説明

発汗着

【課題】着用者の胸部及び臀部を含む発汗抑制希望身体部分のうち少なくとも一部(代表的には胸部や臀部或いはそれらの一部)については発汗を抑制することができる発汗着を提供する。
【解決手段】着用者の発汗を促す発汗着であり、着用者の胸部及び臀部を含む発汗抑制希望身体部分を被覆する部分のうち少なくとも一部が発汗抑制地を主体に形成されている発汗着。例えば、着用者の胸部の少なくとも一部を覆う部分3が発汗抑制地を主体に形成されており、部分3の輪郭を囲繞する蒸れ移動抑制のための伸縮性ライン部1a、2a、4aを有する発汗上着A。また、例えば、着用者の臀部の少なくとも一部を覆う部分82が発汗抑制地を主体に形成されており、部分82の輪郭を囲繞する蒸れ移動抑制のための伸縮性ライン部8Ua、8Sa、8Laを有する発汗ズボンB。発汗抑制地として、メッシュ地、接触冷感地及び吸汗速乾地から選ばれた少なくとも一種を採用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動着、普段着などとして着用でき、着用者の発汗を促進させる機能を有する上着形態、ズボン形態、これらを組み合わせた形態等の発汗着に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発汗着は、例えば、サウナ袋、サウナスーツ、サウナズボン、ダイエット用サウナスーツ、ダイエット用サウナズボンなどと称して、種々のタイプのものが提案されてきた。
【0003】
例えば、実用新案登録第3110085号公報には、合成樹脂等で形成され、人体の左右の脚を通すための二股の足装着部を設けて歩行可能にしたサウナ発汗袋が記載されている。実用新案登録第3118416号公報には、遠赤外線放射体を含む袋体で形成され、人体の左右の脚を通すための袴足袋部を有する温熱汗かきサックが記載されている。
【0004】
特開平6−343675号公報には、面状発熱体と該発熱体に接続された電源部とを有していて、身体に可能のサウナスーツが記載されている。
また、最近では、チタン配合のシート等の保温性シートを用いて形成した発汗着も提案されている。
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3110085号公報
【特許文献2】実用新案登録第3118416号公報
【特許文献3】特開平6−343675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の発汗着は、それを装着した身体部分全体から発汗を促そうとするものであるところ、人によっては、特に女性の場合、胸部や臀部等については、むしろ発汗を抑制して、発汗による痩せを防ぎ、豊かに保っておきたいとか、その部分の現状輪郭ラインを保っておきたいとかを願う人もいる。
【0007】
そこで本発明は、着用者の胸部及び臀部を含む発汗抑制希望身体部分のうち少なくとも一部については発汗を抑制することができる発汗着を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため本発明は、
着用者の発汗を促す発汗着であり、着用者の胸部及び臀部を含む発汗抑制希望身体部分を被覆する部分のうち少なくとも一部が発汗抑制地を主体に形成されている発汗着を提供する。
【0009】
本発明に係る発汗着において、発汗抑制地を主体に形成されている部分以外の部分は、着用者の発汗を促すために、発汗促進地を主体に形成することができる。
「発汗抑制地」は、例えば、
(1) メッシュを有する織物地、編物地、不織布等の通気性に富むメッシュ地
(2) 吸湿吸水性及び放湿性に優れる吸汗速乾素材〔例えば、東レ株式会社提供の吸水速乾性を有するニット素材「フィールドセンサ」(登録商標)や、東レ株式会社提供の吸水性繊維「セオアルファ」(登録商標)からなる吸水速乾性布材)からなる吸汗速乾地
