説明

発光装置

【課題】高輝度で発光品位が高く小型な発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置10は、基板11上に形成された配線層15から成る配線パターン30と、配線パターン30に接続されたLEDチップ24と、基板11上にてLEDチップ24を取り囲むように形成された封止枠19と、封止枠19の内側に充填されてLEDチップ24を封止する透明な封止体27と、封止枠19の内側部分にて封止体27が充填されている封止領域28に形成された発光部29と、基板11上にて封止枠19の外側に形成されている配線層15から成る外部電極22a,22bと、基板11上にて封止枠19と外部電極22a,22bとの間に形成された壁部21と、壁部21と封止枠19との間に形成されたスリット20と、発光部29にて配線層15上に絶縁層14を介して形成され、発光部29にてLEDチップ24が配置されている部分を除く略全面を覆う反射層17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発光ダイオードの正方形のフリップチップと、正方形のサブマウントとを、中心を一致させて重ね合わせると共に、フリップチップをサブマウントに対して45゜回転させて配置し、サブマウントの三角形状の上面露出領域に、フリップチップに対する2つの取り出し電極を形成した発光装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、絶縁基板上に、直線状の配線パターンが平行に配置されて複数形成され、その配線パターン間に複数個の発光素子が配線パターンに電気的に接続された状態で搭載されて封止体で封止された発光部を備える発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4296644号公報
【特許文献2】特開2008−227412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の発明によれば、正方形のサブマウント(基板)において、取り出し電極(外部電極)の面積を広くしつつ、フリップチップの面積を広くして発光領域をも広くすることが可能になり、小型で高輝度の発光ダイオードが得られる。
しかし、特許文献1には、1個のフリップチップを用いる構成しか開示されていない。
そして、特許文献1には、複数個のフリップチップを全体として正方形に配置させてサブマウントに搭載する構成について、一切開示されておらず示唆すらもされていない。
そのため、特許文献1に基づいて、複数個のフリップチップを配置した構成を想到することは当業者といえども困難である。
【0006】
特許文献2の発明では、略矩形状の発光部を絶縁基板に対して45゜回転させて配置した構成が開示されている(図1参照)。
しかし、特許文献2には、発光素子を配線パターンにワイヤボンディングを用いて接続した構成しか開示されていない。
そして、特許文献2には、発光素子を配線パターンにフリップチップボンディングして搭載した構成について、一切開示されておらず示唆すらもされていない。
そのため、特許文献2に基づいて、フリップチップボンディングを用いる構成を想到することは当業者といえども困難である。
【0007】
発光装置を小型化するには、基板の面積を狭くする必要がある。
また、発光領域を広くするには、複数個の発光素子を封止体で封止した封止領域を広くする必要がある。
そのため、封止領域の外周縁と外部電極とが近い箇所に配置されることになり、外部電極にハンダ付けをする際に、ハンダやハンダフラックスが封止領域を侵食して汚染するおそれがあり、封止領域が汚染されると輝度が低下したり発光ムラが生じて発光品位が低下するという問題がある。
【0008】
また、封止領域の外周縁に封止枠を形成し、その封止枠の内側に封止体を注入する製造方法では、封止枠が変形して外側方向にダレ易いため、封止枠が機能せずに正常な封止ができなくなったり、封止領域が変形して発光品位が低下するという問題がある。
【0009】
本発明は前記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、高輝度で発光品位が高く小型な発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、下記のように本発明の各局面に想到した。
【0011】
<第1の局面>
第1の局面は、
基板と、
前記基板上に形成された配線層から成る配線パターンと、
前記配線パターンに接続された複数個の発光素子と、
前記基板上にて前記複数個の発光素子を取り囲むように形成された封止枠と、
