説明

発振装置、および電子機器

【課題】電子機器の小型化を図る。
【解決手段】発振装置100は、圧電振動子10と、圧電振動子10の一面に設けられ、かつ圧電振動子10を支持する複数の支柱30と、を備えている。複数の支柱30は、第1方向および第1方向と直角な第2方向において、互いに分離するように配列されている。このため、複数の発振装置を配列せずとも、一の圧電振動子10から複数の音波を出力することができる。従って、電子機器の小型化を図ることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動子を有する発振装置、および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に搭載する電気音響変換器として、圧電型電気音響変換器がある。圧電型電気音響変換器は、圧電振動子に電界を印加することにより発生する伸縮運動を利用して、振動振幅を発生させるものである。圧電型電気音響変換器は、振動振幅を発生させるために多数の部材を必要とせず、薄型化に有利である。
圧電型電気音響変換器に関する技術としては、例えば特許文献1〜5に記載のものがある。
【0003】
特許文献1〜3に記載の技術は、エミッタとして圧電フィルムを使用したパラメトリックスピーカに関するものである。特許文献4に記載の技術は、可ぎょう性を有する圧電フィルム振動板とスピーカユニットを備え、これらを同時に振動させるというものである。特許文献5に、音響再生スクリーンに圧電フィルムを使用する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2002−526004号公報
【特許文献2】特表2007−503742号公報
【特許文献3】特表2003−520002号公報
【特許文献4】特開2010−62819号公報
【特許文献5】特開2006−180504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発振装置を搭載する電子機器においては、その小型化が求められる。
【0006】
本発明の目的は、電子機器の小型化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、圧電振動子と、
前記圧電振動子の一面に設けられ、かつ前記圧電振動子を支持する複数の支柱と、
を備え、
前記複数の支柱は、第1方向および前記第1方向と直角な第2方向おいて、互いに離間するように配列されている発振装置が提供される。
【0008】
本発明によれば、上述した発振装置を搭載した、電子機器が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、発振装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係る発振装置を示す平面図である。
【図2】図1に示す発振装置を示す断面図である。
【図3】図1に示す発振装置の構成を説明するための斜視図である。
【図4】図1に示す圧電振動子を示す断面図である。
【図5】第2の実施形態に係る発振装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0012】
図1は、第1の実施形態に係る発振装置100を示す平面図である。本実施形態に係る発振装置100は、圧電振動子10と、複数の支柱30と、を備えている。発振装置100は、例えば携帯電話機等の電子機器に搭載される。
【0013】
複数の支柱30は、圧電振動子10の一面に設けられ、かつ圧電振動子10を支持する。また、複数の支柱30は、第1方向および第1方向と直角な第2方向において、互いに離間するように配列されている。以下、発振装置100の構成について、詳細に説明する。
【0014】
図1に示すように、複数の支柱30は、例えば圧電振動子10の一面上にアレイ状に配列されている。この場合、複数の支柱30は、第1方向および第2方向において、等間隔に配列される。支柱30は、圧電振動子10の一面と水平な面方向における幅が、例えば0.05mm以上5mm以下である。
【0015】
図2は、図1に示す発振装置100を示す断面図である。図2における矢印は、発振装置100から出力される音波を示している。圧電振動子10は、一面上に設けられた複数の支柱30によって拘束されている。このため、図1および図2に示すように、支柱30によって囲われた領域を放射面20として、各放射面20からそれぞれ音波を出力する。
【0016】
図3は、図1に示す発振装置100の構成を説明するための斜視図である。図3に示す圧電振動子10および複数の支柱30を接合して、発振装置100が設けられる。図3に示すように支柱30の形状は、例えば円柱状であるが、これに限られない。
【0017】
図4は、図1に示す圧電振動子10を示す断面図である。図4に示すように、圧電振動子10は、圧電体70、上部電極72および下部電極74を有している。圧電体70は、上部電極72および下部電極74に挟まれている。また、圧電体70は、その厚さ方向(図4中上下方向)に分極している。圧電振動子10の平面形状は、例えば四角形、円形、または楕円形である。
【0018】
圧電体70は、圧電効果を有する材料により構成され、例えば電気機械変換効率が高い材料としてジルコン酸チタン酸鉛(PZT)またはチタン酸バリウム(BaTiO)等により構成される。また、圧電体70の厚みは、10μm〜1mmであることが好ましい。厚みが10μm未満である場合、圧電体70は脆性材料により構成されるため、取り扱い時において破損等が生じやすい。一方、厚みが1mmを超える場合、圧電体70の電界強度が低減する。このため、エネルギー変換効率の低下を招く。
【0019】
上部電極72および下部電極74は、電気伝導性を有する材料によって構成され、例えば銀または銀/パラジウム合金等によって構成される。銀は、低抵抗な汎用材料であり、製造コストや製造プロセスの観点から優位である。また、銀/パラジウム合金は、耐酸化性に優れた低抵抗材料であり、信頼性に優れる。上部電極72および下部電極74の厚みは、1〜50μmであることが好ましい。厚みが1μm未満の場合、均一に成形することが難しくなる。一方、50μmを超える場合、上部電極72または下部電極74が圧電体70に対して拘束面となり、エネルギー変換効率の低下を招く。
【0020】
発振装置100は、制御部90と、信号生成部92と、を備えている。信号生成部92は、圧電振動子10と接続し、圧電振動子10に入力する電気信号を生成する。制御部90は、信号生成部92に接続し、信号生成部92による信号の生成を制御する。外部から入力された情報に基づいて制御部90が信号生成部92の信号の生成を制御することにより、発振装置100の出力を制御することができる。
