説明

発散された息における薬物検出

被験者の発散された息からサンプルを収集するための携帯型装置(10)が開示されている。発散された息中の製剤原料が検出されるか、又は測定される。当該サンプルは質量分析法を用いてさらなる分析のために収集される。当該装置は、サンプリングユニット(14)と、当該サンプリングユニット(14)を保持するために配列されたハウジング(12)とを備え、当該サンプリングユニット(14)は被験者から発散された息から少なくとも1つの製剤原料の非揮発性物質及び揮発性物質を収集するために適合されている。前記ハウジング(12)は、被験者が当該ハウジング(12)内のサンプリングユニット(14)へ息を発散するための少なくとも1つの入口(15)と、当該発散された息を出すための少なくとも1つの出口(16)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、被検者の発散された息からサンプルを収集し、当該発散された息中の少なくとも1つの製剤原料の定量的な量の存在を検出又は測定するためのシステム及び方法の分野に関する。特に、本発明はそのような携帯型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発散された息がアルコールテストで一般に使用され、今日の技術は、赤外分光学を使用するので、法律上防御的な結果を備えた実地息テストを行なうことを可能にすることは知られている。
【0003】
乱用の他の違法医薬品のためのテストは、伝統的に血液または尿のサンプルを必要とする。代替的に、毛、汗または口の流体を含む試験片を使用することができる。血液のサンプリングは侵襲的で、被験者はしばしばサンプリングのために病院に移送されなければならないので、医学的に訓練された人員を必要とする。これは時間および努力の無駄である。長いリードタイムで、テスト結果は古すぎる。尿のサンプリングは個人の道徳への侵入であると考えられる。テストされる被験者から得られたサンプルと試験片と関係する他の問題も発生する。血液サンプル、および特に尿サンプルのために例えば、違法医薬品の追跡で発見されないようにするために、被験者がサンプルを交換したり、他の被験者のきれいなサンプルを使用する虞がある、
【0004】
したがって、被験者における少なくとも1つの製剤原料の定量的な量を検出又は測定する、非侵襲性の、試験片のないことをベースにした装置、システム及び/又は方法を提供することのニーズがある。
【0005】
従って、製剤原料に対する被検者の実地サンプリングのためのシステム及び/又は方法は望まれる。そのような、乱用の違法医薬品及び/又は医療用薬剤に対する被験者のサンプリングのための改善された装置、システム及び/又は方法が望まれる。当該装置、システム及び/又は方法は、効率的で、嵩張らず、オペレーターと被検者の両方のためにユーザー・フレンドリーであるべきである。それはさらに立ち入らず、侵襲的であるべきでない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の実施形態は、有利には、添付の特許請求の範囲によるシステムおよび方法の提供により、上述のとおり同定された単独又は任意の組み合わせなどの技術上の1つ以上の欠失、不利な点または問題を、軽減するか、緩和するか或いは除去することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、被検者の発散された息からサンプルを収集し、当該発散された息中の少なくとも1つの製剤原料の定量的な量の存在を検出又は測定するために構成された携帯型装置が提供される。
【0008】
本発明の装置は、さらなる分析のために質量分析法を使用してサンプルを収集するのに適している。当該装置は、サンプリングユニットを保持するように配列されたサンプリングユニットとハウジングを含む。サンプリングユニットは、被検者から発散された息から少なくとも1つの製剤原料の不揮発性および揮発性有機化合物を集めるのに適している。ハウジングは、患者が当該サンプリングユニットへとハウジング内に発散するための少なくとも1つの入口と、前記発散された息を出すための少なくとも1つの出口を含む。
【0009】
発散された息の体積は、息の全体積の化学的コンテンツの分析のための容積に格納されない。もっと正確に言えば、製剤原料の追跡は収集中の元素になされており、その後、この元素からさらに分析される。分析は息の体積からオンラインではなされないが、収集中の元素における追跡から分析される。収集要素はハウジングから除去可能であり、さらなる分析のために送られ得る。追跡の収集は迅速になされる、単一の呼息で充分であり得る。信頼できる結果を得て、当該装置のロバスト性を改善するためには、その後10回未満の発散で充分である。これは任意の以前の息サンプル収集方法よりはるかに便利でより迅速である。
【0010】
吐息で発散された化合物は、肺胞で気体を生成する機構によって血液に由来するかもしれない。あるいは、化合物は気道の他の部分に由来するかもしれない。不揮発性および揮発性物質はエアゾールによって恐らく運ばれたので、肺から転送される。ここで、不揮発性物質および揮発性物質は製剤物質であり、医療用薬剤または適法な或いは不適法な麻酔性の物質のいずれかであり得る。製剤原料はサンプリングユニットを含む携帯型装置を使用して、オンサイトで収集される。収集されたサンプルは、さらなる分析のために実験室に送ることができる。代替的に、コンパクトなオンサイトの分析が実行され得る。当該分析は、分光法または好ましくは質量分析法のような適切な解析方法を使用して行なわれる。サンプリングユニットは、不揮発性物質を集めるのに適した要素か、または不揮発性物質及び揮発性物質の両方を集めるのに適した要素を含むサンプリングユニットであり得る。
【0011】
装置が小さく、取扱いが簡単なように設計したので、オンサイトで任意の人が使用することができる。したがって、装置は、多くの共通した尿または血液サンプルに基づいたテストのようなより侵入性のテストの代わりに使用されるのに適している。
【0012】
清潔にし得るか、或いは無菌にし得る限り、ハウジングはプラスチック、金属またはガラスのような任意の材料で製造され得る。代替的に或いは追加的に、ハウジングは、使い捨ての材料で製造され得る。このように、ハウジングはサンプリングのために使用された後、及び分析工程の一部としていくつかの実施形態に使用された後に廃棄され得る。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態は、分離可能なマウスピース要素を備えており、当該マウスピース要素は入口と連結可能であり、及び前記ハウジング要素と連通する。
【0014】
分離可能マウスピースは、アルコールのテストまたはマスク若しくは通り抜けて発散するのに適した他のタイプのマウスピースによって使用されるマウスピースに類似したいずれかのものであり得る。当該マウスピースにはバルブまたは流量センサを取り付けることができる。吸い込まれたり、吐き出されたりした息を分離し、唾液トラップ(salina trap)として役立たせるために、バルブを使用することができる。
装置が使い捨て装置でなく、したがって、使用の間に清潔である必要がある場合、吸入をより容易な携帯型装置にすること、または公衆衛生のためにマウスピースを使用することができる。
【0015】
携帯型装置の一実施形態では、ハウジングは固相抽出(SPE)カートリッジまたはSPEカラムである。ハウジングは、いくつかの実施形態で、発散するのに適したように修正されたタイプの収着チューブであり得る。
【0016】
サンプリング要素を含むハウジングとして若しくはその一部として、またはハウジングによって覆われたサンプリングユニットとして、SPEカートリッジまたはSPEカラムを使用することができる。発散された息のサンプリングのために使用された後に、SPEカートリッジは、SPEカートリッジから製剤原料を抽出するために、マニフォールドに直接配され得る。従って、これは分析の間の工程数が少なくされるの、でワークフローをより簡単に、より滑らかにするために提供される。したがって、ハンドリングの間にサンプルが混入する危険性は少なくされる。SPEカートリッジ/カラムとして同様の方法で収着チューブを使用することができる。
【0017】
SPEカートリッジによって発散することを簡単にすると、例えばより大きな入口および出口でカートリッジを修正することができる。本発明の一実施形態では、被検者は、SPEカートリッジ/カラムまたは収着チューブおよびカートリッジ全体へ直接発散するか、または分析される実験室へ、収着チューブ(携帯型装置である)を送ることができる。