前記封止枠の内側に充填されて前記発光素子を封止する透明な封止体と、
前記封止枠の内側部分にて前記封止体が充填されている封止領域に形成された発光部と、
前記基板上にて前記封止枠の外側に形成されている前記配線層から成る外部電極と、
前記基板上にて前記封止枠と前記外部電極との間に形成された壁部と、
前記壁部と前記封止枠との間に形成されたスリットと、
前記発光部にて前記配線層上に絶縁層を介して形成され、前記発光部にて前記発光素子が配置されている部分を除く略全面を覆う反射層とを備えた発光装置である。
【0012】
従って、第1の局面によれば、基板上にて封止枠と外部電極との間に形成された壁部を備えるため、外部電極にハンダ付けをする際に、ハンダやハンダフラックスが壁部を乗り越えるおそれが無く、ハンダやハンダフラックスが発光部(封止領域)を侵食して汚染するのを防止可能であることから、発光部の汚染による輝度の低下や発光ムラが生じて発光品位が低下することも防止できる。
また、壁部と封止枠との間に形成されたスリットを備えるため、封止枠の内側に封止体を注入して充填する際に、封止枠が変形して外側方向にダレるのをスリットによって抑止可能であることから、封止枠が機能せずに正常な封止ができなくなったり、封止領域が変形して発光品位が低下するのを防止できる。
また、発光部にて発光素子が配置されている部分を除く略全面を覆う反射層を備えるため、発光部の反射率を高めて高輝度化を図ることができる。加えて、発光素子から発生する熱が反射層を通して放熱されるため、発光装置の過熱を防止して信頼性を向上できる。
その結果、第1の局面によれば、高輝度で発光品位が高く小型な発光装置を提供できる。
【0013】
<第2の局面>
第2の局面は、第1の局面において、前記壁部は前記反射層から成る発光装置である。
従って、第2の局面によれば、壁部を反射層と共用できるため、壁部のみを別部材で形成する場合に比べて、発光装置の製造コストを削減できる。
【0014】
<第3の局面>
第3の局面は、第1または第2の局面において、前記発光素子はフリップチップボンディングによって前記配線パターンに接続されている発光装置である。
発光素子をワイヤボンディングによって配線パターンに接続する場合には、ボンディングワイヤとボンディングパッドとが発光部に配置されるため、それらの分だけ発光部にて反射層で覆われている部分の面積が狭くなる。
それに対して、第2の局面によれば、発光素子をワイヤボンディングによって配線パターンに接続する場合に比べて、発光部にて反射層で覆われている部分の面積を広くすることが可能になり、発光部の反射率を高めることができる。
【0015】
<第4の局面>
第4の局面は、第1〜3の局面において、前記発光部にて前記反射層および前記絶縁層には、前記配線パターンに合致した間隙が形成されている発光装置である。
発光部にて反射層および絶縁層に配線パターンに合致した間隙が形成されていない場合には、反射層に導電材料を用いると、配線パターンを通して発光素子に流れるべき電流が反射層を介してリークするおそれがあり、配線パターンの耐電圧が低下するという問題がある。
それに対して、第4の局面によれば、配線パターンを通して発光素子に流れるべき電流が反射層を介してリークするのを防止して、配線パターンの耐電圧を高めることが可能になるため、発光装置の信頼性を向上できる。
【0016】
<第5の局面>
第5の局面は、第1〜4の局面において、前記配線パターンにて前記外部電極の間には、前記基板の外縁側(前記封止枠の外側)が広い三角形状の間隙が形成されている発光装置である。
配線パターンにて外部電極の間に間隙が形成されていない場合には、外部電極にハンダ付けをする際に、外部電極の間にハンダブリッジが生じて短絡を起こすおそれがある。
それに対して、第5の局面によれば、外部電極の間にハンダブリッジが生じて短絡を起こすのを防止可能になるため、発光装置の信頼性を向上できる。
【0017】
<第6の局面>
第6の局面は、第1〜5の局面において、前記反射層は銀から成り、前記反射層上に形成されて前記反射層を保護する保護膜を備えた発光装置である。
従って、第6の局面によれば、反射率が高い銀を反射層に用いることで反射層の反射率を向上させつつ、銀の劣化を保護膜によって防止できる。
【0018】
<第7の局面>
第7の局面は、第1〜6の局面において、前記基板は矩形状であり、前記封止枠は略矩形枠状であり、前記基板上にて前記基板の外周縁に対して前記封止枠の外周縁が傾斜して配置されている発光装置である。
従って、第7の局面によれば、外部電極の面積を広くしつつ、発光部の面積を広くして発光部の領域(発光領域)をも広くすることが可能になり、小型で高輝度の発光装置が得られる。