【0021】
本実施形態において、発振装置100は、パラメトリックスピーカとして使用される。発振装置100をパラメトリックスピーカとして使用する場合、制御部90は信号生成部92を介して、パラメトリックスピーカとしての変調信号を入力する。この場合、圧電振動子10は、20kHz以上、例えば100kHzの音波を信号の輸送波として用いる。
【0022】
なお、発振装置100は、通常のスピーカとして使用することもできる。発振装置100を通常のスピーカとして使用する場合には、制御部90は信号生成部92を介して、音声信号をそのまま圧電振動子10へ入力する。
さらに、発振装置100は、超音波センサとして使用することもできる。発振装置100を超音波センサとして使用する場合、制御部90に入力される信号は、音波を発振する旨の指令信号である。そして、発振装置100を音波センサとして使用する場合、信号生成部92は圧電振動子10に圧電振動子10の共振周波数の音波を発生させる。
【0023】
図1におけるxは、隣接する支柱30間の中心点と、これに隣接する中心点との間隔を示している。圧電振動子10から出力される音波の波長をλとしたとき、第1方向および第2方向において、xは、例えば1/2λ以下であることが好ましい。この場合、第1方向および第2方向における、互いに隣接する放射面20の中心間距離が、1/2λ以下となる。
本実施形態において、第1方向および第2方向における、互いに隣接する放射面20の中心間距離が1/2λ以下である場合、互いに隣接しあう放射面20から出力される音波が干渉してしまうことを抑制することができる。これにより、高効率な音波の出力を実現することが可能となる。
【0024】
次に、本実施形態の効果を説明する。圧電型電気音響変換器は、例えば圧電振動子を有する複数の発振装置をアレイ状に配列することにより構成し、高い指向性を実現している。しかし、複数の発振装置を配列した場合、電子機器の小型化を図ることは困難となる。
【0025】
本実施形態において、複数の支柱30は、第1方向および第2方向おいて、互いに分離するように配列されている。このため、支柱30によって囲われた放射面20を複数有することとなる。これにより、圧電振動子10は、複数の放射面20それぞれから音波を出力することできる。
このように、本実施形態によれば、複数の発振装置を配列せずとも、一の圧電振動子10から複数の音波を出力することができる。従って、電子機器の小型化を図ることが可能となる。
【0026】
また、本実施形態における発振装置100は、一の圧電振動子10を複数の支柱30により拘束して形成される。このように、本実施形態によれば、複数の部材を必要とせずに発振装置100を形成することが可能となる。従って、低コストで電子機器を製造することが可能となる。
【0027】
図5は、第2の実施形態に係る発振装置102を示す平面図であって、第1の実施形態における図1に対応している。本実施形態に係る発振装置102は、支柱30の構成を除いて、第1の実施形態に係る発振装置100と同様の構成を有する。
【0028】
複数の支柱30は、第1方向および第2方向の少なくとも一方向において、一組の支柱30間の間隔と、他の一組の支柱30間の間隔が異なるように配列されている。本実施形態においては、図5に示すように、第1方向および第2方向において、一組の支柱30間の間隔と、他の一組の間隔が異なる。
【0029】
複数の支柱30が、第1方向および第2方向の少なくとも一方向において一組の支柱30間の間隔と他の一組の支柱30間の間隔が異なるように配列されていることにより、発振装置102が有する放射面20の面積は異なることとなる。例えば、図5に示すように、発振装置102は、圧電振動子10の一面と同一面内における面積が互いに異なる放射面22、放射面24、および放射面26を有することとなる。
【0030】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態によれば、面積の異なる複数の放射面20を有する発振装置100を実現することができる。圧電振動子の基本共振周波数は振動面の輪郭形状の長さに依存する。このため、面積の異なる複数の放射面20を有する場合には、発振装置100は複数の共振周波数を有することとなる。従って、広い周波数帯域において、高い音圧レベルの出力を実現することができる。
【0031】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0032】
10 圧電振動子
20 放射面
22 放射面
24 放射面
26 放射面
30 支柱
70 圧電体
72 上部電極
74 下部電極
100 発振装置
102 発振装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動子と、
前記圧電振動子の一面に設けられ、かつ前記圧電振動子を支持する複数の支柱と、
を備え、
前記複数の支柱は、第1方向および前記第1方向と直角な第2方向において、互いに離間するように配列されている発振装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発振装置において、
前記圧電振動子から出力される音波の波長をλとしたとき、前記第1方向および前記第2方向において、隣接する前記支柱間の中心点と、これに隣接する前記中心点との間隔が、1/2λ以下である発振装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発振装置において、
前記支柱は、前記圧電振動子の前記一面と水平な面方向における幅が0.05mm以上5mm以下である発振装置。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか1項に記載の発振装置において、
前記複数の支柱は、前記第1方向および前記第2方向において、等間隔に配列されている発振装置。
【請求項5】
請求項1ないし3いずれか1項に記載の発振装置において、
前記複数の支柱は、前記第1方向および前記第2方向の少なくとも一方向において、一組の支柱間の間隔と、他の一組の支柱間の間隔が異なるように配列されている発振装置。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれか1項に記載の発振装置において、
前記圧電振動子と接続する信号生成部と、
前記信号生成部による信号の生成を制御することにより、前記圧電振動子の出力を制御する制御部と、
を備える発振装置。
【請求項7】
請求項1ないし6いずれか1項に記載の発振装置を搭載した、電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate