説明

発射装置

【課題】内部構造,データ処理が簡単で生産コストの低い発射装置を提供する。
【解決手段】発射口に供給された遊技球40を、発射口に連通する発射通路19に発射して遊技盤に放出するとともに、前記発射通路19に連通するようにファウル球回収口25を設けてある。特に、発射口の近傍に、自重で元の位置に復帰するように回動可能に支持され、かつ、発射通路19と発射口とを遮断するファウル球戻り防止弁30を設置することにより、発射口から発射された遊技球40で前記ファウル戻り防止弁30を跳ね上げる。一方、遊技球40の発射後に自重で回動して元の位置に復帰した前記ファウル球戻り防止弁30で発射通路19と発射口22とを遮蔽することにより、発射通路19から戻って来たファウル球である遊技球40をファウル球回収口25にガイドする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発射装置、特に、発射口から発射された遊技球がファウル球として発射口に再び戻ることを防止でき、かつ、パチンコ遊技装置に組み込まれる発射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パチンコ遊技装置の発射装置としては、例えば、発射位置に供給した遊技球を発射装置が遊技領域に向けて発射するように制御するとともに、該遊技領域を経た遊技球を回収し、再び該発射位置に供給して遊技球を循環利用する封入球式遊技機に組み込まれる発射装置がある(特許文献1参照)。
【0003】
前述の発射装置では、通常、図5Aに示すように、遊技球40が発射口22から発射通路19を介して遊技台11に発射されるが、発射された遊技球40が発射通路19を通過できない場合には、前記遊技球40がファウル球として排出球回収口25で回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−101224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の発射装置は、時として、発射された遊技球40が発射通路19を通過できずにファウル球として戻り、発射口22に供給された発射直前の遊技球40に積み重なってしまうという不具合がある。
特に、封入球式遊技装置では、ファウル球を遊技済み球としてカウント処理してはならないにもかかわらず、カウント処理してしまうので、戻って来たファウル球の球数を遊技済み球数から差し引く必要がある。このため、ファウル球を検出するための検出センサを設置する必要があるとともに、ファウル球数を遊技済み球数から差し引く処理を行うための処理プログラムを必要とする。この結果、検出センサの設置,配線が必要になり、生産コストを増大させるとともに、データ処理が複雑になり、結果として遊技球の発射サイクルが長くなってしまうという問題点がある。
本発明は、前述の問題点に鑑み、内部構造,データ処理が簡単で生産コストの低い発射装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発射装置は、前述の課題を解決すべく、発射口に供給された遊技球を、前記発射口に連通する発射通路に発射して遊技盤に放出するとともに、前記発射通路に連通するファウル球回収口を設けた発射装置であって、前記発射口近傍に、自重で元の位置に復帰するように回動可能に支持され、かつ、発射通路と発射口とを遮断するファウル球戻り防止弁を設置することにより、前記発射口から発射された遊技球で前記ファウル戻り防止弁を跳ね上げる一方、遊技球の発射後に自重で回動して元の位置に復帰した前記ファウル球戻り防止弁で発射通路と発射口とを遮蔽することにより、発射通路から戻って来たファウル球をファウル球回収口にガイドする構成としてある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ファウル球戻り防止弁が遊技球の発射後に自重で元の位置に復帰し、発射口と発射通路とを遮蔽する。このため、遊技球がファウル球となって戻って来ても、発射口に戻ることなく、ファウル球回収口で回収される。この結果、検出センサ,その配線,処理プログラムが不要となり、生産コストの低い発射装置が得られる。
【0008】
本発明の実施形態としては、ファウル球戻り防止弁が、略扇形状を有していてもよい。
本実施形態によれば、ファウル球戻り防止弁が略扇形状を有していることにより、遊技球によって跳ね上げられても、自重で元の位置に復帰しやすくなる。
【0009】
本発明の異なる実施形態としては、発射装置に、遊技球に跳ね上げられたファウル球戻り防止弁の位置を規制する第1ストッパを設けておいてもよい。
本実施形態によれば、ファウル球戻り防止弁が遊技球に跳ね上げられても、回動しすぎることがなく、故障しにくい発射装置が得られる。
【0010】
本発明の他の実施形態としては、発射装置に、ファウル球戻り防止弁の遮蔽位置を規制する第2ストッパを設けておいてもよい。
本実施形態によれば、ファウル球戻り防止弁が遮蔽位置に正確に位置規制されることにより、ファウル球の発射口への復帰を確実に防止できる。
【0011】
本発明に係る遊技装置は、前述の発射装置を備えた遊技装置であってもよい。
本発明によれば、検出センサ,その配線,処理プログラムが不要となり、生産コストの低い遊技装置が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る発射装置を組み込んだ遊技装置の実施形態を示す正面図である
【図2】図1に示す遊技装置の内部構成を示す斜視図である。
【図3】図3A,図3Bは図2で示した内部構成の動作前、動作直後を示す部分拡大斜視図である。
【図4】図3に続く動作完了後、動作後を示す斜視図である。
【図5】従来例の正常動作、異常動作を説明するための部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る発射装置を備えた遊技装置の実施形態を図1ないし図4の添付図面に従って説明する。
本実施形態に係る遊技装置は、図1に示すように、封入球式遊技装置10に適用した場合であり、遊技盤11の表面を透明なガラス板12で被覆するとともに、前記透明なガラス板12の下方側には持ち球表示部13が配置されている。さらに、前記持ち球表示部13の下方側には操作パネル14およびハンドル15が配置されている。
