エレクトロルミネッセンス素子である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】(a)は第1の実施形態における発光装置の模式平面図、(b)は(a)のA−A線における模式断面図、(c)は(a)のB−B線における模式断面図。
【図2】(a)は第1の領域及び第2の領域の透明電極を示す模式平面図、(b)は(a)のC−C線における模式断面図。
【図3】液晶パネルと発光装置の模式部分断面図。
【図4】駆動回路の概略構成図。
【図5】(a)は第2の実施形態における透明電極の模式平面図、(b)は(a)のD−D線における模式断面図。
【図6】(a)は第3の実施形態における透明電極の模式部分平面図、(b)は発光装置の模式断面図。
【図7】第4の実施形態における発光装置の模式平面図。
【図8】図7のE−E線における模式断面図。
【図9】(a)透明電極の模式平面図、(b)は作用を説明する模式図。
【図10】別の実施形態における発光装置の模式断面図。
【図11】別の実施形態における発光装置の模式断面図。
【図12】(a),(b)は別の実施形態における透明電極の模式部分平面図。
【図13】別の実施形態における端子部の構成を示す模式断面図。
【図14】別の実施形態における第1の領域及び第2の領域の配置を示す模式図。
【図15】別の実施形態における透明電極の模式平面図。
【図16】従来技術のELパネルの模式平面図。
【符号の説明】
【0107】
11…発光装置、13,13S…第1電極としての透明電極、13a…端子、14…発光層としての有機EL層、15…第2電極としての対向電極、16…EL素子としての有機EL素子、17…発光部、19…第1の領域、20…第2の領域、20a…非発光領域、20b…発光領域、22…拡散部材としての拡散シート、23…帯状領域、31…液晶表示装置、32…液晶パネル、35…液晶、46…電圧印加手段としてのドライバ、47…制御装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と第2電極との間に発光層が設けられたエレクトロルミネッセンス素子を発光部とした発光装置であって、
前記第1電極は外部から電圧が印加される端子を有し、
複数の第1の領域と、前記第1の領域に挟まれた第2の領域とを備え、前記複数の第1の領域は発光状態と非発光状態とに切り替え可能であり、前記第1の領域の発光・非発光状態に拘わらず前記第2の領域が視認され難いように構成されている発光装置。
【請求項2】
前記第1電極、前記第2電極及び前記発光層は前記第1の領域及び前記第2の領域で共通の材料により形成され、前記第1電極は前記第2電極よりも体積抵抗率が高く、かつ透明な材料で形成され、前記第2の領域は前記第1電極の形成状態が前記第1の領域における第1電極の形成状態と異なる請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第2の領域には、非発光領域及び発光領域がそれぞれ複数存在する請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記非発光領域は、ドット状に形成されるとともに、その存在密度が前記第1の発光領域の前記端子に近いほど高くなるように形成されている請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1電極は前記第2電極よりも体積抵抗率が高く、かつ透明な材料で形成され、前記第2の領域は前記第1電極の厚さが前記第1の領域における前記第1電極より薄く形成されている請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第2の領域を構成する前記第1電極の厚さは、前記第1の領域の前記端子に近いほど薄くなるように形成されている請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記発光装置は光出射側に拡散部材を備えており、前記第2の領域は非発光領域により蛇行状態に形成されている請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
液晶パネルと、
前記液晶パネルの背面に設けられたバックライトと、
前記液晶パネルと前記バックライトとを制御する制御装置とを有する液晶表示装置であって、
前記バックライトは、請求項1〜7のいずれか1項に記載の発光装置であり、前記複数の第1の領域は、それぞれ前記液晶パネルの垂直走査方向と直交する方向に延びるように構成され、
前記制御装置は、前記バックライトの前記複数の第1の領域を、前記液晶パネルの垂直走査に同期して順に発光状態と非発光状態とに切り替え制御しており、少なくとも各第1の領域の直上にある液晶の表示データ書き替え期間は、当該第1の領域が非発光状態となるように前記バックライトを制御している液晶表示装置。
【請求項9】
第1電極と第2電極との間に発光層が設けられたエレクトロルミネッセンス素子を発光部とした発光装置であって、
前記第1電極及び第2電極はそれぞれベタ電極で構成され、前記第1電極は前記第2電極よりも体積抵抗率が高く、かつ透明な材料で形成され、前記第1電極は3個以上の端子を備えており、
電圧を印加する端子が異なると発光状態となる発光領域が異なり、
各端子は、当該端子に対応する発光領域の一部と、当該端子に隣接する端子に対応する発光領域の一部が重なるように設けられている発光装置。