【0019】
<第8の局面>
第8の局面は、第1〜6のいずれか1項の局面において、前記基板は矩形状であり、前記封止枠は円形枠状である発光装置である。
従って、第8の局面によれば、外部電極の面積を確保しつつ、発光部が円形になるため見栄えを良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1(A)は、本発明を具体化した第1実施形態の発光装置10の斜視図。図1(B)は、発光装置10の平面図。
【図2】図2(A)は、発光装置10の配線層15、絶縁層16、反射層17、保護膜18を示す平面図。図2(B)は、発光装置10の接着層12、放熱層13、接着層14、配線層15を示す平面図。
【図3】第1実施形態の発光装置10および本発明を具体化した第2実施形態の発光装置100の模式的な概略縦断面図。
【図4】発光装置10,100を構成するLEDチップ24の接続状態を示す回路図。
【図5】図5(A)は、第2実施形態の発光装置100の斜視図。図5(B)は、発光装置100の平面図。
【図6】図6(A)は、発光装置100の配線層15、絶縁層16、反射層17、保護膜18を示す平面図。図6(B)は、発光装置100の接着層12、放熱層13、接着層14、配線層15を示す平面図。
【図7】本発明を具体化した第3実施形態の発光装置200の模式的な概略縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した各実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、各実施形態において、同一の構成部材および構成要素については符号を等しくすると共に、同一内容の箇所については重複説明を省略する。
【0022】
<第1実施形態>
図1〜図4に示すように、第1実施形態の発光装置10は、基板11、接着層12、放熱層13、接着層14、配線層15(配線領域15a〜15g)、絶縁層16、反射層17、保護膜18、封止枠19、スリット20、壁部21、外部電極22a,22b、ハンダ23、LEDチップ24、バンプ25、電極パッド26、封止体27、封止領域28、発光部29、配線パターン30、絶縁層16と反射層17と保護膜18の開口部H、配線パターン30の間隙Sa,Sbなどから構成されている。
尚、図3では、説明を分かり易くするために、発光装置10を構成する各部材の寸法形状を誇張して模式的に図示してあり、各部材の寸法形状が実物とは異なっている。
【0023】
図3に示すように、基板11の表面全面に、接着層12、放熱層13、接着層14がこの順番で積層形成されている。
接着層14上には、配線層15、絶縁層16、反射層17、保護膜18がこの順番で積層形成されている。
封止枠19は、保護膜18上に形成されると共に、保護膜18の外縁に沿って形成されている。
積層された絶縁層16と反射層17と保護膜18において、封止枠19の外側には配線層15の表面に達するスリット20が穿設されている。
積層された絶縁層16と反射層17と保護膜18において、スリット20の外側に配置形成された部分が壁部21となる。
配線層15において、壁部21の外側にて基板11の表面から露出した領域が外部電極22a,22bとなる。
外部電極22a,22bにはハンダ23がハンダ付けされており、外部機器の接続端子(図示略)がハンダ23を介して外部電極22a,22bに接続されている。
【0024】
LEDチップ24は、絶縁層16と反射層17と保護膜18とに穿設された開口部Hを介し、配線層15に対してバンプ25を用いてフリップチップボンディングされて接続されることにより、基板11に実装・搭載されている。
すなわち、LEDチップ24の下面側には、LEDチップ24の半導体領域(図示略)に接続された電極パッド26が形成されている。そして、電極パッド26と配線層15とがバンプ25によって接続されている。
LEDチップ24は、封止枠19の内側に配置されている。
封止枠19の内側には透明な封止体27が注入・充填されており、LEDチップ24とバンプ25と電極パッド26とは封止体27で埋設されることにより封止されている。
【0025】
ここで、基板11は、窒化アルミニウムから成る絶縁基板である。
接着層12,14はニッケルから成り、放熱層13は銅から成り、配線層15は金から成る。
接着層12は基板11と放熱層13とを接着するために設けられ、接着層14は放熱層13と配線層15とを接着するために設けられている。
絶縁層16はニッケル系酸化物から成り、反射層17は銀から成り、保護膜18は酸化シリコンから成る。