一方、前記遊技盤11の中央部には演出表示部16を配置してあるとともに、前記演出表示部16の下方側に遊技済み球回収口17が配置されている。なお、前記封入球式遊技装置10には台間機18が隣接するように設置されている。
【0014】
前記操作パネル14の後方には、図2に示すように、発射装置20が配置されている。前記発射装置20は、図3に示すように、球供給口21から供給された遊技球40を発射口22で仮保持するとともに、前記発射口22に供給された遊技球数をカウントする一対の遊技球計数センサ23が設置されている。
【0015】
また、前記発射装置20には、発射口22に供給された遊技球40を発射するハンマー24が回動可能に設置されている。
【0016】
さらに、前記発射装置20には、前記発射口22と発射通路19とを遮蔽するファウル球戻り防止弁30が回動可能に支持されている。前記ファウル球戻り防止弁30は、その上端部に突設した位置規制突起31が、遊技球40が発射されたときに過剰な回動を規制するための第1ストッパ部32、および、発射口22と発射通路19とを遮蔽するための位置規制を行う第2ストッパ部33にそれぞれ係止する構造となっている。そして、前記発射装置20は、前記ファウル球戻り防止弁30と隣り合う位置に、前記発射通路19に連通するファウル球回収口25を配置してある。
【0017】
前記遊技済み球回収口17は、図2に示すように、遊技済み球計数センサ26を備えた遊技済み球回収通路27を介し、遊技球供給口21に連通する遊技球供給通路28に連通している。また、前記ファウル球回収口25は、ファウル球数計数カウンタ34を備えたファウル球回収通路35を介し、前記遊技球供給通路28に連通している。このため、遊技済み球およびファウル球はいずれも発射口22に遊技球40として再び供給される。
【0018】
次に、前述の構成を有する遊技装置の動作について説明する。
操作前は、図3Aに示すように、遊技球供給口21から供給された遊技球40が発射口21に仮保持されているとともに、ファウル球戻り防止弁30は、その位置規制突起31を第2ストッパ33に係止することにより、発射口22を遮蔽している。
【0019】
そして、ハンマー24が回動して遊技球40を打ち出すことにより、前記ファウル球戻り防止弁30が跳ね上がり(図3B)、遊技球40が発射通路19を介して遊技盤11上に発射され、その直後に、遊技球供給口21から新しい遊技球40が供給される(図4A)。このとき、ファウル球戻り防止弁30は、その位置規制突起31が第1ストッパ32に係止し、位置規制された後、自重で元の位置に復帰する。
【0020】
そして、遊技球40が発射通路19を通過できずにファウル球となった場合には、前記ファウル球戻り防止弁30が既に元の位置に復帰しているので(図4B)、ファウル球はファウル球戻り防止弁30に衝突した後、ファウル球回収口25に入る。このため、ファウル球となった遊技球40はファウル球回収通路35を通過し、ファウル球数計数センサ34でカウントされた後、遊技球供給通路28を介して再び、遊技球供給口21から発射口22に供給される。この結果、ファウル球は遊技済み球として処理されず、遊技者の持ち球数はファウル球の発生によって減少することはない。
【0021】
以上の説明から明らかなように、ファウル球が発生しても発射口22に戻らず、複数の遊技球を誤って発射することを未然に防止できる。
また、ファウル球数計数センサ34によって検出されたファウル球を発射口22に供給する前にカウントし、遊技済み球数から差し引くことにより、遊技者の持ち球数を適正に管理できるという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明に係る発射装置を組み込む遊技装置は、パチンコ遊技装置に限らず、他の遊技装置にも適用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0023】
10:遊技装置
11:遊技盤
14:操作パネル
15:ハンドル
17:遊技済み球回収口
19:発射通路
20:発射装置
21:遊技球供給口
22:発射口
23:遊技球計数センサ
24:ハンマー
25:ファウル球回収口
26:遊技済み球計数センサ
27:遊技済み球回収通路
28:遊技球供給通路
30:ファウル球戻り防止弁
31:位置規制突起
32:第1ストッパ
33:第2ストッパ
34:ファウル球計数センサ
35:ファウル球回収通路
40:遊技球

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射口に供給された遊技球を、前記発射口に連通する発射通路に発射して遊技盤に放出するとともに、前記発射通路に連通するファウル球回収口を設けた発射装置であって、
前記発射口近傍に、自重で元の位置に復帰するように回動可能に支持され、かつ、発射通路と発射口とを遮断するファウル球戻り防止弁を設置することにより、前記発射口から発射された遊技球で前記ファウル戻り防止弁を跳ね上げる一方、
遊技球の発射後に自重で回動して元の位置に復帰した前記ファウル球戻り防止弁で発射通路と発射口とを遮蔽することにより、発射通路から戻って来たファウル球をファウル球回収口にガイドすることを特徴とする発射装置。
【請求項2】
ファウル球戻り防止弁が、略扇形状を有することを特徴とする請求項1に記載の発射装置。
【請求項3】
遊技球に跳ね上げられたファウル球戻り防止弁の位置を規制する第1ストッパを設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の発射装置。
【請求項4】
ファウル球戻り防止弁の遮蔽位置を規制する第2ストッパを設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発射装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の発射装置を備えたことを特徴とする遊技装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−81607(P2013−81607A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223239(P2011−223239)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】