説明

発振装置および電子機器

【課題】簡単な構造で短絡を懸念することなく圧電振動子を配線することができる発振装置を提供する。
【解決手段】電気音響変換器100は、圧電セラミック111の表面と側面と裏面の一部とに連続的に表面電極層112が形成されており、表面電極層112と干渉しない範囲で圧電セラミック111の裏面に裏面電極層113が形成されている。弾性振動板130の表面に形成されている第一配線層121が裏面電極層113に導通することなく表面電極層112と導通しており、弾性振動板130の表面に形成されている第二配線層122が表面電極層112に導通することなく裏面電極層113と導通しており、第一配線層121と第二配線層122との間隙および表面電極層112と裏面電極層113との間隙を絶縁材140が充填している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動子を備えた発振装置に関し、特に、振動部材に圧電振動子が装着されている発振装置、この発振装置を有する電子機器、に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機やノート型コンピュータなどの携帯型の電子機器の需要が拡大している。このような電子機器では、テレビ電話や動画再生、ハンズフリー電話などの音響機能を商品価値とした薄型の携帯端末の開発が進められている。このような開発の中、音響部品である電気音響変換器(スピーカ装置)に対して、高音質でかつ小型・薄型化への要求が高まっている。
【0003】
従来、携帯電話等の電子機器には、電気音響変換器として動電型電気音響変換器が利用されてきた。この動電型電気音響変換器は、永久磁石とボイスコイルと振動膜から構成されている。
【0004】
しかし、動電型電気音響変換器は、その動作原理および構造から、薄型化には限界がある。一方、特許文献1、2には、圧電振動子を電気音響変換器として使用することが記載されている。
【0005】
また、圧電振動子を用いる発振装置の他の例としては、スピーカ装置のほか、圧電振動子から発振された音波を用いて対象物までの距離などを検出する音波センサ(特許文献3を参照)など、種々の発振装置や電子機器が知られている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】再表2007−026736号公報
【特許文献2】再表2007−083497号公報
【特許文献3】特開平03−270282号公報
【特許文献4】特開2001−298344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
圧電振動子を用いる発振装置は、圧電層の圧電効果を利用して、電気信号の入力による電歪作用により、振動振幅を発生させるものである。そして、動電型電気音響変換器がピストン型の進退運動によって振動を発生させるのに対して、圧電振動子を用いる発振装置は屈曲型の振動姿態をとるために振幅が小さくなる。このため、上記した動電型の電気音響変換器に対して薄型化に優位である。
【0008】
しかし、上述のように圧電層を作用させるためには、その表面と裏面とに電界を印加する必要がある。このため、通常は圧電層の表面と裏面とに、電極層を個々に形成する。
【0009】
しかし、これでは圧電振動子の表面と裏面とにリード線などで配線を結線する必要があり、その製造が煩雑であるとともにリード線が圧電振動子の振動を阻害することになる。
【0010】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で圧電振動子を配線することができる発振装置、この発振装置を利用した電子機器、を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の発振装置は、圧電作用により分極方向に発振する圧電層と、圧電層の表面と側面と裏面の一部とに連続的に形成されている表面電極層と、表面電極層と干渉しない範囲で圧電層の裏面に形成されている裏面電極層と、圧電層と表面電極層と裏面電極層からなる圧電振動子が表面に搭載されている振動部材と、裏面電極層に導通することなく表面電極層と導通する形状に振動部材の表面に形成されている第一配線層と、表面電極層に導通することなく裏面電極層と導通する形状に振動部材の表面に形成されている第二配線層と、第一配線層と第二配線層との間隙および表面電極層と裏面電極層との間隙を充填している絶縁材と、を有する。
【0012】
本発明の第一の電子機器は、本発明の発振装置と、発振装置に可聴域の音波を出力させる発振駆動部と、を有する。
【0013】