【0018】
本発明の別の実施形態では、携帯型装置はサンプリングユニットの下流に配列されたポンプを含むことができる。
【0019】
当該ポンプは、ハウジング要素の後、及び少なくとも1つの出口の前若しくは後に配され得る。ポンプは、被検者が携帯型装置を通して発散された息を通過させるのを支援するために配列される。
【0020】
このガス抜きの支援は、肺活量が低いか、あるいは低くなった被験者に役立ち、かつ被験者を助けることができる。
【0021】
本発明のさらに別の実施形態では、携帯型装置は2水柱cmより高くない装置を通る圧力降下を有している。ほとんどの被検者から発散された息のサンプルを集め得るために、当該装置を通る圧力降下はできるだけ低くなければならない。2水柱cmは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)であると診断された人が呼吸できるものである。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態では、サンプリングユニットは、少なくとも1つのフィルタ膜を含む。
フィルタ膜は、好ましくは0,2〜0,7μmの大きさをもつ発散された息からの粒子を収集するためのメッシュサイズを有する。そして、より好ましくは、フィルタ膜は、2水柱cm未満の圧力降下が、0を超え9リットル/秒までの発散流速で、前記入口と出口の間で生じるように選択される。
【0023】
被検者の発散の流速は、いくつかのパラメーター(例えば被検者の年齢、精神状態(MR、アルツハイマー病)、病状(敗血症、パーキンソン病)又は、ベンゾジアゼピン、アヘン製剤、神経抑制薬、局所麻酔薬、麻酔薬などの他の薬物)に依存する。
【0024】
被検者が当該装置を介して発散した後、フィルタ膜は、容易に除去され、分析されるために実験室に送られ得る。その後、携帯型装置は清潔にされることができ、新しいフィルタを適所に置くことができる。直接ハウジングまたは部分若しくはハウジング内部のサンプリングユニットのいずれかとして使用される前記SPEカートリッジの内部にフィルタ膜を配され得る。
【0025】
本発明の実施形態では、フィルタから集めた粒子は、質量分析法によって分析可能である。
【0026】
当該技術がバイオ分析とりわけ生体サンプル中のトレース検体に関して高い選択性及び感受性を有するので、質量分析法は、またサンプリングユニット中にフィルタを含むもの以外の他の実施形態のために、好ましい装置である。好ましいインターフェースは液体クロマトグラフィーである。
【0027】
本発明の別の実施形態では、静電フィルタ膜のフィルタ膜である。
【0028】
静電フィルタは、本明細書では、発散された息から集められるべき粒子とは逆の極性をもつ静電的荷電を有していると定義される。
【0029】
当該フィルタはある製剤原料に対して高度に選択的になることができる。
【0030】
本発明のさらなる実施形態では、集められた粒子が空になり、溶媒中に発散された息から集めた粒子を溶解し、表面励起ラマン分光法(SERS)の溶液、すなわちラマン分光法を用いて分析されるべき基板を置くことにより分析された。SERSプローブのようなSERS−センサを使用して分析を行なうこともできる。
【0031】
本発明の一実施形態では、少なくとも1つのフィルタ膜、少なくとも2つのフィルタ膜が少なくとも2つの異なる製剤原料を識別する。これは異なるフィルタ選択性を備えたフィルタ膜を有していることにより提供される。
【0032】
これは、互いに隣接した少なくとも2つのフィルタを積み重ねるか配列することにより提供され得る。フィルタは、それぞれさまざまなメッシュタイプあるいは静電的荷電を有し得る。それゆえ、サンプリングユニットは、少なくとも2つの異なる製剤原料を区別することができる。これは分析を改善し得る。
【0033】
実施形態では、サンプリングユニットは、さらにガスクロマトグラフ質量分析法(GC−MS)を使用して分析されるべき少なくとも1つの固体相マイクロエクストラクション(microextraction)(SPME)のカートリッジを有し得る。
【0034】
SPMEカートリッジは中空繊維であり、当該中空繊維は発散された製剤原料を捕捉するように配列される。その後、直接GC−MSを使用して、SPMEカートリッジを分析することができる。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態では、携帯型装置は唾液及び/又は凝縮液を集めるための区画を含む。少なくとも1つの入口とサンプリングユニットの間及び/又はサンプリングユニットおよび少なくとも1つの出口の後に、区画が配列され得る。例えば、発散された息から、凝縮した湿気または唾液によって飽和する疎水性のフィルタを有していると、サンプリングユニットがふさがることを防止し得る。
【0036】
ハウジングが分けられるように、ハウジング内部のサンプリングユニットを配列することによって、2つのスペースが形成され得る。すなわち、1つの空間が、少なくとも1つの入口とサンプリングユニットとの間に形成され、1つの空間がサンプリングユニットと少なくとも1つの出口の間に形成される。少なくとも1つの入口とサンプリングユニットとの間の空間と連通する区画を配列することによって、ハウジングの壁上及びサンプリングユニットの壁上で、唾及び/又は発散された息の湿気から形成された凝縮液が集められる。凝縮液を集めることができる類似の区画は、サンプリングユニットの後で、かつ少なくとも出口上の空間と連通して配列され得る。
【0037】
これは、唾液、湿気及び/又は凝縮液によって湿ったことでサンプリングユニットが飽和することを回避するのを支援することができる。
【0038】
発散された粒子の組成物は、気道の液状流体を反映すると考えられ、恐らく薬物の血液成分を反映する。製剤原料は本発明者によって、気道系の中央部位から招来するものと考えられている。不揮発性の製剤原料は、気道を被覆する液体を霧化する乱流によって正常呼吸の間に形成される、液滴(エアゾール)として運ばれる。エアゾール剤は発散された呼吸凝縮液として集めることができる。その理論は、麻酔の効果が脂質溶解度と相関することを示した麻酔の研究に由来する。特定の疎水性領域が塞がれると、可溶性があるほど、麻酔薬が血液中で、薬物が身体内により速く到達することを意味しており、種に拘らず真実である。製剤原料は、また発散された息の一部のように揮発性になりえる。
【0039】
本発明の実施形態では、アンフェタミン、エクスタシー、大麻(THC及び大麻類、オピエイト ヘロイン/モルヒネ、6−AM)、コカイン、ベンゾジアゼピン、プロポキシフェン、メタドン、ブプレノルフィン、トラマドール、LSD、デザイナー/インターネット薬物、カチノン(Kathinon)、GHB、メプロバメート、Z薬物、トリプタミン、アナボリックステロイド、アルコール/マーカーを含む被包括的リストに含まれる検出可能であるが、当該リストに含まれない他の製剤も上述の適法な製剤のように身体との同様の相互作用により、これらに限定されない。
【0040】
本発明の他の態様によれば、被検者の発散された息からサンプルを形態用に収集し、発散された息の中の少なくとも1つの製剤原料の定量的な量の存在を検出又は測定するための方法が提供される。当該方法は、被検者から本発明の前述の観点による方法を使用してサンプルを集める工程、及び、質量分析法を使用して、少なくとも1つの製剤原料の集められた不揮発性・揮発性物質を分析する工程を含む。
【0041】
前記方法の別の実施形態では、収集することは、当該装置のハウジングの中に保持されたサンプリングユニットへ被検者から発散された息から少なくとも1つの製剤原料の不揮発性および揮発性物質を収集することを含む。
【0042】
前記方法の別の実施形態において、収集することは被験者が当該サンプリングユニットのハウジングの少なくとも1つの入口に発散すること、およびさらに当該ハウジングから出すための少なくとも1つの出口に発散することを含む。
【0043】
別の実施形態では、前記方法は少なくとも2つのサンプリング要素による少なくとも2つの異なる製剤原料を区別することを含む。
【0044】
サンプリング要素は適切に製剤原料を集めるための要素として定義される。これは、フィルタまたファイバープローブチップなどのサンプリングユニット内で配列された、サンプリングユニット自体または収集要素であり得る。
【0045】
実施形態では、前記方法は、サンプリングユニット内で配列された少なくとも1つのフィルタ膜を使用して、少なくとも1つの製剤原料を収集することを含む。
【0046】