(3) 触れると冷やっとする接触冷感があり、或いはさらに吸汗速乾性を備えていることもある、接触冷感素材〔例えば、東レ株式会社提供の接触冷感繊維「クールイン」(登録商標)〕からなるからなる接触冷感地
等である。
【0010】
メッシュ地は、通気性良好であり、それだけ発汗着着用者のメッシュ地で覆われた身体部分からの発汗が抑制される。メッシュ地は例えば、吸水性繊維、接触冷感繊維等で形成されてもよい。
吸汗速乾地は、発汗着着用者の吸汗速乾地で覆われた身体部分からの汗を速やかに吸収して乾くので、結果として、該身体部分に清涼感が生じ、それだけ発汗が抑制される。
接触冷感地は、発汗着着用者の接触冷感地で覆われた身体部分に冷んやり感が生じる等により、該身体部分の発汗がそれだけ抑制される。
【0011】
本発明に係る発汗着によると、着用していることで、また、さらには着用者が各種作業、各種運動等で動作することで、発汗が促され、体重減量、健康増進等をもたらすことができる。
【0012】
しかし、本発明に係る発汗着によると、着用者の胸部及び臀部を含む発汗抑制希望身体部分を被覆する部分のうち少なくとも一部は発汗抑制地を主体に形成されているので、それだけその身体部分からの発汗を抑制することができ、ひいては、その身体部分の発汗による痩せを抑制し、発汗着の着用による発汗にも拘らず、その身体部分を、それだけ豊かに保つておくことや、その身体部分の現状輪郭ラインを、それだけ維持することができるようになる。
【0013】
本発明に係る発汗着は、前記発汗抑制地を主体に形成された部分に隣り合って該部分の輪郭に沿う輪郭囲繞ライン部の少なくとも一部(一部又は全部)が、発汗着着用時にそれを該着用者の身体側へ絞り寄せるための伸縮性部分に形成されていてもよい。
この伸縮性部分は、例えば、発汗着着用前の状態では縮んで皺がよっているもの、発汗着着用前の状態では皺がよっていないもの等のいずれでもよく、発汗着着用により伸長され、それに対する弾性復元収縮力にて着用者身体側へ絞り寄せられるものを挙げることができる。
【0014】
このような伸縮性部分があると、発汗抑制地を主体に形成された部分に隣り合う部分に覆われた身体部分から該発汗抑制地を主体に形成された部分に覆われた身体部分への蒸れ(汗や熱気)の移動を、着用者身体側へ絞り寄せられる該伸縮性部分で抑制でき、それだけ該発汗抑制地を主体に形成された部分に覆われた身体部分の発汗を抑制することができる。
【0015】
また、発汗抑制地を主体に形成された部分に隣り合う部分からみると、該隣り合う部分に覆われた身体部分が該発汗抑制地を主体に形成された部分の輪郭に沿う伸縮性部分で閉じられるかの如き状態となり、それだけ該隣り合う部分における蒸れ、発汗を増進させることができる。
【0016】
本発明に係る発汗着は、着用者身体の上部に着用する発汗上着であっても、着用者身体の下部に穿く発汗ズボンであってもよく、また、これら上着とズボンを組み合わせた形態のもの等であってもよい。
【0017】
発汗上着の場合、前記発汗抑制地を主体に形成されている部分は、例えば発汗上着の着用者の乳房部を含む胸部の少なくとも一部を覆うことができる部分とすることができる。 その場合、発汗抑制地を主体に形成された部分は、例えば着用者の少なくとも乳房部を覆うことができる部分としてもよく、また例えば、着用者の乳房部を含む胸部を全体的に覆うことができる部分としてもよい。
【0018】
いずれにしてもこのような発汗上着によると、着用者身体上部の発汗が促されれつつも、発汗抑制地を主体に形成されている部分で覆われる身体部分〔胸部の一部(例えば乳房部)或いは乳房部を含む胸部の略全体〕の発汗が抑制され、ひいては該身体部分の発汗による痩せが抑制され、該身体部分をそれだけ豊かに保っておくことやその身体部分の現状輪郭ライン(胸部ラインやバストライン等)をそれだけ維持することが可能になる。
【0019】
発汗ズボンの場合、前記発汗抑制地を主体に形成されている部分は、例えば発汗ズボンの着用者の臀部(ヒップ)の少なくとも一部を覆うことができる部分とすることができる。
【0020】