本発明の第二の電子機器は、本発明の発振装置と、発振装置から発振されて測定対象物で反射した超音波を検知する超音波検知部と、検知された超音波から測定対象物までの距離を算出する測距部と、を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の発振装置では、振動部材の表面に形成されている第一配線層が裏面電極層に導通することなく表面電極層と導通しており、振動部材の表面に形成されている第二配線層が表面電極層に導通することなく裏面電極層と導通しており、第一配線層と第二配線層との間隙および表面電極層と裏面電極層との間隙を絶縁材が充填している。このため、簡単な構造で短絡を懸念することなく圧電振動子を配線することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の第一の形態の発振装置である電気音響変換器の構造を示す模式的な縦断正面図である。
【図2】圧電振動子の構造を示し、(a)は模式的な縦断正面図、(b)は模式的な底面図、である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の第一の形態について図1および図2を参照して以下に説明する。本実施の形態の発振装置である電気音響変換器100は、図1に示すように、圧電作用により分極方向に発振する圧電層である圧電セラミック111と、圧電セラミック111の表面と側面と裏面の一部とに連続的に形成されている表面電極層112と、表面電極層112と干渉しない範囲で圧電セラミック111の裏面に形成されている裏面電極層113と、圧電セラミック111と表面電極層112と裏面電極層113からなる圧電振動子110が表面に搭載されている振動部材である弾性振動板130と、裏面電極層113に導通することなく表面電極層112と導通する形状に弾性振動板130の表面に形成されている第一配線層121と、表面電極層112に導通することなく裏面電極層113と導通する形状に弾性振動板130の表面に形成されている第二配線層122と、第一配線層121と第二配線層122との間隙および表面電極層112と裏面電極層113との間隙を充填している絶縁材140と、を有する。
【0017】
より詳細には、本実施の形態の電気音響変換器100では、図2に示すように、圧電セラミック111と表面電極層112と裏面電極層113とで、扁平な直方体状の圧電振動子110が形成されている。
【0018】
その圧電セラミック111の表面には、図中左側の縁部を空白として表面電極層112が形成されている。この表面電極層112は、図2(b)に示すように、圧電セラミック111の図中右側の側面を経由して裏面の図中右側の一部まで形成されている。また、裏面電極層113は、図中右側の縁部を空白として、圧電セラミック111の裏面に形成されている。
【0019】
絶縁材140は、絶縁性の接着剤からなり、圧電振動子110を弾性振動板130の表面に接着している。一方、表面電極層112と第一配線層121とは導電性の接着剤(図示せず)で接着されており、裏面電極層113と第二配線層122も導電性の接着剤で接着されている。このような接着剤は、例えば、絶縁性の樹脂に導電性の粒子を分散させた導電性樹脂からなる。
【0020】
弾性振動板130は、表面に位置する樹脂層131と、裏面に位置する金属層132と、を有する。このため、弾性振動板130は、金属層132により必要な弾性を有しながら、樹脂層131により表面に必要な絶縁性を有している。
【0021】
この弾性振動板130は、円形や矩形の平面形状に形成されており、外周部がフレーム133で支持されている。このような弾性振動板130の表面に第一配線層121と第二配線層122とがプリント配線などで形成されている。
【0022】
これらの第一/第二配線層121,122は、例えば、リード線151で発振駆動部である制御部150に接続されている。この制御部150から圧電振動子110を可聴領域や超音波領域で発振させる電界が印加される。
【0023】
なお、圧電セラミック111としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)などを使用するが特に限定されない。圧電セラミック111の厚みは、特に限定されないが、10μm以上500μm以下であることが好ましい。
【0024】
例えば、脆性材料であるセラミック材料として厚み10μm未満の薄膜を使用する場合、取り扱い時に機械強度の弱さから、欠けや破損などが生じて、取り扱いが困難となる。
【0025】
また、厚み500μmを超える圧電セラミック111を使用する場合は電気エネルギから機械エネルギに変換する変換効率が著しく低下し、電気音響変換器100として十分な性能が得られない。
【0026】
一般的に、電気信号の入力により電歪効果を発生させる圧電セラミック111においては、その変換効率は電界強度に依存する。この電界強度は分極方向に対する厚み/入力電圧で表されることから、厚みの増加は必然的に変換効率の低下を招いてしまう問題がある。
【0027】
本実施の形態の圧電振動子110には、電界を発生させるために表面/裏面電極層112,113が形成されている。表面/裏面電極層112,113は、電気伝導性を有する材料であれば特に限定されないが、銀や銀/パラジウムを使用することが好ましい。銀は低抵抗な汎用的な電極層として使用されており、製造プロセスやコストなどに利点がある。