実施形態では、前記方法は、前述のサンプリングユニット内で配列された少なくとも1つのSPMEカートリッジを使用して、少なくとも1つの製剤原料を収集することを含む。
【0047】
発明のさらなる実施形態は、従属クレームで定義されており、そこでは本発明の第2およびその後の態様は、第1の態様に関するものである。
【0048】
「含む」という用語は、本明細で使用される時、上述した特徴、整数、工程または要素の存在を特定するために使われるが、1以上の他の特徴、整数、工程、要素またはその群の存在や追加を妨げないことは、強調されるべきである。
【0049】
本発明の実施形態の、これらおよび他の態様、特徴並びに利点は、本発明の実施形態の以下の記載から明らかになり、解明され得る。ここで添付図面に言及する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】被検者の発散された息からサンプルを集めるように構成された携帯型装置の実施形態を示す概要の実例である。
【図2a】フィルタ膜である収集要素を含むサンプリングユニットを備えたハウジングを示す実施形態である。
【図2b】フィルタ膜である収集要素を含むサンプリングユニットを備えたハウジングを示す実施形態である。
【図2c】フィルタ膜である収集要素を含むサンプリングユニットを備えたハウジングを示す実施形態である。
【図2d】フィルタ膜である収集要素を含むサンプリングユニットを備えたハウジングを示す実施形態である。
【図2e】抽出の一部としてSPEカートリッジを備えたハウジングを示す実施形態である。
【図3a】サンプリングユニットおよび収集要素がSPMEカートリッジである被検者の発散された息からサンプルを集めるように構成された携帯型装置の実施形態を示す概略図である。
【図3b】サンプリングユニットおよび収集要素がSPMEカートリッジである被検者の発散された息からサンプルを集めるように構成された携帯型装置を示す実施形態である。
【図4】パラメーターとしてフィルタの直径を使用してガス・フローの機能として圧力損失を示すグラフである。
【図5】被検者の発散された息からサンプルを集めるように構成された携帯型装置の実施形態を示す概略図である。
【図6】被検者の発散された息からサンプルを集めるように構成された携帯型装置の使用方法を示すフローチャートである。
【図7】発散された息へのアンフェタミンおよびメタンフェタミンの存在を示すクロマトグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
ここで、発明の特定の実施形態が、添付図面を参照して記載される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現され得るものであり、本明細書に述べられた実施形態に限定されるように解釈されるべきでない。もっと正確に言えば、この開示が完全になり完成するように、当業者に完全に発明の範囲を伝えるようにこれらの実施形態が提供される。添付の図面に示された実施形態の詳細な説明で使用される用語は、本発明に限定することが意図されていない。図面において、同じような数字は同じような要素を示す。
【0052】
図1に従った本発明の実施形態において、携帯型サンプリング装置(10)が示される。前記装置はサンプリングユニット(14)を保持するためのハウジング(12)を含む。ハウジング(12)は1つの単独の要素、或いは2つ以上の部分から構成され得る。ハウジングは、金属、プラスチック、ガラスまたはセラミックなどの任意の材料若しくはその組み合わせから製造することができる。
【0053】
ハウジング(12)は、被検者が内部に発散することを可能にするように設計された少なくとも1つの入口(15)を含む。入口は、好ましくは、一実施形態において、従来のマウスピースがアルコールテストに使用されたマウスピースと同一の大きさ又は型の随意のマウスピース(11)と適合するような寸法にされる。マウスピース(11)は、サンプリングする被検者間の汚染を防ぐ。
【0054】
その後、発散された息は、サンプリングユニット(14)に、またはそのサンプリングユニット上に発散された息を広げるか集中させるように設計されたハウジングの第1のチャンバーに入る。発散されたガスは、したがって、サンプリングユニット(14)にハウジング(12)に伝えられ、サンプリングユニット(14)と接触させられる。
【0055】
サンプリングユニットは、ハウジング(12)内の流れで運搬される発散された体積の息から不揮発性物質または揮発性物質である少なくとも1つの製剤原料を集めるための要素(13)を保持する配列を含む。サンプリングユニット(14)が電子サンプリングユニットと混同することができないことは注目されるべきである。収集要素(13)は製剤原料が集められる物理的な実体である。収集は、種々の実施形態において、収集要素(13)上の不揮発性成分及び/又は揮発性成分を堆積し、捕捉し、留め、凝縮して、置くことを単独若しくは組み合わせて含む、様々な原理に基づき得る。
【0056】
少なくとも1つの製剤原料を収集するための要素(13)は、いくつかの実施形態において、フィルタ膜である。代替的に又は追加で、収集要素(13)は改善された固体相のマイクロ抽出(SPME)カートリッジを含む。代替的に又は追加で、収集要素(13)はシリカ、ポリマー、印刷されたポリマーまたは分子に印刷されたポリマーを含む。
【0057】
収集要素(13)の選択性は、さまざまな型の収集要素(13)の使用によって制御することができる。メンブレン、ビーズまたはゲルとしてシリカ(例えばC4、C8(親水性)、C18など(疎水性))を使用する場合、選択性は、製剤原料がどれくらいの疎水性であるかに依存する。ポリマーについては、好ましくは、収集要素は高度に架橋された多孔性のビーズである。ビーズを介してろ過される粒子の大きさ、またはポリマーの表面でそれらがどのように接合するか、に依存して分子を分離するためにこれらを使用することができる。分子の印刷されたポリマーなどの印刷されたポリマーは、分子印刷のキャビティーと同じか、或いは類似した大きさ及び形状をもつ特定の分子又は基に対して高い選択性がある。キャビティーはテンプレートを使用して製造され、選択的な結合部位として作用する。
【0058】
少なくとも1つの製剤原料は1つ以上の薬物化合物を含み得る。
【0059】
装置(10)によって低い圧力降下を可能にするために、出口(16)は、本発明の一実施形態においては、ハウジング(12)全体の後部にあり、それは出口(16)の開口部である。この実施形態において、フィルタは、例えばクリップなどの保持要素と共にハウジング(12)に取付けられる。フィルタも、第2のハウジング要素によってハウジング(12)に取り付けられ得る。当該第2のハウジング要素は、前記第1のハウジング要素に螺着されるか、或いは前記第1のハウジング要素上を滑動するリングが形成された要素であり得る。ついで、フィルタ自体はハウジング(12)の後部出口開口(16)を形成する一方で、リテーナ手段によってハウジング(12)内に除去可能に維持される。
【0060】
実施形態では、第2のハウジング要素は第1のハウジング要素上に螺着されるか、或いは第1のハウジング要素上を滑動自在であり、1つの中央出口(16)を含む。代替的に又は追加で、装置(10)を介して息を発散する場合、圧力降下をできるだけ低くなるように、多くの出口(16)が第2の出口(16)の表面に関して配列される。
【0061】
さらに他の実施形態では、製剤原料を収集するための要素(13)を適切に含むサンプリングユニット(14)は、適所に保持されるか、或いはハウジング(12)の壁及び製剤原料を収集するための要素(13)上に適切に取り付けられたサンプリングユニット(14)若しくは製剤原料を収集するための要素(13)上に直接取り付けられたスペーサー片から製造される。したがって、被験者にとって、携帯型サンプリング装置(10)を介して容易に息を発散することができる通路が創られる。
【0062】
一実施形態では、前述の如く構成されたフィルタ(収集要素(13))が飽和状態になり、望まれない高い圧力降下を引き起こしても、空気が流れることができるようにフィルタのまわりに気道存在するように、サンプリングユニット(14)が配列される。この種のサンプリングユニット(14)の配置は、それゆえ、さらにハウジング(12)の内部で発散された息の広がりを改善し、それによってサンプリングユニット(12)の表面は最適に使用される。
【0063】
いくつかの実施形態において、装置(10)はポンプ(17)を含み、当該ポンプ(17)は、サンプリングユニット(14)の下流、ハウジング(12)の後及びハウジング(12)の少なくとも1つの出口(16)の前又は出口の後に配列される。ポンプ(17)は、被検者が装置(10)を介して発散された息を通過させるのを支援するように適合される。ポンプ(17)は、サンプリングユニット(14)上で負圧を生成する。例えば、被検者が薬物乱用または疾患により肺活量を少なくしていると、これは有利である。サンプリングは、ポンプ(17)によって生成されたサンプリングユニット(14)によるフローによって支援される。
【0064】
いくつかの実施形態において、フローセンサは入口(15)の下流に配列される。センサは、発散された息の発散された体積または流量を測定するために配列され得る。センサは、サンプリングユニット(14)を横切る圧力差を測定するための差圧センサであり得る。差圧センサからの出力はサンプリングユニット(14)による流れに対してリニアな非乱流であり、サンプリングユニット(14)を通った、発散された息の体積を計算するために使用することができる。ついで、前記差圧センサからの出力は、発散された息における製剤原料の濃度の計算に使用することができる。代替的に、あるいは、追加的に、体積データは、充分な体積が、発散された息における製剤原料の存在または定量的な量を信頼できるように測定するためサンプリングユニット(14)に達しているか否かを測定するために使用され得る。
【0065】
当該装置(10)のいくつかの実施形態は、唾液及び/又は凝縮液を集めるための少なくとも1つの区画を含む。当該区画は、少なくとも1つの入口(15)と前記サンプリングユニット(14)との間、及び/又は前記サンプリングユニット(14)および少なくとも1つの出口(16)の後に、配列され得る。当該区画は、発散された息における湿気から、収集されるサンプリングユニット(14)上に形成された発散された息または凝縮液に含まれた唾液のために可能であり、そして、任意のネガティブな方法で、サンプリングユニット(14)および前記構成された収集要素(13)に影響しない。ネガティブな方法は、本明細書では製剤原料を収集する、濡れているか又は塞がれたサンプリングユニット(13)、すなわちフィルタ膜又はSPMEカートリッジであり得る。
【0066】
図2aは、入口とフロー連通する出口(16)およびマウスピース(11)を備えたハウジング(12)を示す実施形態である。出口(16)は、ハウジング(12)の後部の主な部分を覆っている。図2bにおいて、収集要素(13)を含むサンプリングユニット(14)はフィルタ膜であるが、出口(16)を通して見られる。図2cは、携帯型装置(10)、第1のハウジング部分(12a)、第2のハウジング部分(12b)、フィルタ膜を含むサンプリングユニット(14)の本実施形態の主要部を示す。ハウジング(12)は二つの部分から製造され、第1の部分(12a)はマウスピース(11)とフロー連通することができる入口(15)を備え、第2の部分(12b)は一つの大きな出口(16)を備えている。
【0067】
図2dは、フィルタ膜であるサンプリングユニットを含むハウジング(12)を示す代替的または追加の実施形態である。この実施形態は2つの部分を含み、装着時に、フィルタ膜を保持するハウジング(12)を形成する。ハウジングはマウスピース(11)に適した入口(15)と出口(16)を含む。この実施形態は非常に小さく、軽量で、そして持ち運びが容易である。
【0068】
図2eは、サンプリングユニット(14)の一部としてSPEカートリッジ(21)を備えた2つの部分(12a)、(12b)を含むハウジングを示すさらなる実施形態である。製剤原料を収集するためのシリカ・ビーズ、ポリマーまたは印刷されたポリマーのいずれかを含むSPEカートリッジ(21)は、しかしながら、代替的にフィルタ膜を取り付けることができる。SPEカートリッジ(21)はハウジング(12b)の第2の部分の出口を通って外に突出していることが見られ、およびSPEカートリッジ(22)の底部は当該装置の出口として機能する。類似の携帯型装置のさらなる実施形態では、ハウジングは修正されたSPEカートリッジである。これは、当該装置が図2eで示された装置より小さく製造され得ることを意味する。使用後、上記の場合の両方において、SPEカートリッジ(21)全体は密閉することができ、ついで、サンプルの取り扱いを少なくし、かつ同時に汚染される可能性を少なくすることを支援するマニフォールド上に直接配され得る実験室に送ることができる。
【0069】
図3aは、ハウジング(32)とのフロー連通した入口(31)を介して被検者の発散された息からサンプルを集めるように構成された携帯型装置(30)の実施形態を示す概略図である。ここで、サンプリングユニットはSPMEカートリッジ保持具(34)であり、収集要素はSPMEカートリッジ(33)である。図3bは、SPMEカートリッジ(33)による被検者の発散された息からサンプルを集めるように構成された携帯型装置(30)のさらなる実施形態を示す。
【0070】
当該装置は、2つの部分(32a)および(32b)で製造されるハウジングを含む。第1のハウジング部分(32a)は、分離可能なマウスピース(11)とフロー連通する入口(31)を含む。ハウジングは出口を備えており、当該出口を介してSPMEカートリッジ保持具(34)が観察され得る。図3bでは、SPMEカートリッジおよびハウジングは個別のアイテムとして示される。
【0071】
既に述べたSPEカートリッジの実施形態に似た機能をする別の実施形態は、サンプリングユニットが収集要素としての収着チューブを含むか、或いは収着チューブがサンプリングユニットである実施形態である。代替的に、収着ユニットは、SPEカートリッジの場合、ハウジングであり得る。
【0072】
収集要素(13)がフィルタの形態である装置(10)の実施形態において、フィルタは発散された息のためのフィルタ濾過膜を備え、当該フィルタ濾過膜を通り抜けて拡散する。フィルタ膜は吸収するが、ガス透過性の適切な材料から製造される。フィルタ膜は、ガスを通り過ぎさせる間に製剤原料をあること、発散された粒子状物質、不揮発性または揮発性物質をつかみ集める構造を有する。好ましくは、フィルタ膜はフィルタ基質を横切って低い圧力降下を維持しながら、高い容積をもつ空気から化学物質(製剤原料)をサンプリングするか、あるいは取り除くために操作可能である。
【0073】
フィルタ膜は、またいくつかの実施形態において、静電フィルタであり得る。
【0074】
フィルタ膜はエレクトレットに転換される不織のポリマー繊維のウエブであり得る。エレクトレットは半永久的な電荷を示す誘電材料である。エレクトレットフィルタは、通常長期使用でその電荷を失う。しかしながら、本出願で、フィルタは広範囲な回数で使用されない。単一の発散は信頼できる分析のための充分な形跡を集めるためには充分であり得る。したがって、電荷の損失はエレクトレットフィルタの実施形態の実施に関係しない。
【0075】
本発明者は、揮発性有機化合物または不揮発性有機化合物のいずれかでありうる製剤原料を集めるためにフィルタ膜を使用することを可能にする、異なるメカニズムがあり得ることを信じる。
【0076】
フィルタ膜は好ましくは階層状のフィルタ膜であるが、単独層のフィルタ膜であり得る。
【0077】
フィルタ膜も、所与のハウジング容積内の濾過面を増強するために波形にされ得る。
【0078】
検体の収集がどのように機能するかは、完全に調査されるとは限らない。しかしながら、本出願人は、第1の層が発散された息からの吸収による液滴を収集するか、あるいは粒子状物質を収集すると信じる。加えて、あるいは代替的に、それは発散された息から吸収することができるか、或いは凝縮することができ、しかる後小量の水が蒸発し、それにより、第1の表面で発散された息から何千もの検体を残す。加えて、あるいは代替的に、検体は発散された息によって運ばれたエアゾールの一部であり得、エアゾール粒子は第1の層にくっつく。蒸発はエアゾールによっておこり得るのであり、ついで、分析のために第1の層に検体の跡を残す。
【0079】
第1の層は、したがってガス透過性があり、それゆえ第1の層に集められない検体は、合成、天然又は半合成樹脂材料製のフィルタのような繊維である第2の層に侵入することを介して通り抜ける。第2の層は、表面の体積を生成する繊維密度を有している。ガスは第2の層を通り抜け、当該第2の層は上述されるような類似のメカニズムによって検体を集めるが、それは、繊維の荷電に帰する可能性があり、ファイバーの表面に検体を固着させる。
【0080】
フィルタは、またシリカ、ポリマー及び/又は印刷されたポリマーなどの他の材料の層をもつことができるが、発散された息から検体を収集することができる他の材料であり得る。
【0081】
いくつかの実施形態において、フィルタ材料はガラス繊維である。ガラス繊維は、本出願において、フィルタの効率を改善するために永久的な静電的荷電を運ぶことができる。ガラス繊維はランダムに配向され得る。ガラス繊維は、異なる材料の適切な外側層によって適所に保持され得る。ガラス繊維はまた固体のフィルタカートリッジを提供するために一緒に部分的に溶解され得る。発散された息から化合物の形跡を集めるための高い効率のフィルタは、所望のとおりに、高い発散率での低い圧力降下を維持しつつ提供され得る。
【0082】
短時間の使用により、フィルタが詰まる、又はフィルタ詰まりによる増加した圧力降下につながるリスクはない。
【0083】
図4は、1分当たりの単位リットルにおける、ガス・フローXの関数、水柱mmにおける圧力降下Yを示すグラフ(40)であり、ここで、フィルタの直径はパラメーターである。検査されたフィルタの直径は、10mm(曲線41)、13mm(曲線42)、16mm(曲線43)、19mm(曲線44)及び22mm(曲線45)である。
【0084】
フィルタを分析するとき、抽出される小さなフィルタの容量が好ましい。この特有のフィルタ膜のために、直径をより小さくすることにより、これはなされ得る。しかし、同時に、フィルタ膜を介して発散された容量は、圧力の高い降下を発生させるべきではない。好ましくは、フィルタ膜は、できるだけ大量の深く発散された息から製剤原料を収集するべきであり、同時に、高い圧力降下を発生させるべきではない。健康な人は、約20水柱mmの圧力降下に対応できるはずである。図4によると、この特有のフィルタ膜のために、約16mmのフィルターサイズが使用可能であり、依然として許容可能な圧力降下を有するはずである。フィルタ膜の物理的又は化学的な特性を修正することで、又は層を取り除くことで、より小さな直径が可能となり得る。
【0085】
使用されたLC/MSの方法及びこの特有のフィルタ膜の感度は、発散された息から製剤原料を検出することを可能にする。
【0086】
以下は、3つの異なる機会での5人の被験者に関する以前の研究からの結果を示す表3である。ここで、発散の1分当たりのピクトグラムにおける発散された息中のメタドン(Mtd)は、各機会につき1つの収集時間で、3つの異なる収集時間を使用して、5人の被験者から測定される。被験者に、個々のメタドンの用量が送達された後、すべての測定が行われた。
【0087】
【表1】

【0088】
被験体は、最初の機会で1分間、2回目の機会で3分間、及び3回目の機会で10分間発散した。適応しなかった被験体番号2、及び機会の1つでのそれぞれ被験体番号3及び1に対する非常に高い値を除いて、短い収集時間が可能であり、LC-MS方法の感度が測定されるより低い量の検出を可能にするので、この特有のフィルタ膜を使用して、さらに短い収集時間が実行可能となるはずであると、この結果は示す。測定される量の製剤原料はまた、抽出される小さなフィルタ容量によって得られ得る。これは、以前に記載されたものに従う。図5は、被験体の発散された息からサンプル(51)を収集するように構成された、携帯型装置(50)の実施形態を示す略図である。被検者は、少なくとも1つの入口(53)を介してハウジング(54)とフロー連通している、随意のマスウピース(52)を介して発散する。ハウジングは、発散される息から製剤原料を収集するための、収集要素であり得るか、又は収集要素を含むかのどちらかのサンプリングユニット(55)を含む。発散された息は、少なくとも1つの出口(56)を通ってハウジングを出る。サンプリングユニット(55)及び/又は収集要素は、分析されるために実験室(57)へ送られる。携帯型装置(50)のいくつかの実施形態において、ハウジング(54)は、サンプリングユニット(55)であり得る。
【0089】
サンプリングユニット(55)は、1以上の収集要素を含み得、及び/又は、ハウジング(54)は、製剤原料を収集するのに適した、任意の組み合わせにおいて、1以上のサンプリングユニットを含み得る。これは、異なる製剤原料を区別するのを可能にし、それにより、分析を行なうのをより簡単にする。例えば、サンプリングユニット(55)は、少なくとも1つのフィルタ膜及び少なくとも1つのSPMEカートリッジを含み得る。別の組み合わせは、異なる物理的及び/又は化学的な特性を備えた大量のフィルタ膜を含み得る。しかし、異なるフィルタ膜が取り付けられた領域を含むサンプリングユニット(55)を使用することにより、複数のフィルタもまた使用され得る。
【0090】
製剤原料を収集するためのサンプリング装置及び要素は、清潔に保たれ、好ましくは殺菌されるべきであるが、無菌である必要はない。
【0091】
図6は、発散された息サンプルを収集するように構成された携帯型装置を使用するための(62)、及び収集されたサンプルにおいて少なくとも1つの製剤原料の存在を検出する又はその定量的な量を測定するための(63)、方法を示すフローチャートである(60)。該方法は、以下の工程を含む:被検者が、発明された携帯型装置へ発散する(61);サンプリングユニットが、製剤原料を含むサンプルを収集する(62);収集されたサンプルが、質量分析法を使用して分析される(63)。
【0092】
図7において、クロマトグラム(70)は、「アンフェタミン」の摂取後の一人の被検者から発散された息におけるアンフェタミン(A)およびメタンフェタミン(B)の識別から示される。ここで、Yは、反応(CPS)及びX時間(分)を表している。比較理由のために得られた同じ被検者の慣例的に分析された尿及び血漿データは、アンフェタミンとともにメタンフェタミンを摂取する可能性を示唆する。サンプリングユニット及びLC−MS−MS分析を使用する識別は、正確な持続時間、及び2つのプロダクトイオンの正確な相対存在量を有する化合物の存在に基づいた。検出された検体の識別は、正確で、(アンフェタミン−d)と相対的な持続時間に基づいた。プロトン化分子からの2つのプロダクトイオンは、アンフェタミン(m/z 136→119 75;136→91 73)に対して、メタンフェタミン(m/z 150→119 76;150→91 74)に対しては2つ監視された。薬物摂取のない対照被検者はどれも、実施されたサンプリングユニットから分析された時に、これらのピークを示さなかった。したがって、発散された息サンプルにおけるアンフェタミン(A)及びメタンフェタミン(B)の検出は、確実に実証される。更なる例は、以下に挙げられる。
【0093】
図6に関して、発明された方法を示すために、フロースキームが使用される。被検者は、特定期間、又は1〜10回のような固定回数のいずれかで、携帯型装置の中及び外へ発散する(61)。固定回数を呼吸する場合、各発散は、一定期間続くように設定され得る。一定量の発散された息が得られるまで、発散が実行され得る。中央の又は周辺の肺領域のような深部にある肺領域からの発散された息を得るために、深呼吸が好ましい。
【0094】
その後、発散された息は、装置を出る前に製剤原料を収集するのに適した、少なくとも1つの要素を含むサンプリングユニットによる収集される(62)。その後、サンプリングユニットは、製剤原料を収集するのに適した少なくとも1つの要素が、適切な質量分析法を使用して分析され得るように、取り除かれる。あるいは、以前に記載された実施形態のいくつかに関して、ハウジング全体が分析されるために送られ得る。
【実施例】
【0095】
本発明の更なる実施例において、分析がどのように行なわれるかが実証される。これらの最初の観察は、吐息のサンプリングに基づいた薬物検査を実証する。
【0096】
実施例1
アンフェタミンの最近の使用を報告する12人の患者(男性7人、女性5人、22〜51歳)を、ストックホルムにおける2つの依存症治療のクリニック(Beroendecentrum Stockholm)から集めた。薬物使用の歴史を、インタビューによって、および2つの構造化されたアンケート、(アルコール用の)AUDIT及び(違法薬物用の)DUDITの使用によって評価した。患者は、AUDITのアンケートにおいて2.5(0〜34の範囲)及びDUDITのアンケートにおいて34.5(12〜43の範囲)の中央値を記録した。最近の薬物摂取を、血漿及び尿のサンプルの分析によってさらに調査した。尿及びEDTAの血漿サンプルを、吐息サンプリングに従って収集し、−80℃で格納した。
【0097】
対照群として、8人の薬物を使わない健康なボランティア(男性3人、女性5人、29〜67歳)を集めた。吐息における化合物を、SPEカートリッジを介して吸引によって集めた(30mg SPEC DAS,Varian,Lake Forest,CA)。患者に、フェイスマスクで呼吸するように頼み(No 1516,Intersurgical,Ltd,Berkshire,UK)、三元結合を、呼吸空気を引き出すために使用した。約半分の吐息が、3mの長いプラスチックチューブを介してSPEカートリッジに収集されたと推測された。サンプリングに続いて、SPEカートリッジを、−80℃で格納し、続いて、分析の時にメタノールと酢酸エチル(20/80)の混合物中(25%)で2%のアンモニアにより溶出した。ギ酸を加えた後(MeOH中に10μLの10%のギ酸)、溶出物を窒素ガスの下で蒸発乾固し、残留物を、内標準(5.94ngのアンフェタミンd5)を含む30μLの0.1%のギ酸中で再溶解した。
【0098】
3μLのアリコートを、SRM UPLC−MS/MS(Waters Quattro Premiere XE)によって分析にさらした。クロマトグラフィックシステムは、AQUITY UPLC BEH C18カラム、100mmx1、0mm、粒径1、7μmであって、A=0、1%のギ酸およびB=アセトニトリルである勾配システムを備えた。直線勾配は100%のAで開始し、1、7分後に70%のAで終了した。その後、100%のAに戻る前に0.49分間100%をポンプで入れた。
【0099】
プロトン化分子からの2つのプロダクトイオンを、アンフェタミン(m/z 136→119 75; 136→91 73)に対して、メタンフェタミン(m/z 150→119 76; 150→91 74)に対しては2つ監視し、アンフェタミン−d5(m/z 141→124 71,72)に対する1つを、各チャネルに対して25msの滞留時間で、陽性のエレクトロスプレーモードにおける選択反応モニタリング(SRM)によって行った。ソースブロック(source block)及び脱溶媒和温度を、それぞれ、150及び350℃に設定した。定量化の基準を、未使用のSPEカートリッジからマトリックスを使用して準備した。血漿と尿検査に使用される方法は、研究所で日常的に使用され、LC−MS技術に基づいた。
【0100】
すべての12人の研究された患者において、アンフェタミン及び/又はメタンフェタミンが、吐息サンプルに検出され、これは、自己報告の薬物摂取に従ったものであった。あらゆる場合において、自己報告の摂取は、血漿及び尿の分析によって支援された。アンフェタミン及びメタンフェタミンの存在及び相対的なレベルは、両方の化合物の混合した薬物使用を示し、これは、臨床的な尿薬物検査で観察されたスウェーデンにおける最近の傾向に従う。8人の健康な対照において、アンフェタミン又はメタンフェタミンは検出されなかった。
【0101】
検出された検体の薬物の識別は、正確な(アンフェタミン−d5に相対的な)持続時間(±0.5%)、及び2つのプロダクトイオンの間の正確で(<±20%)相対的なイオン強度比に基づいた(図7)。識別のこれらの基準は、科学的な基準に従い、尿薬物検査においてうまく適用されている。レベルが一般に低かったため、バックグラウンド信号は、信号が実際に存在したという事実にもかかわらず、結果的に、サンプルのいくつかにおいて識別の基準を満たすことに失敗した。表1を見ると、吐息から収集された物質の量は、アンフェタミンに対して0.2〜103pg/分、及びメタンフェタミンに対して<0.3〜139pg/分の範囲に及んだ。血漿及び吐息のレベル間の関連性は、その結果から明白ではなかった。しかしながら、利用されたサンプリング技術は、抽出効果があるとは確認され得なかった。SPEカートリッジの物質は、通常、水溶液から検体を抽出するために使用される。したがって、どの程度、アンフェタミンが吐息から捕捉され、吐息サンプルにおける検出量の可変性に寄与し得る、抽出効果の再現性があるかは知られていない。したがって、血中濃度との吐息の関連性に関する確固たる結論は、本実施例においては実現しなかった。分析された量を測定するための上述されるような流量計を使用することで、有効測定を提供する。
【0102】
尿及び血漿のデータは、ほとんどの場合において、サンプリングが摂取に接近して行なわれる(<24h)ことを示した一方で、他の場合において、尿の低レベル(<〜5μg/mL)は、摂取からのより長い時間を示した(表1)。しかしながら、検体は、吐息において依然として検出された。吐息におけるアンフェタミン及びメタンフェタミンの相対的割合は、血漿結果とかなり関連性があり、これは、更にこれらの結果を実証する。
【0103】
実施例2
メタドン維持療法を受ける13人の患者(男性12人、女性1人、31〜58歳)を、ストックホルムにおけるメタドンプログラム(Rosenlund Stockholm)から集めた。患者は安定状態であり、70と155mgの間の管理された日用量のメタドンを受けた。患者を、尿薬物検査によって、処置に対するコンプライアンスの持続的な管理にさらした。対照群として、10人の薬物を使わない健康なボランティア(男性4人、女性6人、29〜66歳)を集めた。
【0104】
【表2】

【0105】
発散された息のサンプリング
発散された息において存在する化合物を、流量(約300mL/分)を援助する膜ポンプを使用して、(3M Inc.からの)47mmのEmpore C18ディスクを介して吸引によって10分間収集した。Emporeディスクを保持するサンプリング装置に付けられたマウスピース(no.4091148,Palmenco AB,Stockholm,Sweden)に、通常より深く吹きこむように被検者に頼んだ(図1)。すべての発散された息が、サンプリング周期にフィルタを通って収集されたと推測された。サンプリングに続いて、Emporeディスクを、ピンセットを使用して取り外し、−80℃で格納した。サンプリング装置を、使用の間に慎重に洗浄し、それは約15分間かかった。
【0106】
サンプル調製:格納に続いて、Emporeディスクを、メスを使用して、5mmx5mmの大きさに切り、10mLのガラス試験管に移動させた。100ng/mLのメタドン−d3の100μLの容積を加え、ボルテックスミキサーを使用して混合し、300_Lの2−プロパノールを(表面を湿らせるために)加え、混合し、最後に、酢酸エチル中の20%のメタノール、5mLを加えた。この混合物を、恒温槽内で37℃で1時間振とうした。その後、試験管を10℃、3000xgで15分間遠心分離にかけ、上清を新しい10mLのガラス試験管に移動させ、酢酸エチル中の20%のメタノール、1mLを使用して、抽出手順を繰り返した。最後に、2つの上清を組み合わせ、10%の含水ギ酸、10_Lを加え、40℃の温度で窒素の流れの下で蒸発乾固した。蒸発残留物を、酢酸エチル中の50%のメタノール、100_L中に溶解した。
【0107】
質量分析:3μLのアリコートを、UPLC−MS/MS(Waters Quattro Premiere XE)による分析にさらした。クロマトグラフィックシステムは、AQUITY UPLC BEH C18カラム、100mmx1、0mm、粒径1、7μmであって、A=0、1%のギ酸およびB=アセトニトリルから成る勾配システムを備えた。移動相は、1.2分間95%のAであり、その後、3.0分まで5%のBから65%のBまでの直線勾配であった。注入の間の平衡時間は、4.0分(95%のA)であった。流速は、0.20mL/分であった。プロトン化分子からの2つのプロダクトイオンを、メタドン(m/z 310→265; 310→105)に対して、及びメタドン−d3(m/z 313→268)に対しては1を監視した。各チャネルに対して75msの滞留時間で、陽性のエレクトロスプレーモードにおけるSRMによって、これを行った。カラム上で注入された最小の検出可能な量(信号対雑音比3)は、約0.2pgまでであった。
【0108】
定量化:定量化の基準を、補強された未使用のEmporeディスクから準備した。300ng/mLのメタドンを含む、10、25、50、100、及び200μLの溶液(表面上で3.0、7.5、15、30及び60ngに相当する)を加えることにより、これらを準備した。乾燥の後に、ディスクを、上述されるような分析のために準備した。較正曲線を、重量係数1/xとともに、線形回帰分析を使用して構築した。
【0109】
方法確認:較正曲線の5つの複製を、異なる機会で分析した。未使用のEmporeディスク上に10pgのメタドンを適用することによって、検出限界(LOD)及び定量化下限(LLOQ)を評価し、それを分析にさらす。不正確性及び正確性を、3つのレベル(3.0、15、45ng/ディスク)で未使用のEmporeディスク上に適用されたメタドンの6つの複製の分析によって推測した。Emporeディスクからメタドンを抽出する回収率を、最終的な抽出溶媒に直接調製された基準サンプルと比較して推測した。未使用のフィルタ及びフィルタを健康なボランティアから抽出することにより、マトリックス効果を推測し、その効果は最終的な抽出液中でメタドンにより強化される。これを、マトリックスのない基準サンプルと比較した。さらに、注入実験を行い、ここで、対照呼吸の抽出物の注入を、メタドンのポストカラム(post−column)を注入する間に行い、移動相Aの注入と比較した。注入速度は10L/分であり、注入されたメタドン溶液は、50%のメタノール中の0.1%のギ酸において0.5g/mLであった。
