発光装置
【課題】 有機EL素子を用いる表示装置用の発光装置の開発が進められているが、有機EL素子として大型化するのが難しいが、比較的簡単な方法で大型化を可能とした発光装置を提供する。
【解決手段】 透明なマザー基板11表面上に、略マトリクス状に複数の第1及び第2の接続電極12,13を配置し、この接続電極12,13と電気的に接続する、サブ基板16上に第1の電極層16、有機発光層18及び第2の電極層19を積層形成した有機EL素子15を複数個、マザー基板11上に配設する。
【解決手段】 透明なマザー基板11表面上に、略マトリクス状に複数の第1及び第2の接続電極12,13を配置し、この接続電極12,13と電気的に接続する、サブ基板16上に第1の電極層16、有機発光層18及び第2の電極層19を積層形成した有機EL素子15を複数個、マザー基板11上に配設する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた発光装置に係わり、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子をマザー基板上に複数マトリクス状に配置した発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、競馬場や野球場等の広い場所において、多数の観客に出場選手の紹介やオッズ、スコア等を知らせる画像データの表示には、多数の電球を平面状に配置した大型の表示スクリーンが使用されている。また、このような大型の表示スクリーンではなく、駅や空港等での行先表示や出発時間、到着時間等を知らせる表示スクリーンにおいては、電球表示に代えて、最近では液晶表示装置が多用されるようになってきている。
【0003】
この液晶表示装置を使用する利点としては、電球表示のものに比較して消費電力が少なく、また小型化に優れている点等が挙げられる。その反面、液晶表示装置としては液晶表示パネル、及びこの表示パネルを照射するためのバックライト、そしてこれらを構成するための構成部品が多数に上り、構成部品数の多さから表示装置としては高価なものとなってしまうとともに、その装置自体の厚さも大きくなるという問題点がある。
【0004】
しかしながら、この液晶表示装置の最大の問題点は、何と言っても視野角が狭いことであり、このため正面からの視認性には優れていても、表示装置の側面方向からの視認性が極めて悪い。この問題点を改善すべく現在も改良が進められているが、まだ十分な視認性を持った表示装置としては実現されていない。
【0005】
一方、この液晶表示装置の問題点を改善するものとして、最近では有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子の開発が進められており、このような表示装置への採用が検討されている。この有機EL素子は、それ自身で発光する発光素子であるために、液晶表示装置のようにバックライト等の光源を必要としないので、部品点数の削減にもなるばかりでなく、装置としての厚さも薄く構成でき、また軽量化も可能となり、しかも視野角も広く採ることができるので、表示装置に使用するには好適な条件を兼ね備えているものである。
【0006】
この有機EL素子は、図22に示すように、透明なガラス基板81上にITO(Indium Tin Oxide)からなる透明導電膜製の第1の電極層82を成膜し、この電極層82上に、例えばα−NPD、Alq3等の有機発光層83が積層配置され、更にこの有機発光層83の上にフッ化リチウム、アルミニウム等の第2の電極層84が成膜されたもので、この第1及び第2の電極層82,84の一端部は、ガラス基板81面に沿って、ガラス基板81の端部に導出されている。
【0007】
これらの電極層82,84や有機発光層83は、外気の水分や酸素に対して脆弱であるために、これらの第1及び第2の電極層82,84並びに有機発光層83を、ガラスやステンレス等の封止材85を用いて封止している。この封止には、封止材85の周囲縁部にUV硬化型の接着剤86を塗布し、有機発光層83を覆うようにガラス基板81面と付き合わせ、この付き合わされたこのUV硬化型接着剤86に対して、内部の有機発光層83にUVが照射されないように遮光した状態にてUV露光を行い、接着剤86を硬化させて気密に封止している。
【0008】
また、この封止された封止材85内部空間には、内部で放出されるガスや水分、あるいは接着剤86等の封止部分を透過して封止材86内部空間に侵入してくるガスや水分を吸着させるために、乾燥剤(図示せず)が内蔵されている。
【0009】
しかしながら、このような有機EL発光装置においては、その構造上の制約から大型の発光素子を形成することが難しく、駅や空港等での行先表示や出発時間、到着時間等を知らせる表示装置等に適用することが困難で、これらの表示装置に適用するためには、更なる改善が必要であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記のような従来の問題点に鑑みてなされたもので、マザー基板上に多数の有機EL発光素子をマトリクス状に配置して、大型の表示スクリーンに適用することが可能な発光装置を提供するもので、解決しようとする問題点は、表示素子を大型に構成することを可能とする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、一平面上で互いにその仮想延長線が交差するように複数の接続端子を略マトリクス状に配設した非透湿性材料によって形成された透明なマザー基板と、このマザー基板上に配設される非透湿性材料によって形成されたサブ基板面に接続電極と電気的に接続され、間に有機発光層を介在させた少なくとも第1及び第2の電極層を有する複数の有機エレクトロルミネッセンス素子とを具備し、複数の有機エレクトロルミネッセンス素子をマザー基板面と平行になるように並設接続したことを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するための第2の手段として、交差する複数の接続電極のうちの一方側を夫々独立した複数の電極端子構成とし、他方側を有機エレクトロルミネッセンス素子同士を連結する連続した電極から構成したことを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するための第3の手段として、交差する複数の接続電極の少なくとも交差箇所に絶縁層を介在させたことを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記課題を解決するための第4の手段として、交差する複数の接続電極の少なくとも一方側の接続電極をマザー基板を貫通する導電端子と接続して、マザー基板の他面側に電気的に導出されることを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記課題を解決するための第5の手段として、マザー基板とサブ基板とを有機エレクトロルミネッセンス素子を間に介在させるように対向配置し、サブ基板上の第1の電極層をマザー基板上の接続電極に導電性接着剤によって橋跨状に接続したことを特徴とする。