その場合、発汗抑制地を主体に形成された部分は、例えば着用者の臀部の少なくとも上部(例えば略上半部)を覆うことができる部分としてもよい。
【0021】
いずれにしても、発汗ズボンによると、着用者身体下部の発汗が促されれつつも、発汗抑制地を主体に形成されている部分で覆われる身体部分〔少なくとも臀部の一部(例えば臀部の上部)〕の発汗が抑制され、ひいては該身体部分の発汗による痩せが抑制され、該身体部分をそれだけ豊かに保っておくことができ、また、該身体部分の現状のヒップラインをそれだけ維持しておける。
【0022】
前記発汗上着であって着用者の乳房部を覆う部分がメッシュ地を主体に形成されているものや、前記発汗ズボンであって着用者の臀部の少なくとも一部を覆う部分がメッシュ地を主体に形成されているものでは、該メッシュ地で形成されている着用者の乳房部を覆う部分や臀部の少なくとも一部を覆う部分に透け抑制処理が施されていてもよい。
【0023】
該透け抑制処理としては、該メッシュ地を複数枚重ねること、該メッシュ地にシャーリング処理を施すこと、該メッシュ地に透け隠し用飾りを付けること、該メッシュ地にパッドを当てがうことを例示できる。
【0024】
既述のとおり、発汗抑制地を主体に形成されている部分以外の部分は、着用者の発汗を促すために、発汗促進地を主体に形成することができるが、このような発汗促進地として、発汗着着用者身体へ向けられる面が保温性を有する非通気性シートで提供されている素地などのように、非通気性シート(好ましくは保温性を有する非通気性シート)を含む素地(非通気性シートそれ自体である場合を含む)を例示できる。
ここで「保温性を有する非通気性シート」とは、例えば熱反射及び(又は)遠赤外線放射等によって保温効果を発揮する非通気性シートである。
また、発汗促進地としては、所謂ウォームビズ対応素材である中空繊維を利用した保温性繊維、太陽光を吸収し、熱エネルギーに変換する物質(例えば炭化ジルコニウム)を含有させた蓄熱保温性繊維、遠赤外線放射効果のあるセラミックスを含有した合成樹脂繊維(例えばポリエステル系繊維)等からなる素地も利用できる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように本発明によると、着用者の胸部及び臀部を含む発汗抑制希望身体部分のうち少なくとも一部については発汗を抑制することができる発汗着を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下本発明に係る発汗着の例である、下着に対するものとしての表着として着用できる発汗着について説明する。表着として着用できる発汗着の例である発汗上着の1例A及び発汗ズボンの1例Bについて図面を参照して説明する。
【0027】
(1)発汗上着A(図1、図2参照)
図1は発汗上着Aの正面図、図2は同上着の背面図である。
発汗上着Aは、所謂サウナスーツの上着(上着部分)ともいうことができるもので、着用者がその上部(上半身)に着用するものである。
【0028】
図1及び図2に示すとおり、襟部は立ち襟部1及び左右袖部は長袖部2である。
正面側には、図1に示すように、該立ち襟部1及び左右袖部2に続いて着用者の乳房部を含む胸部の略全体を覆う部分3及び該部分3から下方へ着用者の腹部の上部まで或いはそこよりさらに下まで延びて少なくとも着用者の腹部の上部を覆う部分4を含んでいる。
【0029】
背面側には、図2に示すように、該立ち襟部1及び左右袖部2に続いて着用者の背部を腰部まで或いはさらにその下まで全面的に覆う部分5を含んでいる。
【0030】
正面側の着用者腹部を覆う部分4の下端部及び背面側の背部を覆う部分5の下端部には、着用者胴部を囲繞できるように伸縮性の裾帯部40が連設されている。
各長袖部2の自由端には、着用者の手首を囲繞できるように伸縮性のリストバンド部21が連設されている。
【0031】