【0110】
メタドンのメタドン−d3に対するピーク面積比は、1つのサンプル当たり3と60ngの間で比例しており、1分当たりの呼吸で発散される0.3及び6.0ngのメタドンに相当した。較正曲線の相関係数(r2)は、0.991と0.999の間であった(平均0.996、n=5)。
【0111】
【表3】

【0112】
表2(上記):13人のメタドン維持療法を受ける患者からの発散された息においてサンプリングされたメタドンに関して得られたデータの要約。
【0113】
LOD(信号対雑音比3)は、4pg/サンプルまで(呼吸/分において0.4pgまで)と推測され、LLOQ(信号対雑音比10)は、15pg/サンプルまでと推測された一方で、較正された測定範囲は、3.0〜60ng/サンプルであった。不正確性(変動係数、CV)は、レベル3.0、15、及び45ng/サンプル(n=6)で、1.6%、1.9%及び2.0%までと、数列内で推測された。正確性は、それぞれ104%、109%及び104%であった。Emporeディスクの表面からのメタドンの抽出回収率は、15ng/サンプルのレベルでのサンプルを使用し、複製して測定され、96.6%(n=4)であった。マトリックス効果は、未使用のEmporeディスク、及び健康なボランティアからの発散された息の収集に使用されるEmporeディスクから準備された抽出物にメタドン(15ng/サンプル)を加えることによって推測された。メタドンのピーク面積を、マトリックスを含まない基準サンプルと比較した。未使用のEmporeディスクに対するマトリックス効果は、109%(SD 9、n=8)であり、息サンプルディスクに対しては、108%(SD 40、n=8)であった。
【0114】
方法の適用:メタドンを、すべての13人の研究された患者からのサンプリングされた発散された息において検出し、これは、メタドンの毎日の観察される投与量摂取に従った(表2)。
すべての場合において、これはまた、尿の日常分析、及び管理された投与量摂取により制御されるような、処置へのコンプライアンスによって支持された。10人の対照被検者のどれも、発散された息サンプルにおいて、検出可能なレベルのメタドン(<0.005ng/分)を有していなかった。検出レベルを、2つのメタドンチャネルへのメタドン−d3の寄与によって設定した。
【0115】
検出されたメタドンの識別は、正確で、(メタドン−d3に対して)相対的な持続時間(±0.5%)及び2つのプロダクトイオンの間の正確で(<±20%)相対的なイオン強度比に基づいた。息から収集されたメタドンの量は、強力な分析反応をもたらすのに十分高かった。これは識別を確かなものとし、すべてのメタドン患者からのサンプルにおけるこれらの基準に従って、メタドンを識別した。メタドンの量は、0.39から>6.0ng/分までの>15倍(78)の範囲に及んだ。得られた最高値は、測定範囲外であり、異常値であるように見えた。表2は、13人の患者のサンプルに関する結果及び収集されたデータを要約する。サンプリングの前にマウスウォッシュで又はマウスウォッシュなしでサンプリングされた被検者の間で、結果の差は観察され得なかった(表2)。メタドンの投与量での排出率の有意な関連性は、観察されなかった。
【0116】
各被検者は、自身が選んだペースで呼吸していた。したがって、10分のサンプリング期間中の呼吸の数が記録された(表2)。表2はまた、投与量摂取の後の実際のサンプリング期間を報告する。実用的な理由により、この時間間隔は、すべての被検者に関して同じであり得なかったが、8から60分の間で変化した。
【0117】
Emporeディスクは市販されており、例えば、3M Inc.から入手可能である。これらの製品は、結合シリカで作られている。それらは、通常高度に希釈される、液体の検体の固体相の抽出のために使用することが慣例的に意図されている。このような集合的な要素を、発散された息などのガスにおいて物質の不揮発性又は揮発性の物質を収集するためのフィルターディスクとして使用することはこれまで知られていなかった。本発明の出願人は、この意外な可能性を認識し、上記の実施例は、その独創的な使用の実行可能性を示す。市販のEmporeディスクを介した圧力降下が高いため、いくつかの実施形態には、ディスクを介した呼吸を援助する前述のポンプが提供されている。あるいは、さらに、ディスクは、それらに対する圧力降下を減少させるために修正され得る。これは、ディスクの表面の一部を介して穴部をはさむ(pinching)ことによりなされ得る。あるいは、さらに、Emporeディスクは、上述されるように、スペーサー片によって適所に保たれる。
【0118】
オクタデシル(C18)及びオクチル(C8)などの、様々な官能基は、非極性相互作用を提供するためにシリカ表面に結合され得る。
【0119】
これらの吸着剤の各々は、停留及び選択性の特有の特性を示す。これは、薬物化合物が血液脳障壁を通ることができるなどの理由から、親油性であるという事実に基づいている。C18などの吸着剤は、シリカ表面を親油性にする。それ故、これらの集合的な要素は、具体的な製剤原料のためなどの、特定の検体のための選択性を提供する。
【0120】
どの吸着剤が特定の方法に最良であるかの選択は、サンプルマトリックスからの検体のパーセント回収率、及び結果として生じるクロマトグラフィーの清浄度による影響を受ける。
【0121】
本発明は、具体的な実施形態に関連して上述されてきた。しかしながら、上述される以外の他の実施形態は、同様に本発明の範囲内であることが可能である。ハードウェア又はソフトウェアによる方法を行う、上述される以外の異なる方法の工程は、本発明の範囲内で提供され得る。本発明の異なる特徴及び工程は、記載されるもの以外の他の組み合わせにおいて組み合わせられ得る。本発明の範囲は、添付された特許請求項にのみ限定される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の発散された息からサンプルを収集するように構成された、及び前記発散された息における少なくとも1つの製剤原料の存在を検出する又はその定量的な量を測定するための携帯型装置であって、
前記装置は、質量分析法を使用して、更なる分析のための前記サンプルを収集するのに適しており、前記装置は、
サンプリングユニット及び前記サンプリングユニットを保持するように配列されたハウジングを含み、
前記サンプリングユニットは、前記被験者からの前記発散された息から、前記少なくとも1つの製剤原料の不揮発性及び/又は揮発性の物質を収集するのに適しており、および
前記ハウジングは、前記被験者が前記サンプリングユニットへと前記ハウジング内に発散するための少なくとも1つの入口及び前記発散された息を出すための少なくとも1つの出口を含むことを特徴とする携帯型装置。
【請求項2】
前記ハウジングの要素と連通する前記入口と連結可能である分離可能なマウスピースの要素を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ハウジングが、SPEカートリッジであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ハウジングが、収着チューブであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
ポンプを含み、前記ポンプが、前記サンプリングユニットの下流に配されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記装置を介する圧力降下が、2水柱cmより高くないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記サンプリングユニットが、少なくとも1つのフィルタ膜を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記フィルタ膜が、0、2〜0、7μmのサイズを有する、前記発散された息からの粒子を収集するためのメッシュサイズを有することを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
2水柱cm未満の圧力降下が、約0〜9リットル/分の発散流速で前記入口と出口の間で生じるように、前記フィルタ膜が選択されることを特徴とする請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
前記フィルタからの収集された粒子が、前記質量分析法によって分析可能であることを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記フィルタ膜が、静電フィルタ膜であることを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つのフィルタ膜が、少なくとも2つの異なる製剤原料を区別するための少なくとも2つのフィルタ膜であることを特徴とする請求項7乃至11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記サンプリングユニットが、GC−MSを使用してさらに分析される少なくとも1つのSPMEカートリッジを含むことを特徴とする請求項1、2、5又は6のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
唾液及び/又は凝縮液を収集するための区画が、前記少なくとも1つの入口と前記サンプリングユニットの間に、及び/又は前記サンプリングユニットと前記少なくとも1つの出口の後に配列されることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
前記発散された息における前記少なくとも1つの製剤原料の前記不揮発性及び/又は揮発性の物質が、肺膜を介して被験者の血液から通ることができる物質であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
前記製剤原料が、アンフェタミン、エクスタシー、大麻、THC及び大麻類、オピエイト、ヘロイン、モルヒネ、6−AM、コカイン、ベンゾジアゼピン、プロポキシフェン、メタドン、ブプレノルフィン、トラマドール、LSD、デザイナー/インターネット薬物、カチノン、GHB、メプロバメート、Z薬物、トリプタミン、アナボリックステロイド、アルコール、又はアルコールのためのマーカーを含むリストに含まれることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
被験者の発散された息からサンプルを携帯用に収集するため、及び前記発散された息における少なくとも1つの製剤原料の存在を検出する又はその定量的な量を測定するための方法であって、前記方法は、
請求項1乃至14のいずれかに記載の装置を使用して、前記被験者から前記サンプルを収集する工程、及び
質量分析法を使用して、前記少なくとも1つの製剤原料の前記収集された不揮発性及び/又は揮発性の物質を分析する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
前記収集が、前記装置のハウジングにおいて保持されたサンプリングユニットにおいて、前記被験者から前記発散された息からの前記少なくとも1つの製剤原料の不揮発性及び/又は揮発性の物質を収集する工程を含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記収集は、前記被験者が、前記サンプリングユニットへと前記ハウジングの少なくとも1つの入口内に発散し、さらに、前記ハウジングから出すための少なくとも1つの出口へ発散する工程を含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記サンプリングユニットの下流に配列されるポンプによる吸引を発生させる工程を含むことを特徴とする請求項17乃至19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記吸引は、前記被験者が、前記発散された息を前記サンプリングユニットに通すのを援助していることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記発散された息の流量が、前記サンプリングユニットに対して2水柱cmより高くない圧力降下を発生させていることを特徴とする請求項17乃至19のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも1つの入口と前記サンプリングユニットの間に、及び/又は前記サンプリングユニットと前記少なくとも1つの出口の後に配列された区画を使用して、前記発散された息から唾液及び/又は凝縮液を収集する工程を含むことを特徴とする請求項17乃至22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
少なくとも2つのサンプリングの要素による少なくとも2つの異なる製剤原料を区別する工程を含むことを特徴とする請求項17乃至23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記サンプリングユニットに配列された少なくとも1つのフィルタ膜を使用して、前記少なくとも1つの製剤原料を収集する工程を含むことを特徴とする請求項17乃至24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
0.2〜0.7μmのメッシュサイズを有しているフィルタ膜によって、前記不揮発性及び/又は揮発性の物質を収集する工程を含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
約0〜9リットル/分の発散流速での前記入口と出口の間で生じる2水柱cm未満の圧力降下を有するフィルタ膜によって、前記不揮発性及び/又は揮発性の物質を収集する工程を含むことを特徴とする請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
修正されたSPEカートリッジを前記ハウジングとして配列する工程を含むことを特徴とする請求項17乃至27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記サンプリングユニットに配列された少なくとも1つのSPMEカートリッジを使用して、前記少なくとも1つの製剤原料を収集する工程を含むことを特徴とする請求項17乃至24のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記発散された息における前記少なくとも1つの製剤原料の前記不揮発性及び/又は揮発性の物質が、肺膜を介して被験者の血液から通ることができる物質であることを特徴とする請求項17乃至29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記製剤原料が、アンフェタミン、エクスタシー、大麻、THC及び大麻類、オピエイト、ヘロイン、モルヒネ、6−AM、コカイン、ベンゾジアゼピン、プロポキシフェン、メタドン、ブプレノルフィン、トラマドール、LSD、デザイナー/インターネット薬物、カチノン、GHB、メプロバメート、Z薬物、トリプタミン、アナボリックステロイド、アルコール、又はアルコールのためのマーカーを含むリストに含まれることを特徴とする請求項15乃至27のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
製剤原料に対して被験者に非侵入性の息テストを行うための、請求項1乃至16のいずれかに記載の装置、又は請求項17乃至31に記載の方法の使用。
【請求項33】
血液又は尿のサンプリングによって前記製剤原料に対して前記被験者を検査するための、置換としての請求項32の使用。

【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図2d】
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【図2e】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【公表番号】特表2013−504074(P2013−504074A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528364(P2012−528364)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際出願番号】PCT/EP2010/063266
【国際公開番号】WO2011/029889
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(512059132)センサ ビューズ エービー (1)
【Fターム(参考)】