【0028】
また、銀/パラジウムは耐酸化に優れた低抵抗材料であるため、信頼性の観点から利点がある。また、表面/裏面電極層112,113の厚みについては、特に限定されないが、その厚みが1μm以上50μm以下であるのが好ましい。
【0029】
例えば、厚み1μm未満では、膜厚が薄いため、均一に成形できず、変換効率が低下する可能性がある。なお、薄膜状の表面/裏面電極層112,113を形成する技術として、ペースト状にして塗布する方法もある。
【0030】
しかし、圧電セラミック111のような多結晶では表面状態が梨地面であるため、塗布時の濡れ状態が悪く、ある程度の厚みがないと均一な電極膜が形成できない問題点がある。
【0031】
一方、表面/裏面電極層112,113の膜厚が100μmを超える場合は、製造上に特に問題はないが、表面/裏面電極層112,113が圧電セラミック111に対して拘束面となり、エネルギ変換効率を低下させてしまう問題点がある。
【0032】
なお、表面電極層112は、マイグレーションによる溶融で裏面電極層113と導通することなどを防止するため、圧電セラミック111の図中左方の表面縁部には形成されていない。
【0033】
本実施の形態の電気音響変換器100の圧電振動子110は、その片側の主面が弾性振動板130によって拘束されている。弾性振動板130は、圧電振動子110から発生した振動を外側に伝播させる。
【0034】
また、同時に弾性振動板130には、圧電振動子110の基本共振周波数を調整する機能を持つ。機械的な電気音響変換器100の基本共振周波数fは、以下の式で示されるように、負荷重量と、コンプライアンスに依存する。
【0035】
[数1]
f=1/(2πL√(mC))
なお、"m"は質量、"C"はコンプライアンス、である。
【0036】
言い換えれば、コンプライアンスは電気音響変換器100の機械剛性であるため、このことは圧電振動子110の剛性を制御することで基本共振周波数を制御できることを意味する。
【0037】
例えば、弾性率の高い材料の選択や、弾性振動板130の厚みを低減することで、基本共振周波数を低域にシフトさせることが可能となる。この一方で、弾性率の高い材料を選択することや、弾性振動板130の厚みを増加させることで基本共振周波数を高域にシフトさせることができる。
【0038】
従来は、圧電振動子110の形状や材質により基本共振周波数を制御していたところから設計上の制約やコスト、信頼性に問題があったが、本発明のように、構成部材である弾性振動板130を変更することで所望の基本共振周波数に容易に調整できることから、工業上の価値は大きい。
【0039】
なお、弾性振動板130には、金属や樹脂など脆性材料であるセラミックに対して高い弾性率を持つ材料であれば特に限定されないが、加工性やコストの観点からリン青銅やステンレスなどの汎用材料が使用される。
【0040】
また、弾性振動板130の厚みについては、5μm以上1000μm以下であることが好ましい。厚みが5μm未満の場合、機械強度が弱く、拘束部材として機能を損なうことや、加工精度の低下により、製造ロット間で圧電振動子110の機械振動特性の誤差が生じてしまう問題点がある。
【0041】
また、厚みが1000μmを超える場合は、剛性増による圧電振動子110への拘束が強まり、振動変位量の減衰を生じさせてしまう問題点がある。また、本実施形態の弾性振動板130は、材料の剛性を示す指標である縦弾性係数が、1GPa以上500GPa以下であることが好ましい。上述のように、弾性振動板130の剛性が過度に低い場合や、過度に高い場合は、機械振動子として特性や信頼性を損なう問題点がある。
【0042】
ここで、本実施の形態の電気音響変換器100の製造方法を以下に説明する。まず、圧電振動子110は、外径=φ3mm、厚み=200μmの圧電セラミック111を形成し、その両面に、それぞれ厚み8μmの表面電極層112および裏面電極層113を形成する。
【0043】
圧電セラミック111には、ジルコン酸チタン酸鉛系セラミックを用い、表面/裏面電極層112,113には銀/パラジウム合金(重量比70%:30%)を使用する。この圧電セラミック111の製造はグリーンシート法で行い、大気中で1100℃で2時間にわたって焼成し、その後、圧電セラミック111に分極処理を施した。圧電振動子110と弾性振動板130との接着にはエポキシ系接着剤を用いる。
【0044】
また、本構成では、プライバシー保護が可能な音響再生を実現するために、超音波を発振させる。ここでは、変調した超音波を可聴音に復調するパラメトリックスピーカの原理を利用している。圧電振動子110は周波数20kHz以上の超音波を発振するものである。
【0045】