この上着Aは、立ち襟部1の正面側部分の中央部、胸部を覆う部分3の中央部、腹部を覆う部分4の中央部及び裾帯部40の正面側中央部にわたって上下方向に設けられた開閉フアスナー6により正面側において左右に開閉して、身体上部に着脱することができる。
【0032】
正面側における着用者の胸部の略全体を覆う部分3についてさらに説明すると、該部分3は、着用者の乳房部を覆う部分31と、該部分から上へ、襟部1の正面側部分及び両袖部2の上部正面側部分へ向け連続する部分32とからなっている。
【0033】
そしてこれら部分31、32はいずれも網目を有する通気性に富むメッシュ地で形成されている。乳房部を覆う部分31は透け抑制のためにメッシュ地を2枚重ねて形成されているが、その上側部分32はメッシュ地1枚で形成されている。透け抑制のためには、メッシュ地を複数枚重ねることに代えて、或いは複数枚重ねることに組み合わせて、所謂シャーリングを施したり、透け抑制のための飾りを付設したり、通気性のパットを重ね装着する等ししてもよい。
【0034】
発汗上着Aの立ち襟部1、左右長袖部2、胸部を覆う部分3の下に続く部分4及び背部を覆う部分5は、図5を参照して後ほど説明する発汗促進布材10(発汗促進地の例)で形成してある。
【0035】
発汗上着Aは、着用者の胸部の略全体を覆う部分3に隣り合って該部分3の輪郭に沿う輪郭囲繞ライン部を有している。すなわち、
(1) 部分32の輪郭上端に沿う、襟部1の部分32との境界ライン部1a、
(2) 部分31、32の輪郭側端縁に沿う、両長袖部2及び部分4側部の該部分31、32との境界ライン部2a及び
(3) 部分31の輪郭下端に沿う、部分4の部分31との境界ライン部4aである。
これらライン部は胸部覆い部分3を囲繞しており、、発汗着Aの着用時に該ライン部を着用者身体側へ絞り寄せるための伸縮性部分に形成されている。ここでは、該ライン部にゴム紐が伸縮可能に縫着されて伸縮性部分とされており、上着Aの着用前の状態では、若干縮んで皺がよる。
なお、伸縮性ライン部は、上着Aの着用前の状態では、縮みや皺のよらない状態でもよい。例えば、襠を設け、該襠にゴム紐を縫着してそのような伸縮性ライン部とすることができる。
【0036】
以上説明した発汗上着Aによると、着用していることで、また、さらには着用者が各種作業、各種運動等で動作することで、着用者身体上部の発汗が促され、体重減量、健康増進等をもたらすことができる。
【0037】
しかし、発汗上着Aによると、着用者身体上部の発汗が促されれつつも、通気性良好なメッシュ地にて形成されている部分3で覆われる乳房部を含む胸部の略全体の発汗が抑制され、ひいては発汗による胸部の痩せが抑制され、該胸部をそれだけ豊かに保っておくことや、胸部ラインやバストラインをそれだけ略現状に維持することが可能になり、そのことを願望する人にとって好ましい上着である。
【0038】
また、発汗上着Aによると、発汗抑制地を主体に形成された胸部覆い部分3(部分31、32)の輪郭に沿う輪郭囲繞ライン部1a、2a、4aが、上着A着用時に伸長し、それに対する弾性収縮復元力で着用者の身体側へ絞り寄せられる。
【0039】
そのため、胸部覆い部分3に隣り合う襟部1、両袖部2、腹部覆い部分4及び背部覆い部分5に覆われた身体部分から胸部覆い部分3への蒸れ(汗や熱気)の移動を抑制でき、それだけ該部分3に覆われる着用者胸部の発汗を抑制することができる。
【0040】
また、襟部1、両袖部2、腹部覆い部分4及び背部覆い部分5からみると、それらに覆われた身体部分が胸部覆い部分3輪郭に沿う伸縮性ライン部1a、2a、4aに閉じられるかの如き状態となり、それだけ該部分における蒸れ、発汗を増進させることができる。 なお、胸部覆い部分3はその全周が伸縮性ライン部で囲繞されている必要はなく、例えばライン部1aについては伸縮性部分でなくてもよい。その場合でも、部分3に覆われる着用者胸部の発汗の抑制は可能であり、両袖部2、腹部覆い部分4及び背部覆い部分5等で覆われる着用者身体部分の発汗の増進は可能である。
【0041】
(2)発汗ズボンB(図3、図4参照)