【請求項10】
前記発光部は長方形状に形成されており、前記発光部の両側に前記端子が対向する状態で複数ずつ設けられている請求項9に記載の発光装置。
【請求項11】
液晶パネルと、
前記液晶パネルの背面に設けられたバックライトと、
前記液晶パネルと前記バックライトとを制御する制御装置とを有する液晶表示装置であって、
前記バックライトは、請求項9又は10に記載の発光装置であり、
前記端子は、前記液晶パネルの垂直走査方向に沿って所定間隔で配置され、
各発光領域の直上にある液晶の表示データ書き替え期間は、当該発光領域は非発光状態となるように各端子への電圧の印加が制御されることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項1】
第1電極と第2電極との間に発光層が設けられたエレクトロルミネッセンス素子を発光部とした発光装置であって、
前記第1電極は外部から電圧が印加される端子を有し、
複数の第1の領域と、前記第1の領域に挟まれた第2の領域とを備え、前記複数の第1の領域は発光状態と非発光状態とに切り替え可能であり、前記第1の領域の発光・非発光状態に拘わらず前記第2の領域が視認され難いように構成されている発光装置。
【請求項2】
前記第1電極、前記第2電極及び前記発光層は前記第1の領域及び前記第2の領域で共通の材料により形成され、前記第1電極は前記第2電極よりも体積抵抗率が高く、かつ透明な材料で形成され、前記第2の領域は前記第1電極の形成状態が前記第1の領域における第1電極の形成状態と異なる請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第2の領域には、非発光領域及び発光領域がそれぞれ複数存在する請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記非発光領域は、ドット状に形成されるとともに、その存在密度が前記第1の発光領域の前記端子に近いほど高くなるように形成されている請求項3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1電極は前記第2電極よりも体積抵抗率が高く、かつ透明な材料で形成され、前記第2の領域は前記第1電極の厚さが前記第1の領域における前記第1電極より薄く形成されている請求項1又は請求項2に記載の発光装置。
【請求項6】
前記第2の領域を構成する前記第1電極の厚さは、前記第1の領域の前記端子に近いほど薄くなるように形成されている請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記発光装置は光出射側に拡散部材を備えており、前記第2の領域は非発光領域により蛇行状態に形成されている請求項1に記載の発光装置。
【請求項8】
液晶パネルと、
前記液晶パネルの背面に設けられたバックライトと、
前記液晶パネルと前記バックライトとを制御する制御装置とを有する液晶表示装置であって、
前記バックライトは、請求項1〜7のいずれか1項に記載の発光装置であり、前記複数の第1の領域は、それぞれ前記液晶パネルの垂直走査方向と直交する方向に延びるように構成され、
前記制御装置は、前記バックライトの前記複数の第1の領域を、前記液晶パネルの垂直走査に同期して順に発光状態と非発光状態とに切り替え制御しており、少なくとも各第1の領域の直上にある液晶の表示データ書き替え期間は、当該第1の領域が非発光状態となるように前記バックライトを制御している液晶表示装置。
【請求項9】
第1電極と第2電極との間に発光層が設けられたエレクトロルミネッセンス素子を発光部とした発光装置であって、
前記第1電極及び第2電極はそれぞれベタ電極で構成され、前記第1電極は前記第2電極よりも体積抵抗率が高く、かつ透明な材料で形成され、前記第1電極は3個以上の端子を備えており、
電圧を印加する端子が異なると発光状態となる発光領域が異なり、
各端子は、当該端子に対応する発光領域の一部と、当該端子に隣接する端子に対応する発光領域の一部が重なるように設けられている発光装置。
【請求項10】
前記発光部は長方形状に形成されており、前記発光部の両側に前記端子が対向する状態で複数ずつ設けられている請求項9に記載の発光装置。
【請求項11】
液晶パネルと、
前記液晶パネルの背面に設けられたバックライトと、
前記液晶パネルと前記バックライトとを制御する制御装置とを有する液晶表示装置であって、
前記バックライトは、請求項9又は10に記載の発光装置であり、
前記端子は、前記液晶パネルの垂直走査方向に沿って所定間隔で配置され、
各発光領域の直上にある液晶の表示データ書き替え期間は、当該発光領域は非発光状態となるように各端子への電圧の印加が制御されることを特徴とする液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−324600(P2006−324600A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−148505(P2005−148505)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】
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