絶縁層16は、配線層15と反射層17とを絶縁するために設けられている。
保護膜18は、反射層17の表面を保護するために設けられている。
封止枠19は熱硬化性の合成樹脂(例えば、エポキシ系樹脂、シリコン系樹脂など)から成り、封止体27は蛍光体を含有した透明なシリコン樹脂から成る。
【0026】
図1に示すように、封止枠19は四隅にアールが形成された略正方形枠状(額縁状)であり、封止枠19に囲まれた内側部分にて封止体27が充填された領域が封止領域28となり、封止領域28には発光部29が形成されている。換言すれば、封止領域28および発光部29の外周縁には封止枠19が配置形成されている。
【0027】
基板11は正方形の板状であり、発光部29は四隅にアールが設けられた略正方形の扁平状であり、基板11と発光部29とはそれぞれの中心軸Oを一致させて重ね合わされると共に、中心軸Oを中心とし、発光部29を基板11に対して略45゜回転させて配置した状態で、基板11上に発光部29が設置されている。
そして、基板11上にて封止枠19の外側に形成された配線層15が外部電極22a,22bとなる。つまり、外部電極22a,22bは、基板11上における四隅の三角形状の領域に形成されている。
尚、図1では、外部電極22a,22bにハンダ付けされたハンダ23(図3参照)の図示を省略してある。
【0028】
発光部29において、LEDチップ24は間隙を空けて縦横方向に7個×8個ずつ碁盤目状に並べられ、合計56個のLEDチップ24から成るLEDチップ群の各辺は発光部29の外周縁の各辺と平行に配置されている。
発光部29の外周縁の各辺に沿って、封止枠19の外側にはスリット20が配置形成されている。
尚、発光部29の角部分は基板11の外周縁に配置されており、発光部29の角部分における封止枠19は基板11の外周縁に接しているため、発光部29の角部分における封止枠19の外側にはスリット20が形成されていない。
スリット20の外側には、直線状の壁部21が配置形成されている。
換言すれば、基板11上にて封止枠19と外部電極22a,22bとの間には壁部21が形成され、壁部21と封止枠19との間にはスリット20が形成されている。
【0029】
図2(A)に示すように、発光装置10から封止枠19とハンダ23とLEDチップ24とバンプ25と電極パッド26と封止体27とを取り除いた状態において、基板11の表面には、スリット20と、スリット20の底面から露出する配線層15と、外部電極22a,22bとなる配線層15と、壁部21と、保護膜18とが形成されている。
尚、図2(A)では、スリット20の底面から露出する配線層15(図3参照)の図示を省略してある。
ちなみに、図2(A)は、基板11上に接着層12、放熱層13、接着層14、配線層15、絶縁層16、反射層17、保護膜18、スリット20、壁部21までを順次形成した時点の平面図であるともいえる。
【0030】
反射層17下には絶縁層16が形成され、反射層17上には保護膜18が形成されているため、絶縁層16と保護膜18および反射層17の平面形状は同じである。
積層された絶縁層16と反射層17と保護膜18とには、LEDチップ24(図1および図3参照)をフリップチップボンディングするための開口部Hが形成されている。
発光部29内に積層形成された絶縁層16と反射層17と保護膜18とは、発光部29にてLEDチップ24が配置されている部分を除く略全面を覆っている。
【0031】
図2(B)に示すように、発光装置10から封止枠19とハンダ23とLEDチップ24とバンプ25と電極パッド26と封止体27と絶縁層16と反射層17と保護膜18とを取り除いた状態において、基板11の表面には配線層15が形成されている。
ちなみに、図2(B)は、基板11上に接着層12、放熱層13、接着層14、配線層15までを順次形成した時点の平面図であるともいえる。
【0032】
積層された接着層12と放熱層13と接着層14と配線層15とには、複数個のLEDチップ24(図1および図3参照)を直並列接続するための中間点となる短冊状の配線領域15a〜15gが間隙を空けて並置形成されている。
そして、配線領域15a〜15gおよび外部電極22a,22bによって配線パターン30が形成されており、LEDチップ24は配線パターン30に接続されている。つまり、配線パターン30は、積層された接着層12と放熱層13と接着層14と配線層15とによって形成されている。
また、配線パターン30において、外部電極22a,22bの間には、基板11の表面に達する略三角形状の間隙Sa,Sbが配置形成されており、間隙Sa,Sbからは基板11の表面が露出している。
【0033】