図3は発汗ズボンBの正面図、図4は同ズボンの背面図である。
発汗ズボンBは、所謂サウナスーツのズボン部分ともいうことができるもので、一般的な長ズボンと同様の基本形態を有するものであり、着用者の両脚を覆う左右脚筒部7及び該左右脚筒部7から着用者の腰部あたりまでを覆う部分8からなっている。部分8の上端にはズボン穿き口を提供する伸縮性のバンド部81が連設されている。
【0042】
左右脚筒部7から着用者の腰部あたりまでを覆う部分8の背面側部分のうち、着用者の臀部(ヒップ)の略上半部を覆う部分82は通気性に富むメッシュ地(前記発汗上着の胸部覆い部分3を形成しているメッシュ地と同じメッシュ地)で形成してあり、且つ、透け抑制のために該メッシュ地を2枚重ねて形成してある。透け抑制のためには、メッシュ地を複数枚重ねることに代えて、或いは複数枚重ねることに組み合わせて、所謂シャーリングを施したり、透け抑制のための飾りを敷設したり、通気性のパットを重ね装着する等ししてもよい。
【0043】
左右脚筒部7及びそれに続く部分8のうちメッシュ地で形成した部分81を除く部分は、図5に示す発汗促進布材10で形成してある。
【0044】
発汗ズボンBは、着用者の臀部(ヒップ)の略上半部を覆う部分82に隣り合って該部分82の輪郭に沿う輪郭囲繞ライン部を有している。すなわち、
(1) 部分82の輪郭上端に沿う、部分82の上側部分8Uの部分82との境界ライン部8Ua、
(2) 部分82の輪郭側端縁に沿う、ズボン部分8の両側から前側へかけての部分8Sの部分82との境界ライン部8Sa及び
(3) 部分82の輪郭下端に沿う、部分82の下側部分8Lの部分82との境界ライン部8Laである。
これらライン部は部分82を囲繞しており、発汗ズボンBの着用時に該ライン部を着用者身体側へ絞り寄せるための伸縮性部分に形成されている。ここでは、該ライン部にゴム紐が伸縮可能に縫着されて伸縮性部分とされており、ズボンBの着用前の状態では、若干縮んで皺がよる。
なお、伸縮性ライン部は、ズボンBの着用前の状態では、縮みや皺のよらない状態でもよい。例えば、襠を設け、該襠にゴム紐を縫着してそのような伸縮性ライン部としてもよい。
【0045】
以上説明した発汗ズボンBによると、着用していることで、また、さらには着用者が各種作業、各種運動等で動作することで、着用者身体下部の発汗が促され、体重減量、健康増進等をもたらすことができる。
【0046】
しかし、発汗ズボンBによると、着用者身体下部の発汗が促されれつつも、通気性良好なメッシュ地にて形成されている臀部覆い部分82で覆われる着用者臀部の略上半部全体の発汗が抑制され、ひいては該発汗による痩せが抑制され、該部分をそれだけ豊かに保ったり、それだけヒップラインを略現状に維持することが可能になり、そのことを願望する人にとって好ましいズボンである。
【0047】
また、発汗ズボンBによると、発汗抑制地を主体に形成された臀部覆い部分82の輪郭に沿う輪郭囲繞ライン部8Ua、8Sa、8Laが、ズボンB着用時に伸長され、それに対する弾性復元収縮力にて着用者身体側へ絞り寄せられる。
【0048】
そのため、臀部覆い部分82に隣り合う上側部分8U、部分8の両側から前側への部分8S及び下側部分8Lに覆われた身体部分から臀部覆い部分82への蒸れ(汗や熱気)の移動を抑制でき、それだけ該部分82に覆われる着用者臀部の発汗を抑制することができる。
【0049】
また、上側部分8U、部分8の両側から前側への部分8S及び下側部分8Lからみると、それらに覆われた身体部分が臀部覆い部分82輪郭に沿う伸縮性ライン部8Ua、8Sa、8Laに閉じられるかの如き状態となり、それだけ該部分における蒸れ、発汗を増進させることができる。
【0050】
(3)上着A及びズボンBに共通の事項について
以上説明した発汗上着Aの胸部覆い部分3及び発汗ズボンBの臀部覆い部分82は通気性に富むメッシュ地で形成したが、メッシュ地に代えて、或いはメッシュ地と組み合わせて、既述の吸汗速乾素材からなる吸汗速乾地や接触冷感素材からなる接触冷感地を用いて形成してもよい。メッシュ地で形成する場合、該メッシュ地を例えば既述の吸汗速乾素材や接触冷感素材で形成してもよい。