【0016】
本発明は、上記課題を解決するための第6の手段として、複数の有機エレクトロルミネッセンス素子を共通もしくは夫々独立に発光させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、透明なマザー基板の一平面上に互いに交差する複数の接続電極を略マトリクス状に配設し、この接続電極に複数の有機EL素子をマザー基板面に平行となるように並設して接続することにより、より一層の視野角の拡大が図れ視認性に優れた、しかもメンテナンスにも好適な表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
まず、本発明に係る発光装置は、図1に示すように、ガラス等の非透湿性で透光性を有するマザー基板11を備えており、このマザー基板11の一平面上には、比抵抗値が200μΩ/cm以下の材料で形成され、相互に離間して並設されITO等の導電層からなる複数の第1の接続電極12と、この第1の接続電極12とその配列方向が互いに交差するように相互に離間して並設され、第1の接続電極12と同種の材料にて形成された複数の第2の接続電極13とが、夫々所定の間隔を空けながらマトリクス状に配設されている。これらの各接続電極12,13は、図2に示すように、マザー基板11を貫通して反対面側に導出される導電端子14を備えている。
【0020】
このように構成されたマザー基板11上の接続電極12,13面側に、夫々の第1の接続電極12と第2の接続電極13と接続されるように、複数の有機EL素子15が並設配置されている。
【0021】
この有機EL素子15は、図3に示すように、非透湿性で透明な長方形状のガラス材からなるサブ基板16上に、ITO等の透明導電膜からなる第1の電極層(陽電極層)17を、例えばサブ基板16の中間部分に短辺と平行となるように両端部間に成膜し、この電極層17上で、且つ直交するサブ基板16の長手方向中間部分に、例えばα−NPD、Alq3等の有機発光層18が積層配置される。
【0022】
この有機発光層18は、第1の電極層17の両端近傍部分が有機発光層18から露呈するように第1の電極層17を全面的に覆ってはおらず、また有機発光層18自身の長手方向両端部も、有機発光層18側面部分に沿ってサブ基板16面上に延在した部分までとなっている。
【0023】
そして、更にこの有機発光層18の上に、その両端部分がサブ基板16の端面と同じ長さとなるように有機発光層18と同一方向に、フッ化リチウム、アルミニウム等の導電膜からなる第2の電極層(陰電極層)19を成膜して構成されている。この第1及び第2の電極層17,19は、サブ基板16面上の長短辺端部の中間部分に夫々位置するようになされ、マザー基板11の各接続電極12,13と接続されるように構成されている。
【0024】
即ち、この有機EL素子15は、図4及び図5に示すように、マザー基板11上に接続配置されるもので、図4は図1のA−A線に沿って切断して矢印方向に見た断面図であり、図5は図1のB−B線に沿って切断して示す断面図である。この有機EL素子15とマザー基板11とは、所定の間隔だけ離間させて対向配置し、この有機EL素子15の第1の電極層17とマザー基板11上の第1の接続電極12とを、図4に示すように、導電性接着剤20にて接続固定する。同様に、有機EL素子15の第2の電極層19とマザー基板11上の第2の接続電極13とを、図5に示すように、導電性接着剤20にて接続固定する。
【0025】
このようにして各接続電極12,13と各電極層17,19とが接続固定された有機EL素子15の外周囲は、UV硬化型接着剤等の非透湿性接着剤21によって夫々取り囲み、これらの非透湿性接着剤21をUV露光させることにより、夫々の有機EL素子15が独立して気密状態でマザー基板11上に配置して発光装置を構成している。
【0026】
なお、図示の場合には、有機EL素子15が2個配置されている状態の場合を示しているが、この有機EL素子15はマザー基板11全面に亘って配置されるものであるが、個数及び全面あるいは部分的に配置するかは適宜設定されるものである。更に、必要に応じて、有機EL素子15内で放出されるガスや水分、あるいは接着剤21等の封止部分を透過して有機EL素子15内に侵入してくるガスや水分を吸着させるために乾燥剤(図示せず)を内蔵しておくことも可能である。
【0027】
このように構成された発光装置によれば、マザー基板11上に複数の有機EL素子15をマトリクス状に配置した構成としているので、このマザー基板11の大きさを適宜設定することにより、所望の大きさの発光装置を得ることができ、更に、このマザー基板11を並設して組合せて使用することによって、自由に発光装置としての発光面積を拡大することが可能であり、より広い発光面積の表示スクリーンとして構成することが可能となるので、大型の表示スクリーンを有する表示装置にも適用が可能である。
【0028】
また、マザー基板11上に配置される有機EL素子15自身の大きさを小さくすれば、高精細の表示が可能であり、例えば固定パターンの表示を行うような表示装置に適用した場合で、比較的精度に拘らない固定背景パターン部分には大きな広い面積の有機EL素子15を配置し、文字や数字あるいは動画を表示するような高精細が要求されるエリアにおいては、個々の表示面積が小さな有機EL素子15を密植させて配置するようにして、必要とする精細度を確保するように構成すれば、表示装置を廉価に構成することが可能となるばかりでなく、あらゆる用途の表示装置にも対応可能な発光装置を得ることが可能となる。
【0029】
しかも、発光装置として有機EL素子15を採用しているので、視野角が広く視認性に優れた発光装置とすることが可能となるばかりでなく、仮に有機EL素子15の不具合や寿命等によって、発光装置中に部分的な不点灯状態となった箇所が発生した場合でも、その該当部分の有機EL素子15のみを交換するだけで対応が可能となるので、メンテナンス性にも優れた発光装置とすることができる。
【0030】