図4に示すように、56個のLEDチップ24は外部電極22a,22b間にて配線領域15a〜15gを挟んでラダー状に直並列接続され、外部電極22aはLEDチップ24の直並列回路のアノード側電極を構成し、外部電極22bはLEDチップ24の直並列回路のカソード側電極を構成する。
【0034】
[第1実施形態の作用・効果]
第1実施形態の発光装置10によれば、以下の作用・効果を得ることができる。
【0035】
[1]基板11上にて封止枠19と外部電極22a,22bとの間に形成された壁部21を備えるため、外部電極22a,22bにハンダ23をハンダ付けをする際に、図3の矢印αに示すように、ハンダ23やハンダフラックス(図示略)が壁部21を乗り越えるおそれが無い。
そのため、ハンダ23やハンダフラックスが、発光部29(封止領域28)を侵食して汚染するのを防止可能であることから、発光部29の汚染による輝度の低下や発光ムラが生じて発光品位が低下することも防止できる。
【0036】
[2]壁部21と封止枠19との間に形成されたスリット20を備えるため、封止枠19の内側に封止体27を注入して充填する際に、封止枠19が変形して外側方向(図3に示す矢印β方向)にダレるのをスリット20によって抑止可能であることから、封止枠19が機能せずに正常な封止ができなくなったり、封止領域28が変形して発光品位が低下するのを防止できる。
【0037】
[3]発光部29にてLEDチップ24が配置されている部分を除く略全面を覆う反射層17を備えるため、発光部29の反射率を高めて高輝度化を図ることができる。
加えて、LEDチップ24から発生する熱が反射層17を通して放熱されるため、発光装置10の過熱を防止して信頼性を向上できる。
【0038】
[4]壁部21は、積層された絶縁層16と反射層17と保護膜18とから形成されている。
そのため、壁部21を前記積層材(絶縁層16と反射層17と保護膜18)と共用できるため、壁部21のみを別部材で形成する場合に比べて、発光装置10の製造コストを削減できる。
また、保護膜18が壁部21の表面に形成され、保護膜18は絶縁性の無機材料である酸化シリコンから成るが、絶縁性の無機材料はハンダの濡れ性が低いため、ハンダ23やハンダフラックスが壁部21を乗り越えるのをより確実に防止可能であり、前記[1]の効果を更に高めることができる。
【0039】
[5]LEDチップ24は、フリップチップボンディングによって配線パターン30に接続されている。
LEDチップ24をワイヤボンディングによって配線パターン30に接続する場合には、ボンディングワイヤとボンディングパッドとが発光部29に配置されるため、それらの分だけ発光部29にて反射層17で覆われている部分の面積が狭くなる。
それに対して、発光装置10によれば、LEDチップ24をワイヤボンディングによって配線パターン30に接続する場合に比べて、発光部29にて反射層17で覆われている部分の面積を広くすることが可能になり、発光部29の反射率を高めることができる。
【0040】
[6]配線パターン30にて外部電極22a,22bの間には、基板11の外縁側(封止枠19の外側)が広い三角形状の間隙Sa,Sbが形成されている。
配線パターン30にて外部電極22a,22bの間に間隙Sa,Sbが形成されていない場合には、外部電極22a,22bにハンダ付けをする際に、外部電極22a,22b間にハンダブリッジが生じて短絡を起こすおそれがある。
それに対して、発光装置10によれば、外部電極22a,22b間にハンダブリッジが生じて短絡を起こすのを防止可能になるため、発光装置10の信頼性を向上できる。
【0041】
[7]反射層17は銀から成り、反射層17上に形成されて反射層17を保護する保護膜18を備えている。
従って、発光装置10によれば、反射率の高い銀を反射層17に用いることで反射層17の反射率を向上させつつ、銀の劣化を保護膜18によって防止できる。
【0042】
[8]基板11と発光部29とはそれぞれの中心軸Oを一致させて重ね合わされると共に、中心軸Oを中心とし、発光部29を基板11に対して略45゜回転させて配置した状態で、基板11上に発光部29が設置されている。
換言すれば、基板11上にて基板11の外周縁に対して封止枠19の外周縁が傾斜して配置されている。
従って、外部電極22a,22bの面積を広くしつつ、発光部29の面積を広くして発光部29の領域(発光領域)をも広くすることが可能になり、小型で高輝度の発光装置10が得られる。
【0043】
[9]封止枠19が保護膜18の外縁に沿って形成されているため、封止枠19の形が崩れ難くなる。
そして、封止枠19が保護膜18上に形成されているため、封止枠19の内側に封止体27を注入する工程(封止工程)で働く外側へ向けた力に対して、封止枠19が強く抗することから、封止枠19が変形して外側方向(図3に示す矢印β方向)にダレるのを確実に防止可能になり、前記[2]の効果を更に高めることができる。
【0044】
<第2実施形態>
図3〜図6に示すように、第2実施形態の発光装置100は、基板11、接着層12、放熱層13、接着層14、配線層15(配線領域15a〜15g)、絶縁層16、反射層17、保護膜18、封止枠19、スリット20、壁部21、外部電極22a,22b、ハンダ23、LEDチップ24、バンプ25、電極パッド26、封止体27、封止領域28、発光部29、配線パターン30、絶縁層16と反射層17と保護膜18の開口部H、配線パターン30の間隙Sa,Sb、絶縁層16と反射層17と保護膜18の間隙(スリット)101などから構成されている。
【0045】
第2実施形態において、第1実施形態と異なるのは以下の点だけである。
[ア]図5に示すように、発光部29は円形の扁平状であり、基板11と発光部29とはそれぞれの中心軸Oを一致させて重ね合わされている。
尚、図5では、外部電極22a,22bにハンダ付けされたハンダ23(図3参照)の図示を省略してある。
【0046】
[イ]図5に示すように、発光部29において、LEDチップ24は、間隙を空けて縦横方向に7個×8個ずつ碁盤目状に並べられた状態から、四隅部分の合計4個のLEDチップ24を取り除き、その取り除いたLEDチップ24をLEDチップ群の縦方向の両側にて横方向の中央部に2個ずつ並置した状態に並べられ、LEDチップ群は発光部29の中央に配置されている。
【0047】
[ウ]図5に示すように、発光部29の外周縁に配置形成された封止枠19は円形枠状(ドーナツ状)である。図5および図6(A)に示すように、発光部29の外周縁に沿って外側に配置形成されたスリット20も円形枠状であり、スリット20の外周縁に沿って外側に配置形成された壁部21も円形枠状である。
従って、外部電極22a,22bの面積を確保しつつ、発光部29が円形になるため見栄えを良くすることができる。
【0048】
[エ]図6に示すように、発光部29内に積層形成された絶縁層16と反射層17と保護膜18には、配線パターン30に合致した間隙101が形成されている。
【0049】
間隙101が形成されていない場合には、配線パターン30を通してLEDチップ24に流れるべき電流が反射層17を介してリークするおそれがあり、配線パターン30の耐電圧が低下するという問題がある。
それに対して、第2実施形態によれば、配線パターン30を通してLEDチップ24に流れるべき電流が反射層17を介してリークするのを防止して、配線パターン30の耐電圧を高めることが可能になるため、発光装置100の信頼性を向上できる。
【0050】
<第3実施形態>
図7に示すように、第3実施形態の発光装置200は、基板11、接着層12、放熱層13、接着層14、配線層15、絶縁層16、反射層17、保護膜18、封止枠19、スリット20、壁部21、外部電極22a,22b、ハンダ23、LEDチップ24、バンプ25、電極パッド26、封止体27、封止領域28、発光部29、配線パターン30、絶縁層16と反射層17と保護膜18の開口部Hなどから構成されている。
【0051】
第3実施形態において、第1実施形態と異なるのは、封止枠19が、保護膜18の外側部分の配線層15上に形成されると共に、保護膜18の外縁に沿って積層膜(絶縁膜16、反射膜17、保護膜18)の外周面に当接するように形成されている点だけである。
そのため、第3実施形態においても、封止枠19が保護膜18の外縁に沿って形成されているため、封止枠19の形が崩れ難くなる。
そして、第3実施形態によれば、封止枠19が変形して内側方向(図7に示す矢印γ方向)にダレようとする際に、封止枠19が前記積層膜の外周面によって係止されるため、封止枠19が内側方向にダレるのを防止できる。
【0052】
<別の実施形態>
本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、前記各実施形態と同等もしくはそれ以上の作用・効果を得ることができる。
【0053】
[A]第1実施形態において、基板11と発光部29とは、略45゜に限らず、適宜な角度だけ回転させて配置してもよい。
また、基板11と発光部29とはそれぞれの中心軸Oを一致させずに重ね合わせてもよい。
【0054】
[B]発光装置10を構成する各部材は、前記具体例の材質に限らず、前記作用・効果が得られる材質であればどのようなものを用いてもよい。
【0055】