【0051】
発汗上着Aの立ち襟部1、左右長袖部2、胸部を覆う部分3の下に続く部分4及び背部を覆う部分5や、発汗ズボンBの左右脚筒部7及びそれに続く部分8のうちメッシュ地で形成した部分82を除く部分を形成している発汗促進布材10は、それには限定されないがここでは図5(A)に示すように、熱反射及び(又は)遠赤外線放射により保温性を発揮する非通気性合成樹脂シート100を表布103の裏面に重ね合わせた屈曲性を有する布材10である。
【0052】
発汗上着Aの立ち襟部1、左右長袖部2、胸部を覆う部分3の下に続く部分4及び背部を覆う部分5や、発汗ズボンBの左右脚筒部7及びそれに続く部分8のうちメッシュ地で形成した部分82を除く部分は、表布103を採用しないで、例えば保温性を有する非通気性合成樹脂シートのみから形成してもよいが、冬季における着用時の防寒や、上着、ズボンの外観体裁を良くする等のために、保温性を有する非通気性合成樹脂シート100を表布103の裏面に重ね貼り合わせた布材10で形成している。
【0053】
保温性を有する非通気性合成樹脂シート100は、本例では、非通気性のポリウレタン樹脂シート101をチタン、ゲルマニウム等のうち少なくとも1種を配合した樹脂(例えばポリウレタン樹脂)からなる接着材層102で表布103の裏面に貼り合わせて形成してある。さらに言えば、ここでは、非通気性のポリウレタン樹脂シート101及びチタン、ゲルマニウム等のうち少なくとも1種をを配合した樹脂(例えばポリウレタン樹脂)からなる接着材層102が保温性を有する非通気性合成樹脂シート100を形成している。
【0054】
なお、図5(B)に例示するように、非通気性合成樹脂シート100の両面に表布103を貼り合わせたような布材10’も採用できる。
いずれにしても、シート100に代えて、例えば、非通気性合成樹脂シート面にアルミニウム蒸着膜を形成したシートや、チタン、銀、ゲルマニウム等のうち少なくとも1種の配合とアルミニウム蒸着膜とを組み合わせ有している非通気性合成樹脂シート等も採用可能である。
【0055】
表布103としては、天然繊維、合成繊維、これらの組み合わせ等から形成された布(ニット地、水着等に採用されている縦横伸縮性を有する所謂2ウエイ地等も含む)或いは不織布などの各種の屈曲性を有する布を採用できる。
【0056】
なお、発汗促進布材としては、所謂ウォームビズ対応素材である中空繊維を利用した保温性繊維、太陽光を吸収し、熱エネルギーに変換する物質(例えば炭化ジルコニウム)を含有させた蓄熱保温性繊維、遠赤外線放射効果のあるセラミックスを含有した合成樹脂繊維(例えばポリエステル系繊維)等からなる素地も利用できる。
【0057】
発汗上着Aの伸縮性を有するリストバンド部21や伸縮性裾帯部40は、伸縮性布材からなっており、それには限定されないがここでは伸縮性を有するポリエステル製ニットで形成されている。
【0058】
発汗ズボンBの穿き口を提供しているバンド部81はゴム紐を通したものであるが、ズボン穿き口はそれに限定されるものではなく、紐で絞るタイプのもの等でも構わず、要するに発汗ズボンBを着用者に穿き止めておくことができるものであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、発汗しつつも、胸部及び臀部を含む発汗抑制希望部分のうち少なくとも一部については発汗を抑制して、豊かに保ちたい身体部分、ラインを現状に保ちたい身体部分の痩せやライン崩れをそれだけ抑制することを願望する人等にとって好ましい発汗着を提供することに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】発汗上着の正面図である。
【図2】図1の上着の背面図である。
【図3】発汗ズボンの正面図である。