また、図6に示すように、この第1及び第2の接続電極12,13に囲まれたマザー基板11部分に、有機EL素子15のサブ基板16以外の構成要素部材である電極層19と有機発光層18を収容する凹部22を形成することもできる。この凹部22内に有機EL素子15の有機発光層18側を挿入し、各接続電極12,13と電極層17,19とを導電性接着剤等によって接続することで、有機EL素子15のマザー基板11内に挿入された分だけ発光装置としての厚みを薄く形成することが可能となる。
【0031】
また、この凹部22は、有機EL素子15の位置決めとしての機能も兼ね備えるばかりでなく、有機EL素子15の第1及び第2の電極層17,19と、マザー基板11側の第1及び第2の接続電極12,13とを平面上で接続させることを可能とするもので、導電性接着剤20や非透湿性接着剤21の使用量を少なくできるとともに、それに応じて、これら封止部分を透過して外部から侵入してくるガスや水分等の抑止効果も向上可能である。しかも、有機EL素子15のマザー基板11への取付けにあたり、マザー基板11面と有機EL素子15との平行性を確保するためにも有効な手段となる。
【0032】
また、上記の実施の形態では、マザー基板11上に設けた第1及び第2の接続電極12,13は、隣接する有機EL素子15の各電極層17,19同士を共通に各接続電極12,13を介して接続されるように構成されている。即ち、マトリクス状に配置された夫々の第1及び第2の接続電極12,13は、各々が独立に形成され、有機EL素子15の第1の電極層17及び第2の電極層19によって、夫々対応する各接続電極12及び接続電極13間を導電的に接続しているので、マザー基板11上の有機EL素子15を共通に、あるいは少なくとも行もしくは列方向に存在する有機EL素子15を共通に駆動しているが、これらの有機EL素子15の夫々を独立して個別に点灯表示させるように構成することも可能である。
【0033】
即ち、有機EL素子15の構成を、図7に示すように、第1及び第2の電極層17,19の両端部分のうちの一方を、サブ基板16の端縁まで延在させて形成するが、他方端をサブ基板16端縁まで延在させることなく中間部分までに止めた構成としている。
【0034】
このように有機EL素子15を構成することによって、サブ基板16端縁まで延在された電極層17,19部分は、図4及び図5に対応させて示した図8及び図9に示すように、マザー基板11上に配置されている第1及び第2の接続電極12,13と夫々導電性接着剤20によって接続されるが、サブ基板16の中間で止められた電極層17,19の他方端は、マザー基板11上の対応する第1及び第2の接続電極12,13位置までは到達していない。
【0035】
そこで、この各接続電極12,13に到達していない側については、サブ基板16と接続電極12,13間を非透湿性接着剤21を配置することで、非導通状態で固定させている。従って、夫々隣接する各有機EL素子15同士は、電気的に接続されることなく、マザー基板11を貫通する各導電端子14に供給される点灯駆動電圧によって、独立的に制御することが可能となるものである。
【0036】
また、上記各実施の形態においては、有機EL素子15として、サブ基板16上に形成された有機EL素子15は、夫々単一の有機EL素子15として形成されている場合について説明してきたが、このサブ基板16上に複数の有機EL素子15を一体に形成することも可能である。
【0037】
即ち、マザー基板11側には、図10に示すように、例えば第1の接続電極12として複数個、例えば3個に分割配置された接続電極12−1,12−2,12−3として構成する。第2の接続電極13としては単一の接続電極13として構成しておく。
【0038】
一方、これに対応する有機EL素子15としては、図11に示すように、サブ基板16の短辺に平行に複数、例えば3本の相互に離間した電極層17−1,17−2,17−3からなる第1の電極層17として構成する。そして、この各電極層17−1,17−2,17−3の上に、夫々別個の有機発光層18−1,18−2,18−3を積層し、更に、この有機発光層18−1,18−2,18−3上に単一の共通な第2の電極層19を直交する長手方向に連続的に形成したものが使用される。
【0039】
従って、分割された第1の電極層17−1,17−2,17−3に夫々異なる駆動電圧を印加することにより、同一サブ基板16上の各有機発光層18−1,18−2,18−3を、個々の印加される駆動電圧に対応して別個に点灯発光させることが可能となるために、有機EL素子15として、より精細な画像表示を可能とすることができる。
【0040】
この3分割された第1の電極層17−1,17−2,17−3は、サブ基板16上では複数に分割されているものの、マザー基板11上においては、各第1の電極層17−1,17−2,17−3が接続される第1の接続電極12を介して横方向に隣接する他の有機EL素子15とは共通に接続されてしまうために、完全に独立して点灯駆動することができない。
【0041】
そこで、図12に示すように、各第1の電極層17−1,17−2,17−3及び第2の電極層19の夫々の一端をサブ基板16の端縁にまで延在するように形成し、その他端をサブ基板16の端縁にまで延長することなく中間位置に止めるように構成する。
【0042】
このように構成することによって、図13及び図14に示すように、夫々の有機EL素子15を独立に駆動させることが可能となる。図13は図10のA−A線に沿って切断した断面を矢印方向から見た状態を示し、同じく図14は図10のB−B線に沿って切断した断面を矢印方向から見た状態を示している。
【0043】
この構成によって、上記図7乃至図9を用いて説明した実施の形態と同様に、サブ基板16端縁まで延在された第1の電極層17−1,17−2,17−3及び第2の電極層19部分は、マザー基板11上に配置されている第1の接続電極12−1,12−2,12−3及び第2の接続電極13と夫々導電性接着剤20によって接続されるが、サブ基板16の中間で止められた第1の電極層17−1,17−2,17−3及び第2の電極層19の他方端は、マザー基板11上の対応する第1の接続電極12−1,12−2,12−3及び第2の接続電極13位置までは到達していない。
【0044】
そこで、この各接続電極12−1,12−2,12−3及び13に到達していない側については、サブ基板16と接続電極12−1,12−2,12−3及び13間に非透湿性接着剤21を配置することで、非導通状態で固定させている。従って、夫々隣接する各有機EL素子15同士は、電気的に接続されることなく、マザー基板11を貫通する各導電端子14に供給される点灯駆動電圧によって、独立的に制御することが可能となるものである。
【0045】
また、上記の実施の形態では、マザー基板11上に形成した第1及び第2の接続電極12,13は、マザー基板11上に配置される各有機EL素子15に対応する形で、夫々が独立した状態として構成した場合について説明しているが、この第1及び第2の接続電極12,13の少なくともいずれか一方を共通化して形成することも可能である。
【0046】
即ち、図15に示すように、第1の接続電極12をマザー基板11の一平面上に、その長手方向に連続した接続電極12として構成し、この接続電極12間に独立している複数の第2の接続電極13を配置させることで、全体的なマトリクス状の接続電極12,13配置として形成している。このように一方の第1の接続電極12側を共通化して、これらの第1及び第2の接続電極12,13間に、図16に示すように、有機EL素子15を接続すれば、この第1の接続電極12のマザー基板11の反対面側に導出される導電端子14の数、上記実施の形態の場合のように接続電極12,13の全てに対応させてマザー基板11の全面に亘って設けずとも、この連続した接続電極12に関しては、何れか1ヶ所にのみ設けることで対応することが可能となるので、このように構成した場合には、構造も簡略化することが可能となるばかりでなく、多数の導電端子14用の孔明けに伴うマザー基板11の機械的強度の低下を招来しないという効果がある。
【0047】
またその際に、マザー基板11の接続電極12,13とは反対面側において、第2の接続電極13と対応する位置に、図17に示すように、各第2の接続電極13を接続する連続した補助電極23を設けるように構成することも可能である。この補助電極23を設けることにより、マザー基板11を介して第1もしくは第2あるいは両者の接続電極12,13と補助電極23間で容量を持たせることができ、この容量を駆動用のチャージ容量や付加容量として活用することが可能となる。
【0048】
更に、このようなマザー基板11の一平面上に形成した連続している第1の接続電極12の、少なくとも第2の接続電極13間に位置する部分の外表面上に、図18に示すように、絶縁層24を形成することも可能である。このように絶縁層24を設けることによって、図19に示すように、この上に位置するサブ基板16上に形成された第2の電極層19との絶縁を確実なものとし、有機EL素子15のマザー基板11への取着時の接触に伴う不良等の発生を、未然に予防することが可能となる。
【0049】
これを更に発展させて、図20に示すように、この第1の接続電極12上に形成した絶縁層24を介することによって、連続する第2の接続電極13を設けた構成とすることが可能となる。このように構成することにより、マザー基板11上の第1及び第2の接続電極12,13は、全て同一平面側で接続される構成とすることが可能となるので、マザー基板11の反対面側に導出される導電端子14を設けなくても、図21に示すように、この接続電極12,13を設けた面上で各接続電極12,13の端部を有機EL素子15の外部に露呈させるように配置することで、この露呈された各接続電極12,13を利用して外部回路との接続を行う構成とすることも可能となる。
【0050】
勿論、導電端子14を形成してマザー基板11の反対面側で外部回路と接続するように構成することも可能で、この場合には、各連続する接続電極12,13あたり少なくとも1個の導電端子14を設けることで対応が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る発光装置の第1の実施形態を示す斜視図。
【図2】同じく発光装置の裏面側を示す斜視図。
【図3】本発明に係る発光装置を構成する有機EL素子の構成を示す斜視図。
【図4】図1に示す発光装置のA−A線で切断して示す断面図。
【図5】同じくB−B線で切断して示す断面図。
【図6】本発明に係る発光装置の第2の実施形態を示す斜視図。
【図7】同じく有機EL素子の他の構成を示す斜視図。
【図8】図7に示す有機EL素子を搭載した発光装置のA−A線に沿う断面図。
【図9】同じくB−B線に沿う断面図。
【図10】本発明に係る発光装置の第3の実施形態を示す斜視図。
【図11】同じく有機EL素子の構成を示す斜視図。
【図12】同じく有機EL素子の他の構成を示す斜視図。
【図13】図10に示す発光装置のA−A線で切断した断面図。
【図14】同じくB−B線で切断した断面図。
【図15】本発明に係る発光装置の第4の実施形態を示す斜視図。
【図16】図15に示す発光装置のA−A線で切断した断面図。
【図17】同じく発光装置の裏面側を示す斜視図。
【図18】本発明に係る発光装置の第5の実施形態を示す斜視図。
【図19】図18に示す発光装置のA−A線で切断した断面図。
【図20】本発明に係る発光装置の第6の実施形態を示す斜視図。
【図21】図20に示す発光装置のA−A線で切断した断面図。
【図22】従来の発光装置を示す断面図。
【符号の説明】
【0052】
11:マザー基板
12:第1の接続電極
13:第2の接続電極
14:導電端子
15:有機EL素子
16:サブ基板
17:第1の電極層
18:有機発光層
19:第2の電極層
20:導電性接着剤
21:非透湿性接着剤
24:絶縁層
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子を用いた発光装置に係わり、特に、有機エレクトロルミネッセンス素子をマザー基板上に複数マトリクス状に配置した発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、競馬場や野球場等の広い場所において、多数の観客に出場選手の紹介やオッズ、スコア等を知らせる画像データの表示には、多数の電球を平面状に配置した大型の表示スクリーンが使用されている。また、このような大型の表示スクリーンではなく、駅や空港等での行先表示や出発時間、到着時間等を知らせる表示スクリーンにおいては、電球表示に代えて、最近では液晶表示装置が多用されるようになってきている。
【0003】
この液晶表示装置を使用する利点としては、電球表示のものに比較して消費電力が少なく、また小型化に優れている点等が挙げられる。その反面、液晶表示装置としては液晶表示パネル、及びこの表示パネルを照射するためのバックライト、そしてこれらを構成するための構成部品が多数に上り、構成部品数の多さから表示装置としては高価なものとなってしまうとともに、その装置自体の厚さも大きくなるという問題点がある。
【0004】
しかしながら、この液晶表示装置の最大の問題点は、何と言っても視野角が狭いことであり、このため正面からの視認性には優れていても、表示装置の側面方向からの視認性が極めて悪い。この問題点を改善すべく現在も改良が進められているが、まだ十分な視認性を持った表示装置としては実現されていない。
【0005】
一方、この液晶表示装置の問題点を改善するものとして、最近では有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子の開発が進められており、このような表示装置への採用が検討されている。この有機EL素子は、それ自身で発光する発光素子であるために、液晶表示装置のようにバックライト等の光源を必要としないので、部品点数の削減にもなるばかりでなく、装置としての厚さも薄く構成でき、また軽量化も可能となり、しかも視野角も広く採ることができるので、表示装置に使用するには好適な条件を兼ね備えているものである。
【0006】
この有機EL素子は、図22に示すように、透明なガラス基板81上にITO(Indium Tin Oxide)からなる透明導電膜製の第1の電極層82を成膜し、この電極層82上に、例えばα−NPD、Alq3等の有機発光層83が積層配置され、更にこの有機発光層83の上にフッ化リチウム、アルミニウム等の第2の電極層84が成膜されたもので、この第1及び第2の電極層82,84の一端部は、ガラス基板81面に沿って、ガラス基板81の端部に導出されている。
【0007】
これらの電極層82,84や有機発光層83は、外気の水分や酸素に対して脆弱であるために、これらの第1及び第2の電極層82,84並びに有機発光層83を、ガラスやステンレス等の封止材85を用いて封止している。この封止には、封止材85の周囲縁部にUV硬化型の接着剤86を塗布し、有機発光層83を覆うようにガラス基板81面と付き合わせ、この付き合わされたこのUV硬化型接着剤86に対して、内部の有機発光層83にUVが照射されないように遮光した状態にてUV露光を行い、接着剤86を硬化させて気密に封止している。
【0008】
また、この封止された封止材85内部空間には、内部で放出されるガスや水分、あるいは接着剤86等の封止部分を透過して封止材86内部空間に侵入してくるガスや水分を吸着させるために、乾燥剤(図示せず)が内蔵されている。
【0009】
しかしながら、このような有機EL発光装置においては、その構造上の制約から大型の発光素子を形成することが難しく、駅や空港等での行先表示や出発時間、到着時間等を知らせる表示装置等に適用することが困難で、これらの表示装置に適用するためには、更なる改善が必要であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記のような従来の問題点に鑑みてなされたもので、マザー基板上に多数の有機EL発光素子をマトリクス状に配置して、大型の表示スクリーンに適用することが可能な発光装置を提供するもので、解決しようとする問題点は、表示素子を大型に構成することを可能とする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、一平面上で互いにその仮想延長線が交差するように複数の接続端子を略マトリクス状に配設した非透湿性材料によって形成された透明なマザー基板と、このマザー基板上に配設される非透湿性材料によって形成されたサブ基板面に接続電極と電気的に接続され、間に有機発光層を介在させた少なくとも第1及び第2の電極層を有する複数の有機エレクトロルミネッセンス素子とを具備し、複数の有機エレクトロルミネッセンス素子をマザー基板面と平行になるように並設接続したことを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記課題を解決するための第2の手段として、交差する複数の接続電極のうちの一方側を夫々独立した複数の電極端子構成とし、他方側を有機エレクトロルミネッセンス素子同士を連結する連続した電極から構成したことを特徴とする。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するための第3の手段として、交差する複数の接続電極の少なくとも交差箇所に絶縁層を介在させたことを特徴とする。
【0014】
本発明は、上記課題を解決するための第4の手段として、交差する複数の接続電極の少なくとも一方側の接続電極をマザー基板を貫通する導電端子と接続して、マザー基板の他面側に電気的に導出されることを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記課題を解決するための第5の手段として、マザー基板とサブ基板とを有機エレクトロルミネッセンス素子を間に介在させるように対向配置し、サブ基板上の第1の電極層をマザー基板上の接続電極に導電性接着剤によって橋跨状に接続したことを特徴とする。
【0016】
本発明は、上記課題を解決するための第6の手段として、複数の有機エレクトロルミネッセンス素子を共通もしくは夫々独立に発光させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、透明なマザー基板の一平面上に互いに交差する複数の接続電極を略マトリクス状に配設し、この接続電極に複数の有機EL素子をマザー基板面に平行となるように並設して接続することにより、より一層の視野角の拡大が図れ視認性に優れた、しかもメンテナンスにも好適な表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
まず、本発明に係る発光装置は、図1に示すように、ガラス等の非透湿性で透光性を有するマザー基板11を備えており、このマザー基板11の一平面上には、比抵抗値が200μΩ/cm以下の材料で形成され、相互に離間して並設されITO等の導電層からなる複数の第1の接続電極12と、この第1の接続電極12とその配列方向が互いに交差するように相互に離間して並設され、第1の接続電極12と同種の材料にて形成された複数の第2の接続電極13とが、夫々所定の間隔を空けながらマトリクス状に配設されている。これらの各接続電極12,13は、図2に示すように、マザー基板11を貫通して反対面側に導出される導電端子14を備えている。
【0020】
このように構成されたマザー基板11上の接続電極12,13面側に、夫々の第1の接続電極12と第2の接続電極13と接続されるように、複数の有機EL素子15が並設配置されている。
【0021】
この有機EL素子15は、図3に示すように、非透湿性で透明な長方形状のガラス材からなるサブ基板16上に、ITO等の透明導電膜からなる第1の電極層(陽電極層)17を、例えばサブ基板16の中間部分に短辺と平行となるように両端部間に成膜し、この電極層17上で、且つ直交するサブ基板16の長手方向中間部分に、例えばα−NPD、Alq3等の有機発光層18が積層配置される。
【0022】
この有機発光層18は、第1の電極層17の両端近傍部分が有機発光層18から露呈するように第1の電極層17を全面的に覆ってはおらず、また有機発光層18自身の長手方向両端部も、有機発光層18側面部分に沿ってサブ基板16面上に延在した部分までとなっている。