[C]LEDチップ24は、光半導体型発光素子のベアチップであれば、例えば、有機EL素子チップなどに置き換えてもよい。
【0056】
[D]基板11および第1実施形態の封止枠19は、正方形に限らず、長方形を含む矩形状にしてもよい。
【0057】
[E]バンプ25を、ハンダ、導電性接着剤、異方性導電接着剤(異方導電性接着剤)などに置き換えてもよい。
【0058】
[F]ワイヤボンディングを用いることにより、LEDチップ24を配線層15に接続してもよい。
【0059】
[G]前記各実施形態を適宜組み合わせて実施してもよく、その場合には組み合わせた実施形態の作用・効果を合わせもたせたり、相乗効果を得ることができる。
【0060】
本発明は、前記各局面および前記各実施形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様も本発明に含まれる。本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
【符号の説明】
【0061】
10,100,200…発光装置
11…基板
12…接着層
13…放熱層
14…接着層
15…配線層
15a〜15g…配線領域
16…絶縁層
17…反射層
18…保護膜
19…封止枠
20…スリット
21…壁部
22a,22b…外部電極
23…ハンダ
24…LEDチップ
25…バンプ
26…電極パッド
27…封止体
28…封止領域
29…発光部
30…配線パターン
H…絶縁層16と反射層17と保護膜18の開口部
Sa,Sb…配線パターン30の間隙
101…絶縁層16と反射層17と保護膜18の間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された配線層から成る配線パターンと、
前記配線パターンに接続された複数個の発光素子と、
前記基板上にて前記複数個の発光素子を取り囲むように形成された封止枠と、
前記封止枠の内側に充填されて前記発光素子を封止する透明な封止体と、
前記封止枠の内側部分にて前記封止体が充填されている封止領域に形成された発光部と、
前記基板上にて前記封止枠の外側に形成されている前記配線層から成る外部電極と、
前記基板上にて前記封止枠と前記外部電極との間に形成された壁部と、
前記壁部と前記封止枠との間に形成されたスリットと、
前記発光部にて前記配線層上に絶縁層を介して形成され、前記発光部にて前記発光素子が配置されている部分を除く略全面を覆う反射層と
を備えた発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置において、
前記壁部は前記反射層から成る発光装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の発光装置において、
前記発光素子はフリップチップボンディングによって前記配線パターンに接続されている発光装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光装置において、
前記発光部にて前記反射層および前記絶縁層には、前記配線パターンに合致した間隙が形成されている発光装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の発光装置において、
前記配線パターンにて前記外部電極の間には、前記基板の外縁側が広い三角形状の間隙が形成されている発光装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光装置において、
前記反射層は銀から成り、
前記反射層上に形成されて前記反射層を保護する保護膜を備えた発光装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の発光装置において、
前記基板は矩形状であり、
前記封止枠は略矩形枠状であり、
前記基板上にて前記基板の外周縁に対して前記封止枠の外周縁が傾斜して配置されている発光装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の発光装置において、
前記基板は矩形状であり、前記封止枠は円形枠状である発光装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−12557(P2013−12557A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143606(P2011−143606)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】