【図4】図3のズボンの背面図である。
【図5】図5(A)、図5(B)はそれぞれ発汗促進布材の例の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0061】
A 発汗上着
1 立ち襟部
2 長袖部
21 リストバンド部
3 胸部の略全体を覆う部分
31 部部3のうち乳房部を覆う部分
32 部分3のうち部分31から上へ続く部分
4 部分3から下方へ続く部分
5 背部覆い部分
40 裾帯部
6 開閉フアスナー
1a、2a、4a 伸縮性ライン部
B 発汗ズボン
7 脚筒部
8 脚筒部7から着用者腰部あたりまでを覆う部分
81 ズボン穿き口を提供するバンド部
82 部分8のうち略臀部上半部を覆う部分
8U 上側部分
8L 下側部分
8Ua、8Sa、8la 伸縮性ライン部
10 発汗促進布材
100 非通気性合成樹脂シート
101 非通気性のポリウレタン樹脂シート
102 接着材層
103 表布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の発汗を促す発汗着であり、着用者の胸部及び臀部を含む発汗抑制希望身体部分を被覆する部分のうち少なくとも一部が発汗抑制地を主体に形成されていることを特徴とする発汗着。
【請求項2】
前記発汗抑制地を主体に形成された部分に隣り合って該部分の輪郭に沿う輪郭囲繞ライン部のうち少なくとも一部が、該少なくとも一部を発汗着着用時に着用者身体側へ絞り寄せるための伸縮性部分に形成されている請求項1記載の発汗着。
【請求項3】
着用者身体の上部に着用する発汗上着であり、前記発汗抑制地を主体に形成されている部分は、該着用者の乳房部を含む胸部の少なくとも一部を覆うことができる請求項1又は2記載の発汗着。
【請求項4】
前記発汗抑制地を主体に形成された部分は着用者の少なくとも乳房部を覆うことができる請求項3記載の発汗着。
【請求項5】
前記発汗抑制地を主体に形成された部分は着用者の乳房部を含む胸部を全体的に覆うことができる請求項3記載の発汗着。
【請求項6】
着用者身体の下部に穿く発汗ズボンであり、前記発汗抑制地を主体に形成されている部分は、該着用者の臀部の少なくとも一部を覆うことができる請求項1又は2記載の発汗着。
【請求項7】
前記発汗抑制地を主体に形成された部分は着用者の臀部の少なくとも上部を覆うことができる請求項6記載の発汗着。
【請求項8】
前記発汗抑制地として、メッシュ地、接触冷感地及び吸汗速乾地から選ばれた少なくとも一種の発汗抑制地が採用されている請求項1から7のいずれかに記載の発汗着。
【請求項9】
前記発汗抑制地としてメッシュ地が採用されており、前記発汗抑制地を主体に形成された部分のうち着用者の少なくとも乳房部を覆う部分は透け抑制処理が施されている請求項4又は5記載の発汗着。
【請求項10】
前記発汗抑制地としてメッシュ地が採用されており、前記発汗抑制地を主体に形成された部分は透け抑制処理が施されている請求項6又は7記載の発汗着。
【請求項11】
前記透け抑制処理は、前記メッシュ地を複数枚重ねること、前記メッシュ地にシャーリング処理を施すこと、前記メッシュ地に透け隠し用飾りを付けること、前記メッシュ地にパッドを当てがうことのうち少なくとも一つにより行われている請求項9又は10記載の発汗着。
【請求項12】
前記発汗抑制地を主体に形成された部分以外の部分は発汗促進地を主体に形成されている請求項1から11のいずれかに記載の発汗着。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−72345(P2009−72345A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−243542(P2007−243542)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(390018131)株式会社新和 (12)
【Fターム(参考)】