【0023】
そして、更にこの有機発光層18の上に、その両端部分がサブ基板16の端面と同じ長さとなるように有機発光層18と同一方向に、フッ化リチウム、アルミニウム等の導電膜からなる第2の電極層(陰電極層)19を成膜して構成されている。この第1及び第2の電極層17,19は、サブ基板16面上の長短辺端部の中間部分に夫々位置するようになされ、マザー基板11の各接続電極12,13と接続されるように構成されている。
【0024】
即ち、この有機EL素子15は、図4及び図5に示すように、マザー基板11上に接続配置されるもので、図4は図1のA−A線に沿って切断して矢印方向に見た断面図であり、図5は図1のB−B線に沿って切断して示す断面図である。この有機EL素子15とマザー基板11とは、所定の間隔だけ離間させて対向配置し、この有機EL素子15の第1の電極層17とマザー基板11上の第1の接続電極12とを、図4に示すように、導電性接着剤20にて接続固定する。同様に、有機EL素子15の第2の電極層19とマザー基板11上の第2の接続電極13とを、図5に示すように、導電性接着剤20にて接続固定する。
【0025】
このようにして各接続電極12,13と各電極層17,19とが接続固定された有機EL素子15の外周囲は、UV硬化型接着剤等の非透湿性接着剤21によって夫々取り囲み、これらの非透湿性接着剤21をUV露光させることにより、夫々の有機EL素子15が独立して気密状態でマザー基板11上に配置して発光装置を構成している。
【0026】
なお、図示の場合には、有機EL素子15が2個配置されている状態の場合を示しているが、この有機EL素子15はマザー基板11全面に亘って配置されるものであるが、個数及び全面あるいは部分的に配置するかは適宜設定されるものである。更に、必要に応じて、有機EL素子15内で放出されるガスや水分、あるいは接着剤21等の封止部分を透過して有機EL素子15内に侵入してくるガスや水分を吸着させるために乾燥剤(図示せず)を内蔵しておくことも可能である。
【0027】
このように構成された発光装置によれば、マザー基板11上に複数の有機EL素子15をマトリクス状に配置した構成としているので、このマザー基板11の大きさを適宜設定することにより、所望の大きさの発光装置を得ることができ、更に、このマザー基板11を並設して組合せて使用することによって、自由に発光装置としての発光面積を拡大することが可能であり、より広い発光面積の表示スクリーンとして構成することが可能となるので、大型の表示スクリーンを有する表示装置にも適用が可能である。
【0028】
また、マザー基板11上に配置される有機EL素子15自身の大きさを小さくすれば、高精細の表示が可能であり、例えば固定パターンの表示を行うような表示装置に適用した場合で、比較的精度に拘らない固定背景パターン部分には大きな広い面積の有機EL素子15を配置し、文字や数字あるいは動画を表示するような高精細が要求されるエリアにおいては、個々の表示面積が小さな有機EL素子15を密植させて配置するようにして、必要とする精細度を確保するように構成すれば、表示装置を廉価に構成することが可能となるばかりでなく、あらゆる用途の表示装置にも対応可能な発光装置を得ることが可能となる。
【0029】
しかも、発光装置として有機EL素子15を採用しているので、視野角が広く視認性に優れた発光装置とすることが可能となるばかりでなく、仮に有機EL素子15の不具合や寿命等によって、発光装置中に部分的な不点灯状態となった箇所が発生した場合でも、その該当部分の有機EL素子15のみを交換するだけで対応が可能となるので、メンテナンス性にも優れた発光装置とすることができる。
【0030】
また、図6に示すように、この第1及び第2の接続電極12,13に囲まれたマザー基板11部分に、有機EL素子15のサブ基板16以外の構成要素部材である電極層19と有機発光層18を収容する凹部22を形成することもできる。この凹部22内に有機EL素子15の有機発光層18側を挿入し、各接続電極12,13と電極層17,19とを導電性接着剤等によって接続することで、有機EL素子15のマザー基板11内に挿入された分だけ発光装置としての厚みを薄く形成することが可能となる。
【0031】
また、この凹部22は、有機EL素子15の位置決めとしての機能も兼ね備えるばかりでなく、有機EL素子15の第1及び第2の電極層17,19と、マザー基板11側の第1及び第2の接続電極12,13とを平面上で接続させることを可能とするもので、導電性接着剤20や非透湿性接着剤21の使用量を少なくできるとともに、それに応じて、これら封止部分を透過して外部から侵入してくるガスや水分等の抑止効果も向上可能である。しかも、有機EL素子15のマザー基板11への取付けにあたり、マザー基板11面と有機EL素子15との平行性を確保するためにも有効な手段となる。
【0032】
また、上記の実施の形態では、マザー基板11上に設けた第1及び第2の接続電極12,13は、隣接する有機EL素子15の各電極層17,19同士を共通に各接続電極12,13を介して接続されるように構成されている。即ち、マトリクス状に配置された夫々の第1及び第2の接続電極12,13は、各々が独立に形成され、有機EL素子15の第1の電極層17及び第2の電極層19によって、夫々対応する各接続電極12及び接続電極13間を導電的に接続しているので、マザー基板11上の有機EL素子15を共通に、あるいは少なくとも行もしくは列方向に存在する有機EL素子15を共通に駆動しているが、これらの有機EL素子15の夫々を独立して個別に点灯表示させるように構成することも可能である。
【0033】
即ち、有機EL素子15の構成を、図7に示すように、第1及び第2の電極層17,19の両端部分のうちの一方を、サブ基板16の端縁まで延在させて形成するが、他方端をサブ基板16端縁まで延在させることなく中間部分までに止めた構成としている。
【0034】
このように有機EL素子15を構成することによって、サブ基板16端縁まで延在された電極層17,19部分は、図4及び図5に対応させて示した図8及び図9に示すように、マザー基板11上に配置されている第1及び第2の接続電極12,13と夫々導電性接着剤20によって接続されるが、サブ基板16の中間で止められた電極層17,19の他方端は、マザー基板11上の対応する第1及び第2の接続電極12,13位置までは到達していない。
【0035】
そこで、この各接続電極12,13に到達していない側については、サブ基板16と接続電極12,13間を非透湿性接着剤21を配置することで、非導通状態で固定させている。従って、夫々隣接する各有機EL素子15同士は、電気的に接続されることなく、マザー基板11を貫通する各導電端子14に供給される点灯駆動電圧によって、独立的に制御することが可能となるものである。
【0036】
また、上記各実施の形態においては、有機EL素子15として、サブ基板16上に形成された有機EL素子15は、夫々単一の有機EL素子15として形成されている場合について説明してきたが、このサブ基板16上に複数の有機EL素子15を一体に形成することも可能である。
【0037】
即ち、マザー基板11側には、図10に示すように、例えば第1の接続電極12として複数個、例えば3個に分割配置された接続電極12−1,12−2,12−3として構成する。第2の接続電極13としては単一の接続電極13として構成しておく。
【0038】
一方、これに対応する有機EL素子15としては、図11に示すように、サブ基板16の短辺に平行に複数、例えば3本の相互に離間した電極層17−1,17−2,17−3からなる第1の電極層17として構成する。そして、この各電極層17−1,17−2,17−3の上に、夫々別個の有機発光層18−1,18−2,18−3を積層し、更に、この有機発光層18−1,18−2,18−3上に単一の共通な第2の電極層19を直交する長手方向に連続的に形成したものが使用される。
【0039】
従って、分割された第1の電極層17−1,17−2,17−3に夫々異なる駆動電圧を印加することにより、同一サブ基板16上の各有機発光層18−1,18−2,18−3を、個々の印加される駆動電圧に対応して別個に点灯発光させることが可能となるために、有機EL素子15として、より精細な画像表示を可能とすることができる。
【0040】
この3分割された第1の電極層17−1,17−2,17−3は、サブ基板16上では複数に分割されているものの、マザー基板11上においては、各第1の電極層17−1,17−2,17−3が接続される第1の接続電極12を介して横方向に隣接する他の有機EL素子15とは共通に接続されてしまうために、完全に独立して点灯駆動することができない。
【0041】
そこで、図12に示すように、各第1の電極層17−1,17−2,17−3及び第2の電極層19の夫々の一端をサブ基板16の端縁にまで延在するように形成し、その他端をサブ基板16の端縁にまで延長することなく中間位置に止めるように構成する。
【0042】
このように構成することによって、図13及び図14に示すように、夫々の有機EL素子15を独立に駆動させることが可能となる。図13は図10のA−A線に沿って切断した断面を矢印方向から見た状態を示し、同じく図14は図10のB−B線に沿って切断した断面を矢印方向から見た状態を示している。
【0043】
この構成によって、上記図7乃至図9を用いて説明した実施の形態と同様に、サブ基板16端縁まで延在された第1の電極層17−1,17−2,17−3及び第2の電極層19部分は、マザー基板11上に配置されている第1の接続電極12−1,12−2,12−3及び第2の接続電極13と夫々導電性接着剤20によって接続されるが、サブ基板16の中間で止められた第1の電極層17−1,17−2,17−3及び第2の電極層19の他方端は、マザー基板11上の対応する第1の接続電極12−1,12−2,12−3及び第2の接続電極13位置までは到達していない。
【0044】
そこで、この各接続電極12−1,12−2,12−3及び13に到達していない側については、サブ基板16と接続電極12−1,12−2,12−3及び13間に非透湿性接着剤21を配置することで、非導通状態で固定させている。従って、夫々隣接する各有機EL素子15同士は、電気的に接続されることなく、マザー基板11を貫通する各導電端子14に供給される点灯駆動電圧によって、独立的に制御することが可能となるものである。
【0045】
また、上記の実施の形態では、マザー基板11上に形成した第1及び第2の接続電極12,13は、マザー基板11上に配置される各有機EL素子15に対応する形で、夫々が独立した状態として構成した場合について説明しているが、この第1及び第2の接続電極12,13の少なくともいずれか一方を共通化して形成することも可能である。
【0046】
即ち、図15に示すように、第1の接続電極12をマザー基板11の一平面上に、その長手方向に連続した接続電極12として構成し、この接続電極12間に独立している複数の第2の接続電極13を配置させることで、全体的なマトリクス状の接続電極12,13配置として形成している。このように一方の第1の接続電極12側を共通化して、これらの第1及び第2の接続電極12,13間に、図16に示すように、有機EL素子15を接続すれば、この第1の接続電極12のマザー基板11の反対面側に導出される導電端子14の数、上記実施の形態の場合のように接続電極12,13の全てに対応させてマザー基板11の全面に亘って設けずとも、この連続した接続電極12に関しては、何れか1ヶ所にのみ設けることで対応することが可能となるので、このように構成した場合には、構造も簡略化することが可能となるばかりでなく、多数の導電端子14用の孔明けに伴うマザー基板11の機械的強度の低下を招来しないという効果がある。
【0047】
またその際に、マザー基板11の接続電極12,13とは反対面側において、第2の接続電極13と対応する位置に、図17に示すように、各第2の接続電極13を接続する連続した補助電極23を設けるように構成することも可能である。この補助電極23を設けることにより、マザー基板11を介して第1もしくは第2あるいは両者の接続電極12,13と補助電極23間で容量を持たせることができ、この容量を駆動用のチャージ容量や付加容量として活用することが可能となる。
【0048】
更に、このようなマザー基板11の一平面上に形成した連続している第1の接続電極12の、少なくとも第2の接続電極13間に位置する部分の外表面上に、図18に示すように、絶縁層24を形成することも可能である。このように絶縁層24を設けることによって、図19に示すように、この上に位置するサブ基板16上に形成された第2の電極層19との絶縁を確実なものとし、有機EL素子15のマザー基板11への取着時の接触に伴う不良等の発生を、未然に予防することが可能となる。
【0049】
これを更に発展させて、図20に示すように、この第1の接続電極12上に形成した絶縁層24を介することによって、連続する第2の接続電極13を設けた構成とすることが可能となる。このように構成することにより、マザー基板11上の第1及び第2の接続電極12,13は、全て同一平面側で接続される構成とすることが可能となるので、マザー基板11の反対面側に導出される導電端子14を設けなくても、図21に示すように、この接続電極12,13を設けた面上で各接続電極12,13の端部を有機EL素子15の外部に露呈させるように配置することで、この露呈された各接続電極12,13を利用して外部回路との接続を行う構成とすることも可能となる。
【0050】
勿論、導電端子14を形成してマザー基板11の反対面側で外部回路と接続するように構成することも可能で、この場合には、各連続する接続電極12,13あたり少なくとも1個の導電端子14を設けることで対応が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る発光装置の第1の実施形態を示す斜視図。
【図2】同じく発光装置の裏面側を示す斜視図。
【図3】本発明に係る発光装置を構成する有機EL素子の構成を示す斜視図。
【図4】図1に示す発光装置のA−A線で切断して示す断面図。
【図5】同じくB−B線で切断して示す断面図。
【図6】本発明に係る発光装置の第2の実施形態を示す斜視図。
【図7】同じく有機EL素子の他の構成を示す斜視図。
【図8】図7に示す有機EL素子を搭載した発光装置のA−A線に沿う断面図。
【図9】同じくB−B線に沿う断面図。
【図10】本発明に係る発光装置の第3の実施形態を示す斜視図。
【図11】同じく有機EL素子の構成を示す斜視図。
【図12】同じく有機EL素子の他の構成を示す斜視図。
【図13】図10に示す発光装置のA−A線で切断した断面図。
【図14】同じくB−B線で切断した断面図。
【図15】本発明に係る発光装置の第4の実施形態を示す斜視図。
【図16】図15に示す発光装置のA−A線で切断した断面図。
【図17】同じく発光装置の裏面側を示す斜視図。
【図18】本発明に係る発光装置の第5の実施形態を示す斜視図。
【図19】図18に示す発光装置のA−A線で切断した断面図。
【図20】本発明に係る発光装置の第6の実施形態を示す斜視図。
【図21】図20に示す発光装置のA−A線で切断した断面図。
【図22】従来の発光装置を示す断面図。
【符号の説明】
【0052】
11:マザー基板
12:第1の接続電極
13:第2の接続電極
14:導電端子
15:有機EL素子
16:サブ基板
17:第1の電極層
18:有機発光層
19:第2の電極層
20:導電性接着剤
21:非透湿性接着剤
24:絶縁層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一平面上で互いにその仮想延長線が交差するように複数の接続端子を略マトリクス状に配設した非透湿性材料によって形成された透明なマザー基板と、
このマザー基板上に配設される非透湿性材料によって形成されたサブ基板面に前記接続電極と電気的に接続され、間に有機発光層を介在させた少なくとも第1及び第2の電極層を有する複数の有機エレクトロルミネッセンス素子とを具備し、
前記複数の有機エレクトロルミネッセンス素子を前記マザー基板面と平行になるように並設接続したことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記交差する複数の接続電極のうちの一方側は、夫々独立した複数の電極端子構成とし、他方側は前記有機エレクトロルミネッセンス素子同士を連結する連続した電極から構成されることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記交差する複数の接続電極の少なくとも交差箇所に絶縁層を介在させたことを特徴とする請求項1または2記載の発光装置
【請求項4】
前記交差する複数の接続電極の少なくとも一方側の接続電極は前記マザー基板を貫通する導電端子に接続されて、前記マザー基板の他面側に電気的に導出されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項5】
前記マザー基板とサブ基板とを前記有機エレクトロルミネッセンス素子を間に介在させるように対向配置し、前記サブ基板上の第1の電極層を前記マザー基板上の接続電極に導電性接着剤によって橋跨状に接続したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項6】
前記複数の有機エレクトロルミネッセンス素子を共通もしくは夫々独立に発光させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項1】
一平面上で互いにその仮想延長線が交差するように複数の接続端子を略マトリクス状に配設した非透湿性材料によって形成された透明なマザー基板と、
このマザー基板上に配設される非透湿性材料によって形成されたサブ基板面に前記接続電極と電気的に接続され、間に有機発光層を介在させた少なくとも第1及び第2の電極層を有する複数の有機エレクトロルミネッセンス素子とを具備し、
前記複数の有機エレクトロルミネッセンス素子を前記マザー基板面と平行になるように並設接続したことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記交差する複数の接続電極のうちの一方側は、夫々独立した複数の電極端子構成とし、他方側は前記有機エレクトロルミネッセンス素子同士を連結する連続した電極から構成されることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
前記交差する複数の接続電極の少なくとも交差箇所に絶縁層を介在させたことを特徴とする請求項1または2記載の発光装置
【請求項4】
前記交差する複数の接続電極の少なくとも一方側の接続電極は前記マザー基板を貫通する導電端子に接続されて、前記マザー基板の他面側に電気的に導出されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項5】
前記マザー基板とサブ基板とを前記有機エレクトロルミネッセンス素子を間に介在させるように対向配置し、前記サブ基板上の第1の電極層を前記マザー基板上の接続電極に導電性接着剤によって橋跨状に接続したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項6】
前記複数の有機エレクトロルミネッセンス素子を共通もしくは夫々独立に発光させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の発光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2006−32057(P2006−32057A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−207323(P2004−207323)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]