ここでは、AM(Amplitude Modulation)変調やDSB(Double Sideband)変調、SSB(Single-Sideband modulation)変調、FM(Frequency Modulation)変調をかけた超音波を空気中に放射し、超音波が空気中に伝播する際の非線形特性により、可聴音が出現する原理で音響再生を行っている。
【0046】
非線形としては、流れの慣性作用と粘性作用の比で示されるレイノルズ数が大きくなると、層流から乱流に推移する現象が挙げられる。すなわち、音波は流体内で微少に、じょう乱しているため、音波は非線形で伝播している。
【0047】
しかしながら、低周波数帯域での音波の振幅は非線形でありながら、振幅差が非常に小さく、通常、線形理論の現象として取り扱っている。これに対して、超音波では非線形性が容易に観察でき、空気中に放射した場合、非線形性に伴う高調波が顕著に発生する。
【0048】
概略すれば、音波は空気中に分子集団が濃淡に混在する疎密状態であり、空気分子が圧縮よりも復元するのに時間が生じた場合、圧縮後に復元できない空気が、連続的に伝播する空気分子と衝突し、衝撃波が生じて可聴音が発生する原理である。
【0049】
続いて、圧電振動子110の動作原理を説明する。圧電セラミック111は、上述のように二個の主面を有する圧電板からなり、圧電セラミック111の主面のそれぞれに、表面電極層112および裏面電極層113が形成されている。
【0050】
圧電セラミック111の分極方向は特に限定されるものではないが、本実施の形態の電気音響変換器では、上下方向(圧電振動子110の厚み方向)で上向きとなっている。このように構成された圧電振動子110は、制御部150から表面電極層112および裏面電極層113に交流電圧が印加され、交番的な電界が付与されると、その両主面が同時に拡大または縮小するような、半径方向の伸縮運動(径拡がり運動)を行う。
【0051】
換言すれば、圧電振動子110は、主面が拡大するような第一の変形モードと、主面が縮小するような第二の変形モードとを繰り返すような運動を行う。このような運動を繰り返すことで弾性振動板130は弾性効果を利用して、慣性作用と復元作用による上下振動を発生し、音波を発生する。
【0052】
また、本発明の構成では、圧電振動子110は周波数20kHz以上の超音波を発振する。FMやAM変調させた超音波を発振させ、空気の非線形状態(疎密状態)を利用して、変調波を復調させ可聴音を再生する、いわゆるパラメトリックスピーカの原理に基づいて音響再生を行う。これは、超音波の特徴である高い指向性を利用して音波を伝播させるものであり、ユーザにしか聴こえないプライバシー音源の実現が可能となる。
【0053】
以上のように、本実施の形態の電気音響変換器100は、小型で大音量の再生ができる。また、超音波を利用しているため、指向性が狭く、ユーザのプライバシー保護などの点で、工業的な価値は大きい。
【0054】
すなわち、本実施形態の電気音響変換器100は、従来の電気音響変換器に比べ、音波の直進性が高く、ユーザに伝えたい位置へ選択的に音波を伝播できる。以上をまとめると、本実施の形態の電気音響変換器100は、電子機器(例えば、携帯電話機、ノート型パーソナルコンピュータ、小型ゲーム機器など)の音源としても利用可能である。しかも、電気音響変換器100の大型化を防止することができ、音響特性が向上することから、携帯型の電子機器に対しても好適に利用することが可能である。
【0055】
そして、本実施の形態の電気音響変換器100では、弾性振動板130の表面に形成されている第一配線層121が裏面電極層113に導通することなく表面電極層112と導通しており、弾性振動板130の表面に形成されている第二配線層122が表面電極層112に導通することなく裏面電極層113と導通している。
【0056】
このため、弾性振動板130のプリント配線などで表面に形成した第一配線層121および第二配線層122を、圧電振動子110の表面電極層112と裏面電極層113に結線することができる。従って、その構造が簡単で生産性が良好である。
【0057】
それでいて、第一配線層121と第二配線層122との間隙および表面電極層112と裏面電極層113との間隙を絶縁材140が充填している。このため、簡単な構造で短絡を懸念することなく圧電振動子110を配線することができる。
【0058】
しかも、この絶縁材140は、圧電振動子110を弾性振動板130の表面に接着している。このため、第一配線層121と第二配線層122との短絡および表面電極層112と裏面電極層113との短絡を防止しながら、同時に圧電振動子110を弾性振動板130に接合することができる。
【0059】
なお、表面電極層112と第一配線層121とは導電性の接着剤で接着されており、裏面電極層113と第二配線層122とは導電性の接着剤で接着されている。このため、表面電極層112と第一配線層121とを導通させるとともに裏面電極層113と第二配線層122とを導通させながら、同時に圧電振動子110を弾性振動板130に接合することができる。
【0060】
さらに、弾性振動板130は、表面に位置する樹脂層131と、裏面に位置する金属層132と、を有する。このため、金属層132により必要な弾性を確保しながら、樹脂層131により表面に必要な絶縁性も確保している。
【0061】
なお、本発明は本実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、本実施の形態では圧電振動子110の圧電素子としてジルコン酸チタン酸鉛(PZT)などの圧電セラミック111を利用することを例示した。
【0062】
しかし、圧電素子については、圧電効果を有する材料であれば、無機材料、有機材料ともに特に限定されず、電気機械変換効率が高い材料、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)などの材料が使用できる。
【0063】
また、上記形態では第二配線層122が図中で圧電振動子110の中央付近まで形成されていることを例示した。しかし、これは圧電振動子110の裏面電極層113に導通すればよいので、圧電振動子110の左端付近までしか形成されていなくともよく、裏面電極層113の下面全域に形成されていてもよい(ともに図示せず)。
【0064】
また、上記形態では、電気機器として電気音響変換器100等で音声を出力する携帯電話機等を想定した。しかし、電子機器として、発振装置である電気音響変換器100等と、この電気音響変換器100等から発振されて測定対象物で反射した超音波を検知する超音波検知部と、検知された超音波から測定対象物までの距離を算出する測距部と、を有するソナー(図示せず)なども実施可能である。
【0065】
なお、当然ながら、上述した複数の実施の形態および複数の変形例は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。また、上述した実施の形態では、各部の構造などを具体的に説明したが、その構造などは本願発明を満足する範囲で各種に変更することができる。
【符号の説明】
【0066】
100 電気音響変換器
110 圧電振動子
111 圧電セラミック
112 表面電極層
113 裏面電極層
121 第一配線層
122 第二配線層
130 弾性振動板
131 樹脂層
132 金属層
133 フレーム
140 絶縁材
150 制御部
151 リード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電作用により分極方向に発振する圧電層と、
前記圧電層の表面と側面と裏面の一部とに連続的に形成されている表面電極層と、
前記表面電極層と干渉しない範囲で前記圧電層の裏面に形成されている裏面電極層と、
前記圧電層と前記表面電極層と前記裏面電極層からなる圧電振動子が表面に搭載されている振動部材と、
前記裏面電極層に導通することなく前記表面電極層と導通する形状に前記振動部材の表面に形成されている第一配線層と、
前記表面電極層に導通することなく前記裏面電極層と導通する形状に前記振動部材の表面に形成されている第二配線層と、
前記第一配線層と前記第二配線層との間隙および前記表面電極層と前記裏面電極層との間隙を充填している絶縁材と、
を有する発振装置。
【請求項2】
前記絶縁材は、前記圧電振動子を前記振動部材の表面に接着している請求項1に記載の発振装置。
【請求項3】
前記表面電極層と前記第一配線層とが導電性の接着剤で接着されており、
前記裏面電極層と前記第二配線層とが導電性の接着剤で接着されている請求項1または2に記載の発振装置。
【請求項4】
前記振動部材は、表面に位置する樹脂層と、裏面に位置する金属層と、を有する請求項1ないし3の何れか一項に記載の発振装置。
【請求項5】
前記圧電層が、圧電セラミックからなる請求項1ないし4の何れか一項に記載の発振装置。
【請求項6】
前記圧電振動子が発振する超音波の周波数が20kHzを超える請求項1ないし5の何れか一項に記載の発振装置。
【請求項7】
前記圧電振動子が可聴波の超音波変調波を発振する請求項1ないし6の何れか一項に記載の発振装置。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか一項に記載の発振装置と、
前記発振装置に可聴域の音波を出力させる発振駆動部と、
を有する電子機器。
【請求項9】
請求項1ないし7の何れか一項に記載の発振装置と、
前記発振装置から発振されて測定対象物で反射した前記超音波を検知する超音波検知部と、
検知された前記超音波から前記測定対象物までの距離を算出する測距部と、
を有する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−15757(P2012−15757A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149893(P2010−149893)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】